説明

ワイパブレード

【課題】払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えたワイパブレードにおいて、払拭面への洗浄液の供給を長期に亘り安定して行うことができるようにする。
【解決手段】ワイパブレード13はレバーアッセンブリ14がカバー部材16内に収容されてデザイン性向上等が図られており、そのカバー部材16内においてウォッシャノズル41が収容状態となるように該ウォッシャノズル41が一体に構成された装着プレート18がプライマリレバー21に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ウインドガラスの払拭面の払拭とともに、該払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えたワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両ウインドガラスの払拭面に付着した汚れをワイパブレードにて払拭する際、ウォッシャ装置の作動により払拭面に洗浄液が供給されるようになっている。この洗浄液を払拭面に的確に供給すべく、ワイパブレードの外側にて剛性を有する配管を該ワイパブレードの長手方向に沿うようにしてワイパアームに装着し、その配管に形成される複数の噴射孔から払拭面に向けて至近距離から洗浄液を噴射させるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭54−180541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成では、噴射孔を有する配管がワイパブレードの外側に配置されて露出されているため、車両のデザイン性を損ねるだけでなく、直射日光等による配管の早期劣化や、配管への積雪による噴射孔の閉塞、砂塵や鳥の糞の付着による噴射孔の閉塞等が発生することが懸念される。つまり、長期に亘って払拭面への洗浄液の噴射(供給)を安定して行うことができるようにすることが要求されている。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えたワイパブレードにおいて、払拭面への洗浄液の供給を長期に亘り安定して行うことができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、払拭面を払拭するためのブレードラバーと、ワイパアームに連結されるとともに前記ブレードラバーを保持するために少なくとも1つのレバーからなるレバー部材と、前記ブレードラバー側に開口し前記レバー部材の少なくとも一部を前記開口から内部に収容するカバー部材とを備えたワイパブレードであって、前記ワイパアームに沿って配策された配管部材が接続される接続部と、該接続部を介して前記配管部材側から圧送される洗浄液を前記払拭面に供給するノズル部とを有するウォッシャノズルと、前記ウォッシャノズルが一体に構成されるとともに、前記ウォッシャノズルを前記カバー部材内に収容状態で前記レバー部材又は前記カバー部材に装着される装着部材とを備えたことをその要旨とする。
【0006】
同構成によれば、ワイパブレードはレバー部材がカバー部材内に収容されてデザイン性向上等が図られており、そのカバー部材内において接続部に接続される配管部材側から圧送された洗浄液をノズル部から払拭面に供給するウォッシャノズルが収容状態となるように、該ウォッシャノズルが一体に構成された装着部材がレバー部材又はカバー部材に対して装着される。これにより、カバー部材内に収容されるウォッシャノズルは直射日光等による配管の早期劣化や、配管への積雪による供給孔(噴射孔)の閉塞、砂塵や鳥の糞の付着による供給孔(噴射孔)の閉塞等の発生が防止され、長期に亘り払拭面への洗浄液の供給を安定して行うことが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記装着部材は、前記レバー部材又は前記カバー部材に対して着脱可能に装着されることをその要旨とする。
【0008】
同構成によれば、ウォッシャノズルを有する装着部材はレバー部材又はカバー部材に対して着脱可能に装着されるため、ウォッシャノズルのメンテナンス性が向上する。また、該装着部材を着脱可能な構成としていることから、カバー部材やレバー部材をそのまま使用しつつも、単に装着部材を装着しないでウォッシャノズルを設定しない仕様のワイパブレードを提供することもできる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、前記装着部材は、車両走行時に生じる前記カバー部材内の空気流を規制する規制部が設けられてなることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、車両走行時に生じるカバー部材内の空気流が装着部材に設けた規制部により規制されるため、その空気流を安定させることができ、ワイパブレードにて生じる風切り音の低減に繋がる。また、規制部によりワイパブレードの長手方向に沿う空気流を規制することで、雨滴等がその空気流によって長手方向に流れ、その流れた雨滴等がレバー部材に設けられるブレードラバーを保持する部分に衝突してまとまって噴き出すことも低減できる。これにより、雨滴等がまとまって噴き出すことで視界が悪化することを防止でき、良好な視界を確保することが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記レバー部材は、前記ワイパアームと回動可能に連結するためのホルダ部を有し、前記カバー部材は、前記ホルダ部を収容するホルダ収容部を有しており、前記ウォッシャノズルは、前記ホルダ部と前記ホルダ収容部との間に配置されていることをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、レバー部材のホルダ部とカバー部材のホルダ収容部との間にウォッシャノズルが配置、即ち配管部材の配策されるワイパアームと連結するホルダ部近傍に配置されるため、配管部材の取り回しが容易でウォッシャノズルの接続部との接続が容易となる。また、レバー部材のホルダ部とカバー部材のホルダ収容部との間、即ちレバー部材にて保持されるブレードラバーの幅方向一側側にウォッシャノズルが配置されるため、ブレードラバーに邪魔されることなく、ブレードラバーの払拭直前位置に洗浄液を供給できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のワイパブレードにおいて、前記ウォッシャノズルは、ワイパブレードの停止位置において前記レバー部材にて保持される前記ブレードラバーよりも払拭開始時の進行方向側に配置されていることをその要旨とする。
【0014】
同構成によれば、ウォッシャノズルがワイパブレードの停止位置においてブレードラバーよりも払拭開始時の進行方向側に配置されることで、払拭を開始したブレードラバーの直前にて洗浄液の供給がなされることになる。そのため、払拭面の迅速な汚れ落としが可能となり、該払拭面のドライ状態でのブレードラバーの摺接をも防止される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ウォッシャノズルは、前記洗浄液の圧送時に前記接続部から前記ノズル部への前記洗浄液の流入を許容すべく開弁し、前記洗浄液の供給停止時に前記接続部から前記ノズル部への前記洗浄液の流入を阻止すべく閉弁する逆止弁を有していることをその要旨とする。
【0016】
同構成によれば、ウォッシャノズルには洗浄液の圧送時にノズル部への洗浄液の流入を許容し、洗浄液の供給停止時にノズル部への洗浄液の流入を阻止する逆止弁が備えられるため、配管部材内に残留した洗浄液の漏れが払拭面に付着することが防止される。特に、洗浄液の供給を停止した状態でワイパが払拭動作を行って液漏れが生じ易い状況となっても、払拭面への液漏れを確実に防止できる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のワイパブレードにおいて、前記逆止弁は、前記洗浄液の流路の開閉を行う弁体と、該弁体を流路の閉塞側に付勢する付勢部材とを有してなることをその要旨とする。
【0018】
同構成によれば、洗浄液の流路の開閉を行う弁体と該弁体を流路の閉塞側に付勢する付勢部材とを用いて逆止弁が構成されるため、逆止弁の構成が簡単で組み立てが容易となる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記カバー部材は、前記レバー部材に対して回動可能に装着される、又は前記カバー部材を構成する他のカバー部に対して回動可能に装着される可動カバー部を有しており、前記ウォッシャノズルは、前記可動カバー部の回動軸付近に前記洗浄液の一部を供給する供給孔を有していることをその要旨とする。
【0020】
同構成によれば、回動可能に装着される可動カバー部の回動軸付近に、ウォッシャノズルによる洗浄液の一部が供給孔から供給されるようになっているため、可動カバー部の回動軸付近の凍結を防止、若しくは凍結した場合でも溶かすことができ、可動カバー部の円滑な回動動作を良好に行わせることが可能となる。尚、洗浄液には一般にアルコールが含まれているため、尚更、凍結の防止や溶融を好適に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0021】
従って、本発明によれば、払拭面へ洗浄液を供給する手段を備えたワイパブレードにおいて、払拭面への洗浄液の供給を長期に亘り安定して行うことができるワイパブレードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車のフロントガラス(ウインドシールドガラス)1の払拭面1aに付着した汚れや雨滴等を払拭する車両用ワイパ11を示す。
【0023】
車両用ワイパ11は、ワイパアーム12とワイパブレード13とから構成されている。ワイパアーム12は、基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該アーム12の先端部にはワイパブレード13が回動可能に連結される。尚、ワイパアーム12には、ワイパブレード13を払拭面1aに押圧するためのスプリング(図示略)が装着されている。そして、ピボット軸の往復回動に伴ってワイパアーム12が往復回動運動を行うことにより、ワイパブレード13が払拭面1aの払拭動作を行うようになっている。
【0024】
ワイパブレード13は、図3に示すように、レバーアッセンブリ14と、ブレードラバー15と、カバー部材16と、連結部材17と、装着プレート18とを備えている。
レバーアッセンブリ14は、それぞれ金属板材をプレス加工することにより形成される3つのレバー、即ちプライマリレバー21と、そのプライマリレバー21の長手方向両端部にそれぞれ回動可能に連結される2つのセカンダリレバー22とによりトーナメント状(階層的)に構成されている。
【0025】
プライマリレバー21は、長手方向中央部にホルダ部21aと、該ホルダ部21aの両側から長手方向に延びるアーム部21bとを有している。ホルダ部21aは、一対の平板状の側壁が平行をなし上部に長方形状の開口部21cを有しており、該開口部21cからワイパアーム12の先端部が挿入される。このホルダ部21aには連結部材17が回動可能に装着され、該連結部材17には前記ワイパアーム12の先端部が着脱可能に装着される。アーム部21bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面1a側が開口した断面略U字状)に形成されている。
【0026】
セカンダリレバー22は、プライマリレバー21のアーム部21bと同様、山折り形状(払拭面1a側が開口した断面略U字状)に形成されている。セカンダリレバー22は、長手方向中央部がプライマリレバー21の両端部(各アーム部21bの先端)にそれぞれ回動可能に連結されている。各セカンダリレバー22の長手方向両端部には、ブレードラバー15を把持(保持)するための把持部22aがそれぞれ形成されている。把持部22aは、長手方向から見て払拭面1a側が開口する略コ字状をなし、開口端においては互いに内側に延びて幅狭に形成されている。これら4つの把持部22aは、ゴム材にて長尺に形成され払拭面1aに接触して払拭するためのブレードラバー15を図2に示すように長手方向に所定間隔を有して把持する。
【0027】
因みに、ブレードラバー15には、把持部22aから受ける払拭面1a側への押圧力を長手方向に分散すべく長尺に形成された一対のバッキング19が該ラバー15の長手方向に沿って装着されている。バッキング19は、長手方向に複数の異なる曲率で区分されて全体として湾曲状に形成されている。バッキング19の各区間における曲率は、該バッキング19が装着されたブレードラバー15が払拭面1aの払拭範囲全体で良好に追従するように該払拭面1aの曲面形状に対応させて設定されている。
【0028】
カバー部材16は、図1〜図3に示すように、前記レバーアッセンブリ14を覆い、ブレードラバー15の両端部まで延びるように設けられる。カバー部材16は、それぞれ樹脂材料にて所定の剛性を有するように形成されるセンターカバー部31と、該センターカバー部31の両側に配置される2つのサイドカバー部32とから構成されている。
【0029】
センターカバー部31は、前記プライマリレバー21に装着され、該レバー21の略全体を覆う。センターカバー部31は、長手方向中央部にホルダ収容部31aと、該ホルダ収容部31aの両側から長手方向に延びるアーム収容部31bとを有している。ホルダ収容部31aは、プライマリレバー21のホルダ部21aを収容するとともに該ホルダ部21aに設けた開口部21cと対応した開口部31cを上部に有しており、該開口部31cからワイパアーム12の先端部が挿入される。アーム収容部31bは、長手方向と直交する横断面視において山折り形状(払拭面1a側が開口した断面略U字状)に形成されている。
【0030】
サイドカバー部32は、その基端部がプライマリレバー21の両端部(アーム部21bの先端部)に対して回動可能に装着される。この場合、サイドカバー部32の基端部内側には連結ピン32xが設けられるとともに、プライマリレバー21の両端部にはその連結ピン32xが嵌合する嵌合孔21xが設けられ、連結ピン32xと嵌合孔21xとの嵌合により、サイドカバー部32が回動可能となっている。サイドカバー部32は、センターカバー部31のアーム収容部31bと同様、山折り形状(払拭面1a側が開口した断面略U字状)に形成され、基端部から先端部に向かうほど頂部の高さが次第に低く形成されている。サイドカバー部32は、プライマリレバー21の両端から突出するセカンダリレバー22を覆うとともに、該セカンダリレバー22よりも更に端部側においてはブレードラバー15の上部に配置される。サイドカバー部32の先端部には、ブレードラバー15の端部を把持(保持)すべく前記セカンダリレバー22の把持部22aと略同様な形状をなす把持部32aが形成されている。そして、サイドカバー部32は、各セカンダリレバー22の端部から長手方向に突出したブレードラバー15の撓みに追従するように、プライマリレバー21の両端部に装着される基端部(連結ピン32x)を中心に回動するようになっている。
【0031】
また、センターカバー部31のアーム収容部31b及び各サイドカバー部32における車両前方側の壁部には、車両走行時に生じる走行風を受けるとブレードラバー15を払拭面1a側に押圧する押圧力を生成するフィン部31d,32bがそれぞれ形成されている。また、フィン部31d,32bは、アーム収容部31b及びサイドカバー部32の長手方向全体に設けられている。
【0032】
また、図2に示すように、前記センターカバー部31においてフィン部31dが設けられる側とは反対側(車両後方側、つまりワイパブレード13の停止位置における払拭開始進行方向側)にはウォッシャノズル41が配置されている。ウォッシャノズル41は、前記プライマリレバー21のホルダ部21aに下方から装着される図4に示すような樹脂製の装着プレート18に一体に構成されている。
【0033】
ここで、装着プレート18のプレート本体部18aには、長手方向中央部においてホルダ部21aの開口部21cに対応した長方形状の開口部18bが形成されている。開口部18bの幅方向両側にはホルダ部21aの各側壁の外側面に沿ってそれぞれ上方に延びる装着片18cが形成され、各装着片18cの内側にはホルダ部21aの上端に掛け止められる係止突起18dがそれぞれ2個ずつ形成されている。これにより、装着プレート18は、ホルダ部21aに対して着脱可能に装着される。
【0034】
開口部18bの長手方向両側には、ホルダ部21aの下側開口を閉塞する閉塞部18eが設けられている。各閉塞部18eの上面には、ホルダ部21aの内側に挿入される区画壁18fがそれぞれ立設されている。区画壁18fは、ホルダ部21aにおいて開口部21c側の内部空間と該開口部21cから長手方向外側(アーム部21b側)の内部空間とを区画している。つまり、図6に示すように、閉塞部18eを設けることにより、開口部21cの長手方向両側においてホルダ部21aの下側開口から走行時の空気流が入り込むことが防止され、区画壁18fを設けることにより、開口部21c内に侵入してきた空気流が長手方向外側(アーム部21b側)に入り込むのが防止される。これにより、ホルダ部21aを中心としたプライマリレバー21部分の空気流がスムーズになり、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0035】
プレート本体部18aの一側(フィン部31dが設けられる側とは反対側)には、蓋部18gが延出形成されている。蓋部18gは、図6に示すように、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間に形成される隙間を閉塞する。この蓋部18gにおいても、プライマリレバー21とセンターカバー部31との間の隙間内に空気流が入り込むことが防止され、走行時の風切り音が低減されるようになっている。
【0036】
蓋部18gの上面には、ウォッシャノズル41が一体に構成される。即ち、ウォッシャノズル41は、蓋部18gにてセンターカバー部31の開口(隙間)が閉塞されたその内部に収容される。このウォッシャノズル41は、ホース接続部42、逆止弁部43及びノズル部44を備えてなる。
【0037】
蓋部18gの上面には、図5に示すように、略有底円筒状の逆止弁部43のケース部43aが一体に形成されており、該ケース部43aの底部には蓋部18gの上面にて長手方向に沿うようにノズル部44が一体に形成されている。ケース部43aの内部には断面円形状の収容凹部43bを有し、該収容凹部43b内には弁体45及びコイルスプリング46が収容される。
【0038】
弁体45は、樹脂にて略円柱状に形成された基部45aと、ゴムやエラストマー等の弾性部材にて略円盤状に形成されたシール部45bと有し、該シール部45bが基部45aの軸方向一端に装着されて構成されている。また、基部45aの軸方向他端には円環状のバネ装着溝45cが形成されており、該装着溝45cにはコイルスプリング46の一端が装着される。コイルスプリング46は、その弁体45とケース部43aの底部との間に介在される。尚、弁体45(基部45a及びシール部45b)は、その外径が収容凹部43bの内径よりも小さくなるように設定されている。つまり、収容凹部43bにはその内壁面に対して隙間を有するように弁体45が収容され、弁体45の周囲が洗浄液Wの流路とされている。
【0039】
ノズル部44は長手方向に延びる連通孔44aを有しており、該連通孔44aはケース部43a内の収容凹部43bと連通している。また、ノズル部44(蓋部18g)の下面には、長手方向において所定間隔を有して複数の噴射孔47が連通孔44aと連通するように形成されている。噴射孔47はケース部43a(蓋部18g)にも形成されており、長手方向に例えば4個設けられている(図5では3個を図示)。
【0040】
また、ケース部43aの開口部には、該開口部を閉塞する蓋体48が装着される。蓋体48には、長手方向に突出する略円筒状の前記ホース接続部42を有している。ホース接続部42内には、洗浄液Wをケース部43aの収容凹部43b内に導入する導入通路42aが形成され、導入通路42aは蓋体48の内側面中央にて開口している。
【0041】
ここで、図1にて示すワイパアーム12には、その下面において、車体側のウォッシャポンプ(図示略)から延びる車体側ホース40が配設されている。車体側ホース40は、樹脂材料又はゴム、エラストマー等の弾性材料にて形成されており、該ホース40の先端部がワイパアーム12の先端近傍のセンターカバー部31に設けた挿入孔31eから該カバー部31内に挿入され、該カバー部31内でウォッシャノズル41のホース接続部42に嵌着される。
【0042】
図5において、蓋体48内側面における導入通路42aの開口の周囲には、弁体45の外径より小さい直径の環状凸部48aが形成されている。環状凸部48aには、弁体45のシール部45bがコイルスプリング46の付勢力にて密着する。つまり、弁体45により導入通路42aが閉塞(閉弁)され、洗浄液Wの収容凹部43b内への浸入が阻止される。これに対し、ウォッシャポンプの作動により車体側ホース40を通じて洗浄液Wが供給されると、その洗浄液Wの供給圧に基づいて弁体45がコイルスプリング46の付勢力に抗して退避し、導入通路42aが開放(開弁)される。これにより、収容凹部43b内に洗浄液Wが供給され、各噴射孔47から払拭面1aに向けた洗浄液Wの噴射が行われるようになっている。
【0043】
このような構成の車両用ワイパ11において、その停止状態では、ワイパブレード13がフロントガラス1の下端に配置されている。つまり、カバー部材16のフィン部31d,32bはワイパブレード13の車両前方側に、ウォッシャノズル41が配置されている側がワイパブレード13の車両後方側に位置している。
【0044】
そして、払拭面1aに洗浄液Wの必要が生じウォッシャポンプが作動されると、ウォッシャポンプにてタンクから汲み上げられた洗浄液Wが車体側ホース40からウォッシャノズル41に圧送される。このとき、ウォッシャポンプからウォッシャノズル41までの車体側ホース40内及びウォッシャノズル41の導入通路42aから逆止弁部43の弁体45までの間には、以前に洗浄液Wの噴射を行った際の洗浄液Wが充満している。そして、ウォッシャノズル41においては(図5参照)、洗浄液Wの供給圧に基づいて逆止弁部43の弁体45が直ちに退避して開弁されると、ノズル41内の収容凹部43bに洗浄液Wが供給され、各噴射孔47から洗浄液Wが迅速に噴射される。そして、ウォッシャポンプの作動に連動してワイパブレード13の払拭動作が開始される。
【0045】
このとき、ウォッシャノズル41は払拭面1aに近い位置に配置されていることから、払拭面1aに至近距離から洗浄液Wが噴射されることになり、走行風によりフロントガラス1から外側に噴射される所謂スプレーアウトを防止でき、目標着水ポイントに的確に洗浄液Wを供給できる。しかも、ワイパブレード13の車両後方側、即ち払拭開始時におけるブレードラバー15の進行方向側にて洗浄液Wの供給がなされるため、払拭面1aの迅速な汚れ落としができ、該払拭面1aのドライ状態でのブレードラバー15の摺接をも防止される。
【0046】
やがて、払拭面1aに洗浄液Wの必要がなくなってウォッシャポンプの作動が停止されると、ウォッシャノズル41への洗浄液Wの供給が停止される。この場合、逆止弁部43では弁体45にかかる洗浄液Wの供給圧が低下し、これに伴い弁体45がコイルスプリング46の付勢力により突出して、導入通路42aの開口周囲に設けた環状凸部48aに圧接する。これにより、導入通路42aが閉塞され、洗浄液Wの収容凹部43b内への流入が阻止される。つまり、車体側ホース40内に洗浄液Wが残留するとともに、その残留液がウォッシャノズル41から漏れ出ることが防止されるようになっており、次回の洗浄液供給の際に、その残留液によって迅速に洗浄液Wが噴射されるようになっている。
【0047】
尚、本実施の形態のように、ワイパブレード13内にウォッシャノズル41を備えてなるワイパ11においては、ワイパブレード13の長さに応じて噴射孔47の数等を変更して洗浄液Wの噴射範囲(噴射量)を設定することもできる。即ち、ワイパブレード13の長尺化に伴ってウォッシャノズル41を配置するスペースも長手方向に拡大することから、該ノズル41をワイパブレード13と同様に長手方向に拡大し、それとともに噴射孔47を増加させる。これにより、洗浄液Wの長手方向の噴射範囲がワイパブレード13の長尺化に対応して拡大できる。従って、例えばフロントガラス1に備えられるワイパ11は運転席側と助手席側にそれぞれ1つずつ用いられ(図示略)、ワイパブレード13は運転席側が助手席側よりも長尺に構成されているのが一般的であるが、洗浄液Wを各々のワイパブレード13の長さに合った好適な噴射量にてフロントガラス1の払拭面1aに供給することができる。
【0048】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施の形態のワイパブレード13はレバーアッセンブリ14がカバー部材16内に収容されてデザイン性向上等が図られており、そのカバー部材16内においてウォッシャノズル41が収容状態となるように該ウォッシャノズル41が一体に構成された装着プレート18がプライマリレバー21に装着されている。これにより、カバー部材16内に収容されるウォッシャノズル41は直射日光等による配管の早期劣化や、配管への積雪による噴射孔47の閉塞、砂塵や鳥の糞の付着による噴射孔47の閉塞等の発生が防止され、長期に亘り払拭面1aへの洗浄液Wの供給を安定して行うことができる。
【0049】
(2)本実施の形態のウォッシャノズル41を有する装着プレート18はプライマリレバー21に対して着脱可能に装着される構成のため、ウォッシャノズル41のメンテナンス性を向上することができる。また、該装着プレート18を着脱可能な構成としていることから、カバー部材16やレバーアッセンブリ14をそのまま使用しつつも、単に装着プレート18を装着しないでウォッシャノズル41を設定しない仕様のワイパブレードを提供することもできる。
【0050】
(3)本実施の形態の装着プレート18には、車両走行時に生じるカバー部材16内の空気流を規制するための閉塞部18eや区画壁18f、蓋部18gが設けられているため、カバー部材16内の空気流を安定させることができ、ワイパブレード13にて生じる風切り音を低減することができる。また、閉塞部18eや区画壁18f等でワイパブレード13の長手方向に沿う空気流を規制することで、雨滴等がその空気流によって長手方向に流れ、その流れた雨滴等がブレードラバー15を保持するセカンダリレバー22の把持部22aに衝突してまとまって噴き出すことも低減することができる。これにより、雨滴等がまとまって噴き出すことで搭乗者の視界が悪化することを防止でき、良好な視界を確保することができる。
【0051】
(4)本実施の形態のウォッシャノズル41は、プライマリレバー21のホルダ部21aとセンターカバー部31のホルダ収容部31aとの間、即ち車体側ホース40の配策されるワイパアーム12と連結するホルダ部21a近傍に配置されるため、車体側ホース40の取り回しが容易でウォッシャノズル41のホース接続部42との接続が容易となる。また、プライマリレバー21のホルダ部21aとセンターカバー部31のホルダ収容部31aとの間、即ちブレードラバー15の幅方向一側側にウォッシャノズル41が配置されるため、ブレードラバー15に邪魔されることなく、ブレードラバー15の払拭直前位置に洗浄液Wを供給することができる。
【0052】
(5)本実施の形態のウォッシャノズル41は、ワイパブレード13の停止位置においてブレードラバー15よりも払拭開始時の進行方向側に配置されているため、払拭を開始したブレードラバー15の直前にて洗浄液Wの供給がなされることになる。そのため、払拭面1aの迅速な汚れ落としが可能となり、該払拭面1aのドライ状態でのブレードラバー15の摺接をも防止することができる。
【0053】
(6)本実施の形態のウォッシャノズル41には、洗浄液Wの圧送時にノズル部44への洗浄液Wの流入を許容し、洗浄液Wの供給停止時にノズル部44への洗浄液Wの流入を阻止する逆止弁部43が備えられているため、車体側ホース40内に残留した洗浄液Wの漏れが払拭面1aに付着することを防止することができる。特に、洗浄液Wの供給を停止した状態でワイパ11が払拭動作を行って液漏れが生じ易い状況となっても、払拭面1aへの液漏れを確実に防止することができる。
【0054】
(7)本実施の形態の逆止弁部43は、洗浄液Wの流路の開閉を行う弁体45と該弁体45を流路の閉塞側に付勢するコイルスプリング46とを用いて構成されているため、逆止弁部43の構成が簡単で組み立てが容易である。
【0055】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、プライマリレバー21に装着し空気流を規制する目的の装着プレート18にウォッシャノズル41を一体に設けたが、空気流を規制する以外の目的や単にウォッシャノズルを装着するだけの目的でプライマリレバー21等のレバーアッセンブリ14やカバー部材16に装着される装着部材にウォッシャノズル41を一体に設けてもよい。
【0056】
・上記実施の形態では、逆止弁部43を弁体45とコイルスプリング46とを用いて構成したが、例えばコイルスプリング46以外の付勢部材を用いる等、構成を適宜変更してもよい。また、ウォッシャノズル41に設けた逆止弁(逆止弁部43)が特に必要なければ省略してもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、センターカバー部31に備えられる1つのウォッシャノズル41にて洗浄液Wを噴射する構成としたが、例えばカバー部材16内においてそのウォッシャノズル41から接続ホースを用いてサイドカバー部32側まで延長し、該サイドカバー部32においても洗浄液Wの噴射が行える構成としてもよい。
【0058】
例えば図7に示すように、ワイパブレード13の先端側のサイドカバー部32まで接続ホース50を用いて延長し該サイドカバー部32内の先端側ノズル51と接続した場合、その先端側ノズル51の噴射方向を長手方向中央側に向けてもよい。このようにすれば、先端側ノズル51から噴射された洗浄液Wがワイパブレード13の払拭範囲外に飛散することを低減することができる。
【0059】
・上記実施の形態では、レバーアッセンブリ14をカバーするカバー部材16をセンターカバー部31及び2つのサイドカバー部32の3つの部品にて構成したが、2つ以下又は4つ以上の部品にて構成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態のように、そのサイドカバー部32をプライマリレバー21に対し連結ピン32xにて回動可能な可動カバーとしている場合、図8に示すように、洗浄液Wの一部をそのサイドカバー部32の回動軸(連結ピン32x)付近に噴射供給する供給孔としての噴射孔41aをウォッシャノズル41に設けてもよい。このようにすれば、サイドカバー部32の回動軸付近の凍結を防止、若しくは凍結した場合でも溶かすことができ、サイドカバー部32の円滑な回動動作を良好に行わせることができる。尚、洗浄液Wには一般にアルコールが含まれているため、尚更、凍結の防止や溶融を好適に行うことができる。
【0061】
・上記実施の形態では、ブレードラバー15を保持するレバー部材として、3つのレバー21,22からなるレバーアッセンブリ14を用いたが、レバー部材の構成はこれに限定されるものではなく、レバーの数を適宜変更してもよい。この場合、レバーの数は1つであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施の形態のワイパブレードを有する車両用ワイパの斜視図である。
【図2】(a)はワイパブレードの平面図であり、(b)はワイパブレードの正面図であり、(c)はワイパブレードの背面図である。
【図3】ワイパブレードの分解斜視図である。
【図4】ウォッシャノズルを有する装着プレートの斜視図である。
【図5】ウォッシャノズルの断面斜視図である。
【図6】ワイパブレードの横断面図である。
【図7】別例におけるワイパブレードの概略構成図である。
【図8】別例におけるワイパブレードの概略構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1a…払拭面、12…ワイパアーム、13…ワイパブレード、14…レバー部材としてのレバーアッセンブリ、15…ブレードラバー、16…カバー部材、18…装着部材としての装着プレート、18e…規制部としての閉塞部、18f…規制部としての区画壁、18g…規制部としての蓋部、21…レバー部材を構成するプライマリレバー、21a…ホルダ部、31…カバー部材を構成するセンターカバー部、31a…ホルダ収容部、32…カバー部材及び可動カバー部としてのサイドカバー部、32x…回動軸としての連結ピン、40…配管部材としての車体側ホース、41…ウォッシャノズル、41a…供給孔としての噴射孔、42…接続部としてのホース接続部、43…逆止弁としての逆止弁部、44…ノズル部、45…弁体、46…付勢部材としてのコイルスプリング、W…洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面を払拭するためのブレードラバーと、
ワイパアームに連結されるとともに前記ブレードラバーを保持するために少なくとも1つのレバーからなるレバー部材と、
前記ブレードラバー側に開口し前記レバー部材の少なくとも一部を前記開口から内部に収容するカバー部材と
を備えたワイパブレードであって、
前記ワイパアームに沿って配策された配管部材が接続される接続部と、該接続部を介して前記配管部材側から圧送される洗浄液を前記払拭面に供給するノズル部とを有するウォッシャノズルと、
前記ウォッシャノズルが一体に構成されるとともに、前記ウォッシャノズルを前記カバー部材内に収容状態で前記レバー部材又は前記カバー部材に装着される装着部材と
を備えたことを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記装着部材は、前記レバー部材又は前記カバー部材に対して着脱可能に装着されることを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワイパブレードにおいて、
前記装着部材は、車両走行時に生じる前記カバー部材内の空気流を規制する規制部が設けられてなることを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記レバー部材は、前記ワイパアームと回動可能に連結するためのホルダ部を有し、
前記カバー部材は、前記ホルダ部を収容するホルダ収容部を有しており、
前記ウォッシャノズルは、前記ホルダ部と前記ホルダ収容部との間に配置されていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項4に記載のワイパブレードにおいて、
前記ウォッシャノズルは、ワイパブレードの停止位置において前記レバー部材にて保持される前記ブレードラバーよりも払拭開始時の進行方向側に配置されていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記ウォッシャノズルは、前記洗浄液の圧送時に前記接続部から前記ノズル部への前記洗浄液の流入を許容すべく開弁し、前記洗浄液の供給停止時に前記接続部から前記ノズル部への前記洗浄液の流入を阻止すべく閉弁する逆止弁を有していることを特徴とするワイパブレード。
【請求項7】
請求項6に記載のワイパブレードにおいて、
前記逆止弁は、前記洗浄液の流路の開閉を行う弁体と、該弁体を流路の閉塞側に付勢する付勢部材とを有してなることを特徴とするワイパブレード。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、
前記カバー部材は、前記レバー部材に対して回動可能に装着される、又は前記カバー部材を構成する他のカバー部に対して回動可能に装着される可動カバー部を有しており、
前記ウォッシャノズルは、前記可動カバー部の回動軸付近に前記洗浄液の一部を供給する供給孔を有していることを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−112392(P2007−112392A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308865(P2005−308865)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】