説明

不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法

【課題】プロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供することよって、対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法であって、不飽和酸又は不飽和ニトリルをより簡便に且つ高選択率で得ることができる製造方法を提供すること。
【解決手段】Mo、V及びNbを含有する複合酸化物触媒の存在下、流動床反応器を用いてプロパン又はイソブタンを気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応に供することにより対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法であって、
平均粒子径1〜500μmのタングステン化合物を前記流動床反応器内で前記複合酸化物触媒と接触させる工程を含む、不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供することよって対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロピレン又はイソブチレンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供して対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法が良く知られているが、近年、プロピレン又はイソブチレンに代わってプロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供することによって対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法が着目されている。
これまで、プロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化に供し、対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造するにあたり、反応中の反応器内にモリブデン化合物を添加することで目的物の収率を維持する手法や、触媒が反応で劣化した場合に、触媒を改めて含浸、焼成、乾燥することで目的物の収率を回復させる手法の研究がなされてきた。
例えば、特許文献1には、Mo−V−Sb−Nb系触媒を用いた気相接触アンモ酸化反応中にモリブデン化合物を添加する手法が記載されている。
また、特許文献2には、複合酸化物触媒にアンチモン化合物、モリブデン化合物、テルル化合物、タングステン化合物等の添加剤を混合して反応させる方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、Mo−V−Sb/Te系触媒にタングステン、モリブデン、クロム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、硼素、ビスマス、テルル、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄、リン、ケイ素、希土類元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属からなる群より選ばれる1つ以上の元素を含む溶液を含浸する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308423号公報
【特許文献2】国際公開2009−048533号パンフレット
【特許文献3】特開平10−28862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載された方法のようにアンモ酸化反応中にモリブデン化合物を添加した場合、触媒の性能を初期状態に近い程度に回復させることはできるものの、初期状態を超えて改善することはできず、性能は未だ不十分である。
また、特許文献2に記載された方法のように複合酸化物触媒に金属酸化物等の添加剤を加えた場合、元の触媒を用いるよりも目的物の選択率を高めることに成功しているが、この方法によっても工業的に十分な選択率を示す触媒は得られない。当該文献中に十分な記載がないため明らかではないが、添加する添加剤の平均粒径が適切でないため触媒と添加剤の接触効率が悪く、取り込まれる量が過少であるため目的物の選択率が低くなると推定される。
さらに、特許文献3に記載された方法では触媒を溶液等に含浸させるための設備が必要であるし、工程が増えるのでコストが増大する上に煩雑であるという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、含浸、乾燥等のような複雑な工程を行う必要のない、より選択率の高い不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、Mo−V−Nb系複合酸化物触媒を用いて気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応を行う際に、流動床反応器内に特定範囲の平均粒子径を有するタングステン化合物を添加し、そのタングステン化合物と触媒とを接触させることによって、目的化合物の選択率が高くなることを見出した。
【0006】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
Mo、V及びNbを含有する複合酸化物触媒の存在下、流動床反応器を用いてプロパン又はイソブタンを気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応に供することにより対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法であって、
平均粒子径1〜500μmのタングステン化合物を前記流動床反応器内で前記複合酸化物触媒と接触させる工程を含む、不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
[2]
前記複合酸化物触媒が、下記組成式(1)で表される複合酸化物を含む、上記[1]記載の不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
Mo1aNbbcden (1)
(式(1)中、成分AはTe、Sbから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分XはW、Bi、Mnから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分ZはLa、Ce、Pr、Yb、Y、Sc、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの各元素の原子比を示し、aは0.01≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦1、eは0≦e≦1であり、nは構成元素の原子価によって決まる数である。)
[3]
前記複合酸化物触媒が、触媒全体に対してSiO2換算で20〜70質量%のシリカに担持されている複合酸化物を含む、上記[1]又は[2]記載の不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より簡便で、選択率の高い不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0009】
本実施形態の不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法は、Mo及びNbを含有する複合酸化物触媒の存在下、流動床反応器を用いてプロパン又はイソブタンを気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応に供することにより対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法であって、平均粒子径1〜500μmのタングステン化合物を前記流動床反応器内で前記複合酸化物触媒と接触させる工程を含む方法である。
【0010】
[1]複合酸化物触媒の製造方法
(a)複合酸化物触媒
本実施形態における複合酸化物触媒はMo及びNbを含有する複合酸化物が担体に担持されたものである。プロパン又はイソブタンから気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応によって対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造するために用いられる複合酸化物触媒は、後述するタングステン化合物との相互作用により選択率の向上効果を発揮する観点から、Mo及びNbを含有することが必要である。
【0011】
目的化合物の収率向上の観点から、複合酸化物は、Mo、V、Nb及び成分A(AはTe及びSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素)を含有することが好ましい。Mo、V、Nb及び成分Aを含有する複合酸化物は、明確な理由は定かではないが、結晶性の良いブロンズ構造を形成しやすく、この構造がプロパン又はイソブタンの酸化又はアンモ酸化反応の触媒性能に有利に働くと考えられる。
【0012】
目的物の選択率及び長期流動反応を行う観点から、より好ましい複合酸化物の組成は次式(1)により表される。
Mo1aNbbcden (1)
(式(1)中、成分AはTe、Sbから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分XはW、Bi、Mnから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分ZはLa、Ce、Pr、Yb、Y、Sc、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの各元素の原子比を示し、aは0.01≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦1、eは0≦e≦1であり、nは構成元素の原子価によって決まる数である。)
【0013】
Mo1原子当たりのVの原子比a、Nbの原子比bは、副生物の生成を抑制し、目的物の選択率を増加させる観点から、それぞれ、0.1〜0.4、0.02〜0.2の範囲であることが好ましい。
【0014】
成分AはTe及びSbから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示す。Mo1原子当たりの成分Aの原子比cは、副生物の生成を抑制し、目的物の選択率を増加させる観点から、0.01〜0.6の範囲であることが好ましく、0.1〜0.4の範囲であることがより好ましい。一般的な不飽和ニトリルの工業的製造方法においては、複合酸化物触媒は400℃以上での長期使用に耐え得るのが好ましいが、成分AがTeの場合、Teは長期運転中に逃散し易くなる傾向にある。この観点から、不飽和ニトリルの工業的製造方法においては成分AがSbであることが好ましい。一方、不飽和酸の工業的製造方法においては、400℃以下での反応も可能なため、長期運転時のTeの逃散の影響が小さく、Teも好適に使用可能である。
【0015】
また、Vと成分Aの原子比であるa/cは、副生物の生成を抑制し、目的物の選択率を増加させる観点から、Teを用いる場合は1〜10の範囲であることが好ましく、Sbを用いる場合は0.1〜1の範囲であることが好ましい。
【0016】
成分XはW、Bi、Mnから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示す。Mo1原子当たりの成分Xの原子比dは、副生物の生成を抑制し、目的物の選択率を増加させる観点から、0≦d≦1であり、0.001≦d≦0.3を満たすことが好ましい。成分Xとしては、工業的な長期使用の観点から、W、Bi、Mnから選ばれるが、目的物の収率が高くなる傾向にあるため、Wが特に好ましい。
【0017】
成分ZはLa、Ce、Pr、Yb、Y、Sc、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示す。成分Zが複合酸化物内で均一に分散されていると、目的物の収率向上効果が大きくなる傾向にある。成分Zとしては、La、Ce、Pr、Ybから選ばれる少なくとも1種以上の元素であることが好ましく、目的物の収率向上効果の観点から、Ceであることが特に好ましい。また、特開平11−244702号公報に教示されているような成分Zによるスラリー中の好ましくない反応を防止する観点から、Mo1原子当たりの成分Zの原子比eは0.001≦e<1を満たすことが好ましく、0.001≦e<0.1を満たすことがより好ましく、0.002≦e<0.01を満たすことが更に好ましい。
【0018】
本実施形態における複合酸化物触媒は、上述した複合酸化物が担体に担持されたものである。複合酸化物が担持される担体は、シリカを主成分とすることが好ましい。複合酸化物がシリカを主成分とする担体に担持されている場合、高い機械的強度を有する傾向にあるので、流動床反応器を用いた気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応に好適である。担体がシリカを主成分とする場合、シリカの含有量は、複合酸化物と担体を含む触媒全体に対して、SiO2換算で20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
シリカの含有量は、強度と粉化防止の観点から、触媒全体に対して20質量%以上であることが好ましい。シリカの含有量が20質量%未満であると、複合酸化物触媒を工業的に使用する上で安定運転が難しくなり、ロスした複合酸化物触媒を補充する必要が生じるため経済的にも好ましくない。
一方、十分な活性を得ることにより必要な触媒量を適正にする観点から、シリカの含有量は触媒全体に対して70質量%以下であることが好ましい。特に流動床の場合、シリカの含有量が70質量%以下であると複合酸化物触媒の比重が適切で、良好な流動状態を作り易くなる。
【0019】
(b)複合酸化物触媒の製造
本実施形態における複合酸化物触媒は、例えば、以下の3つの工程により製造される。
(1)原料を調合して原料調合液を得る工程
(2)工程(1)で得られた原料調合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程
(3)工程(2)で得られた触媒前駆体を焼成し、複合酸化物触媒を得る工程
ここで「調合」とは、溶媒に、触媒構成元素の原料を溶解又は分散させることである。溶媒としては、特に限定されないが、水を用いることが好ましい。
また「原料」とは、複合酸化物触媒の構成元素を含む化合物を言う。原料としては特に限定されず、例えば、以下の化合物を用いることができる。
【0020】
MoとVの原料としては、特に限定されないが、それぞれ、ヘプタモリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4H2O]とメタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]を好適に用いることができる。
【0021】
Nbの原料としては、ニオブ酸、ニオブの無機酸塩及びニオブの有機酸塩を用いることができ、中でも、ニオブ酸が好ましい。ニオブ酸はNb25・nH2Oで表され、ニオブ水酸化物又は酸化ニオブ水和物とも称される。さらに、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4のNb原料液として用いることが好ましい。ジカルボン酸としてはシュウ酸を用いるのが好ましい。
【0022】
Sbの原料としては、特に限定されないが、三酸化二アンチモン〔Sb23〕が好ましい。
【0023】
Teの原料としては、特に限定されないが、テルル酸〔H6TeO6〕が好ましい。
【0024】
成分Xの原料としては、これらの元素を含む物質であれば特に制限はなく、これらの元素を含む化合物や、これらの元素の金属を適当な試薬で可溶化したものを使用することができる。これらの元素を含む化合物としては、通常、アンモニウム塩、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド等を使用することができ、好ましくは、硝酸塩、カルボン酸塩等の水溶性原料が用いられる。
【0025】
成分Zの原料としては、これらの元素を含む物質であれば特に制限はないが、これらの元素を含む化合物や、これらの元素の金属を適当な試薬で可溶化したものを使用することができる。これらの元素を含む化合物としては、通常、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド等を使用することができ、好ましくは、硝酸塩、カルボン酸塩等の水溶性原料が用いられる。
【0026】
担体に含まれるシリカの原料としては、特に限定されず、シリカゾルを好適に用いることができるが、シリカ原料の一部又は全部に、粉体シリカを用いることもできる。粉体シリカは、高熱法で製造されたものが好ましい。粉体シリカはあらかじめ水に分散させて使用することでスラリー中への添加・混合が容易となる。分散方法としては特に制限はなく、一般的なホモジナイザー、ホモミキサー、超音波振動器等を単独若しくは組み合わせて分散させることができる。
【0027】
以下に、工程(1)〜(3)を含む、好ましい複合酸化物触媒の製造例について説明する。
(工程(1):原料を調合して原料調合液を得る工程)
Mo、V、成分A、成分X、成分Zの原料、及び、必要に応じてその他原料となる成分を水に添加し、加熱して水性混合液(I)を調製する。この時、容器内は窒素雰囲気でもよい。次に、Nbの原料とジカルボン酸を水中で加熱撹拌して混合液(B0)を調製する。更に、混合液(B0)に、過酸化水素を添加し、水性混合液(II)を調製する。この時、H22/Nb(モル比)は0.5〜20であり、1〜10であることが好ましい。
【0028】
目的とする組成に合わせて、水性混合液(I)、水性混合液(II)を好適に混合して、水性混合液(III)を得る。得られた水性混合液(III)を、空気雰囲気下で熟成処理し、スラリー状の原料調合液を得る。
【0029】
水性混合液(III)の熟成とは、水性混合液(III)を所定時間静置するか撹拌することを言う。工業的に複合酸化物触媒を製造する場合、通常は噴霧乾燥機の処理スピードが律速となり、一部の水性混合液(III)が噴霧乾燥された後、全ての混合液の噴霧乾燥が終了するまでに時間を要する。この間、噴霧乾燥処理されていない混合液の熟成は継続される。従って、熟成時間には、噴霧乾燥前の熟成時間だけでなく、噴霧乾燥開始後から終了までの時間も含まれる。
熟成時間は90分以上50時間以内が好ましく、90分以上6時間以内がより好ましい。
熟成温度は、Mo成分の縮合やVの析出を防ぐ観点で、25℃以上が好ましい。また、Nbと過酸化水素を含む錯体の加水分解が起こりすぎないようにし、好ましい形態のスラリーを形成する観点で65℃以下が好ましい。従って、熟成温度は、25℃以上65℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましい。
熟成時の容器内雰囲気は、十分な酸素濃度を有することが好ましい。酸素が十分でないと、水性混合液(III)の実質的な変化が生じにくくなる可能性がある。従って、容器内の気相部酸素濃度は1vol%以上であることが好ましい。
気相酸素濃度は、一般的な方法、例えば、ジルコニア式酸素濃度計を用いて測定することができる。気相酸素濃度を測定する場所は、水性混合液(III)と気相との界面近傍であることが好ましい。例えば、同一地点での気相酸素濃度の測定を1分以内に3度行い、3度の測定結果の平均値をもって気相酸素濃度とすることが好ましい。
気相酸素濃度を低減させるための希釈ガスとしては、特に限定されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気等が挙げられる。工業的には、窒素が好ましい。また、気相酸素濃度を増加させるためのガスとしては、純酸素又は高酸素濃度の空気が好ましい。
【0030】
熟成により、水性混合液(III)に含まれる成分の酸化還元状態に何らかの変化が生じると考えられる。何らかの変化が起こっていることは、熟成中に水性混合液(III)の色の変化、酸化還元電位の変化等が生じることからも示唆される。その結果、酸素濃度1〜25vol%の雰囲気で90分以上50時間以内の熟成の有無によって得られる複合酸化物触媒の性能にも違いが現れる。すなわち、熟成中、液中成分の形態変化を正確に同定するのは極めて困難であるが、熟成時間の異なる触媒を製造し、性能を評価することで、性能の良い触媒に施した熟成時間が好ましく、この時何らかの好ましい形態のスラリーが形成されていたと推察することができる。
【0031】
水性混合液(III)の酸化還元電位は水性原料液(II)の電位600mV/AgClが支配的であり、水性原料液(II)に含まれるシュウ酸Nbパーオキサイドと他の金属成分が何らかの酸化還元反応を起こすことにより経時的な電位の低下が生じると考えている。好ましい酸化還元電位は、450〜530mV/AgClであり、より好ましくは470〜510mV/AgClである。
【0032】
水性混合液(III)に含まれる成分の酸化還元状態の何らかの変化に影響する酸化還元反応の進行を遅くし過ぎず、スラリー段階での酸化還元状態が過酸化気味になるのを防ぐ観点から、熟成中の酸素濃度は1vol%以上とすることが好ましい。一方、酸化還元反応が進行しすぎて、スラリーが過還元気味になるのを防ぐ観点から、熟成中の酸素濃度は25vol%以下とすることが好ましい。いずれにせよ、気相酸素がスラリーの酸化還元状態に影響を及ぼすため、酸素濃度を適正な範囲に維持する必要がある。酸素濃度の範囲は、5〜23vol%がより好ましく、10〜20vol%が更に好ましい。
【0033】
熟成中には、水分が蒸発し、濃縮が起こっても差し支えない。ただし、開放系で熟成をすれば、水分の蒸発は必然的に起こるものの、酸素濃度1〜25vol%雰囲気下で行うと、触媒性能がより一層改善される傾向にある。
【0034】
複合酸化物がシリカに担持されている場合、シリカゾルを含むように原料調合液が調製される。シリカゾルは適宜添加することができる。また、シリカゾルの一部を粉体シリカの水分散液とすることもでき、そのような粉体シリカの水分散液も適宜添加することができる。
【0035】
また、成分AとしてSb(アンチモン)を用いる場合は、水性混合液(I)又は調合途中の水性混合液(I)の成分を含む液に、過酸化水素を添加することが好ましい。このとき、H22/Sb(モル比)は0.01〜5であることが好ましく、0.05〜4であることがより好ましい。また、このとき、30℃〜70℃で、30分〜2時間撹拌を続けることが好ましい。
【0036】
(工程(2):乾燥工程)
乾燥工程は、工程(1)で得られた原料調合液を乾燥し、触媒前駆体を得る工程である。乾燥は公知の方法で行うことができ、例えば、噴霧乾燥又は蒸発乾固によって行うことができる。中でも、噴霧乾燥を採用し、微小球状の触媒前駆体を得ることが好ましい。噴霧乾燥法における噴霧化は遠心方式、二流体ノズル方式、又は高圧ノズル方式によって行うことができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることができる。噴霧乾燥装置の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。乾燥機出口温度は100〜160℃が好ましい。
【0037】
(工程(3):焼成工程)
焼成工程は、工程(2)で得られた触媒前駆体を焼成し、複合酸化物触媒を得る工程である。焼成装置としては、回転炉(ロータリーキルン)を使用することができる。焼成器の形状は特に限定されないが、管状であると、連続的な焼成を実施することができる。焼成管の形状は特に限定されないが、円筒であるのが好ましい。加熱方式は外熱式が好ましく、電気炉を好適に使用できる。焼成管の大きさ、材質等は焼成条件や製造量に応じて適当なものを選択することができるが、その内径は、好ましくは70〜2000mm、より好ましくは100〜1200mmであり、その長さは、好ましくは200〜10000mm、より好ましくは800〜8000mmである。焼成器に衝撃を与える場合、焼成器の肉厚は衝撃により破損しない程度の十分な厚みを持つという観点から、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また衝撃が焼成器内部まで十分に伝わるという観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。焼成器の材質としては、耐熱性があり衝撃により破損しない強度を持つものであること以外は特に限定されず、SUSを好適に使用できる。
【0038】
焼成管の中には、粉体が通過するための穴を中心部に有する堰板を、粉体の流れと垂直に設けて焼成管を2つ以上の区域に仕切ることもできる。堰板を設置する事により焼成管内滞留時間を確保しやすくなる。堰板の数は1つでも複数でもよい。堰板の材質は金属が好ましく、焼成管と同じ材質のものを好適に使用できる。堰板の高さは確保すべき滞留時間に合わせて調整することができる。例えば内径150mm、長さ1150mmのSUS製の焼成管を有する回転炉で250g/hrで粉体を供給する場合、堰板は好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜40mm、更に好ましくは13〜35mmである。堰板の厚みは特に限定されず、焼成管の大きさに合わせて調整することが好ましい。例えば内径150mm、長さ1150mmのSUS製の焼成管を有する回転炉の場合、焼成管の厚みは、好ましくは0.3mm以上30mm以下、より好ましくは0.5mm以上15mm以下である。
【0039】
触媒前駆体の割れ、ひび等を防ぐと共に、均一に焼成するために、焼成管を回転させるのが好ましい。焼成管の回転速度は、好ましくは0.1〜30rpm、より好ましくは0.5〜20rpm、更に好ましくは1〜10rpmである。
【0040】
触媒前駆体の焼成には、触媒前駆体の加熱温度を、400℃より低い温度から昇温を始めて、550〜800℃の範囲内にある温度まで連続的に又は断続的に昇温するのが好ましい。
【0041】
焼成雰囲気は、空気雰囲気下でも空気流通下でもよいが、焼成の少なくとも一部を、窒素等の実質的に酸素を含まない不活性ガスを流通させながら実施することが好ましい。不活性ガスの供給量は触媒前駆体1kg当たり、50Nリットル以上であり、好ましくは50〜5000Nリットル、更に好ましくは50〜3000Nリットルである(Nリットルは、標準温度・圧力条件、即ち0℃、1気圧で測定したリットルを意味する)。このとき、不活性ガスと触媒前駆体は向流でも並流でも問題ないが、触媒前駆体から発生するガス成分や、触媒前駆体とともに微量混入する空気を考慮すると、向流接触が好ましい。
【0042】
焼成工程は、1段でも実施可能であるが、焼成が前段焼成と本焼成からなり、前段焼成を250〜400℃の温度範囲で行い、本焼成を550〜800℃の温度範囲で行うことが好ましい。前段焼成と本焼成を連続して実施してもよいし、前段焼成を一旦完了してからあらためて本焼成を実施してもよい。また、前段焼成及び本焼成のそれぞれが数段に分かれていてもよい。
【0043】
前段焼成は、好ましくは不活性ガス流通下、加熱温度250℃〜400℃、好ましくは300℃〜400℃の範囲で行う。250℃〜400℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、250℃〜400℃範囲内で温度が変動したり、緩やかに昇温、降温されていても構わない。加熱温度の保持時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは3〜12時間である。
【0044】
前段焼成温度に達するまでの昇温パターンは直線的に上げてもよいし、上又は下に凸なる弧を描いて昇温してもよい。
【0045】
前段焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度には特に限定はないが、一般に0.1〜15℃/min程度であり、好ましくは0.5〜5℃/min、更に好ましくは1〜2℃/minである。
【0046】
本焼成は、好ましくは不活性ガス流通下、550〜800℃、好ましくは580〜750℃、より好ましくは600〜720℃、更に好ましくは620〜700℃で実施する。620〜700℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、620〜700℃の範囲内で温度が変動したり、緩やかに昇温、降温しても構わない。本焼成の時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。焼成管を堰板で区切る場合、触媒前駆体及び/又は複合酸化物触媒は少なくとも2つ、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜15の区域を連続して通過する。温度の制御は1つ以上の制御器を用いて行うことができるが、前記所望の焼成パターンを得るために、これら堰で区切られた区域ごとにヒーターと制御器を設置し、制御することが好ましい。例えば、堰板を焼成管の加熱炉内に入る部分の長さを8等分するように7枚設置し、8つの区域に仕切った焼成管を用いる場合、触媒前駆体及び/又は複合酸化物触媒の温度が前記所望の焼成温度パターンとなるよう8つの区域を各々の区域について設置したヒーターと制御器により設定温度を制御することが好ましい。なお、不活性ガス流通下の焼成雰囲気には、所望により、酸化性成分(例えば酸素)又は還元性成分(例えばアンモニア)を添加してもかまわない。
【0047】
本焼成温度に達するまでの昇温パターンは直線的に上げてもよいし、上又は下に凸なる弧を描いて昇温してもよい。
【0048】
本焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度には特に限定はないが、一般に0.1〜15℃/min、好ましくは0.5〜10℃/min、より好ましくは1〜8℃/minである。
【0049】
また、本焼成終了後の平均降温速度は0.01〜1000℃/min、好ましくは0.05〜100℃/min、より好ましくは0.1〜50℃/min、さらに好ましくは0.5〜10℃/minである。また、本焼成温度より低い温度で一旦保持することも好ましい。保持する温度は、本焼成温度より10℃、好ましくは50℃、より好ましくは100℃低い温度である。保持する時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは10時間以上である。
【0050】
前段焼成を一旦完了してからあらためて本焼成を実施する場合は、本焼成で低温処理を行うことが好ましい。
【0051】
低温処理に要する時間、すなわち触媒前駆体及び/又は複合酸化物触媒の温度を低下させた後、昇温して焼成温度にするまでに要する時間は、焼成器の大きさ、肉厚、材質、触媒生産量、連続的に触媒前駆体及び/又は複合酸化物触媒を焼成する一連の期間、固着速度・固着量等により適宜調整することが可能である。例えば、内径500mm、長さ4500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管を使用する場合においては、連続的に触媒を焼成する一連の期間中に好ましくは30日以内、より好ましくは15日以内、更に好ましくは3日以内、特に好ましくは2日以内である。
【0052】
例えば、内径500mm、長さ4500mm、肉厚20mmのSUS製の焼成管を有する回転炉により6rpmで回転しながら35kg/hrの速度で触媒前駆体を供給し、本焼成温度を645℃に設定する場合、温度を400℃まで低下させた後、昇温して645℃にする工程を1日程度で行うことができる。1年間連続的に焼成する場合、このような低温処理を1ヶ月に1回の頻度で実施することで、安定して酸化物層温度を維持しながら焼成することができる。
【0053】
[2]不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法
本実施形態における複合酸化物触媒の存在下、流動床反応器を用いて、プロパン又はイソブタンを気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供することにより、対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造することができる。
プロパン又はイソブタンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。
供給酸素源として空気、酸素を富化した空気又は純酸素を用いることができる。更に、希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素等を供給してもよい。
【0054】
プロパン又はイソブタンの気相接触酸化は以下の条件で行うことができる。
反応に供給する酸素のプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.5〜4である。
反応温度は300〜500℃、好ましくは350〜450℃である。
反応圧力は5×104〜5×105Pa、好ましくは0.5×105〜2×105Paである。
接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。本実施形態において、接触時間は次式で決定される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)
ここで、W、F及びTは次のように定義される。
W=充填触媒量(g)
F=標準状態(0℃、1.013×105Pa)での原料混合ガス流量(Ncc/sec)
T=反応温度(℃)
【0055】
プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化は以下の条件で行うことができる。
反応に供給する酸素のプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.5〜4である。
反応に供給するアンモニアのプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.7〜1.2である。
反応温度は350〜500℃、好ましくは380〜470℃である。
反応圧力は5×104〜5×105Pa、好ましくは1×105〜3×105Paである。
接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。
【0056】
不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する際の反応方式は、一般的には、固定床、流動床、移動床等の従来の方式を採用できるが、本実施形態においては、反応器にタングステン化合物を添加し、複合酸化物触媒との相互作用によって目的化合物の選択率を向上させる観点から、流動床反応を選択する。流動床反応には、反応熱の除去が容易であるというメリットもある。
【0057】
気相接触アンモ酸化反応は、単流式であってもリサイクル式であってもよい。
【0058】
[3]タングステン化合物の添加方法
本実施形態における不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法は、平均粒子径1〜500μmのタングステン化合物を流動床反応器内で複合酸化物触媒と接触させる工程を含む。複合酸化物触媒はそのままでも触媒活性を有するものであるが、流動床反応器を用いた気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応中の複合酸化物触媒にタングステン化合物を接触させることにより、目的化合物の選択率を向上させることができる。例えば、複合酸化物触媒を入れた反応器に原料等を供給し、気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応を進行させた状態で、目的化合物の選択率が十分でない場合であっても、その反応を進行させながらタングステン化合物を添加することによって初期状態より選択率を向上させることが可能である。
【0059】
上述したように、タングステンは複合酸化物触媒を構成する元素として含まれている場合も有り得るが、その場合であっても、流動床反応器にタングステン化合物を添加することによって目的化合物の選択率を向上させることができる。この理由としては、反応器に添加されるタングステン化合物は複合酸化物の表面近傍の改質に関わっており、複合酸化物触媒の結晶中に入り込んだタングステン成分とは異なる作用をすることに起因していると本発明者らは推定している。
より具体的には、流動床反応器にタングステン化合物を添加すると、複合酸化物触媒とタングステン化合物が接触し、タングステン化合物が固相反応により触媒中の複合酸化物の表面に拡散し、Mo等の金属元素との交換反応が起こると想定される。この交換反応が目的化合物の選択率改善に寄与していると本発明者らは考えている。
【0060】
反応器内にタングステン化合物を添加する方法としては、例えば、以下の2つの方法(1)及び(2)が挙げられ、後者(2)はさらに連続添加と間欠添加に分類することができる。
(1)気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応前に流動床反応器に添加する方法
(2)気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応中に流動床反応器に添加する方法(連続添加・間欠添加)
【0061】
(方法(1):反応前に添加する方法)
タングステン化合物としては、アンモニウム塩、硝酸塩、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ペルオキソカルボン酸塩、ペルオキソカルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化物、アセチルアセトナート、アルコキシド、トリフェニル化合物、ポリオキソメタレート、ポリオキソメタレートアンモニウム塩等のタングステンの塩;、三酸化タングステン、二酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム、ケイタングステン酸、ケイタングストモリブデン酸、ケイバナドタングステン酸等の粉末原料を用いることができる。上記の中でも、タングステン化合物による目的化合物への悪影響の少なさの観点から、三酸化タングステン、メタタングステン酸アンモニウムを好適に用いることができる。なお、タングステンを多く含む複合酸化物触媒については、その複合酸化物触媒の一部が、本実施形態におけるタングステン化合物として機能することがある。
【0062】
タングステン化合物は、大き過ぎると反応器底部に滞留して触媒と接触せず、小さ過ぎると吹き飛んで反応器外に出て行くおそれがあるため、その平均粒子径は1〜500μmであり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは20〜150μmである。ここで、タングステン化合物の平均粒子径は、300〜600℃で3〜5時間焼成したタングステン化合物を、粒子径測定装置(BECKMANCOULTER社製のLS230)で測定した値を言う。
【0063】
タングステン化合物の反応器内への添加の手段は特に限定されないが、反応器外のホッパー等から配管を経由して流動床反応器の触媒濃厚層部分へ圧送して供給することができる。この場合、圧送に用いるガスとしては、空気、不活性ガス等が用いられる。
【0064】
(方法(2):反応中に添加する方法)
タングステン化合物は方法(1)と同じものを用いることができる。タングステン化合物の添加量については、反応中に添加するため反応器設備、運転条件、タングステン化合物の種類やこれらの組み合わせによってはタングステン化合物の形状が壊れ、反応器外に出て行くことがあるため、反応器内の触媒組成に応じて任意に添加量を調節する必要がある。
【0065】
方法(2)の場合も、上記と同様の理由により、タングステン化合物の平均粒子径は1〜500μmであり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは20〜150μmである。
【0066】
反応器内への添加の手段としては、上記と同様の手段を用いることができる。タングステン化合物は単独で添加してもよいし、触媒、モリブデン化合物と混合して添加してもよい。
【0067】
反応中にタングステン化合物を添加する場合、連続添加でも間欠添加でもよい。ここで、連続添加とは、タングステンを毎日添加し続ける手法のことを言い、間欠添加とは、数日置きに添加する手法のことを言う。
【実施例】
【0068】
以下に本実施形態を、実施例と比較例によって更に詳細に説明するが、本実施形態の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例と比較例においては、プロパン転化率、アクリロニトリル選択率、アクリロニトリル収率、アクリル酸選択率、及びアクリル酸収率はそれぞれ次の定義に従う。
プロパン(PN)転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル(AN)選択率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(反応したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル(AN)収率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリル酸(AA)選択率(%)=(生成したアクリル酸のモル数)/(反応したプロパンのモル数)×100
アクリル酸(AA)収率(%)=(生成したアクリル酸のモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
【0070】
平均粒子径は以下のとおりに測定した。
タングステン化合物10gを500℃で3時間焼成し、それを約10ccの水に0.2g程度混ぜて、その懸濁液を粒子径測定装置(BECKMANCOULTER社製LS230)に適量入れて測定した。
【0071】
(ニオブ混合液の調製)
以下の方法でニオブ混合液を調製した。
水10kgにNb25として80.0質量%を含有するニオブ酸0.956kgとシュウ酸二水和物〔H224・2H2O〕3.291kgを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.50(mol−Nb/Kg−液)であった。この液を95℃で2時間加熱撹拌することによって、ニオブが溶解した混合液を得た。この混合液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ混合液を得た。このニオブ混合液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.75であった。
るつぼにこのニオブ混合液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb250.760gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.572(mol−Nb/Kg−液)であった。
300mLのガラスビーカーにこのニオブ混合液3gを精秤し、約80℃の熱水200mLを加え、続いて1:1硫酸10mLを加えた。得られた混合液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnO4を用いて滴定した。KMnO4によるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.573(mol−シュウ酸/Kg)であった。
2KMnO4+3H2SO4+5H224→K2SO4+2MnSO4+10CO2+8H2
得られたニオブ混合液は、下記の触媒調製のニオブ混合液(B0)として用いた。
【0072】
[実施例1]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.20Nb0.10Sb0.200.05n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1683gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を411.3g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を54.1g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を67.8g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)404.4gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液53.4g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0073】
(三酸化タングステンの調製)
メタタングステン酸アンモニウム〔(NH4621240〕から、50質量%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液を調製し、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状に成形した。乾燥器の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
この微小球状のメタタングステン酸アンモニウム200gを蒸発皿に載せ、固定式焼成炉を用いて、空気下において200℃で1時間、さらに500℃で2時間焼成後、取出して冷却することにより三酸化タングステンを得た。次いで、得られた三酸化タングステンを所定の粒径に篩い分けた。
なお、以下の実施例及び比較例における三酸化タングステンは、全て上記と同様の方法により調製した。
【0074】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gと平均粒子径100μmの三酸化タングステンを1.0g混合したものを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例1と同様の方法により調製した。
【0076】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0077】
[実施例2]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.21Nb0.10Sb0.220.05n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1738gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を404.1g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を55.9g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を73.2g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)397.4gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液52.5g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃
で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0078】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始直後から平均粒径100μmの三酸化タングステンを反応器内触媒濃厚層にバルブを介して0.2g/dayの量で5日間添加し続け、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0079】
[実施例3]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.21Nb0.10Sb0.220.04n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1757gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を408.4g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を56.5g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を74.0g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)401.6gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液42.4g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0080】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒径50μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0081】
[実施例4]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.21Nb0.10Sb0.220.03n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物を次のようにして製造した。
水1776gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を412.8g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を57.1g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を74.8g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)405.9gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液32.2g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0082】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径130μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0083】
[比較例2]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例2と同様の方法により調製した。
【0084】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径1μm未満の三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0085】
[比較例3]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例2と同様の方法により調製した。
【0086】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径600μm以上の三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0087】
[実施例5]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例2と同様の方法により調製した。
【0088】
(メタタングステン酸アンモニウムの調製)
市販のメタタングステン酸アンモニウム〔(NH4102124〕を所定の粒子径に篩い分けた。
【0089】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmのメタタングステン酸アンモニウムを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0090】
[実施例6]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.22Nb0.11Te0.2nで示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水3806gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を832.1g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を120.5g、及びテルル酸〔H6TeO6〕を214.9g加え、攪拌しながら60℃に加熱して溶解させた後、30℃まで冷却して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)900.0gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を140℃に加熱したテフロン(登録商標)コーティング鉄板上に噴霧して微小球状の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0091】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0092】
[比較例4]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例6と同様の方法により調製した。
【0093】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に調整して得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0094】
[実施例7]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.20Nb0.10Sb0.230.03n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1685gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を411.8g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を54.2g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を78.0g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)404.9gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液32.1g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃
で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0095】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0096】
[比較例5]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例7と同様の方法により調製した。
【0097】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0098】
[実施例8]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.23Nb0.10Sb0.200.04n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1939gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を410.5g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を62.1g、及び三酸化二アンチモン〔Sb23〕を67.6g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)403.6gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液42.7g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0099】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0100】
[比較例6]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例8と同様の方法により調製した。
【0101】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0102】
[実施例9]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.21Nb0.10Sb0.220.05La0.005n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1731gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を402.6g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を55.7g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を73.0g、硝酸ランタンLa(NO33・6H2Oを5.0g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)402.9gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液52.3g、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0103】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0104】
[比較例7]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例9と同様の方法により調製した。
【0105】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0106】
[実施例10]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.2Nb0.12Sb0.20.03Ce0.005n/25.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水2563gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を620.2g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を81.7g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を102.2g、硝酸セリウムCe(NO33・6H2Oを7.7g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)731.8gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル367.9gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液48.3g、粉体シリカ125gを水1688gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0107】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0108】
[比較例8]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例10と同様の方法により調製した。
【0109】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0110】
[実施例11]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.2Nb0.10Sb0.20.04n/65.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1176gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を291.0g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を38.3g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を47.9g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)286.1gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル956.4gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、WO3として50wt%のメタタングステン酸アンモニウム水溶液30.2g、粉体シリカ325gを水4388gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0111】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0112】
[比較例9]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例11と同様の方法により調製した。
【0113】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0114】
[実施例12]
(複合酸化物触媒の調製)
仕込み組成式がMo10.22Nb0.11Sb0.2n/50.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水1933gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を428.0g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を62.0g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を70.5g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)462.9gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル735.7gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、粉体シリカ250gを水3375gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0115】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を行った。反応開始から3日目、6日目に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを0.5gずつ添加し、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0116】
[比較例10]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例12と同様の方法により調製した。
【0117】
(プロパンのアンモ酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1:3:18のモル比の混合ガスを接触時間2.9(sec・g/cc)で供給し、アンモ酸化反応を10日間行った。
10日目の反応成績を表1に示す。
【0118】
[実施例13]
(複合酸化物触媒及び、三酸化タングステンの調製)
仕込み組成式がMo10.41Nb0.2Sb0.34n/40.0wt%−SiO2で示される複合酸化物触媒を次のようにして製造した。
水3530gにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を414.5g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を111.9g、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を116.1g加え、攪拌しながら95℃で1時間加熱して水性原料液(I)を得た。
ニオブ混合液(B0)815.2gに、H22として30wt%を含有する過酸化水素水を66.3g添加し、室温で10分間攪拌混合して、水性原料液(II)を調製した。
得られた水性原料液(I)を70℃に冷却した後にSiO2として34.0wt%を含有するシリカゾル589gを添加し、更に、H22として30wt%含有する過酸化水素水129.3gを添加し、55℃で30分間撹拌を続けた。次に、水性原料液(II)、粉体シリカ200gを水2700gに分散させた分散液を順次添加して水性混合液(III)を得た。水性混合液(III)は水性原料液(II)を添加後から2時間30分、50℃で熟成し、スラリー状の原料調合液を得た。
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の触媒前駆体を得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
得られた触媒前駆体のうち200gを直径3インチのSUS製焼成管に充填し、5.0NL/minの窒素ガス流通下、管を回転させながら、680℃で2時間焼成して複合酸化物触媒を得た。
【0119】
(プロパンの酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度400℃、反応圧力常圧下にプロパン:酸素:水蒸気:ヘリウム=1:3:14:10のモル比の混合ガスを接触時間1.2(sec・g/cc)で供給し、酸化反応を行った。反応開始直後に平均粒子径100μmの三酸化タングステンを反応器内触媒濃厚層にバルブを介して0.2g/dayの量で5日間添加し続け、10日間反応を行った。
10日目の反応成績を表2に示す。
【0120】
[比較例11]
(複合酸化物触媒の調製)
複合酸化物触媒は実施例13と同様の方法により調製した。
【0121】
(プロパンの酸化反応)
内径1Bのガラス製流動床型反応器に、上記で得られた複合酸化物触媒40gを充填し、反応温度400℃、反応圧力常圧下にプロパン:酸素:水蒸気:ヘリウム=1:3:14:10のモル比の混合ガスを接触時間1.2(sec・g/cc)で供給し、酸化反応を行った。
10日目の反応成績を表2に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mo、V及びNbを含有する複合酸化物触媒の存在下、流動床反応器を用いてプロパン又はイソブタンを気相接触酸化反応又は気相接触アンモ酸化反応に供することにより対応する不飽和酸又は不飽和ニトリルを製造する方法であって、
平均粒子径1〜500μmのタングステン化合物を前記流動床反応器内で前記複合酸化物触媒と接触させる工程を含む、不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
【請求項2】
前記複合酸化物触媒が、下記組成式(1)で表される複合酸化物を含む、請求項1記載の不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
Mo1aNbbcden (1)
(式(1)中、成分AはTe、Sbから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分XはW、Bi、Mnから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、成分ZはLa、Ce、Pr、Yb、Y、Sc、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、a、b、c、d、e、nはMo1原子当たりの各元素の原子比を示し、aは0.01≦a≦1、bは0.01≦b≦1、cは0.01≦c≦1、dは0≦d≦1、eは0≦e≦1であり、nは構成元素の原子価によって決まる数である。)
【請求項3】
前記複合酸化物触媒が、触媒全体に対してSiO2換算で20〜70質量%のシリカに担持されている複合酸化物を含む、請求項1又は2記載の不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。

【公開番号】特開2012−77039(P2012−77039A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224867(P2010−224867)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】