ワークの搬送装置
【課題】パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】パレット40は、長さが車体11の長さL2より短いワーク載置用パレット41と、パレット41とは別体に設けられ進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方に位置する床面を構成する連接用パレット43とからなる。
【効果】第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3を小さくすることができる。また、早送り部が長く且つ速度が一定の場合に比べ、パレット41が早送り部96を通過する時間を短くすることができるので、パレット43からパレット41を切り離す時間を短縮することができる。さらに、連接用パレット43は作業者の作業スペースは制約することがないため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【解決手段】パレット40は、長さが車体11の長さL2より短いワーク載置用パレット41と、パレット41とは別体に設けられ進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方に位置する床面を構成する連接用パレット43とからなる。
【効果】第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3を小さくすることができる。また、早送り部が長く且つ速度が一定の場合に比べ、パレット41が早送り部96を通過する時間を短くすることができるので、パレット43からパレット41を切り離す時間を短縮することができる。さらに、連接用パレット43は作業者の作業スペースは制約することがないため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに載せたワークを運搬するワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造ラインでは、小組み工程や車体への部品等の取付工程は、ワークをライン上で搬送しながら諸工程を実行している。
車体や大型部品を搬送する装置としてパレット式搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−87576公報(図2)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来のパレット式搬送装置の基本原理を説明する図であり、パレット式搬送装置200は、車体をパレット201に移載し、レール202、202に沿ってパレット201を駆動ローラを有する駆動部203で駆動させることで車体を左へ搬送する第1搬送部204と、この第1搬送部204の左に設けられレール202、202を備えた回転板205を回転させる第1回転部206と、この第1回転部206の下に設けられレール202、202に沿って走行するパレット201で車体を搬送する第2搬送部207と、この第2搬送部207の下に設けられレール202、202を備えた回転板205を回転させる第2回転部208と、この第2回転部208の右に設けられレール202、202に沿って車体を載せたパレット201を駆動部203で駆動させることで車体を右へ搬送する第3搬送部209と、この第3搬送部209の終点でパレット201から車体をリフタで持ち上げることで空になったパレット201を第1搬送部204へ送るパレット戻し機211とで構成され、パレット201を第1搬送部204、第1回転部206、第2搬送部207、第2回転部208、第3搬送部209、パレット戻し機211の順に水平に循環させる装置である。
【0004】
ところで、特許文献1のパレット式搬送装置200では、パレット201の長さL1はワークである車体の長さに合わせた大きさになっているため、前後のパレットを突き合わせた時に、ワークとワークの間にパレットの当接部が位置することになり、パレットの上で作業する場合に床面の広さの制約となる。
【0005】
さらに、パレット201を直後のパレット201から切り離し、パレット戻し機211へパレット201を送り込むには、長さL1+α1分の時間が掛かるとともに早送りの為の専用面積を確保する必要が有り、設備が大型化してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明では、ワーク載置部を備えるパレットを搬送路に直列に並べた状態で、駆動手段によりパレットを押し出すことで、各パレットを当接させた状態で前方に移動可能としたワークの搬送装置において、前記パレットは、進行方向の長さが前記ワークの長さより短いワーク載置用パレットと、このワーク載置用パレットとは別体に設けられ進行方向前側のワークと後側のワークの下方に位置する床面を構成する連接用パレットとからなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、ワーク載置用パレットは、ワークの高さを決める高さ位置決め部材と、ワークの水平位置を決める水平位置決め部材とを備え、このようなワーク載置用パレットへ前記ワークを載せるワーク移載手段とワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段とが、搬送路の始端と終端に各々設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、搬送路の始端にパレットを上昇させる第1リフタが配置され、搬送路の終端にパレットを下降させる第2リフタが配置され、この第2リフタの下端と前記第1リフタの下端とは下部搬送手段で連結されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、搬送路を平面上に少なくとも2列配置し、一方の搬送路の終端から他方の搬送路の始端にパレットを移載させるパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、ワーク載置用パレットの長さをワークの長さより短くした。また、連接用パレットの長さもワークの長さより短くしたとすれば、ワーク載置用パレット又は連接用パレットを例えば搬送装置の端部で搬送方向に対して左右又は上下に移動させるパレット移動機の奥行き寸法を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレットと連接用パレットの長さがワークの長さより長い場合に比べ、搬送装置を小型化することができる。
【0012】
さらに、この種の搬送装置の両端部には、一般に例えば連接用パレットからワーク載置用パレットを短時間に切り離すために早送り部が各々設けられる。例えば先端部の早送り部の長さがワーク載置用パレットの長さと連接用パレットの長さとにほぼ等しいとすれば、パレットの各々の長さがワークの長さより長い場合に比べ、早送り部の長さを短くすることができる。早送り部の長さが短く且つ送り速度が一定であれば、早送り部が長く且つ送り速度が一定である場合に比べ、ワーク載置用パレットが早送り部を通過する時間も短くなる。これにより、連接用パレットからワーク載置用パレットを切り離す時間を短縮することができるので、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化することができる。
【0013】
加えて、連接用パレットは、進行方向前側の車体と後側の車体の下方で床面を構成しているので、作業者の作業スペースは制約されることがない。そのため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【0014】
請求項1によれば、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、高さ位置決め部材と水平位置決め部材とを備えたワーク載置用パレットへワークを載せるワーク移載手段が搬送路の始端に設けられ、高さ位置決め部材と水平位置決め部材とを備えたワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段が搬送路の終端に設けられているので、ワークの供給と回収を円滑に行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、ワーク載置用パレット又は連接用パレットを第1リフタ及び第2リフタ上で移動させたとき、各々のパレットが各々のリフタ上を移動する時間は、各々のパレットの速度が一定で且つワーク載置用パレットと連接用パレットがワークより長い場合に比べて短くなるので、第1リフタ及び第2リフタのサイクルタイムを短縮することができる。搬送装置では、第2リフタで下降させたワーク載置用パレット又は連接用パレットを下部搬送手段で搬送し、第1リフタで上昇させることで、各々のパレットを循環させるため、第1リフタ及び第2リフタで短縮した時間だけワーク載置用パレット又は連接用パレットの循環時間を短縮することができる。
【0017】
また、ワークよりも短くしたワーク載置用パレットと連接用パレットを用いることで、これらのパレットが載る第1リフタ及び第2リフタの奥行き寸法を小さくすることができる。そのため、第1リフタ及び第2リフタ周りのピット寸法を小さくすることができるので、ピットの工事費用を低減させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、平面上に設けた2つの搬送路の間にパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたので、長さの異なるパレットを取り扱うことができる搬送装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るワークの搬送装置の斜視図であり、ワークは乗用車の車体(以下、車体と略記する。)を例に、搬送路はレールを例に以下に説明する。また、以下の説明では、図右下方向を前、左上方向を後、右上方向を左、左下方向を右とする。
【0020】
搬送装置10は、工場内の後方の天井に設けられ矢印(1)のように上流工程から運んできた車体11を矢印(2)のように下降させる第1オーバーヘッドコンベア12と、この第1オーバーヘッドコンベア12の下方に配置され2本のレール13、13(詳細後述)の始端を挟むようにフロア14に設けられていると共に車体を下降させるワーク移載手段としての車体移載機20(詳細後述)と、この車体移載機20の下方の地下に配置されレール13、13の始端の後方に矢印(3)のようにパレットを上昇させる第1リフタ32(詳細後述)と、この第1リフタ32の前方のフロア14に設けたレール13、13に沿ってパレット40(詳細後述)を走行させることで矢印(4)のように車体11を運搬する上部コンベア61(詳細後述)と、この上部コンベア61の前方に配置されレール13、13の終端を挟むようにフロア14に設けられていると共に車体を上昇させるワーク取出手段としての車体取出機70(詳細後述)と、この車体取出機70の上方の天井に設けられていると共に車体11を矢印(5)のように上昇させた後に矢印(6)のように下流工程へ運ぶ第2オーバーヘッドコンベア81と、車体取出機70の下方の地下に配置されレール13、13の終端の前方から矢印(7)のようにパレットを下降させる第2リフタ82(詳細後述)と、この第2リフタ82の下端と第1リフタ32の下端とを連結するように地下31に設けたレール83、83を備えていると共にレール83、83に沿って矢印(8)のようにパレット40を第1リフタ32へ運搬する下部搬送手段としての下部コンベア90(詳細後述)とからなる。
【0021】
車体移載機20は、フロア14に左右対称に設けられている2組の支持部材21、21と、これらの支持部材21、21に昇降可能に取り付けられている2組の昇降部材22、22と、これらの昇降部材22、22を作動させるために支持部材21、21に取り付けられている2組の昇降用シリンダユニット23、23と、昇降部材22、22に取り付けられ車体を保持する2枚の車体保持板24、24を突出又は収納させることができる2組の車体保持部25、25と、これらの車体保持部25、25に設けられ車体保持板24、24を作動させる2組の保持用シリンダユニット26、26とで構成される。
【0022】
なお、車体取出機70の構造は、上記車体移載機20と同様であるため、説明を省略する。
15は作業専用フロア、16は作業者、17、18は台車である。
【0023】
図2は図1の2部拡大図であり、パレット40は、進行方向の長さが想像線で示す車体11の長さL2より短いワーク載置用パレット41と、このワーク載置用パレット41とは別体に設けられ進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方に位置する床面を構成する連接用パレット43とからなる。ワーク載置用パレット41の長さをL3とし、連接用パレット43の長さをL4とする。
【0024】
加えて、ワーク載置用パレット41は、左後(図上方向)に設けられ車体11の高さを決める左後高さ位置決め部材44と、この左後高さ位置決め部材44の前方(図右下)に設けられ車体11の高さを決める左前高さ位置決め部材45と、左後高さ位置決め部材44の右方(図左下)に設けられ車体11の高さを決める右後高さ位置決め部材46と、この右後高さ位置決め部材46の前方(図右下)に設けられ車体11の高さを決める右前高さ位置決め部材47と、左前高さ位置決め部材45の右方(図左下)に設けられ車体11の水平位置を決める左水平位置決め部材48と、右前高さ位置決め部材47の左方(図右上)に設けられ車体11の水平位置を決める右水平位置決め部材49とを備えている。
【0025】
51は駆動手段としての駆動ローラ、52は駆動モータ、53はガイドローラ、54はベース、59はワーク載置用パレット41と連接用パレット43に設けられた当接面である。
【0026】
パレット40では、ワーク載置用パレット41で車体11を支え、連接用パレット43に作業者が乗ることで車体11に対して作業を施すことができる。これにより、パレット40上のスペースを有効に使用することができる車体の搬送装置を実現することができる。
【0027】
図3は図2の3−3線断面図であり、ワーク載置用パレット41は、前述の構成に加えて、下面に支持材55、55を介して軸56が取り付けられ、この軸56の両端には、軸受57、57を介して車輪58、58が回転自在に取り付けられている。
【0028】
また、車輪58、58がレール13、13の内面に載った状態で、ワーク載置用パレット41の左側面(図右側)には、ガイドローラ53が接触し、ワーク載置用パレット41の右側面(図左側)には、駆動ローラ51が接触している。
【0029】
なお、レール13、13は、車輪58、58が走行する方式を採用したが、この他に1本の溝付きレールに1枚の摺動板を摺動させる方式を採用することができるため、他の方式に変更することは差し支えない。
【0030】
ワーク載置用パレット41上の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47で車体11を位置決めし、駆動モータ52を起動すると駆動ローラ51が回転し、ワーク載置用パレット41はガイドローラ53に案内されて図表方向に押し出される。このとき、駆動モータ52、駆動ローラ51、ガイドローラ53、レール13、13、ベース54は静止側部品であり、車体11、左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47、ワーク載置用パレット41、支持材55、55、軸56、軸受57、57、車輪58、58は移動側部品である。
【0031】
なお、上記構造及び作用は、上部コンベア(図1の符号61)を説明したものであるが、下部コンベア(図1の符号90)の構造及び作用は、上部コンベアと同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図4は搬送装置の実施例と比較例の対比図であり、(a)は図1の4a−4a線断面図に相当する。以下では、第1リフタ32上に二点鎖線で示す車体11を載せたワーク載置用パレット41が置かれ、第2リフタ82上にワーク載置用パレット41が置かれているものとして説明する。
【0033】
(a)は実施例であり、パレット移動機としての第2リフタ82の奥行き寸法をL3+α3とし、レール13の先端部にある早送り部96の長さをL5とし、安全柵97の長さをL6とする。早送り部96は、早送りモータ98の出力軸に取り付けた早送りローラ99を備えている。また、レール13の後端部にも早送り部101が設けられている。102は第1リフタ32に設けたレール、103は第2リフタ82に設けたレールである。
【0034】
(b)は比較例であり、車体217の長さをL7とし、ワーク載置用パレット214の長さをL8とし、第2リフタ218の奥行き寸法をL8+α8とし、レール216の先端部にある早送り部219の長さをL9とし、安全柵221の長さをL10とする。
【0035】
また、レール216の後端部にも早送り部222が設けられている。223は第1リフタ212に設けたレール、224は第2リフタ218に設けたレールである。次に(a)と(b)のリフタの奥行き寸法、早送り部の長さ、安全柵の長さの対比を行う。
【0036】
先ず、(a)と(b)のリフタの奥行き寸法について対比すると、第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3は、第2リフタ218の奥行き寸法L8+α8よりL11だけ短くなる。そのため、搬送装置10は、搬送装置200よりも小型になる。
【0037】
(a)に示すように搬送装置10では、ワーク載置用パレット41の長さL3は、車体11の長さL2より短くしたので、ワーク載置用パレット41を搬送装置10の先端部で搬送方向に対して上下(垂直方向)に移動させる第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレット41の長さL3が車体11の長さL2より長い場合に比べ、搬送装置10を小型化することができる。
【0038】
なお、奥行き寸法L3+α3は、第2リフタ82に適用して説明したが、第1リフタ32にも適用可能である。
また、ワーク載置用パレット41を適用して説明したが、連接用パレット43を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0039】
次に、(a)と(b)の早送り部の長さについて対比すると、早送り部96の長さL5は、早送り部219の長さL9よりも長さL12だけ短くなる。
【0040】
(a)に示すように先端部の早送り部96の長さL5がワーク載置用パレット41の長さL3と連接用パレット43の長さL4とにほぼ等しいとすれば、パレットの各々の長さが車体11の長さL2より長い場合に比べ、早送り部96の長さL5を短くすることができる。早送り部96の長さL5が短く且つ送り速度が一定であれば、早送り部96が長く且つ送り速度が一定である場合に比べ、ワーク載置用パレット41が早送り部96を通過する時間も短くなる。これにより、連接用パレット43からワーク載置用パレット41を切り離す時間を短縮することができるので、搬送装置10の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化することができる。
【0041】
さらに、連接用パレット43は、進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方で床面を構成しているので、作業者の作業スペースは制約されることがない。そのため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【0042】
以上のように、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置10を提供することができる。
【0043】
加えて、(a)と(b)の安全柵について対比すると、安全柵97の長さL6は、安全柵221の長さL10に比べてL13+L14だけ短くなる。これにより、作業に不適な場所が減るので、有効作業スペースを増加させることができる。
【0044】
図5はリフタ上のパレット移動距離の実施例と比較例の対比図であり、(a)は実施例であり、レール102の前端面からストッパ94までの距離、すなわち第1リフタ32上でのワーク載置用パレット41の移動距離をL15とする。
【0045】
(b)は比較例であり、レール223の前端面からストッパ213までの距離、すなわち第1リフタ212上でのワーク載置用パレット214の移動距離をL16とする。
【0046】
(a)と(b)を対比すると、第1リフタ32上でのワーク載置用パレット41の移動距離L15は、第1リフタ212上でのワーク載置用パレット214の移動距離をL16に比べてL17だけ短くなる。
【0047】
ワーク載置用パレット41を第1リフタ32上で移動させたとき、ワーク載置用パレット41が第1リフタ32上を移動する時間は、ワーク載置用パレット41の速度が一定で且つワーク載置用パレット41が車体11より長い場合に比べて短くなるので、第1リフタ32のサイクルタイムを短縮することができる。搬送装置(図1の符号10)では、第2リフタ(図1の符号82)で下降させたワーク載置用パレット41を下部コンベア(図1の符号90)で搬送し、第1リフタ32で上昇させることで、ワーク載置用パレット41を循環させるため、第1リフタ32で短縮した時間だけワーク載置用パレット41の循環時間を短縮することができる。
【0048】
なお、第1リフタ32を例にして説明したが、第2リフタでも第1リフタ32と同様にサイクルタイムを短縮することにより第2リフタで短縮した時間だけワーク載置用パレット41の循環時間を短縮することができる。
【0049】
また、ワーク載置用パレット41を例にして説明したが、連接用パレット(図2符号43)を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0050】
加えて、(a)に示すように、車体11よりも短くしたワーク載置用パレット41を用いることで、このワーク載置用パレット41が載る第1リフタ32の奥行き寸法L18を小さくすることができる。そのため、第1リフタ32周りのピット寸法L19を小さくすることができるので、ピットの工事費用を低減させることができる。
【0051】
なお、上記効果は、連接用パレット(図2の符号43)を適用しても得ることができる。また、第1リフタ32の代わりに第2リフタを適用しても同様の効果を得ることができる。
次に車体移載機20の作用を説明する。
【0052】
図6は本発明のワーク移載手段の作用図であり、ワーク移載手段を車体移載機として説明する。なお、(a)は図1の6a−6a線断面図に相当し、第1リフタ32上にワーク載置用パレット41が載っているものとして説明する。
【0053】
車体移載機20の車体保持板24、24に載った車体11は、昇降用シリンダユニット(図1の符号23、23)が作動することにより矢印(9)のようにワーク載置用パレット41へ向かって下降する。レール102、102は、搬送路であるレール(図3の符号13、13)と同一位置に設けられている。
【0054】
(b)に示すように、車体11がワーク載置用パレット41の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47に載り、車体保持板24、24を矢印(10)、(10)のようにさらに下降させると、車体11はワーク載置用パレット41上に位置決めされる。
【0055】
(c)に示すように、車体保持板24、24を保持用シリンダユニット(図1の符号26、26)の作動により矢印(11)、(11)のように戻す。次に車体保持部25、25を昇降用シリンダユニットで矢印(12)、(12)のように二点鎖線の位置まで上昇させる。これでワーク載置用パレット41への車体載せが完了する。
【0056】
左前高さ位置決め部材45と左水平位置決め部材48と右水平位置決め部材49と右前高さ位置決め部材47とを備えたワーク載置用パレット41へ車体11を載せる車体移載機20がレール(図1の符号13、13)の始端の後方に設けられているので、車体11の供給を円滑に行うことができる。
次に車体取出機70の作用を説明する。
【0057】
図7は本発明のワーク取出手段の作用図であり、ワーク取出手段を車体取出機として説明する。なお、(a)は図1の7a−7a線断面図に相当し、第2リフタ82上に車体11を載せたワーク載置用パレット41が置かれ、車体取出機70の車体保持板24は最下位にあるものとして説明する。
【0058】
車体保持板24、24を保持用シリンダユニット(図1の符号26、26)の作動により矢印(13)、(13)のように車体11の下方に向けて突き出す。レール103、103は、搬送路であるレール(図3の符号13、13)と同一位置に設けられている。
【0059】
(b)に示すように、車体保持板24、24を矢印(14)、(14)のように上昇させ、車体11を持ち上げる。
【0060】
(c)に示すように、ワーク載置用パレット41の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47から離した車体11をさらに昇降用シリンダユニット(図1の符号23、23)で矢印(15)のように上昇させる。これでワーク載置用パレット41からの車体取出しが完了する。
【0061】
左前高さ位置決め部材45と左水平位置決め部材48と右水平位置決め部材49と右前高さ位置決め部材47とを備えたワーク載置用パレット41から車体11を取出す車体取出機70がレール(図1の符号13、13)の終端の前方に設けられているので、車体11の回収を円滑に行うことができる。
【0062】
これまで説明してきた搬送装置は、パレットを垂直に循環させる方式であったが、この種の搬送装置にはパレットを水平に循環させる方式もある。次に、パレット水平循環式の搬送装置を説明する。
【0063】
図8は本発明に係る別の搬送装置の平面図である。なお、(a)では図1で用いた上部コンベア(図1の符号61)に相当するコンベアを第1コンベア91とし、第2リフタ(図1の符号82)に相当する機器をパレット移動機93とし、下部コンベア(図1の符号90)に相当するコンベアを第2コンベア92とし、車体取出機(図1の符号70)に相当する機器を車体取出機104として説明する。
【0064】
また、パレット移動機93の近傍に配置したパレット入れ替え手段はフォークリフトを例にし、1列の搬送路は2本のレールで構成されるものとして説明する。
【0065】
(a)に示すように、搬送装置110では、レール111、111を平面上に例えば2列配置し、第1コンベア91側のレール111、111の終端から第2コンベア92側のレール111、111の始端にパレット112を移載させるパレット移動機93を設け、パレット移動機93の近傍にフォークリフト105を配設し、例えば連接用パレット114の組み替えを自在としたことを特徴とする。
【0066】
そのため、長さの異なる連接用パレット106、107、108を取り扱うことができる搬送装置110を実現することができる。
【0067】
なお、レール111、111を1列分として2列配置で説明したが、例えば上記構成に加えてパレット移動機93の中間部にレール111、111を繋いで3列配置の構成にしてもよく、列数は任意である。
【0068】
また、長さの異なるパレットは、複数の連接用パレットを適用して説明したが、複数のワーク載置用パレットを適用してもよい。
109は昇降レール(詳細後述)、116は作業専用フロアである。
【0069】
次に、(a)と(b)の対比説明を行う。
(a)は実施例であり、搬送装置110は、第1コンベア91でワーク載置用パレット113に載せた車体115を運搬し、第1コンベア91から矢印のようにパレット移動機93に送られたワーク載置用パレット113から車体取出機104で車体115を取り出し、例えば空のワーク載置用パレット113をパレット移動機93から第2コンベア92に戻すことで、ワーク載置用パレット113と連接用パレット114を水平方向に循環させる装置である。
【0070】
このとき、パレット移動機93の奥行き寸法は、ワーク載置用パレット113の長さL20にα20を足したL20+α20とする。
【0071】
(b)は比較例であり、搬送装置200では、第1コンベア225でパレット201に載せた車体226を運搬し、第1コンベア225から矢印のようにパレット戻し機211に送られたパレット201から車体取出機227で車体226を取り出し、空のパレット201をパレット戻し機211から矢印のように第2コンベア228に戻すことで、パレット201を水平方向に循環させる装置である。
【0072】
このとき、パレット戻し機211の奥行き寸法は、パレット201の長さL1にα1を足したL1+α1とする。
【0073】
(a)と(b)を対比すると、パレット移動機93の奥行き寸法L20+α20は、パレット戻し機211の奥行き寸法L1+α1よりL22だけ短くなる。そのため、搬送装置110は、搬送装置200よりも小型になる。
【0074】
したがって、搬送装置110では、ワーク載置用パレット113の長さL20は、車体115の長さより短くしたので、ワーク載置用パレット113を搬送装置110の端部で搬送方向に対して左右(水平方向)に移動させるパレット移動機93の奥行き寸法L20+α20を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレット113の長さL20が車体の長さより長い場合に比べ、搬送装置110を小型化することができる。
【0075】
なお、ワーク載置用パレット113を適用して説明したが、連接用パレット114を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0076】
図9は図8の9−9線断面図であり、ワーク載置用パレット113は、両端部の下面に設けられレール111、111上を図裏方向に走行する第1車輪117、117と、これらの第1車輪117、117よりも中央寄りの下面に設けられパレット移動機(図8の符号93)の昇降レール(図8の符号109、109)上を走行する第2車輪118、118(詳細後述)とを備えている。
【0077】
119は左後高さ位置決め部材、121は左水平位置決め部材、122は右水平位置決め部材、123は右後高さ位置決め部材、124は駆動モータ、125は駆動ローラ、126はガイドローラ、127は床、128はベースである。
【0078】
ワーク載置用パレット113上に車体115を位置決めし、駆動モータ124を起動すると駆動ローラ125が回転し、ワーク載置用パレット113はガイドローラ126に案内されて図裏方向に押し出される。このとき、駆動モータ124、駆動ローラ125、ガイドローラ126、レール111、111、ベース128は静止側部品であり、車体115、左後高さ位置決め部材119、左水平位置決め部材121、右水平位置決め部材122、右後高さ位置決め部材123、ワーク載置用パレット113、第1車輪117、117は移動側部品である。
【0079】
なお、上記構造及び作用は、第1コンベア(図8の符号91)を説明したものであるが、第2コンベア(図8の符号92)の構造及び作用は、第1コンベアと同様であるため、説明を省略する。
【0080】
図10は第1車輪と第2車輪の作用図であり、(a)は図9の10a部拡大図に相当する。第1車輪117は、レール111上を図裏方向に走行している。このとき、第2車輪118は第1コンベア91から浮いた状態にある。
空中に浮いている。
【0081】
(b)に示すように、ワーク載置用パレット113は、第1コンベア91から移動したことで、パレット移動機93上に載っている。ここから、矢印(16)のように昇降レール109を上昇させる。
【0082】
(c)に示すように、昇降レール109の位置が(b)に比べて高さH1だけ高くなったので、第2車輪118は昇降レール109上に載り、第1車輪117はパレット移動機93から浮いた状態にある。この状態から駆動源によりワーク載置用パレット113を矢印(17)のように押し出すことで、ワーク載置用パレット113はパレット移動機上を移動することができる。
【0083】
尚、本発明に係るワークは、実施の形態では乗用車の車体に適用したが、バスの車体、トラックの車体にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【0084】
また、請求項1で用いるパレットは、実施の形態では垂直循環式の搬送装置に適用したが、水平循環式の搬送装置に適用することができるため、垂直循環式、水平循環式のいずれの搬送装置にも適用可能である。
【0085】
そして、本発明に係るワーク載置用パレットは、実施の形態では左側に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備え、右側に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備えるようにしたが、中央に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備えるようにしてもよいため、高さ位置決め部材と水平位置決め部材の数量は任意である。
【0086】
さらに、請求項4で用いるパレット入れ替え手段は、実施の形態ではフォークリフトで説明したが、例えば自走式ロボットを適用することができるため、他の入れ替え手段に変更することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の搬送装置は、乗用車の車体の組立ラインに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係るワークの搬送装置の斜視図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】搬送装置の実施例と比較例の対比図である。
【図5】リフタ上のパレット移動距離の実施例と比較例の対比図である。
【図6】本発明のワーク移載手段の作用図である。
【図7】本発明のワーク取出手段の作用図である。
【図8】本発明に係る別の搬送装置の平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】第1車輪と第2車輪の作用図である。
【図11】従来のパレット式搬送装置の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
10、110…搬送装置、11、115…車体(ワーク)、13、83、102、103、111…レール(搬送路)、20…車体移載機(ワーク移載手段)、32…第1リフタ、40、112…パレット、41、113…ワーク載置用パレット、43、106、107、108、114…連接用パレット、44、119…左後高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、45…左前高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、46、123…右後高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、47…右前高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、48、121…左水平位置決め部材(水平位置決め部材)、49、122…右水平位置決め部材(水平位置決め部材)、51、125…駆動ローラ(駆動手段)、59…当接面、61…上部コンベア、70、104…車体取出機(ワーク取出手段)、82…第2リフタ、90…下部コンベア(下部搬送手段)、91…第1コンベア、92…第2コンベア、93…パレット移動機、96、101…早送り部、99…早送りローラ、105…フォークリフト(パレット入れ替え手段)、109…昇降レール、117…第1車輪、118…第2車輪。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに載せたワークを運搬するワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造ラインでは、小組み工程や車体への部品等の取付工程は、ワークをライン上で搬送しながら諸工程を実行している。
車体や大型部品を搬送する装置としてパレット式搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−87576公報(図2)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来のパレット式搬送装置の基本原理を説明する図であり、パレット式搬送装置200は、車体をパレット201に移載し、レール202、202に沿ってパレット201を駆動ローラを有する駆動部203で駆動させることで車体を左へ搬送する第1搬送部204と、この第1搬送部204の左に設けられレール202、202を備えた回転板205を回転させる第1回転部206と、この第1回転部206の下に設けられレール202、202に沿って走行するパレット201で車体を搬送する第2搬送部207と、この第2搬送部207の下に設けられレール202、202を備えた回転板205を回転させる第2回転部208と、この第2回転部208の右に設けられレール202、202に沿って車体を載せたパレット201を駆動部203で駆動させることで車体を右へ搬送する第3搬送部209と、この第3搬送部209の終点でパレット201から車体をリフタで持ち上げることで空になったパレット201を第1搬送部204へ送るパレット戻し機211とで構成され、パレット201を第1搬送部204、第1回転部206、第2搬送部207、第2回転部208、第3搬送部209、パレット戻し機211の順に水平に循環させる装置である。
【0004】
ところで、特許文献1のパレット式搬送装置200では、パレット201の長さL1はワークである車体の長さに合わせた大きさになっているため、前後のパレットを突き合わせた時に、ワークとワークの間にパレットの当接部が位置することになり、パレットの上で作業する場合に床面の広さの制約となる。
【0005】
さらに、パレット201を直後のパレット201から切り離し、パレット戻し機211へパレット201を送り込むには、長さL1+α1分の時間が掛かるとともに早送りの為の専用面積を確保する必要が有り、設備が大型化してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明では、ワーク載置部を備えるパレットを搬送路に直列に並べた状態で、駆動手段によりパレットを押し出すことで、各パレットを当接させた状態で前方に移動可能としたワークの搬送装置において、前記パレットは、進行方向の長さが前記ワークの長さより短いワーク載置用パレットと、このワーク載置用パレットとは別体に設けられ進行方向前側のワークと後側のワークの下方に位置する床面を構成する連接用パレットとからなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、ワーク載置用パレットは、ワークの高さを決める高さ位置決め部材と、ワークの水平位置を決める水平位置決め部材とを備え、このようなワーク載置用パレットへ前記ワークを載せるワーク移載手段とワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段とが、搬送路の始端と終端に各々設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、搬送路の始端にパレットを上昇させる第1リフタが配置され、搬送路の終端にパレットを下降させる第2リフタが配置され、この第2リフタの下端と前記第1リフタの下端とは下部搬送手段で連結されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、搬送路を平面上に少なくとも2列配置し、一方の搬送路の終端から他方の搬送路の始端にパレットを移載させるパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、ワーク載置用パレットの長さをワークの長さより短くした。また、連接用パレットの長さもワークの長さより短くしたとすれば、ワーク載置用パレット又は連接用パレットを例えば搬送装置の端部で搬送方向に対して左右又は上下に移動させるパレット移動機の奥行き寸法を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレットと連接用パレットの長さがワークの長さより長い場合に比べ、搬送装置を小型化することができる。
【0012】
さらに、この種の搬送装置の両端部には、一般に例えば連接用パレットからワーク載置用パレットを短時間に切り離すために早送り部が各々設けられる。例えば先端部の早送り部の長さがワーク載置用パレットの長さと連接用パレットの長さとにほぼ等しいとすれば、パレットの各々の長さがワークの長さより長い場合に比べ、早送り部の長さを短くすることができる。早送り部の長さが短く且つ送り速度が一定であれば、早送り部が長く且つ送り速度が一定である場合に比べ、ワーク載置用パレットが早送り部を通過する時間も短くなる。これにより、連接用パレットからワーク載置用パレットを切り離す時間を短縮することができるので、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化することができる。
【0013】
加えて、連接用パレットは、進行方向前側の車体と後側の車体の下方で床面を構成しているので、作業者の作業スペースは制約されることがない。そのため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【0014】
請求項1によれば、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、高さ位置決め部材と水平位置決め部材とを備えたワーク載置用パレットへワークを載せるワーク移載手段が搬送路の始端に設けられ、高さ位置決め部材と水平位置決め部材とを備えたワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段が搬送路の終端に設けられているので、ワークの供給と回収を円滑に行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、ワーク載置用パレット又は連接用パレットを第1リフタ及び第2リフタ上で移動させたとき、各々のパレットが各々のリフタ上を移動する時間は、各々のパレットの速度が一定で且つワーク載置用パレットと連接用パレットがワークより長い場合に比べて短くなるので、第1リフタ及び第2リフタのサイクルタイムを短縮することができる。搬送装置では、第2リフタで下降させたワーク載置用パレット又は連接用パレットを下部搬送手段で搬送し、第1リフタで上昇させることで、各々のパレットを循環させるため、第1リフタ及び第2リフタで短縮した時間だけワーク載置用パレット又は連接用パレットの循環時間を短縮することができる。
【0017】
また、ワークよりも短くしたワーク載置用パレットと連接用パレットを用いることで、これらのパレットが載る第1リフタ及び第2リフタの奥行き寸法を小さくすることができる。そのため、第1リフタ及び第2リフタ周りのピット寸法を小さくすることができるので、ピットの工事費用を低減させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、平面上に設けた2つの搬送路の間にパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたので、長さの異なるパレットを取り扱うことができる搬送装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るワークの搬送装置の斜視図であり、ワークは乗用車の車体(以下、車体と略記する。)を例に、搬送路はレールを例に以下に説明する。また、以下の説明では、図右下方向を前、左上方向を後、右上方向を左、左下方向を右とする。
【0020】
搬送装置10は、工場内の後方の天井に設けられ矢印(1)のように上流工程から運んできた車体11を矢印(2)のように下降させる第1オーバーヘッドコンベア12と、この第1オーバーヘッドコンベア12の下方に配置され2本のレール13、13(詳細後述)の始端を挟むようにフロア14に設けられていると共に車体を下降させるワーク移載手段としての車体移載機20(詳細後述)と、この車体移載機20の下方の地下に配置されレール13、13の始端の後方に矢印(3)のようにパレットを上昇させる第1リフタ32(詳細後述)と、この第1リフタ32の前方のフロア14に設けたレール13、13に沿ってパレット40(詳細後述)を走行させることで矢印(4)のように車体11を運搬する上部コンベア61(詳細後述)と、この上部コンベア61の前方に配置されレール13、13の終端を挟むようにフロア14に設けられていると共に車体を上昇させるワーク取出手段としての車体取出機70(詳細後述)と、この車体取出機70の上方の天井に設けられていると共に車体11を矢印(5)のように上昇させた後に矢印(6)のように下流工程へ運ぶ第2オーバーヘッドコンベア81と、車体取出機70の下方の地下に配置されレール13、13の終端の前方から矢印(7)のようにパレットを下降させる第2リフタ82(詳細後述)と、この第2リフタ82の下端と第1リフタ32の下端とを連結するように地下31に設けたレール83、83を備えていると共にレール83、83に沿って矢印(8)のようにパレット40を第1リフタ32へ運搬する下部搬送手段としての下部コンベア90(詳細後述)とからなる。
【0021】
車体移載機20は、フロア14に左右対称に設けられている2組の支持部材21、21と、これらの支持部材21、21に昇降可能に取り付けられている2組の昇降部材22、22と、これらの昇降部材22、22を作動させるために支持部材21、21に取り付けられている2組の昇降用シリンダユニット23、23と、昇降部材22、22に取り付けられ車体を保持する2枚の車体保持板24、24を突出又は収納させることができる2組の車体保持部25、25と、これらの車体保持部25、25に設けられ車体保持板24、24を作動させる2組の保持用シリンダユニット26、26とで構成される。
【0022】
なお、車体取出機70の構造は、上記車体移載機20と同様であるため、説明を省略する。
15は作業専用フロア、16は作業者、17、18は台車である。
【0023】
図2は図1の2部拡大図であり、パレット40は、進行方向の長さが想像線で示す車体11の長さL2より短いワーク載置用パレット41と、このワーク載置用パレット41とは別体に設けられ進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方に位置する床面を構成する連接用パレット43とからなる。ワーク載置用パレット41の長さをL3とし、連接用パレット43の長さをL4とする。
【0024】
加えて、ワーク載置用パレット41は、左後(図上方向)に設けられ車体11の高さを決める左後高さ位置決め部材44と、この左後高さ位置決め部材44の前方(図右下)に設けられ車体11の高さを決める左前高さ位置決め部材45と、左後高さ位置決め部材44の右方(図左下)に設けられ車体11の高さを決める右後高さ位置決め部材46と、この右後高さ位置決め部材46の前方(図右下)に設けられ車体11の高さを決める右前高さ位置決め部材47と、左前高さ位置決め部材45の右方(図左下)に設けられ車体11の水平位置を決める左水平位置決め部材48と、右前高さ位置決め部材47の左方(図右上)に設けられ車体11の水平位置を決める右水平位置決め部材49とを備えている。
【0025】
51は駆動手段としての駆動ローラ、52は駆動モータ、53はガイドローラ、54はベース、59はワーク載置用パレット41と連接用パレット43に設けられた当接面である。
【0026】
パレット40では、ワーク載置用パレット41で車体11を支え、連接用パレット43に作業者が乗ることで車体11に対して作業を施すことができる。これにより、パレット40上のスペースを有効に使用することができる車体の搬送装置を実現することができる。
【0027】
図3は図2の3−3線断面図であり、ワーク載置用パレット41は、前述の構成に加えて、下面に支持材55、55を介して軸56が取り付けられ、この軸56の両端には、軸受57、57を介して車輪58、58が回転自在に取り付けられている。
【0028】
また、車輪58、58がレール13、13の内面に載った状態で、ワーク載置用パレット41の左側面(図右側)には、ガイドローラ53が接触し、ワーク載置用パレット41の右側面(図左側)には、駆動ローラ51が接触している。
【0029】
なお、レール13、13は、車輪58、58が走行する方式を採用したが、この他に1本の溝付きレールに1枚の摺動板を摺動させる方式を採用することができるため、他の方式に変更することは差し支えない。
【0030】
ワーク載置用パレット41上の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47で車体11を位置決めし、駆動モータ52を起動すると駆動ローラ51が回転し、ワーク載置用パレット41はガイドローラ53に案内されて図表方向に押し出される。このとき、駆動モータ52、駆動ローラ51、ガイドローラ53、レール13、13、ベース54は静止側部品であり、車体11、左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47、ワーク載置用パレット41、支持材55、55、軸56、軸受57、57、車輪58、58は移動側部品である。
【0031】
なお、上記構造及び作用は、上部コンベア(図1の符号61)を説明したものであるが、下部コンベア(図1の符号90)の構造及び作用は、上部コンベアと同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図4は搬送装置の実施例と比較例の対比図であり、(a)は図1の4a−4a線断面図に相当する。以下では、第1リフタ32上に二点鎖線で示す車体11を載せたワーク載置用パレット41が置かれ、第2リフタ82上にワーク載置用パレット41が置かれているものとして説明する。
【0033】
(a)は実施例であり、パレット移動機としての第2リフタ82の奥行き寸法をL3+α3とし、レール13の先端部にある早送り部96の長さをL5とし、安全柵97の長さをL6とする。早送り部96は、早送りモータ98の出力軸に取り付けた早送りローラ99を備えている。また、レール13の後端部にも早送り部101が設けられている。102は第1リフタ32に設けたレール、103は第2リフタ82に設けたレールである。
【0034】
(b)は比較例であり、車体217の長さをL7とし、ワーク載置用パレット214の長さをL8とし、第2リフタ218の奥行き寸法をL8+α8とし、レール216の先端部にある早送り部219の長さをL9とし、安全柵221の長さをL10とする。
【0035】
また、レール216の後端部にも早送り部222が設けられている。223は第1リフタ212に設けたレール、224は第2リフタ218に設けたレールである。次に(a)と(b)のリフタの奥行き寸法、早送り部の長さ、安全柵の長さの対比を行う。
【0036】
先ず、(a)と(b)のリフタの奥行き寸法について対比すると、第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3は、第2リフタ218の奥行き寸法L8+α8よりL11だけ短くなる。そのため、搬送装置10は、搬送装置200よりも小型になる。
【0037】
(a)に示すように搬送装置10では、ワーク載置用パレット41の長さL3は、車体11の長さL2より短くしたので、ワーク載置用パレット41を搬送装置10の先端部で搬送方向に対して上下(垂直方向)に移動させる第2リフタ82の奥行き寸法L3+α3を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレット41の長さL3が車体11の長さL2より長い場合に比べ、搬送装置10を小型化することができる。
【0038】
なお、奥行き寸法L3+α3は、第2リフタ82に適用して説明したが、第1リフタ32にも適用可能である。
また、ワーク載置用パレット41を適用して説明したが、連接用パレット43を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0039】
次に、(a)と(b)の早送り部の長さについて対比すると、早送り部96の長さL5は、早送り部219の長さL9よりも長さL12だけ短くなる。
【0040】
(a)に示すように先端部の早送り部96の長さL5がワーク載置用パレット41の長さL3と連接用パレット43の長さL4とにほぼ等しいとすれば、パレットの各々の長さが車体11の長さL2より長い場合に比べ、早送り部96の長さL5を短くすることができる。早送り部96の長さL5が短く且つ送り速度が一定であれば、早送り部96が長く且つ送り速度が一定である場合に比べ、ワーク載置用パレット41が早送り部96を通過する時間も短くなる。これにより、連接用パレット43からワーク載置用パレット41を切り離す時間を短縮することができるので、搬送装置10の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化することができる。
【0041】
さらに、連接用パレット43は、進行方向前側の車体11と後側の車体11の下方で床面を構成しているので、作業者の作業スペースは制約されることがない。そのため、パレット上における作業の自由度を向上させることができる。
【0042】
以上のように、パレット上における作業の自由度を向上し、更に、搬送装置の先端部でのパレット切り離し時間を短縮化すると共に装置の小型化が可能なワークの搬送装置10を提供することができる。
【0043】
加えて、(a)と(b)の安全柵について対比すると、安全柵97の長さL6は、安全柵221の長さL10に比べてL13+L14だけ短くなる。これにより、作業に不適な場所が減るので、有効作業スペースを増加させることができる。
【0044】
図5はリフタ上のパレット移動距離の実施例と比較例の対比図であり、(a)は実施例であり、レール102の前端面からストッパ94までの距離、すなわち第1リフタ32上でのワーク載置用パレット41の移動距離をL15とする。
【0045】
(b)は比較例であり、レール223の前端面からストッパ213までの距離、すなわち第1リフタ212上でのワーク載置用パレット214の移動距離をL16とする。
【0046】
(a)と(b)を対比すると、第1リフタ32上でのワーク載置用パレット41の移動距離L15は、第1リフタ212上でのワーク載置用パレット214の移動距離をL16に比べてL17だけ短くなる。
【0047】
ワーク載置用パレット41を第1リフタ32上で移動させたとき、ワーク載置用パレット41が第1リフタ32上を移動する時間は、ワーク載置用パレット41の速度が一定で且つワーク載置用パレット41が車体11より長い場合に比べて短くなるので、第1リフタ32のサイクルタイムを短縮することができる。搬送装置(図1の符号10)では、第2リフタ(図1の符号82)で下降させたワーク載置用パレット41を下部コンベア(図1の符号90)で搬送し、第1リフタ32で上昇させることで、ワーク載置用パレット41を循環させるため、第1リフタ32で短縮した時間だけワーク載置用パレット41の循環時間を短縮することができる。
【0048】
なお、第1リフタ32を例にして説明したが、第2リフタでも第1リフタ32と同様にサイクルタイムを短縮することにより第2リフタで短縮した時間だけワーク載置用パレット41の循環時間を短縮することができる。
【0049】
また、ワーク載置用パレット41を例にして説明したが、連接用パレット(図2符号43)を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0050】
加えて、(a)に示すように、車体11よりも短くしたワーク載置用パレット41を用いることで、このワーク載置用パレット41が載る第1リフタ32の奥行き寸法L18を小さくすることができる。そのため、第1リフタ32周りのピット寸法L19を小さくすることができるので、ピットの工事費用を低減させることができる。
【0051】
なお、上記効果は、連接用パレット(図2の符号43)を適用しても得ることができる。また、第1リフタ32の代わりに第2リフタを適用しても同様の効果を得ることができる。
次に車体移載機20の作用を説明する。
【0052】
図6は本発明のワーク移載手段の作用図であり、ワーク移載手段を車体移載機として説明する。なお、(a)は図1の6a−6a線断面図に相当し、第1リフタ32上にワーク載置用パレット41が載っているものとして説明する。
【0053】
車体移載機20の車体保持板24、24に載った車体11は、昇降用シリンダユニット(図1の符号23、23)が作動することにより矢印(9)のようにワーク載置用パレット41へ向かって下降する。レール102、102は、搬送路であるレール(図3の符号13、13)と同一位置に設けられている。
【0054】
(b)に示すように、車体11がワーク載置用パレット41の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47に載り、車体保持板24、24を矢印(10)、(10)のようにさらに下降させると、車体11はワーク載置用パレット41上に位置決めされる。
【0055】
(c)に示すように、車体保持板24、24を保持用シリンダユニット(図1の符号26、26)の作動により矢印(11)、(11)のように戻す。次に車体保持部25、25を昇降用シリンダユニットで矢印(12)、(12)のように二点鎖線の位置まで上昇させる。これでワーク載置用パレット41への車体載せが完了する。
【0056】
左前高さ位置決め部材45と左水平位置決め部材48と右水平位置決め部材49と右前高さ位置決め部材47とを備えたワーク載置用パレット41へ車体11を載せる車体移載機20がレール(図1の符号13、13)の始端の後方に設けられているので、車体11の供給を円滑に行うことができる。
次に車体取出機70の作用を説明する。
【0057】
図7は本発明のワーク取出手段の作用図であり、ワーク取出手段を車体取出機として説明する。なお、(a)は図1の7a−7a線断面図に相当し、第2リフタ82上に車体11を載せたワーク載置用パレット41が置かれ、車体取出機70の車体保持板24は最下位にあるものとして説明する。
【0058】
車体保持板24、24を保持用シリンダユニット(図1の符号26、26)の作動により矢印(13)、(13)のように車体11の下方に向けて突き出す。レール103、103は、搬送路であるレール(図3の符号13、13)と同一位置に設けられている。
【0059】
(b)に示すように、車体保持板24、24を矢印(14)、(14)のように上昇させ、車体11を持ち上げる。
【0060】
(c)に示すように、ワーク載置用パレット41の左前高さ位置決め部材45、左水平位置決め部材48、右水平位置決め部材49、右前高さ位置決め部材47から離した車体11をさらに昇降用シリンダユニット(図1の符号23、23)で矢印(15)のように上昇させる。これでワーク載置用パレット41からの車体取出しが完了する。
【0061】
左前高さ位置決め部材45と左水平位置決め部材48と右水平位置決め部材49と右前高さ位置決め部材47とを備えたワーク載置用パレット41から車体11を取出す車体取出機70がレール(図1の符号13、13)の終端の前方に設けられているので、車体11の回収を円滑に行うことができる。
【0062】
これまで説明してきた搬送装置は、パレットを垂直に循環させる方式であったが、この種の搬送装置にはパレットを水平に循環させる方式もある。次に、パレット水平循環式の搬送装置を説明する。
【0063】
図8は本発明に係る別の搬送装置の平面図である。なお、(a)では図1で用いた上部コンベア(図1の符号61)に相当するコンベアを第1コンベア91とし、第2リフタ(図1の符号82)に相当する機器をパレット移動機93とし、下部コンベア(図1の符号90)に相当するコンベアを第2コンベア92とし、車体取出機(図1の符号70)に相当する機器を車体取出機104として説明する。
【0064】
また、パレット移動機93の近傍に配置したパレット入れ替え手段はフォークリフトを例にし、1列の搬送路は2本のレールで構成されるものとして説明する。
【0065】
(a)に示すように、搬送装置110では、レール111、111を平面上に例えば2列配置し、第1コンベア91側のレール111、111の終端から第2コンベア92側のレール111、111の始端にパレット112を移載させるパレット移動機93を設け、パレット移動機93の近傍にフォークリフト105を配設し、例えば連接用パレット114の組み替えを自在としたことを特徴とする。
【0066】
そのため、長さの異なる連接用パレット106、107、108を取り扱うことができる搬送装置110を実現することができる。
【0067】
なお、レール111、111を1列分として2列配置で説明したが、例えば上記構成に加えてパレット移動機93の中間部にレール111、111を繋いで3列配置の構成にしてもよく、列数は任意である。
【0068】
また、長さの異なるパレットは、複数の連接用パレットを適用して説明したが、複数のワーク載置用パレットを適用してもよい。
109は昇降レール(詳細後述)、116は作業専用フロアである。
【0069】
次に、(a)と(b)の対比説明を行う。
(a)は実施例であり、搬送装置110は、第1コンベア91でワーク載置用パレット113に載せた車体115を運搬し、第1コンベア91から矢印のようにパレット移動機93に送られたワーク載置用パレット113から車体取出機104で車体115を取り出し、例えば空のワーク載置用パレット113をパレット移動機93から第2コンベア92に戻すことで、ワーク載置用パレット113と連接用パレット114を水平方向に循環させる装置である。
【0070】
このとき、パレット移動機93の奥行き寸法は、ワーク載置用パレット113の長さL20にα20を足したL20+α20とする。
【0071】
(b)は比較例であり、搬送装置200では、第1コンベア225でパレット201に載せた車体226を運搬し、第1コンベア225から矢印のようにパレット戻し機211に送られたパレット201から車体取出機227で車体226を取り出し、空のパレット201をパレット戻し機211から矢印のように第2コンベア228に戻すことで、パレット201を水平方向に循環させる装置である。
【0072】
このとき、パレット戻し機211の奥行き寸法は、パレット201の長さL1にα1を足したL1+α1とする。
【0073】
(a)と(b)を対比すると、パレット移動機93の奥行き寸法L20+α20は、パレット戻し機211の奥行き寸法L1+α1よりL22だけ短くなる。そのため、搬送装置110は、搬送装置200よりも小型になる。
【0074】
したがって、搬送装置110では、ワーク載置用パレット113の長さL20は、車体115の長さより短くしたので、ワーク載置用パレット113を搬送装置110の端部で搬送方向に対して左右(水平方向)に移動させるパレット移動機93の奥行き寸法L20+α20を小さくすることができる。そのため、ワーク載置用パレット113の長さL20が車体の長さより長い場合に比べ、搬送装置110を小型化することができる。
【0075】
なお、ワーク載置用パレット113を適用して説明したが、連接用パレット114を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0076】
図9は図8の9−9線断面図であり、ワーク載置用パレット113は、両端部の下面に設けられレール111、111上を図裏方向に走行する第1車輪117、117と、これらの第1車輪117、117よりも中央寄りの下面に設けられパレット移動機(図8の符号93)の昇降レール(図8の符号109、109)上を走行する第2車輪118、118(詳細後述)とを備えている。
【0077】
119は左後高さ位置決め部材、121は左水平位置決め部材、122は右水平位置決め部材、123は右後高さ位置決め部材、124は駆動モータ、125は駆動ローラ、126はガイドローラ、127は床、128はベースである。
【0078】
ワーク載置用パレット113上に車体115を位置決めし、駆動モータ124を起動すると駆動ローラ125が回転し、ワーク載置用パレット113はガイドローラ126に案内されて図裏方向に押し出される。このとき、駆動モータ124、駆動ローラ125、ガイドローラ126、レール111、111、ベース128は静止側部品であり、車体115、左後高さ位置決め部材119、左水平位置決め部材121、右水平位置決め部材122、右後高さ位置決め部材123、ワーク載置用パレット113、第1車輪117、117は移動側部品である。
【0079】
なお、上記構造及び作用は、第1コンベア(図8の符号91)を説明したものであるが、第2コンベア(図8の符号92)の構造及び作用は、第1コンベアと同様であるため、説明を省略する。
【0080】
図10は第1車輪と第2車輪の作用図であり、(a)は図9の10a部拡大図に相当する。第1車輪117は、レール111上を図裏方向に走行している。このとき、第2車輪118は第1コンベア91から浮いた状態にある。
空中に浮いている。
【0081】
(b)に示すように、ワーク載置用パレット113は、第1コンベア91から移動したことで、パレット移動機93上に載っている。ここから、矢印(16)のように昇降レール109を上昇させる。
【0082】
(c)に示すように、昇降レール109の位置が(b)に比べて高さH1だけ高くなったので、第2車輪118は昇降レール109上に載り、第1車輪117はパレット移動機93から浮いた状態にある。この状態から駆動源によりワーク載置用パレット113を矢印(17)のように押し出すことで、ワーク載置用パレット113はパレット移動機上を移動することができる。
【0083】
尚、本発明に係るワークは、実施の形態では乗用車の車体に適用したが、バスの車体、トラックの車体にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【0084】
また、請求項1で用いるパレットは、実施の形態では垂直循環式の搬送装置に適用したが、水平循環式の搬送装置に適用することができるため、垂直循環式、水平循環式のいずれの搬送装置にも適用可能である。
【0085】
そして、本発明に係るワーク載置用パレットは、実施の形態では左側に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備え、右側に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備えるようにしたが、中央に2個の高さ位置決め部材と1個の水平位置決め部材を備えるようにしてもよいため、高さ位置決め部材と水平位置決め部材の数量は任意である。
【0086】
さらに、請求項4で用いるパレット入れ替え手段は、実施の形態ではフォークリフトで説明したが、例えば自走式ロボットを適用することができるため、他の入れ替え手段に変更することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の搬送装置は、乗用車の車体の組立ラインに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係るワークの搬送装置の斜視図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】搬送装置の実施例と比較例の対比図である。
【図5】リフタ上のパレット移動距離の実施例と比較例の対比図である。
【図6】本発明のワーク移載手段の作用図である。
【図7】本発明のワーク取出手段の作用図である。
【図8】本発明に係る別の搬送装置の平面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】第1車輪と第2車輪の作用図である。
【図11】従来のパレット式搬送装置の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
10、110…搬送装置、11、115…車体(ワーク)、13、83、102、103、111…レール(搬送路)、20…車体移載機(ワーク移載手段)、32…第1リフタ、40、112…パレット、41、113…ワーク載置用パレット、43、106、107、108、114…連接用パレット、44、119…左後高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、45…左前高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、46、123…右後高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、47…右前高さ位置決め部材(高さ位置決め部材)、48、121…左水平位置決め部材(水平位置決め部材)、49、122…右水平位置決め部材(水平位置決め部材)、51、125…駆動ローラ(駆動手段)、59…当接面、61…上部コンベア、70、104…車体取出機(ワーク取出手段)、82…第2リフタ、90…下部コンベア(下部搬送手段)、91…第1コンベア、92…第2コンベア、93…パレット移動機、96、101…早送り部、99…早送りローラ、105…フォークリフト(パレット入れ替え手段)、109…昇降レール、117…第1車輪、118…第2車輪。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク載置部を備えるパレットを搬送路に直列に並べた状態で、駆動手段によりパレットを押し出すことで、各パレットを当接させた状態で前方に移動可能としたワークの搬送装置において、
前記パレットは、進行方向の長さが前記ワークの長さより短いワーク載置用パレットと、このワーク載置用パレットとは別体に設けられ進行方向前側のワークと後側のワークの下方に位置する床面を構成する連接用パレットとからなることを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項2】
前記ワーク載置用パレットは、前記ワークの高さを決める高さ位置決め部材と、ワークの水平位置を決める水平位置決め部材とを備え、このようなワーク載置用パレットへ前記ワークを載せるワーク移載手段とワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段とが、前記搬送路の始端と終端に各々設けられていることを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路の始端にパレットを上昇させる第1リフタが配置され、搬送路の終端にパレットを下降させる第2リフタが配置され、この第2リフタの下端と前記第1リフタの下端とは下部搬送手段で連結されていることを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
前記搬送路を平面上に少なくとも2列配置し、一方の搬送路の終端から他方の搬送路の始端に前記パレットを移載させるパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたことを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項1】
ワーク載置部を備えるパレットを搬送路に直列に並べた状態で、駆動手段によりパレットを押し出すことで、各パレットを当接させた状態で前方に移動可能としたワークの搬送装置において、
前記パレットは、進行方向の長さが前記ワークの長さより短いワーク載置用パレットと、このワーク載置用パレットとは別体に設けられ進行方向前側のワークと後側のワークの下方に位置する床面を構成する連接用パレットとからなることを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項2】
前記ワーク載置用パレットは、前記ワークの高さを決める高さ位置決め部材と、ワークの水平位置を決める水平位置決め部材とを備え、このようなワーク載置用パレットへ前記ワークを載せるワーク移載手段とワーク載置用パレットからワークを取出すワーク取出手段とが、前記搬送路の始端と終端に各々設けられていることを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
前記搬送路の始端にパレットを上昇させる第1リフタが配置され、搬送路の終端にパレットを下降させる第2リフタが配置され、この第2リフタの下端と前記第1リフタの下端とは下部搬送手段で連結されていることを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
前記搬送路を平面上に少なくとも2列配置し、一方の搬送路の終端から他方の搬送路の始端に前記パレットを移載させるパレット移動機を設け、このパレット移動機の近傍にパレット入れ替え手段を配設し、パレットの組み替えを自在としたことを特徴とする請求項1記載のワークの搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−179460(P2009−179460A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21862(P2008−21862)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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