下水汚泥および他の廃棄物を含む合成骨材ならびにそのような骨材の製造方法
本発明の実施形態の一例では、廃水処理施設からの下水汚泥を非石炭燃焼灰ケイ素アルミニウム廃棄物と混合する段階、その混合物を凝集させて凝集体を形成する段階、ならびにその凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む骨材の製造方法が開示される。その廃棄物は、例えば都市固形廃棄物焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、セメントキルンダスト、廃棄物ガラス、高炉スラグ、キルンダストおよび/または花崗岩切断残留物を含むことができる。該方法はさらに、廃棄物混合に先立って、前記廃棄物を粉砕する段階を含むことができる。好ましくは、粉砕は湿式粉砕である。凝集体の焼成処理はロータリーキルンで行うことができる。得られた骨材は、軽量または通常重量の焼結またはガラス化骨材であることができる。骨材ならびに高および低カルシウムケイ素アルミニウム材料の骨材の製造方法も開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成骨材、詳細には下水汚泥およびケイ素アルミニウム材料を含む合成骨材ならびに低カルシウムおよび高カルシウム含有ケイ素アルミニウム材料の組み合わせを含む合成骨材に関する。
【背景技術】
【0002】
骨材は、コンクリート、石造物および空洞充填断熱材の必須成分である。骨材の他の用途には、充填物補助材または園芸用骨材などがある。骨材は、最小限の加工を施した自然源または加熱処理を行った天然材料由来である場合がある。骨材は合成品であることもある。例えば、採石場、地中立坑および河床などの自然源からの骨材は、通常、岩片、砂利、石および砂から構成され、それらは必要に応じて粉砕、洗浄および分粒して使用することができる。骨材を形成するのに用いることができる天然材料からの骨材には、粘土、頁岩および粘板岩などがあり、それらを焼成処理して、材料を膨張させる。例えば、OPTIROCおよびLECAは市販の膨張粘土骨材の例である。合成骨材は、廃棄物となり得る工業副産物を含む可能性がある。例えばLYTAGは、微粉燃料灰(「PFA」)を含む市販の焼結骨材であり、フライアッシュとも称される。PFAは、例えば発電所での石炭の燃焼から製造される。
【0003】
建設で使用される天然骨材は非常に需要が大きい。しかしながら、骨材資源は有限であり、その材料の抽出および加工は、例えば環境問題、法律問題、入手可能性、都市膨張および輸送コストによって複雑になる。各種産業による廃棄物発生も著しく増加しており、それは環境的および法律的に許容される形で処分しなければならない。代表的には、発生する廃棄物のほとんどが、多大な費用をかけて埋め立て地で処分される。使用可能な埋め立て地が枯渇し、新たな場所の獲得が難しく、環境的に有害な効果の可能性があり、埋め立てのコストがかかるため、廃棄物の廃棄は長年にわたって大きな問題となってきた。
【0004】
廃棄物を加工および変化させることで、コンクリートやその他の用途で使用される実用的な合成骨材を製造できれば、廃棄物の問題と天然骨材資源の枯渇の両方が解決されるものと考えられる。
【0005】
骨材は、軽量または通常重量のものであることができる。軽量骨材(「LWA」)は、ASTM規格C330で定義のように、2.0g/m3未満の粒子密度または1.1g/cm3未満の乾燥疎充填かさ密度を有する。例えば砂利、砂および砕石からの通常重量骨材は、約2.4〜約2.9のかさ比重(乾燥機乾燥および表乾の両方)および約1.7g/cm3以下のかさ密度を有する。高品質LWAは、均一な構造強度の強いが低密度の多孔質焼結セラミック核と水吸収を防ぐための高密度で連続的な比較的不透過性の表面層を有する。それらは、物理的に安定で、耐久性があり、環境的に不活性である。コンクリートで使用する場合、LWAは、十分な破砕強度および耐断片化性を有することで、得られるコンクリートが10MPaを超える強度および約1.5g/cm3〜約2.0g/cm3の範囲の乾燥密度を有するものでなければならない。相対的に低密度のLWAも製造可能である。LWAを含むコンクリート(「LWAコンクリート」)は、約0.3g/cm3という低い密度を有することもできる。
【0006】
合成軽量骨材(「LWA」)は、構造用途での使用に関連してかなりの効果があることから非常に注目されてきた。LWAを含むコンクリート(「LWAコンクリート」)は、従来のコンクリートより20〜30%軽量であることができるが、同等の強度を有する。従来のコンクリートほど強くない場合であっても、LWAコンクリートは、構造上の死荷重が少ないことで、より長期間の使用、より狭い断面および構造における補強の軽減につながり得る。LWAコンクリートが相対的に低重量であることで、取り扱いが容易になり、輸送、装置および労働力のコストが節減される。LWAコンクリートでは、絶縁性、冷凍解凍性能、耐火性および音量低下も改善され得る。
【0007】
生物廃水処理工場によって製造される下水汚泥は、体積および重金属含有量に関して重要な廃棄物である。下水汚泥は、一次沈殿もしくは二次沈殿、好気性消化もしくは嫌気性消化その他のプロセスなどの工場での各種処理段階時に堆積し、その後液体流から分離された沈殿固体を含む。下水汚泥の組成および特性は、使用される廃水処理プロセスおよび下水汚泥処理プロセスに応じて変動し得るものでもある。下水汚泥は、未処理であったり、消化されていたり、脱水されたものである場合がある。下水汚泥は、かなりの量の有機材料を含み、高濃度の重金属および病原体を含む可能性もある。下水汚泥は一般に、焼却によって不活性灰を形成することで処分されており、それは例えばラグーニング、埋め立て、肥料もしくは土壌コンディショニングとしての土地への散布および海洋投棄によって処分される。下水汚泥が未処理で土地に散布されたり埋め立て地で処分されると、望ましくない汚染が起こる可能性がある。
【0008】
下水汚泥の再利用および処分は、無視できない経済的および環境的な問題を生じる。埋め立て地から浸出する可能性がある廃棄物中の重金属および病原体の存在は、隣接する土地および給水設備に対する脅威となる。埋め立て地の利用も次第に困難になりつつある。さらに、廃棄物の重量を大きくする下水汚泥中の大量の水の存在のために、輸送および処分のコストが大きくなる。
【0009】
製造される別の重大な廃棄物は、都市固形廃棄物(「MSW」)焼却から生じる灰流である。MSW灰残留物の埋め立て地への処分は最初の廃棄物の体積の1/10に過ぎないが、かなりの量の固体残留物が生じるために、その管理が問題となっており、その大半が現在は埋め立てられている。焼却炉ボトムアッシュ(「IBA」)は、MSW焼却炉残留物の総重量の約75〜80%を占める主要な灰流であり、スラグ、ガラス、セラミック、鉄金属および非鉄金属、鉱物、他の不燃物および未燃有機物の不均一混合物である。IBAは現在、堤防、舗道路盤および道路補助路盤の建設で、土壌安定化で、煉瓦、ブロックおよび敷石中で、そして特定用途での充填材として、そのままの形態(加熱処理せず)で使用される。比較的不活性な廃棄物であると考えられるが、これら用途での重金属の浸出が起こり得る。
【0010】
MSW焼却によって、燃焼ガス中に浮遊しているか、排気制御装置で回収されるダストの形態での粒子状残留物も生じ、それは大気汚染防止(「APC」)残留物と称される。それには、フライアッシュ、石灰、炭素および公害防止システムで回収された残留物などがある。焼却炉フィルターダスト(「IFD」)は、焼却廃棄物1000kg当たり25〜30kgの割合で生じるバグハウスフィルターに回収されるAPC残留物であり、フライアッシュは場合によりIFDを含み、合わせて灰流全体量の約10%〜15%を占める。MSW焼却炉フライアッシュ(「IFA」)は、重金属、ダイオキシン類、硫黄化合物および塩素化合物などの高濃度の有害材料を含むことから、ほとんどの欧州諸国で、有毒および危険残留物として分類されている。従って、それは特別な埋め立て地でのみ処分可能であり、それはコストが高く、環境的に安全ではない。
【0011】
かなりの体積の残留物が、鉱物、鉱石および石の採掘によっても生じる。代表的な採掘操作には、抽出、選鉱、爆破、破砕、洗浄、篩い分け、切削(石)および備蓄などがある。これらの操作によって、処分を必要とする各種大きさの粉砕物、粉末、泥残留物および廃水などの廃棄物が生じる。例えば装飾石の切削からの大理石および花崗岩の廃棄物も、大量の廃棄泥を生じ、それは河川や沼地に廃棄される。花崗岩切断機および花崗岩切削機も、大量の粉末および泥廃棄残留物を生じる。「採鉱廃棄物」という用語は本明細書において、これら操作中に生じる廃棄物を指すのに用いられる。採鉱廃棄物は、処理を行ってから沼地や埋め立て地で処分して、環境汚染を防止する必要がある。他の採鉱廃棄物には、例えば石灰岩およびドロマイト尾鉱などがある。
【0012】
発電所も、微粉燃料灰(「PFA」)とも称される微粒子および炉ボトムアッシュ(「FBA」)とも称される粗留分の形態での大量の灰残留物を生じる。比較的重い灰分が、発生する総石炭灰の20〜30%を占め、炉の底に落ちる画分である。FBAは現在、軽量コンクリート、ポルトランドセメント製造および他のアスファルトもしくは道路基盤用途で骨材として、そのままの形態で使用されている。
【0013】
高い割合で生じる他の廃棄物には、セメントキルンダスト(「CKD」)および高炉スラグなどがある。CKDは、製造工場の大気汚染防止ダスト回収システムで捕捉される微粉末のセメント製造操作副産物である。米国では、毎年約1420万トンのCKDが生じており、発生するCKD全体の約64%がセメント工場内で再利用されている。GGBSは、高炉での鉄の生産および加工の非金属生産物である。米国では年間約1550万トンのGGBSが生じていると推定され、その大半が、骨材または絶縁材料としてセメント生産で使用されている。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
廃棄物処理に関連する経済的負担および環境上の危険性から、廃棄物を安全で収益が得られる製品に変える別途技術を開発することが有利になっている。廃棄物の再利用による合成骨材などの建設・建築材料の製造は、大量の廃棄物を利用し、材料骨材用の再生できない原材料の需要を減らせる可能性が高くなることから、効果的な選択肢であると考えられる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥を非石炭燃焼灰ケイ素アルミニウム廃棄物と混合する段階を含む、骨材製造方法が開示される。その方法はさらに、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を有する。前記廃棄物は、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、高炉スラグ、キルンダストおよび/または採鉱廃棄物を含み得る。都市固形廃棄物焼却炉残留物は、大気汚染防止残留物および/または焼却炉ボトムアッシュを含み得る。大気汚染防止残留物には、焼却炉フライアッシュおよび/または焼却炉フィルターダストなどがある。キルンダストはセメントキルンダストを含む。採鉱廃棄物には花崗岩切断残留物などがある。
【0016】
一例において、前記廃棄物は下水汚泥より多くのカルシウムを含む。この例において、廃棄物には焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、セメントキルンダスト、廃棄物ガラスおよび/または高炉スラグなどがある。廃棄物は9%を超えるカルシウムを含むことができ、下水汚泥は3%未満のカルシウムを含むことができる。得られる骨材は、乾燥重で約10%未満のカルシウムを含むことができる。前記方法は、混合物の乾燥重で約99%〜約60%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約1%〜約40%の前記廃棄物と混合する段階を含むことができる。好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約80%〜約90%の下水汚泥を約10%〜約20%の前記廃棄物と混合する段階を含む。
【0017】
別の例では、前記廃棄物は下水汚泥より少ないカルシウムを含む。この例では、前記廃棄物は、炉ボトムアッシュ、花崗岩切断残留物および/または廃棄物ガラスを含むことができる。前記廃棄物は約10%未満のカルシウムを含むことができ、前記下水汚泥は約10%を超えるカルシウムを含むことができる。前記骨材は約10%未満のカルシウムを含むことができる。その方法は、混合物の乾燥重で約5%〜約95%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約95%〜約5%の前記廃棄物と混合する段階を含むことができる。好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約30%〜約70%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約70%〜約30%の前記廃棄物と混合する段階を含む。より好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約30%〜約50%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約70%〜約50%の前記廃棄物と混合する段階を含む。
【0018】
前記方法はさらに、混合の前に前記廃棄物を粉砕する段階を含むことができる。好ましくは、前記粉砕は湿式粉砕である。下水汚泥と廃棄物の混合物は、好ましくは粉砕してから凝集を行う。好ましくは前記凝集は、ペレット化を含む。湿った粉砕廃棄物から、少なくとも一部分の水分を除去することができ、その水分の少なくとも一部分を、焼成処理した凝集体のペレット化および/または急冷時に用いることができる。得られる骨材は、約3mm〜約40mmの直径を有することができる。
【0019】
前記凝集体は、無機粉末でコーティングすることができる。可塑性結合材を下水汚泥および廃棄物と混合してから凝集を行うことができる。前記可塑性結合材は粘土を含むことができる。前記粘土結合材は、前記混合物の乾燥重で約5%〜約20%含まれることができる。
【0020】
凝集体の焼成処理は、ロータリーキルンで行うことができる。得られた骨材は、例えば軽量骨材または通常重量骨材であることができる。凝集体はガラス化させることができる。少なくとも部分的に廃棄物に対する下水汚泥の割合および焼成処理温度に基づいて、骨材の特定の特性を制御することができる。その特定の特性には、骨材の密度、吸水率および/または強度などがあり得る。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む混合物を製造する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階、ならびに前記凝集体を焼結する段階を含む、焼結軽量骨材の製造方法が開示される。前記廃棄物は、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストおよび/または花崗岩切断残留物を含むことができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む焼結軽量骨材が開示される。下水汚泥および廃棄物の混合物を、焼結軽量骨材を形成する温度で焼結する。前記廃棄物は、例えば焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストおよび/または花崗岩切断残留物を含むことができる。前記軽量焼結骨材は、約2%のカルシウム〜約10%のカルシウムを含むことができる。好ましくは軽量焼結骨材は、約3%〜約6%のカルシウムを含むことができる。軽量焼結骨材は化学的に不活性であることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、焼成処理骨材は、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む。前記骨材は、焼結またはガラス化することができる。前記骨材は、通常重量または軽量骨材であることができる。
【0024】
別の実施形態によれば、焼成処理骨材は下水汚泥からなる。下水汚泥は、40重量%未満の有機材料を含むことができる。
【0025】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ(「FBA」)を混合する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階、前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュを含む焼成処理骨材が開示される。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥の含水量を凝集可能なレベルまで低下させる段階、前記下水汚泥を凝集させる段階、および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。
【0027】
別の実施形態によれば、粘土または頁岩のうちの少なくとも一方を粉砕する段階、廃水処理施設からの下水汚泥中の水分の少なくとも一部を除去する段階、および前記下水汚泥を前記粘土または頁岩と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物をペレット化し、得られたペレットをロータリーキルンで焼成処理して骨材を形成する。前記下水汚泥および前記粘土または頁岩の混合物を、湿式粉砕することができる。
【0028】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥を粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトおよび/または石膏と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させて凝集体を形成する。次に、凝集体を焼成処理して骨材を形成する。粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏などの1以上の天然材料に加工処理を施してから、下水汚泥と混合することができる。
【0029】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥ならびに粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトおよび/または石膏を含む焼成処理骨材が開示される。
【0030】
別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰、石炭、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスおよび/または炉ボトムアッシュを含むことができる第1の材料を、焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、焼却炉フィルターダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏、ドロマイトおよび/または廃棄物ガラスを含むことができる第2の材料と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させて凝集体を形成し、その凝集体を焼成処理して骨材を形成する。前記第1の材料は乾燥重で約3%未満のカルシウムを含むことができ、前記第2の材料は約9%を超えるカルシウムを含むことができる。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および都市固形廃棄物焼却炉からの焼却炉残留物を混合する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記焼却炉残留物は、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュおよび/または焼却炉フィルターダストを含むことができる。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰もしくは粘土である第1の材料を含む第1の材料を、粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストもしくはセメントキルンダストである1以上の第2の材料と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させ、その凝集体を焼成処理して骨材を形成する。
【0033】
別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰および/または粘土であることができる第1の材料および粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストおよび/またはセメントキルンダストであることができる第2の材料を含む焼成処理骨材が開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
加熱した場合の材料の挙動は、主としてその組成、粒度および鉱物組成によって決まる。所望の密度、吸水率などを有する焼結およびガラス化生産物の製造時に焼成処理温度で緻密化を制御するためには、流動性材料と耐火性鉱物との間の良好な比が必要である。シリカおよびアルミナなどの耐火性鉱物は、一般には高融点を有する。酸化物、炭酸塩もしくは硫酸塩の材料形態で存在するアルカリ土類金属であるカルシウムおよびマグネシウムならびにアルカリ金属であるナトリウムおよびカリウムなどの流動性鉱物の存在によって、材料中のシリカおよびアルミナならびに他の耐火性鉱物の融点が低下する。材料中の流動性鉱物の割合が高い場合、それに応じてガラスネットワーク形成性元素であるケイ素の割合が低くなる。流動性鉱物は、焼結ならびに混合物中の成分の最低共融点の温度での溶融を促進する。さらに、低粘度および高移動性を有する流動性鉱物は、液相の焼結により、関与する温度に応じて、焼結またはガラス化生産物の形成に役立つ。
【0035】
下水汚泥は不均一廃棄物であり、その組成は、主として特定の廃水処理工場に入ってくる廃水流入の特徴ならびに廃水および汚泥処理プロセスに用いられる処理プロセスに応じて大きく変動し得るものである。下水汚泥は、焼成処理骨材の生産用の初期原料として本発明の一部の実施形態で用いられる。2つの異なる処理工場からの下水汚泥について、本発明の実施形態による骨材生産加工を行った。一つの廃水処理施設からの下水汚泥サンプル(サンプルX、下記の実施例1で説明)は、部分的に、約16.02%のシリカ(SiO2)、6.83%のアルミナ(Al2O3)および20.28%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。やはり下記の実施例1で説明されるサンプルYは、部分的に約31.24%のシリカ(SiO2)、6.22%のアルミナ(Al2O3)および12.12%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。これらのサンプルは、多量のアルカリ土類金属であるカルシウムを含んでおり、それは汚泥中の残りの化合物の融点を下げるものである。従って、耐火性鉱物であるシリカおよびアルミナの融点より低い温度で緻密化が起こる。さらに、前記カルシウム成分は、液相焼結による焼結またはガラス化生産物の形成に役立つ融剤として作用する。混合物が焼結されるかガラス化されるかは、焼成処理温度および混合物の組成によって決まる。流動性鉱物は溶融して、低粘度・高移動性の液体を形成し、それは残りの耐火性鉱物を非常に急速に吸収および溶解させる。さらに、汚泥中に揮発性成分が存在することで、ケイ酸塩溶融物の移動性が高まる。この液体形成が、焼成処理温度を高くした場合のこの種類の下水汚泥の緻密化加速挙動の原因となっている。
【0036】
第2の廃水処理施設からの下水汚泥サンプルは、これら融剤を低濃度で有していた。実施例4にて下記で説明するサンプルZは、3.20%の酸化カルシウム(CaO)、3.80%の酸化アルミニウム(Al2O3)および39.50%の酸化ケイ素(SiO2)の部分組成を有する低カルシウム下水汚泥の一例である。シリカなどの耐火性鉱物の濃度が相対的に高いために、相対的に高い温度で、より広い温度範囲にわたって緻密化が起こった。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、100%の下水汚泥を含む焼成処理骨材およびそのような骨材の製造方法が開示される。下水汚泥を添加剤と混合して下水汚泥の組成を調整し、焼成処理時のその挙動を変えることで、骨材生産の制御がより良好になり得ることが認められた。従って、他の実施形態によれば、ある種の廃棄物および天然添加剤材料を下水汚泥と混合する。その追加材料の選択は、下水汚泥の組成によって決まる。好ましくは、その材料は、得られる骨材が約2%〜約10%のカルシウム含有量を有するように選択される。より好ましくは、前記カルシウム含有量は約2%〜約6%である。
【0038】
一実施形態の一例では、例えば、10%を超えるカルシウム含有量などの高カルシウム含有量を有する下水汚泥を、下水汚泥の含有量より少ないカルシウム含有量を有する低カルシウムケイ素アルミニウム材料(「LCSAM」)と混合して、下水汚泥の組成、従って焼成処理時のその緻密化挙動を変える。例えば、高カルシウム含有量ケイ素アルミニウム下水汚泥は、10%を超えるカルシウム含有量を有することができ、LCSAMは約10%未満のカルシウム含有量を有することができる。LCSAMは、本実施形態ではグループA添加剤または材料とも称される。LCSAMには、廃棄物ガラス(「WG」)、炉ボトムアッシュ(「FBA」)などの廃棄物ならびに花崗岩切断残留物(「GSR」)などのある種の採鉱廃棄物などがある。LCSAMには、天然材料粘板岩などもある。
【0039】
高カルシウム下水汚泥へのLCSAMの添加は、LCSAMから比較的低移動性で比較的高粘度の溶融物を提供することで、(1)材料の緻密化が遅延し、かつ/または(2)骨材の初期軟化、焼結および溶融の間の温度範囲が大きくなることが認められている。これによって、100%高カルシウム下水汚泥の加工と比較して、骨材生産プロセスの制御の方が良好となることが認められている。
【0040】
別の実施形態の例では、低カルシウム含有量を有する下水汚泥を、高カルシウムケイ素アルミニウム材料(「HCSAM」)(本実施形態では、グループB添加剤または材料と称される)と混合する。低カルシウム下水汚泥は3%未満のカルシウム含有量を有することができ、HCSAMは9%を超えるカルシウム含有量を有することができる。本実施形態でのHCSAMには、例えば(1)廃棄物:都市固形廃棄物(「MSW」)残留物、セメントキルンダスト(「CKD」)および高炉スラグ;ならびに(2)天然材料:石灰石、石膏およびドロマイトなどがある。都市固形廃棄物(「MSW」)残留物には、大気汚染防止残留物および焼却炉ボトムアッシュ(「IBA」)などがある。大気汚染防止残留物には、焼却却炉フライアッシュおよび焼却炉フィルターダストなどがある。
【0041】
低カルシウム下水汚泥へのHCSAMの添加によって、(1)下水汚泥含有骨材を焼成処理可能な温度範囲が狭くなり;(2)焼結および/またはガラス化を加速する液体溶融物が得られ;ならびに(3)温度および組成に応じた特定の特徴(例えば密度など)を有する骨材の生産が可能となることが認められている。
【0042】
廃棄物ガラスは、無視できない量のカルシウムおよびナトリウム(それぞれ、9%および12重量%)などの融剤成分ならびにシリカ(71.7重量%)などの耐火性鉱物を含む。従って廃棄物ガラスは、下水汚泥の組成に応じて、グループAおよびグループBの両方の添加剤であることができる。すなわち、廃棄物ガラスは、高カルシウム下水汚泥のカルシウム含有量を低下させることができるか、または低カルシウム下水汚泥のカルシウム含有量を上昇させることができる。
【0043】
一実施形態の別の例では、少なくとも1種類のLCSAMと少なくとも1種類のHCSAMの混合物からの合成骨材が生産される。一例では、LCSAMは3%未満のカルシウムを含み、HCSAMは10%を超えるカルシウムを含む。LCSAMとHCSAMの混合物が耐火性鉱物と流動性鉱物との間の良好な比率を提供して、焼成処理の制御を可能とすることが認められている。本実施形態でのLCSAMには、例えば廃棄物:石炭燃焼施設からの粉砕燃料灰(「PFA」)および上記の他のLCSAM、ならびに粘土、頁岩および粘板岩などがある。粘土は、例えばベントナイトおよび/またはカオリンであることができる。本実施形態でのHCSAMは、MSW焼却炉ボトムアッシュが含まれていないこと以外は、上記で記載のものと同じである。HCSAMのLCSAMへの添加は、耐火性鉱物に対する融剤の割合が適切である所望の組成を混合物に与えて、所望の特性の骨材を製造するための生産プロセスの制御をより良好にすることを目的とするものである。
【0044】
別の実施形態では、下水汚泥の第2の材料/添加剤に対する割合および焼成処理温度を制御することで、合成骨材の一定範囲の密度、多孔率および吸水率を得ることができる。
【0045】
図1は、約920℃〜約1150℃の範囲にわたる、下水汚泥を含む骨材(下記実施例2のサンプルX)ならびに下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物を含む骨材についての焼結温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。100%SSを含む骨材に相当する曲線Aは、温度が約920℃から約960℃に上昇するにつれて、密度が約1.2g/cm3の低値から最大密度約2.5g/cm3まで上昇することを示している。温度が960℃から980℃まで上昇するにつれて、密度は最大密度約2.5g/cm3から1.7g/cm3まで低下する。密度2.0g/cm3以下の骨材は軽量骨材と称され、密度が2.0g/cm3より高い骨材は通常重量骨材と称される。
【0046】
製造物が焼結すると、下水汚泥中の融剤が溶融して液相を形成し、それが毛管作用によって下水汚泥中の粒子間の孔を充填することから、920℃から960℃への温度上昇に伴って密度が高くなる。孔が充填されるつれて密度が上昇し、サンプルの体積が小さくなる。さらに、液相中の相対的に小さい粒子が相対的に大きい粒子の方に拡散する。溶融材料は、硬化時に剛性でガラス質の非晶質骨格またはマトリックスを形成する。加工温度が上昇するにつれて、下水汚泥中のより多くの化合物が溶融して、実質的に全ての孔が消失し、よりガラス質の結晶性固体マトリックスが形成される。最大緻密化の温度では、ほぼ全ての孔が充填され、製造物はガラス化する。
【0047】
さらに温度上昇するとサンプルの溶融および膨張が生じることから、960℃から980℃へと温度が上がると密度は急速に低下する。膨張は、溶融液相中への気体の取り込みによって生じるものであり、その気体はサンプルの一部の成分の気化によって生じるものである。捕捉された気体は孔を形成する。
【0048】
図1に示したように、下水汚泥は、非常に狭い温度範囲で急速に焼結する。例えば、密度が約1.4g/cm3〜約1.8g/cm3の範囲である100%下水汚泥を含む焼結軽量骨材を製造するためには、焼結温度は930〜940℃の範囲内でなければならず、その幅はわずか10℃である。さらに、下水汚泥の所与のサンプルの組成における変動により、加熱中に下水汚泥サンプルの挙動に大きな変動が生じる。従って、各種下水汚泥サンプルについての温度と密度の間の関係は、広い範囲で変動し得る。結果的に、密度、多孔率、吸水率などの所望の特徴を有する下水汚泥最終生成物を得ることは非常に困難である。このサンプル(高カルシウム)に類似の組成を有する下水汚泥の緻密化挙動を温度で制御することができないという点は、大量生産で必要な特性の骨材を製造する上での重大な障害となると考えられる。
【0049】
本発明の実施形態で用いられる低カルシウムケイ素アルミニウム材料(LCSAM)は、下水汚泥と比較して多くのシリカおよび少ないカルシウムを含む。上記のように、下記の実施例1および2で用いられる下水汚泥サンプル(サンプルX)は、約16.02%のシリカ(SiO2)、6.83%のアルミナ(Al2O3)および20.28%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。天然LCSAM粘土(例えばベントナイトおよびカオリン)、頁岩および粘板岩は、約48%〜58%のシリカ(SiO2)、約18%〜約29%のアルミニウム(Al2O3)および約3%未満の酸化カルシウム(CaO)を含む。本発明のある種の実施形態で使用可能な採鉱廃棄物の一例である花崗岩切断残留物(「GSR」)は、約65%のシリカ(SiO2)、約15%のアルミナ(Al2O3)および約2.6%の酸化カルシウム(CaO)を含む。廃棄物ガラスは、約72%のシリカ(SiO2)、約2%のアルミナ(Al2O3)および約9%の酸化カルシウム(CaO)を含む。廃棄物ガラスはさらに、やはり融剤化合物である約12%の酸化ナトリウム(Na2O)を含むことから、それを用いて、下水汚泥中の融剤の量を増加または低減することができる。石炭燃焼からの粉砕燃料灰(「PFA」)と同じ組成を有する炉ボトムアッシュ(「FBA」)は、約52%のシリカ(SiO2)、約26%のアルミナ(Al2O3)および約2%の酸化カルシウム(CaO)を含む。これらLCSAMの別の成分は、下記の実施例に挙げてある。
【0050】
図1に示したように、例えば60%/40%下水汚泥(「SS」)/花崗岩切断廃棄物(「GSR」)混合物で、密度が約1.5g/cm3〜約1.8g/cm3である焼結軽量骨材を製造するには、焼結温度は約30℃の範囲内(約1010℃〜約1040℃)とすることができる。40%/60%SS/GSR混合物では、約1010℃〜約1075℃の65℃の範囲内の温度で同様の密度を得ることができる。さらに、GSR濃度が60%まで上がると、焼結が遅れ、約1110℃で最大密度に達する(それと対照的に、100%SSの場合では960℃、60%/40%SS/GSRの場合では1060℃)。GSRが80%以上までさらに増加すると40%/60%SS/GSR混合物より広い温度範囲にわたって約1.5g/cm3〜約1.8g/cm3の密度を有する軽量骨材となるものと予想される。その相対的に広い温度範囲によって、SSの組成が変動したとしても所望の密度および他の特性を有する骨材の製造が容易になる。図1は、下記の実施例2の結果に基づいたものである。
【0051】
図2は、約980℃〜約1110℃の範囲にわたる、下水汚泥を含む骨材(下記の実施例4におけるサンプルZ)および下水汚泥およびセメントキルンダストの混合物を含む骨材についての焼結温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。100%下水汚泥に相当する曲線Bは、温度が約980℃から約1060℃まで上昇するにつれて、密度が約1.9g/cm3という低値から最大密度約2.4g/cm3まで上昇することを示している。温度が1060℃から1110℃まで上昇するにつれて、密度は最大密度2.4g/cm3から2.0g/cm3まで低下する。2.0g/cm3を超える密度を有する骨材は、通常重量骨材である。
【0052】
図2に示したように、下水汚泥では、下水汚泥中の耐火性成分の量が多いために、緻密化が遅延し、初期材料軟化、焼結および溶融の間の温度間隔が広くなる。この例では、調べた温度では、110℃(1000〜1110℃)の広い温度範囲で2.0g/cm3〜2.4g/cm3の密度を有する通常重量骨材が製造された。材料の緻密化挙動を加速して、予測可能性および生産制御が得られる温度範囲内で軽量および通常重量の両方の骨材を製造するには、高カルシウムケイ素アルミニウム、グループB材料(「HCSAM」)を下水汚泥に加える。この例では、HCSAMはセメントキルンダスト(「CKD」)である。CKDはかなりの量のCaO(63重量%)を含むことから、加速効果を得るには、ごく少量のCKDでよい。下水汚泥中に5%のCKDを加えることで、100%下水汚泥混合物と同じ温度範囲で焼成処理した場合に、約1.7g/cm3〜約2.4g/cm3の密度を有する軽量骨材が製造される。下水汚泥に10%のCKDを加えると、940℃〜1060℃の焼成処理温度で、1.4g/cm3という低い密度を有する軽量骨材および約2.4g/cm3以下の密度を有する通常重量骨材が製造される。CKDをさらに加えると、混合物の緻密化がさらに加速され、それは大量骨材生産において予測可能な形で生産プロセスを制御する上での障害となり得ることから、好ましいものではない。
【0053】
本発明の一実施形態による方法では、所定量の下水汚泥および下水汚泥の組成に応じてLCSAMもしくはHCSAMであることができる第2の材料を混合し、その混合物を凝集させ、凝集体を特定の温度で焼成処理することによって、骨材を形成する。上記のように、LCSAMは最初の下水汚泥よりカルシウム含有成分が少なく、HCSAMは下水汚泥よりカルシウムが多い。温度は、図1および2にグラフで示したものなどのデータに基づいて、少なくとも部分的に、ケイ素アルミニウム材料(「SAM」)に対する下水汚泥の割合ならびに骨材の所望の密度および吸水率および/または強度などの他の特性に基づいて選択することができる。焼結を引き起こす温度が好ましい。好ましくは混合物を凝集させてから焼結を行って、所望の大きさおよび形状を有する凝集体を作ることで、焼結骨材を形成する。ペレット化が、好ましい凝集方法である。下水汚泥を乾燥させてから、第2の材料と混合することができる。あるいは、下水汚泥を、所望の含水量を有する湿形態で加えることで凝集を可能とすることができる。
【0054】
図3は、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスおよび炉ボトムアッシュなどのLCSAM粒子12またはセメントキルンダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏およびドロマイトなどのHCSAM粒子12、ならびに下水汚泥粒子14を含む凝集体10の一例である。孔16も示してある。凝集体10は、本発明の一実施形態に従って、焼成処理、例えば焼結して骨材を形成することができる。焼成処理の際、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化マグネシウムなどの融剤化合物ならびに下水汚泥14の最初の粒子および高もしくは低ケイ素アルミニウム材料(「SAM」)粒子12における加工温度以下の融点を有する他の化合物は溶融し、孔16の中に流れ込む。SAM粒子12が非結晶固体である廃棄物ガラスである場合、他の結晶性SAM粒子の融点よりかなり低い温度での粘性焼結による軟化ガラス粒子の溶融によって緻密化が起こる。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態による、凝集体10の焼結から得られる骨材20の一例の模式的断面図である。骨材20は、下水汚泥およびSAMの混合物を含む。凝集体は、下水汚泥のSAMに対する割合および所望の密度および/または他の特徴によって決まる温度で焼結される。焼結骨材20は、成分の溶融および/または結晶化から得られる、一部ガラス状および一部結晶化したマトリックス24によって互いに結合した複数の粒子22を含む。粒子22は、シリカ、アルミナおよび加工温度より高い融点を有する他の鉱物を含むことができる。粒子22は、焼結時に完全にまたは部分的に結晶化して、粒子22間で別の結合を与える。骨材20は好ましくは、下記でさらに説明される凝集体10の無機材料によるコーティングで得られる高密度で連続的な比較的不浸透性の表面層26を有する。顕微鏡的である場合があるチャンネル状で小さい表面孔28aであることができる内部孔28も存在する。表面孔が内部孔とつながっていることで、骨材20が水を吸収できるようになっている場合がある。吸水率は、孔の容積および接続性の指標である。
【0056】
図5は、本発明の別の実施形態による、ガラス化骨材30の一例の模式的断面図である。ガラス化骨材30は、図4の焼結骨材と比較して、粒子22が少なく、マトリックス24が大きい。ガラス化は、凝集体成分のほとんどが融解する、下水汚泥のSAMに対する特定の割合に関して最大緻密化の温度以上での凝集体10の焼成処理から生じる。
【0057】
密度が約1.2g/cm3と低く、吸水率が約40%を超え、強度が非常に低い高度に多孔性の軽量骨材ならびに密度が2.0g/cm3以下である非常に強く良好に焼結した軽量骨材が、本発明の実施形態によって製造され得る。密度が約2.0g/cm3より高く約2.6g/cm3以下であり、吸水率がゼロに近い通常重量骨材も、本発明の実施形態によって製造され得る。下水汚泥およびSAMによる、そしてある種のSAM間での骨材生産は、有利な再利用用途を提供するものである。
【0058】
図6は、本発明の一実施形態による骨材製造方法100の一例である。下水汚泥を、最初に段階105で乾燥させる。汚泥の乾燥は、例えば110℃の乾燥機で24時間行うことができる。未処理汚泥の含水量が非常に高い場合、過剰の水分を、例えば濾過、重力沈降、綿状沈殿または沈殿によって除去してから、乾燥機で乾燥させる。代表的には、乾燥下水汚泥塊が形成される。その塊の大きさを小さくする必要がある場合がある。その後の加工に好適な微細粉末を好ましくは、段階110で、例えば乾式粉砕もしくは粉砕により、または乳棒および乳鉢を用いることで製造する。大量生産では、乾燥固体ケーキを、例えばハンマーミルによって粉砕して粉末とすることができる。粉砕下水汚泥粉末を、段階115で、例えば篩を用いて分離して、大きい粒子を除去する。下水汚泥中に存在する石、岩または金属などの粗い粒子も、好ましくは除去して、それ以降の加工に供する。分離は、例えば150ミクロンまたは80ミクロンの開口を有するASTM標準ステンレスメッシュスクリーン上で下水汚泥粉末を機械的に振盪することで行うことができる。粒径が150ミクロン未満である下水汚泥を、さらに加工する。
【0059】
表面積/体積比が高いと、小さい粒子の液相を介した相対的に大きい粒子への拡散が増加し、粉末が骨材全体でより良好に分布して充填密度が良好となることから、微細な粒径分布(約710ミクロン未満)を有する粉末は有利な特徴を有する。
【0060】
下水汚泥は、SAMと直接混合して、例えば図6の段階125〜150に従うさらなる加工を可能とする上で好適な含水量をその材料が有する限りにおいて、生の湿った形で用いることもできる。過剰の含有水を、乾燥、濾過および/または他の方法によって再度除去して、好適な含水量としてから、添加剤との混合を行うことができる。この場合、段階105〜120は行わない。
【0061】
次に段階125で、、段階120からの粉砕下水汚泥粉末を、微細粒子分布を有する粉末形態の適切なSAMと混合する。混合は、バッチ式または連続式であることができる。SAMが粗い粒径分布を有する場合、例えば乾式もしくは湿式粉砕技術を用い、ハンマーミルまたはボールミルでそれを前粉砕してから、汚泥粉末とともにミキサーに加えることができる。いずれかの量の高または低カルシウムSAMを、それぞれ低または高カルシウム下水汚泥に加えて、焼成処理性能を高めることができる。SAMに対する下水汚泥の好ましい範囲は、下水汚泥が高カルシウム下水汚泥であるか低カルシウム下水汚泥であるかによって決まる。本発明の一実施形態によれば、段階125で、ベントナイトおよびカオリンなどの粘土および/または頁岩を湿式粉砕する。
【0062】
好ましくは、混合物の乾燥重で(「BDWM」)約5%〜約95%の高カルシウム下水汚泥を、約95%〜約5%のLCSAM、BDWMと混合する。より好ましくは、約30%〜約70%の高カルシウム下水汚泥BDWMを、約70%〜約30%のLCSAM、BDWMと混合する。この範囲では、得られた骨材は乾燥重で約6%〜約15%のカルシウム含有量を有する。より好ましくは、約30%〜約50%の高カルシウム下水汚泥BDWMを、約70%〜約50%のLCSAM、BDWMと混合する。この範囲では、得られた骨材は、乾燥重で約6%〜約10%のカルシウム含有量を有する。骨材のカルシウム含有量が約2%〜約10%であると、混合物の緻密化挙動の制御がより良好となって所望の特徴を有する骨材の生産が可能となり、カルシウム含有量が約3%〜約6%であると、さらに良好な制御が得られることが認められている。
【0063】
好ましくは、約99%〜約70%の低カルシウム下水汚泥BDWMを、約1%〜約30%のHCSAM、BDWMと混合する。より好ましくは、約80%〜約90%の低カルシウム下水汚泥BDWMを、約20%〜約10%のHCSAM、BDWMと混合する。これらの範囲は、上記のものと同様の骨材カルシウム含有量を提供するものである。
【0064】
粘土などの可塑性結合材を加えて、造粒時の個々の粒子の水との物理的結合を強化することができ、それは段階125に記載されている。「可塑性結合材」という用語は、高い塑性指数を有する結合材材料を指す。少なくとも10の塑性指数が好ましい。粘土結合材は、IBA、SAMおよび粘土結合材の混合物の乾燥重で約5%〜約20%を占めることができる。使用される結合材の量は、混合物中の個々の成分の可塑性など、下水汚泥およびSAMの種類および特徴によって決まり得るものである。
【0065】
粉末を十分に混合した後、段階130で、水を加えて、凝集に好適な稠度を得る。混合物は好ましくは、例えば粘土様混合物を有する。加える水の量は、混合物中の添加剤の量および種類に関係する。例えば、下水汚泥の粘土に対する割合が約80%下水汚泥(「SS」)/20%粘土である場合、必要な水の量は、SS/粘土混合物の総乾燥重の約25重量%であることが認められている。その割合が60%/40%である場合、必要な水の量は約28重量%であることが認められている。その割合が20%/80%である場合、必要な水の量は約32%であることが認められている。下水汚泥を湿形態で用い、SS/SAMおよび適宜に粘土の混合物がさらなる加工を可能とする好適な含水量を有する場合、混合物に水を加える必要はない。
【0066】
得られた混合物を、段階135で凝集させる。凝集は、ダストまたは粉末などの小さい微細粒子を集めてペレットなどのより大きい塊とする粒径拡大技術である。好ましくは、混合物をペレット化によって凝集させ、その場合に、気体もしくは液体中で分散している微細粒子を、他の外部圧縮力を用いずに回転によって大型化する。例えば、ペレット化回転ドラムまたはディスクを用いることができる。得られたペレットの強度は、粒子の特性、媒体中の水分量ならびに当業界で公知のような回転速度および回転ドラムの傾斜角度などの機械的プロセスパラメータによって決まる。回転ドラムの使用の例は、下記の実施例に記載されている。得られたペレットはほぼ球形であるかわずかに角張っており、混合物中の炭素含有量および鉄含有量に応じて、色は明褐色ないし暗褐色で変動する。その径は、例えば約3mm〜約40mmの範囲である。上記のように、図3はペレット10の一例である。ペレット化に代えて押し出しを用いることができる。押し出しを行うとレンガ様材料が得られ、それは硬化後に破砕してより小さい粒子とすることができる。あるいは、圧縮を行って、錠剤その他の形状などの円柱形凝集体を得ることができる。
【0067】
凝集混合物については、段階140で適宜に表面コーティングおよび乾燥を行う。使用される無機材料の量は少量であることができる。ペレットは、焼結温度で溶融しない無機材料でコーティングすることができる。ペレットは、その上にダストを散粉したり、ダスト中でペレットを回転させることでコーティングすることができる。コーティング材料の使用は、下水汚泥および選択される添加剤の特徴によって決まる。下水汚泥が高カルシウム下水汚泥である場合、無機材料は例えば、ダスト、粘土、粉砕頁岩および粘板岩の形態での花崗岩切断残留物もしくは炉ボトムアッシュなどのグループAからのLCSAMを含むことができると考えられる。下水汚泥が低カルシウム下水汚泥である場合、無機材料は、例えばセメントキルンダスト、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、石灰石、石膏および粉砕粒状高炉スラグなどのグループBからのHCSAMを含むことができる。
【0068】
非粘着性材料の薄層でペレット表面を被覆することで、ペレット表面上に被膜が形成され、それは、例えば図4に示したように、ペレットのクラスタ化を低減し、ペレット強度を高め、骨材上に薄く緻密な外側被覆を形成する。粘土結合材を混合物に加える場合、粘土によって内部結合が向上することから、ペレットの完全性を高め、コーティングを形成するのにペレット表面のコーティングを行う必要はない。しかしながら、コーティングは一つの選択肢である。乾燥は、例えば約110℃の乾燥機で行うことができる。キルンでの湿ペレットの焼成処理では、急激な温度変化のためにひび割れや爆発が生じる可能性があることから、好ましくは乾燥を行う。
【0069】
コーティングおよび乾燥を行ったペレットを、段階145で焼成処理する。焼成処理は、例えば下記でより詳細に記載しているように、混合物の組成および骨材の所望の特性に応じて、約1000℃〜約1350℃の温度で行う。焼成処理は、最大緻密化温度以下の温度で起こる焼結または最大緻密化以上の温度で起こるガラス化であることができる。焼成処理は好ましくは、ロータリーキルンで行う。焼結によって、粒子間結合が形成されることで、それ以前は緩く結合していた粒子の強度および密度が高くなる。ガラス化により、最大緻密化温度で強度が高くなる。しかしながら、ガラス化はより高い温度で進行することから、上記のように、ガラス状非晶質マトリックスの膨張のために、密度および強度が低下する。
【0070】
段階150で、水中で焼成処理骨材を急冷することができる。急冷によってペレットが冷やされて、溶融が停止する。急冷を行うと、得られた骨材20は、再結晶が可能な空冷の場合より非晶質性の高いマトリックス24を有するようになる。急冷によって、焼成処理骨材の硬度、靱性および耐摩耗性が向上することが、当業界では知られている。その水は、例えば室温(約30℃)であることができる。
【0071】
焼成処理および急冷を行った場合は、その後に、段階155で、所望の骨材サイズまでペレットを破砕および選別することができる。好ましくは、粗い骨材は、約4.75〜約19mmの範囲である。例えば、より小さい骨材を、コンクリート中の微細骨材として用いることもできる。
【0072】
焼成処理中のペレットの収縮のため、ペレットの大きさが約3mm〜約40mmの範囲である場合には、例えば焼成処理骨材の大きさは約2mm〜約30mmの範囲となり得る。選別された骨材の適切な大きさの範囲は、濾過用途に用いることができる約4mm〜約8mm、ならびにコンクリートで用いることができる約12mm〜約19mmとすることができる。例えば、より小さい骨材(約2mmまで低下)をコンクリート中の微細骨材として用いることもできる。
【0073】
本発明の実施形態による焼成処理の結果として、骨材は、通常の環境条件下でほとんどの物質に対して化学的に不活性であると考えられている。
【0074】
図7は、990℃で焼成処理した80%/20%のSS/ベントナイトを含む混合物からの、本発明の実施形態によって作られた複数の焼結骨材の一例である。
【0075】
図8は、本発明の一実施形態による骨材の製造方法200の一例であり、その場合、粗い粒子分布を有する特定のSAMを湿式粉砕してから、下水汚泥と混合する。そのような分布を有する本発明で用いられる添加剤には、IBA、FBAおよび廃棄物ガラスなどがある。
【0076】
段階205で、ボールミルの樽にIBAを加え、段階210で水とともに粉砕する。粉砕を行って、IBAの粒径分布を微細な分布まで低下させて、焼成処理を向上させる。高い表面積/体積比によって、小さい粒子の液相を介した相対的に大きい粒子への拡散が増加し、粉末が骨材全体でより良好に分布して充填密度が良好となることから、微細粒径分布を有する粉末は有利な特徴を有する。得られた粒子は好ましくは、例えば約45ミクロン以下の平均粒径を有する。より均一な粒径分布が得られることがわかっていることから、湿式粉砕が好ましい。さらに、湿式粉砕プロセスで用いられる液体は、凝集体を破壊し、粉末粒子の溶着を低減する傾向を有する。あるいはIBAは、例えばハンマーミルで乾式粉砕することができる。図8の方法200について、IBAの使用に関して説明するが、FBAまたは廃棄物ガラスを用いる場合、それらも好ましくは粉砕することは明らかである。
【0077】
IBAは、例えば密閉された円柱形容器中で湿式粉砕することができ、水もしくはアルコールなどの液体媒体中の湿式ミルボールなどの粉砕球形媒体によって、媒体中に懸濁した粒子を破壊するだけの力が加わる。転動、振動、軌道回転および/または攪拌によって湿式ボールミルに運動を加えることができる。粉末粒径分布を制御する最も重要な変量は、粉砕速度(rpm)、粉砕時間、粉砕媒体量、原料の初期粒径および所望の製造物径である。最も効率的な結果を得るには、ミルは少なくとも半分は粉砕媒体で満たされていなければならない。粉砕媒体は、例えば高密度のアルミニウム球であることができ、固体の約4倍の総重量とすることができる。至適な粉砕を行うには、小さい粉砕媒体が推奨される。アルミニウムまたはスチール球を用いる場合は、好ましい粒径は1/2〜5/8インチの範囲である。好ましくは、固体の約2倍量の液体を加える。粉砕は、例えば約8時間行うことができる。
【0078】
段階215で、湿式粉砕IBAを、例えば篩で分離して、大きい粒子を除去する。粒子が大きすぎると、均一なペレットが形成されない。分離は多段階で行うことができる。例えばIBAを、例えば355ミクロンまたは150ミクロンの開口を有するASTM標準ステンレスメッシュスクリーン上で機械的に振盪することができる。150ミクロン未満の粒径を有するIBAをさらに加工する。150ミクロンを超える画分は、異なる種類の材料に分離することができ、それをSAM添加剤として、廃棄物ガラスとして再使用することができる。
【0079】
段階220からの相対的に微細な画分の得られた粉砕スラリーを、段階225で脱水する。好ましくは、全ての遊離水を除去する。除去された水は廃水と称され、下記でさらに説明するように段階265で用いることができる。水は、例えばフィルタープレスその他の濾過装置で除去することができる。段階230で、脱水によって、固体の湿ったケーキ残留物が形成される。
【0080】
段階235で、ケーキを乾燥させ、粉砕する。この段階によって、ケーキは粉末になる。ケーキは、例えば110℃の乾燥機で乾燥させることができる。粉末は、例えば乳鉢と乳棒によって粉砕することができる。大量生産では、乾燥固体ケーキを、例えば羽根付きミキサーまたはドライハンマーミルで粉砕して粉末とすることができることから、乾燥粉砕IBA固体ケーキを同時に粉砕し、やはり粉末形態である生添加剤と連続的に混合することができる。
【0081】
粉砕IBAを下水汚泥と混合する前に、段階240で汚泥を乾燥させる。汚泥は、例えば110℃の乾燥機で24時間乾燥させることができる。製造された固体ケーキを、段階245で粉砕して粉末とする。その粉末は、例えば乾式粉砕もしくは破砕によって、または乳棒と乳鉢を用いて製造することができる。段階250で、汚泥粉末を150ミクロンまたは80ミクロンの篩に通して、粗い粒子を除去する。段階260で、段階255の150ミクロン未満の画分を、粉砕IBA粉末と十分に混合する。水を混合物に加えてから、段階265で湿粘土状混合物をペレット化する。水は、上記で述べた脱水段階225から得られた廃水の一部または全量であることができる。段階265〜285は、図6における段階130〜155に相当する。あるいは、下水汚泥を湿った状態でIBAと混合することができる。しかしながら、混合物の造粒で水をさらに加える必要がないようにするには、適切な含水量が必要である。この場合、段階240〜255は必要ない。
【0082】
IBAとともに下水汚泥を、ボールミル中で一緒に湿式粉砕してスラリーを得る場合、別の加工を行うことができる。次に、粉砕スラリーを一連の篩に通し、濾過装置で脱水して、粘度様固体ケーキを形成する。次に、その固体ケーキを110℃で乾燥させ、粉砕して微細粉末とし、それを水の存在下にさらにペレット化し、焼成処理して骨材を形成する。両方の材料の湿式粉砕から形成される粉砕スラリーを必要な含水量まで脱水して、混合物の直接ペレット化ができるようにすることもできる。形成されたペレットを約110℃で乾燥してから、キルンでの焼成処理段階に入れる。
【実施例】
【0083】
以下の実験を行った。
【0084】
実施例1
本実施例では、下水汚泥(「SS」)および廃棄物ガラス(「WG」)を含む合成骨材を製造した。本実施例で用いた3種類の異なるSSサンプルの平均化学組成(主要酸化物)を、下記の表Aに示してある。下記の表Bは、これら3種類のサンプル中に存在する少量および微量の構成要素を示している。サンプルXおよびサンプルYは約6ヶ月の期間を空けて同じ工場から得たものであり、サンプルZは第2の工場から得たものである。サンプルXの酸化カルシウム含有量は20.28重量%であり;サンプルYの酸化カルシウム含有量は12.12重量%であり;サンプルZの酸化カルシウム含有量は3.20重量%である。サンプルXおよびYは、高カルシウムSSと見なされ、サンプルZは低カルシウムSSである。使用したWGの平均化学組成も、表Aに示してある。WGは、米国で生産されるガラスの約90%を占めるソーダ石灰ガラス製であった。それは主として、二酸化ケイ素(71.7重量%)、酸化ナトリウム(12.1重量%)および酸化カルシウム(9.4重量%)からなり、他の少量成分には酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムなどがある。そのガラスの組成により、セラミックの生産に現在用いられている他のガラスより低い温度での液相焼結によって材料が緻密化されることから、エネルギー生産コストが削減される。SSの組成に応じて、WGは、緻密化温度範囲を上昇させるためのLCSAM、そして緻密化を加速するための融剤として作用するHCSAMの両方として用いることができる。例えばWGを下水汚泥サンプルX、YおよびZとともに用いて、合成骨材を製造することができる。
【表1】
【表2】
【0085】
SSサンプルXおよびWGについて、下記の加工を行った。本実施例では、乾燥SS粉末にWGを加えてから、ペレット化を行った。
【0086】
サンプルXを110℃で24時間乾燥機乾燥した。得られた乾燥ケーキをボールミルに加えて粉砕して粉末とした。そのミルは、3/4インチ(19.05mm)の高密度アルミナ球粉砕媒体約2.172kgが入ったパスカル・エンジニアリング社(Pascal Engineering Co., Ltd.)の21589型であった。粉砕粉末を150ミクロンの篩にかけて、粗い粒子を除去した。
【0087】
用いたWGは、一部には、生IBAから分離された瓶および窓ガラスに由来するものであった。このWGを洗浄し、110℃で終夜乾燥機乾燥した。次に、WGをジョー・クラッシャーで破砕し、分離して粒径を2mm〜6mmに下げ、次に振動リングを用いることで、炭化タングステンテマ(Tema)ミル(Gy-Ro, Glen Creston Ltd., Brownfields, Englandから入手可能)で粉砕することで、体積の95%(d95)が710ミクロン未満の粒径を有するようにした。再度カーバイドミルでさらに4分間乾式粉砕して、粒径分布をさらに小さくした。この微細WG画分を、本実施例で用いた。破砕WGの粒径のd50値は197.6ミクロンであり、それは4分間の乾式粉砕後には19.8ミクロンまで低下した。さらに、710ミクロン篩によって分離されたIBAの湿式粉砕スラリーからのWGも用いた。この画分も、4分間にわたってテマ乾式ミルで粉砕し、第1の画分と合わせた。
【0088】
粉砕WGを、100%/0%、40%/60%、60%/40%および0%/100%(SS/WG)の特定の割合で汚泥粉末に加えた。SSおよびWGの粉砕粉末混合物を、バッチミキサー中で水(得られた混合物の総乾燥重量の約40%以下)と混合し、水平方向に対して30°の角度で約17rpmで回転する直径40cmおよび長さ1メートルを有する回転ドラムペレタイザーに供給する。得られた「グリーン」ペレットは、ほぼ球形であるかわずかに角張っていた。その平均直径は約4mm〜約9.5mmであった。4mm未満のペレットはドラムに戻して、再度ペレット化した。9.5mmより大きいペレットは、手で割ってそれより小さいペレットとし、やはりペレタイザーに戻した。
【0089】
ペレットを、その上にPFA粉末を散粉することで、石炭燃焼からのPFAでコーティングした。次に、ペレットを約110℃で乾燥させ、長さ1500mmで内径が77mmであり、加熱領域の長さが900mmであるロータリーキルンに送った。キルンは、各種SS/WG混合物について920℃〜1220℃の温度で運転するように設定した。ペレットは、約10分〜約12分にわたり、約2.8rpmの速度で、ロータリーキルンのチューブ方向に移動・回転させた。本実施例では、キルンはカーボライト・ホープ・バレー(Carbolite Hope Valley)(英国)(GTFR195型)から入手可能な電気火力回転炉であった。焼成処理されたペレットはキルンから排出し、室温で放冷した。
【0090】
留意すべき点として、温度−密度曲線(図1で示したものなど)はキルンごとに変化し得るものである。例えば、SSおよびWGその他のSAMの特定の割合に相当する曲線は、上記で示した特定のキルンを用いるものより若干低いか高い最大緻密化温度を有し得る。曲線の移動は、温度プロファイルの安定性、エネルギー損失などの特定のキルンの運転効率に関係する多くの要素に起因するものであると考えられる。従って、特定のキルンでのいくつかのサンプルを準備して、骨材が所望の特性を有する温度範囲を確認することが必要になる場合がある。
【0091】
結果
下記の表C〜Dは、本実施例で形成される骨材の物理的および機械的特性をまとめたものである。留意すべき点として、それらの骨材は、SS中におけるWGの濃度が高くなるにつれてその特性を大きく変えた。
【0092】
下記の表Cは、異なる温度(10℃ずつ上昇させた)で焼成処理した異なる割合のSSおよびWGを含む骨材についての試験結果をまとめたものである。そのデータは、100%下水汚泥についての4個の値の平均および全てのWG含有サンプルの2個の値の平均である。データは、図9のグラフにプロットしてある。焼成処理骨材の相対乾燥密度はアルキメデスの方法を用いて計算し、吸水率は24時間浸漬した後の「表面乾燥」サンプルの重量増加から求めた。
【0093】
以上説明したように、混合物中のWGの量が増えると、WGの量の増加に伴う下水汚泥の化学組成および鉱物学が変わったために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および完全もしくはほぼ完全溶融の間の温度間隔が広くなった。得られた混合物中に存在するシリカの濃度上昇のために、WG増加に伴って、最大緻密化が起こる温度が高くなることも認められた。例えば、100%サンプルXのSSは、約960℃の最大緻密化温度を有する。60%SS/40%WGの割合でのサンプルXのSSおよびWGの混合物は、1030℃の最大緻密化温度を有し、40%SS/60%WGの割合では最大緻密化温度は1060℃である。
【0094】
しかしながら、SSへのWGの組み込みは、他のLCSAMの組み込みほど、ペレットが焼結する温度範囲を広くする上では有効ではないことが認められている。例えば、100%SSは約930℃〜約940℃の温度範囲(10℃)で焼結して約1.4g/cm3〜約1.8g/cm3の軽量骨材を形成するが、60%SS/40%WGは約970℃〜約1000℃の温度(30〜約35℃)で焼結して、その密度範囲での骨材を形成する。この温度範囲は、骨材密度範囲については40%SS/60%WGペレットのものと同様である。これは、融剤として作用する、WG中に存在する高濃度の酸化ナトリウムおよびカルシウムの存在によるものであると考えられている。融剤および溶融ガラスが低粘度溶融物を生じ、他の低カルシウムケイ素アルミニウム材料より密度が高く、多孔率が低い製造物を与えるとも考えられている。
【表3】
【0095】
図9および表Cで明らかなように、所定の組み合わせのSSおよびWGに関して、温度を用いて、焼結生産物の密度および他の特徴を求めることができる。例えば、SS/WGの40%/60%混合物では、1000℃での焼結によって、密度が約1.4g/cm3であるLWAが得られ、1060℃での同じ混合物の焼結によって、密度が約2.6g/cm3である通常重量骨材が得られる。
【0096】
表Cには、各種骨材の吸水率に対するWG添加の効果も示してある。最大緻密化の温度より低い温度で生産されるLWAは、代表的にはある程度の多孔性を有する。最大緻密化に近くなるにつれて、孔が溶融材料によって充填されることから、孔の大きさおよび数が徐々に低下してゼロとなる。多量のSSを含む骨材は、温度とともに吸水能力に急速な低下を示し、高WG骨材は温度とともにより緩やかな吸水率低下を示す。100%WG骨材は、蒸発によって生じる孔を充填する溶融ガラスのために、調べた全ての温度で他の全ての混合物よりかなり低い吸水率を有している。
【0097】
下記の表Dは、指定の焼成処理温度での特定のSSおよびWGの混合物について、骨材破砕値(「ACV」)をパーセントとしてまとめたものである。ACVは、各種割合のWG/SSについて3種類の異なる温度で提供されている。ACVは、骨材強度に対して反比例している。選択された温度は、比較のため、異なる製造物特性および異なる微細構造を生じるものとした。各組み合わせでの相対的に低い温度では、本発明の好ましい実施形態に従って、焼結LWAを製造した。中間温度では、本発明の一実施形態に従って、良好に焼結またはガラス化した通常重量骨材が得られ、残留孔がわずかにあった。相対的に高い温度では、やはり本発明の一実施形態に従ってガラス化LWAが得られた。
【表4】
【0098】
ACVは相対的に低く、骨材の強度は最大緻密化の温度では相対的に高かった(中間温度)。その温度以下では、密度は相対的に低く、ACVは相対的に高く、個々の骨材またはバルク骨材の強度は相対的に低かった。その温度(中間温度)より高いと、サンプル溶融増加のために、密度および骨材強度が低下するにつれてACVが増加し始めた。骨材強度は、温度上昇に伴って骨材密度の同じ傾向を示し、予想通り、最大値まで上昇してから低下する。本発明の実施形態による表Dに示した温度で40%SSおよび60%WGを含むLWAも、下記に示したように、約34%のACVを有する市販の軽量骨材LYTAGより低いACVおよび高い強度を有する。
【0099】
図9ならびに表CおよびDに示した焼成処理骨材の特性に対する焼成処理温度およびWG添加の効果に基づくと、1000℃〜1100℃の温度範囲で焼結し、約1.4g/cm3〜約2.6g/cm3の密度を有する骨材を与えた40%SS/60%WG混合物が好ましい。そのような骨材を、コンクリートにおける通常重量およびLWAとしての用途などの広範囲の用途で用いることができる。この組み合わせは100℃の最も広い温度範囲で焼結して、骨材を形成する。従って、焼結および他の焼成処理時のこの混合物の挙動ならびに得られた骨材の最終特性は、100%SSを含む骨材の場合より容易に制御可能である。この組み合わせの骨材の低い吸水率は、溶融ガラスが原因である。
【0100】
表Eには、3つの特定温度での40%SS/60%WG混合物からの骨材の一部の物性(表Cからの相対乾燥密度および吸水率ならびにかさ密度)および機械特性(表DからのACV)をまとめたものである。市販の骨材LYTAG(焼結PFA)およびOPTIROC(膨張粘土)の相当する特性も表Eに示してある。個々の骨材特性は20の測定値の平均値であり、バルク骨材特性は2つの測定値の平均である。
【表5】
【0101】
LYTAGと1000℃で焼結したSS/WGの40%/60%混合物を含む骨材の特性の比較から、WG含有骨材がLYTAGのものに匹敵する個々およびバルクの骨材密度、それより高い吸水率および有意に低いACVを有していたことがわかり、それが圧縮下に負荷された場合にバルクとしてより高い応力に耐え得ることがわかる。OPTIROCは、非常に低い密度、相対的に低い吸水率および非常に低い強度を有する。これは、OPTIROCが高容量の分離した球形孔を有するハチの巣状の微細構造を有することから予想されるものである。
【0102】
実施例2
本実施例では、高カルシウムSSサンプルXおよびYならびにグループB、LCSAM(2.61%酸化カルシウム(CaO))である花崗岩切断残留物(「GSR」)を含有させて合成骨材を製造した。これらの実験で用いたSSサンプルおよびGSRの平均化学組成を、下記の表Fに示してある。実施例1で用いたものと同じ装置を、本実施では用いた。
【表6】
【0103】
SSサンプルXおよびYおよびGSRについて、上記で記載し、図6に示した加工を行った。250メッシュの篩(63ミクロン)を通したGSRを乾燥汚泥粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0104】
篩処理して63ミクロン未満としたGSR粉末を、100%/0%、80%/20%、60%/40%および40%/60%(SS/GSR)という特定の割合でSS粉末に加えた。上記のように、混合物の稠度がペレット化を可能とするものとなるまで、バッチミキサーにて混合物に水を加えた(得られた混合物の総乾燥重基準で35%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端で回収したペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。そのペレットをPFAでコーティングし(散布によって)、約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。次に、得られたグリーンペレットをロータリーキルン中にて約10〜約12分間焼結させた。SSサンプルXおよびGSRダストから形成されたペレットを920℃〜1150℃の温度で焼成し、SSサンプルYおよびGSRから形成したペレットを990℃〜1190℃の温度で焼成した。
【0105】
結果
下記の表G〜Hは、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめたものである。
【0106】
骨材の相対乾燥密度および吸水率を、実施例1に記載の方法に従って求めた。本実施例では、2枚の平行なプレート間で個々の骨材に破壊まで負荷を加えることによって、圧縮強度を計算した。応力解析から、1個の球を直径に関して反対の2ヶ所でこのように調べると、その球の圧縮強度σは下記の等式によって与えられることが明らかになっている。
【数1】
【0107】
式中、「IACS」=個々の骨材破砕強度、d=球直径(mm)およびP=破壊負荷(N)である。各温度で作製した少なくとも12個の骨材について行った試験から、圧縮強度の平均値を計算した。骨材が破壊するまで、圧縮試験装置によって負荷を加えた。装置のダイヤルゲージが、破壊を起こす負荷を示す読み取り値を与える。下記の等式:負荷(ポンド)=550.95(読み取り値)−1620.7;負荷(kg)=負荷(ポンド)/2.205)によって、読み取り値から負荷を計算した。
【0108】
下記の表Gは、2つのサンプルXおよびYについての、異なる温度での各種割合のSSおよびGSRを含む骨材に関する試験結果をまとめたものである。データは、サンプルXおよびYのそれぞれについて、図1および図10のグラフにプロットしてある。表Gには、指定の焼結温度での特定のSSおよびGSR混合物に関してのIACS結果もまとめてある。上記で記載のように、混合物中のLCSAM(本例ではGSR)濃度が高くなると、GSRダストによる下水汚泥の化学組成および鉱物学の変化のために、サンプルの初期軟化、最大緻密化ならびに完全もしくはほぼ完全溶融の間の温度間隔が広くなった。
【表7】
【0109】
高濃度のSS、詳細にはサンプルXを含む混合物からの骨材の吸水率は、温度上昇に伴って急速に低下するが、相対的に多量のGSRとの混合物からの骨材では温度に伴う吸水率低下はさらに緩やかである。IACSは、予想通り、密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。温度上昇に伴う骨材強度の上昇は、100%SS混合物からの骨材では急速であり、GSR量が上昇するにつれてより緩やかになる。
【0110】
これらの結果に基づくと、コンクリートでのLWAなどの広範囲の用途で用いることができる焼結生産物を製造する上で好ましいSS/GSR混合物は、サンプルXおよびYの両方について、40%/60%のSS/GSR混合物である。GSRを含むSSの混合物から製造される骨材は、SS単独の場合より広い温度範囲で焼結することから、骨材の焼結時の挙動および最終特性を容易に制御することができる。40%/60%SS/GSR混合物は、例えばサンプルXの場合には、1000℃〜1090℃の温度範囲で焼結して、密度が2.0g/cm3未満であるLWAを形成した。所望の特性および特徴(多孔率、密度、強度)を有する骨材を、より容易に製造することができる。
【0111】
図1および10ならびに表Gから明らかなように、温度の制御によって、SSの特徴および組成が既知である場合に、所定の組合せのSSおよびGSRについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材を製造することができる。例えば、サンプルY、すなわちSS/GSRの40%/60%混合物を用いると、1000℃での焼結によって、約1.4〜約1.5g/cm3の密度を有するLWAが得られ、約1110℃での焼結によって、約2.5g/cm3の密度を有する通常重量骨材が得られた。
【0112】
表Hには、LYTAG骨材の相当する特性とともに、4つの異なる温度でのサンプルYのSS/GSRの40%/60%混合物からの焼結骨材の物性(相対乾燥およびかさ密度、吸水率)および機械特性(ACV)をまとめてある。最大緻密化の温度以下の温度で製造された骨材は、2.0g/cm3未満の密度、相対的に低い吸水率および高い強度を有していた。従ってそれは、軽量コンクリートでの使用に非常に適したものであった。LYTAGは、これらの骨材より低い相対密度および骨材強度を有していた。
【表8】
【0113】
実施例3
本実施例では、サンプルYのSS、中等度に高いカルシウムのSS(酸化カルシウム(CaO)12.12%)およびLCSAM(酸化カルシウム(CaO)1.82%)である粘板岩を含む焼成処理骨材を製造した。これらの実験で用いたサンプルYのSSおよび粘板岩の平均化学分析を、下記の表Iに示してある。これらの実験では、下水汚泥サンプルYを用いた。実施例1で用いたものと同じ装置を、ここで用いている。
【表9】
【0114】
粘板岩について、図6に記載され、前記の実施例でより詳細に記載された加工を行った。
【0115】
下水汚泥を110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微粉末とした。粘板岩を、100%/0%、80%/20%、60%/40%および40%/60%(SS/粘板岩)という特定の割合で下水汚泥粉末に加えた。バッチミキサーで水を混合物に加えて(得られた混合物の乾燥総重量基準で45%以下)、ペレット化用の粘土様混合物を形成した。粘板岩が微細な粒径分布を有することから、それをSS粉末と直接混合した。SSとともにさらなる加工を行う前に、粘板岩を粉砕して微細な大きさとする必要がある場合がある。得られたグリーンペレットは、4mm〜9.5mmの範囲のものであった。粘板岩を含むペレットを、粘板岩粉末でコーティングし、110℃で乾燥させ、上記のロータリーキルンに送った。得られたペレットを990〜1160℃の温度で約10〜12分間焼成してから、キルンから排出し、放冷して室温とした。
【0116】
結果
下記の表J〜Kは、特定のSS/粘板岩混合物からの焼成処理骨材の物性および機械特性ならびに焼成処理温度をまとめたものである。焼成処理骨材の相対乾燥密度および吸水率を、実施例1に記載の方法に従って求めた。
【0117】
表Jには、物性結果(相対乾燥密度、吸水率)および機械特性(IACSおよびASMI)をまとめてある。そのデータは、図11のグラフ上にプロットしてある。上記で説明したように、混合物中の粘土濃度が上昇すると、粘土によるSSの化学組成および鉱物学の変化のために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および融点の間の温度間隔が広くなった。
【表10】
【0118】
高濃度のSSを含む混合物からのペレットの吸水率は、温度上昇に伴ってより急速に低下するが、多量の粘土を含む混合物からのペレットは温度に伴ってより緩やかな吸水率低下を示す。IACSおよびASMIは、予想通り密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。温度上昇に伴う骨材強度上昇は、100%SS混合物からのペレットの場合はより急速であり、混合物中の粘土量の増加に伴ってより緩やかになる。
【0119】
焼結骨材の特性に対する温度およびベントナイト添加の効果に基づくと、密度が約1.6g/cm3〜約2.4g/cm3となった、1030℃〜1160℃の範囲の温度で焼結した40%/60%サンプルYのSS/粘板岩混合物が好ましい。焼結時のこの混合物の挙動および得られた焼結LWAの最終特性は、100%サンプルYのSSならびにSSおよび粘板岩の他の組合せより容易に制御することができ、製造がより容易になる。これらの実験で用いたものより低い温度でSS/粘板岩ペレットを加工することで、より低い密度およびより高い吸水率を有する骨材も製造することができる。
【0120】
表Kには、LYTAG骨材の相当する特性とともに、3つの特定温度でのSS/粘板岩の40%/60%混合物からの骨材のある種の物性および機械特性をまとめてある。
【表11】
【0121】
表Kおよび図11によって示したように、温度を制御することで、SSおよび粘板岩の所定の組合せについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材を製造することができる。必要とされる骨材特性に従って、この組合せから、LYTAGに匹敵するかそれに勝る特性を有する軽量骨材を製造することができる。
【0122】
表Lには、SSおよび粘板岩の混合物から得られる焼成処理骨材の挙動をまとめてある。骨材が焼成処理される温度範囲、相当する密度、吸水率およびASMI範囲、ならびに異なる種類および割合のSAM/下水汚泥についての最大緻密化温度を示してある。
【表12】
【0123】
実施例4
本実施例では、サンプルZ、低カルシウムSS(酸化カルシウム(CaO)3.20%)およびセメントキルンダスト(「CKD」)、グループAのHCSAM(酸化カルシウム(CaO)63.6%)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いたCKDの平均化学組成を、下記の表Mに示してある。
【表13】
【0124】
サンプルZのSSおよびCKDについて、上述し、図6に示した加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させ、粉砕して微粉末とした。微細な粒径分布を有するCKD(粒子体積の95%(d95)が45ミクロンより微細)を乾燥SS粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0125】
100%/0%、95/5%および90%/10%(SS/CKD)という特定の割合で、CKDをSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能とするものとなるまで、バッチミキサーで、粉末を水(得られた混合物の総乾燥重量基準で35%以下)と混合した。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端でペレットを回収し、4mmおよび9.5mm篩で篩い分けした。ペレットをCKDでコーティングし、約110℃の乾燥機で終夜乾燥した。得られたグリーンペレットを、940℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間にわたってロータリーキルンで焼成処理した。
【0126】
個々の骨材破壊強度(「IACS」)を、実施例2に記載の方法に従って求めた。個々の骨材の圧縮強度も、骨材強度質量指数(「ASMI」)として下記のように定義した。
【数2】
【0127】
式中、P=破壊負荷(kg)およびm=ペレットの質量(kg)。各焼成処理温度および異なる割合で製造した少なくとも12種類の骨材について実施した試験から、圧縮強度の平均値を計算した。
【0128】
結果
下記の表N〜Oに、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめてある。骨材の相対乾燥密度、吸水率およびASMIを、上記実施例に記載の方法に従って求めた。
【0129】
下記の表Nには、異なる温度で焼結した異なる割合のSSおよびCKDを含む骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図2のグラフにプロットしてある。表Oには、物性結果(表Nからの相対乾燥密度、および吸水率)および機械特性(表NからのASMI)をまとめてある。混合物中のCKD濃度を上昇させることで、初期混合物の組成が変化することによって、焼成処理温度範囲は若干狭くなった。CKDはそのような高カルシウム含有量を有することから、溶融物の移動性を高め、混合物のペレットの緻密化を高める上で必要な量はごくわずかとなった。
【表14】
【0130】
混合物中の融剤の量が相対的に低いことで得られるより高い密度のために、高濃度のSSの混合物からの骨材の吸水率は相対的に低い。ASMIは予想通り、密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。これら実施例で用いられるサンプルZより低い酸化カルシウム濃度を有するSSサンプルでCKDを加えることは、本実施例で示したより重要であると予想され、所望の骨材組成を得るには、相対的に高濃度のCKDをSSに加える必要があると考えられる。
【0131】
焼結骨材の特性に対する温度およびCKD添加の効果に基づくと、密度が約1.4g/cm3〜約2.0g/cm3であるペレットが製造された940℃〜1090℃の範囲の温度で焼結された90%/10%サンプルZのSS/CKD混合物が好ましい。そのような骨材は、コンクリート中の軽量骨材としての用途を含む広範囲の用途で用いることができる。しかしながら、本実施例で使用されるサンプルZのSSの場合、最初のSSがすでに組成中に酸化カルシウムなどの少量の融剤を含むことから、95%/5%SS/CKD混合物であっても、骨材製造用に選択することができる。SS/CKD混合物からの骨材を本実施例で用いたものより低い温度で焼成する場合には、相対的に低い密度および相対的に高い吸水率を有する骨材を製造することができる。材料中における融剤の存在は、粒子の充填および緻密化をさらに高めることで、融剤を含まない材料からの焼成処理骨材に勝る特性を有する骨材を与えると考えられている。
【0132】
表Oには、3つの特定温度でのSS/CKDの90%/10%混合物からの骨材のある種の物性および機械特性をまとめてある。
【表15】
【0133】
上記のように、焼成処理温度を制御することで、SSおよびCKDの所定の組み合わせについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材の生産が可能となる。
【0134】
実施例5
本実施例では、下水汚泥(サンプルZ)および石灰石を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いる石灰石の平均化学組成を、下記の表Pに示してある。
【0135】
SS(サンプルZ)および石灰石粉末について、上記で説明し、図6に示したような加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末を得た。乾燥汚泥粉末に石灰石を加えてから、混合物をペレット化および焼成処理した。
【表16】
【0136】
100%/0%、95/5%および90%/10%および80%/20%(SS/石灰石)の特定の割合で、石灰石をSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能なものとするまで、バッチミキサー中にて粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で32%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端で回収したペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。ペレットを石灰石でコーティングし、次に約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られた緑色ペレットを、ロータリーキルン中、940℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0137】
結果
下記の表Q〜Rには、上記の方法によって形成した骨材の物性および機械特性をまとめてある。骨材の相対乾燥密度、吸水率およびASMIを、前記の実施例に記載の方法に従って求めた。
【0138】
下記の表Qには、異なる温度で焼結した異なる割合のSSおよび石灰石を含む焼結骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図12のグラフにプロットしてある。表Rには、特定の骨材の物性結果および機械特性をまとめてある。混合物中の石灰石濃度が上昇すると、骨材が焼成処理される温度範囲が若干狭くなった。
【表17】
【0139】
混合物中の融剤の量が相対的に低いことで得られるより高い密度のために、高濃度の下水汚泥との混合物からの骨材の吸水率は相対的に低い。ASMIは予想通り、密度と同様の傾向を示す。
【0140】
本実施例で用いられるサンプルZより低い酸化カルシウム濃度を有するSSサンプルへの石灰石の添加は、本発明での場合より大きい効果を有することが予想される。焼結骨材の特性に対する温度および石灰石添加の効果に基づくと、通常重量または軽量骨材としての使用に関しては、密度が約1.6g/cm3〜約2.4g/cm3である骨材を与える、温度範囲940℃〜1100℃で焼成処理された90%/10%SS/石灰石混合物が好ましい。しかしながら、本実施例で使用されるSSサンプルの場合、最初のSSがすでに組成中に融剤である酸化カルシウムを若干量有することから、95%/5%SS/石灰石混合物であっても、骨材製造において好ましいものと考えられる。
【0141】
表Rには、3つの特定温度でのSS/石灰石の90%/10%混合物からの骨材の一部の物性および機械特性をまとめてある。
【表18】
【0142】
実施例6
本実施例では、(サンプルZ)およびMSW焼却炉フライアッシュ(「IFA」)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で使用される焼却炉フライアッシュの平均化学組成を下記の表Sに示してある。
【表19】
【0143】
SS(サンプルZ)およびIFAについて、上記で記載され、図6に示した加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末を得た。乾燥SS粉末にIFAを加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0144】
100%/0%、95/5%、および90%/10%および80%/20%(SS/IFA)という特定の割合で、IFAをSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を行えるようになるまで、バッチミキサーにて、粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で37%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ペレットをドラム末端で回収し、4mmおよび9.5mm篩で篩い分けした。ペレットをフライアッシュでコーティングし、約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、ロータリーキルン中にて980℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0145】
結果
下記の表T〜Uに、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめてある。そのデータを、図13のグラフ上にプロットしている。混合物中のIFA濃度が上昇することで、SSの化学組成および鉱物学が変わったために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および溶融の間の温度間隔が若干狭くなった。
【表20】
【0146】
骨材の特性に対する温度およびIFA添加の効果に基づくと、密度が1.5g/cm3〜2.4g/cm3である骨材を製造する上では、80%/20%SS/IFA混合物が好ましい。しかしながら、同じ焼成処理温度範囲での90%/10%SS/IFA混合物も好ましい。
【0147】
表Uは、3つの特定温度でのSS/IFAの80%/20%混合物からの骨材のある種の物性をまとめたものである。
【表21】
【0148】
実施例7
本実施例では、SS(サンプルZ)および粉砕高炉スラグ(「GBFS」)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いたGBSの平均化学組成を、下記の表Vに示してある。
【表22】
【0149】
SS(サンプルZ)およびGBSについて、上記で記載し、図6に示した加工を行った。SSを110℃で乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末とした。GBFSを乾燥汚泥粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0150】
100%/0%、95/5%および90%/10%および80%/20%(SS/GBS)という特定の割合で、GBSを汚泥粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能なものとするまで、バッチミキサー中にて粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で35%以下)。混合物をペレット化し、そのペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。ペレットをGBSでコーティングし、次に約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、ロータリーキルン中、970℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0151】
結果
下記の表W〜Xには、上記の方法によって形成した骨材の物性および機械特性をまとめてある。下記の表Wには、異なる温度で焼成した異なる割合のSSおよびGBSを含む骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図14のグラフにプロットしてある。下水汚泥混合物中のGBS濃度上昇に関して、CKD、IFAおよび石灰石と同様の効果が認められた。
【表23】
【0152】
製造される骨材の特性に対する温度およびGBS添加の効果に基づくと、980℃〜1110℃で焼結されて密度が約1.5g/cm3〜約2.4g/cm3の骨材を与える80%/20%SS/GBS混合物が好ましい。しかしながら、本実施例で用いられるSSサンプルZの場合、最初のSSがすでに組成中に酸化カルシウムなどの融剤成分を少量有していることから、90%/10%SS/GBS混合物であっても、骨材製造において有効となり得る。
【0153】
表Xには、80%/20%SS/GBSペレットからの骨材の一部の物性をまとめてある。
【表24】
【0154】
実施例8
本実施例では、低カルシウムケイ素アルミニウム材料である粉砕燃料灰およびロンドン粘土と、高カルシウムケイ素アルミニウム材料である粉砕高炉スラグ(「GBS」)および石灰廃棄物との混合物から、合成骨材を製造した。GBSを粉砕した。廃棄物ガラスも、低カルシウムケイ素アルミニウム材料または高カルシウムケイ素アルミニウム材料のいずれかとして混合物中で用いた。廃棄物ガラスならびに粘土であるベントナイトおよびカオリンの平均組成は、それぞれ上記の実施例1および3に示したものである。PFAおよびGBSの重要な構成成分を、下記の表Z1に示してある。
【表25】
【0155】
これらの材料は微細な粒径分布を有していたことから、粉砕することなく互いに直接混合した。粘土低カルシウムケイ素アルミニウム材料を含まない混合物では、粘土は、混合物の総重量の乾燥重基準で10%〜30%の範囲の割合で可塑性結合材として加えた。表Z2には、骨材製造で用いられる材料およびそれらの割合を示してあり、低カルシウムケイ素アルミニウム材料は材料1とし、高カルシウムケイ素アルミニウム材料は材料2としている。
【表26】
【0156】
これらの材料を上記の割合で混合し、上記実施例に記載の装置を用いて水を加えてペレット化した。次に、ペレットを約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、プロパンを燃料として用いる三つ葉クローバーのような形状を有する三葉形ロータリーキルン中、約1000℃〜約1250℃の温度で約15〜約20分間にわたって焼成処理した。骨材を風冷した。
【0157】
その骨材は、キルンから取り出した時点で完全性を保持していた。それは、ほぼ球形もしくは若干角張った形状であり、混合物によっては色が異なった。例えば、多量のGBSを含む骨材は白色様に見えたが、多量のPFAを含む骨材は暗褐色であるように見えた。それらの骨材は、硬く平滑な表面を有しており、軽量であった。それらは、ランダムに破砕した時に、比較的硬い構造を有していた。
【0158】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の実施の例示である。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、これら実施例に対して変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】下水汚泥(サンプルX)ならびに本発明の一実施形態による下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図2】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥およびセメントキルンダストの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図3】本発明の方法によって製造される凝集体の一例の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施形態による焼結骨材の一例の模式的断面図である。
【図5】本発明の実施形態によるガラス化骨材の一例の模式的断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による骨材製造方法の一例である。
【図7】本発明の実施形態による焼結骨材の一例の写真である。
【図8】本発明の別の実施形態による別の骨材製造方法の一例である。
【図9】IBAおよび本発明の一実施形態による下水汚泥および廃棄物ガラスの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図10】下水汚泥(サンプルY)および本発明の一実施形態による下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図11】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥およびベントナイトの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図12】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および石灰石の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図13】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および焼却炉フライアッシュの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図14】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および粉砕粒状高炉スラグの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は合成骨材、詳細には下水汚泥およびケイ素アルミニウム材料を含む合成骨材ならびに低カルシウムおよび高カルシウム含有ケイ素アルミニウム材料の組み合わせを含む合成骨材に関する。
【背景技術】
【0002】
骨材は、コンクリート、石造物および空洞充填断熱材の必須成分である。骨材の他の用途には、充填物補助材または園芸用骨材などがある。骨材は、最小限の加工を施した自然源または加熱処理を行った天然材料由来である場合がある。骨材は合成品であることもある。例えば、採石場、地中立坑および河床などの自然源からの骨材は、通常、岩片、砂利、石および砂から構成され、それらは必要に応じて粉砕、洗浄および分粒して使用することができる。骨材を形成するのに用いることができる天然材料からの骨材には、粘土、頁岩および粘板岩などがあり、それらを焼成処理して、材料を膨張させる。例えば、OPTIROCおよびLECAは市販の膨張粘土骨材の例である。合成骨材は、廃棄物となり得る工業副産物を含む可能性がある。例えばLYTAGは、微粉燃料灰(「PFA」)を含む市販の焼結骨材であり、フライアッシュとも称される。PFAは、例えば発電所での石炭の燃焼から製造される。
【0003】
建設で使用される天然骨材は非常に需要が大きい。しかしながら、骨材資源は有限であり、その材料の抽出および加工は、例えば環境問題、法律問題、入手可能性、都市膨張および輸送コストによって複雑になる。各種産業による廃棄物発生も著しく増加しており、それは環境的および法律的に許容される形で処分しなければならない。代表的には、発生する廃棄物のほとんどが、多大な費用をかけて埋め立て地で処分される。使用可能な埋め立て地が枯渇し、新たな場所の獲得が難しく、環境的に有害な効果の可能性があり、埋め立てのコストがかかるため、廃棄物の廃棄は長年にわたって大きな問題となってきた。
【0004】
廃棄物を加工および変化させることで、コンクリートやその他の用途で使用される実用的な合成骨材を製造できれば、廃棄物の問題と天然骨材資源の枯渇の両方が解決されるものと考えられる。
【0005】
骨材は、軽量または通常重量のものであることができる。軽量骨材(「LWA」)は、ASTM規格C330で定義のように、2.0g/m3未満の粒子密度または1.1g/cm3未満の乾燥疎充填かさ密度を有する。例えば砂利、砂および砕石からの通常重量骨材は、約2.4〜約2.9のかさ比重(乾燥機乾燥および表乾の両方)および約1.7g/cm3以下のかさ密度を有する。高品質LWAは、均一な構造強度の強いが低密度の多孔質焼結セラミック核と水吸収を防ぐための高密度で連続的な比較的不透過性の表面層を有する。それらは、物理的に安定で、耐久性があり、環境的に不活性である。コンクリートで使用する場合、LWAは、十分な破砕強度および耐断片化性を有することで、得られるコンクリートが10MPaを超える強度および約1.5g/cm3〜約2.0g/cm3の範囲の乾燥密度を有するものでなければならない。相対的に低密度のLWAも製造可能である。LWAを含むコンクリート(「LWAコンクリート」)は、約0.3g/cm3という低い密度を有することもできる。
【0006】
合成軽量骨材(「LWA」)は、構造用途での使用に関連してかなりの効果があることから非常に注目されてきた。LWAを含むコンクリート(「LWAコンクリート」)は、従来のコンクリートより20〜30%軽量であることができるが、同等の強度を有する。従来のコンクリートほど強くない場合であっても、LWAコンクリートは、構造上の死荷重が少ないことで、より長期間の使用、より狭い断面および構造における補強の軽減につながり得る。LWAコンクリートが相対的に低重量であることで、取り扱いが容易になり、輸送、装置および労働力のコストが節減される。LWAコンクリートでは、絶縁性、冷凍解凍性能、耐火性および音量低下も改善され得る。
【0007】
生物廃水処理工場によって製造される下水汚泥は、体積および重金属含有量に関して重要な廃棄物である。下水汚泥は、一次沈殿もしくは二次沈殿、好気性消化もしくは嫌気性消化その他のプロセスなどの工場での各種処理段階時に堆積し、その後液体流から分離された沈殿固体を含む。下水汚泥の組成および特性は、使用される廃水処理プロセスおよび下水汚泥処理プロセスに応じて変動し得るものでもある。下水汚泥は、未処理であったり、消化されていたり、脱水されたものである場合がある。下水汚泥は、かなりの量の有機材料を含み、高濃度の重金属および病原体を含む可能性もある。下水汚泥は一般に、焼却によって不活性灰を形成することで処分されており、それは例えばラグーニング、埋め立て、肥料もしくは土壌コンディショニングとしての土地への散布および海洋投棄によって処分される。下水汚泥が未処理で土地に散布されたり埋め立て地で処分されると、望ましくない汚染が起こる可能性がある。
【0008】
下水汚泥の再利用および処分は、無視できない経済的および環境的な問題を生じる。埋め立て地から浸出する可能性がある廃棄物中の重金属および病原体の存在は、隣接する土地および給水設備に対する脅威となる。埋め立て地の利用も次第に困難になりつつある。さらに、廃棄物の重量を大きくする下水汚泥中の大量の水の存在のために、輸送および処分のコストが大きくなる。
【0009】
製造される別の重大な廃棄物は、都市固形廃棄物(「MSW」)焼却から生じる灰流である。MSW灰残留物の埋め立て地への処分は最初の廃棄物の体積の1/10に過ぎないが、かなりの量の固体残留物が生じるために、その管理が問題となっており、その大半が現在は埋め立てられている。焼却炉ボトムアッシュ(「IBA」)は、MSW焼却炉残留物の総重量の約75〜80%を占める主要な灰流であり、スラグ、ガラス、セラミック、鉄金属および非鉄金属、鉱物、他の不燃物および未燃有機物の不均一混合物である。IBAは現在、堤防、舗道路盤および道路補助路盤の建設で、土壌安定化で、煉瓦、ブロックおよび敷石中で、そして特定用途での充填材として、そのままの形態(加熱処理せず)で使用される。比較的不活性な廃棄物であると考えられるが、これら用途での重金属の浸出が起こり得る。
【0010】
MSW焼却によって、燃焼ガス中に浮遊しているか、排気制御装置で回収されるダストの形態での粒子状残留物も生じ、それは大気汚染防止(「APC」)残留物と称される。それには、フライアッシュ、石灰、炭素および公害防止システムで回収された残留物などがある。焼却炉フィルターダスト(「IFD」)は、焼却廃棄物1000kg当たり25〜30kgの割合で生じるバグハウスフィルターに回収されるAPC残留物であり、フライアッシュは場合によりIFDを含み、合わせて灰流全体量の約10%〜15%を占める。MSW焼却炉フライアッシュ(「IFA」)は、重金属、ダイオキシン類、硫黄化合物および塩素化合物などの高濃度の有害材料を含むことから、ほとんどの欧州諸国で、有毒および危険残留物として分類されている。従って、それは特別な埋め立て地でのみ処分可能であり、それはコストが高く、環境的に安全ではない。
【0011】
かなりの体積の残留物が、鉱物、鉱石および石の採掘によっても生じる。代表的な採掘操作には、抽出、選鉱、爆破、破砕、洗浄、篩い分け、切削(石)および備蓄などがある。これらの操作によって、処分を必要とする各種大きさの粉砕物、粉末、泥残留物および廃水などの廃棄物が生じる。例えば装飾石の切削からの大理石および花崗岩の廃棄物も、大量の廃棄泥を生じ、それは河川や沼地に廃棄される。花崗岩切断機および花崗岩切削機も、大量の粉末および泥廃棄残留物を生じる。「採鉱廃棄物」という用語は本明細書において、これら操作中に生じる廃棄物を指すのに用いられる。採鉱廃棄物は、処理を行ってから沼地や埋め立て地で処分して、環境汚染を防止する必要がある。他の採鉱廃棄物には、例えば石灰岩およびドロマイト尾鉱などがある。
【0012】
発電所も、微粉燃料灰(「PFA」)とも称される微粒子および炉ボトムアッシュ(「FBA」)とも称される粗留分の形態での大量の灰残留物を生じる。比較的重い灰分が、発生する総石炭灰の20〜30%を占め、炉の底に落ちる画分である。FBAは現在、軽量コンクリート、ポルトランドセメント製造および他のアスファルトもしくは道路基盤用途で骨材として、そのままの形態で使用されている。
【0013】
高い割合で生じる他の廃棄物には、セメントキルンダスト(「CKD」)および高炉スラグなどがある。CKDは、製造工場の大気汚染防止ダスト回収システムで捕捉される微粉末のセメント製造操作副産物である。米国では、毎年約1420万トンのCKDが生じており、発生するCKD全体の約64%がセメント工場内で再利用されている。GGBSは、高炉での鉄の生産および加工の非金属生産物である。米国では年間約1550万トンのGGBSが生じていると推定され、その大半が、骨材または絶縁材料としてセメント生産で使用されている。
【発明の開示】
【0014】
発明の概要
廃棄物処理に関連する経済的負担および環境上の危険性から、廃棄物を安全で収益が得られる製品に変える別途技術を開発することが有利になっている。廃棄物の再利用による合成骨材などの建設・建築材料の製造は、大量の廃棄物を利用し、材料骨材用の再生できない原材料の需要を減らせる可能性が高くなることから、効果的な選択肢であると考えられる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥を非石炭燃焼灰ケイ素アルミニウム廃棄物と混合する段階を含む、骨材製造方法が開示される。その方法はさらに、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を有する。前記廃棄物は、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、高炉スラグ、キルンダストおよび/または採鉱廃棄物を含み得る。都市固形廃棄物焼却炉残留物は、大気汚染防止残留物および/または焼却炉ボトムアッシュを含み得る。大気汚染防止残留物には、焼却炉フライアッシュおよび/または焼却炉フィルターダストなどがある。キルンダストはセメントキルンダストを含む。採鉱廃棄物には花崗岩切断残留物などがある。
【0016】
一例において、前記廃棄物は下水汚泥より多くのカルシウムを含む。この例において、廃棄物には焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、セメントキルンダスト、廃棄物ガラスおよび/または高炉スラグなどがある。廃棄物は9%を超えるカルシウムを含むことができ、下水汚泥は3%未満のカルシウムを含むことができる。得られる骨材は、乾燥重で約10%未満のカルシウムを含むことができる。前記方法は、混合物の乾燥重で約99%〜約60%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約1%〜約40%の前記廃棄物と混合する段階を含むことができる。好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約80%〜約90%の下水汚泥を約10%〜約20%の前記廃棄物と混合する段階を含む。
【0017】
別の例では、前記廃棄物は下水汚泥より少ないカルシウムを含む。この例では、前記廃棄物は、炉ボトムアッシュ、花崗岩切断残留物および/または廃棄物ガラスを含むことができる。前記廃棄物は約10%未満のカルシウムを含むことができ、前記下水汚泥は約10%を超えるカルシウムを含むことができる。前記骨材は約10%未満のカルシウムを含むことができる。その方法は、混合物の乾燥重で約5%〜約95%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約95%〜約5%の前記廃棄物と混合する段階を含むことができる。好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約30%〜約70%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約70%〜約30%の前記廃棄物と混合する段階を含む。より好ましくは前記方法は、混合物の乾燥重で約30%〜約50%の下水汚泥を混合物の乾燥重で約70%〜約50%の前記廃棄物と混合する段階を含む。
【0018】
前記方法はさらに、混合の前に前記廃棄物を粉砕する段階を含むことができる。好ましくは、前記粉砕は湿式粉砕である。下水汚泥と廃棄物の混合物は、好ましくは粉砕してから凝集を行う。好ましくは前記凝集は、ペレット化を含む。湿った粉砕廃棄物から、少なくとも一部分の水分を除去することができ、その水分の少なくとも一部分を、焼成処理した凝集体のペレット化および/または急冷時に用いることができる。得られる骨材は、約3mm〜約40mmの直径を有することができる。
【0019】
前記凝集体は、無機粉末でコーティングすることができる。可塑性結合材を下水汚泥および廃棄物と混合してから凝集を行うことができる。前記可塑性結合材は粘土を含むことができる。前記粘土結合材は、前記混合物の乾燥重で約5%〜約20%含まれることができる。
【0020】
凝集体の焼成処理は、ロータリーキルンで行うことができる。得られた骨材は、例えば軽量骨材または通常重量骨材であることができる。凝集体はガラス化させることができる。少なくとも部分的に廃棄物に対する下水汚泥の割合および焼成処理温度に基づいて、骨材の特定の特性を制御することができる。その特定の特性には、骨材の密度、吸水率および/または強度などがあり得る。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む混合物を製造する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階、ならびに前記凝集体を焼結する段階を含む、焼結軽量骨材の製造方法が開示される。前記廃棄物は、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストおよび/または花崗岩切断残留物を含むことができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む焼結軽量骨材が開示される。下水汚泥および廃棄物の混合物を、焼結軽量骨材を形成する温度で焼結する。前記廃棄物は、例えば焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストおよび/または花崗岩切断残留物を含むことができる。前記軽量焼結骨材は、約2%のカルシウム〜約10%のカルシウムを含むことができる。好ましくは軽量焼結骨材は、約3%〜約6%のカルシウムを含むことができる。軽量焼結骨材は化学的に不活性であることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、焼成処理骨材は、廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む。前記骨材は、焼結またはガラス化することができる。前記骨材は、通常重量または軽量骨材であることができる。
【0024】
別の実施形態によれば、焼成処理骨材は下水汚泥からなる。下水汚泥は、40重量%未満の有機材料を含むことができる。
【0025】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ(「FBA」)を混合する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階、前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュを含む焼成処理骨材が開示される。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥の含水量を凝集可能なレベルまで低下させる段階、前記下水汚泥を凝集させる段階、および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。
【0027】
別の実施形態によれば、粘土または頁岩のうちの少なくとも一方を粉砕する段階、廃水処理施設からの下水汚泥中の水分の少なくとも一部を除去する段階、および前記下水汚泥を前記粘土または頁岩と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物をペレット化し、得られたペレットをロータリーキルンで焼成処理して骨材を形成する。前記下水汚泥および前記粘土または頁岩の混合物を、湿式粉砕することができる。
【0028】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥を粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトおよび/または石膏と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させて凝集体を形成する。次に、凝集体を焼成処理して骨材を形成する。粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏などの1以上の天然材料に加工処理を施してから、下水汚泥と混合することができる。
【0029】
別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥ならびに粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトおよび/または石膏を含む焼成処理骨材が開示される。
【0030】
別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰、石炭、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスおよび/または炉ボトムアッシュを含むことができる第1の材料を、焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、焼却炉フィルターダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏、ドロマイトおよび/または廃棄物ガラスを含むことができる第2の材料と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させて凝集体を形成し、その凝集体を焼成処理して骨材を形成する。前記第1の材料は乾燥重で約3%未満のカルシウムを含むことができ、前記第2の材料は約9%を超えるカルシウムを含むことができる。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、廃水処理施設からの下水汚泥および都市固形廃棄物焼却炉からの焼却炉残留物を混合する段階、前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階および前記凝集体を焼成処理して骨材を形成する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記焼却炉残留物は、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュおよび/または焼却炉フィルターダストを含むことができる。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰もしくは粘土である第1の材料を含む第1の材料を、粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストもしくはセメントキルンダストである1以上の第2の材料と混合する段階を含む、骨材の製造方法が開示される。前記混合物を凝集させ、その凝集体を焼成処理して骨材を形成する。
【0033】
別の実施形態によれば、石炭燃焼からの粉砕燃料灰および/または粘土であることができる第1の材料および粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストおよび/またはセメントキルンダストであることができる第2の材料を含む焼成処理骨材が開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
加熱した場合の材料の挙動は、主としてその組成、粒度および鉱物組成によって決まる。所望の密度、吸水率などを有する焼結およびガラス化生産物の製造時に焼成処理温度で緻密化を制御するためには、流動性材料と耐火性鉱物との間の良好な比が必要である。シリカおよびアルミナなどの耐火性鉱物は、一般には高融点を有する。酸化物、炭酸塩もしくは硫酸塩の材料形態で存在するアルカリ土類金属であるカルシウムおよびマグネシウムならびにアルカリ金属であるナトリウムおよびカリウムなどの流動性鉱物の存在によって、材料中のシリカおよびアルミナならびに他の耐火性鉱物の融点が低下する。材料中の流動性鉱物の割合が高い場合、それに応じてガラスネットワーク形成性元素であるケイ素の割合が低くなる。流動性鉱物は、焼結ならびに混合物中の成分の最低共融点の温度での溶融を促進する。さらに、低粘度および高移動性を有する流動性鉱物は、液相の焼結により、関与する温度に応じて、焼結またはガラス化生産物の形成に役立つ。
【0035】
下水汚泥は不均一廃棄物であり、その組成は、主として特定の廃水処理工場に入ってくる廃水流入の特徴ならびに廃水および汚泥処理プロセスに用いられる処理プロセスに応じて大きく変動し得るものである。下水汚泥は、焼成処理骨材の生産用の初期原料として本発明の一部の実施形態で用いられる。2つの異なる処理工場からの下水汚泥について、本発明の実施形態による骨材生産加工を行った。一つの廃水処理施設からの下水汚泥サンプル(サンプルX、下記の実施例1で説明)は、部分的に、約16.02%のシリカ(SiO2)、6.83%のアルミナ(Al2O3)および20.28%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。やはり下記の実施例1で説明されるサンプルYは、部分的に約31.24%のシリカ(SiO2)、6.22%のアルミナ(Al2O3)および12.12%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。これらのサンプルは、多量のアルカリ土類金属であるカルシウムを含んでおり、それは汚泥中の残りの化合物の融点を下げるものである。従って、耐火性鉱物であるシリカおよびアルミナの融点より低い温度で緻密化が起こる。さらに、前記カルシウム成分は、液相焼結による焼結またはガラス化生産物の形成に役立つ融剤として作用する。混合物が焼結されるかガラス化されるかは、焼成処理温度および混合物の組成によって決まる。流動性鉱物は溶融して、低粘度・高移動性の液体を形成し、それは残りの耐火性鉱物を非常に急速に吸収および溶解させる。さらに、汚泥中に揮発性成分が存在することで、ケイ酸塩溶融物の移動性が高まる。この液体形成が、焼成処理温度を高くした場合のこの種類の下水汚泥の緻密化加速挙動の原因となっている。
【0036】
第2の廃水処理施設からの下水汚泥サンプルは、これら融剤を低濃度で有していた。実施例4にて下記で説明するサンプルZは、3.20%の酸化カルシウム(CaO)、3.80%の酸化アルミニウム(Al2O3)および39.50%の酸化ケイ素(SiO2)の部分組成を有する低カルシウム下水汚泥の一例である。シリカなどの耐火性鉱物の濃度が相対的に高いために、相対的に高い温度で、より広い温度範囲にわたって緻密化が起こった。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、100%の下水汚泥を含む焼成処理骨材およびそのような骨材の製造方法が開示される。下水汚泥を添加剤と混合して下水汚泥の組成を調整し、焼成処理時のその挙動を変えることで、骨材生産の制御がより良好になり得ることが認められた。従って、他の実施形態によれば、ある種の廃棄物および天然添加剤材料を下水汚泥と混合する。その追加材料の選択は、下水汚泥の組成によって決まる。好ましくは、その材料は、得られる骨材が約2%〜約10%のカルシウム含有量を有するように選択される。より好ましくは、前記カルシウム含有量は約2%〜約6%である。
【0038】
一実施形態の一例では、例えば、10%を超えるカルシウム含有量などの高カルシウム含有量を有する下水汚泥を、下水汚泥の含有量より少ないカルシウム含有量を有する低カルシウムケイ素アルミニウム材料(「LCSAM」)と混合して、下水汚泥の組成、従って焼成処理時のその緻密化挙動を変える。例えば、高カルシウム含有量ケイ素アルミニウム下水汚泥は、10%を超えるカルシウム含有量を有することができ、LCSAMは約10%未満のカルシウム含有量を有することができる。LCSAMは、本実施形態ではグループA添加剤または材料とも称される。LCSAMには、廃棄物ガラス(「WG」)、炉ボトムアッシュ(「FBA」)などの廃棄物ならびに花崗岩切断残留物(「GSR」)などのある種の採鉱廃棄物などがある。LCSAMには、天然材料粘板岩などもある。
【0039】
高カルシウム下水汚泥へのLCSAMの添加は、LCSAMから比較的低移動性で比較的高粘度の溶融物を提供することで、(1)材料の緻密化が遅延し、かつ/または(2)骨材の初期軟化、焼結および溶融の間の温度範囲が大きくなることが認められている。これによって、100%高カルシウム下水汚泥の加工と比較して、骨材生産プロセスの制御の方が良好となることが認められている。
【0040】
別の実施形態の例では、低カルシウム含有量を有する下水汚泥を、高カルシウムケイ素アルミニウム材料(「HCSAM」)(本実施形態では、グループB添加剤または材料と称される)と混合する。低カルシウム下水汚泥は3%未満のカルシウム含有量を有することができ、HCSAMは9%を超えるカルシウム含有量を有することができる。本実施形態でのHCSAMには、例えば(1)廃棄物:都市固形廃棄物(「MSW」)残留物、セメントキルンダスト(「CKD」)および高炉スラグ;ならびに(2)天然材料:石灰石、石膏およびドロマイトなどがある。都市固形廃棄物(「MSW」)残留物には、大気汚染防止残留物および焼却炉ボトムアッシュ(「IBA」)などがある。大気汚染防止残留物には、焼却却炉フライアッシュおよび焼却炉フィルターダストなどがある。
【0041】
低カルシウム下水汚泥へのHCSAMの添加によって、(1)下水汚泥含有骨材を焼成処理可能な温度範囲が狭くなり;(2)焼結および/またはガラス化を加速する液体溶融物が得られ;ならびに(3)温度および組成に応じた特定の特徴(例えば密度など)を有する骨材の生産が可能となることが認められている。
【0042】
廃棄物ガラスは、無視できない量のカルシウムおよびナトリウム(それぞれ、9%および12重量%)などの融剤成分ならびにシリカ(71.7重量%)などの耐火性鉱物を含む。従って廃棄物ガラスは、下水汚泥の組成に応じて、グループAおよびグループBの両方の添加剤であることができる。すなわち、廃棄物ガラスは、高カルシウム下水汚泥のカルシウム含有量を低下させることができるか、または低カルシウム下水汚泥のカルシウム含有量を上昇させることができる。
【0043】
一実施形態の別の例では、少なくとも1種類のLCSAMと少なくとも1種類のHCSAMの混合物からの合成骨材が生産される。一例では、LCSAMは3%未満のカルシウムを含み、HCSAMは10%を超えるカルシウムを含む。LCSAMとHCSAMの混合物が耐火性鉱物と流動性鉱物との間の良好な比率を提供して、焼成処理の制御を可能とすることが認められている。本実施形態でのLCSAMには、例えば廃棄物:石炭燃焼施設からの粉砕燃料灰(「PFA」)および上記の他のLCSAM、ならびに粘土、頁岩および粘板岩などがある。粘土は、例えばベントナイトおよび/またはカオリンであることができる。本実施形態でのHCSAMは、MSW焼却炉ボトムアッシュが含まれていないこと以外は、上記で記載のものと同じである。HCSAMのLCSAMへの添加は、耐火性鉱物に対する融剤の割合が適切である所望の組成を混合物に与えて、所望の特性の骨材を製造するための生産プロセスの制御をより良好にすることを目的とするものである。
【0044】
別の実施形態では、下水汚泥の第2の材料/添加剤に対する割合および焼成処理温度を制御することで、合成骨材の一定範囲の密度、多孔率および吸水率を得ることができる。
【0045】
図1は、約920℃〜約1150℃の範囲にわたる、下水汚泥を含む骨材(下記実施例2のサンプルX)ならびに下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物を含む骨材についての焼結温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。100%SSを含む骨材に相当する曲線Aは、温度が約920℃から約960℃に上昇するにつれて、密度が約1.2g/cm3の低値から最大密度約2.5g/cm3まで上昇することを示している。温度が960℃から980℃まで上昇するにつれて、密度は最大密度約2.5g/cm3から1.7g/cm3まで低下する。密度2.0g/cm3以下の骨材は軽量骨材と称され、密度が2.0g/cm3より高い骨材は通常重量骨材と称される。
【0046】
製造物が焼結すると、下水汚泥中の融剤が溶融して液相を形成し、それが毛管作用によって下水汚泥中の粒子間の孔を充填することから、920℃から960℃への温度上昇に伴って密度が高くなる。孔が充填されるつれて密度が上昇し、サンプルの体積が小さくなる。さらに、液相中の相対的に小さい粒子が相対的に大きい粒子の方に拡散する。溶融材料は、硬化時に剛性でガラス質の非晶質骨格またはマトリックスを形成する。加工温度が上昇するにつれて、下水汚泥中のより多くの化合物が溶融して、実質的に全ての孔が消失し、よりガラス質の結晶性固体マトリックスが形成される。最大緻密化の温度では、ほぼ全ての孔が充填され、製造物はガラス化する。
【0047】
さらに温度上昇するとサンプルの溶融および膨張が生じることから、960℃から980℃へと温度が上がると密度は急速に低下する。膨張は、溶融液相中への気体の取り込みによって生じるものであり、その気体はサンプルの一部の成分の気化によって生じるものである。捕捉された気体は孔を形成する。
【0048】
図1に示したように、下水汚泥は、非常に狭い温度範囲で急速に焼結する。例えば、密度が約1.4g/cm3〜約1.8g/cm3の範囲である100%下水汚泥を含む焼結軽量骨材を製造するためには、焼結温度は930〜940℃の範囲内でなければならず、その幅はわずか10℃である。さらに、下水汚泥の所与のサンプルの組成における変動により、加熱中に下水汚泥サンプルの挙動に大きな変動が生じる。従って、各種下水汚泥サンプルについての温度と密度の間の関係は、広い範囲で変動し得る。結果的に、密度、多孔率、吸水率などの所望の特徴を有する下水汚泥最終生成物を得ることは非常に困難である。このサンプル(高カルシウム)に類似の組成を有する下水汚泥の緻密化挙動を温度で制御することができないという点は、大量生産で必要な特性の骨材を製造する上での重大な障害となると考えられる。
【0049】
本発明の実施形態で用いられる低カルシウムケイ素アルミニウム材料(LCSAM)は、下水汚泥と比較して多くのシリカおよび少ないカルシウムを含む。上記のように、下記の実施例1および2で用いられる下水汚泥サンプル(サンプルX)は、約16.02%のシリカ(SiO2)、6.83%のアルミナ(Al2O3)および20.28%の酸化カルシウム(CaO)を含んでいた。天然LCSAM粘土(例えばベントナイトおよびカオリン)、頁岩および粘板岩は、約48%〜58%のシリカ(SiO2)、約18%〜約29%のアルミニウム(Al2O3)および約3%未満の酸化カルシウム(CaO)を含む。本発明のある種の実施形態で使用可能な採鉱廃棄物の一例である花崗岩切断残留物(「GSR」)は、約65%のシリカ(SiO2)、約15%のアルミナ(Al2O3)および約2.6%の酸化カルシウム(CaO)を含む。廃棄物ガラスは、約72%のシリカ(SiO2)、約2%のアルミナ(Al2O3)および約9%の酸化カルシウム(CaO)を含む。廃棄物ガラスはさらに、やはり融剤化合物である約12%の酸化ナトリウム(Na2O)を含むことから、それを用いて、下水汚泥中の融剤の量を増加または低減することができる。石炭燃焼からの粉砕燃料灰(「PFA」)と同じ組成を有する炉ボトムアッシュ(「FBA」)は、約52%のシリカ(SiO2)、約26%のアルミナ(Al2O3)および約2%の酸化カルシウム(CaO)を含む。これらLCSAMの別の成分は、下記の実施例に挙げてある。
【0050】
図1に示したように、例えば60%/40%下水汚泥(「SS」)/花崗岩切断廃棄物(「GSR」)混合物で、密度が約1.5g/cm3〜約1.8g/cm3である焼結軽量骨材を製造するには、焼結温度は約30℃の範囲内(約1010℃〜約1040℃)とすることができる。40%/60%SS/GSR混合物では、約1010℃〜約1075℃の65℃の範囲内の温度で同様の密度を得ることができる。さらに、GSR濃度が60%まで上がると、焼結が遅れ、約1110℃で最大密度に達する(それと対照的に、100%SSの場合では960℃、60%/40%SS/GSRの場合では1060℃)。GSRが80%以上までさらに増加すると40%/60%SS/GSR混合物より広い温度範囲にわたって約1.5g/cm3〜約1.8g/cm3の密度を有する軽量骨材となるものと予想される。その相対的に広い温度範囲によって、SSの組成が変動したとしても所望の密度および他の特性を有する骨材の製造が容易になる。図1は、下記の実施例2の結果に基づいたものである。
【0051】
図2は、約980℃〜約1110℃の範囲にわたる、下水汚泥を含む骨材(下記の実施例4におけるサンプルZ)および下水汚泥およびセメントキルンダストの混合物を含む骨材についての焼結温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。100%下水汚泥に相当する曲線Bは、温度が約980℃から約1060℃まで上昇するにつれて、密度が約1.9g/cm3という低値から最大密度約2.4g/cm3まで上昇することを示している。温度が1060℃から1110℃まで上昇するにつれて、密度は最大密度2.4g/cm3から2.0g/cm3まで低下する。2.0g/cm3を超える密度を有する骨材は、通常重量骨材である。
【0052】
図2に示したように、下水汚泥では、下水汚泥中の耐火性成分の量が多いために、緻密化が遅延し、初期材料軟化、焼結および溶融の間の温度間隔が広くなる。この例では、調べた温度では、110℃(1000〜1110℃)の広い温度範囲で2.0g/cm3〜2.4g/cm3の密度を有する通常重量骨材が製造された。材料の緻密化挙動を加速して、予測可能性および生産制御が得られる温度範囲内で軽量および通常重量の両方の骨材を製造するには、高カルシウムケイ素アルミニウム、グループB材料(「HCSAM」)を下水汚泥に加える。この例では、HCSAMはセメントキルンダスト(「CKD」)である。CKDはかなりの量のCaO(63重量%)を含むことから、加速効果を得るには、ごく少量のCKDでよい。下水汚泥中に5%のCKDを加えることで、100%下水汚泥混合物と同じ温度範囲で焼成処理した場合に、約1.7g/cm3〜約2.4g/cm3の密度を有する軽量骨材が製造される。下水汚泥に10%のCKDを加えると、940℃〜1060℃の焼成処理温度で、1.4g/cm3という低い密度を有する軽量骨材および約2.4g/cm3以下の密度を有する通常重量骨材が製造される。CKDをさらに加えると、混合物の緻密化がさらに加速され、それは大量骨材生産において予測可能な形で生産プロセスを制御する上での障害となり得ることから、好ましいものではない。
【0053】
本発明の一実施形態による方法では、所定量の下水汚泥および下水汚泥の組成に応じてLCSAMもしくはHCSAMであることができる第2の材料を混合し、その混合物を凝集させ、凝集体を特定の温度で焼成処理することによって、骨材を形成する。上記のように、LCSAMは最初の下水汚泥よりカルシウム含有成分が少なく、HCSAMは下水汚泥よりカルシウムが多い。温度は、図1および2にグラフで示したものなどのデータに基づいて、少なくとも部分的に、ケイ素アルミニウム材料(「SAM」)に対する下水汚泥の割合ならびに骨材の所望の密度および吸水率および/または強度などの他の特性に基づいて選択することができる。焼結を引き起こす温度が好ましい。好ましくは混合物を凝集させてから焼結を行って、所望の大きさおよび形状を有する凝集体を作ることで、焼結骨材を形成する。ペレット化が、好ましい凝集方法である。下水汚泥を乾燥させてから、第2の材料と混合することができる。あるいは、下水汚泥を、所望の含水量を有する湿形態で加えることで凝集を可能とすることができる。
【0054】
図3は、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスおよび炉ボトムアッシュなどのLCSAM粒子12またはセメントキルンダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏およびドロマイトなどのHCSAM粒子12、ならびに下水汚泥粒子14を含む凝集体10の一例である。孔16も示してある。凝集体10は、本発明の一実施形態に従って、焼成処理、例えば焼結して骨材を形成することができる。焼成処理の際、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムおよび酸化マグネシウムなどの融剤化合物ならびに下水汚泥14の最初の粒子および高もしくは低ケイ素アルミニウム材料(「SAM」)粒子12における加工温度以下の融点を有する他の化合物は溶融し、孔16の中に流れ込む。SAM粒子12が非結晶固体である廃棄物ガラスである場合、他の結晶性SAM粒子の融点よりかなり低い温度での粘性焼結による軟化ガラス粒子の溶融によって緻密化が起こる。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態による、凝集体10の焼結から得られる骨材20の一例の模式的断面図である。骨材20は、下水汚泥およびSAMの混合物を含む。凝集体は、下水汚泥のSAMに対する割合および所望の密度および/または他の特徴によって決まる温度で焼結される。焼結骨材20は、成分の溶融および/または結晶化から得られる、一部ガラス状および一部結晶化したマトリックス24によって互いに結合した複数の粒子22を含む。粒子22は、シリカ、アルミナおよび加工温度より高い融点を有する他の鉱物を含むことができる。粒子22は、焼結時に完全にまたは部分的に結晶化して、粒子22間で別の結合を与える。骨材20は好ましくは、下記でさらに説明される凝集体10の無機材料によるコーティングで得られる高密度で連続的な比較的不浸透性の表面層26を有する。顕微鏡的である場合があるチャンネル状で小さい表面孔28aであることができる内部孔28も存在する。表面孔が内部孔とつながっていることで、骨材20が水を吸収できるようになっている場合がある。吸水率は、孔の容積および接続性の指標である。
【0056】
図5は、本発明の別の実施形態による、ガラス化骨材30の一例の模式的断面図である。ガラス化骨材30は、図4の焼結骨材と比較して、粒子22が少なく、マトリックス24が大きい。ガラス化は、凝集体成分のほとんどが融解する、下水汚泥のSAMに対する特定の割合に関して最大緻密化の温度以上での凝集体10の焼成処理から生じる。
【0057】
密度が約1.2g/cm3と低く、吸水率が約40%を超え、強度が非常に低い高度に多孔性の軽量骨材ならびに密度が2.0g/cm3以下である非常に強く良好に焼結した軽量骨材が、本発明の実施形態によって製造され得る。密度が約2.0g/cm3より高く約2.6g/cm3以下であり、吸水率がゼロに近い通常重量骨材も、本発明の実施形態によって製造され得る。下水汚泥およびSAMによる、そしてある種のSAM間での骨材生産は、有利な再利用用途を提供するものである。
【0058】
図6は、本発明の一実施形態による骨材製造方法100の一例である。下水汚泥を、最初に段階105で乾燥させる。汚泥の乾燥は、例えば110℃の乾燥機で24時間行うことができる。未処理汚泥の含水量が非常に高い場合、過剰の水分を、例えば濾過、重力沈降、綿状沈殿または沈殿によって除去してから、乾燥機で乾燥させる。代表的には、乾燥下水汚泥塊が形成される。その塊の大きさを小さくする必要がある場合がある。その後の加工に好適な微細粉末を好ましくは、段階110で、例えば乾式粉砕もしくは粉砕により、または乳棒および乳鉢を用いることで製造する。大量生産では、乾燥固体ケーキを、例えばハンマーミルによって粉砕して粉末とすることができる。粉砕下水汚泥粉末を、段階115で、例えば篩を用いて分離して、大きい粒子を除去する。下水汚泥中に存在する石、岩または金属などの粗い粒子も、好ましくは除去して、それ以降の加工に供する。分離は、例えば150ミクロンまたは80ミクロンの開口を有するASTM標準ステンレスメッシュスクリーン上で下水汚泥粉末を機械的に振盪することで行うことができる。粒径が150ミクロン未満である下水汚泥を、さらに加工する。
【0059】
表面積/体積比が高いと、小さい粒子の液相を介した相対的に大きい粒子への拡散が増加し、粉末が骨材全体でより良好に分布して充填密度が良好となることから、微細な粒径分布(約710ミクロン未満)を有する粉末は有利な特徴を有する。
【0060】
下水汚泥は、SAMと直接混合して、例えば図6の段階125〜150に従うさらなる加工を可能とする上で好適な含水量をその材料が有する限りにおいて、生の湿った形で用いることもできる。過剰の含有水を、乾燥、濾過および/または他の方法によって再度除去して、好適な含水量としてから、添加剤との混合を行うことができる。この場合、段階105〜120は行わない。
【0061】
次に段階125で、、段階120からの粉砕下水汚泥粉末を、微細粒子分布を有する粉末形態の適切なSAMと混合する。混合は、バッチ式または連続式であることができる。SAMが粗い粒径分布を有する場合、例えば乾式もしくは湿式粉砕技術を用い、ハンマーミルまたはボールミルでそれを前粉砕してから、汚泥粉末とともにミキサーに加えることができる。いずれかの量の高または低カルシウムSAMを、それぞれ低または高カルシウム下水汚泥に加えて、焼成処理性能を高めることができる。SAMに対する下水汚泥の好ましい範囲は、下水汚泥が高カルシウム下水汚泥であるか低カルシウム下水汚泥であるかによって決まる。本発明の一実施形態によれば、段階125で、ベントナイトおよびカオリンなどの粘土および/または頁岩を湿式粉砕する。
【0062】
好ましくは、混合物の乾燥重で(「BDWM」)約5%〜約95%の高カルシウム下水汚泥を、約95%〜約5%のLCSAM、BDWMと混合する。より好ましくは、約30%〜約70%の高カルシウム下水汚泥BDWMを、約70%〜約30%のLCSAM、BDWMと混合する。この範囲では、得られた骨材は乾燥重で約6%〜約15%のカルシウム含有量を有する。より好ましくは、約30%〜約50%の高カルシウム下水汚泥BDWMを、約70%〜約50%のLCSAM、BDWMと混合する。この範囲では、得られた骨材は、乾燥重で約6%〜約10%のカルシウム含有量を有する。骨材のカルシウム含有量が約2%〜約10%であると、混合物の緻密化挙動の制御がより良好となって所望の特徴を有する骨材の生産が可能となり、カルシウム含有量が約3%〜約6%であると、さらに良好な制御が得られることが認められている。
【0063】
好ましくは、約99%〜約70%の低カルシウム下水汚泥BDWMを、約1%〜約30%のHCSAM、BDWMと混合する。より好ましくは、約80%〜約90%の低カルシウム下水汚泥BDWMを、約20%〜約10%のHCSAM、BDWMと混合する。これらの範囲は、上記のものと同様の骨材カルシウム含有量を提供するものである。
【0064】
粘土などの可塑性結合材を加えて、造粒時の個々の粒子の水との物理的結合を強化することができ、それは段階125に記載されている。「可塑性結合材」という用語は、高い塑性指数を有する結合材材料を指す。少なくとも10の塑性指数が好ましい。粘土結合材は、IBA、SAMおよび粘土結合材の混合物の乾燥重で約5%〜約20%を占めることができる。使用される結合材の量は、混合物中の個々の成分の可塑性など、下水汚泥およびSAMの種類および特徴によって決まり得るものである。
【0065】
粉末を十分に混合した後、段階130で、水を加えて、凝集に好適な稠度を得る。混合物は好ましくは、例えば粘土様混合物を有する。加える水の量は、混合物中の添加剤の量および種類に関係する。例えば、下水汚泥の粘土に対する割合が約80%下水汚泥(「SS」)/20%粘土である場合、必要な水の量は、SS/粘土混合物の総乾燥重の約25重量%であることが認められている。その割合が60%/40%である場合、必要な水の量は約28重量%であることが認められている。その割合が20%/80%である場合、必要な水の量は約32%であることが認められている。下水汚泥を湿形態で用い、SS/SAMおよび適宜に粘土の混合物がさらなる加工を可能とする好適な含水量を有する場合、混合物に水を加える必要はない。
【0066】
得られた混合物を、段階135で凝集させる。凝集は、ダストまたは粉末などの小さい微細粒子を集めてペレットなどのより大きい塊とする粒径拡大技術である。好ましくは、混合物をペレット化によって凝集させ、その場合に、気体もしくは液体中で分散している微細粒子を、他の外部圧縮力を用いずに回転によって大型化する。例えば、ペレット化回転ドラムまたはディスクを用いることができる。得られたペレットの強度は、粒子の特性、媒体中の水分量ならびに当業界で公知のような回転速度および回転ドラムの傾斜角度などの機械的プロセスパラメータによって決まる。回転ドラムの使用の例は、下記の実施例に記載されている。得られたペレットはほぼ球形であるかわずかに角張っており、混合物中の炭素含有量および鉄含有量に応じて、色は明褐色ないし暗褐色で変動する。その径は、例えば約3mm〜約40mmの範囲である。上記のように、図3はペレット10の一例である。ペレット化に代えて押し出しを用いることができる。押し出しを行うとレンガ様材料が得られ、それは硬化後に破砕してより小さい粒子とすることができる。あるいは、圧縮を行って、錠剤その他の形状などの円柱形凝集体を得ることができる。
【0067】
凝集混合物については、段階140で適宜に表面コーティングおよび乾燥を行う。使用される無機材料の量は少量であることができる。ペレットは、焼結温度で溶融しない無機材料でコーティングすることができる。ペレットは、その上にダストを散粉したり、ダスト中でペレットを回転させることでコーティングすることができる。コーティング材料の使用は、下水汚泥および選択される添加剤の特徴によって決まる。下水汚泥が高カルシウム下水汚泥である場合、無機材料は例えば、ダスト、粘土、粉砕頁岩および粘板岩の形態での花崗岩切断残留物もしくは炉ボトムアッシュなどのグループAからのLCSAMを含むことができると考えられる。下水汚泥が低カルシウム下水汚泥である場合、無機材料は、例えばセメントキルンダスト、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、石灰石、石膏および粉砕粒状高炉スラグなどのグループBからのHCSAMを含むことができる。
【0068】
非粘着性材料の薄層でペレット表面を被覆することで、ペレット表面上に被膜が形成され、それは、例えば図4に示したように、ペレットのクラスタ化を低減し、ペレット強度を高め、骨材上に薄く緻密な外側被覆を形成する。粘土結合材を混合物に加える場合、粘土によって内部結合が向上することから、ペレットの完全性を高め、コーティングを形成するのにペレット表面のコーティングを行う必要はない。しかしながら、コーティングは一つの選択肢である。乾燥は、例えば約110℃の乾燥機で行うことができる。キルンでの湿ペレットの焼成処理では、急激な温度変化のためにひび割れや爆発が生じる可能性があることから、好ましくは乾燥を行う。
【0069】
コーティングおよび乾燥を行ったペレットを、段階145で焼成処理する。焼成処理は、例えば下記でより詳細に記載しているように、混合物の組成および骨材の所望の特性に応じて、約1000℃〜約1350℃の温度で行う。焼成処理は、最大緻密化温度以下の温度で起こる焼結または最大緻密化以上の温度で起こるガラス化であることができる。焼成処理は好ましくは、ロータリーキルンで行う。焼結によって、粒子間結合が形成されることで、それ以前は緩く結合していた粒子の強度および密度が高くなる。ガラス化により、最大緻密化温度で強度が高くなる。しかしながら、ガラス化はより高い温度で進行することから、上記のように、ガラス状非晶質マトリックスの膨張のために、密度および強度が低下する。
【0070】
段階150で、水中で焼成処理骨材を急冷することができる。急冷によってペレットが冷やされて、溶融が停止する。急冷を行うと、得られた骨材20は、再結晶が可能な空冷の場合より非晶質性の高いマトリックス24を有するようになる。急冷によって、焼成処理骨材の硬度、靱性および耐摩耗性が向上することが、当業界では知られている。その水は、例えば室温(約30℃)であることができる。
【0071】
焼成処理および急冷を行った場合は、その後に、段階155で、所望の骨材サイズまでペレットを破砕および選別することができる。好ましくは、粗い骨材は、約4.75〜約19mmの範囲である。例えば、より小さい骨材を、コンクリート中の微細骨材として用いることもできる。
【0072】
焼成処理中のペレットの収縮のため、ペレットの大きさが約3mm〜約40mmの範囲である場合には、例えば焼成処理骨材の大きさは約2mm〜約30mmの範囲となり得る。選別された骨材の適切な大きさの範囲は、濾過用途に用いることができる約4mm〜約8mm、ならびにコンクリートで用いることができる約12mm〜約19mmとすることができる。例えば、より小さい骨材(約2mmまで低下)をコンクリート中の微細骨材として用いることもできる。
【0073】
本発明の実施形態による焼成処理の結果として、骨材は、通常の環境条件下でほとんどの物質に対して化学的に不活性であると考えられている。
【0074】
図7は、990℃で焼成処理した80%/20%のSS/ベントナイトを含む混合物からの、本発明の実施形態によって作られた複数の焼結骨材の一例である。
【0075】
図8は、本発明の一実施形態による骨材の製造方法200の一例であり、その場合、粗い粒子分布を有する特定のSAMを湿式粉砕してから、下水汚泥と混合する。そのような分布を有する本発明で用いられる添加剤には、IBA、FBAおよび廃棄物ガラスなどがある。
【0076】
段階205で、ボールミルの樽にIBAを加え、段階210で水とともに粉砕する。粉砕を行って、IBAの粒径分布を微細な分布まで低下させて、焼成処理を向上させる。高い表面積/体積比によって、小さい粒子の液相を介した相対的に大きい粒子への拡散が増加し、粉末が骨材全体でより良好に分布して充填密度が良好となることから、微細粒径分布を有する粉末は有利な特徴を有する。得られた粒子は好ましくは、例えば約45ミクロン以下の平均粒径を有する。より均一な粒径分布が得られることがわかっていることから、湿式粉砕が好ましい。さらに、湿式粉砕プロセスで用いられる液体は、凝集体を破壊し、粉末粒子の溶着を低減する傾向を有する。あるいはIBAは、例えばハンマーミルで乾式粉砕することができる。図8の方法200について、IBAの使用に関して説明するが、FBAまたは廃棄物ガラスを用いる場合、それらも好ましくは粉砕することは明らかである。
【0077】
IBAは、例えば密閉された円柱形容器中で湿式粉砕することができ、水もしくはアルコールなどの液体媒体中の湿式ミルボールなどの粉砕球形媒体によって、媒体中に懸濁した粒子を破壊するだけの力が加わる。転動、振動、軌道回転および/または攪拌によって湿式ボールミルに運動を加えることができる。粉末粒径分布を制御する最も重要な変量は、粉砕速度(rpm)、粉砕時間、粉砕媒体量、原料の初期粒径および所望の製造物径である。最も効率的な結果を得るには、ミルは少なくとも半分は粉砕媒体で満たされていなければならない。粉砕媒体は、例えば高密度のアルミニウム球であることができ、固体の約4倍の総重量とすることができる。至適な粉砕を行うには、小さい粉砕媒体が推奨される。アルミニウムまたはスチール球を用いる場合は、好ましい粒径は1/2〜5/8インチの範囲である。好ましくは、固体の約2倍量の液体を加える。粉砕は、例えば約8時間行うことができる。
【0078】
段階215で、湿式粉砕IBAを、例えば篩で分離して、大きい粒子を除去する。粒子が大きすぎると、均一なペレットが形成されない。分離は多段階で行うことができる。例えばIBAを、例えば355ミクロンまたは150ミクロンの開口を有するASTM標準ステンレスメッシュスクリーン上で機械的に振盪することができる。150ミクロン未満の粒径を有するIBAをさらに加工する。150ミクロンを超える画分は、異なる種類の材料に分離することができ、それをSAM添加剤として、廃棄物ガラスとして再使用することができる。
【0079】
段階220からの相対的に微細な画分の得られた粉砕スラリーを、段階225で脱水する。好ましくは、全ての遊離水を除去する。除去された水は廃水と称され、下記でさらに説明するように段階265で用いることができる。水は、例えばフィルタープレスその他の濾過装置で除去することができる。段階230で、脱水によって、固体の湿ったケーキ残留物が形成される。
【0080】
段階235で、ケーキを乾燥させ、粉砕する。この段階によって、ケーキは粉末になる。ケーキは、例えば110℃の乾燥機で乾燥させることができる。粉末は、例えば乳鉢と乳棒によって粉砕することができる。大量生産では、乾燥固体ケーキを、例えば羽根付きミキサーまたはドライハンマーミルで粉砕して粉末とすることができることから、乾燥粉砕IBA固体ケーキを同時に粉砕し、やはり粉末形態である生添加剤と連続的に混合することができる。
【0081】
粉砕IBAを下水汚泥と混合する前に、段階240で汚泥を乾燥させる。汚泥は、例えば110℃の乾燥機で24時間乾燥させることができる。製造された固体ケーキを、段階245で粉砕して粉末とする。その粉末は、例えば乾式粉砕もしくは破砕によって、または乳棒と乳鉢を用いて製造することができる。段階250で、汚泥粉末を150ミクロンまたは80ミクロンの篩に通して、粗い粒子を除去する。段階260で、段階255の150ミクロン未満の画分を、粉砕IBA粉末と十分に混合する。水を混合物に加えてから、段階265で湿粘土状混合物をペレット化する。水は、上記で述べた脱水段階225から得られた廃水の一部または全量であることができる。段階265〜285は、図6における段階130〜155に相当する。あるいは、下水汚泥を湿った状態でIBAと混合することができる。しかしながら、混合物の造粒で水をさらに加える必要がないようにするには、適切な含水量が必要である。この場合、段階240〜255は必要ない。
【0082】
IBAとともに下水汚泥を、ボールミル中で一緒に湿式粉砕してスラリーを得る場合、別の加工を行うことができる。次に、粉砕スラリーを一連の篩に通し、濾過装置で脱水して、粘度様固体ケーキを形成する。次に、その固体ケーキを110℃で乾燥させ、粉砕して微細粉末とし、それを水の存在下にさらにペレット化し、焼成処理して骨材を形成する。両方の材料の湿式粉砕から形成される粉砕スラリーを必要な含水量まで脱水して、混合物の直接ペレット化ができるようにすることもできる。形成されたペレットを約110℃で乾燥してから、キルンでの焼成処理段階に入れる。
【実施例】
【0083】
以下の実験を行った。
【0084】
実施例1
本実施例では、下水汚泥(「SS」)および廃棄物ガラス(「WG」)を含む合成骨材を製造した。本実施例で用いた3種類の異なるSSサンプルの平均化学組成(主要酸化物)を、下記の表Aに示してある。下記の表Bは、これら3種類のサンプル中に存在する少量および微量の構成要素を示している。サンプルXおよびサンプルYは約6ヶ月の期間を空けて同じ工場から得たものであり、サンプルZは第2の工場から得たものである。サンプルXの酸化カルシウム含有量は20.28重量%であり;サンプルYの酸化カルシウム含有量は12.12重量%であり;サンプルZの酸化カルシウム含有量は3.20重量%である。サンプルXおよびYは、高カルシウムSSと見なされ、サンプルZは低カルシウムSSである。使用したWGの平均化学組成も、表Aに示してある。WGは、米国で生産されるガラスの約90%を占めるソーダ石灰ガラス製であった。それは主として、二酸化ケイ素(71.7重量%)、酸化ナトリウム(12.1重量%)および酸化カルシウム(9.4重量%)からなり、他の少量成分には酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムなどがある。そのガラスの組成により、セラミックの生産に現在用いられている他のガラスより低い温度での液相焼結によって材料が緻密化されることから、エネルギー生産コストが削減される。SSの組成に応じて、WGは、緻密化温度範囲を上昇させるためのLCSAM、そして緻密化を加速するための融剤として作用するHCSAMの両方として用いることができる。例えばWGを下水汚泥サンプルX、YおよびZとともに用いて、合成骨材を製造することができる。
【表1】
【表2】
【0085】
SSサンプルXおよびWGについて、下記の加工を行った。本実施例では、乾燥SS粉末にWGを加えてから、ペレット化を行った。
【0086】
サンプルXを110℃で24時間乾燥機乾燥した。得られた乾燥ケーキをボールミルに加えて粉砕して粉末とした。そのミルは、3/4インチ(19.05mm)の高密度アルミナ球粉砕媒体約2.172kgが入ったパスカル・エンジニアリング社(Pascal Engineering Co., Ltd.)の21589型であった。粉砕粉末を150ミクロンの篩にかけて、粗い粒子を除去した。
【0087】
用いたWGは、一部には、生IBAから分離された瓶および窓ガラスに由来するものであった。このWGを洗浄し、110℃で終夜乾燥機乾燥した。次に、WGをジョー・クラッシャーで破砕し、分離して粒径を2mm〜6mmに下げ、次に振動リングを用いることで、炭化タングステンテマ(Tema)ミル(Gy-Ro, Glen Creston Ltd., Brownfields, Englandから入手可能)で粉砕することで、体積の95%(d95)が710ミクロン未満の粒径を有するようにした。再度カーバイドミルでさらに4分間乾式粉砕して、粒径分布をさらに小さくした。この微細WG画分を、本実施例で用いた。破砕WGの粒径のd50値は197.6ミクロンであり、それは4分間の乾式粉砕後には19.8ミクロンまで低下した。さらに、710ミクロン篩によって分離されたIBAの湿式粉砕スラリーからのWGも用いた。この画分も、4分間にわたってテマ乾式ミルで粉砕し、第1の画分と合わせた。
【0088】
粉砕WGを、100%/0%、40%/60%、60%/40%および0%/100%(SS/WG)の特定の割合で汚泥粉末に加えた。SSおよびWGの粉砕粉末混合物を、バッチミキサー中で水(得られた混合物の総乾燥重量の約40%以下)と混合し、水平方向に対して30°の角度で約17rpmで回転する直径40cmおよび長さ1メートルを有する回転ドラムペレタイザーに供給する。得られた「グリーン」ペレットは、ほぼ球形であるかわずかに角張っていた。その平均直径は約4mm〜約9.5mmであった。4mm未満のペレットはドラムに戻して、再度ペレット化した。9.5mmより大きいペレットは、手で割ってそれより小さいペレットとし、やはりペレタイザーに戻した。
【0089】
ペレットを、その上にPFA粉末を散粉することで、石炭燃焼からのPFAでコーティングした。次に、ペレットを約110℃で乾燥させ、長さ1500mmで内径が77mmであり、加熱領域の長さが900mmであるロータリーキルンに送った。キルンは、各種SS/WG混合物について920℃〜1220℃の温度で運転するように設定した。ペレットは、約10分〜約12分にわたり、約2.8rpmの速度で、ロータリーキルンのチューブ方向に移動・回転させた。本実施例では、キルンはカーボライト・ホープ・バレー(Carbolite Hope Valley)(英国)(GTFR195型)から入手可能な電気火力回転炉であった。焼成処理されたペレットはキルンから排出し、室温で放冷した。
【0090】
留意すべき点として、温度−密度曲線(図1で示したものなど)はキルンごとに変化し得るものである。例えば、SSおよびWGその他のSAMの特定の割合に相当する曲線は、上記で示した特定のキルンを用いるものより若干低いか高い最大緻密化温度を有し得る。曲線の移動は、温度プロファイルの安定性、エネルギー損失などの特定のキルンの運転効率に関係する多くの要素に起因するものであると考えられる。従って、特定のキルンでのいくつかのサンプルを準備して、骨材が所望の特性を有する温度範囲を確認することが必要になる場合がある。
【0091】
結果
下記の表C〜Dは、本実施例で形成される骨材の物理的および機械的特性をまとめたものである。留意すべき点として、それらの骨材は、SS中におけるWGの濃度が高くなるにつれてその特性を大きく変えた。
【0092】
下記の表Cは、異なる温度(10℃ずつ上昇させた)で焼成処理した異なる割合のSSおよびWGを含む骨材についての試験結果をまとめたものである。そのデータは、100%下水汚泥についての4個の値の平均および全てのWG含有サンプルの2個の値の平均である。データは、図9のグラフにプロットしてある。焼成処理骨材の相対乾燥密度はアルキメデスの方法を用いて計算し、吸水率は24時間浸漬した後の「表面乾燥」サンプルの重量増加から求めた。
【0093】
以上説明したように、混合物中のWGの量が増えると、WGの量の増加に伴う下水汚泥の化学組成および鉱物学が変わったために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および完全もしくはほぼ完全溶融の間の温度間隔が広くなった。得られた混合物中に存在するシリカの濃度上昇のために、WG増加に伴って、最大緻密化が起こる温度が高くなることも認められた。例えば、100%サンプルXのSSは、約960℃の最大緻密化温度を有する。60%SS/40%WGの割合でのサンプルXのSSおよびWGの混合物は、1030℃の最大緻密化温度を有し、40%SS/60%WGの割合では最大緻密化温度は1060℃である。
【0094】
しかしながら、SSへのWGの組み込みは、他のLCSAMの組み込みほど、ペレットが焼結する温度範囲を広くする上では有効ではないことが認められている。例えば、100%SSは約930℃〜約940℃の温度範囲(10℃)で焼結して約1.4g/cm3〜約1.8g/cm3の軽量骨材を形成するが、60%SS/40%WGは約970℃〜約1000℃の温度(30〜約35℃)で焼結して、その密度範囲での骨材を形成する。この温度範囲は、骨材密度範囲については40%SS/60%WGペレットのものと同様である。これは、融剤として作用する、WG中に存在する高濃度の酸化ナトリウムおよびカルシウムの存在によるものであると考えられている。融剤および溶融ガラスが低粘度溶融物を生じ、他の低カルシウムケイ素アルミニウム材料より密度が高く、多孔率が低い製造物を与えるとも考えられている。
【表3】
【0095】
図9および表Cで明らかなように、所定の組み合わせのSSおよびWGに関して、温度を用いて、焼結生産物の密度および他の特徴を求めることができる。例えば、SS/WGの40%/60%混合物では、1000℃での焼結によって、密度が約1.4g/cm3であるLWAが得られ、1060℃での同じ混合物の焼結によって、密度が約2.6g/cm3である通常重量骨材が得られる。
【0096】
表Cには、各種骨材の吸水率に対するWG添加の効果も示してある。最大緻密化の温度より低い温度で生産されるLWAは、代表的にはある程度の多孔性を有する。最大緻密化に近くなるにつれて、孔が溶融材料によって充填されることから、孔の大きさおよび数が徐々に低下してゼロとなる。多量のSSを含む骨材は、温度とともに吸水能力に急速な低下を示し、高WG骨材は温度とともにより緩やかな吸水率低下を示す。100%WG骨材は、蒸発によって生じる孔を充填する溶融ガラスのために、調べた全ての温度で他の全ての混合物よりかなり低い吸水率を有している。
【0097】
下記の表Dは、指定の焼成処理温度での特定のSSおよびWGの混合物について、骨材破砕値(「ACV」)をパーセントとしてまとめたものである。ACVは、各種割合のWG/SSについて3種類の異なる温度で提供されている。ACVは、骨材強度に対して反比例している。選択された温度は、比較のため、異なる製造物特性および異なる微細構造を生じるものとした。各組み合わせでの相対的に低い温度では、本発明の好ましい実施形態に従って、焼結LWAを製造した。中間温度では、本発明の一実施形態に従って、良好に焼結またはガラス化した通常重量骨材が得られ、残留孔がわずかにあった。相対的に高い温度では、やはり本発明の一実施形態に従ってガラス化LWAが得られた。
【表4】
【0098】
ACVは相対的に低く、骨材の強度は最大緻密化の温度では相対的に高かった(中間温度)。その温度以下では、密度は相対的に低く、ACVは相対的に高く、個々の骨材またはバルク骨材の強度は相対的に低かった。その温度(中間温度)より高いと、サンプル溶融増加のために、密度および骨材強度が低下するにつれてACVが増加し始めた。骨材強度は、温度上昇に伴って骨材密度の同じ傾向を示し、予想通り、最大値まで上昇してから低下する。本発明の実施形態による表Dに示した温度で40%SSおよび60%WGを含むLWAも、下記に示したように、約34%のACVを有する市販の軽量骨材LYTAGより低いACVおよび高い強度を有する。
【0099】
図9ならびに表CおよびDに示した焼成処理骨材の特性に対する焼成処理温度およびWG添加の効果に基づくと、1000℃〜1100℃の温度範囲で焼結し、約1.4g/cm3〜約2.6g/cm3の密度を有する骨材を与えた40%SS/60%WG混合物が好ましい。そのような骨材を、コンクリートにおける通常重量およびLWAとしての用途などの広範囲の用途で用いることができる。この組み合わせは100℃の最も広い温度範囲で焼結して、骨材を形成する。従って、焼結および他の焼成処理時のこの混合物の挙動ならびに得られた骨材の最終特性は、100%SSを含む骨材の場合より容易に制御可能である。この組み合わせの骨材の低い吸水率は、溶融ガラスが原因である。
【0100】
表Eには、3つの特定温度での40%SS/60%WG混合物からの骨材の一部の物性(表Cからの相対乾燥密度および吸水率ならびにかさ密度)および機械特性(表DからのACV)をまとめたものである。市販の骨材LYTAG(焼結PFA)およびOPTIROC(膨張粘土)の相当する特性も表Eに示してある。個々の骨材特性は20の測定値の平均値であり、バルク骨材特性は2つの測定値の平均である。
【表5】
【0101】
LYTAGと1000℃で焼結したSS/WGの40%/60%混合物を含む骨材の特性の比較から、WG含有骨材がLYTAGのものに匹敵する個々およびバルクの骨材密度、それより高い吸水率および有意に低いACVを有していたことがわかり、それが圧縮下に負荷された場合にバルクとしてより高い応力に耐え得ることがわかる。OPTIROCは、非常に低い密度、相対的に低い吸水率および非常に低い強度を有する。これは、OPTIROCが高容量の分離した球形孔を有するハチの巣状の微細構造を有することから予想されるものである。
【0102】
実施例2
本実施例では、高カルシウムSSサンプルXおよびYならびにグループB、LCSAM(2.61%酸化カルシウム(CaO))である花崗岩切断残留物(「GSR」)を含有させて合成骨材を製造した。これらの実験で用いたSSサンプルおよびGSRの平均化学組成を、下記の表Fに示してある。実施例1で用いたものと同じ装置を、本実施では用いた。
【表6】
【0103】
SSサンプルXおよびYおよびGSRについて、上記で記載し、図6に示した加工を行った。250メッシュの篩(63ミクロン)を通したGSRを乾燥汚泥粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0104】
篩処理して63ミクロン未満としたGSR粉末を、100%/0%、80%/20%、60%/40%および40%/60%(SS/GSR)という特定の割合でSS粉末に加えた。上記のように、混合物の稠度がペレット化を可能とするものとなるまで、バッチミキサーにて混合物に水を加えた(得られた混合物の総乾燥重基準で35%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端で回収したペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。そのペレットをPFAでコーティングし(散布によって)、約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。次に、得られたグリーンペレットをロータリーキルン中にて約10〜約12分間焼結させた。SSサンプルXおよびGSRダストから形成されたペレットを920℃〜1150℃の温度で焼成し、SSサンプルYおよびGSRから形成したペレットを990℃〜1190℃の温度で焼成した。
【0105】
結果
下記の表G〜Hは、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめたものである。
【0106】
骨材の相対乾燥密度および吸水率を、実施例1に記載の方法に従って求めた。本実施例では、2枚の平行なプレート間で個々の骨材に破壊まで負荷を加えることによって、圧縮強度を計算した。応力解析から、1個の球を直径に関して反対の2ヶ所でこのように調べると、その球の圧縮強度σは下記の等式によって与えられることが明らかになっている。
【数1】
【0107】
式中、「IACS」=個々の骨材破砕強度、d=球直径(mm)およびP=破壊負荷(N)である。各温度で作製した少なくとも12個の骨材について行った試験から、圧縮強度の平均値を計算した。骨材が破壊するまで、圧縮試験装置によって負荷を加えた。装置のダイヤルゲージが、破壊を起こす負荷を示す読み取り値を与える。下記の等式:負荷(ポンド)=550.95(読み取り値)−1620.7;負荷(kg)=負荷(ポンド)/2.205)によって、読み取り値から負荷を計算した。
【0108】
下記の表Gは、2つのサンプルXおよびYについての、異なる温度での各種割合のSSおよびGSRを含む骨材に関する試験結果をまとめたものである。データは、サンプルXおよびYのそれぞれについて、図1および図10のグラフにプロットしてある。表Gには、指定の焼結温度での特定のSSおよびGSR混合物に関してのIACS結果もまとめてある。上記で記載のように、混合物中のLCSAM(本例ではGSR)濃度が高くなると、GSRダストによる下水汚泥の化学組成および鉱物学の変化のために、サンプルの初期軟化、最大緻密化ならびに完全もしくはほぼ完全溶融の間の温度間隔が広くなった。
【表7】
【0109】
高濃度のSS、詳細にはサンプルXを含む混合物からの骨材の吸水率は、温度上昇に伴って急速に低下するが、相対的に多量のGSRとの混合物からの骨材では温度に伴う吸水率低下はさらに緩やかである。IACSは、予想通り、密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。温度上昇に伴う骨材強度の上昇は、100%SS混合物からの骨材では急速であり、GSR量が上昇するにつれてより緩やかになる。
【0110】
これらの結果に基づくと、コンクリートでのLWAなどの広範囲の用途で用いることができる焼結生産物を製造する上で好ましいSS/GSR混合物は、サンプルXおよびYの両方について、40%/60%のSS/GSR混合物である。GSRを含むSSの混合物から製造される骨材は、SS単独の場合より広い温度範囲で焼結することから、骨材の焼結時の挙動および最終特性を容易に制御することができる。40%/60%SS/GSR混合物は、例えばサンプルXの場合には、1000℃〜1090℃の温度範囲で焼結して、密度が2.0g/cm3未満であるLWAを形成した。所望の特性および特徴(多孔率、密度、強度)を有する骨材を、より容易に製造することができる。
【0111】
図1および10ならびに表Gから明らかなように、温度の制御によって、SSの特徴および組成が既知である場合に、所定の組合せのSSおよびGSRについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材を製造することができる。例えば、サンプルY、すなわちSS/GSRの40%/60%混合物を用いると、1000℃での焼結によって、約1.4〜約1.5g/cm3の密度を有するLWAが得られ、約1110℃での焼結によって、約2.5g/cm3の密度を有する通常重量骨材が得られた。
【0112】
表Hには、LYTAG骨材の相当する特性とともに、4つの異なる温度でのサンプルYのSS/GSRの40%/60%混合物からの焼結骨材の物性(相対乾燥およびかさ密度、吸水率)および機械特性(ACV)をまとめてある。最大緻密化の温度以下の温度で製造された骨材は、2.0g/cm3未満の密度、相対的に低い吸水率および高い強度を有していた。従ってそれは、軽量コンクリートでの使用に非常に適したものであった。LYTAGは、これらの骨材より低い相対密度および骨材強度を有していた。
【表8】
【0113】
実施例3
本実施例では、サンプルYのSS、中等度に高いカルシウムのSS(酸化カルシウム(CaO)12.12%)およびLCSAM(酸化カルシウム(CaO)1.82%)である粘板岩を含む焼成処理骨材を製造した。これらの実験で用いたサンプルYのSSおよび粘板岩の平均化学分析を、下記の表Iに示してある。これらの実験では、下水汚泥サンプルYを用いた。実施例1で用いたものと同じ装置を、ここで用いている。
【表9】
【0114】
粘板岩について、図6に記載され、前記の実施例でより詳細に記載された加工を行った。
【0115】
下水汚泥を110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微粉末とした。粘板岩を、100%/0%、80%/20%、60%/40%および40%/60%(SS/粘板岩)という特定の割合で下水汚泥粉末に加えた。バッチミキサーで水を混合物に加えて(得られた混合物の乾燥総重量基準で45%以下)、ペレット化用の粘土様混合物を形成した。粘板岩が微細な粒径分布を有することから、それをSS粉末と直接混合した。SSとともにさらなる加工を行う前に、粘板岩を粉砕して微細な大きさとする必要がある場合がある。得られたグリーンペレットは、4mm〜9.5mmの範囲のものであった。粘板岩を含むペレットを、粘板岩粉末でコーティングし、110℃で乾燥させ、上記のロータリーキルンに送った。得られたペレットを990〜1160℃の温度で約10〜12分間焼成してから、キルンから排出し、放冷して室温とした。
【0116】
結果
下記の表J〜Kは、特定のSS/粘板岩混合物からの焼成処理骨材の物性および機械特性ならびに焼成処理温度をまとめたものである。焼成処理骨材の相対乾燥密度および吸水率を、実施例1に記載の方法に従って求めた。
【0117】
表Jには、物性結果(相対乾燥密度、吸水率)および機械特性(IACSおよびASMI)をまとめてある。そのデータは、図11のグラフ上にプロットしてある。上記で説明したように、混合物中の粘土濃度が上昇すると、粘土によるSSの化学組成および鉱物学の変化のために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および融点の間の温度間隔が広くなった。
【表10】
【0118】
高濃度のSSを含む混合物からのペレットの吸水率は、温度上昇に伴ってより急速に低下するが、多量の粘土を含む混合物からのペレットは温度に伴ってより緩やかな吸水率低下を示す。IACSおよびASMIは、予想通り密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。温度上昇に伴う骨材強度上昇は、100%SS混合物からのペレットの場合はより急速であり、混合物中の粘土量の増加に伴ってより緩やかになる。
【0119】
焼結骨材の特性に対する温度およびベントナイト添加の効果に基づくと、密度が約1.6g/cm3〜約2.4g/cm3となった、1030℃〜1160℃の範囲の温度で焼結した40%/60%サンプルYのSS/粘板岩混合物が好ましい。焼結時のこの混合物の挙動および得られた焼結LWAの最終特性は、100%サンプルYのSSならびにSSおよび粘板岩の他の組合せより容易に制御することができ、製造がより容易になる。これらの実験で用いたものより低い温度でSS/粘板岩ペレットを加工することで、より低い密度およびより高い吸水率を有する骨材も製造することができる。
【0120】
表Kには、LYTAG骨材の相当する特性とともに、3つの特定温度でのSS/粘板岩の40%/60%混合物からの骨材のある種の物性および機械特性をまとめてある。
【表11】
【0121】
表Kおよび図11によって示したように、温度を制御することで、SSおよび粘板岩の所定の組合せについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材を製造することができる。必要とされる骨材特性に従って、この組合せから、LYTAGに匹敵するかそれに勝る特性を有する軽量骨材を製造することができる。
【0122】
表Lには、SSおよび粘板岩の混合物から得られる焼成処理骨材の挙動をまとめてある。骨材が焼成処理される温度範囲、相当する密度、吸水率およびASMI範囲、ならびに異なる種類および割合のSAM/下水汚泥についての最大緻密化温度を示してある。
【表12】
【0123】
実施例4
本実施例では、サンプルZ、低カルシウムSS(酸化カルシウム(CaO)3.20%)およびセメントキルンダスト(「CKD」)、グループAのHCSAM(酸化カルシウム(CaO)63.6%)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いたCKDの平均化学組成を、下記の表Mに示してある。
【表13】
【0124】
サンプルZのSSおよびCKDについて、上述し、図6に示した加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させ、粉砕して微粉末とした。微細な粒径分布を有するCKD(粒子体積の95%(d95)が45ミクロンより微細)を乾燥SS粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0125】
100%/0%、95/5%および90%/10%(SS/CKD)という特定の割合で、CKDをSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能とするものとなるまで、バッチミキサーで、粉末を水(得られた混合物の総乾燥重量基準で35%以下)と混合した。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端でペレットを回収し、4mmおよび9.5mm篩で篩い分けした。ペレットをCKDでコーティングし、約110℃の乾燥機で終夜乾燥した。得られたグリーンペレットを、940℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間にわたってロータリーキルンで焼成処理した。
【0126】
個々の骨材破壊強度(「IACS」)を、実施例2に記載の方法に従って求めた。個々の骨材の圧縮強度も、骨材強度質量指数(「ASMI」)として下記のように定義した。
【数2】
【0127】
式中、P=破壊負荷(kg)およびm=ペレットの質量(kg)。各焼成処理温度および異なる割合で製造した少なくとも12種類の骨材について実施した試験から、圧縮強度の平均値を計算した。
【0128】
結果
下記の表N〜Oに、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめてある。骨材の相対乾燥密度、吸水率およびASMIを、上記実施例に記載の方法に従って求めた。
【0129】
下記の表Nには、異なる温度で焼結した異なる割合のSSおよびCKDを含む骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図2のグラフにプロットしてある。表Oには、物性結果(表Nからの相対乾燥密度、および吸水率)および機械特性(表NからのASMI)をまとめてある。混合物中のCKD濃度を上昇させることで、初期混合物の組成が変化することによって、焼成処理温度範囲は若干狭くなった。CKDはそのような高カルシウム含有量を有することから、溶融物の移動性を高め、混合物のペレットの緻密化を高める上で必要な量はごくわずかとなった。
【表14】
【0130】
混合物中の融剤の量が相対的に低いことで得られるより高い密度のために、高濃度のSSの混合物からの骨材の吸水率は相対的に低い。ASMIは予想通り、密度と同様の傾向を示し、最大緻密化の温度まで上昇し、それより高い温度では低下する。これら実施例で用いられるサンプルZより低い酸化カルシウム濃度を有するSSサンプルでCKDを加えることは、本実施例で示したより重要であると予想され、所望の骨材組成を得るには、相対的に高濃度のCKDをSSに加える必要があると考えられる。
【0131】
焼結骨材の特性に対する温度およびCKD添加の効果に基づくと、密度が約1.4g/cm3〜約2.0g/cm3であるペレットが製造された940℃〜1090℃の範囲の温度で焼結された90%/10%サンプルZのSS/CKD混合物が好ましい。そのような骨材は、コンクリート中の軽量骨材としての用途を含む広範囲の用途で用いることができる。しかしながら、本実施例で使用されるサンプルZのSSの場合、最初のSSがすでに組成中に酸化カルシウムなどの少量の融剤を含むことから、95%/5%SS/CKD混合物であっても、骨材製造用に選択することができる。SS/CKD混合物からの骨材を本実施例で用いたものより低い温度で焼成する場合には、相対的に低い密度および相対的に高い吸水率を有する骨材を製造することができる。材料中における融剤の存在は、粒子の充填および緻密化をさらに高めることで、融剤を含まない材料からの焼成処理骨材に勝る特性を有する骨材を与えると考えられている。
【0132】
表Oには、3つの特定温度でのSS/CKDの90%/10%混合物からの骨材のある種の物性および機械特性をまとめてある。
【表15】
【0133】
上記のように、焼成処理温度を制御することで、SSおよびCKDの所定の組み合わせについて、所定の密度および他の特徴を有する骨材の生産が可能となる。
【0134】
実施例5
本実施例では、下水汚泥(サンプルZ)および石灰石を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いる石灰石の平均化学組成を、下記の表Pに示してある。
【0135】
SS(サンプルZ)および石灰石粉末について、上記で説明し、図6に示したような加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末を得た。乾燥汚泥粉末に石灰石を加えてから、混合物をペレット化および焼成処理した。
【表16】
【0136】
100%/0%、95/5%および90%/10%および80%/20%(SS/石灰石)の特定の割合で、石灰石をSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能なものとするまで、バッチミキサー中にて粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で32%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ドラム末端で回収したペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。ペレットを石灰石でコーティングし、次に約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られた緑色ペレットを、ロータリーキルン中、940℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0137】
結果
下記の表Q〜Rには、上記の方法によって形成した骨材の物性および機械特性をまとめてある。骨材の相対乾燥密度、吸水率およびASMIを、前記の実施例に記載の方法に従って求めた。
【0138】
下記の表Qには、異なる温度で焼結した異なる割合のSSおよび石灰石を含む焼結骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図12のグラフにプロットしてある。表Rには、特定の骨材の物性結果および機械特性をまとめてある。混合物中の石灰石濃度が上昇すると、骨材が焼成処理される温度範囲が若干狭くなった。
【表17】
【0139】
混合物中の融剤の量が相対的に低いことで得られるより高い密度のために、高濃度の下水汚泥との混合物からの骨材の吸水率は相対的に低い。ASMIは予想通り、密度と同様の傾向を示す。
【0140】
本実施例で用いられるサンプルZより低い酸化カルシウム濃度を有するSSサンプルへの石灰石の添加は、本発明での場合より大きい効果を有することが予想される。焼結骨材の特性に対する温度および石灰石添加の効果に基づくと、通常重量または軽量骨材としての使用に関しては、密度が約1.6g/cm3〜約2.4g/cm3である骨材を与える、温度範囲940℃〜1100℃で焼成処理された90%/10%SS/石灰石混合物が好ましい。しかしながら、本実施例で使用されるSSサンプルの場合、最初のSSがすでに組成中に融剤である酸化カルシウムを若干量有することから、95%/5%SS/石灰石混合物であっても、骨材製造において好ましいものと考えられる。
【0141】
表Rには、3つの特定温度でのSS/石灰石の90%/10%混合物からの骨材の一部の物性および機械特性をまとめてある。
【表18】
【0142】
実施例6
本実施例では、(サンプルZ)およびMSW焼却炉フライアッシュ(「IFA」)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で使用される焼却炉フライアッシュの平均化学組成を下記の表Sに示してある。
【表19】
【0143】
SS(サンプルZ)およびIFAについて、上記で記載され、図6に示した加工を行った。SSを110℃で24時間乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末を得た。乾燥SS粉末にIFAを加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0144】
100%/0%、95/5%、および90%/10%および80%/20%(SS/IFA)という特定の割合で、IFAをSS粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を行えるようになるまで、バッチミキサーにて、粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で37%以下)。混合物を回転ドラムに送り、ペレットをドラム末端で回収し、4mmおよび9.5mm篩で篩い分けした。ペレットをフライアッシュでコーティングし、約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、ロータリーキルン中にて980℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0145】
結果
下記の表T〜Uに、上記の方法によって形成された骨材の物性および機械特性をまとめてある。そのデータを、図13のグラフ上にプロットしている。混合物中のIFA濃度が上昇することで、SSの化学組成および鉱物学が変わったために、サンプルの初期軟化、最大緻密化および溶融の間の温度間隔が若干狭くなった。
【表20】
【0146】
骨材の特性に対する温度およびIFA添加の効果に基づくと、密度が1.5g/cm3〜2.4g/cm3である骨材を製造する上では、80%/20%SS/IFA混合物が好ましい。しかしながら、同じ焼成処理温度範囲での90%/10%SS/IFA混合物も好ましい。
【0147】
表Uは、3つの特定温度でのSS/IFAの80%/20%混合物からの骨材のある種の物性をまとめたものである。
【表21】
【0148】
実施例7
本実施例では、SS(サンプルZ)および粉砕高炉スラグ(「GBFS」)を含む合成骨材を製造した。これらの実験で用いたGBSの平均化学組成を、下記の表Vに示してある。
【表22】
【0149】
SS(サンプルZ)およびGBSについて、上記で記載し、図6に示した加工を行った。SSを110℃で乾燥させてから、固体ケーキを粉砕して微細粉末とした。GBFSを乾燥汚泥粉末に加えてから、混合物をペレット化し、焼成処理した。
【0150】
100%/0%、95/5%および90%/10%および80%/20%(SS/GBS)という特定の割合で、GBSを汚泥粉末に加えた。混合物の稠度がペレット化を可能なものとするまで、バッチミキサー中にて粉末を水と混合した(得られた混合物の総乾燥重量基準で35%以下)。混合物をペレット化し、そのペレットを4mmおよび9.5mmの篩で篩い分けした。ペレットをGBSでコーティングし、次に約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、ロータリーキルン中、970℃〜1110℃の温度で約10〜約12分間焼成処理した。
【0151】
結果
下記の表W〜Xには、上記の方法によって形成した骨材の物性および機械特性をまとめてある。下記の表Wには、異なる温度で焼成した異なる割合のSSおよびGBSを含む骨材についての試験結果をまとめてある。そのデータは、図14のグラフにプロットしてある。下水汚泥混合物中のGBS濃度上昇に関して、CKD、IFAおよび石灰石と同様の効果が認められた。
【表23】
【0152】
製造される骨材の特性に対する温度およびGBS添加の効果に基づくと、980℃〜1110℃で焼結されて密度が約1.5g/cm3〜約2.4g/cm3の骨材を与える80%/20%SS/GBS混合物が好ましい。しかしながら、本実施例で用いられるSSサンプルZの場合、最初のSSがすでに組成中に酸化カルシウムなどの融剤成分を少量有していることから、90%/10%SS/GBS混合物であっても、骨材製造において有効となり得る。
【0153】
表Xには、80%/20%SS/GBSペレットからの骨材の一部の物性をまとめてある。
【表24】
【0154】
実施例8
本実施例では、低カルシウムケイ素アルミニウム材料である粉砕燃料灰およびロンドン粘土と、高カルシウムケイ素アルミニウム材料である粉砕高炉スラグ(「GBS」)および石灰廃棄物との混合物から、合成骨材を製造した。GBSを粉砕した。廃棄物ガラスも、低カルシウムケイ素アルミニウム材料または高カルシウムケイ素アルミニウム材料のいずれかとして混合物中で用いた。廃棄物ガラスならびに粘土であるベントナイトおよびカオリンの平均組成は、それぞれ上記の実施例1および3に示したものである。PFAおよびGBSの重要な構成成分を、下記の表Z1に示してある。
【表25】
【0155】
これらの材料は微細な粒径分布を有していたことから、粉砕することなく互いに直接混合した。粘土低カルシウムケイ素アルミニウム材料を含まない混合物では、粘土は、混合物の総重量の乾燥重基準で10%〜30%の範囲の割合で可塑性結合材として加えた。表Z2には、骨材製造で用いられる材料およびそれらの割合を示してあり、低カルシウムケイ素アルミニウム材料は材料1とし、高カルシウムケイ素アルミニウム材料は材料2としている。
【表26】
【0156】
これらの材料を上記の割合で混合し、上記実施例に記載の装置を用いて水を加えてペレット化した。次に、ペレットを約110℃の乾燥機で終夜乾燥させた。得られたペレットを、プロパンを燃料として用いる三つ葉クローバーのような形状を有する三葉形ロータリーキルン中、約1000℃〜約1250℃の温度で約15〜約20分間にわたって焼成処理した。骨材を風冷した。
【0157】
その骨材は、キルンから取り出した時点で完全性を保持していた。それは、ほぼ球形もしくは若干角張った形状であり、混合物によっては色が異なった。例えば、多量のGBSを含む骨材は白色様に見えたが、多量のPFAを含む骨材は暗褐色であるように見えた。それらの骨材は、硬く平滑な表面を有しており、軽量であった。それらは、ランダムに破砕した時に、比較的硬い構造を有していた。
【0158】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の実施の例示である。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、これら実施例に対して変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】下水汚泥(サンプルX)ならびに本発明の一実施形態による下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図2】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥およびセメントキルンダストの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図3】本発明の方法によって製造される凝集体の一例の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施形態による焼結骨材の一例の模式的断面図である。
【図5】本発明の実施形態によるガラス化骨材の一例の模式的断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による骨材製造方法の一例である。
【図7】本発明の実施形態による焼結骨材の一例の写真である。
【図8】本発明の別の実施形態による別の骨材製造方法の一例である。
【図9】IBAおよび本発明の一実施形態による下水汚泥および廃棄物ガラスの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図10】下水汚泥(サンプルY)および本発明の一実施形態による下水汚泥および花崗岩切断残留物の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図11】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥およびベントナイトの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図12】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および石灰石の混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図13】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および焼却炉フライアッシュの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【図14】下水汚泥および本発明の一実施形態による下水汚泥および粉砕粒状高炉スラグの混合物についての焼成処理温度(℃)に対する密度(g/cm3)のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理施設からの下水汚泥を非石炭燃焼灰ケイ素アルミニウム廃棄物と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項2】
前記廃棄物が、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、高炉スラグ、キルンダストまたは採鉱廃棄物のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記都市固形廃棄物焼却炉残留物が、大気汚染防止残留物または焼却炉ボトムアッシュのうちの1以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記大気汚染防止残留物が焼却炉フライアッシュおよび焼却炉フィルターダストのうちの1以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記キルンダストがセメントキルンダストを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記採鉱廃棄物が花崗岩切断残留物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記廃棄物が前記下水汚泥より多くのカルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記廃棄物が焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、廃棄物ガラスまたは高炉スラグのうちの1以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記廃棄物が乾燥重で9%を超えるカルシウムを含み、
前記下水汚泥が乾燥重で3%未満のカルシウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記骨材が乾燥重で約10%未満のカルシウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物の乾燥重で約99%〜約60%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約1%〜約40%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物の乾燥重で約80%〜約90%の下水汚泥を約10%〜約20%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記廃棄物が前記下水汚泥より少ないカルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記廃棄物が花崗岩切断残留物または廃棄物ガラスのうちの1以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記廃棄物が約10%未満のカルシウムを含み;
前記下水汚泥が約10%を超えるカルシウムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記骨材が約10%未満のカルシウムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記混合物の乾燥重で約5%〜約95%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約95%〜約5%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物の乾燥重で約30%〜約70%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約70%〜約30%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物の乾燥重で約30%〜約50%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約70%〜約50%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
混合に先立って前記廃棄物を粉砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
凝集に先立って下水汚泥および廃棄物の前記混合物を粉砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物をペレット化によって凝集させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階;
湿式粉砕後に前記混合物から少なくとも一部の水を除去する段階;および
ペレット化時に前記除去した水の少なくとも一部を用いる段階
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階;
湿式粉砕後に前記混合物から少なくとも一部の水を除去する段階;
前記焼成処理凝集体を急冷する段階;および
急冷時に前記除去した水の少なくとも一部を用いる段階
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物を凝集させて、直径が約3mm〜約40mmである凝集体とする段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記凝集体を無機粉末でコーティングする段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
凝集の前に前記下水汚泥および前記廃棄物を可塑性結合材と混合する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記可塑性結合材が粘土を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粘土が前記混合物の乾燥重で約5%〜約20%含まれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記凝集体をロータリーキルンで焼成処理する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記骨材が軽量骨材である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記骨材が通常重量骨材である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記凝集体を焼成処理して該凝集体をガラス化する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも部分的に前記下水汚泥の前記廃棄物に対する割合ならびに焼成処理温度に基づいて、前記骨材の特定の特性を制御する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて前記骨材の密度を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて吸水率を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて強度を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む混合物を製造する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階;ならびに
前記凝集体を焼結する段階
を含む、焼結軽量骨材の製造方法。
【請求項40】
前記廃棄物が、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストまたは花崗岩切断残留物のうちの1以上を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物をペレット化によって凝集させる段階;ならびに
前記凝集体をロータリーキルンで焼結させる段階
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
所定の割合の下水汚泥を前記廃棄物に混合する段階;および
少なくとも部分的に所定の割合に基づいた温度で前記凝集体を焼結して、所定の密度を有する軽量骨材を形成する段階
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
廃水処理施設からの下水汚泥;
非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物
を含む焼結軽量骨材であって、
前記下水汚泥および前記廃棄物の混合物をある温度で焼結することで、前記焼結軽量骨材が形成されるものである、焼結軽量骨材。
【請求項44】
前記廃棄物が焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストまたは花崗岩切断残留物のうちの1以上を含む、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項45】
乾燥重で約2%のカルシウム〜約10%のカルシウムを含む、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項46】
乾燥重で約3%〜約6%のカルシウムを含む、請求項45に記載の軽量焼結骨材。
【請求項47】
化学的に不活性である、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項48】
約2mm〜約30mmの直径を有する、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項49】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物
を含む、焼成処理骨材。
【請求項50】
直径が約2mm〜約30mmである、請求項49に記載の骨材。
【請求項51】
焼結されている、請求項49に記載の骨材。
【請求項52】
ガラス化されている、請求項49に記載の骨材。
【請求項53】
通常重量骨材である、請求項49に記載の骨材。
【請求項54】
軽量骨材である、請求項49に記載の骨材。
【請求項55】
第2の材料が、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、セメントキルンダスト、花崗岩切断残留物または高炉スラグのうちの1以上を含む、請求項49に記載の骨材。
【請求項56】
下水汚泥からなる焼成処理骨材。
【請求項57】
前記下水汚泥が重量基準で40%未満の有機材料を含む、請求項56に記載の骨材。
【請求項58】
廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ(「FBA」)を混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項59】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ
を含む、焼成処理骨材。
【請求項60】
廃水処理施設からの下水汚泥の含水量を低下させて、凝集が可能なレベルとする段階;
前記下水汚泥を凝集させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項61】
前記下水汚泥を粉砕する段階;および
前記粉砕下水汚泥を篩い分けする段階
をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
粘土または頁岩のうちの少なくとも一つを粉砕する段階;
廃水処理施設からの下水汚泥中の少なくとも一部の水を除去する段階;
前記下水汚泥を前記粘土または頁岩と混合する段階;
前記混合物をペレット化する段階;および
ロータリーキルン中で前記ペレットを焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項63】
下水汚泥および粘土または頁岩の混合物を湿式粉砕する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ペレットを焼結によって焼成処理する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記ペレットをガラス化によって焼成処理する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
廃水処理施設からの下水汚泥を、以下の天然材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏のうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項67】
前記1以上の天然材料と前記下水汚泥とを混合する前に、前記天然材料を加工する段階をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏のうちの少なくとも1以上
を含む、焼成処理骨材。
【請求項69】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰、石炭、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスまたは炉ボトムアッシュのうちの1以上を、以下の第2の材料:焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、焼却炉フィルターダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏、ドロマイトまたは廃棄物ガラスのうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項70】
前記第1の材料が乾燥重で約3%未満のカルシウムを含み;
前記第2の材料が約9%を超えるカルシウムを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
廃水処理施設からの下水汚泥および都市固形廃棄物焼却炉からの焼却炉残留物を混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項72】
前記焼却炉残留物が、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュまたは焼却炉フィルターダストのうちの1以上を含む請求項72に記載の方法。
【請求項73】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰または粘土のうちの1以上を、以下の第2の材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストまたはセメントキルンダストのうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理することで骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項74】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰または粘土のうちの1以上;および
以下の第2の材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストまたはセメントキルンダストのうちの1以上
を含む、焼成処理骨材。
【請求項1】
廃水処理施設からの下水汚泥を非石炭燃焼灰ケイ素アルミニウム廃棄物と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項2】
前記廃棄物が、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、高炉スラグ、キルンダストまたは採鉱廃棄物のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記都市固形廃棄物焼却炉残留物が、大気汚染防止残留物または焼却炉ボトムアッシュのうちの1以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記大気汚染防止残留物が焼却炉フライアッシュおよび焼却炉フィルターダストのうちの1以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記キルンダストがセメントキルンダストを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記採鉱廃棄物が花崗岩切断残留物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記廃棄物が前記下水汚泥より多くのカルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記廃棄物が焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、廃棄物ガラスまたは高炉スラグのうちの1以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記廃棄物が乾燥重で9%を超えるカルシウムを含み、
前記下水汚泥が乾燥重で3%未満のカルシウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記骨材が乾燥重で約10%未満のカルシウムを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物の乾燥重で約99%〜約60%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約1%〜約40%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物の乾燥重で約80%〜約90%の下水汚泥を約10%〜約20%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記廃棄物が前記下水汚泥より少ないカルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記廃棄物が花崗岩切断残留物または廃棄物ガラスのうちの1以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記廃棄物が約10%未満のカルシウムを含み;
前記下水汚泥が約10%を超えるカルシウムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記骨材が約10%未満のカルシウムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記混合物の乾燥重で約5%〜約95%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約95%〜約5%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物の乾燥重で約30%〜約70%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約70%〜約30%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物の乾燥重で約30%〜約50%の下水汚泥を前記混合物の乾燥重で約70%〜約50%の前記廃棄物と混合する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
混合に先立って前記廃棄物を粉砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
凝集に先立って下水汚泥および廃棄物の前記混合物を粉砕する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物をペレット化によって凝集させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階;
湿式粉砕後に前記混合物から少なくとも一部の水を除去する段階;および
ペレット化時に前記除去した水の少なくとも一部を用いる段階
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記廃棄物を湿式粉砕する段階;
湿式粉砕後に前記混合物から少なくとも一部の水を除去する段階;
前記焼成処理凝集体を急冷する段階;および
急冷時に前記除去した水の少なくとも一部を用いる段階
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記混合物を凝集させて、直径が約3mm〜約40mmである凝集体とする段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記凝集体を無機粉末でコーティングする段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
凝集の前に前記下水汚泥および前記廃棄物を可塑性結合材と混合する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記可塑性結合材が粘土を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粘土が前記混合物の乾燥重で約5%〜約20%含まれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記凝集体をロータリーキルンで焼成処理する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記骨材が軽量骨材である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記骨材が通常重量骨材である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記凝集体を焼成処理して該凝集体をガラス化する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも部分的に前記下水汚泥の前記廃棄物に対する割合ならびに焼成処理温度に基づいて、前記骨材の特定の特性を制御する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて前記骨材の密度を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて吸水率を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも部分的に前記割合および前記温度に基づいて強度を制御する段階を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
廃水処理施設からの下水汚泥および非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物を含む混合物を製造する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成する段階;ならびに
前記凝集体を焼結する段階
を含む、焼結軽量骨材の製造方法。
【請求項40】
前記廃棄物が、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストまたは花崗岩切断残留物のうちの1以上を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物をペレット化によって凝集させる段階;ならびに
前記凝集体をロータリーキルンで焼結させる段階
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
所定の割合の下水汚泥を前記廃棄物に混合する段階;および
少なくとも部分的に所定の割合に基づいた温度で前記凝集体を焼結して、所定の密度を有する軽量骨材を形成する段階
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
廃水処理施設からの下水汚泥;
非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物
を含む焼結軽量骨材であって、
前記下水汚泥および前記廃棄物の混合物をある温度で焼結することで、前記焼結軽量骨材が形成されるものである、焼結軽量骨材。
【請求項44】
前記廃棄物が焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダスト、焼却炉ボトムアッシュ、廃棄物ガラス、高炉スラグ、セメントキルンダストまたは花崗岩切断残留物のうちの1以上を含む、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項45】
乾燥重で約2%のカルシウム〜約10%のカルシウムを含む、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項46】
乾燥重で約3%〜約6%のカルシウムを含む、請求項45に記載の軽量焼結骨材。
【請求項47】
化学的に不活性である、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項48】
約2mm〜約30mmの直径を有する、請求項43に記載の軽量焼結骨材。
【請求項49】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
非石炭燃焼灰、ケイ素アルミニウム廃棄物
を含む、焼成処理骨材。
【請求項50】
直径が約2mm〜約30mmである、請求項49に記載の骨材。
【請求項51】
焼結されている、請求項49に記載の骨材。
【請求項52】
ガラス化されている、請求項49に記載の骨材。
【請求項53】
通常重量骨材である、請求項49に記載の骨材。
【請求項54】
軽量骨材である、請求項49に記載の骨材。
【請求項55】
第2の材料が、都市固形廃棄物焼却炉残留物、廃棄物ガラス、セメントキルンダスト、花崗岩切断残留物または高炉スラグのうちの1以上を含む、請求項49に記載の骨材。
【請求項56】
下水汚泥からなる焼成処理骨材。
【請求項57】
前記下水汚泥が重量基準で40%未満の有機材料を含む、請求項56に記載の骨材。
【請求項58】
廃水処理施設からの下水汚泥および石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ(「FBA」)を混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項59】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
石炭燃焼施設からの炉ボトムアッシュ
を含む、焼成処理骨材。
【請求項60】
廃水処理施設からの下水汚泥の含水量を低下させて、凝集が可能なレベルとする段階;
前記下水汚泥を凝集させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項61】
前記下水汚泥を粉砕する段階;および
前記粉砕下水汚泥を篩い分けする段階
をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
粘土または頁岩のうちの少なくとも一つを粉砕する段階;
廃水処理施設からの下水汚泥中の少なくとも一部の水を除去する段階;
前記下水汚泥を前記粘土または頁岩と混合する段階;
前記混合物をペレット化する段階;および
ロータリーキルン中で前記ペレットを焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項63】
下水汚泥および粘土または頁岩の混合物を湿式粉砕する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ペレットを焼結によって焼成処理する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記ペレットをガラス化によって焼成処理する段階を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
廃水処理施設からの下水汚泥を、以下の天然材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏のうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項67】
前記1以上の天然材料と前記下水汚泥とを混合する前に、前記天然材料を加工する段階をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
廃水処理施設からの下水汚泥;および
粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイトまたは石膏のうちの少なくとも1以上
を含む、焼成処理骨材。
【請求項69】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰、石炭、粘土、頁岩、粘板岩、花崗岩切断残留物、廃棄物ガラスまたは炉ボトムアッシュのうちの1以上を、以下の第2の材料:焼却炉フライアッシュ、セメントキルンダスト、焼却炉フィルターダスト、高炉スラグ、石灰石、石膏、ドロマイトまたは廃棄物ガラスのうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項70】
前記第1の材料が乾燥重で約3%未満のカルシウムを含み;
前記第2の材料が約9%を超えるカルシウムを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
廃水処理施設からの下水汚泥および都市固形廃棄物焼却炉からの焼却炉残留物を混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;ならびに
前記凝集体を焼成処理して骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項72】
前記焼却炉残留物が、焼却炉ボトムアッシュ、焼却炉フライアッシュまたは焼却炉フィルターダストのうちの1以上を含む請求項72に記載の方法。
【請求項73】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰または粘土のうちの1以上を、以下の第2の材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストまたはセメントキルンダストのうちの1以上と混合する段階;
前記混合物を凝集させて凝集体を形成させる段階;および
前記凝集体を焼成処理することで骨材を形成させる段階
を含む、骨材の製造方法。
【請求項74】
以下の第1の材料:石炭燃焼からの粉砕燃料灰または粘土のうちの1以上;および
以下の第2の材料:粘板岩、石灰、石灰石、ドロマイト、石膏、高炉スラグ、焼却炉フライアッシュ、焼却炉フィルターダストまたはセメントキルンダストのうちの1以上
を含む、焼成処理骨材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−538347(P2008−538347A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550763(P2007−550763)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000272
【国際公開番号】WO2006/074946
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(308029976)アルケミー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000272
【国際公開番号】WO2006/074946
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(308029976)アルケミー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]