中央ユニットへの無線制御の安全な送信
一つ以上の医療機器を遠隔制御卓によって制御するシステム。この遠隔制御卓は、一つ以上の医療機器と連絡した中央制御ユニットと無線通信する。医療機器が迷走無線指令信号や無許可無線指令信号により誤作動する可能性を最小限にするため、中央制御ユニットが遠隔制御卓の伝送した無線指令信号に応答する前に、中央制御ユニットは遠隔制御卓と同期してそれとの安全な通信リンクを確立しなければならない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の医療用機器を無線遠隔操作による制御卓によって制御する装置および方法に関する。特に、医療機器が他の無線機器からの無許可信号に応答しないよう、無線遠隔操作の制御卓と中央制御ユニットとの安全な無線接続を確立する装置および方法に関する。
本願は、2004年11月1日に出願した米国仮出願第60/623 949号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査法は、生体の内部構造を最少侵襲で考察するための技術である。医療業界においては、内視鏡検査法により、侵襲手術なしに高品質の人体内部構造の画像を得ることができる。内視鏡検査法の基本的器具は、観察対象の生体に挿入される内視鏡(スコープ)である。例えば胃腸病学の医療分野と同様に、内視鏡検査処置では柔軟性のあるスコープが使用される。関節鏡検査法や腹腔鏡検査法のようなその他の医療処置では、固定式のスコープが使用される。このスコープは、通常、光をスコープを介して生体に伝達する強力な光源に連結しているとともに、ビデオイメージデータを得るための電子機器を有するカメラヘッドに連結している。このカメラヘッドは、通常、カメラによって取得したビデオイメージを表示するビデオモニタに連結している。
【0003】
内視鏡検査法による手術においては、例えばより広い視覚作業空間を得るため加圧ガスを生体空洞部に注入する通気器、止血するための電気メス、および/または生体組織を切除・成形するための様々な器具のような様々な医療用機器が使用される。これらの機器は、通常、手術室床に取り付けたフットペダルおよび/またはスイッチを外科医が操作することによって遠隔制御される。これらのフットコントロールは、例えばオン/オフ、速度、強度、器具の移動方向、作動モード等を制御するものである。フットコントロール等を使用することにより、外科医は、器具を手から離したり、持ち手を替えたり、汚染された表面を手で接触したり、患者から目を離したりすることなしに、器具の様々なモードや設定(例えば速度や強度)を調整できるようになる。
【0004】
第1世代のフットペダルやその他の遠隔制御するタイプは、通常、遠隔制御装置と制御される装置とを物理的に連絡する伝導線やケーブルを介して電気インパルス形態の指令信号を中継することによって機能していた。それから技術が進歩するにつれて遠隔制御は無線になり、これにより、ケーブルを床に這わせる必要なしに遠隔制御装置を手術室内のどのような場所にでも配置できるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手術室のような医療環境において無線遠隔制御を使用することは有利であるものの、最終的に患者を危険にさらす別の様々な危険を招くことになる。例えば、付近の別の機器から迷走した電磁信号によって、遠隔制御装置が命令を発していないにもかかわらず制御装置が不適切に反応する危険を与えることになる。より重要なことは、所定の臨床環境においては、相互接近した状態で多数の無線遠隔制御が使用される場合があり、これは誤った遠隔制御装置から受信した装置が制御信号に誤反応してしまう危険を招くものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を有しており、この少なくとも一つのユーザ制御可能な制御操作部の状態および遠隔制御卓独自の識別コードを表す制御卓指令信号を無線伝送するように構成された遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には識別装置と関連する識別コードとともにプログラムされた識別装置を設け、
少なくとも一つの医療機器に連絡しており、前記遠隔制御卓が無線伝送した制御卓指令信号に応答してこの医療機器を制御する中央制御装置を設け、
この中央制御装置には、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置から所定距離内に位置する場合には識別リーダが前記識別装置にプログラムされた識別コードを無線により検索するよう、前記中央制御装置と前記遠隔制御卓とを同期状態にする識別リーダを設け、
前記中央制御装置は、前記中央制御装置と同期する前記遠隔制御卓に対応する識別コードと関連する制御卓指令信号のみを処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、手術室のような医療環境において無線遠隔制御を使用する場合に、付近の別の機器から迷走した電磁信号によって、遠隔制御装置が命令を発していないにもかかわらず制御装置が不適切に反応することを防止でき、より重要なことは、所定の臨床環境において、相互接近した状態で多数の無線遠隔制御が使用される場合に、誤った遠隔制御装置から受信した装置が制御信号に呉反応してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて実施例を説明する。この発明の一つ以上の実施例は例示であって、添付図面に示される特定の実施例に限定されると解釈すべきではない。
【実施例】
【0009】
以下詳細に示すように、本発明による単一の無線遠隔制御卓(制御卓あるいはコンソール)は、外科医等の操作者が内視鏡外科処置時に一つ以上の医療機器を制御可能にするものである。この制御卓は、操作者の手足によって医療用器具を操作するように設計した一つ以上の複合制御操作部からなる。例えば、多数の装置が連結されている場合に制御される装置を選択する選択スイッチのような一つ以上の装置を制御するための一つ以上のフットペダルおよび/またはフットスイッチを備えた足制御の無線制御卓を考慮せよ。フットコントロールの操作に応じて、制御卓は、中央制御ユニットに無線信号を送り、中央制御ユニットが制御されるべき装置を選択してこの選択された装置を制御する。フットコントロールによる制御卓は、再充電可能なバッテリを備えている場合があり、これは制御卓ハウジング内に密閉されており、ドッキングステーションに配置した場合に誘導充電される。レシーバーユニットおよびドッキングステーションは別ユニットでよく、あるいは単一ハウジング内に一体化することもできる。
【0010】
I.無線遠隔制御卓および中央制御ユニット。
図1は、無線遠隔制御システムの一例を示したものであり、遠隔制御卓9は、本発明による無線のフットコントロール装置として示されている。この無線遠隔制御システムは、内視鏡1と、この内視鏡1およびカメラ制御ユニット(CCU)3に連結したカメラ2とを備えている。カメラ2によって得られた画像を表示するビデオモニタ4もカメラ制御ユニット3に接続している。また、無線遠隔制御システムは、多数の補助装置5(例えば5A、5B等)からなり、これらには、外科用器具(例えば通気器、電気メス、無線周波数発生器、切除器具/シェーバ器具)から、外科環境で使用されるその他の装置(例えばビデオキャプチャ装置、手術テーブルライト、ルームライト)まで含まれる。その機器が何であるかに応じて、補助装置5Aや中央制御ユニット3と同様に、補助器具5の一つ以上は共通の有線通信媒体6によって相互連結することができる。有線通信媒体6は、例えばIEEE1394バックプレーン接続、イーサネット(登録商標)接続、同様の機能を有するその他の通信媒体である。
【0011】
中央制御ユニット8は、直接に、または有線通信媒体6を介して、各補助装置5に連結している。遠隔制御卓9は、図1では無線のフットコントロール制御として示されており、中央制御ユニット8に接続した補助装置5のいずれかを中央制御ユニット8と協働して制御する。特にこの例においては、制御卓9は様々な足操作のペダル、スイッチ、および/または操作者が発動させた場合に制御卓9が無線制御信号を中央制御ユニット8に送ることができる足操作の制御操作部が含まれる。制御卓9から受け取った制御信号に応じて、中央制御ユニット8は、現在選択されている補助装置5の一つと通信する。この通信は、補助装置5Aとの通信の場合であれば有線通信媒体6を介してなされ、補助装置5Bとの通信の場合であれば直接(アナログまたはデジタル)接続78によってなされる。直接接続78は、補助装置5専用の制御卓の入力をエミュレートする。さらに、制御される一つ以上の補助装置5は、無線リンクのみによって中央制御ユニット8と通信する場合がある。
【0012】
制御卓9は無線なので、自身の電源が必要である。一実施態様においては、この電源は取り替え可能な一つ以上のアルカリバッテリである。別の実施態様においては、電源は再充電のため制御卓9から取り外し可能な一つ以上の充電式バッテリである。一つ以上の充電式バッテリは、制御卓9のハウジング内に密封配置することもできる。このような実施態様において、ハウジング27は成形プラスチックや同様の物質からなり、これにより制御卓9が軽量化され、耐久性があり、液浸可能で、掃除が容易となる。このアプローチは、その他の理由として所定内視鏡手術処置の際に大量の水や液体が手術室の床に溢れ出るため、望ましいものである。したがって、密封した制御卓ハウジングは、手術室環境に直接曝される電気接触を設ける必要がないため、有利である。さらに、内部充電式バッテリによって、手術室で必要な電気ケーブルの数を減らすことができる。
【0013】
内部バッテリを充電するためには、ドッキングステーション10を用意する。制御卓9をドッキングステーション10に配置し、ここでバッテリが電磁誘導等の手段で充電される。またドッキングステーション10は、制御卓9を使用しないときには制御卓9のホルダーとして機能する。図2は、ドッキングステーション10の一例を示しており、制御卓のバッテリを充電するためあるいは保管するために、どのようにして制御卓9がドッキングステーション10に挿入されるかを示している。図3は、どのようにして内視鏡器具に使用されるタイプの装備カート41にドッキングステーション10が配置されるかを示している。
【0014】
本発明で使用可能なあるタイプの遠隔制御卓9の外観が図4の例に示されている。具体的には、図4は、足制御(フットコントロール)可能な遠隔制御卓9を示しており、これは比較的軽量であって、手術室のスタッフが遠隔制御卓9を持ち運ぶためのハンドル21を備えている。そこに示されるように、遠隔制御卓9は、左右のペダル22、23を備えており、また3つの足制御スイッチ、すなわち左スイッチ24、中央スイッチ25、および右スイッチ26も備えている。他の態様としては、ペダル、スイッチ、その他の制御操作部を組み合わせたものが挙げられる。このスイッチ24〜26は、例えば単純な押しボタンスイッチであって、例えば補助装置5の様々な動作モードを選択するために使用される。ペダル22、23は、単純なポテンショメータ(電位差)型の足制御操作部であって、例えば速度、強度、および/またはその他医療機器の様々な設定の制御に使用されるものである。
【0015】
遠隔制御卓9のその他の詳細については、図4に例示したような足制御の制御卓9を意味するものとする。しかしながら、既に述べたように、無線の遠隔制御システムは、一つのタイプに限定されるものではなく、両足制御や手操作の制御卓を含む(これに限定されない)、実質的にあらゆるタイプやデザインで使用するように構成することができる。
【0016】
ある実施態様においては、図4の遠隔制御卓9は、補助装置5のいずれも制御できるところ、一回につき、補助装置5のうち一つのみを制御するものである。かかる実施態様においては、操作者が補助装置5を制御するための選択スイッチとして、スイッチ24〜26のうち一つが使用される。その他の制御装置の機能は、どの補助装置5が現在選択制御されているかに応じて異なる。この選択は、指定選択スイッチを単に押圧して種々の利用可能な補助装置5を循環して選択するだけでよい。
【0017】
別の実施態様においては、遠隔制御卓9は、二つ以上の補助装置5を同時に制御可能である。例えば、二つ以上の別個のスイッチおよび/またはペダルを、二つ以上の別個の補助装置5を同時制御するために用いることができる。あるいは、遠隔制御卓9に設けた同一の制御操作部を二つ以上の装置の制御に用いることもできる。
【0018】
中央制御ユニット8は、どの補助装置5が存在するか、あるいは補助装置5が有線通信媒体6に連結されているか(あるいは直接接続78によって接続されているか)を検出する。したがって、遠隔制御卓9は、どの補助装置5が現在選択されているかの情報を有する必要がなく、かかる情報は中央制御ユニット8が全面的に保有している。遠隔制御卓9は、単純に一般的な制御信号を伝送し、中央制御ユニット8がこれを受領し、現在選択されている補助装置5にとって適切な形式およびプロトコルを有する別の制御信号に変換する。その他の実施態様においては、中央制御ユニット8は、複合的な遠隔制御卓9が同一の装置または複合的な装置を制御しようとする場合、複合的な遠隔制御卓9からの入力を同時に受信し、対応する制御信号を一つ以上の複合的な装置に出力する。
【0019】
図5は、本発明の一例示態様による遠隔制御卓9の構成要素を示している。そこに示されるように、遠隔制御卓9は、従来のプログラム可能なマイクロコントローラ51を備えており、これは比較的短距離のRF(無線周波)トランスミッタ52およびRFレシーバ57に連結している。このRFトランスミッタ52およびRFレシーバ57は、2.4GHzのISMバンドで作動するCypress WUSBチップセットのような単純なトランシーバユニットに組み込むことができる。その他の実施態様によると、遠隔制御卓9は、900MHzRF、Bluetooth、802.11 a/b/g、Ultra−Wide Band(UWB)、Zigbeeのような無線プロトコルや、IR(赤外線)やレーザのような非RFプロトコルで作動する別のトランシーバ構成を用いることもできる。
【0020】
さらに、遠隔制御卓9には、少なくとも一つの充電式バッテリ54と、順に充電回路53およびマイクロコントローラ51に連結した誘導コイル55とが設けられている。また、遠隔制御卓9内に設けられるか、あるいは遠隔制御卓9の外表面に固着されているRFID(無線周波識別)チップまたはRFIDタグ27も設けられている。遠隔制御卓9の内部部品(すなわちスイッチやペダル以外)は、遠隔制御卓9のハウジング内で完全に密封されており、かかる内部部品が手術室環境によって損壊しないよう保護されており、電気ショックやスパークの危険を減少させる。
【0021】
マイクロコントローラ51は、例えば標準のRS232インタフェースを介して、RFトランスミッタ52およびRFレシーバ57と通信可能である。RFトランスミッタ52は、足操作制御(スイッチおよびペダル)でなされたユーザー入力に応じて、マイクロコントローラ51の制御の下、制御信号を中央制御ユニット8に伝送する。
【0022】
各無線遠隔制御卓9に設けられたマイクロコントローラ51には、独自の識別(ID)コードが割り当てられている。以下でより詳細に示されるように、遠隔制御卓9が生成してRFトランスミッタ52渡す信号に遠隔制御卓9のIDコードが組み込まれているため、このIDコードによって、マイクロコントローラ51は遠隔制御卓9が伝送した指令信号の全てを独自に識別することが可能となる。
【0023】
図6は、本発明の一実施態様による中央制御ユニット8のブロック図である。ここに示されるように、中央制御ユニット8は、プログラム可能なマイクロコントローラ71と、無線のRFレシーバ72および無線のRFトランスミッタ77(あるいはトランシーバの組み合わせ)と、電源73と、ネットワークアダプタ74と、一つ以上の出力インジケータ75とを備えている。マイクロコントローラ71は、中央制御ユニット8の全体的動作を制御する。また別の実施態様においては、マイクロコントローラ71は、プログラム可能な汎用マイクロプロセッサまたは専用マイクロプロセッサ、ASIC等のような、同じ役割を果たすことが可能な一つ以上の別の形態の制御装置で置換することもできる。無線のRFレシーバ72は、上記のように遠隔制御卓9から伝送された制御信号を受け取り、また無線のRFトランスミッタ77は、中央制御ユニット8から無線の制御卓9へ信号を発信するものである。マイクロコントローラ71は、例えば標準のRS232インタフェースを介して、RFレシーバ72およびRFトランスミッタ77と通信可能である。電源73は、利用可能な任意の外部電源から供給された電力に基づき制御された電力を中央制御ユニット8に供給する。
【0024】
また、中央制御ユニット8内には、比較的弱い磁場を作るRFIDリーダ79も設けられている。RFIDタグがRFIDリーダ79に近接配置されると、タグが磁気エネルギーをピックアップし、RFIDリーダ79との通信を開始する。より具体的には、RFIDタグが接近配置された場合、RFIDリーダ79が発生する磁場は、所定方式で独自に変調される。RFIDタグがIDコード等の情報をRFIDリーダ79に伝えるのは、この磁場変調手段によってである。
【0025】
また中央制御ユニット8は、一つ以上の出力インジケータ75も備えており、これは、どの補助装置5(図1)が現在選択されているかといった様々な情報をシステムのユーザに伝達するために使用される。出力インジケータ75は、例えば、一つ以上のLED(発光ダイオード)や、LCD(液晶ディスプレイ)、音響スピーカ等である。
【0026】
マイクロコントローラ71は、どの補助装置5が現在選択されているかに応じて、無線レシーバ72が受け取った制御信号を利用し、有線通信媒体6の特定の補助装置5に向けて指令信号および/またはその他の制御信号を生成する。マイクロコントローラ71は、現在選択されている補助装置5にとって適切なフォーマットおよび/またはプロトコルで、特定の指令やその他の制御信号を生成するようプログラムされている。マイクロコントローラ71によって、ネットワークアダプタ74がこれらの生成コマンドを有線通信媒体6に伝送する。
【0027】
ネットワークアダプタ74は、例えば標準のIEEE1394アダプタであり、有線通信媒体6は、例えばIEEE1394バックプレーンである。この場合、中央制御ユニット8は、バックプレーに接続したその他の機器を識別するために標準のIEEE1394プロトコルを用いる。さらに別の実施態様においては、中央制御ユニット8は、例えば、Stryker Corporation’s Integrated Device Network(SIDNE) Control Systemや、Total Performance System (TPS)や、Stryker Endoscopy’s Radio Frequency Ablation System (SERFAS)のような装置用に設計されたIEEE1394以外の通信媒体に対応できる。
【0028】
所定の実施態様において、中央制御ユニット8は、上記および図1に示したような制御される補助装置5への一つ以上の「直接」接続(非ネットワーク接続)78も(を)有している。かかる実施態様においては、中央制御ユニット8は、マイクロコントローラ71と直接接続78とを接続する通信アダプタ70を備えている。ある例においては、中央制御ユニット8と補助装置5との間をその他の装置やアダプターで接続せずに、中央制御ユニット8と補助装置5との間を直接接続78によって実行でき、それ以外の場合は、中央制御ユニット8と補助装置5とを、中央制御ユニット8とのネットワーク接続をエミュレートする別個の外部アダプタ(「ドングル」)を介して接続することで直接接続78が実行される。
【0029】
II.同期した遠隔制御システムの基本動作。
所定の病床環境においては、複数の遠隔制御卓9および中央制御ユニット8が相互接近して使用される場合がある。これにより、中央制御ユニット8が誤った制御卓9からの信号に反応する危険が生じる。これを防止するため、遠隔制御卓9のそれぞれには、各マイクロコントローラ51独自のIDコードのような独自の装置識別子が割り当てられている。中央制御ユニット8のそれぞれは、その装置識別子に基づいて一つ以上の特定の遠隔制御卓9に反応する(「同期」できる)ように構成されている。動作時に遠隔制御卓9がユーザー入力を表す信号を伝送する場合、遠隔制御卓9は、この信号とともに遠隔制御卓9に予め割り当てられたIDコードを伝送する。特定の遠隔制御卓9と同期した後では、中央制御ユニット8は、正しい制御卓IDコードを伴っていない受信無線信号(不知の遠隔制制御卓9や許可されていない遠隔制御卓9からの信号)を全て無視することになる。このようにして、中央制御ユニット8は、近傍にあるものの中央制御ユニット8と同期していない無線の遠隔制御卓9に誤反応することを防止する。
【0030】
本発明の一実施態様によると、無線の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との同期は、RFID(無線周波識別)によって達成できる。具体的には、製造工程において、各遠隔制御卓9に含まれるマイクロコントローラ51のそれぞれに割り当てられた独自のIDコードが読み込まれるか取得される。それからこの独自のIDコードは、RFIDチップまたはRFIDタグ27に書き込まれる。この新たに書き込まれたRFIDタグ27は、それからIDコードを取得したその遠隔制御卓9内に密封されるか遠隔制御卓9上に搭載される。
【0031】
無線の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とを同期させるには、遠隔制御卓9を起動し、中央制御ユニット8の隣に配置する。より具体的には、RFIDタグ27を有する遠隔制御卓9の領域は、中央制御ユニット8のRFIDリーダ79と一列の位置となる。それから遠隔制御卓9は、中央制御ユニット8に接近させる(例えば1インチ。2.54cm)。RFIDタグ27が十分に接近すると、RFIDタグ27が発生する磁場が変調する。RFIDリーダ79は、磁場のこの特定の変調を検出し、それをその特定の遠隔制御卓9独自のIDコードに変換する。
【0032】
それから、RFIDリーダ79は、付近の遠隔制御卓9独自のIDコードを中央制御ユニット8のマイクロコントローラ71に伝送する。このとき、中央制御ユニット8は、その特定の遠隔制御卓9と同期し、同期した無線遠隔制御卓9と同期独自のIDコードによって識別されたかそのようなIDコードを含む無線指令信号のみに対して作用または応答確認する。
【0033】
中央制御ユニット8と遠隔制御卓9とが同期したことをユーザに告知するためには、中央制御ユニット8は、音響または映像による合図(キュー)を発するように構成する。映像による合図は、出力インジケータ75により提供されるか、あるいは中央制御ユニット8に設けた同期時にオンになるか色が変化するLEDのような別個の「同期」インジケータ(図示せず)により提供される。
【0034】
ひとたび同期すると、遠隔制御卓9は、中央制御ユニット8に接続した補助装置5を制御可能となる。しかし、遠隔制御卓9は中央制御ユニット8に接続した補助装置5を制御するが、中央制御ユニット8は、遠隔制御卓9がどのように機能するかを制御する。例えば図2に示した足操作の遠隔制御卓9を考慮せよ。操作者が遠隔制御卓9の左ペダル22を押圧した場合、遠隔制御卓9は、一般的な「左ペダル」指令信号(これは遠隔制御卓独自のIDコードがコード化されている)を中央制御ユニット8に伝送する。遠隔制御卓9から「左ペダル」指令信号を受信すると、中央制御ユニット8は、まず遠隔制御卓9独自のIDコードを検索して、受信した指令信号が有効かどうかの検証を行う。もしこれが有効であれば、中央制御ユニット8は、それから、遠隔制御卓9からの特定の指令信号が現在制御される補助装置5に関するものであると解釈できるかを判定するため、受信した「左ペダル」指令信号と予めプログラムされた指令とを比較する。それから中央制御ユニット8は、共通の有線通信媒体6を介して(あるいは直接接続で)、解釈した指令を制御される補助装置5へ発する。
【0035】
既に述べたように、中央制御ユニット8は、複数の補助装置5に接続することができ、遠隔制御卓9で順次制御することができる。遠隔制御卓9によってどの補助装置5が制御されるかを選択するため、中央制御ユニット8には「モード」ボタンが設けられている。このモードボタンを押すと、中央制御ユニット8は、接続された補助装置5のリストを切り替え(トグル)、ここから操作者が選択できる。使用される遠隔制御卓9のタイプによっては、ユーザは、遠隔制御卓9に設けたモードボタンを押すことで、どの補助装置5が制御されるかを遠隔的に選択することもできる。
【0036】
本発明の別の実施態様によると、中央制御ユニット8は、所定の不使用時間が経過した場合(例えば30秒)、同期した遠隔制御卓9から受け取った指令に対して即時応答しないように構成されている。その代わり、中央制御ユニット8は、どの補助装置5が遠隔制御卓9で現在作動しているかを例えば出力インジケータ75によって視覚的に報告する。それから、第2指令が発せられると、通常の動作が再開される。
【0037】
同様に、さらに長い所定の不使用時間が経過すると、遠隔制御卓9は、バッテリを節約するため「スリープ」モードに入る。中央制御ユニット8は、その出力インジケータ75に、遠隔制御卓9がスリープモードにある旨を表示する。遠隔制御卓9に設けたボタンおよび/またはスイッチの一つを押すと、再び起動する。
【0038】
遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信は、二つの装置が非同期となると切断される。ユーザーは、中央制御ユニット8の「モード」ボタンを所定の短時間だけ押すことで、手動で通信切断できる。ひとたび非同期となると、遠隔制御卓9が中央制御ユニット8と再び同期するまでは、遠隔制御卓9は機能しない。
【0039】
本発明の別の実施態様によると、中央制御ユニット8は、同時に二つの遠隔制御卓9と同期することが可能である。図7は、そのような二つの遠隔制御卓9と同期可能な中央制御ユニット8の一つの外観図である。図7に示されるように、中央制御ユニット8は、二つの出力インジケータ75a、75bと、二つの同期ポート79a、79b(それぞれRFIDリーダである)と、二つの「モード」ボタン80a、80bとを備えている。
【0040】
二つの別個の同期を同時に可能にする点以外は、図7の中央制御ユニット8は、二つの遠隔制御卓(図示せず)が同一の補助装置5を制御できるように構成されている。これは、第1制御卓を同期させ、それから第2モードボタン80bにより中央制御ユニット8を「統合(マージ)」モードにすることで達成できる。ひとたび第2制御卓が同期すると、二つの制御卓は統合したとみなされる。二つの制御卓が統合したら、同時に同一の補助装置5への指令を発することは不可能となる。そこで、補助装置5に対する制御を切り替えなければならない。制御を切り替えるには、ユーザは現在制御中の第1遠隔制御卓の指令を停止しなければならない。それからユーザは、第2遠隔制御卓のボタン/スイッチのいずれかを押す。これにより、中央制御ユニット8が制御を第2遠隔制御卓へ切り替える。同じ手順を繰り返すと、第1遠隔制御卓による制御に切り替わる。
【0041】
上記の実施態様の全ては、RFIDセンサおよびRFIDタグを使用して、遠隔制御卓のIDコードを中央制御ユニット8に自動的に転送開始および転送実行させており、これにより二つのユニットが同期し、他の遠隔制御卓9やその他の無線装置からの指令信号に対するシステムの誤反応から保護される。しかし、本発明のその他の実施態様は、RFIDタグを使用したものに限定されない。これらの実施態様は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とが接近した場合にそれらの間で無線によりIDコード等のデータの搬送を行うその他の手段によることもできる。
【0042】
例えば、一態様(図示せず)としては、光学バーコードスキャン技術を使用することもできる。具体的には、遠隔制御卓9独自のIDコードがバーコードに変換され、これが遠隔制御卓9の外表面に施されるか貼付される。中央制御ユニット8に一体化したバーコードスキャナや、あるいは中央制御ユニット8と通信する別個のバーコードスキャナは、遠隔制御卓9が中央制御ユニット8に対して十分に近接配置されたときに、遠隔制御卓9のバーコードをスキャンする。
【0043】
あるいは、追加の実施態様は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との間のデータ搬送を行うその他の光学的方法を利用する。例えば、遠隔制御卓9に設けたIR(赤外線)トランスミッタおよび中央制御ユニット8に設けたIRレシーバを利用する追加実施態様(図示せず)による同期遠隔制御システムを考慮せよ。相互に近接配置した場合、赤外線信号としてコード化された遠隔制御卓のIDコードが、中央制御ユニット8のIRレシーバに投射される。
【0044】
電磁的データ搬送方法以外には、さらに別の実施態様(図示せず)は、遠隔制御卓9から中央制御ユニット8へのIDコードやその他のデータの搬送のため音響システムを利用する。例えば、遠隔制御卓9は、コンピュータモデム通信と同様に、中央制御ユニット8のマイクに情報伝達する小型スピーカを組み込むことができる。
【0045】
最後に、上記の実施態様は、主に、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とを同期させる安全な無線接続を確立することで安全で信頼性のある無線接続を利用した一つ以上の装置を遠隔制御する手段をユーザに与えるための本発明の背後にある原理を使用することに焦点を当てていた。しかし、本発明のさらに別の実施態様によると、この上記開示された原理は、遠隔制御卓からの制御信号を伝送するための安全な無線接続を確立するためには利用されず、むしろ、単に生データを装置から装置へ搬送するため、安全で信頼性のある無線接続を提供するように変更される。このように、本発明による無線接続は、二つの装置間での安全性のある無線経路として利用される。
【0046】
例えば、無線ビデオカメラとデジタルレコーダとの間の安全な無線データ経路を確立し、それにより信頼性のある無線データ搬送を確実にするために、本発明の原理を利用することを考慮せよ。同様に、本発明の概念は、例えば無線ヘッドマウントディスプレイユニットとこのディスプレイに投影されるリアルタイムビデオイメージを作るコンピュータシステムとの間のような二つの無線装置間での安全な無線リンクを確立するために利用できる。
【0047】
III.無線プロトコル、パケットの種類、信号タイミング。
上述の実施態様において、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との安全な通信は、単に遠隔制御卓9から中央制御ユニット8へ渡される独自のIDコードによって確立された。しかし、追加の実施態様においては、出願人が開発してその所有にある特定の無線通信プロトコル、パケット構造、および信号タイミングを使用するWUF通信プロトコルによって、さらに安全性および信頼性を高めることができる。
【0048】
例えば、Cypress Wireless−USBチップセットを使用した2.4GHz周波数バンドでの「同期」データを通信する、無線遠隔同期制御システムについての以下の実施態様を考慮せよ。このCypress WUSBは、転送ビットを32ビットパスワード(PNCode)でコード化するCDMAベースの低レベルプロトコル(low−level protocol)を利用するものである。これに加え、32ビット識別コードとパケットのデータエラーを10%まで回復可能な1バイトチェックサムとによって、データ転送をさらに保護する追加のプロトコルが設けられる。転送パケットにおいて、正しいPNCode、正しい識別コード、および適切なチェックサムが含まれる場合にのみ、転送パケットは受領され処理される。最後に、このプロトコルは厳密に時間監視されるので、プロトコル破損の場合には装置は常に安全な状態になる。
【0049】
なお、この節で使用される用語の定義についいては、図8の表を参照のこと。
【0050】
患者の安全性を確実にするため、出願人は、待ち時間が短く信頼性の高い安全な無線通信パスを開発した。これは、Cypress WUSB CDMAの低レベルプロトコルのみならず、PNCodeや、データパケット構造や、パケットのタイプや、それらがどのようにして用いられるかや、プロトコル状態や、信号のタイミング構造にも焦点を当てるという多局面にわたるアプローチによって実現された。
【0051】
A.Cypress WUSB CDMAの低レベルプロトコル。
Cypress WUSBチップセットは、そのデータにつき、符号分割多重接続(CDMA)の低レベルプロトコルを利用してエンコードおよびデコードする。要するに、CDMAは、32ビットコード(これはPNCodeと呼ばれる)が「1」の転送ごとに送信されること、その逆のコードが「0」の転送ごとに送信されることを要求する。コード(または逆コード)が2エラー未満(閾と呼ばれる)で受領された場合にのみ、有効な「1」または「0」が記録される。もしこの閾を越えた場合、受領したビットは無効であるとマークされる。閾を2に設定すると、チャンネルに存する適切量のノイズを許容しつつ、高レベルの転送安全性を達成できる。
【0052】
また、16のPNCodeは、80のWUSBチャンネルのそれぞれで利用可能である。WUFレシーバのそれぞれは、PNCodeを判定し、内部識別番号に基づいて通信する。
【0053】
さらに、データ受領は2倍ものオーバーサンプルでなされるため、ノイズ環境でも動作を許容できる。
【0054】
B.パケット構造。
この実施態様におけるWUFプロトコルで使用されるパケットのそれぞれは、8バイトで構成される。図9は、各データパケットの構造を示している。
【0055】
パケットB0〜B3は、パケット使用のトランシーバの製造者識別番号(MID)が含まれる。Cypress WUSBトランシーバチップのそれぞれは、独自の32ビットMIDを含む。すなわち遠隔制御卓9および中央制御ユニット8のそれぞれは、独自のMIDを有している。受信したパケットのMIDがレシーバのCypress WUSBトランシーバチップに記憶されているMIDと一致した場合のみ、パケットは有効なものとして受理される。
【0056】
パケットB4のビット0〜2(b0〜b2)は、後に詳述するようなパケット識別子(PCKID)を含有している。パケットB4のビット3(b3)は、データパス識別子(DPID)を含有しており、これはどのデータ経路が使用されたかを示している。パケットB4のビット4〜7(b4〜b7)は、パケットタイプに固有のデータ(DATA)を含有している。
【0057】
パケットB5およびパケットB6も、パケットタイプに固有のデータ(DATA)を含有している。
【0058】
パケットB7は、パケットのチェックサム(CHKSM)を含有している。
【0059】
パケットの最後のバイトであるチェックサムバイトについては、特に注目しなければならない。このチェックサムバイトにより、レシーバが1バイトにつき1ビットまでのエラーを修正できるようになる。すなわち、10%までのデータが無効とマークされた場合に、パケットにつき適切な値を回復することができる。
【0060】
C.パケットの種類。
本発明による安全な遠隔制御システムが使用するプロトコルは、8つの異なったパケット識別子(PCKID)を利用する。遠隔制御卓9が中央制御ユニット8に送信したパケット識別子は3つであり、中央制御ユニット8が遠隔制御卓9に送信したものは5つである。PCKIDのそれぞれにつき、それが何に使用されるか、それは具体的にどのようなデータを含んでいるかを示した図10の表を参照のこと。
【0061】
D.プロトコル状態。
本発明の実施態様による安全な遠隔制御システムが使用するプロトコルは、フットスイッチとレシーバ間の接続状態を表すため、3つの異なった状態(NOT BOUND、BOUND、WAS BOUND)を利用する。
【0062】
NOT BOUND:遠隔制御卓9が起動後にいずれの中央制御ユニット8にも接続されていない場合は、NOT BOUNDとなる。フットスイッチは、80全てのWUSBチャンネルを継続的にサーチし、WUFレシーバからのベースステーションバインド1パケット(BS_BIND1)の転送を探す。有効なBS_BIND1パケットを受信すると、遠隔制御卓9および中央制御ユニット8は、図11の表に示すバインド処理を行う。このバインド処理が成功すると、遠隔制御卓9は、BOUND状態に移行する。
【0063】
BOUND:BOUND状態では、遠隔制御卓9は、遠隔制御卓9がペダルおよびスイッチ状態の変化を検出したかどうかに基づいて、あるいは低バッテリ状態を検出した場合に、20〜100ミリ秒ごとに現時状態を報告する。図12の表は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とのBOUND通信を示している。
【0064】
WAS BOUND:もし妨害やレンジ外状態や中央制御ユニット8の電源オフにより遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信が途絶えた場合、遠隔制御卓9はWAS BOUNDに移行する。このWAS BOUND状態では、遠隔制御卓9は、80のWUSBチャンネル全てをサーチし、有効なベースステーション応答確認パケット(BS_ACK)またはベースステーションバインド1パケット(BS_BIND1)を探す。もし遠隔制御卓9がBS_ACKを受信した場合、遠隔制御卓9は、以前に結合していた中央制御ユニット8との転送を開始する。もし遠隔制御卓9がBS_BIND1を受信した場合、遠隔制御卓9は、全てのバインド情報を消去し、BS_BIND1パケットを受信したその新たな中央制御ユニット8とバインドする。図13の表は、WAS BOUND再バインド処理を示している。
【0065】
E.タイミング。
本発明の実施態様で使用される通信プロトコルは、最短の待ち時間および最高の安全性となるように設計している。上記の最短の待ち時間および最高の安全性という特徴を提供できるよう、厳密なタイミング要求をなしている。中央制御ユニット8が通信を開始した後で、どのような状態においても、中央制御ユニット8によってタイミングの指令がなされる。特に、BOUND状態においては、遠隔制御卓9が現時の状態を報告する場合には、タイミングは非常に重要なものとなる。遠隔制御卓9に対しては、20ミリ秒ごとにデータポーリング(探査)が行われる。バッテリ電力を節約するため、遠隔制御卓9は、ペダルおよびスイッチ状態の変化を検出した場合はいつでも、あるいは100ミリ秒ごとに(どちらが先でもよい)、現時状態に対応することが必要となる。遠隔制御卓9に対しては、交互にポーリングが行われる。例えば、第1遠隔制御卓に対してポーリングが行われると、それから第2遠隔制御卓に対してポーリングが行われる。図14は、いくつかのパケットタイミング図を示している。
【0066】
タイミングチェックは、一つ以上の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信パス状態の妥当性確認をするため行われる。もし中央制御ユニット8が遠隔制御卓9からの通信を所定時間内に受け取らない場合、データパスは無効と宣言し、制御される補助装置5はセーフ状態になり、中央制御ユニット8はそのデータパスにつきWAS BOUND状態になる。
【0067】
このように、医療措置の際に一つ以上の医療用機器と同期するとともにその医療用機器を安全に信頼性をもって制御する無線の遠隔制御装置につき開示された。本発明が特定の実施態様につき記載されたが、本発明は上記の実施態様にのみに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびその趣旨の範囲内では変更・改変をなして実施できることは認識されよう。したがって、明細書および図面は、限定ではなく例示であると認識されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、医療機器が他の無線機器からの無許可信号に応答しないよう、安全な無線接続を確立する装置及び方法であり、他の無線接続する機器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例による無線遠隔制御システムのブロック図である。
【図2】遠隔制御卓と、この遠隔制御卓を配置して内部バッテリを充電するドッキングステーションとを示すものである。
【図3】どのようにしてドッキングステーションおよび制御装置ユニットが装備カートに配置または載置されるかを示した図である。
【図4】本発明の一実施例による遠隔制御卓の外観である。
【図5】本発明の一実施例による遠隔制御のブロック図である。
【図6】発明の一実施例による中央制御ユニットのブロック図である。
【図7】発明の別の実施例による、2つの遠隔制御卓と同期可能な中央制御ユニットの外側正面図である。
【図8】用語の定義を示した表である。
【図9】発明の一実施例によるデータパケット構造を示している。
【図10】本発明の一実施例で使用されるパケットIDの名称、各パケットIDが何に使用されるか、および各パケットIDにはどのようなデータが含まれるかを示した表である。
【図11】遠隔制御卓および中央制御ユニットが行うバインド処理を示す表である。
【図12】ともにバインドした遠隔制御卓と中央制御ユニットとの間の通信を示す表である。
【図13】通信が途絶えた遠隔制御卓および中央制御ユニットが行う再バインド処理を示した表である。
【図14】本発明のさらに別の実施例による様々なパケットタイミングを示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1 内視鏡
2 カメラ
3 カメラ制御ユニット
4 ビデオモニタ
5 補助装置
6 有線通信媒体
8 中央制御ユニット
9 遠隔制御卓
10 ドッキングステーション
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の医療用機器を無線遠隔操作による制御卓によって制御する装置および方法に関する。特に、医療機器が他の無線機器からの無許可信号に応答しないよう、無線遠隔操作の制御卓と中央制御ユニットとの安全な無線接続を確立する装置および方法に関する。
本願は、2004年11月1日に出願した米国仮出願第60/623 949号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査法は、生体の内部構造を最少侵襲で考察するための技術である。医療業界においては、内視鏡検査法により、侵襲手術なしに高品質の人体内部構造の画像を得ることができる。内視鏡検査法の基本的器具は、観察対象の生体に挿入される内視鏡(スコープ)である。例えば胃腸病学の医療分野と同様に、内視鏡検査処置では柔軟性のあるスコープが使用される。関節鏡検査法や腹腔鏡検査法のようなその他の医療処置では、固定式のスコープが使用される。このスコープは、通常、光をスコープを介して生体に伝達する強力な光源に連結しているとともに、ビデオイメージデータを得るための電子機器を有するカメラヘッドに連結している。このカメラヘッドは、通常、カメラによって取得したビデオイメージを表示するビデオモニタに連結している。
【0003】
内視鏡検査法による手術においては、例えばより広い視覚作業空間を得るため加圧ガスを生体空洞部に注入する通気器、止血するための電気メス、および/または生体組織を切除・成形するための様々な器具のような様々な医療用機器が使用される。これらの機器は、通常、手術室床に取り付けたフットペダルおよび/またはスイッチを外科医が操作することによって遠隔制御される。これらのフットコントロールは、例えばオン/オフ、速度、強度、器具の移動方向、作動モード等を制御するものである。フットコントロール等を使用することにより、外科医は、器具を手から離したり、持ち手を替えたり、汚染された表面を手で接触したり、患者から目を離したりすることなしに、器具の様々なモードや設定(例えば速度や強度)を調整できるようになる。
【0004】
第1世代のフットペダルやその他の遠隔制御するタイプは、通常、遠隔制御装置と制御される装置とを物理的に連絡する伝導線やケーブルを介して電気インパルス形態の指令信号を中継することによって機能していた。それから技術が進歩するにつれて遠隔制御は無線になり、これにより、ケーブルを床に這わせる必要なしに遠隔制御装置を手術室内のどのような場所にでも配置できるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手術室のような医療環境において無線遠隔制御を使用することは有利であるものの、最終的に患者を危険にさらす別の様々な危険を招くことになる。例えば、付近の別の機器から迷走した電磁信号によって、遠隔制御装置が命令を発していないにもかかわらず制御装置が不適切に反応する危険を与えることになる。より重要なことは、所定の臨床環境においては、相互接近した状態で多数の無線遠隔制御が使用される場合があり、これは誤った遠隔制御装置から受信した装置が制御信号に誤反応してしまう危険を招くものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を有しており、この少なくとも一つのユーザ制御可能な制御操作部の状態および遠隔制御卓独自の識別コードを表す制御卓指令信号を無線伝送するように構成された遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には識別装置と関連する識別コードとともにプログラムされた識別装置を設け、
少なくとも一つの医療機器に連絡しており、前記遠隔制御卓が無線伝送した制御卓指令信号に応答してこの医療機器を制御する中央制御装置を設け、
この中央制御装置には、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置から所定距離内に位置する場合には識別リーダが前記識別装置にプログラムされた識別コードを無線により検索するよう、前記中央制御装置と前記遠隔制御卓とを同期状態にする識別リーダを設け、
前記中央制御装置は、前記中央制御装置と同期する前記遠隔制御卓に対応する識別コードと関連する制御卓指令信号のみを処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、手術室のような医療環境において無線遠隔制御を使用する場合に、付近の別の機器から迷走した電磁信号によって、遠隔制御装置が命令を発していないにもかかわらず制御装置が不適切に反応することを防止でき、より重要なことは、所定の臨床環境において、相互接近した状態で多数の無線遠隔制御が使用される場合に、誤った遠隔制御装置から受信した装置が制御信号に呉反応してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて実施例を説明する。この発明の一つ以上の実施例は例示であって、添付図面に示される特定の実施例に限定されると解釈すべきではない。
【実施例】
【0009】
以下詳細に示すように、本発明による単一の無線遠隔制御卓(制御卓あるいはコンソール)は、外科医等の操作者が内視鏡外科処置時に一つ以上の医療機器を制御可能にするものである。この制御卓は、操作者の手足によって医療用器具を操作するように設計した一つ以上の複合制御操作部からなる。例えば、多数の装置が連結されている場合に制御される装置を選択する選択スイッチのような一つ以上の装置を制御するための一つ以上のフットペダルおよび/またはフットスイッチを備えた足制御の無線制御卓を考慮せよ。フットコントロールの操作に応じて、制御卓は、中央制御ユニットに無線信号を送り、中央制御ユニットが制御されるべき装置を選択してこの選択された装置を制御する。フットコントロールによる制御卓は、再充電可能なバッテリを備えている場合があり、これは制御卓ハウジング内に密閉されており、ドッキングステーションに配置した場合に誘導充電される。レシーバーユニットおよびドッキングステーションは別ユニットでよく、あるいは単一ハウジング内に一体化することもできる。
【0010】
I.無線遠隔制御卓および中央制御ユニット。
図1は、無線遠隔制御システムの一例を示したものであり、遠隔制御卓9は、本発明による無線のフットコントロール装置として示されている。この無線遠隔制御システムは、内視鏡1と、この内視鏡1およびカメラ制御ユニット(CCU)3に連結したカメラ2とを備えている。カメラ2によって得られた画像を表示するビデオモニタ4もカメラ制御ユニット3に接続している。また、無線遠隔制御システムは、多数の補助装置5(例えば5A、5B等)からなり、これらには、外科用器具(例えば通気器、電気メス、無線周波数発生器、切除器具/シェーバ器具)から、外科環境で使用されるその他の装置(例えばビデオキャプチャ装置、手術テーブルライト、ルームライト)まで含まれる。その機器が何であるかに応じて、補助装置5Aや中央制御ユニット3と同様に、補助器具5の一つ以上は共通の有線通信媒体6によって相互連結することができる。有線通信媒体6は、例えばIEEE1394バックプレーン接続、イーサネット(登録商標)接続、同様の機能を有するその他の通信媒体である。
【0011】
中央制御ユニット8は、直接に、または有線通信媒体6を介して、各補助装置5に連結している。遠隔制御卓9は、図1では無線のフットコントロール制御として示されており、中央制御ユニット8に接続した補助装置5のいずれかを中央制御ユニット8と協働して制御する。特にこの例においては、制御卓9は様々な足操作のペダル、スイッチ、および/または操作者が発動させた場合に制御卓9が無線制御信号を中央制御ユニット8に送ることができる足操作の制御操作部が含まれる。制御卓9から受け取った制御信号に応じて、中央制御ユニット8は、現在選択されている補助装置5の一つと通信する。この通信は、補助装置5Aとの通信の場合であれば有線通信媒体6を介してなされ、補助装置5Bとの通信の場合であれば直接(アナログまたはデジタル)接続78によってなされる。直接接続78は、補助装置5専用の制御卓の入力をエミュレートする。さらに、制御される一つ以上の補助装置5は、無線リンクのみによって中央制御ユニット8と通信する場合がある。
【0012】
制御卓9は無線なので、自身の電源が必要である。一実施態様においては、この電源は取り替え可能な一つ以上のアルカリバッテリである。別の実施態様においては、電源は再充電のため制御卓9から取り外し可能な一つ以上の充電式バッテリである。一つ以上の充電式バッテリは、制御卓9のハウジング内に密封配置することもできる。このような実施態様において、ハウジング27は成形プラスチックや同様の物質からなり、これにより制御卓9が軽量化され、耐久性があり、液浸可能で、掃除が容易となる。このアプローチは、その他の理由として所定内視鏡手術処置の際に大量の水や液体が手術室の床に溢れ出るため、望ましいものである。したがって、密封した制御卓ハウジングは、手術室環境に直接曝される電気接触を設ける必要がないため、有利である。さらに、内部充電式バッテリによって、手術室で必要な電気ケーブルの数を減らすことができる。
【0013】
内部バッテリを充電するためには、ドッキングステーション10を用意する。制御卓9をドッキングステーション10に配置し、ここでバッテリが電磁誘導等の手段で充電される。またドッキングステーション10は、制御卓9を使用しないときには制御卓9のホルダーとして機能する。図2は、ドッキングステーション10の一例を示しており、制御卓のバッテリを充電するためあるいは保管するために、どのようにして制御卓9がドッキングステーション10に挿入されるかを示している。図3は、どのようにして内視鏡器具に使用されるタイプの装備カート41にドッキングステーション10が配置されるかを示している。
【0014】
本発明で使用可能なあるタイプの遠隔制御卓9の外観が図4の例に示されている。具体的には、図4は、足制御(フットコントロール)可能な遠隔制御卓9を示しており、これは比較的軽量であって、手術室のスタッフが遠隔制御卓9を持ち運ぶためのハンドル21を備えている。そこに示されるように、遠隔制御卓9は、左右のペダル22、23を備えており、また3つの足制御スイッチ、すなわち左スイッチ24、中央スイッチ25、および右スイッチ26も備えている。他の態様としては、ペダル、スイッチ、その他の制御操作部を組み合わせたものが挙げられる。このスイッチ24〜26は、例えば単純な押しボタンスイッチであって、例えば補助装置5の様々な動作モードを選択するために使用される。ペダル22、23は、単純なポテンショメータ(電位差)型の足制御操作部であって、例えば速度、強度、および/またはその他医療機器の様々な設定の制御に使用されるものである。
【0015】
遠隔制御卓9のその他の詳細については、図4に例示したような足制御の制御卓9を意味するものとする。しかしながら、既に述べたように、無線の遠隔制御システムは、一つのタイプに限定されるものではなく、両足制御や手操作の制御卓を含む(これに限定されない)、実質的にあらゆるタイプやデザインで使用するように構成することができる。
【0016】
ある実施態様においては、図4の遠隔制御卓9は、補助装置5のいずれも制御できるところ、一回につき、補助装置5のうち一つのみを制御するものである。かかる実施態様においては、操作者が補助装置5を制御するための選択スイッチとして、スイッチ24〜26のうち一つが使用される。その他の制御装置の機能は、どの補助装置5が現在選択制御されているかに応じて異なる。この選択は、指定選択スイッチを単に押圧して種々の利用可能な補助装置5を循環して選択するだけでよい。
【0017】
別の実施態様においては、遠隔制御卓9は、二つ以上の補助装置5を同時に制御可能である。例えば、二つ以上の別個のスイッチおよび/またはペダルを、二つ以上の別個の補助装置5を同時制御するために用いることができる。あるいは、遠隔制御卓9に設けた同一の制御操作部を二つ以上の装置の制御に用いることもできる。
【0018】
中央制御ユニット8は、どの補助装置5が存在するか、あるいは補助装置5が有線通信媒体6に連結されているか(あるいは直接接続78によって接続されているか)を検出する。したがって、遠隔制御卓9は、どの補助装置5が現在選択されているかの情報を有する必要がなく、かかる情報は中央制御ユニット8が全面的に保有している。遠隔制御卓9は、単純に一般的な制御信号を伝送し、中央制御ユニット8がこれを受領し、現在選択されている補助装置5にとって適切な形式およびプロトコルを有する別の制御信号に変換する。その他の実施態様においては、中央制御ユニット8は、複合的な遠隔制御卓9が同一の装置または複合的な装置を制御しようとする場合、複合的な遠隔制御卓9からの入力を同時に受信し、対応する制御信号を一つ以上の複合的な装置に出力する。
【0019】
図5は、本発明の一例示態様による遠隔制御卓9の構成要素を示している。そこに示されるように、遠隔制御卓9は、従来のプログラム可能なマイクロコントローラ51を備えており、これは比較的短距離のRF(無線周波)トランスミッタ52およびRFレシーバ57に連結している。このRFトランスミッタ52およびRFレシーバ57は、2.4GHzのISMバンドで作動するCypress WUSBチップセットのような単純なトランシーバユニットに組み込むことができる。その他の実施態様によると、遠隔制御卓9は、900MHzRF、Bluetooth、802.11 a/b/g、Ultra−Wide Band(UWB)、Zigbeeのような無線プロトコルや、IR(赤外線)やレーザのような非RFプロトコルで作動する別のトランシーバ構成を用いることもできる。
【0020】
さらに、遠隔制御卓9には、少なくとも一つの充電式バッテリ54と、順に充電回路53およびマイクロコントローラ51に連結した誘導コイル55とが設けられている。また、遠隔制御卓9内に設けられるか、あるいは遠隔制御卓9の外表面に固着されているRFID(無線周波識別)チップまたはRFIDタグ27も設けられている。遠隔制御卓9の内部部品(すなわちスイッチやペダル以外)は、遠隔制御卓9のハウジング内で完全に密封されており、かかる内部部品が手術室環境によって損壊しないよう保護されており、電気ショックやスパークの危険を減少させる。
【0021】
マイクロコントローラ51は、例えば標準のRS232インタフェースを介して、RFトランスミッタ52およびRFレシーバ57と通信可能である。RFトランスミッタ52は、足操作制御(スイッチおよびペダル)でなされたユーザー入力に応じて、マイクロコントローラ51の制御の下、制御信号を中央制御ユニット8に伝送する。
【0022】
各無線遠隔制御卓9に設けられたマイクロコントローラ51には、独自の識別(ID)コードが割り当てられている。以下でより詳細に示されるように、遠隔制御卓9が生成してRFトランスミッタ52渡す信号に遠隔制御卓9のIDコードが組み込まれているため、このIDコードによって、マイクロコントローラ51は遠隔制御卓9が伝送した指令信号の全てを独自に識別することが可能となる。
【0023】
図6は、本発明の一実施態様による中央制御ユニット8のブロック図である。ここに示されるように、中央制御ユニット8は、プログラム可能なマイクロコントローラ71と、無線のRFレシーバ72および無線のRFトランスミッタ77(あるいはトランシーバの組み合わせ)と、電源73と、ネットワークアダプタ74と、一つ以上の出力インジケータ75とを備えている。マイクロコントローラ71は、中央制御ユニット8の全体的動作を制御する。また別の実施態様においては、マイクロコントローラ71は、プログラム可能な汎用マイクロプロセッサまたは専用マイクロプロセッサ、ASIC等のような、同じ役割を果たすことが可能な一つ以上の別の形態の制御装置で置換することもできる。無線のRFレシーバ72は、上記のように遠隔制御卓9から伝送された制御信号を受け取り、また無線のRFトランスミッタ77は、中央制御ユニット8から無線の制御卓9へ信号を発信するものである。マイクロコントローラ71は、例えば標準のRS232インタフェースを介して、RFレシーバ72およびRFトランスミッタ77と通信可能である。電源73は、利用可能な任意の外部電源から供給された電力に基づき制御された電力を中央制御ユニット8に供給する。
【0024】
また、中央制御ユニット8内には、比較的弱い磁場を作るRFIDリーダ79も設けられている。RFIDタグがRFIDリーダ79に近接配置されると、タグが磁気エネルギーをピックアップし、RFIDリーダ79との通信を開始する。より具体的には、RFIDタグが接近配置された場合、RFIDリーダ79が発生する磁場は、所定方式で独自に変調される。RFIDタグがIDコード等の情報をRFIDリーダ79に伝えるのは、この磁場変調手段によってである。
【0025】
また中央制御ユニット8は、一つ以上の出力インジケータ75も備えており、これは、どの補助装置5(図1)が現在選択されているかといった様々な情報をシステムのユーザに伝達するために使用される。出力インジケータ75は、例えば、一つ以上のLED(発光ダイオード)や、LCD(液晶ディスプレイ)、音響スピーカ等である。
【0026】
マイクロコントローラ71は、どの補助装置5が現在選択されているかに応じて、無線レシーバ72が受け取った制御信号を利用し、有線通信媒体6の特定の補助装置5に向けて指令信号および/またはその他の制御信号を生成する。マイクロコントローラ71は、現在選択されている補助装置5にとって適切なフォーマットおよび/またはプロトコルで、特定の指令やその他の制御信号を生成するようプログラムされている。マイクロコントローラ71によって、ネットワークアダプタ74がこれらの生成コマンドを有線通信媒体6に伝送する。
【0027】
ネットワークアダプタ74は、例えば標準のIEEE1394アダプタであり、有線通信媒体6は、例えばIEEE1394バックプレーンである。この場合、中央制御ユニット8は、バックプレーに接続したその他の機器を識別するために標準のIEEE1394プロトコルを用いる。さらに別の実施態様においては、中央制御ユニット8は、例えば、Stryker Corporation’s Integrated Device Network(SIDNE) Control Systemや、Total Performance System (TPS)や、Stryker Endoscopy’s Radio Frequency Ablation System (SERFAS)のような装置用に設計されたIEEE1394以外の通信媒体に対応できる。
【0028】
所定の実施態様において、中央制御ユニット8は、上記および図1に示したような制御される補助装置5への一つ以上の「直接」接続(非ネットワーク接続)78も(を)有している。かかる実施態様においては、中央制御ユニット8は、マイクロコントローラ71と直接接続78とを接続する通信アダプタ70を備えている。ある例においては、中央制御ユニット8と補助装置5との間をその他の装置やアダプターで接続せずに、中央制御ユニット8と補助装置5との間を直接接続78によって実行でき、それ以外の場合は、中央制御ユニット8と補助装置5とを、中央制御ユニット8とのネットワーク接続をエミュレートする別個の外部アダプタ(「ドングル」)を介して接続することで直接接続78が実行される。
【0029】
II.同期した遠隔制御システムの基本動作。
所定の病床環境においては、複数の遠隔制御卓9および中央制御ユニット8が相互接近して使用される場合がある。これにより、中央制御ユニット8が誤った制御卓9からの信号に反応する危険が生じる。これを防止するため、遠隔制御卓9のそれぞれには、各マイクロコントローラ51独自のIDコードのような独自の装置識別子が割り当てられている。中央制御ユニット8のそれぞれは、その装置識別子に基づいて一つ以上の特定の遠隔制御卓9に反応する(「同期」できる)ように構成されている。動作時に遠隔制御卓9がユーザー入力を表す信号を伝送する場合、遠隔制御卓9は、この信号とともに遠隔制御卓9に予め割り当てられたIDコードを伝送する。特定の遠隔制御卓9と同期した後では、中央制御ユニット8は、正しい制御卓IDコードを伴っていない受信無線信号(不知の遠隔制制御卓9や許可されていない遠隔制御卓9からの信号)を全て無視することになる。このようにして、中央制御ユニット8は、近傍にあるものの中央制御ユニット8と同期していない無線の遠隔制御卓9に誤反応することを防止する。
【0030】
本発明の一実施態様によると、無線の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との同期は、RFID(無線周波識別)によって達成できる。具体的には、製造工程において、各遠隔制御卓9に含まれるマイクロコントローラ51のそれぞれに割り当てられた独自のIDコードが読み込まれるか取得される。それからこの独自のIDコードは、RFIDチップまたはRFIDタグ27に書き込まれる。この新たに書き込まれたRFIDタグ27は、それからIDコードを取得したその遠隔制御卓9内に密封されるか遠隔制御卓9上に搭載される。
【0031】
無線の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とを同期させるには、遠隔制御卓9を起動し、中央制御ユニット8の隣に配置する。より具体的には、RFIDタグ27を有する遠隔制御卓9の領域は、中央制御ユニット8のRFIDリーダ79と一列の位置となる。それから遠隔制御卓9は、中央制御ユニット8に接近させる(例えば1インチ。2.54cm)。RFIDタグ27が十分に接近すると、RFIDタグ27が発生する磁場が変調する。RFIDリーダ79は、磁場のこの特定の変調を検出し、それをその特定の遠隔制御卓9独自のIDコードに変換する。
【0032】
それから、RFIDリーダ79は、付近の遠隔制御卓9独自のIDコードを中央制御ユニット8のマイクロコントローラ71に伝送する。このとき、中央制御ユニット8は、その特定の遠隔制御卓9と同期し、同期した無線遠隔制御卓9と同期独自のIDコードによって識別されたかそのようなIDコードを含む無線指令信号のみに対して作用または応答確認する。
【0033】
中央制御ユニット8と遠隔制御卓9とが同期したことをユーザに告知するためには、中央制御ユニット8は、音響または映像による合図(キュー)を発するように構成する。映像による合図は、出力インジケータ75により提供されるか、あるいは中央制御ユニット8に設けた同期時にオンになるか色が変化するLEDのような別個の「同期」インジケータ(図示せず)により提供される。
【0034】
ひとたび同期すると、遠隔制御卓9は、中央制御ユニット8に接続した補助装置5を制御可能となる。しかし、遠隔制御卓9は中央制御ユニット8に接続した補助装置5を制御するが、中央制御ユニット8は、遠隔制御卓9がどのように機能するかを制御する。例えば図2に示した足操作の遠隔制御卓9を考慮せよ。操作者が遠隔制御卓9の左ペダル22を押圧した場合、遠隔制御卓9は、一般的な「左ペダル」指令信号(これは遠隔制御卓独自のIDコードがコード化されている)を中央制御ユニット8に伝送する。遠隔制御卓9から「左ペダル」指令信号を受信すると、中央制御ユニット8は、まず遠隔制御卓9独自のIDコードを検索して、受信した指令信号が有効かどうかの検証を行う。もしこれが有効であれば、中央制御ユニット8は、それから、遠隔制御卓9からの特定の指令信号が現在制御される補助装置5に関するものであると解釈できるかを判定するため、受信した「左ペダル」指令信号と予めプログラムされた指令とを比較する。それから中央制御ユニット8は、共通の有線通信媒体6を介して(あるいは直接接続で)、解釈した指令を制御される補助装置5へ発する。
【0035】
既に述べたように、中央制御ユニット8は、複数の補助装置5に接続することができ、遠隔制御卓9で順次制御することができる。遠隔制御卓9によってどの補助装置5が制御されるかを選択するため、中央制御ユニット8には「モード」ボタンが設けられている。このモードボタンを押すと、中央制御ユニット8は、接続された補助装置5のリストを切り替え(トグル)、ここから操作者が選択できる。使用される遠隔制御卓9のタイプによっては、ユーザは、遠隔制御卓9に設けたモードボタンを押すことで、どの補助装置5が制御されるかを遠隔的に選択することもできる。
【0036】
本発明の別の実施態様によると、中央制御ユニット8は、所定の不使用時間が経過した場合(例えば30秒)、同期した遠隔制御卓9から受け取った指令に対して即時応答しないように構成されている。その代わり、中央制御ユニット8は、どの補助装置5が遠隔制御卓9で現在作動しているかを例えば出力インジケータ75によって視覚的に報告する。それから、第2指令が発せられると、通常の動作が再開される。
【0037】
同様に、さらに長い所定の不使用時間が経過すると、遠隔制御卓9は、バッテリを節約するため「スリープ」モードに入る。中央制御ユニット8は、その出力インジケータ75に、遠隔制御卓9がスリープモードにある旨を表示する。遠隔制御卓9に設けたボタンおよび/またはスイッチの一つを押すと、再び起動する。
【0038】
遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信は、二つの装置が非同期となると切断される。ユーザーは、中央制御ユニット8の「モード」ボタンを所定の短時間だけ押すことで、手動で通信切断できる。ひとたび非同期となると、遠隔制御卓9が中央制御ユニット8と再び同期するまでは、遠隔制御卓9は機能しない。
【0039】
本発明の別の実施態様によると、中央制御ユニット8は、同時に二つの遠隔制御卓9と同期することが可能である。図7は、そのような二つの遠隔制御卓9と同期可能な中央制御ユニット8の一つの外観図である。図7に示されるように、中央制御ユニット8は、二つの出力インジケータ75a、75bと、二つの同期ポート79a、79b(それぞれRFIDリーダである)と、二つの「モード」ボタン80a、80bとを備えている。
【0040】
二つの別個の同期を同時に可能にする点以外は、図7の中央制御ユニット8は、二つの遠隔制御卓(図示せず)が同一の補助装置5を制御できるように構成されている。これは、第1制御卓を同期させ、それから第2モードボタン80bにより中央制御ユニット8を「統合(マージ)」モードにすることで達成できる。ひとたび第2制御卓が同期すると、二つの制御卓は統合したとみなされる。二つの制御卓が統合したら、同時に同一の補助装置5への指令を発することは不可能となる。そこで、補助装置5に対する制御を切り替えなければならない。制御を切り替えるには、ユーザは現在制御中の第1遠隔制御卓の指令を停止しなければならない。それからユーザは、第2遠隔制御卓のボタン/スイッチのいずれかを押す。これにより、中央制御ユニット8が制御を第2遠隔制御卓へ切り替える。同じ手順を繰り返すと、第1遠隔制御卓による制御に切り替わる。
【0041】
上記の実施態様の全ては、RFIDセンサおよびRFIDタグを使用して、遠隔制御卓のIDコードを中央制御ユニット8に自動的に転送開始および転送実行させており、これにより二つのユニットが同期し、他の遠隔制御卓9やその他の無線装置からの指令信号に対するシステムの誤反応から保護される。しかし、本発明のその他の実施態様は、RFIDタグを使用したものに限定されない。これらの実施態様は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とが接近した場合にそれらの間で無線によりIDコード等のデータの搬送を行うその他の手段によることもできる。
【0042】
例えば、一態様(図示せず)としては、光学バーコードスキャン技術を使用することもできる。具体的には、遠隔制御卓9独自のIDコードがバーコードに変換され、これが遠隔制御卓9の外表面に施されるか貼付される。中央制御ユニット8に一体化したバーコードスキャナや、あるいは中央制御ユニット8と通信する別個のバーコードスキャナは、遠隔制御卓9が中央制御ユニット8に対して十分に近接配置されたときに、遠隔制御卓9のバーコードをスキャンする。
【0043】
あるいは、追加の実施態様は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との間のデータ搬送を行うその他の光学的方法を利用する。例えば、遠隔制御卓9に設けたIR(赤外線)トランスミッタおよび中央制御ユニット8に設けたIRレシーバを利用する追加実施態様(図示せず)による同期遠隔制御システムを考慮せよ。相互に近接配置した場合、赤外線信号としてコード化された遠隔制御卓のIDコードが、中央制御ユニット8のIRレシーバに投射される。
【0044】
電磁的データ搬送方法以外には、さらに別の実施態様(図示せず)は、遠隔制御卓9から中央制御ユニット8へのIDコードやその他のデータの搬送のため音響システムを利用する。例えば、遠隔制御卓9は、コンピュータモデム通信と同様に、中央制御ユニット8のマイクに情報伝達する小型スピーカを組み込むことができる。
【0045】
最後に、上記の実施態様は、主に、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とを同期させる安全な無線接続を確立することで安全で信頼性のある無線接続を利用した一つ以上の装置を遠隔制御する手段をユーザに与えるための本発明の背後にある原理を使用することに焦点を当てていた。しかし、本発明のさらに別の実施態様によると、この上記開示された原理は、遠隔制御卓からの制御信号を伝送するための安全な無線接続を確立するためには利用されず、むしろ、単に生データを装置から装置へ搬送するため、安全で信頼性のある無線接続を提供するように変更される。このように、本発明による無線接続は、二つの装置間での安全性のある無線経路として利用される。
【0046】
例えば、無線ビデオカメラとデジタルレコーダとの間の安全な無線データ経路を確立し、それにより信頼性のある無線データ搬送を確実にするために、本発明の原理を利用することを考慮せよ。同様に、本発明の概念は、例えば無線ヘッドマウントディスプレイユニットとこのディスプレイに投影されるリアルタイムビデオイメージを作るコンピュータシステムとの間のような二つの無線装置間での安全な無線リンクを確立するために利用できる。
【0047】
III.無線プロトコル、パケットの種類、信号タイミング。
上述の実施態様において、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との安全な通信は、単に遠隔制御卓9から中央制御ユニット8へ渡される独自のIDコードによって確立された。しかし、追加の実施態様においては、出願人が開発してその所有にある特定の無線通信プロトコル、パケット構造、および信号タイミングを使用するWUF通信プロトコルによって、さらに安全性および信頼性を高めることができる。
【0048】
例えば、Cypress Wireless−USBチップセットを使用した2.4GHz周波数バンドでの「同期」データを通信する、無線遠隔同期制御システムについての以下の実施態様を考慮せよ。このCypress WUSBは、転送ビットを32ビットパスワード(PNCode)でコード化するCDMAベースの低レベルプロトコル(low−level protocol)を利用するものである。これに加え、32ビット識別コードとパケットのデータエラーを10%まで回復可能な1バイトチェックサムとによって、データ転送をさらに保護する追加のプロトコルが設けられる。転送パケットにおいて、正しいPNCode、正しい識別コード、および適切なチェックサムが含まれる場合にのみ、転送パケットは受領され処理される。最後に、このプロトコルは厳密に時間監視されるので、プロトコル破損の場合には装置は常に安全な状態になる。
【0049】
なお、この節で使用される用語の定義についいては、図8の表を参照のこと。
【0050】
患者の安全性を確実にするため、出願人は、待ち時間が短く信頼性の高い安全な無線通信パスを開発した。これは、Cypress WUSB CDMAの低レベルプロトコルのみならず、PNCodeや、データパケット構造や、パケットのタイプや、それらがどのようにして用いられるかや、プロトコル状態や、信号のタイミング構造にも焦点を当てるという多局面にわたるアプローチによって実現された。
【0051】
A.Cypress WUSB CDMAの低レベルプロトコル。
Cypress WUSBチップセットは、そのデータにつき、符号分割多重接続(CDMA)の低レベルプロトコルを利用してエンコードおよびデコードする。要するに、CDMAは、32ビットコード(これはPNCodeと呼ばれる)が「1」の転送ごとに送信されること、その逆のコードが「0」の転送ごとに送信されることを要求する。コード(または逆コード)が2エラー未満(閾と呼ばれる)で受領された場合にのみ、有効な「1」または「0」が記録される。もしこの閾を越えた場合、受領したビットは無効であるとマークされる。閾を2に設定すると、チャンネルに存する適切量のノイズを許容しつつ、高レベルの転送安全性を達成できる。
【0052】
また、16のPNCodeは、80のWUSBチャンネルのそれぞれで利用可能である。WUFレシーバのそれぞれは、PNCodeを判定し、内部識別番号に基づいて通信する。
【0053】
さらに、データ受領は2倍ものオーバーサンプルでなされるため、ノイズ環境でも動作を許容できる。
【0054】
B.パケット構造。
この実施態様におけるWUFプロトコルで使用されるパケットのそれぞれは、8バイトで構成される。図9は、各データパケットの構造を示している。
【0055】
パケットB0〜B3は、パケット使用のトランシーバの製造者識別番号(MID)が含まれる。Cypress WUSBトランシーバチップのそれぞれは、独自の32ビットMIDを含む。すなわち遠隔制御卓9および中央制御ユニット8のそれぞれは、独自のMIDを有している。受信したパケットのMIDがレシーバのCypress WUSBトランシーバチップに記憶されているMIDと一致した場合のみ、パケットは有効なものとして受理される。
【0056】
パケットB4のビット0〜2(b0〜b2)は、後に詳述するようなパケット識別子(PCKID)を含有している。パケットB4のビット3(b3)は、データパス識別子(DPID)を含有しており、これはどのデータ経路が使用されたかを示している。パケットB4のビット4〜7(b4〜b7)は、パケットタイプに固有のデータ(DATA)を含有している。
【0057】
パケットB5およびパケットB6も、パケットタイプに固有のデータ(DATA)を含有している。
【0058】
パケットB7は、パケットのチェックサム(CHKSM)を含有している。
【0059】
パケットの最後のバイトであるチェックサムバイトについては、特に注目しなければならない。このチェックサムバイトにより、レシーバが1バイトにつき1ビットまでのエラーを修正できるようになる。すなわち、10%までのデータが無効とマークされた場合に、パケットにつき適切な値を回復することができる。
【0060】
C.パケットの種類。
本発明による安全な遠隔制御システムが使用するプロトコルは、8つの異なったパケット識別子(PCKID)を利用する。遠隔制御卓9が中央制御ユニット8に送信したパケット識別子は3つであり、中央制御ユニット8が遠隔制御卓9に送信したものは5つである。PCKIDのそれぞれにつき、それが何に使用されるか、それは具体的にどのようなデータを含んでいるかを示した図10の表を参照のこと。
【0061】
D.プロトコル状態。
本発明の実施態様による安全な遠隔制御システムが使用するプロトコルは、フットスイッチとレシーバ間の接続状態を表すため、3つの異なった状態(NOT BOUND、BOUND、WAS BOUND)を利用する。
【0062】
NOT BOUND:遠隔制御卓9が起動後にいずれの中央制御ユニット8にも接続されていない場合は、NOT BOUNDとなる。フットスイッチは、80全てのWUSBチャンネルを継続的にサーチし、WUFレシーバからのベースステーションバインド1パケット(BS_BIND1)の転送を探す。有効なBS_BIND1パケットを受信すると、遠隔制御卓9および中央制御ユニット8は、図11の表に示すバインド処理を行う。このバインド処理が成功すると、遠隔制御卓9は、BOUND状態に移行する。
【0063】
BOUND:BOUND状態では、遠隔制御卓9は、遠隔制御卓9がペダルおよびスイッチ状態の変化を検出したかどうかに基づいて、あるいは低バッテリ状態を検出した場合に、20〜100ミリ秒ごとに現時状態を報告する。図12の表は、遠隔制御卓9と中央制御ユニット8とのBOUND通信を示している。
【0064】
WAS BOUND:もし妨害やレンジ外状態や中央制御ユニット8の電源オフにより遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信が途絶えた場合、遠隔制御卓9はWAS BOUNDに移行する。このWAS BOUND状態では、遠隔制御卓9は、80のWUSBチャンネル全てをサーチし、有効なベースステーション応答確認パケット(BS_ACK)またはベースステーションバインド1パケット(BS_BIND1)を探す。もし遠隔制御卓9がBS_ACKを受信した場合、遠隔制御卓9は、以前に結合していた中央制御ユニット8との転送を開始する。もし遠隔制御卓9がBS_BIND1を受信した場合、遠隔制御卓9は、全てのバインド情報を消去し、BS_BIND1パケットを受信したその新たな中央制御ユニット8とバインドする。図13の表は、WAS BOUND再バインド処理を示している。
【0065】
E.タイミング。
本発明の実施態様で使用される通信プロトコルは、最短の待ち時間および最高の安全性となるように設計している。上記の最短の待ち時間および最高の安全性という特徴を提供できるよう、厳密なタイミング要求をなしている。中央制御ユニット8が通信を開始した後で、どのような状態においても、中央制御ユニット8によってタイミングの指令がなされる。特に、BOUND状態においては、遠隔制御卓9が現時の状態を報告する場合には、タイミングは非常に重要なものとなる。遠隔制御卓9に対しては、20ミリ秒ごとにデータポーリング(探査)が行われる。バッテリ電力を節約するため、遠隔制御卓9は、ペダルおよびスイッチ状態の変化を検出した場合はいつでも、あるいは100ミリ秒ごとに(どちらが先でもよい)、現時状態に対応することが必要となる。遠隔制御卓9に対しては、交互にポーリングが行われる。例えば、第1遠隔制御卓に対してポーリングが行われると、それから第2遠隔制御卓に対してポーリングが行われる。図14は、いくつかのパケットタイミング図を示している。
【0066】
タイミングチェックは、一つ以上の遠隔制御卓9と中央制御ユニット8との通信パス状態の妥当性確認をするため行われる。もし中央制御ユニット8が遠隔制御卓9からの通信を所定時間内に受け取らない場合、データパスは無効と宣言し、制御される補助装置5はセーフ状態になり、中央制御ユニット8はそのデータパスにつきWAS BOUND状態になる。
【0067】
このように、医療措置の際に一つ以上の医療用機器と同期するとともにその医療用機器を安全に信頼性をもって制御する無線の遠隔制御装置につき開示された。本発明が特定の実施態様につき記載されたが、本発明は上記の実施態様にのみに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびその趣旨の範囲内では変更・改変をなして実施できることは認識されよう。したがって、明細書および図面は、限定ではなく例示であると認識されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、医療機器が他の無線機器からの無許可信号に応答しないよう、安全な無線接続を確立する装置及び方法であり、他の無線接続する機器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例による無線遠隔制御システムのブロック図である。
【図2】遠隔制御卓と、この遠隔制御卓を配置して内部バッテリを充電するドッキングステーションとを示すものである。
【図3】どのようにしてドッキングステーションおよび制御装置ユニットが装備カートに配置または載置されるかを示した図である。
【図4】本発明の一実施例による遠隔制御卓の外観である。
【図5】本発明の一実施例による遠隔制御のブロック図である。
【図6】発明の一実施例による中央制御ユニットのブロック図である。
【図7】発明の別の実施例による、2つの遠隔制御卓と同期可能な中央制御ユニットの外側正面図である。
【図8】用語の定義を示した表である。
【図9】発明の一実施例によるデータパケット構造を示している。
【図10】本発明の一実施例で使用されるパケットIDの名称、各パケットIDが何に使用されるか、および各パケットIDにはどのようなデータが含まれるかを示した表である。
【図11】遠隔制御卓および中央制御ユニットが行うバインド処理を示す表である。
【図12】ともにバインドした遠隔制御卓と中央制御ユニットとの間の通信を示す表である。
【図13】通信が途絶えた遠隔制御卓および中央制御ユニットが行う再バインド処理を示した表である。
【図14】本発明のさらに別の実施例による様々なパケットタイミングを示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1 内視鏡
2 カメラ
3 カメラ制御ユニット
4 ビデオモニタ
5 補助装置
6 有線通信媒体
8 中央制御ユニット
9 遠隔制御卓
10 ドッキングステーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を有しており、この少なくとも一つのユーザ制御可能な制御操作部の状態および遠隔制御卓独自の識別コードを表す制御卓指令信号を無線伝送するように構成された遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には識別装置と関連する識別コードとともにプログラムされた識別装置を設け、
少なくとも一つの医療機器に連絡しており、前記遠隔制御卓が無線伝送した制御卓指令信号に応答してこの医療機器を制御する中央制御装置を設け、
この中央制御装置には、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置から所定距離内に位置する場合には識別リーダが前記識別装置にプログラムされた識別コードを無線により検索するよう、前記中央制御装置と前記遠隔制御卓とを同期状態にする識別リーダを設け、
前記中央制御装置は、前記中央制御装置と同期する前記遠隔制御卓に対応する識別コードと関連する制御卓指令信号のみを処理することを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項2】
前記識別装置は、RFIDタグ、バーコード、可視光もしくは非可視光を伝達する光学式トランスミッタ、および音響により情報を伝達するスピーカのうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項3】
前記制御卓指令信号は、中央制御装置が、所定形式のフォーマットおよび選択制御される医療機器とプロトコルを有する装置制御信号に変換する一般的な制御信号からなることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項4】
前記遠隔制御卓は、第1遠隔制御卓であり、前記制御システムは、さらに第2遠隔制御卓を備えており、この第1、第2の遠隔制御卓は、同時に前記中央制御装置と同期した状態で存することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項5】
同期した前記第1、第2の遠隔制御卓は、同一の医療機器を制御することを特徴とする請求項4に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部は、第1制御操作部と第2制御操作部とからなり、前記第1制御操作部は、前記中央制御装置に連絡した第1医療器具を制御し、前記第2制御操作部は、前記中央制御装置に連絡した第2医療器具を制御することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項7】
ユーザは、前記遠隔制御卓に設けた前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部により、前記中央制御装置に連絡している複数の医療器具の中からどの医療器具(一つまたは複数)を制御するかを選択できることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項8】
ユーザは、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部のうちの一つを繰り返し動作すること、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の動作状態時間、および前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部が所定時間内で動作した回数のいずれか一つによって、前記中央制御装置に連絡している複数の医療器具の中からどの医療器具を制御するかを選択することを特徴とする請求項7に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項9】
前記医療器具の少なくとも一つは、直接接続、共通の有線通信媒体、および無線接続のうちの一つによって、前記中央制御装置に連絡していることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項10】
遠隔制御卓および中央制御装置は、WUSB、900MHz RF、Bluetooth、802.11a/b/g、Ultra−Wide Band (UWB)、Zigbee、赤外線(IR)およびレーザのうち一つを使用して、相互に通信することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項11】
前記遠隔制御卓は、さらに、充電式バッテリおよび非充電式バッテリのうち一つ以上を備えていることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項12】
前記遠隔制御卓は、さらに、直接接続および電磁誘導の一方により充電可能な少なくとも一つの充電式バッテリを備えていることを特徴とする請求項11に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項13】
さらに、前記遠隔制御卓を取り外し可能に保持するドッキングステーションを設け、このドッキングステーションは、前記遠隔制御卓がこのドッキングステーションで取り外し可能に保持される場合に前記少なくとも一つの充電式バッテリを充電することを特徴とする請求項12に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項14】
前記中央制御装置は、さらに、医療機器の選択、医療機器の設定、および前記中央制御装置が医療器具に発信した装置指令信号を含む様々な情報をユーザに伝達するため、視覚インジケータおよび音響インジケータの少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項15】
前記遠隔制御卓は、手および足の一方で操作されることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項16】
前記中央制御装置は、同期した遠隔制御卓を所定時間間隔でポーリングすることによって、この同期遠隔制御卓との無線通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項17】
前記中央制御装置は、もし前記中央制御装置が医療機器を制御する同期した前記遠隔制御卓から有効な無線通信を所定時間内に受信しない場合は、制御される医療機器をセーフ状態にすることを特徴とする請求項16に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項18】
安全な無線接続により少なくとも一つの医療器具を制御するシステムであって、この制御システムには、
少なくとも一つの医療機器の有する少なくとも一つの機能を遠隔制御する無線の遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には、
独自の識別コードが割り当てられた第1マイクロコントローラと、
この第1マイクロコントローラによってその状態が監視される少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部と、
前記第1マイクロコントローラによって操作され、前記第1マイクロコントローラの前記独自の識別コードを前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の状態を示す一つ以上の制御卓指令信号と組み合わせて無線通信するように構成された第1無線トランシーバと、
前記第1マイクロコントローラの前記独自の識別コードに基づき前記無線遠隔制御卓を識別するように構成した識別装置とを設け、
前記制御システムには、
少なくとも一つの医療機器と連絡した中央制御装置を設け、この中央制御装置には、
第2マイクロコントローラと、
この第2無線トランシーバにより操作され、無線制御卓の前記第1無線トランシーバと無線通信するように構成した第2無線トランシーバと、
前記第2マイクロコントローラと通信する、無線遠隔制御卓の識別装置が識別装置リーダから所定近接距離内に置かれた場合に前記第1マイクロコントローラの識別コードを検索することにより無線の遠隔制御卓と中央制御装置とを同期するように構成された識別装置リーダとを設け、
前記中央制御装置は、前記無線遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した場合のみ前記無線の遠隔制御卓の制御卓指令信号を受け取るように設け、受け取った制御卓指令信号は、前記中央制御装置によって適切なフォーマットおよび少なくとも一つの医療機器によって理解されるプロトコルを有する装置の制御信号に変換されることを特徴とする制御システム。
【請求項19】
少なくとも一つの医療機器の有する少なくとも一つの機能を遠隔制御するための少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を備えた、独自の識別コードと関連している遠隔制御卓を設けるステップと、
前記遠隔制御卓と無線通信が可能な中央制御装置と少なくとも一つの医療機器とを連結させるステップと、
前記遠隔制御卓を前記中央制御装置から所定距離内に配置することで前記遠隔制御卓と前記中央制御装置とを無線で同期させるステップと、
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の状態を表すとともに前記遠隔制御卓独自の識別コードを含む少なくとも一つの無線制御卓指令信号を同期した遠隔制御卓が生成するステップと、
無線制御卓制御信号に前記中央制御装置と同期した前記遠隔制御卓独自の識別コードが含まれない限り、前記中央制御装置が他の無線制御卓制御信号を処理することを防止するステップとからなることを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項20】
前記遠隔制御卓と前記中央制御装置とを同期させる前記ステップは、さらに、
前記遠隔制御卓に、識別装置と関連する前記遠隔制御卓独自の識別コードをプログラムした識別装置を設けるステップと、
前記中央制御装置に識別リーダを設けるステップと、
前記遠隔制御卓が前記識別リーダから所定距離内に置かれた場合に前記識別装置からの識別コードを無線により検索するステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項21】
前記遠隔制御卓が生成した前記無線制御卓制御信号は、前記中央制御装置が選択された制御医療機器と適合する装置制御信号に変換する一般的な制御信号であることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項22】
前記遠隔制御卓は第1遠隔制御卓であり、さらに
第2遠隔制御卓を設けるステップと、
前記第1遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した後で前記第2遠隔制御卓と前記中央制御装置とを無線により同期させるステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部は、第1制御操作部および第2制御操作部からなり、さらに、
前記中央制御装置と連絡した第1医療機器を前記第1制御操作部により制御するステップと、
前記中央制御装置と連絡した第2医療機器を前記第2制御操作部により制御するステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項24】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を繰り返し操作することで前記中央制御装置と連絡した利用可能な医療機器を循環させるステップと、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を所定時間動作するステップと、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を所定時間内で所定回数動作するステップとのいずれか一つのステップからなる、前記中央制御装置と連絡した医療機器を制御するため複数の医療機器の中から選択するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項25】
中央制御装置と連絡した少なくとも一つの医療機器を配置するステップと、
遠隔制御卓からこれと関連する独自の識別コードを検索してこの識別コードを前記中央制御装置に記憶するすることにより前記中央制御装置と遠隔制御卓とを無線により同期させるステップと、
前記中央制御装置と同期した遠隔制御卓との間で無線により交換したパスワードを有するデータをコード化するステップと、
前記中央制御装置が受け取った無線制御卓信号がパスワードおよび記憶した識別コードでコード化されていなければ、前記中央制御装置は受け取った無線制御卓信号の医療機器の制御信号への変換を防止するステップとからなることを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項26】
さらに、前記遠隔制御卓につき、前記遠隔制御卓起動後に前記遠隔制御卓が前記中央制御装置といまだ同期していない場合はNOT BOUND状態に、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した場合はBOUND状態に、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した後に前記遠隔制御卓と前記中央制御装置との通信が中断した場合はWAS BOUNDにするステップとからなるとを特徴とする請求項25に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項1】
少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を有しており、この少なくとも一つのユーザ制御可能な制御操作部の状態および遠隔制御卓独自の識別コードを表す制御卓指令信号を無線伝送するように構成された遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には識別装置と関連する識別コードとともにプログラムされた識別装置を設け、
少なくとも一つの医療機器に連絡しており、前記遠隔制御卓が無線伝送した制御卓指令信号に応答してこの医療機器を制御する中央制御装置を設け、
この中央制御装置には、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置から所定距離内に位置する場合には識別リーダが前記識別装置にプログラムされた識別コードを無線により検索するよう、前記中央制御装置と前記遠隔制御卓とを同期状態にする識別リーダを設け、
前記中央制御装置は、前記中央制御装置と同期する前記遠隔制御卓に対応する識別コードと関連する制御卓指令信号のみを処理することを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項2】
前記識別装置は、RFIDタグ、バーコード、可視光もしくは非可視光を伝達する光学式トランスミッタ、および音響により情報を伝達するスピーカのうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項3】
前記制御卓指令信号は、中央制御装置が、所定形式のフォーマットおよび選択制御される医療機器とプロトコルを有する装置制御信号に変換する一般的な制御信号からなることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項4】
前記遠隔制御卓は、第1遠隔制御卓であり、前記制御システムは、さらに第2遠隔制御卓を備えており、この第1、第2の遠隔制御卓は、同時に前記中央制御装置と同期した状態で存することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項5】
同期した前記第1、第2の遠隔制御卓は、同一の医療機器を制御することを特徴とする請求項4に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項6】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部は、第1制御操作部と第2制御操作部とからなり、前記第1制御操作部は、前記中央制御装置に連絡した第1医療器具を制御し、前記第2制御操作部は、前記中央制御装置に連絡した第2医療器具を制御することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項7】
ユーザは、前記遠隔制御卓に設けた前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部により、前記中央制御装置に連絡している複数の医療器具の中からどの医療器具(一つまたは複数)を制御するかを選択できることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項8】
ユーザは、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部のうちの一つを繰り返し動作すること、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の動作状態時間、および前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部が所定時間内で動作した回数のいずれか一つによって、前記中央制御装置に連絡している複数の医療器具の中からどの医療器具を制御するかを選択することを特徴とする請求項7に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項9】
前記医療器具の少なくとも一つは、直接接続、共通の有線通信媒体、および無線接続のうちの一つによって、前記中央制御装置に連絡していることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項10】
遠隔制御卓および中央制御装置は、WUSB、900MHz RF、Bluetooth、802.11a/b/g、Ultra−Wide Band (UWB)、Zigbee、赤外線(IR)およびレーザのうち一つを使用して、相互に通信することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項11】
前記遠隔制御卓は、さらに、充電式バッテリおよび非充電式バッテリのうち一つ以上を備えていることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項12】
前記遠隔制御卓は、さらに、直接接続および電磁誘導の一方により充電可能な少なくとも一つの充電式バッテリを備えていることを特徴とする請求項11に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項13】
さらに、前記遠隔制御卓を取り外し可能に保持するドッキングステーションを設け、このドッキングステーションは、前記遠隔制御卓がこのドッキングステーションで取り外し可能に保持される場合に前記少なくとも一つの充電式バッテリを充電することを特徴とする請求項12に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項14】
前記中央制御装置は、さらに、医療機器の選択、医療機器の設定、および前記中央制御装置が医療器具に発信した装置指令信号を含む様々な情報をユーザに伝達するため、視覚インジケータおよび音響インジケータの少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項15】
前記遠隔制御卓は、手および足の一方で操作されることを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項16】
前記中央制御装置は、同期した遠隔制御卓を所定時間間隔でポーリングすることによって、この同期遠隔制御卓との無線通信を開始することを特徴とする請求項1に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項17】
前記中央制御装置は、もし前記中央制御装置が医療機器を制御する同期した前記遠隔制御卓から有効な無線通信を所定時間内に受信しない場合は、制御される医療機器をセーフ状態にすることを特徴とする請求項16に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続により制御するシステム。
【請求項18】
安全な無線接続により少なくとも一つの医療器具を制御するシステムであって、この制御システムには、
少なくとも一つの医療機器の有する少なくとも一つの機能を遠隔制御する無線の遠隔制御卓を設け、
この遠隔制御卓には、
独自の識別コードが割り当てられた第1マイクロコントローラと、
この第1マイクロコントローラによってその状態が監視される少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部と、
前記第1マイクロコントローラによって操作され、前記第1マイクロコントローラの前記独自の識別コードを前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の状態を示す一つ以上の制御卓指令信号と組み合わせて無線通信するように構成された第1無線トランシーバと、
前記第1マイクロコントローラの前記独自の識別コードに基づき前記無線遠隔制御卓を識別するように構成した識別装置とを設け、
前記制御システムには、
少なくとも一つの医療機器と連絡した中央制御装置を設け、この中央制御装置には、
第2マイクロコントローラと、
この第2無線トランシーバにより操作され、無線制御卓の前記第1無線トランシーバと無線通信するように構成した第2無線トランシーバと、
前記第2マイクロコントローラと通信する、無線遠隔制御卓の識別装置が識別装置リーダから所定近接距離内に置かれた場合に前記第1マイクロコントローラの識別コードを検索することにより無線の遠隔制御卓と中央制御装置とを同期するように構成された識別装置リーダとを設け、
前記中央制御装置は、前記無線遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した場合のみ前記無線の遠隔制御卓の制御卓指令信号を受け取るように設け、受け取った制御卓指令信号は、前記中央制御装置によって適切なフォーマットおよび少なくとも一つの医療機器によって理解されるプロトコルを有する装置の制御信号に変換されることを特徴とする制御システム。
【請求項19】
少なくとも一つの医療機器の有する少なくとも一つの機能を遠隔制御するための少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を備えた、独自の識別コードと関連している遠隔制御卓を設けるステップと、
前記遠隔制御卓と無線通信が可能な中央制御装置と少なくとも一つの医療機器とを連結させるステップと、
前記遠隔制御卓を前記中央制御装置から所定距離内に配置することで前記遠隔制御卓と前記中央制御装置とを無線で同期させるステップと、
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部の状態を表すとともに前記遠隔制御卓独自の識別コードを含む少なくとも一つの無線制御卓指令信号を同期した遠隔制御卓が生成するステップと、
無線制御卓制御信号に前記中央制御装置と同期した前記遠隔制御卓独自の識別コードが含まれない限り、前記中央制御装置が他の無線制御卓制御信号を処理することを防止するステップとからなることを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項20】
前記遠隔制御卓と前記中央制御装置とを同期させる前記ステップは、さらに、
前記遠隔制御卓に、識別装置と関連する前記遠隔制御卓独自の識別コードをプログラムした識別装置を設けるステップと、
前記中央制御装置に識別リーダを設けるステップと、
前記遠隔制御卓が前記識別リーダから所定距離内に置かれた場合に前記識別装置からの識別コードを無線により検索するステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項21】
前記遠隔制御卓が生成した前記無線制御卓制御信号は、前記中央制御装置が選択された制御医療機器と適合する装置制御信号に変換する一般的な制御信号であることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項22】
前記遠隔制御卓は第1遠隔制御卓であり、さらに
第2遠隔制御卓を設けるステップと、
前記第1遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した後で前記第2遠隔制御卓と前記中央制御装置とを無線により同期させるステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部は、第1制御操作部および第2制御操作部からなり、さらに、
前記中央制御装置と連絡した第1医療機器を前記第1制御操作部により制御するステップと、
前記中央制御装置と連絡した第2医療機器を前記第2制御操作部により制御するステップとからなることを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項24】
前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を繰り返し操作することで前記中央制御装置と連絡した利用可能な医療機器を循環させるステップと、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を所定時間動作するステップと、前記少なくとも一つのユーザ操作可能な制御操作部を所定時間内で所定回数動作するステップとのいずれか一つのステップからなる、前記中央制御装置と連絡した医療機器を制御するため複数の医療機器の中から選択するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項19に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項25】
中央制御装置と連絡した少なくとも一つの医療機器を配置するステップと、
遠隔制御卓からこれと関連する独自の識別コードを検索してこの識別コードを前記中央制御装置に記憶するすることにより前記中央制御装置と遠隔制御卓とを無線により同期させるステップと、
前記中央制御装置と同期した遠隔制御卓との間で無線により交換したパスワードを有するデータをコード化するステップと、
前記中央制御装置が受け取った無線制御卓信号がパスワードおよび記憶した識別コードでコード化されていなければ、前記中央制御装置は受け取った無線制御卓信号の医療機器の制御信号への変換を防止するステップとからなることを特徴とする少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【請求項26】
さらに、前記遠隔制御卓につき、前記遠隔制御卓起動後に前記遠隔制御卓が前記中央制御装置といまだ同期していない場合はNOT BOUND状態に、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した場合はBOUND状態に、前記遠隔制御卓が前記中央制御装置と同期した後に前記遠隔制御卓と前記中央制御装置との通信が中断した場合はWAS BOUNDにするステップとからなるとを特徴とする請求項25に記載の少なくとも一つの医療機器を安全な無線接続によって制御する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−519501(P2008−519501A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539317(P2007−539317)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039589
【国際公開番号】WO2006/050410
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(595148888)ストライカー・コーポレーション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2725 Fairfield Road,Kalamazoo,Michigan United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039589
【国際公開番号】WO2006/050410
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(595148888)ストライカー・コーポレーション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2725 Fairfield Road,Kalamazoo,Michigan United States of America
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]