説明

ワックスを含有する持続放出性製剤

持続放出性医薬製剤であって、前記製剤が持続放出性部分と即時放出性部分とを含有し、前記持続放出性部分が医薬品有効成分とワックスとを含む持続放出性医薬製剤が開示される。このような持続放出性医薬製剤を製造する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年3月21日に出願された米国特許仮出願第61/070,332号明細書の出願日の利益を主張するものであり、その開示は参照することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
[発明の分野]
シプロフロキサシンは、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のどちらに対しても活性である広域抗生物質である。シプロフロキサシンの細菌学的作用は、細菌DNAの複製、転写、修復および組換えのために必要とされるトポイソメラーゼII(DNAジャイレース)およびトポイソメラーゼIVの阻害の結果として生じる。
【背景技術】
【0003】
シプロフロキサシン錠剤は、Bayer Pharmaceuticals社によって商標名Cipro(登録商標)およびCiproxin(登録商標)で発売された。後になって、Cipro(登録商標)の静脈注射用製剤が1991年に発売された。Cipro(登録商標)は100カ国を超える国々において入手可能であり、特別には例えば急性単純性膀胱炎、腎盂腎炎、および慢性細菌性前立腺炎などの尿路感染症である14種類の感染症を治療するために承認されてきた。
【0004】
シプロフロキサシンの持続放出性バージョンは、2002年12月13日にFDAによって承認され、Bayer Pharmaceuticals社によって商標名CiproXR(登録商標)で市販された。CiproXR(登録商標)錠剤は、即時放出層および浸食性マトリックスタイプの制御放出層からなる、コーティングされた二層錠剤である。CiproXR(登録商標)錠剤は、医薬品有効成分の少なくとも一部を長時間にわたって放出するように調製される。用量のおよそ35%は即時放出性成分内に含有されるが、残りの65%は徐放性マトリックス内に含有される。
【0005】
Bayer社によって製造される錠剤は、2種類のシプロフロキサシン原薬であるシプロフロキサシン塩酸塩およびシプロフロキサシンベタイン(塩基)の組み合わせを含有する。CiproXR(登録商標)は、500mgまたは1,000mg(シプロフロキサシン当量)の錠剤含量として入手できる。不活性成分は、クロスポビドン、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、コロイダルシリカ無水物、コハク酸、および二酸化チタンである。CiproXR(登録商標)錠剤は、長円形を有するほぼ白色からわずかに黄色がかったフィルムコート錠である。
【0006】
シプロフロキサシンの最大血漿濃度は、CiproXR(登録商標)の投与の約1〜約4時間後に得られる。単純性尿路感染症を治療するために承認されているシプロフロキサシン250mgの即時放出型治療と比較して、CiproXR(登録商標)500mgを1日1回投与した場合のCmaxは高いが、24時間にわたる曲線下面積は等価である。さらに、薬物動態試験の結果は、CiproXR(登録商標)が食物とともに、または食物を摂らずに投与できることを証明している(例えば、高脂肪および低脂肪の食事は絶食条件下にある)。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0275367号明細書は、難水溶性薬物の持続放出性製剤について記載している。
【0008】
米国特許第6,039,974号明細書は、うっ血除去剤、カルナバ・ワックス、および抗接着剤を第1層に含み、抗ヒスタミン剤を第2層に含む二層錠剤組成物について記載している。この特許は、第1層内の大量のカルナバ(59%〜81%)および比較的少量のAPIについて開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CiproXR(登録商標)などの市販で入手可能な剤形またはUSP剤形と生物学的に等価な、APIの持続放出性製剤を製造する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性製剤であって、該持続放出性部分は医薬品有効成分、および/またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物(以下、「API」と呼ぶ)ならびに少なくとも1種のワックスをベースとする材料、またはワックス状材料(以下、「ワックス」と呼ぶ)を含む持続放出性製剤が見出された。用語「ワックス」は、脂肪酸、脂肪酸エステル誘導体、高級アルコール、高級アルコールエステル誘導体、および本明細書に記載したその他を意味することを意図している。
【0011】
本発明のまた別の実施形態では、ワックスは、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル誘導体、高級アルコール、および高級アルコール誘導体からなる群から選択される。本発明のまた別の実施形態では、ワックスは、カルナバ・ワックス、白ろう、蜜ろう、モノステアリン酸グリセロール、オレイン酸グリセロール、パラフィン、および鯨ろうからなる群から選択される。
【0012】
また別の実施形態によると、持続放出性部分中のワックスの量は、持続放出性部分の約2(w/w)重量%〜約40(w/w)重量%の間である。本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分中のワックスの量は、持続放出性部分の約4(w/w)重量%〜約30(w/w)重量%の間である。本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分中のワックスの量は、持続放出性部分の約6(w/w)重量%〜約23(w/w)重量%の間である。
【0013】
本発明のまた別の実施形態によると、APIは、水溶性遊離塩基および/または塩(不溶性遊離塩基の可溶性塩を含む)である。本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分中のAPIは、プロプラノロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ガランタミン、ブプロピオン、ジルチアゼム、オキシブチニン、ヒドロクロロチアジド、メトホルミン、オパミン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ノルバンコマイシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド類、セチリジン、ベンラファキシン、オピオイド系鎮痛剤、テオフィリン、ベラパミル、アムロジピン、アトモキセチン、ゾピクロン、トラマドール、チモロール、トロスピウム、プラミペキソール、およびそれらの製薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物からなる群から選択される。
【0014】
本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分中の該APIの量は、持続放出性部分の約5(w/w)重量%〜約75(w/w)重量%の間である。本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分は、APIの遊離塩基および塩の混合物を含有する。
【0015】
本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分は、追加のマトリックス形成成分をさらに含んでいる。マトリックス形成成分は、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、およびベヘン酸から選択することができる。本発明のまた別の実施形態によると、マトリックス形成成分は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、リン酸、親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、pH依存性のアクリレートポリマーもしくはアクリレートコポリマー、および孔形成剤からなる群から選択される。
【0016】
本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分は、1つ以上の添加物を含んでいる。1つの実施形態では、二塩基性リン酸カルシウム(例えば、二水和物または無水物から選択できる)は、本製剤の持続放出性部分のマトリックスのための不溶性充填剤として使用される。二塩基性リン酸カルシウムの量は、一般的に持続放出性部分の約3(w/w)重量%〜約30(w/w)重量%の間である。また別の実施形態では、デンプンまたは微結晶セルロースが不溶性充填剤として使用される。
【0017】
本発明のまた別の実施形態によると、即時放出性部分は、持続放出性部分中のAPIと同一であっても相違していてもよいAPIを含んでいる。APIは、遊離塩基、塩、溶媒和物、もしくは水和物、またはそれらの混合物であってもよい。また別の実施形態では、APIは、遊離塩基および塩の混合物として存在している。本発明のまた別の実施形態によると、即時放出性部分中の該APIの量は、即時放出性部分の約5(w/w)重量%〜約80(w/w)重量%の間である。
【0018】
本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分および即時放出性部分は、錠剤、二層錠剤、カプセル剤、または任意の他の適切な剤形(以下、「剤形」と呼ぶ)中で組み合わされる。本発明のまた別の実施形態によると、剤形中の持続放出性部分の量は、約9:1〜約1:9の間である。
【0019】
本発明のまた別の実施形態によると、製剤中のAPIの約5%〜約75%は約1時間後に放出され、製剤中のAPIの約25%〜約100%は約6時間後に放出される。
【0020】
本発明のまた別の実施形態によると、絶食条件のピーク濃度対摂食条件のピーク濃度の比率は、約0.8〜約1.2の間である。
【0021】
本発明のまた別の実施形態によると、絶食条件の曲線下面積対摂食条件の曲線下面積の比率は、約0.8〜約1.2の間である。
【0022】
また別の態様では、本発明は、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性医薬製剤であって、該持続放出性部分がシプロフロキサシン、その塩、溶媒和物、もしくは水和物またはそれらの混合物(以下、「シプロフロキサシン」と呼ぶ)および少なくとも1種のワックスを含む持続放出性製剤である。本発明のまた別の実施形態によると、ワックスは、カルナバ・ワックスである。持続放出性部分は、追加のマトリックス形成成分を含んでいてもよい。本発明のまた別の実施形態によると、即時放出性部分は、シプロフロキサシン、その塩、溶媒和物、もしくは水和物またはそれらの混合物もまた含んでいる。本発明のまた別の実施形態によると、即時放出性部分は、持続放出性部分中のAPIとは相違しているAPIから選択される。すなわちこのAPIはシプロフロキサシンとは相違している。本発明のまた別の実施形態によると、持続放出性部分は、ステアリン酸をさらに含んでいる。
【0023】
また別の態様では、本発明は、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む医薬製剤であって、該持続放出性部分はAPIおよびワックスを含み、該ワックスの量は該持続放出性部分の約50重量%未満である。1つの実施形態では、持続放出性部分中のAPIはシプロフロキサシンである。該即時放出性部分中のAPIは、同一であっても相違していてもよい。
【0024】
さらにまた別の態様では、本発明は、APIとワックスとを含む持続放出性部分および即時放出性部分を形成し、そして適切な剤形内に該2つの部分を組み合わせる方法である。
【0025】
さらにまた別の態様では、本発明は、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性製剤を投与する工程を含む被験者を治療する方法であって、該持続放出性部分はAPIおよび少なくとも1種のワックスから構成される方法である。
【0026】
また別の実施形態では、本発明は、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む製剤を投与する工程を含む細菌感染症を治療する方法であって、該持続放出性部分はシプロフロキサシンおよびワックスを含み、該ワックスの量は該持続放出性部分の約2重量%〜約40重量%である方法である。例えば、細菌感染症は、呼吸器感染症または尿路感染症であってもよい。
【0027】
本発明の製剤は、二層錠剤から1種以上のAPIの持続放出を提供すること、そして例えばシプロフロキサシン遊離塩基などの難水溶性APIにさえ使用できることが見出された。ワックスを持続放出性部分の50重量%未満の量で使用することは、十分量のAPIが経時的に放出される浸食性マトリックスを提供すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1つの態様では、本発明は、持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性医薬製剤(以下では「製剤」)であって、該持続放出性部分は医薬品有効成分(API)、その塩、溶媒和物、もしくは水和物またはそれらの混合物および少なくとも1種のワックスを含む持続放出性医薬製剤である。
【0029】
持続放出性製剤は、適切な剤形で提供される。当業者であれば、本発明の持続放出性部分と即時放出性部分との両方を含有する適切な剤形を構築することができる。剤形が二層錠剤である場合は、該二層錠剤の片側の少なくとも一部は持続放出性部分を含有し、該二層錠剤の反対側の少なくとも一部は即時放出性部分を含有している。
【0030】
以下に、持続放出性部分および即時放出性部分の各々、ならびに製剤を含有する最終剤形についてより詳細に考察する。
【0031】
[持続放出性部分]
用語「持続放出」は、APIの治療的に有益な血中濃度が長時間にわたって維持されるような速度、例えば投与後の約30分間〜約12時間の範囲内の時間にわたって、好ましくは投与後の約30分間〜約8時間の範囲内の時間にわたって持続放出性部分からAPIが放出されるような速度で、該持続放出性部分から放出されるという事実を意味している。
【0032】
本製剤の持続放出性部分は、APIおよびワックスを含んでいる。ワックス、および以下に記載する任意の関連マトリックス形成成分は、APIが長時間にわたって放出されるマトリックスを提供すると考えられる。
【0033】
APIは、水溶性および不溶性の医薬品有効成分(APIの塩、溶媒和物、および水和物を含む)から選択できる。当業者であれば、塩の形態でなければ不溶性のAPIが、塩の形態にある場合は可溶性の可能性があることを認識する。ほんの一例であるが、シプロフロキサシンは、遊離塩基単独よりも塩としての方が可溶性である。
【0034】
一般に、医薬品有効成分は、抗炎症薬、冠拡張薬、脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、抗感染症薬、向精神薬、抗躁薬、興奮薬、胃腸鎮静剤、抗狭心症薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、降圧薬、血管収縮剤、片頭痛治療薬、抗凝固薬および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱剤、催眠薬、鎮静薬、制吐薬、制嘔吐薬、抗痙攣薬、神経筋薬、高血糖および低血糖薬、甲状腺および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、抗肥満薬、同化剤、赤血球形成薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、去痰薬、鎮咳剤、粘液溶解薬、抗尿酸血症薬などからなる群から選択することができる。
【0035】
一部の実施形態では、医薬品有効成分は、水溶性であり、1部の溶質対30部の溶媒より大きい溶解度を有する。水溶性APIは、非共有結合性のプロトン、永続的に正(または負)に帯電している分子、ならびに弱酸および強酸の塩である負に帯電している分子に起因して正に帯電している無機酸および/または有機酸を用いて形成されたAPIの塩および溶媒和物を含んでいる。他の実施形態では、API(またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物)は溶け易く、1部の溶質対約10部の溶媒の溶解度を有している。さらに他の実施形態では、API(またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物)は可溶性であり、1部の溶質対約1部以下の溶媒の溶解度を有している。
【0036】
特定のAPIは、プロプラノロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ガランタミン、ブプロピオン、ジルチアゼム、オキシブチニン、ヒドロクロロチアジド、メトホルミン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ノルバンコマイシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド類(例えば、ビノレルビン)、ベンラファキシン、オピオイド系鎮痛剤(例えば、モルヒネ)、テオフィリン、ベラパミル、アムロジピン、トラマドール、ジルチアゼム、チモロール、トロスピウム、プラミペキソール、エナラプリル、およびそれらの製薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物からなる群から選択することができる。その他のAPIには、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、セファラキシン(cefalaxin)、ドキシサイクリン、アテノロール、ジバルプロエックスナトリウム、ナイアシン、ダリフェナシン、テリスロマイシン、塩酸ミノサイクリン、アモキシリン、クラブラン酸カリウム、塩酸デキスメチルフェニデート(dexmethylphenidate hydrochloride)、塩酸ブプロピオン、ロシグリタゾン、グリメピリド、オルメサルタンメドキシミル(olmesartan medoximil)、ヒドロクロロチアジド、カルビドパ、レボドパ、エムトリシタビン、ジドブジン、アバカビル、ラミブジン、ロピナビル、リトナビル、ロサルタン、トラマドール、オランザピン、オキシコドン、トランドラプリル、アトルバスタチン、ニフェジピン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、およびそれらの製薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物が含まれる。
【0037】
持続放出性部分中のAPIは、遊離塩基として、またはその塩、溶媒和物、水和物として存在してもよい。一部の実施形態では、APIは、塩である。他の実施形態では、APIは、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、ステアリン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、ベシル酸塩、またはギ酸塩である。さらに他の実施形態では、APIは、例えば、遊離塩基および塩、または2つの相違する塩形の混合物などの2つの形態の混合物で存在することができる。
【0038】
いずれか1つの特定の理論によって拘束されることを望まないが、当業者であれば、塩形態および遊離塩基形態の各々は相違する溶解速度を有する可能性があるため、塩および遊離塩基を組み合わせることにより、特定のAPIの放出を制御できると考えられる。さらに、そのような組み合わせはAPIの持続放出を長時間をかけて提供することに実際的に役立つことができると考えられる。
【0039】
1つの実施形態では、持続放出性部分は、APIの遊離塩基および同一APIの塩酸塩を含有している。また別の実施形態では、APIは、シプロフロキサシンおよび/またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物である。1つの実施形態では、APIは、シプロフロキサシンである。
【0040】
持続放出性部分中のAPIの量は、持続放出性部分の約5(w/w)重量%〜約75(w/w)重量%、好ましくは持続放出性部分の約30(w/w)重量%〜約70(w/w)重量%、より好ましくは持続放出性部分の約55(w/w)重量%〜約65(w/w)重量%の間である。
【0041】
持続放出性部分がAPIの遊離塩基および同一APIの塩を含む実施形態では、遊離塩基の量対塩の量は、約1:2〜約2:1の間である。
【0042】
ワックスは、単独で、または別のマトリックス形成成分と組み合わせて、APIが放出されるマトリックスを作製することによって、製剤のための所望の持続放出性プロファイルを提供する。経口医薬製剤のために安全であること、そしてAPIの作用機序を妨害しないことを前提に、任意のワックスを持続放出性部分中に使用できる。適切なワックスには、動物由来もしくは植物由来のワックス、合成ワックス、および半合成ワックスが含まれるがそれらに限定されない。詳細には、ワックスには、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル誘導体、高級アルコール、および高級アルコールエステル誘導体が含まれる。例えば、ワックスは、高分子量一価アルコールまたは高分子量脂肪酸のエステルであってもよい。
【0043】
高級脂肪酸には、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
高級脂肪酸エステル誘導体には、グリセリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコールおよび上記に列挙した高級脂肪酸の他のエステル;動物もしくは植物に由来する飽和脂肪酸グリセリド、それらの混合物、および動物由来もしくは植物由来の該グリセリドから入手できる硬化油;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびリシノール酸のグリセリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
高級アルコールには、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、羊毛アルコール、およびコレステロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
高級アルコールエステル誘導体には、パルミチン酸コレステリルおよびパルミチン酸フィトステロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
一部の実施形態では、ワックスは、例えば飽和脂肪などの、高融点(例えば、35℃を超えると融解する)の製薬学的に許容可能な水不溶性ワックスである。高融点の水不溶性ワックスの例には、カルナバ・ワックス、白ろう、蜜ろう、モノステアリン酸グリセロール、オレイン酸グリセロール、パラフィン、または鯨ろうが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、ワックスは、カルナバ・ワックスまたはその混合物もしくは誘導体である。
【0048】
一般には、持続放出性部分の約50%未満はワックスから構成される。持続放出性部分中のワックスの量は、持続放出性部分の約2(w/w)重量%〜約40(w/w)重量%、好ましくは持続放出性部分の約4(w/w)重量%〜約30(w/w)重量%、より好ましくは持続放出性部分の約6(w/w)重量%〜約23(w/w)重量%、さらにより好ましくは持続放出性部分の約7(w/w)重量%〜約11(w/w)重量%の間である。
【0049】
当業者であれば、持続放出性部分からのAPIの放出は、該持続放出性部分中のワックスの量もしくは種類を変化させることによって、様々な量の2種以上のワックスを組み合わせることによって、または1種以上のワックスを、例えばポリマー、コポリマー、チャネリング剤、炭水化物、無機酸、または有機酸などのAPI放出を変調させることのできるまた別のマトリックス形成成分と組み合わせることによって変動させることができることを認識する。
【0050】
ワックスと組み合わせることのできる適切な可溶性マトリックス形成成分には、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、ステアリン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、およびリン酸が含まれる。その他の適切なマトリックス形成成分には、例えばヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、親水性セルロース、ポリエチレンオキシドおよびポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーが含まれる。さらに他の適切なマトリックス形成成分には、Rohm and Haas社からのpH依存性のアクリレートポリマーおよびアクリレートコポリマー(Eudragit L100−55、Eudragit S100、およびEudragit L100を含むがこれらに限定されない)およびその他の従来の孔形成剤が含まれる。孔形成剤には、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、および電解質(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ワックスは、マトリックスを形成するためにステアリン酸と組み合わせられる。
【0051】
ワックスが追加のマトリックス形成成分と組み合わされる場合、追加のマトリックス形成成分の量は、持続放出性部分の約1重量%〜約15重量%、好ましくは持続放出性部分の約2重量%〜約8重量%の間である。
【0052】
持続放出性部分は、また、持続放出性部分からのAPIの適切な放出を生み出すため、または錠剤化プロセスに役立つように、他の添加物および/または賦形剤(「添加物」と総称する)と組み合わせることができる。適切な添加物には、酸化剤、結合剤、充填剤、浸透圧剤、希釈剤、吸収剤、着色剤、色素、顔料、錠剤分解剤、分散剤、カプセル化剤、流動補助剤、硬化剤、透過促進剤、鎮痛薬、安定剤、錠剤化補助剤、流動促進剤、潤滑剤、可塑剤、安定剤、抗粘着剤、および湿潤剤が含まれる。利用する任意の添加物は、製薬学的に許容可能でなければならず、API、ワックス、およびその他のマトリックス形成成分と適合性でなければならない。さらに、これらのパラメーター内であれば、本発明の持続放出性部分において添加物の任意の組み合わせを利用できる。
【0053】
添加物は、当分野において公知の方法によって、例えば、ワックスをベースとする持続放出性材料および有効成分を直接混合することによって、またはワックスをベースとする持続放出性材料および有効成分を含有する顆粒を混合しながら添加物を加えることによって加えることができる。
【0054】
適切な結合剤には、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、糖類(例えば、グルコース)、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、ポリビニルピロリドン、カルボマー、アクリル酸ポリマー、ポリエチレンオキシドなど、またはそれらの混合物が含まれる。
【0055】
適切な錠剤分解剤には、アルギン酸、クロスカルメロース、クロスポビドン、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース、ポラクリリンカリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。
【0056】
適切な潤滑剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、硬化植物油、安息香酸ナトリウム、およびフマル酸ステアリルナトリウムが含まれる。
【0057】
適切な充填剤には、カルボキシメチルセルロース、アスコルビン酸、グルタミン酸、リン酸、ソルビン酸、酒石酸、クエン酸トリエチル、電解質、スクロース、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、ラクトース、微結晶セルロース、フルクトース、キシリトール、デンプンなど、またはそれらの混合物が含まれる。
【0058】
適切な酸化剤には、例えば、酒石酸、クエン酸、塩酸、硫酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、塩酸システイン、および塩酸グリシンなどの有機酸および無機酸が含まれる。
【0059】
適切な湿潤剤には、ポリエチレングリコールおよびそれらのエステルもしくはエーテル、例えばラウリル硫酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸ナトリウム、n−ドデシル硫酸カリウム、もしくはn−ドデシル硫酸マグネシウム、n−テトラデシル硫酸、n−ヘキサデシル硫酸、n−テトラデシルオキシエチル硫酸、n−ヘキサデシルオキシエチル硫酸もしくはn−オクタデシルオキシエチル硫酸、n−ドデカンスルホン酸ナトリウム、n−ドデカンスルホン酸カリウムもしくはn−ドデカンスルホン酸マグネシウム、n−テトラデカンスルホン酸ナトリウム、n−テトラデカンスルホン酸カリウムもしくはn−テトラデカンスルホン酸マグネシウム、n−ヘキサデカンスルホン酸、またはn−オクタデカンスルホン酸などが含まれる。
【0060】
一部の実施形態では、持続放出性部分は、API、ワックス、また別のマトリックス形成成分、充填剤、錠剤分解剤、および酸化剤を含むことができる。他の実施形態では、APIおよびワックスは、ステアリン酸、微結晶セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、およびコハク酸と組み合わせられる。さらに他の実施形態では、APIおよびワックスは、ステアリン酸、微結晶セルロース、デンプン、リン酸カルシウム、コハク酸、および例えばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と組み合わせられる。
【0061】
1つの実施形態では、二塩基性リン酸カルシウム(例えば、二水和物または無水物から選択できる)は、製剤の持続放出性部分のマトリックスのための不溶性充填剤として使用される。二塩基性リン酸カルシウムの量は、持続放出性部分の約3(w/w)重量%〜約30(w/w)重量%の範囲に及んでよい。また別の実施形態では、デンプンまたは微結晶セルロースが不溶性充填剤として使用された。
【0062】
一般に、持続放出性部分中の添加物の量は、持続放出性部分の約8(w/w)重量%〜約80(w/w)重量%、好ましくは持続放出性部分の約9(w/w)重量%〜約60(w/w)重量%、最も好ましくは持続放出性部分の約12(w/w)重量%〜約40(w/w)重量%の間である。
【0063】
[即時放出性部分]
持続放出性部分は、経口投与後に、またはその直後に治療的に有益なAPIの血中濃度が達成されるように即時放出性部分と組み合わせられる。用語「即時放出」は、APIの製剤からの放出が、例えば、保護コーティングによって、またはマトリックス中にAPIを包埋することによって著しく遅延しないという事実を意味する。即時放出性部分は、製剤の投与後の約3分間〜約60分間以内にAPIを少なくとも部分的に放出するように設計される、好ましくは製剤の投与後の約5分間〜約35分間以内にAPIを少なくとも部分的に放出するように設計される。
【0064】
持続放出性製剤の即時放出性部分は、API、および任意選択的に1つ以上の添加物を含んでいる。上記に言及したものを含むがそれらに限定されない任意のAPIを使用できる。
【0065】
持続放出性部分と同様に、即時放出性部分中のAPIは、遊離塩基として、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくは混合物として存在してもよい。一部の実施形態では、APIは、塩である。他の実施形態では、APIは、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、ステアリン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、またはギ酸塩である。
【0066】
持続放出性部分および即時放出性部分においては、同一のAPIまたは相違するAPIを使用することができる。例えば、二層錠剤の即時放出性部分中ではアムロジピンを使用できるが、持続放出性部分ではベナゼプリルを使用できる。持続放出性部分および即時放出性部分において相違するAPIが(任意の配置で)使用される他の非限定的な例には、例えば、アムロジピン/アトルバスタチン、ピオグリタゾン/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、アムロジピン/バルサルタン、ミソプロストール/ジクロフェナクナトリウム、ミソプロストール/ピロキシカム、トランドラプリル/塩酸ベラパミル、リシノプリル/ヒドロクロロチアジド、およびグリブリド/メトホルミンなどの組み合わせが含まれる。持続放出性部分および即時放出性部分において相違するAPIが(任意の配置で)使用されるさらに他の非限定的な例には、例えば、アモキシリン/クラブラン酸カリウム、塩酸デキスメチルフェニデート/塩酸ブプロピオン、ロシグリタゾン/グリメピリド、オルメサルタンメドキソミル/ヒドロクロロチアジド、カンデサルタンシレキセチル/ヒドロクロロチアジド、カルビドパ/レボドパ、エムトリシタビン/フマル酸テノフォビルジソプロキシル/エファビレンツ、ラミブジン/ジドブジン、アバカビル/ラミブジン、ロピナビル/リトナビル、ロサルタン/ヒドロクロロチアジド、トラマドール/アセトアミノフェン、オランザピン/塩酸フルオキセチン、オキシコドン/アセトアミノフェン、トランドラプリル/ベラパミル、アトルバスタチン/ニフェジピン、アトルバスタチン/ナイアシン、ロスバスタチン/ナイアシン、シムバスタチン/エゼチミブ、およびロバスタチン/ナイアシンなどの組み合わせが含まれる。各部分中で使用される相違するAPIは、独立して遊離塩基、塩、溶媒和物、または水和物として存在することができる。当然ながら、任意の部分にどのAPIを含めることができるかについては制限はない。
【0067】
当業者であれば、同一のAPIが持続放出性部分および即時放出性部分において使用される場合は、そのAPIの相違する塩、溶媒和物、もしくは水和物を各部分内で使用できることを認識する。例えば、APIの塩酸塩を1つの部分で使用し、他方では同一のAPIのクエン酸塩を他の部分で使用することができる。同様に、APIの遊離塩基を1つの部分で使用し、他方では同一のAPIの塩、溶媒和物、もしくは水和物を他の部分で使用することができる。
【0068】
即時放出性部分中のAPIは、即時放出性部分中のAPIが持続放出性部分中のAPIと同一であるかとは無関係に、例えば遊離塩基と塩などの2つの形態の混合物として存在してもよい。一部の実施形態では、即時放出性部分は、APIの遊離塩基および同一のAPIの塩を含有している。他の実施形態では、即時放出性部分はAPIの遊離塩基および同一のAPIの塩酸塩を含有している。さらに他の実施形態では、APIは、シプロフロキサシンである。さらに別の実施形態では、シプロフロキサシンは、持続放出性部分および即時放出性部分の両方の中にある。
【0069】
即時放出性部分中のAPIの量は、即時放出性部分の約5(w/w)重量%〜約80(w/w)重量%、好ましくは即時放出性部分の約55(w/w)重量%〜約75(w/w)重量%、より好ましくは即時放出性部分の約45(w/w)重量%〜約70(w/w)重量%の間である。
【0070】
即時放出性部分がAPIの遊離塩基および同一のAPIの塩を含有する場合は、遊離塩基の量対塩の量は、約0.1:1〜約1:0.1、好ましくは約0.4:1〜約1:0.4の間である。
【0071】
即時放出性部分はまた、即時放出性部分からのAPIの適切な放出を生み出すため、または錠剤化プロセスに役立つように、例えば上記に開示した添加物などの添加物と組み合わせることができる。
【0072】
一部の実施形態では、即時放出性部分中のAPIは、結合剤、流動補助剤、錠剤分解剤、および流動促進剤と組み合わせられる。他の実施形態では、即時放出性部分中のAPIは、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、および例えばCabot Corporation社によって製造されるCab−O−Sil(登録商標)などのコロイド状二酸化ケイ素と組み合わせられる。
【0073】
一般に、即時放出性部分中の添加物の量は、即時放出性部分の約10重量%〜約90重量%、好ましくは即時放出性部分の約15重量%〜約70重量%、より好ましくは即時放出性部分の約15重量%〜約40重量%の間である。
【0074】
[最終製剤]
持続放出性部分および即時放出性部分は、錠剤、二層錠剤、またはカプセル剤に組み合わされる。二層錠剤の実施形態では、持続放出性部分は錠剤の片側の少なくとも一部分を占め、即時放出性部分は錠剤の反対側の少なくとも一部分を占めている。実際に、いずれか1つの部分が二層錠剤の片側全体を占める必要はない。当業者であれば、APIの放出を最適化するために適切な形状の二層錠剤(例えば、円形もしくは楕円形)を設計することができる。
【0075】
剤形は、薬物放出をさらに増強するため、錠剤化プロセスに役立つため、または錠剤のバルクを増加させるために、他の添加物(例えば上記に記載した添加物など)を含有することができる。添加物をどの位含めるべきか、および添加物を加えることによって実施したいと考える目的を決定することは、当業者の能力の範囲内に含まれる。添加できるその他の製薬学的に許容される成分には、着色剤、保存料、人工甘味料、着香剤、酸化防止剤などが含まれる。例えば、剤形は、錠剤の粘着を防止するため、または錠剤上への印刷を可能にするために、任意の従来のコーティング剤でコーティングすることができる。さらに、剤形は、味覚マスキング剤または嚥下し易くするための他の生分解性ポリマーでコーティングすることができる。
【0076】
一部の実施形態によると、剤形中の持続放出性部分の量対即時放出性部分の量は、約9:1〜約1:9の間である。他の実施形態によると、剤形中の持続放出性部分の量対即時放出性部分の量は、約7:1〜約1:7の間である。さらに他の実施形態によると、剤形中の持続放出性部分の量対即時放出性部分の量は、約5:1〜約1:5の間である。
【0077】
最終製剤中のAPIの総量または任意の1つの部分の量は、所望の用量に依存して変動してもよい。使用されるAPIの総量は、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、疾患または任意の他の医学的基準に依存する。本発明の持続放出性製剤は、患者の医療提供者によって決定されるように、1日当たり1回以上投与することができる。本発明の剤形は、1日2回の投与に適している。
【0078】
本発明の一部の実施形態では、持続放出性製剤は、APIの約5%〜約75%が約1時間後に放出され、APIの約25%〜約100%は約6時間後に放出されるような水性媒体中の溶解プロファイルを提供する。溶解溶媒および装置は、以下のとおりであった。37℃±0.5℃で900mLの0.1NのHCl、50rpmで2パドル式。
【0079】
他の実施形態では、持続放出性製剤は、約0%〜約20%のAPIが約0.25時間後に持続放出性製剤から放出され、約15%〜約35%のAPIが約0.5時間後に放出され、約35%〜約50%のAPIが1時間後に放出され、約50%〜約75%のAPIが2時間後に放出され、約60%〜約85%のAPIが約6時間後に放出され、80%超が約8時間後に放出されるように水性媒体中の溶解プロファイルを提供する。
【0080】
さらに他の実施形態では、持続放出性製剤は、約0.25%〜約30%のAPIが約0.25時間後に持続放出性製剤から放出され、約20%〜約60%のAPIが約0.5時間後に放出され、約35%〜約70%のAPIが0.75時間後に放出され、約50%〜約85%のAPIが1時間後に放出され、約65%〜約100%のAPIが約6時間後に放出されるように水性媒体中の溶解プロファイルを提供する。
【0081】
本発明の医薬製剤の投与に食物が及ぼす作用を決定するための試験が実施された。曲線下面積(「AUCL」)は摂食条件および絶食条件の両方について測定された。AUCLは、時点ゼロから定量可能な最終濃度までの全API血漿濃度−時間曲線下の面積を意味する。一部の実施形態では、本発明の持続放出性製剤についての絶食条件の曲線下面積対摂食条件の曲線下面積の比率は、約0.8〜約1.2の間である。他の実施形態では、この比率は、約0.9〜約1.1の間である。
【0082】
ピーク濃度(「CPEAK」)もまた摂食条件および絶食条件の両方について測定された。CPEAKは、内挿法を用いずにデータから直接得られた最大薬物濃度を意味する。一部の実施形態では、本発明の持続放出性製剤についての摂食条件のピーク濃度対絶食条件のピーク濃度の比率は、約0.8〜約1.2の間である。他の実施形態では、この比率は、約0.9〜1.1の間である。
【0083】
[持続放出性製剤を形成する方法]
さらに、持続放出性部分および即時放出性部分を調製する方法、ならびに剤形もまた開示される。持続放出性部分および即時放出性部分は、同一または相違する方法によって調製することができる。これらの方法は、一般には当業者に公知である。
【0084】
一般に、持続放出性部分は、造粒によって、好ましくはホットメルト造粒によって調製される。成分は、造粒プロセス中に任意の順序で加えることができる。造粒は、ブレンドを製造するための任意の従来の方法で行うことができる。例えば、遊星形ミキサーを装備したジャケット付きボウルを用いて、またはホットメルト押出成形機もしくは流動床造粒機を用いて調製し、コーティングし、ツインシェル・ブレンダー、V形ブレンダー、ダブルコーン・ブレンダー、リボンミキサーなどの中で混合することができる。
【0085】
1つの実施形態では、ワックス(および任意のマトリックス形成成分)は、垂直クランプ搭載ミキサーを装備したジャケット付き混合タンクに加えられる。材料は、ワックスの種類およびその他の成分に依存する温度に加熱される。一部の実施形態では、成分は、80℃〜165℃の温度に加熱される。材料は、融解溶液を製造するために混合された。
【0086】
APIは、加えられ、混合され、造粒溶液を用いて造粒される。次に持続放出性部分の造粒は、持続放出性冷却材料を製造するために冷却され、または冷却するのに任される。
【0087】
次に持続放出性冷却材料は、持続放出性部分粉砕材料を製造するために粉砕される。この時点で、添加物は、持続放出性製剤ブレンドを製造するために、粉砕材料とブレンドされ、放出され、そして次にふるいにかけられる。これらは、粒子、ビーズ、マイクロカプセル、ペレットなどを形成するためにさらに加工処理することができる。
【0088】
一般に、即時放出性部分は、造粒によって、好ましくは湿式造粒によって調製される。最初に、造粒懸濁液が製造される。造粒懸濁液には、例えばポリビニルピロリドンなどの添加物を加えることができる。APIおよび任意の添加物は、ボウルに加えられ、混合され、造粒懸濁液を用いて造粒される。次に即時放出造粒は、流動床乾燥機を用いて乾燥させられ、粉砕され、任意の添加物と組み合わせられまたはブレンドされ、放出され、そして次にふるいにかけられる。これらは、粒子、ビーズ、マイクロカプセル、ペレットなどを形成するためにさらに加工処理することができる。
【0089】
持続放出性部分および即時放出性部分は、それらの各造粒プロセスによって調製されると、およそ以下の粒径分布を有する。
【0090】
【表1】

【0091】
一部の実施形態では、持続放出性部分中の大多数の粒子は、少なくとも約40メッシュのサイズを有する。他の実施形態では、即時放出性部分中の大多数の粒子は、少なくとも約40メッシュのサイズを有する。さらに他の実施形態では、持続放出性部分中および即時放出性部分中の全粒子は、約40メッシュ〜約140メッシュの範囲のサイズを有する。
【0092】
二層錠剤を製造するためには、持続放出性部分よび即時放出性部分は、例えば回転式二層錠剤プレス機上で圧縮される。任意の追加の添加物または潤滑剤をこのときに加えることができる。次に圧縮錠剤は、1つ以上のコーティング溶液でコーティングされる。例えば、コーティング溶液は、Colorcon(登録商標)から入手できるClear Opadry(登録商標)から構成されてよく、二層錠剤に適用することができる。
【0093】
または、適切な量の持続放出性部分および即時放出性部分(顆粒、粒子、ビーズ、ペレット、マイクロカプセルなど)は、当業者には公知のようにカプセル内で組み合わせることができる。
【実施例】
【0094】
[実施例1〜4]
表1は、シプロフロキサシン二層錠剤を示し、実施例1〜4の各々は持続放出性部分および即時放出性部分を含有している。
【0095】
【表2】

【0096】
実施例1〜4の各々は、二層錠剤中に持続放出性部分および即時放出性部分を含んでいる。これらの実施例の各々における持続放出性部分は、シプロフロキサシンの遊離塩基および塩酸塩の混合物を含んでいる。APIは、カルナバ・ワックスおよびステアリン酸のマトリックスから放出される。放出および錠剤化/製造プロセスに役立つための他の添加物が存在する。
【0097】
これらの実施例の各々における即時放出性部分は、シプロフロキサシンの遊離塩基および塩酸塩の混合物またはシプロフロキサシンの塩酸塩単独を含んでいる。APIは、放出および錠剤化/製造プロセスに役立つ添加物と混合する。加工処理中に精製水を加え、その後除去した。
【0098】
これらの二層錠剤中の持続放出性部分の量は、錠剤の約65重量%〜約67重量%の間である。
【0099】
実施例1について媒体溶解試験を実施し、二層錠剤からの溶解がpH依存性であることが証明された。
【0100】
実施例1および4の製剤についてその他の溶解試験を実施した。表2は、コーティング二層錠剤(実施例1および4)および非コーティング二層錠剤(実施例1)についての溶解試験結果を示している。これらの錠剤は、Orange Opadry II(商標)(85F13899)および/またはClear Opadry(商標)(YS−1−7006)(どちらもColorCon社から入手可能である)でコーティングした。溶解試験は、900mLの0.1NのHCl、37℃±0.5℃、50rpmのUSP装置2(パドル式)内で実施した。
【0101】
【表3】

【0102】
[実施例5〜8]
表3は、実施例1〜4における持続放出性部分に類似する持続放出性部分を示している。これらの持続放出性部分は、例えば実施例1〜4における即時放出性部分などの即時放出性部分と組み合わせることができる。当然ながら、任意の即時放出性部分は、実施例5〜8の持続放出性部分と組み合わせることができ、相違するAPIを含む即時放出性部分とさえ組み合わせることができる。
【0103】
【表4】

【0104】
実施例5〜8における持続放出性部分は各々、シプロフロキサシン遊離塩基およびシプロフロキサシン塩酸塩の混合物を含有している。APIは、カルナバ・ワックスおよびステアリン酸から構成されるマトリックスから放出される。これらの持続放出性部分は、即時放出性層と組み合わせることができる。
【0105】
表4は、実施例5〜8の持続放出性部分または錠剤からのAPIの溶解試験の結果を示している(これらの溶解試験では即時放出性部分を組み合わせなかった)。
【0106】
【表5】

【0107】
実施例5〜8のための溶解条件は、以下のとおりであった。900mLの0.1NのHCl、37℃±0.5℃、50rpmでUSP装置2(パドル式)。
【0108】
[実施例9〜11]
実施例9〜11は、シプロフロキサシン遊離塩基およびシプロフロキサシン塩酸塩から構成される持続放出性モノリシック・マトリックスを示している。APIは、以下の表5に示すように、ステアリン酸、カルナバ・ワックス、およびポリエチレングリコールから構成されるマトリックスから放出される。
【0109】
【表6】

【0110】
実施例9〜11は、錠剤またはカプセル内で本発明による即時放出性部分と組み合わせることができる。
【0111】
実施例12および13(表6)は、カルナバ・ワックスの2つの相違するレベルの作用を示している(10%対5%)。実施例12および13は、さらにまたホットメルト造粒によって製造した。ポリエチレングリコール8000は、マトリックスを形成するためにカルナバ・ワックスおよびステアリン酸内に組み込まれた。乾燥冷却顆粒を#18メッシュスクリーンに通してふるいにかけ、次に顆粒外添加物とブレンドし、カーバープレス(carver press)を用いて錠剤に圧縮した。
【0112】
【表7】

【0113】
実施例12および13についての溶解試験(表7を参照されたい)は、上記の実施例に記載の条件と同様の溶解条件を用いて実施した。
【0114】
【表8】

【0115】
実施例14(表8)は、造粒によって製造されたモノリシック系を提供する。この実施例では、シプロフロキサシンHClおよびシプロフロキサシン塩酸塩を混合し、ジャケット付きボウル内でEudragit NE 30D(登録商標)(Rohm & Haas社から入手可能)懸濁液を用いて造粒する。乾燥冷却顆粒は、フィッツ粉砕によって粉砕し、微結晶セルロース(FMC Bio Polymer社から入手可能)、二塩基性リン酸カルシウム二水和物(Emcompress社)、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウム/ラウリル硫酸ナトリウム(94/6)を含む顆粒外添加物とブレンドし、錠剤に圧縮した。
【0116】
【表9】

【0117】
実施例15および16(表9)は、API放出のためのマトリックスとして持続放出性部分中でカルナバ・ワックスおよびステアリン酸を利用する。コハク酸は、造粒中にマトリックス内に組み込んだ。
【0118】
【表10】

【0119】
実施例17(表10)は、API放出のためのマトリックスとして持続放出性部分中でカルナバ・ワックスおよびステアリン酸を利用する。より大量のコハク酸は、造粒中にマトリックス内に組み入れた。以下の実施例の持続放出性部分内のAPIの量は、実施例15および16と比較して増加させた。
【0120】
【表11】

【0121】
実施例15、16、および17についての溶解試験(表10を参照されたい)は、上記の実施例と同様の溶解条件を用いて実施した。
【0122】
【表12】

【0123】
[シプロフロキサシン持続放出性二層錠剤についての生物学的等価試験]
健常志願者における単回投与、絶食時のインビボでの生物学的等価試験は、本発明によるシプロフロキサシン持続放出性製剤をBayer社からのCiproXR(登録商標)錠剤と比較して実施した。
【0124】
絶食時の生物学的等価試験は、ヒト被験者において実施した。本試験の目的は、絶食条件下で1000mgが単回経口投与された(1×1000mg)後の、Bayer社のCipro(登録商標)XR 1000mg錠剤と比較した本発明のシプロフロキサシン持続放出性1000mg錠剤の生物学的等価性を調査することであった。年齢が18〜50歳の被験者を使用して35人の健常な非喫煙者が、このオープンラベル、単回投与、無作為化された、2期間、2治療群クロスオーバーの生物学的等価試験を完了した。連続血液サンプル(1×10mL)は、投与前(投与前30分間以内)、ならびに投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36、および48時間にヘパリン化試験管内に採取した。データの統計的解析は、90%信頼区間が自然対数変換パラメーターであるLNAUCL、LNAUCIおよびLNCPEAKについて80%〜125%の許容可能な生物学的等価性の範囲内にあることを明らかにしている。本試験は、本発明によるシプロフロキサシン持続放出性1,000mg製剤が絶食条件下で単回経口投与された(1×1,000mg)後にBayer社のCipro(登録商標)XR 1000mg錠剤と生物学的等価性であることを証明している。
【0125】
35例の健常被験者における絶食条件下で単回経口投与された(1×1,000mg)(本発明による)シプロフロキサシン持続放出錠1000mgの投与後の平均シプロフロキサシン薬物動態パラメーターは、表12に示す。
【0126】
【表13】

【0127】
摂食条件下でも健常ヒト被験者において生物学的等価試験を実施した。本試験の目的は、摂食条件下で1000mgが単回経口投与された(1×1,000mg)後の、Bayer社のCipro(登録商標)XR 1000mg錠剤と比較した本発明のシプロフロキサシン持続放出性製剤の生物学的等価性を調査することであった。年齢が18〜56歳の被験者を使用して34人の健常な非喫煙者が、このオープンラベル、単回投与、無作為化された、2期間、2治療群クロスオーバーの生物学的等価試験を完了した。連続血液サンプル(1×10mL)は、投与前(投与前45分間以内)、ならびに投与後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36、および48時間にヘパリン化試験管内に採取した。血漿サンプルは、分析のために輸送するまで−70℃±15℃で保存した。データの統計的解析は、90%信頼区間が自然対数変換パラメーターであるLNAUCL、LNAUCIおよびLNCPEAKについて80%〜125%の許容可能な生物学的等価性の範囲内にあることを明らかにしている。本試験は、本発明によるシプロフロキサシン持続放出性1,000mg錠剤が絶食条件下で単回経口投与された(1×1000mg)後にBayer社のCipro(登録商標)XR 1000mg錠剤と生物学的等価性であることを証明している。
【0128】
35例の健常被験者における摂食条件下で単回経口投与された(1×1000mg)本発明によるシプロフロキサシン持続放出性製剤1000mgの投与後の平均シプロフロキサシン薬物動態パラメーターは、表13に示した。
【0129】
【表14】

【0130】
500mgの製剤を製造し、投与したが、組成は上記に記載した1,000mg製剤と比例していた。33例の健常被験者において絶食条件下で500mgについて生物学的等価試験を実施した。本試験は、絶食条件下で単回経口投与された(1×500mg)後に、本発明によるシプロフロキサシン持続放出性500mg錠剤が、Bayer社のCipro(登録商標)XR 500mg錠剤と生物学的等価性であることを証明している。34例の健常被験者における摂食条件下で単回経口投与された(1×500mg)本発明によるシプロフロキサシン持続放出性製剤500mgの投与後の平均シプロフロキサシン薬物動態パラメーターは、表14に示した。
【0131】
【表15】

【0132】
APIがシプロフロキサシンであるとき、本発明による製剤は、Bayer社のCiproXR(登録商標)製剤を用いて達成される溶解プロファイルに類似する溶解プロファイルを提供すると考えられる。したがって、本発明による製剤の一部は、APIがシプロフロキサシンであるとき、CiproXR(登録商標)と「生物学的等価性」であると見なすことができる。しかし本出願は、シプロフロキサシンを含む製剤には限定されない。
【0133】
本発明は、本明細書では特定の実施形態を参照しながら記載してきたが、これらの実施形態は本発明の原理および応用の単なる例示であると理解されたい。このため、例示的実施形態には多数の修飾を加えられること、そして添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱せずに他の配置を考案できると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性医薬製剤であって、前記持続放出性部分が、(a)医薬品有効成分(API)と、(b)前記持続放出性部分の約2重量%〜約40重量%の量のワックスとを含む持続放出性医薬製剤。
【請求項2】
前記ワックスの量が、前記持続放出性部分の約4重量%〜約30重量%である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項3】
前記ワックスの量が、前記持続放出性部分の約6重量%〜約23重量%である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項4】
前記医薬品有効成分が、プロプラノロール、メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ガランタミン、ブプロピオン、ジルチアゼム、オキシブチニン、ヒドロクロロチアジド、メトホルミン、オパミン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ノルバンコマイシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド類、セチリジン、ベンラファキシン、オピオイド系鎮痛剤、テオフィリン、ベラパミル、アムロジピン、トラマドール、ジルチアゼム、チモロール、トロスピウム、プラミペキソール、およびそれらの製薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物からなる群から選択される、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項5】
前記持続放出性部分中の前記APIの量が、前記持続放出性部分の約5重量%〜約75重量%である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項6】
前記持続放出性部分中の前記APIの量が、前記持続放出性部分の約30重量%〜約70重量%である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項7】
前記持続放出性部分中の前記APIの量が、前記持続放出性部分の約55重量%〜約60重量%である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項8】
前記医薬品有効成分が、遊離塩基と塩との混合物である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項9】
前記遊離塩基対前記塩の比率が、約1:2〜約2:1である、請求項8に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項10】
前記APIが、シプロフロキサシンである、請求項8に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項11】
前記持続放出性部分が、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、ステアリン酸、コハク酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、リン酸、親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、pH依存性のアクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマー、および孔形成剤からなる群から選択されるマトリックス形成成分をさらに含む、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項12】
前記持続放出性部分が、前記持続放出性部分の約3重量%〜約30重量%の量の二塩基性リン酸カルシウムをさらに含む、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項13】
前記即時放出性部分が、シプロフロキサシンを含む、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤中の前記持続放出性部分対前記即時放出性部分の比率が、約9:1または約1:9である、請求項1に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項15】
持続放出性部分と即時放出性部分とを含む持続放出性医薬組成物であって、前記持続放出性部分がワックスとシプロフロキサシンとを含む持続放出性医薬組成物。
【請求項16】
前記持続放出性部分中の前記ワックスの量が、前記持続放出性部分の約2重量%〜約40重量%である、請求項15に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項17】
前記量が、前記組成物の約4重量%〜約30重量%である、請求項16に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項18】
前記量が、前記組成物の約6重量%〜約23重量%である、請求項17に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項19】
前記持続放出性部分中の前記医薬品有効成分の量が、前記持続放出性部分の約55重量%〜約60重量%である、請求項15に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項20】
前記即時放出性部分が、プロプラノロール、メトプロロール、酒石酸メトプロロール、ガランタミン、ブプロピオン、ジルチアゼム、オキシブチニン、ヒドロクロロチアジド、メトホルミン、オパミン、シプロフロキサシン、バンコマイシン、ノルバンコマイシン、ダウノルビシン、ビンカアルカロイド類、セチリジン、ベンラファキシン、オピオイド系鎮痛剤、テオフィリン、ベラパミル、アムロジピン、トラマドール、ジルチアゼム、チモロール、トロスピウム、プラミペキソール、およびそれらの製薬学的に許容可能な塩、水和物、または溶媒和物からなる群から選択される医薬品有効成分を含む、請求項15に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項21】
a.APIとカルナバ・ワックスとを含む持続放出性部分と、
b.APIを含む即時放出性部分と
を含み、前記持続放出性部分および前記即時放出性部分がどちらも同一のAPIを含む持続放出性医薬製剤。
【請求項22】
前記APIが、シプロフロキサシンである、請求項21に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項23】
前記カルナバ・ワックスの量が、前記組成物の約2重量%〜約40重量%である、請求項21に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項24】
前記カルナバ・ワックスの量が、前記組成物の約4重量%〜約30重量%である、請求項23に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項25】
a.持続放出性部分の約30重量%〜約70重量%の量のシプロフロキサシンと、前記持続放出性部分の約6重量%〜約23重量%の量のワックスと、ステアリン酸とを含む持続放出性部分と、
b.即時放出性部分の約5重量%〜約80重量%の量のシプロフロキサシンを含む即時放出性部分と
を含む持続放出性医薬製剤。
【請求項26】
前記持続放出性部分中および前記即時放出性部分中の前記シプロフロキサシンが、シプロフロキサシン遊離塩基とシプロフロキサシン塩との混合物である、請求項25に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項27】
前記持続放出性部分および前記即時放出性部分が粒子から構成され、前記粒子の大多数が少なくとも約40メッシュのサイズを有する、請求項25に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項28】
前記APIの約0%〜約20%が約0.25時間後に前記製剤から放出され、前記APIの約15%〜約35%が約0.5時間後に前記製剤から放出され、前記APIの約35%〜約50%が約1時間後に前記製剤から放出され、前記APIの約50%〜約75%が約2時間後に前記製剤から放出され、前記APIの約60%〜約85%が約6時間後に前記製剤から放出され、前記APIの少なくとも約80%が約8時間後に前記製剤から放出される、請求項25に記載の持続放出性医薬製剤。
【請求項29】
前記持続放出性部分中の前記APIの量が、約55%〜約65%である、請求項25に記載の持続放出性医薬製剤。

【公表番号】特表2011−515400(P2011−515400A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500811(P2011−500811)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/001744
【国際公開番号】WO2009/117130
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510252885)マイラン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】