説明

下地材保持部材、これを使用した屋根構造、床構造、壁構造及び施工方法

【課題】溝型鋼からなる屋根母屋に装着されて屋根下地材を保持する下地材保持部材であって、室内から天井を見上げても屋根母屋が殆ど露出しないので見栄えの良い天井とすることができる下地材保持部材を提供する。
【解決手段】溝型鋼からなる複数の屋根母屋4を、開口部4aが軒棟上方に向くように垂木2上に固定する。この屋根母屋に下地材保持部材8Aを装着する。下地材保持部材は、屋根母屋の上部を覆って装着することで屋根母屋に係合する係合部(8a,8b,8d)と、軒棟方向に隣接している屋根母屋同士のうち軒棟下方側の屋根母屋の前記開口部に挿入した屋根下地材10の一方の端部を保持する第1保持部8cと、軒棟方向に隣接している屋根母屋同士のうち軒棟上方側の屋根母屋の外側辺部4dに当接した屋根下地材10の他方の端部を保持する第2保持部8dと備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝型鋼からなる鋼製建材に装着されて板状の建材を保持する下地材保持部材と、これを使用した屋根構造、床構造、壁構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨造の屋根構造として、勾配を付けて配置したH型鋼等の垂木の上に、溝型鋼(C型鋼:リップ溝型鋼)からなる複数の屋根母屋を軒棟方向に平行に固定し、これら屋根母屋の上部に屋根下地材を敷設し、この屋根下地材の上面との間に空気層を設けた後に野地材を敷設し、野地材上に屋根仕上げ材を敷設した屋根構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、鉄骨造りの床構造として、H鋼からなる大引きの上部において直交するように溝型鋼からなる根太を平行に固定し、これらの上部に床下地材、床仕上げ材等を敷設してなる床構造が知られている(例えば、特許文献2)。
さらに、鉄骨造りの壁構造として、H鋼からなる間柱に直交するように溝型鋼からなる複数の胴縁を上下方向に平行に固定し、これら胴縁に壁下地材、壁仕上げ材等を取り付けてなる壁構造が知られている。
【特許文献1】特開平06−235246号公報(図1、図5)
【特許文献2】特開2006−2545号公報
【特許文献3】特開2006−152667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の屋根構造は、屋根母屋にビスを打ち込むことで屋根母屋の上部に取付けられているので、屋根下地材の取付け作業に多くの時間と労力が必要となっている。
また、屋根母屋の上部に屋根下地材が取付けられていることから、室内から天井を見上げるときに屋根母屋(溝型鋼)全体が露出してしまい、見栄えの悪い天井となってしまう。
【0005】
また、特許文献2の床構造は、床下地材は、根太にビスを打ち込むことで取付けられているので、床下地材の取付け作業に多くの時間と労力が必要となっている。
また、特許文献3の壁構造も、壁下地材は、胴縁にビスを打ち込むことで取付けられているので、壁下地材の取付け作業に多くの時間と労力が必要となっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋根構造、床構造、壁構造に使用することで、下地材の取付けを簡単に行なうことができるとともに、見栄えの良い構造を得ることができる下地材保持部材、これを使用した屋根構造、床構造、壁構造及び施工方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る請求項1の下地材保持部材は、互いに平行に配置された少なくとも一対の溝型鋼からなる鋼製建材にそれぞれ装着され、前記一対の鋼製建材の間に配置した下地材の端部を保持する下地材保持部材であって、前記一対の鋼製建材に着脱自在に係合する係合部と、前記一対の鋼製建材の一方の開口部に挿入した前記下地材の一方の端部を保持する第1保持部と、前記一対の鋼製建材の他方に向けて延在してきた前記下地材の他方の端部を保持する第2保持部とを備えていることを特徴とする下地材保持部材である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の下地材保持部材において、前記第1保持部は、前記一対の鋼製建材の一方の開口部に挿入した前記下地材の一方の端部を弾性復元力で押圧して保持することを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の下地材保持部材において、前記第2保持部は、前記下地材の他方の端部を、弾性復元力で前記一方の端部側に押圧して保持することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の下地材保持部材において、前記係合部、前記第1保持部及び前記第2保持部を、金属板を折り曲げて形成したことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した屋根構造であって、勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した屋根下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする屋根構造である。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の屋根構造において、前記屋根下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に敷設した野地材と、この野地材上に敷設した屋根仕上げ材とを備えたことを特徴とする。
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の屋根構造において、前記屋根下地材は、天井として用いられる断熱性、吸音性のない建材であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項8記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用した屋根構造であって、勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した屋根下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するとともに、前記屋根下地材上に中間屋根材を敷設し、この中間屋根材上に野地材を敷設し、この野地材上に屋根仕上げ材を敷設することを特徴とする屋根構造である。
【0011】
また、請求項9記載の発明は、請求項5,6又は8記載の屋根構造において、前記屋根下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の屋根構造において、前記中間屋根材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項11記載の発明は、請求項6から10の何れか1項に記載の屋根構造において、前記野地材は、木毛や木片などの木質原料及びセメントペーストを混ぜ合わせた混合体を板状に圧縮成形してなる木質系セメント板などの遮音性に優れた建材であることを特徴とする。
また、請求項12記載の発明は、 請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した床構造であって、土台に支持されて水平方向に延在しながら互いに平行に配置されている大引きと、これら大引き上で直交して配置されている複数の根太とを備え、前記複数の大引きと前記複数の根太の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した床下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする床構造である。
【0013】
また、請求項13記載の発明は、請求項12記載の床構造において、前記床下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に床材を敷設することを特徴とする。
また、請求項14記載の発明は、請求項12又は13記載の床構造において、前記床下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項15記載の発明は、請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した壁構造であって、上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されている複数の間柱と、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に固定されている複数の胴縁とを備え、
前記複数の間柱と前記複数の胴縁の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した壁下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする壁構造である。
【0015】
また、請求項16記載の発明は、請求項15記載の壁構造において、前記壁下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に壁材を敷設することを特徴とする。
また、請求項17記載の発明は、請求項15又は16記載の壁構造において、前記壁下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項18記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、勾配を付けて複数の垂木が配置され、これら垂木の上部、或いは下部で軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在して複数の屋根母屋が配置されており、これら複数の垂木と複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に屋根下地材を敷設する屋根の施工方法であって、前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、これから敷設する前記屋根下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、前記屋根下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする屋根の施工方法である。
【0017】
さらに、請求項19記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、土台に支持されて水平方向に延在しながら互いに平行に複数の大引きが配置され、これら大引き上で直交して複数の根太が配置され、これら複数の大引きと複数の根太の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に床下地材を敷設する床の施工方法であって、前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、これから敷設する前記床下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、前記床下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする床の施工方法である。
【0018】
さらにまた、請求項20記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に複数の間柱が配置され、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に複数の胴縁が固定され、これら複数の間柱と複数の胴縁の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に壁下地材を敷設する壁の施工方法であって、前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、これから敷設する前記壁下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、前記壁下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする壁の施工方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る下地材保持部材によると、一対の鋼製建材の一方に装着した下地材保持部材の第1保持部が下地材の一方の端部を確実に保持し、一対の鋼製建材の他方に装着した下地材保持部材の第2保持部が下地材の他方の端部を確実に保持することができる。
また、本発明に係る屋根構造によると、屋根下地材を簡単、且つ確実に保持することができるとともに、室内から天井を見ても屋根下地材の下面しか露出せず、化粧性に優れた天井となる。
【0020】
また、本発明に係る床構造及び壁構造によると、床下地材を簡単、且つ確実に保持することができる。
また、本発明に係る屋根の施工方法によると、従来のようにビス固定による屋根の施工方法と比較して、屋根下地材の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、屋根の施工コストを抑えることができる。
【0021】
また、本発明に係る床の施工方法によると、従来のようにビス固定による床の施工方法と比較して、床下地材の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、床の施工コストを抑えることができる。
また、本発明に係る壁の施工方法によると、従来のようにビス固定による壁の施工方法と比較して、壁下地材の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、壁の施工コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明に係る下地材保持部材を使用した屋根構造、床構造及び壁構造について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態:屋根構造)
先ず、本発明に係る第1実施形態の屋根構造について図1及び図2を参照して説明する。
図1は、鉄骨造の屋根構造の一部を斜視図で示したものである。図2は、図1のII−II線矢視図である。
【0023】
図1において、符号2は、勾配を付けて配置したH型鋼からなる垂木である。
この垂木2の上部に、C型鋼(リップ溝型鋼)からなる複数の屋根母屋4,6が固定されている。屋根母屋4,6は、図示しないが、垂木2上に固定したアングル等の連結部材に連結ボルトを介して軒棟方向に平行となるように固定されており、各屋根母屋4,6の開口部4a,6aは軒棟上方を向いている。
【0024】
屋根母屋4,6には、それぞれ下地材保持部材8A,8Bが上方から装着されており、これら下地材保持部材8A,8Bに保持されて屋根母屋4,6の間の領域を覆うように勾配を付けて複数の屋根下地材10が配置されている。
すなわち、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が、屋根母屋4の開口部4aから母屋内部空間4dに挿入され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋6の外側辺部6eに当接しながら、軒棟上方側の屋根母屋6に装着した下地材保持部材8Bと、軒棟下方側の屋根母屋4に装着した下地材保持部材8Aとで保持されている。なお、屋根母屋6に対して軒棟上方側に配置されている屋根下地材10は、屋根母屋6に装着した下地材保持部材8Bと、屋根母屋6より軒棟上方側に位置する屋根母屋に装着した下地材保持部材(図示せず)とで保持されている。また、屋根母屋4に対して軒棟下方側に配置されている屋根下地材10は、屋根母屋4に装着した下地材保持部材8Aと、屋根母屋4より軒棟下方側に位置する屋根母屋に装着した下地材保持部材(図示せず)とで保持されている。
【0025】
そして、屋根母屋4,6上には、屋根下地材10を外側から覆うように野地材12が固定されているとともに、野地材12を外側から覆う屋根仕上げ材14が敷設されている。野地材12は、木毛や木片などの木質原料及びセメントペーストを混ぜ合わせた混合体を板状に圧縮成形してなる木質系セメント板などの遮音性に優れた建材である。
上記構成の屋根構造によると、屋根母屋4,6の間の領域を覆って配置される屋根下地材10が、その軒棟下方側の端部が屋根母屋4の開口部4aから母屋内部空間4dに挿入され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋6の外側辺部6eに当接しているので、室内から天井を見ても屋根下地材10の下面しか露出せず、化粧性に優れた天井となる。
【0026】
また、図2に示すように、屋根下地材10として天井材として用いられる断熱性、吸音性のない建材を使用すると、屋根下地材10と野地材12との間に設けた空間が、断熱性を高める空気層となるので、断熱性に優れた屋根構造とすることができる。
ここで、屋根下地材10を、断熱性及び吸音性に優れた建材、例えば図10(a)に示すポリスチレンフォームの合成樹脂発泡体からなる板部材、図10(b)に示すグラスウールボード、図10(c)に示すように、合成樹脂発泡体と、木毛や木片などの木質原料及びセメントペーストを混ぜ合わせた混合体を板状に圧縮成形してなる木質系セメント板とを層状に設けた部材、図10(d)に示すように、グラスウールボードと木質系セメント板とを層状に設けた部材、図10(e)に示すように、合成樹脂発泡体と石こうボードとを層状に設けた部材、図10(f)に示すように、グラスウールボードと石こうボードとを層状に設けた部材とすることが考えられる。このようにすると、図3に示すように、屋根下地材10が断熱・吸音層となるので、断熱性を高めつつ、遮音性及び吸音性に優れた屋根構造とすることができる。
【0027】
また、図3に示したように合成樹脂発泡体やグラスウールボードを構成部材とする屋根下地材10は、太陽による直接的な熱影響を受けにくい野地材12の内側に配置されているので、系年劣化が防止されて、断熱性及び吸音性を長期にわたって維持することができる。
さらに、図4に示すように、屋根下地材10と野地材12との間に空間を設けず、屋根下地材10と同様に断熱性及び吸音性に優れた中間屋根材13を敷設することも考えられる。
【0028】
このようにすると、屋根下地材10及び中間屋根材13とが厚さが大きい断熱・吸音層となるので、さらに断熱性及び吸音性に優れた屋根構造とすることができる。
次に、屋根母屋4,6に装着された下地材保持部材8A,8Bの構造について、図5及び図6を参照して説明する。なお、下地材保持部材8A,8Bは同一形状なので、下地材保持部材8Aについて詳細に説明する。
【0029】
下地材保持部材8Aは長尺な金属板で形成されており、図5に示すように、C型鋼である屋根母屋4の上辺部4bに当接している長尺な上部当接部8aと、この当接部8aの幅方向一方の端部から折曲されて屋根母屋4の上部端縁(リップ)4cに当接する端縁当接部8bと、この端縁当接部8bの下端から母屋内部空間4dに向けて略45°の角度を付けて折曲されている第1弾性保持片8cと、当接部8aの幅方向他方の端部から屋根母屋4の外側辺部4eに沿うように折曲され、且つ外側辺部4eに当接しないように外側辺部4eから離間する方向に膨出(横断面「く」字状)している第2弾性保持片8dと、この第2弾性保持片8dの下端から外側辺部4eに対して離間する方向に略直角に折曲されている受け片8eとを備えている。
【0030】
図6は、屋根母屋4に装着した上記構成の下地材保持部材8Aが、軒棟上方側に配置した屋根下地材10と、軒棟下方側に配置した屋根下地材10を保持する状態を示したものである。
軒棟上方側の屋根下地材10の端部を屋根母屋4の母屋内部空間4dに挿入し、その端面を屋根母屋4の内壁に当接すると、その端部の下面を屋根母屋4の下部端縁(リップ)4fが受け、屋根下地材10の端部の挿入によって上方に変形した第1弾性保持片8cが、下方に向けて押圧する弾性復元力F1を作用するので、軒棟上方側に配置した屋根下地材10の端部が保持される。
【0031】
また、軒棟下方側の屋根下地材10の端部を屋根母屋4の外側辺部4eに当接すると、その端部の下面を下地材保持部材8の受け片8eが受け、屋根下地材10の端部の挿入によって膨出が矯正されるように変形した第2弾性保持片8dが、屋根下地材10の端面に向けて押圧する弾性復元力F2を作用するので、軒棟下方側に配置した屋根下地材10の端部が保持される。
【0032】
このように、上記構成の下地材保持部材8A、8Bを屋根母屋4,6に装着すると、屋根母屋4,6の母屋内部空間4dに挿入した屋根下地材10の端部を、下地材保持部材8A、8Bの第1弾性保持片8cの弾性復元力F1により押圧して保持する。また、屋根母屋4,6の外側辺部4eに当接した屋根下地材10の端部を、下地材保持部材8の第2弾性保持片8dの弾性復元力F2により押圧して保持しているので、屋根下地材10を確実に保持することができる。
【0033】
次に、図2、図7から図9を参照して本実施形態の屋根の施工の手順について説明する。なお、図7では、屋根母屋6に装着した下地材保持部材8Bが、軒棟上方側に配置した屋根下地材10の端部を保持しているものとする。
先ず、図7に示すように、下地材保持部材8Aの横断面略「コ」字状に折曲されてなる上辺当接部8a、端縁当接部8b及び第2弾性保持片8dを、C型鋼である屋根母屋4,6の上部を覆った状態で装着する。
【0034】
次いで、図8に示すように、屋根母屋4の開口部4aから電線EWを母屋内部空間4dに収納しておく。そして、これから配置する屋根下地材10の軒棟下方側に位置する端部を屋根母屋4の開口部4aから母屋内部空間4dに挿入し、その端部の下面を屋根母屋4の下部端縁4fで受ける。
次いで、図9に示すように、これから配置する屋根下地材10の軒棟上方側に位置する端部を、屋根母屋6に装着されている下地材保持部材8の受け片8eに当接するまで下げていく。この動作を行なうと、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が、屋根母屋4に装着した下地材保持部材8Aの第1弾性保持片8cが発生する弾性復元力で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋6に装着した下地材保持部材8Bの第2弾性保持片8dが発生する弾性復元力で保持される。
【0035】
そして、図示しない他の屋根母屋の間にも、下地材保持部材に保持された屋根下地材10を配置した後に、図2に示すように、屋根母屋4,6上に、複数の屋根下地材10を外側から覆うように野地材12を固定する。次いで、野地材12を外側から覆うように屋根仕上げ材14を敷設する。
このように、本実施形態の屋根の施工によると、下地材保持部材8A,8Bは、横断面略「コ」字状に折曲されてなる上辺当接部8a、端縁当接部8b及び第2弾性保持片8dがC型鋼の屋根母屋4,6の上部を覆った状態で配置するだけで、簡単に屋根母屋4,6に装着され、しかも、屋根下地材10を屋根母屋4,6の間に配置するだけで、屋根下地材10の軒棟下方側の端部が屋根母屋4に装着した下地材保持部材8の第1弾性保持片8cが発生する弾性復元力で保持され、屋根下地材10の軒棟上方側の端部が、屋根母屋6に装着した下地材保持部材8の第2弾性保持片8dが発生する弾性復元力で保持されるので、従来の屋根の施工方法と比較して、屋根下地材10の取付け作業に費やす時間と労力が大幅に低減し、屋根の施工コストを抑えることができる。
【0036】
また、図8及び図9で示したように屋根下地材10を保持する前に、C型鋼である屋根母屋4の母屋内部空間4dに電線EWを収納しておくことで、母屋内部空間4dを外部から隠れた電線収納空間として有効利用することができる。
なお、図1から図4で示した屋根構造では、垂木2の上部に屋根母屋4,6を固定したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、垂木2の下部に軒棟方向に平行に延在するように屋根母屋4,6を固定し、屋根母屋4,6に、それぞれ下地材保持部材8A、8Bを上方から装着しても、同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、屋根母屋4,6の開口部4a,6aが軒棟上方を向いている状態を説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、開口部4a,6aが軒棟下方を向くように屋根母屋4,6を垂木2に固定しても、同様の効果を得ることができる。
また、図5及び図6では、長尺な金属板を折曲して下地材保持部材8A、8Bを形成したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、第1弾性保持片8c及び第2弾性保持片8dのように屋根下地材10の端部に保持力を発生する部位を設けた例えば樹脂材料で形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、下地材保持部材8A、8Bの第2弾性保持片8dは、外側辺部4eから離間する方向に横断面「く」字状に膨出した構造としているが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、例えば外側辺部4eから離間する方向に曲率を有して湾曲した構造なっていても、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、垂木2をH型鋼、屋根母屋4、6をC型鋼として説明したが、垂木を溝型鋼、屋根母屋をH型鋼とし、垂木に下地材保持部材をして屋根下地材10を保持するようにしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、リップを有するC型鋼(リップ溝型鋼)を溝型鋼として用いたが、リップが存在しない横断面コ字形状の溝型鋼であっても、同様の効果を得ることができる。
【0039】
(第2実施形態:床構造)
次に、本発明に係る第2実施形態の床構造について図11及び図12を参照して説明する。
図11は、鉄骨造の床構造の一部を斜視図で示したものであり、図12は、図11のA−A線矢視図である。
図11において、符号20a〜20dは、両端部が土台(図示せず)に支持されて水平方向に延在しながら互いに平行に配置されたH型鋼からなる大引きである。
これら大引き20a〜20dの上部に、C型鋼(リップ溝型鋼)からなる複数の根太22a〜22dが固定されている。複数の根太22a〜22dは、図示しないが、大引き20a〜20d上に固定したアングル等の連結部材に連結ボルトを介して、大引き20a〜20dに直交しながら水平方向に延在しながら互いに平行に固定されている。また、C型鋼からなる根太22a〜22dの開口部24は、同一方向を向いている。
【0040】
各根太22a〜22dには、第1実施形態で示した下地材保持部材8A〜8Dが上方から装着されており、根太22a〜22dの間の領域を覆うように配置した床下地材28の両端部(図面の左右方向の端部)が下地材保持部材8A〜8Dに支持されている。
床下地材28は、断熱性及び吸音性に優れた建材であり、例えば図10で示した材料を使用している。
【0041】
そして、根太22a〜22d上には、床下地材10を外側から覆うように床材34が配置されているとともに、床材34上にフローリング等の床仕上げ材36が敷設されている。
下地材保持部材8Aは、上部当接部8aが根太22aの上辺部38に当接し、端縁当接部8bが根太22aの上部端縁40に当接し、第1弾性保持片8cが根太空間30に向けて略45°の角度を付けて折曲され、第2弾性保持片8dが根太22aの外側辺部32に当接しないように外側辺部32から離間する方向に膨出し(横断面「く」字状に膨出し)、受け片8eが根太22aの外側辺部32に対して離間する方向に略直角に折曲されている。他の根太22b〜22dに装着される下地材保持部材8B〜BDも同一形状となっている。
【0042】
そして、隣接する根太22a,22bの間に床下地材28を配置する場合には、図12に示すように、床下地材28の一方の端部を、根太22aの開口部24から根太空間30に挿入し、その端面を根太22aの内壁に当接すると、床下地材28の端部下面を根太22aの下部端縁40が受け、床下地材28の一方の端部の挿入によって上方に変形した下地材保持部材8Aの第1弾性保持片8cが、下方に向けて押圧する弾性復元力を作用するので、床下地材28の一方の端部が保持される。
【0043】
また、床下地材28の他方の端部を、根太22bの外側辺部32に当接すると、その他方の端部の下面を下地材保持部材8Bの受け片8eが受け、床下地材26の他方の端部の挿入によって膨出が矯正されるように変形した第2弾性保持片8dが、床下地材28の他方の端面に向けて押圧する弾性復元力を作用するので、床下地材28の他方の端部が保持される。なお、他の隣接する一対の根太の間に配置した床下地材28も同様に保持されている。
【0044】
したがって、上記構成の下地材保持部材8A〜8Dを根太22a〜22dに装着すると、隣接する根太22a〜22dの間に配置した床下地材28の一方の端部を、下地材保持部材8A〜8Dの第1弾性保持片8cの弾性復元力により押圧して保持するとともに、床下地材28の他方の端部を、下地材保持部材8A〜8Dの第2弾性保持片8dの弾性復元力により押圧して保持しているので、床下地材28を確実に保持することができる。
【0045】
また、床下地材28と床材34との間に設けた空間が、断熱性を高める空気層となるので、断熱性に優れた床構造とすることができる。
また、床下地材28を断熱性及び吸音性に優れた建材としたことで、床下地材28が断熱・吸音層となるので、断熱性を高めつつ、遮音性及び吸音性に優れた床構造とすることができる。
【0046】
さらに、本実施形態の床施工を行なうと、下地材保持部材8A〜BDは、横断面略「コ」字状に折曲されてなる上辺当接部8a、端縁当接部8b及び第2弾性保持片8dがC型鋼の根太22a〜22dの上部を覆った状態で配置するだけで、簡単に根太22a〜22dに装着され、しかも、床下地材28を隣接する根太22a〜22dの間に配置するだけで、床下地材28の端部が下地材保持部材8A〜8Dの弾性復元力で保持されるので、従来の床施工と比較して、労力が大幅に低減し、床の施工コストを抑えることができる。
【0047】
また、図示しないが、床下地材28を保持する前に、C型鋼である根太22a〜22dの何れかの根太空間30に電線EW(図8及び図9参照)を収納すると、根太空間30を外部から隠れた電線収納空間として有効利用することができる。
なお、本実施形態の下地材保持部材8A〜8Dは、大引き20a〜20dの上部に固定された根太22a〜22dに装着するものとして説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、大引き20a〜20dの下部に根太22a〜22dを固定しても、根太22a〜22dに下地材保持部材8A〜8Dが上方から装着されるので、同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、根太22a〜22dの開口部24が紙面の右方向を向いている状態で説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、開口部24が紙面の左方向を向くように根太22a〜22dを大引き20〜20dに固定しても、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、大引き20a〜20dをH型鋼、根太22a〜22dをC型鋼として説明したが、大引きを溝型鋼、根太をH型鋼とし、大引きに下地材保持部材8A〜8Dを装着して床下地材28を保持するようにしてもよい。
【0049】
さらにまた、本実施形態では、リップを有するC型鋼(リップ溝型鋼)を溝型鋼として用いたが、リップが存在しない横断面コ字形状の溝型鋼であっても、同様の効果を得ることができる。
【0050】
(第3実施形態:壁構造)
次に、本発明に係る第3実施形態の壁構造について図13及び図14を参照して説明する。
図13は、鉄骨造の壁構造の一部を斜視図で示したものであり、図14は、図13のB−B線矢視図である。
図13において、符号50a〜50cは、上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されているH型鋼からなる間柱である。ここで、間柱50a〜50cの室内側に沿って配置されている符号70で示す部材は、室内下地材である。
【0051】
これら間柱50a〜50cの室外側には、水平方向に延在したC型鋼(リップ溝型鋼)からなる複数の胴縁52a、52bが互いに上下方向に平行に固定されている。胴縁52a、52bは、図示しないが、間柱50a〜50cに固定したアングル等の連結部材に連結ボルトを介して固定されている。
また、図14に示すように、C型鋼からなる胴縁52a,52bの開口部24は、下方を向いている。
【0052】
胴縁52a,52bには、第1実施形態で示した下地材保持部材8A,8Bが室外側から装着されており、胴縁52a,52bの間の領域を覆うように配置した壁下地材56の上下端部が下地材保持部材8A,8Bに支持されている。
壁下地材56は、断熱性及び吸音性に優れた建材であり、例えば図10で示した材料を使用している。
【0053】
そして、胴縁52a,52bには、壁下地材56を室外側から覆うように壁材58が配置されているとともに、壁材58の室外側に壁仕上げ材60が敷設されている。
下地材保持部材8Aは、上部当接部8aが胴縁52aの側辺部62に当接し、端縁当接部8bが胴縁52aの下部開口端縁64に当接し、第1弾性保持片8cが胴縁空間66に向けて略45°の角度を付けて折曲され、第2弾性保持片8dが胴縁52aの上片部68に当接しないように上片部68から離間する上方に膨出し(横断面「く」字状に膨出し)、受け片8eが胴縁52aの上辺部68に対して離間する上方向に略直角に折曲されている。他の胴縁52bも同一形状となっている。
【0054】
そして、隣接する胴縁52a,52bの間に壁下地材56を配置する場合には、図14に示すように、壁下地材56の上端を、胴縁52aの開口部54から胴縁空間66に挿入し、その端面を胴縁52aの内壁に当接すると、壁下地材56の上端側側面を胴縁52aの下部開口端縁64が受け、変形した下地材保持部材8Aの第1弾性保持片8cが、壁下地材56の上端を押圧する弾性復元力を作用するので、壁下地材56の上端が保持される。
【0055】
また、壁下地材56の下端を胴縁52bの上片部68に当接すると、壁下地材56の下端側側面を下地材保持部材8Bの受け片8eが受け、第2弾性保持片8dが、壁下地材56の下端に向けて押圧する弾性復元力を作用するので、壁下地材56の下端も保持される。なお、他の壁下地材56も同様に保持される。
したがって、上記構成の下地材保持部材8A,8Bを胴縁52a,52bに装着すると、隣接する胴縁52a,52bの間に配置した壁下地材56の上端を、下地材保持部材8Aの第1弾性保持片8cの弾性復元力により押圧して保持するとともに、壁下地材56の下端を、下地材保持部材8Bの第2弾性保持片8dの弾性復元力により押圧して保持しているので、壁下地材56を確実に保持することができる。
【0056】
また、壁下地材56と壁材58との間に設けた空間が、断熱性を高める空気層となるので、断熱性に優れた壁構造とすることができる。
また、壁下地材56を断熱性及び吸音性に優れた建材としたことで、壁下地材56が断熱・吸音層となるので、断熱性を高めつつ、遮音性及び吸音性に優れた壁構造とすることができる。
【0057】
さらに、本実施形態の壁施工を行なうと、下地材保持部材8A,8Bは、横断面略「コ」字状に折曲されてなる上辺当接部8a、端縁当接部8b及び第2弾性保持片8dがC型鋼の胴縁52a,52bを覆った状態で配置するだけで、簡単に胴縁52a,52bに装着され、しかも、壁下地材56を隣接する胴縁52a,52bの間に配置するだけで、壁下地材56の上下端部が下地材保持部材8A,8Bの弾性復元力で保持されるので、従来の壁施工と比較して、労力が大幅に低減し、壁の施工コストを抑えることができる。
【0058】
また、図示しないが、壁下地材56を保持する前に、C型鋼である胴縁52a,52bの何れかの胴縁空間66に電線EW(図8及び図9参照)を収納すると、胴縁空間66を外部から隠れた電線収納空間として有効利用することができる。
なお、本実施形態の下地材保持部材8A,8Bは、間柱50a,50b,50cの室外側に固定された胴縁52a,52bに装着するものとして説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、間柱50a,50b,50cの室内側に胴縁52a,52bを固定し、この胴縁52a,52bに下地材保持部材8A,8Bを装着しても、同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、胴縁52a,52bの開口部54が下方を向いている状態で説明したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、開口部54が上方を向くように胴縁52a,52bを間柱50a〜50cに固定しても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、間柱50a〜50cをH型鋼、胴縁52a,52bをC型鋼として説明したが、間柱を溝型鋼、胴縁をH型鋼とし、間柱に下地材保持部材を装着して壁下地材56を保持するようにしてもよい。
【0060】
さらにまた、本実施形態では、リップを有するC型鋼(リップ溝型鋼)を溝型鋼として用いたが、リップが存在しない横断面コ字形状の溝型鋼であっても、同様の効果を得ることができる。
(下地材保持部材の変形例)
そして、図15は、上述した下地材保持部材と異なる形状の部材を屋根母屋4に装着したものである。本実施形態の下地材保持部材8Aは、屋根母屋4の上部端縁4cに当接する端縁当接部8bと、母屋内部空間4dに向けて延在している第1弾性保持片8cとの間に、上部端縁4cの先端を囲むように屈曲部4gを設けている。
【0061】
この屈曲部4gを設けたことで、屋根母屋4に装着した下地材保持部材8Aが浮き上がる(屋根母屋4の上辺部4bから離間する)のを防止することができる。なお、図示しないが、屈曲部4gを設けた下地材保持部材8Aとすることで、床構造の際には根太22a〜22dに装着した下地材保持部材8Aの浮き上がりを防止し、壁構造の際には胴縁52a,52bに装着した下地材保持部材8Aの浮き上がりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る第1実施形態の屋根構造を示す斜視図である。
【図2】図2のII−II線矢視図である。
【図3】図2と異なる他の実施形態の屋根構造を示す斜視図である。
【図4】図2及び図3と異なる他の実施形態の屋根構造を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る下地材保持部材の構成を示す図である。
【図6】本発明に係る下地材保持部材が屋根下地材を保持する状態を示す図である。
【図7】本発明に係る屋根の施工において下地材保持部材の装着状態を示す図である。
【図8】本発明に係る屋根の施工において屋根下地材の端部を屋根母屋の母屋内部空間に挿入する状態を示す図である。
【図9】本発明に係る屋根の施工において屋根下地材を取り付ける状態を示す図である。
【図10】本発明に係る屋根下地材の構成を示す図である。
【図11】本発明に係る第2実施形態の床構造を示す斜視図である。
【図12】図11のA−A矢視断面図である。
【図13】本発明に係る第3実施形態の壁構造を示す斜視図である。
【図14】図13のB−B矢視断面図である。
【図15】異なる形状の下地材保持部材を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
2…垂木、4,6…屋根母屋、4a…開口部、4f…下部端縁、4e…外側辺部、屈曲部4g、
8A,8B,8C,8D…下地材保持部材、8a…上部当接部、8b…端縁当接部、8c…第1弾性保持片、8d…第2弾性保持片、8e…受け片、10…屋根下地材、12…野地材、13…中間屋根材、14…屋根仕上げ材、20a〜20d…大引き、22a〜22d…根太、24…開口部、28…床下地材、30…根太空間、34…床材、36…仕上げ材、50a〜50c…間柱、52a,52b…胴縁、54…開口部、56…壁下地材、58…壁材、60…壁仕上げ材、66…胴縁空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置された少なくとも一対の溝型鋼からなる鋼製建材にそれぞれ装着され、前記一対の鋼製建材の間に配置した下地材の端部を保持する下地材保持部材であって、
前記一対の鋼製建材に着脱自在に係合する係合部と、前記一対の鋼製建材の一方の開口部に挿入した前記下地材の一方の端部を保持する第1保持部と、前記一対の鋼製建材の他方に向けて延在してきた前記下地材の他方の端部を保持する第2保持部とを備えていることを特徴とする下地材保持部材。
【請求項2】
前記第1保持部は、前記一対の鋼製建材の一方の開口部に挿入した前記下地材の一方の端部を弾性復元力で押圧して保持することを特徴とする請求項1記載の下地材保持部材。
【請求項3】
前記第2保持部は、前記下地材の他方の端部を、弾性復元力で前記一方の端部側に押圧して保持することを特徴とする請求項1又は2記載の下地材保持部材。
【請求項4】
前記係合部、前記第1保持部及び前記第2保持部を、金属板を折り曲げて形成したことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の下地材保持部材。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した屋根構造であって、
勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、
前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した屋根下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする屋根構造。
【請求項6】
前記屋根下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に敷設した野地材と、この野地材上に敷設した屋根仕上げ材とを備えたことを特徴とする請求項5記載の屋根構造。
【請求項7】
前記屋根下地材は、天井として用いられる断熱性、吸音性のない建材であることを特徴とする請求項6記載の屋根構造。
【請求項8】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用した屋根構造であって、
勾配を付けて互いに平行に配置した複数の垂木と、複数の垂木の上部、或いは下部に、軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在するように配置した複数の屋根母屋とを備え、
前記複数の垂木と前記複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した屋根下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するとともに、
前記屋根下地材上に中間屋根材を敷設し、この中間屋根材上に野地材を敷設し、この野地材上に屋根仕上げ材を敷設することを特徴とする屋根構造。
【請求項9】
前記屋根下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする請求項5,6又は8記載の屋根構造。
【請求項10】
前記中間屋根材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする請求項8又は9記載の屋根構造。
【請求項11】
前記野地材は、木毛や木片などの木質原料及びセメントペーストを混ぜ合わせた混合体を板状に圧縮成形してなる木質系セメント板などの遮音性に優れた建材であることを特徴とする請求項6から10の何れか1項に記載の屋根構造。
【請求項12】
請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した床構造であって、
土台に支持されて水平方向に延在しながら互いに平行に配置されている大引きと、これら大引き上で直交して配置されている複数の根太とを備え、
前記複数の大引きと前記複数の根太の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した床下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする床構造。
【請求項13】
前記床下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に床材を敷設することを特徴とする請求項12記載の床構造。
【請求項14】
前記床下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする請求項12又は13記載の床構造。
【請求項15】
請求項1から4の何れか1項の下地材保持部材を使用した壁構造であって、
上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に配置されている複数の間柱と、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に固定されている複数の胴縁とを備え、
前記複数の間柱と前記複数の胴縁の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材に前記下地材保持部材を装着し、隣接する鋼製建材の間に配置した壁下地材の両端部を前記下地材保持部材で保持するようにしたことを特徴とする壁構造。
【請求項16】
前記壁下地材との間に空気層を設けて前記溝型鋼からなる鋼製建材上に壁材を敷設することを特徴とする請求項15記載の壁構造。
【請求項17】
前記壁下地材は、合成樹脂発泡体、グラスウールボードなどの断熱性及び吸音性に優れた構成材を用いていることを特徴とする請求項15又は16記載の壁構造。
【請求項18】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、勾配を付けて複数の垂木が配置され、これら垂木の上部、或いは下部で軒棟方向に平行に離間しながら桁行方向に延在して複数の屋根母屋が配置されており、これら複数の垂木と複数の屋根母屋の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に屋根下地材を敷設する屋根の施工方法であって、
前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、
これから敷設する前記屋根下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、
前記屋根下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする屋根の施工方法。
【請求項19】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、土台に支持されて水平方向に延在しながら互いに平行に複数の大引きが配置され、これら大引き上で直交して複数の根太が配置され、これら複数の大引きと複数の根太の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に床下地材を敷設する床の施工方法であって、
前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、
これから敷設する前記床下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、
前記床下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする床の施工方法。
【請求項20】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の下地材保持部材を使用し、
上下方向に延在しながら互いに水平方向に平行に複数の間柱が配置され、互いに上下方向に離間しながら前記複数の間柱に複数の胴縁が固定され、これら複数の間柱と複数の胴縁の一方を溝型鋼からなる複数の鋼製建材とし、これら鋼製建材の間に壁下地材を敷設する壁の施工方法であって、
前記下地材保持部材の係合部を、複数の鋼製建材の上部を覆った状態で装着する工程と、
これから敷設する前記壁下地材の一方の端部を、隣接している一対の前記鋼製建材の一方の前記開口部に挿入し、前記鋼製建材に装着されている下地材保持部材の前記第1保持部で保持する工程と、
前記壁下地材の他方の端部を、一対の前記鋼製建材の他方に装着されている下地材保持部材の前記第2保持部で保持する工程とを備えていることを特徴とする壁の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−8131(P2008−8131A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261917(P2006−261917)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(391044801)興亜不燃板工業株式会社 (4)
【出願人】(306034789)コンフォートテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】