説明

不織布

【課題】本発明の目的は、分散化が非常に困難であったナノファイバーレベルの超極細繊維を、不織布の表面に分散させることにより、従来の極細繊維では達成し得なかった優れた研磨特性やワイピング性、フィルター性能などを示す不織布を提供することにある。
【解決手段】繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数の割合が90〜99.99%、繊維径が1μm〜10μmの繊維(B)の本数の割合が0.01〜10%で構成される不織布であって、表面に露出した極細繊維(A)間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観測し、該極細繊維が200本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で300ヶ所以上存在することを特徴とする不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布に関する。さらに詳しくは、本発明は従来の極細繊維では達成し得なかった高性能研磨布やワイパー、フィルター用途に好適に用いられる不織布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に代表されるポリエステルや、ナイロン6(N6)に代表されるポリアミドは適度な力学特性と耐熱性を有するため、これまで衣料用途や産業資材用途向け不織布の繊維として好適に用いられてきた。
【0003】
これらポリエステルやポリアミドを用い、繊維の断面形状の異形化や極細化による性能向上の検討も活発に行われており、代表的なものとして海島型複合紡糸を用いて得られた極細糸からなるスエード調人工皮革が挙げられる。近年では、極細糸を不織布に適用する試みが積極的に行われており、衣料用途、フィルター、ワイパーなどの資材用途に適用されてきた。衣料用途では更なる風合いの向上、資材用途では各種性能向上のため、さらなる極細糸が切望されている。しかしながら、従来の海島型複合紡糸技術では単繊維繊度が10−3dtexオーダーが限界であり、上記ニーズに充分に応えられるレベルではなかった(特許文献1)。
【0004】
極細糸を得る技術としてポリマーブレンド繊維を用いた方法が開示されており(特許文献2)、単繊維繊度は最も細いもので10−4dtexオーダーの超極細繊維が得られている。しかし、ここで得られる超極細繊維の単繊維繊度はポリマーブレンド繊維中での島ポリマーの分散状態で決定されるが、該公報で用いられるポリマーブレンド系では島ポリマーの分散が不十分であるため、得られる超極細繊維の単繊維繊度のばらつきは大きいものであった。
【0005】
ところで、不織布を構成する繊維を極細化する技術として、近年、脚光を浴びているものにエレクトロスピニングという技術がある。
【0006】
これは、ポリマーを電解質溶液に溶解し、口金から押し出すものであるが、その際、ポリマー溶液に数千〜3万ボルトという高電圧を印加し、ポリマー溶液の高速ジェットおよびそれに引き続くジェットの折れ曲がり、膨張により極細化する技術である。この技術を用いると、単繊維繊度は10−5dtexオーダー(単繊維直径で数十nm相当)と従来のポリマーブレンド技術によるものに比べ、繊度で1/100以下、直径で1/10以下にすることができる場合もある。対象となるポリマーはコラーゲン等の生体ポリマーや水溶性ポリマーが大半であるが、熱可塑性ポリマーを有機溶媒に溶解してエレクトロスピニングする場合もある。しかしながら、「Polymer,vol.40,4585(1999)」に記載されているように、超極細糸部分であるストリング(string)はポリマー溜まり部分であるビード(bead)(直径0.5μm)により連結されている場合が多く、超極細糸としてみた場合に不織布中の単繊維繊度に大きなばらつきがあった。このため、ビード(bead)の生成を抑制して繊維径を均一にしようという試みもなされているが、そのばらつきはいまだに大きいものであった(非特許文献1)。
【0007】
また、エレクトロスピニングで得られる不織布は繊維化の過程で溶媒が蒸発することで得られるため、その繊維は配向結晶化していない場合が多く、強度も通常の不織布に比べてごく弱いものであり、応用展開に大きな制約があった。さらに、エレクトロスピニングは製法としても大きな問題を抱えており、得られる不織布の大きさはせいぜい100cm程度であること、また、生産量が最大でも数g/時間と通常の溶融紡糸に比べ非常に低いという問題があった。さらに、高電圧を必要とすること、また、有機溶媒や超極細糸が空気中に浮遊するという問題があった。
【0008】
こうした背景において近年、繊度ばらつきが小さく、安定的に供給可能な超極細繊維を得る手段として、島成分がナノオーダーで海成分中に均一に微分散したポリマーアロイ繊維を用いたナノファイバーからなる不織布が開示されている(特許文献3)。しかし、該極細繊維は単繊維繊度が10−5dtexオーダーであり、従来にないレベルの超極細繊維ではあるが、該極細繊維はナノファイバー単位ではほとんど分散しておらず、海成分除去前のポリマーアロイ繊維由来の繊維束を形成している。そのため、繊維束としての性質が支配的となり、超極細繊維としての特性を充分発揮できるものではなかった。
また開繊性、形状安定性に優れたナノファイバー混繊糸として、極細糸の周囲にナノファイバーを配した混繊糸が開示されている(特許文献4)。しかしながら、ナノファイバーの分散性は若干向上しているものの、充分な分散性が得られるものではなかった。
【特許文献1】特開2002−273650号公報
【特許文献2】特許第3457478号公報
【特許文献3】特開2005−256267号公報
【特許文献4】特開2005−23466号公報
【非特許文献1】Polymer、43巻、4403頁(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、分散化が非常に困難であったナノファイバーレベルの超極細繊維を、不織布の表面に分散させることにより、従来の極細繊維では達成し得なかった優れた研磨特性やワイピング性、フィルター性能などを示す不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数の割合が90〜99.99%、繊維径が1μm〜10μmの繊維(B)の本数の割合が0.01〜10%で構成される不織布であって、表面に露出した極細繊維(A)間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観測し、該極細繊維(A)が200本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で300ヶ所以上存在することを特徴とする不織布。
【0011】
(2)前記極細繊維(A)と繊維(B)がともに表面に露出しており、かつ不織布内部に存在していることを特徴とする前記(1)に記載の不織布。
【0012】
(3)前記極細繊維(A)と繊維(B)が、重縮合系ポリマーであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の不織布。
【0013】
(4)前記重縮合系ポリマーがポリエステルまたはポリアミドからなることを特徴とする前記(3)に記載の不織布。
【0014】
(5)前記不織布がスパンボンド法により製造された長繊維不織布から得られることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の不織布。
【0015】
(6)前記繊維(B)が分割型複合繊維であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の不織布。
【0016】
(7)10〜400g/mの範囲の目付を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の不織布。
【0017】
(8)0.1〜0.5g/cmの範囲の見掛け密度を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の不織布。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、分散化が非常に困難であったナノファイバーレベルの超極細繊維を、不織布の表面に分散させることにより、従来の極細繊維では達成し得なかった優れた研磨特性やワイピング性、吸着特性などを示す不織布を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
【0020】
本発明の不織布は、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数の割合が90〜99.99%、繊維径が1μm〜10μmの繊維(B)の本数の割合が0.01〜10%で構成される不織布であって、表面に露出した極細繊維(A)間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観測し、該極細繊維が200本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で300ヶ所以上存在することを特徴とする不織布である。
【0021】
ここで、本発明でいう極細繊維とは、繊維径が1〜500nm(比重1.14g/cmのN6の場合、単繊維繊度が1×10−8〜2.3×10−3dtex)のナノファイバーレベルの極細繊維(A)であり、形態的にはその単繊維がバラバラに分散したものが大部分を占めるが、単繊維が部分的に結合しているもの、あるいは複数の単繊維が凝集した集合体などの全ての総称であって、その繊維長や断面形態などには限定がないものである。
【0022】
本発明では、この極細繊維(A)の繊維径が1〜500nmであることが重要である。これは極細繊維からなる不織布の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率20000倍で観察し、同一横断面内で無作為に抽出した150本の単繊維直径を測定するものである。
【0023】
ここで、単繊維繊度の平均値は以下の方法で求めることができる。すなわち、測定した単繊維直径から繊度を計算し、平均値を求める。これを本発明では「数平均による単繊維繊度」と呼ぶ。本発明では、数平均による単繊維繊度が1×10−8〜2.3×10−3dtex(円形断面の単繊維直径で1〜500nm相当)であることが重要である。これは従来の海島型複合紡糸による極細繊維に比べ1/10〜1/100という細さであり、従来の極細繊維では得られなかった緻密な表面感、平滑性をもつ不織布を得ることができる。
【0024】
本発明では、不織布を構成する繊維の本数の割合の90%以上が繊維径1〜500nmの極細繊維(A)であることが重要である。これにより極細不織布の特性を充分発揮できるだけでなく、製品の品質安定性も良好とすることができるため、好ましい。さらに好ましくは極細繊維(A)が98%以上、より好ましくは99%以上である。
【0025】
本発明の不織布を構成する繊維の内、繊維径が1〜500nmの範囲内の繊維(A)の本数割合は、以下のようにして評価する。
【0026】
すなわち、極細繊維を含む不織布の表面を(株)キーエンス社製 VE−7800型SEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影し、明らかな欠点ヶ所は除いて無作為に0.01mmの範囲を抽出し、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数を数えるものである。このとき、極細繊維(A)の本数が200本以上存在する表面についてのみ評価するものとする。同様にして繊維(B)の本数を数えるが、極細繊維(A)により完全に被覆されているもの(わずかに表面が起伏している状態)についてはカウントせず、表面に露出した繊維(B)についてのみカウントするものとする。合計10枚の表面写真を測定し、各写真について(A)、(B)それぞれの本数測定を行い、平均値を小数点第二位で四捨五入するものである。得られたそれぞれの繊維本数の合計から、極細繊維(A)の本数割合を小数点第二位で四捨五入して求める。
【0027】
本発明の不織布は、不織布の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観測し、該極細繊維が200本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、表面に露出した繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)間の交差点が、平均で300ヶ所以上存在していることが重要である。ここで表面繊維の分散性は以下の方法で求めることができる。すなわち、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)を200本以上含む不織布の表面をSEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影し、明らかな欠点ヶ所は除いて無作為に繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)が200本以上存在する0.01mmの範囲を抽出し、不織布の表面に露出した繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の繊維間の交差点をカウントする。合計10枚の表面写真を測定し、各写真についてカウントを行い、平均値を小数点第一位で四捨五入するものである。このとき、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し、極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチなどにより大きな穴を形成している部分は避け、判定に用いないものとする。ここでいう極細繊維間の交差点とは、分散した極細繊維の1本と1本が交差する点であり、交差角の鋭角が20°以上である交差点である。繊維が部分的に合流している箇所や、交差せずに並行している部分、フィブリル化した部分は除くものとする。また、極細繊維が2本以上凝集して形成される束同士の交差点、あるいは束状部分と極細繊維1本の間の交差点もカウントしない。なお、極細繊維が数百本単位で凝集した束の表面で、部分的に分散した極細繊維間の交差点についてはカウントするものとする。また、同一表面に存在する繊維(B)同士の交差点、並びに繊維(A)と繊維(B)の交差点もカウントしない。
【0028】
ここで、表面の極細繊維(A)間の交差点は300ヶ所以上存在することが必要であり、より好ましくは500ヶ所以上である。上限については特に限定されないが、好ましい上限値としては10000ヶ所である。繊維径が1〜500nmの超極細繊維が表面に分散することで、従来の極細繊維では達成し得なかった優れた研磨性能やワイピング性能、フィルター性能などを示すからである。本発明の不織布の表面写真の一例を図1に示す。
【0029】
本発明の不織布を構成する極細繊維は熱可塑性ポリマーが好ましく、熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられるが、ポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、より好ましい。ポリマーの融点は165℃以上であると、極細繊維の耐熱性が良好となるため好ましい。例えば、PETは255℃、N6は220℃、ポリ乳酸(PLA)は170℃である。また、ポリマーには粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させても良いし、ポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
【0030】
本発明の不織布を構成する繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)はポリマーアロイ繊維から得ることができる。ここで繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の前駆体であるポリマーアロイ繊維は、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体を用いて得た海島型繊維であることが好ましい。このポリマーアロイ繊維中では易溶解性ポリマーが海(マトリックス)、難溶解性ポリマーが島(ドメイン)をなし、その島サイズを制御することが重要である。ここで、島サイズとは、ポリマーアロイ繊維の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、直径換算で評価したものである。前駆体中での島サイズによりナノファイバーレベルの極細繊維の直径がほぼ決定されるため、島サイズの分布は極細繊維の直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化するポリマーの混練が非常に重要であり、混練押出機や静止混練機等によって高混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンド(特許文献2)では混練が不足するため、数十nmレベルで島を分散させることは困難である。
【0031】
具体的には、混練を行う際の目安としては、組み合わせるポリマーにも寄るが、混練押出機を用いる場合には、2軸押出混練機を用いることが好ましく、静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。
【0032】
島ドメインを円形に近づけるためには、ポリマーの組み合わせも重要となる。島成分ポリマーと海成分ポリマーは非相溶であることが好ましいが、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島成分ポリマーが充分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメーター(SP値)である。ここで、SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近いもの同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島成分の円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えば、N6とPLAはSP値の差が2(MJ/m1/2程度であり好ましい例であるが、N6とポリエチレン(PE)はSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
【0033】
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの溶融粘度を海に比べて低く設定すると剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島成分ポリマーの微分散化が進みやすく超極細化の観点からは好ましい。ただし、島成分ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島成分ポリマー粘度は海成分ポリマー粘度の1/10〜2の範囲とすることが好ましい。
【0034】
なお、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)を表面に分散させる為には、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)を発生する前駆体であるポリマーアロイ繊維の単繊維繊度を0.5dtex以下とすることが好ましい。0.5dtex以下とすることで繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)間の凝集力が低下し、極細繊維発生加工時に分散化しやすくなるからである。
【0035】
また、本発明の不織布の構成としては、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)だけでなく、繊維径が1μm〜10μm(N6では単繊維繊度0.01〜1.0dtex程度)の繊維(B)も含んでなることが重要である。すなわち、不織布中に繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)よりも直径が大きい他の繊維が存在することにより、極細繊維のみでは得られなかった効果の発現が期待できるからである。繊維(B)の繊維径の範囲は好ましくは2〜10μm(N6では約0.05〜1.0dtex程度)である。1μm以上とすることで不織布に充分な力学強度安定性、寸法安定性、耐久性を付与することができ、10μm以下とすることで繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の特性を充分に発揮させることが可能となるからである。
【0036】
繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)に対し、他の繊維(B)の混合割合は、繊維本数の割合として0.01〜10重量%の範囲が好ましい。他の繊維(B)の本数の割合を0.01重量%以上とすることで、充分な力学強度安定性、寸法安定性、耐久性が得られ、10重量%未満とすることで繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の特性を生かすことができる為である。他の繊維(B)の本数の割合はより好ましくは0.05〜1重量%の範囲である。
【0037】
他の繊維(B)と極細繊維(A)を組み合わせる方法としては特に限定されるものではないが、積層型、貼り合わせ型、混合型などを適宜選択することができる。なかでも混合型が好ましい。
ここでいう混合型とは繊維径1〜500nmの極細繊維(A)と繊維径1〜10μmの他の繊維(B)が混合し合って不織布が形成されていることを示す。混合方法としては例えば極細繊維(A)と他の繊維(B)を混綿してからニードルパンチや高圧水流により絡合させる方法、混合抄紙する方法、または分割型繊維を用い一成分にポリマーアロイ、もう一成分に他の繊維(B)を用い、種々の不織布を作製する方法などを適宜選択することができるが、中でも分割型複合繊維を用いる方法がポリマーアロイ繊維の単繊維繊度を細く、さらに繊維(B)を簡便に細繊度化することができ、かつ低コストで混合させることができるため好ましい。
本発明の不織布は、不織布内部に繊維径1〜500nmの極細繊維(A)が存在していることが好ましい。不織布表層のみに極細繊維(A)が存在している場合、インテリア用途、車両内装用途、生活資材、産業資材用途ワイピングや研磨などのいずれの用途においても該極細繊維が剥がれ落ちる可能性が高く、実用性が低いものとなるためである。不織布内部に該極細繊維を存在させるためには上述したように混合型による不織布形成が好ましい。
【0038】
不織布の形態安定性を考えると、本発明の不織布の目付は10〜500g/mの範囲であることが好ましく、50〜400g/mであることがより好ましい。10g/m以上とすることにより充分な引張強力が得られ、400g/m以下とすることにより柔軟性を満足することができる。なお、目付についてはJIS L1096 8.4.2(1999)により求めた。
【0039】
なお、本発明の不織布の見掛け密度については特に限定されるものではないが、均一な加工性を得るためには0.1〜0.5g/cmの範囲が好適であり、さらに好ましくは0.2〜0.4g/cmである。0.1g/cm以上であると充分な強力が得られ、また0.5g/cm以下とすることで柔軟な風合いを得ることができる。
【0040】
次に、本発明の不織布の製造方法について詳細に記述する。
【0041】
本発明の不織布は、例えば以下の工程により得られる。すなわち、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体を用い複合繊維ウェブを作製する工程、複合繊維ウェブに絡合処理を施して不織布を作成する工程、該複合繊維から易溶性ポリマーを溶解除去することにより極細繊維発生加工を行う工程である。
【0042】
繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)から直接不織布を製造するのは困難なので、前述のように、まず、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体を用いて得たポリマーアロイ繊維で不織布を製造し、このポリマーアロイ繊維から極細繊維を発生させるという工程を経る。
【0043】
本発明の不織布の製造に使用する不織布を得る方法としては特に限定されるものではないが、短繊維をカード、クロスラッパーを用いて幅方向に配列させた積層ウェブを形成させた後にニードルパンチを施して得られる短繊維不織布や、スパンボンドやメルトブロー法などから得られる長繊維不織布、抄紙法で得られる不織布および、支持体上に極細繊維を噴霧、浸漬、あるいはコーティングして付着させたもの、織編物などが好適に用いられる。中でも、得られる不織布の引張強力や製造コストなどの点からスパンボンド法が好ましい。
【0044】
スパンボンド法としては、特に限定されるのもではないが、溶融したポリマーをノズルより押し出して紡糸し、これを高速吸引ガスにより、好ましくは2500〜8000m/分の速度で吸引延伸した後、移動コンベア上に繊維を捕集して繊維ウェブとする方法を用いることができる。さらに連続的に熱接着、絡合等を施すことにより一体化された不織布を得る方法が好ましい。
使用する口金についてはその形状から丸形や矩形の方法が知られているが、生産性、品位、目付ムラ等の観点から矩形が好ましい。
【0045】
ここで、紡糸される繊維として、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体を用いて得たポリマーアロイ繊維、すなわち、海成分を易溶解性ポリマー、島成分をナノファイバー前駆体である難溶解性ポリマーとした海島複合繊維を少なくとも一成分として用いる。
【0046】
繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)が表面に分散した不織布を得るためには、分割型複合繊維を用い、一成分に前述したポリマーアロイ成分、もう一成分に繊維径1〜10μmの他成分(B)を適用することが好ましい。こうすることによりポリマーアロイ成分の単繊維繊度が0.5dtex以下となり、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)間の凝集力が太繊度品対比弱くなることにより、分散化しやすくなるのである。また、一度の紡糸により繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)と、繊維径1〜10μmの繊維(B)が同時に作製でき、かつ交互に配列していることから、適度な状態で混合できるからである。
【0047】
分割型複合繊維としては例えば2種類以上の成分からなる複合繊維が挙げられる。成分数については特に限定されるものではないが、紡糸安定性から好ましくは2〜3成分である(ポリマーアロイ成分を用いる場合は3成分以上である)。成分比としては主として2種の成分からなる場合は紡糸安定性と分割性が優れる点で好ましくは8:2〜2:8より好ましくは7:3〜3:7である。用いる成分については複合紡糸可能な組み合わせであれば特に限定されるものではないが、分割性が優れる点で好ましくは互いに相溶し合わないものを用い、例えば、一成分をポリエステル系成分とした場合、他方をポリアミド、ポリプロピレン、PE、ポリスチレン、ポリウレタン、前記成分と相溶しないポリエステル系成分などから適宜選択することができる。ポリマーアロイ成分を一成分として用いた場合、ポリマーアロイの海成分(他成分と接触する成分)と他成分との相溶性が重要である。紡糸安定性に優れる点で、ポリエステル系成分とポリアミド系成分の2成分を用いた組み合わせが好ましい。
【0048】
ポリエステル系成分としては、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体及びジオールまたはそのエステル形成誘導体から合成されるポリマーであって、複合繊維として用いることが可能な成分であれば特に限定されるものではない。
【0049】
具体的には、例えば、PET、ポリトリメチレンテレフタレート、PBT、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’ジカルボキシレート、PLA等が挙げられる。
【0050】
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
【0051】
また、ポリアミド系成分としては特に限定されるものではないが、N6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12等のアミド結合を有するポリマーを挙げることができる。
【0052】
分割型複合繊維は繊維横断面において複数個に分割されていればその形態は特に限定されるものではなく、外形として丸、楕円、三角、四角などいずれでもよいが、紡糸安定性が優れる点から外形が丸や楕円であることが好ましい。本発明で好ましく使用される断面の例として図2〜6に概略モデル図を示した。分割性が優れるため、本発明においてより好ましい断面としては図2に示されるような中空部を有する形状である。また、中空率は好ましくは0.5〜35%である。中空率が0.5%以上であると分割性がよく、より好ましくは3%以上である。また中空率が35%以下であると紡糸安定性が得られ、より好ましくは20%以下である。ここでいう中空率とは繊維の横断面積に対する中空部の面積である。
【0053】
また、分割数についても特に限定されるものではないが、生産性と紡糸安定性に優れる点で、分割後の総数が4〜48の範囲が好ましく、8〜36がより好ましい。
【0054】
繊維ウェブの絡合方法は特に限定されるものではないが、ニードルパンチ法やウォータジェットパンチ(WJP)法などの方法を適宜組み合わせることが出来る。
【0055】
特に本発明において、分割型複合繊維を用いた場合は、ポリマーアロイ繊維の単繊維繊度を0.5dtex以下とするためには、極細繊維発生処理の前に分割型複合繊維が分割割繊されていることが重要である。分割されていない場合、他成分との複合繊維では繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)が分散しづらくなるからである。以上の理由より、繊維絡合と分割処理を兼ねることができるためWJP法が好ましく用いられる。また、スパンボンド法で製布し、仮セットシートを得る場合、得られたシート表面は熱接着により融着している場合があるため、熱接着部分の緩和と繊維の絡合を行うために、WJP処理の前にニードルパンチ処理を行っても良い。
【0056】
WJPの前処理としてのニードルパンチ処理のパンチング本数としては、100〜2000本/cm程度が好ましい範囲である。100本/cm以上とすることで繊維の絡合、熱融着部分の緩和が得られ、2000本/cm以下とすることで、加工性の悪化、繊維損傷による強度低下を防ぐことが可能となる。
【0057】
WJP処理を行う場合には、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜1.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。分割型複合繊維を用いる場合は分割性を向上させるため少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましく、15MPa以上がより好ましい。WJP処理後の複合繊維不織布の繊維密度は、表面繊維本数の緻密化の観点から、0.2g/cm以上であることが好ましい。
【0058】
このようにして得られた複合繊維不織布は、不織布の緻密化の観点から、乾熱または湿熱、あるいはその両者によって収縮させ、さらに高密度化することが好ましい。
【0059】
繊維径が1〜10μmの繊維(B)を得る方法としては特に限定されるものではないが、直接紡糸や、海島型や分割型などの複合紡糸を用いることができる。
【0060】
繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)と繊維径が1〜10μmの繊維(B)をの混合方法としては、例えば極細繊維(A)と繊維(B)を混綿してからニードルパンチや高圧水流により絡合させる方法、混合抄紙する方法、または分割型繊維を用い一成分にポリマーアロイ、もう一成分に他の繊維(B)を用い、種々の不織布を作製する方法などを適宜選択することができるが、中でも分割型複合繊維を用いる方法がポリマーアロイ繊維の単繊維繊度を細く、さらに他成分の繊維(B)を簡便に細繊度化することができ、かつ低コストで混合させることができるため好ましい。
【0061】
次に、ポリマーアロイ繊維から極細繊維を発現せしめる方法、すなわち、極細繊維発生加工は、除去する成分(易溶解性ポリマーからなる海成分)の種類によって異なるが、PEやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、PLAや共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。
【0062】
また、極細繊維発生加工の際に極細繊維を不織布の表面に分散させ、本発明の不織布表面の緻密化、平滑化を達成するためには、極細繊維発生加工中、もしくは発生加工後、液中にて物理的刺激を加えることが重要である。物理的刺激としては特に限定されるものではないが、WJP処理などの高速流体流処理や、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、タンブラー、リラクサー等を用いた揉み処理、超音波処理等を適宜組み合わせて実施しても良い。
【0063】
また、風合いを向上させるためにさらに揉み加工などを施してもよく、さらに通常の織編物のように染色を行ってもよい。染色の際には、少なくとも繊維径が1〜10μmの繊維成分を染色することにより外観が優れ商品価値が向上するため好ましい。染色の方法としては特に限定されるものではないが、その成分に適した染色方法を採用することができる。具体的には、例えばポリエステル系繊維の場合は分散染料やカチオン染料、ポリアミド系繊維の場合には酸性染料、金属錯塩染料、反応染料等で染色することができる。また、特に液流染色機を用いて揉み加工を与えながら染色すると柔軟な風合いを得ることができる。
【0064】
以上の工程により、本発明の不織布を製造することができる。
【0065】
本発明によって得られる繊維径が1〜500nmの極細繊維を有する不織布は、インテリア用途(カーテン、カーペット、家具など)、車両内装用途(マット、カーシートなど)、生活資材(ワイピングクロス、化粧用品など)、産業資材用途(研磨布、ワイピング材、フィルターなど)メディカル用途(血液フィルター、体外循環カラムなど)等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0066】

以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
【0067】
(1)ポリマーの溶融粘度
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
【0068】
(2)融点
パーキンエルマー社(Perkin Elmaer) DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
【0069】
(3)分割型複合繊維の中空率
走査型電子顕微鏡(SEM)にて複合繊維断面を100個ランダムに観察し、単繊維の面積における中空部の面積の割合を測定し、得られた値を平均化し小数点第一位を四捨五入した値を中空率とした。
SEM装置 : (株)キーエンス社製 VE−7800型。
【0070】
(4)TEMによる不織布横断面観察
不織布をエポキシ樹脂で包埋し、横断面方向に超薄切片を切り出して透過型電子顕微鏡(TEM)で不織布横断面を観察した。また、必要に応じて金属染色を施した。
TEM装置 : (株)日立製作所製 H−7100FA型。
【0071】
(5)極細繊維の数平均による単繊維繊度、直径
ナノファイバーレベルの極細繊維を含む不織布の横断面をTEMあるいはSEMで倍率20000倍で観察し、同一横断面内で無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定する。測定は、TEMあるいはSEMによる不織布の横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径および繊度を求めるものであり、これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を有効数字二桁で測定することで求められるものである。このとき、500nm(N6(比重1.14g/cm)の場合では2.3×10−3dtex程度)を超える他の繊維は除き1〜500nmの単繊維直径のものだけを無作為に選び測定する。なお、不織布を構成する繊維が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、その面積を仮に断面が円の場合の面積とする。その面積から直径を算出することによって単繊維直径を求めるものである。単繊維繊度の平均値は、上記方法にて求めた単繊維直径の平均値および、ポリマーの密度を用い単繊維繊度を算出するものである。
【0072】
(6)極細繊維(A)の繊維本数割合
不織布を構成する極細繊維の内、繊維径が1〜500nm(単繊維繊度が1×10−8〜2.3×10−3dtex)の範囲内の繊維本数の割合は、本文中にも記載をしたように、以下のようにして評価する。すなわち、極細繊維を含む不織布の表面を(株)キーエンス社製 VE−7800型SEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影し、明らかな欠点ヶ所は除いて無作為に0.01mmの範囲を抽出し、繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数を数えるものである。このとき、極細繊維(A)の本数が200本以上存在する表面についてのみ評価するものとする。同様にして繊維(B)の本数を数えるが、極細繊維(A)により完全に被覆されているもの(わずかに表面が起伏している状態)についてはカウントせず、表面に露出した繊維(B)についてのみカウントするものとする。合計10枚の表面写真を測定し、各写真について(A)、(B)それぞれの本数測定を行い、平均値を小数点第二位で四捨五入する。得られたそれぞれの繊維本数の合計から、極細繊維(A)の本数割合を小数点第二位で四捨五入して求める。
【0073】
(7)極細繊維の分散性(交差点数)
上記(6)と同様の手法で、極細繊維を含む不織布の表面を(株)キーエンス社製 VE−7800型SEMで観察、加速電圧20kV、ワーキングディスタンス8mm、倍率2000倍で撮影し、明らかな欠点ヶ所は除いて無作為に繊維径が1〜500nmの極細繊維が200本以上存在する0.01mmの範囲を抽出し、不織布の表面に露出した1〜500nmの単繊維直径を有する極細繊維の繊維間の交差点をカウントする。合計10枚の表面写真を測定し、各写真についてカウントを行い、平均値を小数点第一位で四捨五入するものである。このとき、表面にポリウレタンなどの高分子弾性体が露出し、極細繊維が存在しない部分や、ニードルパンチ等により大きな穴を形成している部分は避け、判定に用いないものとする。ここでいう極細繊維間の交差点とは、分散した極細繊維の1本と1本が交差する点であり、交差角の鋭角が20°以上である交差点である。繊維が部分的に合流している箇所や、交差せずに並行している部分、フィブリル化した部分は除くものとする。また、極細繊維が2本以上凝集して形成される束同士の交差点、あるいは束状部分と極細繊維1本の間の交差点もカウントしない。なお、極細繊維が数百本単位で凝集した束の表面で、部分的に分散した極細繊維間の交差点についてはカウントするものとする。また、同一表面に存在する繊維(B)同士の交差点、並びに繊維(A)と繊維(B)の交差点もカウントしない。
【0074】
不織布の表面範囲0.01mm中に平均で300ヶ所以上存在した場合を、分散性良好とした。
【0075】
(8)目付、見掛け密度
目付はJIS L1096 8.4.2(1999)の方法で測定した。また、厚みをダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製 商品名“ピーコックH”)を用いて有効数字2桁で測定し、目付の値から計算により見掛け密度を有効数字2桁で求めた。
【0076】
(9)吸湿性(ΔMR)
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度測り取り、110℃のオーブンにて2時間乾燥させ、重量を小数点第二位まで正確に測定し(W0)、次にサンプルを20℃、相対湿度65%に24時間保持した後、重量を測定する(W65)。その後、30℃、相対湿度90℃に24時間保持した後重量を測定する。得られた値をもとに以下の式、
MR65={(W65−W0)/W0}×100%・・・・・・・(1)
MR90={(W90−W0)/W0}×100%・・・・・・・(2)
ΔMR=MR90−MR65
にて計算を行い、小数点第二位を四捨五入するものである。
【0077】
(実施例1)
溶融粘度310poise(230℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6(40重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度720poise(230℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のPLA(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて220℃で混練してポリマーアロイチップを得た。ここでPLAの重量平均分子量は、以下の方法を用いて求めた。すなわち、試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で求めた。測定は各試料につき3点行い、その平均値を重量平均分子量とした。
【0078】
上記チップと、イソフタル酸を35重量%共重合させたPBT(融点170℃)を用い、スパンボンド法により、中空花弁型24分割の繊維断面となる矩形口金を用い、混合比1:1、単孔吐出2.2g/分/holeの条件にて紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3700m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.25MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度6.0dtex(分割後0.25dtex)、中空率9%、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0079】
該仮セットシートに対しWJPを用い加工速度1m/分にて、表5MPa、裏(捕集時のネットコンベアーに接触していた面)10MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPaの5回打ちを行った。得られた不織布はポリマーアロイ繊維と、共重合PBT繊維の分割割繊が充分進み、かつ緻密化しており見掛け密度は0.28g/cmであった。WJPのノズル孔径は0.1mm、ノズルピッチは1.0mmであった。
【0080】
得られた不織布に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、ポリマーアロイ繊維の海成分であるPLAを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は125nm(1.4×10−4dtex)であった。
【0081】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与し、表面に極細繊維を分散させた。
【0082】
得られた不織布は、目付が142g/m、見掛け密度は0.34g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は756.2本、(B)の本数は4.5本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.4%であり、極細繊維(A)間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で813ヶ所あり、分散性良好であった。
この不織布の吸湿率(ΔMR)を測定したところ3.4%と綿同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6極細繊維のみのΔMRを5.5%、PBTのΔMRを0%とすると、混合率から1.1%であるが、ナノファイバーレベルの極細繊維が表面に分散していることにより3.4%まで大きく向上したものである。
【0083】
(実施例2)
溶融粘度530poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度3100poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押出混練機にて260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。
【0084】
上記ポリマーアロイチップと、実施例1にて用いた共重合PBTにて、実施例1で使用した口金を用い混合比2:1、単孔吐出1.6g/分/holeの条件で紡糸温度245℃にて細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3100m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.20MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度5.4dtex(分割後ポリマーアロイ:0.30、PBT:0.15dtex)、中空率9%、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0085】
該仮セットシートに対し実施例1で用いたWJPマシンにて、加工速度1m/分で表10MPa、裏10MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaの6回打ちを行った。得られた不織布はポリマーアロイ繊維と、共重合PBT繊維の分割割繊が充分進み、かつ緻密化しており見掛け密度は0.27g/cmであった。
【0086】
最後に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、海成分である共重合PETを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は137nm(1.7×10−5dtex)であった。
【0087】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与し、表面に極細繊維を分散させた。
【0088】
得られた不織布は、目付が91g/m、見掛け密度は0.35g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は706.3本、(B)の本数は7.0本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.0%であり、極細繊維(A)間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で776ヶ所あり、分散性良好であった。
この不織布の吸湿率(ΔMR)を測定したところ4.8%と綿同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6極細繊維のみのΔMRを5.5%、PBTのΔMRを0%とすると、混合率から0.7%であるが、ナノファイバーレベルの極細繊維が表面に分散していることにより4.8%まで大きく向上したものである。
【0089】
(実施例3)
実施例1で用いたN6/PLA=40/60のポリマーアロイチップと共重合PBTを用い、スパンボンド法により、環状花弁型8分割の繊維断面となる矩形口金を用い、混合比1:1、単孔吐出1.6g/分/holeの条件にて紡糸温度240℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3500m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.20MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度3.6dtex(分割後0.45dtex)、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0090】
該仮セットシートに対し実施例1で用いたWJPマシンにて、加工速度1m/分で、表10MPa、裏(捕集時のネットコンベアーに接触していた面)10MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaの6回打ちを行った。得られた不織布はポリマーアロイ繊維と、共重合PBT繊維の分割割繊が充分進み、かつ緻密化しており、見掛け密度は0.25g/cmであった。
【0091】
得られた不織布に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、ポリマーアロイ繊維の海成分であるPLAを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は142nm(1.8×10−4dtex)であった。
【0092】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与し、表面に極細繊維を分散させた。
【0093】
得られた不織布は、目付が141g/m、見掛け密度は0.33g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は821.1本、(B)の本数は0.7本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.9%であり、極細繊維(A)間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で730ヶ所あり、分散性良好であった。
【0094】
この不織布の吸湿率(ΔMR)を測定したところ3.6%と綿同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6極細繊維のみのΔMRを5.5%、PBTのΔMRを0%とすると、混合率から1.1%であるが、ナノファイバーレベルの極細繊維が表面に分散していることにより3.6%まで大きく向上したものである。
【0095】
(実施例4)
溶融粘度1200poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点225℃のPBT(20重量%)、と重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度121.6sec−1)、融点170℃のポリ乳酸(PLA)(光学純度99.5%以上)(80重量%)を2軸押出混練機にて250℃で混練してポリマーアロイチップを得た。該ポリマーアロイチップと実施例1で用いた共重合PBTにて、スパンボンド法により、環状花弁型中空24分割の繊維断面となる矩形口金を用い、混合比1:1、単孔吐出1.8g/分/holeの条件にて紡糸温度250℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3600m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.20MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度4.8dtex(分割後0.20dtex)、中空率9%、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0096】
該仮セットシートに対し実施例1で用いたWJPマシンにて、表10MPa、裏(捕集時のネットコンベアーに接触していた面)10MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaの6回打ちを行った。得られた不織布はポリマーアロイ繊維と、共重合PBT繊維の分割割繊が充分進み、かつ緻密化しており見掛け密度は0.26g/cmであった。
【0097】
得られた不織布に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、ポリマーアロイ繊維の海成分であるPLAを溶出させ、PBTからなる極細繊維を発生させた。この不織布中のPBTのみをTEM写真から解析した結果、PBTの数平均による単繊維直径は98nm(1.0×10−4dtex)であった。
【0098】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与し、表面に極細繊維を分散させた。
【0099】
得られた不織布は、目付が123g/m、見掛け密度は0.34g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は761.9本、(B)の本数は5.1本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.3%であり、極細繊維(A)間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で741ヶ所あり、分散性良好であった。
この不織布の吸湿率(ΔMR)を測定したところ0.4%と優れた吸湿性を示した。PBTは吸湿率が0%であるが、ナノファイバーレベルの極細繊維が分散することにより0.4%まで大きく向上したものである。
【0100】
【表1】

【0101】
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、実施例1〜4の不織布は繊維径が1〜500nmの極細繊維が200本以上存在する表面0.01mmにおいて、該極細繊維間の交差点が、平均で300ヶ所以上あり、分散性が良好であった。また、分散性が大きく向上することにより吸湿率(ΔMR)が大幅に向上していた。
【0102】
(比較例1)
実施例1にて用いたN6/PLA=40/60のポリマーアロイを用い、矩形口金を用い、スパンボンド法により、単孔吐出1.0g/分/holeの条件にて紡糸温度245℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3900m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.25MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度2.2dtex、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0103】
該仮セットシートに対し実施例1で用いたWJPマシンにて、表20MPa、裏(捕集時のネットコンベアーに接触していた面)20MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaの6回打ちを行った。得られた不織布はポリマーアロイ繊維が緻密化しており見掛け密度は0.26g/cmであった。
【0104】
得られた不織布に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、ポリマーアロイ繊維の海成分であるPLAを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は96nm(8.2×10−5dtex)であった。
【0105】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与したものの、ポリマーアロイ繊維の複合繊度が2.2dtexと太いこと、WJP加工により繊維が絡合し緻密化することにより、ナノファイバーレベルの極細繊維は束状となり、極細繊維単位ではほとんど分散していなかった。
【0106】
得られた不織布は、目付が81g/m、見掛け密度は0.61g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は723.9本、(B)の本数は0.0本であった。極細繊維(A)の本数割合は100%であるが、極細繊維(A)間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で123ヶ所あり、分散性不良であった。
また、該不織布は吸水時の形態安定性が不良であり、容易に変形し、形崩れしやすいものであった。また湿潤後乾燥すると、形崩れし固まり状となってしまった。
【0107】
(比較例2)
実施例1と同様の方法にてN6/PLA=40/60からなるポリマーアロイと共重合PBT(1:1)からなる目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0108】
該仮セットシートに対しに油剤(SM7060:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を繊維重量に対し2重量%付与し、バーブ数1、バーブ深さ0.06mmのニードルを用いて、ニードルパンチを3500本/cm施すことで絡合不織布を得た。得られた不織布は緻密化していたが、ポリマーアロイ繊維と共重合PBT繊維の分割割繊がほとんど進んでおらず、見掛け密度は0.23g/cmであった。
【0109】
得られた不織布に、80℃の2%水酸化ナトリウム水溶液にて120分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、ポリマーアロイ繊維の海成分であるPLAを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は125nm(1.4×10−4dtex)であった。
【0110】
該溶出工程を液流染色機中にて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与したが、表面に極細繊維はほとんど分散しなかった。
【0111】
得られた不織布は、目付が138g/m、見掛け密度は0.34g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は817.2本、(B)の本数は5.0本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.4%であり、極細繊維間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で168ヶ所あり、分散性不良であった。
【0112】
(比較例3)
ポリマーアロイ繊維のPLAを溶出する工程において、揉み加工を加えなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて極細繊維からなる不織布を得た。得られた不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は125nm(1.4×10−4dtex)であった。
【0113】
得られた不織布は、目付が141g/m、見掛け密度は0.32g/cmであった。繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は738.7本、(B)の本数は4.2本であった。極細繊維(A)の本数割合は99.4%であり、極細繊維間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で226ヶ所あり、分散性不良であった。
【0114】
(比較例4)
溶融粘度1500poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度1450poise(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点105℃のPEとをN6のブレンド比率を20重量%となるようにそれぞれのポリマーを計量しながら2軸押出混練機にて260℃にて混練して紡糸口金温度285℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3200m/分で吸引下し、移動するネットコンベアー上に捕集した。このときのエジェクター圧は0.15MPaとした。ネットコンベアー上に捕集した捕集シートを温度90℃、線圧20kg/cmの条件にてカレンダープレス法で仮セットし、単繊維繊度5.2dtex、目付150g/mの仮セットシートを得た。
【0115】
該仮セットシートを2枚積層し、実施例1で用いたWJPマシンにて、表10MPa、裏(捕集時のネットコンベアーに接触していた面)10MPa、表20MPa、裏20MPa、表20MPa、裏20MPaの6回打ちを行った。得られた不織布はN6/PE繊維の絡合が進み、かつ緻密化しており見掛け密度は0.26g/cmであった。
【0116】
得られた不織布に、85℃の熱トルエンにて60分処理し、熱風乾燥機で乾燥させることで、海成分であるPEを溶出させ、N6からなる極細繊維を発生させた。この不織布中のN6のみをTEM写真から解析した結果、N6の数平均による単繊維直径は549nm(2.7×10−3dtex)であった。
【0117】
該溶出工程をバイブロウォッシャーにて揉み処理を行うことにより、不織布に物理的刺激を付与したが、表面に極細繊維はほとんど分散しなかった。
【0118】
得られた不織布は、目付が78g/m、見掛け密度は0.32g/cmであった。得られた不織布の極細繊維は繊維径が1〜1000nmであり、繊維径500nm以上の極細繊維が半数を占めていた。また、繊維径1〜500nmの極細繊維(A)の本数は443.6本、(B)の本数は0.3本であった。極細繊維1〜500nmの極細繊維(A)のみの繊維間の交差点を数えたところ、表面0.01mm中に平均で167ヶ所あり、分散性不良であった。
【0119】
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、比較例1〜4の不織布は繊維径1〜500nmの極細繊維が200本以上存在する表面0.01mmにおける極細繊維間の交差点が、平均で300ヶ所未満であり、分散不良であった。なお、比較例1を除き、吸湿率(ΔMR)も劣るものであった。
【0120】
また、比較例1、4の不織布は吸水時の形態安定性が不良であり、形崩れしやすいものであった。また湿潤後乾燥すると、形崩れしやすく、固まり状となってしまった。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の不織布の表面写真の一例である。
【図2】本発明の不織布を構成する複合繊維の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の不織布を構成する複合繊維の、他の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の不織布を構成する複合繊維の、さらに他の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の不織布を構成する複合繊維の、また、さらに他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の不織布を構成する複合繊維の、また、さらに他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0122】
1:成分A
2:成分B
3:中空部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維径が1〜500nmの極細繊維(A)の本数の割合が90〜99.99%、繊維径が1μm〜10μmの繊維(B)の本数の割合が0.01〜10%で構成される不織布であって、表面に露出した極細繊維(A)間の交差点が、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍にて観測し、該極細繊維(A)が200本以上存在する0.01mmの範囲10ヶ所を任意に抽出したとき、平均で300ヶ所以上存在することを特徴とする不織布。
【請求項2】
前記極細繊維(A)と繊維(B)がともに表面に露出しており、かつ不織布内部に存在していることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記極細繊維(A)と繊維(B)が、重縮合系ポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の不織布。
【請求項4】
前記重縮合系ポリマーがポリエステルまたはポリアミドからなることを特徴とする請求項3に記載の不織布。
【請求項5】
前記不織布がスパンボンド法により製造された長繊維不織布から得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
【請求項6】
前記繊維(B)が分割型複合繊維から得られる繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
【請求項7】
10〜400g/mの範囲の目付を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
【請求項8】
0.1〜0.5g/cmの範囲の見掛け密度を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の不織布。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−254942(P2007−254942A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38972(P2007−38972)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】