説明

乗客コンベアの踏段の照明装置

【課題】踏板を照射すのに必要な電気コストを削減できる。
【解決手段】踏板22、踏板22の両端を支持する一対の踏段ブラケット21、及び踏段ブラケット21に装着された駆動輪32a,32bおよび追従輪33a,33bを備え、駆動輪32a,32bおよび追従輪33a,33bを乗り口と降り口との間に配設された無端状の踏段レール12上を転動させて乗り口と降り口との間を循環走行する乗客コンベアの踏段20の照明装置40において、踏段20に配設され、駆動輪32a,32bおよび追従輪33a,33bの回転トルクにより駆動されて発電する発電機42と、踏段20に配設され、発電機42の電力により充電されるバッテリー49と、バッテリー49からの電力の供給により発光し、踏板22にあけられた照射窓26から踏板22の踏面を照射するLEDモジュール47と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は乗客コンベアの踏段の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベアのスカートガード照明装置は、踏段の側面に立設されたスカートガードの内側に配置された光源と、スカートガードと内レッジとの間に介在される照明カバーと、を備えている。そして、踏段が照明カバーを透過した光源からの光によって照らされていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−24498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の乗客コンベアのスカートガード照明装置の光源への電力供給について、特許文献1には詳細に記載されていないが、光源への電力供給は商用電源から供給されるのが一般的である。従来の乗客コンベアの稼働中は、常に光源に電力を供給しなければならないので、電気コストが増大するという課題があった。
【0005】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、電気コストを削減しつつ踏段を照らすことが可能な乗客コンベアの踏段の照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、踏板、踏板の両端を支持する一対の踏段ブラケット、及び踏段ブラケットに装着された車輪を備え、車輪を乗り口と降り口との間に配設された無端状の踏段レール上を転動させて乗り口と降り口との間を循環走行する乗客コンベアの踏段の照明装置において、踏段に配設され、車輪の回転トルクにより駆動されて発電する発電機と、踏段に配設され、発電機の電力により充電されるバッテリーと、バッテリーからの電力の供給により発光し、踏板にあけられた照射窓から踏板の踏面を照射する照明手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、バッテリーが車輪の回転トルクにより駆動されて発電する発電機の電力により充電され、バッテリーの電力を照明手段に供給して照明手段を点灯させているので、踏板を照射すのに必要な電気コストを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置を備えるエスカレータの模式図、図2はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置が配設された踏段の一部破断上面図、図3は図2のIII−III矢視断面図、図4は図2のIV−IV矢視断面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置のシステム構成図、図6はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行う走行フラグのON/OFFの切り替え動作を説明するフロー図、図7はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行うバッテリーの充電の開始と停止の切り替え動作を説明するフロー図、図8はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行うLEDモジュールの点灯と消灯の切り替え動作を説明するフロー図である。
なお、図2は説明の便宜上、踏板の一部、及び欄干を省略して図示している。
【0009】
図1において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、上下階床間に架設された主枠2と、主枠2内の上部階床部分に配設された駆動モータ3aを有する駆動機3と、主枠2内の上部階床部分に配設された駆動スプロケット5と、駆動機3と駆動スプロケット5との間を連結し、駆動モータ3aの駆動に連動させて駆動スプロケット5を回転せしめる駆動鎖4と、駆動スプロケット5と同軸に配設された上部スプロケット6と、主枠2内の下部階床部分に配設された下部スプロケット7と、を備えている。さらにエスカレータ1は、上部スプロケット6及び下部スプロケット7に無端状に巻き掛けられた踏段鎖10と、踏段鎖10に沿って乗り口38と降り口39との間に配設された無端状の踏段レール12と、踏段鎖10に連結された多数の踏段20と、主枠2の両側に踏段20を挟むように対向して立設された欄干36と、エスカレータ1の運転全般を制御するエスカレータ制御盤35と、踏段20のそれぞれに配設された照明装置40と、を備えている。
【0010】
そして、踏段鎖10及び踏段20は、駆動モータ3aの駆動により駆動スプロケット5とともに回転する上部スプロケット6の回転に連動して循環走行する。ここでは、踏段鎖10は、下階側の乗り口38から上階側の降り口39に利用者を運搬する方向に循環走行しているものとする。また、踏段20の走行方向に垂直かつ水平な方向を踏段20の横幅方向とする。
【0011】
まず、踏段20の構成について説明する。
図2〜図4において、踏段20は、一対の踏段ブラケット21、一対の踏段ブラケット21の間を架け渡すように固定された踏板22並びにライザ27、一対の踏段ブラケット21に両端側を支持された駆動輪軸29、一対の踏段ブラケット21のそれぞれに支持された一対の追従輪軸30a,30b、駆動輪軸29の両端にそれぞれ装着された駆動輪32a,32b、及び一対の追従輪軸30a,30bのそれぞれに装着された追従輪33a、33bを備えている。ここで、駆動輪32a,32b、及び追従輪33a,33bのそれぞれを車輪とする。
【0012】
一対の踏段ブラケット21のそれぞれは、その外形が略三角形の枠体に形成されている。そして、一対の踏段ブラケット21は、欄干(図示せず)の内側で互いに対向するように配置されている。さらに、踏板22が、両踏段ブラケット21のそれぞれの一辺21a間を架け渡すように取り付けられている。つまり、踏板22の両端が一対の踏段ブラケット21に支持されている。また、ライザ27が、両踏段ブラケット21のそれぞれにおいて踏段20の走行方向(踏段鎖10の走行方向)の後方に位置する他の一辺21b間を架け渡すように取り付けられている。そして、踏板22が利用者を搭載可能に主枠2から露出して走行しているときは、踏板22は水平かつ、最上部に位置するようになっている。
【0013】
また、踏板22は、台板23と表面板24との間に感圧層43が介装された構成を有している。このとき、踏板22は、台板23側が一対の踏段ブラケット21に固定され、表面板24の踏段ブラケット21と反対側の面が踏面となっている。ここで、台板23の踏段ブラケット21側の面を踏板22の裏面とする。
【0014】
そして、矩形形状の開口を有する照射窓26が、踏段20の走行方向前方側(一側)の踏板22の部位に、台板23、感圧層43、及び表面板24をそれぞれ貫いて形成されている。照射窓26は、その長手方向を踏段20の横幅方向に一致させ、踏段20の横幅方向の一側近傍から他側の近傍に至るように形成されている。
【0015】
また、感圧層43は、センサ嵌合窓44aが複数形成されたセンサ嵌合シート44、及びセンサ嵌合窓44aに嵌めこまれた乗降検出手段としての圧電センサ45により構成されている。センサ嵌合窓44aは矩形形状を有し、照射窓26の形成部位より踏段20の走行方向後方側のセンサ嵌合シート44の領域に、踏段20の横幅方向、及び縦幅方向にそれぞれ互いに所定の間隔をあけて2行2列に形成されている。なお、踏段20の縦幅方向は、踏板22の踏面内で踏段20の横幅方向に垂直な方向とする。
【0016】
そして、シート状の圧電センサ45が、センサ嵌合窓44aのそれぞれに嵌めこまれている。また、貫通孔23aが、図3に示されるように、圧電センサ45と対面する台板23の部位の一部に形成されている。そして、一端が圧電センサ45に接続された電線51a,51bのそれぞれの他端側が、貫通孔23aから踏板22の裏面側に引き出されて後述の制御手段60に接続されている。
【0017】
また、駆動輪軸29がその軸方向を踏段20の横幅方向に一致させ、両端のそれぞれが両踏段ブラケット21のそれぞれを貫通して両踏段ブラケット21の側面外方に突出するように両踏段ブラケット21に軸まわりに回転自在に装着されている。また、追従輪軸30a、30bのそれぞれは、軸方向を踏段20の横幅方向に一致させ、踏段ブラケット21のそれぞれを貫通するように踏段ブラケット21にそれぞれ軸まわりに回転自在に装着されている。このとき、駆動輪軸29は踏段20の走行方向一側に、追従輪軸30a,30bは踏段20の走行方向他側に取り付けられている。また、駆動輪軸29の両端間の長さは、追従輪軸30a,30bの踏段ブラケット21の側面外方の端部間の間隔より長くなっている。
【0018】
そして、一対の駆動輪32a,32bが駆動輪軸29の両端に駆動輪軸29に同軸に取り付けられている。さらに、駆動輪軸29は、駆動輪32a,32b近傍の部位で踏段鎖10に軸支されている。これにより、駆動輪32a,32bは、踏段鎖10の走行に連動して移動する。
また、一対の追従輪33a、33bが、追従輪軸30a,30bのそれぞれの踏段ブラケット21の側面外方側の端部に両追従輪軸30a,30bに同軸に取り付けられている。
【0019】
次いで、踏段レール12について説明する。
踏段レール12は、一対の駆動レール13A,13B及び一対の追従レール14A,14Bを有し、長手方向に垂直な断面がL字状にそれぞれ形成されている。
一対の駆動レール13A,13Bは、互いの間の間隔を一対の駆動輪32a,32bの間隔に対応させ、踏段20に沿って無端状に延設されている。このとき、駆動レール13A,13BのそれぞれのL字の一辺13aが相対し、かつ、L字の他辺13bのそれぞれが一辺のそれぞれの下端から相対する駆動レール13A,13B側に向かって延出している。そして、駆動輪32a,32bのそれぞれが断面L字の他辺13b上を転動しつつ、踏段鎖10の走行に連動して走行するようになっている。
【0020】
一対の追従レール14A,14Bは、互いの間の間隔を一対の追従輪33a,33bの間隔に対応させ、踏段20に沿って無端状に延設されている。このとき、追従レール14A,14BのL字の一辺14aのそれぞれが相対し、かつ、L字の他辺14bのそれぞれが一辺14aの下端から相対する追従レール14A,14B側に向かって延出している。そして、駆動輪32a,32bが転動すると、追従輪33a,33bも駆動輪32a,32bの転動に追従してL字の他辺14b上を転動し、踏段20が乗り口38と降り口39との間を循環走行する。
【0021】
次いで、照明装置40の詳細について説明する。
図2〜図5において、照明装置40は、照明カバー41と、圧電センサ45と、一方の追従輪軸30aに取り付けられた発電機42と、それぞれ踏板22の裏面に固定された制御手段60、バッテリー49、第1のスイッチ手段52A、第2のスイッチ手段52B、及び照明手段としてのLEDモジュール47と、を有している。
【0022】
そして、照明カバー41は透光性を有する樹脂により形成され、照射窓26に隙間なく嵌めこまれている。また、発光ダイオードモジュール47(LEDモジュール47)は、図3に示されるように、照明カバー41の裏面に配設されている。さらに、LEDモジュール47は、図5に示されるように、並列に接続された複数のLED48を有し、外部から電力が供給されたときに、LED48のそれぞれが発光(点灯)するようになっている。以下、複数のLED48の点灯及び消灯を、LEDモジュール47の点灯及び消灯とする。そして、複数のLED48は、照射窓26の長手方向に所定の間隔で照明カバー41に向けて光を照射可能に配置されている。また、照明カバー41を透過した光は、散乱して利用者の目に優しい淡い光となる。
【0023】
制御手段60は、図5に示されるように、CPU61、照明装置40を制御するためのプログラムが書き込まれたROM62、各種データを一時的に記憶可能であり、CPU61の演算処理時にワーキングスペースに使用されるRAM63、DC−DC変換器65、電圧調整部68、及びこれらを搭載する基板69などを有している。
【0024】
DC−DC変換器65は、電線51cによりバッテリー49に接続され、入力されたバッテリー49の出力電圧を降圧して、CPU61、RAM63及びROM62などの電子部品の定格電圧に一致する電圧を出力するものである。
例えば、バッテリー49は、定格12V出力のものを用い、DC−DC変換器65はバッテリー49からの入力電圧に対して5Vを出力するものを用いている。そして、DC−DC変換器65の出力が、CPU61、ROM62、及びRAM63の電源として用いられている。
【0025】
また、電線51aの他端は、DC−DC変換器65の出力に接続されており、圧電センサ45は、DC−DC変換器65から電力を供給されている。さらに、電線51bの他端は、基板69のパターンを介してRAM62に接続されている。これにより、CPU61は各圧電センサ45の出力電圧を読み取り可能になっている。周知の通り、圧電センサ45は、自身に加圧された圧力に応じて変化する電圧を出力する。ここでは、圧電センサ45は、自身への加圧力が大きくなるほど、言い換えれば、踏板22への加重が大きくなるほど大きな値の電圧を出力する。つまり、圧電センサ45は、利用者の踏段20への乗降を検出することが可能となっている。
【0026】
また、電圧調整部68は、バッテリー49と電線51dにより接続されている。電圧調整部68は、自身に入力されたバッテリー49の電圧をCPU61で読み取り可能な範囲の電圧に変換するものである。そして、電圧調整部68で変換された電圧がRAM63に入力されるようになっている。CPU61は、RAM63を参照して、電圧調整部68の出力を常時読み取っており、バッテリー49の出力電圧の変動を監視している。
【0027】
また、DC−DC変換器65の出力とLEDモジュール47との間が、第1のスイッチ手段52Aを介して電線51e,51fにより接続されている。第1のスイッチ手段52Aは、基板53a、及び基板53aに搭載された第1のトランジスタ54a(第1のTr54a)を有している。
【0028】
このとき、第1のTr54aのコレクタCがDC−DC変換器65の出力に接続され、エミッタEがLEDモジュール47に接続され、ベースBが制御手段60に接続されている。そして、第1のTr54aのベースBに所定電圧以上の電圧(H電圧)が入力されると、第1のTr54aのコレクタCとエミッタEとの間が導通して、LEDモジュール47への給電経路が接続される。また、第1のTr54aのベースBに接地電圧(L電圧)が入力されると、第1のTr54aのコレクタCとエミッタEとの間の導通が遮断される。つまり、LEDモジュール47への給電経路が遮断される。
【0029】
以上のように、第1のスイッチ手段52Aは、LEDモジュール47への通電経路を接続及び遮断可能に配設され、第1のTr54aのベースBにH電圧が入力されたときのみバッテリー49から電力を供給されて点灯するようになっている。そして、第1のTr54aのベースBは制御手段60に電線51gにより接続されている。これにより、CPU61はベースBの電圧をH電圧からL電圧またはL電圧からH電圧に切り替えることが可能になっている。
【0030】
発電機42は、追従輪軸30aの回転に連動して回転可能に追従輪軸30aに同軸に固定された図示しない発電用プーリを有している。そして、発電機42は、追従輪33aの回転トルクにより駆動されて発電するようになっている。そして、発電機42とバッテリー49との間は、第2のスイッチ手段52Bを介して電線51h,51iにより接続されている。また、第2のスイッチ手段52Bは、図5に示されるように、基板53b、及び基板53bに搭載されたNPN型の第2のトランジスタ54b(第2のTr54b)を有している。
【0031】
このとき、第2のTr54bのコレクタCが発電機42に接続され、エミッタEがバッテリー49に接続され、ベースBが制御手段60に接続されている。そして、第2のTr54bのベースBに所定電圧以上の電圧(H電圧)が入力されると、第2のTr54bのコレクタCとエミッタEとの間が導通して、発電機42からバッテリー49への給電経路が接続される。また、第2のTr54bのベースBに接地電圧(L電圧)が入力されると、第2のTr54bのコレクタCとエミッタEとの間が遮断する。つまり、発電機42からバッテリー49への給電経路が遮断される。
【0032】
以上のように、第2のスイッチ手段52Bは、バッテリー49への給電経路を接続または遮断可能に配設され、第2のTr54bのベースBにH電圧が入力されたときのみに、発電機42により発電された電力がバッテリー49に充電される。そして、第2のTr54bのベースBは制御手段60に電線51jにより接続され、CPU61はベースBの電圧をH電圧からL電圧またはL電圧からH電圧に切り替えることが可能になっている。
【0033】
さらに、発電機42と制御手段60との間が電線51kにより接続されており、CPU61は、発電機42の出力電圧を読み取り可能になっている。
【0034】
次いで、各踏段20に設置された照明装置40の一つの動作について図6〜図8を参照しつつ説明する。
なお、図6〜図8中、ステップ101〜ステップ104、ステップ201〜ステップ206及びステップ301〜ステップ304のそれぞれを説明の便宜上S101〜S104、S201〜S206及びS301〜S304と記す。
【0035】
まず、CPU61による走行フラグのON/OFFの切り替え動作について図6を参照しつつ説明する。走行フラグはRAM63の一部の記憶領域に設けられ、踏段20が走行しているときにCPU61によりONとされるものである。
ステップ101で、CPU61は発電機42の出力電圧が以下に説明する走行判断値以上であるか否かを判断する。
【0036】
ここで、踏段20の走行速度に対し、追従輪33aの転動速度が一対一に対応し、追従輪33aの転動速度に対して発電機42の出力電圧が一対一に対応する。つまり、踏段20がエスカレータの保守者により設定された走行速度(通常の走行速度)で走行する場合、所定の電圧値が発電機42から出力される。そして、踏段20の走行速度の制御は、エスカレータ制御盤35が駆動モータ3aのトルクを制御することによりなされている。そして、走行判断値は、エスカレータ制御盤35による走行速度の制御の精度などを考慮したときに想定される発電機42の出力電圧の最小値よりやや小さい値に設定している。
【0037】
ステップ101で、CPU61は発電機42の出力電圧が走行判断値以上でないと判断した場合、踏段20が走行していないと判断してステップ101を繰り返す。
ステップ101で、CPU61は発電機42の出力電圧が走行判断値以上であると判断した場合、踏段20の走行によって発電機42の発電が開始されたものと判断し、走行フラグをONとする(ステップ102)。
【0038】
ステップ103で、CPU61は、発電機42の出力電圧が走行判断値以上であるか否かを再び判断する。
ステップ103で、CPU61は発電機42の出力電圧が走行判断値以上と判断した場合、踏段20は走行し続けていると判断し、ステップ103を繰り返す。
ステップ104で、CPU61は発電機42の出力電圧が走行判断値以上でないと判断した場合、エスカレータ1の稼働が停止したものと判断し、走行フラグをOFFとし(ステップ104)ステップ101に戻る。
【0039】
次いで、CPU61によるバッテリー49の充電の開始と停止の切り替え動作について図7を参照しつつ説明する。初期状態において、バッテリー49は所定電圧以上(例えば、11.5V以上)出力するように充電されており、CPU61は、第2のTr54bのベースBへの出力電圧をL電圧にしてバッテリー49への給電経路を遮断し、バッテリー49の充電動作を停止させている。
【0040】
ステップ201で、CPU61は、バッテリー49の出力電圧が以下に説明する下限電圧値以下になったか否かを判断する。
下限電圧値は、バッテリー49の出力が、過放電時の出力電圧(例えば、10.5V)より大きく、かつ過充電時(例えば12.5V)の電圧より余裕をもって小さくなるように設定している。また、下限電圧値は、DC−DC変換器65の定格入力電圧の最小値より大きな値となっている。
【0041】
ステップ201で、CPU61は、バッテリー49の出力電圧が下限電圧値以下でないと判断した場合、ステップ201を繰り返す。
ステップ201で、CPU61は、バッテリー49の出力電圧が下限電圧値以下になったと判断した場合、走行フラグがONか否かを判断し(ステップ202)、ステップ203に進む。
ステップ202で、CPU61は走行フラグがONでないと判断した場合、ステップ201に戻る。
【0042】
ステップ202でCPU61は走行フラグがONであると判断した場合、第2のTr54bのベースBへの出力電圧をHにしてバッテリー49への給電経路を接続し、バッテリー49の充電を開始させる(ステップ203)。
【0043】
ステップ204で、CPU61は、バッテリー49の出力電圧が以下に説明する上限電圧値に達したか否かを判断する。
上限電圧値は、過充電時のバッテリー49の出力電圧(例えば、12.5V)より小さく、かつ下限電圧値より大きな値の範囲内で適宜設定されるものである。
【0044】
ステップ204で、CPU61はバッテリー49の出力電圧が上限電圧値に達していないと判断すると、再び走行フラグがONか否かを判断する(ステップ205)。
ステップ205で、CPU61は、走行フラグがONであると判断した場合、ステップ204に戻る。
ステップ205で、CPU61は、走行フラグがONでないと判断した場合、ステップ206に進む。
【0045】
ステップ204で、CPU61はバッテリー49の出力電圧が上限電圧値に達したと判断した場合、第2のTr54bのベースBへの出力電圧をL電圧にしてバッテリー49への給電経路を遮断し、バッテリー49の充電を停止させ(ステップ206)、ステップ201に戻る。
【0046】
次いで、CPU61による、LEDモジュール47の点灯と消灯の切り替え動作について説明する。
初期状態では、利用者が踏段20に乗っておらず、このとき、CPU61は、第1のTr54aのベースBへの出力電圧をL電圧にしてLEDモジュール47を消灯させているものとする。
【0047】
ステップ301で、CPU61は、圧電センサ45の電圧出力が、以下に説明する乗車判断値以上であるか否かを判断する。乗車判断値は、例えば、小さな子供が踏板22に乗ったときの圧電センサ45の出力よりやや小さな値として設定する。
【0048】
ステップ301で、CPU61は圧電センサ45の出力電圧が、乗車判断値以上でないと判断した場合、利用者が踏板22に乗っていないと判断し、ステップ301を繰り返す。
【0049】
ステップ301で、CPU61は圧電センサ45の出力電圧が、乗車判断値以上であると判断した場合、利用者が踏板22に乗ったと判断し、第1のTr54aのベースBへの出力電圧をH電圧にしてLEDモジュール47への給電経路を接続し、LEDモジュール47を点灯させる(ステップ302)。これにより、踏板22の踏面が、照射窓26(照明カバー41)を透過したLEDモジュール47からの光によって照らされる。
【0050】
ステップ303で、CPU61は圧電センサ45の出力電圧が、乗車判断値以上であるか否かを再び判断する。
ステップ303で、CPU61は圧電センサ45の出力電圧が、乗車判断値以上であると判断した場合、利用者が踏段20に乗ったままであるとみなしてステップ303を繰り返す。
ステップ303で、CPU61は圧電センサ45の出力電圧が、乗車判断値以上でないと判断すると、利用者が踏段20から降りたとみなして第1のTr54aのベースBへの出力電圧をL電圧にして、LEDモジュール47を消灯させ(ステップ304)ステップ301に戻る。
【0051】
この発明によれば、発電機42が、踏段20の追従輪33aの回転トルクにより駆動されて発電を行うように追従輪軸30aに取り付けられ、さらに、バッテリー49が、発電機42が発電した電力により充電されるように踏段20に配設されている。また、LEDモジュール47が、踏板22にあけられた照射窓26から踏板22の踏面を照射するように踏板22の裏面に配設されている。
従って、バッテリー49が、追従輪33aの回転トルクにより駆動されて発電する発電機42の電力により充電され、バッテリー49の電力をLEDモジュール47に供給してLEDモジュール47を点灯させているので、踏板22を照らすのに必要な電気コストを削減できる。
【0052】
さらに、仮に、商用電源のコンセントからLEDモジュール47に電力を供給しようとした場合、各踏段20と当該コンセントとの間に配線を引き回す必要がある。しかし、この発明では、バッテリー49の電力をLEDモジュール47に供給してLEDモジュールを点灯させる構成としたので、移動する各踏段20に対する配線の引き回しを考慮することなく照明装置40を設置できる。
【0053】
また、圧電センサ45が利用者の踏段20への乗降を検出可能に踏板22に配設され、第1のスイッチ手段52Aが、LEDモジュール47への給電経路を接続及び遮断可能に配設されている。そして、利用者が踏段20に乗ったことを圧電センサ45が検出すると、制御手段60が、LEDモジュール47への給電経路を接続するように第1のスイッチ手段52Aを切り替えている。
従って、利用者が踏板22に乗ると同時に、LEDモジュール47が点灯するので、利用者の注意が足元に向き、例えば、隣接する踏板22とライザ27の間に荷物が挟まったりすることが効果的に抑制できる。
【0054】
また、バッテリー49は、一般的に過放電及び過充電が繰り返されると寿命が短くなることが知られている。この発明では、制御手段60が、バッテリー49の出力電圧が上限電圧値になるとバッテリー49の充電動作を停止させ、バッテリー49の出力電圧が下限電圧値となると、バッテリー49の充電動作を再開するように制御している。したがって、バッテリー49が過充電と過放電の状態になることが回避できるので、バッテリー49の寿命を延ばすことができる。
【0055】
なお、この実施の形態では、第1のスイッチ手段52A及び第2のスイッチ手段52Bは、制御手段60と別体の配設するものとして説明したが、第1のスイッチ手段52A及び第2のスイッチ手段52Bは、制御手段60と一体に設けてもよい。
【0056】
また、乗降検出手段は圧電センサ45であるものとして説明したが、踏段20への利用者の乗降を検出できるものであれば、乗降検出手段は、他の検出手段であってもよい。
【0057】
また、乗客コンベアはエスカレータ1であるものとして説明したが、乗客コンベアはエスカレータ1であるものに限定されず、動く歩道であっても本発明を適用できる。
また、照明手段はLEDモジュール47であるものとして説明したが、照明手段はLEDモジュール47に限定されず、電球などでもよい。
また、発電機42は、追従輪軸30aに配設されるものとして説明したが、発電機42は、例えば駆動輪軸29に配設するものなど、車輪としての駆動輪32a,32b並びに追従輪33a,33bの回転トルクにより駆動されて発電するように、踏段20に取り付けられていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置を備えるエスカレータの模式図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置が配設された踏段の一部破断上面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視断面図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置のシステム構成図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行う走行フラグのON/OFFの切り替え動作を説明するフロー図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行うバッテリーの充電の開始と停止の切り替え動作を説明するフロー図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段の照明装置の制御手段が行うLEDモジュールの点灯と消灯の切り替え動作を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0059】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、12 踏段レール、20 踏段、21 踏段ブラケット、22 踏板、26 照射窓、32a,32b 駆動輪(車輪)、33a,33b 追従輪(車輪)、38 乗り口、39 降り口、40 照明装置、42 発電機、45 圧電センサ(乗降検出手段)、47 LEDモジュール(照明手段)、49 バッテリー、52A 第1のスイッチ手段、52B 第2のスイッチ手段、60 制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏板、該踏板の両端を支持する一対の踏段ブラケット、及び該踏段ブラケットに装着された車輪を備え、該車輪を乗り口と降り口との間に配設された無端状の踏段レール上を転動させて該乗り口と該降り口との間を循環走行する乗客コンベアの踏段の照明装置において、
上記踏段に配設され、上記車輪の回転トルクにより駆動されて発電する発電機と、
上記踏段に配設され、上記発電機の電力により充電されるバッテリーと、
上記バッテリーからの電力の供給により発光し、上記踏板にあけられた照射窓から該踏板の踏面を照射する照明手段と、
を備えることを特徴とする乗客コンベアの踏段の照明装置。
【請求項2】
上記踏板に配設され、利用者の上記踏段への乗降を検出する乗降検出手段と、
上記照明手段への給電経路を接続及び遮断可能に配設された第1のスイッチ手段と、
上記利用者が該踏段に乗ったことを上記乗降検出手段が検出すると、上記照明手段への給電経路を接続するように上記第1のスイッチ手段を切り替える制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの踏段の照明装置。
【請求項3】
上記バッテリーへの給電経路を接続または遮断可能に配設された第2のスイッチ手段を備え、
上記制御手段は、上記バッテッリーの出力が、過放電時の出力電圧より大きく、かつ過充電時の出力電圧より小さな下限電圧値以下になると上記バッテリーへの給電経路を接続し、上記バッテリーの出力電圧が、過充電時の出力電圧より小さく、かつ上記下限電圧値より大きい上限電圧値に達したときに上記バッテリーへの給電経路を遮断するように上記第2のスイッチ手段を切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の乗客コンベアの踏段の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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