説明

ロールからロールへ処理された光起電体薄膜のための組成制御

本発明は1または複数の薄膜をシートの上部表面、特に好ましくは連続的に動作するロールからロールへ移動するシートへ電気めっきする方法を提供する。本発明の1特徴では、元素または複数の層中の層の厚さのモル比は多元素層の同調が予め定められたモル比の範囲または同調された厚さを有する多元素を得るために行われることができるように検出される。さらに別の特徴では、本発明はロールからロールへ移動するシートが動くとき電気めっき装置を使用して薄膜を導電表面へ連続的に電気めっきし、ロールからロールへ移動するシートの一部へ電気めっきされた薄膜の厚さを検出し、それに対応して厚さの信号を発生する。これに関して、連続的に電気めっきするとき、薄膜の厚さはロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分についての厚さ信号を使用して予め定められた厚さ値へ調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射検出器及び光起電体応用のためのIBIIIAVIA族化合物半導体の薄膜を処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は2006年4月4日に提出された米国暫定出願番号第60/744,252号明細書と2006年11月15日に提出された米国実用新案出願第11/560,321号明細書に対して優先権を主張している。
【0003】
太陽電池は太陽光を電力へ直接変換する光起電性装置である。最も普通の太陽電池材料はシリコンであり、これは単結晶または多結晶ウェハの形態である。しかしながら、シリコンベースの太陽電池を使用して発生される電力の価格はより伝統的な方法により発生された電力の価格よりも高い。それ故、1970年代早期から地上で使用するための太陽電池の価格を減少する努力がなされていきた。太陽電池の価格を減少する1方法は太陽電池品質吸収材料を大きい面積の基体上に付着することができる廉価の薄膜成長技術を開発し、これらの装置を高いスループットで廉価の方法を使用して製造することである。
【0004】
幾つかのIB族(Cu、Ag、Au)と、IIIA族(B、Al、Ga、In、Tl)と、VIA族(O、S、Se、Te、Po)材料または周期表の元素を含んでいるIBIIIAVIA族化合物半導体は薄い太陽電池構造に対して優れた吸収材料である。基本的に通常CIGS(S)またはCu(In、Ga)(S、Se)またはCuIn1−xGa(SSe1−yと呼ばれる化合物Cu、In、Ga、Se、Sは20%に近い変換効率を生じる太陽電池構造で既に使用されており、ここで0≦x≦1、0≦y≦1であり、kは約2である。IIIA族の元素Alおよび/またはVIA族の元素Teを含んでいる吸収体もまた有望である。それ故要約すると、i)IB族からのCuと、ii)IIIA族からのIn、Ga、Alの少なくとも1つと、iii)VIA族からのS、Se、Teの少なくとも1つを含む化合物は太陽電池の応用では非常に重要である。
【0005】
Cu(In、Ga、Al)(S、Se、Te)薄膜太陽電池のような通常のIBIIIAVIA族化合物光起電性セルの構造が図5に示されている。装置510は導電層513で被覆された基体511を含むベース上に製造されている。基体511はガラスのシート、(アルミニウムまたはステンレス鋼のような)金属のシート、絶縁体ホイルまたはウェブ或いは導電性のホイルまたはウェブのような種々の形態であってもよい。Cu(In、Ga、Al)(S、Se、Te)のファミリの材料を含んでいる吸収体薄膜512は導電層513上で成長され、この導電層513は予め基体511上に付着されており、装置に対して電気的な接触部として作用する。Mo、Ta、W、Tiおよびステンレス鋼等を含む種々の導電層が図5の太陽電池構造で使用されている。基体自体が適切に選択された導電材料であるならば、基体511はその後装置に対するオーム接触部として使用されることができるので導電層513を使用しないことが可能である。吸収薄膜512の成長後、CdS、ZnO、CdS/ZnO積層体のような透明層514が吸収体薄膜上に形成される。放射515は透明層514を通して装置に入る。金属グリッド(図示せず)も装置の実効直列抵抗を減少させるために透明層514上に付着されることができる。図5の構造は基体が透明であるならば反転されてもよいことに注意する。その場合には、光は太陽電池の基体側から装置に入射する。
【0006】
IBIIIAVIA族化合物吸収体を使用する薄膜太陽電池では、セルの効率はIB/IIIAのモル比の強力な関数である。2以上のIIIA族材料が組成物中に存在するならば、これらのIIIA元素の相対量またはモル比も特性に影響する。例えばCu(In、Ga)(S、Se)吸収体層では、装置の効率はCu/(In+Ga)のモル比の関数である。さらに、開回路電圧、短絡回路電流、フィルファクタのようなセルの幾つかの重要なパラメータはIIIA元素のモル比、即ちGa/(Ga+In)のモル比によって変化する。通常、良好な装置性能では、Cu/(In+Ga)のモル比は約1.0またはそれ未満に維持される。Ga/(In+Ga)のモル比が増加し、他方で吸収体層の光学的なバンドギャップが増加し、それ故、太陽電池の開回路電圧が増加し、一方短絡回路電流は典型的に減少する可能性がある。薄膜付着プロセスがIV/IIIAのモル比と組成物のIIIA族コンポーネントのモル比の両者を制御する能力を有することが重要である。化学式はしばしばCu(In、Ga)(S、Se)と書かれるが、組成物のより正確な式はCu(In、Ga)(S、Se)であり、ここでkは典型的に2に近いが、正確に2でなくてもよいことに注意する。簡単にするために、kの値を2として使用し続ける。化学式の表記「Cu(X、Y)」はXとYの全ての化学組成物が(X=0%とY=100%)から(X=100%とY=0%)までであることを意味することをさらに注意する。例えばCu(In、Ga)はCuInからCuGaまでの全ての組成物を意味する。同様に、Cu(In、Ga)(S、Se)はGa/(Ga+In)のモル比を有する化合物のファミリ全体が0から1まで変化し、Se/(Se+S)のモル比が0から1まで変化することを意味する。
【0007】
Cu(In、Ga)Se層を成長するために使用される第1の技術は各コンポーネントの付着速度が慎重に監視され制御されながら、別々の蒸着ボートから加熱された基体へのCu、In、Ga、Seの蒸着を含んでいる共蒸着方法である。
【0008】
太陽電池応用のCu(In、Ga)(S、Se)型化合物の薄膜を成長する別の技術はCu(In、Ga)(S、Se)材料のコンポーネントの少なくとも2つが最初に基体上に付着され、その後高温のアニールプロセスでSおよび/またはSeと反応される2段プロセスである。例えばCuInSeの成長では、CuとInの薄いサブ層が最初に先駆物質層を形成するために基体上に付着され、その後この積層された先駆物質層は上昇された温度でSeと反応される。反応大気が硫黄を含んでいるならば、CuIn(S、Se)層が成長されることができる。先駆物質層にGaを付加、即ちCu/In/Gaの積層された薄膜の先駆物質の使用はCu(In、Ga)(S、Se)吸収体の成長を可能にする。他の従来技術の技術はCu−Se/In−Se、Cu−Se/Ga−SeまたはCu−Se/In−Se/Ga−Se積層の付着と、化合物を形成するためのそれらの反応を含んでいる。化合物およびCu/In−Se積層またはCu/In−Se/Ga−Se積層のような元素のサブ層を含んでいる混合された先駆物質の積層も使用されることができ、IN−SeとGa−SeはそれぞれInとGaのセレン化合物を表している。
【0009】
スパッタリング及び蒸着技術が金属の先駆物質の積層体のIB族とIIIA族成分を含んでいる個々の層またはサブ層を付着するために従来技術の方法で使用されている。CulnSe成長の場合、例えばCuおよびInのサブ層は基体上のCuとInターゲットから逐次的にスパッタ付着され、その後、したがって得られた積層された先駆物質層または薄膜は米国特許第4,798,660号明細書に記載されているように上昇された温度でSeを含むガスが存在する中で加熱された。最も最近の米国特許第6,048,442号明細書はCu−Ga/In積層体を金属の後部電極上に形成するためにCu−Ga合金のサブ層とInサブ層を有する積層された先駆物質薄膜をスパッタで付着し、その後化合物吸収層を形成するためにこの先駆物質積層薄膜をSeとSの一方と反応させる処理を含んでいる方法を開示している。米国特許第6,092,669号明細書はこのような吸収層を生成するためのスパッタリングベースの装置と方法を開示している。
【0010】
太陽電池構造は典型的にガラスまたは金属ホイル基体上に製造されることができる。モノリシック集積モジュールでは、ガラスのシートが普通は使用され、金属ホイルは後にモジュールへ相互接続されることができる個々のセルの製造により適している。勿論、金属ホイルの基体上に絶縁層を付着し、その後太陽電池を絶縁層上で処理することが可能である。このようにしてモノリシック集積モジュールも金属ホイル基体上で製造されることができる。
【0011】
Cu(In、Ga)(S、Se)吸収体薄膜を成長するために使用される特定の方法にかかわりなく、前述した2つのモル比、即ちCu(In+Ga)比とGa/(Ga+In)比は連続して大きい面積の基体上で厳密に制御されなければならない。共蒸着技術では、この組成物の制御はCu、In、Ga、Seの蒸着速度のその位置での監視を通して実現される。先駆物質薄膜を形成するためのサブ層の付着と、化合物吸収体層を形成するためのその後の先駆物質薄膜の反応を含んでいる2段技術では、積層された先駆物質薄膜層を形成するサブ層の個々の厚さはこれらが反応ステップ後の化合物層の最終的な化学量論または組成物を決定するので、良好に制御される必要がある。サブ層が蒸着及びスパッタリングのような真空方法により付着されるならば、(CuおよびInサブ層の厚さのような)先駆物質層内のサブ層の厚さは結晶発振器または、材料付着フラックスを感知するセンサのようなその位置の測定装置を使用して監視され制御されることができる。他方で、従来技術の電気めっき技術では、Cuサブ層、Inサブ層および/またはGaサブ層のような個々のサブ層の厚さはサブ層の付着期間中に通過される電荷の制御によって、即ち付着電流密度と付着時間の制御によって制御されている。しかしながら処理期間中、付着速度が変化する可能性がある。例えば電気めっき方法では、付着速度は電気めっきの効率の変化、付着槽の古さ、槽中の副産物の堆積、電解質中の有機物または無機物の添加物の濃度および/または活性等の変化のような理由のために変化する可能性がある。太陽電池の効率が付着された先駆物質内の元素のモル比の強力な関数であるので、これらの比を制御する優れた新しい技術が必要とされている。
【0012】
薄膜の太陽電池をロールからロールまたはインラインプロセス中で形成する層の付着または成長はこのようなプロセスのより高いスループットで廉価で良好な生成率に対して魅力的である。依然として、IBIIIAVIA族材料の成長のためのロールからロールまたはインライン付着技術を開発する必要があり、臨界的なIB/IIIAモル比とIIIA材料組成物は厳密に制御される必要がある。
【発明の開示】
【発明の要約】
【0013】
本発明は、放射検出器および光起電体応用のための化合物半導体薄膜に対して組成物制御を行うための方法及び装置に関する。
【0014】
本発明の1特徴では、複数の層中の元素のモル比が検出され、それによって多元素層のチューニングが予め定められたモル比の範囲を有する多元素層を得るために行われる。
【0015】
本発明の別の特徴では、Cu、Inおよび/またはGaのサブ層または層の厚さが検出され実質的に予め定められた厚さと同じである同調された厚さを提供するために同調される方法が提供される。
【0016】
別の特徴では、本発明は1または複数の薄膜を連続的に動作するロールからロールへ移動するシートの上部表面に電気めっきする方法を提供する。
【0017】
別の特徴では、本発明はロールからロールへ移動するシートが動くとき電気めっき装置を使用して薄膜を導電表面へ連続的に電気めっきし、ロールからロールへ移動するシートの一部へ電気めっきされた薄膜の厚さを検出し、それに対応して厚さの信号を発生する処理を含んでいる。これに関して、連続的に電気めっきするとき、薄膜の厚さはロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分についての厚さ信号を使用して予め定められた厚さ値へ調節される。
【0018】
別の特徴では、複数の順次配置された電気めっき装置中の複数の薄膜の積層体を連続的に移動するロールからロールへ移動するシートへ電気めっきする方法を提供する。これに関して、ロールからロールへ移動するシートが動くとき各電気めっき装置を使用して薄膜の各1つをロールからロールへ移動するシートの上部表面へ連続的に電気めっきし、ロールからロールへ移動するシート部分へ電気めっきされた各薄膜の厚さを検出し、それに対応して厚さ信号を発生する処理が含まれる。これに関して連続的に電気めっきするとき、各薄膜の厚さはロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分についてその薄膜の厚さ信号を使用してその薄膜についての予め定められた厚さ値へ調節される。
【0019】
さらに別の特徴では、第1の薄膜を連続的に移動するロールからロールへ移動するシートの上部表面に連続的に電気めっきし、第1の薄膜の厚さを検出し、それに対応して厚さ信号を発生し、第1の薄膜上に第2の薄膜を連続的に電気めっきする処理が含まれ、電気めっきされた第2の薄膜の厚さは厚さ信号により制御される。
【0020】
さらに別の特徴では、電気めっきされた薄膜の厚さを検出するとき、厚さは対応する複数の厚さ信号を得るために連続的に移動するロールからロールへ移動するシートの幅を横切って複数の位置で検出される。これらの複数の厚さ信号は同じ薄膜またはその後の薄膜の厚さを調節するために使用され、それによって厚さは検出する位置を考慮に入れて調節される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のこれら及び他の局面及び特徴は、添付図面を伴った本発明の特別な実施形態の以下の説明を再検討することによって当業者に明白になるであろう。
本発明は重要な製造能力と、IBIIIAVIA族半導体層の化学量論または組成の不十分な制御に関連する生産問題を解決することにより従来技術の欠点を克服する。この技術は通常、IBIIIAVIA族半導体層を成長するために使用される全ての技術に適用可能である。これは2段技術を使用して成長する層の組成を制御するのに特に良好に適している。
【0022】
図1は本発明のプロセスを実行するステップを示している。そのプロセスは少なくとも3つのステップを含んでいる。第1のステップでは、IB族、IIIA族、VIA族材料の少なくとも1つを含んでいる最初の薄膜が付着ステーションで基体の少なくとも一部に付着される。第2のステップでは、基体の一部分上の最初の薄膜の組成および/または厚さが計測ステーションで測定される。第3のステップでは、第2のステップからの情報に基づいて、薄膜全体の組成および/または厚さをターゲットの値にするために付加的な薄膜が同調ステーションにおいてその部分に付着され、薄膜全体は最初の薄膜と付加的な薄膜の和として規定される。これらの3つのステップはその後ターゲット値に到達するためにさらに良好な正確度で反復されることができる。付着ステーション及び同調ステーションで行われる付着プロセスは蒸着、スパッタリング、電気めっき、無電解めっき、インク付着、溶融付着等のような種々の技術から選択されることができる、これらの技術は混合されることもできる。例えば蒸着技術は付着ステーションで使用されることができ、電気めっき技術は同調ステーションで使用されることができる。さらに初めに最初の層を付着し、その後薄膜全体の組成/厚さをターゲット値にするために2以上の付着ステーションと2以上の同調ステーションが存在することができる。種々の測定方法は計測ステーションで使用されることができる。これらの方法はX線蛍光、X線回折、X線反射、プロフィール厚さ測定、光学的反射、楕円偏光、4点プローブ測定等を含んでいるが、それらに限定されない。
【0023】
付着ステーション、計測ステーション、同調ステーションは種々の構造のシステムで配置されることができる。例えば図2の(A)は付着ステーション21、計測ステーション22、同調ステーション23、ロード−アンロードステーション24、基体を種々のステーション間で転送するためのハンドラ25を含んでいるクラスタツール20の構造を示している。1以上の付着ステーション、1以上の計測ステーション、1以上の同調ステーション、1以上のロード−アンロードステーション、および1以上のその他のステーション、例えば洗浄および/または乾燥ステーション、加熱ステーション、反応ステーション等も図2のクラスタツール20に付加されることができることにも注意すべきである。
【0024】
付着ステーション21、計測ステーション22、同調ステーション23、ロード−アンロードステーション24はまた図2の(B)に示されているように一列の方法で配置されることもでき、ハンドラ25は種々のステーション間で基体を動かすために直線的に動作する。
【0025】
1実施形態では、付着ステーションと同調ステーションは2つの異なるステーションである。換言すると、最初の薄膜が付着ステーションで基体上に付着され、その後計測ステーションで測定された後、付加的な薄膜は付着ステーションとは異なる同調ステーションで最初の薄膜上に付着される。代わりに、付着ステーションと同調ステーションは同じステーションであってもよい。例えば最初の薄膜は付着ステーションで基体上に付着されることができる。基体はその後、最初の薄膜の測定のために計測ステーションへ動かされることができる。その後、基体は付加的な薄膜を最初の薄膜上に付着し厚さおよび/または組成のターゲット値を実現するために同じ付着ステーションへ戻されることができる。この場合、付着ステーションは基体が2度目にそこに動かされるとき、同調ステーションとして作用する。前述したように、計測ステーションに到着する前に基体が2以上の付着ステーションを通過することが可能である。その後付着された薄膜全体のターゲット組成および/または厚さを得るために2以上の同調ステーションへ動かされることができる。計測ステーションはまた2以上であってもよく、それぞれは異なる重要なパラメータを測定してもよく、例えば1つは組成を測定し、別のものは厚さを測定する。
【0026】
付着ステーションと同調ステーションが同じである特別な構造が図3に示されている。図3の構造は付着ステーション30と計測ステーション31とを具備している。基体32は最初に付着ステーション30に配置され、最初の薄膜は矢印33により概略的に示されているように基体32上に付着される。その後、破線により示されているように、基体32は計測ステーション31へ動かされ、測定は計測ツール34を使用して最初の薄膜において行われる。基体32はその後、ターゲットの薄膜全体の厚さおよび/または組成に到達されるように付加的な薄膜を付着するため付着ステーション30へ戻される。
【0027】
別の実施形態では、本発明はプロセスの第1の段の期間において、IB族、IIIA族、VIA族材料の少なくとも1つを含んでいるサブ層が先駆物質層を形成するために基体上に付着され、第2の段の期間において、先駆物質層をIBIIIAVIA族組成物層へ変換するために反応が実行される2段の方法で使用される先駆物質層の組成を制御するために使用されることができる。この場合、サブ層付着プロセスは少なくとも2つの付着ステップに分離され、測定ステップが少なくとも2つの付着ステップ間で行われる。第1の付着ステップは最初のサブ層を付着する。付着されたサブ層が1つの元素のみを含んでいるならば、測定ステップは最初のサブ層の厚さを測定する。付着されたサブ層が合金のように2以上の元素を含んでいるならば、測定ステップは各元素の実効的な厚さを測定でき、またはサブ層の組成を測定できる。測定ステップ後のその後の付着ステップは、サブ層の厚さ全体または組成をターゲットとする値にするために使用される。本発明を種々の例を使用して説明する。
【0028】
[例1]
0.95のCu/(In+Ga)比と0.3のGa/(Ga+In)比を有するCu(In、Ga)Se2化合物層は最初に基体上にCu/In/Ga先駆物質積層を付着し、その後積層体をセレニウムと反応させ、積層体をセレン化することにより本発明を使用して成長されることができる。積層体中のCuサブ層の厚さが200nmならば、325nmのInサブ層の厚さと、104nmのGaサブ層の厚さが先に規定されたターゲット組成を与えるのに必要であることを計算するのは簡単である。このような先駆物質積層の処理では、次のステップが実行されることができ、即ちi)公称上200nmの厚さのCuサブ層が最適化された条件と本来の位置の厚さ制御手段を使用して、最初に付着ステーションで少なくとも1つの基体部分上に付着されることができ、ii)基体部分上に付着されたCuサブ層の厚さは計測または測定ステーションで決定されることができ、iii)測定される厚さが所望される200nmの許容可能な範囲内(+/−5%内等)であるならば、その部分はIn付着を継続するために別のプロセスステーションに動かされることができ、iv)測定される厚さが所望される範囲外であるならば、その部分は厚さを所望される範囲に調節するために同調ステーションへ動かされることができ、v)前述のステップはIn付着とGa付着で反復されることができる。
【0029】
本発明の方法は全てのサブ層または付着の厚さ制御が困難で不安定であるか最適化されていないサブ層のみの付着に使用されることができることに注意すべきである。例えば本発明の方法はCuおよびGaサブ層の付着に使用されることができ、Inサブ層の付着方法が良好な厚さ制御を既に与えているならばInサブ層の付着に使用されなくてもよい。
【0030】
[例2]
寸法がそれぞれ1フィート×1フィートまたは1フィート×4フィートである百または数千の基体のような多数の基体上にCu/In/Ga先駆物質積層体を製造するために使用される電気めっき技術を1例として例に挙げる。新しいCuめっき溶液または電解質で開始すると、予め定められた時間に予め定められた電流密度を適用することによりプロセスの早期に基体上に200nmの厚さのCu層を正確に付着することが可能である。しかしながら、多くの基体が電気めっきされるほど、電解質は老朽化しはじめ、Cuのめっき効率は使用される化学作用に基づいて70−100%の範囲でその初期値から低下する。それ故、早期の基体は公称上200nmの厚さのCuを受けるが、後期の基体上のCuの厚さは減少し始める可能性がある。このCuの厚さの減少が検出されずに進行し、InとGaの厚さが正確であるならば、先駆物質積層体のCu/(In、Ga)モル比はターゲット値よりも低く、例えば約0.95になる可能性がある。これは先駆物質がCu/(In、Ga)Se2化合物層に変換され、太陽電池が化合物層上で製造されるとき、生産率を低くする。この問題を防ぐため、本発明の方法は付着されたCu層の厚さを計測ステーションで測定し、厚さがターゲット値から減少されるならば、さらにCuを電気めっきするように基体を同調ステーションへ送る。1例として、同じめっき条件下で基体番号1は200nmのめっきされたCuの厚さを有するが、基体番号100のCuの厚さが160nmまで減少されたことを仮定する。Cuの厚さが基体番号100で160nmであると測定されたとき、この基体は別のCuめっきステーションであることができる同調ステーションへ送られ、付加的な40nmのCuめっきが行われる。より良好な正確性のために、より多くの計測ステップおよび同調ステップがプロセスに付加されることができることに注意すべきである。いずれの場合でも、同調ステーションの使用は多数の基体が同時方法で処理される製造環境で先駆物質積層体の良好な組成制御を行う。類似の方法がInおよび/またはGaサブ層のような積層体のその他のコンポーネントの付着に対して使用されることができる。計測はあらゆる基体上でまたはある間隔で、例えば10番目毎の基体で実行されることができる。コンピュータシステムは計測データを集めるために使用されることができ、厚さの変化特性の傾向が設定されることができる。このデータは電解槽の古さの関数として厚さを予測するために使用されることができる。付着と同調に異なる槽を使用することも有効であり、付着と同調は材料が付加されるならば電気めっきを使用することができる。
【0031】
[例3]
電気めっきされたCu−Ga/In先駆物質積層体を使用する2段プロセスでは、プロセスは次のように行われることができる。Cu−Ga合金は最初に付着ステーションで最初の薄膜の形態で基体上に付着されることができる。基体はその後、この最初の薄膜中のモルCuとGaのモル内容を決定するために計測ステーションへ動かされることができる。ターゲット組成に到達するためにより多くのCuが必要とされるならば、基体はより多くのCuを最初の薄膜上に付着する同調ステーションへ送られることができる。ターゲット組成に到達するためにより多くのGaが必要とされるならば、基体はより多くのGaを最初の薄膜上に付着する同調ステーションへ送られることができる。CuとGa内容がターゲットとされる範囲にされると、Inサブ層は先駆物質積層体を形成するために付着されることができる。インジウムサブ層付着も少なくとも2つのステップに分割されることができる。第1のステップで、Inの最初の薄膜がサブ層を含んでいるCuとGa上に付着されることができる。計測ステーションにおいて、In内容が測定されることができる。その後同調ステーションにおいて、In内容はターゲットとされる範囲にされることができる。このようにして、先駆物質積層体のCu、InとGa内容は予め定められた所望の範囲にされることができる。
【0032】
[例4]
本発明の方法は予めカットされたガラス基体のような単一の基体が先駆物質層で被覆されているクラスタツール方法で使用されることができる。代わりに、本発明はロールからロールの処理技術のような一列の処理方法で使用されることもできる。
【0033】
0.95のCu/(In+Ga)比と0.3のGa/(Ga+In)比を有するCu(In、Ga)Se2化合物層は最初にフレキシブルなホイル基体上にCu/In/Ga先駆物質積層体を電気めっきし、その後積層をセレニウムと反応し、即ち積層をセレン化することにより本発明を使用して成長されることができる。積層体中のCuサブ層の厚さが200nmであるならば、325nmのInサブ層の厚さと、104nmのGaサブ層の厚さが先に規定されたターゲット組成を与えるのに必要であることを計算するのは簡単である。このような積層の処理では、ホイル基体はロールの形態であることができる。Cu、In、Ga層はロールからロールへの方法で基体上に付着されることができる。全ての付着はCu、In、Ga電気めっきステーションを有する単一のマシンで実行されることができる。これらは代わりに2つの異なるマシン、即ち(CuとIn、CuとGa、またはInとGaのような)2つの元素を電気めっきする1つのツールと、第3の元素を付着する他のツールで実行されることができる。代わりに、Cu付着、In付着、Ga付着は3つの異なるロールからロールへのめっきマシンまたはツールで実行されることができる。
【0034】
図4は、付着ステーション40、計測ステーション41、同調ステーション42を具備する一列のロールからロールへのCu電気めっきシステムを概略的に示している。フレキシブルなホイル基体43が供給スプール44から巻取りスプール45へ動かされるとき、Cuによりめっきされる。ホイル基体の動作は基体を一度に1セクション、Cuでめっきするのに連続的であってもよく、または段階的であってもよい。処理期間中いつでも、付着ステーション40はその付着ステーション40内にあるホイル基体43の部分上で最初のCu薄膜の電気めっきを実行するために付勢されることができる。同調ステーション41は通常付勢されず、即ち計測ステーション41から信号を得なければCuを付着させない。計測ステーションがホイル基体43の一部でCuターゲットの厚さの変化を感知する場合には、感知するとき、信号が同調ステーション41でその部分で行われる付加的なCuの付着量を決定するコンピュータを通して同調ステーションへ送信される。左から右へのホイル基体43からの移動は制御されるので、いつでもその部分の位置も知られている。それ故、その部分が同調ステーション42へ動くとき、めっきセルはホイル基体と陽極との間の電圧の供給により付勢され、予め定められた付加的なCu量がその部分に付着されることができる。この後、新たな測定が計測ステーション41で行われるまで、付着ステーション40と同調ステーション42における付着状態は一定に維持されることができ、同調ステーションの付着状態は再度、基体上のターゲットとする最終的なCuの厚さに合致するために調節される。
【0035】
前述の実施形態では、計測ステーションからの厚さ測定結果は付着電流および/または電圧のような付着状態を同調ステーションで調節し、付着ステーションの状態を一定に保つために使用されることに注意すべきである。計測ステーションからの結果が付着ステーションまたは付着ステーションと同調ステーションの両者における付着状態を調節するためにコンピュータにより解釈されることも可能である。例えば、計測ステーション41での測定により検出されるとき、付着ステーション40で付着された最初のCu薄膜の厚さが低いならば、付着ステーション40における付着状態は調節されることができ、例えば付着電流密度が増加されることができ、それによってめっきされる基体43の将来の部分はターゲット値に近いCuの厚さを受ける。同調ステーションで材料を付着するのではなく材料を除去することも可能である。例えば電気めっきのような湿式法では、同調ステーションは溶液中の電極と、基体の表面が溶液で湿られるとき電極と基体の表面との間に電圧を供給する手段とを有することができる。付着では、負または陰極電圧が電極に関して基体表面に与えられる。このようにして、Cu、In、Gaは溶液がCu、InまたはGaの種を含んでいるならば基体表面上に付着またはめっきされることができる。他方で、陽極のまたは正の電圧が電極に関して基体表面に与えられるならば、既に付着された材料は基体表面から陽極で溶解されることができる。例えば図4の付着ステーション40がCuを基体43上に付着するならば、および計測ステーション41が付着されたCuがターゲットの厚さよりも厚いことを検出したならば、基体のその部分が同調ステーション42に入るとき、陽極による除去ステップは厚さをターゲットの値にするために行われることができる。Cuの除去速度と量は基体表面と同調ステーションの電極との間に与えられる電流密度により制御されることができる。
【0036】
Cu付着について説明されたプロセスはInとGa付着で実行されることもでき、Cu、Ga、Inを含んでいる先駆物質積層体は良好に規定された化学量論または組成で生成されることができる。
【0037】
本発明の先駆物質層が付着されると、先駆物質とVIA族材料の反応は種々の方法で実現されることができる。1実施形態では、先駆物質層は上昇された温度でVIA族の蒸気に露出される。これらの技術はこの分野でよく知られており、これらは固体のSe、固体のS、固体のTe、H2Seガス、H2Sガス等のソースにより提供されるSe蒸気、S蒸気、Te蒸気の少なくとも1つの存在下において5分から1時間の範囲にわたる期間で、350−600℃の温度範囲まで先駆物質層を加熱する処理を含んでいる。別の実施形態では、VIA族材料の単一層または多層は先駆物質層上に付着され、積層体はその後、炉または急速な熱焼なまし炉等で加熱される。VIA族材料は先駆物質層上で蒸着され、スパッタリングされまたはめっきされることができる。代わりにVIA族ナノ粒子を含むインクが準備され、これらのインクはVIA族ナノ粒子を含むVIA族材料層を形成するために先駆物質層上に付着されることができる。浸漬、噴霧、ドクターブレードまたはインク書き技術はこのような層を付着するために使用されることができる。反応は温度にしたがって1分から30分間の範囲の時間、上昇された温度で実行されることができる。反応結果として、IBIIIAVIA族化合物は先駆物質から形成される。
【0038】
太陽電池はこの分野でよく知られている材料と方法を使用して本発明の化合物層で製造されることができる。例えば薄い(<0.1ミクロン)CdS層が化学浸漬方法を使用して化合物層の表面上に付着されることができる。ZnOの透明な窓はMOCVDまたはスパッタリング技術を使用してCdS層を覆って付着されることができる。金属のフィンガパターンが太陽電池を完成するためにZnO上に随意選択的に付着される。
【0039】
本発明は、別の観点で先駆物質薄膜または層の組成を制御するための方法及び装置を提供し、これは一列またはロールからロールへの製造方法によってCIGS(S)型の吸収体層の形成において使用されることができる。技術は好ましくは付加的なVIA族材料の存在下で上昇された温度でのアニールによりその後IBIIAVIA族化合物層に変換されるIB族、IIIA族材料、および随意選択的なVIA族材料をベースに付着するために使用されることができる。IB族、IIIA族材料、VIA族材料の付着は蒸着、スパッタリング、噴霧、ドクターブレード、印刷、電気めっき等のような種々の技術により行われることができ、処理システムは一列のシステムまたはロールからロールへのシステムであってもよく、IB族含有、IIIA族含有、VIA族含有材料の層またはサブ層は連続的に次々に予め定められたシーケンスでベースに付着される。本発明の付着の好ましい方法は電気付着または電気めっきであり、好ましい処理方法は以下詳細に説明するように、ロールからロールへの技術であり、リールからリールへの技術とも呼ばれている。
【0040】
図6はCuと、InとGaの少なくとも一方を有する先駆物質積層をフレキシブルなホイルベース622上で優れた厚さ制御及び均一性により生成する能力を有する例示的なロールからロールへの電気めっきシステム630を示している。電気めっきシステム630は一連の処理装置660A、660B、660C...660N、1以上の計測ステーション670A、670B、670C...670N、供給スプール620、巻取りスプール621、フレキシブルなホイルベース622を一連の処理装置を通して供給スプール620から巻取りスプール621へ導く機構を具備している。一連の処理装置は少なくとも1つのCu電気めっき装置、少なくとも1つのGa電気めっき装置と少なくとも1つのIn電気めっき装置を具備することができる。各処理装置は付加的に洗浄または洗浄/乾燥装置を具備し、それによってフレキシブルなホイルベース622は図6のプロセス装置660Aのような1つの処理装置を出て、計測装置70Aのような計測装置に入り、それは処理装置660Aで導入される可能性がある化学残留物を洗浄する。
【0041】
処理装置の数と順序はCu、In、Gaをベース上に有する種々の積層体を得るために変更されることができることに注意する。例えば図6のシステムに3つの処理装置660A、660B、660Cしか存在しないならば、および処理装置660A、660B、660CがCu電気めっき装置、In電気めっき装置、Ga電気めっき装置をそれぞれ具備するならば、システムはフレキシブルなホイルベース622上にCu/In/Ga先駆物質積層体を生成する。この順番を変更し、随意選択的に他の電気めっき装置を付加すると、Cu/Ga/In、In/Cu/Ga、Ga/Cu/In、Cu/Ga/Cu/In、Cu/Ga/Cu/In/Cu、Cu/In/Cu/Ga、Cu/In/Cu/Ga/Cu等のような積層体を得ることができる。処理装置にSeのような族VIA材料を電気めっきする能力を付加することにより、Seを含む先駆物質積層体も得られることができる。このような積層体はCu/In/Ga/Se、In/Cu/Ga/Se、Ga/Cu/In/Se、Cu/Ga/Cu/In/Se、Cu/Ga/Cu/In/Cu/Se、Cu/In/Cu/Ga/Se、Cu/In/Cu/Ga/Cu/Se等を含んでいるが、これらに限定されない。このような積層のより多くの反復が可能であることに注意すべきである。しかしながら、集積または関連される洗浄装置と共に、それぞれCu電気めっき装置と、Ga電気めっき装置と、In電気めっき装置の1つを具備しているロールからロールへの電気めっきシステム構造を使用して説明を続ける。図6に示されているシステムはアニール装置、第1のプロセス装置660A等の前にあるフレキシブルなホイルベース622を洗浄し化学的調整をするための調整装置のような他のコンポーネントを有することができることに注意すべきである。供給スプール620により供給されるフレキシブルなホイルベース622の好ましい構造がフレキシブルなホイルベース722として図7の(A)に示されている。フレキシブルなホイルベース722はフレキシブルなホイル基体745と導電層746またはフレキシブルなホイル基体745の第1の表面745A上に付着されているコンタクト層とを具備している。フレキシブルなホイル基体745は(ポリイミドのような)任意の重合体または金属ホイルから作られることができるが、好ましくは20−250umの厚さのステンレス鋼ホイル、Moホイル、Tiホイル、AlまたはAl合金ホイルのような金属ホイルである。(Cu、Ti、Mo、Ni、Alのような)種々の金属ホイル基体はCIGS(S)太陽電池応用について従来確認されている(例えばB. M. Basol等の“Status of flexible CIS research at ISET”、NASA Document ID: 19950014096、登録番号95N-20512、NASA航空宇宙情報センターから入手可能と、B. M. Basol等の“Modules and flexible cells of CuInSe2”、第23回光起電性に関する専門家会議の会議録、1993年、426頁参照)。導電層746は単一の層の形態であってもよく、或いは代わりに種々のサブ層(図示せず)の積層体で構成されることができる。好ましくは導電層は形成期間中にフレキシブルなホイル基体745から、電気めっきされる層とCIGS(S)層中への不純物の拡散を防止する少なくとも1つの拡散バリア層を具備している。導電層746の材料はTi、Mo、Cr、Ta、W、Ru、Ir、Osと、これらの材料の窒化物および酸素窒化物のような化合物を含んでいるが、それに限定されない。好ましくは導電層746の自由表面746Aは電気めっきされた層のより良好な核生成のためにRu、Ir、Osの少なくとも1つを含んでいる。Cu、Ga、In層の電気めっき後、積層された先駆物質により被覆されるフレキシブルなホイルベースの最終構造は図7の(B)に示されている。この図面に示されているように、Cu層750は最初に自由表面746A上に電気めっきされる。その後Ga層751が電気めっきされ、In層752が後続する。前述したように、この積層の順序及び性質は付着シーケンスを変更することにより変更されることができ、各層の厚さはターゲットとするCu/(Ga+In)のモル比とGa/(Ga+In)のモル比を実現するために選択される。
【0042】
この例では、電気めっきは導電層756の自由表面746A上で行われる。フレキシブルなホイル基体745の後部表面745Bは好ましくは電気付着中またはCIGS(S)化合物を形成するために後続するアニール/反応ステップ中にフレキシブルなホイル基体745を保護し、またはフレキシブルなホイル基体745の皺を防止するために(破線で示されている)二次層747で被覆されることができる。二次層747の材料はCu、In、Gaめっき槽の化学物質中で安定であり、即ちこのような槽に溶解し、汚染することがなく、さらにVIA族元素との反応に対して耐性があることが重要である。二次層747で使用されることができる材料はRu、Os、Ir、Ta、W等を含んでいるが、それらに限定されない。二次層747は電気めっき電解質または槽と、CIGS(S)化合物の形成で与えられる他の処理環境とに露出される外部表面747Aを有する。図7の(B)はCu、Ga、In層がフレキシブルなホイルベース722の1つの側面上に被覆されることを示しているが、両面上に太陽電池を製造するためベースの両側にこのような積層を付着することが可能である。
【0043】
図8は、図7の(A)のフレキシブルなホイルベースのようなベース100上でCu/Ga/In先駆物質積層体を成長するために使用されることができる例示的なシステム200の断面図を詳細に示している。システム200はCu処理装置130、Ga処理装置140、In処理装置150、Cu計測ステーション160、Ga計測ステーション170、In計測ステーション180を具備している。Cu処理装置130はCu電気めっき装置131とCu洗浄装置132とを含むことができる。Ga処理装置140はGa電気めっき装置141とGa洗浄装置142とを含むことができる。In処理装置150はIn電気めっき装置151とIn洗浄装置152とを含むことができる。
【0044】
Cu電気めっき装置131はCuめっき容器135上の溶液入口及び出口管(図示せず)を通ってCuめっき容器135と化学物質キャビネット(図示せず)との間で循環することができるCuめっき槽134を具備している。Cuめっき槽134または溶液または電解質は濾過され、循環中または化学物質キャビネットにある間に補充される。添加物内容、Cu内容、温度、pH等のような種々の槽パラメータの測定及び制御はCu付着プロセスの安定性を確実にするために化学物質キャビネット中で連続的または周期的に行われることができる。図8の例示的なシステムはベース100の前面100A上にCu、Ga、Inを付着する。前面100Aは好ましくはRu、Os、Irの少なくとも1つを含んでいる。ベース100への電気的接続はローラー、ブラシ等を含む種々の手段により実現されることができる。電気的接触はベース100をその後面100Bまたは前面100Aの少なくとも一部でベース100に接触することができる。好ましくは前面100Aに対する接触は2つのエッジで行われ、電気接触により損傷を受けるか、汚染される可能性のある前面100Aの大部分との物理的な接触を避ける。1つの好ましい方法はベースの基体が導電性であるならば、少なくとも1つのCuめっき接触ローラー136を通してベース100の後面100Bへ電気的接触を行うことを含んでいる。Cuめっき陽極137はCuめっき槽134中に配置され、Cuめっき電源138はCuめっき陽極137とCuめっき接触ローラー136のような電気接触部との間に電位差を与えるために設けられ、それによってCuはベース100が予め定められた速度で左から右へ動かされるときCuめっき陽極137を横切ってそこからCuめっき槽134へ露出される上部表面100Aのセクション上に電気めっきされる。めっき後、付着されたCu層を有するセクションはベース100の両表面上に導かれた水の噴霧139の使用によってCu洗浄装置132中で洗浄を受ける。エアナイフ(図示せず)は、めっきされ洗浄されたセクションがCu計測ステーション160に入る前に、めっきされたCuの表面およびベース100の後面を部分的または十分に乾燥するために使用されることができる。XRFヘッドまたはプローブのような計測ツール201がCu計測ステーション160に設けられることができる。類似の計測ツール201がGa計測ステーション170とIn計測ステーション180にも設けられることができる。計測ツール201は構造(図示せず)上に設置されることができ、ベース100がx軸に沿って左から右へ動かされるとき、めっきされた材料層の量または厚さまたはめっきされた積層の厚さ/組成についてのデータを集めるためにベース100の近辺でx、y、z方向で動かされることができる。
【0045】
Cu層の付着後、ベース100のCuめっきされたセクションは、Cu洗浄装置とCu計測ステーションを通過し、Ga処理装置140のGa電気めっき装置141に入る。Ga電気めっき装置141はGaめっき槽144を具備し、これはGaめっき容器145上の溶液入口と出口管(図示せず)を通ってGaめっき容器145と化学物質キャビネット(図示せず)との間で循環されることができる。Gaめっき槽144または溶液または電解質は濾過され、循環中または化学物質キャビネットにある間に補充されることができる。添加物内容、Ga内容、温度、pH等のような種々の槽パラメータの測定及び制御はGa付着プロセスの安定性を確実にするために化学物質キャビネット中で連続的または周期的に行われることができる。ベース100または既にめっきされたCu層に対する電気的接続はローラー、ブラシ等を含む種々の手段により実現されることができる。1つの好ましい方法はベースの基体が導電性であるならば、少なくとも1つのGaめっき接触ローラー146を通ってベース100の後面100Bへ電気的接触を行うことを含んでいる。Gaめっき陽極147はGaめっき槽144に配置され、Gaめっき電源148はGaめっき陽極147とGaめっき接触ローラー146との間に電位差を与えるために設けられ、それによってGaはベース100が予め定められた速度で左から右へ動かされるときGaめっき陽極147を横切ってそこからGaめっき槽144へ露出されている既にCuめっきされた表面のセクション上にめっきされる。このようにしてCu/Ga積層体がベース100に形成される。Gaのめっき後、めっきされたセクションは水の噴霧139の使用によってGa洗浄装置142中で洗浄を受ける。エアナイフ(図示せず)は、Gaめっきされ洗浄されたセクションがGa計測ステーション170に入る前に、めっきされたGaの表面およびベース100の後面を部分的または十分に乾燥するために使用されることができる。XRFプローブまたは装置が使用されるならば、Ga層の厚さと下に位置するCu層の厚さはGa計測ステーション170で測定されることができる。
【0046】
Ga層の付着、洗浄及び計測後、電気めっきされたCu/Ga積層体を有するベース100はIn処理装置150のIn電気めっき装置151に入る。In電気めっき装置151はInめっき槽154を具備し、これはInめっき容器155上の溶液入口と出口管(図示せず)を通ってInめっき容器155と化学物質キャビネット(図示せず)との間で循環されることができる。Inめっき槽154または溶液または電解質は濾過され、循環中または化学物質キャビネットにある間に補充されることができる。添加物内容、In内容、温度、pH等のような種々の槽パラメータの測定及び制御はIn付着プロセスの安定性を確実にするために化学物質キャビネット中で連続的または周期的に行われることができる。ベース100または既にめっきされたCu/Ga積層に対する電気的接続はローラー、ブラシ等を含む種々の手段により実現されることができる。1つの好ましい方法はベースの基体が導電性であるならば、少なくとも1つのInめっき接触ローラー156を通してベース100の後面100Bへ電気的接触を行うことを含んでいる。Inめっき陽極157はInめっき槽154中に配置され、Inめっき電源158はInめっき陽極157とInめっき接触ローラー156との間に電位差を与えるために設けられ、それによってInはベース100が予め定められた速度で左から右へ動かされるときInめっき陽極157を横切ってそこからInめっき槽154へ露出されている既にCuとGaをめっきされた表面のセクション上にめっきされる。このようにしてCu/Ga/In積層体がベース100上に形成される。Inのめっき後、めっきされたセクションは水の噴霧139の使用によってIn洗浄装置152で洗浄を受ける。エアナイフ(図示せず)は、Inめっきされ洗浄されたセクションがIn計測ステーション180に入る前に、めっきされたInの表面およびベース100の後面を部分的または十分に乾燥するために使用されることができる。XRFプローブまたは装置が使用されるならば、In層の厚さとその下に位置するCuとGa層の厚さはIn計測ステーション180で測定されることができる。
【0047】
本発明の連続的なリールからリールへの電気めっき技術は幾つかの技術的利点を有している。これらの利点の1つは各層が新しく付着された別の層上で電気めっきされ、化学的に活性な表面を有することである。このような新しい表面上の核生成は付着後の長い期間に酸化または環境に露出される結果として不活性化される表面上の核生成よりも優れている。別の利点は電気めっきされた層の良好な厚さの均一性である。フレキシブルなベースまたは基体はめっき期間中に陽極の前面を移動するので、移動方向、即ちその長さに沿ったその均一性はベース全体を通して優れており、非常に反復可能である。フレキシブルなベースの幅に沿った均一性は最適化される唯一の要因である。フレキシブルなベースがめっき装置中のめっきゾーンには入るとき、これが常に電気的に「ホットである」ことからその他の利点が得られる。銅、In、Gaはめっき電解質中に配置されるとき異なる表面電位を有する異なる材料である。例えばCuが既にめっきされたGa層上でめっきされるならば、およびGa層が電圧を与えられずにCuめっき電解質中に浸漬されるならば、Ga表面とCu電解質との間に交換反応が存在し得る。このような交換反応はGaをCuめっき電解質に溶解させ、(無電解の方法で)Ga表面へCu付着を生じることができる。これらの反応は良好に制御されないので、Cu/(Ga+In)比のような重要なモル比の制御にはこのような反応は有害であることを認識すべきである。Ga表面がGa上に存在する適切な陰極電圧によりCuめっき電解質に入るならば、交換反応は発生せず、Cu電解質が慎重に選択されるならば、CuはGa上で電気めっきされることができる。前述のロールからロールへの方法では、フレキシブルなベースの各セクションはめっき溶液の「ホット」に入り、即ちベースに陰極電圧が存在する。それ故、種々の電解質の薄膜の溶解は避けられる。
【0048】
前述したように、他の先駆物質の積層体を得るためにより多くの処理装置が図8のシステムに付加されることができ、より多くの計測ステーションが積層体の各層の厚さを測定するために付加されることができる。例えばCu/Ga/In/Se積層体はIn計測ステーション180の後にSe処理装置(図示せず)を付加することにより得られることができる。Se処理装置はSe電気めっき装置とSe洗浄装置を具備することができる。Se計測ステーション(図示せず)は電気めっきされたSe薄膜の厚さを測定するために付加されることができる。XRF(X線蛍光)装置のような計測ツールは種々の材料のディスクリートな薄膜を具備している積層体と、このような材料の混合物または合金を含む層の組成または厚さを測定する能力を有することに注意すべきである。例えば、これらの計測ツールはCu/Ga積層とCu−Ga合金層のCuとGaの量を検出することができ、合金層の場合、これらの量は合金層中の各材料の実効的な厚さとして表されることができる。それ故、本発明はCu/Ga積層体、Cu/Ga/In積層体等のような電気めっきされた積層体が計測ステーションに入る前に、加熱処理され合金化されても依然として使用されることができる。
【0049】
Cuと、Inおよび/またはGaのような少なくとも1つのIIIA族材料を含んでいる先駆物質積層体の組成制御は本発明を使用して種々の方法で実現されることができる。これらの方法の幾つかを0.9のターゲットCu/(Ga+In)比と、200nmと110nmと340nmの厚さのターゲットCu、Ga、Inによる例示的なCu/Ga/In先駆物質積層体を処理する方法について説明する。CIGS(S)タイプの吸収体層上に製造された太陽電池では、装置の効率に影響する最も重要なパラメータの1つはCu/(Ga+In)比であることに注意すべきである。特にこの比が1.0を超えるとき、過剰なCuはCu−Seおよび/またはCu−Sのような相になり、これは低い抵抗を有し、太陽電池では低い分路抵抗を誘起するので、効率値は劇的に低下する。それ故Cu/(Ga+In)のモル比が1.0を超えないことを確実にすることが重要である。しかしながら、制御された組成を有するCu−rich CIGS(S)層を成長させ、その後化学的に(例えばシアン化物の溶液を使用して)過剰なCu−Seおよび/またはCu−S相を化学的にエッチングして、太陽電池を吸収体層上に製造する前にCu/(Ga+In)比を約1.0まで低下させることが可能である。
【0050】
太陽電池吸収体層のCu/(In+Ga)比が制御下で維持されるならば、その全体の厚さは装置の効率に影響せずに例えば少なくとも+/−10%変化されることができる。Ga/(Ga+In)比は制御することが重要であるが、効率に悪影響せずに例えば+/−10%まで変化される可能性がある。前述の説明の要点を考慮すると、本発明はCu/(Ga+In)とGa/(Ga+In)モル比を以下の方法で異なる程度へ制御するときに使用されることができる。
【0051】
第1の方法では、Cu処理装置130中のベースのセグメント上に電気めっきされるCu層の厚さはCu計測ステーション160で測定されることができる。この厚さの値が上限及び下限により規定される範囲外であるならば、110nmの例示的なターゲットを生じることを期待される公称値に関してGaめっき量を増加または減少するための信号がGa電気めっき装置141へ送信される。200nmの例示的なCuターゲットの厚さに対しては、Cuの厚さの上限及び下限はそれぞれ205nmと195nmであることができる。1例として、測定されたCuの厚さが190nmであるならば、Gaめっき電源148はセグメントがGa電気めっき装置141に入るときGaめっき電流密度を約200÷190=1.05の比率で減少させるための信号を送信することができる。測定されたCuの厚さが210nmであるならば、Gaめっき電流密度は約210÷200=1.05倍に増加されることができる。電流密度の増加はセグメントがGa電気めっき装置141に入りGa電気めっきが開始するときに変更が行われるように時間を定められることができる。Ga電気めっき後、めっきされたGa層の厚さはGa計測ステーション170で測定されることができる。Ga計測ステーション170の計測ツール201は下に位置するCu層についての厚さ情報も提供することができることに注意すべきである。実際のGaの厚さが測定されるか、Cu/Gaモル比が測定されると、コンピュータまたは制御装置は0.9の例示的なCu/(Ga+In)比ターゲットを実現するためにIn電気めっき装置150で付着されるInの必要とされる厚さを計算することができる。この目的で、340nmの本来ターゲットとされるInの厚さを生じることが期待される電流密度を増加または減少させるために信号がInめっき電源158に送られることができ、それによってInの厚さはターゲットとされるCu/(Ga+In)の比に到達または近づくように調節される。この例から認められるように、この方法は基本的にCu、Ga、In層のターゲットとする厚さを得るためではなくターゲットとされるCu/(In+Ga)の比を得ることを目的としている。CuとGa層の厚さは実際に測定され、それ故最終的なCu/(Ga+In)のモル比で生じ得るエラーは最小にされ、唯一のエラーはIn層の厚さについての生じ得る不正確性によるものである。これは勿論、各層の付着された厚さの不正確性が累積され、Cu/(In+Ga)の比がターゲットとする値を外れるかまたは1.0を超過させさえもするという測定を行わない場合よりも良好である。In処理装置150の後に設けられるIn計測ステーション180が最終的な組成を確認するためにCu/Ga層またはCu/(In+Ga)の比を超えるInの厚さを測定することができることに注意する。ターゲットCu/(In+Ga)の比を満たすために、より多くのInを既にめっきされたCu/Ga/In積層へ付加し、既にめっきされたCu/Ga/In積層からInをエッチングして除去するためにIn計測ステーションの後に少なくとも1つの同調ステーション(図示せず)も存在することができる。この同調ステーションを使用する方法は2006年4月4日出願の米国暫定出願第60/744,252号明細書(発明の名称“Composition Control for Photovoltaic Thin Film Manufacturing”)でより詳細にされている。
【0052】
別の方法では、Cu計測ステーション160が使用されなくてもよい。Ga計測ステーション170はCu/Ga積層体内のGaとCuの厚さを測定でき、前述したように付着されたInの厚さを制御するために信号をInめっき電源158へ送信する。
【0053】
さらに別の方法では、電気めっき電源の制御はターゲットとするCu、Ga、Inの厚さと、Cu/(In+Ga)の比に到達するための方法で実行されることができる。例えばCuの電気めっきされたセグメントの厚さがCu計測ステーション160で測定されるとき、ターゲットとするCuの厚さを実現するためにCuめっき電流密度を調節するために信号がCuめっき電源138へ送られることができる。測定されたCuの厚さがターゲットとする厚さよりも大きいならば、電流密度は減少される。測定されたCuの厚さがターゲットとする厚さよりも小さいならば、電流密度は増加されることができる。このようにして、めっきされるCuの厚さはターゲット値に近く維持される。類似の方法が積層体の全ての層の厚さをターゲットとする値にまたはその値に近く維持するためGaとInのめっきで使用されることができる。この方法はベースのセグメント上に既に付着された層の厚さを修正しようとしないことに注意すべきである。むしろ、ベースの後のセグメントに付着される層の厚さを制御することを意図する。この方法では、計測または厚さ測定は連続的にまたは断続的に実行されることができる。
【0054】
先に要約した薄膜の厚さ制御方法はシステムの性能の改良において混合されることもできる。換言すると、1方法はCuの厚さ制御に使用されることができ、一方で別の方法はInおよび/またはGa薄膜の厚さ制御に使用されることができる。プロセスのあるステップ、例えばCu電気めっきステップが非常に安定であり、予め定められためっき電流密度及びベース速度で反復可能なCuの厚さを提供するならば、計測ステーションはそのステップで使用さなくてもよい。
【0055】
任意の計測ステーションで多数の計測ツールを使用し、このような計測ツールを使用する電気めっき装置のセグメント化された陽極を制御することが可能である。例えば図9はCu電気めっき装置131とCu洗浄装置132を具備するCu処理装置130と、Cu計測ステーション160のような処理装置と計測ステーションの平面図を示している。図9に示されているように、Cu計測ステーション160には2以上の計測ツールが存在してもよい。第1の計測ツール201Aはベース100の中心領域のCuの厚さを測定するために配置されることができ、第1の計測ツール201Aにより集められるデータはめっき電流をベース100の中心領域に提供する第1のCuめっき陽極セグメント137Aに接続される第1のCuめっき電源138Aを制御するために使用されることができる。同様に、第2の計測ツール201Bと第3の計測ツール201Cはベース100の2つのエッジ領域のCuの厚さを測定するために配置されることができ、これらの計測ツールにより集められるデータはそれぞれ第2のCuめっき陽極セグメント137Bと第3のCuめっき陽極セグメント137Cに接続されている第2のCuめっき陽極セグメント137Bと第3のCuめっき電源138Cを制御するために使用されることができる。このようにして、エッジから中心のCuの厚さの均一性はベースにおいて改良されることができ、ターゲットの厚さはベースの表面全体にわたって実現されることができる。例えば第1のCuめっき電源138Aにより与えられる増加されためっきの電流密度はベース100の中心領域のCuの厚さを増加し、第2のCuめっき電源138Bおよび/または第3のCuめっき電源138Cにより与えられる増加されるめっきの電流密度はベースのエッジ領域のCuの厚さを増加する。計測ツール201A、201B、201Cはxとy方向で動かされることができることに注意すべきである。円形等のような他の運動も任意のこれらの計測ツールに与えられることができる。このような運動はベース100のどの領域が集められた厚さデータに含まれるかを規定する。ベース100はめっき及び計測期間中に、0.1−5cm/秒の範囲であることができる予め定められた速度でx方向に動く。それ故、動く計測ツールにより集められる厚さデータは、計測ツールがベース100と同じ速度及び方向で動かされなければ、ベース100上の幾つかの点上で平均値である。
【0056】
計測ツールの測定は連続的または断続的に行われることができ、それ故種々のめっき電源の制御は連続的または断続的に、例えば10秒毎または60秒毎等で行われることができることに注意すべきである。これらの例では、めっき電流密度はターゲットとされる厚さまたは電気めっき積層体の組成を実現するために変化されることができたが、めっきされる材料の厚さを制御するためにベース100の速度を変更することも可能である。与えられためっき電流密度とめっきセルまたは装置の固定された長さで、めっきされる材料の厚さはベース100の速度が増加する程小さくなる。しかしながらロールからロールへのプロセスでは、ベース100の速度の変化はめっきされる全ての層の厚さに影響する。このことは付着された薄膜の厚さを変化するためにパラメータの1つとして可変速度を使用する制御方法を設計することについて考慮する必要がある。別の実施形態では、運動する基体上の電気めっきされた薄膜の厚さの変化は基体が付着のために動くめっきセルの実効的な電気めっき長さを変更することにより実現されることができる。例えば図8に戻って参照すると、CuめっきセルまたはCu電気めっき装置131の長さは「L」である。入口スリット135Aを通ってCu電気めっき装置131に入るベース100の前面100Aの領域は、Cuめっき槽134に露出されめっき電流がCuめっき陽極137からその領域へ通過するときめっきを開始する。領域の付着はこれが出口スリット135Bを通ってCu電気めっき装置131を出るまで継続する。それ故、領域上に付着されたCu薄膜の厚さは陽極のシャドーピース137AがCuめっき陽極137とベース100の前面100Aとの間に導かれるならば減少されることができる。図8に示されているように、陽極のシャドーピース137Aの長さにしたがって、「実効的なめっきの長さ」は「L」の新しい値に減少されることができる。陽極のシャドーピース137Aが拡張可能であるならば、これが与えるシャドーの量はめっきプロセス期間中でさえも変化されることができ、それ故付着される薄膜の厚さが操作されることができる。例えば付着されるCuの厚さを減少させるために計測ステーションから来る信号はCu付着電流密度を下げるか、または陽極のシャドーピース137Aを拡張するか、この両者を行う。
【0057】
前述の説明では、Cuと、GaとInの少なくとも1つとを有する先駆物質積層体の全ての成分を電気めっきするロールからロールへのシステムについて説明する。これは電気めっきされた層の多数の処理を回避し、新しく付着されたアクチブ表面上に電気めっきを行うので、好ましい方法である。しかしながら、本発明は与えられた積層体の個々の層または幾つかの層を電気付着するシステムに適用されることもできる。例えば、所望される積層体がCu/Ga/In積層体であるならば、第1のシステムはCu層をベースに付着するために使用されることができる。第2のシステムはその後、Ga層をCu層上に電気めっきし、第3のシステムはIn層をCu/Ga積層上に電気めっきできる。この場合、電気めっき電流密度の変化とベース速度の変化の両者は単一の層の厚さを制御するために容易に使用されることができるので、組成/厚さ制御は簡単に行うことができる。勿論、第1のシステムの2つの層と別のシステムの第3の層を電気めっきすることが可能である。例えば第1のシステムはCu層を付着し、第2のシステムはGaとIn層を付着することができる。代わりに、第1のシステムはCu/Ga積層体を付着でき、第2のシステムは上部のIN層を付着できる。
【0058】
Cu、In、Gaの純粋な元素の代わりに、本発明は電気めっき装置中で合金または混合物を電気めっきし、これらの合金または混合物の組成を計測ステーションで感知することができる。したがって、合金層またはサブ層を有する先駆物質積層体が得られることができる。このような積層体はCu−Ga/In、Cu−In/Ga、Cu−Ga/Ga/In、Cu/In−Ga、Cu−In/Ga/Cu等を含んでいるがそれらに限定されず、Cu−GaはInとGaの合金および混合物である。太陽電池の製造で使用されるベースの最も普通の形態はフレキシブルなホイルであるが、例えば、円筒形装置を製造するためにワイヤの形態のベースを有することが可能である。実際に、ワイヤは多くの異なる断面形状を有することができる。本発明のロールからロールへの処理方法はワイヤの形態のベースを含めた任意のフレキシブルなベースの処理に応用可能である。
【0059】
本発明の(Cu/Ga/In/Se積層のような)先駆物質積層体、合金または混合物または「金属先駆物質/VIA族材料」積層体が形成されると、これらの層のVIA族材料との反応および、さらに別の反応が種々の手段により実現されることができる。例えば、これらの層は上昇された温度でVIA族蒸気に露出されることができる。これらの技術はこの分野でよく知られており、これらは固体のSe、固体のS、固体のTe、HSeガス、HSガス等のソースにより提供されるSe蒸気、S蒸気、Te蒸気の少なくとも1つの存在下において5分から1時間の範囲にわたる期間で、350−600℃の温度範囲まで層を加熱する処理を含んでいる。別の実施形態では、VIA族材料の単一層または多層はさらに金属の先駆物質層上に付着され、炉または急速な熱焼なまし炉中等で加熱される。VIA族材料は別々のプロセス装置で金属の先駆物質層上に蒸着され、スパッタリングされまたはめっきされることができる。代わりにVIA族ナノ粒子を含むインクが準備され、これらのインクはVIA族ナノ粒子を含むVIA族材料層を形成するために先駆物質層上に付着されることができる。浸漬、噴霧、ドクターブレードまたはインク書き技術はこのような層を付着するために使用されることができる。反応は温度に応じて1分から60分間の範囲の時間、上昇された温度で実行されることができる。反応の結果として、IBIIIAVIA族化合物が形成される。表面上に十分に形成されたCIGS(S)層を有するフレキシブルなホイルベースが電気めっき及び反応ステップ後に巻取りスプール21に巻かれることができるようにプロセス全体を一列で実行するように本発明のシステムに反応室が付加されることもできることに注意すべきである。
【0060】
太陽電池はこの分野でよく知られた材料と方法を使用して、本発明のIBIIIAVIA族化合物層で製造されることができる。例えば薄い(<0.1ミクロン)CdS層が化学浸漬方法を使用して化合物層の表面上に付着されることができる。ZnOの透明な窓がMOCVDまたはスパッタリング技術を使用してCdS層に付着されることができる。金属のフィンガパターンが太陽電池を完成するためにZnO上に随意選択的に付着される。
【0061】
本発明を幾つかの好ましい実施形態に関して説明したが、その変形は当業者に明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】1実施形態のプロセスステップを示す図。
【図2】中心ハンドラの周囲の種々のチャンバを有するクラスタツール構造を示す図と、本発明の1実施形態による組成物制御能力を有するインラインツール構造を示す図。
【図3】集積された付着ステーション/計測ステーションの対を示す図。
【図4】少なくとも1つの付着ステーションと少なくとも1つの計測ステーションと少なくとも1つの同調ステーションを使用するロールからロールの電気めっきシステムを示す図。
【図5】IBIIIAVIA族吸収体層を使用する太陽電池の断面図。
【図6】IBIIIAVIA族吸収体層の形成に使用されることができる先駆物質層を付着するためのロールからロールの電気めっきシステムの概略図。
【図7】フレキシブルなホイルのベースと、電気めっきされたCu/Ga/In先駆物質積層体を有するフレキシブルなホイルのベースの図。
【図8】それぞれの関連される計測ステーションを有するCu処理装置、Ga処理装置、In処理装置を具備するロールからロールの電気めっきシステムの側面図。
【図9】Cu処理装置とCu計測ステーションの平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の順次配置された電気めっき装置中において複数の薄膜の積層を連続的に移動するロールからロールへ移動するシートへ電気めっきする方法において、
各電気めっき装置中に配置されるとき、ロールからロールへ移動するシートの上部表面の連続的な部分がその上に電気めっきが行われるように位置されるように、複数の順次配置された電気めっき装置のそれぞれを通ってロールからロールへ移動するシートを連続的に移動させ、
ロールからロールへ移動するシートが動くとき各電気めっき装置を使用して各薄膜をロールからロールへ移動するシートの上部表面上に連続的に電気めっきし、複数の薄膜はCu、In、Ga元素を含んでおり、
ロールからロールへ移動するシートの一部上へ電気めっきされた薄膜の少なくとも1つの厚さを検出し、それに対応して厚さの信号を発生するステップを含んでおり、
前記連続的に電気めっきするステップにおいて、
ロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのその次の部分に対して薄膜の厚さ信号を使用してその薄膜の予め定められた厚さ値へ各薄膜の厚さを調節し、
前記検出ステップ後、複数の薄膜の積層された層が元素の予め定められたモル比範囲を有するように、付着された各元素の量に基づいて複数の薄膜を同調するステップを含んでいる方法。
【請求項2】
連続的に電気めっきするステップは、ロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分についての薄膜の厚さ信号を使用してその薄膜の予め定められた厚さ値へ各薄膜の厚さを調節し、
厚さを検出するステップは各薄膜の厚さを検出する請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の順次配置された電気めっき装置は少なくとも1つのCu電気めっき装置と、少なくとも1つのGa電気めっき装置と、少なくとも1つのIn電気めっき装置とを含んでいる請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記検出するステップはX線蛍光を使用して行われる請求項2記載の方法。
【請求項5】
調節するステップは、厚さ信号に基づいて電気めっき装置により使用される付着電流密度を変化し、それによって薄膜のそれに続く部分の厚さを調節する請求項2記載の方法。
【請求項6】
調節するステップは、厚さ信号に基づいて電気めっき装置により使用される実効電気めっき処理の長さを変化し、それによって薄膜のそれに続く部分の厚さを調節する請求項2記載の方法。
【請求項7】
検出するステップは、対応する複数の厚さ信号を得るために、連続的に移動するロールからロールへ移動するシートの幅を横切った複数の位置で薄膜の厚さを検出し、
調節するステップは、厚さが検出位置を考慮して調節されるように、ロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分について複数の厚さ信号を使用して予め定められた厚さ値へ薄膜の厚さを調節する請求項2記載の方法。
【請求項8】
対応する複数の厚さ信号は、調節するステップにおいてそれぞれ対応する複数の陽極電流密度を制御する請求項7記載の方法。
【請求項9】
対応する複数の厚さ信号はそれぞれ対応する複数の陽極の実効電気めっき処理の長さを調節するステップにおいて制御する請求項7記載の方法。
【請求項10】
検出するステップはX線蛍光を使用して行われる請求項7記載の方法。
【請求項11】
連続的にめっきするステップにおいて、
検出ステップの後、複数の薄膜の積層された層が予め定められたモル比範囲を有するように、付着される各元素の量に基づいて複数の薄膜を同調するステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項12】
同調するステップは、予め定められたモル比範囲で使用される元素の1つを含んでいる別の薄膜を付着する請求項11記載の方法。
【請求項13】
同調するステップは、複数の順次配置された電気めっき装置の少なくとも1つを使用して別の薄膜を付着する請求項12記載の方法。
【請求項14】
同調するステップは、複数の薄膜の上部の薄膜の部分を除去する請求項11記載の方法。
【請求項15】
同調するステップは、複数の順次配置された電気めっき装置の少なくとも1つを使用して一部分を除去する請求項14記載の方法。
【請求項16】
検出するステップは、X線蛍光を使用して行われる請求項11記載の方法。
【請求項17】
検出するステップは、複数の薄膜のそれぞれが与えられた後にそれぞれ複数回行われ、さらに複数の検出ステップのそれぞれにおいて得られる測定から実際のモル比範囲を得るステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項18】
付着するステップは、めっき槽を含んでいる複数の順次配置された電気めっき装置の1つにおいて電気めっきを使用し、同調するステップは、前記めっき槽とは異なる別のめっき槽を含んでいる複数の順次配置された電気めっき装置の別のものから電気めっきするステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項19】
連続的に電気めっきするステップは、
複数の薄膜の第1の薄膜を連続的に移動するロールからロールへ移動するシートの上部表面に連続的に電気めっきするステップを含み、
検出するステップは第1の薄膜の厚さを検出し、それに対応する厚さ信号を発生するステップを含み、
連続的に電気めっきするステップはさらに、第1の薄膜上に複数の薄膜の第2の薄膜を連続的に電気めっきするステップを含んでおり、第2の薄膜は第1の薄膜とは異なる組成を有し、電気めっきされた第2の薄膜の厚さは第1の薄膜の厚さ信号により制御される請求項1記載の方法。
【請求項20】
第1の薄膜はCu、In、Ga元素の中の2以下の元素を含んでおり、第2の薄膜は第1の薄膜に含まれていないCu、In、Ga元素の少なくとも1つを含んでいる請求項19記載の方法。
【請求項21】
厚さ信号による制御は運動する基体に沿った実質的な各位置において、第1の薄膜の第1の元素と第2の薄膜の第2の元素とのモル比を実質的に同じにする請求項19記載の方法。
【請求項22】
第1の材料と第2の材料はそれぞれCu、In、Ga元素の少なくとも1つを含んでいる請求項21記載の方法。
【請求項23】
上部表面はRu、Os、Irの少なくとも1つで構成されている請求項22記載の方法。
【請求項24】
検出するステップは、X線蛍光を使用して行われる請求項23記載の方法。
【請求項25】
検出するステップは、X線蛍光を使用して行われる請求項19記載の方法。
【請求項26】
第1の薄膜は少なくとも第1のサブ薄膜と第2のサブ薄膜からなり、各第1及び第2のサブ薄膜は別々に電気めっきされ、
検出するステップは両サブ薄膜の厚さを同時に検出し、それによって第1のサブ薄膜の厚さ信号と第2のサブ薄膜の厚さ信号とを発生し、
第1のサブ薄膜の厚さ信号と第2のサブ薄膜の厚さ信号とは、両者ともに第2の薄膜を連続的にめっきするステップで使用される厚さ信号を発生するために使用される請求項19記載の方法。
【請求項27】
検出するステップはX線形光を使用して行われる請求項26記載の方法。
【請求項28】
第1のサブ薄膜はCuであり、第2のサブ薄膜はGaである請求項26記載の方法。
【請求項29】
さらに、検出するステップの前に第1の薄膜を熱処理するステップを含んでいる請求項28記載の方法。
【請求項30】
さらに、第2の薄膜上に第3の材料を電気めっきするステップを含んでいる請求項19記載の方法。
【請求項31】
さらに、ロールからロールへ移動するシートが移動するとき電気めっき装置を使用して、第3の薄膜を第2の薄膜上に連続的に電気めっきし、
第2の薄膜の一部に電気めっきされる第3の薄膜の厚さを検出し、それに対応する別の厚さ信号を発生するステップを含んでおり、
第3の薄膜を連続的に電気めっきするステップは、ロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分に対して別の厚さ信号を使用して予め定められた厚さ値へ第3の薄膜の厚さを調節する請求項19記載の方法。
【請求項32】
検出する両ステップはX線蛍光を使用して行われる請求項31記載の方法。
【請求項33】
検出するステップにおいては、対応する複数の厚さ信号を得るために、連続的に移動するロールからロールへ移動するシートの幅を横切った複数の位置で第1の薄膜の厚さを検出し、
調節するステップにおいては、厚さが検出位置を考慮して調節されるように、ロールからロールへ移動するシート部分に続くロールからロールへ移動するシートのそれに続く部分について複数の厚さ信号を使用して第2の薄膜の厚さを調節する請求項19記載の方法。
【請求項34】
さらに、Seを複数の薄膜の少なくとも1つに供給するステップを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項35】
複数の順次配置された電気めっき装置を使用してロールからロールへ連続的に移動するシートへの複数の薄膜の電気めっきを制御する方法において、
各電気めっき装置に配置されるとき、ロールからロールへ移動するシートの上部表面の連続的な部分がそこで電気めっきが行われるように位置されるように、複数の順次配置された電気めっき装置のそれぞれを通ってロールからロールへ移動するシートを連続的に移動させ、
連続的にロールからロールへ移動するシートの上部表面上に第1の薄膜を連続的に電気めっきし、
対応する複数の厚さ信号を得るためロールからロールへ連続的に移動するシートの幅を横切った複数の位置で電気めっきされた第1の薄膜の厚さを検出し、
第1の薄膜上に第2の薄膜を連続的に電気めっきするステップを含んでおり、第1及び第2の薄膜は共にCu、In、Gaを含んでおり、
複数の厚さ信号は検出位置を考慮して厚さが調節されるように第1の薄膜と第2の薄膜の少なくとも1つの厚さを調節するために使用される電気めっきの制御方法。
【請求項36】
検出するステップは、基体の幅を横切る各位置で厚さを調節する程度を決定するためのアルリズムを適用するステップを含んでいる請求項35記載の方法。
【請求項37】
検出するステップは、X線蛍光を使用して行われる請求項35記載の方法。
【請求項38】
第1の薄膜はCuを含み、第2の薄膜はGaを含んでいる請求項35記載の方法。
【請求項39】
第2の薄膜はさらにInを含んでいる請求項38記載の方法。
【請求項40】
さらに、第1の薄膜と第2の薄膜の少なくとも1つへSeを供給するステップを含んでいる請求項35記載の方法。
【請求項41】
さらに、第1の薄膜と第2の薄膜の少なくとも1つへSeを供給するステップを含んでいる請求項39記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−532588(P2009−532588A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504456(P2009−504456)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/065991
【国際公開番号】WO2007/115318
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(506313741)ソロパワー、インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】