説明

不揮発性記憶装置、アクセス装置、及び不揮発性記憶システム

【課題】アクセス装置から高温になった不揮発性記憶装置を取り出したときの支障を回避することと、不揮発性記憶装置への高速なデータの転送とを両立する。
【解決手段】不揮発性記憶装置100Aは、データを記憶する不揮発性メモリ120と、不揮発性メモリ120にデータを読み書きするメモリコントローラ110Aとを備える。メモリコントローラ110Aは、アクセス装置200A又は200Bが不揮発性記憶装置100Aの排出を抑制する排出制御機構203を有するかどうかの情報である排出制御情報を取得する情報取得部101と、排出制御情報に応じて、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを制御するアクセスレート制御部106Aと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリを備えた半導体メモリカード等の不揮発性記憶装置と、不揮発性記憶装置にアクセスするアクセス装置、及びこれらを含む不揮発性記憶システムに関する。
【背景技術】
【0002】
書き換え可能な不揮発性メモリを備える不揮発性記憶装置は、半導体メモリカードを中心にその需要が広まっている。半導体メモリカードは、光ディスクやテープメディア等と比較して高価格なものではある。しかし、半導体メモリカードは、小型・軽量・耐震性・取り扱いの簡便さ等のメリットが大きいので、デジタルスチルカメラや携帯電話等、ポータブル機器の記録媒体としてその需要が広まっており、最近では民生用動画記録機器や放送局向けのプロ用動画記録機器の記録媒体としても利用されるようになってきた。加えて、ポータブル機器だけではなくデジタルテレビやDVDレコーダ等の据え置き機器にも半導体メモリカード用のスロットが標準搭載されている。これによってデジタルスチルカメラで撮影した静止画をデジタルテレビで閲覧したり、民生用動画記録機器で撮影した動画をDVDレコーダへダビングしたりできるようになっている。
【0003】
この半導体メモリカードは、不揮発性の主記憶メモリとしてフラッシュメモリを備え、それを制御するメモリコントローラを有している。メモリコントローラは、デジタルスチルカメラ本体等のアクセス装置からのデータの読み書き指示に応じて、フラッシュメモリに対するデータの読み書き制御を行うものである。
近年、静止画や動画等のAVコンテンツの高品質化、すなわち1コンテンツあたりのデータサイズの大容量化に対応するために、半導体メモリカードの大容量化のニーズが高まっている。それに伴い、半導体メモリカードに記録したAVコンテンツを、ハードディスクレコーダやパーソナルコンピュータに内蔵されたハードディスクやDVDレコーダ等の記録媒体にダビングする際、半導体メモリカードからより高速にデータを読み出せる性能が求められている。また、ハードディスク等の記録媒体に記憶されたAVコンテンツを半導体メモリカードにダビングする際、半導体メモリカードに対してより高速にデータを書き込める性能が求められている。つまり、記録したデータを記録媒体間で高速にダビングすることによって、ユーザの待ち時間を短くすることが今後重要となる。
【0004】
ところが一般的に、高速でデータを読み書きすると、主にフラッシュメモリの発熱によって半導体メモリカードの表面温度が非常に高くなる。そこで、フラッシュメモリの発熱を抑制し、且つ高速でデータを読み書きできる不揮発性記憶装置、アクセス装置、及び不揮発性記憶システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第08/093606号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術には次のような問題点がある。
従来技術では、不揮発性記憶装置を取り扱う上で支障がある温度の下限を示す極限温度(以降はTriskと記述)を定義し、不揮発性記憶装置がデータの読み書きを行うときにTriskよりも温度が高くならないように制御する。この方法は、不揮発性記憶装置が常に排出され得る状況にある場合に有効である。しかし、アクセス装置が不揮発性記憶装置の排出を制御することができる場合には、動作温度をTrisk以下に抑えることでデータの読み書き速度の低下を招くので好ましくない。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、不揮発性記憶装置の排出の管理と高速なデータ転送とを両立させる不揮発性記憶装置、アクセス装置、及び不揮発性記憶システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、アクセス装置に装着可能であり、アクセス装置からの指示に応じて、データの読み出し及び書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、データを記憶する不揮発性メモリと、不揮発性メモリにデータを読み書きするメモリコントローラと、を備える。
メモリコントローラは、情報取得部と、アクセスレート制御部と、を有する。情報取得部は、アクセス装置が不揮発性記憶装置の排出を抑制する排出制御に関する情報である排出制御情報を取得する。アクセスレート制御部は、排出制御情報に応じて、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを制御する。
ここでは、アクセス装置が不揮発性記憶装置の排出制御情報に応じて、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを制御することにより、不揮発性記憶装置の排出による支障を回避しつつ、高速なデータ転送を可能にする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明であって、アクセスレート制御部は、温度取得部と、温度適応型制御部と、閾値温度設定部と、を含む。温度取得部は、データの読み出し又は書き込み時の不揮発性記憶装置の温度を取得する。温度適応型制御部は、温度が第1の閾値温度よりも高くなったときに、データの読み出し又は書き込みを停止し、温度が、第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度を下回ったときにデータの読み出し又は書き込みを再開する。閾値温度設定部は、排出制御情報に応じて、第1の閾値温度及び第2の閾値温度の少なくとも一方の値を異なる値に設定する。
ここで、温度取得部は、例えば、温度センサにより温度を計測すること、アクセスレートや周囲温度等に応じて温度を算出すること、或いはアクセス装置から温度情報を取得すること等を含む。
【0009】
ここでは、アクセス装置が不揮発性記憶装置の排出制御情報に応じて、閾値温度を変更し、その閾値温度に応じてデータの読み出し又は書き込みを停止したり或いは再開したりする制御を行う。これにより、不揮発性記憶装置の排出の管理をしつつ、高速なデータ転送を可能にする。
第3の発明は、第2の発明であって、閾値温度設定部は、アクセス装置が排出制御機構を有しない場合の、不揮発性記憶装置の上限温度の限界値である第1の閾値温度を、アクセス装置が排出制御機構を有する場合の第1の閾値温度よりも低く設定する。
ここで、不揮発性記憶装置の上限温度の限界値とは、例えば、高温になった不揮発性記憶装置が排出されても支障がないことを保障する温度の上限値である。
ここでは、不揮発性記憶装置が排出制御機構を有しない場合は、閾値温度を、危険回避を保障する温度とし、排出制御機構を有する場合は、前記温度より高く設定する。これにより、排出制御機構を有する場合、すなわち不揮発性記憶装置の排出が抑制されている場合は、高速データ転送を実現することができる。
【0010】
第4の発明は、第1の発明であって、アクセスレート制御部は、アクセス装置が排出制御機構を有しない場合は、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを第1のアクセスレートに設定し、アクセス装置が排出制御機構を有する場合は、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを第1のアクセスレートよりも高い第2のアクセスレートに設定する。
ここでは、不揮発性記憶装置が排出制御機構を有する場合において、排出制御機構を有しない場合よりもアクセスレートを高く設定することにより、不揮発性記憶装置を排出したときの支障を回避しつつ、高速なデータ転送を可能にする。
第5の発明は、第1の発明の不揮発性記憶装置を装着可能であり、同不揮発性記憶装置に対しデータの書き込み及び読み出しを指示するアクセス装置である。アクセス装置は、データの読み出し又は書き込みを開始する前に、アクセス装置が不揮発性記憶装置の排出を抑制する排出制御に関する情報である排出制御情報を不揮発性記憶装置に通知する。
【0011】
ここでは、アクセス装置が排出制御に関する情報を不揮発性記憶装置に通知することにより、不揮発性記憶装置を排出したときの支障を回避しつつ、高速なデータ転送を可能にする。
第6の発明は、第5の発明であって、アクセス装置は排出制御部を備える。更にアクセス装置は、装着された不揮発性記憶装置の排出の抑制を開始し、データの読み出し又は書き込みを終了した後に、不揮発性記憶装置の温度に関する情報を取得し、温度が所定温度を下回っているかどうかを判断し、同所定温度を下回っている場合は不揮発性記憶装置の排出の抑制を解除する。
ここでは、アクセス装置が排出制御部を有する場合、不揮発性記憶装置の排出による支障を回避できる確実なタイミングで、不揮発性記憶装置の排出を行うことができる。
【0012】
第7の発明は、第5の発明であって、アクセス装置は不揮発性記憶装置を冷却するための冷却部を更に備える。
ここでは、アクセス装置が冷却部を備えることによって、不揮発性記憶装置の排出の待ち時間を短縮することができる。
第8の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つの不揮発性記憶装置と、第5〜第7の発明のいずれか1つのアクセス装置と、を備える不揮発性記憶システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不揮発性記憶装置の温度管理と、高速なデータ転送と、が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態における不揮発性記憶システムの全体構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態に係るメモリコントローラの初期化処理及び読み書き動作を示すフローチャート
【図3】上記実施形態に係るアクセス装置の読み書き動作及び排出動作を示すフローチャート
【図4】上記実施形態においてアクセス装置に接続された場合の不揮発性記憶装置の温度変化を表すグラフ
【図5】上記実施形態においてアクセス装置に接続された場合の不揮発性記憶装置の温度変化を表すグラフ
【図6】本発明の第2実施形態における不揮発性記憶システムの全体構成を示すブロック図
【図7】上記実施形態に係るメモリコントローラの読み書き動作を示すフローチャート
【図8】上記実施形態においてアクセス装置に接続された場合の不揮発性記憶装置の温度変化を表すグラフ
【図9】本発明の第3実施形態における不揮発性記憶システムの全体構成を示すブロック図
【図10】本発明の第4実施形態における不揮発性記憶システムの全体構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
<1.1.不揮発性記憶システム1の構成>
本発明の第1実施形態における不揮発性記憶システム1の構成について、図1を用いて説明する。
本実施形態の不揮発性記憶システム1は、不揮発性記憶装置100Aと、不揮発性記憶装置100Aが装着されるアクセス装置200A又は200Bとを含む。なお、不揮発性記憶装置100Aは、後述するロック機構を備えるアクセス装置200Aとロック機構を備えないアクセス装置200Bのいずれにも装着可能に構成されている。
<1.1.1.アクセス装置200A又は200Bの構成>
アクセス装置200A又は200Bは、例えば、デジタルスチルカメラや携帯電話等のポータブル機器、ビデオカメラ等の動画記録機器、デジタルテレビやDVDレコーダ等の据え置き機器等、半導体メモリカードを記録媒体として装着可能な機器や装置である。
【0016】
アクセス装置200A又は200Bは、不揮発性記憶システム1に関する情報を表示する表示部201と、制御部202と、排出抑制部(排出制御機構・排出制御部)203とを含む。制御部202は、不揮発性記憶装置100Aにアクセスしてデータを書き込んだり読み出したりすると共に、不揮発性記憶装置100Aから受信した情報のうち必要な情報を表示部201に表示するよう制御するものである。
排出抑制部203は、装着された不揮発性記憶装置100Aがデータの書き込みや読み出しによって高温となり支障があるとき等に不揮発性記憶装置100Aの排出を抑制するロック機構であり、制御部202によって制御される。
アクセス装置200Bは、表示部201と、制御部202とを含む。アクセス装置200Bは、排出抑制部203、すなわちロック機構を含まない
<1.1.2.不揮発性記憶装置100Aの構成>
次に、不揮発性記憶装置100Aについて説明する。
【0017】
不揮発性記憶装置100Aは、上述したロック機構を備えるアクセス装置200Aとロック機構を備えないアクセス装置200Bのいずれにも装着可能なように構成されている。
図1に示すように不揮発性記憶装置100Aは、メモリコントローラ110Aと、フラッシュメモリ群である不揮発性メモリ120とを含む。
メモリコントローラ110Aは、アクセス装置200A又は200Bとの通信を行うホストインターフェース(ホストIF)(情報取得部)101と、バッファ102と、読み書き制御部103と、CPU104と、アドレス管理部105と、アクセスレート制御部106Aとを含む。
バッファ102は、RAM等で構成され、アクセス装置200A又は200Bから転送されたデータ、あるいは不揮発性メモリ120から読み出されたデータを一時的に保持する。アクセス装置200A又は200Bとメモリコントローラ110A間のデータ転送と、メモリコントローラ110Aと不揮発性メモリ120間のデータ転送の単位の違いを吸収するのに利用される。
【0018】
読み書き制御部103は、アドレス管理部105が指定した物理アドレスに基づいてバッファ102に一時的に保持されたデータを不揮発性メモリ120に書き込む。更に、読み書き制御部103は、不揮発性メモリ120からデータを読み出し、該データを一時的にバッファ102に保持する。
CPU104は、内部にプログラム用ROMや作業用のRAM等を含み、メモリコントローラ110A全体を制御するものである。
アドレス管理部105は、アクセス装置200A又は200Bのアクセスに伴って転送された論理アドレスを不揮発性メモリ120の物理アドレスに変換し、不揮発性メモリ120の記録状態等を管理するブロックである。なお、アドレス管理方法については一般的な技術を用いて実現できるので、説明を省略する。
【0019】
アクセスレート制御部106Aは、温度検出部(温度取得部)111と、温度適応型制御部112と、閾値温度決定部(閾値温度設定部)113とを含む。
温度検出部111は、サーミスタ等の温度センサを含み、不揮発性記憶装置100Aの温度(以下、温度Tという)を検出する。
温度適応型制御部112は、温度センサで測定された温度Tと閾値温度決定部113によって決定される第1又は第2の閾値温度とを比較し、その結果を基にしてデータ読み書きの中断やアクセスレートの変更を行うものである。
閾値温度決定部113は、排出抑制部203を有するアクセス装置200Aなのか、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bなのかの情報である排出制御情報をアクセス装置200A又は200Bからの通知によって取得し、その結果を基にして前記第1又は第2の閾値温度を決定する。
【0020】
<1.2.不揮発性記憶システム1の動作>
<1.2.1.不揮発性記憶装置100Aの動作>
まず、不揮発性記憶装置100Aの動作を説明する。
図2は、メモリコントローラ110Aによる初期化処理及びデータの読み書き動作を示すフローチャートである。
≪ステップS101〜S111≫
不揮発性記憶装置100Aの電源投入時の初期化動作は、従来のメモリコントローラと基本的に同様である。アドレス管理部105が、不揮発性メモリ120に格納されたアドレス管理のためのシステム情報を読み書き制御部103を介して読み出し、同システム情報に基づきアドレス管理部105内に論理アドレス/物理アドレスの変換テーブル等を構成する。
【0021】
更に、本実施形態による不揮発性メモリシステム1の特徴として、不揮発性記憶装置100Aのメモリコントローラ110Aは、アクセス装置200A又は200Bから排出抑制部203の有無を示す情報である排出制御情報を受信する(S101)。
閾値温度決定部113は、ステップS101において取得した排出制御情報に基づき排出抑制部203の有無を判断する(S102)。
排出抑制部203が無い場合には、第1の閾値温度Tth1の値をTriskに、第2の閾値温度Tth2の値をTriskよりも低い安全温度Tsafeに決定する(S103)。
ここで、Triskは、不揮発性記憶装置100Aを排出しても支障が無いと考えられる不揮発性記憶装置の温度の上限限界値とする。また、Tsafeは、好ましい状態で不揮発性記憶装置100Aを排出する際の、不揮発性記憶装置100Aの温度の上限値である。なお、本実施の形態では、上記のように2つの閾値温度を設定し、それぞれの設定温度の意味を設けているが、閾値温度の設定目的は上記の内容に限定するものではない。閾値温度は、その目的に応じて設定するものであればいずれのものでもよい。
【0022】
一方、排出抑制部203がある場合には、第1の閾値温度Tth1の値をメモリコントローラ110Aが動作可能な温度の上限値であるTope1に決定する。また、第2の閾値温度Tth2の値をTope1よりも低い温度であるTope2に決定する(S104)。なお、一般的にTope1はTriskよりも高い温度となる。
以上の処理の後、メモリコントローラ110Aは、アクセス装置200A又は200Bから、不揮発性メモリ120に対する書き込みを指示する書き込みコマンド、もしくは読み出しを指示する読み出しコマンドを待つ(S105)。
メモリコントローラ110Aが書き込みコマンドを受信する場合、CPU104はコマンドの引数として転送される論理アドレスをアドレス管理部105に渡し、アドレス管理部105は該論理アドレスに基づき物理ブロックを決定する。更に、CPU104はアクセス装置200A又は200Bから転送されるデータをバッファ102に格納し、不揮発性メモリ120への書き込み単位分のデータの準備が完了したら、読み書き制御部103を介して不揮発性メモリ120の前記物理ブロックにデータを順次書き込む。(S106)
また、メモリコントローラ110Aが読み出しコマンドを受信する場合、CPU104は、コマンドの引数として転送される論理アドレスをアドレス管理部105に渡す。アドレス管理部105は、該論理アドレスに基づき物理ブロックを決定する。CPU104は読み書き制御部103を介して不揮発性メモリ120の該物理ブロックにアクセスし、前記論理アドレス以降のデータをバッファ102に読み出し、転送単位分のデータの準備が完了したら、データをアクセス装置200A又は200Bに順次転送する(S106)。
【0023】
ステップS106において、不揮発性記憶装置100Aからアクセス装置200A又は200Bに対しある一定のサイズ(例えば16kB)のデータ転送が完了したら(S107)、温度適応型制御部112は、温度検出部111が検出した不揮発性記憶装置100Aの温度Tと第1の閾値温度Tth1とを比較する(S108)。
なお、前記ある一定のサイズを不揮発性記憶装置100Aで使用するファイルシステムのクラスタサイズやブロックサイズ等の、従来のメモリコントローラで使用する単位とすると、設計が容易となる。
ステップS108で、温度Tが第1の閾値温度Tth1より大きいと判断された場合、温度適応型制御部112が、読み書き制御部103のデータ読み書きを中断させる。
このとき、書き込みコマンド処理中ならば、アクセス装置200A又は200Bに次のデータ転送を待つように指示するためのビジー情報を送信する(S109)。
【0024】
温度適応型制御部112は、ビジー情報を送信しながら、温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回ったかどうかを判断する(S110)。
ステップS110で、温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回ったと判断されなければステップS109に戻る。したがって、ステップS110で温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回るまでビジー情報が送信される。
一方、読み出しコマンド処理中ならば何もしないで待つ(S109)。
温度適応型制御部112は、温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回ったかどうかを判断する(S110)。ステップS110で、温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回ったと判断されなければS109に戻る。したがって、ステップS110で温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回るまで何もしないで待つ。
【0025】
ステップS110で温度Tが第2の閾値温度Tth2を下回ったと判断されれば、CPU104は、メモリコントローラ110Aがアクセス装置200A又は200Bからの転送終了コマンドを受信したかどうかを判断する(S111)。転送終了コマンドを受信した場合は、ステップS105に移り、次の読み書き指示を待つ。
一方、転送終了コマンドを受信しなかった場合は、ステップS106に移り、データの書き込み又は読み出しの処理を継続する。
<1.2.2.アクセス装置200A又は200Bの動作>
次にアクセス装置200A又は200Bの動作を説明する。図3は、アクセス装置200A又は200Bの読み書き動作及び排出動作を示すフローチャートである。
≪ステップS201〜S211≫
アクセス装置200A又は200Bに不揮発性記憶装置100Aが装着された後、アクセス装置200A又は200Bが排出抑制部203を備えているかどうかを判断する(S201)。
【0026】
排出抑制部203を備えているアクセス装置200Aである場合には不揮発性記憶装置100Aの排出の抑制を開始する(S202)。
不揮発性記憶装置100Aの初期化処理の手順は従来のアクセス装置と基本的に同様である。アクセス装置200A又は200Bは、不揮発性記憶装置100Aに対して初期化処理の開始を指示するコマンド等を送信する。更に、本実施形態による不揮発性記憶システム1の特徴として、アクセス装置200Aは、排出抑制部203に関する情報である排出制御情報を不揮発性記憶装置100Aに通知する(S203)。
その後、アクセス装置200A又は200Bの制御部202は、アクセス装置200A又は200Bが実現する機能に応じて不揮発性記憶装置100Aへのデータの読み書きの必要性を判断する(S204)。
【0027】
アクセス装置200A又は200Bは、ステップS204の判断結果に応じて不揮発性記憶装置100Aに読み出しコマンドを発行したり、書き込みコマンドを発行して書き込みデータを転送したりする(S205)。
アクセス装置200A又は200Bは、ユーザからの指示等によって、装着された不揮発性記憶装置100Aを排出する必要が発生したかどうかを判断する(S206)。
ステップS206において、排出する必要があると判断された場合、アクセス装置が排出抑制部203を備えているアクセス装置200Aである場合には(S207)、アクセス装置200Aは不揮発性記憶装置100Aに対して情報取得用のコマンドの発行等を行い不揮発性記憶装置100Aの温度Tに関する情報を取得する(S208)。
ステップS208において取得された不揮発性記憶装置100Aの温度Tに関する情報に基づき、不揮発性記憶装置100Aの排出の抑制を解除できるかを判定する(S209)。
【0028】
例えば、ステップS209において、アクセス装置200Aは、ステップS208で温度Tと閾値温度Triskとを取得する。ステップS208で取得された温度Tが閾値温度Triskを下回っているか否か、すなわち、不揮発性記憶装置100Aを排出しても支障が生じないかという情報を取得し、ステップS209で支障が生じないならば排出の抑制を解除できると判定する。
排出可能と判断した場合には、排出抑制部203による排出の抑制は解除され(S210)、不揮発性記憶装置100Aが排出される(S211)。
一方、排出抑制部203を備えていないアクセス装置200Bである場合には、不揮発性記憶装置100Aは排出要求後に即座に排出される(S211)。
<1.3.不揮発性記憶システム1の動作による温度変化>
次に、以上で述べた不揮発性記憶システム1の動作による不揮発性記憶装置100Aの温度上昇について説明する。
【0029】
図4及び図5は、読み書き処理に対応する不揮発性記憶装置100Aの温度Tの時間特性を表すグラフを示す。図4は、不揮発性記憶装置100Aが排出抑制部203を有するアクセス装置200Aに装着された場合のグラフであり、図5は、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bに装着された場合のグラフである。
いずれの場合も、読み書き処理の開始時刻t0における温度Tは不揮発性記憶システム1の周囲温度TEと等しい。その後、読み書き処理に伴う不揮発性メモリ120での電力消費による発熱が主要因となって、温度Tが上昇していく。温度Tが第1の閾値温度Tth1(Tope1)に達する時刻t1の時点で、図2におけるステップS108の判定により、データの読み書き処理が中断されるため、温度Tが低下し始める。温度Tが第2の閾値温度Tth2(Tope2)を下回った時刻t2で、データの読み書き処理が再開され、再び温度Tが上昇し始める。
【0030】
データの読み書き処理が中断される時間帯が少ないほど高速なデータ読み書きが可能となる。従って、排出抑制部203を有するアクセス装置200Aは、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bに比べ、第1の閾値温度Tth1に達するまでの時間が長い分だけ高速なデータ転送が可能となる。
また、一般的に温度Tと周囲温度TEとの温度差が大きいほど放熱効率が高まるため、第1の閾値温度Tth1がより高いアクセス装置200Aのほうが放熱に有利である。従って、第1の閾値温度Tth1と第2の閾値温度Tth2との温度差が同じである場合、データの読み書き処理が中断された後にデータの読み書き処理が再開されるまでの時間(t2−t1)は、アクセス装置200Aの方がアクセス装置200Bよりも短縮できる。従って、アクセス装置200Aのほうが高速なデータ転送が可能となる。
【0031】
図4及び図5において、温度Tが最も高温となる時刻txに不揮発性記憶装置100Aの排出要求があったとする。排出抑制部203を有するアクセス装置200Aは図4に示すように温度Tが閾値温度Triskを超えているため、図3のステップS208〜S209の処理により温度Tが閾値温度Triskを下回るまで不揮発性記憶装置100Aの排出を抑制する。これによって不揮発性記憶装置を排出することによる支障を回避することができる。
一方、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bは、図5に示すように温度Tが閾値温度Triskを超えないよう制御されているので、不揮発性記憶装置100Aの排出を抑制できなくても、排出時の支障を回避できる。
なお、アクセス装置200Aは、図4に示すように、温度Tが最も高温となる時刻txの後に、温度Tが閾値温度Triskになる時刻tyまでの排出を待たなければならない。この時間(ty−tx)はデータ転送速度を低下させる要因となる。しかし、時間(ty−tx)は、周囲温度TEとの差が大きく効率的な放熱が期待できるために比較的短い時間であり、かつ、この待ち時間は不揮発性記憶装置100Aを排出する際の1回しか発生しないため、特に転送するデータが多い場合には影響が少ない。
【0032】
更に、アクセス装置200Aが不揮発性記憶装置100Aを冷却するための冷却部を搭載すれば、排出時の待ち時間(ty−tx)を短縮することが可能である。
<1.4.第1実施形態の効果>
以上のように、本実施形態によれば、アクセス装置200A又は200Bが不揮発性記憶装置100Aの排出制御機構を有するか否かを判断し、その結果に応じて閾値温度を変更し、温度と閾値温度との比較結果に応じてデータの読み出し又は書き込みを停止したり再開したりする制御を行う。これにより、アクセス装置200A又は200Bから不揮発性記憶装置100Aを排出することによる支障を回避するとともに、アクセス装置200A又は200Bが排出抑制部203を有する場合は、排出抑制部203を有しない場合よりも高速なデータの読み書きを実現できる。
【0033】
従って、高温の不揮発性記憶装置を排出することでの支障と、高速なデータ読み書きとの両立を行う手段を提供することが可能となる。
また、本実施形態は、特に大容量化及び高速化が進むフラッシュメモリを用いた半導体記録媒体において特に有効である。
なお、本実施形態では、アクセス装置の排出制御機構の有無でデータ転送の制御を行う場合を示したが、アクセス装置の情報を排出制御機構の有無のみに限定するものではない。その他の情報として、アクセス装置の排出構造に関する情報、排出の制御方法、又は、不揮発性記憶装置に対する冷却能力の大きさ等の情報であってもよい。つまり、アクセス装置の排出に関する情報であればいずれの情報であってもよい。
(第2実施形態)
<2.1.不揮発性記憶システム2の構成>
本発明の第2実施形態における不揮発性記憶システム2の構成について、図6を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付している。
【0034】
本実施形態の不揮発性記憶システム2は、不揮発性記憶装置100Bと、不揮発性記憶装置100Bが装着されるアクセス装置200A又は200Bとを含む。
<2.1.1.アクセス装置200A又は200Bの構成>
アクセス装置200A又は200Bは第1実施形態のものと同様である。
<2.1.2.不揮発性記憶装置100Bの構成>
本実施形態の不揮発性記憶装置100Bは、第1実施形態と同様に、ロック機構を備えるアクセス装置200Aとロック機構を備えないアクセス装置200Bのいずれにも装着可能なように構成されている。
不揮発性記憶装置100Bは、メモリコントローラ110Bと、第1実施形態と同様の不揮発性メモリ120とを含む。
【0035】
メモリコントローラ110Bは、アクセスレート制御部106Bが温度検出や比較を行なわない点で、第1実施形態のメモリコントローラ110Aとは異なる。
アクセスレート制御部106Bは、排出抑制部203を有するアクセス装置200Aなのか、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bなのかをアクセス装置からの通知によって取得し、その結果を基にしてアクセスレートの変更を行うものである。
<2.2.不揮発性記憶システム2の動作>
<2.2.1.不揮発性記憶装置100Bの動作>
まず、不揮発性記憶装置100Bの動作を説明する。
図7は、メモリコントローラ110Bによる初期化処理及びデータの読み書き動作を示すフローチャートである。
【0036】
≪ステップS301〜S307≫
電源投入時の初期化動作は,従来のメモリコントローラと基本的に同様である。アドレス管理部105が、不揮発性メモリ120に格納されたアドレス管理のためのシステム情報を読み書き制御部103を介して読み出し、同システム情報に基づきアドレス管理部105内に論理物理変換テーブル等を構成する。
更に、本実施形態による不揮発性メモリシステム2の特徴として、不揮発性記憶装置100Bのメモリコントローラ110Bは、アクセス装置200A又は200Bから排出抑制部203に関する情報である排出制御情報を受信する(S301)。
アクセスレート制御部106Bは、ステップS301において取得した排出制御情報に基づき排出抑制部203の有無を判断する(S302)。
【0037】
排出抑制部203が無い場合には、読み書き制御部103が不揮発性メモリ120にアクセスする速度を低速モードに設定し(S303)、排出抑制部203がある場合には高速モードに設定する(S304)。
以上の処理の後、メモリコントローラ110Bは、アクセス装置200A又は200Bからの書き込みを指示する書き込みコマンド、もしくは読み出しを指示する読み出しコマンドを待つ(S305)。
メモリコントローラ110Bが書き込みコマンドを受信する場合、CPU104はコマンドの引数として転送される論理アドレスをアドレス管理部105に渡し、アドレス管理部105は該論理アドレスに基づき物理ブロックを決定する。更に、CPU104はアクセス装置200A又は200Bから転送されるデータをバッファ102に格納し、不揮発性メモリ120への書き込み単位分のデータの準備が完了したら、読み書き制御部103を介して不揮発性メモリ120の前記物理ブロックにデータを順次書き込む(S306)。
【0038】
また、メモリコントローラ110Bが読み出しコマンドを受信する場合、CPU104は、コマンドの引数として転送される論理アドレスをアドレス管理部105に渡す。アドレス管理部105は、該論理アドレスに基づき物理ブロックを決定する。CPU104は読み書き制御部103を介して不揮発性メモリ120の該物理ブロックにアクセスし、前記論理アドレス以降のデータをバッファ102に読み出し、転送単位分のデータの準備が完了したら、データをアクセス装置200A又は200Bに順次転送する(S306)。
ステップ306の処理において、読み書き制御部103は、ステップS303又はステップS304で設定された低速モード又は高速モードに応じて、不揮発性メモリ120へのアクセスを低速に行なうか、高速に行うかを切り替える。この切り替えは、不揮発性メモリ120へのアクセスのクロックの高低を切り替えたり、不揮発性メモリ120への並列書き込みの有無を切り替えたりすることで実現できる。
【0039】
その後、CPU104は、メモリコントローラ110Bがアクセス装置200A又は200Bからの転送終了コマンドを受信したかどうかを判断する(S307)。転送終了コマンドを受信した場合は、ステップS305に移り、次の読み書き指示を待つ。一方、転送終了コマンドを受信しなかった場合は、ステップS306に移り、データの書き込み又は読み出しの処理を継続する。
<2.2.2.アクセス装置200A又は200Bの動作>
本実施形態に係るアクセス装置200A又は200Bの動作については、第1実施形態の図3のステップS208〜S209の処理が異なる。
例えば、不揮発性記憶装置100Bは温度情報を持たないので、アクセス装置200A又は200B側で温度検出部を搭載して温度情報を取得し、排出の可否を判断するようにしてもよい。或いは、アクセス装置200A又は200Bは、ステップS208〜S209に代えて、温度TがTrisk以下になることが保証できるようになるまで所定の時間待つようにしてもよい。又は、アクセス装置200A又は200Bは、冷却部を搭載し、ステップS208〜S209に代えて、温度TがTrisk以下になることが保証できるようになるまで所定の時間冷却するようにしてもよい。
【0040】
それ以外の動作については第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。
<2.3.不揮発性記憶システム2の動作による温度変化>
次に、以上で述べた不揮発性記憶システム2の動作による不揮発性記憶装置100Bの温度上昇について説明する。
図8は、読み書き処理に対応する不揮発性記憶装置100Bの温度Tの時間特性を表すグラフを示す。図8のAは不揮発性記憶装置100Bが排出抑制部203を有するアクセス装置200Aに装着された場合のグラフであり、Bは不揮発性記憶装置100Bが排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bに装着された場合のグラフである。
不揮発性記憶装置100Bが排出抑制部203を有するアクセス装置200Aに装着された場合は、ステップS304の処理により読み書き制御部103が高速モードに設定される。そのため、不揮発性メモリ120での電力消費による発熱が高めとなり、読み書き処理が進むと温度Tは極限温度TmaxAに漸近していく。
【0041】
不揮発性記憶装置100Bが排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bに装着された場合は、ステップS303の処理により読み書き制御部103が低速モードに設定される。そのため、不揮発性メモリ120での電力消費による発熱が低めとなり、読み書き処理が進むと温度Tは極限温度TmaxBに漸近していく。
TmaxAはメモリコントローラ110Bが動作可能な温度の上限値であるTope1に、TmaxBは不揮発性記憶装置100Bを排出しても支障とならない温度の限界値であるTriskになるように調整するものとする。
これにより、排出抑制部203を有しないアクセス装置200Bに装着された不揮発性記憶装置100Bが排出されても、不揮発性記憶装置を排出することによる支障を回避することができる。また、アクセス装置200Aはより高速なデータ転送が可能となるが、上述のとおり、不揮発性記憶装置100Bを排出する場合には温度TがTriskを下回るまで、排出を抑制するため、不揮発性記憶装置を排出することの支障を回避することができる。
【0042】
<2.4.第2実施形態の効果>
本実施形態では、上記第1実施形態の効果に加えて、不揮発性記憶装置100Bにサーミスタ等の温度センサを実装する必要がないため、不揮発性記憶装置100Bを小型化することができ、またコスト面において有利になる。
(第3実施形態)
<3.1.不揮発性記憶システム3の構成>
本発明の第3実施形態における不揮発性記憶システム3の構成について、図9を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付している。
本実施形態の不揮発性記憶システム3は、不揮発性記憶装置100Cと、不揮発性記憶装置100Cが装着されるアクセス装置200A又は200Bとを含む。
【0043】
<3.1.1.アクセス装置200A又は200Bの構成>
アクセス装置200A又は200Bは第1実施形態のものと同様である。
<3.1.2.不揮発性記憶装置100Cの構成>
本実施形態の不揮発性記憶装置100Cは、第1実施形態と同様に、ロック機構を備えるアクセス装置200Aとロック機構を備えないアクセス装置200Bのいずれにも装着可能なように構成されている。
不揮発性記憶装置100Cは、メモリコントローラ110Cと、第1実施形態と同様の不揮発性メモリ120とを含む。
メモリコントローラ110Cは、アクセスレート制御部106Cが温度算出部(温度取得部)114を有する点で、第1実施形態のメモリコントローラ110Bとは異なる。
【0044】
アクセスレート制御部106Cの温度算出部114は、サーミスタ等のセンサを用いるものではなく、読み書きデータの量に応じて不揮発性記憶装置100Cの温度Tを擬似的に算出する。例えば、温度算出部114は、書き込み時又は読み込み時のアクセスレートとアクセスが行われる時間とに基づき、不揮発性記憶装置100Cの平均上昇温度を求め、周囲温度TEに加算することにより温度Tを算出する。
温度算出部114以外は第1実施形態のものと同様である。
<3.2.不揮発性記憶システム3の動作>
本実施形態における不揮発性記憶システム3は、第1実施形態の温度検出部111に代えて温度算出部114により温度Tを算出する。よって、温度算出部114が算出した温度Tを用いて、第1実施形態で説明した不揮発性記憶システム1と同様の動作を行う。
【0045】
<3.3.第3実施形態の効果>
本実施形態では、上記第1実施形態の効果に加えて、不揮発性記憶装置100Cにサーミスタ等の温度センサを実装する必要がないため、不揮発性記憶装置100Cを小型化することができ、またコスト面において有利になる。
(第4実施形態)
<4.1.不揮発性記憶システム4の構成>
本発明の第4実施形態における不揮発性記憶システム4の構成について、図10を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付している。
本実施形態の不揮発性記憶システム4は、不揮発性記憶装置100Dと、不揮発性記憶装置100Dが装着されるアクセス装置200C又は200Dとを含む。
【0046】
<4.1.1.アクセス装置200C又は200Dの構成>
アクセス装置200C又は200Dは第1実施形態のアクセス装置200A又は200Bに温度出力部204を追加したものである。
温度出力部204は、不揮発性記憶装置100Dの間近に温度センサを配置し、温度センサが検出した不揮発性記憶装置100Dの温度情報を、制御部202及び外部バスを介して不揮発性記憶装置100Dに供給する。温度情報を出力するタイミングはリード及びライトコマンドを実行中に定期的に行うようにする。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
<4.1.2.不揮発性記憶装置100Dの構成>
一方、不揮発性記憶装置100Dのメモリコントローラ110Dは、アクセスレート制御部106Dに温度保持部(温度取得部)115を含んでいる。温度保持部115は、サーミスタ等のセンサを用いるものではなく、アクセス装置200C又は200Dから受信した温度情報を不揮発性記憶装置100Dの温度情報Tとして取り扱う。温度保持部115以外は第1実施形態のものと同様である。
【0047】
<4.2.不揮発性記憶システム4の動作>
本実施形態における不揮発性記憶システム4は、第1実施形態の温度検出部111に代えて、アクセス装置200C又は200Dが温度出力部204を有し、不揮発性記憶装置100Dが温度保持部115を有する点において異なる。よって、アクセス装置200C又は200Dから通知される不揮発性記憶装置100Dの温度Tを用いて、第1実施形態で説明した不揮発性記憶システム1と同様の動作を行うことができる。
<4.3.第4実施形態の効果>
本実施形態では、上記第1実施形態の効果に加えて、不揮発性記憶装置100Dにサーミスタ等の温度センサを実装する必要がないため、不揮発性記憶装置100Dを小型化することができ、またコスト面において有利になる。
【0048】
(その他の実施形態)
なお、本発明を上記の実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されないのはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施変更することができる。例えば、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記実施形態において、温度センサを使用する場合、その種類は限定されるものではなく、接触・非接触、サーミスタや熱電対等さまざまなセンサが使用可能である。
(2)上記実施形態において、排出抑制部203を有するアクセス装置が装着された不揮発性記憶装置の排出の抑制を開始するタイミングを、装着された不揮発性記憶装置の初期化前としたが、不揮発性記憶装置の温度TがTriskを超える前であれば上記実施形態と同じ効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、半導体メモリカード、半導体メモリカード等の不揮発性記憶装置を使用した静止画記録再生装置や動画記録再生装置、あるいは携帯電話等において有用である。
【符号の説明】
【0050】
1,2,3,4 不揮発性記憶システム
100A,100B,100C,100D 不揮発性記憶装置
101 ホストインターフェース(情報取得部)
102 バッファ
103 読み書き制御部
104 CPU
105 アドレス管理部
106A,106B,106C,106D アクセスレート制御部
110A,110B,110C,110D メモリコントローラ
111 温度検出部(温度取得部)
112 温度適応型制御部
113 閾値温度決定部(閾値温度設定部)
114 温度算出部(温度取得部)
115 温度保持部(温度取得部)
120 不揮発性メモリ
200A,200B,200C,200D アクセス装置
201 表示部
202 制御部
203 排出抑制部(排出制御機構・排出制御部)
204 温度出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス装置に装着可能であり、前記アクセス装置からの指示に応じて、データの読み出し及び書き込みを行う不揮発性記憶装置であって、
データを記憶する不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリにデータを読み書きするメモリコントローラと、
を備え、
前記メモリコントローラは、
前記アクセス装置が前記不揮発性記憶装置の排出を抑制する排出制御に関する情報である排出制御情報を取得する情報取得部と、
前記排出制御情報に応じて、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを制御するアクセスレート制御部と、
を有する、
不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記アクセスレート制御部は、
データの読み出し又は書き込み時の前記不揮発性記憶装置の温度を取得する温度取得部と、
前記温度が第1の閾値温度よりも高くなったときに、データの読み出し又は書き込みを停止し、前記温度が、前記第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度を下回ったときにデータの読み出し又は書き込みを再開する温度適応型制御部と、
前記排出制御情報に応じて、前記第1の閾値温度及び前記第2の閾値温度の少なくとも一方の値を異なる値に設定する閾値温度設定部と、
を含む、
請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記閾値温度設定部は、
前記アクセス装置が排出制御機構を有しない場合の、前記不揮発性記憶装置の上限温度の限界値である前記第1の閾値温度を、前記アクセス装置が排出制御機構を有する場合の第1の閾値温度よりも低く設定する、
請求項2に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記アクセスレート制御部は、
前記アクセス装置が排出制御機構を有しない場合は、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを第1のアクセスレートに設定し、
前記アクセス装置が排出制御機構を有する場合は、データの読み出し又は書き込みのアクセスレートを前記第1のアクセスレートよりも高い第2のアクセスレートに設定する、
請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
請求項1に記載の不揮発性記憶装置を装着可能であり、前記不揮発性記憶装置に対しデータの書き込み及び読み出しを指示するアクセス装置であって、
データの読み出し又は書き込みを開始する前に、前記アクセス装置が前記不揮発性記憶装置の排出を抑制する排出制御に関する情報である排出制御情報を前記不揮発性記憶装置に通知する、
アクセス装置。
【請求項6】
前記排出制御部を備え、
装着された前記不揮発性記憶装置の排出の抑制を開始し、
データの読み出し又は書き込みを終了した後に、前記不揮発性記憶装置の前記温度に関する情報を取得し、
前記温度が所定温度を下回っているかどうかを判断し、
前記所定温度を下回っている場合は前記不揮発性記憶装置の前記排出の抑制を解除する、
請求項5に記載のアクセス装置。
【請求項7】
前記不揮発性記憶装置を冷却するための冷却部、
を更に備える、請求項5に記載のアクセス装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の不揮発性記憶装置と、
請求項5〜7のいずれか1項に記載のアクセス装置と、
を備える、不揮発性記憶システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−3018(P2011−3018A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145610(P2009−145610)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】