説明

中和装置、並びに、燃焼装置

【課題】中和装置に対する給水配管の位置を確定させることができ、配管を安定させることができる中和装置を開発する。
【解決手段】中和装置11は、本体部40と、蓋部41によって構成されている。天面部45には、給水部50と、ドレン導入口51と、4つの電極挿通孔52〜55と、配管位置決め手段61,62が設けられている。配管位置決め手段61,62の先端部分には、管固定部63が設けられている。管固定部63には給水管30が固定される。配管位置決め手段61,62は、配管位置決め手段61が最も高く、次に配管位置決め手段62が高く、給水部50が最も低いので、給水管30は適度の流れ勾配が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを中和する中和装置に関するものである。また、その中和装置を備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーナを燃焼させた際に発生する熱の熱交換効率を向上するべく、燃焼ガスの潜熱までも回収する潜熱回収型の燃焼装置が市場に普及している。この潜熱回収型の燃焼装置は、主に燃焼ガス中の水蒸気が液化する際に発生する熱を回収するものであるため、潜熱回収を行う熱交換器(二次熱交換器)では、多量のドレンが発生する。そして、このドレンは、燃焼時に生成された窒素酸化物が溶け込んで、酸性を呈することが知られている。
【0003】
そのため、この種の燃焼装置は、ドレンを外部に導くドレン排出系統を有し、その流路の中途に酸性のドレンを中和する中和装置が備えられた構成とされている。すなわち、二次熱交換器において発生した酸性のドレンは、その酸性を維持したまま外部に排出されることはなく、中和装置で中和されてから外部に排出されるため、環境に悪影響を及ぼすというおそれはない。
【0004】
ところが、ドレン排出系統と、燃焼ガスの排気流路は連通した関係であるため、本来、燃焼装置の排気筒を介して外部に排出されるべき燃焼ガスが、ドレン排出系統を介して、外部に排出されてしまう懸念があった。特に、屋内設置型の燃焼装置では、ドレン排出系統から燃焼ガスが排出されると、居住空間内である屋内に燃焼ガスが排出されてしまうため、居住者の安全性等の観点からすれば、このような不具合は避けるべき事項の1つであった。
【0005】
そこで、この対策として、中和装置の容器内の燃焼ガスが通過し得る部分を、ドレンで満たして水封構造を形成し、ドレン排出系統を介した燃焼ガスの流通を強制的に阻止する方策が一般的に採用されている。
【0006】
しかしながら、このドレンによる水封構造は、容器内に所定量以上のドレンが貯留されている場合に限られるため、容器内に十分なドレンが貯留されていないとき等には有効に機能しない場合がある。例えば、新規に中和装置を設置した場合や、ドレンの凍結防止あるいはメンテナンスのために人為的に中和装置の容器内のドレンが抜き取られた場合等においては、容器内にそもそもドレンが存在しないため、水封構造は形成されない。また、中和装置の容器内にドレンが存在する場合であっても、何らかの原因によって水位が低下し、水封構造が形成されない場合もあり得る。このように、燃焼に伴って発生するドレンのみに依存する水封構造は、ドレン排出系統において燃焼ガスが通過し得る流路を確保してしまう場合があり、燃焼ガスの流通を有効的に阻止することができなかった。
【0007】
そこで、特許文献1には、確実な水封構造の形成を目的として、容器内のドレンの水位に応じて、強制的に給水される中和装置を備えた燃焼装置の技術が開示されている。すなわち、特許文献1の燃焼装置は、電極によって、中和装置の容器内が基準水位以上であるか否かを監視し、基準水位より水位が低下すれば、容器内に強制的に給水し、容器内の水位を基準水位以上に調整する構成である。特許文献1では、中和装置の容器内に確実に水封構造が形成されるため、燃焼ガスがドレン排出系統を通じて外部に排出されることは起こり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−150576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記した様な強制的に給水する機能を備えた燃焼装置では、容器に給水するための給水配管が必要である。
【0010】
ところで、近年、狭い場所に設置可能な燃焼装置が市場から望まれており、そのような要求に応えるべく小型化された燃焼装置が開発されている。このような燃焼装置では、燃焼装置の内部空間が実質的に狭くなるため、中和装置の設置位置の周辺に広い空間が確保できなくなってしまう。すると、中和装置を燃焼装置内部に取付けるとき、作業者が作業するためのスペースが確保できなくなってしまう。
そのため小型化された燃焼装置では、前記した中和装置に対する給水配管のレイアウト設計に苦慮することとなる。
そのため従来技術においては、中和装置に対する給水配管をチューブやホースで構成し、これらチューブやホースを燃焼装置内部の隙間に押し込んでいるのが現状である。
また銅管等の固形の配管を使用し、当該配管を中ぶらり状態で燃焼装置内部に収納したり、結束具等によって他の配管等に沿わせて設置しているのが現状である。
この様に従来技術の燃焼装置では、給水配管が安定しないという問題がある。
【0011】
そのため工場で燃焼装置を組み立てる際に中和装置を設置する場合や、これに前記した給水配管を接続する場合に、配管が折れ曲がる場合がある。
同様に、メンテナンスを目的として中和装置を取り外したり、中和装置を再度装着したりする場合にも配管が折れ曲がる場合がある。
またメンテナンスを行うために、中和装置の近傍の部材を動かした際、動かした部材等が給水配管に当たり、配管を曲げてしまったり、配管を外してしまう場合もある。
【0012】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、中和装置に対する給水配管の位置を確定させることができ、配管を安定させることができる中和装置及び燃焼装置の開発を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、水又は熱媒体を加熱する燃焼装置に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを中和して排出する中和装置であって、ドレンが貯留される貯留部と、貯留部内にドレンを導入するドレン導入口と、貯留部からドレンを排出するドレン排出口と、貯留部内に水を導入する給水部を有する中和装置において、天面部を有し、当該天面部に前記給水部があり、さらに天面部に配管位置決め手段が一体的に形成されていることを特徴とする中和装置である。
【0014】
本発明の中和装置では、天面部を有し、当該天面部に配管位置決め手段が一体的に形成されている。そのため給水配管を位置決め手段で位置決めすることができ、配管を安定させることができる。
また配管位置決め手段は、天面部に設けられているから、配管を天面部に沿った位置や、天面部の近傍に配置することができる。そのため給水管が他の配管等と干渉することが少ない。
【0015】
請求項2に記載の発明は、配管位置決め手段の位置及び高さは、前記配管位置決め手段で給水管が位置決めされて当該給水管の先端が前記給水部に接続されたとき、前記給水管が給水部に向かって傾斜する姿勢となる位置及び高さであることを特徴とする請求項1に記載の中和装置である。
【0016】
本発明は、給水配管内に水が滞留することを防止することを目的としている。
すなわち寒冷地において、給水配管内に水が滞留すると、給水配管内の水が凍結してしまう場合がある。
すなわち寒冷地においては、中和装置内のドレンの凍結を防ぐ目的から、人為的に中和装置内の水を抜く場合がある。そして人為的に中和装置内の水を抜いた際に、給水配管に水が残っており、給水配管内の水が凍結すると、燃焼装置を起動しようとしたときに、給水配管が氷で詰まって中和装置に注水できず、燃焼装置を使用することができなくなってしまう。
給水配管による通水は、寒冷地において行われる場合が多いので、給水配管内に水が滞留することは避けるべきである。
ここで請求項2に記載の発明によると、配管位置決め手段で給水管が位置決めされた状態で、当該給水管の先端が前記給水部に接続されたとき、前記給水管が給水部に向かって傾斜する姿勢となる。そのため給水配管には、給水部に向かう流れ勾配が付き、配管内に水が滞ることはない。
【0017】
請求項3に記載の発明は、配管位置決め手段は、配管を固定する管固定部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和装置である。
【0018】
本発明の中和装置では、配管位置決め手段自体が、配管を固定する管固定部を備えている。そのため給水配管は、中和装置に固定され、安定する。
【0019】
管固定部は、一部が切れたリング状部を有することが推奨される(請求項4)。
【0020】
また管固定部は、支持しようとする配管の外径と同等またはそれよりも大きい配管配置部と、配管配置部に配管を導入するための配管導入口を有し、前記配管導入口は前記配管の外径よりも狭いことが望ましい(請求項5)
【0021】
本発明によると、配管を強制的に管固定部に固定することができる。また配管導入口は前記配管の外径よりも狭いので、装着された配管が外れにくい。
【0022】
請求項6に記載の発明は、燃料を燃焼する燃焼部と、燃焼部で生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を有し、前記ドレン排出系統の一部を形成する請求項1乃至5のいずれかに記載の中和装置を備え、前記中和装置に給水する給水系統を有し、当該給水系統は、給水弁と、給水配管とを有し、当該給水配管は給水弁と前記中和装置の給水部とを接続するものであり、前記給水配管の中途部分が前記配管位置決め手段で位置決めされていることを特徴とする燃焼装置である。
【0023】
本発明の燃焼装置では、中和装置に対する給水配管が安定し、組み立てやメンテナンスが容易である。また本発明の燃焼装置は、給水配管に関する故障が少ない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の中和装置、並びに、燃焼装置は、中和装置に対する給水配管の位置を確定させることができ、配管を安定させることができる。そのため組み立てやメンテナンスが容易である。また本発明の燃焼装置は、給水配管に関する故障が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る燃焼装置の筐体内部を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る中和装置を示す斜視図である。
【図3】図1の中和装置の分解斜視図である。
【図4】図1の中和装置の蓋部を裏面側から観察した斜視図である。
【図5】図1の中和装置を別の角度から見た斜視図である。
【図6】図1の中和装置の本体部を示す平面図である。
【図7】図1の中和装置の貯留部の断面斜視図である。
【図8】給水系統の全体を示す斜視図である。
【図9】給水配管を装着した状態における中和装置の平面図である。
【図10】給水配管を装着した状態における中和装置の上面部分の正面図である。
【図11】配管位置決め手段の斜視図である。
【図12】(a)(b)(c)は、配管位置決め手段に給水管を装着する際の挙動を時間を追って示す説明図である。
【図13】配管位置決め手段の変形例を示す斜視図である。
【図14】図13の配管位置決め手段に給水配管を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係る燃焼装置1、並びに、中和装置11について説明する。
本実施形態の中和装置11は、燃焼装置1に内蔵されるものである。燃焼装置1は、灯油等の液体燃料を噴霧又は気化させて下方に向けて燃焼させる所謂逆燃式の燃焼部2を備え、その燃焼部2で生成される燃焼ガスの潜熱までも回収可能な潜熱回収型の燃焼装置1であり、本実施形態の中和装置11は、この種の燃焼装置1に好適である。
【0027】
まず、燃焼装置1について説明する。
燃焼装置1は、図1に示すように、筐体3のほぼ中央に燃焼ケース5が配置され、その燃焼ケース5に燃焼部2と、一次熱交換器20と、二次熱交換器25とが内蔵されている。具体的には、燃焼ケース5は、バーナ側ケース4と、高さ方向(上下方向)に長いほぼ直方体状の縦長ケース6と、幅方向(左右方向)に長い横長ケース7とが内部で連通するように連結されて形成されたもので、バーナ側ケース4に燃焼部が配され、縦長ケース6に一次熱交換器20が配され、横長ケース7に二次熱交換器25が配されている。
また、燃焼装置1の筐体3の左側には、燃焼ガスを外部に排気する排気筒10が配されている。具体的には、その排気筒10は、燃焼装置1の筐体3の内外に渡るように配置されると共に、横長ケース7の上部左側に接続された配置である。
【0028】
すなわち、燃焼部2で燃焼ガスが生成されると、その燃焼ガスは、まず、下方に向けて進行し、一次熱交換器20を通過して、二次熱交換器25に流入する。そして、二次熱交換器25に流入した燃焼ガスは、燃焼ガスの流れ方向を下方向から上方向に方向変換し、排気筒10を通過して、外部に排気される。
なお、本実施形態の燃焼装置1は、図示しない送風機を有し、その送風機によって、燃焼に必要な空気が供給され、さらに燃焼部2で生成された燃焼ガスを下方に向けて流している。
【0029】
また、一次熱交換器20と二次熱交換器25は、それぞれ燃焼ガスと熱交換する上水が流れる図示しない受熱管を有し、それらの受熱管と、図示しない入水側配管及び出湯側配管とが、燃焼装置1の筐体3内で一連した流路を形成している。具体的には、上水の流れ方向上流側から、入水側配管、二次熱交換器25、一次熱交換器20、出湯側配管の順に直列的に接続されている。すなわち、燃焼装置1では、入水側配管を通過した上水は、二次熱交換器25を流れた後、一次熱交換器20内を流れることによって、順次熱交換され、その後、出湯側配管を介して給湯先に向けて供給される。
【0030】
また、燃焼ケース5であって、横長ケース7の内部には、二次熱交換器25の潜熱回収時に発生するドレンを回収する回収部(図示しない)が設けられ、当該回収部から燃焼装置1の下部側に向けてドレンを流すドレン排出系統12が接続されている。すなわち、このドレン排出系統12は、横長ケース7よりも筐体3の下方側に位置するもので、中和装置11と、横長ケース7と中和装置11とを繋ぐドレン導入側配管13と、中和装置11で中和されたドレンを外部に導くドレン外部排出配管14とによって構成されている。
また、本実施形態の中和装置11は、装置内の水封構造を確実なものとするべく、
給水源から供給される上水が通過する給水管30が接続されている。
【0031】
すなわち本実施形態の燃焼装置1は、中和装置11に上水を注水する給水系統31を有している。
給水系統31は、図1、図8の様に外部の給水源(図示せず)に接続されて上水を筺体3内部に引き込む主管部32から分配弁33を介して分配された保水パイプ35と、電磁弁(開閉弁)36、及び給水管30によって構成されている。
そして保水パイプ35と給水管30が電磁弁36を介して接続されている。
従って電磁弁36が開かれると、給水管30に通水が生じ、中和装置11に上水が注入される。
本実施形態では、図1の様に電磁弁36は、排気筒10の反対側であって、二次熱交換器25の側面部分に配置されている。
【0032】
続いて、特徴的構成を備えた中和装置11について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、上下左右の位置関係については、特に断りのない限り、図1に示す通常の設置状態を基準として説明する。
本実施形態の中和装置11は、前記したように、装置内の水封構造を確実なものとするべく、給水管30が接続されており、所定の条件が満足すると、図示しない給水源から供給された上水が給水管30を介して導入される構成とされている。
具体的には、中和装置11は、図2に示すように、外観がほぼ「L」字型の容器であり、本体部40と、蓋部41によって構成されている。
ここで本体部40は、ドレン導入側配管13を通過したドレンが一時的に貯留される貯留部15と、給水管30を流れた上水が通過する有底空間16とを有する容器である。蓋部41は、本体部40の上部に着脱可能に設けられるものであり、中和装置11全体の天面部45を構成する。
【0033】
蓋部41は、樹脂製であり、射出成形によって各部材が一体的に成形されたものである。
蓋部41は、図3に示すように、平面視形状がほぼ「L」字型の天面部45と、その天面部45の縁端を囲繞する共に天面部45に対して垂直下方に向けて立設した側面壁46と、本体部40の上部が嵌り込む嵌合溝47(図4)とを有する構成である。
【0034】
天面部45には、給水部50と、ドレン導入口51と、4つの電極挿通孔52〜55が設けられている。
給水部50は、給水管30を通過した上水を本体部40の有底空間16に導入するべく、天面部45の厚み方向に貫通した配管継ぎ手部である。具体的には、給水部50は、天面部45の「L」の張り出し長さが短い側の領域57にある。給水部50は、裏面側の給水口58(図4)に連通している。
給水部50の位置は、天面部45の一方の角部であると言える。
本実施形態では、給水部50に対して、水平方向(天面部45に沿う方向)に延びた補助継ぎ手60が装着されている。そして、その補助継ぎ手60は、内径が、給水管30の外径とほぼ同一のサイズに設定されている。すなわち、給水管30は、補助継ぎ手60の内径側に沿って挿着されて接続される。
【0035】
また天面部45には、配管位置決め手段61,62が射出成形時に一体的に成形されている。配管位置決め手段61,62は、向きと高さが異なるものの、外観形状は同一である。配管位置決め手段61,62は、図11の様に、板壁部86を有し、天面部45から垂直に突出している。また天面部45と板壁部86との間には補強リブ87がある。
また配管位置決め手段61,62の先端部分に管固定部63が設けられている。
管固定部63は、一部に欠落部64を有するリングであり、円状の配管配置部69を有している。配管配置部69の直径は、給水管30の外径よりもやや大きい。
欠落部64は、配管導入口として機能する。配管導入口たる欠落部64の隙間間隔(配管導入口の広さ)は、給水管30の外径よりも狭い。また板壁部86の欠落部64近傍は、一面側が削られた形状をしており、板壁部86の突端部88は傾斜面となっている。
管固定部63の中心の高さHは、後記する様に配管位置決め手段61と配管位置決め手段62とで相違するが、概ね給水配管30の直径の1倍から3倍程度であり、低い。
【0036】
一方の配管位置決め手段61の位置及び向きは、図2,3,5,8,9の通りである。すなわち配管位置決め手段61の蓋部長手方向の位置は、図1、図8の様に、電磁弁36側に寄った位置である。
すなわち配管位置決め手段61の蓋部短手方向の位置は、図2,3,5,8,9の様に、給水部50から離れた側の辺に近い。
配管位置決め手段61の位置は、天面部45の一つの角部であるとも言える。すなわち配管位置決め手段61は、給水部50に対して対角の角にあると言える。
そして配管位置決め手段61の向きは、管固定部63の中心軸線(仮想線)が、蓋部長手方向と平行になっている。
【0037】
もう一つの配管位置決め手段62の位置及び向きは、図2,3,5,8,9の通りである。すなわち配管位置決め手段62の蓋部長手方向の位置は、図2,3,5,8,9の様に、配管位置決め手段61と給水部50の間である。より詳細には、管固定部63の蓋部長手方向の位置は、蓋部41の中心近傍である。
また配管位置決め手段62の蓋部長手方向の位置は、図の様に、配管位置決め手段61と給水部50の間である。より詳細には、配管位置決め手段62の蓋部長手方向の位置は、蓋部41の中心近傍である。
そして配管位置決め手段62の向きは、管固定部63の中心軸線が、蓋部長手方向に対して傾斜した姿勢となっている。
【0038】
次に配管位置決め手段61,62及び給水部50の高さ関係について説明する。前記した三者は、図10の様に配管位置決め手段61,配管位置決め手段62、給水部50の順に高い。すなわち配管位置決め手段61が最も高く、次に配管位置決め手段62が高く、給水部50が最も低い。
より正確には、配管位置決め手段61の管固定部63の中心と、配管位置決め手段62の管固定部63の中心と、給水部50の開口中心は、この順序に高い。言い換えれば、これらの部材に給水管30を接続したと仮定したとき、配管位置決め手段61の位置が最も高く、配管位置決め手段62の位置が次に高く、給水部50の位置が最も低い状態となる。
【0039】
ドレン導入口51は、天面部45の一つの角の位置にある。すなわち、ドレン導入口51は、給水部50と配管位置決め手段61の関係で三角形を形成する位置にある。ドレン導入口51は、ドレン導入側配管13を通過したドレンを、本体部40の貯留部15に導入するべく、天面部45の厚み方向に貫通した配管継ぎ手部である。ドレン導入側配管13は、ドレン導入口51の外径側に沿って、嵌め込むようにして接続される。
【0040】
4つの電極挿通孔52〜55は、図3に示すように、ドレン導入口51に隣接した位置にあり、天面部45の厚み方向に貫通した孔で、後述する電極65〜68を挿通できる程度の大きさに設定されている。
【0041】
ここで、電極挿通孔52〜55に挿通される4つの電極65〜68について説明する。 本実施形態の電極65〜68は、貯留部15内の水位を検出するための公知の水位検出手段である。具体的には、電極65はグランド電極であり、その他の電極66〜68は、それぞれ、オーバーフロー電極、給水制御電極、異常燃焼検知電極である。すなわち、この水位検出手段は、貯留部15内において、グランド電極65と、その他の電極66〜68のいずれかがドレン内に浸かった状態となれば、グランド電極65とその他の電極との間で通電状態となり、貯留部15内の水位がいかなるものであるかを判断することができるものである。
なお、オーバーフロー電極66は、貯留部15内のドレンの水位の異常上昇を検出するもので、給水制御電極67は、ドレン排出系統12内の燃焼ガスの流通を阻止可能な水位が維持できているか否かを検出するもので、異常燃焼検知電極68は、貯留部15内の水位が異常に大きく低下して、ドレン排出系統12内の燃焼ガスの流通を阻止できない水位であることを検出するものである。
以上が、本実施形態で採用された電極65〜68の説明である。
【0042】
嵌合溝47は、天面部45の下面側、つまり側面壁46が立設する側に設けられている。なお、本実施形態では、蓋部41は、嵌合溝47に図示しないパッキンを嵌め込み、その状態で本体部40に取り付ける構成とされている。
【0043】
一方、本体部40は、図3に示すように、上部側が開放された外観がほぼ「L」字型の容器であり、底面と側面を覆う外壁70を有している。そして、本体部40の容器の内部には、貯留部15と有底空間16が設けられている。さらに本体部40の端部には、貯留部15からドレンを排出するドレン排出口80が設けられている。
【0044】
本体部40の貯留部15は、図6、図7に示すように、ドレンを一時的に貯留して中和するラビリンス構造を有した貯留空間であり、主仕切壁71及び補助仕切壁72,73,74によって、複数の部屋に分割されている。すなわち、貯留部15は、主仕切壁71及び補助仕切壁72,73,74によって、ドレン導入室75と、第一中和室76と、第二中和室77に分割されている。また第二中和室77はさらに3室の小部屋77a,77b,77cに分割されている。
【0045】
ドレン導入室75は、蓋部41を本体部40に取り付けた状態において、ドレン導入口51及び電極挿通孔52〜55の直下に位置する部屋であり、貯留部15に導入されたドレンが、最初に入る空間である。具体的には、ドレン導入室75は、図6に示すように、平面視が「L」状の主仕切壁71と、外壁70の内側とで囲まれた、平面視形状がほぼ長方形の部屋である。ドレン導入室75を仕切る主仕切壁71は、蓋部41と接している。
【0046】
第一中和室76は、ドレン導入室75を通過したドレンが、導入されて中和される部屋であり、ドレン導入室75と、主仕切壁71の一辺を隔てて隣接した空間である。第一中和室76には、所定量の中和剤が充填されており、本実施形態では、中和剤として、最小粒径が6mmの炭酸カルシウムが採用されている。
【0047】
そして、第一中和室76とドレン導入室75とは、図7に示すように、主仕切壁71の高さ方向下部側に設けられた、ドレンを下流側に流すための開口(以下、ドレン上流側開口という)78a,78bによって連通している。すなわち、ドレン導入室75に導入されたドレンは、主仕切壁71のの下部側に設けられた2つのドレン上流側開口78a,78bから第一中和室76に流入する。
【0048】
第二中和室77は、第一中和室76で中和されたドレンを、さらに中和して下流側のドレン排出口80から排出する部屋であり、第一中和室76と同様の中和剤が所定量充填されている。
そして、第二中和室77は、第一中和室76と第一補助仕切壁72を隔てて隣接すると共に、ドレン導入室75とは主仕切壁71の一部を隔てて隣接した空間である。
【0049】
そして、第二中和室77と第一中和室76とは、第一補助仕切壁72の高さ方向上方側で連通している。すなわち、第一補助仕切壁72には、切欠き部81が設けられているため、当該切欠き部81で連通している。したがって、第一中和室76に導入されたドレンは、主に第一補助仕切壁72の上部側に設けられた切欠き部81を越えて第二中和室77に流入する。逆に言えば、ドレン導入室75と第一中和室76には常時切欠き部81の高さまでドレンで満ちており、ドレン導入室75と第一中和室76とは、ドレン水中に開口するドレン上流側開口78a,78bでのみ連通するから、当該部分で水封構造を形成する。すなわちドレン導入室75を仕切る主仕切壁71は、蓋部41と接しており、上部側においては、ドレン導入室75と第一中和室76の間で気密性が保たれている。また下部の連通部分(ドレン上流側開口78a,78b)は、常時ドレンで満たされている。そのためドレン導入室75と第一中和室76の間は、気体の通過を許さない。
【0050】
また、第二中和室77内部は、さらに補助仕切壁73,74によって、3室の小部屋77a,77b,77cに分割され、ドレンが蛇行して下流に流れる流路構造とされている。第二中和室77の末端は、ドレン排出口80に繋がっている。
【0051】
有底空間16は、給水源から供給される上水が通過する部屋であり、図3、6に示すように、貯留部15から張り出すように配された空間である。具体的には、有底空間16は、貯留部15の第一中和室76と隣接した位置であると共に、その第一中和室76を挟んで、ドレン導入室75と対向する位置に配されている。そして、有底空間16は、貯留部15との境界近傍に、平面視形状が円弧状の隔壁83が設けられて、有底空間16と貯留部15との境界が決定されている。すなわち、有底空間16は、隔壁83に囲まれたほぼ円形状の空間である。
【0052】
また、隔壁83は、頂部から下方に向けて切り欠いた湯水吐出用のスリット部(以下、湯水用スリットという)85が設けられており、当該湯水用スリット部85を介して、上水が貯留部15側に吐出する構成である。
【0053】
次に、中和装置11における各部分における位置関係について説明する。
中和装置11は、本体部40の上部に蓋部41が装着されている。すなわち、蓋部41の嵌合溝47に、本体部40の開放端(外壁70の突端部)が嵌合し、本体部40の開放側の面が蓋部41によって閉塞されている。
【0054】
またこの状態において、蓋部41に設けられたドレン導入口51及び電極挿通孔52〜55は、ドレン導入室75の直上に位置し、蓋部41における給水部50は、有底空間16の直上に位置する。特に、給水部50は、有底空間16の内部側において、有底空間底面壁17のほぼ真ん中に位置し、有底空間16を形成する側面壁18、底面壁17、隔
壁83に対して、それぞれ一定距離(本実施形態では25mm)以上離された配置とされている。
そして、電極挿通孔52〜55には、各電極65〜68が挿着されている。
【0055】
次に中和装置11の外部配管について説明する。本実施形態では、中和装置11にはドレン導入側配管13と給水管30が接続されている。
すなわち横長ケース7の最下部と、中和装置11のドレン導入口51との間がドレン導入側配管13によって接続されている。
【0056】
また二次熱交換器25の側面部分に配置された電磁弁36と、中和装置11の給水部50との間が給水管30で接続されている。
ここで給水管30は、銅管を曲げ加工して作られたものであり、電磁弁36から立ち下がった立ち下げ部37と、傾斜部38とに分かれている。立ち下げ部37は、急峻な角度で立ち下がった配管であり、傾斜部38は立ち下げ部37よりも緩い角度で傾斜する配管である。
そして傾斜部38の一部が、前記した配管位置決め手段61,62に固定されている。すなわち配管位置決め手段61,62は、天面部45上にあり、いずれも管固定部63を有している。給水管30は、この管固定部63に固定されている。
【0057】
すなわち管固定部63は、一部に欠落部64を有するリングである。そして図12(a)の様に、給水管30を、欠落部64に押しつけると、樹脂の弾性によって欠落部64が開き、給水管30は管固定部63に嵌合する。
また欠落部64は、給水管30の外径よりも狭いので、給水管30は容易には管固定部63から脱落しない。
【0058】
また配管位置決め手段61,62は、天面部45の角部と中央部に設けられ、さらに中央部に設けられた配管位置決め手段62は斜め方向を向いているから、給水管30は、蓋部41の一方の角部の近傍で配管位置決め手段61に固定され、中央部の配管位置決め手段62で斜め方向に支持され、他方の角に設けられた給水部50に導かれる。
さらに配管位置決め手段61,62は、前記した様に配管位置決め手段61が最も高く、次に配管位置決め手段62が高く、給水部50が最も低いので、給水管30は適度の流れ勾配が確保される。
【0059】
次に、本実施形態の燃焼装置1の動作について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、中和装置11内に形成される水封構造を維持するべく、中和装置11に給水する中和器給水機能が備えられている。すなわち、貯留部15は、配置された電極65〜68によって、水位が監視されている。そして、それらの電極65〜68(特に給水制御電極67)によって、貯留部15における水位が所定値以上であることが確認されなければ、中和器給水機能が働いて、貯留部15に強制的に上水が給水される。
【0060】
中和器給水機能による貯留部15への給水は、電極65〜68の信号に基づいて、電磁弁36を開き、給水源から上水が供給され、給水管30及び給水部50を介して、有底空間16内に導入される。ここで、給水管30は、立ち下げ部37と、傾斜部38とに分かれ、傾斜部38は、前記した様に配管位置決め手段61,62によって流れ勾配が確保されている。そのため電磁弁36から給水部50に至る間は、常に下り勾配となり、上り勾配の部位は無い。従って、電磁弁36を閉じた際に、給水管30内に水が滞ることはない。
【0061】
次に、中和装置11を筐体3内に装着する際の手順について説明する。
推奨される手順は、筐体3外で、予め中和装置11の蓋部41に給水管30を取り付け、この状態で、筐体3内に挿入することである。
すなわち筐体3外で、蓋部41の給水部50に給水管30の先端を接続し、給水管30の傾斜部38を配管位置決め手段61,62に固定する。そしてこの状態で、中和装置11を筐体3に入れ、所定の位置に固定する。そしてその後に、給水管30の他端を電磁弁36に接続する。
【0062】
本実施形態では、給水管30は、給水部50と、配管位置決め手段62、配管位置決め手段61の三箇所で、中和装置11に固定されているから、外力が加わっても外れにくく、また容易には変形しない。
特に本実施形態では、配管位置決め手段61は、給水部50に対して対角の位置にある。そのため給水管30は、長い領域で中和装置11に固定されることとなり、外力が加わっても外れにくく、また容易には変形しない。
【0063】
また給水管30は、天面部45に近い位置で保持されているので、他の部材との干渉が少ない。
【0064】
以上説明した実施形態では、中和装置11の天面部45に配管位置決め手段61,62を2個設けたが、配管位置決め手段の個数は任意である。もちろん只一つの配管位置決め手段61を持つものであっても構わない。
ただし給水配管30は、なるべく長い領域で中和装置11の上面に沿わせることが望ましいので、配管位置決め手段の一つを給水部50に対して対角の位置や、給水部50に対して反対側の端部近傍に設けることが望ましい。
またいずれの個数であっても、各配管位置決め手段に、適度の高さ変化を設け、給水管30に給水部50側に向かう勾配が形成される様に設計することが推奨される。
勾配は、1/100以上であることが推奨され、より望ましい勾配は、1/20以上である。
【0065】
以上説明した実施形態では、配管位置決め手段61,62の管固定部63は、上方に開口(欠落部64)を有し、給水管30を上方から装着するものであったが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、例えば、図13,14に示すような構造のものであってもよい。
すなわち図13,14に示す配管位置決め手段89は、柱部90を有し、その側面に管固定部91が設けられている。管固定部91は、弾性を有する素材で作られた断面形状が「C」状の短管であり、側面側に開口92がある。
そのため、給水管30は、図14の様に、柱部90の横に保持される。
【符号の説明】
【0066】
1 燃焼装置
3 筐体
11 中和装置
12 ドレン排出系統
15 貯留部
30 給水管
31 給水系統
35 保水パイプ
36 電磁弁
40 本体部
41 蓋部
45 天面部
50 給水部
60 補助継ぎ手
61,62 配管位置決め手段
63 管固定部
64 欠落部
69 配管配置部
89 配管位置決め手段
90 柱部
91 管固定部
92 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は熱媒体を加熱する燃焼装置に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する際に発生するドレンを中和して排出する中和装置であって、ドレンが貯留される貯留部と、貯留部内にドレンを導入するドレン導入口と、貯留部からドレンを排出するドレン排出口と、貯留部内に水を導入する給水部を有する中和装置において、
天面部を有し、当該天面部に前記給水部があり、さらに天面部に配管位置決め手段が一体的に形成されていることを特徴とする中和装置。
【請求項2】
配管位置決め手段の位置及び高さは、前記配管位置決め手段で給水管が位置決めされて当該給水管の先端が前記給水部に接続されたとき、前記給水管が給水部に向かって傾斜する姿勢となる位置及び高さであることを特徴とする請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
配管位置決め手段は、配管を固定する管固定部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和装置。
【請求項4】
管固定部は、一部が切れたリング状部を有することを特徴とする請求項3に記載の中和装置。
【請求項5】
管固定部は、支持しようとする配管の外径と同等またはそれよりも大きい配管配置部と、配管配置部に配管を導入するための配管導入口を有し、前記配管導入口は前記配管の外径よりも狭いことを特徴とする請求項3又は4に記載の中和装置。
【請求項6】
燃料を燃焼する燃焼部と、燃焼部で生成される燃焼ガスの主に顕熱を回収する一次熱交換器と、当該燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を有し、前記ドレン排出系統の一部を形成する請求項1乃至5のいずれかに記載の中和装置を備え、前記中和装置に給水する給水系統を有し、当該給水系統は、給水弁と、給水配管とを有し、当該給水配管は給水弁と前記中和装置の給水部とを接続するものであり、前記給水配管の中途部分が前記配管位置決め手段で位置決めされていることを特徴とする燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−71114(P2013−71114A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214731(P2011−214731)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】