説明

両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法及び装置

【課題】色の異なる熱硬化性樹脂材料の2色成形品の内側及び外側の両面に絵付け及び/又はコーティングを施した美麗な熱硬化性樹脂成形品を一連の工程で連続的に製造する方法及び装置の提供。
【解決手段】(i)一つの凸金型及び二つの凹金型又は(ii)二つの凸金型及び一つの凹金型からなる1組の金型を用いて異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる成形品であって、その両面に絵付又は/及びコーティングを施した熱硬化性樹脂成形品を、先ず成形品の内側もしくは外側を成形し、次に第二の凸又は凹金型をスライド又は回転移動させて成形品の外側もしくは内側を成形して、一連の成形工程で連続的に製造する方法並びに装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法及び装置に関し、更に詳しくは一つ(もしくは二つ)の凸金型及び二つ(もしくは一つ)の凹金型からなる1組の金型を用いて、異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる成形品であって、その両面に絵付け又は/及びコーティングを施した両面加飾熱硬化性樹脂成形品を一連の工程で連続的に製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂は、圧縮成形法により食器、調理用品、食品保存容器、洗面風呂用品などの成形品の製造に多用されている。熱硬化性樹脂成形材料には、補強のために、通常パルプ材などの補強材が充填されている。しかしながら、熱硬化性樹脂成形材料の単独成形品は、このパルプ材などの補強材の影響で使用中に汚れが付き易く、そのため、一般的には成形品表層部に、樹脂(例えばメラミン−ホルムアルデヒドなどの樹脂)のみのグレーズをコーティングするグレーズコーティング成形が行われている。
【0003】
即ち、一般には、例えば典型的な成形工程を示す、図1の工程(1)〜(7)のように、凸金型2上に凹金型3を用いて熱硬化性樹脂1を圧縮成形した成形物(素地)4を保持し(図1の工程(1)及び(2)参照)、その上に、図1の工程(5)及び(6)に示すように、グレーズ5を乗せて成形物の外面6に凹金型3を用いてグレーズ5のコーティング成形を行なう。この場合、成形物7は外面にはグレーズコーティングされているが、その内面8にはグレーズ5のコーティング層は形成されていない。
【0004】
更に、これらの成形物を特に食器類などとして使用する場合には、その商品価値を高めるために成形物6の表面に絵柄や模様を入れることが多く、この場合には図1の工程(3)〜(4)を追加して、樹脂を含浸し乾燥した絵柄入り特殊印刷紙(フォイル)9を成形し、図1の工程(5)〜(6)で前述のようにその上に光沢低下や汚染等による劣化を防ぐために、凹金型3を用いてグレーズ5のコーティング成形を行うのが一般的である。
【0005】
上述の如く、陶器やプラスチックスなどの種類を問わず、通常皿などの浅型平面形状の食器類は、料理を盛りつける内面に絵柄などを施し、熱硬化性樹脂成形品の場合、その上にグレーズコーティング成形を行うことにより、このグレーズ層により内面に盛りつけられる料理の付着や汚れを抑えることができる。
【0006】
しかし、飯碗、湯呑みやカップ、丼、鉢、椀等の深型立体形状の食器類は、特に熱硬化性樹脂成形品の場合、よく目に触れる外面のみに絵柄を施し、その上にグレーズコーティング成形を行うのが一般的である。従って、食物と接する内面にはグレーズ層は形成されない。このため湯呑みやカップ等は、素地に直接飲み物等に接する為、茶渋やコーヒー等で汚れが付着し内面が汚くなり、光沢も低下していく。また、ナイロンタワシやクレンザー等の固いもので汚れを落とすと、内面の表面に傷が付き余計に汚れが付きやすくなる。また食器類を洗浄するにあたり、食器類に付着した残滓を柔らかくするため、長時間お湯に浸漬する事が多いが、この時に残滓等がグレーズ層の無い面に付着して汚染され易いという問題がある。
【0007】
かかる問題を解決するために、特許文献1には、2種類の金型を用いて、先ず成形物の内側表面にグレーズコーティング層を設け、次にこの半成形品を凹金型から取出して、凸金型へ移し、そこで成形物の外側表面にグレーズコーティング層を設けることが提案されている。しかし、この方法は、工程の途中で一旦半成形品を取り出して別の金型(凸金型)の表面上に移すため、製造工程が非連続的であり、しかも半成形品を金型より取り外し、少なからず放置状態となるため冷却され成形収縮が始まる。この成形収縮は経時により収縮量は変化するので、別の金型(凸金型)を製作する際、収縮量を見込んで製作しなければならない。しかし、その見込み量を決定する事が困難なうえ、一定の変形量を確保するためには半製品取り出し後の放置時間をある程度一定にするなど、成形作業上で制約が発生するという問題がある。また、熱硬化性材料は材料の製造ロット毎の成形収縮スピードを一定にすることは困難な材料であることは当業者のよく知る通りであり、収縮の見込み量は経験に依存する部分があり、特に工程操作のコントロールが繁雑になり、不良品が発生しやすくなるという点で未だ改良の余地がある。
【0008】
そこで本発明者らは先きに使用によって、汚染や光沢低下等に依る劣化を抑えることができる熱硬化性樹脂成形品を、一個の金型を用いて、一連の工程で連続的に製造する方法及び装置を開発することに成功した(特許文献2参照)。この方法は、例えば図2の工程(1)〜(11)にその一例を示す通りであり、工程(1)及び(2)では図1の場合と同様に凸金型12に熱硬化性樹脂11を圧縮成形して成形物を保持する。この成形物の外面16にグレーズ15を凹金型13を用いて、従来法と同様にして、例えばメラミン−ホルムアルデヒドなどの樹脂を用いて、グレーズコーティング成形を行い(図2の工程(5)及び(6)参照)、次いで、その成形品17を図2の工程(9)〜(10)に示す様に、成形物外面16のグレーズ面を凹金型に付着させ、成形品17の内面18にもグレーズ15のコーティング成形を行う。この様な熱硬化性樹脂成形品17を得るためには、成形物14の外面16にグレーズコーティングを施し、次工程の内面グレーズコーティングに際して凸金型12及び凹金型13を開いた時、この半成形品は、工程(9)に示すように、グレーズコーティングを施した側の凹金型13側に移動させなければならない。移動プレート22の両端にはフック手段23が付いており、図3(1)及び(2)に示す様に凹金型13及び凸金型12のいずれかの金型に、移動プレートの固定手段23、例えばフック手段23で連結できる構造としてある。この移動プレート22を固定するフック手段23が凸金型12に連結すれば凸金型側、凹金型13に連結すれば凹金型側に移動プレート22が移動し、それに伴って成形工程中の成形物も移動プレート22に載持されて上下する。フック手段の一例は図4に示す。なお、この方法によれば、図2の工程(9)及び(10)によって、工程(5)及び(6)と同様にして成形品17の内面18にグレーズコーティングを施すことができる。また成形品17の外面及び/又は内面に、図2の工程(3)及び(4)又は/並びに工程(7)及び(8)において、図1について説明したのと同様の方法でフォイル成形して、最終成形品の内面及び/又は外面に絵柄や模様などを入れることができる。
【0009】
【特許文献1】日本特許第3398818号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/015565号AI
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、色の異なる熱硬化性樹脂の二色成形品の内側と外側の両面に絵付け及び/又はコーティングを施した成形品を一連の工程で連続的に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従えば、(i)一つの凸金型及び二つの凹金型又は(ii)一つの凹金型及び二つの凸金型からなる一組の金型を用いて異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる成形品であって、その両面に絵付又は/及びコーティングを施した熱硬化性樹脂成形品を一連の成形工程で連続的に製造する方法であって、
(i)一つの凸金型及び二つの凹金型からなる一組の金型を用いる場合には、(a)先ず凸金型及び第一の凹金型を組み合せて、第一の成形材料の素地を成形し、その内表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の内側を成形し、次に(b)凹金型を移動させて凸金型及び第二の凹金型を組み合せて第一の素地とは異なる色の第二の成形材料の素地を内側成形品の外側に成形し、その外表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の外側を成形するか、又は
(ii)一つの凹金型及び二つの凸金型からなる一組の金型を用いる場合には、(c)先ず凹金型と第一の凸金型を組み合せて第一の成形材料の素地を成形し、次にその外表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の外側を成形し、次に(d)凸金型を移動させて凹金型と第二の凸金型を組み合せて第一の素地とは異なる色の第二の成形材料の素地を外側成形品の内側に成形し、次にその内表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の内側を成形する一連の工程を連続的に行うことを特徴とする両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法並びにそれによって製造された成形品が提供される。
【0012】
本発明に従えば、また、異なる色の2種類の原料熱硬化性樹脂成形材料の供給装置、(i)一つの凸金型及び二つの凹金型又は(ii)二つの凸金型及び一つの凹金型からなる1組の金型、金型の開閉装置、二つの凸又は凹金型の移動装置、金型の加熱及び加圧装置、コーティング成形用のグレーズ供給装置、絵付け成形用のフォイル供給装置、金型に設けた移動プレート並びに凸金型及び凹金型と着脱自在な移動プレートの固定装置を含んでなる異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる熱硬化性樹脂成形品の製造装置並びにそれによって製造された成形品が提供される。
【0013】
本発明に従った熱硬化性樹脂成形品の製造装置は、原料熱硬化性樹脂成形材料の供給装置、凹金型及び凸金型からなる金型、金型の開閉装置、加熱及び加圧装置、コーティング成形用のグレーズ供給装置、絵付け成形用のフォイル供給装置、金型に設けられた移動プレート並びに移動プレートの着脱自在な固定装置を含み、これらのうち、以下に説明する、金型に設けた移動プレート及びその固定装置を除けば従来通りとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色の異なる熱硬化性樹脂を圧縮成形して、食器などの容器、その他の成形品を製造するにあたり、一つ(もしくは二つ)の凹金型及び二つ(もしくは一つ)の凸金型からなる一組の金型を開閉しながら成形し、両面に、絵柄などのフォイル成形やグレーズコーティング成形を行うことができ、前述の一組の金型の凹金型及び凸金型の上下設定により、内外面が異なる色の成形品の外面及び内面のいずれの面にも絵柄及び/又はコーティングを一連の工程で連続的に施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る両面加飾熱硬化性樹脂成形品の好ましい製造方法を図面を参照して以下に説明する。
本発明は、(i)一つの凸金型と二つの凹金型、又は(ii)二つの凸金型と一つの凹金型を用いて、別々の色の熱硬化性成形材料(例えば市販のメラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂などのアミノ系樹脂など)を使って、内側と外側の色が異なる成形品であり、尚且つ両面に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを施した成形品を一連の成形工程で成形することができる製造方法に関する。かかる方法及びそれに用いる装置は、従来より行われている成形方法であるスライドプレス機によるスライド成形法、或いはロータリープレス機によるロータリー成形法等で本発明の金型構造で別の形の凹金型、或いは凸金型を作りスライド、或いは回転させ、その際別々の色の成形材料を使って、内側と外側の色の違う成形品であり、尚且つ両面に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理した成形品を一連の成形工程で成形することができる。
【0016】
本発明の両面加飾熱硬化性樹脂の成形は、前記(i)又は(ii)の一組の金型を用いる以外は、基本的には本発明者らの先行発明に係る特許文献2に記載の成形工程、更に具体的には本明細書に添付の図2〜4、更には図1に記載の従来の熱硬化性樹脂材料の成形工程、成形方法及び成形装置を用いて実施することができ、当業者であれば容易に理解し得るところである。
【0017】
然るに、本発明の金型は、(i)一つの凸金型と二つの凹金型の組み合わせ、或いは(ii)一つの凹金型と二つの凸金型の組み合わせを用いる。一つの凸金型と二つの凹金型の組み合わせであれば、一次成形で内側に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理した成形品を成形し、凹金型をスライド移動、或いは回転テーブルのような垂直方向を中心軸とした回転移動により金型を入れ替え、一次成形品が保持されたままで別の色の熱硬化性樹脂成形材料で外側に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理する二次成形にて内側と外側の色を変えた成形品であり、尚且つ両面に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理した成形品を一連の成形工程で成形することができる。金型のスライド移動又は回転テーブルのような垂直方向を中心軸とした回転移動は、例えばスライドプレス機の移動テーブルを用いたスライド移動、ロータリープレス機の回転テーブルを用いた回転移動、スライド機構を持たせた金型を用いてのスライド移動、回転テーブルによる回転機構を持たせた金型を用いての回転移動のようにして実施することができる。
【0018】
一方、一つの凹金型と二つの凸金型の組み合わせの金型を用いる場合には、一次成形で外側に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理した成形品を成形し、凸金型をスライド移動、或いは回転移動により金型を入れ替え、一次成形品が保持されたままで別の色の熱硬化性樹脂成形材料で内側に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理する二次成形にて内側と外側の色を変えた成形品であり、尚且つ両面に絵付け、或いはコーティング、或いは絵付けとコーティングを処理した成形品を一連の成形工程で成形する事ができる。色の異なる熱硬化性材料は同種の熱硬化性材料に異なる着色料を配合してもよいし、逆に異種の熱硬化性材料に異なる着色料を配合してもよい。
【実施例】
【0019】
一つの凸金型32及び二つの凹金型、即ち内側成形用凹金型33−1及び外側成形用凹金型33−2を用いる本発明の第一の態様に従って両面加飾熱硬化性樹脂成形品を製造する方法を、添付図5〜12を参照して説明する。なお、一つの凹金型及び二つの凸金型を用いる第二の態様については、先ず外側ベース成形品を成形し、外側絵付け成形、外側グレーズ成形(注:絵付け成形及びグレーズ成形は必ずしも必須ではない。以下同じ。)を施した後、凸金型を交換して内側ベース成形品、内側絵付け成形、内側グレーズ成形を施すことを除けば、以下に説明する第一の態様と同様に成形することができる。
【0020】
先ず図5に示す凸金型32に常法に従って内側ベース成形材料31(熱硬化性樹脂A)を適用し、内側及び外側成形用凹金型33−1及び33−2(これらの金型は適当な手段(例えば移動テーブル又は回転テーブル)でスライド移動又は回転移動可能に連結されている)の金型33−1と組み合せて内側ベース成形品34を成形する。この際フック35は上型(即ち凹金型33−1)に固定させる。次に図6に示すように、内側ベース成形品34をフックで上型(凹金型33−1)に固定した状態で任意的な内側絵柄36を凸金型32に適用し、図6に示すように凸金型32と凹金型33−1とによって成形品の内側絵付け成形を行なう。
【0021】
次に図7に示すように、絵柄36を適用した内側ベース成形品34をフック35で凹金型33−1に固定した状態で任意的な内側グレーズコーティング材料37を凸金型32に適用して図7に示すように凸金型32及び凹金型33−1を組み合せて絵柄36の内側にグレーズコーティングを施す。ここでフック35を下型(凸金型32)に掛けかえることによって図8に示すように凸金型32上に内側成形完成品38(即ち、内側ベース成形品及び/又は絵柄及び/又はグレーズコーティング)が完成する。
【0022】
次段階では図9に示すように凸金型32と組合さる凹金型を凹金型33−1から外側成形用凹金型33−2に前述のようにしてスライド又は回転移動させ、凸金型32の上に成形されている内側成形完成品38の上に外側ベース成形材料39(熱硬化性樹脂Aとは色の異なる熱硬化性樹脂B)を供給し、図9に示すように凸金型32と凹金型33−2とを組み合せて内側成形完成品38の外側(即ち内側成形ベース層の外側)に外側ベース成形品40を成形する。
【0023】
次に、成形品を図10に示すように、下型(凸金型32)に固定した状態で任意的に外側絵柄41と成形品の外側ベース成形品の外側に適用して凸金型32と凹金型33−2とを組み合せて、成形品の外側に絵柄を施し、更に図11に示すように、任意的な外側グレーズ42を中間成形品の外側に適用して凸金型32及び凹金型33−2を組み合わせて成形品の外側にグレーズコーティングを施す。かくして図12に示すように、内側と外側の色が異なる両面加飾成形品43を、金型を取り外すことなく、一連の工程で成形することができる。なお、図12に示すように、凹金型32−1及び32−2はスライド又は回転移動させて図5の状態に戻し、次のサイクルに備える。
【0024】
本発明において用いる絵柄とは、例えば樹脂(メラミン樹脂など)を含浸させて乾燥させた絵柄入り印刷紙(フォイル)あるいは樹脂(メラミン樹脂など)を含浸させて乾燥させた絵柄のない紙で含浸していない印刷紙をはさみこむ、又は片面に載せることによるフォイルなどをいい、またグレーズコーティングとは、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂及びメラミン・グアナミン共縮合樹脂から選ばれた少なくとも1種と硬化触媒並びに離型剤などの材料で準備したメラミン系樹脂被覆用組成物によるコーティングなどをいう。なお、これらの用語は当業界でよく使われている用語であり、本発明においても、これらに準ずるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、異なる色の成形材料を用いて成形品の内面と外面の両面の色が異なる成形品であって、その両面に絵付け及び/又はコーティングを施す一連の工程を連続的に行って、両面加飾熱硬化性樹脂成形品及びその製造方法を提供することができるので、(1)より高級感のある成形品を製造コストを抑えた商品として提供ができること、(2)内側に汚れが目立ちにくい色の材料を用い、外側には通常の材料を用いることでより耐汚染性の高い製品の提供ができること、(3)性能の異なるグレーズコーティング材を用いて、内側外側のグレーズコーティングを施すことができること、(例えば、内側には汚染に対して強いグレーズコーティング材を用い外側には耐候性に強いグレーズコーティング材を用いるなど)、(4)撥水効果ないし親水効果の高いグレーズコーティング材を用いて、内側外側のグレーズコーティングを施すことで食器を重ねた時の水切りをよりよくすることができるといったことに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来の熱硬化性樹脂成形品を製造する成形工程を説明する図面である。
【図2】本発明者らの先行発明の熱硬化性樹脂成形品を製造する成形工程の金型外部の状態を示す説明図である。
【図3】本発明者らの先行発明の半成形品の移動機構を示す説明図である。
【図4】本発明者らの先行発明装置の移動プレート及びその固定装置の一例(フック手段)を示す図面である。
【図5】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の内側ベース成形段階を示す図面である。
【図6】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の内側絵付け成形段階を示す図面である。
【図7】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の内側グレーズ成形段階を示す図面である。
【図8】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の内側成形完了段階を示す図面である。
【図9】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の外側ベース成形段階を示す図面である。
【図10】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の外側絵付け成形段階を示す図面である。
【図11】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の外側グレーズ成形段階を示す図面である。
【図12】本発明の第一の態様に係る連続成形工程の成形完了段階を示す図面である。
【符号の説明】
【0027】
1,11 熱硬化性樹脂
2,12 凸金型
3,13 凹金型
4 成形物(素地)
5,15 グレーズ
6,16 成形物の外面
7,17 グレーズコーティング後の成形品
8,18 成形品の内面
9,19 フォイル
22 移動プレート
23 移動プレートの固定手段(フック手段)
24 ロッド
25 成形物
31 内側ベース成形材料(熱硬化性樹脂A)
32 凸金型
33−1 内側成形用凹金型
33−2 外側成形用凹金型
34 内側ベース成形品
35 フック手段
36 内側絵柄
37 内側グレーズ
38 内側成形完成品
39 外側ベース成形材料
40 外側ベース成形品
41 外側絵柄
42 外側グレーズ
43 両面加飾成形完成品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)一つの凸金型及び二つの凹金型又は(ii)一つの凹金型及び二つの凸金型からなる一組の金型を用いて異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる成形品であって、その両面に絵付又は/及びコーティングを施した熱硬化性樹脂成形品を一連の成形工程で連続的に製造する方法であって、
(i)一つの凸金型及び二つの凹金型からなる一組の金型を用いる場合には、(a)先ず凸金型及び第一の凹金型を組み合せて、第一の成形材料の素地を成形し、その内表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の内側を成形し、次に(b)凹金型を移動させて凸金型及び第二の凹金型を組み合せて第一の素地とは異なる色の第二の成形材料の素地を内側成形品の外側に成形し、その外表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の外側を成形するか、又は
(ii)一つの凹金型及び二つの凸金型からなる一組の金型を用いる場合には、(c)先ず凹金型と第一の凸金型を組み合せて第一の成形材料の素地を成形し、次にその外表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の外側を成形し、次に(d)凸金型を移動させて凹金型と第二の凸金型を組み合せて第一の素地とは異なる色の第二の成形材料の素地を外側成形品の内側に成形し、次にその内表面に任意的な絵柄及び/又はグレーズコーティングを順に施して成形品の内側を成形する一連の工程を連続的に行うことを特徴とする両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法で得られる熱硬化性樹脂成形品。
【請求項3】
異なる色の2種類の原料熱硬化性樹脂成形材料の供給装置、(i)一つの凸金型及び二つの凹金型又は(ii)二つの凸金型及び一つの凹金型からなる1組の金型、金型の開閉装置、二つの凸又は凹金型の移動装置、金型の加熱及び加圧装置、コーティング成形用のグレーズ供給装置、絵付け成形用のフォイル供給装置、金型に設けた移動プレート並びに凸金型及び凹金型と着脱自在な移動プレートの固定装置を含んでなる異なる色の成形材料を用いて内側と外側の色が異なる熱硬化性樹脂成形品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−178861(P2009−178861A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17722(P2008−17722)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(592227575)ヤマト化工株式会社 (6)
【出願人】(593203136)スリーライン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】