説明

中間圧力でのパージによる水素製造方法

【課題】製造終了時に存在する不純物、特にメタンを捕捉し、かつエネルギー損失なしで水蒸気改質に向けて不純物を再循環させることを可能にする水素製造方法を提案する。
【解決手段】本発明は、炭化水素供給原料及び水蒸気からの水素製造方法であって、水蒸気の存在下、炭化水素供給原料を水蒸気改質する装置において合成ガスを生じさせ、燃料が反応に必要な熱をもたらす、工程と、先行工程で得られた合成ガスを蒸気に転化し、メタン及び二酸化炭素を含有する水素の流れを生じさせる、工程と、蒸気転化工程から得られた流れ中に存在する二酸化炭素を捕捉し、水素の流れから二酸化炭素を分離することを可能にする、工程と、水素の流れ中に存在する不純物を捕捉し、かつ水蒸気改質に向けて再循環させ、減圧段階を含む、工程とを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素製造の分野に関し、特には、COの完全な捕捉を伴って水素を製造し、非転化メタンを再循環させ、かつ中間パージする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際科学界によれば工業時代から観察されている地球の気候温暖化により、地球の多くの地域の気候および生態系が劇的に変えられ得る。温室効果ガスの放出、特に二酸化炭素(CO)が、この温暖化の原因であるようである。
【0003】
化石エネルギー(天然ガス、石油、石炭)は、地球上で容易に利用可能なエネルギーの大部分を構成する。しかるに、これらの化石エネルギーは、使用される時、(一般的に、燃焼工程の際に)COを生じさせ、それ故に気候温暖化に関与する。
【0004】
温室効果ガス放出による気候温暖化と戦うために推奨される解決策の一つは、生じたCOを捕捉し、次にそれを地下に貯蔵することである。幾つもの方法が探求され、その中には、化石エネルギーを水素に転化すると共に、同時に生じたCOを捕捉および貯蔵することからなる、予備燃焼での捕捉がある。エネルギー担体の水素は、その場合温室効果ガスを放出せずに、自由に燃やされ得る。
【0005】
現在、化石エネルギーから水素を工業的に製造する幾つもの手段が存在する。最も普及した手段は、炉内で行われる天然ガスの水蒸気改質(英語でSMR:Steam Methane Reforming(水蒸気メタン改質))であり、これは、その組成中の高いメタン含有量を考慮して高い水素/炭素比を有する供給原料を用いるという利点を有する。簡略的には、SMRの触媒反応は、次のように記述され得る:
【0006】
【化1】

【0007】
この非常に吸熱性である反応は平衡化される。高温によって促進され、かつ一般的に、天然ガスのような燃料によって加熱された炉内で行われる。従来、SMR装置の後に、蒸気転化工程(WGS:water gas shift)が行われ、これは、次の反応によって水素生成を最大にすることできる:
【0008】
【化2】

【0009】
COを貯蔵のために捕捉しなければならない時に、水素に富んだ流れからCOを抽出するアミン洗浄装置(例えば他のアミンと組み合わせたMDEA)を次に使用することが可能であり、水素に富んだ流れは次に、例えば、電気を生じさせるためにガスタービンに送られ、他方でCOは、圧縮されて地下に送られる。
【0010】
このタイプの方法において、CO捕捉の目的は全く達成されない。なぜならば、水素中に依然として存在するメタン、COおよびCOの存在のために、タービン出口にCOが依然として残っているだけでなく、それがタービンに直接送られるよりも多量の天然ガスが入口で必要だからである。更に、水蒸気改質が行われる炉は、天然ガスを使用し、従って大量のCOを放出する。従ってCOの回避率は低い。
【0011】
この技術に対する一つの改善は、圧力調節不純物吸着装置(PSA)を追加することからなる。2つの流れが、その時点で得られる:99.99%の高純度の水素の流れと、少なくとも20%の水素を含有する不純物の流れである。この低圧力の流れは、水蒸気改質炉のバーナに送られ、それにより、炉に必要な天然ガスを減少させ、従ってCOの生成を減少させる。しかしながら、COの回避率は低いままである。なぜならば一方で、不純物は、炉の煙中にCOの形態で流出し、かつ他方で、更に多量の水素を生成させなければならず、従って、水蒸気改質の供給原料のため更に多量の天然ガスを使用しなければならないからである。
【0012】
特許文献1に記載されたもう一つの改善は、モレキュラーシーブを用いる吸着装置を、例えば活性炭または他のあらゆる吸着性固体を用い得る吸着装置と取り替えることからなる。この吸着装置は、少なくとも2種の吸着体から構成される。吸着装置内の吸着サイクルは、次の連続した段階を少なくとも含む複数の吸着段階から構成される:第1吸着体を用いて精製される、水素に富んだガス流からの不純物の吸着、水素の再循環による第1吸着体の再生、および第2吸着体を用いる不純物の吸着、2種超の吸着体がある場合に以下同様。
【0013】
この解決策の短所は、大量の水素の再循環に関連する。実際、ルシャトリエの法則によれば、この点は、反応生成物の存在によって水蒸気改質の順方向で、反応を促進せず、従って合成ガスの生産ラインの設備およびアミン分離装置の集合の寸法増加を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2936507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明は、製造終了時に存在する不純物、特にメタンを捕捉し、かつエネルギー損失なしで水蒸気改質に向けて不純物を再循環させることを可能にする水素製造方法を提案して、従来技術の1つ以上の短所が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために本発明は、炭化水素供給原料および水蒸気から水素を製造する方法であって、
− 水蒸気の存在下に炭化水素供給原料を水蒸気改質する装置において合成ガスを生じさせ、燃料が反応に必要な熱をもたらす工程と、
− 先行工程で得られた合成ガスの蒸気を転化して、メタンおよび二酸化炭素を含有する水素の流れを生じさせる工程と、
− 蒸気転化工程から得られた流れ中に存在する二酸化炭素を捕捉して、水素の流れから二酸化炭素を分離することを可能にする工程と、
− 水素の流れ中に存在する不純物を捕捉しかつ水蒸気改質に向けて再循環させる工程であって、減圧段階を含む工程と
を含む方法を提案する。
【0017】
本発明の実施態様によれば、不純物の捕捉・再循環の工程は、少なくとも2種の吸着体を含む吸着装置内で行われ、かつ次の連続した段階を少なくとも含む:
− 第1吸着体を用いた不純物の吸着、
− 第1吸着体の減圧および再生、
− 第2吸着体を用いた不純物の吸着。
【0018】
本発明の実施態様によれば、減圧段階は、0.2〜1.4MPaの圧力で行われる。
【0019】
本発明の実施態様によれば、減圧段階は、20〜100℃の温度で行われる。
【0020】
本発明の実施態様によれば、減圧段階は、0.05〜2MPa/分の速度で行われる。
【0021】
本発明の実施態様によれば、減圧段階は、水蒸気改質装置内で燃やされる水素の流れを生じさせる。
【0022】
本発明の実施態様によれば、吸着体の減圧および再生段階は、次の方法で行われる:
− 第1吸着体の隔離および第2吸着体の投入、
− 第1吸着体の減圧、再圧縮、および、炭化水素供給原料の流れによる第1吸着体の洗浄(balayage);該炭化水素原料の流れは、水蒸気改質装置への供給原料に供することを目的とし、かつ、水蒸気改質装置を同様に目的とする水蒸気との交換により、水蒸気の凝結温度より少なくとも20℃高い温度に加熱される、および、
− 水蒸気改質装置に向けられる少なくとも20℃過熱された水蒸気の循環による、再加熱された吸着体の再生および不純物の脱着、
− 高純度かつ高温の水素の流れによる吸着体の洗浄によって再生される吸着体内に存在する水蒸気の除去、
− 高純度かつ低温の水素の流れにより水蒸気から取り除かれた吸着体の洗浄。
【0023】
本発明の実施態様によれば、減圧段階は、水素の流れを生じさせ、これは、高温でありかつ水蒸気で飽和した、再生される吸着体の洗浄後に得られた水素の流れの一部と混合して送られ、水蒸気改質装置内で燃やされる。
【0024】
本発明の実施態様によれば、水蒸気の除去の結果、得られた、高温でありかつ水蒸気で飽和した水素の流れの一部が改質装置内に送られ、ここで燃やされ、流れの他の部分は、希釈水蒸気と混合してガスタービンに向けて送られ、電気を生じさせる。
【0025】
本発明の他の実施態様によれば、水蒸気の除去の結果、再生される吸着体の洗浄後に得られた水素の流れの一部は、外部装置に向けて送られ、他方で水素の残りの部分は、高温洗浄に使用され、次に改質装置のバーナに向けて送られる。
【0026】
本発明の実施態様によれば、低温水素による洗浄の結果、吸着体の冷却段階後に得られた、再加熱された水素の流れは、水蒸気との交換によって改めて再加熱され、かつ吸着体内に存在する水蒸気の除去段階において使用される。
【0027】
本発明の実施態様によれば、炭化水素供給原料は、天然ガスである。
【0028】
本発明の実施態様によれば、吸着された不純物は、メタン、二酸化炭素および一酸化炭素である。
【0029】
本発明の実施態様によれば、合成ガスの生成工程は、2.5〜3.5MPaの圧力で行われる。
【0030】
本発明の実施態様によれば、二酸化炭素の捕捉工程は、メチルジエチルアミンおよび少なくとも1種の他のアミンを使用するアミン装置において行われる。
【0031】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照し、かつ例として与えられる以下になされる説明を読めば、より良く理解され、かつより明瞭に現れるであろう。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、炭化水素供給原料及び水蒸気からの水素製造方法であって、
− 水蒸気の存在下、炭化水素供給原料を水蒸気改質する装置において合成ガスを生じさせ、燃料が反応に必要な熱をもたらす、工程と、
− 先行工程で得られた合成ガスを蒸気に転化し、メタン及び二酸化炭素を含有する水素の流れを生じさせる、工程と、
− 蒸気転化工程から得られた流れ中に存在する二酸化炭素を捕捉し、水素の流れから二酸化炭素を分離することを可能にする、工程と、
− 水素の流れ中に存在する不純物を捕捉し、かつ水蒸気改質に向けて再循環させ、減圧段階を含む、工程と
を含む方法に関し、製造終了時に存在する不純物、特にメタンを捕捉し、かつエネルギー損失なしで水蒸気改質に向けて不純物を再循環させることが可能になり、反応生成物の存在によって水蒸気改質の順方向で、反応を促進せず、従って合成ガスの生産ラインの設備およびアミン分離装置の集合の寸法増加を引き起こす、といった従来技術の1つ以上の短所が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来技術による水素製造方法スキームを表す。
【図2】本発明による水素製造方法スキームを表す。
【図3】本発明による水素製造スキームの吸着装置を詳細に表す。
【図4】本発明による水素製造スキームの吸着装置の一部を詳細に表す。
【図5】本発明による方法スキームの変形例を表す。
【図6】本発明による水素製造スキームの使用態様を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1および2に示された水素製造方法の際に、供給原料管(1)内を流通して吸着装置(15)内に到達する天然ガスの流れ、および水蒸気管(2)内を流通して吸着装置(15)内に到達する水蒸気の流れは、水蒸気改質装置(11)内に供給原料として間接的に送られる。反応に必要な熱は、管(10)によって水蒸気改質装置(11)内に到達する燃料の流れによって水蒸気改質炉内で生じさせられる。燃料は、天然ガスであっても良い。この反応は、炉の出口(110)で、少量の炭酸ガスを含有する煙の流れを生じさせる。水蒸気改質により得られる合成ガスの流れは、主に、水素(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、並びに水蒸気(HO)および反応しなかった少量のメタン(CH)を含有する。なぜならば、反応は平衡化され、900℃の温度でも、約4%の反応しなかったメタンが残るからである。合成ガスの流れは、水蒸気改質装置(11)から蒸気転化装置(12)に及ぶ合成ガス管(30)内を流通する。この合成ガスの流れは、合成ガス管(30)を介して蒸気転化装置(12)に送られる。この装置において、一酸化炭素の大部分は、水蒸気を用いて二酸化炭素に転化され、同時に少し多量の水素を放出する。この反応も平衡化され、少量の一酸化炭素(高度な転化条件において0.5%)が最終的に残る。転化装置(12)の出口で、得られた転化物の流れは、本質的に水素および二酸化炭素を含有し、転化装置(12)およびCO捕捉装置(13)を連結する転化物の流れの管(40)内を流通する。転化物の流れの管(40)内を流通するこの流れは、少量のメタンおよび一酸化炭素を同様に含有し、水蒸気の残りの部分は、蒸気転化反応器の後で凝結させられる。
【0035】
転化物の流れは、次に、CO捕捉装置(13)に向けて送られる。CO捕捉装置(13)は、アミン装置であっても良く、例えばメチルジエチルアミン(methyldiethylamine:MDEA)を少なくとも1種の他のアミンと組み合わせて使用するアミン装置が、特に適している。当業者に周知の他のCO捕捉装置を使用することが可能である。
【0036】
COの大部分は、分離され、かつCO管(50)を介して圧縮および乾燥装置に向けて送られ、次に枯渇した鉱床または適切な地層のような再注入場所に向けて輸送される。
【0037】
水素に富むガスは、CO捕捉装置(13)および吸着装置(15)を連結する水素に富むガスの他の管(60)によって排出される。このガスは、少量のメタン、一酸化炭素および捕捉されなかった少量の二酸化炭素(約0.5%)を含む。
【0038】
本発明による方法において、この水素に富むガスは、活性炭を用いた吸着装置(15)に向けられる。
【0039】
本発明による方法において使用される吸着装置(15)は、例えば、活性炭または任意の他の吸着性固体を用い得、例えば、下記の実施例において記載されたようなものであり得る。本発明による方法において使用される吸着装置(15)では、再生は、水蒸気管(2)によって導かれる水蒸気によって高圧でなされる。この水蒸気は、次に、水蒸気改質装置の供給原料として使用され、吸着装置(15)および水蒸気改質装置(11)を連結する水蒸気改質の供給原料の管(90)によって導かれる。不純物(CH、CO、CO)は、このようにして水蒸気改質反応器に再循環させられる。水蒸気改質炉によって放出されるCOを最小限に抑えるために、生じた水素の一部が使用される。この水素は、水素管(70)を介して水蒸気改質装置(11)内に流出する。従って管(70)から生じた水素の一部は、管(110)を介して流出する煙がCOを含まないように、管(10)を介して、水蒸気改質装置のバーナに向けて(そこで燃やされるために)送られる。水素の残りの部分は、管(80)を介してガスタービン(16)に向けて送られ、希釈水蒸気管(17)を介して到達する希釈水蒸気と混合される。この配置において、COの回避率は、100%に近くなり得る。
【0040】
水蒸気改質装置(11)のバーナは、吸着装置(15)に由来する高純度の高圧の水素によって同様に供給される。この水素は、吸着装置(15)内で行われ、かつ以下に記載される減圧または除圧段階の結果である。この水素供給は、除圧管(1001)を介してなされる。除圧管(1001)は、吸着装置(15)から出発し、水蒸気改質装置(11)内に到達する。必要であれば、ライン(1001)の流量は、管(10)に由来し、熱管(10)を除圧管(1001)に連結する管(1002)を介する水素により補完され得る。
【0041】
本発明において使用される吸着装置(15)は、キャパシテ(capacite、151〜156)とも呼ばれる複数の吸着体から構成される。作動態様は、6個の吸着体の構成で図3に示されるが、この構成は限定的ではない。種々の数のキャパシテが、本発明の枠から逸脱することなく、明らかに可能であり、例えば1〜18個、好ましくは5〜12個であるが、本発明を簡単に説明できるよう、6個に限った。この吸着装置(15)は、後続のパージおよび加圧段階に必要な供給原料のメタンを、供給原料管(1)によって供給される。
【0042】
本発明によれば、水素中に存在し、かつ固体上に吸着される不純物の脱着工程は、過熱水蒸気によって行われる。吸着固体は、過熱水蒸気の存在下に、概して周囲温度から350℃にわたる高温に耐え得るべきである。本発明によると、吸着剤は、活性炭または炭素モレキュラーシーブのタイプの吸着剤によって選択される。
【0043】
活性炭の群の中で、例えば酸による化学的活性化よりもむしろ蒸気による物理的活性化によって調製された活性炭が好ましくは選択される。実際、活性化条件は、特に一般的に600〜900℃である温度に関して、本発明の条件において遭遇する条件よりも厳格である。
【0044】
本質的に、径が概して2nm未満であるミクロ孔、および径が50nm超であるマクロ孔、並びに可及的に少数のメソ孔(2〜50nmの径)を含有する活性炭が好ましくは選択される。これらの径は、例えば当業者に周知のBJH法により77Kでの窒素吸着等温線(メソ細孔の領域)から、かつ同様に当業者に周知のウォッシュバーン法による水銀圧入曲線(マクロ細孔の領域)から計算され得る。
【0045】
かかる選択の理由は、特に過熱蒸気の温度が、考慮される圧力で、露点温度に達するまで著しく低下する場合に、吸着剤床中に存在する水蒸気が活性炭のメソ細孔中で毛管凝縮現象を引き起こし得ることによって説明される。メソ細孔中でこの毛管凝縮現象を生じさせ得る水蒸気の相対圧力は、水に関係するパラメータを使用して、ケルビンの式によって計算され得る。この点に関して、例えばS. J. GreggおよびK. S. W. Sing(Adsorption, Surface Area and Porosity)、およびJ. Rouquerolら(Adsorption by Powders and Porous Solids)の著作を有効に参照することができる。本発明の枠内で使用される活性炭は、径が例えば0.5〜5mmである例えば細粒、長さが約0.5mm〜数mmである押出物、または特性寸法数ミリメートルの砕石の形状に成形される。
【0046】
活性炭のミクロ孔容積は、例えば0.05〜0.80cm/gであり、例えばt−プロット法またはドビニン(Dubinin)の式およびその変形により77Kでの窒素吸着によって決定される。
【0047】
メソ孔容積は、好ましくは0.05〜0.30cm/gであり、0.98〜0.99に近いP/P0の相対圧力で、77Kでの窒素吸着によって、ミクロ孔容積を減算して決定される。
【0048】
マクロ孔容積は、好ましくは0.10〜0.50cm/gであり、水銀圧入によって決定される。
【0049】
この基準に応じる活性炭の例として、例えばCeca/Arkemaの活性炭AC35/3、Pica Carbonの活性炭PicaCarb E460-EおよびPicactif TA60またはTA90を挙げることができる。
【0050】
吸着装置(15)内の吸着サイクルは、複数の段階から構成される。図3に示される6個のキャパシテ(151〜156)が、吸着剤で満たされる。管(60)を介して到達する精製すべき水素に富むガス流は、20〜100℃、好ましくは40〜80℃、非常に好ましくは30〜70℃の温度で第1のキャパシテ(151)内に送られる。この流れに含有されるメタン、COおよびCOは、吸着剤により捕捉され、精製された水素は、管(61)を介して流出する。次に、第1のキャパシテ(151)を第6のキャパシテ(156)に連結する管(61)内を流通する水素は、20〜100℃に位置する動作温度まで冷却するように第6のキャパシテ(156)内に送られる。再加熱された水素は、第6キャパシテ(156)および熱交換器(21)を連結する管(62)を介して第6キャパシテ(156)から流出し、熱交換器(21)に向けて送られ、希釈水蒸気管(17)を介して到達する希釈水蒸気との交換によって更に再加熱される。高温水素は、動作圧力で、水蒸気の凝結温度よりも少なくとも20℃高い温度で、熱交換器(21)を第5キャパシテ(155)に連結する高温水素管(63)を介して熱交換器(21)から流出する。管(63)を介して第5キャパシテ(155)内に導かれる高温水素は、再生工程後にキャパシテ内に残る水蒸気を排出することを可能にする。この水蒸気は、水素と混合して一部が管(10)を介して水蒸気改質炉のバーナに向けて、一部が管(80)を介してガスタービン(16)に向けて送られる。本発明の変形例によると、管(62)内を流通する水素の一部は、第6キャパシテ(156)の出口で採取され得、冷却水または空気を用いて熱交換器によって冷却され得、圧縮機によって圧縮され得る。このようにして、高純度の水素の流れが、例えば外部装置に向けて外部ユーザに送られる。管(62)の水素の残りの部分は、交換器(21)によって加熱された後に、第5キャパシテ(155)を洗浄し、第5キャパシテ(155)をガスタービン(16)に連結する管(70)を介して再流出し、次に、希釈水蒸気(17)と混合され、交換器(21)によって冷却され、管(10)を介して水蒸気改質炉(11)に向けて燃料として送られる。
【0051】
第4キャパシテ(154)は、水蒸気管(2)を介して導かれた水蒸気によって洗浄される。メタンおよびCOを装入した水蒸気は、第3キャパシテ(153)を熱交換器(20)に連結する管(91)を介して第4キャパシテ(154)から排出され、管(1)を介して到達する天然ガスとの交換によって、この第2熱交換器(20)内で僅かに冷却され、次に第3キャパシテ(153)から来る天然ガスと混合され、次に水蒸気改質供給原料の管(90)を介して、水蒸気改質装置(11)に向けて送られる。
【0052】
第3キャパシテ(153)は、最初に約3.5MPaである天然ガスの圧力に戻され、次に管(91)を介して導かれる水蒸気との交換による予熱後に、管(1)を介して到達する高温(250〜350℃)の天然ガスによる洗浄によって徐々に再加熱される。
【0053】
本発明は、除圧管(1001)を用いて先行工程中に、第2キャパシテ(152)を除圧することからなる。管(1001)内を流通する水素は、次に水蒸気改質装置(11)に必要なエネルギーをもたらすことに役立つ炉の中圧および/または低圧バーナに向けて送られる。このシーケンスを、吸着圧力およびバーナの圧力の間の中間圧力で実行すると、吸着剤床中に存在する水素を主に排出することが可能である。このシーケンスの際に、メタン、エタン、少量のCOおよび水蒸気のような他の成分の一部が、同様に抽出され、この流れ中の10モル%未満に相当する。軽質炭化水素は、分圧の変更に応じて、各キャパシテ内の吸着剤細粒の間に封入されたガスおよびメタンのようなガスの部分脱着に同時に由来する。
【0054】
管(1001)内を流通する水素は、水蒸気改質装置(11)に必要なエネルギーをもたらすことに役立つ炉の中圧および/または低圧バーナに向けて、吸着体の洗浄の後に得られた、再生されかつ管(70)内を流通する水蒸気で飽和した高温水素の流れの一部と混合して同様に送られ得る。
【0055】
図4は、キャパシテまたは吸着体の一つ、例えば、第1キャパシテ(151)を示し、活性炭であってもよい吸着性物質を含有する。それぞれ精製する水素、天然ガス、水蒸気、高温かつ高純度の水素および高純度かつ低温の水素を導く管(60、1、2、63および61)は、各回路を隔離することを可能にする弁によってキャパシテに接続される。高純度かつ低温の水素、除圧工程から生じた水素、水蒸気改質装置に向けたメタン、水蒸気改質装置に向けた水蒸気、水蒸気が飽和した高純度の水素、および高純度の水素をそれぞれ排出する管(61、1001、90、91、70および62)は、隔離弁によって同様にキャパシテに接続される。
【0056】
この図で、簡略化する目的で、キャパシテ上方の全ての入口および下方の全ての出口の到達を表したが、これは、可能性の1つに過ぎず、本発明から逸脱することなく、他のあらゆる配置が可能である。
【0057】
図5は、設備の連続的な動作を可能にする6個の並列のキャパシテまたは吸着体(151、152、153、154、155および156)の配列を表す。同様にこの場合において、種々の数のキャパシタが、本発明の枠から逸脱することなく、明らかに可能であるが、本発明の詳細を簡単に説明できるよう、6個に限った。
【0058】
吸着サイクルの第1の動作段階の際に、第1キャパシテ(151)は、管(60)を介して低温かつ低純度の水素を受け、吸着剤上に種々の不純物を保持し、高純度の水素が、管(61)を介して再び出る。第2キャパシテ(152)は、除圧される。第3キャパシテ(153)は、回路から取り出され、再生を開始する。第1の時期において、管(1)を介して到達する高温メタンによる加圧があり、次に吸着剤は、250〜350℃の温度までメタンによって加熱され、そこで次に再生のために使用される水蒸気は、凝結する危険がない(約225℃で2.5MPa、約245℃で3.5MPaの水の蒸気圧)。吸着剤の出口のメタンは、水蒸気改質装置に向けて管(90)を介して送られる。
【0059】
この第1段階中、第4キャパシタ(154)が再生中である:過熱水蒸気が、管(2)を介して供給され、吸着剤上に存在するメタン、COおよびCOの脱着を可能にする。水蒸気、メタンおよび不純物の混合物は、第3キャパシテ(153)から来るメタンと混合して、管(91)を介して水蒸気改質装置に戻される。
【0060】
第5キャパシテ(155)は、管(63)を介して導かれかつ管(70)を介して戻される高純度かつ高温の水素の流通のために、水蒸気のパージ中である。第6キャパシテ(156)は、導管(61)によって導かれる高純度かつ低温の水素のために冷却中であり、高純度の水素は、管(62)を介して戻される。
【0061】
次の段階の際に、第1キャパシテ(151)は、除圧される。第2キャパシテ(152)は、加圧および加熱に移り、第3キャパシテ(153)は、再生中であり、第4キャパシテ(154)は、パージ中であり、第5キャパシテ(155)は、冷却中であり、第6キャパシテ(156)は、精製する水素に対してライン上にある。
【0062】
第3動作段階の際に、第1キャパシテ(151)は、加圧および加熱に移り、第2キャパシテ(152)は、再生中であり、第3キャパシテ(153)は、パージ中であり、第4キャパシテ(154)は、冷却中であり、第5キャパシテ(155)は、水素精製中であり、第6キャパシテ(156)は、除圧される。
【0063】
第4の動作段階の際に、第1キャパシテ(151)は、再生中であり、第2キャパシテ(152)は、パージに移り、第3キャパシテ(153)は、冷却中であり、第4キャパシテ(154)は、水素精製中であり、第5キャパシテ(155)は、除圧中であり、第6キャパシテ(156)は、メタンにより加圧および加熱中である。
【0064】
第5の動作段階の際に、第1キャパシテ(151)は、パージ中であり、第2キャパシテ(152)は、冷却中であり、第3キャパシテ(153)は、水素精製中であり、第4キャパシテ(154)は、除圧中であり、第5キャパシテ(155)は、メタンにより加圧および加熱中であり、第6キャパシテ(156)は、水蒸気の流通により再生に移る。
【0065】
第6段階の際に、第1キャパシテ(151)は、冷却中であり、第2キャパシテ(152)は、水素精製中であり、第3キャパシテ(153)は、除圧中であり、第4キャパシテ(154)は、メタンにより加圧および加熱中であり、第5キャパシテ(155)は、水蒸気の流通により再生に移り、第6キャパシテ(156)は、パージ中である。
【0066】
完全なサイクルが達成され、次の段階は、第1段階と同様である。
【0067】
方法中の操作条件並びに様々な流れの組成は、例えば3.3MPaで機能する水蒸気改質の場合において、下記表1に要約される。
【0068】
【表1】

【0069】
従って、本発明の対象である方法は、(アミン洗浄から流出する)水素に富む流れ中に存在する不純物(CH、CO、CO)を捕捉し、かつ水蒸気改質供給原料による加圧下で、それらを戻すことを可能にする。以下に記載するように要約することができる。
【0070】
循環的であるこの方法は、複数のキャパシテを使用し、かつ次の連続した工程を少なくとも含む:
− 工程1:キャパシテの吸着剤による、水素に富んだ流れ中のメタン、COおよびCOの吸着。この工程は、20〜100℃、好ましくは40〜80℃、非常に好ましくは30〜70℃の低温で進展し、圧力は、1〜10MPa、好ましくは2〜8MPa、非常に好ましくは1.5〜4MPaである。ガス速度は、0.5〜20m/分、好ましくは1〜10m/分である。吸着段階の時間は、1〜60分、好ましくは1〜30分、好ましくは1〜15分である。水素は、この工程から高純度に流出する。吸着剤は、例えば活性炭であっても良い。この工程は、好ましくは、上部に位置する仕上げ吸着剤が濡れる危険性を抑えるために、下方から上方(アップフロー:上昇流)に機能して行われる。このことにより、吸着体底部での重力によって必要な場合に水の排出を可能にすることができる。
【0071】
− 工程2:吸着剤が飽和した時のキャパシテの除圧。この減圧または除圧段階は、0.2〜1.4MPa、好ましくは0.4〜1MPaの低圧まで行われる。除圧は、0.05〜2MPa/分、好ましくは0.1〜1MPa/分、非常に好ましくは0.2〜0.5MPa/分の速度で行われる。キャパシテは、次に回路から隔離され、他のキャパシテが投入される。この工程の温度は、20〜100℃、好ましくは20〜80℃である。この工程は、水蒸気改質装置内で燃やされる水素の流れを生じさせる。水素の流れは、再生された吸着剤の洗浄後に得られる、高温でありかつ水蒸気で飽和した水素の流れの一部と混合して同様に送られ得、水蒸気改質装置内で燃やされる。
【0072】
− 工程3:先行工程において隔離されたキャパシテは、次に、方法の供給原料(天然ガス)により圧力および温度の再上昇が行われる。この供給原料は、装置の限界圧力で利用可能であり、一般的に、水蒸気改質装置内で150℃付近に予熱される。天然ガスは、水蒸気との交換によって300℃付近に加熱され、その後に、吸着剤床に送られる。キャパシテ内の天然ガスの流通は、作動圧力(3.5MPaで255℃)で、水蒸気の凝結温度より少なくとも20℃高い温度まで吸着剤床並びに壁の再加熱を可能にし、これにより、後続工程の際のあらゆる凝結の危険性が回避される。圧力の変動は、精製する水素の圧力および利用可能な過熱水蒸気の圧力の間に存在する変動である。再圧縮は、0.05〜4MPa/分、好ましくは0.1〜1MPa/分、好ましくは0.2〜0.5MPa/分の速度で行われる。
【0073】
− 工程4:再加熱されたキャパシテの吸着剤は、次に水蒸気改質の入口で使用される蒸気の流通によって再生される。蒸気は、吸着剤の不純物(主にCH)の脱着を可能にし、それらを水蒸気改質反応器内に戻す。キャパシテの出口の水蒸気は、交換器内に送られ、予熱のための天然ガスを再加熱する。圧力は、1〜10MPa、好ましくは2〜8MPa、非常に好ましくは1.5〜4MPaであり、温度は、20〜400℃、好ましくは50〜300℃である。ガス速度は、0.5〜20m/分、好ましくは1〜10m/分である。脱着段階の時間は、1〜180分、好ましくは1〜30分、好ましくは1〜15分である。脱着段階の時間は、吸着体出口の蒸気の温度が、考慮される圧力で、水蒸気の露点温度よりも5℃高いように選択され得る。このように実行して、吸着剤のメソ細孔中で水が凝結する危険性が強力に抑えられる。
【0074】
− 工程5:キャパシテは、次に隔離され、次に高純度かつ高温の水素によって洗浄され、キャパシテ内になおも存在する蒸気が取り除かれる。高温でありかつ水蒸気で飽和した水素は次に、一部が水蒸気改質炉のバーナに向けて送られ、水蒸気改質装置によって燃やされ、残り部分は、希釈水蒸気と混合されて、ガスタービンに向けて送られ、電気を生じさせる。すなわち、実際のタービンは、高純度の水素に対して機能することができないが、当業者によれば、50%の水素および水蒸気を有する混合物による何らかの調整によって機能することができる。圧力は、1〜10MPa、好ましくは2〜8MPaであり、温度は、20〜400℃、好ましくは50〜300℃である。ガス速度は、0.5〜20m/分、好ましくは1〜10m/分である。このパージ段階の時間は、1〜180分、好ましくは1〜30分、好ましくは1〜15分である。このパージ段階の時間は、例えば吸着体の1〜100容積、好ましくは吸着体の2〜50容積のガス体積により吸着体を洗浄するように選択され得る。
【0075】
− 工程6:キャパシテは、高純度かつ低温の水素洗浄によって冷却される。キャパシテ出口で再加熱された水素は、希釈蒸気との交換によって更に再加熱された後、工程5に向けて戻される。圧力は、1〜10MPa、好ましくは2〜8MPaであり、温度は、20〜200℃、好ましくは50〜100℃である。ガス速度は、0.5〜20m/分、好ましくは1〜10m/分である。吸着剤の冷却段階の時間は、1〜180分、好ましくは1〜30分、好ましくは1〜15分である。この工程で使用されるガスは、例えば工程1の際に生じた精製水素の全部または一部であっても良い。
【0076】
前述の吸着装置のサイクルにおける中間圧力での減圧または除圧の段階の追加は、次のことを可能にする:
・減圧段階の際に収集される水素が中圧および/または低圧バーナに向けて送られるので、再循環させられる水素の流量を最小限に抑えること。この構成は、予備燃焼中のCO捕捉装置によって機能する従来の蒸気改質に対応する使用を含み得る。この場合に水素の流れは、反応に必要なエネルギーをもたらすことに役立つ炉のバーナに供給することができる。この流れは、好ましくは二酸化炭素の放出を抑えるために生じさせられた水素によって補完され得る。更に、再循環流量の減少により、水蒸気改質装置、蒸気転化装置およびアミン装置のような設備の寸法を減少させることができるようになり、水素への転化率を改善することができる。
【0077】
・満足のいくメタンの再循環流量を維持し、順方向で、水蒸気改質の平衡反応を促進することを可能にすること。
【0078】
・装置の全体的な正味収率を増加させること。
【0079】
・90%を超えるCOの回避率を得ること
・同じタービン寸法を保ちながら供給原料の天然ガスの流量を0.8%減少させること。
【0080】
図6は、「水素発生システム(Hydrogen Generation System)」、すなわち水素を製造するシステムを意味するHyGenSys(登録商標)法を使用した、水蒸気改質装置(11)の実施例を詳しく説明する。予備燃焼中のCO捕捉に適した天然ガスから水素および電気を同時に生じさせる方法のバージョンがここでは問題になっている。
【0081】
この方法の原理は、FR 2 852 358に記載された。HyGenSys(登録商標)は、ガスタービンおよび天然ガス蒸気で改質する小型反応器−交換器を結び付ける方法である。方法の特殊性は、天然ガスの改質の吸熱性が非常に高い反応に熱がもたらされる方法に結び付けられる。方法は、次の事項を特徴とする:
・ 反応器−交換器を加熱するための交流発電機のないターボ圧縮機から生じた圧力の高温煙の使用;
・ HyGenSys(登録商標)反応器−交換器に関して高度な熱統合を有する小型技術;
・電気を生じさせるHyGenSys(登録商標)反応器の下流の交流発電機に連結された膨張タービン(回収エキスパンダ)。
【0082】
予熱された混合物(脱硫天然ガス+蒸気)は、管(90)を介して反応器−交換器(206)内に導入される。反応器−交換器(206)は、管(30)による合成ガスの生成を引き起こす蒸気改質反応を行うことを可能にする。熱は、ガスタービンによる共発生(cogeneration)装置から生じた高温ガスによってもたらされる。本方法は、管(201)を介して圧縮セクション(202)内に導入される空気の圧縮工程と、圧縮空気および水素に富む混合物の間で加圧下(例えば1.8MPa)、燃焼室(203)内での第1燃焼工程とを含む。管(10)に由来する水素に富む混合物は、例えば水蒸気(21)によって50体積%に希釈される。空気による燃焼工程の後、混合物は、次に圧縮機と同じ軸に連結されたタービンから構成される膨張セクション(204)内で膨張させられる。タービンの膨張は、圧縮機に必要な力を供給し、タービン出口の圧力は、0.5MPa程度であり、装置(204)の出口のガス装置(205)内で燃焼が行われ、図3の場合における管(10)からまたは図6の場合における管(1002)の水素に富むガスを場合により添加する管(1001)から生じた水素に富むガスと混合される。水素に富む混合物の流量は、この燃焼室の出口で1260℃程度の温度を得るように調整される。得られた高温の煙は、反応器−交換器(206)に必要な熱をもたらす。セクション(206)の出口で冷却された煙は、燃焼室(207)内で、管(10)から来る管(1002)の水素に富むガスの場合による添加を伴う管(1001)に由来する濃厚な水素の流れの添加によって改めて再加熱される(図2)。管(1001)内を流通する水素は、低圧または中圧の水素であり、幾つかのバーナマニホルドに供給するために、管(1002)を介して管(10)により伝達される水素補給を利用することが興味深くあり得る。その上、HyGenSys(登録商標)法を使用する場合に、燃焼室(205、207)に供給するために、管(1001)か、管(1001)および(1002)を使用することが可能である(図6)。
【0083】
煙は、膨張タービン(208)内に送られ、交流発電機(209)を介して電気の形態で膨張エネルギーが回収される。
【0084】
HyGenSys(登録商標)法は、その封鎖(sequestration)のために、CO捕捉を容易にすることも可能にする。
【0085】
この選択肢が保持される時、生じた水素の一部は、反応器−交換器の上流および下流のタービンおよび燃焼室に供給する燃料と同じように、水蒸気と混合して使用される。
【0086】
以下に続く実施例は、本発明の特定の適用を例証する。
【0087】
(実施例)
実施例1および2は、HyGenSys(登録商標)技術の使用に基づく。
【0088】
実施例1および2は、組み合わせサイクルから490MW程度の電気を生じさせる。これらの単回(semples)で使用される装置には次のものを含む:
− 4つの反応器−交換器、
− 4つの高温ガスの発電機:水素に富む混合物による機能のために改変されたSGT-700タイプのタービンに基づく。この機能の場合に、空気圧縮機と中間圧力膨張タービンとの間に位置する単一の軸が使用される。膨張の作業により、圧縮機の機能に必要なエネルギーを提供することが可能になる。
【0089】
− Dresser-Rand(E-248)タイプの4つの膨張タービン
− SGT5-4000タイプの1つの主タービン。
【0090】
実施例1および2は、導入される天然ガスの流量、および回収される電力の軽度の変動を引き起こす同じタービンによって実行される。
【0091】
(実施例1:従来技術に合致)
HyGenSys(登録商標)技術を使用して、組み合わされたサイクル(ガスタービン+蒸気タービンおよび蒸気生成によるタービン出口の煙に対する熱回収)を用いて485MWの発電を望む。
【0092】
次のモル組成の7MPaおよび10℃での天然ガスを使用する:
− CH: 91%
− C: 6%
− C: 1%
− CO: 2%。
【0093】
蒸気改質、蒸気転化および活性MDEAでの吸収工程の後、生じたガスは、2.65MPa、57℃であり、そのモル組成は、次の通りである:
− H: 92.8%
− CH: 5.62%
− CO: 0.95%
− CO: 0.01%
− HO: 0.62%。
【0094】
もはや飽和状態になく、吸着剤上での水のあらゆる凝結を回避するために、5℃過熱にされた。
【0095】
タービンに供給する水素の全流量は、中間パージ工程なしで、469190Nm/hである。
【0096】
再循環させられる高純度の水素の流量は、22430Nm/hである。
【0097】
蒸気改質反応に必要な熱は、反応器−交換器内で燃焼煙によって供給される。
【0098】
天然ガスの流量は、114800Nm/hである。
【0099】
蒸気改質のための蒸気流量は、422730Nm/hである。
【0100】
希釈蒸気流量は、308100Nm/hである。
【0101】
吸着装置は、並列の4個の吸着装置から構成され、各々が5個のキャパシテを含む。
【0102】
全体的性能の点で、全体的エネルギー収率は、40.6%である。
【0103】
CO捕捉率は、その場合98.1%である。
【0104】
(実施例2:本発明に合致する)
HyGenSys(登録商標)技術を使用して、組み合わせサイクル(ガスタービン+蒸気生成および蒸気タービンによるタービン出口の煙に対する熱回収)を用いて490MWの発電を望む。
【0105】
次のモル組成の7MPaおよび10℃での天然ガスを使用する:
− CH: 91%
− C: 6%
− C: 1%
− CO: 2%。
【0106】
本発明により実行して、蒸気改質、蒸気転化および活性MDEAでの吸収の後、生じたガスは、2.65MPa、57℃であり、本発明によるモル組成は、次の通りである:
− H: 94.3%
− CH: 3.92%
− CO: 1.14%
− CO: 0.01%
− HO: 0.63%
もはや飽和状態になく、吸着剤上での水のあらゆる凝結を回避するために、5℃過熱にされた。
【0107】
タービンに供給する水素の全流量は、431690Nm/hであり、すなわち(比較例に対して)8%減少であり、その内26760Nm/hが、本発明に記載された中間パージ工程に由来する。
【0108】
再循環させられる高純度の水素の流量は、9610Nm/hであり、すなわち(比較例に対して)57%減少である。
【0109】
蒸気改質反応に必要な熱は、反応器−交換器内で燃焼煙によって供給される。
【0110】
天然ガスの流量は、113930Nm/hである(比較例に対して0.8%減少)。
【0111】
蒸気改質のための蒸気流量は、400990Nm/hである。
【0112】
希釈蒸気流量は、302190Nm/hである。
【0113】
使用された吸着装置は、並列の4個の吸着装置(15)から構成され、各々が6個のキャパシテを含む。
【0114】
全体的性能の点で、全体的エネルギー収率は、41.4%である。
【0115】
CO捕捉率は、93.5%であり、この値は、90%の目標よりも高い。
【0116】
吸着装置内での減圧段階を有する本発明による方法の使用は、このようにして従来技術による方法の使用に対して2%の利得を可能にする。
【0117】
本発明は、以上に与えられた詳細な説明に限定されるべきでなく、本発明の適用範囲を逸脱することなく、多数の他の特定の形態での実施態様を可能にする。従って、本実施態様は、例示として考えられるべきであり、請求の範囲の請求項によって定義された範囲から逸脱することなく改変され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素供給原料および水蒸気から水素を製造する方法であって、
− 前記水蒸気の存在下、前記炭化水素供給原料の水蒸気改質装置において合成ガスを生じさせ、燃料が反応に必要な熱をもたらす工程と、
− 先行工程で得られた前記合成ガスを蒸気に転化し、メタンおよび二酸化炭素を含有する水素の流れを生じさせる工程と、
− 前記蒸気転化工程から得られた前記流れ中に存在する二酸化炭素を捕捉し、前記水素の流れから二酸化炭素を分離することを可能にする工程と、
− 前記水素の流れ中に存在する不純物を捕捉し、水蒸気改質に向けて再循環させる工程であって、0.2〜1.4MPaの圧力で行われる減圧段階を含む、工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記不純物の捕捉および再循環の工程は、少なくとも2つの吸着剤を含む吸着装置内で行われ、かつ次の連続した段階:
− 第1吸着剤による不純物の吸着、
− 第1吸着体の減圧および再生、
− 第2吸着剤による不純物の吸着
を少なくとも含む、請求項1に記載の水素製造方法。
【請求項3】
減圧段階は、20〜100℃の温度で行われる、請求項1または2に記載の水素製造方法。
【請求項4】
減圧段階は、0.05〜2MPa/分の速度で行われる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項5】
減圧段階は、水蒸気改質装置内で燃やされる水素の流れを生じさせる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項6】
吸着体の減圧および再生段階は、次の:
− 前記第1吸着体の隔離および前記第2吸着体の投入、
− 第1吸着体の減圧、再圧縮、および、炭化水素供給原料の流れによる第1吸着体の洗浄、ここで、該炭化水素原料の流れは、水蒸気改質装置への供給原料に供することを目的とし、かつ、水蒸気改質装置を同様に目的とする水蒸気との交換により水蒸気の凝結温度より少なくとも20℃高い温度に加熱される、
− 水蒸気改質装置に向けられる少なくとも20℃過熱された水蒸気の循環による、再加熱された吸着体の再生および不純物の脱着、
− 高純度かつ高温の水素の流れによる吸着体の洗浄によって再生される吸着体内に存在する水蒸気の除去、
− 高純度かつ低温の水素の流れによる水蒸気から取り除かれた吸着体の洗浄
により行われる、請求項2〜5のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項7】
減圧段階は、再生される吸着体の洗浄後に得られた、高温でありかつ水蒸気で飽和した水素の流れの一部と混合して送られる水素の流れを生じさせ、水蒸気改質装置内で燃やされる、請求項6に記載の水素製造方法。
【請求項8】
水蒸気の除去の結果、高温であり、かつ、得られた水蒸気で飽和した水素の流れの一部が送られ、改質装置内で燃やされ、流れの他の部分が、希釈水蒸気と混合してガスタービンに向けて送られ、電気を生じさせる、請求項6または7に記載の水素製造方法。
【請求項9】
水蒸気の除去の結果、再生された吸着体の洗浄後に得られた水素の流れの一部は、外部装置に向けて送られ、他方で水素の残りの部分は、高温洗浄に使用され、次に前記改質装置のバーナに向けて送られる、請求項6または7に記載の水素製造方法。
【請求項10】
低温水素による洗浄の結果、吸着体の冷却段階後に得られた、再加熱された水素の流れが、水蒸気との交換によって改めて再加熱され、前記吸着体内に存在する水蒸気の除去段階において使用される、請求項6〜9のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項11】
炭化水素供給原料は、天然ガスである、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項12】
吸着される前記不純物は、メタン、二酸化炭素および一酸化炭素である、請求項1〜11のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項13】
合成ガスの生成工程は、2.5〜3.5MPaの圧力で行われる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の水素製造方法。
【請求項14】
二酸化炭素の捕捉工程は、メチルジエチルアミンおよび少なくとも1種の他のアミンを使用するアミン装置において行われる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の水素製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−25655(P2012−25655A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161738(P2011−161738)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】