説明

並列流体室が設けられた複数成分吐出カートリッジ及び方法

【課題】複数の流体を混合して吐出するための流体カートリッジを提供する。
【解決手段】第1及び第2の流体を保存及び吐出する流体カートリッジ12は、第1及び第2の流体室を画定する第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32を並列関係で備える。第1のピストン52,57及び第2のピストン54,59は、連結部分によって連結され、第1の筒状のカートリッジ壁及び第2の筒状のカートリッジ壁内にそれぞれ配置されている。第1の筒状のカートリッジ壁の長手方向中心軸線に沿って第1のピストンに力が加えられると、第1及び第2のピストンが第1及び第2の流体室内を移動させられ、第1、第2のピストンとの間の連結部分は、第1、第2の流体室との間に配置された固定壁の開口内を通過する。開口は、予め形成した溝穴でもよいし、連結部分に取り付けられた切込み要素によって形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的に、並列構造を有する複数成分混合及び吐出カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
流体室が並列構造である複数成分混合及び吐出装置、並びに流体室が同軸構造である複数成分混合及び吐出装置を含め、種々のタイプの複数成分混合及び吐出装置が存在している。そのようなカートリッジは、多くの場合、1つ又は複数の可動プランジャーを有する手持ち式の塗布器又はガン内に配置することができる。プランジャー(複数の場合もあり)は、カートリッジの先端部にて2成分の流体を吐出し、多くの場合に混合するように、流体室に関連するピストン(複数の場合もあり)を移動させる。
【0003】
より高い体積比で2つの流体を混合及び吐出するのに用いられているこれまでの装置は、保存時の2成分の流体の分離を維持するために複雑な内部機構に依存してきた。様々なタイプのこれらの機構は、使用可能な容積を減らし、廃棄物を生じる。これらの機構は、また、漏洩、充填及び/又は吐出の様々な問題を有する可能性がある。多くの場合、これらの複雑な機構は、小容積室及び大容積室が同じシリンダー内にあることを可能にする同軸の構造配置を伴う。並列混合器/吐出器も知られているが、これらの装置も同様に課題及び複雑さを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現用のカートリッジ及び方法に伴う様々な問題及び複雑さに対処するように設計された並列カートリッジ及び吐出方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の例示的な実施の形態は、概して、少なくとも第1の流体及び第2の流体を保存及び吐出する流体カートリッジを提供する。カートリッジは、第1の長手方向中心軸線を有するとともに第1の出口を含む第1の筒状のカートリッジ壁を備える。第2の筒状のカートリッジ壁が第2の長手方向中心軸線及び第2の出口を有する。第2の筒状のカートリッジ壁は、第1の筒状のカートリッジ壁と並列関係で連結されて、第2の長手方向中心軸線が第1の長手方向中心軸線から側方にずれている。第1のピストンが第1の筒状のカートリッジ壁内に配置される。第1の筒状のカートリッジ壁及び第1のピストンは、第1の流体用の第1の流体室を画定する。第2のピストンは、第1のピストンに対して並列関係で位置決めされ、第2の筒状のカートリッジ壁内に配置される。第2の筒状のカートリッジ壁及び第2のピストンは、第2の流体用の第2の流体室を形成する。第1のピストン及び第2のピストンを双方ともそれぞれの第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に沿ってそれぞれの第1の流体室及び第2の流体室内で移動させるように第1の長手方向中心軸線に沿って第1のピストンに対して直接又は間接的に力を加えることができる。連結部分は、第1の流体室と第2の流体室との間の開口内を移動し、第2のピストンに力を伝達するように働き、それによって、第1の流体及び第2の流体を第1の出口及び第2の出口から吐出する。これらのピストンは、例えば、一つの組立体の別個の構成要素としてもよいし、又は、一体としてもよいし、若しくは、別様に組立体として若しくは一部品ユニットとして物理的にともに連結しよもよい。
【0006】
一実施の形態では、固定壁を第1の流体室と第2の流体室との間に配置することができる。固定壁は、第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に対して平行に延在している。連結部分は、固定壁を横切って延在している切込み(切断)要素を含む。この切込み要素は、連結部分が通過する開口を設けるために、第1のピストン及び第2のピストンが第1の出口及び第2の出口に向かって第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に沿って移動するとき固定壁内に切れ込み(スリット)を切り込むように構成される。切込み要素は、第1のピストンの部分及び第2のピストンの部分内に組み込まれるとともに固定壁を横切って延在している刃部を更に含むことができる。別の実施の形態では、予め形成した溝穴が第1の流体室と第2の流体室との間に位置決めされ、第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に沿って延在している。この溝穴は、第1のピストン及び第2のピストンが第1の出口及び第2の出口へ向かって第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に沿って移動するときに連結部分が通過する開口である。先端部での混合を可能にするために、第1の出口及び第2の出口は共通の通路と連通することができる。例えば、これらの出口は、共通の出口要素に連結することができ、この出口要素が更に混合ノズル内の通路につながっている。この実施の形態では、共通の出口要素の先端部は、流体が混合ノズルに至る直前に又は混合ノズル内で一緒になることができるように2つの出口間の流体連通を可能にしている。第1の流体室及び第2の流体室は、同じ容積を有する寸法にされていてもよいし、又は異なる容積を有していてもよい。有利には、第1の流体室は、第2の流体室よりも大きな容積を有することができる。第1の流体室対第2の流体室との容積比は、例えば少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも10:1とすることができる。流体室及びカートリッジ壁は、好ましくは形状が円筒状であるが、他の筒状形状も同様に可能である。
【0007】
本発明は、2つの流体を流体カートリッジから吐出する方法を更に提供する。本方法は、概して、第1の長手方向中心軸線及び第1の出口を有する第1の流体室内で長さ方向に第1のピストンを移動させるように第1のピストンに対して力を加えることを含む。第2のピストンは、第1のピストン及び第2のピストンが同時移動できるように連結部分によって直接又は間接的に連結した状態で、第2の長手方向中心軸線及び第2の出口を有する第2の流体室内を長さ方向に移動させられる。第1の流体室及び第2の流体室は、第2の長手方向中心軸線が第1の長手方向軸線から側方にずれるように並列関係にある。本方法は、第1のピストン及び第2のピストンが第1の流体室及び第2の流体室内を移動するときに、第1の流体室と第2の流体室との間に配置されているとともに第1の長手方向中心軸線及び第2の長手方向中心軸線に対して平行に延在している開口に沿って該開口内で連結部分を移動させることを更に含む。そして、第1の流体及び第2の流体は、第1の出口及び第2の出口から吐出される。
【0008】
本方法は、連結部分の少なくとも一部として切込み要素を使用すること、及び、第1のピストン及び第2のピストンとともに切込み要素を移動させることによって固定壁内に切れ込み(この切れ込みが開口となる)を切り込むようにこの切込み要素を移動させることを更に含むことができる。代替的に、開口は、流体室間に位置する予め形成した溝穴を更に含むことができ、本方法は、予め形成した溝穴に沿って該溝穴内で連結部分を移動させることを更に含むことができる。第1の流体及び第2の流体をそれぞれの室内の第1の圧潰可能な容器及び第2の圧潰可能な容器内で保持することができ、本方法は、第1の容器及び第2の容器を第1のピストン及び第2のピストンにより圧潰すると同時に第1の流体及び第2の流体を第1の出口及び第2の出口から吐出することを更に含むことができる。本方法は、第1の出口及び第2の出口に隣接している第1の流体及び第2の流体を混合することを更に含むことができる。混合することは、上記で言及した容積比で行われるが、それらに限定されない任意の所望の容積比で行うことができる。
【0009】
種々の追加的な特徴及び利点は、添付の図面とともに例示的な実施形態の以下の詳細な説明を検討すれば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の例示的な実施形態に従って構成されたカートリッジ及び標準コーキングガンの分解図を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態のピストン組立体の一部を示す斜視図である。
【図3】図2の線3−3に沿った部分断面図である。
【図4】図1の線4−4に沿った断面図である。
【図5】図1に例示されたカートリッジの長さ方向軸線に概ね沿った長手方向断面図であり、吐出前のピストン組立体の初期位置を例示する図である。
【図6】図5と同様の図であるが、吐出工程中のその後の時点でのピストン組立体を例示する図である。
【図7】図1と同様の斜視図であるが、本発明の別の例示的な実施形態を例示する図である。
【図8】先端部におけるカートリッジの長手方向軸線に概ね沿った断面図である。
【図9】図7に示されたカートリッジの長手方向軸線に沿った断面図であり、吐出前のピストンの初期位置を示す図である。
【図10】図9と同様の断面図であるが、吐出工程中のその後の時点でのピストンを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、標準コーキングガンすなわち標準吐出ガン14のような作動ユニット内で使用されるように構成された流体カートリッジ12を備える吐出ユニット10の形態の本発明の第1の実施形態を例示している。標準コーキングガン14は、ハンドル16と、カートリッジ12を受け入れる受け台18とを備える。駆動ロッド24と連結したプランジャー22を作動させる手動式圧搾部材すなわち引き金20が設けられている。引き金20の作動により、例えば、ラチェット機構(不図示)によってプランジャー22が受け台18に沿って前方へ移動する。カートリッジ12は、より具体的には、ポリエチレン等の適したプラスチック又は明らかになる理由から容易に切り込むことができる別の薄材料から形成される、第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32を含む。3つ以上の流体を吐出することが必要な場合、さらに筒状のカートリッジ壁を設けることができることが理解されるであろう。第1の筒状のカートリッジ壁30は、基端部34及び先端部36を含む。第2の筒状のカートリッジ壁32も、また、基端部38及び先端部40を含む。出口要素42は、以下に更に説明されるように、各筒状のカートリッジ壁30、32における流体室から流体を受け取るように各先端部36、40に強固に連結される。図1のカートリッジ30、32から分解されて示されているピストン組立体50は、連結部分56によってともに強固に接続されたピストン要素52及びピストン要素54を含む。追加のピストン要素57、59も設けられる。これらのピストン要素57、59は、カートリッジ30、32がそれぞれの第1の流体及び第2の流体で充填された後、それぞれの開放基端部34、38に別個に挿入される。次いで、ピストン組立体50のピストン要素52、54は、図示のようにピストン要素57、59の背後から端部34、38に挿入される。別個のピストン要素からピストンを形成することにより、ピストン要素57、59をピストン要素52、54とは異なる材料で構成することが可能となる。これに関して、ピストン要素57、59は、第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32の内側を良好に密封する、より軟質のプラスチック材料から形成することができる。そして、ピストン要素52、54は、押込み力を伝達するのにより適した、より硬質のプラスチック材料から形成することができる。別個のピストン要素57、59を省略して、その代わりにピストン要素52、54が流体に対して力を直接付与する単一ピストンであってもよいことが理解されるであろう。この代替では、ピストン要素52、54は、筒状のカートリッジ壁30、32の内側面に係合するのに適した密封構造を含むことができる。例えば、ピストン要素52、54は、2つの材料、すなわち、一方が構造的な支持のためにより剛性であり、他方が密封構造を与えるように周縁をより柔軟性のある材料から成形することができる。一例は、剛性ナイロン体に熱可塑性エラストマーを外側被覆して単一ピストンを形成する。連結部分56は、この例では、第1の筒状のカートリッジ壁30と第2の筒状のカートリッジ壁32との間の接合部を含む固定壁58と整合する。筒状の静的混合要素60は、先端部の出口要素42に流体連通するようにねじ62によって連結される。ねじ62の代わりに任意の適した接続方法を用いることができることが理解されるであろう。出口要素42内の内部分離要素すなわち壁64は、第1の流体及び第2の流体をこれらの流体が静的混合要素60に入るまで互いから分離した状態に維持する。混合要素は、2つの流体を混合し、第1の流体及び第2の流体の混合物は混合要素60の先端部60aから吐出される。カートリッジ12が受け台18に挿入されると、出口要素42が溝穴68内にくることになる。
【0012】
図2及び図3は、ピストン要素52、54をより詳細に例示している。この実施形態では、ピストン要素52、54は、概ね中空のプラスチック成形構造部であるが、第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32内でピストン要素57、59と接触させる目的で中実の前面52a、54aを有していてもよい。別個のピストン要素57、59を省略した場合、代わりに前面52a、54aが流体に直接作用することが理解されるであろう。これらの前面は、図3では取り外されて、ピストン要素52、54の内部支持を与える成形構造リブ52b、54bを含む内部中空構造を例示している。ピストン組立体50は、より具体的には、鋭利な前縁70aを有する刃部の形態の切込み要素70を含む。刃部70は、例えばピストン要素52、54を作製するのに用いられる成形工程中に、ピストン要素52、54内に埋め込まれており、2つのピストン要素52、54をともに連結するように連結部分56として働く。2つのピストン要素52、54の間の間隙72にて、鋭利な縁70aが露出している。刃部70は、該刃部70をピストン要素52、54内の1つ又は複数のリブ52b、54bに保持するのに役立つように、ピストン成形工程中にプラスチック材料を受け入れる穴70bを含む。
【0013】
図4、図5及び図6は、第1の流体80及び第2の流体82をそれぞれ第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32から、より具体的には、ピストン要素57、59の前面57a、59aと、第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32と、先端壁88、90との間にそれぞれ画定された第1の流体室84及び第2の流体室86から、混合及び吐出するための流体カートリッジ12の使用を例示している。図5及び図6に示されるように、第1の筒状のカートリッジ壁30及び第2の筒状のカートリッジ壁32は、それぞれ、第2の長手方向中心軸線94が第1の長手方向中心軸線92から側方にずれるように並列関係で第1の長手方向中心軸線92及び第2の長手方向中心軸線94に沿って延在している。第1の軸92は、プランジャー22の中心点22aに概ね位置しているのに対し、第2の軸94は、受け台18(図1)よりも上に位置している。固定壁58は、第1の流体室84と第2の流体室86との間に配置されており、第1の長手方向中心軸線92及び第2の長手方向中心軸線94に対して概ね平行に延在している。この実施形態では、固定壁58は、2つの流体室84、86間の共通の壁である。この共通の固定壁58は、2つのピストン要素52、54の間の間隙72と整合しており、この間隙72内に位置決めされている鋭利な刃部の縁70aの部分と係合するように整合されている。
【0014】
第1の長手方向中心軸線92に沿ってプランジャー22によってピストン要素52及びピストン要素57に力が加えられるとき(図6)、これにより、ピストン要素52及びピストン要素57並びにピストン要素54及び第2のピストン59が移動する。ピストン要素57、59は、それぞれの軸92、94に沿ってそれぞれの流体室84、86内で先端部へ移動することで第1の流体80及び第2の流体82をそれぞれの出口30a、32aから押し出す。流体80、82は、先端部の出口要素42へ移動し、壁64によって分離されている出口要素42内のそれぞれの空間42a、42b(図4)へ移動する。流体80、82は、静的混合要素60に入るまで分離した状態のままとなる。静的混合要素60の中で、第1の流体80及び第2の流体82は、カートリッジ12によって規定される比で混合され、次いで、流体混合物として吐出される。この比は、例えば1:1の比、又は少なくとも2:1、又はより好ましくは少なくとも10:1のような任意の他の比とすることができる。本発明の実施形態は、大きい方のピストン要素52、57に沿って直接送られる力が、連結部分56(刃部70)によって小さい方のピストン要素54、59へより容易に伝達されることになるため、すなわち、大きなピストン要素52、57と小さなピストン要素54、59との間に生じるモーメントが小さいものとなるため、高い混合比で良好に実施される。例示的な一例として、混合された流体材料は、第1の流体80が樹脂成分であるとともに第2の流体82がよりいっそう少ない量の触媒である、エポキシ樹脂接着剤とすることができる。ピストン要素52、57及び54、59は、図6に示されるように流体室84、86に沿って該流体室内を移動するとき、刃部70の鋭利な縁70aが、ピストン要素52、54の前面52a、54aに隣接する場所で共通の壁58内に開口100を切り込む。この切れ込みすなわち開口100は、実質的に全ての流体が吐出されるまで混合及び吐出工程中のピストン組立体50のさらなる進行を可能にする。
【0015】
図7〜図10は、上述した刃部70の必要性を排除する、本発明の第2の実施形態を例示している。図7〜図10では、同様の参照符号は、図1〜図6における構造の同様の要素を指し、したがって、そのような構造のさらなる説明は繰り返さない。図7に概して示されるように、カートリッジ110は、分解図で例示されており、第1の筒状のカートリッジ壁112及び第2の筒状のカートリッジ壁114を備える。第1の筒状のカートリッジ壁112は、基端部116及び先端部118を含む。第2の筒状のカートリッジ壁114もまた、基端部120及び先端部122を含む。出口要素42は、以下に更に説明されるようにして、各筒状のカートリッジ壁112、114内の流体室124、126から流体を受け取るように各先端部118、122に強固に連結される。ピストンユニット130は、連結部分136によってともに強固に接続された第1のピストン132及び第2のピストン134を含む。流体142の第1の圧潰可能な容器138及び流体144の第2の圧潰可能な容器140は、筒状のカートリッジ壁112、114の開放基端部116、120内に受け入れられる。例えば、これらの圧潰可能な容器138、140は、混合及び吐出すべき所望の流体を保持する可撓性バッグからなることができる。流体142、144の圧潰可能なバッグ138、140がカートリッジ壁112、114の流体室124、126内に受け入れられた後、カートリッジ壁112、114の基端部の開放端116、120は、それぞれの第1のピストン132及び第2のピストン134を受け入れる。第1のカートリッジ壁112は、フランジすなわち接続部材146(図7)によって第2のカートリッジ壁114に強固に固定される。
【0016】
図8〜図10に最もよく例示されるように、予め形成された溝穴150が、各壁112、114の基端部116、120から各壁112、114のより先端の部分152、154に長さ方向にカートリッジ壁112、114内を延在している。この溝穴150は、図9及び図10に示されるように、ピストンユニット130が長さ方向の移動できるように連結部分136を受け入れる。溝穴150は、この実施形態では、基端部116、120で開放しており、先端部分152、154で閉じている。また、図8及び図9において最もよく示されるように、各流体室124、126の先端部分は、その内部に装着された刃部要素160、162を含み、刃部要素160、162は、それぞれの圧潰バッグすなわち容器138、140と係合可能である。それぞれの刃部要素160、162(別個に形成されてもよいし、又は、一体部品として形成されてもよい)は、圧力がピストンユニット130によって加えられたときにそれぞれのバッグ138、140に切り込むように構成されるとともに、第1の流体142及び第2の流体144が、バッグ138、140から流出することを可能にし、かつ、第1の実施形態において開示されているように第1の筒状のカートリッジ壁112及び第2の筒状のカートリッジ壁114に関連するそれぞれの出口(図4の出口30a、32aを参照のこと)を通って先端の出口要素42に入ることを可能にする。各ピストン132、134の先端部分132a、134aは、流体142、144のそれぞれの圧潰可能なバッグ138、140の基端部分138a、140aを受け入れ、好ましくはこれらの基端部分138a、140aと連結する。第1の長手方向中心軸線92に沿って、プランジャー22によって第1のピストン132に力が加えられるとき(図6)、これにより、第1のピストン132は、連結部分136によって第1のピストン132に連結された第2のピストン134と共に、第1の軸線92及び第2の軸線94に沿って先端へ移動する。ピストン132、134は、それぞれの流体室124、126に沿って該流体室124、126内を移動することで、第1の流体142及び第2の流体144を各バッグ138、140の破断した先端部から先端の出口要素42内へ押し出す。ピストン132、134は、この実施形態において適正に機能するには、カートリッジ壁112、114の内表面に対して密封する必要はないことが理解されるであろう。混合及び吐出プロセスの残りは、第1の実施形態に関して説明した通りである。混合及び吐出工程の終了時に、各圧潰可能なバッグ138、140は、その時点でほぼ全ての流体が混合及び吐出された状態で、それぞれの流体室124、126内で完全に圧潰することになる。
【0017】
本発明を種々の好ましい実施形態の説明によって例示し、これらの実施形態を幾分詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又はいかようにも限定することは本出願人の意図ではない。さらなる利点及び変更が当業者には容易に明らかであろう。本発明の種々の特徴は単独で、又はユーザーの必要性及び好みに応じて任意の組合せで用いることができる。本明細書には、現時点で知られているような本発明を実施する好ましい方法とともに、本発明の説明がなされている。しかしながら、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体及び第2の流体を保存及び吐出する流体カートリッジであって、
第1の長手方向中心軸線を有するとともに第1の出口を含む第1のカートリッジ壁と、
第2の長手方向中心軸線及び第2の出口を有し、前記第2の長手方向中心軸線が前記第1の長手方向中心軸線から側方にずれるように並列関係で前記第1のカートリッジ壁と連結されている第2のカートリッジ壁と、
前記第1のカートリッジ壁内に配置された第1のピストンであって、前記第1のカートリッジ壁及び該第1のピストンが前記第1の流体用の第1の流体室を画定する第1のピストンと、
前記第2のカートリッジ壁内に位置決めされる第2のピストンであって、前記第2のカートリッジ壁及び該第2のピストンが前記第2の流体用の第2の流体室を形成する第2のピストンと、
前記第1のピストンと前記第2のピストンとの間に概ね延在している連結部分を含む力付与構造部と、
を備え、
前記第1の長手方向中心軸線に沿って前記第1のピストンに力が加えられて、前記連結部分が前記第1の流体室と前記第2の流体室との間の開口内を通過しながら、前記第1のピストン及び前記第2のピストンの両方をそれぞれの前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に沿ってそれぞれの前記第1の流体室及び前記第2の流体室内を移動させ、それによって前記第1の流体及び前記第2の流体を前記第1の出口及び前記第2の出口から吐出することができる流体カートリッジ。
【請求項2】
前記第1のカートリッジ及び前記第2のカートリッジは、筒状である請求項1に記載の流体カートリッジ。
【請求項3】
前記第1のカートリッジ及び前記第2のカートリッジは、円筒状であり、
前記第2の流体室は、少なくとも2:1の比で前記第1の流体室よりも容積が小さい請求項1に記載の流体カートリッジ。
【請求項4】
前記流体カートリッジは、固定壁を更に備え、
前記固定壁は、(a)前記第1の流体室と前記第2の流体室との間に配置されて、前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に対して平行に延在しており、又は、(b)前記第1のピストンと前記第2のピストンとの間に配置されて、前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に対して平行に延在しており、
前記連結部分は、前記第1のピストン及び前記第2のピストンと直接又は間接的に連結されるとともに前記固定壁を横切って延在している切込み要素を更に備え、
前記切込み要素は、前記第1のピストン及び前記第2のピストンが前記第1の出口及び前記第2の出口へ向かって前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に沿って移動するにつれて、前記固定壁内に切れ込みを切り込むように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体カートリッジ。
【請求項5】
前記切込み要素は、前記第1のピストン及び前記第2のピストン内に組み込まれるとともに前記固定壁を横切って延在している刃部を更に含む請求項4に記載の流体カートリッジ。
【請求項6】
前記第1のピストン及び前記第2のピストンは、それぞれ多部品組立体である請求項4に記載の流体カートリッジ。
【請求項7】
前記第1の出口及び前記第2の出口は、前記第1の流体及び前記第2の流体の混合を可能にするように共通の通路と連通している請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体カートリッジ。
【請求項8】
前記第1の流体室対前記第2の流体室の容積比は、少なくとも10:1である請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体カートリッジ。
【請求項9】
前記流体カートリッジは、前記第1の流体室と前記第2の流体室との間に位置決めされた、前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に沿って延在している溝穴をさらに備え、
前記第1のピストン及び前記第2のピストンが前記第1の出口及び前記第2の出口へ向けて前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に沿って移動させられるにつれて、前記連結部分は、前記溝穴内を進み、
前記流体カートリッジは、前記第1の流体及び前記第2の流体をそれぞれ保持した、且つ、前記第1の流体室及び前記第2の流体室内に位置決めさた第1の圧潰可能な容器及び第2の圧潰可能な容器を更に備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の流体カートリッジ。
【請求項10】
第1の長手方向中心軸線及び第1の出口を有する第1の流体室と、第2の長手方向中心軸線及び第2の出口を有する第2の流体室とを備える流体カートリッジから2つの流体を吐出する方法であって、前記第1の流体室及び前記第2の流体室は、前記第2の長手方向中心軸線が前記第1の長手方向中心軸線から側方にずれるように並列関係にあり、該方法は、
第1のピストンを前記第1の流体室内で長さ方向に移動させるように該第1のピストンに力を加えること、
第2のピストンを前記第2の流体室内で長さ方向に移動させること、
前記第1のピストン及び前記第2のピストンが前記第1の流体室及び前記第2の流体室内を移動するときに、前記第1のピストンと前記第2のピストンとの間に概して力を伝達するように、前記第1の流体室と前記第2の流体室との間に長さ方向に、並びに、前記第1の長手方向中心軸線及び前記第2の長手方向中心軸線に対して平行に延在している方向に、延在している開口に沿って該開口内で連結部分を移動させること、及び
前記第1の流体及び前記第2の流体を前記第1の出口及び前記第2の出口から吐出すること、
を含む方法。
【請求項11】
前記連結部分は、切込み要素を更に含み、前記連結部分を移動させることは、前記切込み要素を移動させることによって、前記第1の流体室と前記第2の流体室との間の固定壁内に切れ込みを切り込むことを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記開口は、予め形成した溝穴であり、
前記方法は、前記連結部分を前記予め形成した溝穴に沿って前記予め形成した溝穴内を移動させることを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の流体及び前記第2の流体は、第1の圧潰可能な容器及び第2の圧潰可能な容器内にそれぞれ保持され、
前記方法は、
前記第1の容器及び前記第2の容器を前記第1のピストン及び前記第2のピストンにより圧潰しながら前記第1の流体及び前記第2の流体を前記第1の出口及び前記第2の出口から吐出すること、
を更に含む請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の流体及び前記第2の流体を前記第1の出口及び前記第2の出口に隣接して混合することを更に含み、
前記第1の流体及び前記第2の流体を混合することは、
(a)前記第1の流体及び前記第2の流体を少なくとも2:1の容積比で混合すること、又は(b)前記第1の流体及び前記第2の流体を少なくとも10:1の容積比で混合することのうちの一方を更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のピストンに力を加えることは、
第1の押込み要素に力を加えること、及び
前記力を前記第1のピストンに沿って伝達することを更に含む請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−101217(P2012−101217A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−237154(P2011−237154)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】