説明

乗り物酔い軽減装置

【課題】 乗り物酔いを軽減することのできる乗り物酔い軽減装置を提供する。
【解決手段】 乗り物の乗員の状態を検出する乗員状態検出部1と、乗員状態検出部1によって検出された乗員の状態が乗り物酔い状態であるか否かを判断する判断部2と、つぼの位置情報にしたがって前記乗員のつぼの位置を検出するつぼ検出部3と、判断部2によって前記乗員の状態が乗り物酔いによる状態であると判断されたとき、前記乗員のつぼを刺激することにより、前記乗員に対する乗り物酔い対策を施す対策部4とを備えることにより、乗員の体調の変化を早期に発見してつぼを刺激して、乗り物酔いを軽減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物酔いを軽減する乗り物酔い軽減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種情報の表示を行うディスプレイを搭載した車両が増えている。特に自車位置を中心として地図を表示するナビゲーション装置用のディスプレイを搭載した車両が増えている。また、助手席、後席用に、TV、VTR、DVD、ムービー、ゲーム等の映像を表示するディスプレイを搭載した車両も増えている。
【0003】
一方、自動車などの車内では、乗り物のエンジン、その他の駆動機構により、さらには、操舵走行中の道路地形、うねり、路面状況、縁石など乗り物外から自動車のシャーシが受ける振動、揺動、衝撃などによる振動が存在しており、さらには、自動車の加速やブレーキによる振動や揺れも存在している。
【0004】
このように乗り物に乗るなど新しい運動環境に人間が置かれた場合、実際の感覚情報パターンと、中枢神経内に蓄積されている感覚情報パターンとが異なり、中枢神経は自分自身の位置や運動が把握できず混乱してしまう(感覚混乱)。この場合、中枢神経内で新しい感覚情報パターンの認識が起こるが、この適応過程において動揺病(乗り物酔い)が発症すると考えられている。特に自動車に乗って本を読む場合は、視線は固定しており、これにより視覚情報は自動車の運動による前庭情報や体性感覚情報と一致しないため、乗り物酔いが発生するとされている。視覚と前庭の感覚混乱を避けるために、乗り物の中では、目を閉じているか、遠くの方を見るようにすると良いと言われている。またドライバーが乗客より酔いにくいのは、運転に伴う緊張と、車両の動きを予測して最も加速度変化の少ない頭の位置を能動的に取るからだと、言われている。
【0005】
このような動揺病対策として、抗ヒスタミン薬などの抗動揺病薬で酔いを防止・軽減することが行われている。
【0006】
また、ヘッドレストを遥動可能にし、車両の旋回走行時に旋回状態に応じて乗員の頭部を遥動するようにする頭部位置調整手段を設けたものもある。
【0007】
さらに、低周波を利用した低周波治療器がある。このものは、人体の呼吸リズムに対応したパルスを発生する低周波パルス発生器と、該発生器の出力電極とを備える腕時計状の低周波治療器であり、低周波治療器の全体が、人体の一部に着脱自在に装着されるものである(例えば特許文献1参照)。
【0008】
また、東洋医学において体内をエネルギーが循環する道筋のことを経絡と呼び、この経絡上にある特殊な反応点で、病気が発生したときに特に反応が強い点が経穴(つぼ)と呼ばれている。経穴(つぼ)を刺激することで身体の代謝が活性化されて身体の治癒能力が高められることにより、筋肉、関節、内臓の病気などの治療として効果があると言われていて、手段としては指圧、鍼、灸などがある。
【特許文献1】特開平11−164894号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような薬による動揺病の対策手段においては、眠気を催すなど、副作用が懸念されるという問題があった。
【0010】
また、従来のヘッドレストによる動揺病対策は、揺れを完全には防止できないという問題があった。
【0011】
また、携帯用低周波治療器は、つぼの付近を低周波によって刺激して乗り物酔いを解決するものであるが、正確なつぼの位置を刺激すること、つぼを刺激するためのリストバンドをいつ付けるべきなのか判断することが困難なものである。
【0012】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、的確に乗り物酔いを軽減することができる乗り物酔い軽減装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の乗り物酔い軽減装置は、乗り物の乗員の状態を検出する乗員状態検出手段と、前記乗員状態検出手段によって検出された乗員の状態が乗り物酔い状態であるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記乗員の状態が乗り物酔いによる状態であると判断されたとき、前記乗員のつぼを刺激することにより、前記乗員に対する乗り物酔い対策を施す対策手段とを備えたことを特徴とした構成を有している。
【0014】
この構成により、乗員の体調の変化を早期に発見してつぼを刺激するので、乗り物酔いの症状が軽いうちに容易に乗り物酔いを軽減することができる。
【0015】
また、本発明の乗り物酔い軽減装置は、つぼの位置情報にしたがって前記乗員のつぼの位置を検出するつぼ検出手段を備え、前記対策手段は、前記つぼ検出手段によって検出されたつぼに刺激を与えることを特徴とした構成を有している。
【0016】
この構成により、つぼの位置を検出してつぼに刺激を与えるので、より正確なつぼの位置を特定できて的確につぼを刺激することができ、乗り物酔いを軽減することができる。
【0017】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記つぼ検出手段は、前記乗員の身体の一部に通電を行って電流の変化にしたがって前記つぼを検出することを特徴とした構成を有している。
【0018】
この構成により、電流の変化からつぼの位置を特定するので、つぼ以外の場所よりつぼの位置の方が抵抗は下がるという特徴を利用して、つぼの位置を正確に検出することができる。
【0019】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記対策手段の対策対象が検出されないとき警告を行う警告手段を備え、前記判断手段は、前記乗員が乗り物酔い状態であると判断し、前記対策手段のつぼ刺激先に前記乗員の身体が検出できないとき、前記警告手段に警告を行わせることを特徴とした構成を有している。
【0020】
この構成により、乗り物酔い対策を施すときに、手や腕が対策装置上になければ警告を発し、乗員に知らせるので、乗り物酔い対策を確実に行うことができる。
【0021】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記対策手段は、内関のつぼ、手心のつぼ、神門のつぼ、労宮のつぼ、三陰交のつぼ、天柱のつぼのいずれか1つ以上を刺激することを特徴とした構成を有している。
【0022】
この構成により、乗り物酔いに効くつぼ、精神を安定させるためのつぼを刺激することができ、乗り物酔いを軽減することができる。
【0023】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記判断手段は、前記乗員の乗り物酔いの度合いを判断し、前記対策手段は、前記判断手段に判断された乗員の乗り物酔いの度合いに応じて刺激の強さを制御することを特徴とした構成を有している。
【0024】
この構成により、乗り物酔いの度合いに応じた刺激を与えることができ、効果的に乗り物酔いを軽減することができる。
【0025】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、つぼを刺激する刺激強度を入力させる刺激強度入力手段を備え、前記対策手段は、前記刺激強度入力手段に入力された刺激強度にしたがってつぼを刺激する強さを制御することを特徴とした構成を有している。
【0026】
この構成により、乗員が自分に適した刺激の強さで対策を施すことができる。
【0027】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記対策手段によるつぼ刺激の実行の有無を切り換える刺激有無切り換え手段を備えたことを特徴とした構成を有している。
【0028】
この構成により、対策が不要なときに対策制御を行わないようすることができ、使い勝手の良い装置を実現することができる。
【0029】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記乗員の状態の履歴を格納する乗員状態履歴格納手段を備え、前記判断手段は、前記乗員状態履歴格納手段に格納された情報に基づいて、前記乗員の状態を判断することを特徴とした構成を有している。
【0030】
この構成により、過去の乗員の状態に基づいて乗り物酔いの状態を判断するので、乗員の特徴に適した状態判断ができ、適切に乗り物酔い状態を把握することができる。
【0031】
さらに、本発明の乗り物酔い軽減装置は、前記対策手段による対策の履歴を格納する対策履歴格納手段を備え、前記対策手段は、前記対策履歴格納手段に格納された情報に基づいて、前記乗り物酔い対策を行うことを特徴とした構成を有している。
【0032】
この構成により、過去の対策方法に基づいて新たな乗り物酔い対策を行うので、より効果的な対策を行うことができ、乗り物酔いの軽減を行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、乗員の状態を検出する乗員状態検出手段と、前記乗員の状態が乗り物酔い状態であるか否かを判断する判断手段と、前記乗員の状態が乗り物酔いによる状態であると判断されたとき、前記乗員のつぼを刺激し、乗り物酔い対策を施す対策手段とを設けることにより、乗員の体調の変化を早期に発見してつぼを刺激するので、乗り物酔いの症状が軽いうちに容易に乗り物酔いを軽減することができるという効果を有する乗り物酔い軽減装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態の乗り物酔い軽減装置について、図面を用いて説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図を図1に示し、説明する。
【0036】
図1において、乗り物酔い軽減装置10は、乗員の状態を検出する乗員状態検出部1(乗員状態検出手段)と、乗り物酔いの判断およびつぼの位置の判断を行う判断部2(判断手段)と、つぼの位置を検出するつぼ検出部3(つぼ検出手段)と、乗員に対する乗り物酔い対策措置としてつぼに刺激を与える対策部4(対策手段)を有している。
【0037】
乗員状態検出部1は、乗り物の乗員の状態を検出するものであり、乗り物内の乗員の周辺に設置したカメラ、センサを用いて乗員の顔色、瞬き、心拍数、体温、呼吸、発汗のいずれか1つ以上を検出するものである。例えば、図2に示すように、乗員11が座っているシートに埋め込まれているセンサ12、乗り物の天井14に設置されているカメラ15、不快を感じたときに乗員自身が押下するスイッチ16等によるものである。なお、センサ12、カメラ15、スイッチ16は、設置に限定されることはなく、乗り物に埋め込まれていてもよい。
【0038】
判断部2は、乗り物酔い判断部とつぼ判断部を有している。乗り物酔い判断部は、乗員状態検出部1から得た情報を、規定値として設定されている閾値と比較して、乗員の乗り物酔いを判断するようになっており、CPUなどのコンピュータから構成されている。また、乗員が乗り物酔い状態にあると判断した場合には、対策措置を施すことを決定してその情報をつぼ検出部3へ送信する。
【0039】
例えば、体温がセンサ12によって検出されて閾値以上、または閾値以下になった場合に、乗り物酔い状態にあると判断するようになっている。なお、複数の閾値を設けて比較することで乗員の乗り物酔い状態を段階的に判断してもよい。
【0040】
判断部2のつぼ判断部は、つぼ検出部3からの情報と、判断部2が持っているつぼの位置データからつぼのある位置を判断し、検出したつぼの位置データを対策部4へ送る。
【0041】
つぼ検出部3は、判断部2に含まれる乗り物酔い判断部からの乗り物酔いと判断されたデータによりつぼ検出を開始し、腕、手のひらなどの認識、電極間の電流の大きさなどからつぼの位置データを判断部2に送る。
【0042】
具体的には、図2に示すようにつぼ検出部3である乗り物に設置したカメラ15によって対策装置13の上に置かれた指先から手首の周辺までの画像を取り込んで手の指、手首のそれぞれを認識し、判断部2が持っている腕や手の指などの部分からつぼまでの距離データをもとに大まかなつぼの位置を検出する。さらに、つぼ検出部3により指、手首周辺に電流を発生させ、人間の体を通して電極間に流れる電流の大きさから、電流が大きくなったポイントを手の平周辺、首周辺のつぼの位置として検出する。検出した双方のデータを利用してつぼの位置データを導き出して対策部4で刺激するつぼの位置として確定する。
【0043】
ここで、つぼは、刺激することで身体の代謝が活性化されて身体の治癒能力が高められることにより、筋肉、関節、内臓の病気などの治療として効果があると言われている。乗り物酔いに効くつぼと言われているものとして、内関、労宮(参照、http://www.happy-netclub.com/html/real/y/2/4/y0204011.html)、神門、手心、三陰交、天柱(参照、http://www.kenko.gr.jp/tsubo/tsubo-12.htm)というつぼがある。
【0044】
これらの乗り物酔いに効くつぼについて説明する。内関18といわれるつぼは、手の平側の手首の中央で手首のしわから指2本分下がった位置のつぼであり、ストレスを鎮めるともいわれる神門19といわれるつぼは、手の平側の手首の小指寄りにあるつぼであり、自律神経の活性化などに効果があるともいわれる労宮22といわれるつぼは、手のひらの中央にあり、指を握った時に中指の先が当たる場所のつぼであり、手心21といわれるつぼは、手の平の中心にあるつぼである。また、三陰交といわれるつぼは、内側のくるぶしから、指4本分上にあるつぼであり、天柱といわれるつぼは、うなじの中央の髪の生えぎわから、指1本分上のくぼみの、さらに左右に指3本分ずらした位置にあるつぼである。
【0045】
つぼの検出に利用する位置データは判断部2が持っており、内関18の場合、手首から指2本分下というデータが格納されている。なお、指の太さは個人によって違うので、認識された指の太さから判断部2に格納されている指何本分かのデータを利用して位置データとしてもよい。
【0046】
つぼの認識の一例を図3に示す。画像より手、腕の形が認識され、その中から判断部2のつぼの位置データにより塗りつぶされた概略範囲23から概略範囲26のような大きな範囲のつぼの位置データを確定する。そして、例えば、概略範囲25内の数カ所に電極28を接触させて電極27との間の電流が大きくなったポイントを判断部2により判断し、詳細な位置、神門19を確定する。同様にして、概略範囲23、概略範囲24、概略範囲26から、それぞれのつぼの位置、労宮22、手心21、内関18を確定する。
【0047】
なお、図4に示すように、対策部4は、突起部29を有し、つぼの刺激に利用するが、突起部29を図3に示す電極28として利用することもできる。
【0048】
また、カメラを使わない方法としては、図5に示すつぼ検出部3、対策部4の両機能を供えた検出対策装置17に手から手首までを入れて接触センサや、圧力センサの1つ以上のセンサにより手の形を認識して判断部2が持っている腕や手の指などの部分からつぼまでの距離データをもとに大まかなつぼの位置を検出するものである。そして、上記と同様に電位差からつぼの正確な位置を確定するものである。手や腕を認識する手段は、上記のものに限られるもではなく、手や腕の形を認識できるものであれば同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、カメラによる認識手段、センサによる認識手段のうちの1つを検出部として利用した場合でも、おおまかなつぼの位置を得ることは可能である。
【0050】
対策部4は、判断部2が判断した乗り物酔いの度合いに応じてつぼの刺激の強さを制御したり、刺激する場所の数を変化させて乗り物酔いを軽減するようになっている。
【0051】
例えば、対策装置13や検出装置、対策装置の両機能を持った検出対策装置17に内蔵された図4に示すようなつぼを刺激できる突起部29により、判断部2で確定された図3に示したつぼの1つ以上を刺激する。
【0052】
なお、対策部4として刺激する場所は、手の周辺の上記に限られる場所だけでなく、首、足の乗り物酔いに効くつぼを刺激する形にしたとしても同様に効果が得られる。
【0053】
また、刺激強度入力手段として、対策部4に付属されている図に示されていないボリュームは、乗員自らがつぼの刺激の強弱を制御できるようになっており、回すことによって強弱が切り換わる。
【0054】
また、刺激有無切り換え手段として、図に示されていないスイッチは、対策部4の制御の有効および無効を切り換えるようになっており、乗員によってスイッチがオフに切り換えられると、対策部4による制御を無効にしてつぼの刺激を停止するようになっている。なお、ボリュームやスイッチは対策部4を備えた装置に限定して付属されるものでなく、乗り物自体に付いていてもよい。
【0055】
以上のような乗り物酔い軽減装置10の動作について、図6にフローチャートを示し、説明する。
【0056】
図6に示すように、乗員状態検出部1によって乗員の状態を検出し(ステップS11)、判断部2により乗り物酔い状態か否かを判断して(ステップS12)、乗り物酔い状態と判断された場合には、つぼ検出部3によってつぼの位置検出を行う(ステップS14)。判断部2によってつぼが検出できなかったと判断されたときには、つぼ検出部3によってつぼの位置検出を繰り返す。つぼが検出できた場合には、対策部4がつぼの位置データ、判断部2からの乗り物酔いの度合いを基に乗り物酔い対策を施す(ステップS15)。次いで、乗員の乗り物酔いが治まったか否かを判別し(ステップS16)、治まっていない場合には繰り返し対策部4によって対策を行う。
【0057】
次に、対策装置上に手、腕が置かれているか否かの判定を行う乗り物酔い軽減装置を、図7に示し、説明する。
【0058】
図7に示すように、乗り物酔い軽減装置40は、上記乗り物酔い軽減装置10の対策部4上に手、腕が置かれていない場合に警告を行う警告部6(警告手段)を付加したものである。
【0059】
警告部6は、判断部2によって乗り物酔い軽減装置40の対策部4部分に手、腕が置かれていないと判断された場合に、乗員に手、腕を対策部4上に置くことを促す警告を行うものである。
【0060】
例えば、「対策装置上に手、腕を置いて下さい」というように音声を出力して乗員に対策部4上に手、腕がなく対策を行えないことを知らせる。
【0061】
なお、警告は音声に限定されるものでなく、表示装置を乗員の周辺に取り付けて、警告を表示装置に表示してもよい。
【0062】
警告部6を有した乗り物酔い軽減装置40の動作について、図8にフローチャートを示し、説明する。
【0063】
図8に示すように、判断部2によって乗り物酔いと判断された場合には、対策部4によって手、腕の検出を行い(ステップS23)、判断部2により手、腕を検出できたか否かを判断して(ステップS24)、手、腕を検出できなかった場合には警告部6によって警告を行う(ステップS25)。そして、判断部2によって手、腕の検出ができたと判断された場合に、つぼ検出部3によってつぼの検出を行う(ステップS26)。以下の流れは、図6でのステップS14からステップS16と同様である。
【0064】
次に、つぼ検出部3を有していない場合について、説明する。
【0065】
つぼ検出部3を有していない場合、判断部2が乗員状態検出部1からの情報により乗り物酔いと判断したときには、乗員が対策装置に手、腕を置くだけで、刺激するつぼの位置として決められている固定のつぼの位置を対策部4によって刺激するようになっている。
【0066】
このように本実施の形態では、乗り物の乗員が乗り物酔いになった場合に、乗り物酔いの度合いに応じて自動的につぼを刺激するようにしたので、乗り物酔いが軽いうちに容易に対策をとることができる。また、乗り物酔いのつぼ、ストレスを鎮めるつぼを刺激することによって乗り物酔いの軽減、気分の良化につなげることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、つぼ検出部3からの検出情報だけでなく判断部2に格納されているつぼの位置情報を利用して刺激するつぼの位置を決定するので、より正確なつぼの位置を見つけることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、対策部4により判断部2からつぼの位置データとして得られた乗り物酔いに効くつぼ、精神安定のためのつぼである内関のつぼ、手心のつぼ、神門のつぼ、労宮のつぼ、三陰交のつぼ、天柱のつぼの1つ以上を刺激することによって乗り物酔いを軽減することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、対策部4は、乗り物酔いの度合いに応じてつぼの刺激の強さを制御するので、乗員ごとに乗り物酔いの度合いに応じたつぼの刺激を与えることができる。また、対策部4は刺激の強弱を制御する制御スイッチを有するので、乗員が自分に適した刺激の強さで対策を施すことができる。
【0070】
また、本実施の形態では、対策部4のつぼの刺激による対策の有効および無効を切り換える切り換え手段を設けたので、対策が不要なときに対策制御を行わないようにすることができ、使い易い装置を実現することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図を図9に示し、説明する。
【0072】
ここで、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付けて説明を省略する。図9において、乗り物酔い軽減装置50は、乗員状態検出部1(乗員状態検出手段)、乗り物酔い判断部とつぼ判断部を有する判断部2(判断手段)、つぼ検出部3(つぼ検出手段)および対策部4(対策手段)に加えて、過去の情報を格納するデータ格納部5(乗員状態履歴格納手段および対策履歴格納手段)を備えている。
【0073】
乗員状態履歴格納手段および対策履歴格納手段からなるデータ格納部5は、HDDなどのメモリから構成されており、乗員状態履歴格納手段に乗員状態検出部1によって検出した乗員状態情報および判断部2が判定した乗り物酔いの度合い情報の履歴を記憶することにより、判断部2に乗り物酔いの過去の情報の学習機能を付け加える。
【0074】
判断部2は、乗員ごとに過去の乗り物酔い検出情報を基に1つ以上の乗員の閾値を決定する。乗員状態検出部1の検出情報と閾値を比較して判断部2が乗り物酔い状態であると判断した場合に、乗り物酔いしたことをつぼ検出部3に通知する。また、閾値を1つ以上設けた場合には度合いを対策部4へ通知する。
【0075】
また、データ格納部5は、対策履歴格納手段に対策部4からの対策情報の履歴を記憶することにより、判断部2に過去の対策情報の学習機能を付け加える。判断部2は、つぼが検出された場合に、対策部4が過去の履歴に基づいた乗員ごとの対策を施すように通知する。
【0076】
なお、つぼの位置を乗員自らが設定した場合の対策情報もデータ格納部5に記憶することができ、判断部2に学習機能を付け加えることによって乗員自らが設定した対策の履歴に基づいた対策を施すことも可能である。
【0077】
このように本実施の形態では、データ格納部5を設けることにより、過去の履歴に基づいて乗員の個人差を学習するので、各乗員に適した乗り物酔い判定を行うことができ、対策部4においても対策の場所、強弱を決めることができるので乗り物酔いの軽減につながる。
【0078】
さらに、図10に示す乗り物酔い軽減装置60のように、対策部4上に手、腕が置かれていない場合の警告を行う警告部6を備えていてもよい。これにより、判断部2により対策部4上の手、腕を検出できなかった場合には、警告部6によって警告を行うことができる。
【0079】
なお、以上の説明では、乗り物酔い軽減装置を乗り物に取り付けているが、乗り物酔い軽減装置が装着してある乗り物でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明にかかる乗り物酔い軽減装置は、乗員の体調の変化を早期に発見してつぼを刺激することにより、乗り物酔いの症状が軽いうちに乗り物酔いを軽減することができるという効果を有し、乗り物酔いを軽減する乗り物酔い軽減装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図
【図2】(a)本発明の乗り物酔い軽減装置を設置する座席部の側面図 (b)本発明の乗り物酔い軽減装置を設置する座席部の正面図
【図3】つぼの認識方法と乗り物酔いに効くつぼを示す図
【図4】つぼを刺激する対策部を示す図
【図5】乗り物酔い軽減装置の検出対策部を示す斜視図
【図6】本発明の第1の実施の形態における乗り物酔い軽減装置の動作を示すフローチャート
【図7】警告部を有する第1の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図
【図8】警告部を有する第1の実施の形態における乗り物酔い軽減装置の動作を示すフローチャート
【図9】本発明の第2の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図
【図10】警告部を有する第2の実施の形態における乗り物酔い軽減装置のブロック図
【符号の説明】
【0082】
1 乗員状態検出部(乗員状態検出手段)
2 判断部(判断手段)
3 つぼ検出部(つぼ検出手段)
4 対策部(対策手段)
5 データ格納部(乗員状態履歴格納手段、対策履歴格納手段)
6 警告部(警告手段)
10、40、50、60 乗り物酔い軽減装置
12 センサ
13 対策装置
15 カメラ
17 検出対策装置
18 内関
19 神門
21 手心
22 労宮
27、28 電極
29 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の乗員の状態を検出する乗員状態検出手段と、
前記乗員状態検出手段によって検出された乗員の状態が乗り物酔い状態であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記乗員の状態が乗り物酔いによる状態であると判断されたとき、前記乗員のつぼを刺激することにより、前記乗員に対する乗り物酔い対策を施す対策手段とを備えたことを特徴とする乗り物酔い軽減装置。
【請求項2】
つぼの位置情報にしたがって前記乗員のつぼの位置を検出するつぼ検出手段を備え、
前記対策手段は、前記つぼ検出手段によって検出されたつぼに刺激を与えることを特徴とする請求項1に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項3】
前記つぼ検出手段は、前記乗員の身体の一部に通電を行って電流の変化にしたがって前記つぼを検出することを特徴とする請求項2に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項4】
前記対策手段の対策対象が検出されないとき警告を行う警告手段を備え、
前記判断手段は、前記乗員が乗り物酔い状態であると判断し、前記対策手段のつぼ刺激先に前記乗員の身体が検出できないとき、前記警告手段に警告を行わせることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項5】
前記対策手段は、内関のつぼ、手心のつぼ、神門のつぼ、労宮のつぼ、三陰交のつぼ、天柱のつぼのいずれか1つ以上を刺激することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記乗員の乗り物酔いの度合いを判断し、
前記対策手段は、前記判断手段に判断された乗員の乗り物酔いの度合いに応じて刺激の強さを制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項7】
つぼを刺激する刺激強度を入力させる刺激強度入力手段を備え、
前記対策手段は、前記刺激強度入力手段に入力された刺激強度にしたがってつぼを刺激する強さを制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項8】
前記対策手段によるつぼ刺激の実行の有無を切り換える刺激有無切り換え手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項9】
前記乗員の状態の履歴を格納する乗員状態履歴格納手段を備え、
前記判断手段は、前記乗員状態履歴格納手段に格納された情報に基づいて、前記乗員の状態を判断することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。
【請求項10】
前記対策手段による対策の履歴を格納する対策履歴格納手段を備え、
前記対策手段は、前記対策履歴格納手段に格納された情報に基づいて、前記乗り物酔い対策を行うことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の乗り物酔い軽減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−34760(P2006−34760A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221483(P2004−221483)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】