説明

ローラの製造方法とそれにより造られた現像ローラ及び画像形成装置

【課題】現像ローラの作製において、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成するローラの製造方法を用いながら、弾性層膜厚の位置によるバラツキの無いローラの製造方法と、それにより造られた現像ローラ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】水平に保ったローラの回転軸(軸体)を回転させながら、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方法において、液状組成物を塗布後、組成物層膜厚が回転を停止しても変動しない状態になるまで、回転を継続しながら加温することを特徴とするローラの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラの製造方法とそれにより造られた現像ローラ、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真用の現像ローラの弾性層の形成方法には、型成形法や押し出し成形法が用いられていた。
【0003】
型成形法を用いた場合には、型の表面形状がそのままローラ表面に転写された形となるため、型を何回も使用すると劣化しローラ表面の形状も劣化してしまう。また、ローラの外径、長さなどの寸法が変更された場合、新たに型を起こす必要があり、これでは生産性低下、生産コストアップに繋がってくる(特許文献1)。
【0004】
一方、押し出し成形の場合は、ローラ表面の平滑化のために研磨工程が必要となるが、ゴム研磨は精度良く削ることが困難であるため、精度的にバラツキが大きく、安定生産性に問題がある。
【0005】
これに対して、塗布による弾性層形成は、その塗布機構からローラ回転軸(芯金)の外形、長さの変更等にも簡単に対応できる可能性がある(特許文献2及び特許文献3)。また、液状組成物を塗布するため液のレベリング作用を利用して平滑な弾性層面を造ることが可能である。
【0006】
但し、塗布後の液状組成物は硬化するまで重力によりローラの下側に垂れ下がった状態になるため、上側になった部分と下側になった部分では膜厚差が生じてしまい、均一な膜厚を有する弾性層を形成できないという問題があることがわかった。
【特許文献1】特開2001−356587号公報
【特許文献2】特開平9−297482号公報
【特許文献3】特開2002−213432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の如き現像ローラは、主に非磁性一成分現像法に用いられる。非磁性一成分現像法とは、磁性キャリアの如きトナーを摩擦帯電させる物質を特に用いず、現像ローラ上でトナーを層厚規制部材や当該現像ローラと摩擦させて帯電させる。従って、現像器の構成は簡単であり、トナーの数倍のボリュームを有する磁性キャリア等がないため、小型化も容易であり、この意味からは理想的な現像方式といえる。しかし、磁性キャリアの如き特別な摩擦帯電させる物質が無いため帯電性能は不安定であり、局部的あるいは周期的な帯電不足、或いは帯電過多が起こりやすく、これに基づく現像性のバラツキによる濃度変動等が起るが今日まで致し方ないものと見なされてきた。
【0008】
しかしながら、最近、ユーザーの要求性能が高くなり周辺技術の進歩とも相まって、非磁性一成分現像法であっても、十分な画像性能が要求されるようになってきた。一方、非磁性一成分現像法が広く各方面に採用され、しかも最近の如く、ユーザーニーズに合わせて頻繁に小さなモデルチェンジを繰り返しながら多種生産を行うためには、これに即応出来る非磁性一成分現像装置が求められていた。
【0009】
発明者等は、非磁性一成分現像法の高画質安定化を検討してきたが、他の不安定要件を取り去っても、なお残る周期的な現像ムラがあることに気付き、その原因と対応策を検討する中で、多種少量生産にも対応できる方法を見いだし、本発明の課題とその解決策を見いだした。
【0010】
即ち、本発明の目的は、現像ローラの作製において、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成するローラの製造方法を用いながら、弾性層膜厚の位置によるバラツキの無いローラの製造方法と、それにより造られた現像ローラ、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者は、鋭意検討した結果、本発明の目的は下記構成を採ることにより達成することが出来ることがわかった。
【0012】
(1)
水平に保ったローラの回転軸(軸体)を回転させながら、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方法において、液状組成物を塗布後、組成物層膜厚が回転を停止しても変動しない状態になるまで、回転を継続しながら加温することを特徴とするローラの製造方法。
【0013】
(2)
前記加温の温度が120〜200℃であることを特徴とする(1)記載のローラの製造方法。
【0014】
(3)
前記回転を継続している時間が、液状組成物を塗布後1〜5分間であることを特徴とする(1)又は(2)記載のローラの製造方法。
【0015】
(4)
前記組成物層膜厚が、10〜1000μmであるように塗布されることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【0016】
(5)
前記組成物の粘度が、1.0〜300Pa・sであることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【0017】
(6)
前記液状組成物の主成分が、反応性シリコーンゴムであることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【0018】
(7)
前記液状組成物の塗布方式が、ノズル方式又はローラ方式であることを特徴とする(1)〜(6)の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【0019】
(8)
(1)〜(7)の何れか1項に記載のローラの製造方法により製造されたことを特徴とする現像ローラ。
【0020】
(9)
(8)に記載の現像ローラを用いた現像器を装備し、非接触にて現像することを特徴とする画像形成装置。
【0021】
現像ローラの弾性層の厚さの変動は、現像ローラと感光体間の最接近距離(現像ギャプ)のバラツキに直接関係し、現像性能に大きな影響を与え、画像濃度が変動して現像ムラを生じる。特に、現像ローラ面と感光体面が非接触の状態で現像する非接触現像法においては、この傾向が著しく、現像ローラ弾性層の少しの厚さの変動が、現像性能に大きな影響を与える。
【0022】
即ち、本発明は、弾性層塗布後の現像ローラを、組成物膜厚が回転を停止しても変動しない状態になるまで、回転を継続しながら加温するという方法により、上記問題を解決できる画期的なものである。後に詳しく説明するが液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方法としては、大きく分けてノズルにより塗布する方式とローラにより塗布する方式があり、本発明はその何れにも有効なものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成するローラの製造方法を用いながら、弾性層膜厚の位置によるバラツキを無くしたローラの製造方法と、それにより造られた現像ローラ、及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に用いられるローラの製造方法、使用される化合物、及び本発明の現像ローラを用いての現像方法、画像形成装置等につき更に説明する。
【0025】
〔ローラの構成〕
本発明のローラの構成は、例えば、図1に概要断面図を示すように、軸体(軸心)1と、この軸体1の外周面に沿って形成される弾性層(ベースゴム層)2と、この弾性層2の外周面に形成される接着層3及び表面層4とを備えたものである。そして、上記接着層3の外周面は、その外周面に形成される表面層4との接着性を上げるため、通常プラズマ放電処理等の活性化処理がなされている。
【0026】
軸体1としては、特に限定されるものではなく、例えば、直径5.0〜30mm程度の金属製の芯金、金属製の棒状体あるいは中空円筒体が用いられる。そして、その金属材料としては、アルミニウム、ステンレス等があげられる。
【0027】
上記軸体1の外周面に形成される弾性層2の主成分であるシリコーンゴムとしては、特に限定されるものではないが、ジメチルシリコーンポリマーに架橋サイトとしてビニル基を付加したものに、ジメチルシリコーンオイルを添加したものを用いることが好ましい。
【0028】
なお、本発明においてシリコーンゴムを主成分とするとは、上記ベースゴム層2がシリコーンゴムのみからなる場合も含む趣旨である。
【0029】
又、上記ベースゴム層2には、上記シリコーンゴムに加えて、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック)、TiO2、ZnO、SnO2、酸化鉄等の金属酸化物、グラファイト、チタン酸カリウム、4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、リチウム塩等の導電剤を配合することも可能である。
【0030】
上記弾性層2の外周面に形成される接着層3の形成材料は特に制限するものではなく、従来公知のどのような材料を用いても差し支えない。例えば、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(水素化ニトリルゴム:H−NBR)、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル、N−メトキシメチル化ナイロン等に、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック)、TiO2、ZnO、SnO2、酸化鉄等の金属酸化物、グラファイト、チタン酸カリウム、4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、リチウム塩等の導電剤を配合したものがあげられる。これらのなかでも、表面層4形成材料との良好な接着性等の点から、上記H−NBRを用いることが好ましい。
【0031】
また、上記接着層3形成材料には、上記材料以外に、加硫促進剤や加硫剤を必要に応じて適宜に配合することができる。上記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、オルト−トリル−ビグアニジン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛等があげられる。これらは単独でもくしは2種以上併せて用いられる。また、上記加硫剤としては、硫黄等があげられる。
【0032】
上記接着層3の外周面に形成される表面層4の形成材料としては、従来より一般に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ウレタンとアクリルウレタンとの混合物、アクリルシリコーン共重合体等があげられる。そして、上記ウレタンとアクリルウレタンとの混合物を用いる場合、両者の混合割合は、質量比で、ウレタン/アクリルウレタン=10/90〜90/10の範囲に設定することが好ましい。
【0033】
上記表面層4形成材料には、さらに導電剤を適宜に添加してもよい。この導電剤としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック)、TiO2、ZnO、SnO2、酸化鉄等の金属酸化物、グラファイト、チタン酸カリウム、四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、リチウム塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0034】
上記表面層4は、厚みが25μm以下になるよう設定することが必要であり、好ましくは10〜20μmである。すなわち、上記表面層4の厚みが25μmを超えると、トナー離型性および耐摩耗性は向上するが、表面層の硬度が高くなりすぎ、層形成ブレードとの接触部が変形しやすくなるとともに、変形部分の復元が遅くなるからである。
【0035】
なお、上記接着層3、表面層形成材料の塗布は、ディッピング塗布方式、ローラ塗布方式等各種塗布方法によって行うことが可能である。
【0036】
又、上記塗布に当たっては活性化処理として、シロキサン化合物の塗布或いはコロナ放電処理あるいはプラズマ放電処理によることが可能である。
【0037】
このようにして得られた電子写真機器用ローラは、弾性層2の厚みが、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは100〜600μmである。また、上記接着層3の厚みは1〜100μmの範囲が好ましく、特に好ましくは3〜30μmである。
【0038】
尚、本発明の電子写真機器用ローラは、上記3層構造に限定されるものではなく、例えば表面層として複数層を形成しても差し支えない。
【0039】
〔現像ローラの製造方法〕
液状組成物を軸体(軸心)に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方法としては、大きく分けてノズルにより塗布する方式とローラにより塗布する方式がある。本発明はその何れにも有効である。
【0040】
(弾性層の塗布方法)
ローラを用いて塗布液を供給する方法は、例えば図2(A)に示す如く、塗布液を転移させる役割を担うアプリケーターローラ18に現像ローラの軸体1を近接させて塗布液を軸体に転移(アプリケーション)させる。通常軸体1とアプリケーターローラ18はつれ回り方向に回転し塗布液14を軸体上に運び塗布膜13を形成させる。
【0041】
しかし、ローラ塗布方式にはその周辺の構成・機構により種々のタイプがある。中でも代表的なものは図2(A)に示すが、さらにはメタリングローラを有するものも高粘度の塗布液を塗布するのに用いられる。
【0042】
又、ノズルを用いて塗布液を供給する方法とは、図2(B)に示す如きものである。
【0043】
塗布膜(本発明においては弾性層)13形成に当たっては、軸体を回転させながら、その表面に塗布液を流出させるためのノズル12を近づけ、液状の塗布液を供給する。なお、ノズルの先端は軸体面に接触させていても良い。
【0044】
この方法では、螺旋状に巻回して塗布された塗布液が互いに接触して、均一な塗布層を形成するように、ディスペンサー16の移動速度及び軸体1の回転速度を調整し、軸体の表面に隙間なく液状ゴムを塗布する。この方法によれば、ゴム層が薄い場合でも、軸体1の表面に均一な厚みのゴム層を形成することができる。
【0045】
液状ゴムとしては、ディスペンサーのノズルにより塗布できるものが用いられるが、25℃での粘度が1.0〜300Pa・sのものが好ましい。液状ゴムの粘度が低すぎると、乾燥時に液だれが生じやすくなる。液状ゴムの粘度が高すぎると、螺旋状に巻回して塗布された液状ゴム同士が互いに接触してつながる部分が他の部分よりも薄くなり、均一な厚みの塗布層を形成することが難しくなる。
【0046】
粘度測定には、例えばデジタル回転式粘度計ビスコスタープラス(ビスコテック社製)にて、標準スピンドルR6を用い、スピンドル回転数を12rpmにて測定(25℃)する。
【0047】
尚、硬化後のゴム硬度は、JIS−A硬度で好ましくは5〜70度、より好ましくは10〜60度である。
【0048】
液状ゴムには、所望により、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機充填剤や天然樹脂などの有機充填剤を配合することができる。充填剤の配合割合は、液状ゴム100部に対して、通常100部以下、好ましくは80部以下、より好ましくは50部以下である。
【0049】
本発明の工程において、液状ゴムの塗布層を形成した後、加温処理して液状ゴムを硬化させる。加温温度や加温時間などの硬化条件は、液状ゴムの種類によって異なり、それぞれの液状ゴムにおいて使用されている通常の硬化条件を採用することができる。
【0050】
(弾性層塗布後の処理)
本発明においては、弾性層塗布後も乾燥・架橋等が進行し塗膜の流動性がなくなり軸体上に固定されるまでは軸体の回転を止めることなく、加温と回転を継続させる。
【0051】
塗布液の粘度や架橋速度あるいは溶剤の蒸発速度等により回転の速度やその時間は変動する。従って、これらの要素を勘案して弾性層塗布後回転を継続する時間を設定することになるが、最終的にはその条件において作製した現像ローラの膜厚変動の有無を調べてみるのが確実なやり方である。
【0052】
目安としては、塗布液の粘度が1.0〜300Pa・sで膜厚を10〜1000μmに塗布し、前記加温温度が120〜200℃であれば、長くて塗布後5分間程度である。従って、回転を続ける時間は塗布後1〜5分間が好ましい。尚、あまりに短い時間で回転を止められる条件においては、弾性層の層厚が不安定になる傾向があるので、1分間程度回転を継続する方が好ましい結果が得られる。
【0053】
(膜厚の測定方法)
本発明では各層の厚みは、現像ローラから表面層、中間層、およびベースゴム層を含む断面試料を採取し、これらの顕微鏡写真を撮影して測定した。
【0054】
弾性層の厚みの変動を測定するために、金属軸体の表面から弾性層をカットして採取し、周方向に等間隔の8箇所を顕微鏡にて観察し膜厚を測定した。
【0055】
具体的には、測定は軸体の幅方向中央部と、そこから軸体の両端部に向かって5.0cm寄ったところ及び10cm寄った所の計5箇所につき測定し、平均値として求めた。
【0056】
〔現像器、画像形成方法および画像形成装置〕
(現像器)
本発明のトナーを使用して非磁性一成分現像方法の一例を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0057】
図3に、非磁性一成分トナー現像用現像器を説明する概要断面図を示す。
【0058】
10は潜像保持体(感光体ドラム)であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段又は静電記録手段により成される。32は現像ローラであり、アルミニウムあるいはステンレス等からなる軸体にシリコーンゴム等の弾性層が塗布されている。
【0059】
トナーTはホッパー6に貯蔵されており、供給ロールによって現像ローラ上へ供給される。供給ロールはポリウレタンフォーム等の発泡材より成っており、現像ローラ32に対して、順または逆方向に相対速度をもって回転し、トナー供給とともに、現像ローラ上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りも行っている。現像ローラ32上に供給されたトナーはトナー薄層化と帯電を行う部材の一種であるトナー規制ブレード5によって均一かつ薄層に塗布される。
【0060】
トナー規制ブレードと現像ローラとの当接圧力は、現像ローラ母線方向の線圧として、3〜250N/m、好ましくは10〜30N/mが有効である。当接圧力が3N/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となることがある。また当接圧力が250N/mを超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーが劣化するため、トナーの凝集が発生するなど好ましくない。また現像ローラを駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。即ち、当接圧力を3〜250N/mに調整することで、本発明のトナーの凝集を効果的にほぐすことが可能になり、またトナーの帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。
【0061】
トナーを薄層化と帯電を行う部材の材質としては、摩擦帯電によりトナーを所望の極性に帯電させることが可能な材質で形成される。具体的には、ステンレス、アルミニウム、リン青銅等の金属弾性材料や、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム弾性材料等が挙げられる。又、前述の材質の層上にポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂等を積層した複合層を形成するものでもよい。さらに、導電性ゴムや導電性樹脂、あるいは金属酸化物やカーボンブラック、無機ウィスカー、無機繊維等のフィラーや荷電制御剤を前述した弾性材料に含有させることにより、帯電付与性を向上させることも可能である。尚、トナーを薄層化と帯電を行う部材としては、弾性ブレードのほかに、弾性ローラを用いることもできる。
【0062】
本発明においては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどが好適である。さらに、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、メラミン、メラミン架橋ナイロン、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂等の有機樹脂層を設けても良い。また導電性ゴム、導電性樹脂等を使用、又は、金属酸化物、カーボンブラック、無機ウィスカー、無機繊維等のフィラーや荷電制御剤をブレードのゴム中、樹脂中に分散するなども適度の誘電性、帯電付与性を与え、トナーを適度に帯電させることができて好ましい。
【0063】
なお、ブレードにより現像ローラ上にトナーを薄層コートする非磁性一成分現像においては、十分な画像濃度を得るために、現像ローラ上のトナー層の厚さを現像ローラと感光体ドラムとの対向空隙長よりも小さくし、いわゆる非接触現像方式とし、この空隙に交番電場を印加することが好ましい。感光体面と現像ローラ面には40〜300μm、より好ましくは60〜170μmの間隙を設け、一方現像ローラ上に設けるトナー層は、トナー粒子1〜3層程度に重なっている、膜厚としては3〜30μmのトナー層であることが好ましい。なお、現像ローラ上のトナー層の膜厚は顕微鏡観察により求めることが出来る。
【0064】
即ち、実際の画像形成装置に装填した現像カートリッジを現像プロセスの断面方向より平行光を照射し、高速・高解像力カメラ(例えば、Photoron社製:FASTCAM MAXにて撮影速度100,000(FPS))により撮影し、現像部の挙動を可視化したものから計測できる。
【0065】
現像ローラ上のトナー層の膜厚(a)は、感光体に近接する領域の現像ローラ上のトナー層と感光体間の間隙(b)と、現像ローラと感光体に挟まれた現像ニップ中央の間隔(c)を測定し、その差(a=c−b)より求められる。
【0066】
又、図3に示すバイアス電源7により、現像ローラ32と感光体ドラム10との間に交番電場または交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像ローラ上から感光体ドラム上へのトナー移動を容易にし、良質の画像を得ることができる。
【0067】
(画像形成方法および画像形成装置)
上記の各トナーを用いてフルカラーの画像形成を行うフルカラー画像形成装置の一例を図4に基づいて具体的に説明する。
【0068】
図4に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111や、この感光体ドラム10上に残留したトナーを掻き落すクリーナ112が設けられている。
【0069】
また、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
【0070】
また、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行うフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性1成分トナーを収容させた4つの色別の現像器31Y、31M、31C、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像器31Y、31M、31C、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようになっている。
【0071】
また、このフルカラー現像装置30における各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおいては、上記図4に示すように、回転してトナーを搬送する現像剤担持体(現像ローラ)32の外周面にトナー規制部材が圧接されており、このトナー規制部材により、現像ローラ32によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるようになっている。なお、このフルカラー現像装置30においては、現像ローラによって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行うために、トナー規制部材を2つ設けるようにしてもよい。
【0072】
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させ、対応する色彩のトナーが収容された現像器31Y、31M、31C、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおける現像ローラ32を感光体ドラム10に接触させて、上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行うようになっている。
【0073】
また、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、またこの中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
【0074】
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
【0075】
また、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された記録材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を記録材Sへ押圧転写させるようになっている。
【0076】
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出されるようになっている。
【0077】
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行う動作について具体的に説明する。
【0078】
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
【0079】
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にイエロートナーを収容させた現像器31Yから前記のようにトナー規制部材によって荷電されたイエロートナーを供給してイエロー画像を現像し、このようにイエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
【0080】
このようにしてイエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像器31Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のイエロー画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像器31Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行って、中間転写ベルト40上にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
【0081】
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により記録材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に2次転写させる。
【0082】
そして、このようにフルカラーのトナー像が記録材S上に2次転写されると、この記録材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を記録材S上に定着させ、その後、この記録材Sを垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出させるようになっている。
【0083】
〔非磁性一成分現像剤(トナー)〕
本発明に係わるトナーはその製造方法、組成等において、特に限定されるものではない。ここにはその代表例としての一例を示す。
【0084】
本発明に使用可能な現像剤は、非磁性一成分系の現像剤が好ましく使用される。非磁性一成分系現像剤を構成するトナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させて樹脂粒子を形成する工程を経て得られる重合トナーに代表されるケミカルトナーが好ましく使用される。
【0085】
本発明に使用される現像剤(トナー)の粒径は、体積基準のメディアン径(体積D50%径)で3〜9μmであることが好ましい。また、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤(トナー)の比率は25%以下であり、12μm以上の現像剤(トナー)の比率は1%以下であることが好ましい。
【0086】
上述した体積基準のメディアン径、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤(トナー)の比率、及び、12μm以上の現像剤(トナー)の比率は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
【0087】
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作成する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター製)の入ったビーカーに、測定濃度5%〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを30000個に設定して測定する。尚、コールターマルチサイザーのアパチャー径は100μmのものを使用する。
【0088】
本発明では、粒径及び粒径分布を上記範囲内の値を有する現像剤(トナー)を公知の充填方法で現像装置やプロセスカートリッジに充填し、これらのユニットを用いて画像形成を行うときに画像ムラのない良好なトナー画像が安定して得られる。
【0089】
〔現像剤(トナー)の作製方法〕
次に、本発明に使用可能な現像剤(トナー)の作製方法について説明する。
【0090】
ここでは、本発明に好ましいトナーとして、樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て形成される重合トナーを一例に挙げる。
【0091】
樹脂粒子は、粒子径が質量平均径で20〜500nmのものが使用可能であり、このような大きさの樹脂粒子は得られる乳化重合で調製することが可能である。
【0092】
樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程は、少なくとも樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が分散された水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を有する塩析剤を臨界凝集濃度以上添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで凝集(以下、塩析ともいう)を進行させると同時に融着を行う工程である。この凝集工程を以下、塩析/融着工程という。
【0093】
本発明に使用されるトナーは、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の凝集一次粒子を形成した後に融着させる方法とは異なり、塩析による粒子の形成と融着とが同時に進行し、トナー粒子を調製出来るため、トナー粒子の均一性が損なわれることが無く、帯電性の均一なトナーを安定して得ることが出来るものと推定する。
【0094】
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のアルカリ金属原子としてはリチウム、カリウム、ナトリウム等の金属原子が挙げられ、アルカリ土類金属原子としてはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の金属原子が挙げられる。中でも好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の金属原子である。
【0095】
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0096】
更に、水に無限溶解する有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられるが、好ましくは炭素数3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが、さらに好ましくは2−プロパノールが挙げられる。
【0097】
塩析/融着を行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間を出来るだけ短くすることが好ましい。この理由は明確ではないが、塩析した後長時間放置すると粒子の凝集状態が変動したり、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題を発生する。
【0098】
また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であると樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことが困難となり、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては、樹脂粒子のガラス転移温度以下であれば良いが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
【0099】
また、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で加え、その後出来るだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱することも可能である。
【0100】
この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温は速やかに行う必要があり、昇温速度としては0.25℃/分以上5℃/分以下が好ましい。昇温速度の上限としては特に明確ではないが、上記範囲の昇温速度とすることで、塩析の進行と粒径の制御が適度に行える。
【0101】
〈重合性単量体〉
樹脂粒子は、乳化重合により調製された樹脂粒子を用いることができる。この樹脂粒子を調製するための重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体(1)を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤(2)を使用することが出来る。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体(3)を少なくとも1種類含有することが必要である。さらに、塩基性基(4)を有するラジカル重合性単量体を含有させてもよい。
【0102】
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることが出来る。
【0103】
例えば、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体等を用いることが出来る。
【0104】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体及びその誘導体が挙げられる。
【0105】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリール、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0106】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0107】
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0108】
モノオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0109】
ジオレフィン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0110】
(2)架橋剤
樹脂粒子の特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を架橋剤として使用しても良い。
【0111】
ラジカル重合性架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリール等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0112】
ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体100部に対して、0.1〜10部の範囲で使用するのが好ましい。
【0113】
(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基含有単量体を用いることが出来る。
【0114】
カルボキシル酸基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0115】
スルホン酸含有単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリールスルホコハク酸、アリールスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0116】
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩、あるいはカルシウム等のアルカリ土類金属塩の構造であっても良い。
【0117】
(4)塩基性基を有するラジカル重合性単量体
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることが出来る。
【0118】
アミン系化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリールメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリールエチルアンモニウムクロリド等を挙げることが出来る。
【0119】
〈ラジカル重合開始剤〉
乳化重合に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩の過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等、アゾ系化合物の4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0120】
更に上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組合せレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることで、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待出来る。
【0121】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが、50〜90℃の範囲が好ましい。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組合せを用いることで室温またはそれ以上の温度で重合することも可能である。
【0122】
〈界面活性剤〉
前述のラジカル重合性単量体の乳化重合には、界面活性剤を使用することが好ましい。この際に使用することの出来る界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のアニオン性またはノニオン性界面活性剤を好ましいものとして挙げることが出来る。
【0123】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム等、硫酸エステル塩のドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等、脂肪酸塩のオレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0124】
また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの組合せ、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることが出来る。
【0125】
これらは主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または他の使用目的で使用してもかまわない。
【0126】
〈着色剤〉
着色剤としては無機顔料、有機顔料を用いることが好ましい。
【0127】
無機顔料としては、従来公知の黒色顔料、磁性体顔料を挙げることが出来る。
【0128】
黒色顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックを用いることが出来る。
【0129】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用することが可能である。また、無機顔料の添加量はトナー100部(質量部、以後も特に断りのない時は「部」とは「質量部」を表す)に対して2〜20部が好ましく、さらに好ましくは3〜15部である。
【0130】
有機顔料としては、従来公知の有機顔料を用いることが出来る。どの様な有機顔料でも使用することが出来るが、具体的な有機顔料を以下に挙げる。
【0131】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0132】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0133】
シアンまたはグリーン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0134】
これらの有機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量はトナー100部に対して2〜20部が好ましく、さらに好ましくは3〜15部である。
【0135】
〈ワックス〉
トナーに使用可能なワックスは、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0136】
〈添加剤〉
本発明に使用可能なトナーは、着色剤、ワックス以外に種々の機能を付与する公知の荷電制御剤等の添加剤を加えることも可能である。
【0137】
〈濾過、洗浄工程〉
塩析/融着工程で樹脂粒子を凝集させて形成したトナー粒子を水系媒体中から濾過し、洗浄水で洗浄を行い、トナー粒子に付着している界面活性剤や塩析剤等の不純物を除去する。この工程で使用する濾過、洗浄機は特に限定されないが、例えば遠心分離機、ヌッチェ、フィルタープレス等が使われる。
【0138】
〈乾燥工程〉
濾過、洗浄後のトナー粒子は乾燥される。この工程に使用する乾燥機は特に限定されないが、例えば、スプレードライヤー、減圧乾燥機、真空乾燥機、静置式棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層式乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等が使われる。乾燥後のトナー中の水分量は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0139】
〈解砕工程〉
本工程は特に必要ない場合もあるが、トナー粒子が乾燥後に弱い凝集状態になる場合もあるので、その際には例えば、ジエットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の解砕装置を使用しトナー粒子の凝集を解砕してもよい。
【0140】
〈トナー化工程〉
トナー化工程は上記で得られたトナー粒子をそのまま使用しても良いが、例えば流動性、帯電性、クリーニング性の改良を行うことを目的として、後述する外添剤を添加するのが好ましい。
【0141】
外添剤を添加する設備としては、特に限定されないが、例えば、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機等の公知の混合機を使用することが出来る。
【0142】
また、本発明のトナーは非磁性一成分現像剤として使用するのがよいが、場合によっては磁性一成分現像剤として使用しても良い。
【0143】
〈外添剤〉
外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することが出来る。
【0144】
無機微粒子としては、従来公知の物を使用することが出来る。具体的にはシリカ、チタン、アルミナ等の微粒子が好ましく、疎水性のシリカ微粒子がさらに好ましい。
【0145】
シリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−809、R−812、R−972、R−974、R−976、ヘキスト社製の市販品HVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−530、TS−610、TS−720、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0146】
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−604、T−805、テイカ社製の市販品MT−100B、MT−100S、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0147】
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等を挙げることが出来る。
【0148】
有機微粒子としては、数平均1次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することが好ましい。具体的な例としてはスチレンやメチルメタアクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体等が挙げられる。
【0149】
滑剤としては、例えば、高級脂肪酸の金属塩を使用することが好ましい。具体的な例としてはステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等が挙げられる。
【0150】
これらの外添剤の添加量は、トナー100部に対して0.1〜5部程度が好ましい。
【実施例】
【0151】
次に本発明の代表的実地態様を示し、本発明の構成と効果につきさらに説明する。しかし、無論本発明はこれらの態様に限定されるわけではない。
【0152】
実施例1
〔弾性層被覆ローラの作製:その1〕
弾性層被覆ローラ用軸体としてステンレス製芯金(15mm径×350mm長さ)を用い、この芯金を回転させながら、図2(B)の如き構成を有するノズル塗布装置を用いディスペンサーのノズル(塗布幅2.5mm)を芯金の表面から1mm離してセットした。
【0153】
液状ゴム塗布液(1)として、付加型液状シリコーンゴム(粘度=20Pa・sと粘度=20Pa・sのものを各々50質量部を混合分散したもの)を用いた。
【0154】
芯金を回転速度=45rpmで回転させながら、ディスペンサーのノズルから液状ゴムを定量供給し、かつ、ディスペンサーのノズルを回転軸方向に55mm/minの移動速度で移動させた。
【0155】
これによって、芯金表面に液状シリコーンゴムが螺旋状に巻回して塗布され、均一な厚みの塗布層が形成された。次いで、芯金の回転速度を45rpmに保ちつつ塗布層を120℃で2.5分間加温し、回転を停止しても組成物層膜厚が変動しない状態とした。更にに、続いて200℃にて4時間加温して液状シリコーンゴムを完全に硬化させた。これによって、厚み0.6mm(600μm)のゴム層が形成された弾性層被覆ローラが得られた。
【0156】
これを実施例1の弾性層被覆ローラとする。
【0157】
実施例1の弾性層被覆ローラの製造時のローラ回転の有無及びその時間、回転時間、乾燥温度条件を変えて、表1に示す如く本発明内の実施例2〜7、及び本発明外の比較例1の弾性層被覆ローラを作製した。
【0158】
〔弾性層被覆ローラの作製:その2〕
液状ゴム塗布液(2)として、付加型液状シリコーンゴム(粘度=20Pa・sと粘度=20Pa・sのものを各々50質量部を混合分散したもの)を用いた。
【0159】
ローラ用軸体としてアルミニウム製芯金(22mm径×350mm長さ)を用い、この芯金を回転速度45rpmで回転させながら、図2(A)の構成を有するローラ塗布装置にて60mm/secの速度で弾性層を塗布した。
【0160】
弾性層を塗布したローラの回転数を45rpmに保ちつつ、120℃で0.5分間加温し、回転を停止しても組成物層膜厚が変動しない状態とした。更に弾性層を塗布したローラを200℃にて4時間加温して液状シリコーンゴムを完全に硬化させた。これによって、厚み0.5mm(500μm)のゴム層が形成された弾性層被覆ローラ(実施例8)が得られた。
【0161】
実施例8の製造時のローラ回転の有無及びその時間、回転時間、乾燥温度条件を変えて、表1に示す如く本発明内の実施例9及び10、及び本発明外の比較例2の弾性層被覆ローラを作製した。
【0162】
作製した弾性層被覆ローラの膜厚特性を含めて下記表1に示す。
【0163】
〔膜厚偏差の測定〕
測定方法は下記の如く行った。
【0164】
イ.弾性層の周方向の厚みの変動を測定するために、金属軸体の表面から周方向に等間隔の8箇所につき弾性層をカットして試料を採取した。
【0165】
ロ.顕微鏡にて断面を観察し膜厚を測定した。
【0166】
実際の測定に当たっては、各試料について軸体の幅方向中央部と、そこから軸体の両端部に向かって5.0cm寄ったところ及び10cm寄った所の計5箇所につきし測定し、その平均値を求めて各試料の膜厚とした。
【0167】
ハ.8箇所から得られた各試料につき、上記の如くして求めた弾性層の膜厚を平均し、その平均値からの膜厚の偏差を標準偏差として求め表1に記載した。
【0168】
【表1】

【0169】
〔現像ローラの作製〕
弾性層被覆ローラの外周面に活性化処理としてシランカップリング剤(No.4:信越化学社製)とカーボンブラックを1.0μmの厚さに塗布し、その上にウレタン樹脂(ニッポラン5199:日本ポリウレタン社製)100質量部とケッチェンブラック7質量部とMEK400質量部とを混合分散した塗布液を調製し、膜厚15μmに塗布した。
【0170】
尚、弾性層以外は、通常のローラ塗布方式を用いた。
【0171】
〔非磁性一成分現像剤(一成分トナー)の作製〕
(1)着色剤粒子分散液の作製
内容積20Lの樹脂容器に、アデカホープLS−90(旭電化社製n−ドデシル硫酸ナトリウム)を0.90kgと純水10.0Lを入れ撹拌溶解する。この溶液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、添加後1時間よく撹拌する。ついで、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、18時間連続分散する。
【0172】
分散後、大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、粒径は質量平均径で118nmであった。又、静置乾燥による質量法で測定した上記分散液の固形分濃度は16.5質量%であった。この分散液を「着色剤分散液Bk」とした。
【0173】
上記着色剤粒子分散液の作製工程において、リーガル330Rに代えて、C.I.Pigment Blue15:3を用いた他は同様の手順で「着色剤分散液C」を、C.I.Pigment Red122を用いて「着色剤分散液M」を、C.I.Pigment Yellow74を用いて「着色剤分散液Y」を作製した。
【0174】
(2)ワックス粒子分散液の作製
酸変性低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3,000)1.05kgを、界面活性剤(ノニルフェノキシエタノール)の水溶液2.45kgに添加し、水酸化カリウムを用いてpHを9に調整する。
【0175】
この系を、加圧下において前記酸変性低分子量ポリプロピレンの軟化点以上の温度に昇温して、当該酸変性低分子量ポリプロピレンの乳化分散処理を行うことにより、固形分30質量%の離型剤粒子の分散液を作製する。この分散液を「離型剤粒子分散液1」とした。
【0176】
得られた「離型剤粒子分散液1」中における離型剤粒子の平均粒径を、大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて測定したところ、数平均1次粒径は122nmであった。
【0177】
(3)樹脂粒子分散液1の作製
10Lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)56gを入れ、イオン交換水4.0Lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、「アニオン界面活性剤溶液A」とした。
【0178】
10Lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)15gを入れ、イオン交換水4.0Lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、「ノニオン界面活性剤溶液B」とした。
【0179】
20Lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)226.5gを入れ、イオン交換水12.0Lを加え、室温下撹拌溶解する。これを、「開始剤溶液C」とした。
【0180】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた100Lのグラスライニング反応釜に、「アニオン界面活性剤溶液A」と「ノニオン界面活性剤溶液B」とを入れ、撹拌を開始する。ついで、イオン交換水44.0Lを加える。
【0181】
ついで、加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」を添加する。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.70kg、アクリル酸n−ブチル3.20kg、メタクリル酸96g及びt−ドデシルメルカプタン554.1gを投入する。
【0182】
さらに、液温度を78℃±1℃に上げて、7時間加熱撹拌を行う。
【0183】
その後、液温度を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。この液をポールフィルターで濾過し、「樹脂粒子分散液1」を作製した。
【0184】
「樹脂粒子分散液1」を一部分取し、分散液中の樹脂粒子の酸価、GPCによる分子量分布のピーク、質量平均粒径を測定したところ、酸価=3.9、GPCピーク位置=12,800、質量平均粒径=119nmであった。
【0185】
(4)樹脂粒子分散液2の作製
新たな10Lステンレスポットに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(関東化学社製)56gを入れ、イオン交換純水4.0Lを加え、室温下溶解する。これを、「アニオン界面活性剤溶液D」とした。
【0186】
10Lステンレスポットに、ニューコール565C(日本乳化剤社製)15gを入れ、イオン交換純水4.0Lを加え、室温下溶解する。これを、「ノニオン界面活性剤溶液E」とした。
【0187】
20Lホーローポットに、過硫酸カリウム(関東化学社製)207.0gを入れ、イオン交換水12.0Lを加え、室温下溶解する。これを、「開始剤溶液F」とした。
【0188】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100Lのグラスライニング反応釜(翼はファウドラー翼)に、「アニオン界面活性剤溶液D」と「ノニオン界面活性剤溶液E」とを入れ、溶液の撹拌を開始する。ついで、イオン交換水44.0Lを投入する。
【0189】
次いで、溶液の加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加する。この後、スチレン13.50kg、アクリル酸n−ブチル2.40kg、メタクリル酸100g及びt−ドデシルメルカプタン9.26gをあらかじめ混合した溶液を投入する。
【0190】
その後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱を行う。さらに、液温度を78℃±2℃に上げて、13時間加熱を行う。
【0191】
その後、液温度を40℃以下に冷却した後、この溶液をポールフィルターで濾過し、「樹脂粒子分散液2」を作製する。
【0192】
「樹脂粒子分散液2」を一部分取し、分散液中の樹脂粒子の酸価、GPCによる分子量分布のピーク、質量平均粒径を測定したところ、酸価=4.1、GPCピーク位置=239,700、質量平均粒径=115nmであった。
【0193】
(5)会合工程
35Lステンレスポットに塩析剤としての塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36kgとイオン交換水20.0Lを入れ、溶解する。これを、「塩化ナトリウム溶液G」とした。
【0194】
次に、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100Lのステンレス反応釜(翼はアンカー翼)に、上記で作製した「樹脂粒子分散液1」を20.0kg、「樹脂粒子分散液2」を5.0kg、「着色剤分散液Bk」を0.4kg、「離型剤粒子分散液1」を6.50kg及びイオン交換水20.0Lを入れ撹拌する。ついで、40℃に加温し、「塩化ナトリウム溶液G」を25kg、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kgをこの順に添加する。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分かけて昇温する。液温度85℃±2℃に制御して、6時間加熱し、凝集/融着させて「着色粒子1Bk」を作製した。
【0195】
その後、液温を40℃以下に冷却し撹拌を停止する。ついで、目開き45μmの篩いで濾過し、着色粒子を含有する「会合液」を得た。
【0196】
(6)着色粒子の洗浄、乾燥
次いで、ヌッチェを用いて「会合液」より「ウェットケーキ状の着色粒子1Bk」を取り出し、その後、イオン交換水により洗浄した。
【0197】
洗浄を完了させた「ウェットケーキ状の着色粒子」をフラッシュドライヤにより乾燥させた。フラッシュドライヤの乾燥温度を35℃に設定して100分間の乾燥処理を行い、着色粒子1Bkを得た。
【0198】
(7)トナー1(Bk)の作製
得られた着色粒子1Bk 100部に対し、数平均1次粒子径が12nmの疎水性シリカを0.8部添加して体積基準メディアン径が5.0μmのトナー1を作製した。
【0199】
(8)トナー2(Y)、3(M)、4(C)の作製
着色粒子1Bkの会合工程で、「着色剤分散液Bk」の代わりに「着色剤分散液Y」、「着色剤分散液M」、「着色剤分散液C」を用いた他は、同様の手順により、着色粒子1Y、1M、1Cを作製した。そして、得られた各着色粒子に数平均1次粒子径が12nmの疎水性シリカを0.8部添加して、トナー1(Y)、1(M)、1(C)を作製した。これらのトナーの大きさは、いずれも体積基準メディアン径で5.0μmであった。
【0200】
〔性能評価方法〕
図3に示した構造を有する現像器を図4に示した画像形成装置に設置し、上記トナー1〜4を装填して、感光体面と現像ローラ上のトナー層との間隔(ギャップ)を100μmにし、交番電圧を重畳して印加した非接触現像とし、前記各現像ローラを用いて実写テストを行った。
【0201】
1)周期的な現像ムラ
判定は、実写開始時と2000枚実写後につき、各現像ローラを用いて低濃度部から高濃度部までの画像を形成し、現像濃度が0.1、0.2、0.5、1.0である部分の紙面を肉眼で観察し、そのむらの程度が良好であるか否かで判定を行った。
【0202】
◎:各濃度で周期的なムラは全くない
○:現像濃度0.1、1.0の部分にはムラがないが、0.2及び/又は0.5の画像にわずかに周期的ムラがある。実用上問題なし
△:ひどいものではないが各現像濃度のいずれの部分にも周期的ムラがある。用途により実用上問題あり
×:各濃度で明らかに周期的ムラがある
2)トナーフィルミング
2000枚実写後の現像ローラと感光体を機内から取り出し、その表面状態を観察した。
【0203】
◎:何れにもなし
○:よく観察すると多少あり、実用可能範囲
△:ひどいものではないがある、実用上問題あり
×:明らかに実用上問題がでると思われる程度にあり
〔評価結果〕
下記表2に示す。
【0204】
【表2】

【0205】
表2の結果から明らかな如く、本発明内の現像ローラを用いた場合には、周期的な現像ムラが生ぜず良好な特性を示したが、本発明外のものは周期的な現像ムラを生じることがわかった。又、この周期的な現像ムラは表1に示す弾性層の膜厚偏差に対応して大きくなることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本発明のローラの構成を示す概要断面図。
【図2】液状組成物を回転軸(軸心)に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方式の概要説明図。
【図3】非磁性一成分トナー現像用現像器を説明する概要断面図。
【図4】フルカラー画像形成装置の一例の構成断面図。
【符号の説明】
【0207】
1 軸体(回転軸)
2 弾性層(ベースゴム層)
3 接着層
4 表面層
10 感光体ドラム
12 ノズル
13 塗布層(本発明の場合は弾性層)
14 塗布液
16 ディスペンサー
18 アプリケーターローラ
20 レーザ走査光学系
30 フルカラー現像装置
31、31Y、31M、31C、31Bk 現像器
32 現像剤担持体(現像ローラ)
33 支軸
40 中間転写ベルト
50 クリーナ
60 給紙手段
70 定着装置
80 垂直搬送路
S 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に保ったローラの回転軸(軸体)を回転させながら、液状組成物を回転軸に塗布して弾性層を形成させるローラの製造方法において、液状組成物を塗布後、組成物層膜厚が回転を停止しても変動しない状態になるまで、回転を継続しながら加温することを特徴とするローラの製造方法。
【請求項2】
前記加温の温度が120〜200℃であることを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項3】
前記回転を継続している時間が、液状組成物を塗布後1〜5分間であることを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項4】
前記組成物層膜厚が、10〜1000μmであるように塗布されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【請求項5】
前記液状組成物の粘度が、1.0〜300Pa・sであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【請求項6】
前記液状組成物の主成分が、反応性シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【請求項7】
前記液状組成物の塗布方式が、ノズル方式又はローラ方式であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のローラの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のローラの製造方法により製造されたことを特徴とする現像ローラ。
【請求項9】
請求項8に記載の現像ローラを用いた現像器を装備し、非接触にて現像することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193080(P2007−193080A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10865(P2006−10865)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】