説明

ワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法

【課題】生産性向上と装置全体のコンパクト化を図ることができるワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法を提供する。
【解決手段】ワーク分類排出システム50は、ワークWを収納するワーク収納孔3が形成された搬送テーブル2と、ワークWを測定するワーク測定部7と、搬送テーブル2の半径方向外方に設けられワーク収納孔3側へ開口する複数の開口部8xを有する排出ブロック81とを備えている。排出ブロック81の各開口部8xはワークWの複数の分類に対応して設けられ、かつ各開口部8xは対応するワーク収納箱115に排出パイプ85,86を介して接続されている。排出ブロック81は多列に設けられた複数の開口部8xを有する複数の基本階層81Aを多段に積層することにより構成される。ワーク測定部7からの測定結果に基づいて制御部9が搬送テーブル2を回転させ、かつ排出ブロック81を垂直方向に移動して、ワーク収納孔3内のワークWを対応する分類の開口部8xに位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等のワークを分類して排出するワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法に係り、とりわけ生産性向上と装置全体のコンパクト化を図ることができるワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ形電子部品等のワークを搬送テーブルの外周部に設けたワーク収納孔に吸着保持して搬送しながら電気的特性測定を行い、ワークの測定結果に基づいてワークを予め定めた複数の分類に分け、各分類に対応する収納箱にワークを排出パイプを介して排出するワーク分類排出装置が知られている。このような装置において分類数が増加すると収納箱の数が増加する。このため収納箱に対応して排出パイプを個別に設けると搬送テーブルのワーク収納孔の数を排出パイプの数以上にする必要があり、搬送テーブルの大型化を招く。この場合は、装置の大型化と高価格化につながってしまう。
【0003】
他方、収納箱の数が増えた場合でも、搬送テーブルからワークを排出する排出パイプの数を少なくして、収納箱に近い位置で排出パイプを分岐して収納箱に対して個別に接続する装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
このようなワーク分類排出装置100は図31に示すように、被検査物としてのチップ形電子部品(以下ワーク)を間歇搬送して測定を行うインデックステーブル102と、このインデックステーブル102に隣接して配置され、測定を終えた各ワークWを測定結果に応じて振り分ける分配装置103とを有している。
【0005】
図31において、吸着ノズル108に吸着されたワークWはインデックステーブル102の間歇回転によって搬送され、測定装置(図示せず)により測定が行われる。各ワークWは測定結果に応じた複数の分類毎に振り分けられ、分配装置103によって各分類に対応したワーク収納箱115Aに貯留される。
【0006】
分配装置103は図31に示すように、各ワーク収納箱115A毎に対応した複数の分配部材114を有し、各分配部材114は分配口114Aを上方に向けて紙面に平行な方向および紙面に垂直な方向に並んで配置され、分配部材114の上面は分配口114Aにより形成された球面状凹部114Bを形成している。開放位置Bには、ワークWを送り込むため1本の投入管112が設けられ、その下端部112Bの外周部には環状の球面シール部材123が取り付けられている。そして、投入管112の下端部112Bに接続された揺動管113が、モータの作用によって球面シール部材123を中心として紙面に平行な方向および紙面に垂直な方向に揺動し、球面状凹部114Bに近接した揺動管113の下端部113Bを各分配口114Aの近接上方位置に位置させる。
【0007】
測定装置からの各ワークWの測定結果に基づいて、制御装置はモータを動かす。このことによって、各ワークWが振り分けられるべき分配口114Aの近接上方位置に、揺動管113の下端部113Bを移動させる。そして、インデックステーブル102がワークWを開放位置Bまで搬送した後で、吸着ノズル108の負圧を解除してノズル111から圧縮空気を噴出してワークWを投入管112内へ送り込む。この場合、当該ワークWは投入管112を通過した後に揺動管113と該分配口114Aとを経て、測定結果の分類に対応するワーク収納箱115Aに貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−78347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来技術には、以下のような問題点がある。
【0010】
図31においてワークWをワーク収納箱115Aに排出する際に、ワークWは一旦、一本の投入管112を通過した後、各ワーク収納箱115Aに対応する分配口114Aに導かれる。このため、異なるワーク収納箱115Aに収納されるワークWが混入するのを防止するには、投入管112の出口をワークWが通過した後に次のワークWを排出する必要がある。この場合は、投入管112にワークWが送り込まれてから出るまでの通過時間が待ち時間となり、装置の処理速度の高速化が困難になる。
【0011】
高速化のためにこの通過時間を短縮するには投入管112の全長を短くする必要があり、装置内各機構の配置が制約を受ける。また、揺動管113の下端部113Bを分配口114Aの位置まで移動させる時間も待ち時間となり、装置の処理速度の高速化が困難になる。高速化のためにこの移動時間を短縮するには揺動管113を広範囲にわたって高速移動させる機構が必要となり、装置のコストアップにつながる。
【0012】
また、ワークWの分類の発生頻度には一定の傾向があるため、各ワーク収納箱115Aに均等にワークWが収納されることはない。通常は特定のいくつかの分類の発生頻度が高くなり、それらの分類に対応するワーク収納箱115Aに収納されるワークWが多くなるので、揺動管113の下端部113Bは当該のワーク収納箱115Aに接続された分配口114Aの位置に移動する頻度が高くなる。従って、装置の処理速度の高速化のためには、これらの発生頻度が高い分類に対応するワーク収納箱115Aに接続される分配部材114の分配口114Aを互いに近接させて配置する必要がある。しかし、そのようにした場合でも、揺動管113の下端部113Bが異なる分配口114A間を移動する時間をゼロにすることは不可能であり、装置の処理速度の高速化に限界がある。
【0013】
例えば、最近の発光ダイオード等のワークを分類して排出するワーク分類排出装置における分類数は128、256あるいは512等のように非常に大きくなっており、これらの分類数に対応したワーク分類排出装置を従来技術によって実現しようとすると、装置のコストが非常に高くなるとともに、動作の高速化が非常に困難となる。
【0014】
さらに、上記のような発生頻度が高い分類に対応するワーク収納箱115Aは早期に満杯になるため、装置の電源を遮断して装置を停止させ、満杯になったワーク収納箱115Aを空の新しいワーク収納箱115Aに交換する作業が発生する。その際、分配口114Aが開口状態であるため、交換作業中にゴミ等の異物が分配口114Aから入り、ワーク収納箱115Aに混入するおそれがある。
【0015】
交換作業以外の作業、例えば装置の保守点検作業の場合も装置の電源を遮断して装置を停止させるため、同様の状況となる。また、装置に何らかのトラブルが発生して緊急停止した場合も同様の状況となる。このようにゴミ等の異物が分配口114Aから入ることを防止するには、装置が停止したときに分配口114Aを塞ぐ機構が必要となり、装置のコストアップにつながる。
【0016】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークの分類数が増加した場合にも搬送テーブルのワーク収納孔の数を増加させることなく、かつ排出処理速度が低下することがなく、しかも発生頻度の高い分類に対応するワーク収納箱に高速でワークを排出することができるワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、水平方向に配置されたテーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に設けられ、外周部に半径方向外方に開口するとともにワークが収納される複数のワーク収納孔が形成された搬送テーブルと、搬送テーブルのワーク収納孔内のワークに対して電気的特性測定を行うワーク測定部と、搬送テーブルの半径方向外方であってワーク測定部の下流側に垂直方向に移動自在に設けられ、ワーク収納孔側へ開口する複数の開口部を有する排出ブロックと、搬送テーブルのワーク収納孔内のワークを対応する開口部へ排出するため圧縮エアを噴出する圧縮エア噴出装置と、ワーク測定部からの測定結果に基づいて、搬送テーブル、排出ブロックおよび圧縮エア噴出装置を制御する制御部とを備え、排出ブロックの各開口部は、ワークの複数の分類に対応して設けられるとともに、各開口部は対応するワーク収納箱に排出パイプを介して接続され、排出ブロックは開口部が搬送テーブルの円周方向に沿って多列に形成された複数の基本階層を垂直方向に多段に積層して構成され、排出ブロックの開口部は、搬送テーブルのワーク収納孔と同一間隔をおいて円周方向に配置され、ワーク測定部からの測定結果に基づいて、制御部は搬送テーブルを回転させ、かつ排出ブロックを垂直方向に移動して、ワーク収納孔内のワークを測定結果に対応する分類の開口部に位置合わせして、位置合わせされた当該ワークを圧縮エア噴出装置からの圧縮エアにより、開口部および排出パイプを介してワーク収納箱へ排出することを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0018】
本発明は、ワークの分類はn個(自然数)あり、排出ブロックの開口部はワークの分類に対応するn個設けられていることを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0019】
本発明は、搬送テーブル近傍にワーク収納孔内のワークが圧縮エアによって排出されたか否か検出するワークセンサが設けられていることを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0020】
本発明は、各排出パイプは、その一部が弾性パイプからなり、排出ブロックの移動をこの弾性パイプにより吸収することを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0021】
本発明は、弾性パイプはコイルばねからなることを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0022】
本発明は、電源遮断時または緊急停止時において、制御部は排出ブロックを降下させ、すべての開口部がテーブルベース外周面によって密閉されることを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0023】
本発明は、発生頻度の高い分類に対応する開口部は、同一の基本階層中に設けられていることを特徴とするワーク分類排出システムである。
【0024】
本発明は、上記記載のワーク分類排出システムを用いたワーク分類排出方法において、ワーク測定部により搬送テーブルのワーク収納孔に収納されたワークの電気的特性を測定する工程と、ワーク測定部からの測定結果に基づいて制御部により、搬送テーブルを回転させ、かつ排出ブロックを垂直方向に移動して、ワークを測定結果に対応する分類の開口部に位置合わせする工程と、位置合わせされた当該ワークを制御部により、圧縮エア噴出装置からの圧縮エアによって、開口部および排出パイプを介してワーク収納箱へ排出する工程と、を備えたことを特徴とするワーク分類排出方法である。
【0025】
本発明は、ワークの分類はn個(自然数)あり、排出ブロックの開口部はワークの分類に対応するn個設けられていることを特徴とするワーク分類排出方法である。
【0026】
本発明は、搬送テーブル近傍にワーク収納孔内のワークが圧縮エアによって排出されたか否か検出するワークセンサが設けられていることを特徴とするワーク分類排出方法である。
【0027】
本発明は、電源遮断時または緊急停止時において、制御部は排出ブロックを降下させ、すべての開口部がテーブルベース外周面によって密閉されることを特徴とするワーク分類排出方法である。
【0028】
本発明は、発生頻度の高い分類に対応する開口部は、同一の基本階層中に設けられていることを特徴とするワーク分類排出方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ワークの分類排出装置において分類数が増加した場合に、排出ブロックを構成する基本階層を増加させることにより対応することができる。このため搬送テーブルのワーク収納孔の数を増加する必要はなく、従って搬送テーブルの直径を増加する必要がなく、装置を小型化することができる。また、ワーク収納孔から各ワーク収納箱までを個別の排出パイプで接続しているため、ワーク収納孔内のワークを排出ブロックの開口部から同時に排出することができる。このようにワークがワーク収納孔から排出された後、即座に次の動作に移行できるため、排出処理速度が低下せず、しかも発生頻度の高い分類に対応するワーク収納箱に高速でワークを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明によるワーク分類排出システムを示す平面図。
【図2】図2は本発明によるワークの分類排出システムを示す斜視図。
【図3】図3(a)〜(f)は本発明による排出ブロックの昇降作用を示す説明図。
【図4】図4(a)(b)は搬送テーブルの外周部とワーク収納孔との関係を示す斜視図。
【図5】図5は排出ブロックを示す正面図。
【図6】図6は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図7】図7は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図8】図8は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図9】図9は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図10】図10は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図11】図11は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図12】図12は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図13】図13は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図14】図14は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図15】図15は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図16】図16は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図17】図17は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図18】図18は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図19】図19は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図20】図20は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図21】図21は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図22】図22は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図23】図23は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図24】図24は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図25】図25は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図26】図26は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図27】図27は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図28】図28は本発明によるワークの分類排出方法を示す説明図。
【図29】図29(a)〜(c)は基本階層ユニットを用いた排出部の構成を示す説明図。
【図30】図30は本発明による排出ブロックに接続された排出パイプの変形例を示す図。
【図31】図31は従来技術によるワークの分類排出装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1乃至図29は本発明によるワーク分類排出システムおよびワーク分類排出方法の一実施の形態を示す図である。
【0033】
ここで図1はワーク分類排出システムを示す平面図であり、図2はワーク分類排出システムを示す斜視図である。
【0034】
図1および図2に示すように、ワーク分類排出システム50は、水平方向に配置され、外周面1aを有するテーブルベース1と、テーブルベース1上に水平方向に回転自在に設けられ、外周部2aに半径方向外方に開口するとともにワークWが収納されるワーク収納孔3が形成された搬送テーブル2と、搬送テーブル2の外周部2a近傍に設けられ、ワーク収納孔3内のワークWに対して電気的特性測定を行うワーク測定部7とを備えている。
【0035】
また搬送テーブル2には、ワーク収納孔3内のワークWに対して圧縮エアを噴射して後述する開口部(ワーク排出口)8xへ排出する圧縮エア噴出装置(噴出孔)10が図4に示すように設けられている。
【0036】
またワーク測定部7の下流側に、複数の開口部(ワーク排出口)8xを有する排出ブロック81が垂直方向に移動自在に設けられている。排出ブロック81の各ワーク排出口8xは、ワーク収納孔3側へ開口するとともに、搬送テーブル2の円周方向に沿って多列(8列)に、かつ垂直方向に沿って多段(4段)に設けられている。この場合、排出ブロック81は多列(8列)に形成されたワーク排出口8xを有する基本階層81Aを垂直方向に多段(4段)に積層することにより構成されている。
【0037】
さらに排出ブロック81のワーク排出口8xは、予め定められたワークWの複数の分類に対応して設けられるとともに、ワーク排出口8xは対応するワーク収納箱115に排出パイプ85を介して接続されている。またワーク排出口8xは搬送テーブル2のワーク収納孔3と同一間隔をおいて円周方向に配置されている。
【0038】
ところでワーク測定部7からの測定結果は制御部9へ送信され、制御部9はワーク測定部7からの測定結果に基づいて搬送テーブル2、排出ブロック81および圧縮エア噴出装置10を制御する。
【0039】
具体的には、後述のように制御部9はワーク測定部7からの測定結果に基づいて、搬送テーブル2を回転させ、かつ排出ブロック81を垂直方向に移動して、ワーク収納孔3内のワークWを測定結果に対応する分類のワーク排出口8xに対して位置合わせを行い、位置合わせされた当該ワークWをワーク排出口8xおよび排出パイプ85を介して圧縮エア噴出装置10からの圧縮エアによりワーク収納箱115内へ排出する。
【0040】
ところで搬送テーブル2はテーブルベース1と略同一径を有し、搬送テーブル2の外周部2aには上述のようにワークWを個別に収納するワーク収納孔3が等間隔に設けられ、ワーク収納孔3は搬送テーブル2の外側に向けて開口している。搬送テーブル2は図示されない駆動装置の作用により中心軸4の周囲に時計回り(図1の矢印A)に間歇回転する。その際に遠心力によってワークWがワーク収納孔3から飛び出さないように、ワーク収納孔3内のワークWは図示されない真空発生源からの真空吸引により、中心軸4の方向に吸着されている。
【0041】
また図1に示すように、ワークWは図示されないパーツフィーダに投入され、そこからリニアフィーダ5に移載されて、搬送テーブル2に向けて一列で搬送される。そして、ワーク収納孔3の開口に対向する分離供給部6の作用により、ワークWはワーク収納孔3に個別に収納された後、搬送テーブル2の間歇回転によって搬送される。
【0042】
ワーク収納孔3内のワークWがワーク測定部7に到達すると、ワーク測定部7の図示されない測定機構によってワークWの電気的特性が測定される。測定される特性はワークWの種類により様々であり、例えばワークWが抵抗であれば抵抗値の測定、ワークWがコンデンサであれば漏れ電流の測定、ワークWが発光ダイオードであれば光強度の測定などである。
【0043】
測定が終了したワークWは、各々上述した排出ブロック81からなる排出部8a,8bに到達し、ワーク測定部7からの各ワークWの測定結果に従って、制御部9により予め定めた複数の分類に分けられ、当該の分類に対応するワーク収納箱115に向けて排出される。
【0044】
図1において、2個の排出部8aおよび8bが設けられているが、これは一例であり、排出部8a,8bの個数は2個に限定されるものではない。また、図1は平面図であるため、搬送テーブル2と略同一径をもつ円形のテーブルベース1は搬送テーブル2に隠れて、直接図示されていない。また、図1において、ワーク収納孔3内に収納されたワークWは外方から見えるように示されているが、実際のワーク収納孔3の上面は搬送テーブル2上面のカバー(図示せず)により覆われている。
【0045】
次に排出部8a,8bの詳細を、図1の矢印S方向から見た斜視図としての図2に示す。図2において、便宜上排出部8aのみを図示し、排出部8b、リニアフィーダ5、分離供給部6、ワーク測定部7は図示していない。
【0046】
図2に示すように、排出部8aは搬送テーブル2の外縁とわずかな隙間を隔てて対向する排出ブロック81からなり、排出ブロック81の搬送テーブル2に対向する前面に、ワーク収納孔3内のワークWをワーク収納箱115に向けて排出する上述した複数のワーク排出口8xが形成されている。排出ブロック81は図2の矢印Tの方向から見た図5に示すように、搬送テーブル2の外縁に沿って設けられた8個のワーク排出口8xを有する基本階層81Aを4層積層することによって構成されている。ここで排出ブロック81は、駆動機構81aにより、垂直方向(図2の矢印C)に一体となって移動自在となっている。
【0047】
図5において、各基本階層81Aに設けられた8個のワーク排出口8xに(1)〜(8)の番号を付し、各基本階層81AにI〜IVの番号を付してある。
【0048】
あるワーク収納孔3に収納されたワークWを、ワーク排出口8xに位置合わせさせて排出する場合、まず搬送テーブル2を回転させて(1)〜(8)のいずれかの位置で搬送テーブル2を停止させる。次に排出ブロック81を昇降させてI〜IVのいずれかの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一水平位置で停止させる。このことにより排出させるべきワークWをワーク排出口8xに対向して位置合わせすることができる。このような制御は図1に示す制御部9によって行われる。
【0049】
また、基本階層81Aの搬送テーブル2と反対側の背面には、ワーク排出口8xに連通し、ワーク排出口8xから基本階層81A内に入ったワークWを各ワーク排出口8xに対応するワーク収納箱115に導くチューブ85が取り付けられている。
【0050】
図2に示すように、チューブ85は基本階層81Aの背面から水平方向に伸び、略90度向きを変えて下向きとなり、伸縮自在のコイルばねからなるコイルチューブ86を介して水平に固定して設置された支持台87に上方から接続される。支持台87の下方には、コイルチューブ86に連通する中継チューブ88が接続され、中継チューブ88は更に下方に位置するワーク収納箱115に接続されている。
【0051】
ここでチューブ85と、コイルチューブ86と、中継チューブ88とによってワークWを排出するための排出パイプ85,86,88が構成されている。
【0052】
次に搬送テーブル2の外周部2aと、ワーク収納孔8の詳細を図4(a)(b)に示す。
【0053】
ここで、図4(a)はワーク収納孔3にワークWが収納されていないときの様子を示し、また図4(b)はワーク収納孔3にワークWが収納されているときの様子を示す。
【0054】
ワーク収納孔3の壁面のうち、搬送テーブル2の中心に近い壁面3aには、図示されない圧縮エア発生源に連通する噴出孔10が設けられ、ワーク収納孔3が排出ブロック81のワーク排出口8xに対向したときに圧縮エアを図4(a)の矢印Cの向きに噴出する。この圧縮エアの作用により、ワーク収納孔3内のワークWはワーク排出口8xに向けて送り込まれる。
【0055】
また、テーブルベース1のうち、ワーク排出口8xに対向するワーク収納孔3の搬送テーブル2の外周部2aに近い箇所には、上方に向かって光を発射する光源11aが設置されている。さらに光源11aの上方に位置するワーク収納孔3の直上位置には、光源11aから発射された光を検知する光検知器11bが設置されている。この光源11aと光検知器11bとにより、ワーク収納孔3内のワークWの有無を検知するワークセンサが構成されている。
【0056】
そして、テーブルベース1のうちワーク収納孔3の下面において光源11aの直上に対応する部分、およびカバー(図示せず)のうちワーク収納孔3の上面において光検知器11bの直下に対応する部分には、空のワーク収納孔3がワーク排出口8xに対向した状態で光源11aから発射された光が光検知器11bで検知されるように検出孔12aおよび12bが設けられている。
【0057】
図4(a)のようにワーク収納孔3内にワークWが存在しないときには、光源11aから発射された光は検出孔12aおよび12bを通過して、光検知器11bにより検知される(矢印D)。これに対して図4(b)のようにワーク収納孔3内にワークWが存在するときには、光源11aから発射された光は検出孔12aを通過した後でワーク収納孔3内に収納されているワークWによって遮られるため、光検知器11bにより検知されることはない(矢印E)。
【0058】
このような構造により、ワーク収納孔3内のワークWがワーク排出口8xからチューブ85、コイルチューブ86、中継チューブ88を経由して、ワーク収納箱115内に排出されたか否かが検知される。
【0059】
図3(a)〜(f)は、排出ブロック81が図2における矢印Cの方向に昇降する様子を示す、図1におけるX−X断面図である。図3(a)において、排出ブロック81の4層の基本階層81Aのうち、図5に示した基本階層Iが搬送テーブル2のワーク収納孔3と対向している。
【0060】
この状態で噴出孔10からワークWに圧縮エアが噴射されると、図3(b)のようにワークWは排出ブロック81内に送り込まれる。図3(c)(d)(e)はそれぞれ、排出ブロック81の4層の基本階層81Aのうち、図5に示した基本階層II、III、IVが搬送テーブル2のワーク収納孔3と対向している様子を示している。ここで、図3(a)→図3(c)→図3(d)→図3(e)の順に排出ブロック81は下降し、これに伴い伸縮自在のばねにより構成されるコイルチューブ86が縮み、基本階層81Aの背面から水平に延び、約90度下方に向きを変えたチューブ85が変形するのを防止している。また、コイルチューブ86はばねにより構成されるため外周に隙間が存在する。このため、図4(a)の噴射孔10からワークWに向けて噴射された圧縮エアがワークWに続いてワーク排出口8xからチューブ85を経てコイルチューブ86に到達した場合、この圧縮エアをコイルチューブ86の隙間から外部に逃すことができ、ワーク収納箱115内にワークWが落下する際にワークWの上方から圧縮エアが送られることがない。このためワークWは自然落下に近い状態となり、新たにワーク収納箱115に収納されるワークWが圧縮エアに押されてワーク収納箱115の内壁あるいは既にワーク収納箱115に収納されているワークWに衝突して傷つくことがなくなる。また既にワーク収納箱115に収納されているワークWに圧縮エアが当たって、このワークWが再度舞い上がる等のおそれもなくなる。
【0061】
また図3(f)は、排出ブロック81全体が搬送テーブル2よりも下方のテーブルベース1の外周面1aに対向して停止している様子を示す。この状態は保守点検等のために装置の電源を切ったとき、あるいは何らかのトラブルが発生して装置が緊急停止したときの状態である。制御部9の作用によってこの位置で停止することによって、すべてのワーク排出口8xをテーブルベース1の外周面1aで塞いでワーク排出口8xからゴミ等の異物がワーク収納箱115に入ることを防止している。
【0062】
なお、図30に示すように排出ブロック81にチューブ85を接続するとともに、このチューブ85を大径チューブ85A内に摺動自在に配置してもよい。また、大径チューブ85Aは支持台87に固定されている。
【0063】
図30において、排出ブロック81の昇降に伴って、チューブ85が大径チューブ85A内を上下方向に移動することができる。この場合、チューブ85の外径は、大径チューブ85Aの内径よりわずかに小さくなっている。
【0064】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について以下説明する。
【0065】
まず、図1において、テーブルベース1の上に回転自在に設置された搬送テーブル2の外周部2aに設けられたワーク収納孔3にワークWが収容され、図示されない駆動装置の作用により搬送テーブル2は、中心軸4の周囲に時計回り(図1の矢印A)に間歇回転する。
【0066】
そしてワーク収納孔3内のワークWがワーク測定部7に到達すると、このワーク測定部7によってワークWの電気的特性が測定され、測定が終了したワークWは排出部8a,8bに到達する。ワークWはワーク測定部7から制御部9に送信された各ワークWの測定結果に従って、制御部9により予め定めた複数の分類に分けられ、当該の分類に対応するワーク収納箱115に向けて排出される。
【0067】
各排出部8a,8bは、図5の正面図に示すように、(1)〜(8)の8個のワーク排出口8xを有するI〜IVの4つの基本階層81Aを含む排出ブロック81からなっている。
【0068】
排出部8a,8bを構成する排出ブロック81は、駆動機構81aにより、垂直方向(図2の矢印C)に一体となって移動自在となっている。そして排出ブロック81の垂直方向への移動、すなわち昇降により、図3(a)(c)(d)(e)に示すように、搬送テーブル2のワーク収納孔3内のワークWと、I〜IVの基本階層81Aのワーク排出口8xとを各々対向することができる。
【0069】
このように、排出ブロック81を複数の階層(図5においてはI〜IVの4層)の基本階層81Aにより構成し、一体に昇降させてワーク排出口8xとワーク収納孔3内のワークWを自在に対向させている。このため予め定めた分類数が大きくなっても、1個の階層の基本階層81Aに形成されたワーク排出口8xの数(図5における(1)〜(8))を増加させることなく、階層数を増加させることによってワーク排出口8xの数を増加させることが可能である。従って、分類数が大きくなっても搬送テーブル2のワーク収納孔3の数を増加させる必要がなく、すなわち搬送テーブル2の直径を大きくする必要がないため、装置を小型化することができる。また、排出ブロック81は単に垂直方向に移動するため、駆動機構81aの構造が簡単であり、移動に要する時間も短い。
【0070】
次に排出部8a,8bにおけるワークWの分類排出方法について、図6〜図28に従って詳述する。図6〜図28は、搬送テーブル2と排出部8a,8bの位置関係を、図2の矢印Tの方向から見た様子を模式的に示したものである。
【0071】
排出部8a,8bはそれぞれ図5に示すように、(1)〜(8)の8個のワーク排出口8xを有するI〜IVの4層の基本階層81Aを含む排出ブロック81からなり、ワーク排出口8xの総数に相当する32個のワーク収納箱115にワークWを排出することができる。すなわち、排出部8a,8bを合わせて64個のワーク収納箱115にワークWを排出することができる。
【0072】
このようにして、図1のワーク測定部7におけるワークWの測定結果に基づいて、ワークWを予め定めた64個の分類に分けることができる。
【0073】
ここで図6〜図28は、各排出部8a,8bのワーク排出口8xを、図5と同様に横8個、縦4個の形式で示し、横方向のワーク排出口8xに(1)〜(8)の番号を付し、縦方向の基本階層81AにI〜IVの番号を付している。そして、各排出部8a,8bのワーク排出口8xには、分類数である1〜64が通し番号で示してある。例えば、排出部8aのI(3)は分類3に相当し、排出部8bのIII(6)は分類46に相当する。
【0074】
ここに排出部8a,8bの排出ブロック81は、いずれもIの基本階層81Aのワーク排出口8xが搬送テーブル2と同一高さになる状態、すなわち図3(a)に示す状態が初期状態となる。そして制御部9が駆動機構81aを制御することによって排出ブロック81が昇降し、図3(c)(d)(e)の各状態に移行する。また、図6〜図28において搬送テーブル2のワーク収納孔3を上記ワーク排出口8xと同様に横一列で示し、各ワーク収納孔3は下側に記したアルファベットの小文字で識別され、ワーク収納孔3には収納されているワークWの排出先を示す分類番号(1〜64のいずれか)が付されている。
【0075】
簡単のため、図6〜図28においてワーク収納孔3の数はa〜rの18個に限定されている。搬送テーブル2が図2の矢印Aの方向に間歇回転すると、図6〜図28において、搬送テーブル2は矢印Aの方向に進む。図6において、ワーク収納孔3(a,b,c,d…)内に収納されているワークWの分類番号は、順に1,5,14,10…となっている。これは、例えばワーク収納孔aのワークWはワーク排出口1すなわち排出部8aのI(1)から排出され、ワーク収納孔bのワークWはワーク排出口5すなわち排出部8aのI(5)から排出されることを意味する。便宜上、例えば図6において搬送テーブル2は排出部8a,8bの直下に記されているが、実際には排出部8a,8bの基本階層Iに設けられたワーク排出口I(1)〜I(8)(分類番号1〜16)と同一平面上に存在している。図7〜図28についても、搬送テーブル2と排出部8aおよび8bとの位置関係は同様である。
【0076】
以下、図6〜図28まで順を追って説明するが、簡単のため、「ワーク収納孔」を「収納孔」、「ワーク排出口」を「排出口」と記載する。
【0077】
図6の初期状態から搬送テーブル2が間歇回転すると、図7の状態になる。ここで、搬送テーブル2の収納孔aのワークWは、排出されるべき排出口1(排出部8aのI(1))と対向している。
【0078】
図7においては、このことを明確にするために、収納孔aと排出口1に影を付けている。以下、図8〜図28においても、同様の場合には対応する収納孔と排出口に影を付けている。
【0079】
制御部9は、ワーク測定部7から送信された情報によって、収納孔aのワークWが排出されるべき排出口が1であることを認識しているので、図7において収納孔aと排出口1が対向した状態で、図4(b)の状態にある収納孔a内のワークWに向けて、図4(a)における噴出孔10から矢印Cの向きに圧縮エアを噴出し、当該ワークWを排出口1に送り込む。このとき、光源11aから出た光は、図4(b)の矢印Eの向きから図4(a)の矢印Dの向きに変化し、ワークWが収納孔aから排出口1に送り込まれたことを検知する。
【0080】
この検知結果は制御部9に送信され、図7に示す段階で他に排出すべきワークWがないことを制御部9が確認すると、制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて図8の状態に移行する。
【0081】
図8において、収納孔bは排出口1と対向している。このとき、制御部9は収納孔b内のワークWが排出口5に排出されることを認識しており、仮に図8の状態で排出部8aの排出ブロック81を昇降させても、収納孔bと対向する排出口は17(II(1))、33(III(1))、49(IV(1))のいずれかであるため、制御部9は図8の状態で排出されるワークWはないと判断し、搬送テーブル2を間歇回転させて図9の状態に移行する。
【0082】
図9において、収納孔bおよびc内のワークWについて、制御部9は図8の場合と同様に排出されるワークWはないと判断し、搬送テーブル2を間歇回転させて図10の状態に移行する。
【0083】
図10および図11においても同様に、制御部9は各図の状態で排出されるワークWがないと判断し、搬送テーブル2を間歇回転させて図12の状態に移行する。ここで図12において収納孔bのワークWは、排出されるべき排出口5(排出部8aのI(5))と対向している。そこで制御部9は、図7の場合と同様に噴出孔10から圧縮エアを噴出し、当該ワークWを排出口5に送り込む。そして光源11aと光検知器11bによりワークWが収納孔bから排出口5に送り込まれたことを検知し、この検知結果は制御部9に送信され、図12に示す段階で他に排出すべきワークWがないことを制御部9が確認すると、制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて図13の状態に移行する。
【0084】
図13〜図16においては、図8と同様に、制御部9は各図の状態で排出されるワークWはないと判断し、搬送テーブル2を間歇回転させて図17の状態に移行する。
【0085】
図17において、収納孔h内のワークWが排出されるべき排出口20(排出部8aのII(4))は、排出部8aの排出ブロック81を下降させることにより、収納孔hと対向する。このため、制御部9は駆動機構81aを制御して排出部8aの排出ブロック81を下降させ、IIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さとする。そして、図7の場合と同様に噴出孔10から圧縮エアを噴出し、当該ワークWを排出口20に送り込む。そして光源11aと光検知器11bは、ワークWが収納孔hから排出口20に送り込まれたことを検知し、この検知結果は制御部9に送信される。
【0086】
次に、この状態で収納孔e内のワークWが排出されるべき排出口39(排出部8aのIII(7))は、排出部8aの排出ブロック81を再び下降させることにより、収納孔eと対向する。このため、図18に示すように、制御部9は駆動機構81aを制御して排出部8aの排出ブロック81を下降させ、IIIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さとする。そして、図7の場合と同様に噴出孔10から圧縮エアを噴出し、当該ワークWを排出口39に送り込む。そして光源11aと光検知器11bはワークWが収納孔eから排出口39に送り込まれたことを検知し、この検知結果は制御部9に送信される。
【0087】
ここで、図17および図18において、搬送テーブル2を停止させた状態で、収納孔hと収納孔eから2個連続してワークWを排出している。
【0088】
このような場合、従来技術においては、図30においてワークWを異なるワーク収納箱115に連続して排出する際に、ワークWが一旦投入管112を通過した後で各ワーク収納箱115に対応する分配口114Aに導かれる。このため従来技術においては、投入管112の出口をワークWが通過したことを検知してから、投入管112を次にワークWを排出する分配口114Aまで移動させる必要がある。
【0089】
これに対して本発明によれば、ワーク収納孔3からワーク収納箱115までの排出パイプの経路がすべて独立しているため、ワーク収納孔3からワークWが排出されたことを光源11aと光検知器11bが検知すれば、即座に排出ブロック81を昇降させて、次にワークWを排出するワーク排出口8xをワーク収納孔3に対向させることができる。このため、ワークWを排出する時間を大幅に短縮することができる。この時間短縮の効果は、搬送テーブル2の停止中に排出するワークWの数が増えるほど大きくなる。
【0090】
図18において、収納孔e内のワークWが排出されると、制御部9はこの状態から排出部8a,8bの排出ブロック81を昇降させても、他に排出することができるワークWがないことを確認する。そして制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて、図19の状態に移行する。
【0091】
図19において、排出部8aの排出ブロック81を上昇させてIの基本階層81Aが搬送テーブル2と同一の高さになるようにする。この場合、収納孔i,jのワークWは、それぞれ排出されるべき排出口4,3(排出部8aのI(4)、I(3))と対向している。
【0092】
そこで制御部9は駆動機構81aを制御して、排出部8aの排出ブロック81を上昇させてIの基本階層81Aが搬送テーブル2と同一の高さとなるようにし、図7の場合と同様に噴出孔10から圧縮エアを噴出し、当該ワークWを排出口4,3に送り込む。その際、噴出孔10から圧縮エアを噴出するタイミングは、収納孔i,jに対して同時に行うことができる。
【0093】
このような場合、従来技術では、ワークWをワーク収納箱115に排出する際に、ワークWは一旦投入管112を通過した後で各収納箱に対応する分配口114Aに導かれる。このため、異なるワーク収納箱115にワークWを連続して排出する場合には、投入管112の出口をワークが通過したことを検知してから、投入管112を次にワークを排出する分配口114Aまで移動させる必要がある。
【0094】
これに対して本発明によれば、ワーク収納孔3からワーク収納箱115までの排出パイプの経路が独立しているため、同一の基本階層81Aに属する複数のワーク排出口8xにワークWを排出する場合、同時にワークWを排出することができる。これにより、ワークWを排出する時間を大幅に短縮することができる。この時間短縮の効果は、搬送テーブル2の停止中に同一の基本階層81Aから排出するワークWの数が増えるほど大きくなる。従って、発生頻度が高い分類に対応するワーク排出口8xを、図19における排出口4,3のように同一の基本階層に設けておけば、この時間短縮の効果をより大きくすることができる。
【0095】
図19において、光源11aと光検知器11bはワークが収納孔i,jから排出口4,3に送り込まれたことを検知し、この検知結果は制御部9に送信され、図19に示す段階で他に排出すべきワークWがないことを制御部9が確認する。このとき、制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて、図20の状態に移行する。
【0096】
図20においては、収納孔d内のワークWが排出口10(排出部8bのI(2))から排出され、搬送テーブル2は間歇回転して、図21の状態に移行する。図21および図22においては、排出されるワークWはなく、搬送テーブル2は間歇回転して図23の状態に移行する。図23においては、収納孔c内のワークが排出口14(排出部8bのI(6))から排出され、搬送テーブル2は間歇回転して図24の状態に移行する。
【0097】
図24においては、収納孔n内のワークWが排出されるべき排出口52(排出部8aのIV(4))は、排出部8aの排出ブロック81を下降させることにより収納孔nと対向する。同時に収納孔g内のワークWが排出されるべき排出口43(排出部8bのIII(3))は、排出部8bの排出ブロック81を下降させることにより収納孔gと対向する。
【0098】
排出部8aと8bの各々の排出ブロック81は個別に昇降させることができ、さらに図19で説明したように、搬送テーブル2と同一高さにある基本階層81A内の排出口8xへのワークWの送り込みを同時に行うことができる。このため排出部8aの排出ブロック81を下降させてIVの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにし、これと同時に排出部8bの排出ブロック81を下降させてIIIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにすれば、収納孔n内のワークWを排出口52に送り込むのと同時に、収納孔g内のワークWを排出口43に送り込むことができる。
【0099】
このように、排出部8a,8bが各々独自の排出ブロック81を有することによって、ワークWの排出時間の短縮を行うことができる。
【0100】
図24におけるワークWの排出後、制御部9はこの状態から排出部8a,8bの排出ブロック81を昇降させても、他に排出することができるワークWがないことを確認する。そして、制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて、図25の状態に移行する。
【0101】
図25において、収納孔q内のワークWが排出されるべき排出口2(排出部8aのI(2))は、排出部8aの排出ブロック81を上昇させることにより収納孔qと対向する。同時に収納孔f内のワークWが排出されるべき排出口61(排出部8bのIV(5))は、排出部8bの排出ブロック81を下降させることにより収納孔fと対向する。
【0102】
排出部8aと8bの排出ブロック81の昇降は個別に行うことができ、さらに図19で説明したように、搬送テーブル2と同一高さになる基本階層81A内の排出口8xへワークWを同時に送り込むことができるので、排出部8aの排出ブロック81を上昇させてIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにし、これと同時に排出部8bの排出ブロック81を下降させてIVの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにする。このことにより、収納孔q内のワークWを排出口2に送り込むのと同時に、収納孔f内のワークWを排出口61に送り込むことができる。
【0103】
次に制御部9は、図26に示すように、排出部8aの排出ブロック81を下降させることにより、収納孔m内のワークWが排出されるべき排出口22(排出部8aのII(6))が収納孔mと対向すると判断し、排出部8aの排出ブロック81を下降させてIIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにし、収納孔m内のワークを排出口22に送り込む。
【0104】
制御部9はさらに図27に示すように、排出部8aの排出ブロック81を下降させることにより、収納孔l内のワークWが排出されるべき排出口39(排出部8aのIII(7))が収納孔lと対向すると判断し、排出部8aの排出ブロック81を下降させてIIIの基本階層81Aを搬送テーブル2と同一の高さにし、収納孔l内のワークを排出口39に送り込む。
【0105】
このとき制御部9はこの状態から排出部8a,8bの排出ブロック81を昇降させても、他に排出することができるワークWがないことを確認する。次に制御部9は搬送テーブル2を間歇回転させて、図28の状態に移行する。図28において、収納孔o,p,rのワークWは、それぞれ排出されるべき排出口37,36,34(排出部8aのIII(5)、III(4)、III(2))と対向し、収納孔kのワークWは、排出されるべき排出口57(排出部8bのIV(1))と対向している。そこで制御部9は、これらのワークWを同時に各排出口8xに送り込む。この場合も、図19に示す場合と同様に、発生頻度の高い分類に対応する排出口8xとして、同一の基本階層81Aに設けられた排出口37,36,34を割り当てておけば、排出時間の短縮効果が顕著になる。
【0106】
このように本実施の形態によれば、ワークの分類数が増加した場合にも、搬送テーブルのワーク収納孔の数を増加させることなく、かつ排出処理速度を低下させることはない。しかも発生頻度の高い分類に対応するワーク収納箱内に高速でワークを排出することができる。
【0107】
上記実施の形態においては、初期状態として基本階層Iを搬送テーブル2と同じ高さにした例を示したが、初期状態としてII乃至IVのいずれかの基本階層81Aを搬送テーブル2と同じ高さにしてもよく、また排出部8aと8bの初期状態を個別に設定してもよい。
【0108】
なお本実施の形態においては、排出部8aを増設して分類数の増加に対応することができる。例えば本実施の形態において、2個の排出部8a,8bを設けた例を示したが、最近の発光ダイオードの測定分類装置のように分類数が128,256あるいは512等と非常に大きい場合であっても、それぞれの分類数に対して32分類に対応する排出部を4個、8個、16個設置することによって、低コストで高速動作が可能な分類排出システムを容易に実現することができる。
【0109】
また、上記実施の形態では、個別に昇降可能な排出部8a,8bの数を2個とし、各排出部8a,8bに32個のワーク排出口8xを設けた例を示したが、個別に昇降可能な排出部8a,8bの数および各排出部8a,8bに設けるワーク排出口8xの数は、それぞれ2個および32個に限定されるものではない。
【0110】
また、以上の説明においては、排出部8a,8bに設けられたすべてのワーク排出口8xがワーク収納箱115に連通している例を説明したが、例えば予め定めた分類数が54個である場合には、排出部8a,8bに設けられた64個のワーク排出口8xのうち、54個をワーク収納箱115に連通させ、残り10個のワーク排出口8xは使用しなくてよい。すなわち、nを自然数としたとき、ワーク排出口8xをn個設け、n個のワーク排出口8xに接続された排出パイプ85の数の合計が分類数以上であるようにすればよい。
【0111】
また、図3において排出ブロック81を構成する基本階層81A、チューブ85、コイルチューブ86、支持台87、中継チューブ88をまとめて1個の部材として作成し、この部材を接続して増設あるいは削減することによって分類数の増加あるいは減少に対応してワーク排出口8xを増加あるいは減少させ、分類数に応じて最適な排出部を構成することも可能である。
【0112】
その例を図29に示す。図29(a)に示す基本階層ユニット810は、基本排出ブロック片81Bと、チューブ85Bと、コイルチューブ86Bと、支持台片87Bと、中継チューブ88Bとを一体として含んでいる。
【0113】
基本排出ブロック片81Bは、上面と下面に図示されない接続用コネクタを有し、上下方向に積載接続して互いに固定可能である。また支持台片87Bは図29(a)の左面と右面に図示されない接続用コネクタを有し、左右方向に接続して互いに固定可能である。
【0114】
この基本階層ユニット810を用いてI〜IVの4層からなる排出ブロック81を構成したものを図29(b)に示し、また同様に、この基本階層ユニット810を用いてI〜Vの5層からなる排出ブロック81を構成したものを図29(c)に示す。
【0115】
図29(b)に示すI〜IVおよび図29(c)に示すI〜Vの各部は、上記コネクタにより接続されて互いに一体化しており、図1に示したワーク分類排出システム50の上下方向あるいは搬送テーブル2の外周方向におけるスペースが許す範囲内において、基本階層ユニット810を増設あるいは削減し、分類数の増加あるいは減少に応じて自在にワーク排出口8xを増加あるいは減少させることが可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 テーブルベース
2 搬送テーブル
3 ワーク収納孔
7 ワーク測定部
8a,8b 排出部
9 制御部
10 噴出孔
11a 光源
11b 光検知器
50 ワーク分類排出システム
81 排出ブロック
81A 基本階層
85 チューブ
86 コイルチューブ
87 支持台
88 中継チューブ
8x ワーク排出口
810 基本階層ユニット
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に配置されたテーブルベースと、
テーブルベース上に回転自在に設けられ、外周部に半径方向外方に開口するとともにワークが収納される複数のワーク収納孔が形成された搬送テーブルと、
搬送テーブルのワーク収納孔内のワークに対して電気的特性測定を行うワーク測定部と、
搬送テーブルの半径方向外方であってワーク測定部の下流側に垂直方向に移動自在に設けられ、ワーク収納孔側へ開口する複数の開口部を有する排出ブロックと、
搬送テーブルのワーク収納孔内のワークを対応する開口部へ排出するため圧縮エアを噴出する圧縮エア噴出装置と、
ワーク測定部からの測定結果に基づいて、搬送テーブル、排出ブロックおよび圧縮エア噴出装置を制御する制御部とを備え、
排出ブロックの各開口部は、ワークの複数の分類に対応して設けられるとともに、各開口部は対応するワーク収納箱に排出パイプを介して接続され、
排出ブロックは開口部が搬送テーブルの円周方向に沿って多列に形成された複数の基本階層を垂直方向に多段に積層して構成され、
排出ブロックの開口部は、搬送テーブルのワーク収納孔と同一間隔をおいて円周方向に配置され、
ワーク測定部からの測定結果に基づいて、制御部は搬送テーブルを回転させ、かつ排出ブロックを垂直方向に移動して、ワーク収納孔内のワークを測定結果に対応する分類の開口部に位置合わせして、位置合わせされた当該ワークを圧縮エア噴出装置からの圧縮エアにより、開口部および排出パイプを介してワーク収納箱へ排出することを特徴とするワーク分類排出システム。
【請求項2】
ワークの分類はn個(自然数)あり、排出ブロックの開口部はワークの分類に対応するn個設けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク分類排出システム。
【請求項3】
搬送テーブル近傍にワーク収納孔内のワークが圧縮エアによって排出されたか否か検出するワークセンサが設けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク分類排出システム。
【請求項4】
各排出パイプは、その一部が弾性パイプからなり、排出ブロックの移動をこの弾性パイプにより吸収することを特徴とする請求項1記載のワーク分類排出システム。
【請求項5】
弾性パイプはコイルばねからなることを特徴とする請求項4記載のワーク分類排出システム。
【請求項6】
電源遮断時または緊急停止時において、制御部は排出ブロックを降下させ、すべての開口部がテーブルベース外周面によって密閉されることを特徴とする請求項1記載のワーク分類排出システム。
【請求項7】
発生頻度の高い分類に対応する開口部は、同一の基本階層中に設けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク分類排出システム。
【請求項8】
請求項1記載のワーク分類排出システムを用いたワーク分類排出方法において、
ワーク測定部により搬送テーブルのワーク収納孔に収納されたワークの電気的特性を測定する工程と、
ワーク測定部からの測定結果に基づいて制御部により、搬送テーブルを回転させ、かつ排出ブロックを垂直方向に移動して、ワークを測定結果に対応する分類の開口部に位置合わせする工程と、
位置合わせされた当該ワークを制御部により、圧縮エア噴出装置からの圧縮エアによって、開口部および排出パイプを介してワーク収納箱へ排出する工程と、
を備えたことを特徴とするワーク分類排出方法。
【請求項9】
ワークの分類はn個(自然数)あり、排出ブロックの開口部はワークの分類に対応するn個設けられていることを特徴とする請求項8記載のワーク分類排出方法。
【請求項10】
搬送テーブル近傍にワーク収納孔内のワークが圧縮エアによって排出されたか否か検出するワークセンサが設けられていることを特徴とする請求項8記載のワーク分類排出方法。
【請求項11】
電源遮断時または緊急停止時において、制御部は排出ブロックを降下させ、すべての開口部がテーブルベース外周面によって密閉されることを特徴とする請求項8記載のワーク分類排出方法。
【請求項12】
発生頻度の高い分類に対応する開口部は、同一の基本階層中に設けられていることを特徴とする請求項8記載のワーク分類排出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2011−112553(P2011−112553A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270340(P2009−270340)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】