説明

ワークピースを加工するための加工ステーションおよび加工装置

長尺状あるいは平板状の金属製ワークピースを加工するための装置であって、該装置は少なくとも1つの加工ユニットを有し、該加工ユニットによって、回転駆動される加工ベルトが、ワークピースの供給方向に対して斜状にあるいは横断方向に、少なくとも略直線的に案内されて、加工されるべきワークピースの領域を通過することが可能であり、このようにして、ワークピースは加工ベルトの加工面(3a)によって加工可能であり、可動担持要素(7)が、加工動作に必要な、加工ベルトの加工面(3a)とワークピースとの間の接触に影響を与えるために、加圧手段(8)を用いて加工ベルトの裏面に作用する装置が提案される。本発明によれば、駆動機構が設けられ、該駆動機構によって、担持要素(7)は、担持要素(7)が少なくとも加工ベルトの加工領域において加工ベルトの移動方向と実質的に平行に移動するように、モータ駆動されることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[従来技術]
材料を除去することによって金属製ワークピースを加工する加工装置として、例えばバニシング機、研削機あるいはバリ取り機などが知られている。この場合、例えば、加工されるべきワークピースの領域を通過する摩擦ベルトまたは研削ベルトなどの回転式の材料加工具が用いられ、ベルトの加工面がワークピースの方向に移動される。加工動作に影響を与えることができるように、より詳細には、高精度に賦形されたワークピースの突出部の除去や、あるいは粗面材料領域の平坦化のための前処理中に、加工ベルト用の様々な加圧機構がこれまでに実現されてきたが、これらの加圧機構は完全に満足のいくものではなかった。
[発明の目的および効果]
本発明の目的は、技術的観点および経済的観点から、冒頭に記載された種類の装置を改良することであり、より詳細には、比較的顕著に形成されたバリあるいは材料表面に目立った突出部を有する賦形された金属製ワークピースの予備的あるいは大まかな加工に関する装置を改良することである。
【0002】
この目的は請求項1および13に記載の発明によって達成される。従属請求項は本発明の有利な発展例を示している。
本発明はまず、長尺状あるいは平板状の金属製ワークピースを加工するための、より詳細にはワークピース切断端のバリ取りおよび/またはワークピース表面の研削をするための装置であって、該装置は少なくとも1つの加工ユニットを有し、該加工ユニットによって、回転駆動される加工ベルトが、加工ベルトの加工領域内において、ワークピースの供給方向に対して斜状にあるいは横断方向に、少なくとも略直線的に案内されてワークピースを通過することが可能であり、この過程において、ワークピースが加工ベルトの加工面によって加工可能であり、可動担持要素に設けられた加圧手段が、加工の際に必要とされる、加工ベルトの加工面とワークピースとの間の接触に影響を与えるために、加工ベルトの裏面に作用する装置に関する。この場合、ワークピースは、運搬テーブル上に載置された状態で加工ベルトの加工領域を通過するように移動される。より詳細には、運搬テーブルは、駆動される運搬ベルト又は駆動される運搬ローラを備えることができる。
【0003】
閉じた加工ベルトの加工面は、加工ベルトの外側に形成され、ワークピースと接触するようにワークピースに対向して配置される。加工を行うために、加工面は材料を除去するように設計されており、例えば複数の工具様加工要素を備えているか、あるいは例えばサンドペーパー研削ベルトのような形態の、きめの粗い硬質材料表面あるいは粒子を備えている。
【0004】
本発明の主要部は、駆動機構が設けられ、該駆動機構によって担持要素がモータ駆動可能であり、加圧手段を有する担持要素が、少なくとも加工ベルトの加工領域において、加工ベルトの移動方向と実質的に平行に移動するという点に見られる。
【0005】
このようにして、加圧手段と加工ベルトの裏面とで構成される摩擦を生じる要素間での、不要な摩擦あるいは摩耗が容易に最小限に抑えられる。
従来、加圧手段は、実質的に不動の状態で、あるいは固定された位置に配置されて、加工ベルトを押圧していた。必要に応じて、加圧手段は、加工ベルトの移動方向あるいは走行方向に対して垂直に若干変形することが可能であった。
【0006】
これは、加圧手段と加工ベルトとの間の、加工ベルトの裏面全体に作用している摩擦に関連している。
このため、これに関連して、加圧手段の動作によって摩擦による相当な影響、すなわち磨耗の増大、汚れ、擦切れ、および摩擦熱の発生が引き起こされるが、これらは概して好ましくない影響である。これは、摩擦が生じる要素の予測される耐用年数が短くなることに加えて、メンテナンス費用の増大が付随することになる。また従来は、経時的に加工作用がかなり低下するという点を受入れざるを得なかった。本発明によれば、上述の不利な点を防ぐこと、あるいは少なくとも最小限に抑えることが可能である。
【0007】
駆動機構に関して、加圧手段を有する担持要素は、より詳細には回転する加工ベルトから独立して、例えば別の駆動源によって駆動され得る。この場合、動作は反転を伴っても伴わなくても、すなわち、例えば前後への動きであっても、あるいは連続した一定方向への動きであっても、原理的にはどちらでも可能である。また、別個の駆動源あるいは担持要素のみを動かす駆動源があるということは有利である。原理的には、担持要素を直接駆動してもよく、あるいは間接的に駆動してもよい。加工ベルトおよび担持要素のための別個の駆動ユニットを備えるという有利な方法以外に、共通の駆動ユニットを設け、加工ベルトおよび担持要素を、対応する変速装置あるいはステップアップ型あるいはステップダウン型の変速装置によって、それぞれ異なる駆動速度で駆動することも可能である。
【0008】
好ましくは、担持要素は回転式無端要素の形態であって、該回転式無端要素には加圧手段が設けられ、該加圧手段は加工ベルトの裏面を非連続的に押圧する。本発明によれば、加圧手段は、加工ベルトがワークピースと接触可能な、例えば運搬テーブルの上方に位置する、加工領域の一部においてのみ作用し、したがって、加圧手段が同時に接触することができる加工ベルトの裏面の最大の表面領域を画定する。その間では、加工ベルトの裏面は接触しない状態を保つ。このため、加工ベルトの裏面の加工領域において当該表面領域の全体の複数部分に、圧力もしくは力、または接触圧を部分的に印加することによって、加工ベルト裏面の近接する圧力領域間には、接触が生じない間隙ができる。
【0009】
加圧手段の間に間隙を形成することはまさに、加工ベルトの当該加工領域において、加工ベルトの裏面の領域全体に、あるいは該領域全体の大部分に圧力が印加されるのを防ぐことを目的としている。加工ベルトの裏面において加圧手段により隔てられた間隙は、圧力が印加される加圧面の両側に存在し、次の加圧表面まで、あるいは加工領域の終端まで延在している。概して、加工ベルトは、偏向ローラなどによって、加工領域の2つの端部領域において、加工領域へと向かうように、あるいは加工領域から離れるように、上方あるいは下方に偏向される。
【0010】
間隙を有することで、圧力が表面領域全体に印加される場合と比較して、必要とされる駆動力が少なくて済み、加工ベルトまたは無端要素を駆動するための駆動機構を、より低出力のものとすることができる。より詳細には、無端要素の駆動源は、より小さな寸法のもの、あるいはよりコスト効率のよいものを選択することができる。
【0011】
無端要素は具体的には、ベルト、チェーンおよび/またはコードの形態とすることができる。加工領域において加工ベルトと少なくとも実質的に平行に配向され、かつ、加工領域から所定の距離だけ延在しているベルトが好ましい。回転式無端要素の構成および/または寸法は、所望の圧力作用に適合させることができる。より詳細には、無端要素は、加工ベルトの幅に対応する幅方向の寸法、すなわち回転方向を横断する方向の寸法を有する。
【0012】
回転式無端要素に代えて、加工ベルトの移動方向と実質的に平行な加圧手段の移動を、その他の方法によってもたらす要素が用いられてもよい。該要素は、例えばある平面上で移動可能に取り付けられていてもよく、あるいは、例えば偏心器などによって駆動されて前後動する振動板の形態で構成されていてもよい。
【0013】
しかしながら、この場合には、前後動の反転点においてワークピースに停止跡が生じ得るため、この点について考慮に入れておくか、あるいは、これに対処するワークピースの再加工が必要となり得る。
【0014】
更に、加工ベルトの加工領域において作用する支持機構を設けることが提案される。支持機構は、無端要素が加圧手段によって加工ベルトの裏面に作用する領域において、カウンターベアリングの様態で作用する。支持機構は、具体的には、必要な力を加圧手段によって印加でき、かつ、その過程において無端要素の上方への偏向または屈曲を防ぎ、あるいは特定可能な程度にのみそれを許容できるように設けられている。更に、支持機構の方向における偏向、ひいては加工領域における無端要素の振動が、特に比較的高速の回転速度において、著しく最小限に抑えられる。
【0015】
好適には、支持機構は無端要素を支持するベアリング部を備え、無端要素がワークピースから離れる方向へと回復可能に偏向され得る。したがって、加工要素が、ワークピースにおける不均一な部分、またはワークピースの窪みや隆起に到達することができる。この場合、出発点は初期設定され、その結果、例えばワークピースの厚さまたは高さに依存して無端要素および加圧手段の加工ベルトに対する位置が設定されることにより、加圧手段による加圧作用が得られる。この基本設定に関連して、加圧手段を有する無端要素は、ワークピース上の隆起によってワークピースから若干反り返るように偏向し、隆起が作用を生じさせなくなったときに再び基本位置に戻ることができる。無端要素がとり得る最大の偏向経路は、より詳細にはベアリング部の特定可能な移動経路によって設定可能である。
【0016】
好ましくは、ベアリング部は、バネ力の作用を受けるように無端要素の裏面を支持する。したがって、加圧手段を有する無端要素は、加工ベルトの加工面が十分に強い力でワークピースに対して押圧されるように、バネ力によって加工ベルトに作用することができる。したがって、加工ベルトの加工面は、常にワークピースの全ての突出領域あるいは窪み領域に到達することができる。
【0017】
更には、無端要素を支持するベアリング部が複数の支持要素を備え、該支持要素が、無端要素の長手方向に並んで配置され、かつ、予め圧縮応力が加えられたバネ手段によって、位置が固定された部品に対して相対移動可能であることが提案される。その結果、偏向動作の程度、あるいは適切な場合は偏向動作の特質は、例えば複数の支持要素が異なる程度の弾性を有している場合に、加工領域全体にわたって同一あるいは均一でなくてもよい。よって、支持は複数の部分に細分された形態で作用することができ、これにより、加工領域の異なる部分における無端要素または加工ベルトの偏向動作を異なるものにする。したがって、各支持要素によって、具体的には同時に、程度の異なる偏向動作が実現される。このことは、異なるワークピースを、あるいは異なる程度の隆起あるいは窪みを有するワークピースを加工する際に有利である。
【0018】
原理的には、支持要素は、無端要素の裏面に対して平行に、あるいは無端要素に対してある角度をなして、弾性的に移動可能である。このため、加工動作中には、たとえ加工ベルトが、したがって適切な場合には無端要素が、加工ベルトの初期配向に対してある角度をなして配置されていたとしても、支持はこの角度または傾斜に対応するように適応させることができる。
【0019】
回転式無端手段を取り付けるためのより強力なバネを用いる場合には、より大きな程度の表面加工が達成される。対照的に、バネ手段のバネ力がより小さくなるように選択された場合には、ワークピースの窪み、隆起、あるいは縁部をより良好に加工することができる。
【0020】
より詳細には、加圧要素をベルトに取り付けることによって、加工面におけるこれらの要素、ひいては加工ベルトをある角度でワークピースに対して設定することが可能になるということは有利である。したがって、特殊な形状および斜端、あるいはワークピースの表面よりも低い位置の領域でさえも加工することが可能である。
【0021】
ベアリング部は、好ましくは、無端要素の裏面に対向して平面状に、該無端要素の裏面の幅全体にわたって載置されている。このため、支持は、加工ベルトの所定の長手方向部分の幅全体にわたって均一になされ得る。より詳細には、平板状のワークピースの部分が加工される場合には、このことがより均一な表面加工に貢献する。
【0022】
加圧手段が、少なくとも1つの着脱可能に取付けられた加圧要素を、加工ベルトに指向する無端要素の表面に備えるということはさらに有利である。したがって、任意で異なる構成に形成された無端要素を好適に取付けることができる。よって、破損したあるいは摩耗した加圧要素を交換することも好適に可能である。
【0023】
加圧手段が、加工ベルトの裏面を押圧する少なくとも1つの加圧要素が設けられた基部を備えるということは、特に有利である。
好適な実施例によると、加圧要素は弾性的に変形する部分を備え、該部分は、加工ベルトの裏面を押圧している状態において、加圧要素が弾性的に変形することを可能にする。この弾性を有する部分は、より詳細には、加圧要素の内部に設けられていてもよい。このため、加圧要素自体が補正的な動きをしてもよく、その結果、異なる形状に形成されたワークピースの表面に対して角度を付けたり、あるいは該表面に合わせることが可能である。よって、ワークピースの賦形された部分は、より良好に加工され得る。加圧要素は、加工ベルトの裏面と接触する加圧要素の表側に耐摩擦材料を備えることができ、これによって加圧要素あるいは加工ベルトの耐久性が有利に向上する。
【0024】
無端要素と加工ベルトとを異なる速度で同一の移動方向に駆動するように駆動機構を構成すると更に有利である。したがって、加圧手段と加工ベルトの裏面との間の摩擦は、無端要素に担持される加圧手段と加工ベルトとの間の相対移動が比較的小さいため、比較的小さく抑えることができる。更に、このことは、上述したように摩擦が小さいため、熱の発生を抑える点でも役立つ。したがって、ワークピースは、比較的少ない程度にしか熱せられない。更に、ワークピースに対して押圧される加工ベルトの加工面が常に同じ位置であると好ましくなく、加工ベルトの加工面の全ての領域が均一に摩耗されるのではなく、過剰に摩耗した領域や、全く摩耗していない領域あるいはほとんど摩耗してない領域を作出してしまうが、加工段階における無端要素と加工ベルトとの間の剰余の相対移動によって、ワークピースに対して押圧される加工ベルトの加工面が常に同一の位置とはならない。
【0025】
好適には、加工ベルトの移動方向と同じ移動方向とされる場合、無端要素の速度を加工ベルトの速度よりも若干遅くする。
しかしながら、加圧手段を有する無端要素と加工ベルトを同一の速度とすることも本発明から除外するものではない。この場合、これらの部品間に摩擦が生じない。それでも、例えばベルトの長さを異ならせることにより、加圧手段の作用位置が、加工領域においてのみ生じ、2本のベルトの回転によって該位置が規則的に変化するため、作動中に摩耗する加工ベルトの領域は常に同じ領域ではなくなる。
【0026】
無端要素が、その取付けられた状態において、無端要素上に配置された少なくとも個々の加圧要素を取外すこと、および/または取替えることができるように構成されることは非常に有益である。したがって、無端要素上に配置された加圧要素の数および/または構成は、非常に様々な様態とすることができる。より多数の加圧要素が用いられる場合は、加工の精度が向上する。
【0027】
無端要素が、異なった形態に構成された加圧要素が取付けられるように構成されていることは、更に有益である。このため、無端要素には、例えば加工されるワークピースの種類に応じて、より詳細には様々な態様で加圧要素を設けることが可能である。
【0028】
具体的には、加圧要素が、滑り嵌めによって着脱可能に無端要素に取り付けられているということは有利である。滑り嵌めは、加圧要素の非常に容易な着脱を可能にする。また、ハンドルを用いて、あるいは工具を必要とせずに加圧要素を交換できる点も有利である。
【0029】
本発明はまた、長尺状あるいは平板状の金属製ワークピースを加工するための加工ステーションであって、ワークピースを加工するための仕上げベルトを有する仕上げユニットを備える加工ステーションに関し、本発明によれば、該加工ステーションにおいて、仕上げユニットの前に装置が接続されており、該装置は上述した装置のいずれかのように構成される。この構成に関する基本的な思想は、より小型で容易に駆動される研削ベルトが、例えばフラップベルトの前に配置され、そのより小型の研削ベルトは、加圧要素が部分的にのみ押圧する領域を備え、ワークピースに対する加圧要素の位置を変化させることが可能となっている。このため、一つのユニットにおいて、ワークピースを、仕上げ装置による仕上げが効果的に行われる前に、最初にバリなどがない状態にすることができる。前方に接続された加工装置がなければ、特に多数のバリあるいは材料の突出部を有するワークピースについて、所望される高い加工品質を一つのユニットだけでは実現することができない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の加工装置を有する加工ステーションの一部の正面図である。
【図2】図1の一部を拡大して詳細を示した図である。
【図3】図1の加工装置の無端要素のみの正面図である。
【図4】図3の無端要素の上面図である。
【図5】摺動シューを斜め上方から見た斜視図である。
【図6】図5の摺動シューの取付具を斜め上方から見た斜視図である。
【図7】組み付けられた状態の図5および6の摺動シューと取付具の正面図である。
【図8】組み付けられた状態の図5および6の摺動シューと取付具の側面図である。
【図9】組み付けられた状態の図5および6の摺動シューと取付具の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、図面に示された本発明の実施例によって、より詳細に説明される。
図1は、装置本体2および加工ベルト3を有する本発明の加工装置1を備えた加工ステーションの一部の正面図である。より詳細には、加工ステーションは機械ユニットの形態をとる。図示されていないが、加工ベルト3の下方には、加工される平坦ワークピースWを案内して通過させるための運搬機構が設けられている。例えば動作時に駆動される運搬ベルトを備える運搬機構によって、ワークピースWは、図面の紙面と平行に延在する加工ベルト3の底部の長手縁部4を横切って、加工ステーション内を移動させられ得る。
【0032】
ハウジングを有する装置本体2において、ワークピースWの仕上げ加工用の仕上げベルトあるいはフラップベルトを有する仕上げユニット(詳細には図示されていない)が、加工装置1の後ろに接続されている。したがって、この構成において、加工装置1は、ワークピース1の荒加工を行うように機能し、ワークピースWの運搬方向において仕上げユニットの前側に接続される。
【0033】
図示された実施例においては、加工装置1は、より詳細には、窪みVを有する平板状ワークピースWの切断端のバリ取りおよび/または窪みVを有する平板状ワークピースWの表面研削を行うためのベルト状の研削機の形態をとっている。ワークピースWは、例えば、レーザ切断法やトーチ溶接法を用いて鋼板から切断された金属要素であってもよい。
【0034】
加工ベルト3は、研削ベルトとして構成されており、対応するように構成された、例えば砂粒を有する加工面3aを備える。加工ベルト3の裏面3bは、2つの回転ドラム5上を案内されるように駆動され得る。2つのドラム5のうち一方は具体的には電動モータを有する駆動源(図示なし)によって回転駆動される。作動時においては、加工ベルト3は、例えば矢印P1の方向、すなわち反時計回りに回るように駆動され、直線的に横切ってあるいは斜状に移動してワークピースWを通過するように案内される。
【0035】
原理的には、加工ベルト3は時計回り方向にも回転可能である。更に、加工装置1によって上方から加工されるワークピースは、下側に対応するように配置された加工装置(図示なし)によって下方からも加工されてもよい。
【0036】
加工ベルト3の回転速度は、より詳細には無段形態とすることができる。
加工ベルト3または研削ベルトの加工面3aが、十分な大きさの力で、あるいは好適な配向にてワークピースWに対して押圧されるように、回転駆動され、かつ、加圧要素または加圧シュー8が外側に設けられた担持ベルト7を有する、無端要素6が設けられている。作動時には、無端要素6は、具体的には加工ベルト3と同一の方向、つまり反時計回りの方向、すなわち図1のP2方向に回転するが、加工ベルト3よりも遅く回転する。その結果、連続運転中に、加工ベルト3の常に同じ個所が加工領域において圧力を受けることにはならないため、具体的には加工装置1の耐用年数にわたって、加工面3a全体が均一に摩耗するという効果を奏する。
【0037】
更に、加圧シュー8と加工ベルト3の裏面3bと間の相対移動は、加圧シュー8が加工ベルト3の移動方向に移動することによって、比較的小さく抑えられている。したがって、加工ベルト3の裏面3bの摩耗が最小限に抑えられる。これによって、同様に、各箇所の擦切れによって引き起こされる無端要素6の早期故障を防止することができる。
【0038】
無端要素6は加工ベルト3と連動しており、加圧シュー8は、少なくとも加工ベルト3の加工領域Aにおいて、加工ベルト3の裏面3bを押圧し、ひいては加工面3aをワークピースWに押付ける。その結果、ワークピースを加工するための圧力または力が、それに応じて印加される。無端要素6の回転速度は、好適には加工ベルト3の回転速度より若干遅くされており、高品質の加工を行うためには、加工領域Aにおいて無端要素6が加工ベルト3に対して少なくとも実質的に平行に配向されることが肝要である。加工領域Aの長さにわたって、無端要素6および加工ベルト6の比較的小さな位置の相違あるいは角度位置が、例えばそれに対応するように設定可能なベルトの張力によって意図的に与えられ、ワークピースWの平坦な表面のみならず、窪みVあるいは縁部を、加工面3aによって不具合なく研削することが可能である。
【0039】
加工ベルト3、より詳細には加圧シュー8の角度位置を、ワークピースの形状にそれぞれ適合させる能力は、回転方向あるいは長手方向における加圧シュー8の長さlを相対的に短くすることによって更に高められる。図2の中立配向から始まり、加圧シュー8がとり得る角度位置は、図2の動作を示す矢印P3およびP4によって示されている。
【0040】
示された実施例において、担持ベルト7は、互いに均等に離間されるとともにそれぞれが同一の長さlを有する複数の加圧シュー8を備える。示された実施例において、近接する加圧シュー8の間に存在し、長さLを有する中間領域は、好適には、加圧シュー8の長さlのおよそ3倍である。しかし、別の適用例においては、それ以外の長さ比L:l、あるいは長さlおよびLが好適となり得る。また、無端要素上の加圧シュー8あるいは中間領域が全て同一の長さlあるいはLである必要はなく、例えばこれらが全て異なる長さであることや、あるいは異なる長さを交互に配するということも考えられ得る。
【0041】
図1が示すように、加工ベルト3の裏面3b全体に加圧面を設ける代わりに、部分的な加圧面あるいは間隙を有する加圧面を好適に設けることも可能である。
その結果、摩擦の程度がより低く、発生する摩擦熱がより少なくなるため、ベルト3、7を作動させるために必要な駆動力がより小さくて済む。このことは、主として金属製ワークピースWにおいて顕著である。
【0042】
したがって、ワークピースWは、集中的な研削の直後に、例えば手袋などの保護手段を使用せずに人が手で扱って、容易に更なる加工を施すことが可能である。概して、冷却段階は省くことが可能である。
【0043】
加圧シュー8によって加工ベルト3の裏面3bの表面に印加される圧力が低いため、無端要素6は、例えば比較的低出力の駆動モータ(図示なし)によって駆動されることが可能であり、作動時においては、該駆動モータが駆動ローラ9を駆動し、無端要素6が駆動ローラ9の周囲を案内される。担持ベルト7を案内し、偏向させるために、更に、ただし非駆動の、案内ローラ10,11および12が設けられている。
【0044】
担持ベルト7によりカウンターベアリングあるいは弾性的支持を可能とするために、あるいは矢印P6およびP5のように(図2参照)担持ベルト7が最善の位置に適合されるために、ベアリング要素14の形態をとる支持要素を有する支持機構13が設けられる。よって、担持ベルト7は、案内ローラ11および12の間においてその裏面が安定させられている。
【0045】
示された実施例においては、6つのベアリング要素14が設けられており、下面14aが担持ベルト7の裏面7bに対向するように平面的に配置されている。ベアリング要素14は、バネ力が作用するようにそれぞれ取り付けられるか、あるいは位置が固定された連続的な保持レール15上にそれぞれ弾性的に保持される。いずれの場合においても、各ベアリング要素14は、外ねじが付けられた2つのねじ付きピン16を介して弾性的に保持されており、ねじ付きピン16は、ベアリング要素14の裏面側にあり、保持レール15に設けられた対応する穴を介して保持レール15と係合する。ねじ付きピン16は保持レール15の上面15aから突出しており、したがって、保持レール15からのベアリング要素14の距離、ひいてはベアリング要素14の絶対位置は、ねじ付きナット17,18あるいは該ナット17,18の取付位置によって決まる。ベアリング要素14を保持レール15から離間させるために、各ねじ付きピン16の周囲に配置され、予め圧縮応力を加えられた螺旋バネ19が、保持レール15の下面15bとベアリング要素14の上面との間に挟持される。ベアリング要素14のすぐ上では、ねじ付きナット20がねじ付きピン16に螺嵌されており、螺旋バネ19がねじ付きナット20の周囲に係合されている。
【0046】
加工工程において、ワークピースWが加工ベルト3の加工領域Aの下方に案内されると、加工ベルト3は、螺旋バネ19のバネ力に逆らって、図2の矢印P6のように、上方に偏向され得る。裏面が加圧シュー8の作用を受ける加工面3aの一領域が、ワークピースWの窪みに到達したときに、圧縮された螺旋バネ19によって、加工ベルトが矢印P5の方向に向かって下方に押圧されるか、あるいは矢印P3およびP4のように(図2参照)ある角度で配置され得るため、ワークピースWの所望の縁部あるいは表面の加工が、通過する加工ベルト3によって効果的かつ十分に行われる。
【0047】
加工ベルト3に対するバネの作用は設定可能である。すなわち、螺旋バネ19の種類、数および位置、またはバネ定数によって、それに応じたより高いあるいはより低い圧力を選択することができる。加圧シュー8の角度位置の特性も、螺旋バネ19によって影響され得る。相対的に強力な螺旋バネを用いると、表面加工はより的を絞ったものとなり得るのに対し、相対的に弱い螺旋バネを用いると、ワークピースの賦形された領域あるいは輪郭が形成された領域の研削を、より綿密にあるいは向上した形態で行うことができる。
【0048】
図示される螺旋バネ19に代えて、例えば板バネなどのその他のバネ、あるいは例えばゴム緩衝器タイプの緩衝要素などのその他の弾性要素が用いられてもよい。
図5および図6は加圧シュー8を詳細に示しており、加圧シュー8は、摺動シューキャリア8bに解放可能に受け入れられる摺動シュー8aを有する。摺動シューキャリア8bと摺動シュー8aは滑り嵌めされ、例えばねじ30などの適切な連結手段によって、穴21を介して摺動シューキャリア8bを担持ベルト7に連結することが可能である(図3参照)。ねじ30は、摺動シュー8aを摺動シューキャリア8bに固定するために、軸S(図5および6)に沿って摺動シュー8aと係合する。
【0049】
滑り嵌めのために、摺動シューキャリア8bには適切な切り込み22,23が横方向に設けられている。切り込み22,23は、摺動シュー8aに設けられた、対応するリブ部24,25と組み合わされる。摺動シュー8aは、耐摩擦性が比較的高い材料からなる層に関連し、より詳細には、幾分ドーム型のあるいは凸状の上面26を備える。摺動シュー8aの内側に更に隣接している層27は、例えばゴムあるいは発泡材料などの、比較的変形しやすい、あるいは比較的弾性の高い材料からなっていてもよい。その結果、摺動シュー8a自体が弾性的にあるいは変形して動作することができる。このため、加工ベルト3とワークピースWとの間により良好な接触がもたらされ得る。摺動シュー8aのリブ部24,25を有する最下層28は、比較的硬質の材料で形成される。中央に窪みあるいは凹状部分29を有する摺動シューキャリア8bも同様である。
【0050】
図3および図4は無端要素6をそれぞれ前方および上方から示したものである。摺動シューキャリア8bを担持ベルト7に固定するために、取付ねじ30を用いた取り付けが例として示されている。
【符号の説明】
【0051】
1…加工装置
2…装置本体
3…加工ベルト
3a…加工面
3b…裏面
4…長手縁部
5…ドラム
6…無端要素
7…担持ベルト
7a…表面
7b…裏面
8…加圧シュー
8a…摺動シュー
8b…摺動シューキャリア
9…駆動ローラ
10…案内ローラ
11…案内ローラ
12…案内ローラ
13…支持機構
14…ベアリング要素
14a…下面
15…保持レール
15a…上面
15b…下面
16…ねじ付きピン
17,18…ねじ付きナット
19…螺旋バネ
20…ネジ付きナット
21…穴
22…切り込み
23…切り込み
24,25…リブ部
26…上面
27…層
28…層
29…部分
30…ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状あるいは平板状の金属製ワークピースを加工するための、より詳細には、ワークピース切断端のバリ取りおよび/またはワークピースの表面の研削をするための装置であって、前記装置は少なくとも1つの加工ユニット(1)を有し、前記加工ユニット(1)によって、回転駆動される加工ベルト(3)が、その加工領域内において、ワークピースの供給方向に対して斜方あるいは横断方向に、少なくとも略直線的に案内されてワークピースを通過することができ、この過程において、前記ワークピースは前記加工ベルト(3)の加工面(3a)を介して加工可能であり、可動担持要素(8)に設けられた加圧手段(8)が、加工の際に必要とされる加工ベルト(3)の加工面(3a)とワークピースとの間の接触に影響を与えるために、加工ベルト(3)の裏面(3b)に作用する装置であって、
駆動機構が設けられ、該駆動機構によって担持要素(7)がモータ駆動されることが可能であり、担持要素(7)が、少なくとも加工ベルト(3)の加工領域において、加工ベルト(3)の移動方向と実質的に平行に移動することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記担持要素(7)は回転式無端要素(6)の形態をとり、該回転式無端要素(6)には加圧手段(8)が設けられ、該加圧手段(8)は加工ベルト(3)の裏面(3b)を非連続的に押圧することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記加工ベルト(3)の加工領域において作用する支持機構(13)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持機構(13)が無端要素(6)を支持するためのベアリング部を備えることにより、前記無端要素(6)が、ワークピースから離れる方向に、回復可能に偏向可能であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記無端要素(6)を支持するベアリング部は、複数の支持要素(14)を備え、該支持要素(14)は、無端要素(6)の長手範囲の方向に並んで配置され、かつ、予め圧縮応力が加えられたバネ手段(19)によって、位置が固定された部分(15)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ベアリング部は、無端要素(6)の裏面(7b)の幅全体にわたって、無端要素(6)の裏面(7b)に対向して平面的に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記加圧手段(8)は、少なくとも1つの着脱可能に取付けられた加圧要素(8a)を、加工ベルト(3)に指向する無端要素(6)の表面(7a)に備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記加圧要素(8a)は弾性変形する部分(27)を備え、該部分(27)は、加工ベルト(3)の裏面(3b)を押圧している状態において、加圧要素(8a)が弾性変形することを可能にすることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記駆動機構は、無端要素(6)および加工ベルト(3)を異なる速度で同一の方向に駆動するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記無端要素(6)は、該無端要素(6)が取付けられた状態で、該無端要素(6)上に配置された少なくとも個々の加圧要素(8a)を取外すこと、取替えること、あるいはその両方を行うことができるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記無端要素(6)は、異なる構成を有する複数の加圧要素が取付けられるように構成されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加圧要素(8a)は、滑り嵌めによって無端要素(6)に対して着脱可能に取付けられていることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
長尺状あるいは平板状の金属製ワークピースを加工するための加工ステーションであって、該加工ステーションは、ワークピースを加工するための仕上げベルトを有する仕上げユニットを備え、該仕上げユニットの前方に請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置が接続されていることを特徴とする加工ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−512113(P2013−512113A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540306(P2012−540306)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007078
【国際公開番号】WO2011/063926
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(508075937)リスマック マシーネンバウ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】