説明

乗員拘束装置

【課題】衝突条件に応じた吸収エネルギーに応じて、乗員の拘束を適切に行う。
【解決手段】乗員拘束装置は、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)との和Et(t)が、目標吸収エネルギーEt(t)と対応するように、ベルト特性調整部4が制御される。このベルト特性調整部4によれば、シートベルトの張力を変化させて、ベルト吸収エネルギーEb(t)を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員を拘束する乗員拘束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両内のシートに着座した乗員を拘束することにより、乗員を保護する乗員拘束装置が知られている。この類の乗員拘束装置としては、主として、張力を付与したシートベルトにより乗員を拘束するシートベルトユニットが周知であるが、このシートベルトユニットに加え、展開したエアバッグにより乗員を拘束するエアバッグユニットが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3566080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の乗員拘束装置では、シートベルトユニットおよびエアバッグユニットといった個々のユニットが予め設定された出力特性に基づいて独立的に動作する。そのため、乗員の体格や衝突速度といった衝突条件によっては、個々のユニットによって吸収される乗員の運動エネルギーと、衝突条件に応じた吸収エネルギーとの間に不均衡が生じ、乗員の拘束が適切な状況でなされない可能性がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝突条件に応じた吸収エネルギーに応じて、乗員の拘束を適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明の乗員拘束装置は、乗員を拘束することによって吸収される乗員の運動エネルギー(吸収エネルギー)が、衝突条件に基づいて設定される目標吸収エネルギーと対応するように、拘束手段による乗員の拘束特性を変化させて、吸収エネルギーを調整することを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、拘束手段の特性を変化させることにより、装置全体としての吸収エネルギーが目標吸収エネルギーと対応するように、吸収エネルギーの最適化を図ることができる。これにより、乗員の拘束を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示す模式図である。同図に示すように、車体のフロア上には、乗員が着座するシートが設けられており、このシートは、主として乗員の大腿部から臀部を支持するシートクッションと、主として乗員の腰部から背中を支持するシートバックとで構成されている。乗員保護装置は、シートに着座する乗員を拘束する装置であり、エアバッグユニット1と、シートベルトユニット3と、コントロールユニット5とを主体に構成されている。なお、本実施形態では、運転席に着座するドライバーを典型的な乗員として説明を行う。
【0008】
エアバッグユニット1は、インフレータと、エアバッグとで構成されており、例えば、ステアリングホイールの中央部分に配設されている。エアバッグは、通常、エアバッグ収納部に収納されており、作動時には、インフレータが点火されて不活性ガスを発生することにより、インフレータから発生するガス圧によって膨張展開する。エアバッグユニット1は、車両の衝突を検知した場合、インフレータによりエアバッグを膨張展開させる。これにより、衝突時、エアバッグにより乗員が拘束される。
【0009】
このエアバッグユニット1には、エアバッグによる乗員の拘束特性(本実施形態では、エアバッグの内圧)を調整するエアバッグ特性調整部(エアバッグ調整手段)2が備えられている。エアバッグ特性調整部2は、コントロールユニット5によって制御され、エアバッグの内圧を調整することができる。なお、エアバッグ特性調整部2の詳細な構成については後述する(第2の実施形態を参照)。
【0010】
シートベルトユニット3は、リトラクタと、シートベルト(ウエビング)と、インナーバックルと、ショルダアンカとを主体に構成されている。リトラクタは車体のセンターピラーの下端部近傍に固定的に配置されており、リトラクタの巻取軸(回転軸)に取り付けられたスプールには、シートベルトの一方の端部が係止されている。リトラクタは、巻取軸の回転にともないスプールが回転することにより、シートベルトを巻き上げることができる。また、シートベルトの他方の端部は、センターピラーの上部に取り付けられたショルダアンカを経由して、フロア上のブラケットに固定的に取り付けられている。
【0011】
ブラケット側のシートベルトの端部とショルダアンカとの間には、タング(図示せず)がシートベルトの延在方向に沿って移動可能に取り付けられている。シートに着座した乗員が、シートベルトをリトラクタから引き出しつつ、タングを自分の大腿の上を、例えば右側から左側に通して、フロアに取り付けられているインナーバックルに嵌合する。これにより、シートベルトは、リトラクタからショルダアンカ、乗員(例えば、ドライバー)の右肩、乗員の左腰、タング、乗員の大腿を経由しブラケットに到達する。
【0012】
リトラクタの巻取軸は、ベルトアクチュエータ(例えば、電動モータなど)によって、シートベルトを巻取収納するように回転力が付与されており、これにより、シートベルトは、所定の引込量(基準引込量)でリトラクタ側に引き込まれている。また、シートベルトユニット3は、車両に一定以上の減速度が作用した場合、または、車両の衝突を検知した場合、ベルトアクチュエータによって通常時よりも大きな回転力を巻取軸に付与することで、基準引込量よりも大きな引込量でシートベルトをリトラクタ側に引き込む。これにより、シートベルトが引き出し困難となり、衝突時や急減速時、シートベルトにより乗員が拘束される。
【0013】
また、シートベルトユニット3には、ロードリミッタ機構が備えられている。ロードリミッタ機構は、トーションバーを巻取軸として構成されている。自動車の衝突時や急減速時、スプールの回転が停止することになるが、トーションバーがねじれることにより、スプールが所定量回転し、シートベルトの急激な停止を緩和させる。このロードリミッタ機構により、乗客がシートベルトから受ける衝撃を緩和させることができる。
【0014】
シートベルトユニット3には、シートベルトによる乗員の拘束特性(本実施形態では、シートベルトの張力)を調整するベルト特性調整部(シートベルト調整手段)4が備えられている。ベルト特性調整部4は、コントロールユニット5によって制御され、シートベルトの張力を調整することができる。
【0015】
本実施形態において、ベルト特性調整部4は、流体の粘性を利用してスプールの回転抵抗を変化させることにより、シートベルトの張力を調整する。具体的には、リトラクタの内部には、電磁流体が配置されており、電磁コイルの作動で電界を発生させて磁性流体の粘性を変化させることにより、巻取軸に対するスプールの回転抵抗を増減させることができる。この回転抵抗が大きい場合には、スプールは巻取軸にロックされた状態となり、この回転抵抗が小さい場合には、スプールは巻取軸と相対的に回転可能となる。
【0016】
ベルト特性調整部4は、シートベルトの張力が所定値(負荷制限荷重)以下となるように、巻取軸に対するスプールの回転抵抗を設定している。本実施形態において、負荷制限荷重は調整可能なパラメータとなっており、ベルト特性調整部4は、負荷制限荷重に応じた回転抵抗を得られるように、電磁コイルに生成される磁界を調整し、これにより、シートベルトの張力を調整する。
【0017】
図2は、第1の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図である。コントロールユニット5は、装置全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従って動作する。コントロールユニット5としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このコントロールユニット5は、乗員の状態や走行状態に基づいて、各種の演算を行い、この演算結果に応じた制御信号を各種のアクチュエータ(図示せず)に出力する。コントロールユニット5には、システムの状態を検出するために、各種センサ等からのセンサ信号が入力されている。
【0018】
乗員体格検出部6は、乗員体格(本実施形態では、乗員の体重)を検出する機能を担っており、シートクッションに配置される重量計によって構成されている。衝突速度検出部7は、衝突時の衝突物に対する自車両の相対速度を衝突速度として検出している。衝突速度検出部7は、例えば、ミリ波やレーザなどのレーダを備え、車両前方に照射した照射波(照射光)およびこれに対応する反射波(反射光)に基づき、衝突対象物までの距離を推定し、その距離の時間微分から衝突速度を検出する。乗員位置検出部8は、乗員の着座位置(乗員位置)を検出する。乗員位置検出部8は、イメージセンサ(例えば、CCDまたはCMOSセンサ等)を内蔵するカメラを備え、車室内の乗員の斜め上方に配置されている。この乗員位置検出部8は、カメラによって乗員を含む範囲を撮像した撮像画像に基づき、乗員の頭部あるいは胸部までの距離を算出し、これにより、乗員位置を検出する。これらの乗員体格、衝突速度および乗員位置は、衝突に関する条件、具体的には、衝突時、吸収すべき乗員の運動エネルギーを演算する上で必要となる衝突条件を規定するパラメータとなっている。
【0019】
エアバッグ特性検出部9は、エアバッグの特性を検出する機能を担っており、本実施形態では、エアバッグの内圧(エアバッグ内圧)を検出する内圧検出部9aによって構成されている。ベルト特性検出部10は、シートベルトの特性を検出する機能を担っており、本実施形態では、シートベルトの引出量(ベルト引出量)を検出するベルト引出量検出部10aと、シートベルトに作用する張力(ベルト張力)を検出するベルト張力検出部10bとで構成されている。ここで、ベルト引出量検出部10aは、例えば、リトラクタの巻取軸の回転数をロータリーエンコーダによって検出し、あるいは、スプールの回転数をフォトインタラプなどによって検出し、この検出結果に基づいて、シートベルトの引出量を検出する。これに対して、ベルト張力検出部10bは、例えば、ロードリミッタ機構としてトーションバーの両端の角度差をひずみ計によって検出し、この検出結果に基づいて、シートベルトの張力を検出する。
【0020】
本実施形態との関係において、コントロールユニット5は、これを機能的に捉えた場合、実吸収量演算部(特定手段)5aと、目標吸収量演算部(設定手段)5bと、アクチュエータ制御部(制御手段)5cとを有している。
【0021】
実吸収量演算部5aは、乗員を拘束することによってエアバッグユニット1およびシートベルトユニット3によって吸収される乗員の運動エネルギーを吸収エネルギーとして演算(特定)する。ここで、エアバッグユニット1による吸収エネルギーを、エアバッグ吸収エネルギーといい、シートベルトユニット3による吸収エネルギーを、ベルト吸収エネルギーという。実吸収量演算部5aは、エアバッグ特性検出部9の検出結果に基づいて、エアバッグ吸収エネルギーを演算し、ベルト特性検出部10の検出結果に基づいて、ベルト吸収エネルギーを演算する。
【0022】
目標吸収量演算部5bは、上述した衝突条件に基づいて、装置として吸収すべき乗員の運動エネルギーの目標値である目標吸収エネルギーを設定する。
【0023】
アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aにおいて特定された吸収エネルギー(具体的には、エアバッグ吸収エネルギーとベルト吸収エネルギーとの和)が、目標吸収量演算部5bにおいて設定される目標吸収エネルギーと対応するように、アクチュエータを制御する。制御対象となるアクチュエータは、乗員の拘束特性変化させて、吸収エネルギーを調整する調整手段であり、本実施形態では、シートベルトの張力を変化させるベルト特性調整部4が該当する。アクチュエータ制御部5cは、負荷制限荷重に応じた回転抵抗を得られるように、ベルト特性調整部4の電磁コイルの通電量を制御し、これにより、シートベルトの張力を調整する。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施形態にかかる乗員拘束装置による一連の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、コントロールユニット5によって実行される。
【0025】
まず、ステップ1(S1)において、車両が衝突したか否かが判断される。コントロールユニット5(具体的には、目標吸収量演算部5b)は、車両が衝突したか否かの判断を、例えば、衝突速度検出部7の検出結果に基づいて判断することができる。ただし、この手法以外にも、車両の加速度(減速度)に基づいて、車両の衝突を検出することもできる。このステップ1において肯定判定された場合、すなわち、車両が衝突した場合には、ステップ2(S2)の処理に進む。一方、ステップ1において否定判定された場合、すなわち、車両が衝突していない場合には、所定時間後に再度ステップ1の判断が行われる。
【0026】
ステップ2において、衝突速度検出部7によって検出される衝突速度Vが目標吸収量演算部5bによって読み込まれ、ステップ3(S3)において、乗員体格検出部6によって検出される乗員体格Mが目標吸収量演算部5bによって読み込まれる。また、ステップ4(S4)において、乗員位置検出部8によって検出される乗員位置が実吸収量演算部5aによって読み込まれる。
【0027】
ステップ5(S5)において、目標吸収量演算部5bは、衝突速度Vおよび乗員体格Mに基づいて、現在の時刻tにおける目標吸収エネルギーEt’(t)を検出する。この目標吸収エネルギーは、下式に基づいて算出される。
【数1】

【0028】
同数式から分かるように、目標吸収エネルギーEt’(t)は、衝突速度V、乗員体格Mによる乗員の運動エネルギーに相当する。
【0029】
ステップ6(S6)において、ベルト引出量検出部10aによって検出されるベルト引出量Sbが実吸収量演算部5aによって読み込まれ、ステップ7(S7)において、ベルト張力検出部10bによって検出されるベルト張力Fbが実吸収量演算部5aによって読み込まれる。
【0030】
ステップ8(S8)において、実吸収量演算部5aは、ベルト引出量Sbとベルト張力Fbとに基づいて、現在の時刻tにおけるベルト吸収エネルギーEb(t)を算出する(図5(a)参照)。このベルト吸収エネルギーEb(t)は、下式に基づいて算出される。
【数2】

【0031】
同数式から分かるように、ベルト吸収エネルギーEb(t)は、ベルト張力Fbをベルト引出量Sbで積分することにより算出される。
【0032】
ステップ9(S9)において、実吸収量演算部5aは、ステップ4において読み込まれた乗員位置と、乗員位置検出部8によって予め検出される初期的な乗員位置(衝突前の乗員位置)とに基づいて、乗員頭部のエアバッグへの貫入量Saを検出する。そして、ステップ10(S10)において、内圧検出部9aによって検出されるエアバッグ内圧Pが実吸収量演算部5aによって読み込まれる。
【0033】
ステップ11(S11)において、実吸収量演算部5aは、貫入量Saとエアバッグ内圧Pとに基づいて、現在の時刻tにおけるエアバッグ吸収エネルギーEa(t)を算出する(図5(b)参照)。このエアバッグ吸収エネルギーEa(t)は、下式に基づいて算出される。
【数3】

【0034】
同数式において、「Fa」は、エアバッグ反力であり、このエアバッグ反力は、頭部とエアバッグとの接触面積と、エアバッグ内圧Pとの積算値として求めることができる。ここで、頭部とエアバッグとの接触面積は、例えば、実験やシミュレーションを通じて設定された代表値を用いることができる。同数式から分かるように、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)は、エアバッグ内圧Faを貫入量Saで積分することにより算出される。
【0035】
ステップ12(S12)において、実吸収量演算部5aは、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)との和を、エアバッグユニット1およびシートベルトユニット3によるトータルの吸収エネルギーEt(t)として算出する(図5(c)参照)。
【0036】
ステップ13(S13)において、アクチュエータ制御が行われる。図4は、アクチュエータ制御の詳細な手順を示すフローチャートである。まず、ステップ20(S20)において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aによって演算されたトータルの吸収エネルギーEt(t)と、目標吸収量演算部5bによって演算された目標吸収エネルギーEt’(t)から基準定数eを減算した値とを比較し、前者の値が後者の値よりも小さいか否かを判断する。ここで、基準定数eは、検出系または演算における誤差の影響や、過剰な制御介入を抑制するべく、トータルの吸収エネルギーEt(t)と目標吸収エネルギーEt’(t)との間に十分な差が生じているか否かを判断するための値である。この基準定数をeは、実験やシミュレーションを通じてその最適値が予め設定されている。
【0037】
ステップ20において肯定判定された場合には(Et(t)<Et’(t)−e)、ステップ21(S21)の処理に進む。一方、ステップ20において否定判定された場合には(Et(t)≧Et’(t)−e)、ステップ22(S22)の処理に進む。
【0038】
ステップ21において、アクチュエータ制御部5cは、負荷制限荷重を、現在値よりも所定量だけ低減させるように、ベルト特性調整部4の電磁コイルの通電量を制御する。これにより、巻取軸に対するスプールの回転抵抗が小さくなるので、シートベルトの引き出し量が増え、シートベルトの吸収エネルギーEb(t)が増加する(図6(a)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も増加する。図6(a)において、破線は制御前のエネルギーを示し、実線は制御後のエネルギーを示す。
【0039】
ステップ22(S22)において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aによって演算されたトータルの吸収エネルギーEt(t)と、目標吸収量演算部5bによって演算された目標吸収エネルギーEt’(t)に基準定数eを加算した値とを比較し、前者の値が後者の値よりも大きいか否かを判断する。ステップ22において肯定判定された場合には(Et(t)>Et’(t)+e)、ステップ23(S23)の処理に進む。一方、ステップ22において否定判定された場合には(Et(t)≦Et’(t)+e)、本ルーチンを抜ける。
【0040】
ステップ23において、アクチュエータ制御部5cは、負荷制限荷重を、現在値よりも所定量だけ増加させるように、ベルト特性調整部4の電磁コイルの通電量を制御する。これにより、巻取軸に対するスプールの回転抵抗が大きくなるので、シートベルトの引き出し量が減り、シートベルトによる吸収エネルギーEb(t)が減少する(図6(b)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も減少する。
【0041】
このように本実施形態において、乗員拘束装置は、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)との和Et(t)が、目標吸収エネルギーEt(t)と対応するように、ベルト特性調整部4が制御される。このベルト特性調整部4によれば、シートベルトの張力を変化させて、ベルト吸収エネルギーEb(t)を調整する。
【0042】
かかる構成によれば、実際のトータルの吸収エネルギーEt(t)が目標吸収エネルギーE’(t)に近づくように、シートベルトによる吸収エネルギーEb(t)が調整される。そのため、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)とのバランスが、目標吸収エネルギーE’(t)と対応するように最適化することができる。これにより、乗員を適切に拘束することができる。
【0043】
また、乗員体格、乗員位置や衝突速度といった衝突条件に基づいて、目標吸収エネルギーE’(t)を演算するため、これを目標値として制御を行うことにより、乗員を適切に拘束することができる。すなわち、拘束手段の制御因子を荷重ではなく、吸収エネルギーで考慮するため、拘束特性の制御誤差が生じた場合でも、残存エネルギーに応じて制御特性を決めることとなる。そのため、それまでの制御誤差の累積が考慮され、その時点における最適な拘束特性を得ることができる。
【0044】
さらに、シートベルトの拘束特性を最適に制御するエネルギーの時間関数から、拘束特性を制御している。そのため、乗員拘束装置の特性目標パターンを必要としないので、乗員拘束装置の出力特性を変更させる部品を別部品として搭載する必要がなく、車両重量、部品点数、コストの低減を図ることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態にかかる乗員拘束装置が第1の実施形態のそれと相違する点は、アクチュエータ制御部5cが、ベルト特性調整部4に代えて、エアバッグ特性調整部2を制御することである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明することとし、重複する構成については符号を引用し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
エアバッグ特性調整部2は、インフレータ出力調整部2aと、排気量調整部2bとで構成されている。インフレータ出力調整部2aは、インフレータの出力を調整する機能を担っており、インフレータからのガスの発生量を調節することができる。このインフレータ出力調整部2aとしては、例えば、エアバッグ内にガスを噴出するガス噴出口の大きさをバルブによって調整するといった手法を用いることができる。排気量調整部2bは、エアバッグのガスの排気量を調整する機能を担っている。排気量調整部2bは、例えば、エアバッグの開口部周縁が固定されるリテーナに形成されたベントホールと、アクチュエータにより作動してベントホールを開閉する制御弁とで構成されており、制御弁によってベントホールを開閉制御するといった手法を用いることができる。
【0047】
本実施形態において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aにおいて特定された吸収エネルギー(具体的には、エアバッグ吸収エネルギーとベルト吸収エネルギーとの和)が、設定される目標吸収エネルギーと対応するように、アクチュエータを制御する。本実施形態において、制御対象となるアクチュエータは、エアバッグによる乗員の拘束特性を変化させるエアバッグ特性調整部2が該当する。具体的には、アクチュエータ制御部5cは、インフレータの出力を調整する、または、ベントホールを開閉制御し、これにより、エアバッグの内圧を調整する。
【0048】
つぎに、第2の実施形態にかかる乗員拘束装置による一連の処理手順を説明する。本実施形態にかかる処理手順は、図3に示す第1の実施形態のそれと基本的に同じ処理であるが、ステップ13におけるアクチュエータ制御において相違する。以下、図8を参照し、本実施形態にかかるアクチュエータ制御の詳細な手順を説明する。
【0049】
まず、ステップ30(S30)において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aによって演算されたトータルの吸収エネルギーEt(t)と、目標吸収量演算部5bによって演算された目標吸収エネルギーEt’(t)から基準定数eを減算した値とを比較し、前者の値が後者の値よりも小さいか否かを判断する。ステップ30において肯定判定された場合には(Et(t)<Et’(t)−e)、ステップ31(S31)の処理に進む。一方、ステップ30において否定判定された場合には(Et(t)≧Et’(t)−e)、後述するステップ35(S35)の処理に進む。
【0050】
ステップ31において、インフレータの出力制御を行うか否かが判断される。エアバッグの内圧を制御する手法としては、インフレータの出力制御と、ベントホールの開閉制御とがあるため、目標とする内圧に応じて、アクチュエータ制御部5cは、個々の制御を選択的にあるいは総合的に実行することができる。ステップ31において肯定判定された場合、すなわち、インフレータの出力制御を行う場合には、ステップ32(S32)に進む。一方、ステップ31において否定判定された場合、すなわち、インフレータの出力制御を行わない場合には、ステップ32の処理をスキップしてステップ33(S33)の処理に進む。
【0051】
ステップ32において、アクチュエータ制御部5cは、インフレータの出力を、現在値よりも所定量だけ増加させる。これにより、インフレータからのガスの発生量が増加するので、エアバッグの内圧が増え、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)が増加する(図9(a)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も増加する。図9(a)において、破線は制御前のエネルギーを示し、実線は制御後のエネルギーを示す。
【0052】
ステップ33において、ベントホールの開閉制御を行うか否かが判断される。ステップ33において肯定判定された場合、すなわち、ベントホールの開閉制御を行う場合には、ステップ34(S34)に進む。一方、ステップ33において否定判定された場合、すなわち、ベントホールの開閉制御を行わない場合には、ステップ34の処理をスキップして本ルーチンを抜ける。
【0053】
ステップ34において、アクチュエータ制御部5cは、ベントホールの開閉弁を、現在値よりも所定量だけ閉方向へと制御する。これにより、ベントホールからのガスの排出量が減少するので、エアバッグの内圧が増え、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)が増加する(図9(a)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も増加する。
【0054】
これに対して、ステップ35において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aによって演算されたトータルの吸収エネルギーEt(t)と、目標吸収量演算部5bによって演算された目標吸収エネルギーEt’(t)に基準定数eを加算した値とを比較し、前者の値が後者の値よりも大きいか否かを判断する。ステップ35において肯定判定された場合には(Et(t)>Et’(t)+e)、ステップ36(S36)の処理に進む。一方、ステップ35において否定判定された場合には(Et(t)≦Et’(t)+e)、本ルーチンを抜ける。
【0055】
ステップ36において、インフレータの出力制御を行うか否かが判断される。ステップ36において肯定判定された場合、すなわち、インフレータの出力制御を行う場合には、ステップ37(S37)に進む。一方、ステップ36において否定判定された場合、すなわち、インフレータの出力制御を行わない場合には、ステップ37の処理をスキップしてステップ38(S38)の処理に進む。
【0056】
ステップ37において、アクチュエータ制御部5cは、インフレータの出力を、現在値よりも所定量だけ減少させる。これにより、インフレータからのガスの発生量が減少するので、エアバッグの内圧が減り、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)が減少する(図b(a)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も増加する。
【0057】
ステップ38において、ベントホールの開閉制御を行うか否かが判断される。ステップ38において肯定判定された場合、すなわち、ベントホールの開閉制御を行う場合には、ステップ39(S39)に進む。一方、ステップ38において否定判定された場合、すなわち、ベントホールの開閉制御を行わない場合には、ステップ39の処理をスキップして本ルーチンを抜ける。
【0058】
ステップ39において、アクチュエータ制御部5cは、ベントホールの開閉弁を、現在値よりも所定量だけ開方向へと制御する。これにより、ベントホールからのガスの排出量が増加するので、エアバッグの内圧が減り、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)が減少する(図9(b)参照)。その結果、トータルの吸収エネルギーEt(t)も増加する。
【0059】
このように本実施形態において、乗員拘束装置は、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)との和Et(t)が、目標吸収エネルギーEt(t)と対応するように、エアバッグ特性調整部2が制御される。このエアバッグ特性調整部2によれば、エアバッグの内圧を変化させて、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)を調整する。
【0060】
かかる構成によれば、実際のトータルの吸収エネルギーEt(t)が目標吸収エネルギーE’(t)に近づくように、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)が調整される。そのため、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)とのバランスが、目標吸収エネルギーE’(t)と対応するように最適化することができる。これにより、乗員を適切に拘束することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図である。第3の実施形態にかかる乗員拘束装置が第1または第2の実施形態のそれと相違する点は、アクチュエータ制御部5cが、ベルト特性調整部4およびエアバッグ特性調整部2の双方を制御することである。以下、第1または第2の実施形態との相違点を中心に説明することとし、重複する構成については符号を引用し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施形態において、アクチュエータ制御部5cは、実吸収量演算部5aにおいて特定された吸収エネルギー(具体的には、エアバッグ吸収エネルギーとベルト吸収エネルギーとの和)が、設定される目標吸収エネルギーと対応するように、アクチュエータを制御する。本実施形態において、制御対象となるアクチュエータは、エアバッグによる乗員の拘束特性を変化させるエアバッグ特性調整部2と、シートベルトによる乗員の拘束特性を変化させるベルト特性調整部4とが該当する。
【0063】
つぎに、第3の実施形態にかかる乗員拘束装置による一連の処理手順を説明する。本実施形態にかかる処理手順は、図3に示す第1の実施形態のそれと基本的に同じ処理であるが、ステップ13におけるアクチュエータ制御において相違する。以下、図11を参照し、本実施形態にかかるアクチュエータ制御の詳細な手順を説明する。
【0064】
同図に示すように、本実施形態のアクチュエータ制御は、図4に示す第1の実施形態のアクチュエータ制御を実行し、その後に、図8に示す第2の実施形態のアクチュエータ制御を実行するものである。なお、個々のステップに示す処理は、上述した実施形態と同様の処理であるため、その詳細な説明については省略する。
【0065】
このように本実施形態において、乗員拘束装置は、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)との和Et(t)が、目標吸収エネルギーEt(t)と対応するように、エアバッグ特性調整部2およびベルト特性調整部4が制御される。このエアバッグ特性調整部2によれば、エアバッグの内圧を変化させて、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)を調整し、ベルト特性調整部4によれば、シートベルトの張力を変化させて、ベルト吸収エネルギーEb(t)を調整する。
【0066】
かかる構成によれば、実際のトータルの吸収エネルギーEt(t)が目標吸収エネルギーE’(t)に近づくように、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)およびベルト吸収エネルギーEb(t)が調整される。そのため、エアバッグ吸収エネルギーEa(t)とベルト吸収エネルギーEb(t)とのバランスが、目標吸収エネルギーE’(t)と対応するように最適化することができる。これにより、乗員を適切に拘束することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態にかかる乗員拘束装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上述した各実施形態では、乗員体格を検知する乗員体格検出部6として重量計を用いたが、この手法以外にも、シートクッションに感圧マットを用いることでもよい。
【0069】
また、乗員位置を検知する乗員位置検出部8としてカメラを用いたが、これ以外にも、赤外線カメラ、超音波センサを用いることも可能である。また、エアバッグの貫入量Saの検出を、乗員位置検出部8により検出した頭部位置(または胸部位置)に基づいて行ったが、これ以外にも、ベルト引出量から乗員の頭部位置(または胸部位置)推定し、この推定結果に基づいて行うことも可能である。
【0070】
また、衝突速度を検知する衝突速度検出部7としてレーダを用いたが、電波、超音波や光を用いて車両の衝突速度を検出することができる。
【0071】
このように個々の検出手段についてどれを選択して使用するか、あるいは、どれを組み合わせて使用するかについては、車両または車室内のインテリア、シート形状などによって、適切に選択することができる。
【0072】
また、シートベルトの張力を検出するベルト張力検出部10bとしてひずみ計を用いたが、これ以外にも、リトラクタのマウント部に取り付けた荷重計、またバックルに取り付けられた荷重計を使用することも可能である。
【0073】
また、シートベルトの張力を調整するベルト特性調整部4は、流体の粘性を利用してスプールの回転抵抗を変化させる手法を用いたが、これ以外にも、トーションバーの実径を切り替える手法や、スプールに取り付けられた刃による回転切削抵抗により、機械的な干渉を利用して前記スプールとの回転抵抗を変化させる手法を利用することもできる。
【0074】
また、エアバッグのガスの排気量を調整する排気量調整部2bとして、ベントホールを開閉制御する手法を用いたが、これ以外にも、ベントホールに穴の開いたディスクを2枚重ね、個々のディスクを相対的に回転させることで穴の径を調整する手法、あるいは、ベントホールに取り付けられた薄膜を破断させる手法などを用いることができる。
【0075】
また、インフレータの出力を調整するインフレータ出力調整部2aとして、エアバッグ内にガスを噴出するガス噴出口の大きさをバルブによって調整する手法を用いたが、これ以外にも、磁性流体により出力を変化させる手法を用いてもよい。
【0076】
さらに、各実施形態では、ドライバーを乗員として説明を行うったが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の乗員を対象として、本発明の乗員拘束装置を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】乗員拘束装置の構成を示す模式図
【図2】第1の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施形態にかかる乗員拘束装置による一連の処理手順を示すフローチャート
【図4】第1の実施形態にかかるアクチュエータ制御の詳細な手順を示すフローチャート
【図5】吸収エネルギーの推移を示す説明図
【図6】吸収エネルギーの推移を示す説明図
【図7】第2の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図
【図8】第2の実施形態にかかるアクチュエータ制御の詳細な手順を示すフローチャート
【図9】吸収エネルギーの推移を示す説明図
【図10】第3の実施形態にかかる乗員拘束装置の構成を示すブロック図
【図11】第3の実施形態にかかるアクチュエータ制御の詳細な手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0078】
1…エアバッグユニット
2…エアバッグ特性調整部
2a…インフレータ出力調整部
2b…排気量調整部
3…シートベルトユニット
4…ベルト特性調整部
5…コントロールユニット
5a…実吸収量演算部
5b…目標吸収量演算部
5c…アクチュエータ制御部
6…乗員体格検出部
7…衝突速度検出部
8…乗員位置検出部
9…エアバッグ特性検出部
9a…内圧検出部
10…ベルト特性検出部
10a…ベルト引出量検出部
10b…ベルト張力検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員拘束装置において、
乗員を拘束する拘束手段と、
乗員を拘束することによって吸収される乗員の運動エネルギーを吸収エネルギーとして特定する特定手段と、
衝突に関する条件を規定する衝突条件に基づいて、吸収すべき乗員の運動エネルギーの目標値である目標吸収エネルギーを設定する設定手段と、
前記拘束手段による乗員の拘束特性を変化させることにより、前記吸収エネルギーを調整する調整手段と、
前記特定手段によって特定される吸収エネルギーが、前記設定手段によって設定される目標吸収エネルギーと対応するように、前記調整手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする乗員拘束装置。
【請求項2】
前記拘束手段は、展開させたエアバッグにより乗員を拘束するエアバッグユニットと、張力を与えたシートベルトにより乗員を拘束するシートベルトユニットとを含み、
前記調整手段は、前記シートベルトの張力を変化させて、前記吸収エネルギーを調整するシートベルト調整手段であり、
前記特定手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと、前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとをそれぞれ特定しており、
前記制御手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとの和が、前記設定手段によって設定される目標吸収エネルギーと対応するように、前記シートベルト調整手段を制御すること特徴とする請求項1に記載された乗員拘束装置。
【請求項3】
前記拘束手段は、展開させたエアバッグにより乗員を拘束するエアバッグユニットと、張力を与えたシートベルトにより乗員を拘束するシートベルトユニットとを含み、
前記調整手段は、前記エアバッグの内圧を変化させて、前記吸収エネルギーを調整するエアバッグ調整手段であり、
前記特定手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと、前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとをそれぞれ特定しており、
前記制御手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとの和が、前記設定手段によって設定される目標吸収エネルギーと対応するように、前記エアバッグ調整手段を制御すること特徴とする請求項1に記載された乗員拘束装置。
【請求項4】
前記拘束手段は、展開させたエアバッグにより乗員を拘束するエアバッグユニットと、張力を与えたシートベルトにより乗員を拘束するシートベルトユニットとを含み、
前記調整手段は、前記シートベルトの張力を変化させて、前記吸収エネルギーを調整するシートベルト調整手段と、前記エアバッグの内圧を変化させて、前記吸収エネルギーを調整するエアバッグ調整手段とを含み、
前記特定手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと、前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとをそれぞれ特定しており、
前記制御手段は、前記エアバッグユニットによって吸収される吸収エネルギーと前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーとの和が、前記設定手段によって設定される目標吸収エネルギーと対応するように、前記シートベルト調整手段および前記エアバッグ調整手段をそれぞれ制御すること特徴とする請求項1に記載された乗員拘束装置。
【請求項5】
前記シートベルトユニットは、回転軸と、シートベルトを巻き取るために前記回転軸を中心に回転可能なスプールとを含み、
前記特定手段は、前記スプールの回転量から検出される前記シートベルトの引出量に基づいて、前記シートベルトユニットによって吸収される吸収エネルギーを特定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載された乗員拘束装置。
【請求項6】
前記シートベルトユニットは、回転軸と、シートベルトを巻き取るために前記回転軸を中心に回転可能なスプールとを含み、
前記シートベルト調整手段は、流体の粘性を利用して前記スプールの回転抵抗を変化させることにより、前記シートベルトの張力を変化させることを特徴とする請求項2または4に記載された乗員拘束装置。
【請求項7】
前記シートベルトユニットは、回転軸と、シートベルトを巻き取るために前記回転軸を中心に回転可能なスプールとを含み、
前記シートベルト調整手段は、機械的な干渉を利用して前記スプールの回転抵抗を変化させることにより、前記シートベルトの張力を変化させることを特徴とする請求項2または4に記載された乗員拘束装置。
【請求項8】
前記エアバッグユニットは、展開したエアバッグ内からガスを排出するベントホールを含み、
前記エアバッグ調整手段は、前記ベントホールの径を調整する調整機構により、前記エアバッグの内圧を変化させることを特徴とする請求項3または4に記載された乗員拘束装置。
【請求項9】
前記エアバッグユニットは、展開したエアバッグ内からガスを排出するベントホールを含み、
前記エアバッグ調整手段は、前記ベントホールに取り付けられた薄膜を破断させることにより、前記エアバッグの内圧を変化させることを特徴とする請求項3または4に記載された乗員拘束装置。
【請求項10】
前記エアバッグユニットは、エアバッグを膨張展開させるガス圧を生成するインフレータを含み、
前記エアバッグ調整手段は、前記インフレータからガスが出力する出力口の開度を調整する調整機構により、前記エアバッグの内圧を変化させることを特徴とする請求項3または4に記載された乗員拘束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−196402(P2009−196402A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37365(P2008−37365)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】