説明

乗用型田植機

【課題】 乗用型田植機において、苗植付装置の前部に整地装置を支持した場合、植付設定高さを変更しても(設定深さを変更しても)、田面から整地装置までの高さ(整地深さ)が変化しないように構成する。
【解決手段】 整地装置53を苗植付装置の前部に昇降自在に支持し、整地装置53を苗植付装置に対して昇降駆動するアクチュエータ56を備える。苗植付装置の植付設定高さA1の変更に基づいて、整地装置53が田面Gから整地設定高さA2に維持されるようにアクチュエータ56を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗用型田植機において、田面の整地(代掻き)の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型田植機では例えば特許文献1に開示されているように、苗植付装置(特許文献1の図1及び図2の7)の前部に、整地装置(特許文献1の図1,2,3の24)を支持したものがあり、整地装置を田面に接地した状態で左右方向の横軸芯周りに回転駆動することにより田面を整地する。
【0003】
【特許文献1】特許第2977455号公報(図1,2,3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用型田植機では一般に、機体の後部に苗植付装置が昇降自在に支持されており、苗植付装置を機体に対して昇降駆動する昇降機構、田面から苗植付装置までの高さを検出する高さセンサー(フロート等)、高さセンサーの検出値に基づいて苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる植付制御手段を備えている。これにより、機体の姿勢変化に関係なく苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されて、苗植付装置による苗の植付深さが設定深さに維持される。
この場合、植付設定高さが人為的に変更可能に構成されており、植付設定高さを高側に変更することにより(設定深さを浅側に変更することにより)、苗植付装置による苗の植付深さが浅くなり、植付設定高さを低側に変更することにより(設定深さを深側に変更することにより)、苗植付装置による苗の植付深さが深くなる。
【0005】
このような乗用型田植機において、特許文献1のように苗植付装置の前部に整地装置を支持した場合、高さセンサーの検出値に基づいて苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されるように昇降機構が作動すると、苗植付装置と一緒に整地装置が昇降するので、前述のように植付設定高さを変更すると(設定深さを変更すると)、田面から整地装置までの高さ(整地深さ)が変化してしまう。
本発明は乗用型田植機において、苗植付装置の前部に整地装置を支持した場合、植付設定高さを変更しても(設定深さを変更しても)、田面から整地装置までの高さ(整地深さ)が変化しないように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型田植機において次のように構成することにある。
機体の後部に苗植付装置を昇降自在に支持し、苗植付装置を機体に対して昇降駆動する昇降機構と、田面から苗植付装置までの高さを検出する高さセンサーと、高さセンサーの検出値に基づいて苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる植付制御手段と、植付設定高さを人為的に変更可能な植付設定手段とを備える。田面に接地した状態で左右方向の横軸芯周りに回転駆動されることにより田面を整地する整地装置を、苗植付装置の前部に昇降自在に支持し、整地装置を苗植付装置に対して昇降駆動するアクチュエータを備える。植付設定高さの変更に基づいて、整地装置が田面から整地設定高さに維持されるように、アクチュエータを作動させる整地制御手段を備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されている状態(整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持されている状態)において、植付設定高さを高側に変更することにより(設定深さを浅側に変更することにより)、田面から苗植付装置までの高さが高くなると、苗植付装置に対して整地装置がアクチュエータにより自動的に下降駆動されて(苗植付装置に対する整地装置の高さが自動的に下方に変更されて)、整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持される。
【0008】
逆に、苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されている状態(整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持されている状態)において、植付設定高さを低側に変更することにより(設定深さを深側に変更することにより)、田面から苗植付装置までの高さが低くなると、苗植付装置に対して整地装置がアクチュエータにより自動的に上昇駆動されて(苗植付装置に対する整地装置の高さが自動的に上方に変更されて)、整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持される。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、乗用型田植機において、苗植付装置の前部に整地装置を支持した場合、植付設定高さの変更に伴って(設定深さの変更に伴って)、苗植付装置に対して整地装置がアクチュエータにより自動的に昇降駆動され、整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持されるようになって、植付設定高さの変更に関係なく(設定深さの変更に関係なく)、整地装置の整地機能を安定して発揮させることができるようになり、整地装置の整地性能を向上させることができた。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
整地設定高さを人為的に変更可能な整地設定手段を備える。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、前項[I]に記載のように、整地装置が田面から整地設定高さ(整地深さ)に維持される状態において、運転者が整地設定高さを変更することにより、田面の状態や苗植付装置の状態に応じて、整地装置の整地機能を強弱に変更することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、田面の状態や苗植付装置の状態に応じて、整地装置の整地機能を強弱に変更することができるようになって、整地装置の整地性能を向上させることができた。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
植付制御手段の作動感度を変更する感度設定手段を備える。感度設定手段により植付制御手段の作動感度が敏感側に変更されると、整地設定高さを高側に変更し、感度設定手段により植付制御手段の作動感度が鈍感側に変更されると、整地設定高さを低側に変更する感度補助手段を備える。
【0014】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、高さセンサーの検出値に基づいて苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる植付制御手段を備えた場合、植付制御手段の作動感度を変更する感度設定手段を備えることが多くある。一般に、田面に水が比較的多く泥が柔らかい場合には、田面が比較的平坦な状態なので、植付制御手段の作動感度を敏感側に設定して、苗植付装置が田面に敏感に追従していくようにする。逆に田面に水が比較的少なく泥が硬い場合には、田面が比較的凹凸のある状態なので、植付制御手段の作動感度を鈍感側に設定して、苗植付装置が田面にあまり敏感に追従していかないようにする。
【0015】
本発明の第3特徴によれば、植付制御手段の作動感度が敏感側に変更されると、整地設定高さが自動的に高側に変更されるのであり、整地装置の整地深さが浅側に変更される(整地装置の整地機能が弱側に変更される)。これにより、田面に水が比較的多く泥が柔らかい状態(田面が比較的平坦な状態)において、整地装置により田面を不必要に整地してしまったり、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態を少なくすることができる。
逆に植付制御手段の作動感度が鈍感側に変更されると、整地設定高さが自動的に低側に変更されるのであり、整地装置の整地深さが深側に変更される(整地装置の整地機能が強側に変更される)。これにより、田面に水が比較的少なく泥が硬い状態(田面が比較的凹凸のある状態)において、整地装置により田面の泥が砕かれ、比較的凹凸のある田面が積極的に整地される。
【0016】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、植付制御手段の作動感度の変更に伴って、整地設定高さが自動的に変更されるように構成することにより、田面の状態に応じて整地装置の整地機能を適切に発揮させることができるようになって、整地装置の整地性能を向上させることができた。
【0017】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴の乗用型田植機のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備える。走行速度検出手段によって検出された機体の走行速度が高速側になると、整地設定高さを高側に変更し、走行速度検出手段によって検出された機体の走行速度が低速側になると、整地設定高さを低側に変更する速度補助手段を備える。
【0018】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[III]に記載のように、例えば田面に水が比較的多く泥が柔らかい状態(田面が比較的平坦な状態)の場合、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態になることが考えられるのであり、このような状態は機体の走行速度が高速側になるほど顕著なものになると考えられる。
【0019】
本発明の第4特徴によると、機体の走行速度が高速側になると、整地設定高さが自動的に高側に変更され、整地装置の整地深さが浅側に変更されるので(整地装置の整地機能が弱側に変更されるので)、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態を少なくすることができる。
逆に、機体の走行速度が低速側になると、整地設定高さが自動的に低側に変更され、整地装置の整地深さが深側に変更されるので(整地装置の整地機能が強側に変更されるので)、整地装置の整地機能が維持される。
【0020】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、整地装置の整地機能を適切に維持しながら、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態を少なくすることができるようになって、整地装置の整地性能を向上させることができた。
【0021】
[V]
(構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第4特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
下限整地設定高さを設定可能に構成する。整地設定高さが下限整地設定高さを越えて低側に変更されないように、速度補助手段を構成する。
【0022】
(作用)
本発明の第5特徴によると、本発明の第4特徴と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第5特徴によると、前項[IV]に記載のように、機体の走行速度に応じて整地設定高さが自動的に高側及び低側に変更される場合、整地設定高さが下限整地設定高さを越えて低側に変更されなので、整地設定高さが不必要に低側(整地装置の整地深さが深側)に変更され、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態を少なくすることができる。
【0023】
(発明の効果)
本発明の第5特徴によると、本発明の第4特徴と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「発明の効果」を備えておりこれに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第5特徴によると、整地設定高さが不必要に低側(整地装置の整地深さが深側)に変更され、機体の進行に伴って整地装置により田面の泥や水を押し退けてしまうような状態を少なくすることができるようになって、整地装置の整地性能を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3により6条植型式の苗植付装置5が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられて、乗用型田植機が構成されている。
【0025】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,2,4に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンターフロート9及びサイドフロート11、6個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面の各々に備えられた縦送り機構25等を備えて構成されている。左右方向に配置された支持フレーム18に、フィードケース17及び伝動ケース6が連結されており、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1(図3参照)周りにローリング自在に支持されている(苗植付装置5がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。
【0026】
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部が支持部材20を介して支持フレーム18に支持されて、横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。図2及び図3に示すように、支持フレーム18の右及び左の端部に支持部材26が固定され上方に延出されて、支持部材26の上部に亘って支持部材50が固定されており、苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が固定され、支持部材50に支持されたローラー51にガイドレール27が横移動自在に支持されている。
【0027】
図1及び図4に示すように、エンジン49の動力がPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28に伝達され、入力軸28の動力が横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達されており、横送り軸19が回転駆動される。入力軸28の動力が伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、伝動ケース6に備えられた入力軸32に伝達されており、入力軸32の動力がトルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達されている。伝動ケース6に亘って円筒状のカバー60が固定されており、カバー60により伝動軸23が覆われている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図2の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。
【0028】
図2に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面の各々に、ベルト式の縦送り機構25が備えられている。図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出され、縦送り軸36の端部が支持部材37を介して支持フレーム18に支持されて、入力軸28の動力により縦送り軸36が回転駆動されており、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが固定されている。6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられており、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に位置している。これにより、苗のせ台10が往復横送り駆動の右又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下方に送られる。
【0029】
図1及び図2に示すように、運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12及び2つの植付条に対応した3個の繰り出し部13が備えられており、運転座席31の下側にブロア14が備えられている。センターフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が固定されて、6個の作溝器15が備えられており、繰り出し部13と作溝器15とに亘って6本のホース16が接続されている。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給されるのであり、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。
【0030】
図4に示すように、6つの植付条(6組の植付アーム8)において、2つの植付条毎に少数条クラッチ24、入力部の動力を縦送り機構25に伝動及び遮断自在な縦送りクラッチ(図示せず)、繰り出し部13を駆動及び停止自在な繰り出しクラッチ(図示せず)が備えられている。これにより、右の2つの植付条の少数条クラッチ24、縦送りクラッチ及び繰り出しクラッチを遮断操作したり、左の2つの植付条の少数条クラッチ24、縦送りクラッチ及び繰り出しクラッチを遮断操作したり、右及び中央の4つの植付条の少数条クラッチ24、縦送りクラッチ及び繰り出しクラッチを遮断操作したり、左及び中央の4つの植付条の少数条クラッチ24、縦送りクラッチ及び繰り出しクラッチを遮断操作したりすることができる。
【0031】
[2]
次に、苗植付装置5の植付制御手段について説明する。
図2,5,6に示すように、伝動ケース6の下部の横軸芯P4周りに支持軸41が回転自在に支持され、支持軸41に固定された支持アーム41aが後方に延出されており、支持アーム41aの後端の横軸芯P5周りに、センターフロート9及びサイドフロート11の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付設定高さレバー42(植付設定手段に相当)が支持軸41に固定されて前方上方に延出されており、支持フレーム18に固定されたレバーガイド43に植付設定高さレバー42が挿入されている。
【0032】
図5及び図6に示すように、植付設定高さレバー42により支持軸41及び支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を上下に変更することによって、後述する植付設定高さA1(設定深さ)(図9参照)を変更することができるのであり、植付設定高さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を固定して、植付設定高さA1(設定深さ)を設定することができる。
【0033】
図5及び図9に示すように、支持フレーム18にポテンショメータ44が固定され、支持軸41に連結されたアーム41bが上方に延出されて、ポテンショメータ44の検出アーム44aと支持軸41のアーム41bとが係合しており、ポテンショメータ44の検出値が制御装置40に入力されている。ポテンショメータ44により支持軸41の角度を検出することにより、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を検出することができるのであり、前述のように植付設定高さレバー42により植付設定高さA1(設定深さ)を設定した場合、ポテンショメータ44の検出値により植付設定高さA1(設定深さ)が制御装置40に認識される。
【0034】
図5,6,9に示すように、センターフロート9の上方において支持フレーム18にブラケット45が固定され、ブラケット45にポテンショメータ68(高さセンサーに相当)が固定されており、ポテンショメータ68の検出アーム68aとセンターフロート9の前部とに亘ってロッド69が接続されている。ポテンショメータ68の検出アーム68aを下方に付勢するバネ86が備えられて、バネ86によりセンターフロート9の前部が下方に付勢されており、ポテンショメータ68の検出値が制御装置40に入力されている。人為的に操作可能なダイヤル式の感度設定スイッチ70(感度設定手段に相当)が備えられており、感度設定スイッチ70の操作位置が制御装置40に入力されている。
【0035】
図6及び図9に示す状態は、植付設定高さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を設定した状態であり、ポテンショメータ44の検出値に基づいて、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置に対応した植付設定高さA1(設定深さ)が、ポテンショメータ68の検出値に対して設定された状態である。この状態において、例えばセンターフロート9の底面が水平となるポテンショメータ68の検出値が、植付設定高さA1(設定深さ)に対応する設定検出値B1として設定される。
【0036】
図6及び図9に示す状態において、センターフロート9が田面Gに接地追従するのに対して、苗植付装置5が上下動すると、これに伴って田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が変化しようとする。これにより、田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、ポテンショメータ68により検出されて、ポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))となるように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁71が制御装置40により操作され、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される(植付制御手段)。
【0037】
図6及び図9に示すように、植付設定高さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を変更すると、これに伴いポテンショメータ44の検出値に基づいて、例えばセンターフロート9の底面が水平となるポテンショメータ68の検出値が、植付設定高さA1(設定深さ)に対応する設定検出値B1として新たに設定されるのであり、これによって苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さを変更することができる。
【0038】
この場合、感度設定スイッチ70により設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))を少し変更することができる。感度設定スイッチ70を敏感側及び鈍感側の中央の中立位置Nに操作していると、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))に変更はない(植付設定高さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を設定した状態で、横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置に対応した設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が設定された状態)。
【0039】
感度設定スイッチ70を中立位置Nから敏感側に操作すると、図9に示す設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し低側に変更される。これによって、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))でのセンターフロート9の底面が少し下向きとなり、センターフロート9の田面Gへの接地面積が大きくなって、センターフロート9が田面Gに敏感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降駆動が敏感なものに設定される(植付制御手段の作動感度が敏感側に変更された状態に相当)。
【0040】
感度設定スイッチ70を中立位置Nから鈍感側に操作すると、図9に示す設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が、感度設定スイッチ70の操作位置に対応して少し高側に変更される。これによって、植付設定高さA1(設定深さ)でのセンターフロート9の底面が少し上向きとなり、センターフロート9の田面Gへの接地面積が小さくなって、センターフロート9が田面Gに鈍感に追従するようになるので、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降駆動が鈍感なものに設定される(植付制御手段の作動感度が鈍感側に変更された状態に相当)。
【0041】
[3]
次に、苗植付装置5のローリング制御手段について説明する。
前項[1]の記載及び図3に示すように、フィードケース17がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている(苗植付装置5がリンク機構3の後部下部の前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。図3及び図9に示すように、フィードケース17に傾斜センサー48が固定されて、水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48によって検出されており、傾斜センサー48の検出値が制御装置40に入力されている。
【0042】
図3に示すように、リンク機構3の後部上部にローリング機構46が備えられており、ローリング機構46は、左右方向に押し引き操作される一対のワイヤ46a、ワイヤ46aを押し引き駆動するギヤ機構(図示せず)及び電動モータ46bを備えて構成されている。ガイドレール27の右及び左の端部にブラケット27aが固定されて、ローリング機構46に固定されたアーム46cとガイドレール27のブラケット27aとに亘って、バネ47が接続されており、ローリング機構46のワイヤ46aと支持部材50の右及び左側部とに亘ってバネ39が接続されている。
【0043】
これにより、前項[1]及び図3に示すように、苗のせ台10が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされるのであり、苗のせ台10が右(左)に横送り駆動されると、右(左)のバネ47が引き延ばされて、右(左)のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右への傾斜が抑えられる。水平面(田面G)に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度が傾斜センサー48により検出されて、苗植付装置5が水平に維持されるように(田面Gと左右方向で平行に維持されるように)、制御装置40によりローリング機構46の電動モータ46bが作動操作され、ローリング機構46のワイヤ46aが押し引き駆動されて、苗植付装置5が前後軸芯P1周りにローリング駆動される(ローリング制御手段)。
【0044】
[4]
次に、植付制御手段及びローリング制御手段の作動及び停止について説明する。
図1に示すように、運転座席31の右横側に昇降レバー73が備えられており、昇降レバー73は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されている。昇降レバー73を上昇位置に操作すると、苗植付装置5(PTO軸22)に動力を伝達する植付クラッチ(図示せず)が遮断状態に操作され、前項[2][3]に記載の植付制御手段及びローリング制御手段が停止した状態で、油圧シリンダ4により苗植付装置5が上昇駆動される。昇降レバー73を中立位置に操作すると、植付クラッチが遮断状態に操作され、前項[2][3]に記載の植付制御手段及びローリング制御制御が停止した状態で、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降駆動が停止する。
【0045】
昇降レバー73を下降位置に操作すると、植付クラッチが遮断状態に操作されて、油圧シリンダ4により苗植付装置5が下降駆動され、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[2][3]に記載の植付制御手段及びローリング制御手段が作動する。昇降レバー73を植付位置に操作すると、前述の昇降レバー73を下降位置に操作した状態に加えて、植付クラッチが伝動状態に操作される。
【0046】
[5]
次に、整地装置53について説明する。
図2,3,4,8に示すように、支持フレーム18の左の端部にボス部材64が固定され、ボス部材64と左の伝動ケース6とに亘って円筒部材74が固定されており、伝動軸23及び入力軸32の横軸芯P2周りに、伝動ケース81がボス部材64に上下に揺動自在に支持されている。支持フレーム18の右の端部にブラケット82が固定されて、ブラケット82の横軸芯P2(伝動軸23及び入力軸32の横軸芯P2)周りに、支持アーム83が上下に揺動自在に支持されており、伝動ケース81及び支持アーム83に亘って駆動軸61が回転自在に支持されている。
【0047】
図7に示すように、合成樹脂により一体的に成形された小幅の回転体62が備えられている。回転体62はボス部62a、ボス部62aに形成された断面正方形状の取付孔62b、ボス部62aに接続されたフランジ部62c、フランジ部62cの外周部に接続された凸状の整地部62dを備えて構成されている。駆動軸61も回転体62の取付孔62bと同じ断面正方形状に構成されている。図3,4,8に示すように、多数の回転体62のボス部62a(取付孔62b)に駆動軸61が挿入されて、回転体62が駆動軸61に固定されており、駆動軸61にスペーサ63が外嵌されて回転体62の位置が決められている。
【0048】
図2,3,4に示すように、伝動ケース81及び支持アーム83にブラケット65が連結され、伝動ケース81及び支持アーム83の外側に位置するように、合成樹脂製のカバー66が伝動ケース81及び支持アーム83のブラケット65に固定されている。伝動ケース81及び支持アーム83のブラケット65に亘って丸パイプ状の支持フレーム67が固定されており、合成樹脂製のカバー66が支持フレーム67に固定されている。カバー66は比較的軟質の薄板状で、回転体62の後方に位置しており、回転体62の外周部の下端部とカバー66の下端部とが略同じ高さに位置している。
【0049】
以上のように、図2,3,4に示すように、駆動軸61、回転体62、カバー66、支持フレーム67、伝動ケース81及び支持アーム83等により整地装置53が構成されている。苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート11)の前部に整地装置53が支持されて、後輪2の後方に整地装置53が配置されており、伝動ケース81及び支持アーム83が横軸芯P2周りに上下に揺動することによって、整地装置53が苗植付装置5に前部に昇降自在に支持されている。
【0050】
[6]
次に、整地装置53の駆動構造及び昇降駆動構造について説明する。
図8に示すように、円筒状の連結部材76により伝動軸75が入力軸32に連結され、伝動軸75がボス部材64及び円筒部材74、伝動ケース81の内部に配置されている。伝動ケース80の内部において、伝動軸75にスプロケット78が相対回転自在に外嵌され、駆動軸61にスプロケット79が連結されて、スプロケット78,79に亘って伝動チェーン80が巻回されており、伝動軸75とスプロケット78との間にトルクリミッター77が備えられている。
【0051】
図8に示すように、トルクリミッター77は、スプライン構造により伝動軸75と一体回転及びスライド自在に外嵌された咬合部材77a、咬合部材77aをスプロケット78との咬合側に付勢するバネ77b、バネ77bを受けるバネ受け部材77cを備えて構成されており、通常はトルクリミッター77の咬合部材77aがスプロケット78に咬合して、スプロケット78が伝動軸75に固定された状態となっている。
【0052】
これにより、前項[1]、図4及び図8に示すように、エンジン49の動力がPTO軸22を介して、入力軸28、伝動チェーン30、伝動軸23及び入力軸32に伝達されると、入力軸32の動力が伝動軸75、トルクリミッター77及び伝動チェーン80を介して駆動軸61(整地装置53)に伝達されて、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)が図6の紙面半時計方向に回転駆動される。駆動軸61や回転体62(整地装置53)に石等の異物が み込まれるなどして、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)に大きな負荷が発生すると、トルクリミッター77の咬合部材77aがバネ77bに抗してスプロケット78から図8の紙面右方に離れて、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)への動力が遮断される。
【0053】
図2,3,6に示すように、リンク機構3の左隣に位置するように、支持フレーム52が支持フレーム18に固定され、支持フレーム52の横軸芯P3周りに扇型の昇降ギヤ54が上下に揺動自在に支持されており、ピニオンギヤ55aを備えたギヤ機構55及びギヤ機構55を駆動する電動モータ56(アクチュエータに相当)が支持フレーム52に固定され、ギヤ機構55のピニオンギヤ55aが昇降ギヤ54に咬合している。駆動軸61(整地装置53)の中央部において、ボス部材57がベアリングにより相対回転自在に駆動軸61(整地装置53)に外嵌されており、昇降ギヤ54とボス部材57とに亘ってロッド58が接続されている。伝動ケース81及び支持アーム83のブラケット65と支持部材26とに亘ってバネ59が接続されており、バネ59の付勢力により整地装置53が上昇側に付勢されている。
【0054】
以上の構造により、図2,3,6に示すように、電動モータ56によりギヤ機構55のピニオンギヤ55aを正逆に回転駆動して、昇降ギヤ54を横軸芯P3周りに上下に揺動駆動することにより、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)を苗植付装置5に対して昇降駆動する。図6及び図9に示すように、ポテンショメータ67が横軸芯P3に位置するように支持フレーム52に固定されて、ポテンショメータ67と昇降ギヤ54とが接続されており、ポテンショメータ67の検出値が制御装置40に入力されている。これにより、ポテンショメータ67によって、支持フレーム52に対する昇降ギヤ54の角度を検出することにより、苗植付装置5に対する整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の高さが検出される。
【0055】
[7]
次に、整地装置53の作動状態及び整地制御手段の前半について説明する。
図6及び図9に示すように、ポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))となるように(田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)となるように)、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動された状態において、ポテンショメータ67により苗植付装置5に対する整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の高さが検出され、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが制御装置40で演算される。
【0056】
図6及び図9に示すように、人為的に操作可能なダイヤル式の整地設定スイッチ84(整地設定手段に相当)が備えられて、整地設定スイッチ84の操作位置が制御装置40に入力されており、整地設定スイッチ84を操作することにより整地設定高さA2(整地深さ)を任意に設定することができる。
【0057】
図6及び図9に示すように、ポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))となるように(田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)となるように)、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動された状態において、整地設定スイッチ84によって整地設定高さA2(整地深さ)を設定すると、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが整地設定高さA2(整地深さ)となるように、制御装置40により電動モータ56が作動操作されて、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して昇降駆動される(整地制御手段に相当)。
【0058】
前項[4]に記載のように、昇降レバー73を植付位置に操作すると、植付制御手段及びローリング制御手段が作動して、植付クラッチが伝動状態に操作される。これにより、前項[2]に記載のように、ポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))となるように(田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)となるように)、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動され、これに伴って田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。前項[3]に記載のように、苗植付装置5及び整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が水平に維持されるように(田面Gと左右方向で平行に維持されるように)、苗植付装置5及び整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が前後軸芯P1周りにローリング駆動される。
【0059】
昇降レバー73を植付位置に操作すると、前述のように昇降制御機能及びローリング制御機能が作動するのに加えて、図4に示すように、エンジン49の動力がPTO軸22、入力軸28及び横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達され、入力軸28の動力が伝動チェーン30、伝動軸23、入力軸32、トルクリミッター33、伝動チェーン34、少数条クラッチ24及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達され、回転ケース7が図2の紙面反時計方向に回転駆動されて、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。
【0060】
これと同時に、図4及び図8に示すように、入力軸32の動力が伝動軸75、トルクリミッター77、伝動チェーン80を介して駆動軸61に伝達されており、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)が図6の紙面半時計方向に回転駆動される。この場合、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)が、機体の走行速度よりも高速で回転駆動される(右及び左の後輪2の外周部の周速度よりも回転体62の外周部の周速度が高速になるように、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)が高速で回転駆動される)。これにより、植付アーム8の前方の田面Gが駆動軸61及び回転体62(整地装置53)によって整地(代掻き)されるのであり、駆動軸61及び回転体62(整地装置53)から後方の苗植付装置5への泥の飛散が、カバー66によって防止される。
【0061】
[8]
次に、整地装置53の整地制御手段の後半及び感度補助手段について説明する。
図9及び前項[2]に記載のように、植付設定高さレバー42により横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を変更して(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さを変更して)、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が新たに設定されると、ポテンショメータ68の検出値が設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))となるように(田面G(センターフロート9)から苗植付装置5までの高さ(植付アーム8による苗の植付深さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)となるように)、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが変化する。
【0062】
この場合、図9に示すように、整地設定スイッチ84により整地設定高さA2(整地深さ)を設定した状態において、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが整地設定高さA2(整地深さ)となるように、制御装置40により電動モータ56が作動操作されて、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して昇降駆動される(整地制御手段に相当)。
【0063】
図9に示すように、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が上側に変更されると(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが浅側に変更されると)、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して下降駆動されて、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。
図9に示すように、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が下側に変更されると(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが深側に変更されると)、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して上昇駆動されて、田面Gから整地装置53(例えば駆動軸61の軸芯の位置)までの高さが整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。
【0064】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を敏感側及び鈍感側の中央の中立位置Nに操作していると、整地設定スイッチ84によって設定された整地設定高さA2(整地深さ)が維持される。感度設定スイッチ70を中立位置Nから敏感側に操作すると、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が少し低側に変更され、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降駆動が敏感なもの設定されることに加えて、整地設定スイッチ84の操作位置に対応した整地設定高さA2(整地深さ)が少し高側に変更される(整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の整地深さが浅くなる状態)(感度補助手段に相当)。
【0065】
図9に示すように、感度設定スイッチ70を中立位置Nから鈍感側に操作すると、設定検出値B1(植付設定高さA1(設定深さ))が少し上側に変更され、油圧シリンダ4による苗植付装置5の昇降駆動が鈍感なものに設定されることに加えて、整地設定スイッチ84の操作位置に対応した整地設定高さA2(整地深さ)が少し低側に変更される(整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の整地深さが深くなる状態)(感度補助手段に相当)。
【0066】
図9に示すように、整地設定スイッチ84を上限位置に操作すると、制御装置40により電動モータ56が作動操作されて、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して上限位置まで昇降駆動される。これにより、植付設定高さレバー42による横軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置の変更に関係なく(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さの変更に関係なく)、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が田面Gから接地しない位置まで上昇駆動された状態となる。
【0067】
[9]
次に、整地切換スイッチ85について説明する。
図9に示すように、人為的に操作可能な整地切換スイッチ85が備えられて、整地切換スイッチ85の操作位置が制御装置40に入力されている。整地切換スイッチ85を入り位置に操作していると、前項[7][8]に記載のように、整地制御手段及び感度補助手段が作動する。
【0068】
図9に示すように、整地切換スイッチ85を切り位置に操作すると、前項[7][8]に記載の整地制御手段及び感度補助手段が停止する。これにより、苗植付装置5に対する整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の高さが、整地設定スイッチ84の操作位置に対応する位置に固定される。この場合に、整地設定スイッチ84を上限位置に操作すると、制御装置40により電動モータ56が作動操作されて、整地装置53(駆動軸61及び回転体62)が苗植付装置5に対して上限位置まで上昇駆動される。
【0069】
[発明の実施の別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、以下に示すような構成を加えてもよい。
走行用として静油圧式無段変速装置(図示せず)が備えられており、図1に示す変速レバー72により静油圧式無段変速装置を操作する。エンジン49のアクセルと変速レバー72とが機械的に連係されており、変速レバー72を高速側に操作するとエンジン49のアクセルも高速側に操作される。これにより、エンジン49の回転数と機体の走行速度とが所定の関係となるので、エンジン49の回転数を検出する回転数センサー(図示せず)を備え、回転数センサーの検出値を制御装置40に入力しており、回転数センサーの検出値により機体の走行速度が制御装置40で算出される(走行速度検出手段に相当)。
【0070】
従って、機体の走行速度が高速になるほど、前項[3]に記載のローリング制御手段による苗植付装置5のローリング駆動が敏感なものに設定され、機体の走行速度が低速になるほど、前項[3]に記載のローリング制御手段による苗植付装置5のローリング駆動が鈍感なものに設定される。
【0071】
前項[7][8]に記載のように、整地設定スイッチ84により整地設定高さA2(整地深さ)が設定された状態において、図10に示すように、機体の走行速度が所定速度V1を越えた範囲で高速側になると、機体の走行速度に対応して整地設定高さA2(整地深さ)が少し高側に変更される(整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の整地深さが浅くなる状態)(速度補助手段に相当)。機体の走行速度が所定速度V1を越えた範囲で低速側になると、機体の走行速度に対応して整地設定高さA2(整地深さ)が少し低側に変更される(整地装置53(駆動軸61及び回転体62)の整地深さが深くなる状態)(速度補助手段に相当)。
【0072】
図10に示すように、機体の走行速度が比較的低速の所定速度V1を越えない低速の状態では、整地設定スイッチ84による整地設定高さA2(整地深さ)が維持される(整地設定スイッチ84による整地設定高さA2(整地深さ)が下限整地設定高さとなり、整地設定高さA2(整地深さ)が下限整地設定高さを越えて低側に変更されない状態に相当)(速度補助手段に相当)。
この場合、整地設定スイッチ84による整地設定高さA2(整地深さ)とは別に、下限整地設定高さを設定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置及び整地装置の側面図
【図3】苗植付装置及び整地装置の正面図
【図4】苗植付装置及び整地装置の平面図
【図5】センターフロート及びサイドフロート等の配置を示す平面図
【図6】整地装置及びセンターフロートの前部の付近の側面図
【図7】整地装置の回転体の全体斜視図
【図8】整地装置の伝動ケースの付近の横断平面図
【図9】制御装置と各部の連係状態を示す図
【図10】発明の実施の別形態において機体の走行速度と整地設定高さとの関係を示す図
【符号の説明】
【0074】
4 昇降機構
5 苗植付装置
42 植付設定手段
53 整地装置
56 アクチュエータ
68 高さセンサー
70 感度設定手段
84 整地設定手段
G 田面
A1 植付設定高さ
A2 整地設定高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に苗植付装置を昇降自在に支持して、
前記苗植付装置を機体に対して昇降駆動する昇降機構と、田面から前記苗植付装置までの高さを検出する高さセンサーと、前記高さセンサーの検出値に基づいて苗植付装置が田面から植付設定高さに維持されるように昇降機構を作動させる植付制御手段と、前記植付設定高さを人為的に変更可能な植付設定手段とを備えると共に、
田面に接地した状態で左右方向の横軸芯周りに回転駆動されることにより田面を整地する整地装置を、前記苗植付装置の前部に昇降自在に支持し、前記整地装置を苗植付装置に対して昇降駆動するアクチュエータを備え、
前記植付設定高さの変更に基づいて、前記整地装置が田面から整地設定高さに維持されるように、前記アクチュエータを作動させる整地制御手段を備えてある乗用型田植機。
【請求項2】
前記整地設定高さを人為的に変更可能な整地設定手段を備えてある請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記植付制御手段の作動感度を変更する感度設定手段を備え、
前記感度設定手段により植付制御手段の作動感度が敏感側に変更されると、前記整地設定高さを高側に変更し、前記感度設定手段により植付制御手段の作動感度が鈍感側に変更されると、前記整地設定高さを低側に変更する感度補助手段を備えてある請求項1又は2に記載の乗用型田植機。
【請求項4】
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
前記走行速度検出手段によって検出された機体の走行速度が高速側になると、前記整地設定高さを高側に変更し、前記走行速度検出手段によって検出された機体の走行速度が低速側になると、前記整地設定高さを低側に変更する速度補助手段を備えてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の乗用型田植機。
【請求項5】
下限整地設定高さを設定可能に構成して、
前記整地設定高さが下限整地設定高さを越えて低側に変更されないように、前記速度補助手段を構成してある請求項4に記載の乗用型田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−267614(P2007−267614A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94069(P2006−94069)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】