説明

中和梅果汁の製造法

【課題】カビの発生を抑制でき、飲み口の爽やかな梅果汁の製法を提供する。
【解決手段】梅果汁を60℃〜100℃で加熱した後或いは、梅果実1Kgに対して糖類700g〜1Kgを添加して梅果汁を抽出し、この梅果汁を中和した中和梅果汁の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カビの発生を防止できると共に、酸味が和らげられて、飲み心地を向上させた中和梅果汁の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
完熟直前の青梅を、おろし器、ジュ−サ−のようなスリおろし器を用いスリおろすと、原料となる梅果汁が得られる。この梅果汁について、そのpH値がpH5〜7になるよう、撹拌しながら炭酸水素ナトリュウムを加えると中和梅果汁が得られる。得られたこの梅果汁を60℃〜100℃で加熱して濃縮すると、粘性のある中和梅果汁が得られる、ここで得られた梅果汁は、1週間でカビが発生するために、安定的な保持が困難である。
【0003】
また、完熟梅の種を取り除き裏ごしをした梅果肉を梅果汁に混ぜた梅果肉入り梅果汁についても、〔0002〕と同様な方法で炭酸水素ナトリュウムを混入すると、梅果肉入り中和梅果汁が得られる。このようにして得られた梅果肉入り中和梅果汁も、1週間でカビが発生するために、安定的な保持が困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにして得られる中和梅果汁は、保持中にカビが発生し易く、安定的な保持が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、梅果汁を加熱したあとに、中和することを特徴とする中和梅果汁の製造法である。
また、請求項2の発明は、梅果実に糖類を添加して梅果汁を抽出し、この梅果汁を中和することを特徴とする中和梅果汁の製造法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明で得られる梅果汁は、カビの発生が防止されると共に、酸味が和らげられて飲やすさが向上する
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
請求項1の中和梅果汁の製造をまず説明する。
完熟直前の青梅を、おろし器、ジュ−サ−のようなスリおろし器を用いてスリおろし、原料となる梅果汁を得る。この原料の梅果汁を撹拌しながら加熱して濃縮する。原料の梅果汁を濃縮前の重量に対して20〜30重量%になるまで濃縮することが望ましい。
【0008】
ついで濃縮梅果汁をアルカリ性化合物で中和する。アルカリ性化合物としては、炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩が好ましく使用される。濃縮梅果汁は弱酸性ないし中性になるように中和することが望ましく、一例をあげるとpH値が5〜7になるように中和する。こうして、発明の中和梅果汁が得られる。なお、原料の梅果汁を先に中和し、ついで加熱濃縮すると、カビの発生を効率的に防止することができない。
【0009】
ついで請求項2の中和梅果汁の製造法を説明する。
完熟直前の青梅1kgを容器に仕込み、これに砂糖のような糖類700g〜1Kgを添加して、梅果汁が抽出されるまで放置する。放置時間は原料となる梅果実及び添加する糖類の種類及び量によって異なるが、通常は2〜6ヶ月である。抽出された梅果汁を前項と同様にしてアルカリ性化合物で中和して、本発明の梅果汁を得る。
【0010】
原料の梅果汁としては果汁のみを用いることもできるが、梅果肉を含有する原料の梅果肉入り梅果汁を用いると、梅ジャム、梅ジュ−ス、梅ペ−スト、梅ピュ−レを製造することが出来る。
【実施例】
【0011】
実施例1
完熟直前の青梅をおろし器でスリおろし、おろし梅を濾過した梅果汁を鍋に入れ、弱火で煮立て、よくかき混ぜながら濃縮した。加熱を止めて、pH値メ−タ−で測定しながらpH値が5〜7になるまで炭酸水素ナトリュウムを濃縮梅果汁に加え、中和して中和梅果汁を得た。中和梅果汁を大気に解放した広口容器に入れ、そのまま2〜3月放置してもカビは発生しなかった。また、この中和梅果汁は酸味がなく、爽やかな飲み心地であった。
【0012】
比較例1
おろし梅を濾過した梅果汁をまず炭酸水素ナトリュウムで中和し、ついで濃縮した以外は実施例1と同様にして中和梅果汁を得た。中和梅果汁を広口容器に入れ大気に解放したところ、1週間でカビの発生が見られた。
【0013】
実施例2
完熟梅の種を取り除いて裏ごしをして得られた、梅果肉が混入した梅果肉入り梅果汁に、同量の水を加えた混合液を使用した以外は、実施例1と同様にして梅ピュ−レを製造した。得られた梅ピュ−レも大気に解放した容器内で2〜3月貯蔵したが、カビの発生はしなかった。
【0014】
実施例3
耐酸容器に完熟直前の青梅1Kg及びグラニュ糖1Kgを入れて、3月冷暗所に保管し、抽出された粘性のある梅果汁にpH値が5〜7になるまで炭酸水素ナトリュウムで中和した。この中和梅果汁を大気に解放した広口容器に入れ2〜3月放置してもカビは発生しなかった。また、この中和梅果汁は酸味が少なく爽やかなのみ心地であった。
【産業上の利用可能性】
【0015】
このような製造法で作られた中和梅果汁は、カビが発生せず、また、味についても、酸味が和らげられる。そのため、清涼飲料水、調味料、菓子類、乳製品、その他の食品に添加しても、その食品の持つ本来の味を損なわない。この中和梅果汁は、胸やけなどの、梅を食べた後の不快感を軽減しつつ、エネルギ−代謝を促進する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅果汁を60℃〜100℃にて加熱した後に、アルカリ性化合物を添加して、中和することを特徴とする中和梅果汁の製造法。
【請求項2】
梅果実1Kgに対して、糖類700g〜1Kgを混入して、2ヶ月〜6ヶ月保持すると梅果汁が得られる、この梅果汁にアルカリ性化合物を添加して、中和することを特徴とする中和梅果汁の製造法。

【公開番号】特開2009−189351(P2009−189351A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63320(P2008−63320)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(508076635)
【Fターム(参考)】