説明

両面粘着テープ

【課題】 携帯用電子機器の筐体や部品の接合部に用いられる薄型で、生産性・耐熱性に優れる両面粘着テープを提供する。
【解決手段】 樹脂フィルムからなる支持体の両面に、粘着剤層を有する両面粘着テープであって、総厚みが2〜10μmであり、前記支持体の厚みが1〜3μm、熱収縮率が3%以下、動摩擦係数が0.20〜0.28である両面粘着テープにより、携帯電子機器の筐体や部品の接合部に用いられる、極薄型でも優れた生産性と耐熱性とを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関し、特に、携帯用電子機器の筐体や部品の接合部において好適に使用される薄型の両面粘着テープ又はシートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れ、接着信頼性の高い接合手段として、OA機器や家電製品等の各産業分野において部品固定用途等に使用されている。これらOA機器は各種の高機能化と並行して、小型化や薄型化が図られており、パソコンやデジタルビデオカメラ、さらには、電子手帳、携帯電話、PHS、スマートフォン、ゲーム機器、電子書籍等の携帯電子端末においては特に小型化や薄型化の要請が高い。このような携帯電子端末等においては、主要構成部品の薄型化と共に、これらの固定に用いられる粘着テープにおいても薄型化が要求されている。
【0003】
例えば、支持体の両面に粘着剤層を有する両面接着テープ又はシートであって、支持体と、該支持体の両面に形成された2つの粘着剤層との厚みを含む総厚さが3μm以上かつ30μm未満であり、破断強度が2〜26MPa/10mm幅である両面接着テープ又はシートが開示されている(特許文献1)。また例えば、アクリル系の粘着剤を、芯材の両面に有する両面粘着テープであって、該芯材及び両面の粘着剤層を合わせた総厚さが30μm以下であり、両面の粘着剤層の厚さが、2〜10μmである両面粘着テープが開示されている(特許文献2)。
【0004】
これら粘着テープ又はシートは、その総厚を非常に薄くすることで、薄型化の要請の高い携帯端末機器のクリアランス適合性を図っている。しかし、このような薄型粘着テープは、製造時にシワが入りやすいため、支持体にかかる張力ができるだけ低くなるように調整する工程等を有する製造方法によりシワを抑制しており、生産性が著しく低いものであった。また、薄型テープにおいては、生産時の支持体の送り出しや巻き取り時の切断や、使用時の切断を防ぐため支持体に一定の強度が必要となるが、支持体として樹脂フィルムを使用して薄型且つ高強度とするに際して延伸が行われることから、高温環境下での熱収縮が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−105212号公報
【特許文献2】特開2007−169327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情のもとで、携帯用電子機器の筐体や部品の接合部に用いられる薄型で、生産性・耐熱性に優れる両面粘着テープを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の厚み、摩擦抵抗、熱収縮率をもつ芯材を使用することで、本目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、樹脂フィルムからなる支持体の両面に、粘着剤層を有する両面粘着テープであって、総厚みが2〜10μmであり、前記支持体の厚みが1〜3μm、熱収縮率が3%以下、動摩擦係数が0.20〜0.28である両面粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯電子機器の筐体や部品の接合部に用いられる、薄型で生産性・耐熱性に優れる両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の両面粘着テープの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の両面粘着テープを製造する方法の一例を示す概略工程図である。
【図3】本発明の両面粘着テープを製造する方法の一例を示す概略工程図である。
【図4】動摩擦係数測定方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(両面粘着テープ)
本発明の両面粘着テープは、図1で示されるように、支持体の両面に粘着剤層を有する基材付き両面粘着テープであり、支持体と、該支持体の両面に形成された2つの粘着剤層との厚みを含む総厚みが2μm〜10μmである。このように本発明の粘着テープはきわめて薄く、スペースの少ない電子機器、特に携帯用電子機器の筐体や部品の接合部において好適に使用できる。また基材付きのため、連続的に粘着テープを打ち抜き加工する際にも加工性に優れる。
【0012】
図1は、本発明の両面粘着テープの一例を示す概略図である。図1の両面粘着テープにおいて1は支持体、2〜3は粘着剤層、4〜5は剥離ライナーである。両面粘着テープは、支持体1の各面に粘着剤層2、3が形成された構成を有しており、粘着剤層2、3は、各々、剥離ライナー4、5に保護されている。また、当該両面粘着テープは、剥離ライナー4と5とが接触するように重ね合わせられてロール状に巻回された形態とすることもできる。
【0013】
本発明の両面粘着テープの総厚み(テープ厚み)としては、2μm〜10μmであれば特に制限されないが、好ましくは3μm〜7μm、さらに好ましくは3μm〜5μmである。ここで、両面粘着テープの総厚みとは、剥離ライナーを除いた貼り付けに際して使用される厚み、すなわち、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面にかけての厚みをいう。
【0014】
また、本発明の両面粘着テープの粘着力は特に制限されるものではないが、0.5N/20mm〜12N/20mmが好ましい。さらに好ましくは、1〜8N/20mmである。上記範囲とすることで、接着時のハガレ、リワーク時の剥がしやすさを両立しやすい。粘着力はJISZ0237に準じて測定される。具体的には、ステンレス板(BA板)にPET25μmで裏打ちした粘着テープを貼り合せ、2kgローラーで1往復加圧し、23℃50%RHの条件下で1時間放置し、180°方向に300mm/minの速度で引き剥がし粘着力を測定する。
【0015】
また、本発明の両面粘着テープの保持力のズレ距離は特に制限されるものではないが、2mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下である。保持力のズレ距離が上記に範囲にあることで、高温で使用した際も充分な凝集力があり、反発力によるハガレや部品又は芯材の収縮を抑制することができる。保持力はJISZ0237に準じて測定される。具体的にはステンレス板(ヘアライン)にアルミ箔50μmで裏打ちした粘着テープを貼り合せ、2kgローラーで1往復加圧し、23℃50%RHの条件下で1時間放置する。さらに100℃で100gの荷重を鉛直方向にかけ、24時間後のズレ距離をノギスで測定する。
【0016】
本発明の両面粘着テープの破断強度は、特に限定されるものではないが、30MPa〜200MPaが好ましく、さらに好ましくは40MPa〜120MPaである。破断強度は次の方法で測定できる。両面粘着テープを10mm幅に切断し、その表面に50mm間隔の標点をつけて試験片(10mm幅)を作製し、引張試験機を使用し、室温(23℃)で且つ65%RHの条件下、試験片のつかみ間隔(チャック間距離)50mm、引張速度200mm/minの条件で、試験片を引っ張り、試験片が破断した時点(少なくとも一部より亀裂が生じた時点)の荷重(応力)を測定し、該荷重を破断強度(MPa)とする。
【0017】
(支持体)
支持体の厚みは1μm〜3μmである。好ましくは1.5μm〜2.5μmである。上記範囲の厚みとすることで、薄型でありながら、必要充分な耐熱性や接着性を発現させることができる。
【0018】
支持体の動摩擦係数は0.20〜0.28である。さらに好ましくは0.22〜0.26である。上記範囲にあることで、適度な滑り性が支持体にあり、薄膜であってもシワが入りにくく、粘着テープの生産性に優れる。支持体の動摩擦係数は下記方法で測定する。
【0019】
(支持体の動摩擦係数)
JISK7125に準じ、SUS鏡面とフィルム面の摩擦係数を測定する。図4のように裏打ち用片面粘着テープ「DIC製 PET50SER」21で裏打ちしたフィルム22を貼り、63mm×63mmのすべり片(重さ:1.96N)23と片面粘着テープ21が接するように固定する。次にそのすべり片に固定したフィルム22がSUS鏡面25と接するように置き、100mm/minですべり片23をロードセル26で引っ張り測定した。動摩擦係数は次式で算出する。
動摩擦係数[−]=動摩擦力[N]/1.96[N]
【0020】
本発明においては、上記動摩擦係数を有する支持体を適宜選択して使用すればよく、また、支持体の動摩擦係数は微量の無機粒子を添加する等の手法により制御することができる。このような無機粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化ケイ素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子を添加することが好ましい。
【0021】
粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、0.1μm〜3μmが好ましい。その中でも0.2μm〜2.5μmが好ましい。該範囲とすることで、動摩擦係数を上記範囲に調整しやすく、テープ製造時のシワの発生を好適に抑制しやすくなる。また、当該範囲とすることで支持体の凹凸が大きくなりすぎず、ラミネート時に粘着剤層を追従させやすく、高温環境下での熱収縮の抑制にも貢献しやすくなる。
【0022】
これら粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜1質量%であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.5質量%である。少なすぎると動摩擦力が大きくなり、多すぎると動摩擦力が小さくなりすぎる。
【0023】
支持体の熱収縮率は3%以下である。より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。上記範囲にあることで、ラミネート時にフィルムに熱をかける場合に縮みが発生しにくく生産性に優れる。また、粘着テープとしての耐熱収縮性も高度に実現できる。支持体の熱収縮率は下記方法で測定する。
【0024】
JISC2151に従い次のとおり測定する。100mm×100mのフィルムを150℃の乾燥器に30分放置し、乾燥器に入れる前後でのサイズをノギスで測定し、算出する。
熱収縮率=100×(乾燥器に入れる前の長さ−乾燥器に入れた後の長さ)/乾燥器に入れる前の長さ
【0025】
本発明においては、上記熱収縮率を有する支持体を適宜選択して使用すればよく、また、支持体の熱収縮率は熱固定等の手法により制御することができる。当該熱固定は、延伸後の樹脂フィルムに対し、160℃〜240℃で1秒〜600秒間の条件で行うことが好ましく、さらに好ましくは、170℃〜235℃、特に好ましくは、200〜230℃である。当該条件とすることで、支持体の熱収縮率を上記範囲に調整しやすく、また、支持体の耐加水分解性も向上させやすくなる。
【0026】
上記厚み、動摩擦係数及び熱収縮率を有する支持体としては、例えば、三菱樹脂製K100−2.0WやK583−2.5Wがあげられる。
【0027】
使用する支持体としては、上記特性を有するものであれば各種材質のものを使用でき、なかでも合成樹脂フィルムを好適に用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂、ポリブチルアクリレート、ポリエチルアクリレート等のポリアクリレート系樹脂、メチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリレート系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン類、さらには、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン類、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの素材(プラスチック材)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
これらのなかでも、厚さ精度、経済性(コスト)、引張強度や加工性等の観点より、ポリエステルフィルムを好適に使用でき、ポリエチレンテレフタレートフィルムを特に好適に用いることができる。また、ポリエステルフィルムは二軸延伸したフィルムが好ましい。二軸延伸することで、高い強度を発現できる。
【0029】
以下、ポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明する。公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエステルチップ(ポリエステル成分)を必要に応じ着色顔料、あるいは着色顔料を高濃度に含むマスターバッチとを混練押出機に供給し、ポリエステル成分の融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
【0030】
このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、熱固定工程に移る。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0031】
なお、支持体は、単層、積層のいずれの形態を有していてもよく、構造上の制約を受けない。
【0032】
なお、支持体(特に、プラスチック材による支持体)の表面は、支持体上に形成される粘着剤層などとの密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。
【0033】
(粘着剤層)
本発明の両面粘着テープの粘着剤層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
粘着剤としては、特にアクリル系粘着剤が、接着信頼性が高いことから好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを粘着性成分又は主剤とし、これに必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの適宜な添加剤が含まれている。アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするポリマーであり、必要に応じて(メタ)アルキルエステルに対して共重合が可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより調製されている。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4−18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
また、前記(メタ)アルキルエステルに対して共重合可能な共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体の他、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体としては、カルボキシル基などの官能基を有する改質用モノマーを好適に用いることができる。
【0036】
アクリル系ポリマーの質量平均分子量(Mw)は好ましくは50万〜120万である。さらに好ましくは70万〜120万である。最も好ましくは100万〜120万である。上記範囲にあることで、薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすい。分子量はGPCによってスチレン換算で測定される。
【0037】
本発明においては、粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加することも好ましい。また、これら粘着付与樹脂を添加することで、引張強度や引張破断強度を高くすることができることから、使用するアクリル系共重合体に応じて、粘着付与樹脂を適宜添加することで、引張強度や引張破断強度を調整できる。本発明の両面粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジンやロジンのエステル化合物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。そのなかでもn−ブチル(メタ)アクリレートを主たるモノマー成分とするアクリル系共重合体を使用した粘着剤組成物においては、薄型で粘着力と耐熱性を両立させるに際し、ロジン系樹脂とスチレン系樹脂を混合して使用することが好ましい。
【0038】
また初期接着力を上げるため、常温で液状の粘着付与樹脂を混合して使用することが好ましい。常温で液状の粘着付与樹脂としては、例えば、前記した常温で固体の粘着付与樹脂の液状樹脂や、プロセスオイル、ポリエステル系可塑剤、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられる。特にテルペンフェノール樹脂が好ましい。市販品としてはヤスハラケミカル社製YP−90L等がある。液晶粘着付与樹脂の添加量はアクリル系共重合体100質量部に対して1〜20質量部を添加するのが好ましい。
【0039】
粘着付与樹脂の添加量としては、アクリル系共重合体100質量部に対して20〜60質量部を添加するのが好ましい。より好ましくは30〜50質量部である。粘着付与樹脂を添加することにより粘着力を向上させることができる。
【0040】
粘着剤のゲル分率は特に制限されるものではないが、5〜50%であることが薄膜であっても充分な接着性・耐熱性を発現しやすいため好ましく、10〜30%であることがより好ましく、さらに好ましくは15〜25%である。ゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
ゲル分率=[(粘着剤層のトルエン浸漬後質量)/(粘着剤層のトルエン浸漬前質量)]×100
【0041】
アクリル系ポリマーは、溶液重合法、エマルション重合法、紫外線照射重合法等の慣用の重合方法により調製することができる。
【0042】
各粘着剤層の厚みとしては、特に制限されないが、0.5μm〜4μmが好ましく、さらに好ましくは1μm〜3μmである。上記範囲にあることで薄さと粘着物性を両立しやすい。特に0.5μm未満である場合は、接着力が著しく低下する。また、支持体の両面に形成された2つの粘着剤層の厚みは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0043】
(剥離ライナー)
本発明の両面粘着テープは、粘着剤層を保護するために、各粘着剤層表面に剥離ライナーが設けられていても良い。当該剥離ライナーとしては、公知の剥離ライナーを適宜選択して使用すればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体や、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂等の各種樹脂フィルムからなる剥離ライナーを好ましく使用でき、これら樹脂フィルムは発泡形状のものであってもよい。また、樹脂フィルム以外にも、和紙、洋紙、グラシン紙等の紙、不織布、金属箔等も使用できる。さらには、これらが積層された複合シートであってもよい。
【0044】
これら剥離ライナーの表面は、易剥離性を付与するために剥離処理層が設けられていることが好ましい。剥離処理層としては、両面粘着テープの剥離ライナー用に使用される各種の剥離処理剤により形成することができ、このような剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系剥離処理剤等を好ましく使用できる。また、剥離処理層は、上記の樹脂フィルム上に、ラミネートやコーティングにより形成されていてもよい。
【0045】
剥離ライナーの剥離力は、使用態様等に応じて適宜調整すればよいが、粘着剤層に対する剥離力が0.01〜2N/20mm、好ましくは0.05〜0.15N/20mmとすることで、剥離ライナーを剥離する際に、両面粘着テープの変形を抑制しやすくなるため好ましい。剥離力は剥離ライナー又は50μm厚さのPET裏打ちした粘着剤層を0.3〜10m/minの速度で180°方向に剥離して測定できる。
【0046】
(製造方法)
本発明の両面粘着テープは、公知の製造方法により製造でき、例えば、支持体の一面に粘着剤を塗布して、第1の粘着剤層を形成した後、又は第1の粘着剤層の形成とともに、支持体の他方の面に粘着剤を塗布して、第2の粘着剤層を形成する製造方法や、剥離ライナーに粘着剤を塗布して粘着剤層付きの剥離ライナーを形成し、これを支持体の両面に貼り合わせる製造方法等があげられる。
特に、本発明においては、下記の工程(A1)(B1)(A2)(B2)を具備する両面粘着テープの製造方法などが好ましく挙げられる。
工程(A1):剥離ライナーの剥離処理面に、粘着剤を塗布して剥離ライナー上に粘着剤層を形成する工程
工程(B1):支持体の一方の表面に、剥離ライナー上に形成された粘着剤層を貼り合わせて、支持体上に第1の粘着剤層を形成する工程
工程(A2):もう一方の剥離ライナーの剥離処理面に、粘着剤を塗布して剥離ライナー上に粘着剤を形成する工程
工程(B2):粘着剤層、剥離ライナー付きの支持体のもう一方の支持体表面に、剥離ライナー上に形成された粘着剤層を貼り合せて、第2の粘着剤層を形成する工程
【0047】
当該工程を有する製造方法の概略図を図2〜3に示す。図2〜3の製造方法においては、剥離ライナー11の剥離処理面に、粘着剤塗工装置12により粘着剤を塗布し、乾燥及び/又は紫外線照射装置13にて粘着剤を乾燥及び/又は硬化させて、粘着剤層付き剥離ライナーが得られる(工程(A1))。得られた粘着剤層付き剥離ライナーの粘着剤層と支持体14とをラミネートロール15を通じて貼り合わせて、支持体/粘着剤層/剥離ライナーが積層された片面粘着テープ16が得られる(工程(B1))。次いで、他の剥離ライナー17の剥離処理面に、粘着剤塗工装置12により粘着剤を塗布し、乾燥及び/又は紫外線照射装置13にて粘着剤を乾燥及び/又は硬化させて、粘着剤層付き剥離ライナーを得た後(工程(A2))、当該粘着剤層付き剥離ライナーの粘着剤層と、工程(B1)を経て得られた支持体/粘着剤層/剥離ライナーが積層された片面粘着テープ16の支持体表面とを、ラミネートロール15を通じて貼り合わせて、支持体の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープ18が得られる。当該製造方法においては、剥離ライナー11及び17、支持体14、片面粘着テープ16、両面粘着テープ18は、それぞれロール状から繰り出すか、ロール状に巻回されることが製造工程上有利であるため好ましい。
【0048】
本発明の両面粘着テープは、支持体の片面に、剥離ライナー上に形成された粘着剤層を貼り合わせて、支持体上に第1の粘着剤層を形成する際に、支持体にかかる張力を実質0にしなくても通常の張力範囲で、支持体の厚みが非常に薄くても、シワ等を生じさせず、良好な状態で両面粘着テープを製造することができる。
【0049】
従って、本発明の両面粘着テープとしては、図2〜3で示されるように、工程(A1)、工程(B1)、工程(A2)および工程(B2)を具備する製造方法により好適に作製することができる。特に、これらを具備する製造方法を用いることにより、シワ等を生じさせず、安定して、ロール状に巻回された形態の両面粘着テープ又はシートを製造することができる。
【0050】
剥離ライナー上の粘着剤とフィルムを貼り合わせる工程では熱をかけてラミネートすること(熱ラミ)が好ましい。温度は40℃〜80℃が好ましい。熱をかけることによって、薄い粘着剤層であっても、すべり性の良い微細な凹凸があるフィルムの凹凸に追従しやすくなる。温度が低すぎると粘着剤とフィルムの密着性が低下し、温度が高すぎるとシワが発生する。本発明の粘着テープはフィルムが低い熱収縮率をもつため、熱をかけた際にも縮みによるシワが発生しにくく、生産性に優れる。
【0051】
通常、3μm以下の薄い支持体を用いる場合は、製造時の支持体の張力を極めて低い状態(ほぼ0)にしないと、支持体と粘着テープを貼り合せる際に、支持体にシワ等がはいり易い。また支持体の張力をそのように調整するのは難しい。しかし本発明においては、特定の摩擦係数を有する支持体を用いているため、特段の製造シワ等を生じさせず、良好な状態でロール状に巻回された形態の両面粘着テープを安定して製造することができる。本発明に使用する支持体であれば、10〜300N/mの張力をかけることができる。そのなかでも30〜120N/mの張力が好ましい。
【0052】
本発明の両面粘着テープを、ロール状に巻回された形態の両面粘着テープとして得る場合には、その長さは、長尺帯状の長さであれば特に制限されないが、通常、5m以上(好ましくは10m以上、さらに好ましくは20m以上)である。両面粘着テープを巻回された形態且つ長尺とした場合には、両面粘着テープを前もって部品の形状に切断加工する場合や、シーリング加工、プレス加工する場合等の作業性が良好となる。
【0053】
本発明の両面粘着テープは、薄層化を要求されている接合部材、特に、接合部品間のクリアランスが従来両面粘着テープによる接合がなされていなかったような極狭小な場合(例えば、クリアランスが10μm以下の領域)での部品間の接合に好適に適用できる。なかでも、使用時に熱を発生するパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のOA機器や、電子手帳、携帯電話、PHS、スマートフォン、ゲーム機器、電子書籍等の携帯電子端末等の部品固定用途、例えばLCDモジュール、バックライトユニット、反射、遮光、放熱、磁性シート等の部品固定用途に好適に使用できる。特に、本発明の両面粘着テープは、極めて薄型でありながら耐熱性が良好であるため、使用により熱を発生する電子部品に貼り付けられる放熱シートや、磁性シートの固定に特に好適に使用できる。また、本発明の両面粘着テープは、このような極狭小なクリアランスに適用できる耐熱性に優れた薄型のテープでありながら、製造に際して支持体にかける張力を低くするといった特別な製造方法を使用しなくとも、シワの発生等を生じることなく好適に製造できる。
【0054】
(放熱シート固定用途での使用法)
放熱シートは局所的な高温部に設置することで、熱を電子機器の全面に放熱し、いわゆるホットスポットを解決する役目を持つ。放熱シートに使用するグラファイトシートは、人工グラファイトシートや天然グラファイトシートの2種類がある。人工グラファイトシートとしては、ポリイミドフィルムのような有機フィルムを高温の不活性ガス雰囲気中で熱分解して得られる熱分解グラファイトシートがある。また、天然グラファイトシートは、天然の黒鉛を酸処理した後、加熱膨張させた黒鉛粉末を加圧してシート状にしたものがある。放熱シートに使用するグラファイトシートは、皺が少ない方が、放熱性が良いため、皺の少ない人工グラファイトシートが好適に用いられる。放熱シートに使用するグラファイトシートの厚さは、10〜100μmであることが好ましく、15〜50μmであることが更に好ましい。厚さを当該範囲とすることで、薄型携帯電子端末機器に好適に用いられる。
【0055】
本発明の粘着テープで貼り合せることで、テープの熱抵抗を低減でき、厚み方向の熱伝導率を向上できるため、放熱性を向上できる。また薄型化も可能である。
【0056】
(磁性シート固定用途での使用法)
磁性シートは、電子機器の筐体内面や各種電子部品の外面など、電磁波を遮断したい箇所に貼着され、これにより、外来電磁波が電子機器内部へ透過するのを防止したり、電子機器の内部から外部へ電磁波が漏出するのを防止したりすることができる。磁性シートは、Ni系フェライト磁性体粉末、Mg系フェライト磁性体粉末、Mn系フェライト磁性体粉末、Ba系フェライト磁性体粉末、Sr系フェライト磁性体粉末、Fe−Si合金粉末、Fe−Ni合金粉末、Fe−Co合金粉末、Fe−Si−Al合金粉末、Fe−Si−Cr合金粉末、鉄粉末、Fe系アモルファス、Co系アモルファス、Fe基ナノ結晶体等からなるシートであり、厚みが厚いほうが磁性的性能を発揮しやすい。この固定に粘着テープが用いられるが、本発明の粘着テープで固定することで、磁性シートを厚くしても、複合体(磁性シートと粘着テープの貼り合せ品)として薄型化できる。
【実施例】
【0057】
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0058】
(粘着剤の調製例1)
n−ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、80℃で8時間溶液重合を行って、重量平均分子量:90万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D−135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE−100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):0.8部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Aを調製した。ゲル分率は20%であった。
【0059】
(粘着剤の調製例2)
n−ブチルアクリレート:97.98部と、アクリル酸:2部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート:0.02部とを、アゾビスイソブチロニトリル:0.3部を重合開始剤として、酢酸エチル溶液中で、90℃で6時間溶液重合を行って、重量平均分子量:50万のアクリル系ポリマーを得た。該アクリル系ポリマー:100部に、重合ロジンエステル(商品名「D−135」荒川化学社製):5部と、不均化ロジンエステル(商品名「KE−100」荒川化学社製):20部、石油樹脂(商品名「FTR6100」:25部)を加えて、酢酸エチルを加え、固形分40%の粘着剤溶液を調整した。さらにイソシアネート系架橋剤(商品名「NC40」DIC社製):1.5部を加えて、均一になるように撹拌して混合することにより、粘着剤Bを調製した。ゲル分率は30%であった。
【0060】
(実施例1)
先ず、剥離フィルム(商品名「PET38×1K0」)に前記粘着剤Aを乾燥厚みが1.5μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、これを支持体であるポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)に貼り合せる。この時の支持体の繰り出し張力は50N/mであり、剥離フィルムの貼り合せ張力は300N/mであった。次に、剥離フィルム(商品名)「PET25×1A3」に前記粘着剤Aを乾燥厚みが1.5μmとなるようロールコーターにて塗工し、100℃で1分乾燥し、前記支持体の粘着されていない面に貼り合せ、両面粘着テープ(厚み:5μm)を得た。
【0061】
(実施例2)
粘着剤Aの乾燥厚みを1.5μの代わりに4μmにした以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:10μm)を得た。
【0062】
(実施例3)
粘着剤Aの乾燥厚みを1.5μの代わりに0.5μmにした以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:3μm)を得た。
【0063】
(実施例4)
支持体として、ポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)の代わりに、ポリエステルフィルム(商品名「K583−2.5W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2.5μm、動摩擦係数:0.27、熱収縮率:1.5%)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:5.5μm)を得た。
【0064】
(実施例5)
イソシアネート系架橋剤の添加量を0.8部の代わりに1.5部にした以外は実施例1と同様に両面粘着テープ(厚み:5.0μm)を得た。ゲル分率は30%であった。
【0065】
(実施例6)
イソシアネート系架橋剤の添加量を0.8部の代わりに5.0部にした以外は実施例1と同様に両面粘着テープ(厚み:5.0μm)を得た。ゲル分率は50%であった。
【0066】
(実施例7)
イソシアネート系架橋剤の添加量を0.8部の代わりに0.5部にした以外は実施例1と同様に両面粘着テープ(厚み:5.0μm)を得た。ゲル分率は5%であった。
【0067】
(実施例8)
粘着剤Aの代わりに粘着剤Bを用いた以外は実施例1と同様に両面粘着テープ(厚み:5.0μm)を得た。ゲル分率は30%であった。
【0068】
(比較例1)
支持体として、ポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)の代わりに、ポリエステルフィルム(商品名「C660−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.30、熱収縮率:1.6%)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:5μm)を得た。
【0069】
(比較例2)
支持体として、ポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)の代わりに、ポリエステルフィルム(商品名「2DC61」東レ社製;厚さ:1.8μm、動摩擦係数:0.32、熱収縮率:1.5%)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:4.8μm)を得た。
【0070】
(比較例3)
支持体として、ポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)の代わりに、ポリエステルフィルム(商品名「K917−1.5W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:1.5μm、動摩擦係数:0.27、熱収縮率:30%)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:4.5μm)を得た。
【0071】
(比較例4)
支持体として、ポリエステルフィルム(商品名「K100−2.0W」三菱化学ポリエステル社製;厚さ:2μm、動摩擦係数:0.26、熱収縮率:1.4%)の代わりに、ポリエステルフィルム(商品名「S25」ユニチカ社製;厚さ:25μm、動摩擦係数:0.28、熱収縮率:1.0%)を用いた以外は実施例1と同様にして、両面粘着テープ(厚み:28μm)を得た。
【0072】
(支持体の動摩擦係数)
JISK7125に準じ、SUS鏡面とフィルム面の摩擦係数を測定した。図4のように裏打ち用片面粘着テープ「DIC製 PET50SER」21で裏打ちしたフィルム22を貼り、63mm×63mmのすべり片(重さ:1.96N)23と片面粘着テープ21が接するように固定した。次にそのすべり片に固定したフィルム22がSUS鏡面25と接するように置き、100mm/minですべり片23をロードセル26で引っ張り測定した。動摩擦係数は次式で算出した。
動摩擦係数[−]=動摩擦力[N]/1.96[N]
【0073】
(支持体の収縮率)
JISC2151に従い測定した。100mm×100mのフィルムを150℃の乾燥器に30分放置し、乾燥器に入れる前後でのサイズをノギスで測定し、算出した。表には流れ(MD)・幅(TD)の最大値を記載した。
熱収縮率=100×(乾燥器に入れる前の長さー乾燥器に入れた後の長さ)/乾燥器に入れる前の長さ
【0074】
(ゲル分率)
実施例・比較例に使用した粘着剤をPET25μmフィルム(ユニチカ社製S25)に乾燥厚さ30μmとなるよう塗工する。養生後、トルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
ゲル分率=[(粘着剤層のトルエン浸漬後質量)/(粘着剤層のトルエン浸漬前質量)]×100
【0075】
(評価)
実施例、比較例に係る両面粘着テープについて、生産性、クリアランスの適合性、粘着力、高温保持力、耐熱収縮性をそれぞれ、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。評価結果は表1に示した。
【0076】
(生産性)
ロール状に、シワなく良好な形態で両面粘着テープを作製することができるか否かで、判断し、作製できるものを「○」、作製できなかったものを「×」として評価した。評価結果は、表1の「生産性の可否」の欄に示した。
【0077】
(クリアランスの適合性の評価方法)
両面粘着テープを、部品間のクリアランスが10μm以下となる部分に適用して、該クリアランスに適合させることができるか否かで判断し、適合できるものを「○」、適合できないものを「×」として評価した。評価結果は、表1の「クリアランスの適合性」の欄に示した。
【0078】
(粘着力の測定方法)
両面粘着テープを20mm幅に切断し、PET25μmで裏打ちした試験片を作製し、該試験片(20mm幅)について、JISZ−0237に準じて、テンシロン引張試験機を用いて、ピール粘着力(剥離角度:180°、引張速度:300mm/min、23℃×65%RH、被着体:ステンレス板)を測定した。測定結果は、表1の「粘着力(N/20mm)」の欄に示した。
【0079】
(高温保持力)
両面粘着テープを20mm幅に切断し、PET25μmで裏打ちした試験片を作製し、該試験片(20mm幅)について、JISZ−0237に準じて、鉛直方向に100g(20mm×20mm)の荷重をかけ、100℃雰囲気下で24時間放置し、24時間後のズレ距離を測定した。測定結果は、表1の「粘着力(N/20mm)」の欄に示した。
【0080】
(耐熱収縮性)
両面粘着テープを50mm×50mmに切断し、アルミ板に貼り合せ、100℃に72時間放置し、縮み距離を測定し、下記評価基準で評価した。
◎:0.1mm未満
○:0.1〜0.5mm
×:0.5mmを超える
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
表1より明らかなように、実施例1〜8の本発明の両面粘着テープは厚みが10μm以下と非常に薄膜であっても耐熱収縮性・生産性に優れていた。一方、比較例1,2のテープは生産時に支持体にシワが入りやすく、生産性に劣った。また比較例3の粘着テープは耐熱収縮性が著しく悪かった。比較例4のテープは厚く、スペースの無い部分で使用ができないものであった。
【符号の説明】
【0085】
1 支持体
2,3 粘着剤層
4,5 剥離ライナー
11,17 剥離ライナー
12 粘着剤塗工装置
13 乾燥及び/又は紫外線照射装置
14 支持体
15 ラミネートロール
16 片面粘着テープ
18 両面粘着テープ
21 裏打ち用片面粘着テープ
22 フィルム(試験片)
23 すべり片
24 台座
25 SUS板
26 ロードセル(引張試験機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムからなる支持体の両面に、粘着剤層を有する両面粘着テープであって、
総厚みが2〜10μmであり、前記支持体の厚みが1〜3μm、熱収縮率が3%以下、動摩擦係数が0.20〜0.28であることを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
前記支持体が、ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体である請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層がアクリル系粘着剤からなり、粘着剤層のゲル分率が5〜50%である請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記アクリル系粘着剤が、分子量(Mw)50万〜120万のアクリル系ポリマーを含有する請求項3に記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
両面粘着テープを20mm幅に切断し、アルミ箔50μmで裏打ちした試験片を作製し、該試験片(20mm幅)について、JISZ−0237に準じて、鉛直方向に100g(20mm×20mm)の荷重をかけ、100℃雰囲気下で24時間放置した際のズレ距離が2.0mm以下である請求項1〜4の何れかの項に記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
前記粘着剤層の厚みが0.5μm〜4μmである請求項1〜5の何れかの項に記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
放熱シートと電子機器の固定用である請求項1〜6の何れかの項に記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
磁性シートと電子機器の固定用である請求項1〜6の何れかの項に記載の両面粘着テープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−14723(P2013−14723A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149978(P2011−149978)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】