説明

両親媒性デンプンを含む医薬組成物

本発明は、放出制御または徐放性の固体医薬組成物、前記組成物の製造に使用するための医薬賦形剤、ならびに前記組成物および賦形剤を製造する方法に関する。放出制御または徐放性賦形剤は、両親媒性デンプンを含む放出制御賦形剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出制御または徐放性の固体医薬組成物、前記組成物の製造に使用するための医薬賦形剤、ならびに前記組成物および賦形剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御または徐放性の医薬組成物は、投与後長い期間または遅れて、導入された医薬的活性剤を生理学的環境へと放出することを企図している。
【0003】
特定の任意の医薬活性剤については、重大なまたは毒性の副作用を引き起こさず、有効である血漿レベルの範囲は、薬剤の治療濃度領域または範囲として知られている。活性剤を患者に一回投与した直後に、その血漿濃度はピークの値に達し、その後、急速に減少する。これは、薬剤が代謝され、患者の身体から除去されるからである。しかしながら、薬剤が、長期間にわたる放出を企図した放出制御または徐放性組成物で投与されるならば、その薬剤の血漿濃度は、長い期間、上昇した安定な値で維持することができる。薬剤が組成物から放出される速度を調整することによって、その血漿濃度は、また、狭い範囲内へととどまらせることができる。それゆえ、放出制御または徐放性組成物は、投与間隔を長くすることができ、その使用により、薬剤の血漿レベルが治療濃度領域を逸脱する危険性を減ずることができる。徐放性または放出制御組成物を介して達成することができる投与間隔を伸ばすことにより、投与頻度を、一日一回または二回とすることができ、それゆえ、患者のコンプライアンスを高めることができる。
【0004】
生理学的環境下への放出を制御するマトリクス内に活性剤が導入されている徐放性または放出制御組成物は、昔から知られている。例えば、1962年には、米国特許第3,065,143号明細書において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースで例示されるセルロース誘導体を含む徐放性錠剤が開示されている。水溶性ヒドロキシアルキルセルロースおよび高級脂肪アルコールからなる持続放出調製物が、1975年に、英国特許第1405088号明細書において提案されている。1988年には、欧州特許出願公開第0251459号明細書において、水溶性ポリデキストロースまたはシクロデキストリンのマトリクス、および高級脂肪アルコールまたはポリアルキレングリコールを含む、固体の放出制御医薬組成物が提案されている。この文献は、また、セルロース誘導体をポリデキストロースまたはシクロデキストリンの代わりに用いた組成物が開示されている。
【0005】
徐放性医薬組成物のためのマトリクスを供給するのに適していると知られている他の物質には、商品名EUDRAGITとして販売されているアクリル酸ポリマー、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびグリコール酸と乳酸とのコポリマーが含まれる。後者は、たびたび、欧州特許出願公開第050428号明細書ならびに米国特許第4,954,298号明細書および5,061,492号明細書に開示されたタイプの注入可能なまたは移植可能な組成物で使用される。
【0006】
他の系においては、医薬的活性剤の徐放性または放出制御は、活性剤を含むコアに塗布した放出速度を制限するコーティングの使用を介して達成される。このような系の1つは、欧州特許出願公開第0147780号明細書に開示されており、本明細書においては、デバイスが消化管の内部にある場合に、活性剤が徐々に放出されるポリビニルアルコールの被膜を含むコアがコーティングされている。
【0007】
それゆえ、投与形態からの活性剤の放出を制御する様々な方法が存在することは明らかである。活性剤が分散しているマトリクスは、それ自身が放出速度制御因子であるので、身体の内部の生理学的条件下では分解する物質のみによっては、マトリクスが形成することができないことは一般的に受け入れられている。このような賦形剤マトリクスの非制御の分解により、活性剤の「多量の放出」がもたらされ、賦形剤が生理学的条件下で分解するとすぐに、投与されたうちの大部分が迅速に放出される。世間一般の通念に従えば、このような非制御の大量の放出を避けるために、賦形剤またはマトリクスは、分解成分に加えて、少なくとも1つの成分を含まなければならない。この付加的な成分は、活性剤の放出、そして、通常は分解成分の分解または分散を制御するのに必要である。
【0008】
実際に、放出制御または徐放性組成物が、生理学的条件下で分解する成分を含む場合、分解性賦形剤で囲むコーティングの形態、または、(分解しやすい成分と架橋し、分解した賦形剤成分をできるだけ長い期間マトリクスの一部として保持することによって)分解を防ぐもしくは少なくとも分解を遅らせる更なる賦形剤成分の形態のいずれで、通常は、第一の成分の分解を減ずる手段をとる。
【特許文献1】米国特許第3,065,143号明細書
【特許文献2】英国特許第1405088号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0251459号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第050428号明細書
【特許文献5】米国特許第4,954,298号明細書
【特許文献6】米国特許第5,061,492号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0147780号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
その放出が、活性剤の送達または放出と投与との間で、生理学的条件の変化によっては影響を受けない、単純で、安価で且つ安全な放出速度制御賦形剤を供給することが望まれるであろう。
【0010】
活性剤が、放出制御または徐放性組成物から放出される速度に加えて、本発明は、広い吸収領域および狭い吸収領域の両方で活性剤を伝達するのに適した賦形剤を提供することを試みた。活性剤の吸収領域とは、活性剤が有効且つ十分に吸収される消化管の部分である。吸収領域は、活性剤の間で非常に変化する。幾つかの活性剤(例えばプロパノール ハイドロクロライドおよびガランタミン)は、小腸全範囲にわたって非常に良く吸収される。対照的に、活性剤の中には、小腸の特異的な部分でしか適切に吸収されないものもある。例えば、シプロフロキサシンの主要な吸収部分は、空腸までの上部消化管である。
【0011】
それゆえ、吸収が最大になるように、製剤からの活性剤の放出を制御することは、明らかに望まれていることである。このことは、最も良く吸収される消化管の部分で活性剤が主に放出することが確実となるように、賦形剤を好ましく適応させることを意味する。活性剤の無駄な消費を減じ、一定量の活性剤の投与によって達せられる有効量を増加させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様によれば、放出速度抑制成分として両親媒性デンプンを含む放出制御または徐放性賦形剤を提供することである。
【0013】
本発明の更なる態様においては、本発明の第一の態様による賦形剤と活性剤を含む放出制御または徐放性医薬組成物を提供することである。好ましくは、活性剤は、放出または徐放性賦形剤の全体にわたって均一に分散する。
【0014】
驚くべきことに、これらの両親媒性デンプンを、放出制御または徐放性賦形剤を形成するのに使用して、親水性と疎水性の両方の特徴(両親媒性)を有する特徴的なマトリクスを提供することができることが見出された。
【0015】
生理学的条件下で分解する両親媒性デンプンの使用は、驚くほど有効である。当業者ならば、従来技術の教示に基づいて、投与した活性剤が多量に放出されることを予期してしまうので、本願発明の賦形剤が、単純には、投与した活性剤を多量に放出しないことは完全に予期できないことである。実際、放出制御または徐放性賦形剤の技術分野における当業者は、両親媒性デンプンが、賦形剤に分散した活性剤の放出を制御するのに適しているとは予期しないであろう。むしろ、修飾にも関わらずアミラーゼによって両親媒性デンプンが分解されることから、当業者は、両親媒性デンプンが活性剤の放出を制御することはできないと考えるであろう。
【0016】
放出速度制御成分としての両親媒性デンプンの使用は、放出速度制御マトリクスを形成するために、2つまたは複数の成分間の相互作用に頼る必要が無いという利点を有する。このような相互作用は、生理学的条件下で分解する複数の成分を含む既知の賦形剤で用いられており、賦形剤の分解を制御するのは、これらの相互作用である。このような相互作用を利用することは望ましいことではない。特に、生理学的条件が変化した場合に、賦形剤が摂取後に曝露されてしまう。このような条件の変化によって、複合的な賦形剤の成分間の相互作用が影響を受け、その結果、活性剤の放出が影響を受ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
両親媒性デンプンは、極性で水溶性基および非極性で不溶性基を有する改変デンプンである。開始物質は、トウモロコシから容易に生成されたモチ性デンプンスラリー等である。デンプンスラリーは、その後、置換環状無水物、例えば置換無水コハク酸または置換無水グルタル酸で処理する。親水性および疎水性特性の両方を有する得られた生産物は、その後、洗浄して乾燥させる。
【0018】
本発明で使用する好ましい両親媒性デンプンは、アルケニルコハク酸デンプンである。この化学的に改変したデンプンは、制御したpH条件下で無水アルケニルコハク酸を用いてデンプンを処理することによって産生される。好ましい実施態様においては、両親媒性デンプンは、n-オクテニル無水コハク酸(n-OSA)を用いて調製する。得られたデンプンは、OSAデンプンとも称する。これらのデンプン誘導体上の置換の程度は、約3%である。OSAデンプンは、また、良好な圧縮性を有し、錠剤の良好な硬さももたらすことができるので、圧縮された医薬錠剤調合物に適する。
【0019】
オクテニルアルケニルコハク酸デンプンの形成を以下に示す。
【0020】
【化1】

【0021】
アルケニルコハク酸デンプンは、ヒトにとって安全であり、乳化剤および安定化剤として食品産業および化粧品産業で使用されている。これらの誘導体は、サラダドレッシング、ケーキ、コーヒー用クリーム、クリーマーおよび飲料で使用され、封入剤としてフレーバーエマルジョン内で使用されている。
【0022】
本発明によれば、両親媒性デンプンは、好ましくは、アルケニルコハク酸デンプンであり、より好ましくは、オクテニルコハク酸誘導体である。これらは、Cerestar, SAにより商品名C*EmTexで、National Starch CompanyによりCapsul, Purity GumおよびN-Creamerとして販売されている。Cerestarによって製造されているC*EmTex 12638製品は、糊化した安定なモチ性トウモロコシデンプンであり、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムとして一般に知られているアルケニルコハク酸デンプンである。このデンプンは、ドレッシング、ソーセージ、プロセスチーズおよびコーヒー用クリームで乳化剤として使用されている。本発明による組成物および賦形剤において使用されるアルケニルコハク酸デンプンは、長鎖脂肪酸(例えば、C1618アルケニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、iso-ブチル無水コハク酸、iso-オクタデセニル無水コハク酸、n-デセニル無水コハク酸、n-ドデセニル無水コハク酸、n-ヘキサデセニル無水コハク酸、n-オクタデセニル無水コハク酸、n-オクテニル無水コハク酸、n-テトラデセニル無水コハク酸、ノネニルコハク酸、オクテニル二コハク酸および分枝鎖状ブテニル無水コハク酸を含む)を使用して合成することもできる。
【0023】
本発明による好ましい両親媒性デンプンは、n-オクテニルコハク酸デンプンである。
【0024】
両親媒性デンプンは、本発明の第一の態様による賦形剤においては、主要な放出速度制御剤である。好ましくは、賦形剤は、他の一般的な放出速度制御剤を含まない。特に、賦形剤は、一般的な徐放性賦形剤成分であるキサンタンガムを含まない。また、本発明の賦形剤は、好ましくはポリサッカロイドも含まない。更なる実施態様においては、本発明による賦形剤は、両親媒性デンプンと架橋することができる剤を含まない。
【0025】
両親媒性デンプンは、アミラーゼ酵素によって触媒される加水分解により、消化の際に分解される。アミラーゼは、天然に存在するデンプン(例えば食品に存在するデンプン)を、グルコースサブユニット間の結合を切断することによって分解する。本発明によって使用されるデンプンは改変しているにも関わらず、アミラーゼは、デンプンに作用し分解することができる。
【0026】
アミラーゼは唾液に存在し、口腔内で噛む間に食物中のデンプンの分解を開始する。更なるアミラーゼが、食物が胃に達して小腸へと侵入する際に、膵臓によって分泌され、デンプンを分解する。
【0027】
摂食状態、すなわち食物を摂取した直後には、胃は食物および幾つかのアミラーゼ(咀嚼後に胃へと食物に付随してきた)を含む。この状態においては、胃ではアミラーゼ活性のレベルは低いが、この活性は、酵素の活性を阻害する胃酸の存在によって制限される。絶食状態、すなわち胃の中にほとんど食物が存在しないか、全く食物が存在しない時には、胃のアミラーゼ活性は、無視できるほどである。この状態では、胃にはアミラーゼがほとんど存在しないか、全く存在しない。
【0028】
錠剤、カプセルまたは他の製剤で患者が飲む場合、極めて少量の唾液が薬と共に飲み込まれる。口腔への唾液の分泌は、一般的に、食物の咀嚼によって誘導され、その後、唾液は食物と共に飲み込まれ、食物と共に胃へと導かれる。それゆえ、患者が絶食状態にある時に製剤を飲み込む場合、無視できるほどの量の唾液が同時に飲み込まれる。更にその上、胃にはほとんどまたは全くアミラーゼ活性が存在しないので、製剤は小腸に達するまでアミラーゼに曝露されない。
【0029】
デンプンのアミラーゼ分解は、少なくとも一時的には、酵素活性低下剤または酵素阻害剤によって防ぐことができる。好ましくは、酵素阻害剤はアミラーゼ阻害剤である。アミラーゼ活性は、低いpHによって阻害される。それゆえ、本発明の実施態様によれば、組成物は、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、アスコルビン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどの酵素活性低下剤を含む。代替的に、組成物は、アスコルビン酸、アカルボース、ファセオラミン、テンダミンスタット(tendaminstat)、マルトース、マルトトリオースおよびノジリマイシンなどの酵素阻害剤を含みうる。
【0030】
しかしながら、酵素活性低下剤として働く酸は、本発明による賦形剤内で分散させることができる全ての活性剤と両立できないことに着目することは重要である。幾つかの活性剤は、長期間にわたる酸の存在下では不安定であることが見出されている。これは、このような活性剤は、酸を含む組成物に含むことができないことを意味する。このような「酸に感受的な」活性剤を以下に示す。それらにはガバペンチンおよびガランタミンが含まれる。
【0031】
前記に暗示したように、本発明の他の態様は、胃に保留する放出制御賦形剤の調合物である。驚くべきことに、本発明による賦形剤および組成物は、水溶性液体に浮く特性を有する。このような賦形剤および組成物は、それゆえ、主に消化管の上部で吸収されるような吸収領域を有する活性剤を、伝達および分散させるのに適する。胃に保留する、または、流体力学的にバランスの取れた伝達システムは、製剤を、長期間胃の中に保持するのに使用され、それにより、狭い吸収領域を有する多くの活性剤が好ましく吸収される小腸の上部または開始部での製剤の保持時間を改良することができる。以下の活性剤は、狭い吸収領域を有し、消化管の上部で最も良く吸収される:シプロフロキサシン、ガバペンチン、ラニチジン、セファクロル、アシクロビル、シクロスポリン、ベナゼプリル、硫酸第一鉄およびセファレキシン。
【0032】
これらの活性剤は、賦形剤マトリクスへのアミラーゼの攻撃を低下させるために、酵素活性低下剤(クエン酸など)とともに、または酵素活性低下剤無しに調合することができる。活性剤が、小腸の上部のみから吸収される場合は、組成物は、好ましくは酵素活性低下剤を含まない。
【0033】
本発明による賦形剤の浮力は良好である。しかしながら、浮力は、ガス産生剤の追加によって改良することができる。ガス産生剤は、胃の水溶性内容物と反応して、ガス、好ましくは二酸化炭素を産生する。ガスはマトリクス内にトラップされ、製剤が浮くようになる。ガス産生剤の例には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムグリシン、重炭酸カリウムなどの炭酸塩、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの重亜流酸塩が含まれる。これらのガス産生剤は、酸との反応によりガスを発生させる。この酸は、胃に存在する酸とすることができる。代替的に、酸を、前記した組成物に含ませることができる。発泡性のガス産生カップルの一方として導入するのに適した酸には、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸等、およびそれらの塩が含まれる。
【0034】
前記したように、幾つかの活性剤は、長期間にわたる酸の存在下では不安定であり、このような活性剤は、酸を含む賦形剤とともに投与すべきではない。この場合、賦形剤は、浮力を増すために、胃の中の酸と反応するガス産生剤を含むことができる。
【0035】
投与する活性剤が、(a)酸を含む組成物では不安定であり、(b)好ましくは消化管の上部で吸収される場合は、この活性剤は、好ましくは、酸を含まないが、胃の中の酸と反応するガス産生剤を含む賦形剤中で投与し、ガスを産生させ、製剤の浮力を増加させる。
【0036】
投与する活性剤が、(a)酸を含む組成物では安定であり、(b)好ましくは消化管の上部で吸収される場合は、この活性剤は、酸と、この酸と反応するガス産生剤とを含む賦形剤中で投与し、ガスを産生させ、製剤の浮力を増加させることができる。代替的には、このような活性剤は、胃の中の酸と反応するガス産生剤を含む、酸-フリーの賦形剤中で投与することができる。
【0037】
活性剤が広い吸収領域を有し、製剤の胃での保留がそれほど重要ではない場合、吸収の重大な損失をもたらさずに、ガス産生剤を省くことができる。それにも関わらず、酸が対象となる活性剤と適合するならば、酸をアミラーゼ阻害剤として含むことは望ましいことであろう。広い吸収領域を有し、消化管全体にわたって吸収される活性剤の例には、プロプラノロール、ジルチアゼム、ニフェジピン、シュードエフェドリン、ジクロフェナック、メトプロロール、ガランタミン、クロルフェニラミンおよびエフェドリンが含まれる。これらの活性剤は、好ましくは、アミラーゼの存在下での活性剤の迅速な放出を防ぐために、酵素活性低下剤とともに調合される。
【0038】
活性剤が、広い吸収領域を有するが、酸を含む賦形剤では不安定である場合、少量の活性剤および多量の両親媒性デンプンを含む組成物を使用することによって、吸収を最大にすることができる。このような組成物において、両親媒性デンプンが多く存在することは、分散している活性剤を放出するために、酵素が、より多くの賦形剤を分解しなければならないことを意味する。このような実施態様においては、活性剤は、より好ましくは、賦形剤内に均一に分散している。両親媒性デンプンの分解には、より長い時間が必要であり、活性剤は、より徐々に放出される。
【0039】
このような賦形剤は、ガランタミンを投与するのに適する。
【0040】
本発明は、更には、放出制御または徐放性賦形剤、および放出-抑制両親媒性デンプンとともに疎水性物質を更に含む組成物を提供する。脂肪または油性成分の導入によって、デンプン分子の水和が遅くなり、その結果、粘度が増加し
、デンプンマトリクスの侵食もより遅くすることができ、最終的には放出-抑制効果がより優れたものとなる。
【0041】
本発明による賦形剤および組成物に含ませることができる疎水性物質のタイプの例には、植物性油、特に水素添加植物性油などの脂肪または油性物質が含まれる。水素添加油には、米国薬局方の規格による1型および2型の油が含まれ、最も好ましいものは、水素添加綿実油、水素添加ヒマシ油、水素添加パーム油および水素添加大豆油である。本発明に使用することができる他の疎水性物質の例には、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、中鎖グリセリド、鉱物油およびステアリルアルコールが含まれる。
【0042】
多くの油性または脂肪成分が、本発明による賦形剤および組成物に含むことができることが予期される。本発明によれば、油性または脂肪成分は、アルケニルコハク酸デンプン含量の30%、35%、40%、45%または50%まで存在することができる。
【0043】
油性または脂肪物質を含む一般的な組成物は、通常は、マトリクスの侵食が減少するという欠点を有し、拡散経路の長さがより長くなり、放出終速度がより遅くなってしまう。このことは、疎水性成分を含む組成物を使用して、ゼロに近い放出を得ることが不可能であることを意味する。
【0044】
本発明の共加工した物質は、この問題を有さず、活性成分のほとんど一定の放出を示す。この効果は、侵食効果を有する両親媒性デンプンの存在を原因とする、それゆえ、両親媒性デンプンと疎水性物質との組み合わせは、様々な薬剤の放出制御組成物を調合するための賦形剤として使用することができる。デンプンは、組成物の総重量の75%、70%、65%、60%。55%または50%まで存在できる。
【0045】
本発明の前記した実施態様によって生じる顕著な利点は、50%超の、好ましくは60、70または80%超の活性剤または活性薬剤を含むことができることである。
【0046】
胃の中のアミラーゼおよび他の化学物質からの更なる保護には、本発明による賦形剤または組成物からの活性剤の放出を微調整することが必要である。1つの実施態様においては、組成物は、コーティングそれ自身が、好ましくは消化管の予め決められた部分で分解するまで、賦形剤および活性剤を保護する腸溶性のコーティングを有することができる。このタイプのコーティングは、良く知られており、広く使用されている。このようなコーティングに適した物質の例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、セルロースもしくはセルロース誘導体、または重合不飽和脂肪酸、またはそれらの混合物が含まれる。
【0047】
本発明による賦形剤の顕著な有用性は、圧縮することができ、それゆえ、活性剤との単純な混合物で使用し、直接的な圧縮によって、望むならば、湿式または乾式造粒によって、徐放性錠剤を調製することができることである。本発明による賦形剤組成物を、乾燥して易流動性の粉末または顆粒の形態で供給することができるということにより、直接圧縮方法による錠剤の製造での使用に特に適するものとすることができる。本発明による組成物を使用して形成された錠剤は、正確な調合に依存して、本発明による放出制御または徐放性組成物に関連した全ての利点を有することができる。
【0048】
本発明による固体の医薬組成物は、錠剤、押出し品、ペレット、粉末(例えば、経鼻投与または吸入)、顆粒ならびに座薬(直腸および膣)の形態とすることができる。本発明による医薬組成物は、好ましくは、口腔錠剤および舌下錠剤を含む、経口投与のための錠剤の形態である。最も好ましいのは、摂取を意図し、消化管へ長期間にわたって活性剤を放出することができる錠剤である。
【0049】
本発明による組成物および賦形剤は、好ましくは、活性剤と単純に混合することができるほど十分に圧縮可能であり、放出制御または徐放性錠剤を形成することができる。そのような錠剤は、活性剤と賦形剤との混合物を直接圧縮することによって、または、活性剤と賦形剤とを湿式または乾式造粒することによって形成される顆粒を圧縮することによって、調製できることが予期される。錠剤は、その後で、コーティングすることができる。
【0050】
錠剤は、必要に応じて、例えば、滑剤および流動促進剤、バインダー、崩壊剤、着色剤、芳香剤、充填剤、フィラー、防腐剤ならびに安定化剤を含む一般的な特性の追加の医薬賦形剤を含むことができる。
【0051】
両親媒性デンプンおよび任意の他の適切な賦形剤成分を含む賦形剤と、活性剤とを含む、本発明による組成物で満たされたカプセルを製造することができる。
【0052】
本発明による賦形剤および組成物の使用に適したバインダーには、微結晶性セルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、アカシア、アルギン酸、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースおよびポリエチレンオキシドが含まれる。
【0053】
本発明によれば、アルケニルコハク酸デンプンは、バインダーおよび造粒化剤としても使用することができる。
【0054】
滑剤および流動促進剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび二酸化ケイ素が含まれる。
【0055】
好ましくは、本発明の賦形剤および組成物に使用されるフィラーおよび充填剤には、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、デンプン、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、ソルビトールおよびスクロースが含まれる。
【0056】
前記で示唆したように、本発明による医薬組成物の最も好ましい形態は、摂取を意図し、消化管へ長期間にわたって活性剤を放出することができる錠剤である。このような錠剤は、一定期間にわたって、一日一回の投与を可能とする負荷量を放出するように調合される。この期間は、活性剤の特性に依存して変化する。例えば、特定の活性剤の血清濃度が、24時間ごとの数時間の間、ある閾値未満に下がることが有利であり(例えば、硝酸塩血管拡張剤である一硝酸イソソルビドおよび二硝酸イソソルビドを含む)、これらは、他よりもより短い期間放出されることが有利である。
【0057】
組成物が、50重量%超の、好ましくは60、70または80重量%超の活性剤を含むことが好ましい。好ましくは、賦形剤が分解または崩壊する時に徐々に放出させるために、活性剤は、賦形剤中に分散させる。
【0058】
本発明に適した薬剤のクラスには、制酸薬、抗-炎症物質、冠動脈拡張剤、脳血管拡張薬、抹消血管拡張薬、抗感染薬、向精神薬、抗躁薬、興奮剤、抗ヒスタミン剤、便秘薬、充血除去剤、ビタミン、胃腸鎮静剤、下痢止め調製物、抗狭心症薬、欠陥拡張剤、抗不整脈薬、降圧剤、血管収縮剤、偏頭痛治療薬、抗凝血剤および抗血栓薬、鎮痛薬、解熱剤、睡眠薬、鎮静剤、制吐剤、制嘔吐剤、抗痙攣薬、神経筋作用薬、血糖上昇剤および血糖低下剤、甲状腺薬および抗甲状腺薬、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、ミネラルおよび栄養添加物、抗肥満薬、同化剤、赤血球増殖剤、抗喘息剤、気管支拡張薬、去痰薬、咳止め、粘液溶解薬、石灰化および骨代謝回転作用薬ならびに尿酸低下薬が含まれる。
【0059】
本発明による組成物に導入することができる具体的な薬剤または活性剤には、メタクロプラミドおよびプロパンテリン ブロマイドなどの胃腸鎮静剤;アルミニウム トリシリケート、アルミニウム ハイドロオキシド、ラニチジンおよびシメチジンなどの制酸薬;フェニルブタゾン、インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、デキサメタゾン、プレドニソンおよびプレドニソロンなどの抗炎症薬;グリセリル トリニトレート、イソソルビド ジニトレートおよびペンタエリスリトール テトラニトレートなどの冠動脈拡張剤;ソロクチジラム(soloctidilum)、ビンカミン、ナフチドロフリル オキサレート、コデルゴクリン メシレート(codergocrine mesylate)、シクランデレート、パパベリンおよびニコチン酸などの抹消血管拡張薬および脳血管拡張薬;エリスロマイシン ステアレート、セファレキシン、ナリジキシン酸、テトラサイクリン ハイドロクロライド、アンピシリン、フルクロキサシリン ソディウム、ヘキサミン マンデレートおよびヘキサミン ヒプレートなどの抗感染物質;フルラゼパム、ジアゼパム、テマゼパム、アミトリプチリン、ドキセピン、リチリウム カーボネート、リチリウム スルフェート、クロルプロマジン、チオリダジン、トリフルペラジン、フルフェナジン、ピペロチアジン、ハロペリドール、マプロチリン ハイドロクロライド、イミプラミンおよびデスメチルイミプラミンなどの神経弛緩薬;メチルフェニデート、エフェドリン、エピネフリン、イソプロテレノール、アンフェタミン スルフェートおよびアンフェタミン ハイドロクロライドなどの中枢神経興奮薬;ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラニン、クロルフェニラミンおよびブロムフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;ビサコジル ハイドロオキシドおよびマグネシウム ハイドロオキシドなどの下痢止め薬;ジオクチル ソディウム スルフォスクシネートなどの便秘薬;アスコルビン酸、アルファ トコフェロール、チアミンおよびピリドキシンなどの栄養サプリメント;ジシクロミンおよびジフェノキシレートなどの抗痙攣薬;ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、プロカイナミド、ジソピラミド、ブレチリウム トシレート、キニジン スルフェートおよびキニジン グルコネートなどの心拍リズムに影響を与える薬;プロパノロール ハイドロクロライド、グアニチジン モノスルフェート、メチルドーパ、オクスプレノール ハイドロクロライド、カプトプリルおよびヒドラジンなどの高血圧の治療に使用する薬;エルゴタミンなどの偏頭痛の治療に使用する薬;エプシロン アミノカプロン酸およびプロタミン スルフェートなどの血管凝固に作用する薬;アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、コデイン ホスフェート、コデイン スルフェート、オキシコドン、ジヒドロロコデイン タートレート、オキシコデイノン、モルヒネ、ヘロイン、ナルブフィン、ブトルファノール タートレート、ペンタゾシン ハイドロクロライド、シクラザシン(cyclazacine)、ペチジン、ブプレノルフィン、スコポラミンおよびメフェナム酸などの鎮痛剤;フェニトイン ソディウムおよびソディウム バルプロエートなどの抗癲癇薬;ダントロレン ソディウムなどの神経筋作用薬;トルブタミド、ジスベナーゼ グルカゴン(disbenase glucagons)およびインスリンなどの糖尿病の治療に使用する薬;トリヨードチロニン、チロキシン、プロピルチオウラシルなどの甲状腺機能障害の治療に使用する薬;フロセミド、クロルタリドン、ハイドロクロロチアジド、スピロノラクトンおよびトリアムテレンなどの利尿薬;子宮弛緩薬リトドリン;フェンフルラミン ハイドロクロライド、フェンタミンおよびジエチルプロプリオン ハイドロクロライド(diethylproprion hydrochloride)などの食欲抑制薬;アミノフィリン、テオフィリン、サルブタモール、オリシプレナリン スルフェートおよびテルブタリン スルフェートなどの抗喘息薬および気管支拡張薬;グアイフェネシンなどの去痰薬;デキストロメトルファンおよびノスカピンなどの咳止め;カルボシステインなどの粘液溶解薬;セチルピリジニウム クロライド、チロチリシン(tyrothricin)およびクロルヘキシジンなどの消毒剤;フェニルプロパノールアミンおよびシュードエフェドリンなどの充血除去剤;ジクロラルフェナゾンおよびニトラゼパムなどの睡眠薬;プロメタジン テオクレートなどの制嘔吐剤;硫酸第一鉄、葉酸およびカルシウム グルコネートなどの血液製剤;スルフィンピラゾン、アロプリノールおよびプロベネシドなどの尿酸低下薬;ビホスホネートなどの石灰化作用薬、例えばエチドロネート、パミドロネート、アレンドロネート、レジドロネート、テルドロネート、クロドロネートおよびアロンドロネート;ならびにアセチルコリンエステラーゼ阻害剤様ドネゼピル(donezepil)、リバスチグミン、タクリンおよびガランタミンなどのアルツハイマー治療薬が含まれる。
【0060】
本発明による組成物へ導入するための候補である更なる薬剤および活性剤には、これらに限定されないが、H2受容体アンタゴニスト、抗生物質、鎮痛薬、心・血管作動薬、ペプチドまたはタンパク質、ホルモン、抗偏頭痛薬、抗凝血剤、制吐剤、降圧剤、麻薬拮抗薬、キレート化薬、抗狭心症薬、化学療法薬剤、鎮静剤、抗癌薬、プロスタグランジン、抗利尿薬等が含まれる。典型的な薬剤には、これらに限定されないが、ニザチジン、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、エチニジン、ルピチジン(lupitidine)、ニフェンチジン(nifentidine)、ニペリトン(niperitone)、スルフォチジン、ツバチジン、ザルチジン、エリソマイシン(erythomycin)、ペニシリン、アンピシリン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、サイリウム、シプロフロキサシン、テオフィリン、ニフェジピン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、デキシイブプロフェン リシネート(dexibuprofen lysinate)、フルルビプロフェン、ナプロキセン、コデイン、モルフィン、ソディウム ジクロフェナック、アセチルサリチル酸、カフェイン、シュードエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ベルベリン、ロペラミド、メフェナム酸、フルフェナム酸、アステミゾール、テルフェナジン、セルチリジン(certirizine)、フェニトイン、グアフェネシン、N-アセチルプロカインアミドHCL、それらの医薬的に許容可能な塩およびそれらの誘導体が含まれる。他の薬剤には、クラリスロマイシン、アモキシリン、エリスロマイシン、アンピシリン、ペニシリン、セファロスポリンなどの抗生物質、例えばセファレキシン、それらの医薬的に許容可能な塩およびそれらの誘導体、アセトアミノフェン、ならびにNSAIDS、例えばイブプロフェン、インドメタシン、アスピリン、ジクロフェナックおよびそれらの医薬的に許容可能な塩が含まれる。
【0061】
最も好ましい活性剤は、ガバペンチン、ガランタミン、トピラメート、オキシコドン、オキシモルフォン、ハイドロモルフォンおよびメチルフェニデートである。
【0062】
本発明による医薬組成物および賦形剤の両方は、水溶性のチャネリング剤(channelling agent)を含みうる。チャネルリング剤は、生理学的環境から組成物への(または賦形剤により形成される医薬組成物への)水の浸入を容易にするように、または、組成物から(または賦形剤により形成される医薬組成物から)生理学的環境への活性剤の放出を容易にするように、選択される。適したチャネリング剤には、塩化ナトリウムなどの無機塩、デキストロース、スクロース、マンニトール、キシリトールおよびラクトースなどの糖、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマーが含まれる。
【0063】
本発明による賦形剤を使用することによって調製する場合はいつでも、または、本発明による前記で論じた方法の1つによって調製する場合はいつでも、本発明は組成物にまで及ぶ。このような方法には、最終的な製剤を供給するための、コーティングを組成物に塗布する最終工程が含まれる。コーティングは、一般的な種類とすることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、またはセルロースもしくはセルロース誘導体を含むことができ、または、本発明の前記した態様で使用した種類の重合した不飽和脂肪酸または誘導体から形成することができる。コーティングは、好ましくは連続しており、胃酸による侵食に耐えることができる。
【0064】
コーティングを含む本発明の任意の実施態様の利点は、高い油含量を有する錠剤で特に問題となる、食物効果(food effect)を避けることができることである。
【0065】
本発明による組成物は、多くの方法で、製剤へと形成することができる。第一に、活性剤および賦形剤(例えばアルケニルコハク酸デンプン)を、滑剤と(そして場合によっては希釈剤と)ともに乾燥状態で混合し、錠剤へと直接圧縮し、または、乾燥粉末混合物をカプセル殻へと充填して、活性剤の放出制御または持続放出を達成する。乾燥混合物と比較してより流動性が優れた顆粒を得るために、アルケニルデンプンは、また、アルコール溶媒または含水アルコール溶媒を用いて造粒することによって製造することもできる。
【0066】
第二の実施態様においては、アルケニルコハク酸デンプンと活性剤との粉末混合物を、水溶性溶媒、アルコール溶媒または含水アルコール溶媒を用いて湿式造粒し、80℃未満で乾燥させる。乾燥した顆粒を、その後、滑剤と(そして場合によっては希釈剤と)ともに混合し、錠剤へと圧縮またはカプセル内で充填する。驚くべきことに、湿式造粒を使用して形成した錠剤は、前記した乾燥粉体として添加して形成された錠剤よりも、良好な放出制御が示された。顆粒の流動特性も改善した。
【0067】
第三の実施態様においては、アルケニルコハク酸デンプンは、乾燥状態で混合し、油状または脂肪物質とともに加工して、両親媒性デンプンおよび疎水性成分を含む賦形剤を形成する。共加工した物質は、乾燥混合物と比較して、改善した顆粒の流動特性を示した。共加工は、水溶性溶媒、アルコール溶媒または含水アルコール溶媒を用いた造粒によって実施することができる。共加工は、また、活性剤の存在下で実施することもできる。
【0068】
以下の実施例は、単に、本発明の様々な態様を例示するため、および、その理解を助けるためのみに提供される。実施例は、本発明の範囲を制限するように解釈するべきではない。
【実施例】
【0069】
実施例は、USFDAのBiopharmaceutics Classification System (BCS)によって記された4つの分子のクラス全てを対象とする。
【0070】
(実施例1)
本実施例は、活性剤としてインドメタシン(クラス-2薬、高浸透性、低可溶性)、および、放出制御剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含む放出制御組成物を示す。組成を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
方法は、以下の工程を含む:
1.インドメタシンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを、850ミクロンのメッシュでふるいにかけた。
2.ステアリン酸カルシウムを、355ミクロンのメッシュでふるいにかけた。
3.工程1および2の粉末を混合した。
4.11mmのラウンドツーリング(round tooling)を用いて錠剤を圧縮した。
【0073】
錠剤は、USP-1装置内(バスケットスピードが100rpmであり、使用した媒体は900mlのリン酸バッファーpH6.8であった)で、その溶解についてテストした。溶解結果を表2で示す。
【0074】
【表2】

【0075】
(実施例2)
本実施例は、活性分子としてガバペンチン(クラス-3薬、低浸透性、高可溶性)、および、放出制御剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含む放出制御組成物を示す。錠剤を直接圧縮した。組成物を表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびEmcocelを、850ミクロンのメッシュに通した。
2.ステアリン酸カルシウムを、355ミクロンのメッシュでふるいにかけた。
3.工程1および2の粉末を混合した。
4.11mmのラウンドコンケイブパンチ(round concave punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0078】
錠剤は、実施例1に記載した方法を使用して、溶解についてテストした。結果を表4に示す。
【0079】
【表4】

【0080】
(実施例3)
本実施例は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用して製造したガバペンチンの放出制御調合物、および、放出制御剤としてSterotex-K(水素添加大豆油および水素添加ヒマシ油)と組み合わせて使用して製造したガバペンチンの放出制御調合物を示す。組成物の構成を表5に示す。これらの実施例においては、ガバペンチンをオクテニルコハク酸デンプンナトリウムとともに造粒して、流動特性および圧縮特性を改善した。
【0081】
【表5】

【0082】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンを、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムのペーストとともに造粒した(イソプロピルアルコール:水混合液(25:75)中に9%(w/w))。
2.顆粒を、850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、トレイドライヤー内で60℃で乾燥した。
3.微顆粒オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、Sterotex KおよびEmcocel 90Mを、850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、ステアリン酸カルシウムを250ミクロンのメッシュに通した。
4.工程1および2の粉末を混合した。
5.11mmのラウンドコンケイブパンチ(round concave punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0083】
錠剤は、実施例1に記載した方法を使用して、溶解についてテストした。結果を表6に示す。
【0084】
【表6】

【0085】
(実施例4)
本実施例は、水およびイソプロピルアルコールを含む溶媒系とともに、ガバペンチンとオクテニルコハク酸デンプンナトリウムとの湿式造粒混合物を使用して調合したガバペンチンの放出制御錠剤を示す。表7は、組成物の構成を示す。
【0086】
【表7】

【0087】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを量り取り、併せて混合した。
2.混合物を、水:イソプロピルアルコール混合液(60:40)を用いて造粒した。
3.顆粒を30分間60℃で乾燥した。
4.顆粒を、850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、コハク酸カルシウムと混合した(250ミクロンのメッシュに通した)。
5.11mmのラウンドスタンダードコンケイブパンチ(round standard concave punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0088】
錠剤は、実施例1に記載した方法を使用して、溶解についてテストした。溶解の結果を表8に示す。
【0089】
【表8】

【0090】
(実施例5)
本実施例は、放出制御剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用した、カプセルベースの放出制御調合物を示す。組成物の構成を表9に示す。
【0091】
【表9】

【0092】
方法は、以下の工程を含む:
1.インドメタシンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを、850ミクロンのメッシュに通し、併せて混合した。
2.混合物を、サイズ「0」のゼラチンカプセルに注入した。対象注入重量は、360mgであった。
【0093】
カプセルは、羽根の高さを4.5cmにしたUSP装置2を使用し、バスケットをシンカー(sinker)として使用し、pH6.8のリン酸バッファーを溶解媒体として使用して、溶解についてテストした。溶解テストの結果を表10に示す。
【0094】
【表10】

【0095】
(実施例6)
本実施例は、ガバペンチンの流体力学的にバランスの取れた錠剤調合物を示す。組成物の構成を表11に示す。
【0096】
【表11】

【0097】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを850ミクロンのメッシュに通して、併せて混合した。
2.工程1の粉末を、イソプロピルアルコール、水混合液を用いて造粒した(比率60:40)。
3.顆粒を30分間60℃で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を、850ミクロンのメッシュでふるいにかけた。
5.炭酸カルシウムおよびステアリン酸カルシウム(355ミクロンのメッシュに通した)を、工程4の顆粒と混合し、11mmのラウンドスタンダードコンケイブパンチ(round standard concave punch)を用いて圧縮した。
【0098】
カプセルは、USPタイプ1溶解装置を使用し、900mlの0.1N HClを溶解媒体として使用して、溶解についてテストした。バスケットスピードは、100rpmとした。溶解テストの結果を表12に示す。
【0099】
【表12】

【0100】
錠剤は、羽根スピード25rpm、媒体として900mlの0.1N HClを使用したUSP-2装置を使用して、浮力についてテストした。錠剤は、30分で浮力が得られ、その後、媒体の最上部で浮き続けた。
【0101】
(実施例7)
本実施例は、(a)薬剤とオクテニルコハク酸デンプンナトリウムとの造粒による方法、および、(b)薬剤とオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの直接圧縮による方法という、異なる2つの方法による放出制御ガバペンチン錠剤の調合物を示す。両方の方法により、類似の組成物が得られた。表13は、組成物の構成を示す。
【0102】
【表13】

【0103】
方法(a)は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを、850ミクロンのメッシュに通した。
2.工程1の粉末を、水:イソプロピルアルコール混合液(60:40)を用いて造粒した。
3.顆粒を、トレイドライヤー内で60℃で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を850ミクロンのメッシュに通し、コハク酸カルシウム(250ミクロンのメッシュに通した)と混合した。
5.11mmのラウンドスタンダードコンケイブパンチ(round standard concave punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0104】
方法(b)は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを、850ミクロンのメッシュに通した。
2.コハク酸カルシウムを250ミクロンのメッシュに通した。
3.工程1および2お粉末を併せて混合した。
4. 11mmのラウンドスタンダードコンケイブパンチ(round standard concave punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0105】
溶解テストの結果を、表14に示す。
【0106】
【表14】

【0107】
(実施例8)
本実施例は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびsterotex-NF(Abitec社, USAによって提供)を含む賦形剤調合物を示す。
【0108】
方法は、以下の工程を含む:
1.80および20の比率のオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびsterotex-NFを、併せて混合した。
2.工程1の混合物を、イソプロピルアルコール、水混合液を用いて造粒した(比率60:40)。
3.顆粒を30分間60℃で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を、850ミクロンのメッシュに通した。
【0109】
(実施例9)
本実施例は、実施例8の賦形剤を使用した、ガバペンチンの放出制御錠剤調合物を示す。表15は、組成物の構成を示す。
【0110】
【表15】

【0111】
錠剤を、実施例7に記載されたように圧縮した。溶解テストの結果を表16に示す。
【0112】
【表16】

【0113】
(実施例10)
本実施例は、湿式造粒によるオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの加工に基づく、賦形剤の調合を示す。加工により、顆粒の流動性および圧縮特性を改良することが示された。
【0114】
方法は、以下の工程を含む:
1.オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを、850ミクロンのメッシュに通した。
2.粉末を、イソプロピルアルコールと水の混合液を用いて造粒した(90:10)。
3.顆粒を、トレイドライヤー内で60℃で乾燥し、850ミクロンのメッシュに通し、賦形剤を得た。
【0115】
(実施例11)
本実施例は、実施例10の賦形剤を使用した、ガバペンチンの放出制御錠剤調合物を示す。表17は、組成物の構成を示す。
【0116】
【表17】

【0117】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンおよび賦形剤を、850ミクロンのメッシュに通した。
2.ステアリン酸カルシウムを355ミクロンのメッシュに通した。
3.工程1および2お粉末を併せて混合した。
4.11mmの工具を用いて錠剤を圧縮した。
【0118】
溶解テストは、実施例1で記載したように行い、その結果を表18に示す。
【0119】
【表18】

【0120】
(実施例12)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用した、プロプラノール塩酸塩(クラス-1薬、高溶解性および高浸透性)の徐放性錠剤調合物を示す。
【0121】
【表19】

【0122】
方法は、以下の工程を含む:
1.プロプラノロール塩酸塩およびオクテニルコハク酸デンプンナトリウム(粒内)を850ミクロンのメッシュに通し、併せて混合した。
2.粉末を、水とイソプロピルアルコール混合液(20:80)を用いて造粒した。
3.顆粒をトライドライヤー内で60℃で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を、粒外デンプンおよびステアリン酸カルシウムで混合し、355ミクロンのメッシュでふるいにかけ、併せて混合した。
5.11mmのラウンドパンチ(round punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0123】
錠剤は、100rpmのバスケットスピード、900mlの0.1N HClを溶解媒体として使用して、USPタイプ1装置を使用して溶解についてテストした。結果を表20に示す。
【0124】
【表20】

【0125】
(実施例13)
本実施例は、実施例8の賦形剤を使用した、プロプラノロール塩酸塩の徐放性錠剤調合物を示す。表21は、組成物の構成を示す。
【0126】
【表21】

【0127】
方法は、以下の工程を含む:
1.プロプラノロール塩酸塩および賦形剤を、850ミクロンのメッシュに通して、併せて混合した。
2.ステアリン酸カルシウムを、355ミクロンのメッシュでふるいにかけ、工程1の粉末と混合した。
3.11mmのラウンドパンチ(round punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0128】
錠剤を、実施例12に記載されているようにテストした。結果を表22に示す。
【0129】
【表22】

【0130】
(実施例14)
本実施例は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムとSterotex-NFとの混合物を使用した、プロプラノロールの徐放性調合物を示す。組成物の構成を表23に示す。
【0131】
【表23】

【0132】
方法は、以下の工程を含む:
1.プロプラノロール塩酸塩およびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを850ミクロンのメッシュに通し、併せて混合した。
2.粉末を、水とイソプロピルアルコール混合溶液(20:80)を用いて造粒した。
3.顆粒をトライドライヤー内で60℃で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を、sterotex-NFおよびステアリン酸カルシウムで混合した(355ミクロンのメッシュでふるいにかけた)。
5.11mmのラウンドパンチ(round punch)を用いて錠剤を圧縮した。
【0133】
得られた錠剤を、実施例12で記載されているように、溶解についてテストした。テストの結果を表24に示す。
【0134】
【表24】

【0135】
(実施例15)
本実施例は、クラス-4薬であるカルベジロール(低溶解性および低浸透性)の徐放性錠剤調合物を示す。組成物の構成を表25に示す。
【0136】
【表25】

【0137】
方法は、以下の工程を含む:
1.オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、カルベジロール、およびEmcocel 90Mを、850ミクロンのメッシュに通した。
2.ステアリン酸カルシウムを、355ミクロンのメッシュでふるいにかけた。
3.工程1および2の粉末を混合し、11mmのパンチを用いて錠剤を圧縮した。
【0138】
錠剤は、0.1N HClに溶かした1%ラウリル硫酸ナトリウムを含む媒体、USP1装置、バスケットスピード100rpmを使用して、溶解についてテストした。テストの結果を、表26に示す。
【0139】
【表26】

【0140】
(実施例16)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用した、2つの600mgのガバペンチン徐放性錠剤調合物を示す。組成物の構成を表27に示す。
【0141】
【表27】

【0142】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンを850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、PVP溶液(エタノール中15% w/w)を用いて造粒した。
2.顆粒を、45℃でトレイドライヤーで乾燥し、1-2% w/w減少させた。
3.オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、Emcocel 90M、Sterotex NFおよびステアリン酸マグネシウムを、355ミクロンのメッシュでふるいにかけ、工程1の顆粒と混合した。
4.19x9mmのカプセル型のパンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0143】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として900mlのpH6.8リン酸バッファーを使用して、溶解について試験した。これらのテストの結果を表28に示す。
【0144】
【表28】

【0145】
(実施例17)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用した、900mgの放出制御ガバペンチン調合物を示す。組成物の構成を表29に示す。
【0146】
【表29】

【0147】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンを850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、PVP溶液(エタノール中15% w/w)を用いて造粒した。
2.顆粒を、45℃でトレイドライヤーで乾燥した。
3.乾燥した顆粒を850ミクロンのメッシュに通し、粒外物質(355ミクロンのメッシュでふるいにかけたオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、Sterotex、Emcocelおよびステアリン酸マグネシウム)と混合した。
4.21x10mmの長円形パンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0148】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として900mlのpH6.8リン酸バッファーを使用して、溶解について試験した。溶解テストの結果を表30に示す。
【0149】
【表30】

【0150】
(実施例18)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用した、900mgの放出制御ガバペンチン調合物を示す。組成を表31に示す。
【0151】
【表31】

【0152】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンを850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、PVP溶液(エタノール中15% w/w)を用いて造粒した。
2.顆粒を、45℃でトレイドライヤーで乾燥した。
3.乾燥した顆粒を850ミクロンのメッシュに通し、粒外物質(355ミクロンのメッシュでふるいにかけたオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、Sterotex、Emcocelおよびステアリン酸マグネシウム)と混合した。
4.21x10mmの長円形パンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0153】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として900mlの0.06N HClを使用して、溶解について試験した。結果を表32に示す。
【0154】
【表32】

【0155】
(実施例19)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用した、900mgの放出制御ガバペンチン調合物を示す。組成を表33に示す。
【0156】
【表33】

【0157】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガバペンチンを850ミクロンのメッシュでふるいにかけ、PVP溶液(エタノール中15% w/w)を用いて造粒した。
2.顆粒を、45℃でトレイドライヤーで乾燥した。
3.乾燥した顆粒を850ミクロンのメッシュに通し、粒外物質(355ミクロンのメッシュでふるいにかけたオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、Sterotex、Emcocelおよびステアリン酸マグネシウム)と混合した。
4.21x10mmの長円形パンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0158】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として900mlの0.06N HClを使用して、溶解について試験した。結果を表34に示す。
【0159】
【表34】

【0160】
(実施例20)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用した、ガランタミンの除放性錠剤調合物を示す。組成を表35に示す。
【0161】
【表35】

【0162】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガランタミンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを量り取り、355ミクロンのメッシュでふるいにかけて、併せて混合した。
2.工程1の粉末混合物を、エタノールと水との混合液中(70:30)の20%PVP溶液を用いて造粒した。
3.顆粒を60℃で乾燥し、2.5-3.5%のLODを得た。
4.乾燥した顆粒を、Emcocel、Cab-o-Silおよびステアリルフマル酸ナトリウム(355ミクロンのメッシュでふるいにかけた)を用いて混合した。
5.11mmのラウンドパンチを用いて、錠剤を圧縮した。
【0163】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として最初の2時間は0.06N HClを、その後、2-6時間はアミラーゼ(216mg/lit)を含む6.8pHリン酸バッファーを使用して、溶解について試験した。溶解結果を表36に示す。
【0164】
【表36】

【0165】
(実施例21)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを使用した、ガランタミンの除放性錠剤調合物を示す。組成を表37に示す。
【0166】
【表37】

【0167】
方法は、以下の工程を含む:
1.ガランタミンおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを量り取り、355ミクロンのメッシュでふるいにかけて、併せて混合した。
2.工程1の粉末混合物を、エタノールと水との混合液中(70:30)の20%PVP溶液を用いて造粒した。
3.顆粒を60℃で乾燥し、2.5-3.5%のLODを得た。
4.乾燥した顆粒を、Emcocel、Cab-o-Silおよびステアリルフマル酸ナトリウム(355ミクロンのメッシュでふるいにかけた)を用いて混合した。
5.18x8.6mmのカプセル型のパンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0168】
錠剤は、USP-2装置、50rpmnの羽根スピードを使用し、溶解媒体として最初の2時間は0.06N HClを、その後、2-6時間はアミラーゼ(216mg/lit)を含む6.8pHリン酸バッファーを使用して、溶解について試験した。溶解結果を表38に示す。
【0169】
【表38】

【0170】
(実施例22)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用し、酵素活性低下剤としてクエン酸を使用した、500mgの放出制御シプロフロキサシン調合物を示す。組成物の構成を表39に示す。
【0171】
【表39】

【0172】
方法は、以下の工程を含む:
1.シプロフロキサシン、クエン酸、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびsterotex NFを、850ミクロンのメッシュに通して、混合した。
2.工程1の粉末を、21mmのラウンドパンチを使用して小片にした。
3.小片を、22メッシュに通して、顆粒を得た。
4.顆粒を、emcocel 90Mおよびステアリン酸マグネシウムと混合した。
5.21x10mmの長円形パンチを使用して、錠剤を圧縮した。
【0173】
(実施例23)
本実施例は、放出抑制剤としてオクテニルコハク酸デンプンナトリウムおよびSterotex NFを使用し、酵素活性低下剤としてクエン酸を使用した、120mgの放出制御プロプラノロール調合物を示す。組成物は、表40で示すように構成された。
【0174】
【表40】

【0175】
方法は、以下の工程を含む:
1.プロプラノロール塩酸塩、クエン酸およびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを850ミクロンのメッシュに通し、PVP溶液(エタノール中15% w/w)を用いて造粒した。
2.顆粒を、45℃でトレイドライヤーで乾燥した。
3.乾燥した顆粒を850ミクロンのメッシュに通し、粒外物質-Emcocelおよびステアリン酸マグネシウムと混合した。
4.11mのパンチを使用して、錠剤を圧縮した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両親媒性デンプンを含む放出制御賦形剤を含む、放出制御または徐放性固体医薬賦形剤。
【請求項2】
前記両親媒性デンプンが、アルキル、アルケニル、アラルキルまたはアラルケニルコハク酸またはグルタル酸デンプンである、請求項1に記載の賦形剤。
【請求項3】
前記両親媒性デンプンが、C6からC16アルケニルコハク酸デンプンである、またはC6からC16アルケニルコハク酸デンプンを含む、請求項1または2に記載の賦形剤。
【請求項4】
前記C6からC16アルケニルコハク酸デンプンが、n-オクテニルコハク酸デンプンまたはオクテニルコハク酸デンプンナトリウムである、請求項3に記載の賦形剤。
【請求項5】
少なくとも1つの油性または脂肪成分を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の賦形剤。
【請求項6】
前記油性または脂肪成分が、脂肪酸、その誘導体もしくは塩、鉱物油、植物性油またはワックスであるか、あるいは、脂肪酸、その誘導体もしくは塩、鉱物油、植物性油またはワックスを含む、請求項5に記載の賦形剤。
【請求項7】
前記植物性油が、水素添加植物性油である、請求項6に記載の賦形剤。
【請求項8】
前記水素添加植物性油が、水素添加綿実油、水素添加ヒマシ油、水素添加パーム油および/もしくは水素添加大豆油であるか、あるいは、水素添加綿実油、水素添加ヒマシ油、水素添加パーム油および/もしくは水素添加大豆油を含む、請求項7に記載の賦形剤。
【請求項9】
前記脂肪または油性成分が、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、中鎖グリセリド、鉱物油および/もしくはステアリルアルコールであるか、あるいは、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、中鎖グリセリド、鉱物油および/もしくはステアリルアルコールを含む、請求項5に記載の賦形剤。
【請求項10】
前記少なくとも1つの油性または脂肪成分が、前記賦形剤において、両親媒性デンプンの量の40%までに相当する量で存在する、請求項5から9のいずれか一項に記載の賦形剤。
【請求項11】
易流動性の粉末または顆粒の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載の賦形剤。
【請求項12】
放出制御または徐放性固体医薬組成物の製造に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の賦形剤。
【請求項13】
直接圧縮による、または、賦形剤から形成された顆粒の圧縮による錠剤の形成のために、十分に圧縮可能である、請求項12に記載の賦形剤。
【請求項14】
医薬活性剤および請求項1から13のいずれか一項に記載の賦形剤を含む、放出制御または徐放性固体医薬組成物。
【請求項15】
少なくとも50重量%の活性剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも60、70または80重量%の活性剤を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
酵素活性低下剤または酵素阻害剤を含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記酵素阻害剤が、アミラーゼ阻害剤である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
酸を含む、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記酸が、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸および/またはアスコルビン酸である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
アスコルビン酸、アカルボース、ファセオラミン、テンダミンスタット、マルトース、マルトトリオースおよび/またはノジリマイシンを含む、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項22】
酸と反応してガスを産生するガス産生剤を更に含む、請求項14から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ガス産生剤が、重炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記医薬活性剤が、抗癲癇薬、抗喘息薬、抗潰瘍剤、鎮痛薬、降圧剤、抗生物質、抗精神病薬、抗癌剤、抗ムスカリン様作用薬、利尿薬、抗偏頭痛薬、抗ウイルス剤、抗炎症薬、鎮静剤、抗糖尿病薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、アルツハイマー治療薬または脂質低下薬である、請求項14から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記活性剤が、ガバペンチン、ガランタミン、トピラメート、オキシコドン、オキシモルフォン、ハイドロモルフォンまたはメチルフェニデートである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記医薬活性剤が、5から1200mgの範囲の量で存在する、請求項14から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記両親媒性デンプンが、組成物の約2、5、7または10重量%から約80、85、90、95または99重量%含む、請求項14から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
組成物の約2、5、7または10重量%から40、45、50、55または60重量%、好ましくは、組成物の約5から20重量%の量の油性または脂肪成分を含む、請求項14から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
錠剤、ハードゼラチンカプセル、押出し品、ペレット、粉末、顆粒または座薬の形態である、請求項14から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
消化管への摂取のための錠剤の形態である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
滑剤、バインダー、崩壊剤、着色剤、芳香剤、防腐剤、安定化剤、流動促進剤、フィラーおよび/または充填剤を更に含む、請求項14から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
コーティング剤の被膜でコーティングされている、請求項14から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記コーティングが、実質的に連続している、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記コーティングが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、セルロースまたはセルロース誘導体を含む、請求項32または33に記載の組成物。
【請求項35】
請求項1から13のいずれか一項に記載の賦形剤の使用を含む、放出制御または徐放性固体医薬組成物の製造方法。
【請求項36】
前記放出制御または徐放性固体医薬組成物が、請求項14から34のいずれか一項に記載の放出制御または徐放性固体医薬組成物である、請求項35に記載の製造方法。
【請求項37】
前記賦形剤を含む混合物を、放出制御または徐放性固体医薬錠剤へと直接圧縮する工程を含む、請求項35または36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記賦形剤を含む顆粒を形成する工程、および、前記顆粒を、放出制御または徐放性固体医薬錠剤へと圧縮する工程を含む、請求項35または36に記載の製造方法。
【請求項39】
前記錠剤をコーティングする工程を更に含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項40】
請求項35から39のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される医薬組成物。
【請求項41】
2、5、7または10%から75、80、85、90または95%のオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含む、放出制御または徐放性ガバペンチン調合物。
【請求項42】
医薬的に有効量のガバペンチン、組成物の約5、7、10または15重量%から70、75、80または85重量%のオクテニルコハク酸デンプンナトリウム、および、約5、7、10または15重量%から30、35、40、45または50重量%の油性または脂肪成分を含む、請求項41に記載の調合物。
【請求項43】
2、5、7または10%から75、80、85、90または95%のオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含む、放出制御または徐放性ガランタミン調合物。
【請求項44】
医薬的に有効量のガランタミン、および、約65、70、75、80または85%のオクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含む、請求項43に記載の調合物。

【公表番号】特表2007−532620(P2007−532620A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507854(P2007−507854)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050051
【国際公開番号】WO2005/099674
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(504085521)ベクトゥラ・リミテッド (15)
【Fターム(参考)】