説明

ローラギャップ測定方法

【課題】ローラ間のギャップを高精度、かつ、効率よく測定し、測定時にローラ表面に損傷を与えることのないローラギャップ測定方法を提供する。
【解決手段】球形形状の測定子と測定子よりも小さな基準球を有するダイヤルゲージを用いて、2本のローラにより形成された隙間の測定を行うローラギャップ測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行に配置された2本のローラの隙間(ローラギャップ)の測定をダイヤルゲージを用いて行うローラギャップ測定方法に関し、特に、球形形状の測定子を備えたダイヤルゲージで測定を行うローラギャップ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、たとえば、感光体と現像ローラ等の様に、2本のローラを非接触状態で平行に配置させている部位が存在している。生産工場では、画像形成装置が出荷後所定画質のプリントを長期にわたり安定して作製できる様にするため、前述の様なローラの隙間(ローラギャップ)をそれぞれ予め決められた範囲内に設定し、確認してから出荷している。
【0003】
ところで、部材間に形成される微小な隙間を測定する代表的な手段として、すき間ゲージが挙げられる。すき間ゲージは、リーフと呼ばれる日本工業規格(JIS)で規格化された薄い金属板を隙間に挿入して寸法を測定するものである。すき間ゲージは、材質上、互いに平行な面同士が向き合って形成される隙間の測定には適しているが、ローラギャップの様な曲面で形成される隙間を測定する場合は必ずしも最適なものではなかった。また、すき間ゲージはゲージ挿入方法に個人差を生じ易く、精度に対する信頼性を得るにはある程度の熟練度が要求されていた。
【0004】
また、潜像形成等画質に直接影響を与える感光体や均一な帯電付与が求められる現像ローラに金属板を接触させて測定すると、これらローラ表面にキズ等の損傷を与えることが懸念された。これらのローラ表面に、万一、キズをつけてしまっては所定の画像形成が行えず製品の品質に影響を与えるので、ローラギャップ測定で製品の歩留まりを低下させる様なことは避けなくてはならない。したがって、すき間ゲージで測定を行うときは画像形成に用いられる領域での測定を行わず、画像形成に使用されない領域(ローラ端部)で測定を行うことになっている。
【0005】
この様な事情から、本発明者は非接触でローラギャップ測定を行うことを検討し、たとえば、レーザ光、渦電流、静電容量を利用した変位計や電流波形観察といった公知の方法を利用して精度の高いローラギャップ測定方法を確立させようと検討した。たとえば、4つのセンサを用いて2本のロール間ギャップを測定して塗布開始時における膜厚精度を制御する公知の技術もあり(たとえば、特許文献1参照)、この様な技術を参考にして非接触方式によるローラギャップ測定方法を検討した。
【0006】
ところが、特許文献1の技術は、ローラギャップの正確な測定を実現するために4つのセンサを同一直交座標系に常に正確に配置させなければならず、これを維持するために測定装置を容易に移動することができないことが分かった。また、測定装置のメンテナンスにも配慮が必要で、測定装置の維持管理にかかるコストも含めて考えると、日常業務にこの様な測定装置を用いることはあまりメリットが得られないとみられた。すなわち、製品の生産状況に応じて測定装置を臨機応変に移動することがあるので、移動が困難な非接触方式の測定装置では現実には使いにくいと考えられたのである。
【0007】
この様な状況下、感光体と現像ローラのギャップ測定を行う電子写真方式の画像形成装置用のイメージングカートリッジ(以下、プロセスカートリッジともいう)の生産に適した簡便、かつ、高精度なローラギャップの測定方法が求められていた。
【特許文献1】特開平8−318187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、2本のローラを非接触状態で平行に配置した部位を有する装置を製造する際、ローラギャップを数値的に簡便に測定でき、しかも、検査者間での測定ばらつきが生ずることなく高精度に測定できるローラギャップ測定方法を提供することを目的とする。また、測定時に被検部材表面に損傷を与えることのないローラギャップ測定方法を提供することを目的とする。たとえば、生産状況に応じて臨機応変な作業が行われる電子写真方式の画像形成装置用のプロセスカートリッジ生産工場で、感光体と現像ローラ間のローラギャップを熟練度を必要とせずに精度よく実測できるローラギャップ測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下に記載の構成により解消され。すなわち、
請求項1に記載の発明は、『2本のローラで形成される隙間をダイヤルゲージで測定するローラギャップ測定方法であって、
前記ダイヤルゲージは、
球形の測定子と前記測定子の近傍に前記測定子よりも小さな径の基準球を有し、
前記基準球の径は測定を行う隙間よりも大きなものであって、
前記測定子と前記基準球を前記2本のローラにそれぞれ接触させて前記隙間の測定を行うものであることを特徴とするローラギャップ測定方法。』というものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2本のローラを非接触状態で平行に配置させた部位を有する装置を製造する際、ローラギャップの測定を行ったとき、ローラギャップが具体的な数値で高精度に得られる様になり、ローラギャップの規格を数値管理できる様になった。
【0011】
また、ローラ表面に測定子と基準球を接触させて測定するので、すき間ゲージによる測定の様に作業者の熟練度の影響をあまり受けずに高精度の測定が行える様になり、同時に、作業者間における測定に対するばらつきが起きなくなった。さらに、ローラ表面に測定子や基準球が接触させて測定を行ってもローラ表面に損傷を与えることがないので、本来測定を行いたい個所のローラギャップを測定できる様になり、また、測定に伴う製品不良発生による歩留まりの低下を起こすことがない。
【0012】
特に、感光体ドラムと現像ローラとが非接触で平行配置された部位を有する電子写真方式の画像形成装置用プロセスカートリッジを生産する工場で、画質に直接影響を与える感光体ドラムと現像ローラのギャップを高精度かつ効率よく測定できる様になった。また、感光体ドラム表面や現像ローラ表面に測定子や基準球を接触させても、ローラ表面を損傷させずに測定できる様になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、2本のローラで形成される隙間をダイヤルゲージを用いて測定するローラギャップ測定方法に関し、特に、球形の測定子を有するダイヤルゲージを用いてローラギャップを測定するものである。
【0014】
本発明者は、イメージングカートリッジを生産する際、生産性に支障を来すことのない小回りのきく測定手段により、ローラギャップ測定を行える様にするのが得策と考え、ローラ表面に影響を与えずに直接ギャップ測定が行える新しい測定手段を考えた。また、イメージングカートリッジを作製する場合、作業効率の観点から個々の製品のすき間を上限と下限のゲージを用いて確認するいわゆる「通り止まり検査」が主に行われ、すき間を実際の数値で管理することはほとんど行われていなかった。
【0015】
本発明者は、ローラギャップ測定を定量的に行える方法を実現しようと考え、実際に数値表示が行えるダイヤルゲージの使用を考えた。そして、ダイヤルゲージを構成する測定子の形状を球形にすることにより、ローラ表面に測定子が接触してもキズ等の損傷を与えないことを見出したのである。
【0016】
以下、本発明で使用されるダイヤルゲージについて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に使用されるダイヤルゲージの概略図である。図1に示すダイヤルゲージ1は測定子11と基準球12以外の他の部位は、公知の構成からなるものである。すなわち、ローラギャップを表示する文字板部13、先端部に測定子11が設けられているスピンドル14、及び、スピンドル14が装填され文字板部13と接続するステム15から構成される。なお、図1のダイヤルゲージ1の文字板部13はデジタル表示型のものであるが短針と長針を用いて表示を行うタイプのものであってもよい。また、図1のダイヤルゲージ1は測定結果と許容差との関係を目視確認するためのリミッタの表示を公知の方法で付与することも可能である。
【0018】
図1に示すダイヤルゲージ1は、図に示す様に、ステム15に基準球12が配置され、基準球12はステム15に任意の距離を介して固定されている。また、スピンドル14の先端には基準球12よりも大きな直径を有する球形形状の測定子11が配置されている。本発明では、ローラギャップを測定する際、測定子11と基準球12とをギャップを形成するローラに接触させ、測定子11及び基準球12とローラとの接触位置の差からローラギャップを算出できる様にしたものである。測定子11と基準球12がローラギャップを形成するローラと接触している状態を図2に示す。
【0019】
次に、本発明で行われるローラギャップの求め方について説明する。
【0020】
図2では、測定子11と基準球12はそれぞれローラギャップdを形成する2つのローラAとBに接触しており、このとき、測定子11の中心と基準球12の中心との間に距離cが形成される。図2に示す様に、ローラギャップ測定時、基準球12は2つのローラA、Bの最近接個所(ローラギャップdを形成する個所)に近い側でローラと接触している。そして、測定子11は基準球12がローラと接触している個所よりも2つのローラAとBの距離が離れている個所で接触している。なお、図2では測定子11及び基準球12とローラとの接触位置の差cを測定子11と基準球12の中心間距離で示しているが、本発明では両者のローラとの接触位置の差を両者の中心間距離で示すものに限定するものではない。実際、電子写真方式の画像形成装置に用いるトナーカートリッジの検査に用いる基準球12の直径は1mm程度のものが使われることが多く、この様な小球を用いた場合、差cを両球の中心間距離で管理するのは煩わしいことになる。測定対象に応じて球のどの部分を用いて差cを設定しても構わない。
【0021】
なお、図2に示す測定子11はダイヤルゲージ1を構成するスピンドル14に連結しており、基準球12はダイヤルゲージ1を構成するステム15に固定されているが、説明を分かり易くするため図2ではスピンドル14とステム15の記載を省略した。
【0022】
本発明では、測定子11がローラと接触している位置と基準球12がローラと接触している位置の差cを算出し、算出した位置の差cの値から実際のローラギャップdの値を一義的に算出できる様にしているのである。本発明者は、ローラギャップを高精度に測定できる様にするため、ギャップ測定を行う部位に径の異なる2種類の球を配置し、2つの球がローラに接触している時の2つの球の接触位置の差と実際のローラギャップの値とを1対1対応させて求めようと考えた。そして、両者を1対1に対応させることによりローラギャップを高精度に測定できることを見出したのである。
【0023】
測定子と基準球のローラとの接触位置の差から実際のローラギャップの値を算出する方法は、たとえば、以下の手順で算出することができる。すなわち、
(1)ローラギャップを既知の値に設定しておき、この状態で直径が既知の測定子と基準球を取り付けたダイヤルゲージを用いてギャップ測定を行う
(2)ギャップ測定後に得られる測定子のローラとの接触位置と基準球のローラとの接触位置の差を実際に測定し、得られた差と既知のローラギャップの値を1対1対応させる
(3)測定子のローラとの接触位置と基準球のローラとの接触位置の差と実際のローラギャップの値を1対1対応させ、測定された接触位置の差に対応するローラギャップ値の算出が行える演算プログラム等を用いることで正確なローラギャップの算出が行える。
【0024】
なお、実際にローラギャップ測定を行ってローラギャップ値をすぐに得られる様にするには、たとえば、マイコン等の公知の演算処理手段をダイヤルゲージに接続させて測定を行うことで実現できる。すなわち、実際に測定された測定子と基準球のローラとの接触位置の差がデータとしてマイコンに入力されると、内蔵された演算手段により自動的に演算処理が行われて正確なローラギャップの値を算出できる様にしている。
【0025】
上記ローラギャップ算出方法の他に、2本のローラを用いて2つの円の方程式を作り、これらの方程式よりローラギャップを算出することもできる。以下、図3を用いて円の方程式を利用したローラギャップ算出方法について説明する。
【0026】
図3において、大きいローラAの半径をa、小さいローラBの半径をb、ローラギャップをd、2つのローラの中心間距離をLとする。なお、ローラの中心間距離Lは2つのローラの半径a、bとローラギャップdの和に該当する。つまり、L=a+b+dである。
【0027】
また、2つのローラに接触する測定子11の半径をrとする。
【0028】
ここで、ローラAとBの中心を通る線分をx軸、ローラAの中心を通りx軸と直交する線分をy軸とすると、ローラA、B、及び、測定子11の中心を座標で表すことができる。すなわち、大きいローラAの中心の座標は原点(0,0)となり、ローラBの中心の座標は(L,0)となる。また、測定子11の中心の座標は(x,y)としておく。
【0029】
次に、大きいローラAの中心を中心にして、その半径が測定子11の中心を通る円の方程式と、小さいローラBの中心を中心にして、その半径が測定子11の中心を通る円の方程式をたてる。ローラAの中心を中心にして、その半径が測定子11の中心を通る円の方程式は下記式1で表される。すなわち、
式1;x+y=(a+r)
式1は以下の式1’に変形することができる。すなわち、
式1’;y=(a+r)−x
また、ローラBの中心を中心にして、その半径が測定子11の中心を通る円の方程式は下記式2で表される。すなわち、
式2;(x−L)+y=(b+r)
式2は以下の式2’に変形することができる。すなわち、
式2’;y=(b+r)−(x−L)=(b+r)−x+2xL−L
式1’と式2’の連立方程式を解くことにより、ローラギャップdが既知の値a、b、rで表されることになる。この様にして、2つのローラと測定子11についての円の方程式よりローラギャップdを算出することができる。
【0030】
次に、測定子11と基準球12についてさらに説明する。
【0031】
本発明では、測定子11と基準球12の両者の直径に差をもたせることで、測定子11及び基準球12とローラとの接触位置の差cが精度よく得られる。具体的には、測定子11の直径は基準球12の直径の1.5倍〜3.0倍の大きさであることが好ましく、2.0倍前後が特に好ましい。たとえば、測定対象の隙間(ローラギャップ)が0.4mm以下のとき、測定子11の直径は1.5mm〜10mmが好ましい。このとき、基準球12の直径はローラギャップが0.4mm以下なので、少なくとも0.4mmよりも大きなものにする必要がある。
【0032】
基準球12の直径は、測定を行う2つのローラの最近接個所の距離(ローラギャップ)よりも大きなものでなければならない。仮に、基準球12の直径がローラギャップよりも小さいと基準球12はローラと接触できずにすり抜けてしまい測定が行えなくなる。また、基準球12の直径がローラギャップとほとんど変わらないものである場合、基準球12がローラギャップに入り込んでくさびの様にローラギャップをおし拡げることも懸念される。この様に、基準球12は、測定対象のローラギャップに近い値の直径のものを用いることは控えるのが好ましく、ローラとの間に25°〜60°、好ましくは40°前後の接触角を形成可能な基準球12がローラギャップに影響を与えるおそれがない。
【0033】
ダイヤルゲージ1の基準球12は少なくとも1つあればよく、基準球12が1つあれば、基準球12及び測定子11とローラとの接触位置の差cが得られる。また、基準球12を2つ用いることで測定精度の向上が期待できる。図1に示すダイヤルゲージ1は測定子11の両側に基準球12を配置したもので、この様に2つの基準球を測定子11の両側に配置することにより、ダイヤルゲージとローラとの位置だしが行い易くなる。また、ダイヤルゲージの測定姿勢を維持するためのスタンドが不要になる等、測定作業時のノイズとなる因子を除去できるので、測定精度の向上に効果的である。
【0034】
また、本発明ではすき間ゲージの様な金属板の様な先端が尖ったものを被検部材表面に接触させるものではないので、ローラ表面保護の視点からも好ましいものである。測定子11と基準球12の材質は、ローラに接触させたときにローラ表面にキズ等の損傷を与えることがなく、ローラの表面品質に影響を与えず、同時に、測定時に測定子や基準球が変形等せずに正確に測定できるものであれば、特に、限定されない。測定子11と基準球12は前述した条件を満足するものであれば、公知の金属材料、有機材料、無機材料、これらを併用した複合材料で作製することができる。
【0035】
次に、ダイヤルゲージの操作方法について説明する。
【0036】
ダイヤルゲージ1は、ローラギャップ測定を行う対象やギャップの大きさ等に応じて測定子11と基準球12を適宜交換することが可能なものが好ましく、測定子11と基準球12を選択可能にすることで、1台のダイヤルゲージで広汎な利用が可能である。
【0037】
ダイヤルゲージ1によるローラギャップの測定を正確に行うために、測定前にダイヤルゲージ1を校正すること、すなわち、測定子11と基準球12に対してゼロ点調整を行うことが好ましい。つまり、測定子11と基準球12の特定の位置関係を基準として、この基準と測定により得られた測定子11と基準球12の距離cとを関係付けることで、得られた距離cの精度を高めることができる。そして、この様な基準に裏付けられた距離cに基づいてローラギャップの値を対応付ける。
【0038】
本発明に係るローラギャップ測定方法で実施可能な校正(ゼロ点調整)は、公知の方法で対処できる。公知の校正方法の例としては、たとえば、測定子11と基準球12の端部位置を揃えた状態にして、この状態をゼロ点とする方法が挙げられる。また、好ましい校正方法の1つとして、ローラギャップ値が既知のときの測定子11と基準球12の位置関係、つまり測定子11と基準球12の距離をゼロ点にする方法が挙げられる。具体的には、2つのローラが接触しているときの測定子11と基準球12の位置関係(距離)をゼロ点にする方法である。
【0039】
以下、本発明に係るローラギャップ測定方法の手順の一例を述べる。なお、本発明に係るローラギャップ測定方法は前述のダイヤルゲージを用いるものであれば、以下の手順に限定されるものではない。
【0040】
(1)測定に使用する測定子と基準球を選択し各々をダイヤルゲージ本体に取付ける
(2)ダイヤルゲージを校正して測定可能状態にする
(3)測定するローラ間にダイヤルゲージをセットし、基準球が2つのローラ面に接触するまでダイヤルゲージをローラに向けて押し付ける
(4)基準球12が2つのローラ面に接触したらダイヤルゲージの押しつけをやめる
(5)押しつけをやめたときの基準球と測定子の距離を測定する
(6)測定値を用いて所定の演算処理が行われローラギャップが算出される
(7)算出されたローラギャップの値がダイヤルゲージの文字板部に表示される。
【0041】
本発明に係るローラギャップ測定方法が実施可能な装置の例として、電子写真方式の画像形成装置に搭載されるプロセスカートリッジの一例を挙げて説明する。ここで、プロセスカートリッジとは、電子写真方式の画像形成装置に装填されて、装填状態で画像形成装置にトナー供給を行うことができるトナーカートリッジと呼ばれるものの1つである。プロセスカートリッジは、トナーを収納する収納部の他に、現像ローラや現像層規制部材当の部品よりなる現像装置や感光体ドラムの他に、帯電装置やクリーニング装置等の画像形成に必要な部品を全て搭載した一体型のユニットタイプのものである。
【0042】
プロセスカートリッジは、画像形成に必要な部品を全て搭載しているので、画像形成装置に装填後はそのまま画像形成が行える様に設計されており、イメージングカートリッジ等とも呼ばれるものである。
【0043】
図4は、プロセスカートリッジの一例と、プロセスカートリッジを電子写真方式の画像形成装置に着脱自在に装填させた状態を示す模式図である。図4(a)は、プロセスカートリッジ50の断面構造を示すものである。プロセスカートリッジ50は、像担持体である感光体ドラム31、感光体ドラム31の表面を一様に帯電する帯電装置32、感光体ドラム31の外周面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置40を有している。また、トナー像を記録媒体Sに転写した後、感光体ドラム31の外周面上の残存トナーを回収するクリーニング装置33等も配置されている。
【0044】
現像部40内には、図示していないが、トナーが充填されており、また、図に示す様に、たとえば時計回りに回転して感光体ドラム31にトナーを供給する現像ローラ51が感光体ドラム31と間隔(ローラギャップd)をあけて対向して配置されている。その他、現像装置40内には、現像ローラ51にトナーを供給する供給ローラ56、現像ローラ51上に形成されたトナー層の厚みを規制しつつトナーを摩擦帯電するブレード54、トナーを撹拌しながら供給ローラ56に向けて搬送する回転部材57がある。
【0045】
プロセスカートリッジ50による画像形成で所定の画質を得るためには、現像ローラ51と感光体ドラム31の間隔(ローラギャップd)を所定範囲内に設定しておく必要がある。そして、現像ローラ51と感光体ドラム31の間隔(ローラギャップd)の設定にあたり、間隔(d)を測定する際には本発明に係るローラギャップ測定方法を適用することにより、間隔(d)をスムーズかつ高精度に測定することができる。また、本発明に係るローラギャップ測定方法では、測定子や基準球により感光体ドラム31表面に損傷を与えることがないので、測定によりプロセスカートリッジ50の歩留まり低下を起こさない。
【0046】
図4(a)に示すプロセスカートリッジ50は、図4(b)に示す様に画像形成装置であるカラープリンタ10の装置本体2内に装填される。図中、装置本体2内にはプロセスカートリッジ50が4個装填されているが、これは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色トナーが充填されたプロセスカートリッジを装填するものである。
【0047】
図4(b)のカラープリンタ10は、光書込装置7(7Y、7M、7C、7K)より各色の画像情報に応じて感光体ドラム31が露光され、感光体ドラム31の外周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に対して現像部40からトナーが供給され、静電潜像がトナー像として可視化される。トナー画像の形成とタイミングを図って搬送ベルト4に吸着された記録媒体Sが収納部6より搬送され、転写ローラ5の作用により感光体ドラム31上のトナー像が記録媒体S上に次々と転写される。トナー像が転写された記録媒体Sは定着装置8に搬送されてトナー画像が定着され、定着の終了した記録媒体Sは装置本体2の上面部に形成されている排紙トレイ14上に排紙される。
【0048】
また、図4(c)に示す様に、プロセスカートリッジ50は、搬送ベルト4を開放位置へ回動させた後に、装置本体2外へ取り出し可能に装填されている。図4(c)では、黒色トナーを充填したプロセスカートリッジ50Kとイエロートナーを充填したプロセスカートリッジ50Yを装置本体2の外へ取り外した状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に使用されるダイヤルゲージの概略図である。
【図2】測定子と基準球がローラに接触している時の概略図である。
【図3】円の方程式を利用したローラギャップ算出方法の説明図である。
【図4】プロセスカートリッジの一例とプロセスカートリッジを画像形成装置に装填した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ダイヤルゲージ
11 測定子
12 基準球
13 文字板部
14 スピンドル
15 ステム
31 感光体ドラム
51 現像ローラ
50 プロセスカートリッジ
A、B ローラ
a、b ローラの半径
c 測定子及び基準球とローラとの接触位置の差
d ローラギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のローラで形成される隙間をダイヤルゲージで測定するローラギャップ測定方法であって、
前記ダイヤルゲージは、
球形の測定子と前記測定子の近傍に前記測定子よりも小さな径の基準球を有し、
前記基準球の径は測定を行う隙間よりも大きなものであって、
前記測定子と前記基準球を前記2本のローラにそれぞれ接触させて前記隙間の測定を行うものであることを特徴とするローラギャップ測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−265054(P2009−265054A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118242(P2008−118242)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】