説明

両面粘着テープ用積層体及び両面粘着テープの製造方法

【課題】柔軟性に優れ、部材から剥離した際の部材への残留を防止する両面粘着テープ用積層体及び両面粘着テープの製造方法を提供すること。
【解決手段】両面粘着テープ積層体1は、70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂を含有する熱接着性繊維と、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とからなる不織布2の片面又は両面に、熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた線条体3を交差して形成した布状体4が積層された両面粘着テープ用積層体1であって、前記不織布1全体の重量に対して、前記熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲であることを特徴とし、両面粘着テープの製造方法は不織布2と布状体4とを、115〜135℃の範囲の温度かつ100〜300N/cmの範囲の圧力で熱圧着して前記基材を得る工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性と強度に優れる両面粘着テープ用積層体及び両面粘着テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リサイクルを念頭に製造される家電やOA機器等の製品においては、使用後に分解して再利用できるように、製品を固定部材(以下、部材ともいう)に、両面粘着テープによって固定する方法が多く用いられるようになっている。
【0003】
従来、かかる両面粘着テープとしては、樹脂フィルムからなる基材の両面に粘着剤層を形成したものが用いられている。
【0004】
しかし、樹脂フィルムを基材に使用した両面粘着テープは、樹脂フィルムに一度切れ目が生じると、それが僅かなものであっても、裂傷拡張性が高いため、それを起点とした破断が瞬時に誘起され、極めて不安定であった。そのため、製品を再利用するために、両面粘着テープを部材から剥離しようとすると、両面粘着テープが破断して、両面粘着テープが部材に残留する問題を生じた。
【0005】
一方、特許文献1〜3には、基材を不織布によって形成してなる両面粘着テープが開示されている。これにより、上述のような高い裂傷拡張性に起因する破断の発生は抑止された。
【0006】
しかし、不織布は強度に欠けるため、両面粘着テープを部材から剥離しようとすると、やはり破断が生じ、両面粘着テープが部材に残留する問題を生じた。
【0007】
不織布の強度を向上するために、不織布の厚みを増やす、又は、密度を上げる対応も考えられる。しかし、不織布の厚みを増やしても強度の向上には限界があり、また密度を上げると柔軟性を損なって凹凸のある面に対する追随性を欠き、全面を貼付することが困難になり、粘着力を十分に発揮できない問題を生じる。
【0008】
特許文献4は、両面粘着テープの基材を、不織布と布状体とを熱可塑性樹脂製のフィルムを介してラミネート接着して形成することを提案している。
【0009】
しかるに、熱可塑性樹脂層のような他の層を介したラミネート接着(特許文献4)では、不織布と布状体の接着面近傍が硬く固定され、柔軟性に乏しい。そのため、被貼着面に対する追随性を欠いて、粘着力を十分に発揮できない問題などを生じる。更に、部材からの剥離時において、不織布が積層方向に破断し易く、両面粘着テープが部材に残留する問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−263917号公報
【特許文献2】特開2002−356656号公報
【特許文献3】特開平8−209086号公報
【特許文献4】特開2005−023237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、柔軟性に優れ、部材から剥離した際の部材への残留を防止する両面粘着テープ用積層体及び両面粘着テープの製造方法を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
(請求項1)
70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂を含有する熱接着性繊維と、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とからなる不織布の片面又は両面に、熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた線条体を交差して形成した布状体が積層された両面粘着テープ用積層体であって、前記不織布全体の重量に対して、前記熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲であることを特徴とする両面粘着テープ用積層体。
【0015】
(請求項2)
前記不織布は、前記熱接着性繊維と前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とが混合された単層構造、又は、前記熱接着性繊維からなる層と前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層とが積層された多層構造からなることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ用積層体。
【0016】
(請求項3)
前記不織布全体の重量に対して、前記熱接着性繊維の重量が40〜50重量%、前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が60〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の両面粘着テープ用積層体。
【0017】
(請求項4)
前記不織布は、パルプ繊維及びレーヨン繊維からなり、前記パルプ繊維及び前記レーヨン繊維の重量に対して、前記パルプ繊維の重量が50〜99重量%、前記レーヨン繊維の重量が50〜1重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体。
【0018】
(請求項5)
前記熱接着性繊維は、芯鞘構造を有し、鞘部が70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなり、芯部が135℃超かつ300℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体。
【0019】
(請求項6)
基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを製造する両面粘着テープの製造方法において、請求項1〜5の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体が有する前記不織布と前記布状体とを、115〜135℃の範囲の温度かつ100〜300N/cmの範囲の圧力で熱圧着して前記基材を得る工程を含むことを特徴とする両面粘着テープの製造方法。
【0020】
(請求項7)
前記熱圧着時の温度が、120〜130℃の範囲であることを特徴とする請求項6記載の両面粘着テープの製造方法。
【0021】
(請求項8)
前記熱圧着時の圧力が、150〜250N/cmの範囲であることを特徴とする請求項6又は7記載の両面粘着テープの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、柔軟性に優れ、部材から剥離した際の部材への残留を防止する両面粘着テープ用積層体及び両面粘着テープの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る両面粘着テープ用積層体の一例を示す縦断面図
【図2】不織布の層構造の一例を示す縦断面図
【図3】両面粘着テープの一例を示す縦断面図
【図4】線条体の例を示す縦断面図
【図5】本発明に係る両面粘着テープ用積層体の他の例を示す縦断面図
【図6】布状体の他の例を示す縦断面図
【図7】本発明に係る両面粘着テープ用積層体の更に他の例を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
本発明の両面粘着テープ用積層体は、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープにおける該基材を製造するための中間体である。
【0026】
図1は、本発明に係る両面粘着テープ用積層体の一例を示す縦断面図である。
【0027】
図1に示されるように、本発明の両面粘着テープ用積層体1は、熱接着性繊維と、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とからなる不織布2の片面又は両面(図示の例では片面)に、熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた線条体3を交差して形成した布状体4が積層されてなる。
【0028】
図2に示すように、本発明に係る両面粘着テープ用積層体1において、熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とからなる不織布2の層構造は、熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とが混合された単層構造(図2(a))、又は、熱接着性繊維からなる層2aとパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層2bとが積層された多層構造(図2(b))の何れかの層構造を有することが好ましい。さらに、例えば、熱接着性繊維とレーヨン繊維とを混合してなる層と、パルプ繊維からなる層とが積層されたもの、あるいは、熱接着性繊維とパルプ繊維とを混合してなる層と、レーヨン繊維からなる層とが積層されたものであってもよい。
【0029】
また、本発明の両面粘着テープ用積層体1においては、不織布全体の重量に対して、熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲、好ましくは、熱接着性繊維の重量が40〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が60〜50重量%の範囲である。
【0030】
熱接着性繊維は、70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂を含有している。
【0031】
本発明の両面粘着テープの製造方法は、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを製造する両面粘着テープの製造方法において、上記した両面粘着テープ用積層体1が有する不織布2と布状体4とを、115〜135℃の範囲の温度かつ100〜300N/cm2の範囲の圧力で熱圧着して基材を得る工程を含む。
【0032】
図3は、本発明の両面粘着テープの製造方法によって製造された両面粘着テープの一例を示す断面図であり、両面粘着テープ100は、不織布2と布状体4とを熱圧着により直接接合してなる基材5の両面に粘着剤層6を有してなる。
【0033】
本発明の両面粘着テープの製造方法では、熱圧着時の加熱により、不織布2を形成する熱接着性繊維が有する70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂が溶融する。一方、同じく不織布2を形成するパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維は繊維状態を保持する。
【0034】
この結果、熱接着性繊維に由来する溶融した樹脂が、溶融していない不織布2の繊維間に浸透すると共に、これら繊維の表面を被覆し、さらに、その溶融した樹脂は、溶融していない不織布2の繊維と布状体4とを接着する。
【0035】
このとき、溶融していない不織布2と布状体4とはそれぞれ表面の起伏が大きいため、これら表面同士の接触は疎らであり、また、熱接着性繊維に由来する溶融した樹脂は、繊維に由来するが故に、溶融していない不織布2の繊維間に空隙を残し、溶融していない不織布2の繊維と布状体4との間にも空隙を残しながら両者を接着する。
【0036】
それ故、溶融しないで残留している不織布2と布状体4とは、その対向面積の一部分のみが接着する。これにより、接着面近傍が可動性に富み、得られる両面粘着テープが柔軟性に優れる効果が得られる。
【0037】
さらに、意外なことに、上記のように対向面積の一部分のみの接着でありながら、溶融しないで残留している不織布2と布状体4との間に強い接着強度が付与されることを見出した。接着に寄与する樹脂が、同時に、溶融しないで残留している不織布2の繊維を被覆して、これら繊維に支持されていることにより、強い接着強度が得られるものと考えられる。
【0038】
上記した接着面近傍の可動性及び接着強度は、何れも熱圧着の温度及び圧力に密接に関係する。
【0039】
熱圧着の温度が135℃を超える場合は、溶融した樹脂が過度に流動性を得て局在化し、繊維の表面を十分に被覆することが困難となり、一方、温度が115℃に満たない場合は、溶融した樹脂が、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の繊維間に十分に浸透できず、何れにおいても、接着面近傍の可動性及び接着強度が不足する。
【0040】
また、熱圧着の圧力が300N/cmを超える場合は、不織布2と布状体4との対向面積に占める接着部の割合が過多となって、接着面近傍の可動性を損なって、柔軟性に劣る。一方、圧力が100N/cmに満たない場合は、接着部の割合が不足して、十分な接着強度が得られない。
【0041】
さらに、本発明では、両面粘着テープ用積層体1において、不織布全体の重量に対して、熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲、好ましくは、熱接着性繊維の重量が40〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が60〜50重量%の範囲であることにより、得られる両面粘着テープ100において、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の表面が樹脂により好適に被覆されるため、接着面近傍の可動性及び接着強度に優れ、更に、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の強度が樹脂により補強されて、基材の強度が向上する。
【0042】
接着面近傍の可動性、接着強度、及び基材の強度に優れる両面粘着テープ100は、柔軟性に優れ、部材から剥離した際の部材への残留を防止する効果を奏することが試験により確認された。
【0043】
このように、本発明の両面粘着テープ用積層体1を用いれば、柔軟性に優れ、部材から剥離した際の部材への残留を防止する両面粘着テープ100が得られる効果を奏する。
【0044】
本発明の両面粘着テープ用積層体1の構成について、以下に詳述する。
【0045】
本発明の両面粘着テープ用積層体1において、不織布2を構成する熱接着性繊維は、70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂を含有している。
【0046】
このような樹脂としては、変成ポリエステル樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等を好ましく例示できる。
【0047】
熱接着性繊維は、70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂のみからなるものであってもよいし、それ以外の熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。
【0048】
熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂等を用いることができる。中でも、オレフィン系重合体が望ましい。
【0049】
熱接着性繊維を構成する樹脂には、目的に応じて充填材、各種の添加剤を配合することができ、具体的には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤、難燃剤、無機充填材、有機充填材、顔料、抗菌剤等が挙げられる。
【0050】
熱接着性繊維は、鞘部が芯部より低融点の樹脂からなる芯鞘構造を有し、鞘部が70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなり、芯部が135℃超かつ300℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなることが好ましい。
【0051】
芯部の樹脂としてはポリプロピレン樹脂が好ましく、鞘部の樹脂としては低密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
【0052】
本発明の両面粘着テープ用積層体1において、不織布2は、パルプ繊維又はレーヨン繊維の何れか、または両方からなる。
【0053】
不織布が、パルプ繊維及びレーヨン繊維の両方からなる場合、パルプ繊維及びレーヨン繊維の重量に対して、パルプ繊維の重量が50〜99重量%、レーヨン繊維の重量が50〜1重量%の範囲であることが好ましい。
【0054】
パルプ繊維としては、木材その他の植物あるいは古(故)紙などのセルロース含有原料から機械的又は化学的処理によって抽出した繊維を好ましく例示できる。
【0055】
レーヨン繊維としては、ビスコース法によって製造された再生セルロース繊維を好ましく例示できる。
【0056】
本発明の両面粘着テープ用積層体において、不織布は、(1)熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とが混合された単層構造からなるものであってもよいし、(2)熱接着性繊維からなる層とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層とが積層された多層構造からなるものであってもよい。
【0057】
(1)熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とが混合された単層構造からなる不織布を得る際は、まず、熱接着性繊維とセルロース繊維を混合する。
【0058】
本発明において、熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維との混合には、公知の繊維混合方法を用いることができる。例えば、水中や溶媒中に各繊維(短繊維であることが好ましい)を各々所定の重量で分散して混合することができる。水中や溶媒中で混合された繊維は、網状のネットなどを用いて漉き上げることができる。
【0059】
また、好ましい混合方法として、熱接着性繊維とレーヨン繊維とを各々スパンボンド法によって形成する際、各々の繊維を吐出する口金の角度を調整する等により、吐出時に各繊維を交差させて混合する方法を例示できる。吐出角度を経時的に変化させて各繊維の交差を促すことも好ましい。各繊維の吐出速度(重量/時間)を調節することで、各繊維の重量割合を制御できる。従来の繊維混合方法では、長繊維(連続した繊維)同士の混合が困難であるという課題があったが、この方法によれば、レーヨン繊維及び熱接着性繊維を共に長繊維のまま混合することができ、両面粘着テープの柔軟性を維持したまま、強度を格段に向上できる効果が得られる。
【0060】
また、各繊維を口金から吐出する際に、口金の角度を調節して、各繊維を交差させる度合いを調整することで、単層構造でありながら層内において各繊維の分布割合に適宜勾配を設定することができる。例えば、不織布の一方の面では熱接着性繊維の割合が高く、他方の面ではセルロース繊維の割合が高く、一方の面から他方の面に向けて、熱接着性繊維の割合が徐々に減少していくように勾配を設けることができる。更には、熱接着性繊維を吐出する口金を2つ、レーヨン繊維を吐出する口金を1つ用意して、不織布の両表面における熱接着性繊維の割合を高くして、内部に向かうにつれてその割合が減少するように勾配を設けてもよい。これらのような勾配を設定することにより、布状体を熱圧着する際の接着強度を向上することが可能となる。
【0061】
熱接着性繊維とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維との混合物が得られたら、乾式法、湿式法等の公知のフリース形成法に供してフリースを形成し、更に、得られたフリースを、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流絡合法(スパンレース法)、ステッチボンド法、スチームジェット法等の公知のフリース結合法に供して不織布を製造することができる。
【0062】
一方、(2)熱接着性繊維からなる層とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層とが積層された多層構造からなる不織布を得る際は、まず、熱接着性繊維層、及び、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層をそれぞれ形成する。
【0063】
熱接着性繊維層は、熱接着性繊維からなる不織布であり、例えば、熱接着性繊維の原料となる樹脂をスパンボンド法に供して得られるスパンボンド不織布が好適である。
【0064】
パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層としては、限定されるものではないが、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維を湿式抄紙法等の公知の抄紙法に供して得られる抄紙や、セルロース原料を、セルロース溶解性を有する公知のセルロース溶媒に溶解した状態で、スパンボンド法に供して得られる再生セルロース(レーヨン)のスパンボンド不織布が好適である。
【0065】
両面粘着テープ用積層体1において、積層された熱接着性繊維層とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層とは、各々の層間が接合されていてもよいし、単に各々の層を重ね合わせたものであってもよい。接合する場合の接合方法は、例えばパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層が上記した抄紙であれば、湿式抄紙法による抄紙を加熱乾燥するドライヤー上において、同時に、抄紙に熱接着性繊維層を接合する方法を好ましく挙げることができる。
【0066】
不織布が、上記(1)及び(2)に述べた何れの層構造を有する場合においても、不織布全体の重量に対して、熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲、好ましくは、熱接着性繊維の重量が40〜50重量%、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が60〜50重量%の範囲となるように、適宜、重量割合の制御がなされる。
【0067】
不織布が、上記(1)及び(2)に述べた何れの層構造を有する場合においても、不織布の片面又は両面に布状体を熱圧着することができる。例えば、不織布を、熱接着性繊維層とパルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層との2層構造とする場合であっても、熱圧着時に、加熱により熱接着性繊維の樹脂が溶融し、加圧によりこの溶融樹脂がセルロース繊維層に浸透するため、不織布において、熱接着性繊維層側の面だけでなく、熱接着性繊維層と反対側の面にも、布状体を熱圧着できる。
【0068】
本発明の両面粘着テープ用積層体において、布状体4は、熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた線条体3を交差して形成される。
【0069】
線条体3としては、一軸延伸された、テープ、ヤーン、スプリットヤーン、マルチフィラメント、スパン糸等を用いることができる。
【0070】
線条体3としては、図4(A)に示すように、結晶性樹脂の単層であってもよく、また、図4(B)に示すように、接合層11が基層10の片面に積層されたものとすることができ、また、図4(C)に示すように、接合層11が基層10の両面に積層されたものであってもよい。また、図4(D)に示すように、シースコアー構造、図4(E)に示すように、サイドバイサイド構造とすることができる。中でも、図4(A)〜(C)に示すように、テープ状が好ましく、特に、図4(C)に示すように、接合層11が基層10の両面に積層されたものが好ましい。
【0071】
線条体3の単層体、あるいは、積層体の基層10を構成する合成樹脂としては、延伸効果の大きい樹脂、一般には結晶性樹脂が使用され、具体的には、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体、線状低密度ポリエチレン等のオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0072】
中でも加工性と経済性から高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系重合体が望ましく、特に、高密度ポリエチレンが望ましい。高密度ポリエチレンとしては、密度が0.930〜0.970、好ましくは0.940〜0.960のものが使用される。
【0073】
接合層11は、線条体3が布状とされた後、線条体3間を接合し、あるいは、布状体4と不織布2間を接合するもので、基層10を構成する合成樹脂より融点が低く熱融着性の優れた合成樹脂が用いられる。
【0074】
具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等のオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66のポリアミド、アクリル樹脂等の合成樹脂から基層10を構成する合成樹脂より融点の低い合成樹脂を選択して用いられる。
【0075】
さらに、線条体3を形成する熱可塑性樹脂には、無機充填材を添加することができる。無機充填材の種類としては、合成樹脂添加材として自体公知の無機充填材を使用することができ、例えば、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ウオラストナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を使用することができる。無機充填材の配合量は、0〜60重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0076】
基層10あるいは接合層11として用いられる合成樹脂には、目的に応じて各種の添加剤を添加することができ、具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、メラミン系、リン酸系、燐酸エステル系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0077】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、基層10や接合層11の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0078】
線条体3として積層体が使用される場合、その成形材料となる積層フィルムを得る手段としては、予め基層10となるフィルムと接合層11となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層10となるフィルムの表面に接合層11となる合成樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層10となるフィルムに接合層11を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよいが、成形の容易さやコスト面、並びに、製品の各層間の接着性の点では、多層共押出法によって基層10と接合層11の積層体を一段で得る方法が望ましい。
【0079】
また、延伸して線条体3とする手段としては、基層10となるフィルムを一軸方向に延伸した後、接合層11となる合成樹脂を積層し、これをテープ状にスリットしてもよく、あるいは、基層10と接合層11とが積層された積層フィルムをスリットする前、又は、スリットした後、一軸方向に延伸することによって得ることもできる。
【0080】
延伸方法としては、熱ロールによる延伸、熱板による延伸、熱風炉内でロールによって延伸する方法等によって行なうことができる。延伸倍率は、3〜12倍、好ましくは5〜10倍程度が適当である。
【0081】
線条体3は、一般的には、75〜1000dt(デシテックス)、糸幅が0.3〜10mmの範囲のテープ状が望ましい。こうして得られたテープ状の線条体(フラットヤーン)には、縦方向に多数の小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。特に、線条体3としては、経糸、緯糸ともに、繊度が100〜800デシテックス、好ましくは200〜500デシテックスが適当であり、糸幅が0.5mm〜5.0mm、好ましくは0.8〜2.0mmが適当であり、糸密度が3〜20本/25.4mm、好ましくは4〜12本/25.4mmが適当である。これらの条件を満たすことにより、布状体4の線条体3間に適度な空隙が生じ、不織布2との接着が部分的になり、不織布2と布状体4の接着面近傍の自由度が向上するため、両面粘着テープ1の柔軟性が更に向上する。
【0082】
得られた線条体3は、図1に示すように平織とし、又は、綾織、斜文織、畦織、二重織等に織製し、あるいは、図5に示すように、多数の線条体3aを並列し、その上に交差するように線条体3bを並列して交点を結合して交差結合布として、布状体4を形成することができる。
【0083】
この場合、図6(A)に示すように、経糸として肉薄の線条体3a、3bを用いて、複数本を重ね合わせて、線条体3a、3b及び3cを織成することによって、柔軟性のよい両面粘着テープを得ることができ、また、図6(B)に示すように、経糸となる線条体3a、3bが重なり合った複層となるようにして、線条体3a、3b、3c、3d及び3eを織成することによって柔軟性を改良することもできる。
【0084】
以上に述べた両面粘着テープ用積層体1を用いた本発明の両面粘着テープの製造方法について、以下に詳述する。
【0085】
本発明の両面粘着テープの製造方法は、基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを製造する両面粘着テープの製造方法において、上述した本発明の両面粘着テープ用積層体1が有する不織布2と布状体4とを熱圧着して前記基材を得る工程を含む。
【0086】
本発明において、熱圧着時の温度は、115〜135℃の範囲、好ましくは120〜130℃の範囲、より好ましくは120〜130℃の範囲である。
【0087】
本発明において、熱圧着時の圧力は、100〜300N/cmの範囲、好ましくは150〜250N/cm2の範囲、より好ましくは180〜220N/cmの範囲である。
【0088】
熱圧着を行う際は、両面粘着テープ用積層体1のみの状態で熱圧着してもよいし、両面粘着テープ用積層体1の両面に粘着剤を配した状態で粘着剤ごと熱圧着してもよい。
【0089】
まず、両面粘着テープ用積層体1のみの状態で熱圧着する場合は、熱圧着の後、得られた基材5の両面に粘着剤層6を形成して両面粘着テープ100を製造する。粘着剤層6の形成は、基材5に粘着剤を直接塗布することによって行うことができるが、離型処理が施された工程紙上に塗工後乾燥されたものを基材5に転写してもよい。
【0090】
一方、両面粘着テープ用積層体1の両面に粘着剤を配した状態で粘着剤ごと熱圧着する場合、熱圧着工程のみによって、基材5の両面に粘着剤層6が形成された両面粘着テープ100を製造できる。この場合は、熱圧着装置のプレス部に粘着剤に対する離型処理が施されていることが好ましい。あるいは、粘着剤の表面(基材5と反対側の面)に、あらかじめ剥離シートを貼着した状態で熱圧着に供し、両面粘着テープ100を製造後も剥離シートを粘着剤層の表面に貼着した状態として、粘着剤層を保護してもよい。両面粘着テープ用積層体1の両面に粘着剤を配した状態で粘着剤ごと熱圧着する場合は、基材5内部に粘着剤が浸透して、基材5と粘着剤層6との密着力が向上する効果を得ることができる。
【0091】
なお、基材5(熱圧着前であれば両面粘着テープ用積層体1)の表面には、必要に応じて、粘着剤との密着力を高めるため、サンドブラスト処理や火炎処理等の物理的処理またはコロナ処理やプラズマ処理等の化学的処理、あるいは、プライマー処理等を施してもよい。
【0092】
本発明の粘着剤層6に用いられる粘着剤としては、粘着テープ用の粘着剤として一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、天然ゴムや合成ゴム等のゴム系粘着剤、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体並びにこれらの水素添加物等のブロック共重合体系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等が挙げられるが、なかでも耐久性や耐候性に優れ、取り扱い時の汚れも少ないアクリル樹脂系粘着剤が好適に用いられる。これらの粘着剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0093】
これらの粘着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、有機溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、反応型粘着剤、光重合可能なモノマー型粘着剤等のいずれの形態であってもよい。
【0094】
また、これらの粘着剤には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、ポリイソシアネート系化合物やアジリジン系化合物、金属キレート系化合物等の架橋剤や、粘着性付与剤、カップリング剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていてもよい。
【0095】
また、基材5上に形成される粘着剤層6は、特に限定されるものではないが、その厚みが10μm〜0.5mmであることが好ましい。粘着剤層6の厚みが10μm未満であると、両面粘着テープ1の粗面接着性や凹凸追従性が不十分となることがあり、逆に粘着剤層6の厚みが0.5mmを超えると、粘着性や接着力はもはやそれ以上向上しないにもかかわらず、コスト高となることがある。
【0096】
アクリル樹脂系粘着剤についてさらに詳細に述べれば、アクリル樹脂系粘着剤としては、カルボキシル基含有単量体、あるいは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合させて得られるアクリル系ポリマーが用いられる。
【0097】
アルキル基は炭素数が4〜12程度が望ましく、具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に、n−ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートが好適である。
【0098】
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のモノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸やこれらのモノエステル等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体のうち、アクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。カルボキシル基含有重合性単量体は、単量体全体の3〜20重量%程度が望ましい。
【0099】
本発明で使用されるアクリル樹脂系粘着剤には、ガラス転移温度や極性等を調整する目的で少量の改質成分単量体が共重合されていてもよい。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルピロリドン等が例示できる。
【0100】
アクリル系ポリマーには、分子内にカルボキシル基と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物、または多官能性化合物及び分子内に前記官能基を1個有する単官能性化合物を配合することができる。この種の官能基含有化合物としては、例えば、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基(或いはグリシジル基)含有化合物、アジリジニル基含有化合物、金属錯体、メラミン系化合物等が例示できる。
【0101】
また、粘着剤組成中には、少量の可塑剤やベンゾトリアゾール系化合物を添加することができる。
【0102】
粘着剤は、通常、適宜の有機溶剤に溶解された上で、基材5上に塗工した後乾燥され、或いは、離型処理が施された工程紙上に塗工後乾燥されたものが支持体上に転写されて、基材5と粘着剤層6が積層された両面粘着テープ100とされる。塗工手段や乾燥方法に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
【0103】
また、得られた両面粘着テープ100の片面に、両面に離型処理を施した離型紙を貼付した後、これをロール状に巻き取って、巻回体とすることができる。離型処理としては、必要により硬化反応を伴うシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフトポリマー系離型剤の塗布等を挙げることができる。
【0104】
本発明の両面粘着テープの製造方法によって製造される両面粘着テープ100は、家電やOA機器などに使用される部材の固定、銘板や機械部品の固定、自動車部材同士の接合等、広い用途に使用することができる。
【実施例】
【0105】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
【0106】
(実施例1)
<不織布Aの製造>
湿式抄紙により長さ3mmから15mmのレーヨン繊維からなる抄紙層を形成し、芯部がポリプロピレン及び鞘部が低密度ポリエチレンの芯鞘構造を有する繊維を含有するスパンボンド不織布(熱接着性繊維層)に重ね合わせ、ヤンキードライヤーにて乾燥し、熱接着性繊維層とセルロース繊維層とが積層された2層構造からなる不織布Aを得た。
【0107】
不織布Aにおいて、不織布全体の重量に対して熱接着性繊維の重量を40重量%、レーヨン繊維の重量を60重量%とした。
【0108】
<布状体の製造>
高密度ポリエチレン(密度0.952、融点132℃、MFR0.5g/10分)を基層として、その両面に高圧法低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm、融点116℃、MFR5.0g/10分)を接合層とする積層フィルムをインフレーション成形法にて形成した。フィルムの層構成の厚さの比は10:80:10とした。
【0109】
得られたフィルムを所定幅にスリットしたのち、温度105℃の熱板にて7.2倍に一軸延伸して、さらに温度110℃の熱風循環式オーブンにて6%の弛緩処理を行い、糸幅1.2mm、繊度670デシテックスの一軸延伸テープを得た。これらをスルーザー織機を用いて経糸5本/25.4mm、緯糸5本/25.4mmの平織織布とし、熱ロールで経緯糸の交点を熱圧着した。
【0110】
<基材の製造>
不織布の片面(熱接着性繊維層側面)に布状体を積層して両面粘着テープ用積層体とし、これを熱圧着した。熱圧着の条件は、温度を125℃とし、圧力を200N/cmとした。
【0111】
<粘着剤層の形成>
上記により得られた基材の両面に、コロナ放電処理を施し、アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを主成分とする共重合体(日本合成化学社製コーポニールNK−631)100重量部に架橋剤として金属キレート系硬化剤、アルミニウムアセチルアセトネートのトルエン溶液(日本合成化学社製コーポニール5792)を固形分基準で0.2重量部配合したアクリル系粘着剤を塗布厚み(固形分基準)50μmとなるように塗布し、両面粘着テープを得た。
【0112】
(実施例2)
実施例1において、不織布Aを下記の不織布Bに代えた以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0113】
<不織布Bの製造>
低密度ポリエチレンからなる熱接着性繊維及びレーヨン繊維を各々スパンボンド法によって形成する際、口金からの吐出時に各繊維を交差させて混合しフリースを得た。次いで、得られたフリースをニードルパンチ法に供して繊維間を絡ませて、熱接着性繊維とセルロース繊維とが混合された単層構造からなる不織布Bを得た。
【0114】
不織布Bにおいて、不織布全体の重量に対して熱接着性繊維の重量を40重量%、レーヨン繊維の重量を60重量%とした。
【0115】
(実施例3)
実施例1において、不織布Aを下記の不織布Cに代えた以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0116】
<不織布Cの製造>
パルプ繊維、レーヨン繊維及び低密度ポリエチレン繊維(熱接着性繊維)(何れも短繊維)を、それぞれ水中に分散して混合し、網状のネット上に漉き上げてフリースを形成した。次いで、得られたフリースをニードルパンチ法に供して繊維間を絡ませて、熱接着性繊維、パルプ繊維及び熱接着性繊維が混合された単層構造からなる不織布Cを得た。
【0117】
不織布Cにおいて、不織布全体の重量に対して熱接着性繊維の重量を40重量%、パルプ繊維及びレーヨン繊維の重量を60重量%とした。
【0118】
また、パルプ繊維及びレーヨン繊維の重量に対して、パルプ繊維の重量を66.7重量%、レーヨン繊維の重量を33.3重量%とした。
【0119】
(実施例4)
図7に示すように、不織布2(不織布A)の両面に、実施例1で用いたものと同様の布状体4をそれぞれ積層して両面粘着テープ用積層体1とした以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0120】
(比較例1)
実施例1において、不織布Aを下記の不織布Dに代えた以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0121】
<不織布Dの製造>
不織布Aの製造方法において、不織布全体の重量に対して熱接着性繊維の重量を30重量%、レーヨン繊維の重量を70重量%とした以外は、不織布Aの製造方法と同様にして不織布Dを得た。
【0122】
(比較例2)
実施例1において、熱圧着の温度条件を110℃とした以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0123】
(比較例3)
実施例1において、熱圧着の温度条件を140℃とした以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得ようとした。
【0124】
(比較例4)
実施例1において、熱圧着の圧力条件を80N/cmとした以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0125】
(比較例5)
実施例1において、熱圧着の圧力条件を350N/cmとした以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得ようとした。
【0126】
(比較例6)
布状体を積層せずに、上記不織布Aのみを熱圧着に供した。熱圧着の条件は、温度を125℃とし、圧力を200N/cmとした。
【0127】
上記により得られた基材の両面に、コロナ放電処理を施し、アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを主成分とする共重合体(日本合成化学社製コーポニールNK−631)100重量部に架橋剤として金属キレート系硬化剤、アルミニウムアセチルアセトネートのトルエン溶液(日本合成化学社製コーポニール5792)を固形分基準で0.2重量部配合したアクリル系粘着剤を塗布厚み(固形分基準)50μmとなるように塗布し、両面粘着テープを得た。
【0128】
(比較例7)
実施例1で用いたものと同様の布状体の両面に、コロナ放電処理を施し、アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを主成分とする共重合体(日本合成化学社製コーポニールNK−631)100重量部に架橋剤として金属キレート系硬化剤、アルミニウムアセチルアセトネートのトルエン溶液(日本合成化学社製コーポニール5792)を固形分基準で0.2重量部配合したアクリル系粘着剤を塗布厚み(固形分基準)50μmとなるように塗布し、両面粘着テープを得た。
【0129】
<評価方法>
得られた両面粘着テープについて、以下の測定ないし評価を行った。
1.厚み:JIS Z0237に準拠した。
2.粘着力:JIS Z0237の180度引きはがし法に準拠し、SUS板及びポリプロピレン板への粘着力を測定した。
3.再剥離性:ポリプロピレン板にサンプルを貼り付け、40℃で30日後に手で剥離した時の被着体への糊残り又は基材破壊を観察した。
評価基準
○:被着体への糊残り又は基材破壊を生じなかった
×:被着体への糊残り又は基材破壊を生じた
4.引張強度:JIS L1096に準拠した。
【0130】
結果を表1に示す。
【0131】
【表1】

【0132】
<評価>
実施例1、2、3及び4で得られた両面粘着テープは、共に、再剥離性の評価において、剥離しても破断せず、両面粘着テープが部材に残留することはなかった。
【0133】
比較例1は、熱接着性繊維の比率が低く、布状体に不織布が接着しなかった。再剥離性の評価において、両面粘着テープが部材に残留した。
【0134】
比較例2は、熱圧着の温度が低く、布状体と不織布の接着が弱く、再剥離性の評価において、両面粘着テープが部材に残留した。
【0135】
比較例3は、熱により布状体が収縮し、両面粘着テープを得ることができなかった。
【0136】
比較例4は、熱圧着の圧力が弱すぎて布状体と不織布の接着が弱く、再剥離性の評価において、両面粘着テープが部材に残留した。
【0137】
比較例5は、熱圧着の圧力が強すぎて布状体が変形し、両面粘着テープを得ることができなかった。
【0138】
比較例6は、再剥離性の評価において、両面粘着テープがちぎれ、部材に残留した。
【0139】
比較例7は、再剥離性の評価において、布状体から剥離した粘着剤が部材に残留した。
【符号の説明】
【0140】
1:両面粘着テープ用積層体
2:不織布
3:線条体
4:布状体
5:基材
6:粘着剤層
10:基層
11:接合層
100:両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂を含有する熱接着性繊維と、パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とからなる不織布の片面又は両面に、熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた線条体を交差して形成した布状体が積層された両面粘着テープ用積層体であって、
前記不織布全体の重量に対して、前記熱接着性繊維の重量が35〜50重量%、前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が65〜50重量%の範囲であることを特徴とする両面粘着テープ用積層体。
【請求項2】
前記不織布は、前記熱接着性繊維と前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維とが混合された単層構造、又は、前記熱接着性繊維からなる層と前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維からなる層とが積層された多層構造からなることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ用積層体。
【請求項3】
前記不織布全体の重量に対して、前記熱接着性繊維の重量が40〜50重量%、前記パルプ繊維及び/又はレーヨン繊維の重量が60〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の両面粘着テープ用積層体。
【請求項4】
前記不織布は、パルプ繊維及びレーヨン繊維からなり、
前記パルプ繊維及び前記レーヨン繊維の重量に対して、前記パルプ繊維の重量が50〜99重量%、前記レーヨン繊維の重量が50〜1重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体。
【請求項5】
前記熱接着性繊維は、芯鞘構造を有し、鞘部が70℃以上かつ135℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなり、芯部が135℃超かつ300℃以下の範囲の温度に融点を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体。
【請求項6】
基材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを製造する両面粘着テープの製造方法において、
請求項1〜5の何れかに記載の両面粘着テープ用積層体が有する前記不織布と前記布状体とを、115〜135℃の範囲の温度かつ100〜300N/cmの範囲の圧力で熱圧着して前記基材を得る工程を含むことを特徴とする両面粘着テープの製造方法。
【請求項7】
前記熱圧着時の温度が、120〜130℃の範囲であることを特徴とする請求項6記載の両面粘着テープの製造方法。
【請求項8】
前記熱圧着時の圧力が、150〜250N/cmの範囲であることを特徴とする請求項6又は7記載の両面粘着テープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−140212(P2011−140212A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200239(P2010−200239)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(390019264)ダイヤテックス株式会社 (53)
【Fターム(参考)】