説明

一酸化窒素送達のための局所皮膚送達装置

【解決課題】一酸化窒素(NO)を哺乳動物の治療部位へ局所送達するための局所皮膚送達装置、例えばパッチに開する。
【解決手段】パッチは3層、即ち、活性化ウィンドウを有するバッキング、リザーバとしての吸収材コア、及び皮膚に向いた接着層を有するNO透過性膜とである。活性化前にウィンドウを通してNOドナーを装置中に適用する。活性化後にウィンドウを閉鎖し、NOの分圧、溶解したNOの濃度を増加させるために、蓋およびバッキングはNOを透過性しない。治療する部分に接着層を用いてパッチを固定し、接着層は治療の間中、十分な接触を保証する。生成されたNOはパッチ内を移動し、NO透過性膜を通って治療部分へと漏出する。治療の対象によりパッチ放出曲線は様々であり、適宜選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、局所治療のための局所送達装置の分野に関する。さらに詳細には、本発明は一酸化窒素(NO)を哺乳動物の治療部位に局所送達するための局所皮膚送達装置、例えばパッチに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾患の局所治療のために様々な化合物および送達装置が知られている。
【0003】
例えば、Alza Corporationの米国特許第4781924号は、薬剤投与の開始を遅らせる、治療薬の拡散薬物送達システムを開示している。水分はシステムを活性化させ、これにより薬物は皮膚または粘膜を通した吸収に適した形態に変換される。開示されている活性化薬物の形態は、遊離酸、遊離塩基およびエステルだけである。さらに、開示されたシステムの膜は特定の成分の選択的透過を提供せず、したがって水および水溶性化合物、ならびに変換プロセスの残りの生成物は膜を通って使用者の皮膚中に浸透し得る。これは、使用者側に対して望ましくない副作用につながる可能性がある。
【0004】
多くの疾患の局所治療のために一酸化窒素(NO)を生じる特定の化合物が知られている。Akron大学の国際公開広報第WO2006/058318号は局所一酸化窒素送達システムに関し、様々な疾患状態を緩和または軽減するための同システムの使用に関する。パッチシステムは国際公開広報第WO2006/058318号に開示されているが、バッキングまたは使用者の皮膚に向いた配置に関するパッチの設計についての詳細は開示されていない。パッチは繊維状成分を含み、この成分は、水分または水により活性化される一酸化窒素放出剤を含む。加えて、このような装置を貯蔵することが望ましいならば、貯蔵中にパッチからNOが早期に放出されないことを確実にするために、例えば無水、無酸素および暗所貯蔵を確実にすることによるなどの特別な手段が必要である。実際、国際公開広報第WO2006/058318号で言及されている物質の多くは通常、パッチ中に含まれるNOドナーからの早期NO放出を開始させるために十分な水分を含む。したがって、このようなパッチの貯蔵期間は非常に限定される。さらに、国際公開広報第WO2006/058318号で開示されているNOドナー自体と、開示された酸アクチベーターとは、その両方が皮膚に対して刺激性である可能性があり、このことはパッチには不都合である。国際公開広報第WO2006/058318号ではこれらの成分の皮膚接触を回避する方法に関する方策が開示されていない。
【0005】
Procter&Gambleの国際公開広報第WO2003/000088号は、薬品注入装置を開示し、この装置では活性化合物を含む流体が第1チャンバ中で装置の残りから隔離されている。第1チャンバの破壊可能なシールを破ると、活性化合物が第2チャンバへ放出され、ここから化合物は透過性層を通って放出される。つまり、国際公開広報第WO2003/000088号においては、2つの連続したチャンバからの2段階の放出が記載されている。しかし、この装置は、乾燥状態、無酸素状態、または暗所で貯蔵する必要があり、水分または流体により活性化される化合物には適さない。国際公開広報第WO2003/000088号の装置中で貯蔵される化合物は、貯蔵中にすでに活性化された状態にあり、特定の方法でのみ放出される。さらに、気体状活性化合物については言及されていない。
【0006】
要するに、治療のためにNOを生じる既知の化合物を適用することは今まで非実際的に複雑で、時間がかかるものであった。加えて、NOを生じるシステムの多くは、例えば湿気、酸素、および光に対して非常に敏感であり、特別な条件下で貯蔵しなければならない。このことにより、有利な産業上の利用可能性を可能にする貯蔵寿命を有する製品中にNOドナーを組み入れることは非常に困難になる。
【0007】
さらに、既知の装置は、NOドナーからのNOの局所または経皮送達に関して多くの欠点を示す。
【0008】
したがって、NOの局所適用のための改善されたシステムまたは装置が有利であり、特に、例えば増大した柔軟性、費用対効果、貯蔵時間、使用の利便性、患者に対する適合性、治療の有効性、および/または患者の安全性のうちの1つ以上を可能にする局所経皮送達システムが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4781924号
【特許文献2】国際公開広報第WO2006/058318号
【特許文献3】国際公開広報第WO2003/000088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の実施形態は、好ましくは添付の特許請求の範囲にしたがって、局所パッチ、皮膚用一酸化窒素放出システム、治療法、および有利な治療を可能にする美容整形方法を提供することにより、当該分野における1つ以上の欠陥、欠点または課題、例えば前記のものの単独またはいずれかの組み合わせを緩和、軽減または除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態にしたがって、NOを治療部位に向けて溶出させる局所装置を提供する。本発明のいくつかの実施形態によると、装置中の吸収物質はNOドナー化合物を含み、装置から望ましくない成分の漏出が起こるのを確実に最小にする。
【0012】
本発明の第1の態様にしたがって、局所一酸化窒素送達装置を提供する。この装置は、一酸化窒素に対して実質的に不透過性であり、送達装置において一酸化窒素が放出される間の一酸化窒素濃度の損失を限定するように配置および構成されたバッキング層と、治療される部分に向いた送達装置を利用する一酸化窒素透過性層と、その中での一酸化窒素の分圧または濃度の増加により、前記一酸化窒素を放出流体から放出される一酸化窒素が、送達装置内で一酸化窒素透過層を通って皮膚部分へと向けられるような方法で、その中に一酸化窒素を放出する流体を保持するように配置された、バッキング層と前記一酸化窒素透過性層との間の吸収層とを含む。
【0013】
本発明の第2の態様にしたがって、本発明の第1の態様の局所一酸化窒素送達装置を含むキットを提供する。このキットは、一酸化窒素ドナー化合物および活性化流体用の別個の容器をさらに含み、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体は取り外し可能なシールで互いに分離されているため、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体は、その使用に際して前記装置に移される前に混合可能である。
【0014】
本発明の別の態様にしたがって、医薬の製造における一酸化窒素の使用を提供し、この使用は、一酸化窒素に対して実質的に不透過性であり、医薬中で一酸化窒素が放出される間の一酸化窒素の損失を制限するように配置および構成されたバッキング層と、治療される部分に向かって配置された医薬を利用する一酸化窒素透過性層と、前記バッキング層と前記一酸化窒素透過性層との間にあり、その中の一酸化窒素の分圧または濃度の増加により、前記一酸化窒素放出流体から放出される一酸化窒素が、送達装置内で一酸化窒素透過性層を通って皮膚部分へ向けられるような方法で、その中に一酸化窒素を放出する流体を保持するように配置された、吸収層とを含む。
【0015】
本発明の別の態様にしたがって、一酸化窒素の局所送達方法を提供する。この方法は、本発明の第1の態様の一酸化窒素送達装置において、一酸化窒素ドナーシステムからの一酸化窒素放出を活性化することと、活性化した一酸化窒素送達装置を身体の皮膚部分と接触させて配置し、この送達装置の一酸化窒素透過性層が前記皮膚部分に向けることと、一酸化窒素を前記一酸化窒素送達装置から前記皮膚部分へと前記一酸化窒素透過性層を通して局所的に送達することとを含み、ここで前記一酸化窒素透過性層の透過性は、前記一酸化窒素ドナーシステムの毒性レベルに応じて選択的に選択される。
【0016】
本発明のさらに別の態様にしたがって、治療方法を提供し、この方法は本発明の前記態様にしたがって一酸化窒素を治療部位、例えば末梢神経障害、糖尿病性潰瘍、創傷、皮膚感染、カビによる皮膚攻撃、例えば爪甲真菌症、混合皮膚感染、および/またはウィルス攻撃、例えばいぼの部位に送達することを含む。
【0017】
本発明のさらなる態様にしたがって、化粧方法を提供する。この化粧方法は、本発明の前記態様にしたがって一酸化窒素を美容整形部位、例えば前記一酸化窒素により軽減される瘢痕部位、または前記一酸化窒素により隆起されるたるんだ皮膚もしくはシワ部位に送達することを含む。
【0018】
本発明の第2の態様およびそれに続く態様の特徴は、必要な変更を加えれば第1の態様と同様である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態は従属請求項において定義される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態は、患者に優しくて便利な、皮膚部分への一酸化窒素の送達を提供する。
【0021】
「含む/含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載された特徴、整数、工程または成分の存在を指定すると解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、成分またはこれらの群の存在または追加を排除するものではないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のどの実施形態が可能であるかのこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の記載から明らかであり、説明される。
【図1】多層構造を有する局所パッチの概略図である。
【図2A】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2B】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2C】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図2D】様々なNO透過性層を有するパッチの実施形態の断面図である。
【図3A】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図3B】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図3C】NO不透過性バッキング層の様々な配置を有するさらに別のパッチの実施形態の断面図である。
【図4A】活性化の間に流体がパッチ内部に進入することを可能にする、密閉可能なバッキングを有するパッチの斜視図である。
【図4B】図4Aに示すパッチの断面図である。
【図5】多層構造を有する局所パッチの概略図である。
【図6A】パッチシステム内部への進入口を有するパッチの斜視図である。
【図6B】図6Aに示すパッチの断面図である。
【図7A】使用中にパッチシステム成分の交換を可能にする、再密閉可能なバッキングを有するパッチの斜視図である。
【図7B】図7Aに示すパッチ、ならびにパッチシステムの交換成分を含むさらに別のパッチシステム成分の断面図である。
【図8】破壊可能なレセプタクル中にNOドナー成分および活性化流体を含むパッチシステム成分の概略図である。
【図9】多重区画配置中にNOドナー成分および活性化剤を含むパッチシステム成分の概略図である。
【図10】NOドナー成分および活性化剤をボトルの多重区画配置中に含むパッチシステム成分の概略図である。
【図11A】NOドナー成分および放出活性化流体を混合する前の、図9のパッチおよびパッチシステム成分を含むパッチシステムの斜視図である。
【図11B】NOドナー成分および放出活性化流体を混合し、パッチに活性化混合物を充填した後の、図11Aのパッチシステムの斜視図である。
【図12A】NOドナー成分および活性化剤を多重区画配置中に含む、さらに別のパッチシステムの斜視図である。
【図12B】図12Aにおいて示される線A−Aに沿ったパッチシステムの断面図である。
【図13】NOドナー成分および活性化剤を破壊可能な多重区画配置中に含む、さらに別のパッチシステムの斜視図である。
【図14】多重区画を有するパッチの斜視図である。
【図15】使用中にパッチが適用される皮膚へ、および皮膚からの流体の通路を有するパッチの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の特定の実施形態を添付の図面を参照して説明する。しかし、本発明は多くの様々な形態で具体化でき、本明細書において記載した実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、本開示が徹底的かつ完全になるよう、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝えるためにこれらの実施形態を提供する。添付の図面において説明される実施形態の詳細な記載において用いられる専門用語は、本発明を制限することを意図しない。図中、類似の番号は類似の要素をさす。
【0024】
以下の記載は、局所パッチ、特にNOを放出する局所パッチに適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせる。しかし、本発明はこの用途に限定されず、例えばラップ、包帯などをはじめとする多くの他の送達装置に適用することができると理解されるであろう。
【0025】
図1において示されるように、局所パッチ1の実施形態は、治療される部分に向けられたパッチを利用するNO透過性層300、例えば膜と、NO不透過性層100、すなわちNOについて実質的に透過性でない層、例えば好適な不透過性膜またはフィルムとをバッキングとして含む層状構造を有する。これらの2つの層の間には、吸収またはリザーバ層200が設けられ、吸収コアとも呼ばれる。この吸収コアは、漏れを最小限に抑え、NOドナーのリザーバを提供するために流体保持システムの形態で提供することができる。
【0026】
さらに以下で、NO透過性層300、吸収層200、およびNO不透過性層100のそれぞれに関して多くの実施形態を記載する。さらに、これらの層に隣接して配置された追加の層をいくつかの実施形態に関連して記載する。
【0027】
吸収コアで提供されたNOドナーから、またはさらに具体的にはNOドナー化合物からのNOの放出または溶出を活性化する場合、放出されたNOはパッチ1内で拡散する。好適なNO化合物のいくつかの実施形態をさらに以下で記載する。NOは気体形態で提供することができるか、または液体中に溶解させることができる。拡散の方向は最低拡散抵抗の原理により制御される、すなわち拡散は最も妨害が少ない方向で起こるので、NOは実質的にNO透過性層300を通って漏出するだけである。NO透過性層300は例えば気体状NOまたは溶解したNOについて選択的に透過性である膜である。したがって、パッチの使用において、パッチの内部で放出されたNOは、NO透過性膜を通ってパッチ使用者の皮膚へと向けられる。NO放出は治療部位を効果的に目標とする。
【0028】
NO不透過性層100
加えて、NO不透過性層100は、患者から離れた方向に向けて、すなわちパッチの外面上に配置されて使用される間に、放出されたNOを皮膚に向かわせるだけでなく、パッチ内部のNOの分圧を増加させ、したがってその中に溶解したNOの濃度を増加させるのに寄与する。バッキング層としての働きをするNO不透過性層100、例えばNOについて不透過性である膜は、パッチ中でNOが生成される間の濃度の損失を制限するように配置および構成されており、少なくともNO放出の初期段階中にNO濃度または分圧を増加させる。このような方法で、バッキング層は例えばパッチ内の溶解したNO量を確実に増加させることができる。加えて、バッキング層100は流入口、例えばパッチの内部に進入するためのルアーロックポートを含み得る。
【0029】
吸収層200
吸収層200、すなわち吸収コアは、パッチの使用中に複数の機能を有する。これは、NOドナ−化合物からのNOの放出を活性化させる活性化流体を貯蔵し、保持する。さらに、吸収層200はまたNOドナー化合物と相互作用して、パッチからのドナーの移動が最小であることを保証する。NO放出後にNOドナーが沈殿する場合、吸収材はこのような可能な残留物を効率的に捕捉し、封入する。吸収材システムのもう一つ別の有益な特性は、NOドナーが活性化システムと継続して接触することを保証し、したがって連続したNO放出を保証することである。
【0030】
一つの実施形態において、吸収材コアは吸収システムの形態、例えば、超吸収性粉末(SAP)および/または超吸収性繊維(SAF)等の超吸収性ポリマーまたは同等のゲル化物質であって、流体を吸収し、保持するものにより得られるゲルベースのシステムの形態で提供される。例えばウィッキング、機械的強度などを提供するための当業者に公知の他の物質とともに、吸収成分を組み込むことができる。パッチの貯蔵寿命を向上させるために、NOドナー化合物を使用前にNO放出に関して活性化しない。このことは、NOドナー化合物が不活性形態で配置されている場合でさえも、前記ゲルベースのシステムは貯蔵中に活性化されることを意味する。パッチ内で、使用前にNOドナー化合物を長期貯蔵の間ゲル形態で維持することはできない。従来技術にしたがってゲルならびに様々なリザーバ中で薬物を提供する場合、これは薬物を安定な形態で封入することに焦点を合わせたリザーバ中で薬物を恒久的に貯蔵するために行われる。このことは、パッチの使用に際したNO放出の必要とされる目的の活性化とは対照的である。本出願のリザーバは、実際のNO放出の間、ならびに活性化流体およびドナーの両方を流体段階中にこれらの物質を封入するリザーバ中に保存し、捕捉する場合に機能する。流体段階は、超吸収性ポリマーSAP/SAFまたはその限度内で流体を封入する同等のゲル化物質により得られるゲル構造であってよい。
【0031】
治療される部分に対してNO透過性である膜と吸収コアが良好に接触している場合にパッチからの有利なNO輸送が得られる。このようにして、治療部位への良好なNO輸送が保証される。これを得るための一つの方法は、吸収材をほぼ完全に濡らして、システム中に捕捉された流体が膜と密に接触するようにすることである。完全に濡らすことは、吸収材システムおよび/またはNOドナーシステムに依存して達成され、その60%を越える流体含量の割合で、例えば80%超、または90%超の割合で達成することができる。もう一つの方法は、膜を吸収材上に接着することである。
【0032】
吸収材コアに基づく前記NOリザーバシステムは、パッチからのNO放出が治療全体にわたって維持され、活性化流体およびNOドナーの両方がパッチ内に安全に封入されることを保証する。
【0033】
パッチ中での有利なNO生成およびゲルの使用の結果、NOが液体段階で生じ、治療部位へ拡散するまでこの段階で維持されることを保証する。さらに、有毒である可能性があるNOドナー化合物自体をパッチ中に封入し、NOドナーが皮膚と接触するのを回避する。加えて、特定の場合のNOドナーがNO放出後または放出中に沈殿する場合、残留物は捕捉され、皮膚と接触することができない。
【0034】
出願者等は、局所パッチの効率が、気体状NOと比較して溶解したNOで増加することを見いだした。バッキングはパッチ内部でのNO分圧増加に寄与し、したがって、その内部に溶解したNOの濃度を増加させるが、これは気体状NOよりも効果的である。活性化前のNOドナーの分布も、局所的過飽和を最小限に抑え、これによりNOガス形成を最小限に抑えることにより、高いNO濃度の可能性を増加させる。さらに、パッチからのNO放出は、NO透過性膜と接触した流体に応じて、その流体含量の60%超、例えば80%超、または90%超の吸収材コアの流体含有物の関連で最も有効である。
【0035】
例えば米国特許第2004/0009238号に記載されているような純粋ガス治療は、送達ガス中、非常に高いNO濃度、例えば200ppm以上のNO濃度を必要とする。このような高い濃度は、例えば間違って吸入すると、使用者に危険であり得る。
【0036】
他の好適なリザーバシステムを、すなわちマトリックス物質の吸収材コアだけでない、いくつかの実施形態に関して提供することができる。あるいは、流体、粘稠流体またはゲルもいくつかの実施形態において提供することができる。
【0037】
NOドナーシステム
パッチ中でNOを生成するためのNOドナーシステムのいくつかの実施形態は、O−ニトロシル化基、例えばジアゼニウムジオラート基、S−ニトロシル化基およびO−ニトロシル化基、またはこれらの任意の組み合わせを含むポリマーを含む化合物ベースであり得る。
【0038】
一酸化窒素(NO)を溶出するポリマーは、ジアゼニウムジオラート基、S−ニトロシル化基、およびO−ニトロシル化基、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
パッチ中でNOを生成するためのNOドナーシステムのいくつかの実施形態は、NONOateベースである。
【0040】
ある実施形態は、NO送達のための亜硝酸塩/酸システムに関して提供され得る。
【0041】
活性化流体はプロトンドナーを含み、制限なく、液体、例えば水、生理的緩衝液、および生理食塩水を含む。活性化流体は、局所送達用のNO送達装置1中で、前記化合物などの一酸化窒素ドナーからの一酸化窒素の放出を活性化する。
【0042】
NO透過性層300
治療される部分に向けたパッチの使用において、NO透過性層300、例えば膜は、NO、例えば溶解しているかまたは気体状NOの、パッチから皮膚への拡散を調節するように工夫されている。したがって、NO透過性層300は、パッチから使用者の皮膚へのNO移動速度を調節するような構造である。
【0043】
さらに、パッチ中のNO生成システムに応じて膜を選択することができる。例えば、NO生成システムは、毒性、刺激性、もしくは非毒性であるNOドナー化合物または分解生成物を含み得る。NO透過性層300をこのレベルの皮膚適合性に応じて選択することができる。すなわち、様々な膜が好適であり得る。このようにして、患者の快適性を維持しつつ、費用効果の高い方法でパッチを提供することができる。
【0044】
NO透過性層300を越えて良好な連通が許容される場合、例えばNO生成システムが非毒性である場合、NO透過性層300は、流体の輸送を許容する不織または多孔性物質の膜の形態で作製することができる。この場合、NO生成システムから放出されたNOを、流体中に溶解した状態で膜を越えて皮膚へと輸送することができる。
【0045】
NO透過性層300を越えて中程度の連通が許容される場合、例えばNO生成システムが刺激性である場合、および活性化流体が水である場合、高い水蒸気伝達率(MVTR)物質、例えば微孔性膜またはモノリシック構造の部分的に親水性のブロックポリマー膜をいくつかの実施形態において提供することができる。このような膜の親水性部分を迅速に水で満たし、NOを水中に溶解させた状態で膜を越えて輸送することができる。
【0046】
NO透過性層300を越えて低度の連通が許容される場合、例えばNO生成システムの毒性が中程度ある場合、中程度ないし大きな成分がNO透過性層300を越えて移動することを妨害する必要がある。流体が水である場合、中/低MVTR物質を選択し、これをゆっくりと水で満たす。NOは主に水とともに輸送される。
【0047】
NO透過性層300を越えた連通が許容されない場合、例えばNO生成システムが有毒である場合、パッチシステムの内部をNO生成システムに関して皮膚から完全に分離する必要がある。膜を越えて液体連通が許容されないようにNO透過性層300の材料を選択する。液体輸送は膜により完全に防止される。流体が水である場合、膜を越えた水の輸送を妨害するために、疎水性である少なくとも1つの層を膜中に提供する。この場合、NOは水中に溶解した状態で疎水性層まで輸送される。水を保留する疎水性層から、NOは水から疎水性層を通って皮膚へと向かって拡散する。
【0048】
好適な膜材料は、流体または水の透過を選択的に提供するか、または提供しない構造および材料に応じて、シリコーン、コポリエステル、EVA、PTFE、ならびに使用するために十分な透過性を有するPURである。
【0049】
これまでの膜は、NOよりもはるかに大きな分子で構成される物質に関して透過性であった。NO透過性層300は一酸化窒素分子に関して選択的に透過性であるような構造である。このようにして、NO透過性層300は、望ましくないNOドナー化合物成分がNOの輸送中にNO透過性層300を介して輸送されることを防止する有効な保護バリアを提供する。
【0050】
したがって、NO透過性層300は、パッチからのNO放出を調節するだけでなく、例えば非毒性または非刺激性である場合に、許容された場合はNOドナー化合物またはこれらの成分が皮膚と接触するだけであることを保証する。Benjamin等の米国特許第2005142218号は、皮膚と酸性化剤との直接接触を防止しながら、非気体状硝酸イオンの拡散を許容する膜からなるバリアを開示している。米国特許第2005142218号で開示されている膜は、したがって薬理学上許容される酸性化剤および薬理学上許容される亜硝酸イオン源または亜硝酸前駆体を含む。膜は、一酸化窒素イオンの通過に対して完全に透過性であってもよいし、あるいは部分的に透過性であってもよく、例えば半透性または選択的透過性であってよい。このような膜は、組成物の皮膚との直接接触を防止することができるが、一酸化窒素の皮膚中への拡散を許容し得る。このことは、米国特許第2005142218号で開示されている膜が、NOについて選択的に透過性でなく、NOドナー化合物またはその成分が皮膚と接触しないように制御しないことを意味する。さらに、NOの皮膚部位への直接的、効果的な適用は開示されていない。さらに、パッチ中への流体の進入は提供されていない。
【0051】
NO透過性層300、例えば膜の実施形態のさらなる有益な特性は、NOドナー化合物の膜を通る輸送が最小限に抑えられることである。
【0052】
皮膚接触増進剤
パッチ使用者の皮膚に向いたパッチの使用において、NO透過性層300は、皮膚接触増進層を含み得るか、または隣接する皮膚接触増進層を配置するか、またはその固有の好適な特性により十分な皮膚接触特性をもたらすような接触増進特性を有し得る。
【0053】
皮膚との接触は、接着層、例えばシリコーンゲル層、粘着剤(PSA)、またはヒドロゲル層により増進することができる。皮膚接触増進層は膜と皮膚との間の良好な接触をもたらす。実施形態において、接着層は連続的であり、皮膚の凹凸を埋めるように構成されている。さらに、皮膚接触増進層は、パッチを皮膚に貼り付けるために十分な接着能を提供する。
【0054】
皮膚接触増進層はNOについて透過性でなければならない。パッチの良好な皮膚接触および皮膚接触増進層を通るNOの十分な輸送はどちらも本明細書に記載される実施形態のパッチによりもたらされる。従来は、このような皮膚接触層を通るNO輸送が問題であることは考慮されなかった。患者に優しく、パッチから使用者の皮膚へのNOの有効な放出を提供するために、皮膚増進層はNOについて十分透過性である必要がある。この問題は、皮膚接触層を、NO透過性膜の使用中に皮膚に向けられる側に貼り付けることにより解決できる。さらに以下で、NO透過性層300を通る最適のNO輸送および/または皮膚接触増進に適した物質および他の特性をさらに詳細に記載する。
【0055】
いくつかの実施形態は、持続的療法のために繰り返し使用することができる皮膚接触層を含み、このような実施形態は、ある一定の使用時間後に、使用者の皮膚からパッチを除去せずに新しいものと交換することができる、吸収材交換システムを含む。
【0056】
流体方向付システム
パッチのいくつかの実施形態は、NOドナー化合物を含む流体方向付システムを含み得る。流体方向付システムは、活性化流体を受容し、この活性化流体をNOドナー化合物へと向かわせ、その際に、この活性化流体が吸収材コア中に適用する前にNOドナー化合物を溶解するように配列されている。いくつかの実施形態は、分散システムの形態の流体方向付システムならびに活性化流体を受容するためのパッチとの接続ポイントを含む。例えば、活性化流体を密封されたパッチ中に導入するための1つの注入ポイントを提供する。パッチ中に流体は前述のように吸収される。
【0057】
パッチの貯蔵
いくつかの実施形態において、パッチシステム、または少なくともそのNOドナー化合物の安全な長期貯蔵を保証するための問題を、異なる成分を個別貯蔵することにより解決する。感受性NOドナー化合物を装置内または装置から分離された別個の区画中で貯蔵することにより、必要なパラメータが確実に満たされる。NOドナーに影響を及ぼし得る環境パラメータは、例えば水分、酸素、および光である。他方で、パッチシステムのいくつかの各成分の分離は、成分の統合を、簡単で使用者に優しくかつ効率的な方法で実施できるような設計に対して高い要求が課される。いくつかの実施形態において、この課題は、再密封可能であるか、または閉鎖可能な開口部、例えばパッチのバッキング中、すなわちパッチのNO不透過性層中に設けられた活性化ウィンドウにより解決される。このような活性化ウィンドウにより、例えばNO放出が減少してしまった場合に、吸収材コアの少なくとも一部の交換が可能になる。これは、皮膚に向いた膜を変えることなく、長期にわたってパッチからのNO放出を持続させ、このことは、パッチを皮膚から取り外す回数が少ないことにより皮膚が受けるストレスが少ないので、好都合である。
【0058】
加えて、いくつかの実施形態にしたがって、例えば流体連通口により、流体は装置中へ進入する。これにより、パッチを長期間、乾燥、無酸素および/または暗所条件下で貯蔵することが可能になり、その際に、適切な流体をこのような流体連通口からパッチ中に導入することにより、パッチからのNO放出が活性化される。
【0059】
いくつかの具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【0060】
局所パッチ
一酸化窒素を用いた治療または美容整形のための局所パッチシステムを、図2A〜図2D、図3A〜図3C、図4Aおよび図4B、図6Aおよび図6B、図7Aおよび図7B、図11Aおよび図11Bに示すような多くの実施形態において提供する。これらの実施形態の詳細を残りの図面により説明する。
【0061】
図2A〜図2Dは、固定されたバッキング層20および吸収材コアまたはリザーバ22(使用時に治療のためにNOがここから提供される)を有するパッチ2a〜2dの実施形態の断面図である。パッチ2a〜2dはパッチの患者側で様々な配置を有する。パッチ2a、2b、および2cはNO透過性膜層24を含む。パッチ2dはNO透過性ゲル29を含む。パッチ2bは粘着剤(PSA)皮膚接触増進層を含む。パッチ2cは皮膚接触増進層としての働きをするシリコーンゲル層28を含む。パッチ2dはゲル膜29を含む。
【0062】
パッチ層2a〜2dを単に例示目的で別々に示す。集合したパッチ2a〜2dを、有効な局所NO適用機能が得られるような方法で層に密着させて提供する。パッチ2a〜2dは、層を互いに適切に貼り付けるために接着接合部または層(不図示)も含む。例えば、バッキング層20を吸収材コアまたはリザーバ22の周りの膜24に接着させる。バッキング層20も吸収材コアまたはリザーバ22に接着させることができる。
【0063】
パッチ2a〜2dは、貯蔵中に互いに適切に分離されたNOドナー化合物および活性化システムの両方を含む。例えば、NOドナーと活性化流体と接触させるために使用時に破壊されるガラスアンプル中にNOドナー、例えば90%を超える水で飽和させたSAP/SAF吸収材コアを有することによるなど、好適な分離法を、例えば図8、9または12を参照してさらに以下で記載する。
【0064】
図3A〜図3Cはさらなるパッチの実施形態の断面図であり、この図で吸収材コアもしくはリザーバ、またはバッキング層の変形例を示す。NO透過性膜層33を有するパッチ3a〜3cを示す。図3A〜図3Dにおいて破線で示すように、パッチ3a〜3cは追加もしくは代替の皮膚強化層、または組み合わせた皮膚強化層および膜、例えば図2A〜図2Dに示されるもの、例えば透過性ゲル膜なども含み得る。図2A〜図2Dのように、パッチ層3a〜3cを例示のためだけに別々に示す。パッチ3aおよび3bはそれぞれバッキング層31、35を有し、これは吸収材コアまたはリザーバ30へ進入し、ここから使用中にNOが治療のために提供される。パッチ3a〜3cは、吸収材コアまたはリザーバ30中に組み入れられたNOドナー化合物を有してもよい。パッチの内部へ進入できるので、NOドナー化合物からのNO放出を活性化するためにパッチの内部中へ活性化流体を導入することができる。パッチ3aには、不透過性バッキング31中に、吸収材コアまたはリザーバ30を含むパッチ3aの内部中のパウチへの進入口32が設けられている。パッチ3aの内部と進入口32を通る連通がもたらされる。進入口32は、流体のみがパッチに流入し、漏れが回避されることを確実にする好適なユニット、例えば一方向フラップバルブを備えている。吸収材コア中に組み入れられているなど、その中に封入されているNOドナーからのNOの放出を活性化するために、進入口32を通って活性化流体をパッチ3a中に導入することができる。活性化され、あらかじめ調製されたNO放出流体も、進入口32を通ってパッチ3c中に導入し、ここからNOを放出させることができる。パッチ3bはバッキング層35を含み、このバッキング層は吸収材コアまたはリザーバ30へのアクセスを提供する。このようにして、進入口32を通るなど、活性化流体または活性化NO放出流体のいずれかをパッチ3b中に導入できる。流体をパッチ3b中に導入した後に、バッキング層35を密封する。例えば、蓋を閉める前に取り外される剥離ライナの下で、適切な接着剤をバッキング層35のフラップの内部表面上に提供して、蓋を閉めた後にNO不透過性バッキングが提供されるようにする。パッチ3cは、固定バッキング、ならびに分離されたNOドナー化合物および活性化流体のシステムを含み、このシステムは、NOドナー化合物および活性化流体が、例えば中間の不透過性膜を取り除くことによるなどの外部作用により接触できるようになるような配置である。この種類のパッチのさらなる詳細を以下に記載する。
【0065】
図4Aは、閉鎖可能なバッキング層40を有し、使用するためにパッチ4を準備中にパッチ内部への流体の進入を可能にするパッチ4の斜視図である。図4Bは、皮膚上に適用する前のパッチ4の様々な層および成分の配置を示すパッチ4の断面図である。
【0066】
パッチ4の使用前に外部から進入可能である、吸収材コアまたはリザーバ43への進入ウィンドウ。進入ウィンドウは、バッキング層40と同じ材料および特性、すなわちNO不透過性かつ柔軟性の中間層42中に配置されている。使用に際して、NOドナー化合物が吸収材コアまたはリザーバ43中に提供されているか否かによって、活性化流体または活性化NO放出流体のいずれかをパッチ4の内部に導入する。NO放出が前述の方法で開始されると、閉鎖可能なバッキング層を閉鎖する。剥離ライナ41をバッキング層40上に剥離可能に配置し、中間層42に取り付けられたバッキング層40によりウィンドウを接着して閉鎖するために取り外す。このようにして、NO不透過性配置をパッチ4のバッキング側上に提供する。その際に、第2の剥離ライナ46を皮膚接触増進層45から取り外し、パッチ4を皮膚に適用し、その際にNOがパッチ4から皮膚へ提供される。
【0067】
図5は、図4Aの実施形態の多層構造5の概略図である。NO不透過性バッキング蓋50をパッチの最上層上に配置する。剥離ライナ51をバッキング蓋50上に取り外し可能に配置する。ウィンドウ付バッキング52を吸収材層53の上面上に配置し、その下にはNO透過性膜54を配置し、続いて皮膚接触増進層55および剥離ライナ56を配置する。
【0068】
図6Aは、パッチ6の内部との流体連通を可能にする2つの進入口66、67を有するパッチ6の斜視図である。図6Bは、図6Aに示されるパッチの断面図である。バッキング層60はNOについて不透過性であり、NO透過性層62は、パッチ6の患者側上に配置されている。吸収材コアまたはリザーバ64は、進入口66および/または進入口67を通って流体を受容するために、パッチの内部に配置されている。吸収材コアまたはリザーバはエアレイド材料で作製することができる。進入口66、67は、例えばシリンジを都合よく接続するためのルアーロックシステムの形態であってよい。パッチ6中の流体の分布を制御するために、吸収材コアまたはリザーバ64中、またはこれに隣接して流体案内システムを配置することができる。
【0069】
図7Aは、パッチシステムのパッチ7aの斜視図である。図7Bは、パッチ7aならびにパッチシステムの交換成分を含むさらなるパッチシステム成分7bの断面図である。パッチ7aは、繰り返し密開閉可能なバッキングを含み、使用中のパッチシステム成分の交換が可能になる。さらに正確には、凹部75を有するパッチ7aを提供し、この凹部中には図7Bにおいて示すように、交換可能な吸収材コアまたはリザーバ83が取り外し可能に配置されている。NO不透過性バッキング層71は、NO透過性層またはその周りの辺縁部74と結合するためにその辺縁部の周りに気密性が確かな、取り外し可能な接着剤70を含む。さらなる安全確保および患者の快適性および使用者の適合性のために、マジックテープ(登録商標)72、76をパッチ7a上に設ける。パッチシステム成分7bは、その中でNOドナー化合物が交換可能な成分83の形態で提供されているパッケージである。このパッケージは最上層80を含む。最上層80は貯蔵中に気密的に最下層84に取り付けられており、最下層中には交換可能な成分83が設置されている。最上層80および最下層84はどちらもNO不透過性であり、交換可能な成分83中でのNOドナー化合物の長期貯蔵に適合させられ、例えば気密性、真空、および光について不透過性にされている。パッケージング7b上に閉鎖システム82、86が設けられている。交換可能な成分83はパッチ7a中の凹部75中に適合する。パッチ7aに新しいNOドナーを再充填するために、交換可能な成分83をパッチ7a中で新しいものと置換することができる。パッケージング7b中、またはパッチ7a中のいずれかで、流体を交換可能な成分83に添加することにより、NOドナーからのNOの放出を活性化する。次いで、NOについて不透過性となるような方法でバッキングの蓋を再度閉鎖し、パッチ7aは連続使用できる状態になっている。
【0070】
図8は、破壊可能なレセプタクル87中にNOドナー88を含む、密封されたバッグ8の形態のパッチシステム成分の概略図である。外力により、レセプタクル87、例えばガラスバイアルを破壊し、NOドナーをバッグ8中の周囲の活性化流体中に放出させる。このようにして、NOドナーを活性化し、NO放出を開始する。アウトレット89を通って、活性化した流体をパッチ、例えば図4Aまたは図11Aに示すパッチに適用することができる。
【0071】
図9は、多重区画装置9の別の区画中にNOドナー成分92および活性化流体91を含むパッチシステム成分の概略図である。装置9のハウジング90の内部で、区画を例えばこの区画に対する外圧により破壊することができる。NOドナー成分92および活性化流体91をこれらの区画からハウジング90内部の周囲混合チャンバ中に放出させる。装置9を振とうすることにより混合を増進することができる。このようにしてのドナーからのNO放出について活性化された流体を、流出口93を通ってパッチに移すことができる。
【0072】
図10は、ボトル10の多重区画配置中にNOドナー成分103および活性化剤101を含むパッチシステム成分の概略図である。ボトルは2つの区画を互いに対してねじることができるように配置され、この2つの区画間のシールが破れると、NOドナー成分103と活性化剤101がボトル101中で流体接触するようになる。ボトル10を振とうすることにより混合を増進できる。このようにして、NOドナーからのNO放出について活性化された流体を、流出口102を通ってボトルからパッチへと移すことができる。
【0073】
図11Aは、2つの区画115、116からのNOドナー成分および放出活性化流体を混合する前の、図9に示すタイプのパッチ11aおよび多重区画装置11bを含むパッチシステムの斜視図である。流出口117の矢印は、図11Bに示すように、多重区画装置11bをどのようにしてパッチ11aの流入口110と連結させるかを示す。図11Bは、前述のような、多重区画装置11b中でNOドナー成分および放出活性化流体を混合した後の図11Aのパッチシステムの斜視図である。活性化されたNO放出流体を、パッチおよび吸収材コアまたはリザーバ112中に、多重区画装置11bの流出口117およびパッチ11aの流入口110を通って導入し、図中、流れを矢印119により示す。充填中に、図11Aおよび図11Bに概略的に示すバルブ111により、漏れを軽減または回避できる。活性化された流体をパッチ11aに移し、多重区画装置11bを除去し、バルブ111を閉じると、パッチ11aは患者に適用できる状態になる。
【0074】
図12Aは、多重区画配置においてNOドナー成分および活性化剤を含む、さらに別のパッチ12の斜視図である。図12Bは、図12で線A−Aに沿って示されるパッチ12の断面図である。パッチ12は例えばアルミ箔などの不透過性フィルムにより分割された、第1区画122および第2区画123を封入する。第1区画122はNOドナー化合物を封入し、第2区画123は活性化流体を含む。不透過性フィルムに取り付けられたストリップ121を引くことにより、区画間の不透過性フィルムを除去することができる。このようにして、使用者にとって活性化は容易に達成され、パッチ12は適用できる状態になる。
【0075】
図13は、破壊可能な多重区画配置132中でNOドナー成分131および活性化剤130を含むさらに別のパッチ13の斜視図である。外力により中間に配置されたシールを破ることによって、2つの区画を互いに接続させることができる。NO放出流体をこのようにして活性化することができ、この場合、パッチ13も振とうして、2つの成分を激しく混合することができる。剥離ライナを次にパッチ13のNO透過性膜から取り外し、パッチは適用できる状態になる。
【0076】
図14は、様々な区画142a〜dに対応する様々な治療領域にパッチの活性化部分を細分する、多重区画を有するパッチ14の斜視図である。区画142a〜dのそれぞれは他の区画から分割され、それぞれ流体連通口141a〜dを通して進入可能である。このようにして、区画142a〜dがNOドナー化合物を封入するどうかによって、区画にNO放出流体または活性化流体を順次充填することにより、パッチの活性使用時間を延長することができる。区画は図示されたのと異なる幾何学的配置であってよく、例えば治療部分が区画のそれぞれで覆われるように交互配置になっていてもよい。この実施形態により、NOドナー化合物から放出されるNOの有用な量があらかじめ規定された閾値まで減少する場合、この区画を続いて活性化することによって、治療時間を向上させることができる。例えばNO放出が閾値より低い区画の表面の色を変えることによって、この閾値を表示することができる。NOが使用されたことを使用者に表示するために、パッチは、パッチの最上層上に活性インジケーターを含むことができる。
【0077】
図15は、パッチ15が適用される皮膚へ、そして皮膚からの流体の通路152を有するパッチ15の斜視図である。パッチは、互いに、そして2つのポート151、153に流体接続する隣接区画150から構成されている。前述のように、パッチ15にNO放出流体を充填するか、または活性化する。創傷に適用された場合、パッチ15は、例えばパッチの裏面上に適用される交換可能な吸収材への通路152を通る浸出液を通過させる。
【0078】
局所NO送達システムの基部は、吸収材コアまたはリザーバであり、ここでは、使用される送達システムの活性化により、NOドナーおよび活性化流体の活性混合物が得られる。これにより、装置上にドナーが均一に分散され、ドナーが安定に格納され、治療の間、均一な放出が保証される。
【0079】
ドナー粉末ならびに活性化溶液を両方とも含むNOドナーシステムは同じ場合に皮膚に対して刺激性である可能性があり、したがって選択的膜を吸収材コアと皮膚との間に配置することができる。
【0080】
NO送達システム成分、例えばNO透過性膜の一つの機械的特性は、これらが柔軟性であり、したがって皮膚表面に適合して、良好な接触を確実にすることができることである。
【0081】
NO放出膜材料は、NOについて選択的に透過性である。すなわち、NOの皮膚への透過が可能であり、一方、他の成分の膜の通過は最小限に抑えられる。
【0082】
NO放出を治療部位へ向けるために、不透過性材料の上部カバー、例えばPE/PURの厚い層を使用することができる。このカバーはまた、気体状態におけるNOの分圧が増加するので、流体中のNO濃度を増加させる。
【0083】
流体システム
流体を局所パッチシステムに添加することは、例えば次の方法で行うことができる:
・上部カバー中に閉鎖可能な蓋を有することにより行い、この蓋を通してすべての流体をパッチ中に注入することができる。蓋を次に閉じ、装置を皮膚に取り付ける。図4Aおよび図4Bを参照のこと。
・これを通して流体をパッチパウチ中へ挿入できる一方向バルブを追加することにより行う。図6Aおよび図6Bを参照のこと。NOドナー化合物をパウチ中に統合する場合、パウチ中のNOドナー化合物からのNOの放出を活性化することができるすべてのもの、例えば水分、空気、酸素を、その製造中にパウチから抽出する。場合により、パウチに不活性物質を充填することができる。貯蔵後、パッチを活性化するために、バルブを通して活性化流体をパウチ中に注入し、吸収材コア中に吸収させると、NO放出が活性化され、パッチは薬物治療または美容整形について「活性」である。流体をこの部分の上に均一に塗布するために、ウィッキング層を提供するのが有利であり得る。
・パッチ中のNOドナーの一体化型第1リザーバであって、流体から離れて密封されて配置されているものを有することにより行う。流体を吸収材コアと併せて一体化することができるか、または別の第2リザーバ中に一体化することができる。使用前に、第1リザーバおよびできれば第2リザーバを操作して開放する。例えばリザーバを圧搾することにより破壊する。NOドナーは分散し、活性化流体と接触するようになり、NO放出が始まる。
・吸収材コアにpH調節機能を加えることによるか、または吸収材コア自体がこの能力を有するので、ドナーと混合される流体は不活性であり、ドナー流体が吸収材コアと接触する場合にのみ、システムは適切なpHとバランスとなり、NO放出が開始される。
【0084】
流体の混合、すなわち、例えば粉末の形態で提供される活性化流体のNOドナー化合物との混合に関して、多くの実施形態を次に記載する。混合は、パッチからNOの有効な制御放出を得るためにNOドナー化合物が均一に分散するような方法で行う。様々な実施形態は、特に次のものを含む。
・NOドナー化合物を乾燥形態で提供し、パッチとは別に前溶解流体をNOドナー化合物と混合して、NOドナーを有効に溶解させ、あらかじめ溶解させたNOドナー流体を得る。
oあらかじめ溶解させたNOドナー流体をパッチに添加し、ここでパッチ内部の成分、例えば吸収材コアにNO放出活性化流体を含浸させる。コレにより、NOの効果的な制御放出がパッチにおいて活性化される。
o別法として、あらかじめ溶解させたNOドナー流体をNO放出活性化流体に添加するか、またはその逆で、NO放出流体を得る。NO放出流体をパッチに、すなわちパッチ内部の成分、例えば吸収材コアに添加し、このようにしてNO放出流体を含浸させる。これにより、パッチからNOの効果的な制御放出が得られる。
・NOドナー化合物および固体活性化成分をパッチ中に乾燥形態で、例えば吸収材コア中に組み入れられた繊維または粉末として提供する。パッチの使用に際して乾燥パッチに流体を添加し、その結果、固体活性化成分を流体中に溶解させ、このようにしてNOドナー化合物からのNO放出を活性化させる。
・NOドナー化合物を乾燥形態で提供し、前溶解および活性化流体を含む流体と、または活性化流体のみと混合する。NOドナー化合物からのNO放出が活性化されている混合物をパッチに添加して、パッチからNOを放出させる。
【0085】
局所パッチのさらに別の特徴
局所パッチのいくつかの実施形態は、次の特徴を含むことにより強化された機能を有する。
・交換可能な吸収材物質を提供して、治療される皮膚に向いた層が治療の間安定しており、交換する必要がないようにする。これは創傷治療の部分内の特定の条件において重要な特徴である。
・吸収材コア上に流体を容易に分散するためのウィッキングシステムをパッチ中に提供する。このようなウィッキングシステムは、例えば、流体が吸収材中へと通過する前にパッチ中に流体を分散するような構造である層の形態で提供することができる。
・パウチ中への流体方向を制御するバルブを有する流体パウチの形態でパウチを提供することができ、置換ガスをパウチから流出させる。
・流体の均一な分布が得られることを保証するために、パウチに異なる区域を設ける。加えて、パッチ内の異なる治療部位を異なる区域により設けることができる。
・吸収材コアを、流体を吸収し、これを封入するように適合された様々な物質で作製することができる。このような物質の例は、超吸収物質、例えばSAPおよび/またはSAFをその中に含むもの、または親水性フォーム、またはヒドロゲルである。
【0086】
パッチは3つの層、すなわち活性化ウィンドウを有するバッキング、リザーバとしての吸収材コアおよび皮膚に向けられた接着層を有するNO透過性膜を有する。NOドナーを、活性化ウィンドウを通して適用する前に溶液として装置中に適用する。活性化後にウィンドウを閉鎖し、NOの分圧、したがって溶解したNO濃度を増加させるために、蓋およびバッキングはNOについて不透過性である。パッチを治療される部分上に接着層で固定し、この接着層はまた治療の間中の十分な接触を保証する。生成されたNOはパッチ内を移動し、NO透過性膜を通って治療される部分に漏れ出すことができる。治療の必要性に応じて、パッチ放出曲線をそれに応じて選択する。
【実施例】
【0087】
【実施例1】
【0088】
強化用量パッチ
パッチは、例えば0.01〜100μmol/(cm分)、例えば0.1μmol/(cm分)などの高いNO投与レベルを有する。これは短い使用期間、およそ10分から最高2時間まで、例えば1時間の使用期間を有する。用量曲線においてこの強度および長さを得るために、十分な量のNOドナー、例えば0.01〜10mg/cm、例えば0.1mg/cmを用いる必要がある。活性化流体において低いpH、pH6未満、例えばpH5が必要である。必要な緩衝液の体積は、使用されるNOドナー量に依存する。0.1mgNOドナー/cmパッチについて、緩衝液強度に応じて、0.1〜0.4mL/cmを有する必要がある。皮膚との十分な接触を保証するために、接触増進層を使用する。
【実施例2】
【0089】
大用量パッチ
パッチは中程度のNO投与レベル、例えば0.001〜10μmol/(cm分)、例えば0.05μmol/(cm分)を有する。これは6〜12時間、例えば8時間の延長された使用期間を有する。用量曲線においてこのような強度および長さを得るために、十分な量のNOドナー、例えば0.01〜10mg/cm、例えば0.2mg/cmを使用する必要がある。加えて、活性化流体において中性から若干酸性のpH、例えばpH7が必要である。必要な緩衝液の体積は、使用するNOドナー量に依存する。パッチ1cmあたり0.2mgのNOドナーについては、緩衝液強度に応じて、0.2〜0.8mL/cmである必要がある。皮膚との十分な接触を保証するために、接触増進層を使用する。
【0090】
パッチが有利である治療および療法は例えば次のものである。
【0091】
末梢神経障害の治療、
糖尿病性潰瘍の治療、
創傷の手当、例えば手術後の治癒支援、
感染予防および治療、
瘢痕軽減、皮膚の引き上げなどをはじめとする化粧用途、
例えば爪甲真菌症または混合感染症の抗真菌治療、
例えばいぼ治療のための抗ウィルス治療。
【0092】
パッチはヒトまたは獣医用医薬に適している。
【0093】
キットは、有利な方法で前述の記載事項にしたがっていくつかの成分を含み得る。
【0094】
パッチはある実施形態の医薬を考慮することができる。
【0095】
一酸化窒素の使用は、いくつかの実施形態にしたがってパッチを製造するために提供することができる。
【0096】
本明細書において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に別段の記載がなければ、複数の形態も包含することが意図される。「包含する」、「含む」、「包含している」および/または「含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、および/またはその群の存在または付加を除外するものではないとさらに理解されるであろう。要素が別の要素と「接続」または「結合」していると記載されている場合、これを他の要素と直接接続することができるか、または介在する要素が存在し得ると理解される。さらに、本明細書において用いられる「接続した」または「結合した」とは、無線で接続または結合していることを包含し得る。本明細書において用いられる場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された事項の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを包含する。
【0097】
特に別段の定めがない限り、本明細書において用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を包含する)は、本発明が属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する分野の状況におけるその意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本明細書において明らかにそのように定義されないかぎり、理想化されたか、または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0098】
本発明を特定の実施形態に関連して記載した。しかし、前述とは別の実施形態も本発明の範囲内で等しく可能である。ハードウェアまたはソフトウェアにより方法を実施する、前述と異なる方法工程を本発明の範囲内で提供することができる。本発明の異なる特徴および工程を記載されたものと異なる組み合わせと組み合わせることができる。本発明の範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素に対して実質的に不透過性であり、送達装置中で一酸化窒素が放出される間の一酸化窒素濃度の損失を制限するように配置および構成されたバッキング層(100)と、
治療される部位に向いている前記送達装置を利用する一酸化窒素透過性層(300)と、
その中の一酸化窒素の分圧または濃度の増加により、前記一酸化窒素放出流体から放出される一酸化窒素が前記送達装置内で一酸化窒素透過性層(300)を通って皮膚部分に向かうような方法で、その中に一酸化窒素を放出する流体を保持するように配置された、前記バッキング層(100)と前記一酸化窒素透過性層(300)との間の吸収層(200)と、
を含む、局所一酸化窒素送達装置。
【請求項2】
前記バッキング層(100)が、前記局所一酸化窒素送達装置における前記流体の一酸化窒素分圧または濃度の前記増加をもたらすように工夫されている、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項3】
前記吸収層(200)が、前記流体を吸収し、保持するように構成された、例えば、超吸収性粉末(SAP)および/または超吸収性繊維(SAF)等の超吸収性ポリマーのようなゲル化物質ゲルベースの吸収システムを含む、請求項1または2に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項4】
前記流体が、前記局所一酸化窒素送達装置中に含まれる一酸化窒素ドナー化合物からの一酸化窒素の放出を活性化するための活性化流体である、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項5】
前記流体が、その使用時に前記局所一酸化窒素送達装置に適用される一酸化窒素放出流体である、請求項1、2または3に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項6】
前記吸収層(200)が、流体段階においてその中に活性化流体および一酸化窒素ドナーを貯蔵し捕捉する流体リザーバを含む、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項7】
前記流体リザーバが、その限度内で前記流体を封入するゲル化物質である、請求項6に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項8】
一酸化窒素が前記皮膚部分へ輸送されるように、前記吸収層(200)が前記一酸化窒素透過性層(300)と接触している、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項9】
前記吸収層(200)が、前記一酸化窒素透過性層(300)に接着されている、請求項8に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項10】
前記吸収層(200)が完全に濡れている、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項11】
前記吸収層(200)が、60%超、例えば80%または90%超の流体含有量を含む、請求項10に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項12】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、気体状一酸化窒素または溶解した一酸化窒素について選択的に透過性の膜であり、これにより前記局所一酸化窒素送達装置の内部で放出された一酸化窒素が前記皮膚部分に向けられる、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項13】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、前記局所一酸化窒素送達装置中の一酸化窒素生成システムに応じて選択される、請求項12に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項14】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、流体輸送を許容する不織または多孔性材料の膜である、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項15】
前記一酸化窒素透過性層(300)が高水蒸気伝達率(MVTR)物質で作られている、例えば微孔性膜またはモノリシック構造の部分的に親水性のブロックポリマー膜である、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項16】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、中または低MVTR物質で作られている、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項17】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、一酸化窒素ガスについて単に透過性である、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項18】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、一酸化窒素について十分な透過性を有するシリコーン、コポリエステル、EVA、PTFE、またはPURで作られている、請求項13に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項19】
前記一酸化窒素透過性層(300)が、一酸化窒素分子について選択的に透過性であり、したがって、前記一酸化窒素透過性層(300)が、一酸化窒素の移動中に一酸化窒素ドナー化合物が前記一酸化窒素透過性層(300)を通って移動するのを防止する保護バリアである、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項20】
前記一酸化窒素透過性層(300)が皮膚接触増進層を含み、皮膚接触増進層に隣接して配置されているか、または固有の皮膚接触増進特性を有し、一酸化窒素について透過性であるので、使用に際して十分な皮膚接触をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項21】
前記皮膚接触増進層が、使用に際して前記増進層との間に良好な接触をもたらし前記一酸化窒素透過性層(300)と前記皮膚部分との間に良好な接触をもたらす接着層、例えばシリコーンゲル層、粘着剤(PSA)、またはヒドロゲル層である、請求項20に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項22】
活性化流体を受容し、前記活性化流体を前記一酸化窒素ドナー化合物へと向かわせて、使用中の前記活性化流体が前記吸収材層(200)中に適用される前に、前記一酸化窒素ドナー化合物を溶解するように配置された、一酸化窒素ドナー化合物を含む流体方向付システムを含む、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項23】
前記流体方向付システムが分散システムの形態であり、前記活性化流体を受容するための少なくとも1つの流体接続口をさらに含む、請求項22に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項24】
一酸化窒素ドナー化合物および/または活性化流体を使用前に前記装置から分離して貯蔵する、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項25】
無水、無酸素、および/または光不透過性であるパッケージを含む、請求項1または24に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項26】
前記バッキング層(100)が密封的に再閉鎖可能であるか、または閉鎖可能な開口部、例えば活性化ウィンドウを含む、請求項1に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項27】
前記吸収材層の少なくとも一部が前記開口部を通して交換可能である、請求項26に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項28】
前記装置中への流体進入が前記開口部または流体連通口により提供される、請求項26に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項29】
前記装置が0.01〜100μmol/(cm分)、例えば0.1μmol/(cm分)の、または0.001〜10μmol/(cm分)、例えば0.05μmol/(cm分)の一酸化窒素投与レベルを提供するように構成された、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項30】
前記装置が、0.01〜10mg/cm、例えば0.1mg/cm、または0.2mg/cmの範囲の一酸化窒素ドナー化合物量を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置。
【請求項31】
請求項1から31のいずれか一項に記載の局所一酸化窒素送達装置を含むキットであって、
一酸化窒素ドナー化合物および活性化流体用の別の容器をさらに含み、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体が取り外し可能なシールで互いに分離されているので、前記一酸化窒素ドナー化合物および前記活性化流体を、その使用に際して前記装置へ移す前に混合可能である、キット。
【請求項32】
一酸化窒素に対して実質的に不透過性であり、医薬における一酸化窒素の放出の間の一酸化窒素濃度の損失を制限するように配置および構成されたバッキング層(100)と、
治療される部分に向いている医薬を利用する一酸化窒素透過性層(300)と、
その中の一酸化窒素の分圧または濃度の増加により、一酸化窒素放出流体から放出される一酸化窒素が送達装置内で一酸化窒素透過性層(300)を通って皮膚部分へ向けられるような方法でその中に一酸化窒素放出流体を保持するように配置された、前記バッキング層(100)と前記一酸化窒素透過性層(300)との間の吸収層(200)と
を含む医薬の製造における一酸化窒素の使用。
【請求項33】
一酸化窒素を局所送達する方法であって、
請求項1から31のいずれか一項に記載の一酸化窒素送達装置中の一酸化窒素ドナーシステムからの一酸化窒素放出を活性化することと、
活性化した前記一酸化窒素送達装置を身体の皮膚部分と接触させて配置し、前記送達装置の一酸化窒素透過性層(300)を前記皮膚部分に向けることと、
前記一酸化窒素送達装置から前記皮膚部分へ前記一酸化窒素透過性層(300)を介して局所的に一酸化窒素を送達することと、
を含み、
前記一酸化窒素透過性層(300)の透過性を前記一酸化窒素ドナーシステムの毒性レベルに応じて選択的に選択する、方法。
【請求項34】
一酸化窒素の前記送達のために、前記一酸化窒素送達装置中の溶解した一酸化窒素の分圧および濃度が増加するように、前記一酸化窒素ドナーシステムから前記一酸化窒素を放出することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
一酸化窒素について透過性である皮膚接触増進層を用いて前記皮膚部分に前記一酸化窒素送達装置を固定することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記一酸化窒素ドナーシステムが、前記一酸化窒素ドナーシステムの一酸化窒素ドナー化合物と相互作用し、前記一酸化窒素ドナー化合物がパッチから外へ移動するのを最小限に抑えることを保証し、その中で沈殿した後の前記一酸化窒素ドナー化合物の残留物を捕捉する吸収材ユニットを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記一酸化窒素ドナーシステムが、一酸化窒素を連続して放出するために一酸化窒素ドナー化合物を活性化システムと連続して接触させる吸収材ユニットを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
請求項33に記載の方法にしたがって一酸化窒素を送達することを含む治療方法であって、
前記皮膚部分が治療部位、例えば末梢神経障害、糖尿病性潰瘍、創傷、皮膚感染、カビによる皮膚攻撃、例えば爪甲真菌症、混合皮膚感染、および/またはウィルス攻撃、例えばいぼの部位である、方法。
【請求項39】
請求項33に記載の方法にしたがって一酸化窒素を送達することを含む美容整形の方法であって、前記皮膚部分が美容整形部位、例えば前記一酸化窒素により軽減される瘢痕の部位、または前記一酸化窒素により隆起される、たるんだ皮膚もしくはシワの部位である、方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2010−522050(P2010−522050A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500076(P2010−500076)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052923
【国際公開番号】WO2008/116497
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(507271798)ノーラブズ エービー (11)
【Fターム(参考)】