説明

中性新聞印刷用紙の製造方法

【課題】
ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する場合において、この中でもツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が高速の場合において、更にこの中でも、紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙を抄造する場合において、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子分、填料などの微細成分のワイヤー上での歩留りを大幅に改善でき、長期連続抄造が可能であり、更に地合が良好な中性新聞印刷用紙の製造方法の提供にある。
【解決手段】
ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのホモポリマーまたはジアリルジメチルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアドとのコポリマーで処理した填料を添加し、かつ、歩留り向上剤として超高分子量のエマルション型カチオン性ポリアクリルアミド系物質を添加した紙料を抄紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中性新聞印刷用紙の製造方法に関し、更に詳しくは、ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する抄紙工程における紙料および灰分の歩留りが高く、かつ抄紙した紙の地合が良好である中性新聞印刷用紙の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抄紙工程におけるワイヤー上の紙料および灰分の歩留まりを向上させることは、排水負荷の軽減、流失原料の削減による製造コストの低減、紙の二面性改善などの紙品質の向上、生産性の向上などから重要な意味を有している。
【0003】
そのため現在までに種々の歩留まり向上システムが提案されており、例えば次のようなシステムを挙げることができる。
(1)カチオン性或いはアニオン性ポリアクリルアミドの1液を添加する方法
(2)カチオン性高分子電解質添加後、カチオン性或いはアニオン性ポリアクリルアミドを添加する方法
(3)カチオン性または両性高分子物質を添加した後、コロイダルシリカを添加する方法
(4)カチオン性高分子物質を添加した後、ベントナイトを添加する方法
【0004】
新聞印刷用紙の製造における近年の技術動向の一つとして、環境に対する意識の向上やコストダウンなどを背景とした、新聞印刷用紙への古紙配合率の増加を挙げることができる。この古紙配合率は年々増加する傾向であり、現在では70%を超える新聞印刷用紙も珍しくはない。古紙中にはインキ成分や塗工紙由来の塗料成分などのマイナスに帯電した微細粒子が多量に含まれている。古紙製造工程における洗浄や分離処理により、これらのインキ成分や塗料成分の除去に努めているが、完全には除去されずに、インキ成分や塗料成分が抄紙系に流入する。マイナスに帯電した粒子は互いに反発し合い、原料中の同じくマイナスに帯電しているパルプ繊維とは容易に結合せず、抄紙機ワイヤーを通過したインキ成分や塗料成分が抄紙系内に蓄積することになる。このようにしてマイナスに帯電したコロイド粒子濃度が上昇すると、抄紙系で添加される歩留り向上剤の効果が著しく低下するという問題がある。
【0005】
また、新聞印刷用紙の製造では生産効率向上の面から、抄紙機は大型化、高速化の方向にある。現状、新聞抄紙機の最高抄紙速度は1,500m/分以上に達している。この抄紙機の高速化に伴い、紙料スラリーに加わる剪断力は強くなる。紙料に添加した歩留り向上剤によって一旦形成されたフロックは、この強い剪断力により、容易に破壊され、歩留り向上剤の効果が著しく低下するという問題がある。
【0006】
更に新聞印刷用紙の紙質の表裏差(二面性)を改善するために、従来の長網抄紙機からツインワイヤー方式への抄紙機ワイヤーパートの転換も進んできている。このツインワイヤー化も歩留り向上剤の効果を低下させる。最近の新設新聞抄紙機の多くでは、ツインワイヤー方式の中でもギャップフォーマーのように、紙料がストックインレットから直接2枚のワイヤー間に噴き出される方式が採用されることが多くなっており、この方式では紙層形成と同時に脱水が行われるため、歩留りの低下が極めて大きい。
【0007】
また、新聞印刷用紙の抄紙法における大きな変化として、新聞印刷用紙の抄造が酸性抄紙から中性抄紙へ転換しつつあることを挙げることができる。紙への填料の配合は、紙を緻密にし、不透明度、平滑性、印刷適性などを向上させることが目的であるが、酸性抄紙で抄造された従来の新聞印刷用紙では填料としてタルクが一般的に配合され、特に印刷裏抜けを抑えるために吸油度の高いホワイトカーボンなどの非晶質シリカが併用されてきた。タルクやホワイトカーボンは酸性領域で安定な物質であるため、硫酸バンドを多用することが可能であり、この無機凝結剤である硫酸バンドと合成高分子系歩留り向上剤の添加により、新聞印刷用紙の酸性抄紙においては、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子、填料などの微細粒子の歩留りは問題ないレベルに維持されていた。中性抄紙法では、填料として少なくとも炭酸カルシウムを配合することが一般的であるが、この炭酸カルシウムは硫酸バンドと反応し、硫酸カルシウムを生成し、これが抄紙系内で析出し、系内の汚れや穴などの紙面欠陥を生じたり、断紙の原因となる。従って、中性抄紙法では硫酸バンドの使用量が制限されている状況にあり、その分、紙料中の微細粒子の歩留りが低下するという問題がある。
【0008】
更に、中性新聞印刷用紙においては高白色度化、高不透明度化、印刷裏抜け低減化などの品質向上を目的として、紙中填料分を増加させる動きがある。酸性抄紙法で使用される填料であるタルクや凝集して二次粒子を形成しているホワイトカーボンは粒子径が大きいことから、これらを多量に酸性新聞印刷用紙に配合すると、これらの填料が紙から離脱しやすく、新聞印刷時に紙粉量が多くなってしまう問題があった。このため、タルクやホワイトカーボンの配合量には限界があった。中性抄紙法で填料として使用される炭酸カルシウムは、粒子径が小さい多くの種類のものを入手可能であり、小粒子径の炭酸カルシウムは紙中に多量に配合しても紙からの離脱が少ないという特徴がある。炭酸カルシウムは高白色度、高不透明度、高印刷後不透明度などの品質面で優れた機能を紙に付与できることから、炭酸カルシウムの高配合化が進められている。しかし、小粒子径の炭酸カルシウムは抄紙工程では紙への歩留りが低下するという問題がある。
【0009】
以上のように、ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する場合において、この中でもツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が高速の場合において、更にこの中でも、紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙を抄造する場合においては、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子分、填料などの微細成分のワイヤー上での歩留りが低下する。
【0010】
このため、新聞印刷用紙の抄造で歩留り向上剤として従来から使用されている極限粘度法による重量平均分子量が最高でも約1,000万程度のカチオン性或いはアニオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加する1液歩留り処方や、カチオン性高分子電解質添加後、前記のカチオン性或いはアニオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加する2液歩留り処方では、中性新聞印刷用紙の地合を良好に維持した場合には、微細成分の十分な歩留りが得られなかった。この歩留り低下のため、ワイヤーを通過した白水中に含まれる微細成分の濃度が高まり、ポリディスクフィルターや浮上分離装置などの白水処理設備の負荷が増大し、白水を処理できない事態に陥いることもあった。また、ワイヤーを通過した微細成分が紙料中に次第に蓄積する結果、抄紙機ストックインレットに供給する紙料の固形分濃度が次第に高くなり、抄造が不安定となり、最悪の場合、最終的に抄紙自体が不可能となる事態も起こることがあった。これらの抄紙中断による経済的損失は非常に大きく、中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する上で極めて重大な問題となっていた。また、抄紙系外へ排水として排出される白水中には多量の有価物である微細粒子が含まれており、この経済的損失も大きく、更に排水処理設備の負荷が増大するという問題もあった。
【0011】
前記1液歩留り処方や2液歩留り処方で、歩留り向上剤を高添加すれば、微細粒子の歩留りは多少改善されるが歩留り向上は頭打ちとなるため、満足できる歩留りは得られず、依然として抄造が不安定であり、かつ抄造して得られる中性新聞印刷用紙の地合が悪化するという問題があった。
【0012】
中性抄紙法による新聞印刷用紙抄造時の微細成分の歩留りを改善する技術が提案されている。例えば、炭酸カルシウムを主体とする填料を含有する製紙原料を用いて新聞印刷用紙を中性〜弱アルカリ性で抄紙する場合において、製紙原料に重合系カチオン性水溶性高分子および/または重縮合系カチオン性物質を添加した後、アニオン性水溶性高分子を添加して抄紙する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、機械パルプおよび/または脱墨パルプを多量に含む中性〜アルカリ性領域の抄造における歩留りや濾水性を改善することを課題として、機械パルプおよび/または脱墨パルプを30〜100重量%含むパルプと填料とから成る、固形分濃度0.1〜1.5重量%、pH=6〜10の紙料に対して、カチオン性高分子電解質、アニオン性高分子物質およびベントナイトを、この順序で添加する技術が開示されている(特許文献2参照)。また、機械パルプおよび/または脱墨パルプを多量に含む紙料系を中性〜アルカリ性領域で抄造する際の歩留りと濾水性の改善を課題として、機械パルプおよび/または脱墨パルプを全パルプ成分に対して30〜100重量%含むパルプと填料を主成分とし、固形分濃度が0.1〜1.5重量%で、pH=6〜10の紙料に対して、カチオン性凝結剤、フェノール系化合物、ノニオン性凝集剤をこの順序で添加し、かつカチオン性凝結剤とフェノール系化合物の比率が25:75〜75:25の配意とする技術が開示されている(特許文献3参照)。これらの技術により、中性新聞印刷用紙抄造時の微細成分の歩留りは若干改善されるが、未だ十分な効果とは言えない。
【0013】
【特許文献1】特開2002−227093号公報
【特許文献2】特開平9−250095号公報
【特許文献3】特開平11−247089号公報
【0014】
以上の状況から、ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する場合において、この中でもツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が高速の場合において、更にこの中でも、紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙を抄造する場合において、安定した長期連続抄造を可能にするために、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子分、填料などの微細成分のワイヤー上での歩留りを大幅に改善でき、かつ、抄造した中性新聞印刷用紙の地合を良好に維持できる歩留り技術について、早期の開発が強く望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する場合において、この中でもツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が高速の場合において、更にこの中でも、紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙を抄造する場合において、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子分、填料などの微細成分のワイヤー上での歩留りを大幅に改善でき、長期連続抄造が可能であり、更に地合が良好な中性新聞印刷用紙の製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、ツインワイヤー抄紙機で中性新聞印刷用紙を抄造する場合の歩留り改善について鋭意研究した結果、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのホモポリマーまたはジアリルジメチルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアドとのコポリマーで処理した填料を添加し、かつ、歩留り向上剤として超高分子量のエマルション型カチオン性ポリアクリルアミド系物質の使用により、填料の歩留りが飛躍的に高まり、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0017】
ツインワイヤー抄紙機で新聞印刷用紙を中性抄紙法で抄造する場合において、本発明を実施することにより、紙の地合を良好に維持しながら極めて高い歩留りを達成でき、この歩留り向上により、高速での安定した長期連続抄造が可能となる。特に紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙の抄造に本発明を適用すると発明の効果が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ツインワイヤー抄紙機で中性新聞印刷用紙を抄造する場合、微細粒子の歩留りが低下し、操業が不安定となり、紙品質の変動を引き起こすこともある。中でも、ツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が高速になると速度の上昇に伴い、この問題が大きくなる。更にこの中でも、紙中填料率の高い中性新聞印刷用紙の抄造では歩留り低下は深刻な問題であり、先の問題に加えて、場合によっては長期連続抄造が不可能となる。従って、本発明の中性新聞印刷用紙の製造方法を適用する抄紙機はツインワイヤー抄紙機であるが、好ましくは抄紙速度が高速のツインワイヤー抄紙機であり、更に好ましくは紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙を抄造する抄紙速度が高速のツインワイヤー抄紙機である。ツインワイヤー抄紙機としては、ギャップフォーマー、オントップフォーマーなどが挙げられる。本発明でいう高速とは700m/分以上であるが、本発明を適用して得られる効果は800m/分以上がより高いので好ましく、1,000m/分以上が更に効果が高いのでより好ましい。なお、新聞抄紙機は今後も高速化が進むと予想されるので、本発明においては抄紙速度の上限を設定していない。
【0019】
本発明で製造される中性新聞印刷用紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、機械パルプ(MP)、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、新聞印刷用紙の抄紙原料として一般的に使用されているものであればよく、適宜、これらの1種類または2種類以上を配合して使用される。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプであれば良く、特に限定はない。
【0020】
本発明で製造される中性新聞印刷用紙に含有される填料は、炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を少なくとも含むものである。炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムも軽質炭酸カルシウムも使用可能であるが、抄紙機のワイヤー摩耗性と中性新聞印刷用紙の品質の面から、軽質炭酸カルシウムの使用が好ましい。軽質炭酸カルシウムの中では、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しているものが更に好ましい。一次粒子が凝集して二次粒子を形成している軽質炭酸カルシウムの中でもロゼッタ型軽質炭酸カルシウムが最も好ましい。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、特開2003−212539号公報や特願2004−27483号に記載の複合物を例示できる。炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。
【0021】
前記の1種類以上の填料は紙料への添加に先立って、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(以下、DADMACと記述する)のホモポリマーまたはDADMACと(メタ)アクリルアドとのコポリマーと予め混合され処理される。以下にその詳細を説明する。
【0022】
本発明で使用するDADMACのホモポリマーまたは、DADMACと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーを成分とするカチオン性高分子化合物は、市販品の中から適宜選択して使用できる。
【0023】
DADMACと共重合させる(メタ)アクリルアミドは、直鎖または分岐状のアルキル基を有しているものであり、具体的には、エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−第3−ブチル−(メタ)アクリルアミド、C1〜C10N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリルアルキルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドアクリルアミド、C1〜C10N,N−ジアルキルメタクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリルアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0024】
DADMACのホモポリマーまたは、DADMACと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーの重量平均分子量は特に限定は無い。また、カチオン電荷密度は0.1〜50meq/gが好ましく、0.5〜10meq/gが更に好ましい。コポリマー中のDADMACと(メタ)アクリルアミドのモル比は、この電荷密度になるようにすることが好ましい。50meq/gを超えるものは製造コストが高くなり実用的ではなく、0.1me/g未満では、本発明の填料歩留り向上効果が小さくなる。
【0025】
填料に対するDADMACのホモポリマーまたは、DADMACと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーの添加量は、填料100固形分重量部に対し、ポリマー固形分として0.05〜2.0重量部であり、0.10〜1.0重量部が好ましく、0.10〜0.50重量部が更に好ましい。0.05重量部未満では填料歩留り向上効果が小さく、2.0重量部を超えて添加しても填料歩留り向上効果が頭打ちとなり、処理コストが高くなるという問題がある。
【0026】
DADMACのホモポリマーまたは、DADMACと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーを添加する填料の水分散液の固形分濃度は良く混合できる濃度であれば良く、特に限定は無いが、通常は1〜50%である。填料と該ポリマーとの混合に用いる装置は、混合を充分に行える装置であれば良く、特に限定はないが、例えば、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼などを有する一般的な撹拌機、ディスパーザーなどの高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサーなどの高速回転剪断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの乳化機などが挙げられる。
【0027】
DADMACのホモポリマーまたは、DADMACと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーで処理した填料の平均粒子径は、未処理填料の平均粒子径の1.0〜2.0倍であり、1.0〜1.5倍が好ましい。2.0倍を超えると填料歩留り向上効果に問題はないが、填料が大きな凝集体となって紙層内に存在することになるために、不透明度や白色度の向上効果が小さくなる。
【0028】
前記の混合を行った分散液はタンクなどの設備に一時貯えた後、紙料へ添加しても良いが、混合後、直ちに紙料へ添加するほうが好ましい。
【0029】
このようにして前処理された填料はフレッシュな填料としてパルプ原料に添加されるものであるが、これ以外に脱墨パルプ由来の灰分も湿紙中に留まり、結果的に填料として働く。後述する中性新聞印刷用紙の紙中填料率とは、この紙中に留まったフレッシュ填料と脱墨パルプ由来の灰分の合計である。
【0030】
本発明で製造される中性新聞印刷用紙の紙中填料率は1〜40固形分重量%である。抄紙においては紙中填料率が高いほど歩留りは低下する。従って、紙中填料率が高い中性新聞印刷用紙の製造に本発明を適用したほうが本発明の効果が大きい。この観点から、紙中填料率は10〜40固形分重量%が好ましく、15〜40固形分重量%が更に好ましい。この紙中填料率となるように、フレッシュ填料が添加される。
【0031】
内添薬品としては、ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどの湿潤紙力増強剤を添加することができる。また、必要に応じて、アルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などの中性サイズ剤を内添することもできる。
【0032】
本発明の製造方法で使用する歩留り向上剤は、極限粘度法による重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質である。好ましくは重量平均分子量が2,000万以上のものである。このエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質は公知の方法で乳化重合されるが、好ましくは油中水型の逆相エマルション化法で合成される。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。なお、この超高分子量のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質は、抄紙における歩留り向上剤としての使用例が無い。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特に限定はないが、新聞印刷用紙用の紙料のカチオン要求量は極めて高いので、歩留りを高める観点からカチオン電荷密度は高いほうが良く、具体的には0.5meq/g以上が好ましく、1.0meq/g以上がより好ましく、1.5meq/g以上が更に好ましく、2.0meq/g以上が最も好ましい。この重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質は市販されている物質の中から適宜選定して使用することができる。
【0033】
また、歩留りを高める目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウムなどの無機凝結剤を併用しても良い。
【0034】
抄紙機前処理工程では、パルプ原料と内添抄紙薬品をミキサーで混合した紙料に、ファンポンプの前で前述の前処理を施した填料が添加され、均一混合される。重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加場所は、この填料添加後〜抄紙機ストックインレット前の間である。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質と無機凝結剤を併用する場合、無機凝結剤の添加場所はミキサー以降、該カチオン性合成高分子物質添加の前である。
【0035】
該カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加量は、紙料の性状や抄紙速度に応じて適宜決定されるので一概には言えないが、通常は、紙料固形分重量に対して50〜750ppmであり、50〜600ppmが好ましく、100〜600ppmがより好ましく、100〜500ppmが更に好ましい。該カチオン性高分子物質の添加量が50ppm未満であると、中性新聞印刷用紙の地合は良好であるが、微細成分の充分な歩留りが得られず、抄造の不安定は解消できない。750ppmを超えて添加すると、微細成分の歩留りは高くなるが、地合が悪化し、地合ムラに起因する印刷ムラなどの印刷不良の問題が発生する。
【0036】
ツインワイヤー抄紙機のワイヤーパートには種々の脱水エレメントや脱水装置が配置されている。具体的には、フォイルブレード、サクションボックスなど、更にオントップツインワイヤーの場合には上部脱水装置などが挙げられる。これらの脱水エレメントや脱水装置の条件によっても、微細繊維の歩留りは変化するが、本発明においては、これらの脱水エレメントや脱水装置の種類と配置には特に限定はなく、通常の操業範囲の中で、これらの脱水エレメントを適宜、選定および配置することができる。
【0037】
また、ワイヤーの種類によっても歩留りが変化するが、ワイヤー目開きやワイヤーの織り方についても特に限定は無く、適宜、市販のワイヤーの中から選択使用できる。
【0038】
抄紙機プレス工程のプレス形式には限定はなく、公用の装置を用いることができる。また、プレス条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
【0039】
抄紙機プレドライヤー、アフタードライヤーも公用の装置を用いることができ、乾燥条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
【0040】
プレドライヤーとアフタードライヤーの間に設置される表面塗布装置は公用のものであれば良く、特に限定はないが、新聞抄紙機ではゲートロールサイズプレスが一般的に用いられており、本発明においても好ましく用いられる。該表面塗布装置を用いて、中性新聞印刷用紙原紙の表面に表面処理剤を塗布しても良いし、バイパスしても良い。
【0041】
中性新聞印刷用紙原紙の表面に表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の組成には限定はない。表面強度の強化を目的とした水溶性高分子接着剤としては、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用する。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉またはヒドロキシプロピル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、紙に吸水抵抗性を付与するために、前記の水溶性高分子接着剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、など一般的な表面サイズ剤を併用塗布することができるが、サイズ剤のイオン性がカチオン性であるものを塗布することが好ましい。
【0042】
水溶性高分子接着剤と表面サイズ剤から成る表面処理剤を塗布する場合、水溶性高分子接着剤と表面サイズ剤との混合比率は公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。また、水溶性高分子接着剤および/または表面サイズ剤の原紙への塗布量も公用の範囲で行えば良く、特に限定はない。
【0043】
カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、新聞印刷用紙の品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すれば良い。
【0044】
本発明の製造方法により抄造される中性新聞印刷用紙の地合は、レーザー光透過光変動法による地合指数(紙パルプ技術タイムス28(5),1985,P30-35)で、11.0以下であることが好ましく、10.5以下が更に好ましい。なお、地合指数は値が小さいほど、紙の紙合が良好である。また、地合指数で0.5の差は、肉眼でも地合の差として認識できるものである。
【0045】
本発明で製造される中性新聞印刷用紙は、オフセット印刷用、凸版印刷用などの限定はない。また中性新聞印刷用紙の坪量についても限定はないが、通常36〜50g/m2である。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。
【0047】
[填料の前処理]
(1)前処理填料1:填料として軽質炭酸カルシウム(東洋電化株式会社製、商品名:TNC−7BY、平均粒子径3.0μm)を用い、この15%スラリー液60重量部に、ジアリルジメチルアンモウニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマー(Ondeo Nalco株式会社製、商品名:N7527、カチオン電荷密度:3.58meq/g)の0.06固形分重量%液30重量部(填料固形分重量に対し0.2%に相当)を添加し、ミキサーで攪拌した。この時の平均粒子径は、3.8μmであり、ほとんど凝集を起こしていなかったといえる。なお、填料の平均粒子径の測定は、レーザー回折散乱法(Sysmex株式会社製マスターサイザー2000)によって測定した。
(2)前処理填料2:填料としてTNC−7BYを用い、この15%スラリー液60重量部に、ポリジアリルジメチルアンモウニウムクロライド(Ondeo Nalco株式会社製、商品名:N2020、カチオン電荷密度:3.88meq/g)の0.06固形分重量%液30重量部(填料固形分重量に対し0.2%に相当)を添加し、ミキサーで攪拌した。この時の平均粒子径は、3.6μmであり、ほとんど凝集を起こしていなかったといえる。
(3)前処理填料3:填料としてTNC−7BYを用い、この15%スラリー液60重量部に、ジアリルジメチルアンモウニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマーN7527の0.06固形分重量%液6重量部(填料固形分重量に対し0.04%に相当)を添加し、ミキサーで攪拌した。この時の平均粒子径は、3.9μmであり、ほとんど凝集を起こしていなかったといえる。
(4)前処理填料4:填料としてTNC−7BYを用い、この15%スラリー液60重量部に、ポリジアリルジメチルアンモウニウムクロライドN2020の0.06固形分重量%液6重量部(填料固形分重量に対し0.04%に相当)を添加し、ミキサーで攪拌した。この時の平均粒子径は、3.7μmであり、ほとんど凝集を起こしていなかったといえる。
【0048】
[中性新聞印刷用紙の抄造]
(1)抄紙機:ギャップフォーマー型抄紙機。以下の実施例および比較例では、使用ワイヤーの種類と、脱水エレメントの種類と配置を一定とした。
(2)パルプ原料配合:脱墨パルプ(濾水度CSF=240ml)80%、機械パルプ(濾水度CSF=120ml)10%、針葉樹クラフトパルプ(濾水度CSF=600ml)10%
(3)紙中填料率:紙中填料率13%を目標とした。
【0049】
中性新聞印刷用紙を抄造中、紙料歩留りと灰分歩留りを以下の方法で測定した。
ストックインレット原料とワイヤー下に抜け落ちた白水(ワイヤー下白水と記述する)について、それぞれ固形分濃度と灰分濃度を測定した。下記式(1)により紙料歩留りを、下記式(2)により灰分歩留りを測定した。
紙料歩留り=100×(A−B)/A …計算式(1)
A:ストックインレット原料の固形分濃度(g/l)
B:ワイヤー下白水の固形分濃度(g/l)
灰分歩留り=100×(C−D)/C …計算式(2)
C:ストックインレット原料の灰分濃度(g/l)
D:ワイヤー下白水の灰分濃度(g/l)
灰分の測定:ストックインレット原料とワイヤー下白水について、その固形分を525℃で灰化した。
【0050】
抄造した中性新聞印刷用紙について、不透明度、白色度、引張強度および地合などの紙質を測定した。
(1)不透明度の測定:JIS P 8113に従い、熊谷理機株式会社製ハンター反射率計によって測定した。
(2)白色度の測定:JIS P 8148に従い、熊谷理機株式会社製ハンター反射率計によって測定した。
(3)引張強度の測定:JIS P 8113に従い、測定した。
(4)地合の測定:東洋精機製作所製のSHEET-FORMAION-TESTER(He-Neレーザー光透過光変動法)により評価した。
【0051】
[実施例1]
パルプと前処理填料1が混合した紙料に、極限粘度法による重量平均分子量が2,000万のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質(ソマール株式会社製、リアライザーR300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例2]
パルプと前処理填料2が混合した紙料に、リアライザーR300を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例1]
パルプと未処理填料TNC−7BYが混合した紙料に、極限粘度法による重量平均分子量が900万である溶液型のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤(ハイモ株式会社製、DR1700、カチオン電荷密度1.3meq/g)を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
[比較例2]
パルプと前処理填料1が混合した紙料に、DR1700を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
[比較例3]
パルプと前処理填料2が混合した紙料に、DR1700を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
[比較例4]
パルプと未処理填料TNC−7BYが混合した紙料に、リアライザーR300を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例5]
パルプと前処理填料3が混合した紙料に、リアライザーR300を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例6]
パルプと前処理填料4が混合した紙料に、リアライザーR300を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり200ppm添加し、抄紙速度1,000m/分で中性新聞印刷用紙を抄造した。抄造中の紙料歩留りと灰分歩留りを測定し、得られた中性新聞印刷用紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
DADMACとアクリルアミド(表1中ではAMと記載)とのコポリマーで軽質炭酸カルシウムを前処理し、更に歩留り向上剤に極限粘度法による重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を添加して抄紙した実施例1の中性新聞印刷用紙は、軽質炭酸カルシウムを前処理せずに添加し、歩留り向上剤に従来から使用されている比較的低分子量のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加して抄紙した比較例1の中性新聞印刷用紙に比較して、灰分の歩留りが極めて高い。また、紙質面では、同程度の紙中填料率であるが、白色度、不透明度に優れている。DADMACとアクリルアミドとのコポリマーで軽質炭酸カルシウムを前処理し、更に歩留り向上剤に従来から使用されている比較的低分子量のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加して抄紙した比較例2の中性新聞印刷用紙に比較しても、灰分の歩留りが高い。また、紙質面では、同程度の紙中填料率であるが、白色度に優れている。軽質炭酸カルシウムに対するDADMACとアクリルアミドとのコポリマーの添加率を0.04重量部まで低め、他は実施例1と同様にして抄紙した比較例5では灰分の歩留りと白色度が低下することが解る。
【0061】
DADMACのホモポリマーで軽質炭酸カルシウムを前処理し、更に歩留り向上剤に極限粘度法による重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を添加して抄紙した実施例2の中性新聞印刷用紙は、軽質炭酸カルシウムを前処理せずに添加し、歩留り向上剤に従来から使用されている比較的低分子量のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加して抄紙した比較例1の中性新聞印刷用紙に比較して、灰分の歩留りが極めて高い。また、紙質面では、同程度の紙中填料率であるが、白色度、不透明度に優れている。DADMACのホモポリマーで軽質炭酸カルシウムを前処理し、更に歩留り向上剤に従来から使用されている比較的低分子量のカチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を添加して抄紙した比較例3の中性新聞印刷用紙に比較しても、灰分の歩留りが高い。また、紙質面では、同程度の紙中填料率であるが、白色度、不透明度に優れている。軽質炭酸カルシウムに対するDADMACのホモポリマーの添加率を0.04重量部まで低め、他は実施例1と同様にして抄紙した比較例6では灰分の歩留りと白色度が低下することが解る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツインワイヤー抄紙機で中性抄紙法により新聞印刷用紙を製造する方法であって、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのホモポリマーまたはジアリルジメチルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアドとのコポリマーで処理した填料を添加し、かつ、歩留り向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1,500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加し、抄紙することを特徴とする中性新聞印刷用紙の製造方法。
【請求項2】
ジアリルジメチルアンモウニウムクロライドのホモポリマーまたは、ジアリルジメチルアンモウニウムクロライドと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーの填料に対する添加率が、填料100固形分重量部に対し、ポリマー固形分として0.05〜2.0重量部であることを特徴とする請求項2記載の填料の前処理方法。
【請求項3】
中性抄紙法によるツインワイヤー抄紙機の抄紙速度が700m/分以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の中性新聞印刷用紙の製造方法。
【請求項4】
中性新聞印刷用紙のレーザー光透過光変動法による地合指数が11.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中性新聞印刷用紙の製造方法。

【公開番号】特開2006−118093(P2006−118093A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307612(P2004−307612)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】