説明

ワーク投入装置

【課題】ワークを支持すると共に回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置において、ワーク支持具へのワークの投入を、パーツフィーダを用いて自動化することができるワーク投入装置を提供する。
【解決手段】夫々の回転軸が平行となるように並設された一対のローラ41間に円筒状のワークWを支持するワーク支持具40を有し、ワーク支持具40に支持されたワークWをローラ41の回転によって回転させて表面の検査を行う表面検査装置において、ワーク支持具40にワークWを投入するワーク投入装置50であり、パーツフィーダ(ワークレールP)から供給されるワークWを収容する収容凹部66を有し、ワーク支持具40の上方に配置され、ローラ41の回転軸aと平行な回動軸bで回動して収容凹部66に収容したワークWをワーク支持具40の各ローラ41間に落下させる回動搬送体65を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク投入装置に関するものであり、詳しくは、夫々の回転軸が平行となるように並設された一対のローラ間に円筒状のワークを支持するワーク支持具を有し、該ワーク支持具に支持されたワークを前記ローラの回転によって回転させて表面の検査を行う表面検査装置において、前記ワーク支持具にワークを投入するワーク投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス加工、鍛造加工、切削加工等によって形成された金属加工品や、射出成形等によって形成された樹脂成形品等のワークに対して、その表面に傷や打痕等の損傷があるか否かを検査する場合がある。
【0003】
ここで、表面検査の対象となるワークが円筒状のものである場合には、ワークを軸心回りに回転させながら外周面、内周面、端面等の所望の表面について検査を行うのが簡便であり、ワークの表面を検査する表面検査装置として、ワークを支持すると共に回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置を想定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように想定した表面検査装置では、ワーク支持具にワークを投入しなければならないのであるが、ワークを振動させて整列させるパーツフィーダが周知であり、このようなパーツフィーダを用いてワーク支持具にワークを投入できるようにすると、ワーク支持具へのワークの投入を自動化できることから好適である。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、ワークを支持すると共に回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置において、ワーク支持具へのワークの投入を、パーツフィーダを用いて自動化することができるワーク投入装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「夫々の回転軸が平行となるように並設された一対のローラ間に円筒状のワークを支持するワーク支持具を有し、該ワーク支持具に支持されたワークを前記ローラの回転によって回転させて表面の検査を行う表面検査装置において、前記ワーク支持具にワークを投入するワーク投入装置であり、
パーツフィーダから供給されるワークを収容する収容凹部を有し、前記ワーク支持具の上方に配置され、前記ローラの回転軸と平行な回動軸で回動して前記収容凹部に収容したワークを前記ワーク支持具の前記各ローラ間に落下させる回動搬送体を備えることを特徴とするワーク投入装置」
である。
【0007】
上記構成のワーク投入装置は、ワークを支持すると共に回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置に適用されるものであり、表面検査装置のワーク支持具は、夫々の回転軸が平行となるように並設された一対のローラを有し、ワークを各ローラ間に載置することで支持し、さらに、ローラの回転によってワークを回転させるものである。そして、上記構成のワーク投入装置では、回動搬送体を回動させることで、回動搬送体の収容凹部に収容したワークをワーク支持具の各ローラ間に落下させる。
【0008】
よって、上記構成のワーク投入装置によれば、回動搬送体を回動させることで、ワークをパーツフィーダからワーク支持具へと搬送することができ、ワーク支持具へのワークの投入を自動化することができる。
【0009】
ところで、一対のローラ間にて支持されたワークをローラ自体の回転によって回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置は、本願出願人が別途案出した新規なものであり、この新規な表面検査装置によれば、以下のような利点を得ることができる。
【0010】
ワークを支持して回転させるワーク支持具としては、ワークを把持する把持具や、ワークを外嵌または内嵌することで保持する保持具を用いて、これらの把持具や保持具を回転駆動させるワーク支持具を想定できるが、このようなワーク支持具では、把持具や保持具によって隠されて検査を行うことができない部位が生じ易い。
【0011】
これに対し、上記構成のワーク支持具では、一対のローラ間にワークを載置することで支持して回転させるため、ローラによって隠された部位が生じていても、この隠された部位は、ワーク自体の回転に応じて露呈する。よって、ローラを回転させることでワークの表面の全体を露呈させることができる。
【0012】
上述した手段において、
「前記表面検査装置は、前記ワーク投入装置が設けられた投入ステージと、カメラによってワークの表面の所定部位を撮影して表面検査を行う撮影ステージとを備え、前記ワーク支持具を前記投入ステージから前記撮影ステージへと水平方向に移動させるものであり、
前記回動搬送体は、前記収容凹部が前記パーツフィーダからワークを受け入れる位置にある状態において前記ワーク支持具の水平方向の移動を許容する逃がし部を備える
ことを特徴とするワーク投入装置」
とするのが好適である。
【0013】
近年では、カメラによって撮影した画像をコンピュータによって処理する所謂「画像処理」の技術が発達しており、ワークの表面検査を画像処理で行うことが簡便である。
【0014】
ここで、表面検査装置において、ワーク投入装置を備えた投入ステージと、カメラを備えた撮影ステージとを個別に設けて、ワークが投入されたワーク支持具を、投入ステージ・撮影ステージ間にて水平方向に移動させることを想定することができるが、ワーク投入装置は、ワーク支持具の上方に配置された回動搬送体を備えるものであることから、この回動搬送体を、移動するワーク支持具のローラに干渉しないようにしなければならない。そして、回動搬送体がワーク支持具のローラに干渉しないようにするためには、ワーク支持具の上方に回動搬送体を十分な距離を隔てて配置することを想定することができる。
【0015】
しかしながら、回動搬送体は、収容凹部に収容したワークを落下させてワーク支持具のローラ間に載置させるものであることから、ワーク支持具の上方に回動搬送体を、大きな距離を隔てて配置すると、回動搬送体から落下するワークがローラ間からこぼれ落ちて、ワークをローラ間に的確に載置させることができなくなる虞がある。
【0016】
そこで、上記構成のワーク投入装置では、回動搬送体の収容凹部がパーツフィーダからワークを受け入れる位置にある状態において、ローラと干渉せずにワーク支持具を水平方向に移動可能とする逃がし部が回動搬送体に設けてある。そして、このようなワーク投入装置では、ワークを回動搬送体の収容凹部から落下させてワーク支持具のローラ間に載置させた後、回動搬送体を回動させて、収容凹部が次のワークをパーツフィーダから受け入れる位置になる状態とすれば、回転搬送体に干渉することなくワーク支持具を撮影ステージへと移動させることができる。
【0017】
よって、上記構成のワーク投入装置では、回動搬送体から落下するワークがローラ間に的確に載置されるようにワーク支持具の間近に回動搬送体を配置しても、回転搬送体に干渉することなくワーク支持具を撮影ステージへと移動させることができる。
【0018】
上述した手段において、
「前記回動搬送体の回動軸は、水平に対して傾斜している
ことを特徴とするワーク投入装置」
とするのが好適である。
【0019】
ここで、回動搬送体の回動軸は、ワーク支持具の各ローラの回転軸と平行であることから、使用の対象となる表面検査装置のワーク支持具においては、各ワーク支持具の回転軸も水平に対して傾斜している。
【0020】
ワーク支持具は、並設された一対のローラ間にワークを載置するものであることから、ローラの回転軸を水平に対して傾斜させると、ローラ間に載置されたワークにおいては、自重によりローラ外周面上を滑り落ちる力が加わる。よって、自重により滑り落ちるワークのそれ以上の移動を規制すれば、ローラの外周面上にて的確に位置決めすることができる。例えば、ワークの端面(ワークがフランジや段部等を有するものである場合には、このフランジや段部等の端面であってもよい)に当接して、ワークが自重によりそれ以上下方に移動することを規制する規制部、をローラ自体に設ける等すれば、簡単な構造によってワークを的確に位置決めすることができる。従って、この点で、ローラの回転軸を水平に対して傾斜させることが好適である。
【0021】
そして、上記構成のワーク投入装置では、水平に対して傾斜する回転軸を有するローラを用いたワーク支持具に対応して、回動搬送体の回動軸がローラと同様に傾斜していることから、回動搬送体からワーク支持具へとワークを的確に投入することができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した通り、本発明によれば、ワークを支持すると共に回転させるワーク支持具を具備する表面検査装置において、ワーク支持具へのワークの投入を、パーツフィーダを用いて自動化することができるワーク投入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】表面検査装置の一例を示す断面正面図である。
【図2】図1に示した表面検査装置の平面図である。
【図3】図1のワーク支持具部分の拡大図である。
【図4】種々の形状のワークに対応するローラを示す部分断面平面図である。
【図5】本発明に係るワーク投入装置の一例を示す部分断面側面図である。
【図6】図5に示したワーク投入装置の正面図である。
【図7】ワーク支持具にワークを投入する状態を示す正面図である。
【図8】ワーク支持具にワークを投入する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るワーク投入装置としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明に係るワーク投入装置が適用される表面検査装置の一例を説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、表面検査装置は、表面検査装置全体の躯体を構成するフレームF(詳細な図示は省略する)に設置されたワーク搬送装置100と、フレームFに設置された投入ステージ、複数の撮影ステージ及び取出ステージを少なくとも含む複数のステージS1〜10とを備えている。
【0027】
ワーク搬送装置100は、投入されたワークを各ステージS1〜10間で移動させるものであり、基台10と、この基台10に水平方向に回動自在に支持されたローラ駆動盤20と、基台10に水平方向に回動自在に支持されたワーク搬送盤30とを備えている。ここで、ローラ駆動盤20の回動軸線とワーク搬送盤30の回動軸線は同一に設定されている。
【0028】
基台10は、ベース11と、ベース11上に立設された筒体12とを有し、フレームFの中央部分に立設固定されている。
【0029】
ローラ駆動盤20は、円環状の駆動盤本体21と、この駆動盤本体21の下方に組み付けられたプーリ22とを備えており、プーリ22が基台10の筒体12にベアリングB2を介して回動自在に支持されている。そして、ローラ駆動盤20は、フレームFに設けられたモータ等の駆動装置(図示省略)によって、プーリ22に巻装されたベルト(図示省略)を介して回転駆動される。なお、ローラ駆動盤20を回転駆動させるためには、プーリ22やベルトを用いるに限らず、スプロケットやチェーン、或いは、ギア等を用いてもよい。
【0030】
ワーク搬送盤30は、基台10の筒体12にベアリングB1を介して回動自在に支持された主軸31と、この主軸31の上部に組み付けられた円盤状の搬送盤本体34とを備えている。ここで、搬送盤本体34は、内側にブッシュ33を備えており、このブッシュ33を介して主軸31に組み付けられている。また、搬送盤本体34は、ワーク支持具40が組み付けられた円環状のユニット盤35を外側に備えている。
【0031】
また、ワーク搬送盤30は、主軸31の下部に組み付けられたプーリ32を有しており、フレームFに設けられたモータ等の駆動装置(図示省略)によって、プーリ32に巻装されたベルト(図示省略)を介して回転駆動される。なお、ワーク搬送盤30を回転駆動させるためには、プーリ32やベルトを用いるに限らず、スプロケットやチェーン、或いは、ギア等を用いてもよい。
【0032】
図2及び図3に示すように、ワーク支持具40は、搬送盤本体34の外周縁のユニット盤35に取付けられたブラケット42と、このブラケット42にローラ軸44及びベアリングB3を介して回動自在に組み付けられた二つのローラ41とを備えている。なお、本例では、一対のローラ41の各ローラ軸44の一端側がブラケット42に固定されているのであるが、各ローラ軸44の他端側も連結ブラケット43に固定されて一体となっており、一対のローラ41の取付構造が、一対のローラ41の間隔が不用意に広がったり狭くなったりすることのない堅固な構造となっている。
【0033】
各ローラ41の回転軸は、ワーク搬送盤30の回動中心から放射状に延びた基準線を挟んで互いに平行となっている。また、各ローラ41の回転軸は、ワーク搬送盤30の内側に向かって上向きに傾斜している。さらに、図6に示すように、一対のローラ41の間隔は、ローラ41間にワークWが載置可能なように設定されている。具体的に、一対のローラ41の外周面間の寸法Sは、ワークWにおけるローラ41間に載置される部分の外径寸法Gよりも僅かに狭く設定されており、一対のローラ41間にワークWを安定して載置できるようになっている。
【0034】
また、図4に示すように、ワーク支持具40のローラ41は、ワークWの種類に応じた形状となっており、例えば、図4(a)に示すように、ワークWが端部にフランジWaを有するものである場合には、回転軸が傾斜するローラ41の上向き側の端面41a(ワーク搬送盤30の内方側の端面)を、ワークWのフランジWaに当接してワークWを位置決めする当接部として、ワークWを的確に位置決めして保持することができるようにしてある。また、図4(b)に示すように、ワークWが段部Wbを有するものである場合には、回転軸が傾斜するローラ41の下方側(ワーク搬送盤30の外方側)の外周面に大径部41bを設けて、この大径部41bを、ワークWの段部Wbに当接してワークWを位置決めする当接部として、ワークWを的確に位置決めして保持することができるようにしてある。
【0035】
なお、ワーク搬送装置100を様々な種類のワークWに対応させるためには、ワークWの種類に応じて、個々のローラ41を交換するようにしたり、個々のワーク支持具40を交換するようにしてもよいが、多数のワーク支持具40が取付けられたユニット盤35をワーク搬送盤30から着脱可能とすることとして、ユニット盤35単位の交換で種々のワークWに対応できるようすると、検査するワークWに対応させるための交換作業を簡便化することができる。
【0036】
このように、ワーク支持具40は、一対のローラ41間にワークWを載置するものであるが、ローラ41の回転によってワークWを回転させるものでもあり、図2及び図3に示すように、このワーク搬送装置100では、ローラ駆動盤20の外周縁部分に沿って、ローラ41の外周面と接触してローラ41を回転駆動させるリング状のローラ接触部が周設されている。
【0037】
ここで、ローラ接触部を、ローラ駆動盤20の外周縁部分といったようにローラ駆動盤20自体の一部によって構成してもよいが、本例では、ローラ駆動盤20の外周縁部分上面に円環状の装着板23が取付けられており、この装着板23に、接触部材24が装着されており、この接触部材24によってローラ接触部が構成されている。また、装着板23の上面には、接触部材24の一部が露呈するように円環状の押え板25が取付けられており、装着板23と押え板25との間に接触部材24が、不用意に脱落しないように堅固に固定されている。
【0038】
また、本例では、ローラ41が金属製であるのに対して、接触部材24として、断面円形状のゴム、エラストマー、発泡樹脂等の弾性材が用いられている。これにより、接触部材24をローラ41の押圧力によって適度に弾性変形させることができ、ローラ駆動盤20の回転によってローラ41に適度な接触抵抗を与えてローラ41を良好に回転駆動させることができる。
【0039】
ところで、図1及び図2に示すように、フレームFに設けられた複数のステージS1〜10は、ワーク搬送装置100の基台10の周りに設置されたものであり、ワーク搬送装置100のワーク支持具40に支持されたワークは、ワーク搬送盤30の回転によって各ステージS1〜10間で移動する。そして、各ワーク支持具40が各ステージS1〜10に対応する位置でワーク搬送盤30の回転を停止させることで、ワークに各ステージS1〜10での処理が行われる。ここで、ローラ駆動盤20を回転させれば、ローラ駆動盤20の回転に応じてワーク支持具40のローラ41が回転することから、ワーク支持具40に載置されたワークを回転させることができる。
【0040】
なお、ローラ駆動盤20を常時一定の速度で回転させれば、ワーク支持具40が各ステージS1〜10に位置する状態において、ワーク支持具40に載置したワークを回転させることができる。また、ローラ駆動盤20を常時回転させるに限らず、ワーク支持具40が各ステージS1〜10に位置する状態においてローラ駆動盤20を回転させるようにしてもよい。
【0041】
ところで、ローラ駆動盤20の回転方向は、適宜設定することができるのであるが、ワーク支持具40に載置されたワークを各ステージS1〜10に移動させるワーク搬送盤30の回転方向と逆方向とすると、ワーク搬送装置100全体を、回転方向が異なる複数の部材を有する装置とすることができ、安定した装置とすることができる。また、ローラ駆動盤20を常時回転させる態様においては、ワーク搬送盤30を回転させて各ステージS1〜10間を移動させる際に、ローラ駆動盤20とワーク搬送盤30との相対速度が速くなることから、ワークの回転速度を速めることができる。よって、ワークを各ステージS1〜10間で移動させる際に、ワークに付着したゴミやホコリを振り落としたり、各ステージS1〜10間の移動中のワークにゴミやホコリが付着し難くすることができる。
【0042】
一方、ローラ駆動盤20を常時回転させる態様において、ローラ駆動盤20の回転方向をワーク搬送盤30の回転方向と同方向にすると、ワークを各ステージS1〜10間で移動させる際に、ローラ駆動盤20とワーク搬送盤30との相対速度を遅くすることができることから、ワークが無用に高速回転してワーク支持具40から飛び出してしまうといった不具合が生じることを抑制することができる。特に、ローラ駆動盤20の回転速度とワーク搬送盤30の回転速度を同一速度とすると、各ステージS1〜10間を移動中において、ワークの回転を停止させることができる。
【0043】
次に、図2に基づいて、表面検査装置の各ステージS1〜10について説明する。
【0044】
ステージS1は、ワーク搬送装置100にワークを投入する投入ステージである。ここで、投入ステージは、多数のワークを収容すると共に個々のワークを整列させる公知のパーツフィーダ(図示省略)を用いて構成されており、このパーツフィーダから、投入ステージに位置するワーク支持具40にワークが一つずつ供給される。
【0045】
ステージS2〜6は、夫々撮影ステージであり、ワーク表面の所望部位を撮影するカメラを用いて構成されている。これらのステージS2〜6によって、ワークの表面における外周面、内周面、一方の端面、他方の端面や、ワークがフランジや段部を有するものである場合には、フランジの表面や裏面、段部の端面や周面等、適宜の部位をカメラによって撮影して画像処理を行うことで、ワークの表面における傷や打痕等の損傷の有無を検査することができる。
【0046】
なお、本例の表面検査装置は、詳細な説明は省略するが、コンピュータを用いて構成され、上述の画像処理を行う制御装置を有している。また、制御装置は、検査の結果に応じて後述する取出ステージでの種々の装置の作動を制御するものである。
【0047】
ステージS7は、撮影ステージと取出ステージとの間に設けられたものであり、ワークについて何らの処理も行わないブランクステージである。ステージS2〜6の撮影ステージで撮影された画像を処理するのに時間を要する場合、このブランクステージにてワークを一旦、停留させることで、画像処理のための十分な時間を確保することができる。
【0048】
ステージS8〜10は、ワーク搬送装置100からワークを取り出す取出ステージである。ここで、取出ステージは、ワーク支持具40に載置されたワークを上方にピックアップしたり、ワーク搬送盤の外方に跳ね出したりする適宜の装置(図示省略)を用いて構成されている。
【0049】
また、ステージS8〜10の三つのステージは、良品取出ステージ、不良品取出ステージ及び再検査品取出ステージの3種類の取出ステージとして割り当てられている。良品取出ステージは、各撮影ステージで撮影された画像を画像処理して検査を行った結果、良品であると判定されたワークを取り出すステージである。不良品取出ステージは、各撮影ステージで撮影された画像を画像処理して検査を行った結果、不良品であると判定されたワークを取り出すステージである。そして、再検査品取出ステージは、各撮影ステージで撮影された画像を画像処理して検査を行った結果、良品であるとも不良品であるとも判断できず、再検査を要すると判定されたワークを取り出すステージである。
【0050】
なお、これら良品取出ステージ、不良品取出ステージ及び再検査品取出ステージから取り出されたワークは、夫々のステージに対応する専用のシュートやコンベア等の搬送路を通じて、夫々の専用の収容ボックスに集積される。
【0051】
ところで、上述した投入ステージS1では、パーツフィーダからワーク支持具にワークを投入する本発明に係るワーク投入装置が用いられている。
【0052】
次に、図5〜8に基づいて、本例で使用するワーク投入装置50の詳細について説明する。
【0053】
図5及び図6に示すように、ワーク投入装置50は、円盤状の回動搬送体65を備えている。この回動搬送体65は、外周面に開口する収容凹部66を有し、ワーク支持具40の上方に配置されたものであり、パーツフィーダから供給されるワークWを収容凹部66に受け入れて収容し、回動することで、収容凹部66に収容したワークWをワーク支持具40の各ローラ41間へと落下させるものである。そして、回動搬送体65は、回動角度を高精度に割出すことができるステッピングモータ等の適宜のモータ52によって回動駆動されるものである。このような回動搬送体65を有するワーク投入装置50の具体的な構造を以下に説明する。
【0054】
ワーク投入装置50は、表面検査装置の投入ステージに立設されたブラケット51と、回動搬送体65が組込まれた搬送体ユニット60とを備えてなるものである。ここで、搬送体ユニット60は、ブラケット51に交換可能に取付けられており、ワークWの種類に応じた搬送体ユニット60に簡単に交換できるものとなっている。
【0055】
搬送体ユニット60は、ブラケット51に取付けられたベースプレート61と、ベースプレート61に取付けられた一対の支持プレート62,63と、各支持プレート62,63にベアリングB4を介して両持ち状に回動自在に支持された搬送体軸64と、この搬送体軸64に取付けられた円盤状の回動搬送体65とを備えてなるものである。ここで、搬送体軸64の回動軸bは、ワーク支持具40のローラ41の回転軸aと互いに平行になっている。搬送体軸64は、その一端が、ブラケット51に取付けられたモータ52にカップリング53を介して連結されており、モータ52の駆動によって高精度な回動角度で回動するものとなっている。
【0056】
次に、このワーク投入装置50を用いてワークWをパーツフィーダからワーク支持具40に投入する作動態様を説明する。
【0057】
図6に示すように、パーツフィーダは、多数のワークWの夫々を同一の向きに整えて一列状に整列して待機させるワークレールPを備えており、このワークレールPは、先端側が下方に位置するように傾斜している。そして、このワークレールPにて待機するワークWは、その自重により先端側に移動するのであるが、ワークレールPの先端に回動搬送体65の収容凹部66の開口が位置しない状態では、ワークレールPのワークWは、回動搬送体65の外周面に当接することでそれ以上の移動が阻止される。一方、回動搬送体65回動により収容凹部66の開口がワークレールPの先端に対向する状態になると、ワークレールPの最先端部にて待機するワークWは、自重により移動して回動搬送体65の収容凹部66に進入し、この収容凹部66に収容される。
【0058】
図7に示すように、ワークWを収容凹部66に収容した回動搬送体65は、ワークWが投入されていない空きのワーク支持具40が下方に位置する状態において回動し(矢印A)、図8に示すように、収容凹部66に収容したワークWをワーク支持具40のローラ41間に落下させる。ここで、回動搬送体65は、ワークレールPやワーク支持具40のローラ41に、夫々の部材に接触しない程度に近接して配置されている。よって、ワークレールPから受け入れたワークWを、ワーク支持具40のローラ41間に落下させるまで、収容凹部66から脱落させることなく確実に搬送することができる。また、ワークWを収容凹部66からローラ41間に大きな衝撃を与えることなく落下させることができる。
【0059】
ところで、本例のワーク投入装置50では、図5に示すように、回動搬送体65の片面側(図5においては紙面の右側)に、回動搬送体65との間で収容間隙68を形成するキャップ67が取付けられており、ワークWが端部にフランジを有するものである場合に、このフランジを、回動搬送体65とキャップ67との間の収容間隙68に適宜のクリアランスで収容できるようにしてある。よって、回動搬送体65の収容凹部66に収容されたワークWは、その軸方向の移動が規制された状態で回動搬送体65の回動に伴ってワーク支持具40へと搬送され、軸方向において、ワーク支持具40のローラ41間の的確な位置にて落下する。
【0060】
回動搬送体65は、収容凹部66からワークWを落下させた後、次のワークWを収容凹部66に収容するために、先ほどの回動とは逆方向に回動し(矢印B)、図6を用いて上述したように、収容凹部66にワークWを収容する。そして、この状態で、下方に空きのワーク支持具40が配置されるまで待機する。
【0061】
一方、ローラ41間にワークWが載置されたワーク支持具40は、ワーク搬送装置100のワーク搬送盤30の回動によって次の撮影ステージへと水平方向に移動するのであるが、回動搬送体65には、円盤状の回動搬送体65の一部を切り欠いた形態の逃がし部69が設けられている。具体的に、回動搬送体65は、円盤状であるが故にワーク支持具40の移動に際してローラ41と干渉する部分(収容凹部66にワークWを受け入れる位置にある状態において下側の部分)が、逃がし部69として弦状に切り欠かれている。これにより、本例のワーク投入装置50は、回動搬送体65がワーク支持装置40のローラ41に近接して配置されているのではあるが、ワーク投入装置50に対してワーク支持具40が移動しても、回動搬送体65とローラ41とが当接しないよう構造になっている。
【0062】
以上、本発明に係るワーク投入装置の一例を示したが、本発明に係るワーク投入装置は、上述の例に限らず、本発明に要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更が可能である。
【0063】
例えば、複数のワーク支持具が設けられたワーク搬送盤を回転させることで投入ステージから撮影ステージへとワークを搬送する表面検査装置に限らず、投入ステージから撮影ステージへとワーク支持具を直線状に移動させる表面検査装置にも本発明のワーク投入装置を適用することができる。
【0064】
また、ワーク支持具を移動させてワークの表面検査を行う表面検査装置に限らず、ワーク投入装置によって投入されたワークを、ワーク支持具を移動させずにカメラで撮影したり、目視によって検査する表面検査装置にも適用することができる。なお、ワーク支持具を移動させない表面検査装置であっても、ワーク支持具からワークを取り出す適宜のワーク取出装置を用いて、ワーク投入装置によって次のワークがワーク支持具に投入される前に、検査を終えたワークをワーク支持具から自動的に取り出すようにすれば、ワークの投入及び取り出しを自動化することができる。
【符号の説明】
【0065】
W ワーク
Wa フランジ
Wb 段部
10 基台
11 ベース
12 筒体
20 ローラ駆動盤
21 駆動盤本体
22 プーリ
23 装着板
24 接触部材(ローラ接触部)
25 押え板
30 ワーク搬送盤
31 主軸
32 プーリ
33 ブッシュ
34 搬送盤本体
35 ユニット盤
40 ワーク支持具
41 ローラ
42 ブラケット
43 連結ブラケット
44 ローラ軸
P ワークレール
50 ワーク投入装置
51 ブラケット
52 モータ
60 搬送体ユニット
61 ベースプレート
62 支持プレート
63 支持プレート
64 搬送体軸
65 回動搬送体
66 収容凹部
67 キャップ
68 収容間隙
69 逃がし部
100 ワーク搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々の回転軸が平行となるように並設された一対のローラ間に円筒状のワークを支持するワーク支持具を有し、該ワーク支持具に支持されたワークを前記ローラの回転によって回転させて表面の検査を行う表面検査装置において、前記ワーク支持具にワークを投入するワーク投入装置であり、
パーツフィーダから供給されるワークを収容する収容凹部を有し、前記ワーク支持具の上方に配置され、前記ローラの回転軸と平行な回動軸で回動して前記収容凹部に収容したワークを前記ワーク支持具の前記各ローラ間に落下させる回動搬送体を備えることを特徴とするワーク投入装置。
【請求項2】
前記表面検査装置は、前記ワーク投入装置が設けられた投入ステージと、カメラによってワークの表面の所定部位を撮影して表面検査を行う撮影ステージとを備え、前記ワーク支持具を前記投入ステージから前記撮影ステージへと水平方向に移動させるものであり、
前記回動搬送体は、前記収容凹部が前記パーツフィーダからワークを受け入れる位置にある状態において前記ワーク支持具の水平方向の移動を許容する逃がし部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク投入装置。
【請求項3】
前記回動搬送体の回動軸は、水平に対して傾斜している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−242359(P2011−242359A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116984(P2010−116984)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(391022197)株式会社加藤製作所 (15)
【Fターム(参考)】