説明

乳加工物を含有する錠剤及びその製造方法

【課題】本発明の課題は、蛋白質含量が比較的多い乳加工物を含有した錠剤及び打錠性に優れる錠剤の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、乳加工物及び糖アルコールを含有し、蛋白質含有量が5〜38重量%である錠剤であって、該乳加工物中の蛋白質含有量が15重量%より多く90重量%以下である錠剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分として乳加工物を含有する錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生乳の加工品である乳加工物は、脂溶性ビタミン、カルシウム等の栄養成分を豊富に含む上、多数の機能性蛋白質も含んでいる。
【0003】
このような乳加工物を含有する食品、医薬品等の形態としては、従来、液体状、粉末状、ゼリー状(特許文献1)等がある。
【0004】
ここで、これらの乳加工物を含有する錠剤を製造することができれば、携帯性に優れ、着色、矯味が容易となるため有用である。
【0005】
しかし、一般的に、蛋白質を含有する乳加工物を単独で錠剤とすることは困難であり、糖等との混合物を予め造粒することによって、初めて打錠できるようになる。従来、このような乳加工物を含有する錠剤としては、糖として果糖またはブドウ糖を用いたものが製造販売されている。また、このような錠剤の原料として用いることができる乳加工物としては、蛋白質含量が約15重量%のものがあった。
【特許文献1】特開2005−73576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蛋白質がより多く含まれる乳加工物は、栄養成分と機能性蛋白質とをバランスよく含んだ栄養学的に優れた食品材料であるが、このような乳加工物を原料とし、従来の果糖またはブドウ糖を用いて錠剤を製造しようとしても、それらの混合物を予め造粒せずに打錠すると、固まらずに成型することができないという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、蛋白質含量が比較的多い乳加工物を含有した錠剤及び打錠性に優れる錠剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況のなか、本発明者らは、様々な種類の材料を用いて製剤試験をした結果、糖アルコールを用いることによって蛋白質含量が約15重量%より多く90重量%以下という比較的多い乳加工物を含有する錠剤を製造できることを見出した。本発明者らは、さらに、製剤試験をした結果、錠剤中の総蛋白質含有量が5〜38重量%であること、乳加工物中の蛋白質含量が約15重量%より多く90重量%以下であるということ、及び糖アルコールを含有するということの3つの条件を満たす場合に、混合物を造粒しなくても打錠性に優れた成型を行うことができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0009】
従って、本発明は、以下の項に記載の錠剤及びその製造方法を提供する。
【0010】
項1.乳加工物及び糖アルコールを含有し、蛋白質含有量が5〜38重量%である錠剤であって、該乳加工物中の蛋白質含有量が15重量%より多く90重量%以下である錠剤。
【0011】
項2.前記乳加工物の含有量が9〜70重量%であり、前記糖アルコールの含有量が15〜85重量%であることを特徴とする項1記載の錠剤。
【0012】
項3.糖アルコールがソルビトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、イジトール、還元水飴及び還元パラチノースからなる群より選択される少なくとも1つである項1または2に記載の錠剤。
【0013】
項4.蛋白質含有量が15重量%より多く90重量%以下である乳加工物及び糖アルコールを混合する工程、
該混合物中の蛋白質含有量を5〜38重量%に調整する工程、ならびに
該混合物を予め造粒せずに打錠する工程を含む、
錠剤の製造方法。
【0014】
項5.前記乳加工物の配合量が9〜70重量%であり、前記糖アルコールの配合量が15〜85重量%であることを特徴とする項4記載の錠剤の製造方法。
【0015】
項6.前記打錠工程における打錠圧が0.05〜0.42kgf/cmである項4または5記載の錠剤の製造方法。
【0016】
尚、本明細書中において、用語「錠剤」には、当該分野において用いられる錠剤に加えてチュアブル錠も含まれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の錠剤は、錠剤中の総蛋白質含有量が約5〜38重量%であること、乳加工物中の蛋白質含量が約15重量%より多く90重量%以下であること、及び糖アルコールが錠剤中に含まれることを特徴とする。このように乳加工物及び糖アルコールを含有する本発明の錠剤は、打錠の際に臼杵に錠剤原料が付着する、いわゆるスティッキングが抑えられ、また混合物を造粒しなくても打錠性に優れた成型を行うことができるという利点を有する。また、本発明の錠剤は、機能性蛋白質とその他の栄養成分とをバランスよく含んでいるため栄養学的に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明の錠剤
本発明は、乳加工物及び糖アルコールを含有する錠剤を提供する。
【0020】
本発明錠剤は、錠剤中の総蛋白質含有量が約5〜38重量%、好ましくは約5〜30重量%、より好ましくは約6〜20重量%であることを特徴とする。
【0021】
そして本発明錠剤の原料である乳加工物は、蛋白質含有量が、約15重量%より多く90重量%以下、好ましくは約40〜80重量%、より好ましくは約45〜70重量%、さらに好ましくは約48〜65重量%であることを特徴とする。
【0022】
本発明錠剤は、錠剤中の総蛋白質含有量が上記範囲にあること、原料である乳加工物中の蛋白質含量が上記範囲にあること、及び糖アルコールを含むという3つの特徴を併せ持つことによって、打錠の際に臼杵に錠剤原料が付着する、いわゆるスティッキングが抑えられ、また混合物を造粒しなくても打錠性に優れた成型を行うことができるという利点を有する。
【0023】
上記組成を有する本発明錠剤はまた、乳加工物由来の機能性蛋白質及び栄養成分をバランスよく含有しているため栄養学的に優れている。
【0024】
本発明の錠剤の原料である乳加工物としては、上記の一定の蛋白質含有量を有するものであれば任意の乳加工物を用いることができ、例えば、脱脂粉乳、濃縮粉乳、全粉乳、ホエーパウダー、濃縮ホエーパウダー等、及びこれらを原料として上記蛋白質含量となるように調製、加工したものが挙げられる。また、脱脂粉乳の中でも、乳蛋白質中程度濃縮粉乳が好ましい。
【0025】
本発明において、「乳蛋白質中程度濃縮粉乳」とは、蛋白質含有量が約15重量%より多く90重量%以下である粉乳をいう。
【0026】
また、乳加工物としては、任意の形態のものを用いることができ、例えば、粉末状、顆粒状のもの等が挙げられる。乳加工物としては、蛋白質とそれ以外の乳由来の成分とが混在する粉末状または顆粒状のものが好ましい。特に、蛋白質とそれ以外の乳由来成分とで造粒されている粉末状または顆粒状のものがより好ましい。
【0027】
これらの乳加工物の原料である生乳としては、任意の時期に搾乳されたものを用いることができるが、分娩後約10日以内、好ましくは分娩後約7日以内に搾乳された生乳が、免疫グロブリン、ラクトフェリン、成長因子刺激物質等の機能性蛋白質の含有量が高いため好ましい。
【0028】
これらの乳加工物は、それぞれの形態に応じて、当該分野において公知の方法を用いて、またはこれらに準じて製造することができる。以下に、本発明の乳加工物の調製方法を、乳蛋白質中程度濃縮粉乳の場合を用いて例示するが、当該調製方法は、これに限定されない。
【0029】
1つの実施形態において、当該乳蛋白質中程度濃縮粉乳は、生乳を、脂質分離、殺菌、蛋白質濃縮及び乾燥の工程に供することによって調製することができる。
【0030】
脂質分離、殺菌、蛋白質濃縮及び乾燥工程は、当該分野において公知の方法に準じて行うことができる。
【0031】
例えば、脂質の分離工程としては、三元分離機を用いた方法が挙げられる。この場合、分離工程は、通常約5000〜7000G、好ましくは約5200〜6500G、より好ましくは約5300〜6200Gで、通常約45〜120℃、好ましくは約46〜100℃、より好ましくは約47〜80℃の条件で行われる。例えば、分娩後7日以内に搾乳された生乳は、脂質が約5〜10重量%含まれておりが、上記の条件により脂質を99重量%以上分離できる。
【0032】
殺菌工程は、例えば、約62〜85℃で10秒〜30分の範囲内で適宜行うことができる。
【0033】
蛋白質濃縮工程は、例えば、限外濾過膜を用いた方法により行うことができる。この場合、当該工程は、通常約5000〜200000ダルトン、好ましくは約10000〜100000ダルトン、より好ましくは約12000〜50000ダルトンのポアサイズの限外濾過膜を用いて行われる。乾燥工程は、凍結乾燥やスプレードライなど任意の方法により行うことができるが、スプレードライによれば、蛋白質とそれ以外の乳由来成分とで造粒されている粉末状または顆粒状のものとすることができるので好ましい。
【0034】
当該スプレードライにおける乾燥工程は、通常送風温度が約100〜260℃、好ましくは約140〜240℃、より好ましくは約180〜230℃で行われる。
【0035】
本発明錠剤は、とくに限定されないが、上記乳加工物の含有量は、好ましくは約9〜70重量%、より好ましくは約11〜45重量%、さらに好ましくは約12〜40重量%である。乳加工物の含有量がこの範囲にあれば、栄養面に優れ、かつ打錠性が向上するので、錠剤として最適な硬度とすることができる。
【0036】
また、本発明錠剤の原料である糖アルコールとしては、任意の糖アルコールを用いることができ、例えば、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、イジトール、還元水飴、還元パラチノース等が挙げられる。当該糖アルコールは、好ましくはマルチトールまたはソルビトールである。これらの糖アルコールは、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
【0037】
本発明錠剤は、とくに限定されないが、上記糖アルコールの含有量が、好ましくは約15〜85重量%、より好ましくは約30〜85重量%、さらに好ましくは約50〜82重量%である。乳加工物の含有量がこの範囲内にあれば、打錠性が向上するので、錠剤として最適な硬度とすることができる。
【0038】
また、本発明錠剤における前記乳加工物100重量部に対する糖アルコール含有量は、とくに限定されないが、好ましくは48〜1000重量部であり、より好ましくは84〜740重量部である。糖アルコールの含有量がこの範囲内であれば、打錠性が向上するので、錠剤として最適な硬度にできる。
【0039】
また、本発明錠剤の硬度は好ましくは7〜30Sc(Strong Cobb)であり、より好ましくは9〜25Scであり、より好ましくは10〜20Scである。硬度がこの範囲内にあれば、製品として輸送中などに壊れにくく、かつ食感の点で優れる(噛み砕きやすい)傾向がある。
【0040】
また、本発明錠剤は、任意成分として、結合剤、流動改善剤、滑沢剤、香料、着色剤、矯味剤、エキス類、界面活性剤、溶剤、溶解剤、pH調整剤、緩衝剤、基剤、消包剤、乳化剤、懸濁剤、軟化剤、粘調剤、分散剤、賦形剤、酸化防止剤、防腐剤、保存剤、可塑剤などを適当量配合しても良い。例えば、流動改善剤としては、二酸化ケイ素などが、好ましくは約0.5〜5.0重量%、より好ましくは約1.0〜3.0重量%、さらに好ましくは約1.0〜2.0重量%配合される。また、結合剤及び/または滑沢剤として、ショ糖脂肪酸エステルなどが、好ましくは約1〜10重量%、より好ましくは約2〜8重量%、さらに好ましくは約3〜6重量%配合される。
【0041】
また、本発明錠剤は、任意成分として、乳加工物中の蛋白質(以下、単に乳蛋白質ということもある)以外の蛋白質を含んでいてもよい。
【0042】
このような乳蛋白質以外の蛋白質としては、大豆蛋白質、小麦蛋白質、米蛋白質、卵蛋白質等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
乳加工物と他の蛋白質(例えば大豆蛋白質)とを併用する場合には、打錠性の点から他の蛋白質よりも乳加工物の含有量が多いことが好ましい。
【0044】
錠剤中に乳蛋白質以外の蛋白質(例えば大豆蛋白質)が含まれている場合、乳蛋白質のみを測定できる方法としては、ケルダール法、液体高速クロマトグラフィー、抗原抗体法などが挙げられる。なかでも、乳蛋白質のみを定量できる抗原抗体反応法として、ZEU-INMUNOTEC S.L.社のRC-Bovine ELISA kitを用いる方法が好ましい。
【0045】
本発明錠剤は、錠菓、医薬品、栄養補助食品、特別用途食品、特定保健用食品等として用いることができる。
【0046】
本発明錠剤の製造方法
本発明錠剤は、当該分野において公知の任意の方法を用いて製造することができるが、例えば、以下の方法によって製造することができる。
【0047】
本発明錠剤は、乳加工物中の蛋白質含有量が約15重量%より多く90重量%以下である乳加工物及び糖アルコールを混合し、混合物中の蛋白質含有量を約5〜38重量%に調整し、そして混合物を予め造粒せずに打錠することによって製造することができる。
【0048】
1つの実施形態において、本発明錠剤は、直接粉末圧縮法または直打法によって製造することができる。この場合、打錠に供する上記混合物は、粉末状または顆粒状の乳加工物、糖アルコール、及び必要に応じて乳加工物以外の蛋白質含有物質、結合剤、流動性改善剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤等の前記任意成分を混合することによって調製することができる。
【0049】
別の実施形態において、本発明錠剤は、顆粒圧縮法または間接圧縮法によって製造することができる。この場合、打錠に供する上記混合物は、粉末状、顆粒状等任意の形態の乳加工物、糖アルコール、及び必要に応じて上記任意成分を均等に混和した後、これを当該分野において公知の造粒方法等により粉末状または顆粒状にすることによって調製することができる。
【0050】
これらの混合物調製工程における乳加工物の配合量は、とくに限定されないが、好ましくは約9〜70重量%、より好ましくは約11〜45重量%、さらに好ましくは約12〜40重量%である。
【0051】
また、これらの混合物調製工程における糖アルコールの配合量は、とくに限定されないが、好ましくは約15〜85重量%、より好ましくは約30〜85重量%、さらに好ましくは約50〜82重量%である。
【0052】
また、本発明錠剤における前記乳加工物100重量部に対する糖アルコール含有量は、とくに限定されないが、好ましくは48〜1000重量部であり、より好ましくは84〜740重量部である。
【0053】
本発明錠剤は、上記のような工程によって調製された混合物を予め造粒せずに打錠することによって、製造することができる。
【0054】
打錠工程における打錠圧は、混合物の組成等によって変化し得るが、好ましくは、約0.05〜0.42kgf/cm、好ましくは約0.08〜0.32kgf/cm、より好ましくは約0.10〜0.24kgf/cmである。上記打錠圧により打錠することによって、乳加工物に由来する免疫グロブリン等の機能性蛋白質の損失を低減させることができ、かつ食感のよい錠剤を成型することができる。
【0055】
また、打錠工程において、上記混合物にさらに滑沢剤を添加して打錠してもよい。この場合、滑沢剤の添加量に応じて、上記混合物中の乳加工物及び糖アルコールの含有量を高めにしておくのが好ましい。これにより、最終的に得られる錠剤中の乳加工物及び糖アルコールの含有量(重量%)が上記範囲内になる。
【0056】
本発明錠剤は、調製された混合物を予め造粒せずに直接打錠することで製造することができるが、混合物を予め造粒することによって打錠性をさらに向上させることが可能となる。
【0057】
以下に実施例を用いて本願発明の特定の形態について例示する。
【実施例】
【0058】
実験例1:打錠性の評価
乳加工物の調製
分娩後7日目以内の牛から搾乳した生乳を使用した。生乳から脂質の分離を行い、殺菌、濃縮及び乾燥を経て乳蛋白質中程度濃縮粉乳を得た。
脂質の分離工程として、三元分離機(遠心力5300〜6200G:温度47〜80℃)を用いて脂質を分離したのち、殺菌工程として73℃で15秒加熱し、蛋白質の濃縮工程として限外膜ろ過(分画分子量15000〜30000ダルトン、膜面積5mの膜を使用。運転条件:温度50℃、圧力0.4MPa、流量6.8m/時間)を用いて濃縮し、スプレードライ機(送風温度:180〜230℃)を用いて乾燥した。
【0059】
混合物の調製及び打錠
表1に記載の配合に従い、乳加工物として乳蛋白中濃縮粉乳(実施例1〜12)または乳蛋白中濃縮粉乳及び大豆蛋白質(実施例13)、糖アルコールとしてマルチトール(実施例1及び3〜13)またはソルビトール(実施例2)、結合剤として二酸化ケイ素ならびに滑沢剤としてショ糖脂肪酸エステルを混合し、混合粉末を1g秤取り、造粒することなく打錠した(実施例1〜13)。打錠は、油圧式打錠機(RikenPowerTypeSMP-3, CDM-4:RIKENSEIKICO.LTD.)、15φの臼杵を使用して、圧力(0.18kgf/cm)をかけて行った。
【0060】
また、比較例1及び2として、マルチトールを果糖(比較例1)またはブドウ糖(比較例2)に変更した以外は、実施例1と同じ方法により錠剤を製造した。
【0061】
比較例3及び4として、乳蛋白質中程度濃縮粉乳を脱脂粉乳(蛋白質量:15重量%)(森永乳業株式会社製)(比較例3)またはTMP(蛋白質量:91.4重量%)(森永乳業株式会社製)(比較例4)に変更した以外は、実施例1により錠剤を製造した。
【0062】
比較例5として、マルチトールを果糖に変更した以外は、比較例4と同じ方法により錠剤を製造した。
【0063】
比較例6及び7として、
乳蛋白質中濃縮粉乳の配合量を8.00重量%または85.20重量%に、マルチトールの配合量を85.20重量%または13.20重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により錠剤を製造した。
【0064】
打錠性評価
実施例1〜13及び比較例1〜7について、得られた錠剤の打錠性の評価を以下の通り行った。結果は表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
<スティッキング>
混合粉末の打錠を10回行い、以下の基準に従い評価した。結果は10回目の打錠時の状態を以下の基準に従い評価した。
【0067】
【表2】

【0068】
<錠剤硬度>
混合粉末の打錠を10回行い硬度計(Model 6D TABLET TESTER:DR. SCHLEUNIGER社)を用いて測定した。10個の錠剤の硬度(Sc)の平均値を求め、以下の基準に従い評価した。
【0069】
【表3】

【0070】
<打錠性>
スティッキングと錠剤硬度から打錠性を以下のように総合判断した。
【0071】
【表4】

【0072】
表1の結果から明らかなように、各実施例の錠剤は、比較例の錠剤よりも非常に高い打錠性を有することが分かる。
実験例2:錠剤硬度、食感(噛み砕きやすさ)及び有効成分量の評価
実施例14〜23として、表5に従い打錠圧を変更した以外は、実施例1と同様の方法を用いて錠剤を製造した。実施例1及び14〜23の錠剤について下記の方法に従い、錠剤硬度、食感及び有効成分量を評価した。結果は表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
<錠剤硬度>
錠剤硬度は、実験例1と同じ方法にて、試験及び評価した。
<食感>
前記により得られた錠剤を10名のモニター者に試食してもらい、以下の基準に従い評価した。一番多い評価を集めた食感を最終評価とした。
【0075】
【表6】

【0076】
<有効成分量(IgG残存率)>
打錠前の混合粉末及び得られた錠剤中に含まれるIgG(Immunoglobulin G)量をELISA法(Bovine IgG ELISA Quantitation Kit:BETHYL Laboratories, Inc.製)で測定し、以下の式により錠剤中のIgG残存率を算出した。
IgG残存率=(得られた錠剤中のIgG量)/(打錠前の混合粉末中のIgG量)×100
算出したIgG残存率について以下の基準に従い評価した。
【0077】
【表7】

【0078】
表5の結果から明らかなように、各実施例の錠剤は、噛み砕きやすく、生乳由来のIgGが殆ど残存していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳加工物及び糖アルコールを含有し、蛋白質含有量が5〜38重量%である錠剤であって、該乳加工物中の蛋白質含有量が15重量%より多く90重量%以下である錠剤。
【請求項2】
前記乳加工物の含有量が9〜70重量%であり、前記糖アルコールの含有量が15〜85重量%であることを特徴とする請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
糖アルコールがソルビトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、イジトール、還元水飴及び還元パラチノースからなる群より選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載の錠剤。
【請求項4】
蛋白質含有量が15重量%より多く90重量%以下である乳加工物及び糖アルコールを混合する工程、
該混合物中の蛋白質含有量を5〜38重量%に調整する工程、ならびに
該混合物を予め造粒せずに打錠する工程を含む、
錠剤の製造方法。
【請求項5】
前記乳加工物の配合量が9〜70重量%であり、前記糖アルコールの配合量が15〜85重量%であることを特徴とする請求項4記載の錠剤の製造方法。
【請求項6】
前記打錠工程における打錠圧が0.05〜0.42kgf/cmである請求項4または5記載の錠剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−56632(P2008−56632A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238096(P2006−238096)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】