説明

一軸偏心ねじポンプ

【課題】装置構成がコンパクトであり、送液貯留部に対して流動物を容易に投入できると共に、投入された流動物を確実に圧送することが可能な一軸偏心ねじポンプの提供を目的とした。
【解決手段】一軸偏心ねじポンプ10は、流動物を貯留しておくための送液貯留部20の内部に上方から一軸偏心ねじポンプ機構を備えたポンプ機構部50を挿入した構造とされている。ポンプ機構部50をなすロータ62は、送液貯留部20と一体化され、底部26に立設された状態となっている。流動物の圧送時には、送液貯留部20及びロータ62が一体的に偏心回転する。これにより、流動物がステータ52の下端側から吸い込まれ、上端側に向けて圧送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送対象の流動物を投入するためのホッパーを有し、ホッパーとロータとが一体的に回転可能とされた一軸偏心ねじポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において提供されている一軸偏心ねじポンプあるいは容積型ポンプ機構には、下記特許文献1〜3に示すように、圧送対象の流動物を収容するホッパあるいはケーシングからなる送液貯留部を備えたものがある。この種のポンプにおいては、軸封となるシール装置と、動力回転軸とが送液貯留部の内部に設けられており、動力伝達軸がポンプ機構に連結された構造とされている。特許文献1〜3に示すポンプにおいては、ホッパ等の送液貯留部が他とは独立して配置されている。
【0003】
ここで、圧送対象の流動物がケーキ状、あるいは粘稠性流体である場合には、流動物が送液貯留部の壁面に付着してしまい、ポンプ吸込不良が発生してしまう。そこで、ポンプ吸込不良の発生を抑制すべく、従来技術のポンプにおいては、スクレーパ、フィーダ、あるいはブリッジブレーカ等を設けることにより流動物が送液貯留部の壁面に付着することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2007−126276号公報
【特許文献2】特開2000−128358号公報
【特許文献3】特開2001−120246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1〜3に開示されているような従来技術のポンプは、全体構成が大型化する傾向にある。そのため、特許文献1,2に開示されているポンプのように横置き型とした場合には、大きな設置面積が必要となるという問題が生じる。また、特許文献3に開示されているポンプのように縦置き型とした場合には、ホッパ等の送液貯留部に対する流動物の投入に困難を伴うことになってしまう。
【0006】
また、特許文献1〜3に開示されているポンプのように、フィーダ装置等を送液貯留部内に投入された流動物の移送を補助することとした場合であっても、ねじポンプ機構をなすステータの入口に到達するまでの間の領域において流動物のブリッジ等が発生してしまうことがある。そのため、従来技術のポンプにおいては、送液貯留部に投入された流動物が一部残存し、圧送することができないことがあるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、装置構成がコンパクトであり、送液貯留部に対して流動物を容易に投入できると共に、投入された流動物を確実に圧送することが可能な一軸偏心ねじポンプの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、圧送対象である流動物を収容する内部空間を備えた送液貯留部と、一軸偏心ねじポンプ機構とを有し、前記一軸偏心ねじポンプ機構が、動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータと、内周面が雌ねじ型に形成されたステータとを備え、少なくとも前記ステータの一端側が前記送液貯留部の内部空間内に配置されたものであり、前記ロータが前記送液貯留部と一体的に回転可能とされていることを特徴としている。
【0009】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、一軸偏心ねじポンプ機構のロータが送液貯留部と一体的に回転可能とされ、ステータの少なくとも一端側の部分が送液貯留部内に配置されている。このようにして一軸偏心ねじポンプ機構を送液貯留部内に設けることにより、従来公知の横置き型あるいは縦置き型の一軸偏心ねじポンプ等に比べて上下方向及び水平方向に一軸偏心ねじポンプの装置構成をコンパクト化することができる。
【0010】
上述したように、本発明の一軸偏心ねじポンプは、構成がコンパクトであるため、送液貯留部に対して流動物を投入しやすい位置に投入口等を設けることが可能である。これにより、流動物を送液貯留部に補充する作業をより一層省力化することができる。
【0011】
また同様の知見により提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、圧送対象である流動物を収容する内部空間を備えた送液貯留部と、前記駆動機側において発生した回転動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータと、内周面が雌ねじ型に形成されたステータとを備えており、前記ステータに対して前記ロータが挿入され、前記ステータの一端側から流動物を吸い込み、他端側から吐出可能な一軸偏心ねじポンプ機構が形成されており、前記ロータが前記送液貯留部の内部空間に立設されており、前記ロータと前記送液貯留部とが一体的に回転可能とされており、前記ステータの一端側が前記送液貯留部の内部空間内に配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ロータが送液貯留部の内部空間に立設されており、ロータ及び送液貯留部が一体的に回転可能とされている。また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ステータに対してロータを挿入することにより、一軸偏心ねじポンプ機構が送液貯留部内に設けられているため、従来公知の横置き型あるいは縦置き型の一軸偏心ねじポンプ等に比べて上下方向及び水平方向に装置構成がコンパクトである。
【0013】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプは、コンパクトな構成であるため、送液貯留部に対して流動物を投入しやすい位置に投入口等を設けることができる。これにより、流動物を送液貯留部に補充する作業をより一層省力化することができる。
【0014】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ロータ及び前記送液貯留部の偏心回転をガイドする偏心回転許容手段を備えており、前記偏心回転許容手段が、前記送液貯留部に対して下方側に設置されたものであることが望ましい。
【0015】
かかる構成によれば、送液貯留部側から作用する圧力を偏心回転許容手段において受け止めつつ、ロータ及び送液貯留部の偏心回転を許容することができる。これにより、偏心回転許容手段を上方に設置した場合に比べ下方側の位置に重心位置を設定することが可能となり、装置の安定性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記偏心回転許容手段が、直動案内装置により構成されていることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、送液貯留部側から作用する圧力を確実に受け止めつつ、ロータ及び送液貯留部をスムーズに偏心回転させることが可能となる。また、上述した構成によれば、装置構成を上下方向にコンパクト化し、送液貯留部に対する流動物の投入位置が高くなることを回避できる。これにより、一軸偏心ねじポンプの設置スペースを最小限に抑制しつつ、圧送対象の流動物を送液貯留部に投入する作業を容易化することができる。
【0018】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記一軸偏心ねじポンプ機構が、内周面が雌ねじ型に形成された貫通孔を有するアウターロータと、前記貫通孔内に挿入された雄ねじ状のインナーロータとを備え、前記インナーロータの回転に連動して前記アウターロータが回転することにより、前記貫通孔内に流動物を吸い込んで圧送することが可能なものによって構成されていても良い。このような構成とした場合、前記アウターロータを前記偏心回転許容手段として機能させることとしても良い。
【0019】
かかる構成とした場合、流動物の圧送に伴って発生する偏心回転を一軸偏心ねじポンプ機構を構成するアウターロータによって許容し、受け止めることが可能となり、送液貯留部等の偏心回転を防止することが可能となる。これにより、一軸偏心ねじポンプの装置構成をより一層簡略化することが可能となる。
【0020】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ロータを回転させるための駆動機を有し、前記駆動機が、前記送液貯留部に対して下方側に設置されていることが望ましい。
【0021】
かかる構成によれば、装置構成をコンパクト化することができる。また、重量物である駆動機が送液貯留部よりも下方側に設置されるため、流動物の圧送動作時における一軸偏心ねじポンプの安定性を向上させることができる。
【0022】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ステータに対して一端が固定され、他端が他部材に固定されたステー部材を有し、前記ステー部材が、前記送液貯留部内に設けられていることが好ましい。
【0023】
かかる構成とした場合、送液貯留部内において流動物のブリッジ等が発生し、流動物が送液貯留部内に残存することを防止することができる。
【0024】
また、上述した本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ステー部材が、前記送液貯留部の内周面に沿うように設置されていることが好ましい。
【0025】
かかる構成とした場合、ステー部材によって送液貯留部の内周面に付着した流動物をそぎ落とすことが可能であり、送液貯留部内において流動物のブリッジ等が発生することを防止することができる。これにより、流動物が送液貯留部内に残存することを防止することができる。
【0026】
さらに、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ステー部材が、前記ステータの周方向に複数設けられていることが好ましい。
【0027】
かかる構成とすることにより、送液貯留部の内部に投入されている流動物の影響によらず、ステータを確実に位置決め固定することが可能となる。
【0028】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記送液貯留部及び前記送液貯留部に追従して偏心回転する他部材のいずれか一方又は双方に、カウンターバランサーが設けられたものであることが望ましい。
【0029】
かかる構成によれば、送液貯留部が偏心回転に伴いバランスを崩すことを防止し、送液貯留部の動作を安定化することができる。
【0030】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記送液貯留部の外周面に当接することにより前記送液貯留部の偏心回転を制限する偏心制限手段が設けられているものであっても良い。
【0031】
かかる構成によれば、送液貯留部が適切な範囲内で偏心回転するように送液貯留部の動作を制限することが可能である。これにより、送液貯留部が偏心回転に伴ってバランスを崩すのを防止し、送液貯留部の動作を安定させることができる。
【0032】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ロータを回転させるための駆動機が前記送液貯留部に対して下方側に設置されており、前記ロータが、前記駆動機側に接続される接続部を下方に向けた状態で設置されており、前記送液貯留部の底部に、前記接続部を挿入可能な挿入部が設けられており、前記接続部を前記挿入部に挿入して連結することにより、前記ロータと前記送液貯留部とを一体化可能であることが望ましい。
【0033】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、送液貯留部の底部に設けられた挿入部にロータの接続部を差し込んで連結することにより、ロータと送液貯留部とを一体化することができる。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ロータを適宜交換等することが可能であり、製造及びメンテナンスがしやすい。また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、予め準備されている種々のロータを用途、流動物の性質等を加味して選定して使用することが可能である。
【0034】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記送液貯留部に、前記内部空間の断面積が底部に向けて縮小するように形成された縮小部が設けられており、前記ステータの一端側が、前記縮小部内において開口したものであることが好ましい。
【0035】
かかる構成とすることにより、送液貯留部に投入された流動物をスムーズに縮小部に集め、ステータの一端側に設けられた開口から吸い込むことが可能となる。これにより、送液貯留部内に投入された流動物を送液貯留部内に残存させることなく、圧送することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、装置構成がコンパクトであり、送液貯留部に対して流動物を容易に投入できると共に、投入された流動物を確実に圧送することが可能な一軸偏心ねじポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る一軸偏心ポンプの内部構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す一軸偏心ねじポンプを示す平面図である。
【図3】図1に示す一軸偏心ねじポンプの要部に係る分解図である。
【図4】(a)は図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)において採用されている偏心回転許容手段を示す斜視図である。
【図5】図1に示す一軸偏心ねじポンプの変形例を示す断面図である。
【図6】変形例に係るステー部材を設けた一軸偏心ねじポンプを示す平面図である。
【図7】ツインーロータ型の一軸偏心ねじポンプ機構を採用した一軸偏心ねじポンプの変形例を示す内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1及び図2に示すように、一軸偏心ねじポンプ10は、圧送対象である流動物を投入し貯留するための送液貯留部20と、流動物を圧送するための一軸偏心ねじポンプ機構部50(以下、単に「ポンプ機構部50」とも称す)とを有する。また、一軸偏心ねじポンプ10は、ポンプ機構部50を駆動させるための駆動機70と、偏心回転許容手段80と、偏心制限手段40とを備えている。一軸偏心ねじポンプ10は、送液貯留部20、ポンプ機構部50、駆動機70、偏心回転許容手段80、偏心制限手段40等の各構成部材を筐体12に組み付けた構成とされている。
【0039】
送液貯留部20は、一軸偏心ねじポンプ10の筐体12内に設置されている。送液貯留部20は、後に詳述するポンプ機構部50のロータ62と一体となって偏心回転可能とされている。送液貯留部20は中空であり、筐体12の天面12aに設けられた投入口14を介して内部空間22に圧送対象である流動物を投入可能とされている。送液貯留部20は、上方側が円筒状であり、下方側が円錐状の外観形状を有する。送液貯留部20は、円錐状の外観形状を有する部分(縮小部24)において、内部空間22の断面積が底部26側に向かうに連れて縮小している。
【0040】
送液貯留部20の外周であって、円筒状の部分(円筒部23)と円錐状の部分(縮小部24)との境界近傍には、外側に向けて突出したフランジ部28が設けられている。フランジ部28は、送液貯留部20の略全周に亘って形成されており、そのうちの一部の部分にカウンターバランサー30が取り付けられている。カウンターバランサー30は、偏心回転する送液貯留部20のバランスを取るために設けられたものである。カウンターバランサー30は、所定の重さを有する一又は複数の金属板等からなる錘30aによって構成されており、錘30aの数量を調整することにより総重量を調整することができる。
【0041】
また、送液貯留部20の偏心回転を制限するための手段として、偏心制限手段40が筐体12に取り付けられている。偏心制限手段40は、従来公知のキャスターによって構成されており、送液貯留部20を構成する円筒部23の外周面に接触可能とされている。これにより、送液貯留部20が過度に偏心回転しないように、偏心回転領域が制限されている。
【0042】
図1及び図3に示すように、送液貯留部20の底部26には、挿入部32が設けられている。挿入部32は、後に詳述するポンプ機構部50のロータ62、及び駆動機70の駆動軸74を挿入し接続するためのものであり、円筒状の外観形状を有する。挿入部32にはピン孔32aが形成されており、ロータ62及び駆動軸74を接続するためのピン34を径方向に横断するように挿入可能とされている。
【0043】
ポンプ機構部50は、いわゆる回転容積型のポンプ機構であり、図1に示すように、ステータ52及びロータ62によって主要部が構成されている。ステータ52は、円筒形のステータ格納筒56の内側に、ゴム等の弾性体や樹脂などで作成された略円筒形のライニング部材58を取り付けたものである。ライニング部材58の材質は、一軸偏心ねじポンプ10を用いて移送する被搬送物である流動物の種類や性状などにあわせて適宜選択される。ライニング部材58に形成された貫通孔54の内周面54aは、n条で単段あるいは多段の雌ねじ形状とされている。本実施形態では、図1や図2に示すように2条で多段の形状とされている。
【0044】
ステータ52は、図1に示すように送液貯留部20内において略直立状態で設置され、図2に示すようにステータ格納筒56の外周に略放射状に装着された複数のステー部材60により固定されている。ステー部材60は、長尺状であって屈曲した鋼材によって構成されている。ステー部材60は、送液貯留部20の内周面に沿う形状に屈曲している。具体的には、ステー部材60は、ステータ格納筒56に対して径方向外側に向けて略水平に延びる接続部60aに連続した傾斜部60b、及び傾斜部60bに連続した鉛直部60cを有する。
【0045】
傾斜部60bの傾斜は、送液貯留部20をなす縮小部24の傾斜と略同一とされている。傾斜部60bは縮小部24に沿うように配置されており、鉛直部60cは円筒部23に沿うように配置されている。傾斜部60b及び鉛直部60cと送液貯留部20との間には、送液貯留部20が偏心回転しても接触しない程度の隙間が形成されている。ステー部材60は、接続部60aの端部をステータ格納筒56に接続し、鉛直部60cの端部を筐体12の天面12a側に接続することにより固定されている。
【0046】
ステータ52は、一端側(下端側)が送液貯留部20内に配置され底部近傍、具体的には縮小部24内に到達している。ステータ52の一端部(下端部)と送液貯留部20の底部26との間には、ステータ52と送液貯留部20との間で流動物を流出入させることが可能な程度の隙間が設けられている。また、ステータ52の他端側は、筐体12の天面12aを貫通し、筐体12の外に取り出されている。
【0047】
ロータ62は、金属製の軸体であり、n−1条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ロータ62は、1条で多段とされている。ロータ62は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状がほぼ真円形となるように形成されている。ロータ62は、上述したステータ52の貫通孔54に挿通することにより、貫通孔54の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【0048】
図3に示すように、ロータ62の一端側には、上述した送液貯留部20の挿入部32に挿入可能な接続部64が設けられている。また、接続部64には、ピン孔64aが設けられている。ロータ62は、接続部64を送液貯留部20の挿入部32に挿入し、ピン孔32a,64aに亘ってピン34を挿通して連結することにより、送液貯留部20と一体化されている。これにより、ロータ62は、送液貯留部20の略中央部に立設された状態となっている。また、後に詳述するように、ロータ62は、挿入部32においてピン34により、駆動機70の駆動軸74とも接続されている。これにより、ロータ62は、駆動機70から出力される回転動力を受けて、送液貯留部20と共に一体的に回転することができる。
【0049】
ロータ62をステータ52に対して挿通すると、ロータ62の外周面62aとステータ52の内周面54aとが両者の接線にわたって当接した状態になり、内周面54aと外周面62aとの間に流体搬送路66(キャビティ)が形成される。流体搬送路66は、上述したステータ52やロータ62のリードの長さLを基準長Sとした場合に、ステータ52やロータ62の軸方向にリードの基準長Sのd倍の長さを有する多段(d段)の流路となっている。
【0050】
流体搬送路66は、ステータ52やロータ62の長手方向に向けて螺旋状に延びている。また、流体搬送路66は、ロータ62をステータ52の貫通孔54内において回転させると、ステータ52内を回転しながらステータ52の長手方向に進む。そのため、ロータ62を回転させると、ステータ52の一端側から流体搬送路66内に流動物を吸い込むと共に、この流動物を流体搬送路66内に閉じこめた状態でステータ52の他端側に向けて移送し、ステータ52の他端側において吐出させることが可能である。すなわち、ロータ62を回転させることにより、一端側から吸い込んだ流動物を圧送し、他端側から吐出することが可能であり、ロータ62の回転方向を正逆切り替えることにより流動物の圧送方向を切り替え可能である。
【0051】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ10は、送液貯留部20内に投入されている流動物をステータ52の一端部(下端部)から吸い上げ、他端部(上端部)から吐出させる動作を主目的とするものである。従って、通常の運転時には、流動物をステータ52の下端側から吸い上げ上端側から吐出可能な方向(正方向)にロータ62が回転する。また、洗浄等のために必要な場合には、逆方向にロータ62を回転させ、ステータ52の上端側から下端側に向けて流動物を圧送することができる。
【0052】
上述した送液貯留部20の下方には、駆動機70及び偏心回転許容手段80が設けられている。図1及び図3に示すように、駆動機70は、モータ72の動力により回転駆動する駆動軸74を有する。駆動軸74は、送液貯留部20の底部26に設けられた挿入部32に挿入される軸部76と、軸部76の軸心方向に対して交差する方向(略直交方向)に張り出すように設けられたフランジ部78とを有する。駆動軸74は、フランジ部78と駆動機70の本体との間に設けられた軸受79等により、回転自在なように支持されている。
【0053】
軸部76には、ピン34を挿入可能なピン孔76aが設けられている。送液貯留部20の挿入部32に対して軸部76を下方から差し込むと共に、ロータ62を挿入部32に対して上方から差し込むと、各ピン孔32a,64a,76aが連通した状態になる。駆動機70の駆動軸74は、各ピン孔32a,64a,76aに亘って挿通されたピン34により、送液貯留部20及びロータ62と一体化されている。また、送液貯留部20の挿入部32に対して軸部76を下方から差し込んだ状態において、フランジ部78が送液貯留部20の底面に固定されている。これにより、挿入部32の下部開口が完全に閉塞された状態になっている。また、駆動機70は、流動物の圧送時にロータ62及び送液貯留部20と共に一体的に偏心回転する。すなわち、駆動機70の駆動軸74は、送液貯留部20及びロータ62と同様に自転しつつ公転する動作を行う。
【0054】
駆動機70は、筐体12の底面12b上に設置された偏心回転許容手段80のテーブル82上に搭載されている。偏心回転許容手段80は、送液貯留部20、ロータ62、及び駆動機70の偏心回転を許容し、ガイドするために設けられている。偏心回転許容手段80は、送液貯留部20等の偏心回転を許容し、ガイドしうるものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では直動案内装置(XYリニアガイド)が採用されている。偏心回転許容手段80をなす直動案内装置は、テーブル82が水平方向(X−Y方向)に向けてスムーズかつ自由に動作可能なものである。
【0055】
続いて、一軸偏心ねじポンプ10の動作について説明する。駆動機70を作動させ駆動軸74を正回転させると、ピン34により駆動軸74に対して連結されているロータ62及び送液貯留部20が偏心回転する。ロータ62の回転に伴い、ロータ62とステータ52との間に形成されている流体搬送路66がステータ52内を回転しながらステータ52の下端側から上端側に向けて進行する。これにより、送液貯留部20に貯留されている流動物が、ステータ52の下端部に形成されている開口から吸い込まれ、上方に向けて圧送され、ステータ52の上端部から吐出される。
【0056】
上述したようにして流動物の圧送が開始されると、送液貯留部20及びロータ62は共に偏心回転し、駆動機70及びテーブル82は水平方向(X−Y方向)に直動(公転)する。また、送液貯留部20は、偏心制限手段40によってガイドされつつ、所定の範囲内において安定した状態で偏心回転を行う。
【0057】
送液貯留部20が偏心回転すると、ステータ52の固定用に設置されているステー部材60は、送液貯留部20内に貯留されている流動物に対してスクレーパの役割を果たす。これにより、送液貯留部20内において流動物がブリッジ等を起こすことを回避することができる。また、ロータ62の偏心回転に伴い、送液貯留部20の内部空間22内に準備されている流動物がステータ52内に形成されている流体搬送路66内に吸い込まれ、ステータ52の上端側に向けて圧送される。
【0058】
上述したように、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ10は、ロータ62が送液貯留部20の内部空間22に立設されており、ロータ62と送液貯留部20とが一体的に回転可能とされている。また、ステータ52を送液貯留部20の内部空間22内に差し入れ、ステータ52内にロータ62を挿入することによりポンプ機構部50が形成されている。従って、一軸偏心ねじポンプ10は上下方向及び水平方向に装置構成がコンパクトである。また、装置構成が上下方向にコンパクトであるため、流動物を投入しやすい位置に投入口14を設け、流動物の補充作業をより一層省力化することができる。
【0059】
また、一軸偏心ねじポンプ10は、駆動機70及び偏心回転許容手段80を、送液貯留部20に対して下方側に設置したものであり、ロータ62及び送液貯留部20の偏心回転を許容しつつ、上方に向けて大型化することを回避することができる。また、駆動機70及び偏心回転許容手段80を下方側に設置することにより、一軸偏心ねじポンプ10の重心位置を設置面に近い位置に設定することが可能となる。これにより、送液貯留部20及びロータ62が偏心回転したとしても、安定性を損うことなく運転を継続させることが可能となる。
【0060】
また、一軸偏心ねじポンプ10においては、偏心回転許容手段80が直動案内装置によって構成されていることから、送液貯留部20側から作用する圧力を確実に受け止めつつ、ロータ62及び送液貯留部20をスムーズに偏心回転させることが可能である。なお、本実施形態においては、偏心回転許容手段80として、テーブル82が水平状態を維持しつつX−Y方向に動作可能な直動案内装置を採用した構成を例示したが、本発明はこれに限定される訳ではなく、送液貯留部及びロータ62の偏心運動をガイド可能なものであればいかなるものであっても良い。
【0061】
具体的には、図4に示す偏心回転許容手段90においては、ロータ62の延長線上に下方に延びる案内軸92が設けられ、駆動機70の下方にガイド板94が設けられる。図4(b)に示すように、ガイド板94には、送液貯留部20及びロータ62の偏心運動の軌跡にあわせて孔あるいは溝からなるガイド部96が形成され、このガイド部96に案内軸92が差し込まれる。このような偏心回転許容手段90を設けた場合についても、偏心回転許容手段80を設けた場合と同様にロータ62及び送液貯留部20の偏心回転を一定の範囲内において許容しつつ、上方に向けて大型化することを回避することができる。
【0062】
また、上述した偏心回転許容手段80,90に代えてボールベアリング等の軸受を2列に配置し、これらによって送液貯留部20及びロータ62の偏心回転、すなわち自転運動及び公転運動を受け止めることも可能である。また、送液貯留部20及びロータ62の偏心運動領域が小さい場合には、上述した偏心回転許容手段80,90を設ける代わりに、ゴムあるいはバネ等の弾性体を設けることにより、偏心運動を受け止めるようにしても良い。
【0063】
本実施形態においては、ステータ52の固定用としてステータ格納筒56の外周に複数、放射状に取り付けられたステー部材60が送液貯留部20の内部空間22内に設けられている。そのため、流動物の圧送に伴って送液貯留部20が回転すると、内部空間22において流動物のブリッジ等を防止することができる。また、ステー部材60が、送液貯留部20の内周面に沿うように設置されているため、ステー部材60がスクレーパの役割を果たし、ステー部材60によって送液貯留部20の内周面に付着した流動物をそぎ落とす効果が得られる。これにより、流動物が送液貯留部20内に残存することを防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、ステー部材60をステータ52の外周に複数、放射状に固定した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、設置数、設置位置等は適宜変更することが可能である。また、上述したステー部材60は、送液貯留部20の内周面に沿うように屈曲した形状を有するが、ステー部材60の形状、大きさ等についても適宜変更することが可能である。また、流動物が送液貯留部20の内周面に付着したまま残存すること、あるいは流動物がブリッジ状態になること等を解消するための手段をステー部材60に代えて、あるいはステー部材60に加えて設けることが可能である。
【0065】
ステー部材60の変形例についてさらに具体的に説明すると、図6に示すようにステー部材60の接続部60aから傾斜部60bに亘ってスクロール状に湾曲した形状とすることが可能である。さらに詳細に説明すると、上記実施形態において示した例において、ステー部材60は、上方から見て接続部60aから傾斜部60bに亘って直線的に延びるように形成されている(図1及び図2参照)。これに対し、図6に示す例においては、接続部60aの基端から傾斜部60bの末端に至る中間部分において、送液貯留部20及びロータ62の回転方向(図6において矢印で示す方向)に膨出するように湾曲するようにステー部材60が形成されている。図6に示すような形状とすることにより、送液貯留部20内に貯留されている流動物が送液貯留部20の略中心側に向けてより一層集まりやすくなる効果が得られ、流動物をステータ52の端部から吸い込みやすくなる。
【0066】
上述したように、一軸偏心ねじポンプ10は、送液貯留部20にカウンターバランサー30が設けられていることから、偏心回転に伴って送液貯留部20がバランスを崩してしまうことを防止し、送液貯留部20の動作を安定化することができる。なお、カウンターバランサー30が存在しなくても送液貯留部20が安定した状態で回転可能な場合には、カウンターバランサー30を省略することが可能である。
【0067】
また、上述したカウンターバランサー30は、必ずしも送液貯留部20に設置される必要はなく、例えば送液貯留部20に代えて、あるいは送液貯留部20に加えて、送液貯留部20に追従して偏心回転する他部材にカウンターバランサー30に相当する錘を設置することとしても良い。具体的には、ロータ62の延長線上に下方に延びる軸を設け、この軸に対してフライホイール等を取り付けることによってもカウンターバランサー30を設けた場合と同様に送液貯留部20の偏心回転を安定化することができる。
【0068】
また、一軸偏心ねじポンプ10においては、キャスター等からなる偏心制限手段40が送液貯留部20の外側に設けられている。これにより、送液貯留部20が所定の範囲を超えることなく安定した状態で偏心回転することができる。なお、本実施形態においては、偏心制限手段40を設けた構成を例示したが、送液貯留部20の偏心回転幅が小さい場合あるいは偏心回転許容手段80等により偏心回転を十分制限可能な場合等には、偏心制限手段40を設けない構成としても良い。
【0069】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ10は、ロータ62の接続部64を送液貯留部20の底部26に設けられた挿入部32に挿入することにより、ロータ62と送液貯留部20とをピン34を用いて一体化することができる。従って、ロータ62を適宜交換等することが可能であり、製造及びメンテナンスがしやすい。また、予め準備されている種々のロータ62から用途等に応じて適切なものを選定し、使用することが可能である。
【0070】
本実施形態においては、ロータ62を適宜交換可能とすべく、ピン34の着脱により送液貯留部20とロータ62とを一体化、あるいは分解可能とした構成を例示したが、本発明はこれに限定される訳ではなく、送液貯留部20とロータ62とを溶接等により一体化した構成とすることも可能である。また、送液貯留部20とロータ62との連結構造は、上述したものに限定される訳ではなく、適宜変更することが可能である。
【0071】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ10においては、送液貯留部20に縮小部24が設けられており、下方に向けて先すぼみの形状とされている。そのため、送液貯留部20内に投入された流動物が底部26に集まりやすい。また、ステータ52の一端部(下端部)が縮小部24内に開口しているため、底部26の近傍に集まった流動物をスムーズに吸い込むことが可能である。これにより、送液貯留部20内に投入された流動物を送液貯留部20内に残存させることなく、圧送することが可能となる。
【0072】
本実施形態に例示した縮小部24は、直線的な傾斜面によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、湾曲した面等によって構成されていても良い。また、送液貯留部20は、必ずしも縮小部24を備えたものである必要はなく、寸胴型のものであっても良い。
【0073】
本実施形態においては、送液貯留部20及びポンプ機構部50が略直立するように設けられたものを例示したが、これらは必ずしも略直立している必要はなく、送液貯留部20あるいはポンプ機構部50のいずれか一方又は双方が傾斜したものであっても良い。また、一軸偏心ねじポンプ10は、図5に示すような横置き型であっても良い。横置き型とする場合は、図5に示すように、送液貯留部20の開放端側に蓋体100を設け、蓋体100と送液貯留部20とのシール部材102を設ける等の方策を講じることにより、流動物の漏洩を防止することが好ましい。
【0074】
上述した一軸偏心ねじポンプ10において採用されているポンプ機構部50は、送液貯留部20及びロータ62が偏心回転するものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば従来公知のツインロータ型の一軸偏心ねじポンプ機構のように、送液貯留部20及びロータ62が偏心回転することなく流動物を圧送可能なものであっても良い。具体的には、ポンプ機構部50を、駆動機の駆動軸に連結された雄ねじ状のインナーロータと、内周面が雌ねじ型に形成された筒体からなるアウターロータと、アウターロータを回転可能なように収容可能な収容空間を有するケーシングとを備えたものとすることにより、送液貯留部20及びロータ62が偏心回転しない構成としうる。
【0075】
さらに詳細には、本実施形態においては、ステータ52をステータ格納筒56とライニング部材58を接着等によって一体化した構成を例示したが、ステータ格納筒56に対してライニング部材58を軸心周りに自由に回転可能に装着することにより上述したツインーロータ型の一軸偏心ねじポンプ機構を構成することができる。このように構成した場合には、ロータ62が上述したインナーロータとして機能する。また、ライニング部材58がアウターロータとして機能し、ステータ格納筒56がアウターロータを収容するケーシングとして機能する。
【0076】
ポンプ機構50を上述したツインロータ型の構成とすることにより、流動物の圧送時に発生する偏心回転がステータ52のライニング部材58によって受け止められ、送液貯留部20及びロータ62が偏心回転することを防止できる。これにより、偏心制限手段40や偏心回転許容手段80を採用する必要がなくなり、一軸偏心ねじポンプ10の装置構成がより一層シンプルなものとなる。
【0077】
ポンプ機構部50をツインロータ型のものとする場合、上述したようにステータ52を構成するステータ格納筒56とライニング部材58とを非接着とし、ライニング部材58をステータ格納筒56内に回転自在に収容した構成に限定されるものではなく、ステータ格納筒56とライニング部材58とを接着により一体化したステータ52に相当する部材を回転自在に支持した構成のポンプ機構部150をポンプ機構部50に代えて採用することも可能である。
【0078】
具体的には、図7に示すように、ポンプ機構部150は、上述したステータ52と同一の構成を有する部材をアウターロータ152とし、ロータ62と同一の構成を有する部材をインナーロータ162とする。アウターロータ152に設けられた貫通孔54内に、インナーロータ162が挿入される。インナーロータ162は、駆動機72に対して接続されている。
【0079】
図7に例示する一軸偏心ねじポンプ10においては、アウターロータ152にスラスト荷重及びラジアル荷重を受けることが可能な軸受ブシュ110が設けられると共に、ステー部材60の接続部60aに軸受ブシュ110用のハウジング112が設けられる。軸受ブシュ110は、回転(ラジアル方向)及び吐出圧による反力を受け止めつつ、アウターロータ152の下端部を回転自在に支持することができる。軸受ブシュ110は、送液貯留部20内において流動物(液体)と接触するものであるため、一般的に用いられるベアリング軸受等ではなく、エンジニアリングプラスチック、あるいは耐食性に優れた金属等によって形成されたものであることが好ましい。また、筐体12の天面12aには、アウターロータ152の上端側の外周を取り囲むように軸受ブシュ116が設けられている。軸受ブシュ116は、前述した軸受ブシュ110のように送液貯留部20内の流動物(液体)と接触する部分に設けられるものではない。そのため、軸受ブシュ116には、従来公知の玉軸受あるいはコロ軸受等を用いることが可能である。また、スイベルジョイント114及び軸受ブシュ116用のハウジング部材118が接続され、ハウジング部材118が吐出ノズルとして用いられる。
【0080】
上述した図7に示すような構成とすることにより、アウターロータ152及びロータ162が軸心周りに自由に回転可能な状態となる。このような状態においてロータ162を回転させると、アウターロータ152がロータ162に対して1対2の回転比で回転する。これにより、アウターロータ152とロータ162との間に形成された流体搬送路66(キャビティ)に、アウターロータ152の下端側から流動物が吸い込まれ、上方に設けられた吐出ノズル(ハウジング部材118側)に向けて供給される。
【0081】
図7に示すようなポンプ機構150を採用した場合には、流動物の圧送時に発生する偏心回転がアウターロータ152によって受け止められ、送液貯留部20及びロータ162が偏心回転することを防止できる。従って、偏心制限手段40や偏心回転許容手段80を設ける必要がなく、その分だけ一軸偏心ねじポンプ10の装置構成を簡略化することが可能となる。また、偏心回転許容手段80を設ける必要がないため、その分だけ一軸偏心ねじポンプ10を上下方向に小型化することが可能である。そのため、投入口14の位置をさらに下方に設け、流動物の投入作業を容易化することができる。
【0082】
なお、図7に示すような構成を採用した場合には、アウターロータ152のステータ格納筒56が送液貯留部20内において回転する。そのため、図7に示すように、ステータ格納筒56の外周にスクリュー等の攪拌手段120を設けることにより、送液貯留部20内に貯留されている流動物を攪拌手段120によって攪拌することが可能となる。これにより、送液貯留部20内において流動物のブリッジ等が発生することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、味噌などのペースト状の食品等を圧送するために好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 一軸偏心ねじポンプ
20 送液貯留部
22 内部空間
24 縮小部
26 底部
30 カウンターバランサー
40 偏心制限手段
50,150 ポンプ機構部
52 ステータ
60 ステー部材
62 ロータ
70 駆動機
80, 90 偏心回転許容手段
152 アウターロータ
162 インナーロータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧送対象である流動物を収容する内部空間を備えた送液貯留部と、
送液貯留部内に貯留されている流動物を圧送する一軸偏心ねじポンプ機構と、
流動物の圧送時に発生する偏心回転を許容するための偏心許容手段とを有し、
前記一軸偏心ねじポンプ機構が、動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータと、内周面が雌ねじ型に形成されたステータとを備え、少なくとも前記ステータの一端側が前記送液貯留部の内部空間内に配置されたものであり、
前記ロータが前記送液貯留部と一体的に回転可能とされていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項2】
圧送対象である流動物を収容する内部空間を備えた送液貯留部と、
前記駆動機側において発生した回転動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータと、
内周面が雌ねじ型に形成されたステータとを備えており、
前記ステータに対して前記ロータが挿入され、前記ステータの一端側から流動物を吸い込み、他端側から吐出可能な一軸偏心ねじポンプ機構が形成されており、
前記ロータが前記送液貯留部の内部空間に立設されており、前記ロータと前記送液貯留部とが一体的に回転可能とされており、
前記ステータの一端側が前記送液貯留部の内部空間内に配置されていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項3】
前記偏心許容手段が、前記送液貯留部に対して下方側に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項4】
前記偏心許容手段が、直動案内装置により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項5】
前記一軸偏心ねじポンプ機構が、
内周面が雌ねじ型に形成された貫通孔を有するアウターロータと、
前記貫通孔内に挿入された雄ねじ状のインナーロータとを備え、
前記インナーロータの回転に連動して前記アウターロータが回転することにより、前記貫通孔内に流動物を吸い込んで圧送することが可能なものであり、
前記アウターロータが前記偏心許容手段として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項6】
前記ロータを回転させるための駆動機を有し、
前記駆動機が、前記送液貯留部に対して下方側に設置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項7】
前記ステータに対して一端が固定され、他端が他部材に固定されたステー部材を有し、
前記ステー部材が、前記送液貯留部内に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項8】
前記ステー部材が、前記送液貯留部の内周面に沿うように設置されていることを特徴とする請求項7に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項9】
前記ステー部材が、前記ステータの周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項10】
前記送液貯留部及び前記送液貯留部に追従して偏心回転する他部材のいずれか一方又は双方に、カウンターバランサーが設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項11】
前記送液貯留部の外周面に当接することにより前記送液貯留部の偏心回転を制限する偏心制限手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項12】
前記ロータを回転させるための駆動機が前記送液貯留部に対して下方側に設置されており、
前記ロータが、前記駆動機側に接続される接続部を下方に向けた状態で設置されており、
前記送液貯留部の底部に、前記接続部を挿入可能な挿入部が設けられており、
前記接続部を前記挿入部に挿入して連結することにより、前記ロータと前記送液貯留部とを一体化可能であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項13】
前記送液貯留部に、前記内部空間の断面積が底部に向けて縮小するように形成された縮小部が設けられており、
前記ステータの一端側が、前記縮小部内において開口していることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−241674(P2012−241674A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115063(P2011−115063)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000239758)兵神装備株式会社 (76)
【Fターム(参考)】