一括局所加熱装置
【課題】 誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、被加熱対象の全体に対して均一な加熱を可能とする一括局所加熱装置を提供する。
【解決手段】 被加熱対象であるプリント配線基板1を設置する平面を有する筒状のサセプタ6と、筒状サセプタ内に設置され、かつ、被加熱対象より長い直線部3cを持ち、かつ、それが前記サセプタの平面部6aと平行である誘導コイル3と、温度検出部4と、前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段5とを備える。
【解決手段】 被加熱対象であるプリント配線基板1を設置する平面を有する筒状のサセプタ6と、筒状サセプタ内に設置され、かつ、被加熱対象より長い直線部3cを持ち、かつ、それが前記サセプタの平面部6aと平行である誘導コイル3と、温度検出部4と、前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等の被加熱対象(被加熱物)を加熱及び半田付けする際に用いる一括局所加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板等の被加熱物を加熱及び半田付けの際に用いる加熱装置として、熱風式リフローなどが、一般的に採用されている。また、電子部品は小さく薄くなり、耐熱性の無い部品が増加してきている。しかし、熱風式リフローなどの加熱装置は、一括加熱方式を基本としている為、被加熱物に対し全て同じ加熱を実施する。したがって、耐熱性の無い電子部品は熱によるダメージを受ける。よって、耐熱性の異なる被加熱物をそれぞれに対して最適に加熱及び半田付けすることは、現在の一括加熱方式の装置では困難である。
【0003】
このような弱耐熱部品としては、例えばモバイル機器用小型カメラモジュールなどが挙げられる。
【0004】
これに対して、部品側で対応する方法として、コネクタによる実装(特許文献1を参照)などが提案されている。しかしながら、問題点として、コネクタ、あるいは、ケーブルとコネクタとの両方を準備しなければならず、部品点数が増えるといった課題がある。また、コネクタを基板に実装した後に、カメラモジュールを組み込む工程が必要となり、組立の効率化が充分であるとは言えずコストアップ要因となる、などの課題もある。
【0005】
そのため、弱耐熱部品の実装に対して実装側で工夫する方法として、誘導加熱を用いた方法が提案されている。従来例(特許文献2を参照)では、図10に示すように、プリント配線基板111が設置されて搬送経路に沿って所定の速度で連続搬送されるパレット(本パレットは、基板の支持台と誘導加熱により温まり支持されている基板を加熱するヒーターの役割を兼ねている。以下、同パレットを平面サセプタ112と称する。)と、誘導コイル113と、温度検出手段114と、前記温度検出手段114の検出温度に応じて前記コイル113に供給する交流電流を調節しながら平面サセプタ112の加熱量を制御する制御手段115とを備える。
【0006】
前記従来例の動作は、プリント配線基板111の設置に先立って、平面サセプタ112の表面温度が温度検出手段114で検出される状態において、制御手段115によりコイル113に交流電流が流され、それにより平面サセプタ112が電磁誘導加熱され、プリヒート温度近傍の所定の温度に制御される。その後に、プリント配線基板111がステージ上に設置され、所定のプリヒート温度に達するまでプリヒートされる。
【0007】
その後の本加熱工程で、平面サセプタ112の表面温度が温度検出手段114で検出される状態において、制御手段115によりコイル113に交流電流が流されて、平面サセプタ112が所定の本加熱温度に加熱され、それにより昇温されたプリント配線基板111上の半田111bが溶融する。本加熱温度が所定時間だけ保たれた後、ステージからプリント配線基板111が搬出される。搬出後に、プリント配線基板111上の半田111bが冷えて固まることにより、部品111aがプリント配線基板111に固着される。
【0008】
このような一連の動作により、弱耐熱部品の実装を可能としている。
【0009】
また、サセプタ全体の温度を均一にするため、トンネル状にコイルを巻き、その内側に平面サセプタを通すなどの工夫が、特許文献3で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3799615号公報
【特許文献2】特許第4282501号公報
【特許文献3】特開2007−36110公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献2の従来の誘導加熱による構成では、誘導電流を流す部分(サセプタ)が平面状のため、誘導電流が流れない箇所ができる。その箇所の温度が上がらないため、結果として加熱部に温度の不均一が生じ、均一な温度での半田付けができない、という課題がある。
【0012】
これに関して、少し詳しく原因を述べる。誘導電流は電流なので、キルヒホッフの法則に従い一周して元の箇所に戻らないといけない。平面サセプタに周回する電流の流路を隙間なく取ろうとすると、必ず相反する方向の電流が隣り合う箇所が発生する。その箇所は、電流同士が打ち消しあって電流の流れない状況となり、その部分が昇温しないためである。
【0013】
この問題を解決して均熱化した例として特許文献3が挙げられる。本例では、誘導電流を平面サセプタの上面から下面へ一周させることにより、均熱性を実現している。しかしながら、誘導コイルの巻き線内を基板が通過することになり、基板本体にも磁場がかかるため、基板上にも誘導電流が流れてしまい、電子部品への影響が懸念されるという問題がある。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、被加熱対象の全体に対して均一な加熱を可能とする一括局所加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、被加熱対象であるプリント配線基板を載置する平面部を有する筒状のサセプタと、
前記筒状サセプタ内に配置され、かつ、前記被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部が前記サセプタの前記平面部と平行である誘導コイルと、
前記被加熱対象の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする一括局所加熱装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の一括局所加熱装置によれば、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、誘導コイルが被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部がサセプタの平面部と平行であるため、コイルの直線部から発生する磁界はサセプタの平面部において一様になり、被加熱対象が載置される平面部で一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタの温度が均一となる。
【0018】
また、サセプタの発熱量は、サセプタ自体又は加熱対象の一例であるプリント配線基板の温度を温度検出部で検出しつつ制御手段で容易に温度調節できるので、半田付け接合部付近を所望の昇温条件に保ちながら、耐熱性の低い部品の搭載時には、その昇温を仕様限界以下に確実に抑えることができ、加熱の必要な部分のみ効率良く加熱することができる。
【0019】
また、プリント配線基板などの加熱対象に電磁誘導加熱可能な加熱物を接触配置するので、耐熱性の低い部品を搭載したプリント配線基板に対しても、不必要な熱ストレスを与えることなく、部品との接合部を効率良く加熱することが可能であり、生産品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態における一括局所加熱装置の概略斜視図
【図2A】図1の一括局所加熱装置の平面図
【図2B】図1の一括局所加熱装置の正面図
【図2C】図1の一括局所加熱装置の右側面図
【図3A】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの平面図(解析モデル図)
【図3B】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図(解析モデル図)
【図3C】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの正面図(解析モデル図)
【図4】第1実施形態の実施例(解析結果1)の図
【図5A】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの平面図(解析モデル図)
【図5B】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図(解析モデル図)
【図5C】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの正面図(解析モデル図)
【図6】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析結果の図
【図7A】サセプタ−誘導コイル間の距離を変更した場合の電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの平面図
【図7B】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの正面図
【図7C】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの斜視図
【図7D】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図
【図8】サセプタ−誘導コイル間の距離を変更した場合の電磁界解析結果の図
【図9A】本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置の平面図
【図9B】本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置の正面図
【図9C】本発明の第2実施形態の変形例における一括局所加熱装置の正面図
【図10】従来例の一括局所加熱装置の図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1に、本発明の第1実施形態における一括局所加熱装置を示す。
【0022】
一括局所加熱装置は、四角筒状のサセプタ(誘導電流を流す部分)6と、誘導コイル3と、温度検出部の一例としての温度計測器4と、制御手段(制御部)5とを備えて構成している。
【0023】
四角筒状のサセプタ6は、加熱対象の一例としての基板1より広い平面部6aを有している。そして、サセプタ6の平面部6aには、回路部品1aと半田材1bを載せた半田付け前の基板1(以下、回路部品1aと半田材1bとプリント配線基板1を含め全体を、加熱対象の一例として、ワークWと称する。)を設置する。
【0024】
誘導コイル3は、サセプタ6内に設置され、かつ、サセプタ6の平面部6aと平行に配置されかつワークWの1辺より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cが前記サセプタ6の平面部6aと平行となっている。誘導コイル3には、交流電源33から交流電力が付与される。
【0025】
温度計測器4は、基板1の温度を計測する。
【0026】
制御手段5は、温度計測器4からの情報を基に交流電源33を制御して、誘導コイル3に与える交流電力を制御する。
【0027】
図1に示すように、サセプタ6の平面部6aの大きさ(長さ及び幅)は、ワークWの大きさ(長さ及び幅)よりも大きく形成されている。また、誘導コイル3の直線部3cの長さは、ワークWの長さよりも長く形成されている。また、筒状サセプタ6の内側の空間は、誘導コイル3を配置するのに十分な大きさに形成されている。サセプタ6は、磁性材料(例えば、鉄など)で作られており、誘導コイル3は導体材料(例えば、銅など)で作られている。
【0028】
前記構成の一括局所加熱装置は、以下のように動作する。
【0029】
まず、ワークWを筒状サセプタ6の上に載せる。
【0030】
その後、制御手段5は、交流電源33を介して誘導コイル3に交流電流を通電する。誘導コイル3は通電された交流電流によって交流磁場を発生する。この交流磁場の誘導作用によってサセプタ6に誘導電流が流れ、その電流によりサセプタ6が加熱される。すると、サセプタ6の上部に載せられた基板1上のそれぞれの半田材1bが加熱溶融される。
【0031】
その後、半田材1bがそれぞれ加熱溶融すると、制御手段5は交流電源33を介して交流電流の通電を停止する。交流電流の通電を停止するタイミングは、温度センサ4で一定温度になった後に、一定時間経過した後、半田が溶けたと考えて停止させる。
【0032】
停止後、加熱溶融した半田材1bは温度が下がり、ワークW上の回路部品1aと基板1とを半田材1bで固着する。即ち、半田付けされる。温度計測器4は、ワークWの温度を検出し、温度計測器4での検出情報を制御手段5に出力する。制御手段5は、温度計測器4からの検出情報を基に、ワークWが過度に加熱されないように、交流電源33を介して誘導コイル3に通電する交流電流を制御する。
【0033】
図2A、図2B、図2Cに、図1の三面図、すなわち、平面図、正面図、右側面図をそれぞれ示す。プリント配線基板1はサセプタ6上に載せられている。プリント配線基板1の上には、半田材1bを介して、半導体素子又はコンデンサ又は抵抗器などの回路部品1aが載せられている。
【0034】
回路部品1aは、その回路構成によってプリント配線基板1の様々な位置に配置される。回路部品1aの配置に応じて、回路部品1aをプリント配線基板1に半田付けするための半田材1bも様々な位置に配置される。
【0035】
誘導コイル3は、サセプタ6の四角筒状の面に沿った方向(図1の矢印Xの方向)に従ってループ状に巻かれている。また、そのループは、サセプタ6が筒状の穴をなす方向(図1の矢印Yの方向)にほぼ一定間隔で複数ターン形成され、コイル全体としてスパイラル状に巻かれている。このように誘導コイル3とサセプタ6を形成して配置する事により、誘導コイル3により、サセプタ6に発生する誘導電流は、四角筒を構成する面に沿って一様に流れ、従来例の様に電流同士が打ち消しあうような箇所は発生しない。
【0036】
また、前述の通り、このコイル3が、ワークWの1辺より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cとサセプタ6の平面部6aとを互いに平行に配置している。このような構成のため、コイル3の直線部3cから発生する磁界はサセプタ6の平面部6aにおいて一様になり、ワークWが載置される平面部6aで一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタ6の温度が均一となる。そのサセプタ温度は、サセプタ6の平面部6a上に載ったワークWに均一に作用する。その結果、ワークWの一例であるプリント配線基板1の様々な位置に配置された半田材1bを均一に加熱溶融することができる。
【0037】
なお、サセプタ6は、全体が同一材質でかつ同一厚みである必要はなく、例えば、半田付けに使用するサセプタ6の平面部6a以外を厚くする構成、抵抗の小さい材料を使う構成、又は、磁性の小さい材料を使う構成、などの種々の構成をとれば、半田付けに寄与しない面からの放熱を減らすことができ、結果として、一括局所加熱装置の消費エネルギーを減らす事も可能となる。
【0038】
<実施例1>
第1実施形態における、筒状サセプタ6と誘導コイル3の実施例を、三次元電磁界解析の結果により示す。三次元電磁界解析は、AnsoftHFSS(ver 11.0)(アンシス・ジャパン株式会社)を用いた。
【0039】
まず、誘導コイル3によりサセプタ6に発生する誘導加熱作用が均一になることを、詳細に説明する。
【0040】
図3A〜図3Cは、図1の誘導コイル3とサセプタを取り出したモデルである。
【0041】
筒状サセプタ6は、長方形の板を4枚、筒状に組み合わせた形状をしている。半田付け対象の基板1であるワークWを載せる面を平面部6aとする。誘導コイル3は、サセプタ6の筒状の面に沿った方向に従ってループ状に巻かれている。そのコイル3は、サセプタ6の平面部6aと平行な直線部3cを持つ。また、そのコイル3は、ほぼ一定間隔でスパイラル状に巻かれている。また、誘導コイル3の両端である3a,3bから、交流電源33を介して交流電力が与えられる。
【0042】
この実施例では、サセプタ6の寸法は、外形が長辺484mm×短辺242mm×厚み74mm、各筒壁の厚みが1mmで、短辺方向に穴が開いている筒状の形状をしており、材質は鉄である。誘導コイル3は、Φ6mmの線を、410mmの長さの2本の直線部3cを、平行に40mm離し、その間を円弧でつないでループ状にし、それをスパイラル状にピッチ8mmで25ターン巻いている構成である。誘導コイル3の材質は銅である。
【0043】
サセプタ6とコイル3の位置関係は、サセプタ6の平面部6aとコイル3の直線部3bとが平行で、かつ、その導体間の距離が10mmになるように配置されている。
【0044】
また、誘導コイル3の両端3a、3bはサセプタ6外に引き出し、交流電源33を介して交流電力を与えている。
【0045】
図3Aに、交流電源33を介して誘導コイル3に印加された交流電流の、ある瞬間における方向を実線の矢印で示す。図3Cにおいて、誘導コイル3の上側直線部3c−1には紙面左から紙面右へ電流が流れている。また、下側直線部3c−2には紙面右側から紙面左側へ電流が流れている。
【0046】
本電流により磁界が発生する。その磁界は、図3Bの左側に位置するコイル3の線全体を囲むようにして左回りの向きに磁束100aが発生する。また、図3Bの右側に位置する誘導コイル線の全体を囲むようにして右回りの向きに磁束100bが発生する。
【0047】
誘導コイル3を取り囲むように配置されているサセプタ6においては、交流磁場によって誘導コイル3が発生する磁束密度が変化すると、電磁誘導作用によって誘導電流が発生する。その向きは、磁束密度の増減を打ち消すように磁束を発生させる向きとなる。
例えば誘導コイル3が発生する磁束100a、100bが増加する場合は、図3Aに示すような誘導電流101が発生する。
【0048】
言い換えると、図3Aに示すように、サセプタ6には、コイル3に沿って、筒状の長手方向101に誘導電流が流れる事となる。
【0049】
このとき、誘導コイル3の直線部3bの全体から発生する磁場は、スパイラル状に巻かれたピッチが一様であり、かつ、流れる電流値が同一であり、かつ、電流の方向が揃っているため、サセプタ6の平面部6aと平行な面に対して均一な磁界を発生する。このため、サセプタ6の平面部6aは、誘導コイル3の直線部3bから均一に磁場の影響を受けるため、均一な誘導電流101が発生し、その結果、均一な誘導加熱作用が得られる事となる。
【0050】
図4に、サセプタ6の平面部6aの誘導電流密度分布を、図3A〜図3Cの前記実施例での解析で求めた結果を示す。
【0051】
この図4は、電流密度値を、0から同平面部6aの誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で区分けしている。半田付け工程で一般に必要と言われる温度±10%の領域が、図4の中央の白い部分であり、サセプタ6の全体の面積に対して約60%と広い均一温度領域が確保できた。
【0052】
また、図4は誘導電流密度の分布であり、サセプタ6の熱伝導効果により、一層の均熱面積向上の効果が得られる。
【0053】
次に、第1実施形態の比較例として、サセプタ6の形状が筒状ではなく、1枚板状であるサセプタ2の場合には、誘導加熱効果が得られない実例を紹介する。 図5A〜図5Cに比較例のモデルを示す。
【0054】
サセプタ2は、その外形が長辺484mm×短辺242mm、厚みが1mm、の一枚板形状である。サセプタ2の材質は実施例1(図3A〜図3C)と同じく鉄である。また、誘導コイル3の形状及び材質は、共に実施例1と同様である。言い換えると、実施例1の構成と位置関係をほぼ踏襲して、サセプタを、筒状からワークWを設置する平面部6aのみを残した一枚板形状に変更した形である。
【0055】
図6に、サセプタ2の平面2aの誘導電流密度分布を、電磁界解析で求めた結果を示す。
【0056】
この図6は、実施例1と同じく、電流密度値を、0から同平面部2aの誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で区分けしている。
【0057】
本結果から見られるとおり、電流は端部に集中して均熱化効果が得られない。また、サセプタ2の中央部の誘導電流値も、実施例1と比較して、10分の1程度であり、効率も大変悪い。この原因は、サセプタ2が一枚板状であるため、誘導電流の流れる回路(流路)が形成されず、誘導電流が流れないためである。
【0058】
次に、サセプタ2と誘導コイル3の距離又はコイルピッチにより、均一化が妨げられる場合もある例も紹介する。
【0059】
図7A〜図7Dに前記例のモデルを示す。
【0060】
誘導コイル13は、単純化のため1ターンとした。誘導コイル13の直線部13c=100mm、直線部13cの間隔45mmとし、直線部13c間を円弧状につないだ形状とし、材質を銅とした。サセプタ16は筒の厚み1mmの鉄とした。また、サセプタ16の平面部16aを、長辺170mm×短辺40mmの大きさとし、誘導コイル13との距離を2.5mmから2.5mmピッチ毎に12.5mmまで変化させ、誘導電流分布を求めた。
【0061】
図8に、サセプタ16の平面部16aの誘導電流密度分布を、電磁界解析で求めた結果を示す。前記実施例1と同じく、電流密度値を、0から同平面の誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で塗り分けた。すなわち、図8の(a)はサセプタ16の平面部16aと誘導コイル13との距離が2.5mm、(b)は距離が5.0mm、(c)は距離が7.5mm、(d)は距離が10.0mm、(e)は距離が12.5mmとする場合の結果である。
【0062】
また、各分布図を比較するための目安として、図8に、各分布図内に同寸の四角を点線で書き込んだ。縦幅は誘導コイル13の直線部13cの長さと合わせており、横幅は直線部13c間のピッチの目安として10mmにしてある。
【0063】
本図8に表れているとおり、サセプタ16とコイル13の間隔が近かったり遠かったりする場合に、誘導電流が一様な面積が減少する。また、サセプタ−コイル間の距離が5〜11mm、より好ましくは7.5〜10mmが、均熱性の高い領域である。これより、第1実施形態にかかる装置でも、サセプタ6の平面部6aとコイル3の直線部3cとの間の距離が5〜11mm、より好ましくは7.5〜10mmが、均熱性の高い領域となることがわかる。
【0064】
本発明の第1実施形態にかかる一括局所加熱装置によれば、誘導電流を利用してプリント配線基板1等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、誘導コイル3が被加熱対象より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cがサセプタ6の平面部6aと平行であるため、コイル3の直線部3cから発生する磁界はサセプタ6の平面部6aにおいて一様になり、被加熱対象の一例であるプリント配線基板1が載置される平面部6aで一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタ6の温度が均一となる。
【0065】
また、サセプタ6の発熱量は、サセプタ自体又は加熱対象の一例であるプリント配線基板1の温度を温度計測器4で検出しつつ制御手段5で容易に温度調節できるので、半田付け接合部付近を所望の昇温条件に保ちながら、耐熱性の低い部品の搭載時には、その昇温を仕様限界以下に確実に抑えることができ、加熱の必要な部分のみ効率良く加熱することができる。
【0066】
また、プリント配線基板1などの加熱対象に電磁誘導加熱可能な加熱物を接触配置するので、耐熱性の低い部品を搭載したプリント配線基板1に対しても、不必要な熱ストレスを与えることなく、部品との接合部を効率良く加熱することが可能であり、生産品質の向上を図ることができる。
【0067】
<第2実施形態>
図9A及び図9Bに、本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置を示す。図9Aにおいて、温度計測器4は、正確にはワークWに重なって図示すべきではあるが、図の複雑化を避けるため、位置をずらせて図示している。
【0068】
第2実施形態にかかる一括局所加熱装置は、第1実施形態と同じ構成の部分として、回路部品1aと半田材1bを載せ半田付け前の基板1を載せる筒状サセプタ6(以下、サセプタと称する)と、サセプタ6の内側に巻かれた誘導コイル3と、基板の温度を計測する温度計測器4と、これらを制御する制御手段5とを備えている。
【0069】
さらに、第2実施形態にかかる一括局所加熱装置では、第1実施形態に加えた部分として、前工程からサセプタ6を搬送及び停留する機能を持つ第1コンベア(以下、前コンベア7と称する)と、サセプタ6を保持し誘導コイル3に導く第2コンベア、言い換えれば、可動コンベア(以下、可動コンベア8と称する。)と、再び、サセプタ6を停留及び次工程へ搬送する機能を持つ第3コンベア(以下、後コンベア9と称する)とを備えて構成されている。前コンベア7と可動コンベア8と後コンベア9とは、それぞれ、制御手段5で動作制御されるとともに、前工程及び後工程からの情報が制御手段5に入力される。
【0070】
可動コンベア8は、制御手段5の制御の基に、移動装置50で、2つのポジションA,B間を移動する。そのポジションは、前及び後コンベア7,9とサセプタ6の受け渡しを行うポジション(以下、受渡しポジションと称する)Aと、誘導コイル3のあるポジション(以下、加熱ポジションと称する)Bの2つを含む。
【0071】
前記構成によれば、まず、サセプタ6の平面部6aに基板1を載せ、基板1の半田付け部に半田材料1bを供給し、半田付けする部品1aをその上に載せる前工程を行う。
【0072】
その後、前コンベア7により、基板1を載せたサセプタ6が一括局所加熱装置内に搬送される。同サセプタ6は、そのサセプタ6上の基板1よりも前に処理すべき基板1、すなわち、先に可動コンベア8上に載置されていた基板1が可動コンベア8を通り、後コンベア9に搬送されるまで、前コンベア7上に停留される。
【0073】
前の基板1が、受渡しポジションAに停留する可動コンベア8上から、後コンベア9に搬送された後に、前コンベア7上のサセプタ6を、受渡しポジションAに停留する可動コンベア8に移載する。
【0074】
次に、可動コンベア8が、受渡しポジションAから加熱ポジションBに、可動コンベア8の幅方向に移動装置で移動し、加熱ポジションBで、サセプタ6内に誘導コイル3を収める。
【0075】
次に、第1実施形態の手順に従い、誘導コイル3で加熱して半田付けを行い、完了後、再び、可動コンベア8が加熱ポジションBから受渡しポジションAに移動する。このとき、サセプタ6内から誘導コイル3が抜き出される。
【0076】
次に、受渡しポジションBにて、サセプタ6を可動コンベア8から後コンベア9移載し、可動コンベア8は次のサセプタ6が前コンベア7から来るまで待機する。後コンベア9は、後工程が空くまでサセプタ6を停留させ、後工程が空いた後、後工程に搬出する。
【0077】
本第2実施形態の構成を採ることにより、プリント配線基板1と部品1aが半田1bにより固着し強度的に安定するまで、サセプタ6上からのプリント配線基板1の移載が無いため、安定した半田付けが可能となる。
【0078】
なお、ここまでの動作事例は、予備加熱〜本加熱〜冷却までの全温度プロセスを加熱ポジションで行なっていたが、図9Cに示したように、前コンベア7上に新たな誘導コイル3あるいはランプあるいはホットエアー口3Hあるいはそのうち複数の手段を設けることにより、前コンベア7で予備加熱を行い、可動コンベア8で本加熱を行うことにより、温度プロセスを並行して行う事も可能である。この場合、各ポジションで、温度プロセスを並行して進めることができ、装置全体としてタクト短縮を行う事が可能となる。
【0079】
あるいは、後コンベア9上に新たな誘導コイル3あるいはランプあるいは冷却エアー口あるいはそのうち複数の手段を設けることにより、同じく温度プロセスを並行して行う事も可能である。この場合も、各ポジションで、温度プロセスを並行して進めることができ、装置全体としてタクト短縮を行う事が可能となる。
【0080】
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明にかかる一括局所加熱装置は、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、被加熱対象の全体に対して均一な加熱を可能とし、プリント配線基板等の被加熱対象(被加熱物)を加熱及び半田付けする場合等に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 プリント配線基板
1a 部品
1b 半田材
2 平面サセプタ
3 誘導コイル
3a 誘導コイル端
3b 誘導コイル端
3c 誘導コイル直線部
4 温度計測器(温度検出部)
5 制御手段
6 筒状サセプタ
6a 平面部
7 前コンベア
8 可動コンベア
9 後コンベア
33 交流電源
50 移動装置
A 受渡しポジション
B 加熱ポジション
W ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等の被加熱対象(被加熱物)を加熱及び半田付けする際に用いる一括局所加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板等の被加熱物を加熱及び半田付けの際に用いる加熱装置として、熱風式リフローなどが、一般的に採用されている。また、電子部品は小さく薄くなり、耐熱性の無い部品が増加してきている。しかし、熱風式リフローなどの加熱装置は、一括加熱方式を基本としている為、被加熱物に対し全て同じ加熱を実施する。したがって、耐熱性の無い電子部品は熱によるダメージを受ける。よって、耐熱性の異なる被加熱物をそれぞれに対して最適に加熱及び半田付けすることは、現在の一括加熱方式の装置では困難である。
【0003】
このような弱耐熱部品としては、例えばモバイル機器用小型カメラモジュールなどが挙げられる。
【0004】
これに対して、部品側で対応する方法として、コネクタによる実装(特許文献1を参照)などが提案されている。しかしながら、問題点として、コネクタ、あるいは、ケーブルとコネクタとの両方を準備しなければならず、部品点数が増えるといった課題がある。また、コネクタを基板に実装した後に、カメラモジュールを組み込む工程が必要となり、組立の効率化が充分であるとは言えずコストアップ要因となる、などの課題もある。
【0005】
そのため、弱耐熱部品の実装に対して実装側で工夫する方法として、誘導加熱を用いた方法が提案されている。従来例(特許文献2を参照)では、図10に示すように、プリント配線基板111が設置されて搬送経路に沿って所定の速度で連続搬送されるパレット(本パレットは、基板の支持台と誘導加熱により温まり支持されている基板を加熱するヒーターの役割を兼ねている。以下、同パレットを平面サセプタ112と称する。)と、誘導コイル113と、温度検出手段114と、前記温度検出手段114の検出温度に応じて前記コイル113に供給する交流電流を調節しながら平面サセプタ112の加熱量を制御する制御手段115とを備える。
【0006】
前記従来例の動作は、プリント配線基板111の設置に先立って、平面サセプタ112の表面温度が温度検出手段114で検出される状態において、制御手段115によりコイル113に交流電流が流され、それにより平面サセプタ112が電磁誘導加熱され、プリヒート温度近傍の所定の温度に制御される。その後に、プリント配線基板111がステージ上に設置され、所定のプリヒート温度に達するまでプリヒートされる。
【0007】
その後の本加熱工程で、平面サセプタ112の表面温度が温度検出手段114で検出される状態において、制御手段115によりコイル113に交流電流が流されて、平面サセプタ112が所定の本加熱温度に加熱され、それにより昇温されたプリント配線基板111上の半田111bが溶融する。本加熱温度が所定時間だけ保たれた後、ステージからプリント配線基板111が搬出される。搬出後に、プリント配線基板111上の半田111bが冷えて固まることにより、部品111aがプリント配線基板111に固着される。
【0008】
このような一連の動作により、弱耐熱部品の実装を可能としている。
【0009】
また、サセプタ全体の温度を均一にするため、トンネル状にコイルを巻き、その内側に平面サセプタを通すなどの工夫が、特許文献3で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3799615号公報
【特許文献2】特許第4282501号公報
【特許文献3】特開2007−36110公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献2の従来の誘導加熱による構成では、誘導電流を流す部分(サセプタ)が平面状のため、誘導電流が流れない箇所ができる。その箇所の温度が上がらないため、結果として加熱部に温度の不均一が生じ、均一な温度での半田付けができない、という課題がある。
【0012】
これに関して、少し詳しく原因を述べる。誘導電流は電流なので、キルヒホッフの法則に従い一周して元の箇所に戻らないといけない。平面サセプタに周回する電流の流路を隙間なく取ろうとすると、必ず相反する方向の電流が隣り合う箇所が発生する。その箇所は、電流同士が打ち消しあって電流の流れない状況となり、その部分が昇温しないためである。
【0013】
この問題を解決して均熱化した例として特許文献3が挙げられる。本例では、誘導電流を平面サセプタの上面から下面へ一周させることにより、均熱性を実現している。しかしながら、誘導コイルの巻き線内を基板が通過することになり、基板本体にも磁場がかかるため、基板上にも誘導電流が流れてしまい、電子部品への影響が懸念されるという問題がある。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、被加熱対象の全体に対して均一な加熱を可能とする一括局所加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、被加熱対象であるプリント配線基板を載置する平面部を有する筒状のサセプタと、
前記筒状サセプタ内に配置され、かつ、前記被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部が前記サセプタの前記平面部と平行である誘導コイルと、
前記被加熱対象の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする一括局所加熱装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の一括局所加熱装置によれば、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、誘導コイルが被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部がサセプタの平面部と平行であるため、コイルの直線部から発生する磁界はサセプタの平面部において一様になり、被加熱対象が載置される平面部で一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタの温度が均一となる。
【0018】
また、サセプタの発熱量は、サセプタ自体又は加熱対象の一例であるプリント配線基板の温度を温度検出部で検出しつつ制御手段で容易に温度調節できるので、半田付け接合部付近を所望の昇温条件に保ちながら、耐熱性の低い部品の搭載時には、その昇温を仕様限界以下に確実に抑えることができ、加熱の必要な部分のみ効率良く加熱することができる。
【0019】
また、プリント配線基板などの加熱対象に電磁誘導加熱可能な加熱物を接触配置するので、耐熱性の低い部品を搭載したプリント配線基板に対しても、不必要な熱ストレスを与えることなく、部品との接合部を効率良く加熱することが可能であり、生産品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態における一括局所加熱装置の概略斜視図
【図2A】図1の一括局所加熱装置の平面図
【図2B】図1の一括局所加熱装置の正面図
【図2C】図1の一括局所加熱装置の右側面図
【図3A】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの平面図(解析モデル図)
【図3B】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図(解析モデル図)
【図3C】第1実施形態の実施例にかかるサセプタと誘導コイルとの正面図(解析モデル図)
【図4】第1実施形態の実施例(解析結果1)の図
【図5A】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの平面図(解析モデル図)
【図5B】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図(解析モデル図)
【図5C】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの正面図(解析モデル図)
【図6】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析結果の図
【図7A】サセプタ−誘導コイル間の距離を変更した場合の電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの平面図
【図7B】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの正面図
【図7C】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの斜視図
【図7D】比較例としての板形状サセプタの電磁界解析モデルにかかるサセプタと誘導コイルとの右側面図
【図8】サセプタ−誘導コイル間の距離を変更した場合の電磁界解析結果の図
【図9A】本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置の平面図
【図9B】本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置の正面図
【図9C】本発明の第2実施形態の変形例における一括局所加熱装置の正面図
【図10】従来例の一括局所加熱装置の図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1に、本発明の第1実施形態における一括局所加熱装置を示す。
【0022】
一括局所加熱装置は、四角筒状のサセプタ(誘導電流を流す部分)6と、誘導コイル3と、温度検出部の一例としての温度計測器4と、制御手段(制御部)5とを備えて構成している。
【0023】
四角筒状のサセプタ6は、加熱対象の一例としての基板1より広い平面部6aを有している。そして、サセプタ6の平面部6aには、回路部品1aと半田材1bを載せた半田付け前の基板1(以下、回路部品1aと半田材1bとプリント配線基板1を含め全体を、加熱対象の一例として、ワークWと称する。)を設置する。
【0024】
誘導コイル3は、サセプタ6内に設置され、かつ、サセプタ6の平面部6aと平行に配置されかつワークWの1辺より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cが前記サセプタ6の平面部6aと平行となっている。誘導コイル3には、交流電源33から交流電力が付与される。
【0025】
温度計測器4は、基板1の温度を計測する。
【0026】
制御手段5は、温度計測器4からの情報を基に交流電源33を制御して、誘導コイル3に与える交流電力を制御する。
【0027】
図1に示すように、サセプタ6の平面部6aの大きさ(長さ及び幅)は、ワークWの大きさ(長さ及び幅)よりも大きく形成されている。また、誘導コイル3の直線部3cの長さは、ワークWの長さよりも長く形成されている。また、筒状サセプタ6の内側の空間は、誘導コイル3を配置するのに十分な大きさに形成されている。サセプタ6は、磁性材料(例えば、鉄など)で作られており、誘導コイル3は導体材料(例えば、銅など)で作られている。
【0028】
前記構成の一括局所加熱装置は、以下のように動作する。
【0029】
まず、ワークWを筒状サセプタ6の上に載せる。
【0030】
その後、制御手段5は、交流電源33を介して誘導コイル3に交流電流を通電する。誘導コイル3は通電された交流電流によって交流磁場を発生する。この交流磁場の誘導作用によってサセプタ6に誘導電流が流れ、その電流によりサセプタ6が加熱される。すると、サセプタ6の上部に載せられた基板1上のそれぞれの半田材1bが加熱溶融される。
【0031】
その後、半田材1bがそれぞれ加熱溶融すると、制御手段5は交流電源33を介して交流電流の通電を停止する。交流電流の通電を停止するタイミングは、温度センサ4で一定温度になった後に、一定時間経過した後、半田が溶けたと考えて停止させる。
【0032】
停止後、加熱溶融した半田材1bは温度が下がり、ワークW上の回路部品1aと基板1とを半田材1bで固着する。即ち、半田付けされる。温度計測器4は、ワークWの温度を検出し、温度計測器4での検出情報を制御手段5に出力する。制御手段5は、温度計測器4からの検出情報を基に、ワークWが過度に加熱されないように、交流電源33を介して誘導コイル3に通電する交流電流を制御する。
【0033】
図2A、図2B、図2Cに、図1の三面図、すなわち、平面図、正面図、右側面図をそれぞれ示す。プリント配線基板1はサセプタ6上に載せられている。プリント配線基板1の上には、半田材1bを介して、半導体素子又はコンデンサ又は抵抗器などの回路部品1aが載せられている。
【0034】
回路部品1aは、その回路構成によってプリント配線基板1の様々な位置に配置される。回路部品1aの配置に応じて、回路部品1aをプリント配線基板1に半田付けするための半田材1bも様々な位置に配置される。
【0035】
誘導コイル3は、サセプタ6の四角筒状の面に沿った方向(図1の矢印Xの方向)に従ってループ状に巻かれている。また、そのループは、サセプタ6が筒状の穴をなす方向(図1の矢印Yの方向)にほぼ一定間隔で複数ターン形成され、コイル全体としてスパイラル状に巻かれている。このように誘導コイル3とサセプタ6を形成して配置する事により、誘導コイル3により、サセプタ6に発生する誘導電流は、四角筒を構成する面に沿って一様に流れ、従来例の様に電流同士が打ち消しあうような箇所は発生しない。
【0036】
また、前述の通り、このコイル3が、ワークWの1辺より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cとサセプタ6の平面部6aとを互いに平行に配置している。このような構成のため、コイル3の直線部3cから発生する磁界はサセプタ6の平面部6aにおいて一様になり、ワークWが載置される平面部6aで一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタ6の温度が均一となる。そのサセプタ温度は、サセプタ6の平面部6a上に載ったワークWに均一に作用する。その結果、ワークWの一例であるプリント配線基板1の様々な位置に配置された半田材1bを均一に加熱溶融することができる。
【0037】
なお、サセプタ6は、全体が同一材質でかつ同一厚みである必要はなく、例えば、半田付けに使用するサセプタ6の平面部6a以外を厚くする構成、抵抗の小さい材料を使う構成、又は、磁性の小さい材料を使う構成、などの種々の構成をとれば、半田付けに寄与しない面からの放熱を減らすことができ、結果として、一括局所加熱装置の消費エネルギーを減らす事も可能となる。
【0038】
<実施例1>
第1実施形態における、筒状サセプタ6と誘導コイル3の実施例を、三次元電磁界解析の結果により示す。三次元電磁界解析は、AnsoftHFSS(ver 11.0)(アンシス・ジャパン株式会社)を用いた。
【0039】
まず、誘導コイル3によりサセプタ6に発生する誘導加熱作用が均一になることを、詳細に説明する。
【0040】
図3A〜図3Cは、図1の誘導コイル3とサセプタを取り出したモデルである。
【0041】
筒状サセプタ6は、長方形の板を4枚、筒状に組み合わせた形状をしている。半田付け対象の基板1であるワークWを載せる面を平面部6aとする。誘導コイル3は、サセプタ6の筒状の面に沿った方向に従ってループ状に巻かれている。そのコイル3は、サセプタ6の平面部6aと平行な直線部3cを持つ。また、そのコイル3は、ほぼ一定間隔でスパイラル状に巻かれている。また、誘導コイル3の両端である3a,3bから、交流電源33を介して交流電力が与えられる。
【0042】
この実施例では、サセプタ6の寸法は、外形が長辺484mm×短辺242mm×厚み74mm、各筒壁の厚みが1mmで、短辺方向に穴が開いている筒状の形状をしており、材質は鉄である。誘導コイル3は、Φ6mmの線を、410mmの長さの2本の直線部3cを、平行に40mm離し、その間を円弧でつないでループ状にし、それをスパイラル状にピッチ8mmで25ターン巻いている構成である。誘導コイル3の材質は銅である。
【0043】
サセプタ6とコイル3の位置関係は、サセプタ6の平面部6aとコイル3の直線部3bとが平行で、かつ、その導体間の距離が10mmになるように配置されている。
【0044】
また、誘導コイル3の両端3a、3bはサセプタ6外に引き出し、交流電源33を介して交流電力を与えている。
【0045】
図3Aに、交流電源33を介して誘導コイル3に印加された交流電流の、ある瞬間における方向を実線の矢印で示す。図3Cにおいて、誘導コイル3の上側直線部3c−1には紙面左から紙面右へ電流が流れている。また、下側直線部3c−2には紙面右側から紙面左側へ電流が流れている。
【0046】
本電流により磁界が発生する。その磁界は、図3Bの左側に位置するコイル3の線全体を囲むようにして左回りの向きに磁束100aが発生する。また、図3Bの右側に位置する誘導コイル線の全体を囲むようにして右回りの向きに磁束100bが発生する。
【0047】
誘導コイル3を取り囲むように配置されているサセプタ6においては、交流磁場によって誘導コイル3が発生する磁束密度が変化すると、電磁誘導作用によって誘導電流が発生する。その向きは、磁束密度の増減を打ち消すように磁束を発生させる向きとなる。
例えば誘導コイル3が発生する磁束100a、100bが増加する場合は、図3Aに示すような誘導電流101が発生する。
【0048】
言い換えると、図3Aに示すように、サセプタ6には、コイル3に沿って、筒状の長手方向101に誘導電流が流れる事となる。
【0049】
このとき、誘導コイル3の直線部3bの全体から発生する磁場は、スパイラル状に巻かれたピッチが一様であり、かつ、流れる電流値が同一であり、かつ、電流の方向が揃っているため、サセプタ6の平面部6aと平行な面に対して均一な磁界を発生する。このため、サセプタ6の平面部6aは、誘導コイル3の直線部3bから均一に磁場の影響を受けるため、均一な誘導電流101が発生し、その結果、均一な誘導加熱作用が得られる事となる。
【0050】
図4に、サセプタ6の平面部6aの誘導電流密度分布を、図3A〜図3Cの前記実施例での解析で求めた結果を示す。
【0051】
この図4は、電流密度値を、0から同平面部6aの誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で区分けしている。半田付け工程で一般に必要と言われる温度±10%の領域が、図4の中央の白い部分であり、サセプタ6の全体の面積に対して約60%と広い均一温度領域が確保できた。
【0052】
また、図4は誘導電流密度の分布であり、サセプタ6の熱伝導効果により、一層の均熱面積向上の効果が得られる。
【0053】
次に、第1実施形態の比較例として、サセプタ6の形状が筒状ではなく、1枚板状であるサセプタ2の場合には、誘導加熱効果が得られない実例を紹介する。 図5A〜図5Cに比較例のモデルを示す。
【0054】
サセプタ2は、その外形が長辺484mm×短辺242mm、厚みが1mm、の一枚板形状である。サセプタ2の材質は実施例1(図3A〜図3C)と同じく鉄である。また、誘導コイル3の形状及び材質は、共に実施例1と同様である。言い換えると、実施例1の構成と位置関係をほぼ踏襲して、サセプタを、筒状からワークWを設置する平面部6aのみを残した一枚板形状に変更した形である。
【0055】
図6に、サセプタ2の平面2aの誘導電流密度分布を、電磁界解析で求めた結果を示す。
【0056】
この図6は、実施例1と同じく、電流密度値を、0から同平面部2aの誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で区分けしている。
【0057】
本結果から見られるとおり、電流は端部に集中して均熱化効果が得られない。また、サセプタ2の中央部の誘導電流値も、実施例1と比較して、10分の1程度であり、効率も大変悪い。この原因は、サセプタ2が一枚板状であるため、誘導電流の流れる回路(流路)が形成されず、誘導電流が流れないためである。
【0058】
次に、サセプタ2と誘導コイル3の距離又はコイルピッチにより、均一化が妨げられる場合もある例も紹介する。
【0059】
図7A〜図7Dに前記例のモデルを示す。
【0060】
誘導コイル13は、単純化のため1ターンとした。誘導コイル13の直線部13c=100mm、直線部13cの間隔45mmとし、直線部13c間を円弧状につないだ形状とし、材質を銅とした。サセプタ16は筒の厚み1mmの鉄とした。また、サセプタ16の平面部16aを、長辺170mm×短辺40mmの大きさとし、誘導コイル13との距離を2.5mmから2.5mmピッチ毎に12.5mmまで変化させ、誘導電流分布を求めた。
【0061】
図8に、サセプタ16の平面部16aの誘導電流密度分布を、電磁界解析で求めた結果を示す。前記実施例1と同じく、電流密度値を、0から同平面の誘導電流密度の最大値まで、20%毎に5段階で塗り分けた。すなわち、図8の(a)はサセプタ16の平面部16aと誘導コイル13との距離が2.5mm、(b)は距離が5.0mm、(c)は距離が7.5mm、(d)は距離が10.0mm、(e)は距離が12.5mmとする場合の結果である。
【0062】
また、各分布図を比較するための目安として、図8に、各分布図内に同寸の四角を点線で書き込んだ。縦幅は誘導コイル13の直線部13cの長さと合わせており、横幅は直線部13c間のピッチの目安として10mmにしてある。
【0063】
本図8に表れているとおり、サセプタ16とコイル13の間隔が近かったり遠かったりする場合に、誘導電流が一様な面積が減少する。また、サセプタ−コイル間の距離が5〜11mm、より好ましくは7.5〜10mmが、均熱性の高い領域である。これより、第1実施形態にかかる装置でも、サセプタ6の平面部6aとコイル3の直線部3cとの間の距離が5〜11mm、より好ましくは7.5〜10mmが、均熱性の高い領域となることがわかる。
【0064】
本発明の第1実施形態にかかる一括局所加熱装置によれば、誘導電流を利用してプリント配線基板1等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、誘導コイル3が被加熱対象より長い直線部3cを持ち、かつ、その直線部3cがサセプタ6の平面部6aと平行であるため、コイル3の直線部3cから発生する磁界はサセプタ6の平面部6aにおいて一様になり、被加熱対象の一例であるプリント配線基板1が載置される平面部6aで一様の誘導電流が流れることになる。それに従い、誘導電流により発生する熱も均一となり、サセプタ6の温度が均一となる。
【0065】
また、サセプタ6の発熱量は、サセプタ自体又は加熱対象の一例であるプリント配線基板1の温度を温度計測器4で検出しつつ制御手段5で容易に温度調節できるので、半田付け接合部付近を所望の昇温条件に保ちながら、耐熱性の低い部品の搭載時には、その昇温を仕様限界以下に確実に抑えることができ、加熱の必要な部分のみ効率良く加熱することができる。
【0066】
また、プリント配線基板1などの加熱対象に電磁誘導加熱可能な加熱物を接触配置するので、耐熱性の低い部品を搭載したプリント配線基板1に対しても、不必要な熱ストレスを与えることなく、部品との接合部を効率良く加熱することが可能であり、生産品質の向上を図ることができる。
【0067】
<第2実施形態>
図9A及び図9Bに、本発明の第2実施形態における一括局所加熱装置を示す。図9Aにおいて、温度計測器4は、正確にはワークWに重なって図示すべきではあるが、図の複雑化を避けるため、位置をずらせて図示している。
【0068】
第2実施形態にかかる一括局所加熱装置は、第1実施形態と同じ構成の部分として、回路部品1aと半田材1bを載せ半田付け前の基板1を載せる筒状サセプタ6(以下、サセプタと称する)と、サセプタ6の内側に巻かれた誘導コイル3と、基板の温度を計測する温度計測器4と、これらを制御する制御手段5とを備えている。
【0069】
さらに、第2実施形態にかかる一括局所加熱装置では、第1実施形態に加えた部分として、前工程からサセプタ6を搬送及び停留する機能を持つ第1コンベア(以下、前コンベア7と称する)と、サセプタ6を保持し誘導コイル3に導く第2コンベア、言い換えれば、可動コンベア(以下、可動コンベア8と称する。)と、再び、サセプタ6を停留及び次工程へ搬送する機能を持つ第3コンベア(以下、後コンベア9と称する)とを備えて構成されている。前コンベア7と可動コンベア8と後コンベア9とは、それぞれ、制御手段5で動作制御されるとともに、前工程及び後工程からの情報が制御手段5に入力される。
【0070】
可動コンベア8は、制御手段5の制御の基に、移動装置50で、2つのポジションA,B間を移動する。そのポジションは、前及び後コンベア7,9とサセプタ6の受け渡しを行うポジション(以下、受渡しポジションと称する)Aと、誘導コイル3のあるポジション(以下、加熱ポジションと称する)Bの2つを含む。
【0071】
前記構成によれば、まず、サセプタ6の平面部6aに基板1を載せ、基板1の半田付け部に半田材料1bを供給し、半田付けする部品1aをその上に載せる前工程を行う。
【0072】
その後、前コンベア7により、基板1を載せたサセプタ6が一括局所加熱装置内に搬送される。同サセプタ6は、そのサセプタ6上の基板1よりも前に処理すべき基板1、すなわち、先に可動コンベア8上に載置されていた基板1が可動コンベア8を通り、後コンベア9に搬送されるまで、前コンベア7上に停留される。
【0073】
前の基板1が、受渡しポジションAに停留する可動コンベア8上から、後コンベア9に搬送された後に、前コンベア7上のサセプタ6を、受渡しポジションAに停留する可動コンベア8に移載する。
【0074】
次に、可動コンベア8が、受渡しポジションAから加熱ポジションBに、可動コンベア8の幅方向に移動装置で移動し、加熱ポジションBで、サセプタ6内に誘導コイル3を収める。
【0075】
次に、第1実施形態の手順に従い、誘導コイル3で加熱して半田付けを行い、完了後、再び、可動コンベア8が加熱ポジションBから受渡しポジションAに移動する。このとき、サセプタ6内から誘導コイル3が抜き出される。
【0076】
次に、受渡しポジションBにて、サセプタ6を可動コンベア8から後コンベア9移載し、可動コンベア8は次のサセプタ6が前コンベア7から来るまで待機する。後コンベア9は、後工程が空くまでサセプタ6を停留させ、後工程が空いた後、後工程に搬出する。
【0077】
本第2実施形態の構成を採ることにより、プリント配線基板1と部品1aが半田1bにより固着し強度的に安定するまで、サセプタ6上からのプリント配線基板1の移載が無いため、安定した半田付けが可能となる。
【0078】
なお、ここまでの動作事例は、予備加熱〜本加熱〜冷却までの全温度プロセスを加熱ポジションで行なっていたが、図9Cに示したように、前コンベア7上に新たな誘導コイル3あるいはランプあるいはホットエアー口3Hあるいはそのうち複数の手段を設けることにより、前コンベア7で予備加熱を行い、可動コンベア8で本加熱を行うことにより、温度プロセスを並行して行う事も可能である。この場合、各ポジションで、温度プロセスを並行して進めることができ、装置全体としてタクト短縮を行う事が可能となる。
【0079】
あるいは、後コンベア9上に新たな誘導コイル3あるいはランプあるいは冷却エアー口あるいはそのうち複数の手段を設けることにより、同じく温度プロセスを並行して行う事も可能である。この場合も、各ポジションで、温度プロセスを並行して進めることができ、装置全体としてタクト短縮を行う事が可能となる。
【0080】
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明にかかる一括局所加熱装置は、誘導電流を利用してプリント配線基板等の被加熱対象を加熱して半田付けを行う際、被加熱対象の全体に対して均一な加熱を可能とし、プリント配線基板等の被加熱対象(被加熱物)を加熱及び半田付けする場合等に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 プリント配線基板
1a 部品
1b 半田材
2 平面サセプタ
3 誘導コイル
3a 誘導コイル端
3b 誘導コイル端
3c 誘導コイル直線部
4 温度計測器(温度検出部)
5 制御手段
6 筒状サセプタ
6a 平面部
7 前コンベア
8 可動コンベア
9 後コンベア
33 交流電源
50 移動装置
A 受渡しポジション
B 加熱ポジション
W ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱対象であるプリント配線基板を載置する平面部を有する筒状のサセプタと、
前記筒状サセプタ内に配置され、かつ、前記被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部が前記サセプタの前記平面部と平行である誘導コイルと、
前記被加熱対象の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする一括局所加熱装置。
【請求項2】
前記筒状サセプタの前記プリント配線基板を載置する前記平面部と、前記誘導コイルの前記直線部との距離が、5〜11mmであることを特徴とする、請求項1に記載の一括局所加熱装置。
【請求項1】
被加熱対象であるプリント配線基板を載置する平面部を有する筒状のサセプタと、
前記筒状サセプタ内に配置され、かつ、前記被加熱対象より長い直線部を持ち、かつ、その直線部が前記サセプタの前記平面部と平行である誘導コイルと、
前記被加熱対象の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出温度に応じて前記コイルに供給する交流電流を調節しながら前記サセプタの加熱量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする一括局所加熱装置。
【請求項2】
前記筒状サセプタの前記プリント配線基板を載置する前記平面部と、前記誘導コイルの前記直線部との距離が、5〜11mmであることを特徴とする、請求項1に記載の一括局所加熱装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公開番号】特開2012−243955(P2012−243955A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112687(P2011−112687)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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