説明

不正度記録装置、不正度記録装置の制御方法およびプログラム

【課題】共犯者を伴う手口について、その不正行為を容易に検出可能な不正度記録装置、不正度記録装置の制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】店舗内において想定される1以上の不正発生要素について、それぞれの重み付けである基礎点数を記述した不正発生パターンを記憶する不正発生パターン記憶部71と、会計処理部51による会計処理時の顧客を検出する顧客検出部77と、会計処理時において、1以上の不正発生要素の発生/非発生を検出を検出する不正発生検出部72と、不正発生検出部72により発生が検出された不正発生要素に対応する基礎点数を合計して、顧客の不正度を算出する不正度算出部73と、不正度算出部73の算出結果を、顧客検出部77により検出した顧客の識別情報と共に記録用データーベース23に記録する不正度記録部74と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等の小売店やファミリーレストラン等の飲食店内において、店員や顧客による不正行為を検出するための不正度記録装置、不正度記録装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店や飲食店内において、店員による会計処理時の不正行為を検出するためのシステムとして、特許文献1が提案されている。当該特許文献1に記載のシステムは、POS(Point Of Sales)端末(POSターミナル)と、POS端末周辺を撮像するカメラと、フォトジャーナルレコーダーと、検索端末と、により構成されている。フォトジャーナルレコーダーとは、ジャーナルデーター(取引履歴データー)と、カメラにより撮像されたPOS端末周辺の画像データーと、店員によるPOS端末の操作履歴(操作履歴データー)と、を関連付けて記録するものである。そして、管理者が検索端末を用いて、時間やPOS端末の操作情報等の所定の検索条件を指定することにより、検索条件に一致するジャーナルデーターや画像データーをディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−115504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、管理者が指定した検索条件に一致する記録データー(会計処理の内容およびその時の撮像画像)を一覧表示するのみであり、会計処理において不正行為が行われたか否かを検出するためには、逐一、管理者が記録データーを確認しなければならない。また、膨大な記録データーを確認する必要があるため、不正行為の検出漏れが発生するといった問題もある。このように、従来提案されているシステムでは、確実に不正行為を検出することができないといった問題があった。また、近年では、不正行為の手口が、多様化・複雑化し、POS端末周辺を撮像した撮像画像だけでは、不正行為が行われたか否かを正確に判断することができない。その一例として、共犯者が善良な顧客になりすまし、他人のレシートを共犯店員(オペレーター)に渡して、取消処理(レジマイナス処理)を行わせるケースが考えられる。このような場合は、一時的な撮像画像から不正を検出することは困難である。また、このような手口を行う共犯者は、犯行を繰り返す可能性が高いため、長期に渡って記録データーを確認することで、共犯者を特定することができるが、記録データーの確認に、多大な時間と労力を要する。このように、共犯者を伴う手口については、不正行為の検出が非常に困難であった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、共犯者を伴う手口について、その不正行為を容易に検出可能な不正度記録装置、不正度記録装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の不正度記録装置は、会計処理部による会計処理時の顧客を検出する顧客検出部と、会計処理時における店舗内の状況データーを検出する状況データー検出部と、状況データー検出部の検出結果に基づいて、顧客の不正度を算出する不正度算出部と、不正度算出部の算出結果を、顧客検出部により検出した顧客の識別情報と共にデーターベースに記録する不正度記録部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の不正度記録装置の制御方法は、会計処理部およびデーターベースを内部または外部に備えた不正度記録装置の制御方法であって、会計処理部による会計処理時の顧客を検出する顧客検出ステップと、会計処理時における店舗内の状況データーを検出する状況データー検出ステップと、検出した状況データーに基づいて、顧客の不正度を算出する不正度算出ステップと、不正度算出ステップによる算出結果を、顧客検出ステップにより検出した顧客の識別情報と共にデーターベースに記録する不正度記録ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、会計処理時における店舗内の状況データーに基づいて、顧客の不正度(共犯者として不正行為が行われた可能性の高さ)を算出し、その算出結果を顧客の識別情報と共に記録するため、ユーザー(管理者など)は、当該記録から、その顧客が共犯者である可能性を把握することができる。これにより、共犯者を伴うような複雑な手口についても、その不正行為を容易に検出することができる。
【0009】
上記に記載の不正度記録装置において、店舗内において想定される1以上の不正発生要素について、それぞれの重み付けである基礎点数を記述した不正発生パターンを記憶する不正発生パターン記憶部をさらに備え、状況データー検出部は、1以上の不正発生要素について、それぞれ発生/非発生を検出し、不正度算出部は、状況データー検出部により発生が検出された不正発生要素に対応する基礎点数を合計して、不正度を算出することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、発生が検出された1以上の不正発生要素に対応する基礎点数を合計することで、容易に不正度を算出することができる。
なお、不正発生要素とは、会計処理部による所定のキー操作、例外処理時と精算処理時におけるレシートの不一致、例外処理時と精算処理時における対象顧客の不一致、例外処理時における所定音声キーワードの非検出、キャッシュドロアの開閉状態の変化、店員の所定エリアへの侵入、レジカウンター周りに会計処理部を操作する店員以外の人物が存在しない状況における会計処理の実行、店員の不審行動、店員の生体信号の変化のうち、少なくとも1つの要素を含む。
【0011】
上記に記載の不正度記録装置において、会計処理部により、会計処理の一部の処理に相当する例外処理が発生したことを検出する例外処理検出部をさらに備え、不正度算出部は、例外処理検出部により例外処理が検出されたことを条件として機能することが好ましい。
【0012】
一般的に、不正行為は、例外処理に伴って実行されることが多い。この構成によれば、例外処理の発生時のみ不正度の算出を行うため、効率的に不正行為を検出することができる。
【0013】
上記に記載の不正度記録装置において、例外処理は、会計処理部の会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「取消処理」、商品の返品を行うための「返品処理」、商品の値引きを行うための「値引処理」、商品の割引きを行うための「割引処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、キャッシュドロア内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートを再発行するための「再発行処理」のうち、少なくとも1つの処理を含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、「中止処理」、「取消処理」、「返品処理」、「値引処理」、「割引処理」、「両替処理」、「点検処理」、「出金/返金処理」、「再発行処理」に伴う不正行為を検出することができる。
【0015】
上記に記載の不正度記録装置において、例外処理検出部は、例外処理の種別を検出し、不正発生パターン記憶部は、例外処理の種別ごとに、不正発生パターンを記憶しており、不正度算出部は、不正発生パターン記憶部から、例外処理検出部により検出された例外処理の種別に対応する不正発生パターンを抽出して、不正度を算出することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、例外処理の種別ごとに、不正発生パターンが記憶されているため、例外処理の種別に適した不正発生パターンを用いて、より正確な不正度を算出することができる。
【0017】
上記に記載の不正度記録装置において、データーベースに記録されている記録数から、同一顧客について、例外処理が実行された回数が所定数を超えたことが判定された場合、不正発生パターンに記述されている1以上の不正発生要素の少なくとも一部について、その基礎点数を増加する不正発生パターン書換部をさらに備え、不正度算出部は、書換後の不正発生パターンに基づいて、不正度を算出することが好ましい。
【0018】
一般的に、例外処理を繰り返す顧客は、共犯者の可能性が高い。この構成によれば、例外処理を繰り返す顧客については、不正発生要素の基礎点数を増加するため、結果的に算出される不正度が大きくなる。したがって、例外処理を繰り返すような悪質な不正行為を、より確実に検出することができる。
【0019】
上記に記載の不正度記録装置において、不正度算出部により、所定値以上の不正度が算出された場合、警告を行う警告部をさらに備えたことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、対象顧客が共犯者の可能性が高い会計処理時には、警告が行われるため、店員や管理者(マネージャーや店長など)にその旨を知らせることができる。
【0021】
上記に記載の不正度記録装置において、データーベースに記録された同一顧客の不正度の累計が、所定値を超えた場合、警告を行う警告部をさらに備えたことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、過去に警告が行われていない顧客であっても、不正度の累計が所定値を超えた場合は、共犯者である可能性があるため、店員や管理者(マネージャーや店長など)にその旨を知らせることができる。これにより、高度な不正手口で不正検出を免れてきたような悪質な共犯者を、より確実に検出することができる。
なお、警告部は、データーベースに過去の不正度が記録されておらず、1回分の不正度の算出結果で所定値を超えた場合も、警告を行うことが好ましい。
【0023】
上記に記載の不正度記録装置において、警告部は、顧客検出部の検出結果と、状況データー検出部により検出された状況データーと、を含む警告文書を、電子メールまたはWebアプリケーションを用いて、予め定められた管理者に通知することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、通知を受けた管理者は、顧客検出部の検出結果(撮像データーなど)と、状況データー検出部により検出された状況データー(不正発生要素ごとの発生/非発生など)から、顧客と会計処理時の状況を把握することができる。また、電子メールまたはWebアプリケーションを用いるため、管理者の居場所に拠らず、確実に警告文書を通知することができる。
【0025】
上記に記載の不正度記録装置において、顧客の識別情報は、顧客の生体情報であることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、生体情報を用いることで、顧客を確実に特定することができる。なお、生体情報としては、顔特徴量、音声(声紋)、指紋、掌形、網膜、虹彩、血管(静脈パターン)、耳形などを用いることが好ましい。このように、身体的特徴(静的情報)を用いることで、行動監視の必要がなく、容易に個人を特定することができる。
【0027】
上記に記載の不正度記録装置において、データーベースは、複数の不正度記録装置において共有されることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、複数の不正度記録装置や複数の店舗間で、データーベースを共有することができるため、複数の店舗で犯行を繰り返すような共犯者についても、その不正行為を検出することができる。
【0029】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の不正度記録装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0030】
このプログラムを実行することにより、共犯者を伴う手口について、その不正行為を容易に検出可能な不正度記録装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る店舗監視システムのシステム構成図である。
【図2】第1実施形態に係る店舗監視システムの機能ブロック図である。
【図3】不正発生パターンの一覧を示す図である。
【図4】記録用データーベースの記録内容を示す図である。
【図5】不正発生要素の構造を示す図である。
【図6】不正発生要素の具体例を示す図である。
【図7】不正発生パターンA1の発生順序定義例を示す図である。
【図8】不正発生パターンA1に対する検出結果の一例を示す図である。
【図9】店舗監視システムの不正度記録処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る店舗監視システムの機能ブロック図である。
【図11】不正度の履歴の一例を示す図である。
【図12】不正発生パターンA2の発生順序定義例を示す図である。
【図13】不正発生パターンA2に対する検出結果の一例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る店舗監視システムの不正度記録処理の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照し、本発明の不正度記録装置、不正度記録装置の制御方法およびプログラムについて説明する。なお、以下に示す各実施形態では、本発明の不正度記録装置を、店舗監視システムに適用した場合について例示する。当該店舗監視システムは、スーパーマーケット等の小売店内において、店員や顧客による不正行為を検出するべく構築されたものである。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る店舗監視システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、店舗監視システムSYは、会計処理を行うPOS端末1と、レシート(図示省略)を発行するレシートプリンター2と、商品に貼付または印刷されたバーコードを読み取るハンディスキャナー3と、店員カードCの非接触読取を行うカードリーダー4と、店員(オペレーター)の手首に装着される店員用リストバンド5と、商品情報を表示するカスタマディスプレイ6と、店員の頭部に装着されるヘッドセット7と、レシートを読み取るレシートスキャナー8と、レジカウンター周りを監視するレジ監視カメラ9と、店内を監視する店内監視カメラ11と、店舗監視システムSYを統括する店舗管理サーバー12と、から成る。POS端末1とレシートプリンター2およびハンディスキャナー3、レシートプリンター2とカードリーダー4、店員用リストバンド5、カスタマディスプレイ6、ヘッドセット7およびレシートスキャナー8は、それぞれシリアルインターフェース(例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース)または無線LANにより接続されている。また、POS端末1、レシートプリンター2、レジ監視カメラ9、店内監視カメラ11および店舗管理サーバー12は、店舗内LAN13(有線LANまたは無線LAN)により接続されている。
【0034】
一方、店舗管理サーバー12は、インターネット等のネットワークNTを介して携帯電話会社31と接続されている。また、図示の管理者用携帯電話33は、店舗において所定の権限を有する管理者(マネージャーや店長など)によって所持され、電話回線32および携帯電話会社31を介して、ヘッドセット7を装着した店員と通話可能となっている。また、管理者用携帯電話33は、電子メール機能を有しており、店舗管理サーバー12から送信された電子メール(警告文書)を受信可能である。
【0035】
なお、図1では、POS端末1が1台の場合を示しているが、店舗内に複数のレジカウンター10が設置されている場合、レジカウンター10ごとに、POS端末1等が設けられる。また、請求項における「不正度記録装置」は、上記の構成要素のうち、レシートプリンター2および店舗管理サーバー12から成る。
【0036】
POS端末1は、レジカウンター10に設置され、会計処理を行うPOSアプリケーション41と、レシートプリンター2に対しPOS端末1の操作結果を出力するデーターフックドライバー42と、現金を収容するキャッシュドロア43と、を有している。その他、特に図示しないが、一般的なレジスターの構成を有している。ハンディスキャナー3は、商品コードなどが記録された商品バーコードを読み取り、その読取結果をPOS端末1に出力する。
【0037】
カードリーダー4は、無線IC(RFID:Radio Frequency Identificationなど)が組み込まれた店員カードCから店員IDを読み取る。店舗内の店員は、当該店員カードCの所持が義務付けられている。店員用リストバンド5は、装着者の発汗量を計測する発汗センサー45と、装着者の脈拍数を計測する脈拍センサー46と、が組み込まれている。レジカウンター10内でPOS端末1を操作する店員は、当該店員用リストバンド5の装着が義務付けられている。
【0038】
カスタマディスプレイ6は、顧客に対して、商品名や商品価格を表示する顧客用ディスプレイとしての一般的な機能の他、顧客用マイク6aにより、顧客の音声を取得する機能を有している。顧客用マイク6aは、小型集音マイクであり、カスタマディスプレイ6の周縁部に、顧客側に向けて設けられる。ヘッドセット7は、インカムとも称されるものであり、店員用マイク7aと、ヘッドフォン(図示省略)と、を有している。POS端末1を操作する店員は、当該ヘッドセット7の装着が義務付けられている。レシートスキャナー8は、レシートの真贋判定を目的としてレシートを読み取る。
【0039】
レシートプリンター2は、POS端末1から出力された会計情報に基づいて、レシートを発行する機能の他、温度計44により、レジカウンター10内の温度を計測する機能を有している。また、レシートプリンター2は、シリアル接続された周辺装置から各種情報を入力して店舗管理サーバー12へ出力する。このように、レシートプリンター2を主幹として各種情報の入出力を行うことで(レシートプリンター2が、取得した各種情報をフィルタリングして必要な情報を出力することで)、POS基幹ネットワーク(POS端末1を主幹としたネットワーク)のトラフィックに影響を与えることがない。また、既存のPOSシステムに本発明を適用する際、POS基幹ネットワーク自体の変更が不要となる。
【0040】
レジ監視カメラ9は、レジカウンター10の天井などに設けられ、レジカウンター10内部(店員やPOS端末1の周囲など)、レジカウンター10上(会計処理の対象となる商品、現金のやり取りなど)、レジカウンター10前(顧客など)を撮像する。また、店内監視カメラ11は、店舗内の複数個所に設けられ、所定エリアや所定の部屋への店員の出入りを監視する。なお、レジ監視カメラ9および店内監視カメラ11としては、CCDカメラやPTZ(Pan Tilt Zoom)カメラを採用可能である。
【0041】
店舗管理サーバー12は、店員の顔特徴量をデーターベース化した顔特徴量データーベース21と、会計処理時に発声される店員および顧客のキーワードをデーターベース化したキーワードデーターベース22と、店員や顧客の不正度を記録するための記録用データーベース23と、を有している。店舗管理サーバー12は、上記の各装置により検出された店舗内の状況データー、並びに顔特徴量データーベース21やキーワードデーターベース22の参照結果に基づいて、店員や顧客の不正度を算出し、算出した不正度を記録用データーベース23に記録する。また、算出した不正度が所定値を超える場合は、オペレーターや管理者に対して警告を行う。
【0042】
次に、図2を参照し、店舗監視システムSYの機能構成について説明する。POS端末1は、主な機能構成として、会計処理部51を有している。会計処理部51は、POSアプリケーション41を主要部とするものであり、精算処理や例外処理を含む会計処理を実行する。また、それらの処理結果を、会計情報としてレシートプリンター2に出力する。
【0043】
なお、本実施形態において、例外処理とは、不正行為に関連する可能性の高い所定の処理を指す。具体的には、商品の返品を行うための「返品処理」、会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「ミスレジ処理(取消処理)」、商品の値引きを行うための「値引処理」、商品の割引きを行うための「割引処理」、会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、キャッシュドロア43内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートを再発行するための「再発行処理」などを指す。これらの各処理は、例外処理の種別として区別される。
【0044】
カードリーダー4は、主な機能構成として、店員ID読取部52を有している。店員ID読取部52は、店員カードCと近距離無線通信を行い、レジカウンター10周りに存在する店員カードCから、店員IDを読み取る。店員用リストバンド5は、主な機能構成として、発汗量計測部53および脈拍数計測部54を有している。発汗量計測部53は、発汗センサー45により実現され、脈拍数計測部54は、脈拍センサー46により実現される。
【0045】
カスタマディスプレイ6に設けられた顧客用マイク6aは、主な機能構成として、顧客用音声取得部55を有している。顧客用音声取得部55は、顧客の音声信号を取得し、レシートプリンター2に出力する。また、ヘッドセット7に設けられた店員用マイク7aは、主な機能構成として、店員用音声取得部56を有している。店員用音声取得部56は、店員の音声信号を取得し、レシートプリンター2に出力する。
【0046】
レシートスキャナー8は、主な機能構成として、レシート読取部57を有している。レシート読取部57は、レシートを読み取って、当該レシートに印刷された商品情報(トランザクション番号、レシート発行日時、商品名、数量、商品単価、合計金額など)を取得する。レジ監視カメラ9は、主な機能構成として、レジ撮像部58を有している。レジ撮像部58は、レジカウンター10周りの映像を撮像し、その撮像結果を店舗管理サーバー12に出力する。店内監視カメラ11は、主な機能構成として、店内撮像部59を有している。店内撮像部59は、店舗内における店員や顧客の行動(移動)を含む店内映像を撮像し、その撮像結果を店舗管理サーバー12に出力する。
【0047】
レシートプリンター2は、主な機能構成として、会計情報取得部61、例外処理検出部62、店員ID検出部63、生体信号検出部64、音声認識部65、読取結果取得部66、印刷部67およびオペレーター警告部68を有している。会計情報取得部61は、POS端末1(会計処理部51)から出力された会計情報を取得する。
【0048】
例外処理検出部62は、会計情報取得部61により取得された会計情報、またはデーターフックドライバー42の検出結果に基づいて、会計処理部51において例外処理が発生したこと、およびその種別を検出する。なお、後述する不正度算出部73、不正度記録部74、オペレーター警告部68および管理者警告部75は、当該例外処理検出部62により例外処理が検出されたことを条件として機能する。
【0049】
店員ID検出部63は、店員ID読取部52の読取結果から店員IDを検出し、その検出結果を不正発生検出部72(後述する)に出力する。当該店員IDの検出数により、レジカウンター10周りに存在する店員数が特定され、検出された店員IDにより、POS端末1を操作している店員を特定できる。なお、店員ID検出部63は、指向性を有する複数のカードリーダー4により実現されても良い。この構成によれば、会計操作を行っている店員と、その他の店員とを明確に区別して検出することができる。
【0050】
生体信号検出部64は、発汗量計測部53および脈拍数計測部54の計測結果である生体信号を検出し、その検出結果を不正発生検出部72に出力する。音声認識部65は、顧客用音声取得部55および店員用音声取得部56から音声データーを取得して音声認識を行う。当該音声認識部65は、顧客の音声と店員の音声とをそれぞれ独立して認識するための2つの専用認識部を有しており、各専用認識部には、音響分析部、音響モデル、言語モデル、単語辞書およびテキスト変換部が含まれる(いずれも図示省略)。各専用認識部は、これらを用いて、取得した音声信号を、テキスト情報に変換する。当該テキスト情報は、不正発生検出部72に出力される。
【0051】
読取結果取得部66は、レシート読取部57の読取結果である商品情報を検出し、その検出結果を不正発生検出部72に出力する。印刷部67は、会計情報取得部61により取得した会計情報をレシート用紙に印刷し、レシートを発行する。オペレーター警告部68は、不正度算出部73(後述する)により、所定値を超える不正度が算出された場合、オペレーターに対して、不正行為が行われた可能性が高い旨を報知する。報知方法としては、オペレーターディスプレイ(図示省略)への表示、音声発生、LEDの点灯/点滅、バイブレーターによる振動などが考えられる。
【0052】
店舗管理サーバー12は、主な機能構成として、不正発生パターン記憶部71、不正発生検出部72、不正度算出部73、不正度記録部74および管理者警告部75を有している。不正発生パターン記憶部71は、店舗内において想定される1以上の不正発生要素が定義された不正発生パターンを記憶する。ここで、「不正発生要素」とは、会計処理部51による所定のキー操作、例外処理時と精算処理時におけるレシートの読取結果(商品情報)の不一致、例外処理時と精算処理時における対象顧客の不一致、例外処理時における所定音声キーワードの非検出、キャッシュドロア43の開閉状態の変化、店員の所定エリア(更衣室など)への侵入、レジカウンター10周りにオペレーター以外の店員や顧客が存在しない状況における会計処理の実行、店員の不審行動(周囲を見渡すなど)、店員の生体信号の変化、などを指す。
【0053】
図3に示すように、不正発生パターンは、例外処理の種別ごとに分類され、記憶されている。なお、図3に示す不正発生パターンの一覧において、「不正手口」とは、対応する例外処理の種別が実行された場合に想定される不正行為の手口を示したものである。同図では、「例外処理の種別」と「不正手口」とが、1:1の関係となる例を示しているが、N:1または1:Nの関係であっても良い。また、「不正発声パターン」に示すように、各例外処理の種別について、複数の不正発生パターンが対応付けられている。
【0054】
不正発生検出部72は、上記の不正発生パターンに定義された不正発生要素について、それぞれ発生/非発生を検出する。また、発生を検出した不正発生要素については、必要に応じてその適合率を検出する。当該適合率とは、「発生」を100%、非発生を0%としたときの、中間値(0%より大きく100%より小さい値)を指す。不正度算出部73は、不正発生パターン記憶部71から、例外処理検出部62により検出された例外処理の種別に対応する不正発生パターンを抽出し、当該不正発生パターンを参照して、不正度を算出する。具体的には、当該不正発生パターンに記述された不正発生要素のうち、不正発生検出部72により発生が検出された不正発生要素に対応する基礎点数(=異常値)を合計して、不正度を算出する。なお、不正発生検出部72により適合率が検出された不正発生要素については、対応する基礎点数に適合率を乗算し、その乗算結果を異常値とする。詳細については、後述する。不正度記録部74は、不正度算出部73の算出結果を、記録用データーベース23に記録する。
【0055】
図4に示すように、記録用データーベース23には、会計処理(会計処理番号)ごとに、各種情報が記録される。具体的には、不正発生日時、トランザクションデーター、対象レジID(POS端末1のID)、レジ担当者ID(店員ID)、例外処理の種別、各不正発生要素の検出結果(状況データー)、顧客情報および不正度などが記録される。なお、顧客情報とは、会員カード、クレジットカード、電子マネーなどの利用によって特定される顧客IDの他、レジ監視カメラ9の撮像結果から得られる顔特徴量や、顧客用マイク6aの音声取得結果から得られる声紋などの生体情報を指す。また、例外処理の種別は、例外処理検出部62の検出結果を指し、不正度は、不正度算出部73の算出結果を指す。
【0056】
管理者警告部75は、不正度算出部73により、所定値を超える不正度が算出された場合、管理者に対して警告を行う。本実施形態では、管理者用携帯電話33に対して、電子メールにより警告文書を送信する。当該電子メールには、上記の記録用データーベース23に記録される各項目が含まれる。なお、管理者用携帯電話33(管理者)は、電子メールの受信後、ヘッドセット7(店員)と通話できることが好ましい。この構成によれば、管理者が、会計処理の状況などを直接オペレーターに確認することができ、不正行為に対して適切な対処を行うことができる。また、レジ監視カメラ9としてPTZカメラが採用されている場合は、管理者用携帯電話33の操作に基づいて、レジ監視カメラ9の撮影方向やズームを制御可能とすることが好ましい。この構成によれば、オペレーターの手を煩わせることなく、レジカウンター10周りの状況を確認することができる。また、管理者に対する警告方法として、電子メールではなく、Webアプリケーションや店舗内LANと接続された携帯端末を用いても良い。このように、電子メールやWebアプリケーションを用いることで、管理者の居場所に関わらず、確実に警告内容を通知することができる。また、携帯端末を用いることで居場所の制限があるが、通信料を低減できる。
【0057】
次に、図5を参照し、不正発生要素の構造について説明する。上記のとおり、不正発生要素は、不正発生パターン内で定義されるものであるが、ユーザーは、レシートプリンター2や店舗管理サーバー12などに備えられた操作部(図示省略)を用いて、その詳細を定義付けることができる。同図に示すように、不正発生要素には、「分類番号」、「要素番号」、「検出機器」、「判定内容」および「重み付け」に関する情報が含まれる。「分類番号」とは、不正発生要素を複数のグループに分類したときのグループ識別情報であり、具体的には、図示のa〜eなどが挙げられる。ユーザーは、この分類番号を索引として、不正発生パターンに組み込むべき不正発生要素を検索する。また、「要素番号」とは、各不正発生要素に一意に割り当てられた識別情報である。また、「検出機器」とは、その不正発生要素を検出するための機器であり、具体的には、図示のm1〜m8などが挙げられる。また、図6にて後述するが、「判定内容」とは、「判定項目」および「判定条件」を指し、「重み付け」とは、その不正発生要素に割り当てられた「基礎点数」と、適合率を算出するための「係数」と、を指す。
【0058】
なお、複数の検出機器で検出可能な不正発生要素については、複数の「検出機器」を対応付けることができる。例えば、不正発生要素が、レジカウンター10周囲の店員数を制限する内容である場合、店員数については、カードリーダー4(m1)およびレジ監視カメラ9(m6)で検出可能であるため、その2つの検出機器を対応付けても良い。また、「判定内容」および「重み付け」についても、ユーザーが任意に設定可能である。
【0059】
ここで、図6を参照し、不正発生要素の具体例について説明する。例えば、「要素番号:E1」の不正発生要素は、POS端末1に組み込まれたデーターフックドライバー42(図1参照)(m8)によって検出され、当該データーフックドライバー42から出力された操作情報によりPOS端末1における取消キーの押下を検出できた場合、「POS例外キーが押下された」ものとして、不正発生検出部72により「発生」が検出される。この場合、データーフックドライバー42またはカードリーダー4を用いて、オペレーターの店員IDを検出し、当該店員IDを検出結果として記録用データーベース23に記録する。なお、「POS例外キーが押下された」ことは、データーフックドライバー42を用いるのではなく、POS端末1から出力された会計情報、レシート印刷用の印刷データーおよびカスタマディスプレイ6に表示するための表示データーなどに基づいて検出しても良い。
【0060】
また、「要素番号:E2」の不正発生要素は、レジ監視カメラ9(m6)によって検出され、同一人物の判定により、類似度が60%以下と判定された場合、「購入者と例外申請者が異なる」ものとして、不正発生検出部72により「発生」が検出される。また、同図の例では、基礎点数が「20」、係数が「1−画像類似度」と定義されているため、画像類似度が20%の場合、その適合率(購入者と例外申請者が異なる=Trueとなる確率)は80%となり、異常値は、基礎点数×適合率=16となる。なお、同一人物であるか否かは、会計処理ごとに記録用データーベース23に記録される顧客の顔特徴量に基づいて行われる(図4参照)。つまり、例外申請時(例外処理時)の対象顧客の顔特徴量(レジ監視カメラ9の撮像結果を解析して顔検出を行い、当該顔部分の画像を正規化して算出された顔特徴量)と、例外申請時に提示されたレシートなどから特定される商品購入時(スキャン処理時)の対象顧客の顔特徴量とを照合し、その類似度から判定される。
【0061】
その他の発生要素については、図示のとおりである。なお、簡単に補足すると、「要素番号:E3」、「要素番号:E5」および「要素番号:E6」については、レジ監視カメラ9(m6)の撮像結果から動領域を検出し、その動領域から人の顔、手、ドロアの開閉、紙幣の動きを検出する、といった工程を繰り返すことにより判定を行う。なお、「要素番号:E5」については、カードリーダー4およびレジ監視カメラ9の監視結果から、レジカウンター10周りの店員数が1、顧客数0と判定されることが、「発生」検出の条件となる。
【0062】
また、「要素番号:E4」については、更衣室の入り口近傍に配置された店内監視カメラ11により、オペレーターの顔特徴量(顔特徴量データーベース21に店員IDと関連付けて記憶されているもの)と類似した顔特徴量が検出された場合、「発生」が検出される。なお、「要素番号:E4」については、更衣室の入り口近傍にカードリーダー4を設置し、当該カードリーダー4で店員カードCを読み取ることにより、店員IDを検出しても良い。
【0063】
なお、図6では、E1〜E6の6つの不正発生要素のみ例示したが、不正発生要素として以下の要素を追加可能である。例えば、「例外申請者が無声でレジ前に居る」ことを、顧客用マイク6a(m3)により取得した音声から検出しても良い。通常、例外申請時には、「レシートの内容が間違っています。」などのフレーズを顧客が発声するため、無声であることは不正行為の可能性が高いと考えられるためである。この場合、所定の音声キーワード(例えば、「間違」)が認識できなかったことを条件として、「例外申請者が無声でレジ前に居る」ことを判定する。なお、当該音声キーワードについては、キーワードデーターベース22(図1参照)の中から1以上のキーワードを選択して定義することができる。同様に、「店員が無声でレジ操作を行っている」ことを、店員用マイク7a(m3)により取得した音声から検出しても良い。
【0064】
なお、顧客の音声を集音する顧客用マイク6aと、店員の音声を集音する店員用マイク7aと、を独立して設けるのではなく、1のマイクで集音するようにしても良い。この場合、店員の声紋を記憶しておく店員声紋記憶部(図示省略)を、レシートプリンター2または店舗管理サーバー12内に設けておく。そして、音声認識部65が、取得した音声の声紋と、店員声紋記憶部に記憶されている声紋とを照合し、一致するか否かに応じて、店員の音声と顧客の音声とを区別する。この構成によれば、店員用と顧客用のマイクをそれぞれ独立して設ける必要がない。これにより、店舗監視システムSYのローコスト化を図ることができる。
【0065】
また、不正発生要素として、「例外発生の元データーと処理データーの相違が大きい」ことを、レシートスキャナー8(m5)の読取結果から検出しても良い。偽造したレシートを用いて返品処理を行う手口などに対応するためである。この場合、商品購入時に読み取った商品情報(レシート記載項目)と、例外申請時に読み取った商品情報と、の照合結果から、「発生/非発生」および「適合率」を検出する。
【0066】
また、不正発生要素として、「レジカウンター周りに店員が一人しか居ない」ことを、カードリーダー4(m1)の読取結果から検出しても良い。通常、不正行為は、周囲に他の店員が居ないときに行われるためである。この場合、カードリーダー4が取得した店員IDの数が1以下か否かに応じて「発生/非発生」を検出する。また、不正発生要素として、「レジカウンター前に顧客が居ない」ことを、レジ前に向けられたレジ監視カメラ9の撮像結果から検出しても良い。この場合、レジ監視カメラ9の撮像結果から顔検出ができたか否かに応じて、「発生/非発生」を検出する。
【0067】
また、不正発生要素として、「店員が発汗している」ことを、発汗センサー45(m2)の測定結果から検出しても良い。通常、不正行為が行われるとき、店員の生体信号に変化が生じるためである。この場合、例外処理の前後における発汗量の増加量に基づいて「発生/非発生」を検出する。但し、温度計44により、例外処理の前後の気温差が大きいことが検出された場合(急に暑くなった場合)、その気温差(気温差に基づく係数)を考慮して、適合率を求めることが好ましい。また、不正発生要素として、「店員の動悸が激しい」ことを、脈拍センサー46(m2)の測定結果から検出しても良い。この場合、例外処理の前後における脈拍数の増加量に基づいて「発生/非発生」を検出する。但し、レジ監視カメラ9の監視結果から、例外処理前のオペレーターの移動量が大きい場合、その移動量(移動量に基づく係数)を考慮して、適合率を求めることが好ましい。
【0068】
次に、図7を参照し、不正発生パターンの発生順序について説明する。同図は、ある不正発生パターン(「パターンA1」と記載する)の定義例を示している。なお、パターンA1は、店員が、顧客が受け取らなかったレシートを使って取消処理を行い、レシートの売上額に相当する現金を着服し、着服した現金を更衣室のロッカーに隠す手口に対応するものである。同図に示すように、不正発生パターンは、各不正発生要素の「発生順序」と、「各要素との間隔」を定義づけることができる。ここで「発生順序」は、記載された数字によって定義されるが、必ずしも全ての不正発生要素について定義される必要はない(発生順序を問わない不正発生要素が含まれていても良い,図12の黒丸参照)。また、「発生順序」が空欄(ハイフン表示)の不正発生要素は、検出対象外であることを意味する。さらに、「各要素との間隔」とは、時間的制限を意味する。例えば、「要素番号:E5」の発生(店員がキョロキョロした)から、10秒以内に「要素番号:E1」が発生(POS例外キーが押下された)したとき、発生順序1→2については、規定された発生順序どおりに不正発生要素が発生していると看做す。
【0069】
一方、同図下部に示すように、各不正発生パターンには、「一致加算値」を定義づけることができる。この「一致加算値」とは、不正発生パターンに規定された「発生順序」と、不正発生検出部72により検出された発生順序と、が一致する場合、異常値の合計値に加算される値である。つまり、異常値の合計値と、一致加算値との合計値が、不正度として算出される。
【0070】
次に、図8を参照し、不正発生パターン(パターンA1)の検出結果と、当該検出結果に基づく不正度の算出結果について説明する。上記のとおり、不正発生検出部72は、不正発生要素ごとに発生/非発生を検出する。また、「重み付け」として「係数」が定義されている不正発生要素については(図6参照)、適合率を検出する。そして、「発生」が検出され、且つ適合率が検出されない不正発生要素については、基礎点数=異常値として算出する。また、「発生」が検出され、且つ適合率が検出された不正発生要素(同図の例では、「要素番号:E6」)については、基礎点数×適合率=異常値として算出する。さらに、同図の例には存在しないが、「非発生」が検出された不正発生要素については、異常値を「0」とする。また、同図の例は、不正発生パターンに規定された「発生順序」と、不正発生検出部72により検出された発生順序と、が一致する場合を示している。したがって、パターンA1に定義された全不正発生要素の異常値の合計値に、一致加算値を合計して、不正度を算出する。なお、本実施形態では、不正度が所定値「60」を超える場合、オペレーター警告部68および管理者警告部75により警告を行う。したがって、同図の例では、不正度が所定値「60」を超えているため、警告が行われる。
【0071】
次に、図9のフローチャートを参照し、店舗監視システムSYの不正度記録処理の流れについて説明する。店舗監視システムSYは、会計処理が開始されると(S10)、例外処理の発生であるか否かを判別し(S11,例外処理検出部62)、例外処理の発生であると判定した場合は(S11:Yes)、不正発生パターン記憶部71に記憶されている多数の不正発生パターンの中から、例外処理の種別に応じた不正発生パターンを抽出する(S12,図3参照)。また、不正発生検出部72の検出結果を取得し(S13)、異常値の合計値を「0」にリセットして(S14)、抽出した不正発生パターンのn番目について、基礎点数×適合率=異常値を、異常値の合計値に加算していく(S15)。その後、同一不正発生パターン内の全不正発生要素について計算を行ったか否かを判別し(S16)、未計算の不正発生要素がある場合は(S16:No)、S15に戻る。
【0072】
一方、全不正発生要素について計算を行った場合は(S16:Yes)、発生順序のチェックを行う(S17)。ここで、不正発生パターンに定義された発生順序と、不正発生検出部72により検出された発生順序とが一致する場合は(S18:Yes)、異常値の合計値に一致加算値を加算して不正度を算出する(S19)。また、発生順序が一致しない場合は(S18:No)、異常値の合計値を不正度として算出する(S20)。以上、S12ないしS20は、不正度算出部73により実行される工程である。
【0073】
その後、不正度の算出対象となった不正発生パターンについて、記録用データーベース23に不正度を記録する(S21,不正度記録部74)。また、パターンが一致したか(発生順序が一致したか)、若しくは同一の例外処理の種別に対応付けられた全不正発生パターンについて算出を終えたかを判別し(S22)、これらのいずれにも該当しない場合は(S22:No)、S14に戻って不正度の算出処理を繰り返す。また、S22:Yesの場合は、不正度が所定値を超える不正発生パターンが存在するか否かを判別し(S23)、所定値を超える不正発生パターンが存在する場合は(S23:Yes)、オペレーター警告部68および管理者警告部75により警告を行う(S24)。また、所定値を超える不正発生パターンが存在しない場合(S23:No)、並びに例外処理が発生していない場合(S11,例えば、精算処理時など)は、警告を行うことなく、不正度記録処理を終了する。
【0074】
なお、S24において、管理者警告部75により電子メールを送信する場合は、不正度が所定値を超える1以上の不正発生パターンについて、各不正発生要素の検出結果や算出された不正度を通知する。また、不正度が所定値を超える不正発生パターンが複数存在する場合は、そのうち最も不正度が高い不正発生パターンについてのみ通知を行うようにしても良い。
【0075】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る店舗監視システムSYによれば、不正発生検出部72により発生が検出された1以上の不正発生要素に対応する異常値を合計することで不正度を算出し、その算出結果を記録用データーベース23に記録するため、当該記録から、不正が行われた可能性を把握することができる。これにより、複雑な手口の不正行為についても、不正行為の有無を正確に判断することができる。また、不正度の算出は、不正発生要素の適合率や不正発生要素の発生順序を加味するため、より正確な不正度を算出することができる。また、所定値を超える不正度が算出された場合は警告を行うため、店員や管理者にその旨を知らせることができる。
【0076】
また、不正発生パターン記憶部71には、例外処理の種別ごとに不正発生パターンを記憶しているため、例外処理の種別に適した不正発生パターンを用いて、より現実的な不正度を算出することができる。また、各例外処理の種別について複数の不正発生パターンを記憶しておくことができるため、多数の不正行為の手口に対応することができる。また、一般的に不正行為は、例外処理に伴って実行されることが多いため、本実施形態のように、例外処理の発生時のみ不正度の算出および記録を行うことで、効率的に不正行為を検出することができる。
【0077】
なお、上記の実施形態において、オペレーター警告部68および管理者警告部75は、算出された不正度や、そのときに検出された例外処理の種別に応じて、警告先や警告方法などの警告態様を可変しても良い。「警告先を可変する」とは、電子メールの送信先の数を増減する、オペレーターに対する警告の有無を切り替える、などを意味する。また、「警告方法を可変する」とは、音声警告の場合、音声パターン、音量、警告回数、警告間隔などを可変することを意味する。また、表示警告の場合、表示内容、表示色、表示回数、表示間隔などを可変することを意味する。また、通知警告(電子メールによる通知など)の場合、通知内容、通知方法、通知回数などを可変することを意味する。さらに、音声、表示、通知など、警告手段を可変することも、警告方法を可変することに含まれる。なお、不正度と、警告先や警告方法との対応付けを、レシートプリンター2や店舗管理サーバー12などに備えられた操作部を用いて、ユーザーが変更可能としても良い。この構成によれば、例外処理の種別に適した警告態様(警告先および警告方法)で警告を行うことができる。また、例外処理の種別に応じて警告態様を可変することで、オペレーターや管理者は、当該警告態様から発生した不正行為の手口を容易に推測することができる。
【0078】
また、上記の実施形態では、例外処理の発生時のみ不正度の算出および記録を行うとしたが、全ての会計処理時において、不正度の算出および記録を行っても良い。この構成によれば、記録データーを、店員のオペレーション教育や、顧客の動向分析に利用することができる。
【0079】
また、上記の実施形態では、カードリーダー4、店員用リストバンド5、顧客用マイク6a、店員用マイク7aおよびレシートスキャナー8による検出結果や読取結果を、レシートプリンター2を介して店舗管理サーバー12に送信する構成としたが、店舗内LAN13を介して、店舗管理サーバー12に直接送信する構成としても良い。つまり、レシートプリンター2の印刷部67およびオペレーター警告部68を除く各部を、店舗管理サーバー12内に設けても良い。また、逆に、店舗管理サーバー12の各部をレシートプリンター2内に設けても良い。
【0080】
また、上記の実施形態において、管理者警告部75は、電子メールやWebアプリケーションを用いて、警告を行うとしたが、オペレーター警告部68と同様に、ディスプレイへの表示、音声発生、LEDの点灯/点滅、バイブレーターによる振動などを用いて警告を行っても良い。
【0081】
[第2実施形態]
次に、図10ないし図14を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、店舗内で発生する不正行為の中でも、顧客を共犯者とする巧妙な手口の不正行為の検出を課題とする。そこで、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0082】
図10は、第2実施形態に係る店舗監視システムSYの機能ブロック図である。本実施形態の店舗管理サーバー12は、第1実施形態と比較して、不正発生パターン書換部76および顧客検出部77が追加されている。まず、顧客検出部77は、レジ撮像部58の撮像結果に基づいて、会計処理時の顧客を検出する。具体的には、撮像結果を取得して、フレーム間の差分と背景差分を抽出し、当該抽出結果から動領域を検出する。そして、検出した動領域から顔検出を行い、顔検出ができた場合、そこに顧客が存在すると判定する。そして、不正度記録部74は、顧客検出部77により検出された顧客の識別情報(顧客ID、顔特徴量および声紋などの顧客情報)と、不正発生検出部72(状況データー検出部)の検出結果(店舗内の状況データー)と、不正度算出部73により算出された不正度とを関連付けて、記録用データーベース23に記録する(図4参照)。
【0083】
一方、不正発生パターン書換部76は、記録用データーベース23を参照し、同一顧客について、例外処理の実行回数(本実施形態では、例外処理時のみ記録を行うため、例外処理の実行回数=記録数となる)が所定数を超えたことが判定された場合、不正発生パターンに記述されている1以上の不正発生要素の少なくとも一部について、その基礎点数を増加する。このように、不正発生パターン書換部76により基礎点数が書き換えられた場合、不正度算出部73は、書換後の不正発生パターンに基づいて不正度を算出する。詳細については、後述する。
【0084】
また、本実施形態のオペレーター警告部68および管理者警告部75は、記録用データーベース23に記録された同一顧客の不正度の累計が、所定値を超えた場合に警告を行う。上記の第1実施形態では、不正度算出部73により算出された不正度が所定値を超えた場合に警告を行うものとしたが、本実施形態では、1回の会計処理について算出された不正度が所定値を超えたときだけでなく、過去の不正度の累計が所定値を超えた場合にも警告を行う点で異なる。
【0085】
ここで、図11を参照し、不正度の累計に基づく警告の要否判定について説明する。同図は、3人の顧客について、不正度の履歴を記録したテーブルを示したものである。当該テーブルは、記録用データーベース23(図4参照)に記録される情報の一部に相当する。同図の例では、例えば「顧客ID:0123」の顧客について、1回目の例外処理時に算出された不正度(複数の不正発生パターンについて不正度が算出された場合は、その最高値)が25であり、2回目の例外処理時に算出された不正度が42であり、当該2回目の例外処理時において、不正度の累計値が所定値(ここでは、「60」)を超えたため、警告が行われたことを示している。同様に、「顧客ID:0321」の顧客については、3回目の例外処理時に、不正度の累計値が所定値を超えたため、3回目の例外処理時に警告が行われたことを示している。さらに、「顧客ID:0225」の顧客については、1回目の例外処理時に算出された不正度が77であるため、累計値も77となり、所定値を超えたため、1回目の例外処理時に警告が行われたことを示している。なお、不正度の累計値に基づいて警告が行われた顧客については、その後も、例外処理発生時は常に警告が行われることとなる。但し、ユーザーの設定により、警告を行った時点で累計値をリセットするようにしても良い。
【0086】
また、1回の例外処理について算出した不正度を判定するための所定値Xと、不正度の累計値を判定するための所定値Yとを、異なる値としても良い。但し、所定値Xと所定値Yとの関係は、X≦Yであることが条件となる。また、同図の例では、顧客の識別情報として、顧客IDを用いているが、他の顧客情報(顔特徴量や声紋などの生体情報)を用いても良い。
【0087】
次に、図12および図13を参照し、不正発生パターンの書換えについて説明する。図12は、不正発生パターン(パターンA2)の発生順序定義例を示す図である。当該パターンA2は、店員が、顧客が受け取らなかったレシートを使って、レシートの売上額に相当する現金を着服し、着服した現金を共犯者である顧客に渡す手口に対応するものである。パターン2の「一致加算値」は、「15」と定義されているものとする。なお、「発生順序」に記載された「黒丸」は、その不正発生要素が検出対象ではあるが、発生順序が定義されていなことを意味する。また、「要素番号:E2」は、「各要素との間隔」に定義されているように、レジ監視カメラ9の撮像結果からレシートが認識された時点を基準とした前後所定時間内の撮像結果に基づいて、その「発生」が検出される。
【0088】
図13は、不正発生パターン(パターンA2)に対する検出結果、並びに不正度の算出結果を示す図である。同図の「発生/非発生、適合率」の欄に示す検出結果が得られた場合、異常値の合計値「17」に一致加算値「15」を加算して、不正度「32」と算出される。したがって、第1実施形態であれば、当該不正発生パターンに基づく警告は行われない。ところが、本実施形態では、対象顧客について記録用データーベース23に記録されている記録数が所定数を超えている場合、特定の不正発生要素についてその基礎点数を書き換える。本実施形態では、「要素番号:E2」が書換対象として定義されており、基礎点数を「20」から「100」に書き換えるものとする。この書換対象となる不正発生要素は、複数であっても良いし、不正発生パターンごとに定義可能としても良い。また、各不正発生要素の書換後の基礎点数は、全不正発生パターンに共通して設定しても良いし、不正発生パターンごとに設定可能としても良い。同図の例では、基礎点数の書換えによって、異常値の合計値が「73」に変更となる。したがって、一致加算値「15」を加算して、不正度が「88」と算出され、所定値を超えるため警告が行われる。なお、図8に示したパターンA1と、図13に示したパターンA2とで、各不正発生要素に割り当てられた基礎点数は同一であるが、不正発生パターンごとに異なる基礎点数を定義できるようにしても良い。
【0089】
次に、図14のフローチャートを参照し、第2実施形態に係る店舗監視システムSYの不正度記録処理の流れについて説明する。なお、本フローチャートは、図9に示したフローチャートに続けて実行されるものである。図9に示したフローチャートのS23において、算出された不正度が所定値を超える不正発生パターンが存在すると判定された場合は(S23:Yes)、オペレーター警告部68および管理者警告部75により警告を行う(S24)。一方、算出された不正度が所定値を超える不正発生パターンが存在しないと判定された場合は(S23:No)、過去の不正度の累計値が所定値を超えるか否かを判別し(S32)、超える場合は(S32:Yes)、警告を行う(S24)。
【0090】
また、過去の不正度の累計値が所定値を超えない場合は(S32:No)、続いて、対象顧客の例外処理の実行回数が所定数を超えるか否かを判別し(S33)、所定数を超える場合は(S33:Yes)、特定の不正発生要素の基礎点数を書き換える(S34)。なお、S33およびS34は、不正発生パターン書換部76により実行される工程である。その後、特定の不正発生要素を含む不正発生パターンについて不正度の再計算および記録を行う(S35,不正度算出部73,不正度記録部74)。なお、S35は、図9に示したフローチャートのS14ないしS22に相当する。その結果、算出された不正度が所定値を超える不正発生パターンが存在する場合は(S36:Yes)、警告を行う(S24)。また、算出された不正度が所定値を超える不正発生パターンが存在しない場合(S36:No)、並びに対象顧客の例外処理の実行回数が所定数を超えない場合は(S33:No)、警告を行うことなく、不正度記録処理を終了する。
【0091】
以上、第2実施形態に係る店舗監視システムSYによれば、算出した不正度を、顧客の識別情報と共に記録するため、当該記録から、その顧客が共犯者である可能性を推測することができる。これにより、共犯者を伴うような複雑な手口についても、その不正行為を容易に検出することができる。また、記録用データーベース23に記録されている記録数から、同一顧客について例外処理が実行された回数が所定数を超えたことが判定された場合、不正発生パターンに記述されている1以上の不正発生要素の少なくとも一部について、その基礎点数を増加するため、共犯者として不正行為を繰り返すような悪質な顧客を、確実に検出することができる。さらに、過去に警告が行われていない顧客であっても、不正度の累計が所定値を超えた場合は、共犯者である可能性があるため警告を行う。このように、不正記録を行うことで、1回の会計処理では判定が困難な手口(共犯者を伴う手口)についても検出可能となる。
【0092】
なお、上記の実施形態に記載した記録用データーベース23を、複数の店舗間において共有しても良い。この構成によれば、複数の店舗で犯行を繰り返すような共犯者についても、その不正行為を検出することができる。
【0093】
また、上記の実施形態では、例外処理の実行回数が所定数を超えた場合に、特定の不正発生要素の基礎点数を書き換えるものとしたが、基礎点数ではなく係数を書き換えても良い。また、基礎点数や係数など、特定の不正発生要素の重み付けを書き換えるのではなく、一致加算値を書き換える、または特定加算値をさらに加算する、などの方法を採用しても良い。また、閾値を複数設け、基礎点数、係数、一致加算値、特定加算値を、段階的に増加させても良いし、例外処理の実行回数をパラメーターとした所定の計算式(アルゴリズム)に基づいて、不正度を算出しても良い。
【0094】
なお、上記の実施形態では、不正度の累計値が所定値を超えた場合に警告を行ったが、例外処理の実行回数が所定数を超え、且つ不正度の累計値が所定値を超えた場合に警告を行っても良い。また、警告を行う条件や不正発生パターンを書き換える条件、並びにその場合の書換対象項目(上記の基礎点数、係数、一致加算値、特定加算値など)を、ユーザーが設定可能としても良い。
【0095】
また、上記の実施形態では、例外処理が行われた場合に、不正発生パターンの書換えや、不正度の累計値算出を行ったが、所定の例外処理の種別が発生したときのみに限定しても良い。つまり、例外処理検出部62で、所定の例外処理の種別が発生したと判定された場合のみ、不正発生パターンの書換えや、不正度の累計算出を行うようにしても良い。この構成によれば、共犯者を伴う不正手口として用いられる可能性の高い例外処理の種別を対象とすることで、効率的且つ効果的に不正検出を行うことができる。
【0096】
また、上記の実施形態では、顧客情報として、顔特徴量や声紋を用いると記載したが、その他、指紋、掌形、網膜、虹彩、血管(静脈パターン)、耳形などを用いても良い。このように、身体的特徴(静的情報)を用いることで、行動監視の必要がなく、容易に個人を特定することができる。
【0097】
また、上記の実施形態において、顧客検出部77は、レジ監視カメラ9の撮像結果に基づいて顧客の有無を検出したが、赤外センサーを用いて顧客の有無を検出しても良い。また、顧客に無線ICが組み込まれた会員カードを所持させ、カードリーダーによって会員カードを検出したか否かに応じて、顧客の有無を検出しても良い。この場合、カードリーダーは、レシートプリンター2または店舗内LAN13に接続される。
【0098】
以上、第1実施形態および第2実施形態を示したが、これらの各実施形態に示したフローチャート(店舗監視システムSYの不正度記録処理)の各ステップをプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、店舗監視システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0099】
また、上記の各実施形態では、本発明の不正度記録装置を、店舗内における不正防止のために用いたが、他の用途(店員の育成、管理)を目的としたシステムに適用しても良い。また、店舗管理サーバー12の各部を、POSシステムやWWWサーバーで実現しても良い。その他、上述した実施例によらず、店舗監視システムSYのシステム構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…POS端末 2…レシートプリンター 3…ハンディスキャナー 4…カードリーダー 5…店員用リストバンド 6…カスタマディスプレイ 6a…顧客用マイク 7…ヘッドセット 7a…店員用マイク 8…レシートスキャナー 9…レジ監視カメラ 10…レジカウンター 11…店内監視カメラ 12…店舗管理サーバー 13…店舗内LAN 23…記録用データーベース 33…管理者用携帯電話 45…発汗センサー 46…脈拍センサー 62…例外処理検出部 68…オペレーター警告部 71…不正発生パターン記憶部 72…不正発生検出部 73…不正度算出部 74…不正度記録部 75…管理者警告部 76…不正発生パターン書換部 77…顧客検出部 SY…店舗監視システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計処理部による会計処理時の顧客を検出する顧客検出部と、
前記会計処理時における店舗内の状況データーを検出する状況データー検出部と、
前記状況データー検出部の検出結果に基づいて、前記顧客の不正度を算出する不正度算出部と、
前記不正度算出部の算出結果を、前記顧客検出部により検出した顧客の識別情報と共にデーターベースに記録する不正度記録部と、を備えたことを特徴とする不正度記録装置。
【請求項2】
前記店舗内において想定される1以上の不正発生要素について、それぞれの重み付けである基礎点数を記述した不正発生パターンを記憶する不正発生パターン記憶部をさらに備え、
前記状況データー検出部は、前記1以上の不正発生要素について、それぞれ発生/非発生を検出し、
前記不正度算出部は、前記状況データー検出部により発生が検出された不正発生要素に対応する基礎点数を合計して、前記不正度を算出することを特徴とする請求項1に記載の不正度記録装置。
【請求項3】
前記会計処理部により、前記会計処理の一部の処理に相当する例外処理が発生したことを検出する例外処理検出部をさらに備え、
前記不正度算出部は、前記例外処理検出部により例外処理が検出されたことを条件として機能することを特徴とする請求項2に記載の不正度記録装置。
【請求項4】
前記例外処理は、前記会計処理部の会計処理中において入力データーをキャンセルするための「中止処理」、前記会計処理後に当該会計処理の取り消し行うための「取消処理」、前記商品の返品を行うための「返品処理」、前記商品の値引きを行うための「値引処理」、前記商品の割引きを行うための「割引処理」、および金銭の両替を行うための「両替処理」、キャッシュドロア内の金銭と売上を照合するための「点検処理」、出金または返金を行うための「出金/返金処理」、およびレシートを再発行するための「再発行処理」のうち、少なくとも1つの処理を含むことを特徴とする請求項3に記載の不正度記録装置。
【請求項5】
前記例外処理検出部は、例外処理の種別を検出し、
前記不正発生パターン記憶部は、前記例外処理の種別ごとに、前記不正発生パターンを記憶しており、
前記不正度算出部は、前記不正発生パターン記憶部から、前記例外処理検出部により検出された例外処理の種別に対応する前記不正発生パターンを抽出して、不正度を算出することを特徴とする請求項3または4に記載の不正度記録装置。
【請求項6】
前記データーベースに記録されている記録数から、同一顧客について、前記例外処理が実行された回数が所定数を超えたことが判定された場合、前記不正発生パターンに記述されている1以上の不正発生要素の少なくとも一部について、その基礎点数を増加する不正発生パターン書換部をさらに備え、
前記不正度算出部は、書換後の前記不正発生パターンに基づいて、前記不正度を算出することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の不正度記録装置。
【請求項7】
前記不正度算出部により、所定値以上の不正度が算出された場合、警告を行う警告部をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の不正度記録装置。
【請求項8】
前記データーベースに記録された同一顧客の前記不正度の累計が、所定値を超えた場合、警告を行う警告部をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の不正度記録装置。
【請求項9】
前記警告部は、前記顧客検出部の検出結果と、前記状況データー検出部により検出された状況データーと、を含む警告文書を、電子メールまたはWebアプリケーションを用いて、予め定められた管理者に通知することを特徴とする請求項7または8に記載の不正度記録装置。
【請求項10】
前記顧客の識別情報は、前記顧客の生体情報であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の不正度記録装置。
【請求項11】
前記データーベースは、複数の不正度記録装置において共有されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の不正度記録装置。
【請求項12】
会計処理部およびデーターベースを内部または外部に備えた不正度記録装置の制御方法であって、
前記会計処理部による会計処理時の顧客を検出する顧客検出ステップと、
前記会計処理時における店舗内の状況データーを検出する状況データー検出ステップと、
検出した前記状況データーに基づいて、前記顧客の不正度を算出する不正度算出ステップと、
前記不正度算出ステップによる算出結果を、前記顧客検出ステップにより検出した顧客の識別情報と共に前記データーベースに記録する不正度記録ステップと、を実行することを特徴とする不正度記録装置の制御方法。
【請求項13】
コンピューターに、請求項12に記載の不正度記録装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−118653(P2011−118653A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275225(P2009−275225)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】