中空構造を有する装置およびその製造方法
【課題】中空構造の空隙内に液状樹脂が深く入り込んでしまうことなしに、確実に開口部を閉塞することができる、中空構造を有する装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜204と、樹脂膜208と、撥液膜207aとを有している。金属膜204は、開口部を有する空隙が主表面の一部との間に形成されるように基板201上に設けられている。樹脂膜208は、硬化された樹脂からなり、開口部206aおよび206bを閉塞している。撥液膜207aは、空隙の内面上に設けられており、液状状態の樹脂の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性を有している。
【解決手段】中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜204と、樹脂膜208と、撥液膜207aとを有している。金属膜204は、開口部を有する空隙が主表面の一部との間に形成されるように基板201上に設けられている。樹脂膜208は、硬化された樹脂からなり、開口部206aおよび206bを閉塞している。撥液膜207aは、空隙の内面上に設けられており、液状状態の樹脂の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造を有する装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスおよび半導体デバイスの中には中空構造を有するものがある。MEMSデバイスにおいては、可動部が中空構造の空隙内で動作するように設けられることにより、この可動部が円滑に動作可能となる(たとえば特開2004−174779号公報および特許第3745648号公報参照)。
【0003】
特開2004−174779号公報によれば、MEMSデバイスである静電型アクチュエータの技術が開示されている。この公報に記載された一実施形態によれば、静電型アクチュエータは振動板と電極との間に空隙を有している。この空隙は犠牲層が犠牲層除去孔からエッチングにより除去されることにより形成される。この犠牲層除去孔は、空隙形成後、樹脂膜の成膜により封止される。この樹脂膜は空隙内に入り込まないように形成される。樹脂膜が成膜される面には、あらかじめプラズマ処理が施される。
【0004】
この公報によれば、上記のプラズマ処理により樹脂膜が成膜される面の樹脂との濡れ性が低下するので樹脂が空隙内に染み込むことを防止することができる、とされている。
【0005】
特許第3745648号公報によれば、中空構造を有する微細構造の製造方法が開示されている。この公報に記載された一実施形態によれば、まず基板上に凹部が形成される。次に凹部内に犠牲膜が充填される。次に、開口部を備えた板状の蓋が、凹部の側壁より開口部が離間した状態で、凹部を覆うように配置されて固定される。次に開口部より犠牲膜がエッチング除去されて蓋の下に凹部による空間が形成される。次に、蓋の上に液状の材料が塗布されて塗布膜が形成される。この直後に、たとえば塗布膜が基板より下方に配置される。この後、塗布膜が固化されることで蓋の上に封止膜が形成されて開口部が塞がれる。
【0006】
この公報によれば、塗布された封止膜が下側、すなわち重力の作用する側に配置されることで、封止膜が上記空間に侵入することが抑制される、とされている。また蓋の開口部が凹部側壁に接触しない状態に配置されることで、塗布される液の空間内への流入を防ぐことができるとされている。
【特許文献1】特開2004−174779号公報
【特許文献2】特許第3745648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2004−174779号公報によれば樹脂膜が成膜される面に対する液状樹脂の塗れ性が低いので、樹脂膜の成膜時に液状樹脂が弾かれてしまうために犠牲層除去孔(開口部)が封止されないことがあるという問題があった。また空隙の内面に対しては液状樹脂の濡れ性を低くするような処理がなされていないので、開口部から染み込んだ液状樹脂が空隙と開口部との境界まで到達した場合は、液状樹脂膜が表面張力により空隙内面に引き込まれてしまうことによって空隙内に液状樹脂膜が深く入り込んでしまうことがあるという問題があった。
【0008】
また特許第3745648号公報によれば塗布された封止膜(液状樹脂)が重力の作用する側に配置されるので、液状樹脂が塗布直後に重力により流れ落ちてしまうために開口部が封止されないことがあるという問題があった。また開口部を凹部(空隙)側壁に接触しない状態に配置しなければならないという構造上の制限があり、この制限が満たされない場合は封止膜が上記空間内に流入しやすくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、空隙内に液状樹脂が深く入り込んでしまうことなしに、確実に開口部を閉塞することができる、中空構造を有する装置、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板と、空隙形成膜と、開口部を閉塞する閉塞膜と、撥液膜とを有している。空隙形成膜は、開口部を有する空隙が主表面の一部との間に形成されるように設けられている。閉塞膜は、硬化された樹脂からなり、開口部を閉塞する。撥液膜は、空隙の内面上に設けられ、液状状態の樹脂の接触角を基板および空隙形成膜よりも大きくする物性を有している。
【0011】
本発明の中空構造を有する装置の製造方法は、以下の工程を有している。
基板の主表面の一部を覆う第1の膜が形成される。第1の膜から露出した主表面の少なくとも一部を覆い、第1の膜の表面の一部を露出する開口部が形成されるように第1の膜を覆う第2の膜が形成される。開口部から第1の膜を除去することにより、主表面と第2の膜とに挟まれた空隙が形成される。空隙の内面上に第3の膜が形成される。第3の膜の材質からなる膜上における接触角が基板および第2の膜の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有する液状樹脂を、空隙の外側から開口部上に塗布することにより、開口部が閉塞される。液状樹脂が硬化される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撥液膜(第3の膜)が、基板および空隙形成膜(第2の膜)よりも液状状態の樹脂の接触角を大きくする物性、すなわち液状樹脂を弾く性質を有するので、空隙内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0013】
また液状樹脂が塗布される面に液状樹脂を弾く性質を付与する必要、またはこの面を液状樹脂が流れ落ちる方位にする必要がないので、液状樹脂が硬化前に開口部から流出してしまうことを抑制できる。よって開口部を樹脂で確実に閉塞することができる。
【0014】
また開口部が基板面に接触する配置の場合であっても、空隙の内面上に設けられた膜が液状樹脂を弾くことができるので、空隙内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のIIA−IIA線に沿った概略断面図(A)およびIIB−IIB線に沿った概略断面図(B)である。なお図1においては図を見やすくするために樹脂膜が図示されていない。
【0016】
図1および図2を参照して、本実施の形態の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜204(空隙形成膜)と、樹脂膜208(閉塞膜)と、撥液膜207aとを有している。
【0017】
主表面を有する基板201は、主表面側にデバイス202を有している。デバイス202は、たとえば半導体装置におけるトランジスタ素子またはMEMS装置における可動部である。金属膜204は、開口部206aおよび206bを有する空隙205が基板201の主表面の一部との間に形成されるように設けられている。開口部206aおよび206bのそれぞれは基板201に接している。開口部206aおよび206bのそれぞれを閉塞する樹脂膜208は、硬化された樹脂からなる。撥液膜207aは、液状状態の上記樹脂(液状樹脂)の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性を有している。すなわち撥液膜207aは液状状態の上記樹脂を弾く性質(撥液性)を有している。撥液膜207aは空隙205の外には形成されていないため、空隙205の外においては、基板201および金属膜204のそれぞれと樹脂膜208とは撥液膜207aを介することなく接している。
【0018】
撥液膜207aは、たとえばSAM膜(Self Assembled Monolayer)である。ここでSAM膜とは、たとえば有機分子が自発的に集合して構造形成された単分子膜である。好ましくは、撥液膜207aは、撥水性および耐熱性の高い膜であり、たとえばFDTS(Perfluorodecyltrichlorosilane)、DDMS(Dichlorodimethylsilane)またはOTS(Octadecyltrichlorosilane)である。
【0019】
あるいは撥液膜207aは、C(炭素)およびF(フッ素)を含有する分子の重合膜(CF系ポリマー)からなる。
【0020】
樹脂膜208の材質は、上記のように、液状樹脂が撥液膜207aによって弾かれるような材質が選択される。好ましくは樹脂膜208の材質は、高い耐熱性を有する熱硬化性の樹脂であり、たとえばポリイミドである。
【0021】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図3〜図8は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお図3〜図8の(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【0022】
図3を参照して、基板201上にデバイス202が形成される。
図4を参照して、基板201の主表面の一部を覆うように犠牲層203(第1の膜)が形成される。犠牲層203はデバイス202を覆うように形成される。犠牲層203の形状は通常のパターニング技術により形成することができる。
【0023】
図5を参照して、犠牲層203から露出した基板201の主表面の少なくとも一部を覆い、犠牲層203の表面の一部を露出する開口部206aおよび206bが形成されるように、犠牲層203を覆う金属膜204(第2の膜)が形成される。金属膜204の形状は、通常のパターニング技術により形成することができる。次に、開口部206aおよび206bのそれぞれから犠牲層203が除去される。犠牲層203の除去は、たとえばウェットエッチングにより行なわれる。
【0024】
図6を参照して、上記の犠牲層203の除去により、基板201の主表面と金属膜204とに挟まれた空隙205が形成される。
【0025】
図7を参照して、空隙205の内面上に撥液膜207(第3の膜)が形成される。撥液膜207は、等方的な成膜により形成される。ここで等方的な成膜とは、成膜される面の方位や位置によらず、おおよそ等しい厚みで被成膜物が堆積される成膜方法である。等方的な成膜が用いられることで、空隙205の内面にも撥液膜207を十分な厚みに形成することができる。
【0026】
等方的な成膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置にC4F8ガスを導入してCF系ポリマーを形成することにより行なうことができる。またCVD装置の代わりに、たとえばICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching)装置を用いて成膜を行なうこともできる。
【0027】
あるいは、等方的な成膜は、有機分子の自己集積化によりSAM膜を形成することで行なうことができる。ここで自己集積化とは、原子や分子が、それらが持つ集合性や相互作用により自発的にある規則性を持って配列していく現象である。
【0028】
図8を参照して、撥液膜207のうち空隙205の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜207から撥液膜207aが形成される。この撥液膜207の一部の除去は異方性エッチングにより行なうことができる。異方性エッチングは、たとえばRIE装置により行なうことができる。
【0029】
再び図2を参照して、空隙205の外側から開口部206aおよび206b上に液状樹脂が塗布されることで、開口部206aおよび206bのそれぞれを閉塞する樹脂膜208が形成される。この液状樹脂は、撥液膜207aの材質からなる膜上における接触角が基板201および金属膜204の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有している。液状樹脂の塗布は、たとえばスプレーコータまたはスピンコータを用いて行なうことができる。
【0030】
次に樹脂膜208がホットプレートでベークされることで、液状樹脂の溶媒が少なくとも一部は揮発される。その後、樹脂の材質に適した温度および雰囲気でキュアが行なわれることにより樹脂膜208が硬化される。なお液状樹脂の溶媒の揮発は液状樹脂の塗布の際に行なわれてもよい。
【0031】
以上により本実施の形態の中空構造を有する装置が得られる。
次に上記の製造工程において開口部206aおよび206bに塗布された液状樹脂の状態について詳しく説明する。図10および図11は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。なお、図9は、比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【0032】
図9を参照して、液状樹脂の塗布の際に液状樹脂には開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の圧力(図中破線矢印)が加わることがある。撥液膜が設けられない場合は、空隙205内面に対する液状樹脂の濡れ性が高いため、空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の成分Haを有する表面張力Ta(図中実線矢印)が働く。水平方向にはHaが働くため、液状樹脂の液面が空隙205内に向かって進みやすい。すなわち液状樹脂が空隙205内に入り込みやすい。
【0033】
図10を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂には、撥液膜207aに被覆された空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の成分Hbを有する表面張力Tb(図中実線矢印)が働く。撥液膜207aが設けられていない場合と比較して、液状樹脂の接触角は十分大きくなるため、表面張力の水平成分Hb<<Haと考えられる。そのため液状樹脂塗布後に熱処理を行って樹脂中に含まれる溶媒の少なくとも一部を蒸発させることで、空隙205内への入り込みを抑制可能と考えられる。
【0034】
図11を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂には、撥液膜207aに被覆された空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205の外側に向かう方向の成分Hcを有する表面張力Tc(図中実線矢印)が働く。そのため液状樹脂の液面が空隙205内に向かって進んでいくことが抑制される。
【0035】
図9および図10に関して説明を補足する。実験結果の一例より、図12に示すグラフを参照して、接触角(図9および図10のそれぞれの場合、角度θaおよびθb)に対する水平方向の液状樹脂の浸入量を示している。実験において、接触角の異なる表面に対して、液状樹脂塗布後、溶媒を蒸発させる処理および、各樹脂に応じたキュアを行い、液状樹脂を硬化させた結果、樹脂が開口部から中空構造の空隙内へ、どれだけ浸入したかを示している。
【0036】
接触角が80度以上の場合は、浸入量は数μm程度でおさまった。接触角が60度未満の場合、液状樹脂の濡れが良いため、浸入量は激増した。この結果においては、接触角が鋭角の領域において、60度付近を境目として、それより接触角が小さい領域は図9に、接触角が大きい領域は図10に該当すると考えられる。
【0037】
本実施の形態によれば、撥液膜207aが、液状樹脂の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性、すなわち液状樹脂を弾く性質を有するので、空隙205内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0038】
また空隙205の外側において液状樹脂が塗布される面に撥液性を付与する必要がないので、液状樹脂が弾かれてしまうことにより開口部206a、206bの閉塞が不完全となることを抑制することができる。
【0039】
また、特許第3745648号公報の技術と異なり、液状樹脂が塗布された際に、開口部206aおよび206bのそれぞれにおいて空隙205内から空隙205外に向かう方向に重力を作用させる必要がない。よって重力により開口部206aおよび206bに位置する液状樹脂が流れ落ちてしまうことで開口部206a、206bの閉塞が不完全となることを抑制することができる。
【0040】
また開口部206aおよび206bが基板201に接触する配置であっても、空隙205内面に形成された撥液膜207aが液状樹脂を弾くことができるので、空隙205内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0041】
また撥液膜207(図7)のうち空隙205の外に位置する部分の除去が、図8に示すように行なわれる。この除去が行なわれた領域において、液状樹脂が基板201および金属膜204のそれぞれと撥液膜207aを介することなく接するため、この領域において液状樹脂が弾かれることに起因して開口部206a、206bの閉塞が不完全になることを防ぐことができる。
【0042】
また撥液膜207がCF系ポリマーからなる場合、撥液膜207の成膜と、撥液膜207の一部の除去とを、同一のICP−RIE装置を用いて行なうことができる。すなわち2つの工程で設備を共用化することができる。
【0043】
また撥液膜207aがSAM膜の場合、膜厚が薄いので、撥液膜207aを形成したことによるデバイス202の特性の変化を小さくすることができる。
【0044】
なお本実施の形態においては空隙形成膜(第2の膜)として金属膜204が用いられたが、金属膜204の代わりに金属以外の材質からなる膜を用いることもできる。
【0045】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。図14は、図13のXIVA−XIVA線に沿った概略断面図(A)およびXIIB−XIIB線に沿った概略断面図(B)である。なお図13においては図を見やすくするために樹脂膜が図示されていない。
【0046】
図13および図14を参照して、本実施の形態の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜604(空隙形成膜)と、樹脂膜608(閉塞膜)と、撥液膜607aとを有している。
【0047】
金属膜604は、開口部206a、206bおよび609を有する空隙205が基板201の主表面の一部との間に形成されるように設けられている。開口部609は金属膜604を貫通するように設けられている。開口部206a、206bおよび609のそれぞれを閉塞する樹脂膜608は、硬化された樹脂からなる。撥液膜607aは、実施の形態1で説明した撥液膜207aと同様の材質からなる。撥液膜607aは空隙205の外には形成されていないため、空隙205の外においては、基板201および金属膜604のそれぞれと樹脂膜608とは撥液膜607aを介することなく接している。
【0048】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図15〜図17は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお図15〜図17の(A)の断面位置は図13のXIVA−XIVA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図13のXIVB−XIVB線に沿った位置に対応している。
【0049】
主に図15を参照して、実施の形態1とほぼ同じ工程(図3〜図6に示す工程)により、基板201の主表面と金属膜604とに挟まれた空隙205が形成される。
【0050】
図16を参照して、上記空隙205の内面上に撥液膜607(第3の膜)が形成される。撥液膜607の形成方法は、実施の形態1で説明した撥液膜207の形成方法と同様である。
【0051】
図17を参照して、撥液膜607のうち空隙205の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜607から撥液膜607aが形成される。この撥液膜607の一部の除去は、実施の形態1で説明した撥液膜207の一部の除去と同様の方法により行なうことができる。
【0052】
再び図14を参照して、空隙205の外側から開口部206a、206bおよび609上に液状樹脂が塗布されることで、開口部206a、206bおよび609のそれぞれを閉塞する樹脂膜608が形成される。この液状樹脂は、撥液膜607aの材質からなる膜上における接触角が基板201および金属膜604の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有している。次に樹脂膜608が硬化される。
【0053】
以上により本実施の形態の中空構造を有する装置が得られる。
次に上記の製造工程において開口部609に塗布された液状樹脂の状態について詳しく説明する。図19および図20の各々は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。なお、図18は、比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。また、図18〜図20の各々に図示された領域の位置は、図14(A)の破線部Cの領域の位置に対応している。また図18〜図20においては、液状樹脂はその液面のみが図示されている。
【0054】
図18を参照して、撥液膜が設けられない場合、圧力Pに伴い液面F1は液面F2Cに変化する。撥液膜607aが空隙205内に形成されていないため、液面F2Cには矢印D1向きの成分H2Cを有する表面張力T2Cが作用し続ける。この結果、液面F2Cは空隙205内面にさらに引き込まれて空隙205内に向かって進みやすい。すなわち液状樹脂が空隙205内に入り込みやすい。
【0055】
図19を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂の液面F1には、まず開口部609から空隙205内面に広がっていく方向(図中破線矢印D1)に向かう成分を有する表面張力(図中破線矢印T1)が作用する。開口部609において空隙205側に向かう方向の圧力P(図中実線矢印)が加わることで、液面F1が液面F2に変化する。液状樹脂と撥液膜607aの接触角が鋭角であっても、撥液膜607aがない場合と比べて十分大きい場合、液面F2にも矢印D1と同じ向きの成分H2を有する表面張力(図中破線矢印T2)が作用するが、撥液膜607aの撥液性によりH2<<H1であるため、液状樹脂塗布後に熱処理を行い、樹脂の溶媒の少なくとも一部を蒸発させることで、液状樹脂が空隙205内面に入り込んでいくことが抑制される。
【0056】
図20を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂の液面F1には、まず開口部609から空隙205内面に広がっていく方向(図中破線矢印D1)に向かう成分を有する表面張力(図中破線矢印T1)が作用する。開口部609において空隙205側に向かう方向の圧力P(図中実線矢印)が加わることで、液面F1が液面F3に変化する。液状樹脂と撥液膜607aの接触角が鈍角の場合、液面F3には、撥液膜607aの撥液性により、矢印D1と逆向きの成分H3を有する表面張力(図中破線矢印T3)が作用する。よって液状樹脂が空隙205内面に広がっていくことが抑制される。
【0057】
図18および図19に関しても、説明を補足する。この場合も図9および図10の場合と同様に、図12に示すグラフを参照すると、接触角が鋭角の領域において、60度付近を境目として、それより接触角が小さい領域は図18に、接触角が大きい領域は図19に該当すると考えられる。
【0058】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0059】
本実施の形態によれば、金属膜604を貫通するような開口部609が形成されている場合において実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態3)
図21は、本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。図21を参照して、本実施の形態の半導体装置は、主に、主表面を有する半導体基板801(基板)と、エアブリッジ配線804(空隙形成膜
)と、樹脂膜808(閉塞膜)と、撥液膜807aとを有している。半導体基板801は、主表面側にゲート電極802と、ソース電極811と、ドレイン電極812とを有している。
【0061】
エアブリッジ配線804は、導体からなり、半導体基板801の主表面の一部との間に空隙805が形成されるように設けられている。この空隙805は、実施の形態1または2と同様の開口部(本実施の形態において図示せず)を有している。またエアブリッジ配線804は、ゲート電極802の上方を空隙805を介して交差している。このためエアブリッジ配線804とゲート電極802との間の領域の誘電率が小さいので、両者の間の配線間容量が小さくなっている。
【0062】
なお開口部を閉塞する樹脂膜808は、実施の形態1と同様の硬化された樹脂からなる。撥液膜807aは、液状樹脂の接触角を基板801およびエアブリッジ配線804よりも大きくする物性を有している。撥液膜807aは空隙805の外には形成されていないため、空隙805の外においては、半導体基板801およびエアブリッジ配線804のそれぞれと樹脂膜808とは撥液膜807aを介することなく接している。撥液膜807aの材質は撥液膜207aの材質と同様である。
【0063】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図22および図23は、本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0064】
図22を参照して、半導体基板801の主表面上に、ゲート電極802と、ソース電極811と、ドレイン電極812とが形成される。次に、ゲート電極802を覆い、かつソース電極811の一部が露出されるように、犠牲層(本実施の形態において図示せず)が形成される。次に、犠牲層の表面の一部を露出する開口部が形成されるように、犠牲層から露出したソース電極811の一部を覆うエアブリッジ配線804が形成される。次に開口部から犠牲層が除去されることにより、半導体基板801の主表面とエアブリッジ配線804とに挟まれた空隙805が形成される。
【0065】
図23を参照して、空隙805の内面上に撥液膜が形成される。この撥液膜のうち空隙805の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜807aが形成される。
【0066】
再び図21を参照して、空隙805の外側から開口部上に液状樹脂が塗布されることで、開口部を閉塞する樹脂膜808が形成される。次に樹脂膜808が硬化される。
【0067】
以上により本実施の形態の半導体装置が得られる。
本実施の形態によれば、エアブリッジ配線804とゲート電極802との間に、液状樹脂が入り込むことを抑制することができる。すなわちエアブリッジ配線804とゲート電極802との間に樹脂膜808が形成されてしまうことを抑制することができる。よってエアブリッジ配線804とゲート電極802との間の配線間容量の増加を抑制することができる。このような配線間容量の抑制は、特に高周波デバイスにおいて求められる。よって本実施の形態は、半導体装置が高周波デバイスである場合に有効である。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、中空構造を有する装置およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のIIA−IIA線に沿った概略断面図(A)およびIIB−IIB線に沿った概略断面図(B)である。
【図3】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図4】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図5】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図6】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図7】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図8】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図9】本発明実施の形態1に対する比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図12】接触角に対する水平方向の液状樹脂の浸入量の実験結果の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図14】図11のXIIA−XIIA線に沿った概略断面図(A)およびXIIB−XIIB線に沿った概略断面図(B)である。
【図15】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図16】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図17】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図18】本発明実施の形態2に対する比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図21】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0071】
201 基板、202 デバイス、203 犠牲層、204,604 金属膜、205,805 空隙、206a,206b,609 開口部、207,207a,607,607a,807a 撥液膜、208,608,808 樹脂膜、801 半導体基板、802 ゲート電極、804 エアブリッジ配線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造を有する装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスおよび半導体デバイスの中には中空構造を有するものがある。MEMSデバイスにおいては、可動部が中空構造の空隙内で動作するように設けられることにより、この可動部が円滑に動作可能となる(たとえば特開2004−174779号公報および特許第3745648号公報参照)。
【0003】
特開2004−174779号公報によれば、MEMSデバイスである静電型アクチュエータの技術が開示されている。この公報に記載された一実施形態によれば、静電型アクチュエータは振動板と電極との間に空隙を有している。この空隙は犠牲層が犠牲層除去孔からエッチングにより除去されることにより形成される。この犠牲層除去孔は、空隙形成後、樹脂膜の成膜により封止される。この樹脂膜は空隙内に入り込まないように形成される。樹脂膜が成膜される面には、あらかじめプラズマ処理が施される。
【0004】
この公報によれば、上記のプラズマ処理により樹脂膜が成膜される面の樹脂との濡れ性が低下するので樹脂が空隙内に染み込むことを防止することができる、とされている。
【0005】
特許第3745648号公報によれば、中空構造を有する微細構造の製造方法が開示されている。この公報に記載された一実施形態によれば、まず基板上に凹部が形成される。次に凹部内に犠牲膜が充填される。次に、開口部を備えた板状の蓋が、凹部の側壁より開口部が離間した状態で、凹部を覆うように配置されて固定される。次に開口部より犠牲膜がエッチング除去されて蓋の下に凹部による空間が形成される。次に、蓋の上に液状の材料が塗布されて塗布膜が形成される。この直後に、たとえば塗布膜が基板より下方に配置される。この後、塗布膜が固化されることで蓋の上に封止膜が形成されて開口部が塞がれる。
【0006】
この公報によれば、塗布された封止膜が下側、すなわち重力の作用する側に配置されることで、封止膜が上記空間に侵入することが抑制される、とされている。また蓋の開口部が凹部側壁に接触しない状態に配置されることで、塗布される液の空間内への流入を防ぐことができるとされている。
【特許文献1】特開2004−174779号公報
【特許文献2】特許第3745648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2004−174779号公報によれば樹脂膜が成膜される面に対する液状樹脂の塗れ性が低いので、樹脂膜の成膜時に液状樹脂が弾かれてしまうために犠牲層除去孔(開口部)が封止されないことがあるという問題があった。また空隙の内面に対しては液状樹脂の濡れ性を低くするような処理がなされていないので、開口部から染み込んだ液状樹脂が空隙と開口部との境界まで到達した場合は、液状樹脂膜が表面張力により空隙内面に引き込まれてしまうことによって空隙内に液状樹脂膜が深く入り込んでしまうことがあるという問題があった。
【0008】
また特許第3745648号公報によれば塗布された封止膜(液状樹脂)が重力の作用する側に配置されるので、液状樹脂が塗布直後に重力により流れ落ちてしまうために開口部が封止されないことがあるという問題があった。また開口部を凹部(空隙)側壁に接触しない状態に配置しなければならないという構造上の制限があり、この制限が満たされない場合は封止膜が上記空間内に流入しやすくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、空隙内に液状樹脂が深く入り込んでしまうことなしに、確実に開口部を閉塞することができる、中空構造を有する装置、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板と、空隙形成膜と、開口部を閉塞する閉塞膜と、撥液膜とを有している。空隙形成膜は、開口部を有する空隙が主表面の一部との間に形成されるように設けられている。閉塞膜は、硬化された樹脂からなり、開口部を閉塞する。撥液膜は、空隙の内面上に設けられ、液状状態の樹脂の接触角を基板および空隙形成膜よりも大きくする物性を有している。
【0011】
本発明の中空構造を有する装置の製造方法は、以下の工程を有している。
基板の主表面の一部を覆う第1の膜が形成される。第1の膜から露出した主表面の少なくとも一部を覆い、第1の膜の表面の一部を露出する開口部が形成されるように第1の膜を覆う第2の膜が形成される。開口部から第1の膜を除去することにより、主表面と第2の膜とに挟まれた空隙が形成される。空隙の内面上に第3の膜が形成される。第3の膜の材質からなる膜上における接触角が基板および第2の膜の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有する液状樹脂を、空隙の外側から開口部上に塗布することにより、開口部が閉塞される。液状樹脂が硬化される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撥液膜(第3の膜)が、基板および空隙形成膜(第2の膜)よりも液状状態の樹脂の接触角を大きくする物性、すなわち液状樹脂を弾く性質を有するので、空隙内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0013】
また液状樹脂が塗布される面に液状樹脂を弾く性質を付与する必要、またはこの面を液状樹脂が流れ落ちる方位にする必要がないので、液状樹脂が硬化前に開口部から流出してしまうことを抑制できる。よって開口部を樹脂で確実に閉塞することができる。
【0014】
また開口部が基板面に接触する配置の場合であっても、空隙の内面上に設けられた膜が液状樹脂を弾くことができるので、空隙内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のIIA−IIA線に沿った概略断面図(A)およびIIB−IIB線に沿った概略断面図(B)である。なお図1においては図を見やすくするために樹脂膜が図示されていない。
【0016】
図1および図2を参照して、本実施の形態の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜204(空隙形成膜)と、樹脂膜208(閉塞膜)と、撥液膜207aとを有している。
【0017】
主表面を有する基板201は、主表面側にデバイス202を有している。デバイス202は、たとえば半導体装置におけるトランジスタ素子またはMEMS装置における可動部である。金属膜204は、開口部206aおよび206bを有する空隙205が基板201の主表面の一部との間に形成されるように設けられている。開口部206aおよび206bのそれぞれは基板201に接している。開口部206aおよび206bのそれぞれを閉塞する樹脂膜208は、硬化された樹脂からなる。撥液膜207aは、液状状態の上記樹脂(液状樹脂)の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性を有している。すなわち撥液膜207aは液状状態の上記樹脂を弾く性質(撥液性)を有している。撥液膜207aは空隙205の外には形成されていないため、空隙205の外においては、基板201および金属膜204のそれぞれと樹脂膜208とは撥液膜207aを介することなく接している。
【0018】
撥液膜207aは、たとえばSAM膜(Self Assembled Monolayer)である。ここでSAM膜とは、たとえば有機分子が自発的に集合して構造形成された単分子膜である。好ましくは、撥液膜207aは、撥水性および耐熱性の高い膜であり、たとえばFDTS(Perfluorodecyltrichlorosilane)、DDMS(Dichlorodimethylsilane)またはOTS(Octadecyltrichlorosilane)である。
【0019】
あるいは撥液膜207aは、C(炭素)およびF(フッ素)を含有する分子の重合膜(CF系ポリマー)からなる。
【0020】
樹脂膜208の材質は、上記のように、液状樹脂が撥液膜207aによって弾かれるような材質が選択される。好ましくは樹脂膜208の材質は、高い耐熱性を有する熱硬化性の樹脂であり、たとえばポリイミドである。
【0021】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図3〜図8は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお図3〜図8の(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【0022】
図3を参照して、基板201上にデバイス202が形成される。
図4を参照して、基板201の主表面の一部を覆うように犠牲層203(第1の膜)が形成される。犠牲層203はデバイス202を覆うように形成される。犠牲層203の形状は通常のパターニング技術により形成することができる。
【0023】
図5を参照して、犠牲層203から露出した基板201の主表面の少なくとも一部を覆い、犠牲層203の表面の一部を露出する開口部206aおよび206bが形成されるように、犠牲層203を覆う金属膜204(第2の膜)が形成される。金属膜204の形状は、通常のパターニング技術により形成することができる。次に、開口部206aおよび206bのそれぞれから犠牲層203が除去される。犠牲層203の除去は、たとえばウェットエッチングにより行なわれる。
【0024】
図6を参照して、上記の犠牲層203の除去により、基板201の主表面と金属膜204とに挟まれた空隙205が形成される。
【0025】
図7を参照して、空隙205の内面上に撥液膜207(第3の膜)が形成される。撥液膜207は、等方的な成膜により形成される。ここで等方的な成膜とは、成膜される面の方位や位置によらず、おおよそ等しい厚みで被成膜物が堆積される成膜方法である。等方的な成膜が用いられることで、空隙205の内面にも撥液膜207を十分な厚みに形成することができる。
【0026】
等方的な成膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置にC4F8ガスを導入してCF系ポリマーを形成することにより行なうことができる。またCVD装置の代わりに、たとえばICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching)装置を用いて成膜を行なうこともできる。
【0027】
あるいは、等方的な成膜は、有機分子の自己集積化によりSAM膜を形成することで行なうことができる。ここで自己集積化とは、原子や分子が、それらが持つ集合性や相互作用により自発的にある規則性を持って配列していく現象である。
【0028】
図8を参照して、撥液膜207のうち空隙205の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜207から撥液膜207aが形成される。この撥液膜207の一部の除去は異方性エッチングにより行なうことができる。異方性エッチングは、たとえばRIE装置により行なうことができる。
【0029】
再び図2を参照して、空隙205の外側から開口部206aおよび206b上に液状樹脂が塗布されることで、開口部206aおよび206bのそれぞれを閉塞する樹脂膜208が形成される。この液状樹脂は、撥液膜207aの材質からなる膜上における接触角が基板201および金属膜204の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有している。液状樹脂の塗布は、たとえばスプレーコータまたはスピンコータを用いて行なうことができる。
【0030】
次に樹脂膜208がホットプレートでベークされることで、液状樹脂の溶媒が少なくとも一部は揮発される。その後、樹脂の材質に適した温度および雰囲気でキュアが行なわれることにより樹脂膜208が硬化される。なお液状樹脂の溶媒の揮発は液状樹脂の塗布の際に行なわれてもよい。
【0031】
以上により本実施の形態の中空構造を有する装置が得られる。
次に上記の製造工程において開口部206aおよび206bに塗布された液状樹脂の状態について詳しく説明する。図10および図11は、本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。なお、図9は、比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【0032】
図9を参照して、液状樹脂の塗布の際に液状樹脂には開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の圧力(図中破線矢印)が加わることがある。撥液膜が設けられない場合は、空隙205内面に対する液状樹脂の濡れ性が高いため、空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の成分Haを有する表面張力Ta(図中実線矢印)が働く。水平方向にはHaが働くため、液状樹脂の液面が空隙205内に向かって進みやすい。すなわち液状樹脂が空隙205内に入り込みやすい。
【0033】
図10を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂には、撥液膜207aに被覆された空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205内に向かう方向の成分Hbを有する表面張力Tb(図中実線矢印)が働く。撥液膜207aが設けられていない場合と比較して、液状樹脂の接触角は十分大きくなるため、表面張力の水平成分Hb<<Haと考えられる。そのため液状樹脂塗布後に熱処理を行って樹脂中に含まれる溶媒の少なくとも一部を蒸発させることで、空隙205内への入り込みを抑制可能と考えられる。
【0034】
図11を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂には、撥液膜207aに被覆された空隙205内面において、開口部206aおよび206bのそれぞれから空隙205の外側に向かう方向の成分Hcを有する表面張力Tc(図中実線矢印)が働く。そのため液状樹脂の液面が空隙205内に向かって進んでいくことが抑制される。
【0035】
図9および図10に関して説明を補足する。実験結果の一例より、図12に示すグラフを参照して、接触角(図9および図10のそれぞれの場合、角度θaおよびθb)に対する水平方向の液状樹脂の浸入量を示している。実験において、接触角の異なる表面に対して、液状樹脂塗布後、溶媒を蒸発させる処理および、各樹脂に応じたキュアを行い、液状樹脂を硬化させた結果、樹脂が開口部から中空構造の空隙内へ、どれだけ浸入したかを示している。
【0036】
接触角が80度以上の場合は、浸入量は数μm程度でおさまった。接触角が60度未満の場合、液状樹脂の濡れが良いため、浸入量は激増した。この結果においては、接触角が鋭角の領域において、60度付近を境目として、それより接触角が小さい領域は図9に、接触角が大きい領域は図10に該当すると考えられる。
【0037】
本実施の形態によれば、撥液膜207aが、液状樹脂の接触角を基板201および金属膜204よりも大きくする物性、すなわち液状樹脂を弾く性質を有するので、空隙205内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0038】
また空隙205の外側において液状樹脂が塗布される面に撥液性を付与する必要がないので、液状樹脂が弾かれてしまうことにより開口部206a、206bの閉塞が不完全となることを抑制することができる。
【0039】
また、特許第3745648号公報の技術と異なり、液状樹脂が塗布された際に、開口部206aおよび206bのそれぞれにおいて空隙205内から空隙205外に向かう方向に重力を作用させる必要がない。よって重力により開口部206aおよび206bに位置する液状樹脂が流れ落ちてしまうことで開口部206a、206bの閉塞が不完全となることを抑制することができる。
【0040】
また開口部206aおよび206bが基板201に接触する配置であっても、空隙205内面に形成された撥液膜207aが液状樹脂を弾くことができるので、空隙205内に液状樹脂が入ることを抑制することができる。
【0041】
また撥液膜207(図7)のうち空隙205の外に位置する部分の除去が、図8に示すように行なわれる。この除去が行なわれた領域において、液状樹脂が基板201および金属膜204のそれぞれと撥液膜207aを介することなく接するため、この領域において液状樹脂が弾かれることに起因して開口部206a、206bの閉塞が不完全になることを防ぐことができる。
【0042】
また撥液膜207がCF系ポリマーからなる場合、撥液膜207の成膜と、撥液膜207の一部の除去とを、同一のICP−RIE装置を用いて行なうことができる。すなわち2つの工程で設備を共用化することができる。
【0043】
また撥液膜207aがSAM膜の場合、膜厚が薄いので、撥液膜207aを形成したことによるデバイス202の特性の変化を小さくすることができる。
【0044】
なお本実施の形態においては空隙形成膜(第2の膜)として金属膜204が用いられたが、金属膜204の代わりに金属以外の材質からなる膜を用いることもできる。
【0045】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。図14は、図13のXIVA−XIVA線に沿った概略断面図(A)およびXIIB−XIIB線に沿った概略断面図(B)である。なお図13においては図を見やすくするために樹脂膜が図示されていない。
【0046】
図13および図14を参照して、本実施の形態の中空構造を有する装置は、主表面を有する基板201と、金属膜604(空隙形成膜)と、樹脂膜608(閉塞膜)と、撥液膜607aとを有している。
【0047】
金属膜604は、開口部206a、206bおよび609を有する空隙205が基板201の主表面の一部との間に形成されるように設けられている。開口部609は金属膜604を貫通するように設けられている。開口部206a、206bおよび609のそれぞれを閉塞する樹脂膜608は、硬化された樹脂からなる。撥液膜607aは、実施の形態1で説明した撥液膜207aと同様の材質からなる。撥液膜607aは空隙205の外には形成されていないため、空隙205の外においては、基板201および金属膜604のそれぞれと樹脂膜608とは撥液膜607aを介することなく接している。
【0048】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図15〜図17は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお図15〜図17の(A)の断面位置は図13のXIVA−XIVA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図13のXIVB−XIVB線に沿った位置に対応している。
【0049】
主に図15を参照して、実施の形態1とほぼ同じ工程(図3〜図6に示す工程)により、基板201の主表面と金属膜604とに挟まれた空隙205が形成される。
【0050】
図16を参照して、上記空隙205の内面上に撥液膜607(第3の膜)が形成される。撥液膜607の形成方法は、実施の形態1で説明した撥液膜207の形成方法と同様である。
【0051】
図17を参照して、撥液膜607のうち空隙205の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜607から撥液膜607aが形成される。この撥液膜607の一部の除去は、実施の形態1で説明した撥液膜207の一部の除去と同様の方法により行なうことができる。
【0052】
再び図14を参照して、空隙205の外側から開口部206a、206bおよび609上に液状樹脂が塗布されることで、開口部206a、206bおよび609のそれぞれを閉塞する樹脂膜608が形成される。この液状樹脂は、撥液膜607aの材質からなる膜上における接触角が基板201および金属膜604の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有している。次に樹脂膜608が硬化される。
【0053】
以上により本実施の形態の中空構造を有する装置が得られる。
次に上記の製造工程において開口部609に塗布された液状樹脂の状態について詳しく説明する。図19および図20の各々は、本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。なお、図18は、比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。また、図18〜図20の各々に図示された領域の位置は、図14(A)の破線部Cの領域の位置に対応している。また図18〜図20においては、液状樹脂はその液面のみが図示されている。
【0054】
図18を参照して、撥液膜が設けられない場合、圧力Pに伴い液面F1は液面F2Cに変化する。撥液膜607aが空隙205内に形成されていないため、液面F2Cには矢印D1向きの成分H2Cを有する表面張力T2Cが作用し続ける。この結果、液面F2Cは空隙205内面にさらに引き込まれて空隙205内に向かって進みやすい。すなわち液状樹脂が空隙205内に入り込みやすい。
【0055】
図19を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂の液面F1には、まず開口部609から空隙205内面に広がっていく方向(図中破線矢印D1)に向かう成分を有する表面張力(図中破線矢印T1)が作用する。開口部609において空隙205側に向かう方向の圧力P(図中実線矢印)が加わることで、液面F1が液面F2に変化する。液状樹脂と撥液膜607aの接触角が鋭角であっても、撥液膜607aがない場合と比べて十分大きい場合、液面F2にも矢印D1と同じ向きの成分H2を有する表面張力(図中破線矢印T2)が作用するが、撥液膜607aの撥液性によりH2<<H1であるため、液状樹脂塗布後に熱処理を行い、樹脂の溶媒の少なくとも一部を蒸発させることで、液状樹脂が空隙205内面に入り込んでいくことが抑制される。
【0056】
図20を参照して、空隙205に入り込もうとする液状樹脂の液面F1には、まず開口部609から空隙205内面に広がっていく方向(図中破線矢印D1)に向かう成分を有する表面張力(図中破線矢印T1)が作用する。開口部609において空隙205側に向かう方向の圧力P(図中実線矢印)が加わることで、液面F1が液面F3に変化する。液状樹脂と撥液膜607aの接触角が鈍角の場合、液面F3には、撥液膜607aの撥液性により、矢印D1と逆向きの成分H3を有する表面張力(図中破線矢印T3)が作用する。よって液状樹脂が空隙205内面に広がっていくことが抑制される。
【0057】
図18および図19に関しても、説明を補足する。この場合も図9および図10の場合と同様に、図12に示すグラフを参照すると、接触角が鋭角の領域において、60度付近を境目として、それより接触角が小さい領域は図18に、接触角が大きい領域は図19に該当すると考えられる。
【0058】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0059】
本実施の形態によれば、金属膜604を貫通するような開口部609が形成されている場合において実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態3)
図21は、本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。図21を参照して、本実施の形態の半導体装置は、主に、主表面を有する半導体基板801(基板)と、エアブリッジ配線804(空隙形成膜
)と、樹脂膜808(閉塞膜)と、撥液膜807aとを有している。半導体基板801は、主表面側にゲート電極802と、ソース電極811と、ドレイン電極812とを有している。
【0061】
エアブリッジ配線804は、導体からなり、半導体基板801の主表面の一部との間に空隙805が形成されるように設けられている。この空隙805は、実施の形態1または2と同様の開口部(本実施の形態において図示せず)を有している。またエアブリッジ配線804は、ゲート電極802の上方を空隙805を介して交差している。このためエアブリッジ配線804とゲート電極802との間の領域の誘電率が小さいので、両者の間の配線間容量が小さくなっている。
【0062】
なお開口部を閉塞する樹脂膜808は、実施の形態1と同様の硬化された樹脂からなる。撥液膜807aは、液状樹脂の接触角を基板801およびエアブリッジ配線804よりも大きくする物性を有している。撥液膜807aは空隙805の外には形成されていないため、空隙805の外においては、半導体基板801およびエアブリッジ配線804のそれぞれと樹脂膜808とは撥液膜807aを介することなく接している。撥液膜807aの材質は撥液膜207aの材質と同様である。
【0063】
次に本実施の形態の中空構造を有する装置の製造方法について説明する。図22および図23は、本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0064】
図22を参照して、半導体基板801の主表面上に、ゲート電極802と、ソース電極811と、ドレイン電極812とが形成される。次に、ゲート電極802を覆い、かつソース電極811の一部が露出されるように、犠牲層(本実施の形態において図示せず)が形成される。次に、犠牲層の表面の一部を露出する開口部が形成されるように、犠牲層から露出したソース電極811の一部を覆うエアブリッジ配線804が形成される。次に開口部から犠牲層が除去されることにより、半導体基板801の主表面とエアブリッジ配線804とに挟まれた空隙805が形成される。
【0065】
図23を参照して、空隙805の内面上に撥液膜が形成される。この撥液膜のうち空隙805の外に位置する部分が除去されることにより、撥液膜807aが形成される。
【0066】
再び図21を参照して、空隙805の外側から開口部上に液状樹脂が塗布されることで、開口部を閉塞する樹脂膜808が形成される。次に樹脂膜808が硬化される。
【0067】
以上により本実施の形態の半導体装置が得られる。
本実施の形態によれば、エアブリッジ配線804とゲート電極802との間に、液状樹脂が入り込むことを抑制することができる。すなわちエアブリッジ配線804とゲート電極802との間に樹脂膜808が形成されてしまうことを抑制することができる。よってエアブリッジ配線804とゲート電極802との間の配線間容量の増加を抑制することができる。このような配線間容量の抑制は、特に高周波デバイスにおいて求められる。よって本実施の形態は、半導体装置が高周波デバイスである場合に有効である。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、中空構造を有する装置およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のIIA−IIA線に沿った概略断面図(A)およびIIB−IIB線に沿った概略断面図(B)である。
【図3】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図4】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図5】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図6】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図7】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図8】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図1のIIA−IIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のIIB−IIB線に沿った位置に対応している。
【図9】本発明実施の形態1に対する比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図12】接触角に対する水平方向の液状樹脂の浸入量の実験結果の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図14】図11のXIIA−XIIA線に沿った概略断面図(A)およびXIIB−XIIB線に沿った概略断面図(B)である。
【図15】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図16】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図17】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。なお(A)の断面位置は図11のXIIA−XIIA線に沿った位置に対応し、(B)の断面位置は図1のXIIB−XIIB線に沿った位置に対応している。
【図18】本発明実施の形態2に対する比較例における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における中空構造を有する装置の製造方法において、液状樹脂が塗布された状態を示す概略断面図である。
【図21】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3における中空構造を有する装置としての半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0071】
201 基板、202 デバイス、203 犠牲層、204,604 金属膜、205,805 空隙、206a,206b,609 開口部、207,207a,607,607a,807a 撥液膜、208,608,808 樹脂膜、801 半導体基板、802 ゲート電極、804 エアブリッジ配線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基板と、
開口部を有する空隙が前記主表面の一部との間に形成されるように前記基板上に設けられた空隙形成膜と、
硬化された樹脂からなり、前記開口部を閉塞する閉塞膜と、
前記空隙の内面上に設けられ、液状状態の前記樹脂の接触角を前記基板および前記空隙形成膜よりも大きくする物性を有する撥液膜とを備えた、中空構造を有する装置。
【請求項2】
前記撥液膜は、有機分子が規則的に配列された単分子膜である、請求項1に記載の中空構造を有する装置。
【請求項3】
前記撥液膜は、炭素およびフッ素を含有する分子の重合膜である、請求項1に記載の中空構造を有する装置。
【請求項4】
前記基板および前記空隙形成膜の少なくともいずれかと、前記閉塞膜とが接する部分を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項5】
前記基板は、前記空隙に面するゲートを有するトランジスタを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項6】
前記空隙形成膜は導体からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項7】
前記開口部は前記基板に接している、請求項1〜6のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項8】
基板の主表面の一部を覆う第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜から露出した前記主表面の少なくとも一部を覆い、前記第1の膜の表面の一部を露出する開口部が形成されるように前記第1の膜を覆う第2の膜を形成する工程と、
前記開口部から前記第1の膜を除去することにより、前記主表面と前記第2の膜とに挟まれた空隙を形成する工程と、
前記空隙の内面上に第3の膜を形成する工程と、
前記第3の膜の材質からなる膜上における接触角が前記基板および前記第2の膜の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有する液状樹脂を、前記空隙の外側から前記開口部上に塗布することにより、前記開口部を閉塞する工程と、
前記液状樹脂を硬化させる工程とを備えた、中空構造を有する装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3の膜は等方的な成膜により形成される、請求項8に記載の中空構造を有する装置の製造方法。
【請求項10】
前記開口部を閉塞する工程の前に、前記第3の膜のうち前記空隙の外に位置する部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに備えた、請求項8または9に記載の中空構造を有する装置の製造方法。
【請求項1】
主表面を有する基板と、
開口部を有する空隙が前記主表面の一部との間に形成されるように前記基板上に設けられた空隙形成膜と、
硬化された樹脂からなり、前記開口部を閉塞する閉塞膜と、
前記空隙の内面上に設けられ、液状状態の前記樹脂の接触角を前記基板および前記空隙形成膜よりも大きくする物性を有する撥液膜とを備えた、中空構造を有する装置。
【請求項2】
前記撥液膜は、有機分子が規則的に配列された単分子膜である、請求項1に記載の中空構造を有する装置。
【請求項3】
前記撥液膜は、炭素およびフッ素を含有する分子の重合膜である、請求項1に記載の中空構造を有する装置。
【請求項4】
前記基板および前記空隙形成膜の少なくともいずれかと、前記閉塞膜とが接する部分を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項5】
前記基板は、前記空隙に面するゲートを有するトランジスタを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項6】
前記空隙形成膜は導体からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項7】
前記開口部は前記基板に接している、請求項1〜6のいずれかに記載の中空構造を有する装置。
【請求項8】
基板の主表面の一部を覆う第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜から露出した前記主表面の少なくとも一部を覆い、前記第1の膜の表面の一部を露出する開口部が形成されるように前記第1の膜を覆う第2の膜を形成する工程と、
前記開口部から前記第1の膜を除去することにより、前記主表面と前記第2の膜とに挟まれた空隙を形成する工程と、
前記空隙の内面上に第3の膜を形成する工程と、
前記第3の膜の材質からなる膜上における接触角が前記基板および前記第2の膜の材質からなる膜上における接触角よりも大きくなる物性を有する液状樹脂を、前記空隙の外側から前記開口部上に塗布することにより、前記開口部を閉塞する工程と、
前記液状樹脂を硬化させる工程とを備えた、中空構造を有する装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3の膜は等方的な成膜により形成される、請求項8に記載の中空構造を有する装置の製造方法。
【請求項10】
前記開口部を閉塞する工程の前に、前記第3の膜のうち前記空隙の外に位置する部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに備えた、請求項8または9に記載の中空構造を有する装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−184067(P2009−184067A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26424(P2008−26424)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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