説明

ローラの芯及びローラ

【課題】製造が容易なローラの芯を提供する。
【解決手段】ローラ10の芯11は、芯本体13と、この芯本体13の両端に固定された支持軸体14とにより構成される。支持軸体14は、芯本体13の端部に外嵌する筒部15と、その筒部15に一体化された軸部16とにより構成される。支持軸体14は、筒部15を芯本体13に外嵌させた状態で芯本体13に固定されている。芯11には、高分子弾性材よりなるローラ本体12が外嵌されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電子写真方式の印刷機において帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ、ベルト駆動ローラ等に用いられるローラの芯及びローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなローラは、管状の芯本体の両端に支持軸体を設けた構成を備え、芯本体の外周には、例えばポリウレタン樹脂の発泡体からなるローラ本体が外嵌されて構成されている。例えば、特許文献1に記載されたローラの芯は、図6に示すように、円筒パイプからなる芯本体50の両端開口に、金属薄板材や金属パイプを絞り加工して形成された支持軸体51を固定することにより構成されている。支持軸体51は、その大径筒部51aを芯本体50の開口端内部に嵌め込むことによって芯本体50に固定される。そして、このローラは、支持軸体51に形成された小径筒部51bにおいて回転可能に支持される。
【特許文献1】特開2000−118775号(第2,3頁、第1〜3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1のローラの芯においては、支持軸体51の大径筒部51aを芯本体50の開口端の内部に嵌め込む構成であるため、支持軸体51を芯本体50内に入り込ませすぎることがあり、従って、何らかの手段により芯本体50に対する支持軸体51の軸線方向における位置決めを行う必要がある。このため、上記ローラの芯の製造には、余分な設備と工数とが必要であった。
【0004】
このような問題を解決するために、上記ローラにおいて、支持軸体51を芯本体50の端部に外嵌固定させる構成を採用することが考えられる。しかしながら、このような構成では、ローラの芯における両端部の外径がその中間部の外径よりも大きくなる。このため、ローラ本体の両端部がその中間部よりも硬くなる傾向が生じ、ローラ本体から外部に付与される圧力の強さにおいて両端部と中間部とで差が生じる。従って、このローラを、例えばプリンタにおけるトナー供給ローラや転写ローラとして用いた場合に、その印刷品質に悪影響が発生することもある。
【0005】
この発明の目的は、製造が容易なローラの芯を提供することにある。
また、この発明の他の目的は、上記ローラの芯を用いて良好な印刷品質を確保できるローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明は、芯本体の両端に支持軸体を備えたローラの芯であって、前記支持軸体を、筒部と、その筒部に一体化された軸部とより構成し、前記筒部を前記芯本体に外嵌固定したことを特徴とする。
【0007】
この発明においては、支持軸体の筒部を芯本体の端部に外嵌させると、同筒部の内側の端面が、芯本体の端面に当接する。このため、支持軸体は、芯本体に対し軸線方向において位置決めされた状態で芯本体に固定される。従って、製造時において、支持軸体を芯本体に対し軸線方向において位置決めする必要がないため、位置決めのための設備や工数が不要となり、芯の製造が容易となる。
【0008】
この発明は、請求項1または2に記載のローラの芯に、高分子弾性材よりなるローラ本体を外嵌させるとともに、そのローラ本体の両端部と前記筒部とをラップさせたことを特徴とする。
【0009】
この発明においては、芯の両端の筒部にローラ本体の両端をラップさせない構成に比較して、所定長さのローラ本体を支持するための芯の長さが短くてすむ。このため、このローラを装着するプリンタの小型化に寄与できる。
【0010】
ローラに係る発明は、トナー供給用のローラであって、前記ローラ本体を発泡高分子弾性材から構成し、その硬度を、ローラ本体の肉厚が3mm以上の場合において、その外周面に対して直径50mmの円板を押し付けて1mmだけ沈み込ませるために0.49〜3.96Nの範囲内の所要押圧力を必要とする値としたことを特徴とする。
【0011】
この発明においては、ローラ本体の高分子弾性材の硬度が好適な範囲内に設定されている。このため、芯の両端部の外径がその中間部の外径より大きいにも拘らず、現像ローラに対してローラ本体から付与される圧力は、ローラの軸線方向において好適な強さで均一化される。この結果、記録紙に対する印刷品質が良好となる。
【0012】
ローラに係る発明は、トナー転写用のローラであって、前記ローラ本体を発泡高分子弾性材から構成し、その硬度を、ローラ本体の肉厚が3mm以上の場合において、その外周面に対して直径50mmの円板を押し付けて1mmだけ沈み込ませるために2.94〜19.6Nの範囲内の所要押圧力を必要とする値としたことを特徴とする。
【0013】
この発明においては、ローラ本体の高分子弾性材の硬度が好適な範囲内に設定されている。このため、芯の両端部の外径がその中間部の外径より大きいにも拘らず、記録紙及び感光ドラムに対してローラ本体から付与される圧力は、ローラの軸線方向において好適な強さで均一化される。この結果、記録紙に対する印刷品質が良好となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明においては、製造が容易なローラの芯とすることができる。またこの発明においては、同芯を用いて良好な印刷品質を確保できるローラを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、この発明を具体化した一実施形態について図1〜図5を用いて説明する。
図1及び図2に示すように、ローラ10は、金属製の芯11を備え、その芯11には、高分子弾性材の発泡体よりなるローラ本体12が外嵌されるとともに接着固定されている。
【0016】
前記芯11は、ステンレス鋼製の円筒パイプよりなる芯本体13を備え、その芯本体13の両端には、ステンレス鋼製の支持軸体14が固着されている。芯本体13は、ステンレス鋼板を転造等により円筒状に成形させて形成されている。支持軸体14は、ステンレス鋼板から絞り成形されている。なお、芯本体13を、押し出し成形されたステンレス鋼のパイプ材から形成してもよい。
【0017】
図3に示すように、支持軸体14は、芯本体13の外径よりも大きな外径を有する筒部15と、その筒部15に一体化された軸部16とを備えている。そして、支持軸体14は、図4に示すように、筒部15が芯本体13の端部に外嵌された状態で接着等により芯本体13の端部に固着されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、芯11に外嵌されたローラ本体12の両端部は、両支持軸体14の筒部15にラップされている。ローラ本体12は、スラブ発泡または型発泡された発泡高分子弾性材から形成されている。
【0019】
この実施形態のローラ10は、芯本体13の外径が6mmとされるとともに、ローラ本体12の外径が12mm以上とされている。そして、ローラ本体12の硬度は、その肉厚が3mm(=(12−6)/2)以上の場合において、図5(a),(b)に示すように、その外周面に対して直径50mmの円板20を押し付けて1mmだけ沈ませるために0.49〜19.6Nの範囲内の必要な所要押圧力Fを必要とする値とされている。詳細には、このローラ10をトナー供給用として用いる場合には、ローラ本体12の硬度は、0.49〜3.96Nの範囲内の所要押圧力Fを必要とする値とされている。また、このローラ10をトナー転写用として用いる場合には、ローラ本体12の硬度は、2.94〜19.6Nの範囲内の所要押圧力Fを必要とする値とされている。
【0020】
以上のように構成されたこの実施形態のローラ10は以下の効果を有する。
(1) 支持軸体14は、筒部15の内側の端面が芯本体13の端面に当接することにより、芯本体13に対し軸線方向において位置決めされた状態で芯本体13に固定される。従って、芯11の製造時において、支持軸体14を芯本体13に対し軸線方向において位置決めする必要がないため、位置決めのための設備や工数は不要となり、芯11の製造が容易となる。
【0021】
(2) 支持軸体14及び芯本体13を共にステンレス鋼によって形成したため、ニッケルメッキした炭素鋼を用いた場合とは異なり、ローラ10を取り扱う人におけるニッケルアレルギーの発生が防止される。また、ニッケル無電解メッキ処理の廃液による環境汚染が防止される。
【0022】
(3) 芯11に外嵌させたローラ本体12の両端部を、支持軸体14の筒部15にラップさせた。このため、ローラ本体12の両端部を筒部15にラップさせない構成とした場合に比較して、芯11の長さが短くてすむ。従って、ローラ10を装着するプリンタの小型化に寄与できる。
【0023】
(4) ローラ本体12を構成する高分子弾性材の硬度がトナー供給ローラとして好適な範囲内に設定されている。このため、芯11の両端部の外径がその中間部の外径より大きいにも拘らず、現像ローラに対してローラ本体12から付与される圧力は、ローラ10の軸線方向において好適な強さで均一化される。従って、ローラ10をトナー供給ローラとして用いた場合に、良好な印刷品質を確保できる。
【0024】
(5) ローラ本体12を構成する高分子弾性材の硬度が転写ローラとして好適な範囲内に設定されている。このため、芯11の両端部の外径がその中間部の外径より大きいにも拘らず、記録紙及び感光ドラムに対してローラ本体12から付与される圧力は、ローラ10の軸線方向において好適な強さで均一化される。従って、ローラ10を転写ローラとして用いた場合に、良好な印刷品質を確保できる。
【0025】
次に、上記ローラ10をトナー供給ローラまたは転写ローラとした場合の実施例1〜9及び比較例1,2について説明する。
【実施例】
【0026】
実施例1のローラ10は、以下のように製作されている。
(製造方法)
まず、密度50kg/mの連泡状をなすエーテル系スラブウレタンフォーム材から、厚さ18mm、長さ500mm、幅240mmの板状部材を切り出し、この板状部材に対し、孔開け機により、幅方向に貫通する直径4mmの孔を長さ方向に18mmの等ピッチで複数形成した。
【0027】
次に、アクリル系エマルジョン(LX851:日本ゼオン(株)製)に導電性カーボンブラック(エマコールブラックC(商品名):山陽色素(株)製)を固形分で30重量%になるように配合し、これを10分間程度攪拌した混合液を得た。この混合液を前記板状部材の表面に付与して、ウレタンフォーム材に含浸させた。
【0028】
次に、前記板状部材を120℃で1時間乾燥し、導電性ウレタンフォームを得た。
一方、厚さ0.5mmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)の板材をプレス成形して、直径5mm、長さ215mmの芯本体13を製作した。また、同じフェライト系ステンレス鋼の板材をプレス成形して、前記支持軸体14を筒部15の外径が6mmとなるように製作した。この支持軸体14を筒部15の両端部に接着剤を介して外嵌固定して芯11とした。この筒部15が芯本体13に外嵌した状態で芯本体13にラップする長さは5mmとした。さらに、芯本体13における両支持軸体14間の部分の表面には、溶融させたエチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤を0.1mm程度の膜厚となるように塗布した。
【0029】
次に、前記導電性ウレタンフォームの各孔に前記芯11を両端が孔内に隠れるように差し込み、これを熱風循環式オーブンの中に入れて120℃で30分間加熱した。その後、芯11が差し込まれた状態の導電性ウレタンフォームをオーブンから取り出し、室温で30分間放冷した。
【0030】
次に、芯11の両端側において導電性ウレタンフォームを切断除去し、ローラ本体12の両端を図2に示すように露出させた。このとき、導電性ウレタンフォームは、その全長が216mmであり、支持軸体14の筒部15にラップする長さが3mmである。
【0031】
次に、導電性ウレタンフォームのシートを芯11毎に切り分けて、各芯11にローラ本体12の原形材が固定されたものを得た。最後に、芯11を回転軸として原形材を回転させ、その外周を円柱状に研削して直径12mmのローラ本体12を得た。
【0032】
(ローラ本体12の変形し易さの測定)
上記のようにして製作したローラ10のローラ本体12に対し、図5(a),(b)に示すように、ローラ本体12の中心軸線に対して直交する軸線方向に直径50mmの円板20を押し付け、ローラ本体12をd=1mmだけ沈み込ませるために必要な所要押圧力Fの値を測定した。この所要押圧力Fの強さは、1.96Nであった。
【0033】
(トナー供給ローラとしての性能評価方法)
上記ローラ10を、実際のプリンタにおいてトナー供給ローラとして用い、その印刷画像の印刷品質を目視で評価した。このとき、環境温度10℃、相対湿度15%RHの環境下において、2500枚の記録紙に対して画像印刷を行い、その印刷開始時と、印刷終了時における印刷画像の品質を目視で評価した。
【0034】
(評価結果)
【0035】
【表1】

表1に示すように、実施例1のローラ10をトナー供給ローラとした用いた上記プリンタにより記録紙に印刷された画像には、印刷開始時及び印刷終了時において、画像濃淡むら、画像の歪み等の異常はなかった。
【0036】
また、実施例2〜9は、表1に示すように、ローラ本体12を構成する発泡高分子弾性材の種類を変えたものである。この実施例2〜9についても、実施例1と同様に、トナー供給ローラ又は転写ローラとして実際のプリンタに用いたときの印刷品質を評価した。
【0037】
そして、表1に示す実施例1,2,3,6,9及び比較例1の評価結果から次のような結果が得られる。すなわち、ローラ本体12の肉厚が3mm以上の場合、前記所要押圧力Fが0.49〜3.96Nの範囲内であれば、ローラ10をトナー供給ローラとして用いた場合において良好な印刷品質を得ることができる。これは、ローラ本体12の硬度が適正であるために、芯11の両端部(支持軸体14の筒部15)の外径がその中間部(芯本体13)の外径より大きいにも拘らず、トナー供給ローラとしてのローラ10から現像ローラに対して付与される圧力が、ローラ10の軸線方向において好適な強さで均一化されるためである。
【0038】
また、表1に示す実施例4,5,7,8及び比較例2の評価結果から明らかなように、ローラ本体12の肉厚が3mm以上の場合、上記所要押圧力Fの大きさが2.94〜19.6Nの範囲内であれば、ローラ10を転写ローラとして用いた場合において良好な印刷品質を得ることができる。これは、ローラ本体12の硬度で適正であるために、芯11の両端部の外径がその中間部の外径より大きいにも拘らず、転写ローラとしてのローラ10から記録紙及び感光ドラムに対して付与される圧力が、ローラ10の軸線方向において好適な強さで均一化されるためである。
【0039】
すなわち、芯本体13の両端に支持軸体14の筒部15が外嵌固定されていることにより、ローラ本体12の両端部は、その中間部よりも圧縮された状態となっている。この結果、ローラ本体12の両端部がその中間部よりも硬くなり、両端部から現像ローラや感光ドラムに付与される押圧力が中間部から付与される押圧力よりも強くなる傾向となる。そして、ローラ本体12が硬すぎる場合は、その圧力の差が顕著に現れる。しかし、この実施形態のローラ10においては、ローラ本体12の高分子弾性材の硬度が好適な範囲内に設定されているため、ローラ本体12の硬度はその軸線方向において均一化されている。
【0040】
また、ローラ本体12の肉厚が3mm以上の場合には、その肉厚の値に関係なく前記所要押圧力の値はほぼ同じ値となる。一方、ローラ本体12の肉厚が3mm未満の場合には、その肉厚が小さいほど所要押圧力の値が大きくなる。これは、ローラ本体12の肉厚が3mm未満の場合には、前記円板20をローラ本体12の外周面に押し付けて1mmだけ沈み込ませたときに、ローラ本体12が圧縮たわみの限界に近づくためである。
【0041】
一方、比較例1,2は、表1に示すように構成されている。この比較例1,2の前記所要押圧力は、それぞれ4.98N,24.5Nである。この比較例1,2についても、トナー供給ローラ又は転写ローラとして実際のプリンタに用いたときの印刷品質を評価した。
【0042】
比較例1のローラ10をトナー供給ローラとして用いた上記プリンタにより記録紙に印刷された画像には、2500枚の記録紙への印刷終了時において、記録紙の両側に現像筋が現れるようになり、印刷品質が低下した。これは、次のような理由によると考えられる。すなわち、ローラ本体12の両端部から現像ローラに付与される圧力が、ローラ本体12の中間部から現像ローラに付与される圧力よりも強いことにより、ローラ本体12の両端部に対応する位置においてトナーが変質し易くなる。この変質したトナーは、現像ローラに当接している規制ブレードにひっかかったり、固着したりする。この結果、ローラ本体12の両端に対応する現像ローラの領域にトナー層が形成されなくなり、感光ドラムに対してトナーが現像されない部分ができる。これが、画像の黒地部分における現像筋として記録紙に現れる。また、ローラ本体12の両端が強く現像ローラに押し付けられるため、ローラ本体12の両端部の外周が削れ、その削れたカスが規制ブレードに残留することによっても現像筋ができると考えられる。
【0043】
なお、ローラ本体12をトナー供給ローラとして用いた場合において、特に比較例を示さないが前記所要押圧力Fが0.49N未満の値となると、つまり、ローラ本体12が柔らかすぎると、記録紙の非印刷部にトナーが付着するようになり、印刷品質が低下する。これは、ローラ本体12から現像ローラに付与される押圧力の強さが不十分となり、ローラ本体12による現像ローラからのトナーの掻き取りが良好に行われなくなるためである。そして、トナーの帯電が適切に行われなくなり、感光ドラムにおいて潜像がない部分に対してトナーが付着するためである。
【0044】
比較例2のローラ10を転写ローラとして用いた上記プリンタにより記録紙に印刷された画像には、印刷開始時からすでに、ローラ10の軸線方向の中央部に対応する記録紙の位置において、印字が薄くなったり、印字されなかったりする現象が発生した。これは、次のような理由によると考えられる。すなわち、ローラ本体12全体の硬度が高いことに加えてローラ本体12の両端の硬度がさらに高いため、記録紙及び感光ドラムからローラ本体12に付与される反力が過大となって芯11が湾曲する。そして、この芯11の湾曲により、ローラ本体12が記録紙及び感光ドラムに押し付けられる圧力は、その軸線方向における両側部よりも中央部の方が弱くなる。従って、ローラ本体12の軸線方向における中央部のニップ幅が小さくなったり、殆どなくなったりするため、記録紙の中央部において印刷濃度が薄くなったり、印字されなかったりする。
【0045】
なお、実施例1,2,6及び比較例1のローラ10については、それらをコニカミノルタホールディング(株)製のカラーレーザープリンタの商標名「Magicolor2400W」に装着してその印刷品質を評価した。また、実施例3,4,5,7,8,9及び比較例2のローラ10については、それらをブラザー工業(株)製のレーザープリンタの商品番号「HL-2040」に装着してその印刷品質を評価した。
【0046】
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 支持軸体14を、ステンレス鋼の板材を絞り加工して形成した筒部15と、ステンレス鋼の棒材から形成した軸部16とを溶接一体化して構成する。
【0047】
・ 芯本体13を、押し出し成形された中実棒状の鋼材により形成する。
・ この発明のローラを、電子写真方式の印刷機における帯電ローラ、現像ローラ、クリーニングローラまたはベルト駆動ローラに具体化する。この場合においても、各ローラにおいて、芯本体13の両端に支持軸体14の筒部15が外嵌固定された芯11を用いたことによる印刷品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態のローラを示す斜視図。
【図2】一部を縦断面としたローラの正面図。
【図3】芯の端部を示す縦断面図。
【図4】組立時における芯の端部を示す斜視図。
【図5】(a)は、ローラ本体に対する加圧状態を示す側面図、(b)は、(a)におけるa−a線断面図。
【図6】従来のローラの芯の端部を示す一部を縦断面とした正面図。
【符号の説明】
【0049】
10…ローラ、11…芯、12…ローラ本体、13…芯本体、14…支持軸体、15…筒部、16…軸部、20…円板、F…所要押圧力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯本体の両端に支持軸体を備えたローラの芯であって、
前記支持軸体を、筒部と、その筒部に一体化された軸部とより構成し、前記筒部を前記芯本体に外嵌固定したことを特徴とするローラの芯。
【請求項2】
前記芯本体及び支持軸体を、ステンレス鋼によって形成したことを特徴とする請求項1に記載のローラの芯。
【請求項3】
請求項1または2に記載のローラの芯に、高分子弾性材よりなるローラ本体を外嵌させるとともに、そのローラ本体の両端部と前記筒部とをラップさせたことを特徴とするローラ。
【請求項4】
トナー供給用のローラであって、前記ローラ本体を発泡高分子弾性材から構成し、その硬度を、ローラ本体の肉厚が3mm以上の場合において、その外周面に対して直径50mmの円板を押し付けて1mmだけ沈み込ませるために0.49〜3.96Nの範囲内の所要押圧力を必要とする値としたことを特徴とする請求項3に記載のローラ。
【請求項5】
トナー転写用のローラであって、前記ローラ本体を発泡高分子弾性材から構成し、その硬度を、ローラ本体の肉厚が3mm以上の場合において、その外周面に対して直径50mmの円板を押し付けて1mmだけ沈み込ませるために2.94〜19.6Nの範囲内の所要押圧力を必要とする値としたことを特徴とする請求項3に記載のローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−102181(P2008−102181A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282548(P2006−282548)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】