説明

中空体の位置情報管理装置、位置情報管理方法、および位置情報管理プログラム

【課題】線材コイル等の中空体の置場での位置情報を簡便かつ確実に管理して、オペレータの負担を軽減することができる中空体の位置情報管理装置を提供する。
【解決手段】この位置情報管理装置は、略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、かつ複数段積載する置場における中空体の位置情報を管理する。まず、中空体の列情報を識別する識別部110を有する列情報識別体を中空体列の軸方向の端部に列ごとに設置する。搬送用フック30を置場に積載された中空体の中空部に挿入した状態で、搬送用フック30に設けられたアンテナ105aによって識別部110を検出する。予め定められた置場における中空体の位置情報を列情報とともに記憶する管理手段107が、アンテナ105aにより検出された識別部110の列情報を基に、置場における中空体の位置情報を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略同一径の複数の金属製の線材コイルや金網コイル等の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、かつ複数段積載する置場における前記中空体の位置情報管理装置、位置情報管理方法、および位置情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
線材コイル等の中空体は、倉庫等に俵積みされて保管されるのが一般的である。従来、線材コイル等の置場位置情報を管理する際には、予め倉庫内の位置を測定して置場範囲を登録しておき、線材コイル等を搬送する台車の位置をロータリーエンコーダ等で計測して、置場位置を特定し管理している(特許文献1)。
【0003】
しかし、予め倉庫内の位置を測定する必要がある上、線材コイル等のサイズ変更に伴い置場のレイアウトに変更があれば、その都度倉庫内を測定する必要があることから、オペレータにとっては多大な負担が生じる。
【0004】
また、ロータリーエンコーダ等を台車の車軸に取り付けているために、例えば、オペレータの運転方法(急ブレーキ、急発進等)により、車輪とレールとの間で滑り等が発生した場合には、エンコーダが示す位置と実際の位置とが異なることになる。このような場合には、検出ポイントのずれにより、位置精度が低くなる可能性がある。
【0005】
そこで、このような不都合を解消するために、クレーン上方の天井位置にRFIDタグを配置し、台車に取り付けられたRFID読取装置でRFIDタグを検出して台車位置を特定し、線材コイルの位置とする技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開昭62−16930号公報
【特許文献2】特開2004−250209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2のように、台車位置を線材コイルの置場位置としたのでは、クレーンの吊上げ装置(例えば、Cフック)が移動や吊動作のために揺れた場合には、台車とCフックとの相対的な位置ずれが生じる。このため、精度よく線材コイルの置場位置を特定することができない。
【0007】
また、この位置ずれ対策のため、Cフック自体にRFID読取装置もしくはそのアンテナを配置することも考えられる。しかし、Cフックが揺れたり、RFID読取装置とRFIDタグとの距離が変化したりすることで、複数のRFIDタグの情報を読み取ることになり、上記同様に、精度よく線材コイルの置場位置を特定することができない。
【0008】
そのため、オペレータが線材コイルの置場位置を覚えておくか、或いは該置場位置の特定のための新たな確認作業を行なう必要があり、オペレータの負担を軽減させることができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、線材コイル等の中空体の置場での位置情報を簡便かつ確実に管理することができるようにして、オペレータの負担を軽減することができる中空体の位置情報管理装置、位置情報管理方法、および位置情報管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の中空体の位置情報管理装置は、略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報管理装置であって、前記中空体列の軸方向の端部に列ごとに設置され、前記中空体の列情報を識別する識別部を有する列情報識別体と、前記中空体の搬送時に該中空体の中空部に挿入される搬送用フックに設けられ、該搬送用フックを前記置場に積載された前記中空体の前記中空部に挿入した状態で、前記識別部を検出する識別部検出手段と、予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶する管理手段と、を備え、該管理手段は、前記識別部検出手段により検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の中空体の位置情報管理方法は、略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報管理方法であって、前記中空体の列情報を識別する識別部を有する列情報識別体を前記中空体列の軸方向の端部に列ごとに設置し、前記中空体の搬送時に該中空体の中空部に挿入される搬送用フックを前記置場に積載された前記中空体の前記中空部に挿入した状態で、前記搬送用フックに設けられた識別部検出手段によって前記識別部を検出する識別部検出ステップと、予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶する管理ステップと、を備え、該管理ステップは、前記識別部検出手段により検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理することを特徴とする。
【0012】
本発明の中空体の位置情報管理プログラムは、略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報を管理するプログラムであって、搬送用フックによる前記中空体の吊り動作および降ろし動作を検出する中空体動作検出モジュールと、該中空体動作検出モジュールでの前記中空体の吊り動作、又は降ろし動作の検出時に、前記中空体の列情報の識別部を検出する識別部検出モジュールと、予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶し、前記識別部検出モジュールで検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理する管理モジュールと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、線材コイル等の中空体の置場での位置情報を簡便かつ確実に管理することができるので、オペレータの負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態の一例である線材コイルの置場管理装置を説明するための斜視図である。
【0016】
図1に示すように、搬送装置10は、倉庫等の両側の柱等に設けられた走行レール上又は該レールに懸垂されて走行するクレーンガータに、台車としてのトロリ20と、吊り上げ装置としてのCフック30とが配置され、巻上げ、横行、走行の3動作が可能とされている。トロリ20には、線材コイルの吊上げ状態を検知するロードセル等の荷重計103が設置されている。Cフック30には、線材コイルの中空部への挿入を検知するためのレーザー変位計方式の材料検出装置104、およびRFIDタグの情報を読み取るRFID読取装置105のアンテナ105aが設置されている。なお、材料検出装置104はレーザー変位計方式に限るものでなく、光電管式や超音波式のものであっても、Cフック30が線材コイルの中空部に挿入されたことを検出できるものであればよい。
【0017】
搬送装置10側と地上側には、図2に示すように、それぞれ信号処理装置40a,40bが配置される。
【0018】
搬送装置10の信号処理装置40aは、処理装置101を備えている。処理装置101は、表示装置102、荷重計103、材料検出装置104、RFID読取装置105、および地上局とデータ通信を行う無線ユニット106のそれぞれからの信号を処理する。表示装置102は、オペレータへのガイダンス表示、および線材コイルの置場を検索する場合などに入力を行う装置であり、タッチパネル式であってもよいし、別体としたキーボードを備えるものであってもよい。
【0019】
一方、地上側の信号処理装置40bは、搬送装置10側とデータ通信を行う無線ユニット106、サーバー107、および管理データを記憶する記憶装置108を備える。サーバー107は、上位コンピュータ(不図示)と通信を行い、倉庫に出入りする線材コイルの情報を送受信することができる。
【0020】
図5は、記憶装置108に保存され、サーバー107において処理、管理される置場位置情報管理テーブルを示す図である。
【0021】
この置場位置情報管理テーブルには、線材コイルを識別するための現品No、置場プレート110に記憶された置場の列情報、列ごとに順番付けされた列内番号からなる置場コード、線材コイルの外径、線材コイルの幅、線材コイルの重量、商品番号を示すワークNo、出庫状況を示す出庫フラグなどの諸情報が管理されている。
【0022】
図3および図4は、倉庫内で線材コイルが保管される置場の一例を示す図である。
【0023】
この置場は、図4の例では、一段目に略同一径の線材コイル列が水平方向に複数列配置され、一段目の互いに隣り合う線材コイル列間に略同一径の線材コイル列が2段目として積載され、2段目の互いに隣り合う線材コイル列間に略同一径の線材コイル列が3段目として積載され、3段目の互いに隣り合う線材コイル列間に略同一径の線材コイル列が4段目として積載されている。これらの線材コイル列の列端には、線材コイルが立てかけられるラック50が設置されている。
【0024】
ラック50には、列名(A014等)などの列情報が記載されるとともに、列情報の識別情報を記憶したRFIDタグ機能を有する置場プレート110が各列の線材コイルの中空部の略中心に位置にして取り付けられている。
【0025】
ここで、線材コイルを搬送するためにCフック30を線材コイルの中空部に挿入すると、Cフック30の先端に設置したアンテナ105aから送信される電波は各方向に放射されるものの線材コイルが金属製であるため径方向は遮蔽される。従って、線材コイルの中空部の先の置場プレート110が確実に送信電波を受信し、かつ該置場プレート110からの送信電波を確実に受信することができる。これにより、置場での線材コイルの列位置を確実に特定することができる。
【0026】
次に、図6〜図9を参照して、線材コイルの吊り上げ、吊り下げによる入庫、出庫、および倉庫内の移動に伴う置場情報の管理処理について説明する。
【0027】
図6は、生産ラインから搬入された線材コイルを倉庫内に配置する場合の処理を説明するためのフローチャート図である。処理の一例として、生産ラインから現品NoがC001の線材コイルをA014(図4参照)の線材コイル列の5番目(ラック50から最も離間する側)の位置に入庫させる処理を説明する。
【0028】
まず、ステップS4101で、サーバー107は、当日作業する予定のある線材コイルの一覧情報をあらかじめ上位コンピュータから受信する。また、処理装置101は、無線ユニット106を通じてサーバー107からその情報を受信し、さらに、表示装置102の入庫処理画面に入庫予定順に表示させる。
【0029】
ステップS4102では、サーバー107は、クレーンのオペレータが入庫作業すべき生産ラインから倉庫に搬入される線材コイルを特定するための個体を識別する情報である現品No(C001)を受信する。なお、トラックなどから倉庫内に線材コイルが持ち込まれる場合は、上位コンピュータと連動していないため、オペレータが携帯端末(不図示)を用いてバーコード情報などを読み取り、入力された現品Noをサーバー107が受信するようにしてもよい。
【0030】
ステップS4103で、サーバー107は、無線ユニット106により、現品No(C001)を処理装置101に送信する。
【0031】
ステップS4104で、オペレータに対して作業対象が特定しやすいように、処理装置101は、表示装置102の入庫処理画面に現品No(C001)についての表示を他と色を変えたり強調表示したりすることにより特徴付けて表示する。
【0032】
ステップS4105では、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以上になることにより、クレーンが線材コイルを吊ったと判断する処理をする。なお、荷重計103に代えて材料検出装置104の信号を用いてクレーンのCフック30が線材コイルの中空部に挿入されたことで線材コイルを吊ったと判断するようにしてもよく、或いは荷重計103と材料検出装置104との信号と組み合わせて、両者のAND条件をとったりすることで線材コイルを吊ったと判断する処理とするようにしてもよい。後述する線材コイルの降ろし操作のときも同様である。
【0033】
この判断により、ステップS4106では、現在吊っている線材コイルが現品Noで特定されている(C001)であるという処理をする。
【0034】
ステップS4107で、表示装置102に表示される(C001)を示す欄に、現在線材コイルが吊り上げ中であることを示すステータスランプ(ST表示)を点灯させる。その後、オペレータにより、線材コイルが所定の位置に搬送されるのを待つ。
【0035】
ステップS4108で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以下になることにより、クレーンが線材コイルを降ろしたと判断する処理をする。
【0036】
この判断により、ステップS4109で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報A014をサーバー107に送信する。なお、あらかじめ一定周期で列情報を読み取っていたものをこの時点で確定しても、この時点から一定時間経過後に列情報を読み取ってもよい。
【0037】
ステップS4110で、サーバー107は、置場位置情報管理テーブルからA014の列に現在保管されている線材コイルの個数(例えば4個保管されている場合は、i=4)を算出し、新たな設置位置としての列内番号をインクリメントして列内番号(I=4+1)を算出する。特定された列情報A014と列内番号(5)とから置場コード(A014−05)を生成する。
【0038】
ステップS4111で、サーバー107は、線材コイルC001の状態を入庫完了とし、置場位置情報管理テーブル(図5)に現品No(C001)に関する情報のうち、置場コードのToのデータをA014−05、状態を在庫中として記憶するとともに、現品No(C001)の置場コード(A014−05)と状態(在庫中)の情報を処理装置101に送信する。
【0039】
ステップS4112で、処理装置101は、表示装置102の置場コードを更新し、ST表示を消灯させる。
【0040】
図7は、倉庫内に配置した線材コイルをトラックに積み込んで出庫する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。処理の一例として、倉庫内から現品NoがE009の線材コイルを置場コードA014−05から出庫させる処理を説明する。
【0041】
まず、ステップS4201では、サーバー107は、当日出庫作業する予定のある線材コイルの一覧情報をあらかじめ上位コンピュータから受信し、また、受信情報をサーバー107から無線ユニット106により処理装置101に送信する。このとき、受送信される情報は、線材コイルの個別識別情報と共に、置場コードや出庫に用いるトラックのトラック番号などである。
【0042】
ステップS4202で、処理装置101は、クレーンのオペレータが線材コイルを積み込む先のトラックのトラック番号の入力を受け付ける。
【0043】
ステップS4203で、処理装置101は、ステップS4201で受信したデータの中からステップS4202で受け付けたトラック番号に該当する線材コイルを検索する。
【0044】
ステップS4204で、処理装置101は、表示装置102の出庫作業画面で検索した線材コイル情報を置場コードとともに表示装置102に表示する。その後、処理装置101は、クレーンがオペレータの操作により対象の線材コイルの置場位置に移動されるのを待つ。
【0045】
ステップS4205で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以上になることにより、クレーンが線材コイルを吊ったと判断する処理をする。
【0046】
この判断により、ステップS4206で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報A014を読み取る。
【0047】
ステップS4207で、処理装置101は、受け取った列情報(A14)をサーバー107に送信する。サーバー107はその列情報から一番外側にある線材コイルが出荷対象のコイル(E009)かを判断して、その結果を処理装置101に返信する。なお、このステップS4207の処理は、処理装置101は受け取った列情報A014から、一番外側にある線材コイルの現品No情報(E009)をサーバー107に送信し、サーバー107で出荷すべき線材コイルであるかを判断した上で、その結果を処理装置101に送信するものとしても良い。
【0048】
ステップS4208で相違した場合、つまりNoとなった場合は、処理装置101は、表示装置102に警告表示する。更に移動のための処理として後述するステップS4302へ進む。
【0049】
ステップS4208で合致した場合、ステップS4210に進む。ステップS4210で、処理装置101は、現在吊っている線材コイルが現品Noで特定されているE009であるという処理をする。
【0050】
ステップS4211で、処理装置101は、表示装置102に表示される現品NoがE009の欄に、現在吊り上げ中であることを示すステータスランプ(ST表示)を点灯させる。
【0051】
ステップS4212で、処理装置101は、サーバー107にE009は吊上中という情報を送信し、サーバー107では、置場位置情報管理テーブルからE009に関する情報のうち、置場コードのToのデータを削除、FromのデータをA014−05、状態を吊上中として更新する。
【0052】
その後、オペレータにより、所定の出荷位置に搬送されるのを待つ。
【0053】
ステップS4213で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以下になることにより、クレーンが線材コイルを降ろしたと判断する処理をする。
【0054】
ステップS4214で、処理装置101は、サーバー107にE009は出庫済みという情報を送信し、サーバー107では、置場位置情報管理テーブルからE009に関する情報のうち、状態のデータを出庫済みとして更新する。
【0055】
ステップS4215で、点灯していた表示装置102の吊り上げ状態表示ランプを消す処理をする。
【0056】
このようにして、倉庫から出庫した線材コイルについての置場を識別することができるようになる。
【0057】
なお、ステップS4212の処理は、状態のデータを一旦吊上中としているが、この時点で、出庫済みとして、ステップS4214の処理を省略してもよい。
【0058】
図8は、倉庫内に配置した線材コイルを倉庫内の別の位置に移動する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。
【0059】
線材コイルを出庫させる場合に、出庫対象の線材コイルが必ずしも一番外側にあるとは限らず、一時的にでも他の位置に移動させる必要が生じる。または、倉庫内の整理などのために移動させる必要が生じる。
【0060】
処理の一例として、倉庫から現品NoがM003の線材コイルを置場コードA014−05から置場コードA009−31に移動させる処理を説明する。
【0061】
ステップS4301で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以上になることにより、クレーンが線材コイルを吊ったと判断する処理をする。
【0062】
この判断により、ステップS4302で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報A014を検出する。
【0063】
ステップS4303で、処理装置101は、検出した列情報A014をサーバー107に送信して、A014列に保管されている線材コイルの個体識別番号の全てを問合せ、表示装置102に一番外側から表示する。
【0064】
ステップS4304で、処理装置101は、現在吊っている線材コイルが列情報A014の一番外側にあった現品NoのM003であるという処理をする。
【0065】
ステップS4305で、処理装置101は、表示装置102に表示される現品NoのM003を示す欄に、現在吊り上げ中であることを示すステータスランプ(ST表示)を点灯させる。
【0066】
ステップS4306で、処理装置101は、現品NoM003の状態を一旦(吊上中)とし、サーバー107に通知し、サーバー107は置場位置情報管理テーブルからM003に関する情報のうち、置場コードのToのデータを削除、FromのデータをA014−05、状態を吊上中として更新する。
【0067】
その後、オペレータの操作により、線材コイルが所定の位置に搬送されるのを待つ。
【0068】
ステップS4307で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以下になることにより、クレーンが線材コイルを降ろしたと判断する処理をする。
【0069】
この判断により、ステップS4308で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報(A009列)を検出し、サーバー107にこの列情報を送信する。
【0070】
ステップS4309で、サーバー107は、置場位置情報管理テーブルからA009列に現在保管されている線材コイルの個数(i=30)を算出し、新たな設置位置としての列内番号をインクリメントして列内番号(I=30+1)を算出する。そして、サーバー107は、特定された列情報(A009列)と列内番号(31)とから置場コード(A009−31)を生成する。
【0071】
ステップS4310で、サーバー107は、M003の状態を在庫中とし、置場位置情報管理テーブルに現品NoがM003に関する情報のうち、置場コードのToのデータをA009−31、状態を在庫中と更新するとともに、現品NoがM003の置場コード(A009−31)を処理装置101に送信する。
【0072】
ステップS4311で、処理装置101は、表示装置102の置場コードを更新し、ST表示を消灯させる。
【0073】
図9は、倉庫内に配置した線材コイルを倉庫内の別の位置に複数個まとめて移動する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。
【0074】
処理の一例として、倉庫から現品NoがM001、M003の2個の線材コイルを置場コードA014−04、A014−05から置場コードA009−31、A009−32に移動させる処理を説明する。
【0075】
ステップS4401で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以上になることにより、クレーンが線材コイルを吊ったと判断する処理をする。
【0076】
この判断により、ステップS4402で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報A014を検出する。
【0077】
ステップS4403で、処理装置101は、ステップS4402で検出した列情報A014をサーバー107に送信して、A014列に保管されている線材コイルの個体識別番号の全てを問合せ、表示装置102に一番外側から表示する(図10(a)参照)。
【0078】
ステップS4404で、処理装置101は、表示装置102からの吊上げた線材コイルの個数の入力(2個)を受け付ける。
【0079】
ステップS4405では、処理装置101は、現在吊っている線材コイルがA014の列の一番外側からステップS4404で入力された個数分の現品NoのM001、M002であるという処理をする。
【0080】
ステップS4406で、処理装置101は、表示装置102に表示される現品NoのM001、M002を示す欄に、現在吊り上げ中であることを示すステータスランプ(ST表示)を点灯させる(図10(b)参照)。
【0081】
ステップS4407で、処理装置101は、現品NoがM001、M002の状態を(吊上げ中)としてサーバー107に通知する。サーバー107は、置場位置情報管理テーブルからM001、M002に関する情報のうち、それぞれの置場コードのToのデータを削除、FromのデータをA014−05,A014−04、状態をそれぞれ吊上中として更新する。
【0082】
その後、オペレータにより、線材コイルが所定の位置に搬送されるのを待つ。
【0083】
ステップS4408で、処理装置101は、荷重計103の測定値があらかじめ設定している所定値以下になることにより、クレーンが線材コイルを降ろしたと判断する処理をする。
【0084】
この判断により、ステップS4409で、処理装置101は、RFID読取装置105で読み取った置場プレート110に記憶されている列情報(A009列)を検出し、サーバー107にこの列情報を送信する。
【0085】
ステップS4410で、処理装置101は、表示装置102から降ろす線材コイルの個数(2個目)の入力を受け付ける(図10(c)参照)。
【0086】
なお、ここで、特に入力が無い場合は、一定時間後、ステップS4411に進むものとしても良い。
【0087】
ステップS4411で、サーバー107は、置場位置情報管理テーブルからA009列に現在保管されている線材コイルの個数(i=30)を算出し、新たな設置位置としての列内番号をインクリメントして列内番号(I=30+1、30+2)を算出する。また、サーバー107は、特定された列情報(A009列)と列内番号(31、32)とから置場コード(A009−31、A009−32)を生成する。
【0088】
ステップS4412で、サーバー107は、置場位置情報管理テーブルからM001、M002に関する情報のうち、それぞれの置場コードのToのデータをA009−32、A009−31、FromのデータをA014−05、A014−04、状態をそれぞれ在庫中として更新するとともに、処理装置101に現品NoM001、M002の置場コード(A009−32、A009−31)とそれぞれの状態(在庫中)の情報を、処理装置101に送信する。
【0089】
ステップS4413で、処理装置101は、表示装置102の置場コードを更新し、ST表示を消灯させる(図10(d)参照)。
【0090】
ステップS4414で、処理装置101は、荷重計103からの信号、あるいは、オペレータにより入力された信号から全ての線材コイルを降ろしていない場合、つまりNoの場合はステップS4401に戻り、処理を繰り返す。一方、全ての線材コイルを降ろした場合、つまり、ステップS4414でYesの場合は処理を終了する。
【0091】
なお、ステップS4414でNoの場合、先にステップS4412で行った処理のうち、降ろさなかった線材コイルの情報の更新処理を取り消し、ステップS4408に戻るようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、この実施の形態では、線材コイルの置場での位置情報を簡便かつ確実に管理することができるので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0093】
また、RFID読取装置105による置場プレート110の列情報の検出(読込)タイミングを材料検出装置104や荷重計103等からの各種イベントを利用して決定しているので、置場プレート110の列情報の識別不良の原因となる搬送フック30の振れや、クレーン運転手のフック操作による影響を最小限に抑えることができる。
【0094】
さらに、搬送フック30にRFID読取装置105のアンテナ105aを取り付け、置場に積載された線材コイルの中空部に搬送フック30を挿入した状態で、RFIDタグ機能を有する置場プレート110の列情報を検出するようにしているので、隣接する置場プレートの影響の受けにくいタイミングで該当プレートの読込を行なうことができ、個々の線材コイルの位置情報の管理をより精度よく行なうことができる。
【0095】
また、上記実施の形態の例示で、倉庫内に在庫する線材コイルの情報をサーバー107の置場位置情報管理テーブルに記録し、管理するものとして説明したが、置場プレート110を読み書き可能なRFIDの機能を有するものとし、列ごとに在庫している線材コイルの現品Noを記録するものであってもよい。
【0096】
つまり、例えば線材コイルを入庫する場合、ステップS4109でサーバー107に現品No情報を送信すると共に、置場プレート110にも、情報を送信し、現品Noを書き込む処理をする。逆に、出庫する場合、ステップS4212で処理装置101は、サーバー107にE009は吊上中という情報を送信すると共に、置場プレート110にも、情報を送信し、現品Noを削除する処理をする。このような処理を追加することで、置場プレート110は列ごとに在庫している線材コイルの現品Noを記録しているため、オペレータが携帯端末等を利用して読み取ることにより、個別の線材コイルの確認やたな卸し作業などを簡便に行うことが可能となる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0098】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0099】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0100】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0101】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0102】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態の一例である線材コイルの置場管理装置を説明するための斜視図である。
【図2】搬送装置側および地上側の信号処理装置の装置構成を説明するためのブロック図である。
【図3】倉庫内で線材コイルが保管される置場の一例を示す斜視図である。
【図4】倉庫内で線材コイルが保管される置場の一例を示す図である。
【図5】置場位置情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】生産ラインから搬入された線材コイルを倉庫内に配置する場合の処理を説明するためのフローチャート図である。
【図7】倉庫内に配置した線材コイルをトラックに積み込んで出庫する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。
【図8】倉庫内に配置した線材コイルを倉庫内の別の位置に移動する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。
【図9】倉庫内に配置した線材コイルを倉庫内の別の位置に複数個まとめて移動する場合の処理について説明するためのフローチャート図である。
【図10】表示装置の表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10 搬送装置
20 トロリ(台車)
30 搬送フック
40a 信号処理装置(搬送装置側)
40b 信号処理装置(地上側)
50 ラック
101 処理装置
102 表示装置
103 荷重計
104 材検出装置
105 RFID読取装置
105a RFID読取装置のアンテナ
106 無線ユニット
107 サーバー
108 記憶装置
110 置場プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報管理装置であって、
前記中空体列の軸方向の端部に列ごとに設置され、前記中空体の列情報を識別する識別部を有する列情報識別体と、
前記中空体の搬送時に該中空体の中空部に挿入される搬送用フックに設けられ、該搬送用フックを前記置場に積載された前記中空体の前記中空部に挿入した状態で、前記識別部を検出する識別部検出手段と、
予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶する管理手段と、を備え、
該管理手段は、前記識別部検出手段により検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理する、
ことを特徴とする中空体の位置情報管理装置。
【請求項2】
前記識別部がRFIDタグであり、前記識別部検出手段がRFID読取装置のアンテナである、
ことを特徴とする請求項1に記載の中空体の位置情報管理装置。
【請求項3】
前記搬送用フックによる前記中空体の吊り動作、および降ろし動作を検出する中空体動作検出手段を備え、前記識別部検出手段は、前記中空体動作検出手段による前記中空体の吊り動作、又は降ろし動作の検出時に、前記識別部を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の中空体の位置情報管理装置。
【請求項4】
前記識別部に列情報と共に列ごとの前記中空体の位置情報を記憶する、
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の中空体の位置情報管理装置。
【請求項5】
略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報管理方法であって、
前記中空体の列情報を識別する識別部を有する列情報識別体を前記中空体列の軸方向の端部に列ごとに設置し、
前記中空体の搬送時に該中空体の中空部に挿入される搬送用フックを前記置場に積載された前記中空体の前記中空部に挿入した状態で、前記搬送用フックに設けられた識別部検出手段によって前記識別部を検出する識別部検出ステップと、
予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶する管理ステップと、を備え、
該管理ステップは、前記識別部検出手段により検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理する、
ことを特徴とする中空体の位置情報管理方法。
【請求項6】
前記識別部がRFIDタグであり、前記検出部がRFID読取装置のアンテナである、 ことを特徴とする請求項1に記載の中空体の位置情報管理方法。
【請求項7】
前記搬送用フックによる前記中空体の吊り動作、および降ろし動作を検出する中空体動作検出ステップを備え、前記識別部検出手段は、前記中空体動作検出ステップによる前記中空体の吊り動作、又は降ろし動作の検出時に、前記識別部を検出する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の中空体の位置情報管理方法。
【請求項8】
略同一径の複数の中空体を軸方向に列状に配置した中空体列を、複数列、または/および複数段積載する置場における前記中空体の位置情報を管理するプログラムであって、
搬送用フックによる前記中空体の吊り動作、および降ろし動作を検出する中空体動作検出モジュールと、
該中空体動作検出モジュールでの前記中空体の吊り動作、又は降ろし動作の検出時に、前記中空体の列情報の識別部を検出する識別部検出モジュールと、
予め定められた前記置場における前記中空体の位置情報を列情報とともに記憶し、前記識別部検出モジュールで検出された前記識別部の列情報を基に、前記置場における前記中空体の位置情報を管理する管理モジュールと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする中空体の位置情報管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−162740(P2008−162740A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352992(P2006−352992)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(592135203)キヤノンITソリューションズ株式会社 (528)
【Fターム(参考)】