説明

ワーク搬送装置

【課題】各工程における作業者による作業環境に合わせて、必要に応じてコンベアを移動させて、組付ラインの長さや配置などを容易に調整することができるワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】複数の異なる姿勢でワークを支持するワーク支持台2と、複数のワーク支持台2を搬送方向Xに並べた状態で搬送するコンベア3とを備えるワーク搬送装置1であり、前記コンベア3は、搬送のための動力を供給する駆動モータ23を有する複数の駆動コンベアユニット4と、この駆動コンベアユニット4の間に間欠的に配置されてワーク支持台2を搬送方向Xに移動自在とするフリーコンベアユニット5とを組み合わせたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のワークを所定の間隔をおいて並べた状態で搬送し、ワークに対する組み付け作業を流れ作業で行うことができるようにするワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジンなどのワークに各部品を流れ作業によって分担して組み付ける組み付けラインでは、エンジンの組み付け工程に合わせてワーク搬送装置の長さを定め、工場に組み付けラインの長さに合わせた長尺のコンベアフレームを設置している。また、このようなワーク搬送装置ではコンベアフレームに取り付けた駆動モータによって、エンジンをワーク支持台に載置した状態で一方向に搬送するように構成されている。また、作業者が組付作業をしやすくなるよう、ワーク治具の高さを低くするためにフロアにピットを形成し、ワーク搬送装置をフロアに埋設させるような基礎工事を行なわれていた。
【0003】
ところで、自動車のモデルチェンジなどに伴い、エンジンの形状に変更が加わったり生産台数に変化が生じた場合には、エンジンの組付ラインの組付タクトを調整するので、作業者が工程内で組付作業を完了できなくなったり、無駄な時間を浪費することが発生する。このため、組付工程を増減することが必要となることがある。ところが、コンベア装置が組付ラインの全体を1本の長いコンベアによって構成している場合には、基礎工事をしてコンベアをフロアに設置してしまうと組付ラインの長さを変更するために大がかりな基礎工事が必要となり、調整が困難になるという問題が発生する。また、ワーク治具の戻り経路をピットによって形成する場合は、更に大掛かりな基礎工事が必要になる。
【0004】
そこで、実用新案登録第3087191号公報(特許文献1)に記載のユニット組み付け式のコンベア装置では、縦軸線まわりで回動可能なスプロケットを備えた駆動ユニットと従動ユニットの間にベースの両側にチェーンガイドとガイドレールの2組を対称形に備えたコンベアユニットを複数個設置し、駆動ユニットと従動ユニットのスプロケットにエンドレスの搬送チェーンを取り付けて、この搬送チェーンにフロア上を移動する搬送台車を連結してその搬送台車にエンジンを載せて搬送するように構成している。このような構成のコンベア装置では、その長さを調節するときには、搬送チェーンをスプロケットから外した後に、コンベアユニットを増減して全長を調整し、長さを調整した搬送チェーンを再びスプロケットに巻回する。つまり、比較的簡単にコンベア装置の長さを調整することができる。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3087191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のコンベア装置においても、何れか一方のスプロケットを回転駆動する駆動モータの回転力で、コンベア装置全体の搬送が行われているので、とりわけこの駆動モータの回転力によってコンベア装置が動かないようにフロアにしっかりと固定するための基礎工事が必要になることは避けられなかった。
【0007】
つまり、従来のワーク搬送装置では、組付ラインを構成するコンベア装置が1本の長いコンベアで構成されており、これを基礎工事をしてフロアに設置しているため、コンベアの長さを簡単に変更することはできないという問題がある。
【0008】
本発明は前記問題を考慮に入れてなされたものであり、各工程における作業者による作業環境に合わせて、必要に応じてコンベアを移動させて、組付ラインの長さや配置などを容易に調整することができるワーク搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の異なる姿勢でワークを支持するワーク支持台と、複数のワーク支持台を搬送方向に並べた状態で搬送するコンベアとを備えるワーク搬送装置であり、前記コンベアは、搬送のための動力を供給する駆動モータを有する複数の駆動コンベアユニットと、この駆動コンベアユニットの間に間欠的に配置されてワーク支持台を搬送方向に移動自在とするフリーコンベアユニットとを組み合わせたものであることを特徴とするワーク搬送装置を提供する。
【0010】
前記構成によれば、組付ラインに設置するコンベアが、複数のコンベアユニットからなるので、エンジンの生産台数の変更に伴って、コンベアユニットを追加・削除することにより、組付ラインの長さを簡単かつ容易に調整することができる。また、ワーク支持台は搬送方向に並べて配置した状態で搬送するので、駆動コンベアユニット上のワーク支持台には駆動力が供給され搬送方向に移動する。一方、前記フリーコンベアユニット上のワーク支持台は隣接するワーク支持台に押し出されるようにして搬送方向に搬送される。
【0011】
また、前記コンベアには複数の駆動コンベアユニットを備えるので、各駆動コンベアユニットに駆動モータを分散して配置することができ、小型の駆動モータでワークを搬送することができる。また、駆動モータの出力を小さく抑えることにより、コンベアユニットを動かないようにフロアに固定するための大掛かりな基礎工事を不要としている。つまり、各駆動コンベアユニットのフロアに対する固定を簡単に行うことができ、それだけ、ラインの設置・移設も簡単かつ容易に行うことができる。
【0012】
また、ワーク保持手段がワークを複数の異なる姿勢で支持するものであるから、作業者がワークに対して組付け作業を容易に行うことができるように、ワークの姿勢を変更することができ、作業効率がよい。なお、前記異なる姿勢でワークを支持する機構は、縦軸まわりに回動可能である第1の回動手段と、水平軸まわりに回動可能である第2の回動手段と、ワークの高さ位置を調整する昇降手段とを備えることが好ましい。さらに、前記回動手段および前記昇降手段は任意の位置において固定可能であることが好ましいが、段階的に固定可能であってもよい。
【0013】
前記コンベアを構成する各駆動コンベアユニットによる搬送速度を、ワークの流れの上流から下流に向かって徐々に遅く設定してあることが好ましい(請求項2)。
【0014】
前記構成によれば、コンベアの上流における入口側(投入側)において駆動コンベアユニットに搬送されるワーク支持台の搬送速度は下流側のワーク支持台を押すように搬送し、このワーク支持台がさらに下流側のワーク支持台を搬送するので、上流側の駆動コンベアユニット単体による搬送速度より遅くなることが考えられるが、下流に向かって駆動コンベアユニットの搬送速度が遅く設定されているので、並べて載置されたワーク支持台の間に隙間が形成されることがない。つまり、隣接するワーク支持台の間隔を一定にすることができる。
【0015】
前記ワーク支持台の基部に、その搬送方向においてワークの搬送間隔と同じ長さであると共に前記搬送方向に直行する左右方向にワークを安定支持するために必要な幅の矩形のベース板を有し、前記コンベアユニットが、長手方向が前記搬送方向に平行となるように配置される一対の側面フレームと、これらの側面フレームのフロアから必要な高さだけ浮かせた高さ位置に搬送方向に並べて配置される複数のローラと、これらのローラ上に前記ベース板の左右両側の下面を当接させるように搭載した状態で、前記ベース板の左右両側の側面を案内する案内レールとを有することが好ましい(請求項3)。
【0016】
前記構成によれば、ベース板が十分な大きさを有するので、コンベアがフロアから必要最小限の高さ位置においてワーク支持台を搬送するものであったとしても、ワーク支持台はワークを作業者にとって作業しやすい高さ位置において安定して指示した状態で搬送できる。また、各コンベアユニットがフロアから必要な高さだけ浮かせた位置にローラを並べて配置するものであるから、重心が低い位置にあるため極めて安定しており、各コンベアユニットをより簡単な方法でフロアに対して安定して設置することができる。
【0017】
加えて、ワーク支持台は、前記ベルトの搬送面にベース板を備えているので、使用者による組み付け作業の効率を高く保つことができるように、ワークを作業に適した高さ位置に安定して保持することができる。なお、ベース板に作業者が搭乗するための足場を形成することも可能であり、これによって、作業者はワークとの相対的な位置関係を安定させてワークに対する組付作業を行うことができる。
【0018】
前記駆動コンベアユニットは、軸心がワークの搬送方向に平行となるように配置されると共に一つの駆動モータからの回転力を複数のローラに配分する駆動力伝達シャフトを有することが好ましい(請求項4)。
【0019】
前記構成によれば、簡単な構成でありながら、一つの駆動モータからの回転力を均等に配分することができる。つまり、それだけ安定した搬送を行うことができる。
【0020】
前記コンベアが、上流側のコンベアユニットによって搬送されたワーク支持台を搬入し、下流側のコンベアユニットの搬送方向に合わせて回転させた後に下流側のコンベアユニットに搬出する方向転換機を備えることが好ましい(請求項5)。
【0021】
前記構成によれば、一つのワーク搬送装置内において各コンベアユニットの搬送方向を変更することが可能であるから、ワーク搬送装置による組付ラインを自在に形成することができる。
【0022】
あるいは、前記コンベアが、上流側のコンベアユニットによって搬送されたワーク支持台を搬入する搬入部と、搬入したワーク支持台を下流側のコンベアユニットの上流端部に移送する移送部と、下流側のコンベアユニットの搬送方向に合わせて搬出する搬出部とを有する方向転換機を備えることが好ましい(請求項6)。
【0023】
前記構成によれば、搬送方向を直角または略直角に方向転換することが可能であるから、狭い空間を有効に活用してラインを形成することができる。
【0024】
前記方向転換機を介在させることにより、一連のコンベアユニットを用いてワークを平面視略U字状の搬送方向に搬送させ、一連のコンベアユニットによる搬送開始地点と搬送終了地点を近接させることが好ましい(請求項7)。
【0025】
前記構成によれば、ワーク搬送装置の搬送開始地点と搬送終了地点を近接させるので、一連のコンベアユニットを用いてワークを搬送終了地点まで搬送した後に、ワーク支持台を搬送開始地点まで運ぶ作業をできるだけ軽作業によって行なうことができ、ワーク搬送装置の流れを良くすることができる。また、組付ラインの構成を略U字状にすることにより、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
前述したように、本発明によれば、コンベアをフロアに設置する時、基礎工事の必要がないため、組付ラインの設置・移設も簡単かつ容易に行うことができる。したがって、ワークの生産数の変更および/またはワークに対する組付工程の変更に伴ってワーク搬送装置の長さを容易に調節することができ、組付ラインの長さを変更して据え付けることができる。
【0027】
また、コンベアの高さを可能な限り低く形成することにより、フロアに対するコンベアの設置を安定させることができるので、ワーク搬送装置の設置を更に容易に行うことができる。
【0028】
組付ラインの構成を直線のみならず平面視略L字状または略U字状に形成するようにコンベアユニットを連結することにより、限られた工場内のスペースを有効活用して、ワークの組付ラインを形成することが可能である。また、ワーク搬送装置の搬送開始地点と搬送終了地点を近接させるようにワーク搬送装置を略U字状に形成することにより、ワークの搬送を終えたワーク支持台を大きく移動させることなく、このワーク支持台を用いて次のワークの搬送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1〜図12は本発明の第1実施形態に係るワーク搬送装置1の構成を示す図である。図1に示すように、本発明のワーク搬送装置1はワークwとして例えばエンジンを支持するワーク支持台2A,2B…と、これらのワーク支持台2A,2B…を載置すると共に所定の搬送方向に搬送するコンベア3とからなる。
【0030】
前記コンベア3は、搬送のための動力を供給する駆動モータ23を有する複数の駆動コンベアユニット4A,4B…と、これらの駆動コンベアユニット4A,4B…の間に間欠的に配置されてワーク支持台が搬送方向Xに移動自在とするフリーコンベアユニット5A,5B…とを組み合わせたものである。なお、以下の説明において、区別する必要がない場合には駆動コンベアユニット4A,4B…およびフリーコンベアユニット5A,5B…をそれぞれ駆動コンベアユニット4およびフリーコンベアユニット5といい、両ユニットをまとめてコンベアユニット4,5という。各コンベアユニット4,5はコンベア3の長さを調節するときに容易に追加または撤去可能である程度に短く形成しており、例えば全長を2mとしている。
【0031】
図2〜5は本発明のワーク搬送装置のワーク支持台2とコンベア3の関係を説明する図である。なお、図2〜4においては、一対の駆動コンベアユニット4とフリーコンベアユニット5だけを抽出してその構成を示している。
【0032】
前記ワーク支持台2は、その基部において搬送方向Xに搬送各工程の作業間隔に合わせたワークの搬送間隔と同じ長さLおよび前記搬送方向Xに直行する左右方向Yにワークを安定支持するために必要な幅Wの矩形のベース板10と、このベース板10の中央部に立設する昇降手段11と、この昇降手段11に対して縦軸線Pまわりに回動自在に取り付けられる回転台12と、この回転台12上に立設し全体的に略U字状に屈曲してなる支持アーム13と、この支持アーム13の上端部においてワークwを係止すると共に横軸線Qまわりに回転自在に支持する支持手段14とを備える。すなわち、ワーク支持台2はワークwを作業者による組付作業を容易とする複数の異なる姿勢で支持するように構成されている。
【0033】
前記ベース板10の面積は、ワークwを組付作業に適する高さに支持した状態で搬送したときにワークwを安定して支持することができる程度に十分な広さを有するものである。
【0034】
前記昇降手段11はワークwの高さ位置を作業者による組付作業に適する高さに調節するエアシリンダを備え、作業者の操作によって任意の高さ位置においてワークwを保持できるように構成している。同様に、回転台12の回転角も作業者の操作によって任意の角度に変更できると共に任意の形態による固定手段を用いて回転角を固定可能に構成している。
【0035】
前記支持アーム13は鋼材からなる基部13aと、この基部13aに対して着脱自在でありワークwに合わせた形状に形成されたアーム部13bとからなる。つまり、支持アーム13は組付作業の邪魔にならないようにワークwを2点において支持すると共に前記回転台12から浮かせた位置に保持するように構成されている。
【0036】
前記支持手段14は一対の係合部14a,14bと、この係合部14aにワークwの対応する係合部(図示していない)を掛けた状態でワークwが係合部14a,14bから外れることがないように抜止め保持する係止片14cと、この係止片14cの出退を操作する支持ロックレバー14dとを備える。
【0037】
前記駆動コンベアユニット4は、長尺の金属板からなりその長手方向が前記搬送方向Xに平行となるように配置される一対の側面フレーム20A,20Bと、側面フレーム20A,20Bの底部を前記ベース板10の幅Wに合わせた間隔をあけて連結する底板20Cと、これらの側面フレーム20A,20BのフロアFから必要な高さだけ浮かせた高さの位置に搬送方向Xに並べて配置される複数のローラ21A,21B(以下、区別の必要が合い場合にはローラ21という)と、これらのローラ21上に前記ベース板10の左右両側の下面を当接させるように搭載した状態で、前記ベース板10の左右両側の側面を案内する案内レール22と、各ローラ21を駆動するための回転力を供給する一つの駆動モータ23と、駆動モータ23の回転力を各ローラ21に均等に伝達する駆動力伝達機構24とを備える。
【0038】
前記側面フレーム20A,20Bの適所に、駆動コンベアユニット4をフロアFに設置する高さや水平を調節可能とする高さ調節部20dと、コンベアユニット4をフロアFに固定するための固定部20eを形成している。つまり、固定部20eに設けた穴20hにアンカーを打ち込んだりビスなどを挿通して、これをフロアFに固定できるように構成している。
【0039】
前記ローラ21A,21Bは側面フレーム20A,20Bの内側面に形成され、その回転軸が側面フレーム20A,20Bの外側面に貫通する状態で回動自在に取り付けられており、側面フレーム20A,20Bの外側から回転駆動可能に構成されている。
【0040】
図6〜10は駆動コンベアユニット4の構成を示している。
図6〜10に示すように、前記ローラ21は水平軸線まわりに回動可能に軸支するように構成されている。また、図10に示すように、側面フレーム20A,20Bを貫通する軸芯を有することにより、側面フレームの外側から回転駆動するものである。これらのローラ21はフロアFから必要な高さだけ浮かせた高さ位置に配置されている。なお、ここでいう必要な高さだけ浮かせた高さ位置とはローラ21を可能な限り低く配置した位置であり、図9に示すように、本実施形態ではローラ21の上端に形成される搬送面の高さhがフロアFから125mmの高さになるように構成された、低底のコンベアである。
【0041】
前記案内レール22は前記ベース板10の幅Wよりも幾らか広い幅を開いて側面フレーム20A,20Bの上面に取り付けられるものであり、この案内レール22の上流側端部の内側には、その幅を徐々に広げた導入部22aを形成している。
【0042】
前記駆動モータ23はインバータなどの制御回路によって任意の回転速度で回転するものであり、図1に示すコンベア3の搬送開始地点Stから搬送終了地点Edに至るまで、駆動モータ23の回転速度をワークwの流れの上流から下流に向かって徐々に遅くなるように設定されている。
【0043】
前記駆動力伝達機構24は、軸心がワークwの搬送方向Xに平行となるように左右の側面フレーム20A,20Bの外側に配置される一対の駆動力伝達シャフト24a,24bと、駆動力伝達シャフト24a,24b上の前記ローラ21に対応する部分にそれぞれ設けた傘歯車24cと、左右の駆動力伝達シャフト24a,24b間に動力を伝達するように歯車によって左右の1対のローラ21を連動させる左右連結シャフト24dとを備えている。なお、前記駆動モータ23は、左右連結シャフト24cの近傍において歯車によって駆動力伝達シャフト24に連結されている。
【0044】
図11,12はフリーコンベアユニット5の構成を示している。
図11,12に示されるように、前記フリーコンベアユニット5は、前記駆動コンベアユニット4の構成から駆動モータ23と、動力伝達機構24を取り除いたものであり、駆動モータ23によって回転駆動されるローラ21の代わりに、側面フレーム20A,20BのフロアFから必要な高さだけ浮かせた高さの位置に搬送方向Xに並べて配置される複数の回動自在のローラ26を備える。また、20F,20Gは側面フレーム20A,20Bの内側に配置され、側面フレーム20A,20Bの間に各ローラ26を配置する補助フレームである。したがって、フリーコンベアユニット5は、これに搭載したワーク支持台2を搬送方向Xに移動自在とするものである。
【0045】
また、フリーコンベアユニット5の高さ調節部20dと固定部20eは底板20Cに連設して一体的に形成する。その他の点については駆動コンベアユニット5とほぼ同じであるから、図6〜10と同じ符号を付すことにより、重複説明を避ける。
【0046】
上記のように構成されたワーク搬送装置1は、複数の駆動コンベアユニット4と、この駆動コンベアユニット4の間に複数のフリーコンベアユニット5をそれぞれ一台ずつ配置するようにして各コンベアユニット4,5を連結することにより、駆動コンベアユニット4の間に間欠的にフリーコンベアユニット5を設けている。これによって、各駆動コンベアユニット4にかかる負荷を小さくすることができると共に、コンベア3の長さを自在に調節することができる。
【0047】
すなわち、図13に示すように、駆動コンベアユニット4Eと、フリーコンベアユニット5E,5Fをさらに連結することにより、コンベア3の長さを容易に延長することができる。また、一台の駆動コンベアユニット4に対して複数のフリーコンベアユニット5を連結することにより、駆動モータ23の数を増やすことなくコンベア23の長さを長くすることも可能である。つまり、駆動コンベアユニット4の間に間欠的に挿入されるフリーコンベアユニット5の数は1台であるとは限らない。
【0048】
逆に、図14に示すように、フリーコンベアユニット5Dを取り除くことにより、コンベア3の全体の長さを容易に短くすることも可能である。すなわち、駆動コンベアユニット4を連続して複数配置し、その間に間欠的にフリーコンベアユニット5を配置することも可能である。
【0049】
加えて、図15に示すように、長尺のフリーコンベアユニット5A’の上流端と、下流端にそれぞれ駆動コンベアユニット4A、4Bを配置してもよい。この場合、コンベア3を構成する駆動コンベアユニット4A,4Bの数を必要最小限にすることができる。
【0050】
また、ワーク支持台2を搬送方向Xに密に並べた状態でこれらを搬送するものであるから、下流側のワーク支持台2は上流側のワーク支持台2によって押されるようにして搬送される。したがって、コンベア3が駆動モータ23を持つ駆動コンベアユニット4だけでなく、駆動モータ23を持たないフリーコンベアユニット5を間欠的に配置するものであったとしても、コンベア3上のすべての部分においてワーク支持台2を搬送することができる。
【0051】
さらに、前記駆動コンベアユニット4をコンベア3上に分散して設け、駆動コンベアユニット4の間に間欠的にフリーコンベアユニット5を配置しているので、搬送のための駆動力は、駆動コンベアユニット4上に搭載されたワーク支持台2と、この駆動コンベアユニット4の下流側に隣接するフリーコンベアユニット5の上まで密に並べられたワーク支持台2に伝達される。したがって、各駆動モータ23の出力トルクを低く抑えることができ、それだけ、駆動モータ23の小型化を図ることができる。また、駆動コンベアユニット4をフロアFに固定するときにも、コンベア3全体に搬送のための動力を供給する必要がないので、従来より簡易な方法で固定することができる。
【0052】
つまり、前記コンベアユニット4をフロアFに設置するときには、コンベアユニット4,5の適所に設けた固定部20dの穴20hにアンカーを打ち込むことにより、各コンベアユニット4をフロアFに固定する。なお、前記固定部20dはアンカーによる固定のみならず、ビス止めなどの、より簡単な手段によって固定してもよい。
【0053】
隣接するコンベアユニット4,5同士の連結部においては、隣接するコンベアユニット4,5間を左右方向に位置ずれすることがないように接続して一直線上に配置させる。このように、複数のコンベアユニット4,5を接続して必要に応じて長さを容易に変更可能であるコンベア3を形成することができる。また、隣接する駆動コンベアユニット4の駆動モータ23は図外の電源線によって並列に接続されることにより、一つの電源回路を用いて複数の駆動モータ23が同時に動力を供給することができる。なお、駆動モータ23は、それぞれに設けた図外のインバータによってその回転速度を調節することが考えられるが、駆動モータ23と動力伝達機構24の間に回転速度を調節するための変速機構を設けて、ワークwの流れの上流から下流に向かって徐々に遅くなるようにしてもよい。
【0054】
一方、前記ワーク支持台2は、その支持手段14にワークwを係合し、ワークwを係合したワーク支持台2をコンベア3の前記搬送開始地点Stに載置することにより、コンベア3によってワークwを所定の搬送方向Xに搬送することができる。このとき、前記ベース板10の側面が左右の案内レール22にガイドされるように載置することにより、その搬送方向Xを規制することができる。なお、案内レール22に導入部22aを設けているので、各コンベアユニット4,5の連結部において幾らか左右にずれることがあったとしても案内レール22に衝突することなくワーク支持台2を搬送することができる。
【0055】
加えて、本実施形態のコンベア3が低床のコンベアであるから、作業者が搬送中のワーク支持台2のベース板10に搭乗することにより、作業者とワークwの相対的な位置関係を停止させることが可能である。つまり、作業者はワークwに対する組付作業を容易に行うことができる。さらに、前記ワーク支持台2はワークwを複数の異なる姿勢で支持すると共に、ベース板10や回転台12に対して高い位置に浮かせた状態でワークwを支持するものであるから、作業者による作業効率がよい。
【0056】
前記支持手段14によってワークwの重心または重心よりも少し高い位置を2点において支持することにより、ワークwを安定して支持することができる。また、ワークwを抜止め保持する係止片14cの出退を操作する指示ロックレバー14を備えるので、ワークwをいかなる姿勢で支持するときにもこれが支持手段14から外れることがない。
【0057】
図16は本発明の第2実施形態に係るワーク搬送装置1Aの構成を示す図である。本実施形態に示すワーク搬送装置1Aが第1実施形態のワーク搬送装置1と異なる点はコンベア3が搬送方向Xaの方向にワーク支持台2を搬送する上流側のコンベアユニット4A、5A,4B,5B,4Cによって搬送されたワーク支持台2を搬入し、下流側のコンベアユニット4D,5D,4E,5Eの搬送方向Xbに合わせて回転させた後に下流側のコンベアユニットに搬出する方向転換機6を備える点である。その他の構成については図1〜14に示す本発明の第1実施形態と同じであるから、その詳細な説明を省略する。
【0058】
上述のように構成されたワーク搬送装置1Aでは、複数のコンベアユニット4,5および方向転換機6を組み合わせることにより、組付ラインを形成する工場の必要に応じて、ワークwを任意の方向に搬送する任意の長さのコンベア3を形成することができる。つまり、ワークwの生産台数の増減および生産タクトの調節に柔軟に対応することができる。
【0059】
図17は前記ワーク搬送装置1を変形した第3実施形態のワーク搬送装置1Bの構成を示す図である。図17に示すワーク搬送装置1Bが第1実施形態のワーク搬送装置1と異なる点はコンベア3が、上流側のコンベアユニット4A〜4D、5A〜5Cによって搬送されたワーク支持台2を搬入する搬入部7aと、搬入したワーク支持台2を下流側のコンベアユニット4E〜4H、5E〜5Gの上流端部に移送する移送部7bと、下流側のコンベアユニット4E〜4H、5E〜5Gの搬送方向Xcに合わせて搬出する搬出部7cとを有するトラバーサ7を方向転換機として備える点である。その他の構成については図1〜14に示す本発明の第1実施形態と同じであるから、その詳細な説明を省略する。
【0060】
上述のように構成されたワーク搬送装置1Bでは、コンベア3によってワーク支持台2を平面視略U字状に搬送することができるので、搬送開始地点Stと搬送終了地点Edを近接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す図である。
【図2】前記ワーク搬送装置の平面図である。
【図3】前記ワーク搬送装置の搬送方向の側面から見た側面図である。
【図4】前記ワーク搬送装置の斜視図である。
【図5】前記ワーク搬送装置の搬送方向の正面から見た側面図である。
【図6】前記ワーク搬送装置の一部である駆動コンベアユニットの側面図である。
【図7】前記駆動コンベアユニットの搬送方向の正面から見た平面図である。
【図8】前記駆動コンベアユニットの斜視図である。
【図9】図6のA−A断面図である。
【図10】図6のB−B断面図である。
【図11】前記ワーク搬送装置の一部であるフリーコンベアユニットの構成を示す平面図である。
【図12】(A)は図11のC−C断面図、(B)は図11のフリーコンベアユニットを図示右側から見た側面図である。
【図13】前記ワーク搬送装置の変形例を示す図である。
【図14】前記ワーク搬送装置の別の変形例を示す図である。
【図15】前記ワーク搬送装置のさらに別の変形例を示す図である。
【図16】第2実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す図である。
【図17】第3実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B ワーク搬送装置
2 ワーク支持台
3 部品台
4 駆動コンベアユニット
5 フリーコンベアユニット
6,7 方向転換機
10 ベース板
21,26 ローラ
22 案内レール
23 駆動モータ
St 搬送開始地点
Ed 搬送終了地点
X 搬送方向
w ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる姿勢でワークを支持するワーク支持台と、複数のワーク支持台を搬送方向に並べた状態で搬送するコンベアとを備えるワーク搬送装置であり、
前記コンベアは、搬送のための動力を供給する駆動モータを有する複数の駆動コンベアユニットと、この駆動コンベアユニットの間に間欠的に配置されてワーク支持台を搬送方向に移動自在とするフリーコンベアユニットとを組み合わせたものであることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記コンベアを構成する各駆動コンベアユニットによる搬送速度を、ワークの流れの上流から下流に向かって徐々に遅く設定してある請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記ワーク支持台の基部に、その搬送方向においてワークの搬送間隔と同じ長さであると共に前記搬送方向に直行する左右方向にワークを安定支持するために必要な幅の矩形のベース板を有し、
前記コンベアユニットが、長手方向が前記搬送方向に平行となるように配置される一対の側面フレームと、これらの側面フレームのフロアから必要な高さだけ浮かせた高さ位置に搬送方向に並べて配置される複数のローラと、これらのローラ上に前記ベース板の左右両側の下面を当接させるように搭載した状態で、前記ベース板の左右両側の側面を案内する案内レールとを有する請求項1または2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記駆動コンベアユニットは、軸心がワークの搬送方向に平行となるように配置されると共に一つの駆動モータからの回転力を複数のローラに配分する駆動力伝達シャフトを有する請求項1〜3のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記コンベアが、上流側のコンベアユニットによって搬送されたワーク支持台を搬入し、下流側のコンベアユニットの搬送方向に合わせて回転させた後に下流側のコンベアユニットに搬出する方向転換機を備える請求項1〜4のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記コンベアが、上流側のコンベアユニットによって搬送されたワーク支持台を搬入する搬入部と、搬入したワーク支持台を下流側のコンベアユニットの上流端部に移送する移送部と、下流側のコンベアユニットの搬送方向に合わせて搬出する搬出部とを有する方向転換機を備える請求項1〜4のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記方向転換機を介在させることにより、一連のコンベアユニットを用いてワークを平面視略U字状の搬送方向に搬送させ、一連のコンベアユニットによる搬送開始地点と搬送終了地点を近接させる請求項5または6に記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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