説明

ワーク位置決め装置

【課題】簡易で且つ安価な構成のもとで多車種のボディの位置決めに対応可能としたワーク位置決め装置を提供する。
【解決手段】ベースプレート4上の領域Q1に搭載される左右一対のロケータ治具5のロケートピン7同士のなすスパンを一時的に領域Q2まで拡張可能なようにエクステンションブロック20を用意しておく。ベースプレート4とエクステンションブロック20の位置決めはパイロットピン31によるものとし、定盤への位置決めはエクステンションブロック20側の位置決め穴27に位置決めピン18を挿入し、その位置決めピン18の下端の二面幅部18bを定盤側の溝に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のワークを位置決め支持するためのワーク位置決め装置に関し、例えば自動車のボディに代表されるような比較的大型のワークの形状または組立精度の抜き取り検査に際して、そのワークを位置決め支持するためのワーク位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の製造工程では、溶接組立後のボディ(塗装や艤装組み立てが施される前のいわゆるホワイトボディ)について例えば特開平8−101032号公報に記載のような三次元測定装置を用いてその形状精度を測定することが行われるが、そのボディを位置決め支持するための位置決め装置としては多くの車種のボディに共通して使用することができる多車種対策または汎用化が重要な要素となる。
【0003】
このようなボディ位置決め装置の多車種対策または汎用化に着目した場合、例えば特許文献1に記載のように、所定の台座上に直交3軸の動作自由度を有する自律型のロケータ治具を複数配置するとともに、そのロケータ治具にそれぞれにロケートピンを具備させ、各ロケートピンをボディ側のロケート穴に個別に挿入することで直交3軸方向の位置決めを行いつつそのボディを支持することになる。
【0004】
そして、車種変更の際にはその車種に応じてボディ側のロケート穴の位置が微妙に異なることから、ロケータ治具のそのものの動作自由度をもってロケートピンの位置を変更すれば、車種違いのボディの位置決めに容易に対応することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−274451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、製造ラインにおいて全てのボディの全数測定を行う場合には有効であるものの、例えば所定ロットごとに1台またはn台のボディの抜き取りでの測定または計測を行う場合には、設備が複雑且つ高価なものとなり、過剰な設備投資となって好ましくない。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、簡易で且つ安価な構成のもとで上記のような多車種対策または汎用化を可能としたワーク位置決め装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、基本構成として、格子状の溝を備えた定盤と、上記定盤の上に複数個並べて配置されるとともにその定盤側の溝を位置決め基準として位置決めされるベースプレートと、上記それぞれのベースプレート上に着脱可能に搭載されるとともにワークの位置決め基準となるロケートピンを有するロケータ治具とを備えていて、上記複数のロケートピンとワーク側のロケート穴とを個別に係合させることで当該ワークを位置決め支持するものである。
【0008】
そして、上記それぞれのベースプレートはそれ自体に形成された複数の位置決め穴に位置決めピンを個別に挿入しつつ当該位置決めピンを定盤側の溝に係合させることでその定盤に対し位置決めされるようになっている。
【0009】
その一方、上記ベースプレート側と同じ大きさの位置決め穴とともに複数のパイロット穴が形成されたエクステンションブラケットを上記ベースプレートの端部に突き合わせるように連結することでベースプレート上でのロケータ治具の着座面となるべき領域を延長形成可能となっている。
【0010】
この延長形成の際には、ベースプレート側の複数の位置決め穴とエクステンションブラケット側の複数のパイロット穴とを一致させた上で上記位置決めピンに代えて双方の穴が共有するパイロットピンを挿入することでベースプレートとエクステンションブラケットの相対位置決めがなされるようになっている。
【0011】
同時に、上記エクステンションブラケットの位置決め穴に位置決めピンを挿入しつつ当該位置決めピンを定盤側の溝に係合させることで、上記ベースプレートがエクステンションブラケットとともに定盤に対し位置決めされるようになっている。
【0012】
ここで、各ベースプレートは定盤上での位置の自由度を有してはいても、最終的な位置決め位置は定盤上の溝のピッチに制約されることになる。したがって、各ベースプレートはワークの種別を問わず共通して使用することができるのに対して、ロケータ治具はワークの種別に応じたものを個別に用意しておくものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、定盤上の各ベースプレートに位置の自由度があるのに加えて、ベースプレートとエクステンションブラケットを組み合わせることでロケータ治具の着座面となるべき領域に拡張性があるので、位置決めすべきワークの種別に応じてロケートピンの位置を変更することが可能で、ワークの種別を問わずそのワークを位置決めすることが可能であり、簡単または簡易な構成のもとで設備の汎用化と設備費の低廉化が図れるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、ここでは自動車のボディ(ホワイトボディ)Bの形状精度を三次元測定機あるいは所定のゲージ等の手段にて測定または計測するに際して、そのボディBを位置決め支持するための装置について示している。
【0015】
図1はそのボディBの位置決め装置1の概略平面図を、図2〜4は図1の要部の詳細をそれぞれ示しており、位置決め装置1そのものは図2に示すような定盤2を母体として構成してある。定盤2は縦横比が例えば3m×6mの大きさのものであり、図2に示すようにその盤面の縦方向および横方向のそれぞれに例えば200mmピッチで複数の溝3a,3b‥を予め形成してあり、結果として盤面の全面に格子状の溝3a,3b‥を形成してある。これらの溝3a,3b‥は後述するようにボディBを直接支えるロケータ治具5の位置決め基準部として機能することになる。
【0016】
図1,2に示す定盤2の上には図3に示すような長方形のベースプレート4を所定のピッチで3〜4枚並べて位置決めしてあるとともに、各ベースプレート4には左右一対のロケータ治具5を搭載してある。ロケータ治具5はポスト6の上端にロケートピン7を備えているとともに、ポスト6の下端の台座部8を中間プレート9にボルト結合したものであって、その中間プレート9を複数のボルト10とベースプレート4側のねじ穴11にてそのベースプレート4に着脱可能に固定支持させてある。
【0017】
ベースプレート4はプレート本体12の長手方向の両端に一段低いジョッグル形状の着座フランジ部13を形成してあるとともに、下面には後述するエア吹き出しのための複数枚のパッド15を装着してある。
【0018】
ベースプレート4の着座フランジ部13は定盤2に対する着座面として機能するもので、その着座フランジ部13には選択使用可能な複数の位置決め穴(ロケート穴)16を横一連に形成してある。また、ベースプレート4のうちプレート本体12の二箇所にも同様の位置決め穴(ロケート穴)17を形成してある。そして、これらの位置決め穴16および17には図3のような位置決めピン(ロケートピン)18が個別に挿入可能となっている。位置決めピン18は後述するようにその胴部が円筒形状のものではあるものの、下端にはフラットな板状の二面幅部18bを形成してあり、二面幅部18bは先に述べた定盤2の溝3a,3bにはまり合う大きさに設定してある。
【0019】
上記パッド15は定盤2の盤面に向けて圧縮空気の吹き出しが可能な多孔質または多孔状のもので、エア注入口19から導入した圧縮空気をパッド15から定盤2の盤面に向けて吹き出すことにより、いわゆる空気軸受の原理をもって定盤2とベースプレート4との間の摩擦抵抗を低減させつつベースプレート4をわずかながら自己浮上させることが可能となっている。この機能は、上記のようにロケータ治具5を搭載したベースプレート4を定盤2上で移動させる際の操作力を軽減する上で有利となる。
【0020】
このように構成された位置決め装置1によれば、図1に示すように左右一対のロケータ治具5が搭載された複数のベースプレート4を定盤2上に並べて、図3に示すように一枚のベースプレート4につき三本の位置決めピン18を用いて定盤2に対して位置決めする。ここでは、図3においてベースプレート4の左右の着座フランジ部13に形成された四つの位置決め穴16の一群のうち一番奥部側のものを選択するとともに、プレート本体12に形成された二つの位置決め穴17のうち手前側のものを選択し、その選択した位置決め穴16,17に位置決めピン18を挿入した上でその位置決めピン18の二面幅部18bを定盤2の溝3にはめ合わせて位置決めするものとする。
【0021】
この場合において、位置決め穴16側の二本の位置決めピン18の二面幅部18bを定盤2の横方向の溝3aにはめ合わせれば、残りの位置決め穴17側の位置決めピン18の二面幅部18bは縦方向の溝3bにはまり合うようにそれぞれの位置決め穴16,17の相対位置関係を予め設定してある。
【0022】
こうすることにより、各ベースプレート4に搭載されたロケータ治具5のロケートピン7の三次元位置が正しく位置決めされたことになる。そして、図4に示すように、それらのロケートピン7に対して上方からセットされるボディB側のロケート穴、例えばフロアパネルのエンボス部Eに予め形成してあるロケート穴Pを嵌合させれば、ベースプレート4を定盤2に対してボルト等にて固定せずともそのボディBを確実に位置決め支持することが可能となる。
【0023】
ここで、ボディB側のロケート穴Pの数およびおおよその位置は車種の違いにかかわらずほぼ共通してはいても、ロケート穴Pの正確な位置は各車種ごとに微妙に相違している。また、各ベースプレート4は定盤2の溝3a,3bとそれにはまり合う位置決めピン18とを基準にして位置決めされている故に、各ベースプレート4の位置、ひいては各ベースプレート4に搭載されたロケータ治具5のロケートピン7の位置、すなわち各ロケートピン7の少なくとも水平な二次元平面内での位置は、定盤2の溝3a,3bの位置およびそのピッチに依存していることになる。
【0024】
このようなことから、ロケートピン7の正確な位置を各車種ごとのボディB側のロケート穴Pの位置に一致させる必要があること、およびロケートピン7の位置が定盤2上の溝3a,3bの位置およびそのピッチの制約を受けないように、ロケータ治具5のうちベースプレート4を除いた部分、すなわちロケートピン7を含むポスト6のほか場合によっては台座8や中間プレート9までも各車種ごとに専用のものを製作した上で、共通のベースプレート4を使用して定盤2に位置決めするものとする。
【0025】
その一方、特定の車種のボディBによっては例外的に車幅方向でのロケート穴P,P同士のピッチ(スパン)が極端に大きく、ベースプレート4に対するロケータ治具5の設置位置がそのベースプレート4内におさまらないことがある。
【0026】
このような場合に備えて本実施の形態では、各ベースプレート4を車幅方向に拡張可能に構成してある。図5は先に述べた図1の構造を基本としながら各ベースプレート4を車幅方向に拡張し、その拡張した部分にロケータ治具5を搭載した平面図を示している。図1と図5とを比較すると明らかなように、図5では図1と比べロケータ治具5におけるロケートピン7,7同士の車幅方向での距離W2がW1よりも拡大化されている(W2>W1)。
【0027】
上記ベースプレート4の車幅方向での拡張に備えて、図6のほか図7に示すように、左右一対のロケータ治具5が搭載されるベースプレート4以外に左右一対のエクステンションブラケット20を用意してある。なお、図6ではロケータ治具5を図示省略してある。
【0028】
ここで、ベースプレート4およびエクステンションブラケット20のより具体的な構造を図6,7のほか図8以下の図面を参照しながら説明する。
【0029】
ベースプレート4には、先に述べた複数の位置決め穴16および17のほか、左右一対のロケータ治具5側の中間プレート9を固定するめの複数のねじ穴11を形成してある。さらに図6では図示省略してるが、図7に示すようにベースプレート4の両端にはエクステンションブラケット20を併用せずにロケータ治具5を位置決め固定する際に、ベースプレート4に対する中間プレート9の位置決め基準となる案内部材としてのキーブロック21,22を固定してある。このキーブロック21,22の位置は、ロケータ治具5側の中間プレート9がベースプレート4に対して着座する領域Q1(図6〜8および図10に斜線を付した部分)の直近位置に設定してある。
【0030】
このため、エクステンションブラケット20を併用せずに図3のようにロケータ治具5をベースプレート4に位置決め固定する際には、ロケータ治具5側の中間プレート9の二辺をキーブロック21,22に当接させれば中間プレート9側のボルト穴23とベースプレート4側のねじ穴11とが自律的に一致し、直ちにボルト10を締め付けてロケータ治具5を固定することが可能となっている。
【0031】
図6のベースプレート4に形成されたそれぞれの位置決め穴16,17は図9,10および図11に示すように溝24付きのものであって(ただし、位置決め穴16については同図では明示されていないが、位置決め穴16の形状は後述する図10に示すエクステンションブラケット20側の位置決め穴27と同じ形状である)、それぞれの方向性を持たせてある。他方、それらの位置決め穴16,17に挿入されることになる位置決めピン18は、図13に示すように位置決め穴16,17側の溝24に係合可能な小径ピン18aを胴部に打ち込んであり、位置決め穴16,17と同様に方向性を持たせてある。この小径ピン18aは位置決めピン18の下端の二面幅部18bと同じ方向を指向していることから、二面幅部18bが先に述べた定盤2側の溝3aまたは3bに係合した場合に、その小径ピン18aの向きをもって二面幅部18bが定盤2側の縦方向の溝3aに係合したのか横方向の溝3bに係合したのかを特定できるようにしてある。
【0032】
図6,7エクステンションブラケット20はベースプレート4側の着座フランジ部13に重合可能なジョッグル形状のものであって、ベースプレート4側と同形状の着座フランジ部25のほか、そのベースプレート4側の重合フランジ部13に重合可能な重合フランジ部26を有している。重合フランジ部26は後述するようにロケータ治具5側の中間プレート9が着座するのに十分な面積を有している。つまり、重合フランジ部26にはロケータ治具5側の中間プレート9が着座可能な領域Q2(図7,8および図10に斜線を付した部分)を確保してある。
【0033】
そして、エクステンションブラケット20の着座フランジ部25には、図10に示すようにベースプレート4側の位置決め穴16の一群と同じピッチで且つ同じサイズの複数の位置決め穴27を形成してある。この位置決め穴27の形状はベースプレート4側の位置決め穴16,17と同様に溝24付きのものである。他方、エクステンションブラケット20の重合フランジ部26にはベースプレート4側の位置決め穴16の一群のうち両端の位置決め穴16と同じピッチで且つ同じサイズのパイロット穴28のほか、ベースプレート4側のねじ穴11と同じ配置で且つ同じサイズの複数のねじ穴29と、それとは別の複数のボルト穴30をそれぞれ形成してある。なお、ベースプレート4側の着座フランジ部13にも重合フランジ部26側のボルト穴30と同じ配列のねじ穴を予め形成してある。
【0034】
したがって、ベースプレート4の着座フランジ部13に対してエクステンションブラケット20の重合フランジ部26を重合させれば、重合フランジ部26側のパイロット穴28をベースプレート4の着座フランジ部13側の両側の位置決め穴16と一致させることが可能であり、なお且つそれらのパイロット穴28および位置決め穴16に対してパイロットピン31を挿入可能となっている。
【0035】
また、エクステンションブラケット20の重合フランジ部26にはベースプレート4側のキーブロック21,22と同じ配置で且つ同じサイズのキーブロック32,33を固定してあるとともに、図7,10に示すようにベースプレート4側のキーブロック21を受容してこれと係合可能な案内溝としての切欠溝34を形成してある。エクステンションブラケット20側のキーブロック32,33は、後述するようにベースプレート4を拡張するべくエクステンションブラケット20を併用してロケータ治具5を位置決め固定する際に、エクステンションブラケット20に対する中間プレート9の位置決め基準として機能することになる。
【0036】
つまり、エクステンションブラケット20を併用してロケータ治具5をそのエクステンションブラケット20に位置決め固定する際には、ロケータ治具5側の中間プレート9の二辺をキーブロック32,33に当接させれば中間プレート9側のボルト穴23とエクステンションブラケット20側のねじ穴29とが自律的に一致し、直ちにボルト10を締め付けてロケータ治具5を固定することが可能となる。
【0037】
したがって、ベースプレート4を拡張または延長するべくエクステンションブラケット20を併用してロケータ治具5を定盤2上に位置決めする際には、図6,7に示すようにベースプレート4側のキーブロック21とエクステンションブロック20側の切欠溝34との係合による案内効果をもってベースプレート4側の左右の着座フランジ部13に対してその上方からそれぞれにエクステンションブラケット20側の重合フランジ部26を重ね合わせる。そして、ベースプレート4の着座フランジ部13に形成してある両側の位置決め穴16に対してエクステンションブラケット20の重合フランジ部26に形成してあるパイロット穴28を一致させ、それらの位置決め穴16およびパイロット穴28に共通のパイロットピン31を打ち込む。これにより、ベースプレート4とその両側のエクステンションブラケット20との相対位置決めがなされたことになり、最後にエクステンションブラケット20側のボルト穴30にボルト35を挿入して締め込むことでベースプレート4と左右のエクステンションブラケット20が位置決め固定されることになる。
【0038】
このようにベースプレート4側のキーブロック21とエクステンションブロック20側の切欠溝34との係合による案内効果のために、ベースプレート4とエクステンションブラケット20との相対位置決めを自律的に行うことができ、作業性に優れたものとなる。
【0039】
なお、図9から明らかなように、ベースプレート4側のパッド15が定盤2に対する着座面として機能することから、ベースプレート4とエクステンションブラケット20が位置決め固定された状態では、プレート本体12およびエクステンションブラケット20は定盤2から図9に示した微小量αだけ浮上することになるものの、両者が固定されていない状態ではエクステンションブラケット20が上記微小量α分だけ下がり気味となる。そのため、上記のようなベースプレート4側の着座フランジ部13とエクステンションブラケット20側の重合フランジ部26とを重ね合わせる際の作業性が悪くなる可能性がある。
【0040】
そこで、定盤2とエクステンションブラケット20側の着座フランジ部25との間に所定厚みのシムプレートを介在させるとともに、その着座フランジ部25の上に所定のウエイトを載せることにより、エクステンションブラケット20の重合フランジ部26を浮き気味にして、ベースプレート4側の着座フランジ部13とエクステンションブラケット20側の重合フランジ部26とを重ね合わせるようにすると良い。
【0041】
こうしてベースプレート4とエクステンションブラケット20とが実質的に一体化されたならば、図7に示すようにエクステンションブラケット20の重合フランジ部26にロケータ治具5を載せ、中間プレート9側のボルト穴23と重合フランジ部26側のねじ穴29とを一致させた上で、ボルト10を締め込んでロケータ治具5をエクステンションブラケット20に固定する。
【0042】
この後、エクステンションブラケット20と一体化されて且つその上面にロケータ治具5が搭載されたベースプレート4を定盤2上の所定の位置まで移動させた上で、図3の場合と同様に三箇所の位置決め穴27,17(この場合にはベースプレート4とエクステンションブラケット20とが実質的に一体化されているので、ベースプレート4側の位置決め穴16に代えてエクステンションブラケット20側の位置決め穴27を使用する。)に図13の位置決めピン18を挿入しつつ、その位置決めピン18の二面幅部18bを定盤2側の溝3aまたは3bにはめ合わせることでロケータ治具5の最終的な位置決めがなされることになる。
【0043】
ここでは、図7において左右のエクステンションブラケット20の着座フランジ部25に形成された四つの位置決め穴27の一群のうち一番奥部側のものを選択するとともに、プレート本体12に形成された二つの位置決め穴17のうち手前側のものを選択し、それぞれの位置決め穴27,17に位置決めピン18を挿入した上でその位置決めピン18の二面幅部18bを定盤2の溝3aまたは3b3にはめ合わせて位置決めするものとする。
【0044】
このように本実施の形態によれば、左右一対のエクステンションブラケット20を併用するだけで図1,5に示すように広狭二種類のロケータ治具5の配置に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る位置決め装置の概略構造を示す平面説明図。
【図2】図1の位置決め装置の母体となる定盤の要部斜視図。
【図3】図1に示したベースプレートとロケータ治具との関係を示す分解斜視図。
【図4】図3のロケータ治具におけるロケートピンとボディ側のロケート穴との関係を示す要部斜視図。
【図5】図1の位置決め装置を基本としてエクステンションブラケットを併用してロケータ治具を配置したときの平面説明図。
【図6】図5に示したベースプレートとエクステンションブラケットとの関係を示す分解斜視図。
【図7】図5に示したベースプレートとエクステンションブラケットおよびロケータ治具との関係を示す要部拡大分解斜視図。
【図8】図6,7に示したベースプレートとエクステンションブラケットの詳細を示す平面説明図。
【図9】図8の正面説明図。
【図10】(A)は図6,7に示したエクステンションブラケットの詳細を示す平面説明図、(B)は同図(A)の正面説明図。
【図11】図8のA−A線に沿う拡大断面図。
【図12】図8のB−B線に沿う拡大断面図。
【図13】図3,6,7に示した位置決めピンの詳細を示す図で、(A)は一部破断正面図、(B)は同図(A)の右側面図。
【符号の説明】
【0046】
1…位置決め装置
2…定盤
3a,3b…溝
4…ベースプレート
5…ロケータ治具
7…ロケートピン
15…パッド
16…位置決め穴
17…位置決め穴
18…位置決めピン
20…エクステンションブラケット
21…キーブロック(案内部材)
34…切欠溝(案内溝)
28…パイロット穴
31…パイロットピン
P…ロケート穴
W…ボディ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状の溝を備えた定盤と、
上記定盤の上に複数個並べて配置されるとともにその定盤側の溝を位置決め基準として位置決めされるベースプレートと、
上記それぞれのベースプレート上に着脱可能に搭載されるとともにワークの位置決め基準となるロケートピンを有するロケータ治具と、
を備えていて、
上記複数のロケートピンとワーク側のロケート穴とを個別に係合させることで当該ワークを位置決め支持するようにしたワーク位置決め装置であって、
上記それぞれのベースプレートはそれ自体に形成された複数の位置決め穴に位置決めピンを個別に挿入しつつ当該位置決めピンを定盤側の溝に係合させることでその定盤に対し位置決めされるようになっているとともに、
上記ベースプレート側と同じ大きさの位置決め穴とともに複数のパイロット穴が形成されたエクステンションブラケットを上記ベースプレートの端部に突き合わせるように連結することでベースプレート上でのロケータ治具の着座面となるべき領域を延長形成可能となっていて、
上記延長形成の際には、ベースプレート側の複数の位置決め穴とエクステンションブラケット側の複数のパイロット穴とを一致させた上で上記位置決めピンに代えて双方の穴が共有するパイロットピンを挿入することでベースプレートとエクステンションブラケットの相対位置決めがなされるようになっているとともに、
上記エクステンションブラケットの位置決め穴に位置決めピンを挿入しつつ当該位置決めピンを定盤側の溝に係合させることで、上記ベースプレートがエクステンションブラケットとともに定盤に対し位置決めされるようになっていることを特徴とするワーク位置決め装置。
【請求項2】
上記ベースプレートとエクステンションブラケットとの突き合わせ面のうちいずれか一方にはその突き合わせ動作を案内する案内部材を設けるとともに、他方にはその案内部材を受容する案内溝を形成してあることを特徴とする請求項1に記載のワーク位置決め装置。
【請求項3】
上記ベースプレートは空気噴射による自己浮上機能を有していることを特徴とする請求項2に記載のワーク位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−291896(P2009−291896A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148747(P2008−148747)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】