説明

不織布の耳ロス再生設備及び再生方法

【課題】不織布シートから切り取られた耳部をその幅方向から掻き取って開繊できるようにして、耳部の再生効率を向上する。
【解決手段】不織布シートから切り落とされた耳部Sを蛇行状態で送る移送機7と、この移送機7から供給された蛇行状態の前記耳部Sをその幅方向から開繊する開繊機8と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布シートから切り落とされた耳部を開繊して再生繊維として再利用できるようにした不織布の耳部ロス再生設備及び再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した不織布の耳ロス再生設備として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られており、この耳ロス再生設備は、耳ロス回収ユニットと、耳ロス供給ユニットと、耳ロス開繊ユニットと、送綿ユニットとから主構成されている。
このうち、耳ロス回収ユニットは、不織布シートの製造ラインにおいて切り落とされた耳部を吸い込む吸引部と、この吸引部と連通するカッターと、耳部を吸引する動力源となる回収ファンとを有しており、耳ロス供給ユニットは、カッターによって切断された耳部を堆積(貯留)するためのタワー状のストックタンクと、このストックタンクに堆積された耳部を下方へ排出するフィードロールと、このフィードロールからの耳部を下流側へ搬送する供給コンベアと、この供給コンベアによって搬送されてきた耳部を一定の厚さに圧縮するプレスロールとを有している。
【0003】
また、耳ロス開繊ユニットは、プレスロールから搬送されてきた耳部を一定量ずつ送り出すフィードロールと、このフィードロールにより送り出された耳部を開繊して再生綿とする開繊機とを有しており、送綿ユニットは、再生綿を開繊機から吸引して搬送する送綿ファンと、この送綿ファンにより送り込まれた再生綿に原綿を所定の割合で混入させる混綿機とを有している。
従って、かかる不織布の耳ロス再生設備によれば、不織布シートから切り落とされた耳部は、カッターによって所定長さに切断されていったんストックタンクに堆積されたあと、プレスロールによって所定の厚さに圧縮されて開繊機に供給され、この開繊機の開繊ドラムで掻き取られることで再生綿として再生されるようになっている。
【特許文献1】特開平9−31760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の不織布シートでは内部の繊維が概ね長手方向に揃った状態になっているので、当該シートから切り出される耳部は、その長手方向の引っ張り強度の方が幅方向の引っ張り強度よりも大きくなっている。従って、このような性質を有する耳部を開繊する場合には、その耳部の長手方向が開繊ドラムの回転方向に沿うよう開繊機に供給するよりは、同耳部の幅方向が開繊ドラムの回転方向に沿うように開繊機に供給する方が耳部から繊維を掻き取りやすくなり、耳部の再生効率が上がることになる。
しかし、上記従来の耳ロス再生設備では、不織布シートから切り落とされた耳部をカッターで所定長さに切断し、この所定長さの耳部をいったんストックタンクに落とし込んでから開繊機にかけるようにしているので、その所定長さの耳部はストックタンク内においてランダムに曲がりくねった状態で堆積されて開繊機に送られるようになっている。このため、従来の耳ロス再生設備では、ストックタンクの下方から出てきた耳部が供給コンベアを介して開繊ドラムの回転方向に対して任意の方向に向いた状態でしか供給することができず、この点で再生効率をさほど向上することができないという欠点があった。
【0005】
また、切断された耳部をストックタンク内にランダムに堆積させた場合、切断された耳部がストックタンク内の任意の位置に偏在してしまうことが多い。このため、開繊ドラムにおける一部の胴長部分に対して耳部が集中的に供給され、その一部の胴長部分でしか耳部の掻き取りが行えないことがあり、この点も耳部の再生効率を余り向上できない原因となっている。
本発明は、このような実情に鑑み、不織布シートから切り取られた耳部をその幅方向から掻き取って開繊できるようにして、耳部の再生効率を向上することを目的とする。
【0006】
更に、本発明は、耳部が開繊ドラムの胴長方向にほぼ均等に行き渡るように同耳部を開繊機に供給できるようにして、耳部の再生効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
第1に、不織布シートから切り落とされた耳部Sを蛇行状態で送る移送機7と、この移送機7から供給された蛇行状態の前記耳部Sをその幅方向から開繊する開繊機8と、を備えていることを特徴とする。
第2に、不織布シートから切り落とされた耳部Sを下流側に連続的に搬送するための駆動源となる搬送機2,3と、この搬送機2,3によって下流側に搬送されている前記耳部Sをその搬送方向と交差する方向に蛇行させるストックタンク6と、このストックタンク6内で蛇行した前記耳部Sをその蛇行した状態のまま下流側に送る移送機7と、この移送機7から供給された蛇行した状態の前記耳部Sをその幅方向から開繊する開繊機8と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第3に、蛇行される耳部Sの蛇行幅Wが開繊機8の開繊ドラム30の胴長とほぼ同じとなるように設定されていることを特徴とする。
第4に、ストックタンク6は、縦向きに配置された上下方向に長い中空タワー状のシュート部材により構成されていることを特徴とする。
第5に、次の工程a〜cを含むことを特徴とする。
a 不織布シートから切り落とされた耳部Sを切断せずに連続的に搬送する第一工程、
b 前記耳部Sを搬送途中においてその搬送方向と交差する方向に蛇行させる第二工程、
c 蛇行した状態の前記耳部Sをその幅方向から開繊して再生繊維を得る第三工程。
【0009】
第6に、第二工程において蛇行される耳部Sの蛇行幅Wが第三工程において開繊を行う開繊ドラム30の胴長とほぼ同じとなるように設定されていることを特徴とする。
また、本発明は次のような特徴を有する。
本発明の耳ロス再生設備は、不織布シートから切り落とされた耳部を下流側に連続的に搬送するための駆動源となる搬送機と、この搬送機によって下流側に搬送されている前記耳部をその搬送方向と交差する方向にスイングさせる分配機と、この分配機でスイングさせた前記耳部が蛇行した状態で堆積されるストックタンクと、このストックタンク内で蛇行した状態で堆積している前記耳部をその蛇行した状態のまま下流側に送る移送機と、この移送機から供給された蛇行した状態の前記耳部をその幅方向から開繊する開繊機と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記の耳ロス再生設備によれば、(a)不織布シートから切り落とされた耳部を切断せずに連続的に搬送する第一工程、(b)前記耳部をその搬送途中においてその搬送方向と交差する方向にスイングさせることにより前記耳部を蛇行した状態で堆積させる第二工程、及び、(c)蛇行した状態の前記耳部をその幅方向から開繊して再生繊維を得る第三工程を経て、不織布シートの耳部が再生繊維として再生されることになる。
上記の本発明によれば、切断されずに連続的に搬送されている耳部をスイングさせることによって蛇行した状態に堆積させ、そのように蛇行した状態の耳部をその幅方向から開繊するようにしているので、開繊ドラムによって繊維がなるべく剥離しやすい方向から耳部を掻き取ることができ、耳部の再生効率を向上することができる。
【0011】
また、上記の本発明において、蛇行した状態で堆積される耳部の蛇行幅を開繊機の開繊ドラムの胴長とほぼ同じとなるように設定すれば、その蛇行状態の耳部が開繊ドラムの胴長方向にほぼ均等に行き渡るように当該耳部を開繊機に供給することができる。このため、開繊ドラムのすべての胴長部分を満遍なく使用して耳部を掻き取ることができ、この点で、耳部の再生効率を更に向上することができる。
一方、本発明の耳ロス再生設備において、分配機の下流側に配置されるストックタンクは、縦向きに配置された上下方向に長い中空タワー状のシュート部材により構成することが好ましい。かかる構造のストックタンクを採用すれば、前記した第二工程においてスイングされた直後の耳部を下方に落とし込んで堆積させることになるので、搬送方向に連続している耳部がストックタンク内で振り分けられやすくなり、耳部を所望の蛇行状態にきっちりと堆積させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、不織布シートから切り取られた耳部をその幅方向から掻き取って開繊できるので、耳部の再生効率を向上することができる。また、本発明によれば、耳部が開繊ドラムの胴長方向にほぼ均等に行き渡るように同耳部を開繊機に供給できるので、この点においても、耳部の再生効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を採用した第一実施形態に係る不織布の耳ロス再生設備1の概略構成図である。また、図2は、その再生設備1における輸送ファン9までの部分の側面図であり、図3(a)は、その再生設備1における図2に相当する部分の平面図である。
これらの各図に示すように、本実施形態の耳ロス再生装置1は、上流側(図1の左側)から順に、エジェクタファン2及びエジェクタ3よりなる搬送機、耳部供給機4、分配機5、ストックタンク6、移送機7、開繊機8、輸送ファン9及びマルチミキサ10をそれぞれ空気輸送配管で接続することによって構成されている。
【0014】
この再生設備1の構成機器のうち、上記エジェクタファン2は、不織布シートから切り落とされた耳部Sを下流側に連続的に搬送するための駆動源となるものであり、このエジェクタファン2の空気噴出口はサイレンサ12を介してエジェクタ3に接続されている。
このエジェクタ3は、耳部Sが上方から挿入される受け入れ部と下流側に突出する出口部を有するL型管13と、このL型管13の内部にファン2からの搬送空気を送り込む増速管14とからなり、L型管13の受け入れ部から挿入された耳部Sは、増速管14で増速された搬送空気とともにL型管13の出口部から噴出されて下流側に搬送されるようになっている。なお、上記エジェクタファン2からの搬送空気は、ストックタンク6の上端部に接続したメッシュ管よりなるエアセパレータ15から外部に排気される。
【0015】
本実施形態の耳部供給機4は、不織布シートの製造ラインから発生した耳部Sを予めロール状に巻き取ってある耳部ロール16を一定速度で巻き戻しながらエジェクタ3に供給するものであり、一対の架台17間に回転自在に架設された複数本の支持ロール18を備えている。この支持ロール18上に載せられた耳部ロール16からの耳部Sは、図示しない繰り出しロールによって一定速度で巻き戻されてエジェクタ3の受け入れ部に供給される。
この耳部供給機4の支持ロール18には複数本の耳部ロール16が載置されており、これらの各耳部ロール16から巻き戻された複数本の耳部Sは一つに束ねられて一緒にエジェクタ3の受け入れ部に供給される。なお、図例では、耳部供給機4をタンデムに2台並設しているが、これらの台数は任意に変更することができる。
【0016】
エジェクタ3の出口部は、エルボー管を介して縦向きの立ち上がり管路19に通じており、この立ち上がり管路19の上端部は、エルボー管を介して横向きの拡幅管路20に通じており、この拡幅管路20の下流部はエルボー管及びエアセパレータ15を介して縦向きの前記ストックタンク6に通じている。図3に示すように、分配機5は、横向きの上記拡幅管路20内に揺動自在に収納された分配管22と、この分配管22を左右に往復動させるための駆動機構23とを備えている。
この分配管22は、上流側から下流側に向かって漸次幅が狭まるテーパー管よりなり、その上流側端部を縦方向の回転軸(図示せず)を介して拡幅管路20の内部に揺動自在に取り付けることにより、その下流側端部が左右方向に首振り自在となっている。このため、立ち上がり管路19から搬送されてきた耳部Sを首振り自在な上記分配管22の内部を通過させて更に下流側に搬送することにより、当該耳部Sがその搬送方向と交差する左右方向にスイングされ、その下流側のストックタンク6内において左右に蛇行した状態で堆積するようになっている(図1のA円内及び図3(b)参照)。
【0017】
なお、このストックタンク6内において左右に蛇行した状態で堆積される耳部Sの蛇行幅W(分配管22のスイングストロークとほぼ同じ。)は、後述する開繊ドラム30の胴長とほぼ同じとなるように設定されている。
ストックタンク6は、縦向きに配置された上下方向に長い中空タワー状のシュート部材によりなり、拡幅管路20と同様に、左右方向寸法の方がそれに直交する前後方向寸法よりも大きい長方形状の内空断面を有している。このストックタンク6の上端部には前記エアセパレータ15が接続され、同タンク6の下端部内には、前後一対のストックロール24が設けられている。このため、ストックタンク6内に蛇行した状態で堆積している耳部Sは、ストックロール24によって排出量を調節されながら、順次、下流側の移送機7に送られる。なお、ストックタンク6の上端部には、その内部の耳部Sの最大堆積量を検出するための光電管よりなる検出センサ26が設けられている。
【0018】
移送機7は、開繊機8を構成するボックス本体27内に配置され、ストックロール24からの耳部Sを受け止めて下流側に送る水平方向のコンベア28と、このコンベア28の下流側に設けたプレスロール29とを備えている。移送機7のコンベア28は、その上流側に位置するストックタンク6及びその下流側に位置する後述する開繊ドラム30と左右方向の中心が一致するように配置されている。このため、図1のB円内に示すように、ストックタンク6内で左右に蛇行した状態で堆積している耳部Sは、当該移送機7によってその蛇行した状態のまま下流側の開繊機8に送られるようになっている。
【0019】
開繊機8は、内部が中空のボックス本体27と、このボックス本体27内に左右方向の軸心回りに回転自在に収納された開繊ドラム30と、この開繊ドラム30の周囲に設けられたワーカーロールやストリッパーロール等の各種ロール31とを備えており、移送機7から供給されてきた左右に蛇行した状態の耳部Sを、開繊ドラム30の周面に設けた開繊爪で耳部Sの幅方向から掻き取ることにより、当該耳部Sを開繊して再生繊維を得るようになっている。
この開繊機6のボックス本体27には輸送ダクト32を介して前記輸送ファン9が接続されている。開繊機8で開繊された再生繊維は、この輸送ファン9によって下流側のマルチミキサ10に送られる。このマルチミキサ10は、再生繊維の貯留タンク33及びバージン繊維の貯留タンク34と、これらの両タンク33,34内の繊維を所定の割合で混合する混合部35とを備えており、この混合部35において調製された繊維原料を製造ラインに送ることにより、新たな不織布シートが製造されるようになっている。
【0020】
次に、上記の構成を有する本実施形態の不織布の耳ロスの再生設備による再生方法とその作用を説明する。
まず、耳部供給機4によって耳部ロール16から巻き戻された耳部Sは、エジェクタ3からの搬送空気によって下流側に連続的に空気搬送され、立ち上がり管路19内を上昇して拡幅管路20内の分配管22を通過する。このさい、分配管22は左右方向に所定の周期で揺動しているので、分配管22を通過した耳部Sは左右方向にスイングされ(図3(b)参照)、左右に蛇行した状態でストックタンク6内に堆積する。
【0021】
その後、ストックタンク6内で蛇行状態で堆積している耳部Sは、移送機7のコンベア28によってその蛇行状態のまま開繊機8に送られ、その内部の開繊ドラム30によって幅方向に掻き取られて開繊され、これによって得られた再生繊維が輸送ファン9を介してマルチミキサ10の貯留タンク33に送られる。
このように、本実施形態の耳ロス再生設備1によれば、切断されずに連続的に搬送されている耳部Sを左右方向にスイングさせて蛇行した状態に堆積させ、そのように蛇行した状態の耳部Sをその幅方向から開繊するようにしているので、開繊ドラム30によって繊維がなるべく剥離しやすい方向から耳部を掻き取ることができ、耳部Sの再生効率を向上することができる。
【0022】
また、本実施形態では、蛇行した状態で堆積される耳部Sの蛇行幅Wを開繊ドラム30の胴長とほぼ同じとなるように設定しているので、蛇行状態の耳部Sが開繊ドラム30の胴長方向にほぼ均等に行き渡るように当該耳部Sが開繊機8に供給される。このため、開繊ドラム30のすべての胴長部分を満遍なく使用して耳部Sを掻き取ることができ、この点においても耳部Sの再生効率を向上させるようにしている。
更に、本実施形態では、分配機5の下流側に配置されるストックタンク6が縦向きに配置された上下方向に長い中空タワー状のシュート部材よりなるので、分配管22によって左右方向にスイングされた直後の耳部Sを下方に落とし込みながらストックタンク6内に堆積する。このため、搬送方向に連続している耳部Sがストックタンク6内で左右に振り分けられやすくなり、耳部Sを所望の蛇行状態にきっちりと堆積させることができるという利点もある。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、エジェクタファン2及びエジェクタ3よりなる搬送機を採用しているが、所定の空気搬送能力が確保できる限り、吸い込み式ファンを用いた搬送機を使用することもできる。
また、上記実施形態では、耳部ロール16を巻き戻して耳部Sを供給するバッチ式の耳部供給機4を採用しているが、不織布シートの製造ラインのカッターの上方に設けた吸引ダクトによって耳部Sをそのまま吸い込む連続式の耳部供給機(例えば、特開平9−31760号公報に記載のもの。)を採用することもできる。
【0024】
図4は、本発明を採用した第一実施形態に係る不織布の耳ロス再生設備1の概略構成図である。図1に示す第一実施形態と図4に示す第二実施形態との相違点は次の二点であり、その他の装置構成については両実施形態で共通している。
(1) 前者では、製造ラインから発生した耳部Sを予めロール状に巻き取ってある耳部路6を巻き戻してエジェクタ3に供給するオフライン方式(バッチ方式)の耳部供給機4を採用しているのに対して、後者では、製造ラインで発生した耳部Sをストックしないで直接エジェクタ3に供給するインライン方式(連続方式)の耳部供給機4を採用している点。
【0025】
(2) 前者では、開繊機8から出てきた再生繊維がマルチミキサ10の貯留タンク33に供給されているのに対して、同再生繊維がマルチミキサ10とは別個独立の貯留タンク33に供給されている点。
そこで、以下においては、上記相違点に係る構成を重点的に説明し、両実施形態で共通する部分については、図面に同一符号を付して重複説明を省略することとする。
本実施形態の耳部供給機4は、製造ラインにおいて切断された耳部Sを上方へ吸い込む左右一対の吸引ノズル37と、このノズル37から送られてきた耳部Sの進路をエジェクタ3へ振り向けるためのカッター38A付きのガイド管38とを備えている。本実施形態の変向ガイド管38は、耳部Sの進路をエジェクタ3側と廃棄側のいずれか一方へ切り換える機能を有している。
【0026】
そして、上記の切り換え機能を有する本実施形態のガイド管38は、ストックタンク6に設けた検出センサ26からの信号を受けて、耳部Sをカッター38Aで切断してから廃棄側に切り換わるようになっていて、廃棄側に切り換えられた当該ガイド管38を通過した耳部Sは、その下流側に設けたカッター39で所定長さに切断された後、輸送ファン40によってベーラー(図示せず)に送られるようになっている。
また、本実施形態の貯留タンク33には複数系列の耳ロス再生設備1が接続されており、この貯留タンク33内にいったん貯留された再生繊維は、図示しない輸送ファンによって混合機に送られ、バージン繊維と混合されて製造ラインに送られるようになっている。
【0027】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記各実施形態では、エジェクタファン2及びエジェクタ3よりなる搬送機を採用しているが、所定の空気搬送能力が確保できる限り、管路の途中に吸い込み式ファンを設けてなる搬送機を使用することもできる。
更に、上記実施形態では、耳部Sを左右方向にスイングさせて蛇行した状態に堆積させているが、耳部Sをスイングさせる方向は、その耳部Sを蛇行状態に堆積できる限り特に制約はなく、蛇行状態に連続的に搬送されている当該耳部Sの搬送方向と交差する任意の方向であればよい。
【0028】
また、上記実施形態では分配管22を水平方向の拡幅管路20内に収納しているが、同分配管22は、縦向きのストックタンク6の上部に上下方向に向けた状態で配置することもできる。
なお、本発明は、繊維に方向性があるカードウェブだけでなく、かかる方向性のないスパンボンドやニードルパンチ等の不織布から得られた耳部の再生方法として採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を採用した第一実施形態に係る不織布の耳ロスの再生設備の概略構成図である。
【図2】上記再生設備における輸送ファンまでの部分の側面図である。
【図3】(a)は上記再生設備における輸送ファンまでの部分の平面図であり、(b)は分配管の動作説明図である。
【図4】本発明を採用した第二実施形態に係る不織布の耳ロスの再生設備の概略構成図である。
【符号の説明】
【0030】
1 耳ロス再生設備
2 エジェクタファン
3 エジェクタ
4 耳部供給機
5 分配機
6 ストックタンク
7 移送機
8 開繊機
30 開繊ドラム
S 耳部
W 蛇行幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布シートから切り落とされた耳部(S)を蛇行状態で送る移送機(7)と、
この移送機(7)から供給された蛇行状態の前記耳部(S)をその幅方向から開繊する開繊機(8)と、
を備えている不織布の耳ロス再生設備。
【請求項2】
不織布シートから切り落とされた耳部(S)を下流側に連続的に搬送するための駆動源となる搬送機(2,3)と、
この搬送機(2,3)によって下流側に搬送されている前記耳部(S)をその搬送方向と交差する方向に蛇行させるストックタンク(6)と、
このストックタンク(6)内で蛇行した前記耳部(S)をその蛇行した状態のまま下流側に送る移送機(7)と、
この移送機(7)から供給された蛇行した状態の前記耳部(S)をその幅方向から開繊する開繊機(8)と、
を備えている不織布の耳ロス再生設備。
【請求項3】
蛇行される耳部(S)の蛇行幅(W)が開繊機(8)の開繊ドラム(30)の胴長とほぼ同じとなるように設定されている請求項1又は2に記載の不織布の耳ロス再生設備。
【請求項4】
ストックタンク(6)は、縦向きに配置された上下方向に長い中空タワー状のシュート部材により構成されている請求項2に記載の不織布の耳ロス再生設備。
【請求項5】
次の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする不織布の耳ロス再生方法。
(a) 不織布シートから切り落とされた耳部(S)を切断せずに連続的に搬送する第一工程、
(b) 前記耳部(S)を搬送途中においてその搬送方向と交差する方向に蛇行させる第二工程、
(c) 蛇行した状態の前記耳部(S)をその幅方向から開繊して再生繊維を得る第三工程。
【請求項6】
第二工程において蛇行される耳部(S)の蛇行幅(W)が第三工程において開繊を行う開繊ドラム(30)の胴長とほぼ同じとなるように設定されている請求項5に記載の不織布の耳ロス再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−177388(P2007−177388A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32082(P2007−32082)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願2001−358353(P2001−358353)の分割
【原出願日】平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願人】(390013457)株式会社辰巳エヤーエンジニアリング (13)
【Fターム(参考)】