中空フランジ部材の溶接の改良
冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインラインERW溶接する装置は、使用時、輪郭金属ストリップ(30)の自由縁(34a、34b)を、金属ストリップの表面上において前記自由縁から間隔をおいて位置する所定の溶接軸との直線上に整列した状態に誘導するように適合された少なくとも1つのシーム・ロール(68)を回転可能に支持するシーム・ロール・スタンド(60)を備える。装置は、使用時、ストリップ(30)の表面上において対応して加熱された溶接軸との融合係合に、所定の温度まで加熱されるときに自由縁(34a、34b)を付勢するように適合された少なくとも1対のスクイーズ・ロール(84a、84b)を支持する溶接ボックス・スタンド(61)をも含む。スクイーズ・ロール(84a、84b)は、自由縁(34a、34b)と金属ストリップ(30)の表面との間においてその後の溶接接合の取付軸にほぼ沿って所定の直線軌跡を経て自由縁を誘導するように共動し、それにより、冷間形成部材に付与されたエネルギーは、所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良溶接方法による冷間形成中空フランジ部材の製造に関する。本発明は、詳細には、冷間形成2重溶接中空フランジ構造部材の製造に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
多くの構成の構造梁が従来技術の開示の広範囲のアレイにおいて示されているが、これらの梁の大部分は、特定の最終用途を考慮して設計されている。しかし、これらの従来技術の開示のいくつかは、積層材木梁、ならびに熱間圧延I梁、H梁、および熱間圧延チャネルを含めて、材木などのより一般的な汎用構造梁と競合し得る汎用構造梁の提供を追及していた。
【0003】
特定用途構造梁の例が、波状ウエブおよび平面断面または矩形断面の中空フランジを有する複合梁を記載する特許文献1〜3に示されている。特許文献4は、トラス組込み中空フランジ弦材を記載している。
【0004】
より近年では、C、Z、およびJ字形の断面の冷間形成母屋桁が、熱間圧延断面の代用として、比較的低負荷の担持状況において有益であることが判明しているが、その理由は、一般的に、熱間圧延断面が、単位質量あたり優れた断面容量を有するからである。そのような冷間形成母屋桁は、モーメント容量について著しい限定を有するが、その理由は、梁の長さが、いくつかの異なるバックル・モードの障害のために増大するからである。特許文献5および6は、それぞれ、冷間形成されたJおよびIまたはH字形断面を示し、特許文献7は、C字形断面部材を記載している。
【0005】
冷間形成母屋桁状断面の断面効率を向上させる試行において、単位長さあたりの梁質量について、結果として生じるペナルティまたは少なくとも著しいペナルティを課さずに、フランジ断面を増大させるために、中空フランジ部材を使用することが提案された。
【0006】
特許文献8〜10には中空フランジ軸受けの例が示されており、これらの文献はすべて「開」フランジを有する3角形断面の中空フランジ梁を記載していた。すなわち、これらの梁は、フランジ要素のねじれ強度を最適化する連続溶接シームを備えるようには形成されていなかった。
【0007】
権利の承継人としての本願出願人の特許文献11,12は、フランジの自由縁が中央ウエブ部材の縁に沿って溶接された円形断面形状の「閉」フランジを作成するために、2重溶接方法によって作成された冷間中空フランジ梁を初めて記載した。この略円形のフランジは、溶接後、矩形、6角形、3角形など、様々な断面形状を有する中空フランジを生成するように成形することができる。3角形断面フランジを有する中空フランジ梁は、「Dogbone」(登録商標)梁として市場において知られていた。
【0008】
意図した目的についてほぼ満足であったが、「ドッグボーン」梁の製造に使用される2重溶接方法には、いくつかの欠点、詳細には、溶接の安定性、および設備コストが余分にかかるためフランジ断面サイズの範囲が限定される、ということがあった。1実施形態では、溶接の応力障害が、ミルの成形断面における硬化溶接ゾーンの過剰作業によって生じた。
【0009】
本明細書において使用される際、「ERW」という表現は、電気抵抗溶接の部材および
他の形態において電流を生成するために、接触子または誘導コイル/インピーダンスを使用する電気抵抗溶接または電気誘導溶接を指す。
【特許文献1】米国特許第5012626号
【特許文献2】米国特許第3362056号
【特許文献3】米国特許第6415577号
【特許文献4】オーストラリア特許第716272号
【特許文献5】英国特許第2093886号
【特許文献6】第2102465号
【特許文献7】国際出願国際公開第96/23939号
【特許文献8】米国特許第3342007号
【特許文献9】ロシア発明者証明書第827723号
【特許文献10】米国特許第3698224号
【特許文献11】米国特許第5163225号
【特許文献12】米国特許第5373679号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の「ドッグボーン」2重溶接方法の欠点の少なくともいくつかを軽減し、中空フランジ冷間形成スチール部材を作成するのに適切な溶接方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1態様によれば、冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインライン溶接する方法であって、
金属ストリップの少なくとも1つの縁に隣接して輪郭表面を形成する工程と、
ERW方法によって、ウエブの側面に沿って延びる中空フランジを形成するために、前記輪郭表面に隣接する前記金属ストリップの自由縁を前記金属ストリップの表面に溶接する工程とからなる方法において、
前記自由縁が、前記ストリップの前記表面上において所定の溶接軸と直線上に整列され、前記少なくとも1つの自由縁が、前記少なくとも1つの自由縁と前記表面との間におけるその後の溶接接合の取付軸に沿って所定の直線軌跡を経て誘導され、それにより、前記冷間形成部材に付与されるエネルギーが、前記自由縁を前記表面に融合する前に、前記表面上の前記所定の溶接軸に沿った近接効果によって集中されることを特徴とする方法が提供される。
【0012】
必要であれば、前記自由縁は、前記自由縁に対する当接部を提供する周囲ショルダをそれぞれが有する1つまたは複数のシーム・ロールによって前記溶接軸と整列される。
前記金属ストリップの前記自由縁は、輪郭ガイド・ロールによって前記周囲ショルダと当接するように付勢することが可能である。
【0013】
前記金属ストリップは、前記自由縁が前記周囲ショルダと当接するように付勢される際、前記溶接領域と隣接する対向円筒ロール表面によって中心で支持されることが適切である。
【0014】
シーム・ロールは、前記ストリップ表面に対して所定の角度において、前記自由縁を前記閉領域に向かって誘導するように、調節可能に取り付けることが可能である。
前記金属ストリップの前記自由縁は、前記金属ストリップの前記輪郭表面上にわたって延びる輪郭スクイーズ・ロールによって、前記輪郭スクイーズ・ロールの間隔をおいて位置するほぼ平行な接触面間において、前記所定の軌跡を経て誘導されることが好ましい。
【0015】
溶接エネルギーは、電源に結合された誘導コイルによって前記自由縁および前記所定の溶接領域に付与されることが可能であり、前記コイルは、その長手方向軸にほぼ垂直な平面において前記金属ストリップのほぼ回りに延びる。
【0016】
必要であれば、一端において支持された長尺のロッド状誘導インピーダが、前記輪郭表面の中空内部空洞内において、前記自由縁が前記金属ストリップの前記表面に融合される前記閉領域に隣接する領域まで延びることが可能である。
【0017】
本発明の他の態様によれば、冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインラインERW溶接する装置であって、
使用時、前記金属ストリップの表面上において前記自由縁から間隔をおいて位置する所定の溶接軸との直線上の整列に輪郭金属ストリップの自由縁を誘導するように適合された、少なくとも1つのシーム・ロールを回転可能に支持するシーム・ロール・スタンドと、
使用時、前記表面上において対応して加熱された前記溶接軸と融合係合するように、所定の温度まで加熱されると前記自由縁を付勢する、少なくとも1対のスクイーズ・ロールを回転可能に支持する溶接ボックス・スタンドであって、スクイーズ・ロールの前記対が、使用時、前記自由縁と前記金属ストリップの前記表面との間におけるその後の溶接接合の取付軸にほぼ沿って所定の直線軌跡を経て前記自由縁を誘導し、それにより、前記冷間形成部材に付与されたエネルギーが、前記表面上において前記所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中される、溶接ボックス・スタンドと、を備える装置が提供される。
【0018】
前記電流は、前記自由縁および前記溶接領域に隣接する前記金属ストリップと摺動可能に係合する電気接触子によって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導されることが適切である。
【0019】
前記電流は、通る前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において前記金属ストリップを横断して囲む誘導コイルによって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導されることが好ましい。
【0020】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、間にある前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において角度調節可能であることが好ましい。
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方は、スクイーズ・ロールの前記対の前記少なくとも一方の回転軸に垂直な方向において、前記対の他方に対して調節可能とすることが可能である。
【0021】
前記溶接ボックスは、間にある金属ストリップ部材の進行方向に垂直な平行のそれぞれの軸の回りに回転可能なウエブ支持ロールを含むことが適切である。
必要であれば、ウエブ支持ロールは、スクイーズ・ロールの前記対の一方として機能する輪郭外部縁を有することが可能である。
【0022】
装置は、2つ以上のシーム・ロール・スタンドを含むことが可能である。
必要であれば、前記シーム・ロール・スタンドの少なくとも1つは、周囲ショルダを有するシーム・ロールを含み、前記周囲ショルダは、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁に対する当接部を提供する。
【0023】
輪郭ガイド・ロールが、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁を前記周囲ショルダと隣接するように付勢するために提供されることが適切である。
必要であれば、前記1つまたは複数のシーム・ロール・スタンドの上流において、一端において支持されたロッド状インピーダが、前記金属ストリップの輪郭縁領域の中空内部の中に延びる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明をより完全に理解し、実施することが可能であるように、ここで、添付の図面を参照して示される好ましい実施形態を参照する。
【0025】
図面にわたって、適切であれば、同じ参照符号が、明瞭化のために同じ特徴について使用される。
図1は、図11から14に例示される中空フランジ部材の製造に使用可能なロール形成ミルの通常の全体な構成を概略的に示す。簡単には、ミルは、形成ステーション11、溶接ステーション12、および成形ステーション13を備える。
【0026】
形成ステーション11は、交互の駆動ステーション14および形成ロール・スタンド15を備える。駆動ステーション14は、従来のミル駆動系(図示せず)に結合されるが、成形方法を補助するために輪郭形成ロールを使用する代わりに、平面円筒ロールが、結果として得られる梁のウエブ部分に対応する中央領域においてスチール・ストリップ16をつかむために使用される。形成ロール・スタンド15は、別々の対15a、15bとして形成され、対15a、15bはそれぞれ、形成ステーションを通過する際、金属16のストリップの対向側面に、中空フランジ部分を形成するように適合された1セットの輪郭ローラを装備する。形成ロール・スタンド15a、15bは、従来の冷間形成ミルの場合のように、駆動系に結合することを必要としないので、形成ロール・スタンドは、種々の幅の中空フランジ梁に適応するように、ミルの長手方向軸に対して横方向に容易に調節することができる。
【0027】
望ましい断面構成に形成されると、縁形成済みストリップ16は、溶接ステーション12に入り、縁形成済み部分の自由縁は、ERW溶接装置が存在する場合、所定の接近角度においてウエブと接触するように誘導される。ストリップ表面上の望ましい溶接領域に対する自由縁の配置を補助するために、形成済みストリップは、シーム・ガイド・ロール・スタンド17を経て、17aにおいて概略的に示されたERW装置の領域内に向けられる。ストリップの面のストリップ縁および溶接シーム線領域が融合温度まで加熱された後、ストリップは、閉フランジを融合すべく加熱部分を共に付勢するために、溶接ボックス・スタンド18を通過する。次いで、溶接済み中空フランジ断面は、部材の望ましい断面形状を形成するために、連続する駆動ロール・スタンド19および成形ロール・スタンド20を経て進行し、最終的に直線にし、したがって2重溶接中空フランジ梁22として出るために、従来のターク・ヘッド・ロール・スタンド21を最後に経て進行する。ERWウエルダが、自由縁とウエブの至近部分との間の近接効果により、ストリップの自由縁とウエブのそれぞれの隣接領域に電流を付与する。ウエブ部分の熱エネルギーは、フランジの自由縁と比較して、双方向に散逸することができるので、自由縁との融合を可能にするために、十分な熱をウエブ領域の中に誘起するために追加のエネルギーが必要である。
【0028】
これまで、従来のロール形成技法およびERW方法を使用することによって、内部ストリップ部分を融合温度に加熱するのに必要なエネルギー量を使用することは、自由縁が溶融し、縁から離れて溶融小球として流れるようなものであることが判明していた。このストリップ縁損失の結果として、フランジの断面積は著しく低減され、溶接点内へのストリップ縁の制御は、より難しくなった。
【0029】
図2は、高周波数ERW溶接の従来技術の方法を概略的に示す。
図2において、ウエブ30は、中空フランジ31の自由縁をウエブ30の縁と接触させるために、中空フランジ31が形成されなければならない程度を最小限にすることを試行して、弓形断面に形成された。高周波数交流電気のそれぞれの源34に結合された接触子
32、33の対が、各フランジ31の自由縁34に隣接すると共に溶接シームが形成されたウエブの縁に隣接して配置された。図からわかるように、各中空フランジ31の自由縁34は、垂直面および水平面の両方において、ウエブ・シーム線35に対して角度をなして、ウエブ・シーム線35に近付いた。
【0030】
図3は、通常の従来技術の溶接ボックス・ロール構成を示し、側方ロール36が、水平方向において成形フランジ31を内向きに付勢し、輪郭スクイーズ・ロール37が下方支持ロール38と共動してフランジの加熱済み自由縁をウエブ30の縁の加熱済み領域と接触させ、その間において融合を実施するように付勢する。
【0031】
側方ロール36およびスクイーズ・ロール37によってフランジの自由縁に加えられた組合せ力は、有効にフランジ断面全体を圧延し、一方、直径を有効に低減する。
図4は、図3に示された溶接ボックス・ロール・アセンブリの拡大断面図である。39において全体的に示された溶接ボックス・ロール・アセンブリに入る前に、フランジ31の自由縁34は、透視でいくらか誇張された方式で破断領域において示されているように、金属ストリップ30の上で最終溶接シーム位置40より上に間隔をおいて位置する。ロール形成済みセクションが溶接ボックス・ロール・アセンブリ39を経て進行する際、中空フランジ31の自由縁34は、共動ロール36、37、38の組合せ圧力によって下方および外向きに付勢され、それにより、自由縁34は、それぞれの溶接シーム位置40でウェブ30の表面に接触するまで、ウエブ30の表面を横断して「掃引」する。
【0032】
自由縁34の「掃引」運動中、自由縁34の近接によってウエブにおいて誘起された熱「シャドー」は、自由縁34とウエブの上面との間の最短距離によって表される位置41から外向きに、融合が行われた溶接シーム位置40に向かって移動した。最終溶接シーム・サイトにおいて近接効果によって誘起された熱を集中させることができないので、熱エネルギーの大部分は、ウエブおよび中空フランジの隣接領域において散逸した。
【0033】
エネルギー散逸を克服するために、熱エネルギーの損失を補償するように電気エネルギー入力が増大されたが、これは、溶融金属が溶融によってフランジの自由縁から失われる程度まで、ウエブの自由縁を過熱する傾向があった。さらに、適切な溶接完全性を得るために、十分な熱をウエブ縁の中に誘起するようにフランジ縁を過熱する必要性が、溶接安定性が失われる結果となる縁バックリングによって激化した。
【0034】
上述の課題は、フランジの自由縁の加熱の際に意図した溶接線とフランジの自由縁を整列させ、次いで、溶接シームの周辺においてウエブ部分とフランジ縁の領域との間において望ましい発生角度に対応する方向の直線経路に沿って、ストリップの自由縁が加熱済みウエブ領域と接触するように付勢することによって、克服することができることが現在判明している。この所定の軌跡に沿ってフランジ縁の自由縁を誘導することによって、溶接ボックスのスクイーズ・ロールにおいてフランジが回転することによって生じる「掃引」効果により、自由縁を望ましい溶接シーム線と整列させる際、望ましい溶接シーム線から離れて延びる必要以上に広い経路の中に熱を誘導する問題は回避された。
【0035】
高周波数の電気抵抗または誘導溶接方法のはるかにより優れた制御により、本発明による方法および装置により作成された2重溶接中空フランジ部材に関する生産効率が向上し、製造公差が著しく向上した。
【0036】
図5は、形成ステーション11の一部ならびに図1の縁準備および溶接ステーション12を組み込む冷間ロール形成ミル部分の側面図を示す。
図5では、ミル・ベッド50が、駆動形成ロール51、アイドラ・スタンド52、非駆動縁形成スタンド53、他のアイドラ・スタンド54、インピーダ・ブラケット55、非
駆動縁形成スタンド56、他の非駆動形成スタンド57、側方ロール59を有する駆動形成ロール・スタンド58、6ロール・シーム・ガイド・ロール・スタンド60、および4ロール溶接ボックス・スタンド61を支持する。スタンド60と61との間に、作業コイル62が位置する。
【0037】
図6は、図5に示されたミル部分において作成された中空フランジ部材のフラワ・パターンを示す。
断面6Aは、ロール・スタンド53から生じる形状を示し、断面6Bは、ロール・スタンド58から生じる形状を示し、断面6Cは、シーム・ガイド・ロール・スタンド60から生じる形状を示し、断面6Cは、溶接ボックス・スタンド61に入る前のロール形成断面の形状を示す。図からわかるように、中空フランジ31の自由縁34の軌跡は、縁34とウエブ30の縁40との間の最小距離の経路に従い、セクションがシーム・ガイド・ロール・スタンド60に近付く際、6Cにおいて示される中空フランジの断面形状は、いくらか卵形の形状を取る。また、フランジ縁34の位置は、誘導コイル62の領域においてウエブ30の縁40に対して固定されて位置することもわかるであろう。
【0038】
図7は、図5のシーム・ガイド・ロール・スタンド60の構成を概略的に示し、図7aは下流正面図であり、図7bは上流正面図である。
図7aは、図5のシーム・ロール・スタンド60の下流正面図を概略的に示す。ロール・スタンド60は支持フレーム65を備え、その下流面において、整列すなわち位置合わせ回転軸67、67aの回りに回転するようにそれぞれがジャーナルされた1対の独立して取り付けられた輪郭支持ロール66、66aと、それぞれの傾斜軸69、69aの上において回転可能にジャーナルされたシーム・ガイド・ロール68、68aとが取り付けられる。シーム・ガイド・ロール68、68aは、冷間形成セクションが溶接ボックス61のスクイーズ・ロールに近付く際、中空フランジ31、31aの自由縁34、34aを望ましい溶接シーム線と長手方向に整列した状態に誘導するように作用する。
【0039】
シーム・ガイド・ロール68、68aの内部縁の回りに、当接物として作用する周囲ビード縁70が配置され、この当接物に対抗して、中空フランジの自由縁34が、それぞれのフランジ縁をウエブ30の縁40と整列するように付勢されることが可能である。
【0040】
梁ガイド・ロール68、68aおよび支持ロール66、66aの両方とも、異なるサイズの中空フランジ部材に適応するように軸方向に調節可能である。同様に、シーム・ガイド・ロール68、68aは、支持フレーム65の上に旋回式に取り付けられる。
【0041】
図7bは、シーム・ガイド・ロール支持スタンド60の上流図である。
弓形フレーム65の内部に、円筒シーム・ガイド・ロール71および円筒支持ロール72が配置され、それぞれ、それぞれの回転軸73、74の回りに回転可能にジャーナルされている。支持ロール72は、中空フランジ31の一部に適応する輪郭端部領域72aを含み、一方、シーム・ガイド・ロールのビード縁75、76は、中空フランジ31の自由縁34がロール71の平面端部に接して隣接する状態で、ウエブ30の内部縁40の上に位置する。ウエブ30は、具体的には隣接縁40のバックリングを防止するために、ロール71および72の円筒部分間において堅固に圧締めされる。
【0042】
図8は、図5の4ロール溶接ボックス61の構成を示す。
溶接ボックス61は、円筒上部ロール80および輪郭縁81aを有する円筒下方ロール81を備え、ロール80、81のそれぞれは、それぞれの回転軸82、83の回りに回転可能にジャーナルされている。それぞれの傾斜軸85a、85bの回りに回転可能な輪郭スクイーズ・ロール84a、84bは、中空フランジ31の加熱済み自由縁34a、34bをウエブ30の対向境界40に沿ってそれぞれの加熱済み溶接シーム線領域に付勢し、
それにより、連続溶接シームを創出するために間において融合を達成するように適合される。スクイーズ・ロール84a、84bと円筒支持ロール81のそれぞれの輪郭縁81aとの間において画定された空洞は、図6の断面6Dによって表された中空フランジ31の断面形状と同様に卵形の形状であることに留意されたい。
【0043】
自由縁34a、34bは、横断「掃引」行為を必要とせずに、スクイーズ・ロール84a、84bのそれぞれの回転軸85a、85bに垂直な直線方式においてそれぞれの溶接線に向かって付勢され、それにより、それぞれの自由縁34a、34bとウエブ30の対向境界40との間の溶接シームの上において、または溶接シームの望ましい位置において、安定な誘導「シャドー」または経路を維持する。
【0044】
円筒ローラ80、81は、それぞれ、調節ねじ86、87によって直立平面において移動するように調節可能に取り付けられ、ねじ86、87は、それぞれ、ロール・キャリッジ88、89に結合され、支持フレーム90において摺動可能に取り付けられる。
【0045】
スクイーズ・ロール84a、84bは、調節ねじ97によってそれぞれのスライド軸95、96に沿って摺動可能にそれぞれ調節するために、スクイーズ・ロール支持フレーム93、94のそれぞれのキャリッジ91、92に摺動可能に取り付けられる。それにより、スクイーズ・ロール支持フレーム93、94は、ねじ込みシャフト99によって支持フレーム93、94の取付け具を結合するねじ98によって横方向運動し、ねじ100によって直立運動するように調節可能に取り付けられる。ロール支持フレームは、溶接ボックス・スタンド61を経て移動する中空フランジ部材の移動方向に平行なそれぞれの軸の回りに旋回運動するように、フレーム90の上に旋回式に取り付けられることが好ましい。
【0046】
調節可能なロール取付けにより、中空フランジの自由縁が、部材ウエブの縁に隣接して、または縁において正確に位置する溶接シーム線に向かって進行する軌跡を極度に正確に制御して、種々の寸法および断面積構成を有する中空フランジ部材の広範な範囲を、溶接ボックスにおいて溶接することが可能になる。
図9は、ウエブの縁に沿って中空フランジの自由縁を溶接シームの中に誘導することをより明瞭に示す、図8の溶接ボックス61におけるロールの構成を概略的に示す。
【0047】
図面において、形成中空フランジ31およびそれぞれの自由縁34のいくらか誇張された位置が、透視で示されている。形成済みセクションがロールの組合せに近付くと、中空フランジ31は、図8に示されたそれぞれのスライド軸95、96に沿ったローラ84a、84bの移動に対応する別々のローラ81の輪郭端部81aに向かって内向きに付勢される。
【0048】
重要なことに、自由縁34において終端する中空フランジの外部部分の約半分が、矢印101によって示される方向において付勢され、それにより、自由縁34に隣接するフランジのほぼ平坦な領域およびフランジの対向側面の対応する部分が、ロール81に向かって一体部分として共に駆動され、それにより、ウエブ30の縁40に隣接するフランジの残りの部分の変形が、ロール81の輪郭縁81aにおいて適応されることがわかる。同様に、ウエブ31の自由縁34は、溶接シームが形成されるウエブ30の縁40まで直線の軌跡において進行することがわかる。
【0049】
図10は、フランジ31の自由縁34がウエブ30の境界40と融合して誘導される際の上方および下方支持ロール80、81に対するスクイーズ・ロール84a、84bの関係の拡大透視図を概略的に透視で示す。示される実施形態では、下方支持ロール81は、それぞれが輪郭外部縁81aを有する別々にジャーナルされるロール要素として示されて
いる。
【0050】
図11および12は、本発明による装置において使用される高周波数電気エネルギー誘導装置100を概略的に示す。
装置100は、インダクタ・コイル・アセンブリ101を備え、インダクタ・コイル・アセンブリ101は、シーム・ガイド・ロールステーションと溶接ボックスとの間を進行する際に中空フランジ梁103をほぼ包囲する成形シート銅コイル102を有するインダクタ・コイル・アセンブリ101を備えている。コイル・アセンブリ101は、絶縁材料105の層を間に有する銅取付けブラケット104によって対向端部において支持される。
【0051】
コイル102の表面およびブラケット104の上にわたって、内部において冷却水を循環させるための入口ポートおよび出口ポート107を有する銅管106が形成される。コイル102は、400kHzにおいて400〜800Kw AC出力の能力を有するオシレータ(図示せず)に結合される。
【0052】
梁103の中空フランジ109の中空駆動の内部に、添付された円筒インピーダ111を有する長尺のインピーダ支持ロッド110が配置される。図5に示されたように、インピーダ支持ロッド110は、中空フランジ109の自由縁とウエブの隣接側面との間のギャップを介してフランジ空洞108の中を延びる部材(図示せず)によって、溶接ステーション12の上流のブラケット55の上に支持される。フランジ109の自由縁とウエブの隣接側面との間のギャップを通って、再循環液体冷却剤および冷却空気流をフェライト・ロッド(図示せず)を含むインピーダ111に供給する冷却剤循環管112および空気管113が延びている。
【0053】
図13から16は、本発明の方法および装置により製造することができる中空フランジ部材の非限定的な範囲の例を示す。
図13は、ウエブ123の縁122に沿って位置する1対の円形断面中空フランジ121を有する中空フランジ部材120を示す。部材120は、構造部材としてそのままで使用することが可能も可能であるし、または、非円形断面のフランジを有する中空フランジ梁の前物質として使用することも可能である。
【0054】
図14は、米国特許第5163225号において全般的に記載されている「Dogbone」(登録商標)構成の中空フランジ梁を示す。
図15は、同時係属オーストラリア特許出願2003903142による矩形フランジを有する中空フランジ梁を示す。
【0055】
図16は、複合トラス梁構造において弦材として使用される矩形フランジを有する中空フランジ梁を示す。本発明による溶接方法および装置は、示されるような深いまたは浅いチャネル断面について特に有利である。そうでない場合には中空フランジの自由縁を側縁の中間においてウエブの表面に溶接することは、チャネルにおける縁の深さをシーム・ガイド・ロールで制御することができないために、中空フランジがウエブの内部に形成されるときには困難である可能性があるが、中空フランジをウエブの外向きに形成することにより、フランジ縁制御が正確となるために溶接方法が大いに簡単になる。
【0056】
当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な態様に対して多くの修正および変更を実施することが可能であることが容易に明らかになるであろう。
たとえば、形成ロール、シーム・ガイド・ロール、およびスクイーズ・ロールの組合せの構成は、可能な限り、中空フランジを望ましい断面にその後成形する際、応力損傷に至ることがある溶接シームにかかる応力がわずかであるか、または応力がかからないことを
保証するために、中空フランジの自由縁が溶接シームに異なる角度で近付くことを可能にするように適合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】中空フランジ部材の冷間ロール形成ミルの略図。
【図2】従来技術の2重溶接方法の略図。
【図3】冷間ロール形成ミルの溶接ボックスにおける従来技術のスクイーズ・ロール領域の略図。
【図4】図3の溶接ボックス圧延構成の略拡大部分断面図。
【図5】形成ロール・スタンド、シーム・ロール・スタンドおよび溶接ボックス・スタンドを組み込んだ冷間形成ミルの一部の側面図。
【図6】形成の後半段階から溶接ボックスに入る直前までの中空フランジ梁のフラワ・パターンを形成する一部を示す図。
【図7a】シーム・ガイド・ロール・スタンドの構成を示す略後面図。
【図7b】シーム・ガイド・ロール・スタンドの構成を示す略前面図。
【図8】溶接ボックス・スタンドの構成の略図。
【図9】図8の溶接ボックス・スタンドにおけるロールの構成の略図。
【図10】図8の溶接ボックス・スタンドにおけるロールを示す透視遠近図。
【図11】インダクタ・コイルおよびインピーダの構成および関係の略図。
【図12】内部に中空フランジ断面を有する、使用時の図12のインダクタ・コイル/インピーダ・アセンブリを概略的に示す断面図。
【図13】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図14】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図15】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図16】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良溶接方法による冷間形成中空フランジ部材の製造に関する。本発明は、詳細には、冷間形成2重溶接中空フランジ構造部材の製造に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
多くの構成の構造梁が従来技術の開示の広範囲のアレイにおいて示されているが、これらの梁の大部分は、特定の最終用途を考慮して設計されている。しかし、これらの従来技術の開示のいくつかは、積層材木梁、ならびに熱間圧延I梁、H梁、および熱間圧延チャネルを含めて、材木などのより一般的な汎用構造梁と競合し得る汎用構造梁の提供を追及していた。
【0003】
特定用途構造梁の例が、波状ウエブおよび平面断面または矩形断面の中空フランジを有する複合梁を記載する特許文献1〜3に示されている。特許文献4は、トラス組込み中空フランジ弦材を記載している。
【0004】
より近年では、C、Z、およびJ字形の断面の冷間形成母屋桁が、熱間圧延断面の代用として、比較的低負荷の担持状況において有益であることが判明しているが、その理由は、一般的に、熱間圧延断面が、単位質量あたり優れた断面容量を有するからである。そのような冷間形成母屋桁は、モーメント容量について著しい限定を有するが、その理由は、梁の長さが、いくつかの異なるバックル・モードの障害のために増大するからである。特許文献5および6は、それぞれ、冷間形成されたJおよびIまたはH字形断面を示し、特許文献7は、C字形断面部材を記載している。
【0005】
冷間形成母屋桁状断面の断面効率を向上させる試行において、単位長さあたりの梁質量について、結果として生じるペナルティまたは少なくとも著しいペナルティを課さずに、フランジ断面を増大させるために、中空フランジ部材を使用することが提案された。
【0006】
特許文献8〜10には中空フランジ軸受けの例が示されており、これらの文献はすべて「開」フランジを有する3角形断面の中空フランジ梁を記載していた。すなわち、これらの梁は、フランジ要素のねじれ強度を最適化する連続溶接シームを備えるようには形成されていなかった。
【0007】
権利の承継人としての本願出願人の特許文献11,12は、フランジの自由縁が中央ウエブ部材の縁に沿って溶接された円形断面形状の「閉」フランジを作成するために、2重溶接方法によって作成された冷間中空フランジ梁を初めて記載した。この略円形のフランジは、溶接後、矩形、6角形、3角形など、様々な断面形状を有する中空フランジを生成するように成形することができる。3角形断面フランジを有する中空フランジ梁は、「Dogbone」(登録商標)梁として市場において知られていた。
【0008】
意図した目的についてほぼ満足であったが、「ドッグボーン」梁の製造に使用される2重溶接方法には、いくつかの欠点、詳細には、溶接の安定性、および設備コストが余分にかかるためフランジ断面サイズの範囲が限定される、ということがあった。1実施形態では、溶接の応力障害が、ミルの成形断面における硬化溶接ゾーンの過剰作業によって生じた。
【0009】
本明細書において使用される際、「ERW」という表現は、電気抵抗溶接の部材および
他の形態において電流を生成するために、接触子または誘導コイル/インピーダンスを使用する電気抵抗溶接または電気誘導溶接を指す。
【特許文献1】米国特許第5012626号
【特許文献2】米国特許第3362056号
【特許文献3】米国特許第6415577号
【特許文献4】オーストラリア特許第716272号
【特許文献5】英国特許第2093886号
【特許文献6】第2102465号
【特許文献7】国際出願国際公開第96/23939号
【特許文献8】米国特許第3342007号
【特許文献9】ロシア発明者証明書第827723号
【特許文献10】米国特許第3698224号
【特許文献11】米国特許第5163225号
【特許文献12】米国特許第5373679号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の「ドッグボーン」2重溶接方法の欠点の少なくともいくつかを軽減し、中空フランジ冷間形成スチール部材を作成するのに適切な溶接方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1態様によれば、冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインライン溶接する方法であって、
金属ストリップの少なくとも1つの縁に隣接して輪郭表面を形成する工程と、
ERW方法によって、ウエブの側面に沿って延びる中空フランジを形成するために、前記輪郭表面に隣接する前記金属ストリップの自由縁を前記金属ストリップの表面に溶接する工程とからなる方法において、
前記自由縁が、前記ストリップの前記表面上において所定の溶接軸と直線上に整列され、前記少なくとも1つの自由縁が、前記少なくとも1つの自由縁と前記表面との間におけるその後の溶接接合の取付軸に沿って所定の直線軌跡を経て誘導され、それにより、前記冷間形成部材に付与されるエネルギーが、前記自由縁を前記表面に融合する前に、前記表面上の前記所定の溶接軸に沿った近接効果によって集中されることを特徴とする方法が提供される。
【0012】
必要であれば、前記自由縁は、前記自由縁に対する当接部を提供する周囲ショルダをそれぞれが有する1つまたは複数のシーム・ロールによって前記溶接軸と整列される。
前記金属ストリップの前記自由縁は、輪郭ガイド・ロールによって前記周囲ショルダと当接するように付勢することが可能である。
【0013】
前記金属ストリップは、前記自由縁が前記周囲ショルダと当接するように付勢される際、前記溶接領域と隣接する対向円筒ロール表面によって中心で支持されることが適切である。
【0014】
シーム・ロールは、前記ストリップ表面に対して所定の角度において、前記自由縁を前記閉領域に向かって誘導するように、調節可能に取り付けることが可能である。
前記金属ストリップの前記自由縁は、前記金属ストリップの前記輪郭表面上にわたって延びる輪郭スクイーズ・ロールによって、前記輪郭スクイーズ・ロールの間隔をおいて位置するほぼ平行な接触面間において、前記所定の軌跡を経て誘導されることが好ましい。
【0015】
溶接エネルギーは、電源に結合された誘導コイルによって前記自由縁および前記所定の溶接領域に付与されることが可能であり、前記コイルは、その長手方向軸にほぼ垂直な平面において前記金属ストリップのほぼ回りに延びる。
【0016】
必要であれば、一端において支持された長尺のロッド状誘導インピーダが、前記輪郭表面の中空内部空洞内において、前記自由縁が前記金属ストリップの前記表面に融合される前記閉領域に隣接する領域まで延びることが可能である。
【0017】
本発明の他の態様によれば、冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインラインERW溶接する装置であって、
使用時、前記金属ストリップの表面上において前記自由縁から間隔をおいて位置する所定の溶接軸との直線上の整列に輪郭金属ストリップの自由縁を誘導するように適合された、少なくとも1つのシーム・ロールを回転可能に支持するシーム・ロール・スタンドと、
使用時、前記表面上において対応して加熱された前記溶接軸と融合係合するように、所定の温度まで加熱されると前記自由縁を付勢する、少なくとも1対のスクイーズ・ロールを回転可能に支持する溶接ボックス・スタンドであって、スクイーズ・ロールの前記対が、使用時、前記自由縁と前記金属ストリップの前記表面との間におけるその後の溶接接合の取付軸にほぼ沿って所定の直線軌跡を経て前記自由縁を誘導し、それにより、前記冷間形成部材に付与されたエネルギーが、前記表面上において前記所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中される、溶接ボックス・スタンドと、を備える装置が提供される。
【0018】
前記電流は、前記自由縁および前記溶接領域に隣接する前記金属ストリップと摺動可能に係合する電気接触子によって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導されることが適切である。
【0019】
前記電流は、通る前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において前記金属ストリップを横断して囲む誘導コイルによって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導されることが好ましい。
【0020】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、間にある前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において角度調節可能であることが好ましい。
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方は、スクイーズ・ロールの前記対の前記少なくとも一方の回転軸に垂直な方向において、前記対の他方に対して調節可能とすることが可能である。
【0021】
前記溶接ボックスは、間にある金属ストリップ部材の進行方向に垂直な平行のそれぞれの軸の回りに回転可能なウエブ支持ロールを含むことが適切である。
必要であれば、ウエブ支持ロールは、スクイーズ・ロールの前記対の一方として機能する輪郭外部縁を有することが可能である。
【0022】
装置は、2つ以上のシーム・ロール・スタンドを含むことが可能である。
必要であれば、前記シーム・ロール・スタンドの少なくとも1つは、周囲ショルダを有するシーム・ロールを含み、前記周囲ショルダは、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁に対する当接部を提供する。
【0023】
輪郭ガイド・ロールが、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁を前記周囲ショルダと隣接するように付勢するために提供されることが適切である。
必要であれば、前記1つまたは複数のシーム・ロール・スタンドの上流において、一端において支持されたロッド状インピーダが、前記金属ストリップの輪郭縁領域の中空内部の中に延びる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明をより完全に理解し、実施することが可能であるように、ここで、添付の図面を参照して示される好ましい実施形態を参照する。
【0025】
図面にわたって、適切であれば、同じ参照符号が、明瞭化のために同じ特徴について使用される。
図1は、図11から14に例示される中空フランジ部材の製造に使用可能なロール形成ミルの通常の全体な構成を概略的に示す。簡単には、ミルは、形成ステーション11、溶接ステーション12、および成形ステーション13を備える。
【0026】
形成ステーション11は、交互の駆動ステーション14および形成ロール・スタンド15を備える。駆動ステーション14は、従来のミル駆動系(図示せず)に結合されるが、成形方法を補助するために輪郭形成ロールを使用する代わりに、平面円筒ロールが、結果として得られる梁のウエブ部分に対応する中央領域においてスチール・ストリップ16をつかむために使用される。形成ロール・スタンド15は、別々の対15a、15bとして形成され、対15a、15bはそれぞれ、形成ステーションを通過する際、金属16のストリップの対向側面に、中空フランジ部分を形成するように適合された1セットの輪郭ローラを装備する。形成ロール・スタンド15a、15bは、従来の冷間形成ミルの場合のように、駆動系に結合することを必要としないので、形成ロール・スタンドは、種々の幅の中空フランジ梁に適応するように、ミルの長手方向軸に対して横方向に容易に調節することができる。
【0027】
望ましい断面構成に形成されると、縁形成済みストリップ16は、溶接ステーション12に入り、縁形成済み部分の自由縁は、ERW溶接装置が存在する場合、所定の接近角度においてウエブと接触するように誘導される。ストリップ表面上の望ましい溶接領域に対する自由縁の配置を補助するために、形成済みストリップは、シーム・ガイド・ロール・スタンド17を経て、17aにおいて概略的に示されたERW装置の領域内に向けられる。ストリップの面のストリップ縁および溶接シーム線領域が融合温度まで加熱された後、ストリップは、閉フランジを融合すべく加熱部分を共に付勢するために、溶接ボックス・スタンド18を通過する。次いで、溶接済み中空フランジ断面は、部材の望ましい断面形状を形成するために、連続する駆動ロール・スタンド19および成形ロール・スタンド20を経て進行し、最終的に直線にし、したがって2重溶接中空フランジ梁22として出るために、従来のターク・ヘッド・ロール・スタンド21を最後に経て進行する。ERWウエルダが、自由縁とウエブの至近部分との間の近接効果により、ストリップの自由縁とウエブのそれぞれの隣接領域に電流を付与する。ウエブ部分の熱エネルギーは、フランジの自由縁と比較して、双方向に散逸することができるので、自由縁との融合を可能にするために、十分な熱をウエブ領域の中に誘起するために追加のエネルギーが必要である。
【0028】
これまで、従来のロール形成技法およびERW方法を使用することによって、内部ストリップ部分を融合温度に加熱するのに必要なエネルギー量を使用することは、自由縁が溶融し、縁から離れて溶融小球として流れるようなものであることが判明していた。このストリップ縁損失の結果として、フランジの断面積は著しく低減され、溶接点内へのストリップ縁の制御は、より難しくなった。
【0029】
図2は、高周波数ERW溶接の従来技術の方法を概略的に示す。
図2において、ウエブ30は、中空フランジ31の自由縁をウエブ30の縁と接触させるために、中空フランジ31が形成されなければならない程度を最小限にすることを試行して、弓形断面に形成された。高周波数交流電気のそれぞれの源34に結合された接触子
32、33の対が、各フランジ31の自由縁34に隣接すると共に溶接シームが形成されたウエブの縁に隣接して配置された。図からわかるように、各中空フランジ31の自由縁34は、垂直面および水平面の両方において、ウエブ・シーム線35に対して角度をなして、ウエブ・シーム線35に近付いた。
【0030】
図3は、通常の従来技術の溶接ボックス・ロール構成を示し、側方ロール36が、水平方向において成形フランジ31を内向きに付勢し、輪郭スクイーズ・ロール37が下方支持ロール38と共動してフランジの加熱済み自由縁をウエブ30の縁の加熱済み領域と接触させ、その間において融合を実施するように付勢する。
【0031】
側方ロール36およびスクイーズ・ロール37によってフランジの自由縁に加えられた組合せ力は、有効にフランジ断面全体を圧延し、一方、直径を有効に低減する。
図4は、図3に示された溶接ボックス・ロール・アセンブリの拡大断面図である。39において全体的に示された溶接ボックス・ロール・アセンブリに入る前に、フランジ31の自由縁34は、透視でいくらか誇張された方式で破断領域において示されているように、金属ストリップ30の上で最終溶接シーム位置40より上に間隔をおいて位置する。ロール形成済みセクションが溶接ボックス・ロール・アセンブリ39を経て進行する際、中空フランジ31の自由縁34は、共動ロール36、37、38の組合せ圧力によって下方および外向きに付勢され、それにより、自由縁34は、それぞれの溶接シーム位置40でウェブ30の表面に接触するまで、ウエブ30の表面を横断して「掃引」する。
【0032】
自由縁34の「掃引」運動中、自由縁34の近接によってウエブにおいて誘起された熱「シャドー」は、自由縁34とウエブの上面との間の最短距離によって表される位置41から外向きに、融合が行われた溶接シーム位置40に向かって移動した。最終溶接シーム・サイトにおいて近接効果によって誘起された熱を集中させることができないので、熱エネルギーの大部分は、ウエブおよび中空フランジの隣接領域において散逸した。
【0033】
エネルギー散逸を克服するために、熱エネルギーの損失を補償するように電気エネルギー入力が増大されたが、これは、溶融金属が溶融によってフランジの自由縁から失われる程度まで、ウエブの自由縁を過熱する傾向があった。さらに、適切な溶接完全性を得るために、十分な熱をウエブ縁の中に誘起するようにフランジ縁を過熱する必要性が、溶接安定性が失われる結果となる縁バックリングによって激化した。
【0034】
上述の課題は、フランジの自由縁の加熱の際に意図した溶接線とフランジの自由縁を整列させ、次いで、溶接シームの周辺においてウエブ部分とフランジ縁の領域との間において望ましい発生角度に対応する方向の直線経路に沿って、ストリップの自由縁が加熱済みウエブ領域と接触するように付勢することによって、克服することができることが現在判明している。この所定の軌跡に沿ってフランジ縁の自由縁を誘導することによって、溶接ボックスのスクイーズ・ロールにおいてフランジが回転することによって生じる「掃引」効果により、自由縁を望ましい溶接シーム線と整列させる際、望ましい溶接シーム線から離れて延びる必要以上に広い経路の中に熱を誘導する問題は回避された。
【0035】
高周波数の電気抵抗または誘導溶接方法のはるかにより優れた制御により、本発明による方法および装置により作成された2重溶接中空フランジ部材に関する生産効率が向上し、製造公差が著しく向上した。
【0036】
図5は、形成ステーション11の一部ならびに図1の縁準備および溶接ステーション12を組み込む冷間ロール形成ミル部分の側面図を示す。
図5では、ミル・ベッド50が、駆動形成ロール51、アイドラ・スタンド52、非駆動縁形成スタンド53、他のアイドラ・スタンド54、インピーダ・ブラケット55、非
駆動縁形成スタンド56、他の非駆動形成スタンド57、側方ロール59を有する駆動形成ロール・スタンド58、6ロール・シーム・ガイド・ロール・スタンド60、および4ロール溶接ボックス・スタンド61を支持する。スタンド60と61との間に、作業コイル62が位置する。
【0037】
図6は、図5に示されたミル部分において作成された中空フランジ部材のフラワ・パターンを示す。
断面6Aは、ロール・スタンド53から生じる形状を示し、断面6Bは、ロール・スタンド58から生じる形状を示し、断面6Cは、シーム・ガイド・ロール・スタンド60から生じる形状を示し、断面6Cは、溶接ボックス・スタンド61に入る前のロール形成断面の形状を示す。図からわかるように、中空フランジ31の自由縁34の軌跡は、縁34とウエブ30の縁40との間の最小距離の経路に従い、セクションがシーム・ガイド・ロール・スタンド60に近付く際、6Cにおいて示される中空フランジの断面形状は、いくらか卵形の形状を取る。また、フランジ縁34の位置は、誘導コイル62の領域においてウエブ30の縁40に対して固定されて位置することもわかるであろう。
【0038】
図7は、図5のシーム・ガイド・ロール・スタンド60の構成を概略的に示し、図7aは下流正面図であり、図7bは上流正面図である。
図7aは、図5のシーム・ロール・スタンド60の下流正面図を概略的に示す。ロール・スタンド60は支持フレーム65を備え、その下流面において、整列すなわち位置合わせ回転軸67、67aの回りに回転するようにそれぞれがジャーナルされた1対の独立して取り付けられた輪郭支持ロール66、66aと、それぞれの傾斜軸69、69aの上において回転可能にジャーナルされたシーム・ガイド・ロール68、68aとが取り付けられる。シーム・ガイド・ロール68、68aは、冷間形成セクションが溶接ボックス61のスクイーズ・ロールに近付く際、中空フランジ31、31aの自由縁34、34aを望ましい溶接シーム線と長手方向に整列した状態に誘導するように作用する。
【0039】
シーム・ガイド・ロール68、68aの内部縁の回りに、当接物として作用する周囲ビード縁70が配置され、この当接物に対抗して、中空フランジの自由縁34が、それぞれのフランジ縁をウエブ30の縁40と整列するように付勢されることが可能である。
【0040】
梁ガイド・ロール68、68aおよび支持ロール66、66aの両方とも、異なるサイズの中空フランジ部材に適応するように軸方向に調節可能である。同様に、シーム・ガイド・ロール68、68aは、支持フレーム65の上に旋回式に取り付けられる。
【0041】
図7bは、シーム・ガイド・ロール支持スタンド60の上流図である。
弓形フレーム65の内部に、円筒シーム・ガイド・ロール71および円筒支持ロール72が配置され、それぞれ、それぞれの回転軸73、74の回りに回転可能にジャーナルされている。支持ロール72は、中空フランジ31の一部に適応する輪郭端部領域72aを含み、一方、シーム・ガイド・ロールのビード縁75、76は、中空フランジ31の自由縁34がロール71の平面端部に接して隣接する状態で、ウエブ30の内部縁40の上に位置する。ウエブ30は、具体的には隣接縁40のバックリングを防止するために、ロール71および72の円筒部分間において堅固に圧締めされる。
【0042】
図8は、図5の4ロール溶接ボックス61の構成を示す。
溶接ボックス61は、円筒上部ロール80および輪郭縁81aを有する円筒下方ロール81を備え、ロール80、81のそれぞれは、それぞれの回転軸82、83の回りに回転可能にジャーナルされている。それぞれの傾斜軸85a、85bの回りに回転可能な輪郭スクイーズ・ロール84a、84bは、中空フランジ31の加熱済み自由縁34a、34bをウエブ30の対向境界40に沿ってそれぞれの加熱済み溶接シーム線領域に付勢し、
それにより、連続溶接シームを創出するために間において融合を達成するように適合される。スクイーズ・ロール84a、84bと円筒支持ロール81のそれぞれの輪郭縁81aとの間において画定された空洞は、図6の断面6Dによって表された中空フランジ31の断面形状と同様に卵形の形状であることに留意されたい。
【0043】
自由縁34a、34bは、横断「掃引」行為を必要とせずに、スクイーズ・ロール84a、84bのそれぞれの回転軸85a、85bに垂直な直線方式においてそれぞれの溶接線に向かって付勢され、それにより、それぞれの自由縁34a、34bとウエブ30の対向境界40との間の溶接シームの上において、または溶接シームの望ましい位置において、安定な誘導「シャドー」または経路を維持する。
【0044】
円筒ローラ80、81は、それぞれ、調節ねじ86、87によって直立平面において移動するように調節可能に取り付けられ、ねじ86、87は、それぞれ、ロール・キャリッジ88、89に結合され、支持フレーム90において摺動可能に取り付けられる。
【0045】
スクイーズ・ロール84a、84bは、調節ねじ97によってそれぞれのスライド軸95、96に沿って摺動可能にそれぞれ調節するために、スクイーズ・ロール支持フレーム93、94のそれぞれのキャリッジ91、92に摺動可能に取り付けられる。それにより、スクイーズ・ロール支持フレーム93、94は、ねじ込みシャフト99によって支持フレーム93、94の取付け具を結合するねじ98によって横方向運動し、ねじ100によって直立運動するように調節可能に取り付けられる。ロール支持フレームは、溶接ボックス・スタンド61を経て移動する中空フランジ部材の移動方向に平行なそれぞれの軸の回りに旋回運動するように、フレーム90の上に旋回式に取り付けられることが好ましい。
【0046】
調節可能なロール取付けにより、中空フランジの自由縁が、部材ウエブの縁に隣接して、または縁において正確に位置する溶接シーム線に向かって進行する軌跡を極度に正確に制御して、種々の寸法および断面積構成を有する中空フランジ部材の広範な範囲を、溶接ボックスにおいて溶接することが可能になる。
図9は、ウエブの縁に沿って中空フランジの自由縁を溶接シームの中に誘導することをより明瞭に示す、図8の溶接ボックス61におけるロールの構成を概略的に示す。
【0047】
図面において、形成中空フランジ31およびそれぞれの自由縁34のいくらか誇張された位置が、透視で示されている。形成済みセクションがロールの組合せに近付くと、中空フランジ31は、図8に示されたそれぞれのスライド軸95、96に沿ったローラ84a、84bの移動に対応する別々のローラ81の輪郭端部81aに向かって内向きに付勢される。
【0048】
重要なことに、自由縁34において終端する中空フランジの外部部分の約半分が、矢印101によって示される方向において付勢され、それにより、自由縁34に隣接するフランジのほぼ平坦な領域およびフランジの対向側面の対応する部分が、ロール81に向かって一体部分として共に駆動され、それにより、ウエブ30の縁40に隣接するフランジの残りの部分の変形が、ロール81の輪郭縁81aにおいて適応されることがわかる。同様に、ウエブ31の自由縁34は、溶接シームが形成されるウエブ30の縁40まで直線の軌跡において進行することがわかる。
【0049】
図10は、フランジ31の自由縁34がウエブ30の境界40と融合して誘導される際の上方および下方支持ロール80、81に対するスクイーズ・ロール84a、84bの関係の拡大透視図を概略的に透視で示す。示される実施形態では、下方支持ロール81は、それぞれが輪郭外部縁81aを有する別々にジャーナルされるロール要素として示されて
いる。
【0050】
図11および12は、本発明による装置において使用される高周波数電気エネルギー誘導装置100を概略的に示す。
装置100は、インダクタ・コイル・アセンブリ101を備え、インダクタ・コイル・アセンブリ101は、シーム・ガイド・ロールステーションと溶接ボックスとの間を進行する際に中空フランジ梁103をほぼ包囲する成形シート銅コイル102を有するインダクタ・コイル・アセンブリ101を備えている。コイル・アセンブリ101は、絶縁材料105の層を間に有する銅取付けブラケット104によって対向端部において支持される。
【0051】
コイル102の表面およびブラケット104の上にわたって、内部において冷却水を循環させるための入口ポートおよび出口ポート107を有する銅管106が形成される。コイル102は、400kHzにおいて400〜800Kw AC出力の能力を有するオシレータ(図示せず)に結合される。
【0052】
梁103の中空フランジ109の中空駆動の内部に、添付された円筒インピーダ111を有する長尺のインピーダ支持ロッド110が配置される。図5に示されたように、インピーダ支持ロッド110は、中空フランジ109の自由縁とウエブの隣接側面との間のギャップを介してフランジ空洞108の中を延びる部材(図示せず)によって、溶接ステーション12の上流のブラケット55の上に支持される。フランジ109の自由縁とウエブの隣接側面との間のギャップを通って、再循環液体冷却剤および冷却空気流をフェライト・ロッド(図示せず)を含むインピーダ111に供給する冷却剤循環管112および空気管113が延びている。
【0053】
図13から16は、本発明の方法および装置により製造することができる中空フランジ部材の非限定的な範囲の例を示す。
図13は、ウエブ123の縁122に沿って位置する1対の円形断面中空フランジ121を有する中空フランジ部材120を示す。部材120は、構造部材としてそのままで使用することが可能も可能であるし、または、非円形断面のフランジを有する中空フランジ梁の前物質として使用することも可能である。
【0054】
図14は、米国特許第5163225号において全般的に記載されている「Dogbone」(登録商標)構成の中空フランジ梁を示す。
図15は、同時係属オーストラリア特許出願2003903142による矩形フランジを有する中空フランジ梁を示す。
【0055】
図16は、複合トラス梁構造において弦材として使用される矩形フランジを有する中空フランジ梁を示す。本発明による溶接方法および装置は、示されるような深いまたは浅いチャネル断面について特に有利である。そうでない場合には中空フランジの自由縁を側縁の中間においてウエブの表面に溶接することは、チャネルにおける縁の深さをシーム・ガイド・ロールで制御することができないために、中空フランジがウエブの内部に形成されるときには困難である可能性があるが、中空フランジをウエブの外向きに形成することにより、フランジ縁制御が正確となるために溶接方法が大いに簡単になる。
【0056】
当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な態様に対して多くの修正および変更を実施することが可能であることが容易に明らかになるであろう。
たとえば、形成ロール、シーム・ガイド・ロール、およびスクイーズ・ロールの組合せの構成は、可能な限り、中空フランジを望ましい断面にその後成形する際、応力損傷に至ることがある溶接シームにかかる応力がわずかであるか、または応力がかからないことを
保証するために、中空フランジの自由縁が溶接シームに異なる角度で近付くことを可能にするように適合することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】中空フランジ部材の冷間ロール形成ミルの略図。
【図2】従来技術の2重溶接方法の略図。
【図3】冷間ロール形成ミルの溶接ボックスにおける従来技術のスクイーズ・ロール領域の略図。
【図4】図3の溶接ボックス圧延構成の略拡大部分断面図。
【図5】形成ロール・スタンド、シーム・ロール・スタンドおよび溶接ボックス・スタンドを組み込んだ冷間形成ミルの一部の側面図。
【図6】形成の後半段階から溶接ボックスに入る直前までの中空フランジ梁のフラワ・パターンを形成する一部を示す図。
【図7a】シーム・ガイド・ロール・スタンドの構成を示す略後面図。
【図7b】シーム・ガイド・ロール・スタンドの構成を示す略前面図。
【図8】溶接ボックス・スタンドの構成の略図。
【図9】図8の溶接ボックス・スタンドにおけるロールの構成の略図。
【図10】図8の溶接ボックス・スタンドにおけるロールを示す透視遠近図。
【図11】インダクタ・コイルおよびインピーダの構成および関係の略図。
【図12】内部に中空フランジ断面を有する、使用時の図12のインダクタ・コイル/インピーダ・アセンブリを概略的に示す断面図。
【図13】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図14】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図15】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【図16】本発明による方法および装置に従って作成された中空フランジ部材の断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインライン溶接する方法であって、
金属ストリップの少なくとも1つの縁に隣接して曲線表面を形成する工程と、
ERW方法によって、ウエブの側面に沿って延びる中空フランジを形成するために、該輪郭表面に隣接する該金属ストリップの自由縁を該金属ストリップの表面に溶接する工程とからなる方法において、
該自由縁が、該ストリップの該表面上において所定の溶接軸と直線上に整列され、該自由縁が、該少なくとも1つの自由縁と該表面との間において、その後の溶接接合の取付軸に沿って所定の直線軌跡を経て誘導され、それにより、冷間形成部材に付与されたエネルギーが、該自由縁を該表面に融合する前に、該表面上の該所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記自由縁が、前記自由縁に対する当接部を提供する周囲ショルダをそれぞれが有する1つまたは複数のシーム・ロールによって、前記溶接軸と整列される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属ストリップの自由縁が、輪郭ガイド・ロールによって前記周囲ショルダと当接するように付勢される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属ストリップが、前記自由縁が前記周囲ショルダと当接するように付勢される際、前記溶接軸に隣接する対向円筒ロール表面によって中心で支持される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記シーム・ロールが、前記ストリップ表面に対して所定の角度において、前記自由縁を前記閉領域に向かって誘導するように、調節可能に取り付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記金属ストリップの前記自由縁が、輪郭スクイーズ・ロールの間隔をおいて位置するほぼ平行の接触面間において、前記金属ストリップの前記輪郭表面の上にわたって延びる前記輪郭スクイーズ・ロールによって前記所定の軌跡を経て誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶接エネルギーが、電源に結合された誘導コイルによって前記自由縁および前記所定の溶接軸に付与され、前記コイルが、長手方向軸にほぼ垂直な平面において前記金属ストリップのほぼ回りに延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶接エネルギーが、電源に結合された1つまたは複数の接触子によって前記自由縁および前記所定の溶接軸に付与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
一端において支持された長尺のロッド状誘導インピーダが、前記輪郭表面の中空内部空洞内において、前記自由縁が前記金属ストリップの前記表面に融合される前記閉領域に隣接する領域まで延びる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインラインERW溶接する装置であって、
使用時、該金属ストリップの表面上において該自由縁から間隔をおいて位置する所定の溶接軸との直線上に整列した状態に輪郭金属ストリップの自由縁を誘導するように適合された少なくとも1つのシーム・ロールを回転可能に支持するシーム・ロール・スタンドと
、
使用時、該表面上において対応して加熱された該溶接軸と融合係合するように、所定の温度まで加熱されると該自由縁を付勢する、少なくとも1対のスクイーズ・ロールを回転可能に支持する溶接ボックス・スタンドであって、スクイーズ・ロールの該対が、使用時、該自由縁と該金属ストリップの該表面との間におけるその後の溶接の取付軸にほぼ沿って所定の直線軌跡を経て該自由縁を誘導し、それにより、冷間形成部材に付与されたエネルギーが、該表面上の該所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中される、溶接ボックス・スタンドと、を備える装置。
【請求項11】
前記電流が、前記自由縁および前記溶接領域に隣接する前記金属ストリップと摺動可能に係合する電気接触子によって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電流が、通る前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において前記金属ストリップを横方向に囲む誘導コイルによって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、間にある前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において中空フランジ角度調節可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、スクイーズ・ロールの前記対の前記少なくとも一方の回転軸に垂直な方向において、前記対の他方に対して調節可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記溶接ボックスが、間にある金属ストリップ部材の進行方向に垂直な平行のそれぞれの軸の回りに回転可能なウエブ支持ロールを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記ウエブ支持の少なくとも1つが、スクイーズ・ロールの前記対の1つとして機能する輪郭外部縁を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
2つ以上のシーム・ロール・スタンドを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記シーム・ロール・スタンドの少なくとも1つが、周囲ショルダを有するシーム・ロールを含み、該周囲ショルダが、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁に対する当接部を提供する、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
輪郭ガイド・ロールが、使用時、前記周囲ショルダと隣接するように前記金属ストリップの前記自由縁を付勢するために提供される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記1つまたは複数のシーム・ロール・スタンドの上流において、一端において支持されたロッド状インピーダが、前記金属ストリップの輪郭縁領域の中空内部の中に延びる、請求項12に記載の装置。
【請求項1】
冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインライン溶接する方法であって、
金属ストリップの少なくとも1つの縁に隣接して曲線表面を形成する工程と、
ERW方法によって、ウエブの側面に沿って延びる中空フランジを形成するために、該輪郭表面に隣接する該金属ストリップの自由縁を該金属ストリップの表面に溶接する工程とからなる方法において、
該自由縁が、該ストリップの該表面上において所定の溶接軸と直線上に整列され、該自由縁が、該少なくとも1つの自由縁と該表面との間において、その後の溶接接合の取付軸に沿って所定の直線軌跡を経て誘導され、それにより、冷間形成部材に付与されたエネルギーが、該自由縁を該表面に融合する前に、該表面上の該所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記自由縁が、前記自由縁に対する当接部を提供する周囲ショルダをそれぞれが有する1つまたは複数のシーム・ロールによって、前記溶接軸と整列される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属ストリップの自由縁が、輪郭ガイド・ロールによって前記周囲ショルダと当接するように付勢される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属ストリップが、前記自由縁が前記周囲ショルダと当接するように付勢される際、前記溶接軸に隣接する対向円筒ロール表面によって中心で支持される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記シーム・ロールが、前記ストリップ表面に対して所定の角度において、前記自由縁を前記閉領域に向かって誘導するように、調節可能に取り付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記金属ストリップの前記自由縁が、輪郭スクイーズ・ロールの間隔をおいて位置するほぼ平行の接触面間において、前記金属ストリップの前記輪郭表面の上にわたって延びる前記輪郭スクイーズ・ロールによって前記所定の軌跡を経て誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶接エネルギーが、電源に結合された誘導コイルによって前記自由縁および前記所定の溶接軸に付与され、前記コイルが、長手方向軸にほぼ垂直な平面において前記金属ストリップのほぼ回りに延びる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶接エネルギーが、電源に結合された1つまたは複数の接触子によって前記自由縁および前記所定の溶接軸に付与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
一端において支持された長尺のロッド状誘導インピーダが、前記輪郭表面の中空内部空洞内において、前記自由縁が前記金属ストリップの前記表面に融合される前記閉領域に隣接する領域まで延びる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
冷間形成ミルにおいて中空フランジ・スチール部材をインラインERW溶接する装置であって、
使用時、該金属ストリップの表面上において該自由縁から間隔をおいて位置する所定の溶接軸との直線上に整列した状態に輪郭金属ストリップの自由縁を誘導するように適合された少なくとも1つのシーム・ロールを回転可能に支持するシーム・ロール・スタンドと
、
使用時、該表面上において対応して加熱された該溶接軸と融合係合するように、所定の温度まで加熱されると該自由縁を付勢する、少なくとも1対のスクイーズ・ロールを回転可能に支持する溶接ボックス・スタンドであって、スクイーズ・ロールの該対が、使用時、該自由縁と該金属ストリップの該表面との間におけるその後の溶接の取付軸にほぼ沿って所定の直線軌跡を経て該自由縁を誘導し、それにより、冷間形成部材に付与されたエネルギーが、該表面上の該所定の溶接軸に沿って近接効果によって集中される、溶接ボックス・スタンドと、を備える装置。
【請求項11】
前記電流が、前記自由縁および前記溶接領域に隣接する前記金属ストリップと摺動可能に係合する電気接触子によって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電流が、通る前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において前記金属ストリップを横方向に囲む誘導コイルによって、前記自由縁および前記溶接領域において誘導される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、間にある前記金属ストリップの進行方向に垂直な平面において中空フランジ角度調節可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
スクイーズ・ロールの前記対の少なくとも一方が、スクイーズ・ロールの前記対の前記少なくとも一方の回転軸に垂直な方向において、前記対の他方に対して調節可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記溶接ボックスが、間にある金属ストリップ部材の進行方向に垂直な平行のそれぞれの軸の回りに回転可能なウエブ支持ロールを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記ウエブ支持の少なくとも1つが、スクイーズ・ロールの前記対の1つとして機能する輪郭外部縁を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
2つ以上のシーム・ロール・スタンドを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記シーム・ロール・スタンドの少なくとも1つが、周囲ショルダを有するシーム・ロールを含み、該周囲ショルダが、使用時、前記金属ストリップの前記自由縁に対する当接部を提供する、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
輪郭ガイド・ロールが、使用時、前記周囲ショルダと隣接するように前記金属ストリップの前記自由縁を付勢するために提供される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記1つまたは複数のシーム・ロール・スタンドの上流において、一端において支持されたロッド状インピーダが、前記金属ストリップの輪郭縁領域の中空内部の中に延びる、請求項12に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−503348(P2008−503348A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516890(P2007−516890)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000897
【国際公開番号】WO2006/000018
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505473651)スモーゴン スチール ライトスチール プロダクツ プロプライエタリー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SMORGON STEEL LITESTEEL PRODUCTS PTY LTD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000897
【国際公開番号】WO2006/000018
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505473651)スモーゴン スチール ライトスチール プロダクツ プロプライエタリー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SMORGON STEEL LITESTEEL PRODUCTS PTY LTD
【Fターム(参考)】
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