ロールオーバー判定装置
【課題】揺り返しが考慮されたロールオーバー判定を行うことができるロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明によるロールオーバー判定装置は、車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明によるロールオーバー判定装置は、車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールオーバーの有無を判定するロールオーバー判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロールレイトと横方向加速度とに基づいてロールオーバーの種類を識別し、当該識別したロールオーバーの種類に応じて、ロールオーバー判定用閾値を変更するロールオーバー判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来のロールオーバー判定装置によれば、ロールオーバーの種類に応じて適切なロールオーバー判定用閾値を設定することで、ロールオーバー判定精度を高めることを可能とする。
【特許文献1】特開2002−200951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ロール時における実際の車両の挙動として、車両が一方の側に大きくロールしたが、ロールオーバーに至らず水平状態に復帰し、反動で更に反対側にロールするという揺り返しがある。従って、ロールオーバー判定の際には、このような揺り返しに対してロールオーバーであると判定しないように、ロールオーバー判定用閾値を設定する必要がある。この点、上記従来のロールオーバー判定装置では、ロールオーバー判定用閾値の変更際に揺り返しが考慮されていないため、揺り返しに対してロールオーバーであると判定してしまう可能性を残す。一方、揺り返しに対してロールオーバーであると判定しないようにロールオーバー判定用閾値を高めに設定すると、実際のロールオーバー時に判定の遅れを招くという不都合が生ずる。
【0004】
そこで、本発明は、揺り返しが考慮されたロールオーバー判定を行うことができるロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、
車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、
揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする、ロールオーバー判定装置が提供される。
【0006】
本発明において、判定禁止手段は、前記他方の側から前記一方の側への更なる揺り返しを考慮するため、前記一方の側でのロールオーバーの判定についても禁止してよい。
【0007】
また、本発明において、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定するものであってよい。また、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定するものであってもよい。例えば、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定することができる。或いは、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定することもできる。
【0008】
また、本発明による第1の局面において、揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定し、判定禁止手段は、ロール角の絶対値が該所定値以下となった後、所定時間経過後に、前記禁止を解除するものであってよい。或いは、揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が第1所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転し、更に、ロールレイトの絶対値が第2所定値以上となった場合に、揺り返しと判定し、判定禁止手段は、ロールレイトの絶対値が前記第2所定値以下となった場合に、前記禁止を解除するものであってよい。
【0009】
本発明において、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定するものであってよい。また、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定するものであってもよい。例えば、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定することができる。或いは、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、揺り返しが考慮されたロールオーバー判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明によるロールオーバー判定装置の一実施例を示すシステム構成図である。本実施例のロールオーバー判定装置10は、エアバック等の乗員保護装置22の制御を統括するECU12を中心に構成される。但し、ロールオーバー判定装置10の機能は、他のECUや別途特別に設けられるマイクロコンピューターにより具現化されてもよい。
【0013】
ECU12は、図1に示すように、車両に作用する左右方向(車幅方向)の加速度を検出する左右加速度センサ14、及び、ロール方向の角速度を検出するロールレイトセンサ16を内蔵している。左右加速度センサ14及びロールレイトセンサ16からの検出信号gy、rrは、ECU12のCPU18にそれぞれ入力される。CPU18は、左右加速度センサ14及びロールレイトセンサ16の検出信号gy、rrに基づいて、ロールオーバーの発生の有無を判定する。CPU18は、ロールオーバーが発生したと判定した場合、点火回路20に駆動信号を供給し、カーテンシールドエアバックやシートベルトプリテンショナ等の乗員保護装置22を駆動させる。尚、本発明は、特に乗員保護装置22の種類を特定するものではなく、本発明は、ロールオーバー発生時に起動されるあらゆる乗員保護装置に対して適用可能である。
【0014】
図2は、CPU18のブロック図である。CPU18は、主要部として、入力/演算部30と、判定部40とを含む。入力/演算部30には、ロールレイトセンサ16からのロールレイト信号rr、及び、左右加速度センサ14からの左右加速度信号gyが入力される。
【0015】
図3は、入力/演算部30のブロック図である。図3に示すように、ロールレイトセンサ16からのロールレイト信号rrは、A/Dサンプリング、ゼロ点学習、入力レンジ制限等の補正処理を受け、次いで、ローパスフィルタLPF1によるフィルタリング処理(高周波成分の除去)を受ける。これらの処理後のロールレイト信号rr’は、ロールレイトRRとして出力されると共に、ロール角の演算に使用され(即ち、積分演算によりロール角が導出され)、ロール角RAが出力される。同様に、左右加速度センサ14からの左右加速度信号gyは、補正処理を受け、次いで、ローパスフィルタLPF3によるフィルタリング処理を受けて、左右加速度GYとして出力される。尚、本発明は、入力/演算部30で行われる信号処理を特定するものでなく、本発明は、如何なる方法で導出されたロールレイトRR及びロール角RAに対しても適用可能である。
【0016】
図4は、判定部40のブロック図である。判定部40は、入力/演算部30で算出したロールレイトRR、ロール角RA及び左右加速度GYを用いて、ロールオーバー判定を実行する。この際、図4に示すように、判定部40は、ロールレイトRRとロール角RAの関係に基づくロールオーバー判定用マップ(以下、「RR−RAマップ」という)、及び、ロールレイトRRと左右加速度GYの関係に基づくロールオーバー判定用マップ(以下、「RR−GYマップ」という)を用いて、それぞれ独立して(並列的に)ロールオーバー判定を実行する。
【0017】
更に、上記RR−RAマップ及びRR−GYマップのそれぞれに対して、衝突の有無に応じて2種類のマップがそれぞれ用意されてもよい(この場合、全体として合計4種類のロールオーバー判定用マップが用意されることになる)。例えば、図4に示す実施例では、衝突を伴うロールオーバー判定用マップとして、衝突系RR−RAマップ及び衝突系RR−GYマップが、衝突を伴わないロールオーバー判定用マップとして、非衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−GYマップが用意されている。尚、ここでいう衝突とは、前突や側突のような大きな加速度が生ずる車両同士の衝突ではなく、例えば2〜3G(G=重力加速度)程度の加速度が生ずる衝突を指す(例えば、車両横滑り後の縁石等との車輪の衝突)。
【0018】
これに応じて、衝突系若しくは非衝突系マップのそれぞれに対して、異なる演算値(ロールレイトRR、ロール角RA及び左右加速度GY)が用いられてもよい。例えば、図1に示すように、衝突を伴わない場合の低い加速度を検出するための左右加速度センサ14の他に、衝突を伴う場合の高い加速度を検出するための加速度センサ14aが設けられてよい。この場合、加速度センサ14aの左右加速度信号gy2は、入力/演算部30で、カットオフ周波数の大きいローパスフィルタLPF4によるフィルタリング処理を受けてよい。また、ロールレイトRR及びロール角RAについても、図3に示すように、入力/演算部30にて別々に異なる処理(例えば、カットオフ周波数の大きいローパスフィルタLPF2を用いる)若しくは同一の処理を施されることで、衝突系及び非衝突系マップ用の別々のロールレイトRR及びロール角RAが演算されてもよい。
【0019】
以下の説明では、非衝突系RR−RAマップ用に演算された左右加速度GY、ロールレイトRR及びロール角RAは、符号Loを付加することにより、衝突系RR−RAマップ用に演算された各値は、符号Hiを付加することにより指示するものとする。例えば、非衝突系RR−RAマップ用のロールレイトは、“ロールレイトRRLo”で表わす。
【0020】
尚、前突や側突は、CPU18により別途行われる前突判定及び側突判定により検出される。図4に示す判定部40は、前突判定及び側突判定の成否に応じて制御を切り換えるように構成されており、例えば、図4示すように、前突及び側突の何れも生じていないと判定された場合にのみ、衝突系及び非衝突系RR−GYマップ判定の結果を有効とするように構成されている。尚、上述の衝突判定、及び、前突判定及び側突判定の結果は、それぞれ一定時間保持されるように構成されてよい。
【0021】
本発明は、非衝突系RR−RAマップ判定に主に関連するので(これらの詳細については後述する)、以下では、RR−GYマップ判定の説明は省略し、判定部40の非衝突系RR−RAマップ判定部41について詳説する。
【0022】
図5は、非衝突系RR−RAマップ判定部41のブロック図である。非衝突系RR−RAマップ判定部41は、揺り返し判定部42と、マップ判定処理部44と、マップ選択部46とから構成される。
【0023】
揺り返し判定部42は、車両の揺り返しの有無を判定する。ここで、車両の揺り返しとは、車両が一方の側に大きくロールしたが、ロールオーバーに至らず水平状態に復帰し、反動で更に反対側にロールする現象を指す。マップ判定処理部44は、上述した2種類のRR−RAマップ(即ち、衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−RAマップ)を用いて4種類のマップ判定処理(後述する)を実行する。マップ選択部46は、揺り返し判定部42による判定結果に応じて、マップ判定処理部44による各種判定結果の中から最終的な点火判定に利用される判定結果を選択する。
【0024】
以下、これら揺り返し判定部42、マップ判定処理部44及びマップ選択部46について順に詳説する。
【0025】
揺り返し判定部42は、以下の条件(1)、(2)及び(3)が成立した場合に、“揺り返し”と判定する。
(1)ロール角RAが所定の閾値TH_RA1S+(符合プラス)を超える(即ち、RA>TH_RA1S+)。
(2)(1)の成立後、ロール角RAが減少し始める。即ち、ロールレイトRRが所定の閾値TH_RR1L−(符合マイナス)より小さくなる(RR<TH_RR1L−)。
(3)ロール角RAの減少速度が所定の速度よりも速い。即ち、ロールレイトRRが、所定の閾値TH_RR1H−(符合マイナス)より小さくなる(RR<TH_RR1H−)。
尚、以上の各条件(1)、(2)及び(3)は、ロール角RAが増加する方向に車両がロールした場合の条件であり、ロール角RAが減少する方向、即ち逆方向にロールした場合の条件としては、上記各閾値の符合と不等号の向きが反転したものが使用される。尚、本明細書及び添付図面において、各閾値の参照符合の後方に付けられた+−の符合は、当該閾値の正負を表わしている。
【0026】
尚、オフロード(悪路)等においては、車両が一方の側にロールし、その後ロールオーバーに至らずに、ゆっくりと水平状態に戻る場合がありうる。上記条件(3)は、かかる場合を“揺り返し”と判定しないように定められたものである。
【0027】
図6は、上述の揺り返し判定部42による判定処理をブロック図で表わしたものである。揺り返し判定部42は、図6に示すように、ロール方向に応じて2種類の揺り返し判定を行うように構成されている。図7に示すような、ロールレイトRRを縦軸にロール角RAを横軸にとった2次元マップを想定すると、ロール方向に応じて、第1象限若しくは第3象限(ロール角RA及びロールレイトRRが同符合となる象限)でロールオーバーが判定される。本実施例では、揺り返し判定部42が、ロール方向に応じて2種類の揺り返し判定を行い、以下で詳説する如く、揺り返し判定部42による各揺り返し判定結果が、第1及び第3象限でのロールオーバー判定に反映されるようにされている。尚、本明細書及び添付図面において、第1象限でのロールオーバー判定に反映される揺り返し判定を「第1象限揺り返し判定」と、第3象限でのロールオーバー判定に反映される揺り返し判定を「第3象限揺り返し判定」という。
【0028】
第1象限揺り返し判定と第3象限揺り返し判定は、対称性故に、実質的に同一であるため(即ち、相違は、上述の各条件(1)、(2)及び(3)の各閾値の符合と不等号の向きが逆である点のみである)、以下、図8を参照して、第3象限揺り返し判定についての具体例についてのみ説明する。
【0029】
図8(A)及び図8(B)のRR−RAマップ上の曲線で示すように、車両がロールし始めると、ロール角RAが増加し始める(それに伴い、ロールレイトRRが正方向に増加)、車両が最大限にロールした時点からロール角RAが減少し始める(それに伴い、ロールレイトRRが正の値から負の値に遷移)。尚、この間、ロール角RAとロールレイトRRとの関係が、図8(A)及び図8(B)に示すようなロールオーバー判定用閾値TH1を超えた場合には、ロールオーバーが発生したと判定される(この場合、第1象限でのロールオーバー)。一方、ロールオーバーに至らない場合には、揺り返しが開始され、水平状態へと車両が復帰する(図中、Zにより水平状態に対応する曲線上の点を指示)。この際、図8(A)及び図8(B)に示すように、比較的速い速度(即ち、大きい絶対値のロールレイトRR)でロール角RAが減少していく。
【0030】
上述の各条件(1)、(2)及び(3)は、揺り返し時の上述のロール角RAとロールレイトRRとの関係の傾向に着目して、定められたものである。図8(A)及び図8(B)には、条件(1)及び条件(2)が画成する領域X、及び、条件(3)が画成する領域Yが示されている。
【0031】
条件(1)及び条件(2)と、条件(3)とは、路面状態やロールの原因等に依存して、図8(B)に示すように、同時に満たされる場合や、図8(A)に示すように、条件(1)及び条件(2)の成立後、所定時間内に条件(3)が満たされる場合が考えられる。本実施例の揺り返し判定部42には、いずれの場合に対しても“揺り返し”と判断できるように、ホールドタイマ43が設けられる(図6参照)。ホールドタイマ43は、一旦条件(1)及び条件(2)が成立した場合には、その後に条件(1)及び条件(2)が不成立となった場合であっても、当該不成立後に一定時間T3sRR1、条件(1)及び条件(2)の成立状態を維持させるものである。即ち、ホールドタイマ43は、論理が“真”から“偽”に変化した際に、一定時間“真”を保持し続けるもので、条件(1)及び条件(2)が成立しなくなった後も一定時間T3sRR1、条件(3)の判定を有効にするためのものである。このように、本実施例の揺り返し判定部42は、図8(A)に示すようなロールレイトRR及びロール角RAが描く曲線に対しても、“揺り返し”と判断できるように構成されている。
【0032】
尚、上述の各閾値及び“真”を保持する一定時間(ホールド時間:第1及び第3象限揺り返し判定用の各ホールド時間をそれぞれ符合T1sRR1、T3sRR1で指示)の具体的な値は、実験的に適合される適合値である。
【0033】
再度図8(A)及び図8(B)を参照して説明を続けるに、上述の如く、車両が一方の側にロールし、水平状態へと戻されると、次に、車両は他方の側にロールし始める。この間、ロール角RAとロールレイトRRとの関係が、図8(A)及び図8(B)に示すようなロールオーバー判定用閾値TH1を超えた場合には、ロールオーバーが発生したと判定される(この場合、第3象限でのロールオーバー)。
【0034】
ところで、図8(A)及び図8(B)からも明らかなように、揺り返し発生時には、比較的高いロールレイトRR(絶対値が大きいロールレイトRR)で他方の側にロールし始めることになる。従って、従来的に、ロール角RAとロールレイトRRとの関係に基づくロールオーバー判定用閾値TH1を、ロール方向に応じて対称に設定する場合では、図9(A)に示すように、揺り返し時のロールに対してロールオーバーとの判定がなされ易くなる。これを防止するために、ロールオーバー判定用閾値TH1を比較的高めに設定することも考えられるが、この場合、図9(B)に示すように、水平状態から急激にロールしてロールオーバーに至る場合に対して、応答遅れ(即ち、要求時間内に判定できない)が生じてしまう可能性がある。尚、図9(C)には、図9(A)及び図9(B)の曲線上の各点と対応する車両のロール状態が概略的に示されている。
【0035】
これに対して、本実施例では、以下で更に詳説するように、揺り返し判定部42により“揺り返し”が判定され、揺り返しが発生したと判定された場合には、図8(A)及び図8(B)に示すように、ロールオーバー判定用閾値TH1が、より鈍感な閾値TH2(破線により指示)に変更される。これにより、揺り返し時のロールに対しては、ロールオーバーとの判定がなされ難くすることができると共に、揺り返しでないロールに対しては、応答遅れが生ずることなくロールオーバー判定を行うことができる。
【0036】
ここで、「ロールオーバー判定用閾値TH1をより鈍感な閾値TH2に変更する」とは、典型的には、第1象限のロールオーバー判定用閾値TH1については、当該値を大きくすることを意味し、第3象限のロールオーバー判定用閾値TH1については、当該値を小さくすることを意味する。
【0037】
尚、本実施例のロールオーバー判定用閾値TH1は、高いロールレイトRRでのロール角RAの増加時(若しくは減少時)、及び、上限値(下限値)を超えるロール角RAの増加時(若しくは減少時)にロールオーバーと判定できるように、図示のような折れ線により実現されている。しかしながら、本発明は、特にこれに限定されるものではなく、本発明は、車両の過剰なロール状態を判定するのに適した如何なるロールオーバー判定用閾値に対しても適用可能である。また、変更後の閾値TH2は、必ずしも図示のようにロールオーバー判定用閾値TH1を所定方向にオフセットしたものである必要はなく、ロールオーバー判定用閾値TH1よりも鈍感なものでありさえすれば、如何なる値であってもよい。更に、第1象限及び第3象限のロールオーバー判定用閾値TH1、及び、第1象限及び第3象限の変更後の各閾値TH2は、必ずしも図示のように対称に設定される必要もない。
【0038】
揺り返し判定部42は、上述の如く第1象限揺り返し判定及び第3象限揺り返し判定を並列的に実行し、その判定結果を出力する(図6の出力s3、s1参照)。
【0039】
尚、条件(1)、(2)及び(3)が上述の如く成立した場合には、揺り返し判定として“真”が出力されるが、この判定結果は、図6に示すように、上述のホールド時間T3sRR1(T1sRR1)が経過して、条件(1)、(2)が不成立となるまで保持されることとなる。或いは、この判定結果は、図6、図8(A)及び図8(B)に示すように、最終的に条件(3)が不成立となる時点まで、保持されることとなる。即ち、条件(1)、(2)及び(3)が上述の如く成立すると、ロールオーバー判定用閾値TH1が閾値TH2に変更され、その後、ホールド時間T3sRR1(T1sRR1)経過後若しくは条件(3)が不成立となった時点で、閾値TH2がロールオーバー判定用閾値TH1に戻されることになる。何れの場合であっても、閾値TH2からロールオーバー判定用閾値TH1への復帰は、経過時間や他の要因を考慮して、段階的に、即ち、閾値TH2と閾値TH1の間の中間閾値(図示せず)を介して実現されてもよい。
【0040】
次に、上述の揺り返し判定部42による判定結果に応じて、ロールオーバー判定用閾値TH1の変更するマップ判定処理部44及びマップ選択部46について説明する。
【0041】
図10は、マップ判定処理部44の制御ブロック図である。マップ判定処理部44は、上述した2種類のRR−RAマップ(即ち、衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−RAマップ)を用いてマップ判定処理を実行する。この際、マップ判定処理部44は、各RR−RAマップに対して上述の第1象限でのロールオーバー判定及び第3象限でのロールオーバー判定を実行する。従って、マップ判定処理部44は、合計4種類のロールオーバー判定を並列的に実行する。
【0042】
尚、これら各種のロールオーバー判定の指示方法に関して、例えば、非衝突系RR−RAマップを用いた第1象限でのロールオーバー判定を“RR−RA第1象限非衝突系マップ判定”と指示され、衝突系RR−RAマップを用いた第1象限でのロールオーバー判定を“RR−RA第1象限衝突系マップ判定”と指示され、その他についても同様の方法で指示されている。
【0043】
ここで、衝突系RR−RAマップとは、上述の如く、衝突を伴うロール時(例えば、車両横滑り後に縁石等に車輪の側面が衝突して生ずるロール等)のロールオーバーを判定するためのマップであり、非衝突系RR−RAマップよりも鈍感なロールオーバー判定用閾値が設定されている。従って、本実施例では、衝突系RR−RAマップを上述のロールオーバー判定用閾値TH2が定義されたマップとして利用し、非衝突系RR−RAマップを上述のロールオーバー判定用閾値TH1が定義されたマップとして利用するものとする。
【0044】
マップ判定処理部44は、図10に示すように、上述の入力/演算部30により導出された各演算値RRLo,RRHi,及びRALo,RAHiを、各マップに応じて選択的に用いて、合計4種類のロールオーバー判定を並列的に実行する。例えば、マップ判定処理部44は、ロール角RALoとロールレイトRRLoの演算値を非衝突系RR−RAマップ上にプロットし、プロット点がロールオーバー判定用閾値TH1を超えたか否かを判定する。例えば、プロット点が第1象限に位置する場合、当然に第3象限でのロールオーバー判定結果は“偽”となり、当該判定結果が出力される(図10の出力B)。一方、当該プロット点が第1象限のロールオーバー判定用閾値TH1を超える場合には、第1象限でのロールオーバー判定結果は“真”であり、当該判定結果が出力される(図10の出力A)。このようにして判定された合計4つの判定結果(即ち、図10の出力A乃至D)は、上述の揺り返し判定部42による2つの揺り返し判定結果(即ち、図6の出力s3、s1)と共に、マップ選択部46に入力される。
【0045】
図12は、図11に示す規則に従ったマップ選択部46の制御ブロック図である。マップ選択部46は、図11に示す規則に従って、揺り返し判定部42による揺り返し判定結果に応じて、適切なロールオーバー判定結果を選択するように構成されている。
【0046】
例えば、図11及び図12に示すように、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定及び第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1、s3)が共に“偽”(即ち、“揺り返し”でないとの判定)の場合、非衝突系RR−RAマップによる第1象限及び第3象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力A,B)が選択され、例えば、いずれか一方のロールオーバー判定結果が“真”である場合には、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“真”が出力される。
【0047】
また、例えば、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1)が“偽”で、且つ、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”である場合、非衝突系RR−RAマップによる第1象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力A)、及び、衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力D)が選択され、例えば、いずれのロールオーバー判定結果も“偽”である場合には、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“偽”が出力される。従って、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1)が“偽”で、且つ、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”である場合において、仮に非衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果が“真”であっても、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“偽”が出力される。
【0048】
尚、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”から“偽”に変化し、その後、連続的に、第1象限揺り返し判定の結果が“偽”から“真”に変化した場合(即ち、揺り返し後の更なる揺り返しの場合)、それに対応して、衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果から、衝突系RR−RAマップによる第1象限でのロールオーバー判定結果へと、衝突系RR−RAマップによる判定結果が連続的に選択されることとなる。
【0049】
尚、このようにして出力されるマップ選択部46の出力(“真”又は“偽”)は、図4に示すように、衝突判定の結果の出力との関係で、最終的に、カーテンシールドエアバック等の乗員保護装置22を駆動させるか否かの点火判定に利用される。従って、マップ選択部46の出力が“真”で、衝突判定の結果の出力が“偽”である場合に、カーテンシールドエアバック等の乗員保護装置22が起動されることになる。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、揺り返し判定部42による揺り返し判定結果を、マップ判定処理部44による各判定結果に反映させることで、揺り返しの有無に応じたロールオーバー判定結果を得ることができる。即ち、本実施例によれば、揺り返し時のロールに対しては、衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果を選択することで、ロールオーバーとの判定がなされ難くすることができると共に、揺り返しでないロールに対しては、非衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果を選択することで、応答遅れが生ずることなくロールオーバー判定を行うことができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
例えば、上述した実施例では、衝突系RR−RAマップのロールオーバー判定用閾値が非衝突系RR−RAマップのそれよりも鈍感に設定されていることを利用して、衝突系RR−RAマップを“揺り返し”と判定された時のロールオーバー判定に採用しているが、衝突系RR−RAマップに代わって、別個用意されたRR−RAマップを、“揺り返し”と判定された時のロールオーバー判定に使用してもよい。
【0053】
更に、上述した実施例では、1つのロールレイトセンサ16から4種類の演算値、即ち、ロールレイトRRLo,RRHi及びロール角RALo,RAHiを導出し、これらを各種判定に用いていたが、ロールレイトセンサ16の故障やノイズ等に対する冗長性を確保するために、新たに別のロールレイトセンサ16a(図1参照)を設け、同様に4種類の演算値RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hiを導出してもよい。この場合、別のロールレイトセンサ16aの出力信号rr2が、ロールレイトセンサ16に対して極性が逆になるように設定されてよい。また、この場合、別のロールレイトセンサ16aからの4種類の演算値(RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hi)のそれぞれは、上述のロールレイトセンサ16の4種類の演算値(RRLo,RRHi、RALo,RAHi)のそれぞれと同様の態様で(或いは、これらと組み合わせて)、各種判定に用いられてよく、これにより、ロールレイトセンサの故障やノイズ等の影響を受け難い各種判定結果を得ることができる。尚、図2、図3、図4、図5、図10等には、上述のロールレイトセンサ16と組み合わせて使用される場合の、ロールレイトセンサ16aの演算値の処理が、一点鎖線により指示されている。
【0054】
また、上述した実施例では、揺り返し判定は、非衝突系の演算値であるロール角RALoとロールレイトRRLoを用いて実現されているが、衝突系の演算値であるロール角RAHiとロールレイトRRHi、若しくは、上述の冗長系ロールレイトセンサ16aからの同様の演算値(RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hi)を用いて実現されてもよく、或いは、RALo及びRRLoを含むこれら演算値のうちの、任意のロール角とロールレイトの組み合わせを用いて実現されてもよい。
【0055】
また、上述した実施例では、揺り返し判定は、ロール角とロールレイトとの関係に基づいて実現されているが、ロール角に代わって、他の物理量、例えばロール角と一対一で対応する任意のパラメータ、横方向加速度、ロールレイトの2回積分値や微分値に基づいて揺り返し判定を実現することも可能である。
【0056】
また、上述した実施例では、上述の条件(1)、(2)及び(3)が成立した場合に、“揺り返し”との判定がなされているが、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、所定時間内に、ロール角の減少速度が一定値を超えた場合(即ち、条件(3)の成立)に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、或いは、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、ロール角が当該一定角度を下回った場合に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、或いは、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、ロールレイトが負となった場合に(或いは、負の所定の閾値より小さくなった場合に)、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、更に或いは、ロール角とロールレイトとの関係が、上述のロールオーバー判定用閾値TH1より敏感な閾値TH3(図示せず)を超えた時点から所定時間経過後においても、ロールオーバー判定用閾値TH1を超えない場合に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよい。尚、これらの議論については、上述の第3象限揺り返し判定に関するものであり、上述の第1象限揺り返し判定に対しても、上述の如く対称性を考慮して符号等を反転させることで同様の議論が当てはまる。
【0057】
また、上述した実施例では、揺り返し判定部42による第3象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第3象限のロールオーバー閾値判定を鈍感にし、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第1象限のロールオーバー閾値判定を鈍感にするものであったが、第1象限及び第3象限揺り返し判定結果のいずれかが“真”の場合に、第1象限及び第3象限の双方のロールオーバー閾値判定を鈍感にすることとしてもよい。
【0058】
更に、上述した実施例では、揺り返し判定結果が、非衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果に反映されるものであったが、揺り返し判定結果が、衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果や、衝突系及び非衝突系RR−GYマップによるロールオーバー判定結果にも反映されることとしてもよい。
【0059】
また、上述した実施例では、“揺り返し”との判定がなされた場合、ロールオーバー判定用閾値TH1がそれより鈍感な閾値TH2に変更されるものであったが、揺り返し時に実際にロールオーバーが発生する可能性が小さいことを考慮して、“揺り返し”との判定がなされた場合に、ロールオーバー判定を完全に禁止するものであってもよい。この場合、第3象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第3象限でのロールオーバー判定を禁止し、また、第1象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第1象限でのロールオーバー判定を禁止するものであってよく、或いは、第1象限及び第3象限揺り返し判定結果のいずれかが“真”の場合に、所定時間、第1象限及び第3象限の双方でのロールオーバー判定を禁止するものであってもよい。何れの場合であっても、ロールオーバー判定の禁止の解除は、上述のロールオーバー判定用閾値TH2から閾値TH1へと戻す際の条件と同様の条件で、実現されてよい。
【0060】
また、上述した実施例では、ロールオーバー判定が、ロール角とロールレイトとの関係、又は、ロールレイトと横加速度との関係に基づいて実現されているが、ロールオーバー判定は、車両のロール状態を表わすことが可能な他の物理量に基づいて実現されるものであってもよい。また、ロールオーバー判定は、ロール角、ロールレイト及び横加速度のうちのいずれか1種類の物理量のみに基づいて、或いは、これらの全種類の物理量に基づいて、或いは、これらの任意の2種類の物理量の組み合わせに基づいて、実現されてもよい。何れの場合であっても、上述のロールオーバー判定用閾値TH1,TH2等は、ロールオーバー判定に用いる物理量に対応して決定される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるロールオーバー判定装置の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明によるロールオーバー判定装置のCPU18のブロック図である。
【図3】CPU18の入力/演算部30のブロック図である。
【図4】CPU18の判定部40のブロック図である。
【図5】判定部40の非衝突系RR−RAマップ判定部41のブロック図である。
【図6】非衝突系RR−RAマップ判定部41の揺り返し判定部42のブロック図である。
【図7】ロールレイトRRを縦軸にロール角RAを横軸にとった2次元マップの一例を示す図である。
【図8】揺り返し判定部42の揺り返し判定アルゴリズムの説明図である。
【図9】ロールレイトRR及びロール角RAの関係と、車両の状態との対応関係を示す説明図である。
【図10】非衝突系RR−RAマップ判定部41のマップ判定処理部44の制御ブロック図である。
【図11】非衝突系RR−RAマップ判定部41のマップ選択部46によるマップ選択規則を示す表である。
【図12】マップ選択部46の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ロールオーバー判定装置
12 ECU
14,14a 左右加速度センサ
16,16a ロールレイトセンサ
18 CPU
20 点火回路
22 乗員保護装置
30 入力/演算部
40 判定部
41 非衝突系RR−RAマップ判定部
42 揺り返し判定部
44 マップ判定処理部
46 マップ選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールオーバーの有無を判定するロールオーバー判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロールレイトと横方向加速度とに基づいてロールオーバーの種類を識別し、当該識別したロールオーバーの種類に応じて、ロールオーバー判定用閾値を変更するロールオーバー判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来のロールオーバー判定装置によれば、ロールオーバーの種類に応じて適切なロールオーバー判定用閾値を設定することで、ロールオーバー判定精度を高めることを可能とする。
【特許文献1】特開2002−200951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ロール時における実際の車両の挙動として、車両が一方の側に大きくロールしたが、ロールオーバーに至らず水平状態に復帰し、反動で更に反対側にロールするという揺り返しがある。従って、ロールオーバー判定の際には、このような揺り返しに対してロールオーバーであると判定しないように、ロールオーバー判定用閾値を設定する必要がある。この点、上記従来のロールオーバー判定装置では、ロールオーバー判定用閾値の変更際に揺り返しが考慮されていないため、揺り返しに対してロールオーバーであると判定してしまう可能性を残す。一方、揺り返しに対してロールオーバーであると判定しないようにロールオーバー判定用閾値を高めに設定すると、実際のロールオーバー時に判定の遅れを招くという不都合が生ずる。
【0004】
そこで、本発明は、揺り返しが考慮されたロールオーバー判定を行うことができるロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、
車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、
揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする、ロールオーバー判定装置が提供される。
【0006】
本発明において、判定禁止手段は、前記他方の側から前記一方の側への更なる揺り返しを考慮するため、前記一方の側でのロールオーバーの判定についても禁止してよい。
【0007】
また、本発明において、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定するものであってよい。また、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定するものであってもよい。例えば、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定することができる。或いは、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定することもできる。
【0008】
また、本発明による第1の局面において、揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定し、判定禁止手段は、ロール角の絶対値が該所定値以下となった後、所定時間経過後に、前記禁止を解除するものであってよい。或いは、揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が第1所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転し、更に、ロールレイトの絶対値が第2所定値以上となった場合に、揺り返しと判定し、判定禁止手段は、ロールレイトの絶対値が前記第2所定値以下となった場合に、前記禁止を解除するものであってよい。
【0009】
本発明において、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定するものであってよい。また、揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定するものであってもよい。例えば、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定することができる。或いは、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、揺り返しが考慮されたロールオーバー判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明によるロールオーバー判定装置の一実施例を示すシステム構成図である。本実施例のロールオーバー判定装置10は、エアバック等の乗員保護装置22の制御を統括するECU12を中心に構成される。但し、ロールオーバー判定装置10の機能は、他のECUや別途特別に設けられるマイクロコンピューターにより具現化されてもよい。
【0013】
ECU12は、図1に示すように、車両に作用する左右方向(車幅方向)の加速度を検出する左右加速度センサ14、及び、ロール方向の角速度を検出するロールレイトセンサ16を内蔵している。左右加速度センサ14及びロールレイトセンサ16からの検出信号gy、rrは、ECU12のCPU18にそれぞれ入力される。CPU18は、左右加速度センサ14及びロールレイトセンサ16の検出信号gy、rrに基づいて、ロールオーバーの発生の有無を判定する。CPU18は、ロールオーバーが発生したと判定した場合、点火回路20に駆動信号を供給し、カーテンシールドエアバックやシートベルトプリテンショナ等の乗員保護装置22を駆動させる。尚、本発明は、特に乗員保護装置22の種類を特定するものではなく、本発明は、ロールオーバー発生時に起動されるあらゆる乗員保護装置に対して適用可能である。
【0014】
図2は、CPU18のブロック図である。CPU18は、主要部として、入力/演算部30と、判定部40とを含む。入力/演算部30には、ロールレイトセンサ16からのロールレイト信号rr、及び、左右加速度センサ14からの左右加速度信号gyが入力される。
【0015】
図3は、入力/演算部30のブロック図である。図3に示すように、ロールレイトセンサ16からのロールレイト信号rrは、A/Dサンプリング、ゼロ点学習、入力レンジ制限等の補正処理を受け、次いで、ローパスフィルタLPF1によるフィルタリング処理(高周波成分の除去)を受ける。これらの処理後のロールレイト信号rr’は、ロールレイトRRとして出力されると共に、ロール角の演算に使用され(即ち、積分演算によりロール角が導出され)、ロール角RAが出力される。同様に、左右加速度センサ14からの左右加速度信号gyは、補正処理を受け、次いで、ローパスフィルタLPF3によるフィルタリング処理を受けて、左右加速度GYとして出力される。尚、本発明は、入力/演算部30で行われる信号処理を特定するものでなく、本発明は、如何なる方法で導出されたロールレイトRR及びロール角RAに対しても適用可能である。
【0016】
図4は、判定部40のブロック図である。判定部40は、入力/演算部30で算出したロールレイトRR、ロール角RA及び左右加速度GYを用いて、ロールオーバー判定を実行する。この際、図4に示すように、判定部40は、ロールレイトRRとロール角RAの関係に基づくロールオーバー判定用マップ(以下、「RR−RAマップ」という)、及び、ロールレイトRRと左右加速度GYの関係に基づくロールオーバー判定用マップ(以下、「RR−GYマップ」という)を用いて、それぞれ独立して(並列的に)ロールオーバー判定を実行する。
【0017】
更に、上記RR−RAマップ及びRR−GYマップのそれぞれに対して、衝突の有無に応じて2種類のマップがそれぞれ用意されてもよい(この場合、全体として合計4種類のロールオーバー判定用マップが用意されることになる)。例えば、図4に示す実施例では、衝突を伴うロールオーバー判定用マップとして、衝突系RR−RAマップ及び衝突系RR−GYマップが、衝突を伴わないロールオーバー判定用マップとして、非衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−GYマップが用意されている。尚、ここでいう衝突とは、前突や側突のような大きな加速度が生ずる車両同士の衝突ではなく、例えば2〜3G(G=重力加速度)程度の加速度が生ずる衝突を指す(例えば、車両横滑り後の縁石等との車輪の衝突)。
【0018】
これに応じて、衝突系若しくは非衝突系マップのそれぞれに対して、異なる演算値(ロールレイトRR、ロール角RA及び左右加速度GY)が用いられてもよい。例えば、図1に示すように、衝突を伴わない場合の低い加速度を検出するための左右加速度センサ14の他に、衝突を伴う場合の高い加速度を検出するための加速度センサ14aが設けられてよい。この場合、加速度センサ14aの左右加速度信号gy2は、入力/演算部30で、カットオフ周波数の大きいローパスフィルタLPF4によるフィルタリング処理を受けてよい。また、ロールレイトRR及びロール角RAについても、図3に示すように、入力/演算部30にて別々に異なる処理(例えば、カットオフ周波数の大きいローパスフィルタLPF2を用いる)若しくは同一の処理を施されることで、衝突系及び非衝突系マップ用の別々のロールレイトRR及びロール角RAが演算されてもよい。
【0019】
以下の説明では、非衝突系RR−RAマップ用に演算された左右加速度GY、ロールレイトRR及びロール角RAは、符号Loを付加することにより、衝突系RR−RAマップ用に演算された各値は、符号Hiを付加することにより指示するものとする。例えば、非衝突系RR−RAマップ用のロールレイトは、“ロールレイトRRLo”で表わす。
【0020】
尚、前突や側突は、CPU18により別途行われる前突判定及び側突判定により検出される。図4に示す判定部40は、前突判定及び側突判定の成否に応じて制御を切り換えるように構成されており、例えば、図4示すように、前突及び側突の何れも生じていないと判定された場合にのみ、衝突系及び非衝突系RR−GYマップ判定の結果を有効とするように構成されている。尚、上述の衝突判定、及び、前突判定及び側突判定の結果は、それぞれ一定時間保持されるように構成されてよい。
【0021】
本発明は、非衝突系RR−RAマップ判定に主に関連するので(これらの詳細については後述する)、以下では、RR−GYマップ判定の説明は省略し、判定部40の非衝突系RR−RAマップ判定部41について詳説する。
【0022】
図5は、非衝突系RR−RAマップ判定部41のブロック図である。非衝突系RR−RAマップ判定部41は、揺り返し判定部42と、マップ判定処理部44と、マップ選択部46とから構成される。
【0023】
揺り返し判定部42は、車両の揺り返しの有無を判定する。ここで、車両の揺り返しとは、車両が一方の側に大きくロールしたが、ロールオーバーに至らず水平状態に復帰し、反動で更に反対側にロールする現象を指す。マップ判定処理部44は、上述した2種類のRR−RAマップ(即ち、衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−RAマップ)を用いて4種類のマップ判定処理(後述する)を実行する。マップ選択部46は、揺り返し判定部42による判定結果に応じて、マップ判定処理部44による各種判定結果の中から最終的な点火判定に利用される判定結果を選択する。
【0024】
以下、これら揺り返し判定部42、マップ判定処理部44及びマップ選択部46について順に詳説する。
【0025】
揺り返し判定部42は、以下の条件(1)、(2)及び(3)が成立した場合に、“揺り返し”と判定する。
(1)ロール角RAが所定の閾値TH_RA1S+(符合プラス)を超える(即ち、RA>TH_RA1S+)。
(2)(1)の成立後、ロール角RAが減少し始める。即ち、ロールレイトRRが所定の閾値TH_RR1L−(符合マイナス)より小さくなる(RR<TH_RR1L−)。
(3)ロール角RAの減少速度が所定の速度よりも速い。即ち、ロールレイトRRが、所定の閾値TH_RR1H−(符合マイナス)より小さくなる(RR<TH_RR1H−)。
尚、以上の各条件(1)、(2)及び(3)は、ロール角RAが増加する方向に車両がロールした場合の条件であり、ロール角RAが減少する方向、即ち逆方向にロールした場合の条件としては、上記各閾値の符合と不等号の向きが反転したものが使用される。尚、本明細書及び添付図面において、各閾値の参照符合の後方に付けられた+−の符合は、当該閾値の正負を表わしている。
【0026】
尚、オフロード(悪路)等においては、車両が一方の側にロールし、その後ロールオーバーに至らずに、ゆっくりと水平状態に戻る場合がありうる。上記条件(3)は、かかる場合を“揺り返し”と判定しないように定められたものである。
【0027】
図6は、上述の揺り返し判定部42による判定処理をブロック図で表わしたものである。揺り返し判定部42は、図6に示すように、ロール方向に応じて2種類の揺り返し判定を行うように構成されている。図7に示すような、ロールレイトRRを縦軸にロール角RAを横軸にとった2次元マップを想定すると、ロール方向に応じて、第1象限若しくは第3象限(ロール角RA及びロールレイトRRが同符合となる象限)でロールオーバーが判定される。本実施例では、揺り返し判定部42が、ロール方向に応じて2種類の揺り返し判定を行い、以下で詳説する如く、揺り返し判定部42による各揺り返し判定結果が、第1及び第3象限でのロールオーバー判定に反映されるようにされている。尚、本明細書及び添付図面において、第1象限でのロールオーバー判定に反映される揺り返し判定を「第1象限揺り返し判定」と、第3象限でのロールオーバー判定に反映される揺り返し判定を「第3象限揺り返し判定」という。
【0028】
第1象限揺り返し判定と第3象限揺り返し判定は、対称性故に、実質的に同一であるため(即ち、相違は、上述の各条件(1)、(2)及び(3)の各閾値の符合と不等号の向きが逆である点のみである)、以下、図8を参照して、第3象限揺り返し判定についての具体例についてのみ説明する。
【0029】
図8(A)及び図8(B)のRR−RAマップ上の曲線で示すように、車両がロールし始めると、ロール角RAが増加し始める(それに伴い、ロールレイトRRが正方向に増加)、車両が最大限にロールした時点からロール角RAが減少し始める(それに伴い、ロールレイトRRが正の値から負の値に遷移)。尚、この間、ロール角RAとロールレイトRRとの関係が、図8(A)及び図8(B)に示すようなロールオーバー判定用閾値TH1を超えた場合には、ロールオーバーが発生したと判定される(この場合、第1象限でのロールオーバー)。一方、ロールオーバーに至らない場合には、揺り返しが開始され、水平状態へと車両が復帰する(図中、Zにより水平状態に対応する曲線上の点を指示)。この際、図8(A)及び図8(B)に示すように、比較的速い速度(即ち、大きい絶対値のロールレイトRR)でロール角RAが減少していく。
【0030】
上述の各条件(1)、(2)及び(3)は、揺り返し時の上述のロール角RAとロールレイトRRとの関係の傾向に着目して、定められたものである。図8(A)及び図8(B)には、条件(1)及び条件(2)が画成する領域X、及び、条件(3)が画成する領域Yが示されている。
【0031】
条件(1)及び条件(2)と、条件(3)とは、路面状態やロールの原因等に依存して、図8(B)に示すように、同時に満たされる場合や、図8(A)に示すように、条件(1)及び条件(2)の成立後、所定時間内に条件(3)が満たされる場合が考えられる。本実施例の揺り返し判定部42には、いずれの場合に対しても“揺り返し”と判断できるように、ホールドタイマ43が設けられる(図6参照)。ホールドタイマ43は、一旦条件(1)及び条件(2)が成立した場合には、その後に条件(1)及び条件(2)が不成立となった場合であっても、当該不成立後に一定時間T3sRR1、条件(1)及び条件(2)の成立状態を維持させるものである。即ち、ホールドタイマ43は、論理が“真”から“偽”に変化した際に、一定時間“真”を保持し続けるもので、条件(1)及び条件(2)が成立しなくなった後も一定時間T3sRR1、条件(3)の判定を有効にするためのものである。このように、本実施例の揺り返し判定部42は、図8(A)に示すようなロールレイトRR及びロール角RAが描く曲線に対しても、“揺り返し”と判断できるように構成されている。
【0032】
尚、上述の各閾値及び“真”を保持する一定時間(ホールド時間:第1及び第3象限揺り返し判定用の各ホールド時間をそれぞれ符合T1sRR1、T3sRR1で指示)の具体的な値は、実験的に適合される適合値である。
【0033】
再度図8(A)及び図8(B)を参照して説明を続けるに、上述の如く、車両が一方の側にロールし、水平状態へと戻されると、次に、車両は他方の側にロールし始める。この間、ロール角RAとロールレイトRRとの関係が、図8(A)及び図8(B)に示すようなロールオーバー判定用閾値TH1を超えた場合には、ロールオーバーが発生したと判定される(この場合、第3象限でのロールオーバー)。
【0034】
ところで、図8(A)及び図8(B)からも明らかなように、揺り返し発生時には、比較的高いロールレイトRR(絶対値が大きいロールレイトRR)で他方の側にロールし始めることになる。従って、従来的に、ロール角RAとロールレイトRRとの関係に基づくロールオーバー判定用閾値TH1を、ロール方向に応じて対称に設定する場合では、図9(A)に示すように、揺り返し時のロールに対してロールオーバーとの判定がなされ易くなる。これを防止するために、ロールオーバー判定用閾値TH1を比較的高めに設定することも考えられるが、この場合、図9(B)に示すように、水平状態から急激にロールしてロールオーバーに至る場合に対して、応答遅れ(即ち、要求時間内に判定できない)が生じてしまう可能性がある。尚、図9(C)には、図9(A)及び図9(B)の曲線上の各点と対応する車両のロール状態が概略的に示されている。
【0035】
これに対して、本実施例では、以下で更に詳説するように、揺り返し判定部42により“揺り返し”が判定され、揺り返しが発生したと判定された場合には、図8(A)及び図8(B)に示すように、ロールオーバー判定用閾値TH1が、より鈍感な閾値TH2(破線により指示)に変更される。これにより、揺り返し時のロールに対しては、ロールオーバーとの判定がなされ難くすることができると共に、揺り返しでないロールに対しては、応答遅れが生ずることなくロールオーバー判定を行うことができる。
【0036】
ここで、「ロールオーバー判定用閾値TH1をより鈍感な閾値TH2に変更する」とは、典型的には、第1象限のロールオーバー判定用閾値TH1については、当該値を大きくすることを意味し、第3象限のロールオーバー判定用閾値TH1については、当該値を小さくすることを意味する。
【0037】
尚、本実施例のロールオーバー判定用閾値TH1は、高いロールレイトRRでのロール角RAの増加時(若しくは減少時)、及び、上限値(下限値)を超えるロール角RAの増加時(若しくは減少時)にロールオーバーと判定できるように、図示のような折れ線により実現されている。しかしながら、本発明は、特にこれに限定されるものではなく、本発明は、車両の過剰なロール状態を判定するのに適した如何なるロールオーバー判定用閾値に対しても適用可能である。また、変更後の閾値TH2は、必ずしも図示のようにロールオーバー判定用閾値TH1を所定方向にオフセットしたものである必要はなく、ロールオーバー判定用閾値TH1よりも鈍感なものでありさえすれば、如何なる値であってもよい。更に、第1象限及び第3象限のロールオーバー判定用閾値TH1、及び、第1象限及び第3象限の変更後の各閾値TH2は、必ずしも図示のように対称に設定される必要もない。
【0038】
揺り返し判定部42は、上述の如く第1象限揺り返し判定及び第3象限揺り返し判定を並列的に実行し、その判定結果を出力する(図6の出力s3、s1参照)。
【0039】
尚、条件(1)、(2)及び(3)が上述の如く成立した場合には、揺り返し判定として“真”が出力されるが、この判定結果は、図6に示すように、上述のホールド時間T3sRR1(T1sRR1)が経過して、条件(1)、(2)が不成立となるまで保持されることとなる。或いは、この判定結果は、図6、図8(A)及び図8(B)に示すように、最終的に条件(3)が不成立となる時点まで、保持されることとなる。即ち、条件(1)、(2)及び(3)が上述の如く成立すると、ロールオーバー判定用閾値TH1が閾値TH2に変更され、その後、ホールド時間T3sRR1(T1sRR1)経過後若しくは条件(3)が不成立となった時点で、閾値TH2がロールオーバー判定用閾値TH1に戻されることになる。何れの場合であっても、閾値TH2からロールオーバー判定用閾値TH1への復帰は、経過時間や他の要因を考慮して、段階的に、即ち、閾値TH2と閾値TH1の間の中間閾値(図示せず)を介して実現されてもよい。
【0040】
次に、上述の揺り返し判定部42による判定結果に応じて、ロールオーバー判定用閾値TH1の変更するマップ判定処理部44及びマップ選択部46について説明する。
【0041】
図10は、マップ判定処理部44の制御ブロック図である。マップ判定処理部44は、上述した2種類のRR−RAマップ(即ち、衝突系RR−RAマップ及び非衝突系RR−RAマップ)を用いてマップ判定処理を実行する。この際、マップ判定処理部44は、各RR−RAマップに対して上述の第1象限でのロールオーバー判定及び第3象限でのロールオーバー判定を実行する。従って、マップ判定処理部44は、合計4種類のロールオーバー判定を並列的に実行する。
【0042】
尚、これら各種のロールオーバー判定の指示方法に関して、例えば、非衝突系RR−RAマップを用いた第1象限でのロールオーバー判定を“RR−RA第1象限非衝突系マップ判定”と指示され、衝突系RR−RAマップを用いた第1象限でのロールオーバー判定を“RR−RA第1象限衝突系マップ判定”と指示され、その他についても同様の方法で指示されている。
【0043】
ここで、衝突系RR−RAマップとは、上述の如く、衝突を伴うロール時(例えば、車両横滑り後に縁石等に車輪の側面が衝突して生ずるロール等)のロールオーバーを判定するためのマップであり、非衝突系RR−RAマップよりも鈍感なロールオーバー判定用閾値が設定されている。従って、本実施例では、衝突系RR−RAマップを上述のロールオーバー判定用閾値TH2が定義されたマップとして利用し、非衝突系RR−RAマップを上述のロールオーバー判定用閾値TH1が定義されたマップとして利用するものとする。
【0044】
マップ判定処理部44は、図10に示すように、上述の入力/演算部30により導出された各演算値RRLo,RRHi,及びRALo,RAHiを、各マップに応じて選択的に用いて、合計4種類のロールオーバー判定を並列的に実行する。例えば、マップ判定処理部44は、ロール角RALoとロールレイトRRLoの演算値を非衝突系RR−RAマップ上にプロットし、プロット点がロールオーバー判定用閾値TH1を超えたか否かを判定する。例えば、プロット点が第1象限に位置する場合、当然に第3象限でのロールオーバー判定結果は“偽”となり、当該判定結果が出力される(図10の出力B)。一方、当該プロット点が第1象限のロールオーバー判定用閾値TH1を超える場合には、第1象限でのロールオーバー判定結果は“真”であり、当該判定結果が出力される(図10の出力A)。このようにして判定された合計4つの判定結果(即ち、図10の出力A乃至D)は、上述の揺り返し判定部42による2つの揺り返し判定結果(即ち、図6の出力s3、s1)と共に、マップ選択部46に入力される。
【0045】
図12は、図11に示す規則に従ったマップ選択部46の制御ブロック図である。マップ選択部46は、図11に示す規則に従って、揺り返し判定部42による揺り返し判定結果に応じて、適切なロールオーバー判定結果を選択するように構成されている。
【0046】
例えば、図11及び図12に示すように、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定及び第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1、s3)が共に“偽”(即ち、“揺り返し”でないとの判定)の場合、非衝突系RR−RAマップによる第1象限及び第3象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力A,B)が選択され、例えば、いずれか一方のロールオーバー判定結果が“真”である場合には、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“真”が出力される。
【0047】
また、例えば、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1)が“偽”で、且つ、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”である場合、非衝突系RR−RAマップによる第1象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力A)、及び、衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果(即ち、出力D)が選択され、例えば、いずれのロールオーバー判定結果も“偽”である場合には、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“偽”が出力される。従って、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s1)が“偽”で、且つ、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”である場合において、仮に非衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果が“真”であっても、最終的な非衝突系RR−RAマップ判定結果の出力として“偽”が出力される。
【0048】
尚、第3象限揺り返し判定の結果(即ち、出力s3)が“真”から“偽”に変化し、その後、連続的に、第1象限揺り返し判定の結果が“偽”から“真”に変化した場合(即ち、揺り返し後の更なる揺り返しの場合)、それに対応して、衝突系RR−RAマップによる第3象限でのロールオーバー判定結果から、衝突系RR−RAマップによる第1象限でのロールオーバー判定結果へと、衝突系RR−RAマップによる判定結果が連続的に選択されることとなる。
【0049】
尚、このようにして出力されるマップ選択部46の出力(“真”又は“偽”)は、図4に示すように、衝突判定の結果の出力との関係で、最終的に、カーテンシールドエアバック等の乗員保護装置22を駆動させるか否かの点火判定に利用される。従って、マップ選択部46の出力が“真”で、衝突判定の結果の出力が“偽”である場合に、カーテンシールドエアバック等の乗員保護装置22が起動されることになる。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、揺り返し判定部42による揺り返し判定結果を、マップ判定処理部44による各判定結果に反映させることで、揺り返しの有無に応じたロールオーバー判定結果を得ることができる。即ち、本実施例によれば、揺り返し時のロールに対しては、衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果を選択することで、ロールオーバーとの判定がなされ難くすることができると共に、揺り返しでないロールに対しては、非衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果を選択することで、応答遅れが生ずることなくロールオーバー判定を行うことができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
例えば、上述した実施例では、衝突系RR−RAマップのロールオーバー判定用閾値が非衝突系RR−RAマップのそれよりも鈍感に設定されていることを利用して、衝突系RR−RAマップを“揺り返し”と判定された時のロールオーバー判定に採用しているが、衝突系RR−RAマップに代わって、別個用意されたRR−RAマップを、“揺り返し”と判定された時のロールオーバー判定に使用してもよい。
【0053】
更に、上述した実施例では、1つのロールレイトセンサ16から4種類の演算値、即ち、ロールレイトRRLo,RRHi及びロール角RALo,RAHiを導出し、これらを各種判定に用いていたが、ロールレイトセンサ16の故障やノイズ等に対する冗長性を確保するために、新たに別のロールレイトセンサ16a(図1参照)を設け、同様に4種類の演算値RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hiを導出してもよい。この場合、別のロールレイトセンサ16aの出力信号rr2が、ロールレイトセンサ16に対して極性が逆になるように設定されてよい。また、この場合、別のロールレイトセンサ16aからの4種類の演算値(RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hi)のそれぞれは、上述のロールレイトセンサ16の4種類の演算値(RRLo,RRHi、RALo,RAHi)のそれぞれと同様の態様で(或いは、これらと組み合わせて)、各種判定に用いられてよく、これにより、ロールレイトセンサの故障やノイズ等の影響を受け難い各種判定結果を得ることができる。尚、図2、図3、図4、図5、図10等には、上述のロールレイトセンサ16と組み合わせて使用される場合の、ロールレイトセンサ16aの演算値の処理が、一点鎖線により指示されている。
【0054】
また、上述した実施例では、揺り返し判定は、非衝突系の演算値であるロール角RALoとロールレイトRRLoを用いて実現されているが、衝突系の演算値であるロール角RAHiとロールレイトRRHi、若しくは、上述の冗長系ロールレイトセンサ16aからの同様の演算値(RR2Lo,RR2Hi、RA2Lo,RA2Hi)を用いて実現されてもよく、或いは、RALo及びRRLoを含むこれら演算値のうちの、任意のロール角とロールレイトの組み合わせを用いて実現されてもよい。
【0055】
また、上述した実施例では、揺り返し判定は、ロール角とロールレイトとの関係に基づいて実現されているが、ロール角に代わって、他の物理量、例えばロール角と一対一で対応する任意のパラメータ、横方向加速度、ロールレイトの2回積分値や微分値に基づいて揺り返し判定を実現することも可能である。
【0056】
また、上述した実施例では、上述の条件(1)、(2)及び(3)が成立した場合に、“揺り返し”との判定がなされているが、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、所定時間内に、ロール角の減少速度が一定値を超えた場合(即ち、条件(3)の成立)に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、或いは、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、ロール角が当該一定角度を下回った場合に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、或いは、ロール角が一定角度を超えた後(即ち、条件(1)の成立後)、ロールレイトが負となった場合に(或いは、負の所定の閾値より小さくなった場合に)、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよく、更に或いは、ロール角とロールレイトとの関係が、上述のロールオーバー判定用閾値TH1より敏感な閾値TH3(図示せず)を超えた時点から所定時間経過後においても、ロールオーバー判定用閾値TH1を超えない場合に、“揺り返し”との判定がなされることとしてもよい。尚、これらの議論については、上述の第3象限揺り返し判定に関するものであり、上述の第1象限揺り返し判定に対しても、上述の如く対称性を考慮して符号等を反転させることで同様の議論が当てはまる。
【0057】
また、上述した実施例では、揺り返し判定部42による第3象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第3象限のロールオーバー閾値判定を鈍感にし、揺り返し判定部42による第1象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第1象限のロールオーバー閾値判定を鈍感にするものであったが、第1象限及び第3象限揺り返し判定結果のいずれかが“真”の場合に、第1象限及び第3象限の双方のロールオーバー閾値判定を鈍感にすることとしてもよい。
【0058】
更に、上述した実施例では、揺り返し判定結果が、非衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果に反映されるものであったが、揺り返し判定結果が、衝突系RR−RAマップによるロールオーバー判定結果や、衝突系及び非衝突系RR−GYマップによるロールオーバー判定結果にも反映されることとしてもよい。
【0059】
また、上述した実施例では、“揺り返し”との判定がなされた場合、ロールオーバー判定用閾値TH1がそれより鈍感な閾値TH2に変更されるものであったが、揺り返し時に実際にロールオーバーが発生する可能性が小さいことを考慮して、“揺り返し”との判定がなされた場合に、ロールオーバー判定を完全に禁止するものであってもよい。この場合、第3象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第3象限でのロールオーバー判定を禁止し、また、第1象限揺り返し判定結果が“真”の場合、第1象限でのロールオーバー判定を禁止するものであってよく、或いは、第1象限及び第3象限揺り返し判定結果のいずれかが“真”の場合に、所定時間、第1象限及び第3象限の双方でのロールオーバー判定を禁止するものであってもよい。何れの場合であっても、ロールオーバー判定の禁止の解除は、上述のロールオーバー判定用閾値TH2から閾値TH1へと戻す際の条件と同様の条件で、実現されてよい。
【0060】
また、上述した実施例では、ロールオーバー判定が、ロール角とロールレイトとの関係、又は、ロールレイトと横加速度との関係に基づいて実現されているが、ロールオーバー判定は、車両のロール状態を表わすことが可能な他の物理量に基づいて実現されるものであってもよい。また、ロールオーバー判定は、ロール角、ロールレイト及び横加速度のうちのいずれか1種類の物理量のみに基づいて、或いは、これらの全種類の物理量に基づいて、或いは、これらの任意の2種類の物理量の組み合わせに基づいて、実現されてもよい。何れの場合であっても、上述のロールオーバー判定用閾値TH1,TH2等は、ロールオーバー判定に用いる物理量に対応して決定される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるロールオーバー判定装置の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明によるロールオーバー判定装置のCPU18のブロック図である。
【図3】CPU18の入力/演算部30のブロック図である。
【図4】CPU18の判定部40のブロック図である。
【図5】判定部40の非衝突系RR−RAマップ判定部41のブロック図である。
【図6】非衝突系RR−RAマップ判定部41の揺り返し判定部42のブロック図である。
【図7】ロールレイトRRを縦軸にロール角RAを横軸にとった2次元マップの一例を示す図である。
【図8】揺り返し判定部42の揺り返し判定アルゴリズムの説明図である。
【図9】ロールレイトRR及びロール角RAの関係と、車両の状態との対応関係を示す説明図である。
【図10】非衝突系RR−RAマップ判定部41のマップ判定処理部44の制御ブロック図である。
【図11】非衝突系RR−RAマップ判定部41のマップ選択部46によるマップ選択規則を示す表である。
【図12】マップ選択部46の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ロールオーバー判定装置
12 ECU
14,14a 左右加速度センサ
16,16a ロールレイトセンサ
18 CPU
20 点火回路
22 乗員保護装置
30 入力/演算部
40 判定部
41 非衝突系RR−RAマップ判定部
42 揺り返し判定部
44 マップ判定処理部
46 マップ選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、
車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、
揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする、ロールオーバー判定装置。
【請求項2】
判定禁止手段は、前記一方の側でのロールオーバーの判定についても禁止する、請求項1記載のロールオーバー判定装置。
【請求項3】
揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項4】
揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項5】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項6】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項7】
揺り返し判定手段は、前記ロールレイトの符合の正負での反転後に、ロールレイトの絶対値が所定値以上となった場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項8】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定し、
判定禁止手段は、ロール角の絶対値が該所定値以下となった後、所定時間経過後に、前記禁止を解除する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項9】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が第1所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転し、更に、ロールレイトの絶対値が第2所定値以上となった場合に、揺り返しと判定し、
判定禁止手段は、ロールレイトの絶対値が前記第2所定値以下となった場合に、前記禁止を解除する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項1】
車両のロール状態を表わすことが可能な少なくとも1種類の物理量と所定の閾値との関係に基づいて、ロールオーバーを判定するロールオーバー判定手段と、
車両が一方の側へロールした際にロールオーバーに至らずに、他方の側にロールしようとする車両の揺り返しを、所定の条件により判定する揺り返し判定手段と、
揺り返し判定手段により前記揺り返しが判定された場合に、前記他方の側でのロールオーバーの判定を禁止する判定禁止手段とを含むことを特徴とする、ロールオーバー判定装置。
【請求項2】
判定禁止手段は、前記一方の側でのロールオーバーの判定についても禁止する、請求項1記載のロールオーバー判定装置。
【請求項3】
揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトに基づいて、揺り返しを判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項4】
揺り返し判定手段は、少なくともロールレイトとロール角とに基づいて、揺り返しを判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項5】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項6】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転した場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項7】
揺り返し判定手段は、前記ロールレイトの符合の正負での反転後に、ロールレイトの絶対値が所定値以上となった場合に、揺り返しと判定する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項8】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が所定値以上となった後、ロール角の絶対値が該所定値以下となった場合に、揺り返しと判定し、
判定禁止手段は、ロール角の絶対値が該所定値以下となった後、所定時間経過後に、前記禁止を解除する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項9】
揺り返し判定手段は、ロール角の絶対値が第1所定値以上となった後、ロールレイトの符合が正負で反転し、更に、ロールレイトの絶対値が第2所定値以上となった場合に、揺り返しと判定し、
判定禁止手段は、ロールレイトの絶対値が前記第2所定値以下となった場合に、前記禁止を解除する、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−69908(P2007−69908A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340243(P2006−340243)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2003−200028(P2003−200028)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2003−200028(P2003−200028)の分割
【原出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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