説明

中継伝送装置及び集中検針システム

【課題】異なる通信方式のメータが各住戸に設置された場合においても、各メータの通信方式に対応した中継伝送装置を介して少ない費用で一箇所で一括して検針することが可能な集中検針システムを提供する。
【解決手段】中継伝送装置2は、通信速度及び/又はデータ構成が異なる複数種類の水道メータ4(例えばメータ4a〜4c)に対応可能な装置である。そのため、中継伝送装置2は、水道メータ4の通信インターフェース(通信I/F)毎に対応するように予め設定された変換判定処理を実行し、その判定結果に従って、水道メータ4の通信速度に対応させる通信変換処理と水道メータ4のデータ構成に対応させるデータ変換処理とを施して水道メータ4との通信を行う。一方で中継伝送装置2は、集中検針装置1のデータ構成に対応させるデータ変換処理と集中検針装置1の通信速度に対応させる通信変換処理とを施して集中検針装置1と通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継伝送装置及び集中検針システムに関し、より詳細には、通信仕様の異なる複数の起動電文方式の通信機能付きメータを集中検針装置で検針する際の中継を行う中継伝送装置、及びその中継伝送装置を備えた集中検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水道水の使用量等を測定し測定した結果より使用者から料金を徴収するために、水道メータが用いられている。また、集合住宅や工場などでは、集中検針装置などを用いて各住戸に設置されている水道メータの検針を一箇所で一括して行っていることが広く知られている。この場合、水道メータとしては通信機能付き水道メータが用いられ、この通信機能付き水道メータには、8ビット電文方式、5ビット電文方式、パルス信号出力方式などの水道メータが用いられている。
【0003】
8ビット電文方式の水道メータで使用されるデータは、スタートビットとストップビットによって区切られた8ビットのデータビットで構成され、300bpsの通信速度でデータの送受信が行われている。また、5ビット電文方式の水道メータで使用されるデータは、スタートビットとストップビットによって区切られた5ビットのデータビットで構成され、200bpsの通信速度でデータの送受信が行われている。また、パルス信号出力方式の水道メータは、定量増加毎に、例えば100Lの流量を検知する毎に、ある一定時間のパルス信号を出力するメータである。
【0004】
このように、集合住宅や工場などでは、水道局と集合住宅や工場のオーナーとが所有(管理)する水道メータとして、上述のごとき通信方式(通信仕様)が異なる水道メータが各々設置されている場合が多々ある。
【0005】
また、従来から、集合住宅の各住戸に設置されている水道メータを集中的に検針する集中検針装置としては、水道メータとの間に中継伝送装置を配し、その中継伝送装置を介した通信により検針を実行する装置も知られている。
【0006】
中継伝送装置を介して各メータを検針する集中検針装置に関し、特許文献1には、複数の中継伝送部を介してそれぞれ多数の電文入出力メータへ各種情報設定を短時間で行なう集中自動検針装置が開示され、特許文献2には、複数の中継伝送部を介してそれぞれ多数の電文入出力メータを短時間で検針又は情報を読み取る集中自動検針装置が開示されている。特許文献1,2の集中自動検針装置では、従来中央装置が行なっていた各メータに対する要求電文を組立、送出するいわゆる模擬センター機能を、システム内の中継伝送部が果し、しかも複数のメータに対しこれを全て同時に実行可能とすることで、同時に異なった電文を送出できるため、起動に対する応答以外の各種情報要求電文でも高速短時間で読みとることが可能となっている。
【0007】
また、特許文献3には、信号形式に関係なく、複数種類のメータの計量値を同一フォーマットの検針信号として出力させて、信号形式の異なる複数種類のメータ群が混在する場合でも、単一の表示部に表示させて的確に集中管理することができる集中検針システムが開示されている。
【特許文献1】特開平5−260563号公報
【特許文献2】特開平5−260564号公報
【特許文献3】特公平7−111754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のごとく、水道メータは、その交換により異なる通信方式のものが混在して設置されている場合がある。このことは、水道メータに限らずガスメータや電力メータなども同様である。
【0009】
しかしながら、従来、通信方式が異なるメータに対して集中的に検針を行う場合、各メータの通信方式に対応した集中検針装置をそれぞれ用意して別々に設置する必要がある。また、特許文献1,2をはじめとする従来技術における中継伝送装置を介した集中検針装置であっても、通信方式の異なる各メータを、同種の中継伝送装置を介して検針することは不可能である。
【0010】
また、特許文献3に記載の集中検針システムは、5ビット、8ビット毎の複雑なA/D変換処理を実行するA/D変換器が必要となり、処理が複雑になると共にコスト高となる。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、異なる通信方式のメータが各住戸に設置された場合においても、各メータの通信方式に対応した中継伝送装置を介して少ない費用で一箇所で一括して検針することが可能な、集中検針システム並びにその中継伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、集中検針装置及び複数の通信機能付きメータが接続され、該複数のメータに対して前記集中検針装置が検針する際の中継を行う中継伝送装置において、前記複数のメータは、通信速度及び/又はデータ構成が異なる複数種類のメータを含み、当該中継伝送装置は、前記集中検針装置との間で伝送信号を送受信する集中検針装置通信回路と、前記メータの種類毎の通信インターフェースを有し前記複数種類のメータとの間で伝送信号を送受信するメータ通信回路と、前記集中検針装置通信回路及びメータ通信回路を介した、前記集中検針装置及び前記メータのうちいずれか一方に該当する発信元装置から他方に該当する送信先装置への通信を制御する制御部と、を備え、該制御部は、前記発信元装置から送信された伝送信号を、前記集中検針装置通信回路及び前記メータ通信回路のうちの前記発信元装置側の通信回路で受信して、前記集中検針装置通信回路及び前記メータ通信回路のうちの前記送信先装置側の通信回路で前記送信先装置へ送信するに際し、通信対象となっている前記通信インターフェースの種別に基づき、通信速度及び/又はデータ構成の変換が必要か否かを判定する変換判定手段と、該変換判定手段で通信速度の変換が必要であるとの判定がなされた場合、前記発信元装置から受信した伝送信号の通信速度を、前記発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対して波形長を制御することで、前記送信先装置の通信速度に合わせて変換する通信変換手段と、前記変換判定手段でデータ構成の変換が必要であるとの判定がなされた場合、前記発信元装置から受信した伝送信号のデータ構成を、前記送信先装置のデータ構成に合わせて変換するデータ変換手段と、を有し、前記変換判定手段で通信速度及びデータ構成の変換が不要であるとの判定がなされた場合には、前記発信元装置側の通信回路で受信した伝送信号をそのまま素通りさせて前記送信先装置側の通信回路で前記送信側装置へ送信する制御を行うことを特徴としたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記データ変換手段は、通信対象となっている前記通信インターフェースで使用するデータ構成と前記集中検針装置通信回路で使用するデータ構成とに基づき、前記発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対してビット構成を変換することで、データ構成の変換を行うことを特徴としたものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記メータの種類は、パルス信号出力方式を含み、前記制御部は、複数の前記パルス信号出力方式メータのそれぞれに対し、受信した定量増加毎のパルス信号をカウントした数と予め設定された係数値とに基づいて求めた検針値を記憶する記憶手段を有し、前記制御部で制御される、前記パルス信号出力方式メータが発信元装置となり前記集中検針装置が送信先装置となるときの通信は、前記パルス信号出力方式メータからパルス信号を受信し、該受信したパルス信号を前記記憶手段に蓄積して求めた検針値を、前記集中検針装置からの出力要求により前記集中検針装置へ送信することであることを特徴としたものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記メータの種類は、8ビット電文方式及び5ビット電文方式を含むことを特徴としたものである。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明における中継伝送装置を複数備え、且つ前記集中検針装置を備えた集中検針システムであって、前記集中検針装置は、前記中継伝送装置との間で伝送信号を送受信する通信回路と、該通信回路で前記中継伝送装置と通信を行い、前記中継伝送装置に接続された複数のメータの検針値を読み出して表示する表示手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、集中検針システムにおいて、異なる通信方式のメータが各住戸に設置された場合においても、各メータの通信方式に対応した中継伝送装置を介して少ない費用で一箇所で一括して検針することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る集中検針システムの構成例を示すブロック図で、図2は、図1の構成例における装置間の伝送手順を説明するための図である。図1及び図2において、1は集中検針装置、2は中継伝送装置、3は集中検針装置1と中継伝送装置2との間の通信線、4は水道メータ、4aは8ビット電文方式水道メータ、4bは5ビット電文方式水道メータ、4cはパルス信号出力方式水道メータ、5は中継伝送装置2と水道メータ4との間の通信線、10は制御部、11は表示部、12は読み出し用釦スイッチ、13は通信部、14は電源部である。
【0019】
図1で例示する集中検針システムは、集中検針装置1が、複数の水道メータ4が通信線5で接続された複数の中継伝送装置2と、複数のポートから出る通信線(接続線)3により接続されてなる。以下、他の実施形態での説明も含め、メータとして水道メータを挙げて説明するが、ガスメータ等の他のメータも同様に適用できる。
【0020】
集中検針装置1は、制御部10、及びその制御部10に対して外部からのAC100Vの電源を供給する電源部14を備える。制御部10は、表示部11及び通信部13を備え、さらに読み出し用釦スイッチ12等、オペレータ用の操作部を備える。通信部13は、中継伝送装置2との間で伝送信号を送受信する通信回路でなる。表示部11は、複数の水道メータ4の検針値を読み出して表示する表示装置でなる。また、制御部10は、例えば図示しないマイコンを具備し、表示部11、通信部13、及び操作部に対する制御を実行するプログラムをそのマイコン内に組み込んでおくことで実装できる。
【0021】
集中検針装置1では、オペレータからの読み出し用釦スイッチの操作により、通信部13が通信線3を介して中継伝送装置2に対して8ビット電文方式の検針要求を出力し、水道メータ4の検針応答を中継伝送装置2を介して受信し、表示部11に水道メータ4の検針値を渡し、表示部11がこの検針値を表示する。このように、集中検針装置1は、検針要求の出力及び検針応答の受信によって水道メータ4の検針値を読み出し、表示部11に表示する。
【0022】
中継伝送装置2は、上述したように集中検針装置1及び複数の通信機能付き水道メータ4が接続され、複数の水道メータ4に対して集中検針装置1が検針する際の中継を行う装置である。
【0023】
本発明に係る中継伝送装置2は、通信速度及び/又はデータ構成が異なる複数種類の水道メータ4に対応可能な装置である。そのため、中継伝送装置2は、水道メータ4の通信インターフェース(通信I/F)毎に対応するように予め設定された変換判定処理を実行し、その判定結果に従って、水道メータ4の通信速度に対応させる通信変換処理と水道メータ4のデータ構成に対応させるデータ変換処理とを施して水道メータ4との通信を行う。一方で中継伝送装置2は、集中検針装置1のデータ構成に対応させるデータ変換処理と集中検針装置1の通信速度に対応させる通信変換処理とを施して集中検針装置1と通信を行う。従って、集中検針装置1は、データ構成、通信速度及び通信I/Fがそれぞれ異なる複数の水道メータ4と中継伝送装置2を介して通信を行うことができ、それら水道メータ4の検針値をその通信によって読み出し、表示することが可能となる。
【0024】
以下の説明では、通信部13が中継伝送装置2に対して8ビット電文方式の検針要求を出力すること、並びに中継伝送装置2が8ビット電文方式水道メータとの通信に際しては後述の通信速度変換及びデータ構成変換を行う必要がない構成をもつことを前提とする。すなわち、8ビット電文方式の水道メータ(データ構成が8ビット電文且つ通信速度が300bps)を基準として、その他の方式の水道メータに対してデータ変換手段(及び通信変換手段)での変換を実行する例を以下に説明する。但し、検針要求を行う方式としては、5ビット電文方式或いはパルス信号出力方式やその他の方式であってもよい。このとき、検針要求を行う方式のメータとの通信に際して通信速度変換及びデータ構成変換を行わずに済む構成を中継伝送装置2がもつことが好ましいが、例えば8ビット電文方式の検針要求を通信部13から発することを前提とした場合であっても、中継伝送装置2が5ビット電文方式水道メータ(又はパルス信号出力方式水道メータ)との通信を変換無しで行うような構成をもってもよい。
【0025】
図2を参照して、通信方式の異なる水道メータと集中検針装置1との中継伝送装置2を介した通信について、その概略を説明する。集中検針装置1は、接続される水道メータ4の通信方式が8ビット電文方式の場合、図2で示した伝送手順のように中継伝送装置2を素通りさせて8ビット電文方式水道メータ4aと直接伝送信号の送受信を行う。また、集中検針装置1は、接続される水道メータ4の通信方式が5ビット電文方式の場合、図2で示した伝送手順のように中継伝送装置2が変換を行うことで、5ビット電文方式水道メータ4bと伝送信号の送受信を行う。
【0026】
また、集中検針装置1は、接続される水道メータ4の通信方式がパルス信号出力方式の場合、図2で示した伝送手順のようにパルス信号出力方式水道メータ4cからのパルス信号出力を中継伝送装置2が受信し、受信したパルス信号のカウント数と予め設定された係数値に基づいて求めた検針値を記憶手段に記憶する。そして、集中検針装置1からの検針要求に基づき、中継伝送装置2は記憶した検針値の送信を行う。
【0027】
以上、本発明の集中検針システムによれば、8ビット電文方式、5ビット電文方式、パルス信号出力方式等の通信機能付きメータと通信線を介して通信を行うための中継伝送装置と、これら複数の中継伝送装置が接続線を介してそれぞれ通信を行うための集中検針装置とを備え、集中検針装置は各通信方式が異なるメータの検針値を読み出し表示するようにしたので、異なるメータが各住戸に設置された場合であっても、少ない費用で一箇所で一括して検針することができる。
【0028】
中継伝送装置2については簡単に説明したが、実際、上述のごとき通信を実行可能とするために、図3乃至図7を参照して次に説明するような中継伝送装置2が必要となる。
【0029】
図3、図4、図7は、図1における中継伝送装置の一構成例を示すブロック図で、それぞれ8ビット電文方式、5ビット電文方式、パルス信号出力方式の水道メータが接続される場合の制御例を説明するための図である。また、図5及び図6は、図4の中継伝送装置において実行されるデータ変換を説明するための図である。
【0030】
図3乃至図7において、4aは8ビット電文方式水道メータ、4bは5ビット電文方式水道メータ、4cはパルス信号出力方式水道メータ、20は主制御部、21は不揮発性メモリ、22はタイマ部、23は集中検針装置通信回路、24は水道メータ通信回路、24aは8ビット電文用I/F、24bは5ビット電文用I/F、24cはパルス信号用I/F、25は通信変換手段、26はデータ変換手段、27は変換判定手段である。
【0031】
中継伝送装置2は、接続される集中検針装置1との間で伝送信号を送受信する集中検針装置通信回路23と、水道メータ4の種類毎の通信I/F24a〜24cを有し複数種類の水道メータ4a〜4cとの間で伝送信号を送受信する水道メータ通信回路24とを備える。ここで、集中検針装置通信回路23は、他の中継伝送装置との通信に用いることも可能であるが、同様の説明ができるため、以下では集中検針装置1との通信に限ってのみ説明する。ここで、水道メータ通信回路24は、パルス信号出力方式水道メータ4cとの通信を行う場合には、パルス信号用I/F24cを介して、パルス信号出力方式水道メータ4cが定量増加毎に出力するパルス信号を受信することとなる。
【0032】
また、ここでは水道メータ4の種類として、8ビット電文方式水道メータ4a、5ビット電文方式水道メータ4b、及びパルス信号出力方式水道メータ4cの3種類を挙げて説明するが、これに限ったものではない。また、水道メータ通信回路24に含まれる通信I/Fも同様に、8ビット電文用I/F24a、5ビット電文用I/F24b、及びパルス信号用I/F24cの3種類を挙げて説明するが、これに限ったものではない。例えば、中継伝送装置2において水道メータ通信回路24以外の構成要素を同じくして、水道メータ通信回路24に1種類や2種類の通信I/Fのみを組み込んだ構成も可能であり、その場合には組み込んだ通信I/Fに対応した種類の水道メータのみが接続される集中検針システムとなる。
【0033】
また、中継伝送装置2は、集中検針装置通信回路23及び水道メータ通信回路24を介した、集中検針装置1及び水道メータ4のうちいずれか一方に当する発信元装置から他方に当する送信先装置への通信を制御する制御部を備える。制御部は、主制御部20をもち、主制御部20は、通信変換手段25、データ変換手段26、及び変換判定手段27を有する。
【0034】
変換判定手段27は、発信元装置から送信された伝送信号を、集中検針装置通信回路23及び水道メータ通信回路24のうちの発信元装置側の通信回路で受信して、送信先装置側の通信回路で送信先装置へ送信するに際し、通信対象となっている通信I/F24a〜24cの種別に基づき、通信速度及び/又はデータ構成の変換が必要か否かを判定する。
【0035】
ここで、変換判定手段27による、8ビット電文用I/F24a、5ビット電文用I/F24b、パルス信号用I/F24cの識別方法について例示する。集中検針装置1から中継伝送装置2を介して各水道メータ4に伝送信号を送信する際には、次の(a),(b)の識別方法が例示できる。
【0036】
(a)集中検針装置1からID番号付き起動電文として送信し、中継伝送装置2でID番号から送信先の水道メータ4の情報を検索し、8ビット用/5ビット用/パルス信号用のいずれの水道メータであるかを求めることで、変換判定手段27は、今から送信しようとしている先の水道メータ4が3つの通信用I/F24a〜24cのうちのいずれを用いて通信するメータであるのかを識別できる。(b)集中検針装置1からID番号無し起動電文を送信し、集中検針装置1或いは中継伝送装置2で、8ビット用/5ビット用/パルス信号用の水道メータ4の中で、種別毎の通信順序を決めておき、例えば、8ビット電文方式水道メータ4aの通信順序のときには当然8ビット電文用I/F24aを用いて送信するので、変換判定手段27が、その順序に応じて通信用I/Fを識別できる。また、各水道メータ4から中継伝送装置2を介して集中検針装置1に伝送信号を送信する際には、各水道メータからの伝送信号はその水道メータ用の通信I/Fに入力されるため、変換判定手段27は、入力元を識別することで通信I/Fを識別することができる。
【0037】
通信変換手段25は、変換判定手段27で通信速度の変換が必要であるとの判定がなされた場合、発信元装置から受信した伝送信号の通信速度を、送信先装置の通信速度に合わせて変換する。この通信速度の変換は、通信対象となっている通信I/Fにおける通信速度と集中検針装置通信回路23における通信速度とに基づき、発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対して波形長を制御することで行う。実際には、中継伝送装置2の制御部にタイマ部22を備えておき、タイマ部22が、主制御部20の通信変換手段25からの通信速度変換命令に基づき伝送信号の波形長を制御する通信速度変換を行うとよい。
【0038】
データ変換手段26は、変換判定手段27でデータ構成の変換が必要であるとの判定がなされた場合、発信元装置から受信した伝送信号のデータ構成を、送信先装置のデータ構成に合わせて変換する。ここで、データ変換手段26は、通信対象となっている通信I/Fで使用するデータ構成と集中検針装置通信回路23で使用するデータ構成とに基づき、発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対してビット構成を変換することで、データ構成の変換を行うことが好ましい。このようなビット構成変換によって、例えば図5及び図6を参照して後述するようなデータ構成変換が可能となる。
【0039】
このように、主制御部20は、集中検針装置1から集中検針装置通信回路23を通して入力された集中検針装置1の伝送信号に対し、変換判定手段27で通信I/F24a〜24cの種別を識別した結果に基づき、伝送信号の変換が必要と判断した場合はデータ変換手段26でビット構成変換を行う。一方、逆方向の通信では、主制御部20は、水道メータ4a〜4cから水道メータ通信回路24を通して入力された水道メータ4a〜4cの伝送信号を、変換判定手段27で通信I/F24a〜24cの種別を識別した結果に基づき、伝送信号の変換が必要と判断した場合はデータ変換手段26でビット構成変換を行う。
【0040】
また、中継伝送装置2の制御部は、パルス信号出力方式水道メータに対応するために、記憶手段(不揮発性メモリ21で例示)を備える必要がある。この不揮発性メモリ21は、複数のパルス信号出力方式水道メータのそれぞれに対し、受信した定量増加毎のパルス信号をカウントした数と予め設定された係数値とに基づいて求めた検針値を記憶する。そして、中継伝送装置2の制御部で制御される、パルス信号出力方式メータ4cが発信元装置となり集中検針装置1が送信先装置となるときの通信は、パルス信号出力方式水道メータ4cからパルス信号を受信し、受信したパルス信号を不揮発性メモリ21に蓄積して求めた検針値を、集中検針装置1からの出力要求により集中検針装置1へ送信することである。
【0041】
一方、変換判定手段27の判定により伝送信号の変換が必要ない場合には、主制御部20からのバスライン選択信号に基づきビット構成変換と通信速度変換を行わずに伝送信号をバスラインを通して素通りさせ、水道メータ4に水道メータ通信回路24を通して水道メータ4の伝送信号を出力する。一方、逆方向の通信でも、同様にバスラインを素通りさせ、集中検針装置1に集中検針装置通信回路23を通して集中検針伝送信号を出力する。
【0042】
このように、中継伝送装置2の制御部は、変換判定手段27で通信速度及び/又はデータ構成の変換が必要であるとの判定がなされた場合には、通信変換手段25及び/又はデータ変換手段26で変換後の伝送信号を、送信先装置側の通信回路で送信先装置へ送信する制御を行う。一方、制御部は、変換判定手段27で通信速度及びデータ構成の変換が不要であるとの判定がなされた場合には、発信元装置側の通信回路で受信した伝送信号をそのまま素通りさせて送信先装置側の通信回路で送信側装置へ送信する制御を行う。
【0043】
また、中継伝送装置2における主制御部20は、例えば図示しないマイコンを具備し、マイコンを通信変換手段25、データ変換手段26、変換判定手段27、及び制御部内のその他の制御を行う手段として機能させるためのプログラムを、そのマイコン内に組み込んでおくことで実装できる。また、図3において、水道メータ通信回路24を8ビット電文用I/F24a、5ビット電文用I/F24b、パルス信号用I/F24cのみとしても、対応可能な水道メータの種類が減るだけで、この中継伝送装置2は機能する。
【0044】
上述のごとき構成に基づき、まず、図3を参照して8ビット電文方式水道メータ4aが接続された場合の制御について説明する。
【0045】
変換判定手段27は、通信I/F種別の識別線31を介して通信I/F24a〜24cの種別を判定する。図3のように8ビット電文方式水道メータ4aとの通信である場合には、8ビット電文用I/F24aであると判定される。中継伝送装置2の制御部は、判定した結果に基づきデータ変換手段26及び通信変換手段25での変換処理を実行しないよう制御する。
【0046】
中継伝送装置2の制御部は、バスライン選択信号30を制御して、集中検針装置通信回路23が受信した集中検針装置1から出力された検針要求を水道メータ通信回路24に対して伝送信号線32を介して素通りさせて、接続されている8ビット電文方式水道メータ4aに検針要求を出力する。
【0047】
また、中継伝送装置2の制御部は、水道メータ通信回路24が受信した8ビット電文方式水道メータ4aから出力された検針応答を集中検針装置通信回路23に対して伝送信号線32を介して素通りさせて、接続されている集中検針装置1に検針応答を出力する。
【0048】
次に、図4乃至図6を参照して、5ビット電文方式水道メータが接続される場合の制御例を説明する。
【0049】
この場合も同様に、変換判定手段27は、通信I/F種別の識別線31を介して通信I/F24a〜24cの種別を判定する。図4のように5ビット電文方式水道メータ4bとの通信である場合には、5ビット電文用I/F24bであると判定される。中継伝送装置2の制御部は、判定した結果に基づきデータ変換手段26及び通信変換手段25での変換処理を実行するよう制御する。
【0050】
中継伝送装置2の制御部は、バスライン選択信号30を制御して、集中検針装置通信回路23が受信した集中検針装置1から出力された検針要求を水道メータ通信回路24に対して伝送信号線32を介して素通りさせることなく、中継伝送装置2の制御部内に取り込む。制御部内に取り込まれた伝送信号は、図5で例示したようにデータ変換手段26により8ビット電文を5ビット電文にビット構成変換し、通信変換手段25によりタイマ部22を使用して300bpsを200bpsに波形長の制御を行い、水道メータ通信回路24に対し伝送信号線32を介して、接続されている5ビット電文方式水道メータ4bに検針要求を出力する。
【0051】
また、中継伝送装置2の制御部は、水道メータ通信回路24が受信した5ビット電文方式水道メータ4bから出力された検針応答を集中検針装置通信回路に対して伝送信号線32を介して素通りさせることなく、中継伝送装置2の制御部に取り込む。制御部内に取り込まれた伝送信号は、図6で例示したようにデータ変換手段26により5ビット電文を8ビット電文にビット構成変換し、通信変換手段25によりタイマ部22を使用して200bpsを300bpsに波形長の制御を行い、集中検針装置通信回路23に対し伝送信号線32を介して、接続されている集中検針装置1に検針応答を出力する。
【0052】
次に、図7を参照して、パルス信号出力方式水道メータが接続される場合の制御例を説明する。
【0053】
この場合も同様に、変換判定手段27は、通信I/F種別の識別線31を介して通信I/F24a〜24cの種別を判定する。図7のようにパルス信号出力方式水道メータ4cとの通信である場合には、パルス信号用I/F24cであると判定される。
【0054】
中継伝送装置2の制御部は、パルス信号出力方式水道メータ4cから出力されたパルス信号を水道メータ通信回路24で受信し、集中検針装置通信回路23に対して伝送信号線32を介して素通りさせることなく、中継伝送装置2の制御部にパルス信号を取り込む。制御部内に取り込まれたパルス信号は、予め設定された係数値に基づいて求めた検針値を不揮発性メモリ21に記憶し、集中検針装置1からの出力要求を待って、記憶した内容を検針応答として以下のように出力する。
【0055】
このように、パルス信号出力方式水道メータ4cの場合には、検針応答として、不揮発性メモリ21に記憶したデータを集中検針装置1に対して送信することとなる。その際、通信変換手段25を用いて、不揮発性メモリ21のデータを集中検針装置1との通信が可能なように300bpsに変換する。ここで、不揮発性メモリ21内のデータは8ビットデータ形式で保存しているため、データ変換手段26でのデータ変換の必要はない。すなわち、中継伝送装置2の制御部は、判定した結果に基づきデータ変換手段26での変換処理を実行せず、且つ通信変換手段25での変換処理を実行するように制御する。
【0056】
実際、中継伝送装置2の制御部は、バスライン選択信号30を制御して、集中検針装置通信回路23が受信した集中検針装置1から出力された検針要求を水道メータ通信回路24に対して伝送信号線32を介して素通りさせることなく、中継伝送装置2の制御部内に取り込む。取り込まれた出力要求の伝送信号に応答するために、制御部は、不揮発性メモリ21内のデータに対し、通信変換手段25及びタイマ部22で300bpsに波形長制御を行い、集中検針装置通信回路23に対して伝送信号線32を介して、接続されている集中検針装置1に検針応答を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る集中検針システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の構成例における装置間の伝送手順を説明するための図である。
【図3】図1における中継伝送装置の一構成例を示すブロック図である。
【図4】図1における中継伝送装置の一構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の中継伝送装置において実行されるデータ変換を説明するための図である。
【図6】図4の中継伝送装置において実行されるデータ変換を説明するための図である。
【図7】図1における中継伝送装置の一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1…集中検針装置、2…中継伝送装置、3,5…通信線、4…水道メータ、4a…8ビット電文方式水道メータ、4b…5ビット電文方式水道メータ、4c…パルス信号出力方式水道メータ、10…制御部、11…表示部、12…読み出し用釦スイッチ、13…通信部、14…電源部、20…主制御部、21…不揮発性メモリ、22…タイマ部、23…集中検針装置通信回路、24…水道メータ通信回路、24a…8ビット電文用I/F、24b…5ビット電文用I/F、24c…パルス信号用I/F、25…通信変換手段、26…データ変換手段、27…変換判定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中検針装置及び複数の通信機能付きメータが接続され、該複数のメータに対して前記集中検針装置が検針する際の中継を行う中継伝送装置において、
前記複数のメータは、通信速度及び/又はデータ構成が異なる複数種類のメータを含み、
当該中継伝送装置は、前記集中検針装置との間で伝送信号を送受信する集中検針装置通信回路と、前記メータの種類毎の通信インターフェースを有し前記複数種類のメータとの間で伝送信号を送受信するメータ通信回路と、前記集中検針装置通信回路及びメータ通信回路を介した、前記集中検針装置及び前記メータのうちいずれか一方に該当する発信元装置から他方に該当する送信先装置への通信を制御する制御部と、を備え、
該制御部は、
前記発信元装置から送信された伝送信号を、前記集中検針装置通信回路及び前記メータ通信回路のうちの前記発信元装置側の通信回路で受信して、前記集中検針装置通信回路及び前記メータ通信回路のうちの前記送信先装置側の通信回路で前記送信先装置へ送信するに際し、通信対象となっている前記通信インターフェースの種別に基づき、通信速度及び/又はデータ構成の変換が必要か否かを判定する変換判定手段と、
該変換判定手段で通信速度の変換が必要であるとの判定がなされた場合、前記発信元装置から受信した伝送信号の通信速度を、前記発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対して波形長を制御することで、前記送信先装置の通信速度に合わせて変換する通信変換手段と、
前記変換判定手段でデータ構成の変換が必要であるとの判定がなされた場合、前記発信元装置から受信した伝送信号のデータ構成を、前記送信先装置のデータ構成に合わせて変換するデータ変換手段と、
を有し、
前記変換判定手段で通信速度及びデータ構成の変換が不要であるとの判定がなされた場合には、前記発信元装置側の通信回路で受信した伝送信号をそのまま素通りさせて前記送信先装置側の通信回路で前記送信側装置へ送信する制御を行うことを特徴とする中継伝送装置。
【請求項2】
前記データ変換手段は、通信対象となっている前記通信インターフェースで使用するデータ構成と前記集中検針装置通信回路で使用するデータ構成とに基づき、前記発信元装置側の通信回路から受信した伝送信号に対してビット構成を変換することで、データ構成の変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送装置。
【請求項3】
前記メータの種類は、パルス信号出力方式を含み、
前記制御部は、複数の前記パルス信号出力方式メータのそれぞれに対し、受信した定量増加毎のパルス信号をカウントした数と予め設定された係数値とに基づいて求めた検針値を記憶する記憶手段を有し、
前記制御部で制御される、前記パルス信号出力方式メータが発信元装置となり前記集中検針装置が送信先装置となるときの通信は、前記パルス信号出力方式メータからパルス信号を受信し、該受信したパルス信号を前記記憶手段に蓄積して求めた検針値を、前記集中検針装置からの出力要求により前記集中検針装置へ送信することであることを特徴とする請求項1又は2に記載の中継伝送装置。
【請求項4】
前記メータの種類は、8ビット電文方式及び5ビット電文方式を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中継伝送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中継伝送装置を複数備え、且つ前記集中検針装置を備えた集中検針システムであって、前記集中検針装置は、前記中継伝送装置との間で伝送信号を送受信する通信回路と、該通信回路で前記中継伝送装置と通信を行い、前記中継伝送装置に接続された複数のメータの検針値を読み出して表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする集中検針システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−249893(P2007−249893A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76025(P2006−76025)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】