説明

ワイパ装置

【課題】ブレードラバーの低温硬化を防止できるワイパ装置を提供する。
【解決手段】ワイパアーム11の先端にクリップ12で支持されたワイパブレード13を有するワイパ装置において、ワイパブレード13の基部21に連続的に形成された中間部25およびリップ部26を多孔質に形成し、中間部25の多孔質の孔25aの口径はリップ部26の多孔質の孔26aの口径よりも大きくする。中間部25に長手方向に延びる液体供給孔27を形成し、液体供給孔27に多数個の流出口28aを有するパイプからなる配管28を敷設し、配管28のワイパアーム11側端部はチューブ29を介してウオッシャタンクに接続する。不凍液であるウオッシャ液が多孔質の中間部25やリップ部26に溜まるので、ブレードラバー20の低温硬化を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ装置に関し、例えば、自動車のウインドシールドガラスを払拭するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のワイパ装置として、ワイパブレードのブレードラバーの内部にウオッシャ液流通孔を設け、この流通孔のウオッシャ液をブレードラバーに形成した一対のノズル孔からウインドガラスの外表面に吹きかけて汚れを落とすように工夫したものがある。例えば、特許文献1参照。
【特許文献1】実開平4−134775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなワイパ装置においては、ブレードラバーの低温硬化を防止することができないために、寒冷地に対応することができない。
【0004】
本発明の目的は、ブレードラバーの低温硬化を防止することができるワイパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
ウインドガラスに接触するリップ部、該リップ部に連続的に形成された中間部および該中間部に連続的に形成された基部が長手方向に形成されているブレードラバーと、
前記ブレードラバーの前記基部を保持するホルダと、
前記ホルダの略中央に連結部にて回動自在に連結されたワイパアームと、
前記ブレードラバーに連結され、前記ワイパアームを通りウォッシャタンクに接続されるチューブと、を備えているワイパ装置において、
前記ブレードラバーの前記中間部には前記ブレードラバーの長手方向に延びる液体供給孔が形成されており、
前記中間部および前記リップ部には多孔質部が前記液体供給孔に連接して設けられていることを特徴とするワイパ装置。
【発明の効果】
【0006】
前記したワイパ装置によれば、ウオッシャ液等を液体供給孔に流通させることにより、ウオッシャ液等をブレードラバーの多孔質部に供給することができるので、ブレードラバーの低温硬化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0008】
本実施の形態において、本発明に係るワイパ装置は、自動車のウインドシールドガラス(以下、ガラスという。)の払拭面を払拭するためのものとして構成されている。
図1に示されているように、ワイパ装置10はワイパアーム11を備えており、ワイパアーム11の基端部は自動車パネルの車室内側に配置されるワイパモータのワイパシャフト(図示せず)に取り付けられる。
ワイパアーム11の先端部にはワイパブレード13が連結部としてのクリップ12によって回動自在に支持されている。
ワイパブレード13はブレードラバー20を保持するホルダ14を備えており、ホルダ14がワイパアーム11にクリップ12によって回動自在自在に支持されている。
ワイパブレード13はワイパモータによって所定角度だけ往復回動されるワイパアーム11から払拭面側への押圧力を受けつつ、その回動によりガラスの払拭面の所定角度範囲を払拭する。
【0009】
図2に示されているように、ブレードラバー20はゴム等の弾性材料によって細長い棒形状に一体成形されている。
ブレードラバー20はホルダ14によって保持される基部21を備えており、基部21の両側面には第一保持溝22と第二保持溝23とが、それぞれ長手方向に細長く形成されている。第一保持溝22には第一バーテブラ31が嵌入されており、第二保持溝23には第二バーテブラ32が嵌入されている。
第一バーテブラ31は所定の弾性を有する板バネ材料が使用されて、第一保持溝22に嵌入して保持される細長い板形状に形成されている。
第二バーテブラ32は第一バーテブラ31と所定の弾性を有する同一の板バネ材料が使用されて、第二保持溝23に嵌入して保持される細長い板形状に形成されている。
ブレードラバー20の第一保持溝22および第二保持溝23よりも下側には、一対のホルダ保持溝24、24が長手方向に形成されており、ホルダ14の保持部が両ホルダ保持溝24、24に両脇から嵌合されることにより、ホルダ14はブレードラバー20を保持する。
【0010】
ブレードラバー20の両ホルダ保持溝24、24で挟まれた部分には中間部25が基部21に連続的に形成されており、中間部25の下側にはガラスに接触するリップ部26が中間部25に連続的に形成されている。
中間部25およびリップ部26は互いに孔径が異なる多孔質にそれぞれ形成されている。すなわち、中間部25の多孔質の孔25aの口径はリップ部26の多孔質の孔26aの口径よりも大きく形成されている。
【0011】
中間部25にはブレードラバー20の長手方向に延びる液体供給孔27が往路復路で一対、平行に形成されており、一対の液体供給孔27、27には往路復路で一対の配管28、28がそれぞれ敷設されている。両配管28、28には多数個の流出口28aが、長手方向に等間隔に配列されて開設されており、多数個の流出口28aは中間部25に開口している。
配管28は可撓性を有する樹脂等が使用されて細長いパイプに形成されており、ブレードラバー20にインサート成形されている。
【0012】
往路復路で一対の配管28、28の先端側端は互いに連通されており、往路復路で一対の配管28、28のワイパアーム11側端部には往路復路で一対のチューブ29、29がそれぞれ接続されている。両チューブ29、29はバルブ30を介してウオッシャタンク(図示せず)に接続されている。
つまり、両液体供給孔27、27にはウオッシャタンクのウオッシャ液が、バルブ30やチューブ29および配管28を通じて流通されるようになっている。
【0013】
以上のように構成されたワイパ装置は自動車のガラスに設置され、チューブ29がウオッシャタンクに接続される。
寒冷地等の低温下の払拭作動において、バルブ30が開かれると、ウオッシャタンクのウオッシャ液が両液体供給孔27、27にバルブ30やチューブ29および配管28を通じて流通する。
流通するウオッシャ液は流出口28aから中間部25の多孔質における無数の大径の孔25aに随時に流出して溜まる。
リップ部26がガラスに接触して押圧されると、中間部25に溜まったウオッシャ液はリップ部26の多孔質における無数の小径の孔26aに随時に滲み出して溜まる。
ウオッシャ液は不凍液であるので、中間部25およびリップ部26に溜まったウオッシャ液はブレードラバー20の低温硬化を防止することになる。
この現象はブレードラバー20の全長にわたって均等に起こるために、ブレードラバー20の低温硬化は全長にわたって均等に防止することができる。
【0014】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0015】
(1)ブレードラバーの中間部にブレードラバーの長手方向に延びる液体供給孔を形成し、中間部およびリップ部は多孔質に液体供給孔に連接させて形成することにより、ウオッシャ液を液体供給孔に通してブレードラバー全体に行き渡らせることができるので、ブレードラバーの低温硬化を防止することができる。したがって、寒冷地等にも適用可能なワイパ装置を提供することができる。
【0016】
(2)ブレードラバーの中間部にブレードラバーの長手方向に延びる液体供給孔を形成し、中間部およびリップ部は多孔質に液体供給孔に連接させて形成することにより、払拭作動時にウオッシャ液をブレードラバーから滲み出させることができるので、払拭性能を向上させることができる。
【0017】
(3)中間部の多孔質の孔径を大きく、リップ部の多孔質の孔径を小さく形成することにより、ウオッシャ液をリップ部に浸透させることができるので、ウオッシャ液をブレードラバー全体により一層効果的に行き渡らせることができる。
【0018】
(4)液体供給孔に多数の流出口を有するパイプをインサート成形することにより、ウオッシャ液を中間部の全長にわたって均等に流出させることができるので、ウオッシャ液をブレードラバー全体により一層効果的に行き渡らせて払拭性能を向上させることができるとともに、生産性を向上させることができる。
【0019】
(5)液体供給孔に多数の流出口を有するパイプを敷設することにより、ワイパーブレードにヒビが発生したときに、ウオッシャ液が当該ヒビに流れる現象を防止して、ウオッシャ液をリップ部に確実に供給することができる。
【0020】
(6)配管にチューブを接続することにより、ウオッシャ液をブレードラバーに確実に供給することができるので、ウオッシャ液をブレードラバー全体に行き渡らせることができる。
【0021】
(7)液体供給孔および配管を2本敷設することにより、ウオッシャ液をブレードラバーに流通させることができるので、ウオッシャ液をブレードラバー全体に確実に行き渡らせることができる。
【0022】
(8)配管またはチューブにバルブを設けることにより、ウオッシャ液の流通を制御することができるので、低温硬化防止効果および払拭性能向上効果を適正に制御することができる。
【0023】
図3は本発明の他の実施の形態であるワイパ装置のワイパブレードを示している。
本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、液体供給孔27が1本だけ敷設されている点である。
本実施の形態においては、ウオッシャ液は流通せずに溜まった状態になるが、前記実施の形態と同様な作用および効果が奏される。
【0024】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0025】
例えば、液体供給孔に供給する液体は、ウオッシャ液に限らず、温水や水等であってもよい。
【0026】
往路復路で一対の液体供給孔に2本の配管をそれぞれ敷設するに限らず、1本の配管を途中で折り曲げて敷設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態であるワイパ装置を示す斜視図である。
【図2】そのワイパブレードを示しており、(a)は一部省略正面図、(b)は側面断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態であるワイパ装置のワイパブレードを示す(a)は一部省略正面図、(b)は側面断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10…ワイパ装置、11…ワイパアーム、12…クリップ、
13…ワイパブレード、14…ホルダ、
20…ブレードラバー、21…基部、22…第一保持溝、23…第二保持溝、24…ホルダ保持溝、
25…中間部、25a…中間部の多孔質の大口径孔、
26…リップ部、26a…リップ部の多孔質の小口径孔、
27…液体供給孔、
28…配管(パイプ)、28a…流出口、
29…チューブ、
30…バルブ、
31…第一バーテブラ、32…第二バーテブラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドガラスに接触するリップ部、該リップ部に連続的に形成された中間部および該中間部に連続的に形成された基部が長手方向に形成されているブレードラバーと、
前記ブレードラバーの前記基部を保持するホルダと、
前記ホルダの略中央に連結部にて回動自在に連結されたワイパアームと、
前記ブレードラバーに連結され、前記ワイパアームを通りウォッシャタンクに接続されるチューブと、を備えているワイパ装置において、
前記ブレードラバーの前記中間部には前記ブレードラバーの長手方向に延びる液体供給孔が形成されており、
前記中間部および前記リップ部には多孔質部が前記液体供給孔に連接して設けられていることを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記多孔質部は前記中間部では孔の径が大きく、前記リップ部では孔の径が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記液体供給孔には配管が一体的に成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイパ装置。
【請求項4】
前記配管にパイプが用いられていることを特徴とする請求項3に記載のワイパ装置。
【請求項5】
前記配管の一方の端部に前記チューブとの接続部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のワイパ装置。
【請求項6】
前記配管が2本以上設けられていることを特徴とする請求項3または4または5に記載のワイパ装置。
【請求項7】
前記配管に接続される前記チューブにバルブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−247220(P2008−247220A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91443(P2007−91443)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】