中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱
【課題】仕切板及び載置板の湾曲を抑止することによって落下時の衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能な中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱を提供する。
【解決手段】全体が一枚の板紙からなり、包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13の互いに対向する二辺を、包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板14及び後面板15にそれぞれ連成又は接着し、上仕切板10及び下仕切板11に、瓶3の胴部を支持する複数の上支持孔10a及び下支持孔11aを設け、載置板12と底面板13との間に形成された緩衝空間Sに、載置板12と底面板13とを互いに連結する縦方向の補強板16を立設した構成としてある。
【解決手段】全体が一枚の板紙からなり、包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13の互いに対向する二辺を、包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板14及び後面板15にそれぞれ連成又は接着し、上仕切板10及び下仕切板11に、瓶3の胴部を支持する複数の上支持孔10a及び下支持孔11aを設け、載置板12と底面板13との間に形成された緩衝空間Sに、載置板12と底面板13とを互いに連結する縦方向の補強板16を立設した構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱に関し、特に、包装箱が側面及び底面から落下した場合の瓶の破損を効果的に防止することが可能な中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の分野では、ガラス製のバイヤル瓶などを離間させた状態で包装箱内に収納するために、所定形状に打ち抜いた板紙を立体的に折り畳んだ中仕切が用いられている。この中仕切は、包装箱内に複数本の瓶を離間状態で整列配置させるとともに、輸送中における瓶どうしの接触による破損を防止する役割を果たす。さらに、従来の中仕切には、誤って包装箱を落下させてしまった場合の衝撃を吸収して瓶の破損防止を図ったものがある。
【0003】
例えば、特開平11−35081号公報(特許文献1)では、瓶の胴部を支持する上仕切板及び下仕切板の下方に、瓶の底部が載置される緩衝底板を設けることにより、この緩衝底板と、最も下に位置する底板との間に緩衝空間を形成し、さらに、最も上に位置する前記上仕切板の左右両側に底板に達する舌片を連設した構成の中仕切が提案されている。
【0004】
このような特許文献1の中仕切では、瓶の底部が載置される緩衝底板の下に緩衝空間を形成することで、瓶の底部と包装箱の底面とを離間させ、包装箱が底面から落下した場合の衝撃が、瓶に直接作用しないようにしている。この場合、上仕切板から底板に達する舌片が、落下時の衝撃に抗して緩衝空間を維持するはたらきをする。
【0005】
また、特開平7−300156号公報(特許文献2)では、上記の緩衝空間を瓶収納部の上下に設けた構成の中仕切が提案されている。この中仕切は、瓶収納部の上方に中空筒状の天蓋部(緩衝空間)を設けるとともに、瓶収納部の下方に突起部を設けて、包装箱の底面との間に緩衝空間を形成した構成となっている。このような特許文献2の中仕切では、包装箱が底面から落下した場合の衝撃を上下の緩衝空間で緩和している。
【0006】
さらに、特開平2003−292031号公報(特許文献3)では、上記の緩衝空間よりも簡単な構成によって、瓶の底部と包装箱の底面とを離間させた中仕切が提案されている。この中仕切は、瓶の収納部を形成する横方向の上面板と底面板との間に、縦方向の支持板を立設し、上面板には、瓶の胴部を支持する挿入穴を設けるとともに、支持板には、前記挿入穴の領域内に位置する馬蹄形状穴を設けた構成となっている。
【0007】
このような特許文献3の中仕切では、上面板の挿入穴に瓶を挿入すると、瓶の底部が馬蹄形穴の下端縁に支持される。これにより、瓶の底部と包装箱の底面とが離間され、包装箱が底面から落下した場合でも、その衝撃が瓶に直接作用しない。
【特許文献1】特開平11−35081号公報([0019]、図6、図7)
【特許文献2】特開平7−300156号公報([0021]、図1、図5)
【特許文献3】特開2003−292031号公報([0019]、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述した従来の中仕切は、いずれも瓶の底部と包装箱の底面とを離間させることで、包装箱が底面から落下した場合の衝撃を緩和するものであり、包装箱が側面から落下した場合に、瓶の破損を防止することができないという問題があった。
【0009】
すなわち、実際に、薬棚、机上等の載置面に載置した包装箱が床等に落下する場合は、落下する直前まで載置面に面接触していた包装箱の底面から落下することは希であり、多くの場合は、落下する直前に包装箱の向きが変わり、底面以外の面が下向きとなって落下する。このような事実に反し、従来の中仕切は、包装箱が底面から落下した場合のみに着目した構成となっていたために、依然として、包装箱の落下によって瓶が破損してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、従来の中仕切では、包装箱が側面から落下した場合に瓶が破損しやすいことを見出した。本発明者が、図5(a)に示す従来の中仕切100を用いて落下試験を行ったところ、このような中仕切100を用いた包装箱(図示せず)が側面から落下すると、図5(b)に示すように、瓶3を支持する上仕切板110及び下仕切板111、瓶3が載置される載置板112が、床等に衝突したときの衝撃で大きく湾曲してしまうことが分かった(図中の符号110a,111aは瓶3を支持する上支持孔及び下支持孔を示す)。
【0011】
特に、包装箱の側面近傍における上仕切板110、下仕切板111、載置板112が、図5(b)の白抜き矢印で示すように激しく湾曲し、図中の点線で囲んだ箇所に破れ、剥がれを伴う場合もあった。この結果、瓶3が、上仕切板110及び下仕切板111の一方又は双方から脱落してしまい、床等に衝突したときの衝撃や瓶3どうしの衝突によって破損してしまうおそれがある。
【0012】
これに加え、従来の中仕切100では、瓶3の底部が載置される載置板112が湾曲しやすいために、包装箱が底面から落下して床等に衝突したときに、瓶3の荷重で載置板112が下方に向かって強制的に湾曲されてまい、緩衝空間Sを維持することができないという問題もあった。なお、特許文献1のような一対の舌片を設けた場合でも、包装箱の底面が床等に衝突したときの複数本の瓶3の合計荷重を、一対の舌片だけで支えることは到底できない。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、仕切板及び載置板の湾曲を抑止することによって落下時の衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能な中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の中仕切は、立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切であって、全体が一枚の板紙からなり、前記包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、前記上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板の互いに対向する二辺を、前記包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板及び後面板にそれぞれ連成又は接着し、前記上仕切板及び下仕切板に、前記瓶の胴部を支持する複数の上支持孔及び下支持孔を設け、前記載置板と前記底面板との間に形成された緩衝空間に、前記載置板と前記底面板とを互いに連結する縦方向の補強板を立設した構成としてある。
【0015】
このような構成によれば、横方向の載置板が縦方向の補強板によって支持されるので、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、載置板の湾曲を抑止することが可能となる。これにより、載置板に載置された瓶の少なくとも下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶を上仕切板及び下仕切板に保持させることができる。この結果、瓶の脱落による破損を効果的に防止することが可能となる。また、載置板に載置された瓶の上端を、例えば、包装箱の上面を形成する蓋によって押さえる構成とすれば、載置板に載置された瓶の上方への位置変動も減少し、この場合は、上仕切板及び下仕切板に過度の湾曲、破れ、剥がれなどが生じない限り、瓶の脱落を確実に防止することができる。
【0016】
特に、補強板によって底面板に連結された載置板は、包装箱が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱が底面から落下した場合でも、複数本の瓶の合計荷重を載置板及び補強板で支えて緩衝空間を維持することができるので、包装箱が底面から落下したときの衝撃吸収性能は、従来の中仕切を大幅に上回る。
【0017】
好ましくは、前記緩衝空間に複数の前記補強板を立設した構成としてもよい。また、より好ましくは、少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記前面板及び後面板と略平行に延びる構成、又は、少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記包装箱の側面と略平行に延びる構成とする。
【0018】
上記のように、本発明における補強板の数、位置、方向は特に限定されない。但し、補強板の数が増大するほど、中仕切の組立工数も増えるので、補強板は、最も効果的な位置及び方向に設け、必要な強度を得るための最低限の数とすることが好ましい。例えば、直方体の包装箱の長手方向に沿って複数本の瓶を2行に整列配置する構成の中仕切ならば、緩衝空間の長手方向の中心線に沿って、少なくとも一つの補強部を設けた構成とする。
【0019】
好ましくは、前記補強板及びその糊代を前記底面板から切り起こして形成するとともに、前記糊代を前記載置板の裏面に接着した構成とする。このような構成によれば、底面板を部分的に切り起こし、載置板に接着するだけで容易に補強板を形成することができる。
【0020】
好ましくは、前記上仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した構成とし、さらに、前記上仕切板のフラップ板に加えて、前記下仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した構成としてもよい。
【0021】
このような構成によれば、包装箱の側面側に位置する上仕切板の二辺、又は上仕切板及び下仕切板の各二辺を、縦方向のフラップ板により補強することができ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、上仕切板及び下仕切板の縦方向の湾曲を抑止することが可能となる。特に、包装箱が側面から落下した場合の衝撃を受けても、上仕切板及び下仕切板が容易に湾曲しない耐久性を備え、上仕切板及び下仕切板の破れ、剥がれを防止することができる。そして、補強板による載置板の湾曲抑止と、フラップ板による上仕切板及び下仕切板の湾曲抑止とが相俟って、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、瓶を確実に保持して破損を効果的に防止することが可能な中仕切が実現する。
【0022】
好ましくは、前記フラップ板を、前記底面板の位置まで延長した構成とする。このような構成によれば、包装箱が側面から落下した場合に、フラップ板が上記の補強効果を発揮するとともに、包装箱が底面から落下した場合に、底面板まで達するフラップ板が、衝撃に抗して上仕切板、下仕切板、載置板の湾曲を抑止する。
【0023】
好ましくは、前記上支持孔及び下支持孔を、共に前記瓶の外形よりも若干大きい同一形状とするとともに、上支持孔を下支持孔より小さくした構成とする。
【0024】
このような構成により、上支持孔を下支持穴よりも小さくすることで瓶のぐらつきを防止することが可能となり、小さな上支持孔が瓶の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、より大きな下支持孔への挿入が極めて容易となる。この結果、瓶の脱落防止と箱入れ作業効率とを共に向上させることができる。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明の包装箱は、上述した本発明の中仕切を備えた構成としてある。このような構成によれば、上記と同様に、仕切板及び載置板の湾曲を抑止して衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下したいずれの場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱によれば、仕切板及び載置板の湾曲を抑止することによって落下時の衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る中仕切を備えた包装箱の実施形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る中仕切を備えた包装箱を示す斜視図である。図2(a)は上記中仕切の短手方向の断面図、図2(b)は同図(a)のP−P線断面図である。図3は上記中仕切の展開図である。
【0028】
<全体構造>
まず、本実施形態の中仕切1の全体構造について説明する。図1及び図2に示す略直方体の中仕切1は、図3に示す形状に打ち抜いた板紙を折り畳んで組み立てられている。中仕切1は、包装箱2内に収納されて10本の瓶3,3,3…を互いに離間させた状態で保持する。
【0029】
図1及び図2(a),(b)において、中仕切1は、包装箱2の平面形状に対応する長方形の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設した構成となっている。これら上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13の互いに対向する二つの長辺は、包装箱2の正面21及び背面22に対応する前面板14及び後面板15にそれぞれ連成又は接着してある。
【0030】
上仕切板10には、その長手方向を基準として2行5列の上支持孔10a,10a,10a…が穿設してあり、下仕切板11には、各上支持孔10aと同心の下支持孔11a,11a,11a…が穿設してある。上下一対の上支持孔10a及び下支持孔11aに瓶3を挿入すると、この瓶3の底部が載置板12上に載置されるとともに、瓶3の胴部2箇所が上支持孔10a及び下支持孔11aの縁部に支持される。
【0031】
<<補強板>>
図2(a),(b)において、瓶3が載置される載置板12と、底面板13との間には緩衝空間Sが形成されている。本実施形態の中仕切1は、緩衝空間Sの長手方向の中心線に沿って、縦方向の補強板16を立設した構成となっている。この補強板16は、図3に示すように、底面板13の中央に略コ字状の切込みCを入れて板紙を立ち上げたものである。補強板16は、これに連成した糊代A4を載置板12の裏面に接着することによって、載置板12と底面板13とを互いに連結している。
【0032】
底面板13が四角形の場合、補強板16の長さは、これと平行な底面板13の辺の2/3程度とすることができる。例えば、本実施形態のように、長方形の底面板13の長手方向に補強板16を設ける場合、補強板16の長さは、底面板13の長辺の2/3程度とする。また、本実施形態と異なり、長方形の底面板13の短手方向に補強板16を設ける場合、補強板16の長さは、底面板13の短辺の2/3程度とする。なお、同じ方向に設けた複数の補強板16の合計の長さが、これらと平行な底面板13の辺の長さの2/3程度としてもよい。
【0033】
このような縦方向の補強板16によって横方向の載置板12が支持されるので、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、載置板12の湾曲を抑止することが可能となる。これにより、載置板12に載置された瓶3の下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶3を上仕切板10及び下仕切板11に保持させることができる。
【0034】
特に、補強板16によって底面板13に連結された載置板12は、包装箱2が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶3の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱2が底面から落下した場合でも、複数本の瓶3の合計荷重を載置板12及び補強板16で支えて緩衝空間Sを維持することができるので、包装箱2が底面から落下したときの衝撃吸収性能も良好である。
【0035】
<<フラップ板>>
図1及び図2(b)において、上仕切板10の互いに対向する短辺には、包装箱2の両側面23,24に対応する縦方向のフラップ板17,18がそれぞれ連成してある。これらフラップ板17,18は、上仕切板10の各短辺を補強するものであり、横方向の各短辺に縦方向のフラップ板17,18を連成することによって、各短辺が容易に湾曲しない耐久性を備える。これらフラップ板17,18により、包装箱2が側面23又は24から落下した場合に、上仕切板10の過度の湾曲(図5(b)の符号110参照)を抑止することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、図2(b)に示すように、フラップ板17,18を底面板13に達する長さとしてある。これにより、包装箱2が底面から落下した場合に、底面板13まで達するフラップ板17,18が、衝撃に抗して上仕切板10、下仕切板11、載置板12の湾曲を抑止する。
【0037】
<<各部の寸法について>>
図2(a)に示すように、上述した上支持孔10aの内径L1と、下支持孔11aの内径L2とは、瓶3の挿入を可能とするために、共に瓶3の胴部の直径L3よりも若干大きい外形寸法となっている。これを前提に本実施形態では、上支持孔10aの内径L1を、下支持孔11aの内径L2よりも小さくした構成としてある。
【0038】
上支持孔10aを下支持孔11aよりも小さくすることで、瓶3の胴部上側のクリアランスが微小となり、瓶3のぐらつきを効果的に防止している。また、小さな上支持孔10aが瓶3の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、大きな下支持孔11aへの挿入が極めて容易となる。
【0039】
さらに、瓶3の脱落を防止するためには、図2に示す底面板13から載置板12に載置された瓶3の上端までの高さL4を、図1に示す包装箱2の高さL5とほぼ同じ(L5≒L4)とするか、又はL5とL4の高低差が、図2に示す下仕切板11と底面板13の高低差L6よりも小さくなる(L5−L4<L6)ようにする。L5≒L4とした場合には、包装箱2内に収納した瓶3の上端が、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27に押さえられ、瓶3の脱落が防止される。一方、L5−L4<L6とした場合には、包装箱2内に収納した瓶3の上端と、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27との間にL6より狭い間隔が形成されるが、瓶3の脱落を防止することが可能である。
【0040】
上述したように、瓶3の下方への位置変動は、補強板16によって支持された載置板12によって減少される。これに加えて、瓶3の上方への位置変動が、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27によって減少されるので、落下時の衝撃を受けた場合でも、上仕切板10及び下仕切板11からの瓶3の脱落を確実に防止することが可能となる。
【0041】
<中仕切の展開状態の構成・組立手順>
次に、上述した本実施形態に係る中仕切1の展開状態の構成及び組立手順について、図2(a)及び図3を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、中仕切1の展開状態の構成について、図3を参照しつつ説明する。同図において、中仕切1は、平面状の板紙を図3に示す所定形状に打ち抜き、各部の境界となる折り曲げ線(図中の点線を参照)と、切り欠きCとを設けた構成となっている。
【0043】
図中の四辺が折り曲げ線で画定された部分は上仕切板10であり、この上仕切板10には、上述した上支持孔10aが2行5列で穿設してある。以下、上仕切板10を中心に、中仕切1の展開状態の構成を説明する。
【0044】
上仕切板10の図中右側の長辺には、糊代A1、載置板12、糊代A2、下仕切板11、糊代A3が、この順番で折り曲げ線を境界に連成してある。下仕切板11には、上述した下支持孔11aが2行5列で穿設してある。
【0045】
また、上仕切板10の図中左側の長辺には、前面板14、底面板13、後面板15が、この順番で折り曲げ線を境界に連成してある。底面板13の中心には、略コ字形の切り欠きC及び2本の折り曲げ線によって、補強板16及び糊代A4が連成してある。一方、上仕切板10の図中上下の短辺には、一対の台形状のフラップ板17,18が、折り曲げ線を境界に連成してある。
【0046】
上記のような展開状態の中仕切1の組立手順について、図2及び図3を参照しつつ説明する。これら図面において、まず、上仕切板10の右側に位置する糊代A1を下方向に90°折り曲げる。次いで、糊代A1に隣接にする載置板12を水平方向に90°折り曲げる。次いで、載置板12に隣接する糊代A2を上方向に90°折り曲げる。次いで、糊代A2に隣接する下仕切板11を水平方向に90°折り曲げる。次いで、下仕切板11に隣接する糊代A3を上方向に90°折り曲げて、糊代A1の内面に接着する。これにより、上仕切板10、下仕切板11及び載置板12を上から順に並設し、それぞれの右側の長辺を垂直な糊代A1に連成又は接着した状態までが組み上がる。
【0047】
次いで、上仕切板10の左側に位置する前面板14を下方向に90°折り曲げて、糊代A2の外面に接着する。ここで、前面板14に隣接する底面板13から補強板16及び糊代A4を立ち上げる。すなわち、補強板16を底面板13の内面側へ90°折り曲げるとともに、糊代A4を底面板13に対して90°折り曲げる。次いで、底面板13を水平方向に90°折り曲げて、糊代A4を載置板12の裏面に接着する。その後、底面板13に隣接する後面板15を上方向に90°折り曲げて、糊代A1の外面に接着する。これにより、図1及び図2に示す状態の中仕切1が組み上がる。最後に、上仕切板10の各短辺に連成したフラップ板17,18を下方向に90°折り曲げると、中仕切1の組み立てが完了する。
【0048】
<作用効果>
以上のような本実施形態の中仕切1によれば、横方向の載置板12の中心が、縦方向の補強板16によって支持されるので、この中仕切1を収納した包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、載置板12の湾曲を抑止することが可能となる。すなわち、縦方向の補強板16によって、載置板12に載置された瓶3の下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶3を上仕切板10及び下仕切板11に保持させることができる。この結果、瓶3の脱落による破損を効果的に防止することが可能となる。
【0049】
また、載置板12に載置された瓶3の上端が、包装箱2の上面を塞ぐ蓋25によって押さえるので、載置板12に載置された瓶3の上方への位置変動も減少し、上仕切板10及び下仕切板11に過度の湾曲、破れ、剥がれなどが生じない限り、瓶3の脱落を確実に防止することができる。
【0050】
特に、補強板16によって底面板13に連結された載置板12は、包装箱2が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶3の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱2が底面から落下した場合でも、複数本の瓶3の合計荷重を載置板12及び補強板16で支えて緩衝空間Sを維持することができるので、包装箱2が底面から落下したときの衝撃吸収性能は、従来の中仕切を大幅に上回る。
【0051】
さらに、包装箱2の側面23,24側に位置する上仕切板10の二辺を、縦方向のフラップ板17,18により補強することができ、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、上仕切板10及び下仕切板11の縦方向の湾曲を抑止することが可能となる。特に、包装箱2が側面23,24から落下した場合の衝撃を受けても、上仕切板10が容易に湾曲しない耐久性を備え、上仕切板10の破れ、剥がれを防止することができる。そして、補強板16による載置板12の湾曲抑止と、フラップ板17,18による上仕切板10の湾曲抑止とが相俟って、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、瓶3を確実に保持して破損を効果的に防止することが可能となる。
【0052】
これに加え、上支持孔10aの直径L1を、下支持孔11aの直径よりも小さくすることで瓶3のぐらつきを防止することが可能となる。これと同時に、小さな上支持孔10aが瓶3の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、大きな下支持孔11aへの挿入が極めて容易となる。この結果、瓶3の脱落防止と箱入れ作業効率とを共に向上させることができる。
【0053】
<実施例>
以下、本実施形態に係る中仕切を備えた包装箱の実施例について説明する。この実施例によって、本実施形態の中仕切及び包装箱の落下に対する耐久性を証明する。
【0054】
<<側面落下試験>>
図1及び図2に示す構成の本実施形態の中仕切1を備えた包装箱2と、図5に示す構成の従来の中仕切100を備えた包装箱(図1の包装箱2と同じ)とを、図6及び図7に示す条件の下、図8に示す評価項目をそれぞれ試験した(以下、中仕切を備えた包装箱を「試験体」と呼ぶ)。
【0055】
[試験体条件]
図6は試験体条件を示すものである。同図において、本実施形態に係る試験体の構成は図1〜3と同一であり、従来技術に係る試験体の構成は図5(a)と同一である。両試験体の構成は、補強板及びフラップ板の有無のみの点で相違している。ここで、図8に示す評価項目の「瓶の側面衝突」を試験するために、本実施形態に係る試験体では、図3に示す両フラップ板17,18の内面に感圧紙(図中の点線ハッチングを参照)を配置した。一方、従来技術に係る試験体は、図1に示す包装箱2の両側面23,24の内面に感圧紙(図中の点線及び実線ハッチングを参照)を配置した。
【0056】
[落下試験条件]
図7は落下試験条件を示すものである。同図において、本実施例の側面落下試験では、上記条件の試験体を、図1に示す包装箱2の側面23又は24を下にして、高さ970mmの位置からプラスチックタイルの床に落下させる。本実施形態及び従来技術に係る試験体をそれぞれ3個用意し、1個の試験体につき側面23及び側面24からの2回の落下試験を行い、3個の試験体で合計6回の落下試験を行った。
【0057】
ここで、落下試験条件に採用した落下高さ970mmは、例えば、本試験体のような10バイヤル入りの小箱商品をまとめて出荷するときの輸送箱(段ボール箱など)に適用されるISTA(International Safe Transit Association)の安全認定基準から引用したものである。このISTAの安全認定基準(ISTA 2A 2004 Page 8 of 14「BEFORE YOU BEGIN PROCEDURE 2A」)には、10kg未満のパッケージ製品(上記段ボール箱に相当)に対して落下高さ970mmが定められている。
【0058】
[落下試験結果]
図8に本実施形態の落下試験結果を示す。まず、「瓶の側面衝突」については、本実施形態に係る試験体では、中仕切からの瓶が脱落しておらず、瓶の衝突による感圧紙の圧痕(圧力を受けた箇所の発色)がなかった。一方、従来技術に係る試験体では、中仕切から瓶が脱落しており、脱落した瓶の衝突による感圧紙の圧痕が認められた。次いで、「瓶の破損」については、本実施形態及び従来技術に係る試験体の双方とも、瓶の破損は認められなかった。最後に、「中仕切の状態」については、本実施形態に係る試験体では、中仕切の変形が殆どなかった。一方、従来技術の試験体では、図5(b)に示したように、中仕切が大きく湾曲し、図中点線で囲った端部に破れ、剥がれが認められた。
【0059】
<<加重試験>>
上記の側面落下試験に用いた各中仕切(図6中の「中仕切の構成」を参照)の載置板について、加重に対する強度を試験した。加重試験条件は図9に示すとおりである。「島津小型卓上試験機EZ Test-100N(T-001)」のピストン状の加圧部を100mm/minの速度で、中仕切の載置板における短辺中央の部分(図2(b)の点線で囲った部分を参照)に衝突させ、中仕切の載置板が、どの程度の加重を受けて湾曲するのか試験した。
【0060】
この加重試験結果を図10〜図12の表及びグラフに示す。上記の加重試験によって、本実施形態に係る中仕切の載置板は、0.84〜0.96kgfの加重を受けて湾曲するのに対し、従来技術に係る中仕切の載置板は、0.39〜0.44kgfの加重を受けて湾曲することが分かった。この結果、本実施形態に係る中仕切の載置板は、従来技術と比較して約2倍程度の加重に対する強度を有することが認められる。
【0061】
<その他の変更等>
なお、本発明の中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の中仕切における補強板の数、位置、方向は特に限定されるものではなく、図3において、底面板13の長手方向に複数の補強板16を形成した構成としてもよいし、又は図4に示すように、底面板13の短手方向に複数の補強板16を形成した構成としてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、上仕切板10の両短辺にのみフラップ板17,18を連成した構成としたが(図3参照)、図4に示すように、下仕切板11の両短辺にもフラップ板17,18を連成して、下仕切板11に容易に湾曲しない耐久性をもたせてもよい。
【0063】
さらに、上述した本実施形態では、図2(a)に示すように、上支持孔10aの直径L1を下支持孔11aの直径L2よりも小さくすることで、瓶3の脱落防止及び箱入れ作業効率の向上を図ったが、下支持孔11aの直径L2を上支持孔10aの直径L1よりも小さくして、瓶3の底部が下支持孔11aから脱落し難くすることも可能である。
【0064】
これに加え、例えば、図1に示す包装箱2の蓋25の内側に、中仕切1と同様の補強板16、緩衝空間S、及び瓶3の上端に接する当接板(載置板12に相当)からなる緩衝手段を設ければ、包装箱2を蓋25の側(包装箱2の上面)から落下させた場合の瓶3の破損を防止することが可能となる。なお、包装箱2の前面21及び背面22側からの落下については、中仕切1の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及びこれに連結された底面板13が縦向きになって衝撃に抗するので、包装箱2を前面21及び背面22側から落下させた場合に瓶3の破損は生じない。
【0065】
その他、上述した実施形態では、上仕切板10及び下仕切板11に上支持孔10a及び下支持孔11aを2行5列で穿設したが、上支持孔10a及び下支持孔11aの配列は特に限定されるものではない。上支持孔10a及び下支持孔11aが上下で対応するならば、行列の数を本実施形態よりも増減させること、又は行列以外の配置とすることなどの変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る中仕切を備えた包装箱を示す斜視図である。
【図2】同図(a)は上記中仕切の短手方向の断面図、同図(b)は同図(a)のP−P線断面図である。
【図3】上記中仕切の展開状態の構成を示す展開図である。
【図4】上記中仕切の変更例を示す展開図である。
【図5】同図(a)は従来の中仕切の断面図であり、同図(b)は包装箱を側面から落下させた場合の上記中仕切の湾曲状態を示す断面図である。
【図6】本実施例に係る包装箱の側面落下試験の試験体条件を示す表である。
【図7】上記側面落下試験の条件を示す表である。
【図8】上記側面落下試験の結果を示す表である。
【図9】本実施例に係る中仕切の加重試験の条件を示す表である。
【図10】上記加重試験の結果を示す表である。
【図11】本発明に係る中仕切の加重試験の結果を示すグラフである。
【図12】従来技術に係る中仕切の加重試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 中仕切
10 上仕切板
10a 上支持孔
11 下仕切板
11a 下支持孔
12 載置板
13 底面板
14 前面板
15 後面板
16 補強板
17,18 フラップ板
S 緩衝空間
A1〜A4 糊代
2 包装箱
21 正面
22 背面
23,24 側面
25 蓋
26,27 蓋フラップ
3 瓶
【技術分野】
【0001】
本発明は、立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱に関し、特に、包装箱が側面及び底面から落下した場合の瓶の破損を効果的に防止することが可能な中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の分野では、ガラス製のバイヤル瓶などを離間させた状態で包装箱内に収納するために、所定形状に打ち抜いた板紙を立体的に折り畳んだ中仕切が用いられている。この中仕切は、包装箱内に複数本の瓶を離間状態で整列配置させるとともに、輸送中における瓶どうしの接触による破損を防止する役割を果たす。さらに、従来の中仕切には、誤って包装箱を落下させてしまった場合の衝撃を吸収して瓶の破損防止を図ったものがある。
【0003】
例えば、特開平11−35081号公報(特許文献1)では、瓶の胴部を支持する上仕切板及び下仕切板の下方に、瓶の底部が載置される緩衝底板を設けることにより、この緩衝底板と、最も下に位置する底板との間に緩衝空間を形成し、さらに、最も上に位置する前記上仕切板の左右両側に底板に達する舌片を連設した構成の中仕切が提案されている。
【0004】
このような特許文献1の中仕切では、瓶の底部が載置される緩衝底板の下に緩衝空間を形成することで、瓶の底部と包装箱の底面とを離間させ、包装箱が底面から落下した場合の衝撃が、瓶に直接作用しないようにしている。この場合、上仕切板から底板に達する舌片が、落下時の衝撃に抗して緩衝空間を維持するはたらきをする。
【0005】
また、特開平7−300156号公報(特許文献2)では、上記の緩衝空間を瓶収納部の上下に設けた構成の中仕切が提案されている。この中仕切は、瓶収納部の上方に中空筒状の天蓋部(緩衝空間)を設けるとともに、瓶収納部の下方に突起部を設けて、包装箱の底面との間に緩衝空間を形成した構成となっている。このような特許文献2の中仕切では、包装箱が底面から落下した場合の衝撃を上下の緩衝空間で緩和している。
【0006】
さらに、特開平2003−292031号公報(特許文献3)では、上記の緩衝空間よりも簡単な構成によって、瓶の底部と包装箱の底面とを離間させた中仕切が提案されている。この中仕切は、瓶の収納部を形成する横方向の上面板と底面板との間に、縦方向の支持板を立設し、上面板には、瓶の胴部を支持する挿入穴を設けるとともに、支持板には、前記挿入穴の領域内に位置する馬蹄形状穴を設けた構成となっている。
【0007】
このような特許文献3の中仕切では、上面板の挿入穴に瓶を挿入すると、瓶の底部が馬蹄形穴の下端縁に支持される。これにより、瓶の底部と包装箱の底面とが離間され、包装箱が底面から落下した場合でも、その衝撃が瓶に直接作用しない。
【特許文献1】特開平11−35081号公報([0019]、図6、図7)
【特許文献2】特開平7−300156号公報([0021]、図1、図5)
【特許文献3】特開2003−292031号公報([0019]、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述した従来の中仕切は、いずれも瓶の底部と包装箱の底面とを離間させることで、包装箱が底面から落下した場合の衝撃を緩和するものであり、包装箱が側面から落下した場合に、瓶の破損を防止することができないという問題があった。
【0009】
すなわち、実際に、薬棚、机上等の載置面に載置した包装箱が床等に落下する場合は、落下する直前まで載置面に面接触していた包装箱の底面から落下することは希であり、多くの場合は、落下する直前に包装箱の向きが変わり、底面以外の面が下向きとなって落下する。このような事実に反し、従来の中仕切は、包装箱が底面から落下した場合のみに着目した構成となっていたために、依然として、包装箱の落下によって瓶が破損してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、従来の中仕切では、包装箱が側面から落下した場合に瓶が破損しやすいことを見出した。本発明者が、図5(a)に示す従来の中仕切100を用いて落下試験を行ったところ、このような中仕切100を用いた包装箱(図示せず)が側面から落下すると、図5(b)に示すように、瓶3を支持する上仕切板110及び下仕切板111、瓶3が載置される載置板112が、床等に衝突したときの衝撃で大きく湾曲してしまうことが分かった(図中の符号110a,111aは瓶3を支持する上支持孔及び下支持孔を示す)。
【0011】
特に、包装箱の側面近傍における上仕切板110、下仕切板111、載置板112が、図5(b)の白抜き矢印で示すように激しく湾曲し、図中の点線で囲んだ箇所に破れ、剥がれを伴う場合もあった。この結果、瓶3が、上仕切板110及び下仕切板111の一方又は双方から脱落してしまい、床等に衝突したときの衝撃や瓶3どうしの衝突によって破損してしまうおそれがある。
【0012】
これに加え、従来の中仕切100では、瓶3の底部が載置される載置板112が湾曲しやすいために、包装箱が底面から落下して床等に衝突したときに、瓶3の荷重で載置板112が下方に向かって強制的に湾曲されてまい、緩衝空間Sを維持することができないという問題もあった。なお、特許文献1のような一対の舌片を設けた場合でも、包装箱の底面が床等に衝突したときの複数本の瓶3の合計荷重を、一対の舌片だけで支えることは到底できない。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、仕切板及び載置板の湾曲を抑止することによって落下時の衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能な中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の中仕切は、立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切であって、全体が一枚の板紙からなり、前記包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、前記上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板の互いに対向する二辺を、前記包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板及び後面板にそれぞれ連成又は接着し、前記上仕切板及び下仕切板に、前記瓶の胴部を支持する複数の上支持孔及び下支持孔を設け、前記載置板と前記底面板との間に形成された緩衝空間に、前記載置板と前記底面板とを互いに連結する縦方向の補強板を立設した構成としてある。
【0015】
このような構成によれば、横方向の載置板が縦方向の補強板によって支持されるので、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、載置板の湾曲を抑止することが可能となる。これにより、載置板に載置された瓶の少なくとも下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶を上仕切板及び下仕切板に保持させることができる。この結果、瓶の脱落による破損を効果的に防止することが可能となる。また、載置板に載置された瓶の上端を、例えば、包装箱の上面を形成する蓋によって押さえる構成とすれば、載置板に載置された瓶の上方への位置変動も減少し、この場合は、上仕切板及び下仕切板に過度の湾曲、破れ、剥がれなどが生じない限り、瓶の脱落を確実に防止することができる。
【0016】
特に、補強板によって底面板に連結された載置板は、包装箱が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱が底面から落下した場合でも、複数本の瓶の合計荷重を載置板及び補強板で支えて緩衝空間を維持することができるので、包装箱が底面から落下したときの衝撃吸収性能は、従来の中仕切を大幅に上回る。
【0017】
好ましくは、前記緩衝空間に複数の前記補強板を立設した構成としてもよい。また、より好ましくは、少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記前面板及び後面板と略平行に延びる構成、又は、少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記包装箱の側面と略平行に延びる構成とする。
【0018】
上記のように、本発明における補強板の数、位置、方向は特に限定されない。但し、補強板の数が増大するほど、中仕切の組立工数も増えるので、補強板は、最も効果的な位置及び方向に設け、必要な強度を得るための最低限の数とすることが好ましい。例えば、直方体の包装箱の長手方向に沿って複数本の瓶を2行に整列配置する構成の中仕切ならば、緩衝空間の長手方向の中心線に沿って、少なくとも一つの補強部を設けた構成とする。
【0019】
好ましくは、前記補強板及びその糊代を前記底面板から切り起こして形成するとともに、前記糊代を前記載置板の裏面に接着した構成とする。このような構成によれば、底面板を部分的に切り起こし、載置板に接着するだけで容易に補強板を形成することができる。
【0020】
好ましくは、前記上仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した構成とし、さらに、前記上仕切板のフラップ板に加えて、前記下仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した構成としてもよい。
【0021】
このような構成によれば、包装箱の側面側に位置する上仕切板の二辺、又は上仕切板及び下仕切板の各二辺を、縦方向のフラップ板により補強することができ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、上仕切板及び下仕切板の縦方向の湾曲を抑止することが可能となる。特に、包装箱が側面から落下した場合の衝撃を受けても、上仕切板及び下仕切板が容易に湾曲しない耐久性を備え、上仕切板及び下仕切板の破れ、剥がれを防止することができる。そして、補強板による載置板の湾曲抑止と、フラップ板による上仕切板及び下仕切板の湾曲抑止とが相俟って、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも、瓶を確実に保持して破損を効果的に防止することが可能な中仕切が実現する。
【0022】
好ましくは、前記フラップ板を、前記底面板の位置まで延長した構成とする。このような構成によれば、包装箱が側面から落下した場合に、フラップ板が上記の補強効果を発揮するとともに、包装箱が底面から落下した場合に、底面板まで達するフラップ板が、衝撃に抗して上仕切板、下仕切板、載置板の湾曲を抑止する。
【0023】
好ましくは、前記上支持孔及び下支持孔を、共に前記瓶の外形よりも若干大きい同一形状とするとともに、上支持孔を下支持孔より小さくした構成とする。
【0024】
このような構成により、上支持孔を下支持穴よりも小さくすることで瓶のぐらつきを防止することが可能となり、小さな上支持孔が瓶の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、より大きな下支持孔への挿入が極めて容易となる。この結果、瓶の脱落防止と箱入れ作業効率とを共に向上させることができる。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明の包装箱は、上述した本発明の中仕切を備えた構成としてある。このような構成によれば、上記と同様に、仕切板及び載置板の湾曲を抑止して衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下したいずれの場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱によれば、仕切板及び載置板の湾曲を抑止することによって落下時の衝撃に対する瓶の保持性能を向上させ、包装箱が側面及び底面から落下した場合でも瓶の破損を効果的に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る中仕切を備えた包装箱の実施形態について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る中仕切を備えた包装箱を示す斜視図である。図2(a)は上記中仕切の短手方向の断面図、図2(b)は同図(a)のP−P線断面図である。図3は上記中仕切の展開図である。
【0028】
<全体構造>
まず、本実施形態の中仕切1の全体構造について説明する。図1及び図2に示す略直方体の中仕切1は、図3に示す形状に打ち抜いた板紙を折り畳んで組み立てられている。中仕切1は、包装箱2内に収納されて10本の瓶3,3,3…を互いに離間させた状態で保持する。
【0029】
図1及び図2(a),(b)において、中仕切1は、包装箱2の平面形状に対応する長方形の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設した構成となっている。これら上仕切板10、下仕切板11、載置板12及び底面板13の互いに対向する二つの長辺は、包装箱2の正面21及び背面22に対応する前面板14及び後面板15にそれぞれ連成又は接着してある。
【0030】
上仕切板10には、その長手方向を基準として2行5列の上支持孔10a,10a,10a…が穿設してあり、下仕切板11には、各上支持孔10aと同心の下支持孔11a,11a,11a…が穿設してある。上下一対の上支持孔10a及び下支持孔11aに瓶3を挿入すると、この瓶3の底部が載置板12上に載置されるとともに、瓶3の胴部2箇所が上支持孔10a及び下支持孔11aの縁部に支持される。
【0031】
<<補強板>>
図2(a),(b)において、瓶3が載置される載置板12と、底面板13との間には緩衝空間Sが形成されている。本実施形態の中仕切1は、緩衝空間Sの長手方向の中心線に沿って、縦方向の補強板16を立設した構成となっている。この補強板16は、図3に示すように、底面板13の中央に略コ字状の切込みCを入れて板紙を立ち上げたものである。補強板16は、これに連成した糊代A4を載置板12の裏面に接着することによって、載置板12と底面板13とを互いに連結している。
【0032】
底面板13が四角形の場合、補強板16の長さは、これと平行な底面板13の辺の2/3程度とすることができる。例えば、本実施形態のように、長方形の底面板13の長手方向に補強板16を設ける場合、補強板16の長さは、底面板13の長辺の2/3程度とする。また、本実施形態と異なり、長方形の底面板13の短手方向に補強板16を設ける場合、補強板16の長さは、底面板13の短辺の2/3程度とする。なお、同じ方向に設けた複数の補強板16の合計の長さが、これらと平行な底面板13の辺の長さの2/3程度としてもよい。
【0033】
このような縦方向の補強板16によって横方向の載置板12が支持されるので、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、載置板12の湾曲を抑止することが可能となる。これにより、載置板12に載置された瓶3の下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶3を上仕切板10及び下仕切板11に保持させることができる。
【0034】
特に、補強板16によって底面板13に連結された載置板12は、包装箱2が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶3の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱2が底面から落下した場合でも、複数本の瓶3の合計荷重を載置板12及び補強板16で支えて緩衝空間Sを維持することができるので、包装箱2が底面から落下したときの衝撃吸収性能も良好である。
【0035】
<<フラップ板>>
図1及び図2(b)において、上仕切板10の互いに対向する短辺には、包装箱2の両側面23,24に対応する縦方向のフラップ板17,18がそれぞれ連成してある。これらフラップ板17,18は、上仕切板10の各短辺を補強するものであり、横方向の各短辺に縦方向のフラップ板17,18を連成することによって、各短辺が容易に湾曲しない耐久性を備える。これらフラップ板17,18により、包装箱2が側面23又は24から落下した場合に、上仕切板10の過度の湾曲(図5(b)の符号110参照)を抑止することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、図2(b)に示すように、フラップ板17,18を底面板13に達する長さとしてある。これにより、包装箱2が底面から落下した場合に、底面板13まで達するフラップ板17,18が、衝撃に抗して上仕切板10、下仕切板11、載置板12の湾曲を抑止する。
【0037】
<<各部の寸法について>>
図2(a)に示すように、上述した上支持孔10aの内径L1と、下支持孔11aの内径L2とは、瓶3の挿入を可能とするために、共に瓶3の胴部の直径L3よりも若干大きい外形寸法となっている。これを前提に本実施形態では、上支持孔10aの内径L1を、下支持孔11aの内径L2よりも小さくした構成としてある。
【0038】
上支持孔10aを下支持孔11aよりも小さくすることで、瓶3の胴部上側のクリアランスが微小となり、瓶3のぐらつきを効果的に防止している。また、小さな上支持孔10aが瓶3の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、大きな下支持孔11aへの挿入が極めて容易となる。
【0039】
さらに、瓶3の脱落を防止するためには、図2に示す底面板13から載置板12に載置された瓶3の上端までの高さL4を、図1に示す包装箱2の高さL5とほぼ同じ(L5≒L4)とするか、又はL5とL4の高低差が、図2に示す下仕切板11と底面板13の高低差L6よりも小さくなる(L5−L4<L6)ようにする。L5≒L4とした場合には、包装箱2内に収納した瓶3の上端が、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27に押さえられ、瓶3の脱落が防止される。一方、L5−L4<L6とした場合には、包装箱2内に収納した瓶3の上端と、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27との間にL6より狭い間隔が形成されるが、瓶3の脱落を防止することが可能である。
【0040】
上述したように、瓶3の下方への位置変動は、補強板16によって支持された載置板12によって減少される。これに加えて、瓶3の上方への位置変動が、包装箱2の蓋25又は蓋フラップ26,27によって減少されるので、落下時の衝撃を受けた場合でも、上仕切板10及び下仕切板11からの瓶3の脱落を確実に防止することが可能となる。
【0041】
<中仕切の展開状態の構成・組立手順>
次に、上述した本実施形態に係る中仕切1の展開状態の構成及び組立手順について、図2(a)及び図3を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、中仕切1の展開状態の構成について、図3を参照しつつ説明する。同図において、中仕切1は、平面状の板紙を図3に示す所定形状に打ち抜き、各部の境界となる折り曲げ線(図中の点線を参照)と、切り欠きCとを設けた構成となっている。
【0043】
図中の四辺が折り曲げ線で画定された部分は上仕切板10であり、この上仕切板10には、上述した上支持孔10aが2行5列で穿設してある。以下、上仕切板10を中心に、中仕切1の展開状態の構成を説明する。
【0044】
上仕切板10の図中右側の長辺には、糊代A1、載置板12、糊代A2、下仕切板11、糊代A3が、この順番で折り曲げ線を境界に連成してある。下仕切板11には、上述した下支持孔11aが2行5列で穿設してある。
【0045】
また、上仕切板10の図中左側の長辺には、前面板14、底面板13、後面板15が、この順番で折り曲げ線を境界に連成してある。底面板13の中心には、略コ字形の切り欠きC及び2本の折り曲げ線によって、補強板16及び糊代A4が連成してある。一方、上仕切板10の図中上下の短辺には、一対の台形状のフラップ板17,18が、折り曲げ線を境界に連成してある。
【0046】
上記のような展開状態の中仕切1の組立手順について、図2及び図3を参照しつつ説明する。これら図面において、まず、上仕切板10の右側に位置する糊代A1を下方向に90°折り曲げる。次いで、糊代A1に隣接にする載置板12を水平方向に90°折り曲げる。次いで、載置板12に隣接する糊代A2を上方向に90°折り曲げる。次いで、糊代A2に隣接する下仕切板11を水平方向に90°折り曲げる。次いで、下仕切板11に隣接する糊代A3を上方向に90°折り曲げて、糊代A1の内面に接着する。これにより、上仕切板10、下仕切板11及び載置板12を上から順に並設し、それぞれの右側の長辺を垂直な糊代A1に連成又は接着した状態までが組み上がる。
【0047】
次いで、上仕切板10の左側に位置する前面板14を下方向に90°折り曲げて、糊代A2の外面に接着する。ここで、前面板14に隣接する底面板13から補強板16及び糊代A4を立ち上げる。すなわち、補強板16を底面板13の内面側へ90°折り曲げるとともに、糊代A4を底面板13に対して90°折り曲げる。次いで、底面板13を水平方向に90°折り曲げて、糊代A4を載置板12の裏面に接着する。その後、底面板13に隣接する後面板15を上方向に90°折り曲げて、糊代A1の外面に接着する。これにより、図1及び図2に示す状態の中仕切1が組み上がる。最後に、上仕切板10の各短辺に連成したフラップ板17,18を下方向に90°折り曲げると、中仕切1の組み立てが完了する。
【0048】
<作用効果>
以上のような本実施形態の中仕切1によれば、横方向の載置板12の中心が、縦方向の補強板16によって支持されるので、この中仕切1を収納した包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、載置板12の湾曲を抑止することが可能となる。すなわち、縦方向の補強板16によって、載置板12に載置された瓶3の下方への位置変動が減少し、落下時の衝撃に抗して、瓶3を上仕切板10及び下仕切板11に保持させることができる。この結果、瓶3の脱落による破損を効果的に防止することが可能となる。
【0049】
また、載置板12に載置された瓶3の上端が、包装箱2の上面を塞ぐ蓋25によって押さえるので、載置板12に載置された瓶3の上方への位置変動も減少し、上仕切板10及び下仕切板11に過度の湾曲、破れ、剥がれなどが生じない限り、瓶3の脱落を確実に防止することができる。
【0050】
特に、補強板16によって底面板13に連結された載置板12は、包装箱2が側面から落下した場合でも、衝撃に抗して容易に湾曲しない耐久性を備え、瓶3の脱落による破損を防止することが可能となる。また、包装箱2が底面から落下した場合でも、複数本の瓶3の合計荷重を載置板12及び補強板16で支えて緩衝空間Sを維持することができるので、包装箱2が底面から落下したときの衝撃吸収性能は、従来の中仕切を大幅に上回る。
【0051】
さらに、包装箱2の側面23,24側に位置する上仕切板10の二辺を、縦方向のフラップ板17,18により補強することができ、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、上仕切板10及び下仕切板11の縦方向の湾曲を抑止することが可能となる。特に、包装箱2が側面23,24から落下した場合の衝撃を受けても、上仕切板10が容易に湾曲しない耐久性を備え、上仕切板10の破れ、剥がれを防止することができる。そして、補強板16による載置板12の湾曲抑止と、フラップ板17,18による上仕切板10の湾曲抑止とが相俟って、包装箱2が側面23,24及び底面から落下した場合でも、瓶3を確実に保持して破損を効果的に防止することが可能となる。
【0052】
これに加え、上支持孔10aの直径L1を、下支持孔11aの直径よりも小さくすることで瓶3のぐらつきを防止することが可能となる。これと同時に、小さな上支持孔10aが瓶3の中心を位置決めするガイドの役割を果たし、大きな下支持孔11aへの挿入が極めて容易となる。この結果、瓶3の脱落防止と箱入れ作業効率とを共に向上させることができる。
【0053】
<実施例>
以下、本実施形態に係る中仕切を備えた包装箱の実施例について説明する。この実施例によって、本実施形態の中仕切及び包装箱の落下に対する耐久性を証明する。
【0054】
<<側面落下試験>>
図1及び図2に示す構成の本実施形態の中仕切1を備えた包装箱2と、図5に示す構成の従来の中仕切100を備えた包装箱(図1の包装箱2と同じ)とを、図6及び図7に示す条件の下、図8に示す評価項目をそれぞれ試験した(以下、中仕切を備えた包装箱を「試験体」と呼ぶ)。
【0055】
[試験体条件]
図6は試験体条件を示すものである。同図において、本実施形態に係る試験体の構成は図1〜3と同一であり、従来技術に係る試験体の構成は図5(a)と同一である。両試験体の構成は、補強板及びフラップ板の有無のみの点で相違している。ここで、図8に示す評価項目の「瓶の側面衝突」を試験するために、本実施形態に係る試験体では、図3に示す両フラップ板17,18の内面に感圧紙(図中の点線ハッチングを参照)を配置した。一方、従来技術に係る試験体は、図1に示す包装箱2の両側面23,24の内面に感圧紙(図中の点線及び実線ハッチングを参照)を配置した。
【0056】
[落下試験条件]
図7は落下試験条件を示すものである。同図において、本実施例の側面落下試験では、上記条件の試験体を、図1に示す包装箱2の側面23又は24を下にして、高さ970mmの位置からプラスチックタイルの床に落下させる。本実施形態及び従来技術に係る試験体をそれぞれ3個用意し、1個の試験体につき側面23及び側面24からの2回の落下試験を行い、3個の試験体で合計6回の落下試験を行った。
【0057】
ここで、落下試験条件に採用した落下高さ970mmは、例えば、本試験体のような10バイヤル入りの小箱商品をまとめて出荷するときの輸送箱(段ボール箱など)に適用されるISTA(International Safe Transit Association)の安全認定基準から引用したものである。このISTAの安全認定基準(ISTA 2A 2004 Page 8 of 14「BEFORE YOU BEGIN PROCEDURE 2A」)には、10kg未満のパッケージ製品(上記段ボール箱に相当)に対して落下高さ970mmが定められている。
【0058】
[落下試験結果]
図8に本実施形態の落下試験結果を示す。まず、「瓶の側面衝突」については、本実施形態に係る試験体では、中仕切からの瓶が脱落しておらず、瓶の衝突による感圧紙の圧痕(圧力を受けた箇所の発色)がなかった。一方、従来技術に係る試験体では、中仕切から瓶が脱落しており、脱落した瓶の衝突による感圧紙の圧痕が認められた。次いで、「瓶の破損」については、本実施形態及び従来技術に係る試験体の双方とも、瓶の破損は認められなかった。最後に、「中仕切の状態」については、本実施形態に係る試験体では、中仕切の変形が殆どなかった。一方、従来技術の試験体では、図5(b)に示したように、中仕切が大きく湾曲し、図中点線で囲った端部に破れ、剥がれが認められた。
【0059】
<<加重試験>>
上記の側面落下試験に用いた各中仕切(図6中の「中仕切の構成」を参照)の載置板について、加重に対する強度を試験した。加重試験条件は図9に示すとおりである。「島津小型卓上試験機EZ Test-100N(T-001)」のピストン状の加圧部を100mm/minの速度で、中仕切の載置板における短辺中央の部分(図2(b)の点線で囲った部分を参照)に衝突させ、中仕切の載置板が、どの程度の加重を受けて湾曲するのか試験した。
【0060】
この加重試験結果を図10〜図12の表及びグラフに示す。上記の加重試験によって、本実施形態に係る中仕切の載置板は、0.84〜0.96kgfの加重を受けて湾曲するのに対し、従来技術に係る中仕切の載置板は、0.39〜0.44kgfの加重を受けて湾曲することが分かった。この結果、本実施形態に係る中仕切の載置板は、従来技術と比較して約2倍程度の加重に対する強度を有することが認められる。
【0061】
<その他の変更等>
なお、本発明の中仕切、及びこの中仕切を備えた包装箱は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の中仕切における補強板の数、位置、方向は特に限定されるものではなく、図3において、底面板13の長手方向に複数の補強板16を形成した構成としてもよいし、又は図4に示すように、底面板13の短手方向に複数の補強板16を形成した構成としてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、上仕切板10の両短辺にのみフラップ板17,18を連成した構成としたが(図3参照)、図4に示すように、下仕切板11の両短辺にもフラップ板17,18を連成して、下仕切板11に容易に湾曲しない耐久性をもたせてもよい。
【0063】
さらに、上述した本実施形態では、図2(a)に示すように、上支持孔10aの直径L1を下支持孔11aの直径L2よりも小さくすることで、瓶3の脱落防止及び箱入れ作業効率の向上を図ったが、下支持孔11aの直径L2を上支持孔10aの直径L1よりも小さくして、瓶3の底部が下支持孔11aから脱落し難くすることも可能である。
【0064】
これに加え、例えば、図1に示す包装箱2の蓋25の内側に、中仕切1と同様の補強板16、緩衝空間S、及び瓶3の上端に接する当接板(載置板12に相当)からなる緩衝手段を設ければ、包装箱2を蓋25の側(包装箱2の上面)から落下させた場合の瓶3の破損を防止することが可能となる。なお、包装箱2の前面21及び背面22側からの落下については、中仕切1の上仕切板10、下仕切板11、載置板12及びこれに連結された底面板13が縦向きになって衝撃に抗するので、包装箱2を前面21及び背面22側から落下させた場合に瓶3の破損は生じない。
【0065】
その他、上述した実施形態では、上仕切板10及び下仕切板11に上支持孔10a及び下支持孔11aを2行5列で穿設したが、上支持孔10a及び下支持孔11aの配列は特に限定されるものではない。上支持孔10a及び下支持孔11aが上下で対応するならば、行列の数を本実施形態よりも増減させること、又は行列以外の配置とすることなどの変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る中仕切を備えた包装箱を示す斜視図である。
【図2】同図(a)は上記中仕切の短手方向の断面図、同図(b)は同図(a)のP−P線断面図である。
【図3】上記中仕切の展開状態の構成を示す展開図である。
【図4】上記中仕切の変更例を示す展開図である。
【図5】同図(a)は従来の中仕切の断面図であり、同図(b)は包装箱を側面から落下させた場合の上記中仕切の湾曲状態を示す断面図である。
【図6】本実施例に係る包装箱の側面落下試験の試験体条件を示す表である。
【図7】上記側面落下試験の条件を示す表である。
【図8】上記側面落下試験の結果を示す表である。
【図9】本実施例に係る中仕切の加重試験の条件を示す表である。
【図10】上記加重試験の結果を示す表である。
【図11】本発明に係る中仕切の加重試験の結果を示すグラフである。
【図12】従来技術に係る中仕切の加重試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 中仕切
10 上仕切板
10a 上支持孔
11 下仕切板
11a 下支持孔
12 載置板
13 底面板
14 前面板
15 後面板
16 補強板
17,18 フラップ板
S 緩衝空間
A1〜A4 糊代
2 包装箱
21 正面
22 背面
23,24 側面
25 蓋
26,27 蓋フラップ
3 瓶
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切であって、
全体が一枚の板紙からなり、
前記包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、
前記上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板の互いに対向する二辺を、前記包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板及び後面板にそれぞれ連成又は接着し、
前記上仕切板及び下仕切板に、前記瓶の胴部を支持する複数の上支持孔及び下支持孔を設け、
前記載置板と前記底面板との間に形成された緩衝空間に、前記載置板と前記底面板とを互いに連結する縦方向の補強板を立設したことを特徴とする中仕切。
【請求項2】
前記緩衝空間に複数の前記補強板を立設した請求項1に記載の中仕切。
【請求項3】
少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記前面板及び後面板と略平行に延びる請求項1又は2に記載の中仕切。
【請求項4】
少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記包装箱の側面と略平行に延びる請求項1〜3のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項5】
前記補強板及びその糊代を前記底面板から切り起こして形成するとともに、前記糊代を前記載置板の裏面に接着した請求項1〜4のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項6】
前記上仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項7】
前記下仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した請求項6に記載の中仕切。
【請求項8】
前記フラップ板を、前記底面板の位置まで延長した請求項6又は7に記載の中仕切。
【請求項9】
前記上支持孔及び下支持孔を、共に前記瓶の外形よりも若干大きい同一形状とするとともに、上支持孔を下支持孔より小さくした請求項1〜8のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の中仕切を備えたことを特徴とする包装箱。
【請求項1】
立方体又は直方体の包装箱内に、複数本の瓶を互いに離間させた状態で収納するための中仕切であって、
全体が一枚の板紙からなり、
前記包装箱の平面形状に対応する外形の横方向の上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板を、互いに所定の間隔を開けて上から順に並設し、
前記上仕切板、下仕切板、載置板及び底面板の互いに対向する二辺を、前記包装箱の正面及び背面に対応する縦方向の前面板及び後面板にそれぞれ連成又は接着し、
前記上仕切板及び下仕切板に、前記瓶の胴部を支持する複数の上支持孔及び下支持孔を設け、
前記載置板と前記底面板との間に形成された緩衝空間に、前記載置板と前記底面板とを互いに連結する縦方向の補強板を立設したことを特徴とする中仕切。
【請求項2】
前記緩衝空間に複数の前記補強板を立設した請求項1に記載の中仕切。
【請求項3】
少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記前面板及び後面板と略平行に延びる請求項1又は2に記載の中仕切。
【請求項4】
少なくとも一つの前記補強板が、前記緩衝空間の略中心を通って、前記包装箱の側面と略平行に延びる請求項1〜3のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項5】
前記補強板及びその糊代を前記底面板から切り起こして形成するとともに、前記糊代を前記載置板の裏面に接着した請求項1〜4のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項6】
前記上仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項7】
前記下仕切板の互いに対向する他の二辺に、前記包装箱の側面に対応する縦方向のフラップ板をそれぞれ連成した請求項6に記載の中仕切。
【請求項8】
前記フラップ板を、前記底面板の位置まで延長した請求項6又は7に記載の中仕切。
【請求項9】
前記上支持孔及び下支持孔を、共に前記瓶の外形よりも若干大きい同一形状とするとともに、上支持孔を下支持孔より小さくした請求項1〜8のいずれか1項に記載の中仕切。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の中仕切を備えたことを特徴とする包装箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−298448(P2009−298448A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156207(P2008−156207)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000195524)生化学工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000195524)生化学工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】
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