説明

乳化香油

本発明は、少なくとも30重量%の香油を含み、両方の成分である水と香油の含有量が、全濃縮物に基づき合計96重量%の値を超える、水性エマルジョン形態の香料濃縮物に関する。本発明はまた、この種の剤を製造する方法及びこれらの剤を含む生成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の最小含有量が30重量%であって、2つの成分である水と香油の含有量が合計96重量%の値を超える、水性エマルジョン状の香油濃縮物に関する。また、本発明は、そのような組成物の製造方法、並びに、そのような香油濃縮物を含む生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
香油は通常、僅かだけ水に溶解する。従って、香油を水性製剤中へ取り込むためには、いわゆる可溶化剤又は溶媒、例えば低級アルコールが通常用いられる。また、香油を乳化するという選択もある。
【0003】
その高揮発性及びその時として強い極性により、香料の乳化は極めて厄介であり、通常、水可溶性有機溶媒の補助的使用か、さもないと、非常に大量の乳化剤の使用を要する。
【0004】
ドイツ国公開明細書DE 196 24 051 A1は、その液滴粒度が10〜100nmの間である、透明なエマルジョン状の乳化香料を開示する。これらのエマルジョンは、特定の補助的油成分と一緒にアルキルグリコシドを用いて香油を乳化すると得ることができ、得られるエマルジョンは、得られるエマルジョンが香料中に少なくとも10%の量の補助的油成分を含む条件で、50重量%までの香油、1〜10重量%の補助的油成分及び1〜30重量%のアルキルグリコシド型乳化剤の含有量を有する。例えば、香油50重量%がエマルジョン中に存在する場合、少なくとも5重量%の補助的油成分が同様に存在しなければならない。香油の含有量が40重量%の場合には、少なくとも4重量%の補助的油成分が存在する。また、各場合において、少なくとも1重量%の乳化剤も存在する。
【0005】
このことは、DE 196 24 051 A1による香油エマルジョンが、非常に高い含有量の添加剤(乳化剤、補助乳化剤、補助的油成分)を有し、これらは香油/水系の天然純度に悪影響を及ぼすことを意味する。さほど好適でもない場合には、そこに記載された香油エマルジョン中に50重量%までの上記添加剤が存在する。最も好適な理論計算が可能な場合、濃縮された香油エマルジョン、即ち、組成物に基づき少なくとも30重量%の香油含有量を含むようなエマルジョンを考えると、少なくとも4重量%の添加剤、即ち少なくとも3重量%の補助的油成分と少なくとも1重量%の乳化剤が、エマルジョン中になお存在する。しかしながら、DE 196 24 051 A1は、香油含有量30重量%の単一の濃縮香油エマルジョンのみを明白に開示している。しかしながら、このエマルジョンは、水又は香油以外に添加剤11.9重量%を含む。そこに開示された他のエマルジョンはいずれも濃縮されておらず、よって30重量%より少ない香油含有量を有し、それでもなお水又は香油以外の添加剤を少なくとも10重量%含む。そのような添加剤は多くの分野で望ましくない。なぜなら、系の天然純度を低下させ、例えば、香油エマルジョンの香り印象の変化をもたらし得るし、又は、高いアレルギー化潜在力を持つ人々における不適合反応さえもたらし得るからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、比較的純粋な形で存在する濃縮香油エマルジョンが必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、少なくとも30重量%の香油を含み、2つの成分である水と香油の含有量が、全濃縮物に基づき合計96重量%、好ましくは97重量%、有利には98重量%、非常に有利には99重量%、特に99.5重量%の値を超える、水性エマルジョン状の香料及び香油濃縮物を提供することによって解決された。
【0008】
得られるエマルジョンは、有利には、可燃性又は引火性ではなく、そのため問題なく取り扱うことができ、更に加工することができる。このことは、原料香油は一般に著しく低い引火点を有し、従って、貯蔵、加工及び取り扱いの間に問題となるため、非常に有利である。従って、香油は一般に少量でのみ貯蔵され、特に訓練された人材によって取り扱われなければならない。その低い引火点の結果、非常に複雑なことを実施せずには、多くの香油を工業的に全く使用し又は取り扱うことができない。逆に、本発明による組成物の取り扱いは、全く問題がなく、比較的大きな有害臭のないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好適な態様では、エマルジョンは、本質的に0.1μmより大きく、本質的に5μmの上限を超えない平均液滴粒度(d50)を有する。とりわけ上記液滴粒度範囲が、特に安定な香油濃縮物又はエマルジョンをもたらすことが判明した。平均液滴粒度(d50)は、液滴径の累積分布が値0.5=50%をとる特性値である。例えば:aμmのd50は、検討中の材料のうち、液滴の50(質量)%はaμmより大きな直径を有し、50(質量)%はaμmより小さな直径を有することを意味する。
【0010】
しかしながら、いくつかの用途、特に化粧品分野にとっては、エマルジョンがより小さな平均液滴粒度(d50)を有し、ナノエマルジョンの形態であると、好適であり得る。よって、別の好適な態様によれば、エマルジョンの液滴粒度d50は400nm以下、好ましくは300nm以下、有利には250nm以下、更に有利には200nm以下、より更に有利には150 nm以下であり、特に、100nmの値は超えない。液滴粒度d50が10nm以上、好ましくは25nm以上、有利には40nm以上、特に、60nmの値を下らない本発明によるミクロエマルジョンは、ここではとりわけ好適であり、本発明の特に有利な態様を構成する。
【0011】
ナノエマルジョン及びその製造については、既に特許文献に記述されている。ナノエマルジョンとミクロエマルジョンの製造及び使用の概説は、H. Eicke、SOEFW-ジャーナル、118、311(1992)及びTh. Foersterら、SOEFW-ジャーナル、122、746(1996)に示されている。
【0012】
好適な態様によると、組成物は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、有利には少なくとも53重量%、とりわけ少なくとも55重量%、特に有利には少なくとも60重量%の香油を含有する。
【0013】
驚くべきことに、このような含有量の香油を有する組成物は、同様に、特に安定な香油濃縮物又はエマルジョンを構成することが判明した。
【0014】
しかしながら、香油含有量は、安定性の理由から、好ましくは高すぎるべきでもなく、即ち、好適な態様によれば、組成物は90重量%以下の香油を含有することを意味する。
【0015】
使用し得る香油及び香料は個々の臭気剤化合物、例えばエステル型、エーテル型、アルデヒド型、ケトン型、アルコール型及び炭化水素型の合成物である。エステル型の臭気剤化合物は、例えば、ベンジル酢酸塩、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシネート、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびブルゲオナールが含まれ、ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロオール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが含まれ、炭化水素には、特に、テルペンおよびバルサムが含まれる。しかし、一緒になって快い香気を生じる種々の臭気剤の混合物を使用するのが好ましい。
【0016】
香油又は香料は、植物源又は動物源から得られるような天然の臭気剤混合物も含むことができ、例えばパイン油、シトラス油、ジャスミン油、パチョリ油、ローズ油、イランイラン油などが挙げられる。芳香性成分としてほぼ使用されるような低揮発性の精油も香油として適当であり、例えばセージ油、カモミル油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、ケイ葉油、ライム-ブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、乳香油、ガルバナム油、ラブダヌム油などが挙げられる。
【0017】
香油濃縮物の水含有量は、安定性の理由から、同様に、好ましくは高すぎるべきでもなく、即ち、好適な態様によれば、組成物は60重量%未満、有利には50重量%未満、とりわけ40重量%未満の水を含有することを意味する。
【0018】
本発明の組成物はまた、乳化剤又は複数の乳化剤を含有することが好ましい。
【0019】
本発明の好適な態様によると、乳化剤は、非イオン性、双性イオン性、両性、カチオン性及び/又はアニオン性乳化剤の群から選択される。
【0020】
適当な乳化剤は、例えば、「国際化粧品成分辞典及びハンドブック」、第7版、第2巻の「界面活性剤」節、特に副節「界面活性剤-乳化剤」に挙げられた乳化剤である。ここで乳化剤の用語は、エマルジョンを形成し、安定化するための界面活性助剤全体を意味し、本発明の範囲内では、用語「補助乳化剤」は総称である乳化剤に含まれることを意味する。他の明細書中で「補助乳化剤」として時に指称される乳化剤は、通常、疎水性分子部分が優勢であることを特徴とする。従って、それらは通常、水への溶解性が幾分低く、ジェル及びラメラ液晶を形成する傾向を有するため、エマルジョンの粘度が増加し得る。
【0021】
好ましくは、双性イオン性乳化剤は、少なくとも1つの第4級アンモニウム基と少なくとも1つのカルボン酸基と1つのスルホン酸基を分子中にもつ表面活性化合物を指称するために用いられる用語である。特に適当な双性イオン性乳化剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキルまたはアシル基の炭素数8〜18の、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。CTFA名「コカミドプロピルベタイン」として既知の脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0022】
両性乳化剤は、分子中に、C8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOHまたは−SO3H基を有し、分子内塩を形成し得る表面活性化合物を意味するものと理解される。適当な両性乳化剤の例は、アルキル基の炭素数約8〜18の、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性乳化剤は、N−ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12/18アシルサルコシンである。
【0023】
非イオン性乳化剤は、好ましくは、少なくとも1つから選択される。
- 式:R1CO-(OCH2CHR2)xOR3〔式中、R1COは6〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状の飽和及び/又は不飽和アシル基であり、R2は水素又はメチルであり、R3は1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状アルキル基であり、xは1〜20の数である。〕のアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、
- 脂肪酸アルカノールアミド及び脂肪アミンへのエチレンオキシド付加生成物、
- 脂肪酸N-アルキルグルカミド、
- C8〜C22-アルキルアミンN-オキシド、
- 一般式:RO-(Z)x〔式中、RはC8〜C16-アルキル基であり、Zは糖であり、xは糖単位の数である。〕で示されるアルキルポリグリコシド。本発明に従って用い得るアルキルポリグリコシドは、1つの特定のアルキル基Rのみを含み得る。しかし、これらの化合物は、通常、天然油脂又は鉱物油から開始して製造される。この場合、出発化合物に相当し又はこれらの化合物の特定処理物に相当する混合物は、アルキル基Rとして存在する。Rが、本質的にC8-及びC10-アルキル基、本質的にC12-及びC14-アルキル基、本質的にC8-〜C16-アルキル基、又は本質的にC12-〜C16-アルキル基から構成されるアルキルポリグリコシドは、特に好ましい。
【0024】
任意の単糖類又はオリゴ糖を糖構成単位Zとして使用し得る。通常、5個又は6個の炭素原子を有する糖及び対応するオリゴ糖が用いられ、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、及びスクロースが挙げられる。好適な糖構成単位は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース及びスクロースであり、グルコースが特に好ましい。本発明に従って用い得るアルキルポリグリコシドは、平均して1.1〜5個、好ましくは1.1〜2.0個、特に好ましくは1.1〜1.8個の糖単位を含有する。特定のアルキルポリグリコシドのアルコキシル化類似体を本発明に従って使用することもできる。平均して、これらの類似体は、アルキルグリコシド単位あたり10個までのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含み得る。
【0025】
本発明による適当な更なる非イオン性乳化剤は、好ましくは、4〜100個のエチレンオキシド単位の同じくC8-22脂肪酸の水素化モノ-、ジ-及びトリグリセリドへの付加生成物、5〜40個のエチレンオキシド単位のC8-22脂肪アルコールへの付加生成物(これが特に好ましい)、及び2〜50個のエチレンオキシド単位と2〜35個のプロピレンオキシド単位のC3〜C5-アルカノールへの付加生成物から選択される。4〜60個のエチレンオキシド単位を有するC8-22脂肪酸のエトキシル化モノ-、ジ-及びトリグリセリドの例は、水素化エトキシル化ヒマシ油(INCI名:例えばPEG-40水素化ヒマシ油)、オリーブ油エトキシレート(INCI名:PEG 10 オリーブグリセリド)、アーモンド油エトキシレート、ミンク油エトキシレート、ポリオキシエチレングリコールカプリル/カプリングリセリド、ポリオキシエチレングリセロールモノラウレート及びポリオキシエチレングリコールヤシ脂肪酸グリセリドである。適当なエトキシル化C8-22脂肪アルコールの例は、ラウレス-12、ラウレス-23、トリデセス-8、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-20、セテアレス-30、ステアレス-10、ステアレス-15、ステアレス-20、ステアレス-30、ステアレス-40、オレス-10又はオレス-20である。C3〜C5-アルカノールの適当なポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール混合エーテルの例は、1-プロパノール、2-プロパノール及びイソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール及び1-ペンタノール、2-ペンタノール及びアミルアルコールの2〜50個、好ましくは4〜40個のエチレンオキシド単位と2〜35個、好ましくは4〜30個のプロピレンオキシド単位とのPEG-PPG付加物であり、とりわけ、PPG-28-ブテス-35、PPG 26-ブテス-26、PPG-5-ブテス-5、PPG-25-ブテス-25、PPG-5-ブテス-20、PPG 33-ブテス-45、PPG-20-ブテス-30又はPPG-12-ブテス-16である。
【0026】
平均エチレンオキシド単位数が1〜30の直鎖C3〜C22-アルコールのエチレンオキシド付加物も、同様に好適な非イオン性乳化剤である。好適な非イオン性乳化剤は、分枝C3〜C28-アルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ、平均エチレンオキシド単位数が1〜30の所謂ゲルベアルコールである。
【0027】
更に好適な非イオン性乳化剤は、平均エチレンオキシド単位数が2〜50、好ましくは4〜40であって、平均プロピレンオキシド単位数が2〜35、好ましくは4〜30の直鎖C3〜C22-アルコールのエチレンオキシド-プロピレンオキシド混合付加物である。
【0028】
特に好適な非イオン性乳化剤は、直鎖C3〜C22-アルコールのプロピレンオキシド付加物である。平均プロピレンオキシド単位数は1〜30であり、好ましくは5〜25、特に好ましくは8〜15である。適当なプロポキシル化乳化剤は、例えば、PPG-3ミリスチルエーテル(Witconol(登録商標)APM)、PPG-14ブチルエーテル(Ucon Fluid(登録商標)AP)、PPG-15ステアリルエーテル(Arlamol(登録商標)E)、PPG-9ブチルエーテル(Breox(登録商標)B25)及びPPG-10-ブタンジオール(Macol(登録商標)57)であり、PPG-14ブチルエーテル及びPPG-15ステアリルエーテルが特に好ましい。
【0029】
好ましくは、乳化香油は、Roempp-Lexikon Chemie(J. Falbe, M. Regitz編)、第10版、Georg Thieme Verlag シュトゥットガルト、ニューヨーク(1997)、1764頁に掲載された定義に従うHLB値が3〜18の、少なくとも1つの非イオン性乳化剤を含み得る。HLB値が10〜15の非イオン性O/W乳化剤とHLB値が3〜6の非イオン性W/O乳化剤は、本発明によれば特に好適であり得る。
【0030】
特に好適な態様では、もっぱら非イオン性乳化剤、好ましくはただ一つの非イオン性乳化剤、有利には5〜40個のエチレンオキシド単位のC8-22脂肪アルコールへの付加生成物から選択されるもの、とりわけEumulgin(登録商標)B3(セチルステアリルアルコール+30-EO;Cognis Deutschland GmbHから入手可能)、を存在させる。この特に好適な態様の範囲内では、同様に最も好適な非イオン性乳化剤は、エトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、好ましくはエトキシル化ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、とりわけヤシ脂肪酸モノエタノールアミド+4エチレンオキシド単位であり、これは例えば、市販生成物Eumulgin(登録商標)C4(Cognis Deutschland GmbHから入手可能)に相当する。これらの好適な態様に相当する乳化剤を用いる場合、特にEumulgin(登録商標)B3及び/又はEumulgin(登録商標)C4を用いる場合、優れた安定性を有する本発明の香油濃縮物を製造することができる。
【0031】
無発泡性乳化剤は、格別に好ましい。
【0032】
カチオン性乳化剤、好ましくは第4級アンモニウム化合物型、エステルクォート型及びアミドアミン型のカチオン性乳化剤は、本発明によれば同様に適当である。
【0033】
好適な第4級アンモニウム化合物は、アンモニウムハロゲン化物、とりわけ塩化物及び臭化物、例えばアルキルトリメチル塩化アンモニウム、ジアルキルジメチル塩化アンモニウム及びトリアルキルメチル塩化アンモニウム、例えばセチルトリメチル塩化アンモニウム、ステアリルトリメチル塩化アンモニウム、ジステアリルジメチル塩化アンモニウム、ラウリルジメチル塩化アンモニウム、ラウリルジメチルベンジル塩化アンモニウム及びトリセチルメチル塩化アンモニウム、並びにINCI名クオタニウム-27及びクオタニウム-83として既知のイミダゾリウム化合物である。上記乳化剤の長いアルキル鎖は、10〜18個の炭素原子を有することが好ましい。
【0034】
エステルクォートは、少なくとも1つのエステル官能基並びに構造成分として少なくとも1つの第4級アンモニウム基の両方を含む既知の物質である。好適なエステルクォートは、脂肪酸のトリエタノールアミンによる第4級化エステル塩、脂肪酸のジエタノールアルキルアミンによる第4級化エステル塩及び脂肪酸の1,2-ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンによる第4級化エステル塩である。上記生成物は、例えば、Stepantex(登録商標)、Dehyquart(登録商標)及びArmocare(登録商標)の商品名で販売されている。生成物Armocare(登録商標)VGH-70、N,N-ビス(2-パルミトイルオキシエチル)ジメチル塩化アンモニウム、及びDehyquart(登録商標)F-75、Dehyquart(登録商標)C-4046、Dehyquart(登録商標)L80及びDehyquart(登録商標)AU-35は、上記エステルクォートの具体例である。
【0035】
アルキルアミドアミンは、通常、天然又は合成の脂肪酸及び脂肪酸画分をジアルキルアミノアミンでアミド化することにより製造される。本発明に従い特に適当なこの群の物質からの一化合物は、Tegoamid(登録商標)S 18の名称で市販されているステアルアミドプロピルジメチルアミンである。
【0036】
カチオン性乳化剤の大きな利点は、それらがエマルジョン液滴に正電荷を与え、その際、例えば紡織繊維など負に帯電した表面上に、エマルジョン相からの上記香油の吸収の増加をもたらすことである。
【0037】
アニオン性乳化剤は、例えばカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩又はリン酸塩基などの水を可溶化するアニオン基及び約8〜30個の炭素原子を有する親油性アルキル基を有することが好ましい。また、グリコール又はポリグリコールエーテル基、エステル、エーテル及びアミド基、並びにヒドロキシル基が分子中に存在してよい。適当なアニオン性乳化剤の例は、いずれの場合にも、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、並びに2〜4個の炭素原子をアルカノール基に有するモノ-、ジ-及びトリアルカノールアンモニウム塩の形態である。
- 8〜30個の炭素原子を有する直鎖及び分枝脂肪酸(石鹸)、
- 式:R-O-(CH2-CH2O)x-CH2-COOH〔式中、Rは8〜30個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、x=0又は1〜16である。〕のエーテルカルボン酸、
- アシル基中に8〜24個の炭素原子を有するアシルサルコシド、
- アシル基中に8〜24個の炭素原子を有するアシルタウリド、
- アシル基中に8〜24個の炭素原子を有するアシルイセチオネート
- 式(I):
【化1】

〔式中、R1COは、6〜22個の炭素原子と0、1、2又は3個の二重結合を有する直鎖又は分枝状アシル基であり、Xは、水素、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム又はグルカンモニウム、例えば6〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する脂肪酸から誘導されるアシルグルタメート、例えば、C12/14又はC12/18ヤシ脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及び/又はステアリン酸、特にナトリウムN-ココイル-及びナトリウムN-ステアロイル-L-グルタメートである。〕
のアシルグルタメート、
- 一般式(II):
【化2】

〔式中、X=H又は-CH2COOR2基、Y=H又は-OH、但し、X=-CH2COOR2の場合はY=Hであり、R2、R3及びR4は、互いに独立して、水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオン、アンモニウム基、アンモニウム-有機塩基のカチオン、又は1〜6個のサッカライドモノマー単位を有するエーテル化(C6-C18)-アルキル多糖類及び/又は2〜16個のヒドロキシル基を有するエーテル化脂肪族(C6-C16)-ヒドロキシアルキルポリオールの群から選択されるポリヒドロキシル化有機化合物に由来する基Zであり、但し、基R2、R3及びR4の少なくとも1つは基Zである。〕
のヒドロキシ置換ジ-又はトリカルボン酸エステル、
- スルホコハク酸エステル又は一般式(III):
【化3】

〔式中、M(n+/n)は、n=1のときは水素原子、アルカリ金属カチオン、アンモニウム基又はアンモニウム-有機塩基のカチオン、n=2のときはアルカリ土類金属カチオンであり、R5及びR6は、互いに独立して、水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオン、アンモニウム基、アンモニウム-有機塩基のカチオン、又は1〜6個のサッカライドモノマー単位を有するエーテル化(C6-C18)-アルキル多糖類及び/又は2〜16個のヒドロキシル基を有するエーテル化脂肪族(C6-C16)-ヒドロキシアルキルポリオールの群から選択されるポリヒドロキシル化有機化合物に由来する基Zであり、但し、基R5及びR6の少なくとも1つは基Zである。〕
のスルホコハク酸塩のエステル、
- アルキル基中に8〜24個の炭素原子を有するスルホコハク酸モノ-及びジアルキルエステルと、アルキル基中に8〜24個の炭素原子を有し1〜6個のオキシエチル基を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、
- 8〜24個の炭素原子を有する直鎖アルカンスルホン酸塩、
- 8〜24個の炭素原子を有する直鎖α-オレフィンスルホン酸塩、
- 8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸のα-スルホ脂肪酸メチルエステル、
- 式:R-(O-CH2-CH2)x-OSO3H〔式中、Rは、好ましくは直鎖の8〜30個の炭素原子を有するアルキル基であり、x=0又は1〜12。〕のアルキル硫酸塩及びアルキルポリグリコールエーテル硫酸塩、
- DE-A-37 25 030に記載された混合表面活性ヒドロキシスルホン酸塩、
- エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド約2〜15個の分子のC8-22脂肪アルコールへの付加生成物を構成する、酒石酸及びクエン酸とアルコールのエステル、
- アルキル及び/又はアルケニルエーテルリン酸塩、
- 硫酸化脂肪酸アルキレングリコールエステル、
- モノグリセリド硫酸塩及びモノグリセリドエーテル硫酸塩。
【0038】
好適なアニオン性乳化剤は、6〜22個の炭素原子と0、1、2又は3個の二重結合をそれぞれ有し、特に好適な態様では、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル及びステアロイル基から選択される直鎖又は分枝状アシル基をもつアシルグルタメート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート及びアシルタウレート、酒石酸、クエン酸或いはコハク酸のエステル、又はこれらの酸のアルキル化グルコースによる塩、特に、INCI名クエン酸ココグルコシドジナトリウムを有する生成物、酒石酸ココグルコシドナトリウム及びスルホコハク酸ココグルコシドジナトリウム、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を有し分子中に12個までのエトキシ基を有するアルキルポリグリコールエーテル硫酸塩及びエーテルカルボン酸、アルキル基中に8〜18個の炭素原子を有するスルホコハク酸モノ-及びジアルキルエステル、及びアルキル基中に8〜18個の炭素原子を有すると共に1〜6個のエトキシ基を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステルである。
【0039】
成分である水と香油が高比率であるため、組成物全体での乳化剤の含有量は非常に少ない。しかしながら、好適な態様によれば、含有量は全組成物に基づき、少なくとも0.1重量%であるが、4重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、有利には2.0重量%未満、非常に有利には1.5重量%未満、格別に有利には1.0重量%未満、特に0.7重量%未満である。
【0040】
好適な態様によると、乳化剤の最小量0.12重量%、好ましくは0.175重量%、有利には0.2重量%を下らない。
【0041】
このように少量の乳化剤で済ますことは特に有利である。なぜなら、乳化香油を、このような方法で、例えばある化粧使用、例えば炎症肌を扱う使用の場合など、乳化剤がある状況下でほんの少量だけ必要とされる用途で、問題なく更に使用することもできるからである。
【0042】
乳化剤についての上記記載は、本発明によるナノエマルジョンにも当てはまる。しかし、ここではエマルジョンの安定性に更なる向上をもたらす更に有利な態様が存在する。ここでは、本発明によるナノエマルジョンが少なくとも2つの乳化剤を有する場合に有利である。好適な態様によると、本発明によるナノエマルジョンは、少なくとも1つの親油性、好ましくは親油性カチオン性乳化剤、及び、少なくとも1つの親水性、好ましくは親水性非イオン性乳化剤からの乳化剤系を含む。
本発明によるナノエマルジョンの場合、カチオン性及び非イオン性の乳化剤が同時に存在するなら、カチオン性乳化剤と非イオン性乳化剤の量比は、有利には、70:1〜1:3、特に30:1〜1:2、好ましくは10:1〜1:1、特に好ましくは5:1〜2:1の範囲にある。
【0043】
本出願の目的にとっては、本質的に、乳化剤が第一に8より低いか等しいHLB値を有する場合に、また乳化剤が第二に有利にはC12〜C20トリグリセリドに支配的に可溶で、若しくはこれに混和性である場合に、乳化剤は親油性であると分類される。具体的ではあるが非限定的な例を挙げるなら、とりわけ、例えば、乳化剤が、例えば、6〜22個の炭素原子を有する炭化水素基を有し、若しくは、例えば、アリール基を含有する場合に、親油性が生じ得る。親油性乳化剤は、本質的に極性のより低い、より無極性の特性を有する。本発明の目的にとって好適な親油性乳化剤は、親油性のエトキシル化脂肪アルコール(1〜3個のEO単位を有するC12〜C20-脂肪アルコール)を構成する。エチレンオキシド/プロピレンオキシド変性シリコーン油乳化剤もまた適当である。
【0044】
よって、本出願の目的にとっては、乳化剤が第一に13より大きいか等しいHLB値を有する場合に、また乳化剤が第二に有利には水に支配的に可溶で、若しくはこれに混和性である場合に、乳化剤は本質的に親水性であると見なされる。親水性乳化剤は、本質的に極性の特性を有する。具体的ではあるが非限定的な例を挙げるなら、とりわけ、例えば、乳化剤が、例えば、ヒドロキシ基、エステル基、エーテル基又はグリセロール基を含有する場合に、親水性が生じ得る。
【0045】
用語HLB値は、当業者に既知である。HLB値は、Griffin (1950)によって導入された、界面活性剤或いは乳化剤の水及び油溶解性と、エマルジョンの安定性についての指標である。実験的には、例えば、5%強度のフェノール溶液を界面活性剤又は乳化剤の溶液に濁るまで添加することによるフェノール滴定法によって、HLB値を決定することができる。また、(ガス)クロマトグラフィーを用いて、誘電率を決定することにより、又は比色分析を用いて、HLB値を決定することができる。この詳細情報並びに市販乳化剤のHLB値のリストは、該当する専門書、又は例えば、John Wiley & SonsによるKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technologyなどの参考資料中に記載されている。HLB基準は、通常、1〜20の範囲を採る。低HLB値(3〜8)を有する物質は、一般に親油性であると見なされ、一般に良好なW/O 乳化剤と考えられるが、より高いHLB値(8〜18)を有する物質は、親水性であると考えられ、一般にO/W 乳化剤として作用する。
【0046】
ナノエマルジョン中に存在する非イオン性親水性乳化剤をエトキシル化脂肪アルコール及び/又はエトキシル化脂肪酸アルカノールアミドから選択すると、特に有利である。エトキシル化脂肪アルコールに関しては、5〜40個のエチレンオキシド単位のC8-22-脂肪アルコールへの付加生成物がここでは特に好ましく、とりわけ、Eumulgin(登録商標)B3(セチルステアリルアルコール+30EO;Cognis Deutschland GmbHから入手可能)が極めて好ましい。エトキシル化脂肪酸アルカノールアミドに関しては、好ましくはエトキシル化ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、とりわけヤシ脂肪酸モノエタノールアミド+4エチレンオキシド単位が特に好ましく、これは、例えば、市販生成物Eumulgin(登録商標)C4(Cognis Deutschland GmbHから入手可能)に相当する。
【0047】
ナノエマルジョン中に存在するカチオン性乳化剤が、第4級アンモニウム化合物、有利にはアルキル化第4級アンモニウム化合物、好ましくは第4級化ジ-或いはトリエタノールアミン又は類似化合物と特にエステル又はアミド結合によって結合した1,2又は3つの疎水性基を有するものである場合、同様に特に有利である。例えば、N-メチル-N(2-ヒドロキシエチル)-N,N-(ジ獣脂-アシルオキシエチル)アンモニウムメトスルフェート又はN-メチル-N(2-ヒドロキシエチル)-N,N-(ジパルミトイルエチル)アンモニウムメトスルフェートは、非常に有利である。
【0048】
ナノエマルジョンにとってもまた、本発明による場合には、全組成物における乳化剤の含有量が非常に少ない。好適な態様によると、本発明によるナノエマルジョンは、3.5重量%以下、好ましくは3重量%以下、有利には2.5重量%以下、特に2重量%以下であるが、少なくとも0.1重量%の親油性乳化剤を含有する。本発明によるナノエマルジョンは同様に、好適な態様によれば、3.5重量%以下、好ましくは3重量%以下、有利には2.5重量%以下、特に2重量%以下であるが、少なくとも0.1重量%の親水性乳化剤を含有する。
【0049】
好ましくは、本発明による組成物は、増粘剤も含有する。成分である水と香油の含有量が多いことから、全組成物における増粘剤の含有量は同様に非常に少ないが、好適な態様によれば、全組成物に基づき、少なくとも0.1重量%であって、4重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、有利には1.9重量%未満、非常に有利には1.5重量%未満、極めて有利には1.0重量%未満、特に0.7重量%未満である。
【0050】
好適な態様によると、適当な増粘剤は、以下の群から選択される。
a) 多糖類、特に、キサンタンガム、グアー誘導体、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカント、タラガム、ジェラン、カラギーン、イナゴマメ粉末(Johannisbrotkernmehl)、寒天、アルギネート、ペクチン及び/又はデキストラン、
b) 有機完全合成増粘剤、特に、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、疎水性アリル変性ポリエーテル、ポリウレタン、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、これらの塩及び/又はこれらの誘導体、
c) セルロース誘導体、特に、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、
d) 澱粉画分及び誘導体、特に、アミロース、アミロペクチン及びデキストリン、
e) クレー、特に、ベントナイト。
【0051】
本発明によるナノエマルジョンの場合、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、有利には少なくとも0.15重量%、特に少なくとも0.2重量%であるが、3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、有利には2.0重量%以下、非常に有利には1.5重量%以下、更により有利には1.0重量%以下、極めて有利には0.75重量%以下、最も有利には0.5重量%以下の増粘剤が存在する場合も、有利である。
【0052】
通常のエマルジョンとは対照的に、液滴の細かさのため、ナノエマルジョンは有利には非常に安定であるので、増粘剤は好ましくは必要でない。液滴径d50が<200nmのエマルジョンに関し好適な態様では、増粘剤の添加は無しで済ませる。
【0053】
好適な態様によると、通常のエマルジョンにとって、組成物における増粘剤の最小量は、組成物に基づき、0.12重量%、好ましくは0.2重量%を下らない。
【0054】
本発明の目的では、好ましくは、低級アルコールの補助的作用を、極めて大幅に無しで済ますことができる。従って、本発明による濃縮物は、好ましくは、本質的に低級アルコールを含まない。例えば香油自体又は他の原料から、例えばカチオン性乳化剤から、比較的少量が濃縮物中へ入る場合、1〜4個の炭素原子を有するそのようなアルコールの濃縮物における含有量は、好ましくは1重量%未満とすべきである。
【0055】
本発明による組成物は、それが非常に高い濃度、好ましくは全組成物に基づき90重量%までの香油濃度で、香油を含有し得るという利点を有する。高い香油濃度の一つの利点は、例えば、乳化香油は、取り扱い性の点で非常に不利な元の香油と比較して、安全性についての顕著に低減した出費と相まって、ほんの僅かに大きな貯蔵スペースしか要さないことである。
【0056】
出願人の見解では、通常のエマルジョンにとっての出願時での本発明の最良構成は、2つの基本成分である香油と水に加えて、少なくとも1つの非イオン性乳化剤、好ましくは、5〜40個のエチレンオキシド単位のC8-22脂肪アルコールへの付加生成物から有利に選択される、ただ一つの非イオン性乳化剤、とりわけEumulgin(登録商標)B3(セチルステアリルアルコール+30EO;Cognis Deutschland GmbHから入手可能)及び/又はエトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、好ましくはエトキシル化ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、とりわけヤシ脂肪酸モノエタノールアミド+4エチレンオキシド単位(例えば、市販生成物Eumulgin(登録商標)C4(Cognis Deutschland GmbHから入手可能)に相当するもの)を含有するような、本発明の組成物にある。この最良構成では、少なくとも1つの増粘剤が同様に存在し、好ましくはただ1つの増粘剤、有利には、特に、キサンタンガム、グアー誘導体、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカント、タラガム、ジェラン、カラギーン、イナゴマメ粉末、寒天、アルギネート、ペクチン及び/又はデキストランから選択されるもの(キサンタンガムが最も有利である)を含む多糖類の群から選択され、及び/又は、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースから選択されるもの(ヒドロキシエチルセルロースが最も有利である)を含むセルロース誘導体の群から選択されるものである。この最良構成では、香油濃縮物は、上記したもの以外の他の乳化剤及び増粘剤を含まない。この最良構成では、香油濃縮物は、有利には、2.0重量%未満であるが、好ましくは少なくとも0.1重量%の、それぞれ増粘剤並びに乳化剤を含有する。この最良構成では、香油濃縮物は、好ましくは、少なくとも40重量%の香油と、有利には、60重量%未満、特に50重量%未満の水を含有する。
【0057】
最後だからといって重要でないということではないが、上記に提示した最良構成の基準を満足する香油濃縮物は、優れた安定性に特徴付けられる。
【0058】
本発明は更に、本発明による香油濃縮物と少なくとも1つの活性成分、助剤及び/又は添加剤、特に下記リストから選択されるものを含有する生成物を提供する。
- ヘアー・コンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えば大豆レシチン、卵レシチン及びケファリン、並びにシリコーン油、
- ジメチルイソソルビド及びシクロデキストリン、
- 溶媒及び溶解促進剤、例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール及びジエチレングリコール、
- 繊維構造を向上させる活性成分、特に、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、果糖及び乳糖のような、単糖、二糖及びオリゴ糖、
- コンディショニング活性成分、例えばパラフィン油、植物油など、例えば ひまわり油、オレンジ油、アーモンド油、 小麦胚種油及び杏仁油、及び
- 第4級化アミン、例えばメチル-1-アルキルアミドエチル-2-アルキルイミダゾリニウムメトスルフェート、
- 消泡剤、例えばシリコーン、
- 組成物を着色するための染料、
- フケ防止活性成分、例えばピクトロン・オラミン、亜鉛オマジン及びクリンバゾール、
- 活性成分、例えばアラントイン及びビサボロール、
- コレステロール、
- コンシステンシー調節剤、例えば糖エステル、ポリオールエステル又はポリオールアルキルエーテル、
- 脂肪及びワックス、例えば鯨蝋、蜜蝋、モンタン蝋及びパラフィン、
- 脂肪酸アルカノールアミド、
- 錯化剤、例えばEDTA、NTA、β-アラニン二酢酸及びホスホン酸、
- 膨潤剤及び浸透物質、例えば第1級、第2級及び第3級リン酸塩、
- 乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVP及びスチレン/アクリルアミドコポリマー、
- 真珠光沢化剤、例えばエチレングリコールモノ-及びジステアレート、及びPEG 3ジステアレート、
- 顔料、
- 液体発泡剤、例えばプロパン/ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2及び空気、
- 抗酸化剤、
- 臭気促進剤、
- トランスファー物質。
【0059】
好適な態様では、存在する活性成分、助剤及び/又は添加剤(それぞれ1又は2以上)がこのように低濃度で存在するので、得られた生成物中でさえ、2つの成分である水と香油の含有量は、全生成物に基づき合計96重量%の値を超える。
【0060】
同様に、生成物の所望の使用分野に応じ、活性成分、助剤及び/又は 添加剤(それぞれ1又は2以上)を、得られた生成物中により多くの量で存在させるのが望ましいこともあり、そのような生成物は同様に該生成物についての好適な態様を構成することを意味する。
【0061】
他の及び/又は更なる任意成分については、相当する生成物を提供することに関するそのような成分の選択は本質的には得られた生成物が有すべき目的とする用途に依存する、という事実が参照され得る。乳化香油は、例えば化粧品の使用分野の範囲内で、更に加工され又はそこで使用される場合には、その中で有用に用いられる成分の性質並びに量に関する限り、当業者に周知の該当する便覧、例えばK.H. Schraderによる研究論文「Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika」[化粧品の基礎及び配合物]、第2版、Huethig Buch Verlag ハイデルベルグ、1989、が特に参照される。これと同様に、他の使用目的と使用分野に関する他の該当する便覧は、各当業者に周知である。
【0062】
相当する生成物を得るために、本質的に水溶性の活性成分、助剤および添加剤を、最終の乳化香油濃縮物中へ、例えば撹拌しながら、混合すれば好適である。
【0063】
本発明は更に、上記特徴を有する組成物を製造する方法を提供する。この方法は、2-ポット法であって、下記工程:
a) 第一容器中で混合物を撹拌しながら水へ増粘剤を添加する工程、
b) 第二容器中で撹拌しながら香油へ乳化剤を添加する工程、
c) 均質化設備を用いて、第一容器の混合物へ第二容器の内容物を添加する工程、
を含んでなる。
【0064】
この方法の好適な態様によれば、乳化剤の香油への添加は、60℃以下の温度、有利には25〜55℃の温度範囲で行われる。
【0065】
この方法の更に好適な態様によれば、香油/乳化剤を添加する前に、第一容器の混合物を50℃以下、好ましくは40℃以下の温度、有利には20〜35℃の範囲の温度に加熱する。
【0066】
本発明は更に、単一容器中で行い、まず水を導入し、次いで増粘剤及び乳化剤を、有利には同時に、撹拌しながら添加し、次いで均質化設備を用いて香油を添加する方法を提供する。この方法の利点は、ワンポット法であるがゆえに、より有利なプロセス経済だということである。好適な態様によると、この方法は、60℃以下、好ましくは50℃以下の温度で、有利には15〜30℃の範囲の温度で、増粘剤の添加を行い、70℃以下、好ましくは60℃以下の温度、有利には35〜55℃の範囲の温度に混合物を加熱する間もしくは加熱後に乳化剤の添加を行うこと、及び、香油を添加する前に、50℃以下、好ましくは40℃以下の温度、有利には20〜35℃の範囲の温度に混合物を冷却することを特徴とする。
【0067】
この方法の利点にもかかわらず、最善の方法構成は2-ポット法である。
【0068】
更に好適な態様によれば、本発明の方法は、ガスを添加しながら行われ、好適には、ガスは、不活性ガス、窒素及び/又は二酸化炭素の群から選択される。ガスの添加は、好ましくは、混合原理、即ち、液体混合物中へガスを導入することによって行われる。混合原理は、圧力変化原理と組み合わせることが有利であり、即ち、好ましくはガスによる混合物の反復する排出とエアレーションが行われる。
【0069】
ガスを添加することによって、望ましくない酸化反応が回避され、組成物の貯蔵安定性が向上する。
【0070】
香油濃縮物を製造した後に、ガスを香油濃縮物するのが有利である。特に敏感な配合物又は香油の場合には、製造の全期間を通じてガスの添加を確実に行うのが、同様に有利である。2つの容器を用いる方法の場合には、両方の容器とその中に存在する混合物にガスを供給するのが有利である。
【0071】
更に好適な態様によれば、香油濃縮物を製造する方法の後に、固形物、好ましくは微粉末を、最終濃縮物中へ乳化し、相当する生成物を得ることができる。特に、これらの固形物は、洗浄剤に慣用される添加剤であって、有利には、ゼオライト、ベントナイト、ケイ酸塩、リン酸塩、尿素及び/又はそれらの誘導体、硫酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸、酢酸塩及び/又はアニオン性界面活性剤の塩の群から選択される。微粉末とは、該固形物が、好ましくは0.2mm未満の、有利には0.1mm未満、特に0.05mm未満のd50値を有することを意味する。
【0072】
よって、本発明は更に、本発明による香油濃縮物と固形物、好ましくは、洗浄剤に慣用され、有利には、特に微粉末状の、ゼオライト、ベントナイト、ケイ酸塩、リン酸塩、尿素及び/又はそれらの誘導体、硫酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸、酢酸塩及び/又はアニオン性界面活性剤の塩の群から選択される固形物、を含んでなる生成物を提供する。微粉末とは、該固形物が、好ましくは0.2mm未満の、有利には0.1mm未満、特に0.05mm未満のd50値を有することを意味する。
【0073】
本発明は更に、本発明による香油濃縮物と親油性増粘剤、好ましくは脂肪アルコール、脂肪アルコールエトキシレート及び/又はそれらの誘導体、脂肪酸、脂肪酸アルカノールアミドエトキシレート、パラフィン及び/又はシリコーン油の群から選択される親油性増粘剤、を含んでなる生成物を提供する。ここで、親油性増粘剤は、有利には、いずれの場合にも香油濃縮物に基づき、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で存在し、該生成物は、非常に有利には、遅発香気作用を有することを特徴とする。上記増粘組成物は、香油の粘度を増加させた結果、増粘されていない香油よりも著しく長い香気作用又は香気持続期間を有することに特徴付けられる。香気作用は、継続的に発現し、著しく長期に及ぶ。本出願の目的では、増粘剤は、有利には、C12〜C20トリグリセリドに支配的に可溶であるか、又はこれらと混和性である場合に、本質的に親油性であると位置付けられる。説明のための非限定的な例を示すなら、とりわけ、例えば、増粘剤が、例えば、6〜22個の炭素原子を含む炭化水素基を有するか、又は例えばアリール基を含有するときに、親油性が生じ得る。本発明の目的での好適な親油性増粘剤は、シリコーン油である。対照的に、本出願の目的では、増粘剤は、有利には、水に支配的に可溶であるか、又はこれと混和性である場合に、本質的に親水性であると見なされる。説明のための非限定的な例を示すなら、とりわけ、例えば、増粘剤が、例えば、ヒドロキシ基、エステル基、エーテル基又はグリセロール基(それぞれ1又は2以上)を含むときに、親水性が生じ得る。
【0074】
よって、本発明は更に、親油性増粘剤を、乳化前又は乳化後に、全組成物に基づき好ましくは0.05〜3重量%の量、特に0.1〜1重量%の量で、均質化を施しながら本発明による香油濃縮物へ添加する、上記生成物の製造方法と提供する。
【0075】
この方法の好適な態様によれば、第一容器中で、親油性増粘剤を、好ましくは撹拌しながら香油へ添加し、次いで、僅かに高温で、乳化剤、香油エマルジョンと例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール又はシリコーン油などの親油性増粘剤からなる香油濃縮物に基づき、好ましくは0.1〜1重量部の乳化剤を添加及び溶解する。この溶液を、冷却後に、水と例えばヒドロキシエチルセルロースなどの親水性増粘剤の混合物を含む第二容器中へかき混ぜながら入れ、次いで、均一化する。
乳化前に親油性増粘剤を添加することの利点は、個々の液滴の非常に均一な組成物が得られることである。
【0076】
よって、本発明は更に、遅発香気作用を有する香油エマルジョンを製造するための親油性増粘剤の使用を提供する。
【0077】
本発明による香油濃縮物は、乳化香油の合体を生じさせることなく、これを水で蒸留することができ、又はこれを水性製剤へ添加することができる。このことは、本発明による組成物の重要な利点であり、広範囲の適用視点と活用可能性を拡げるものである。
【0078】
従って、適用についての本発明の特に重要な局面は、例えばあらゆる型の水溶液又は水性分散液の形態における水性製剤の香り付けのための、本発明による香油濃縮物の使用である。そのような製剤は、例えば、化粧品組成物、好ましくは化粧用洗浄組成物、例えばフォームバス及びシャワーバス配合物、液体石鹸、シャンプー又は他の水性ボディ洗浄組成物であり得る。
【0079】
従って、本発明は更に、本発明による香油濃縮物と、好ましくはスキンケア活性成分の群から選択される、少なくとも1つの化粧用有効物質を含んでなる化粧用生成物を提供する。
【0080】
本発明の好適な態様では、そのような生成物は、
a) 本発明による組成物0.01〜75重量%と、
b) 少なくとも0.01重量%の、少なくとも1つの化粧用有効物質であって、好ましくはスキンケア活性成分の群から選択されるもの、
(ここで、重量パーセントは、それぞれの場合につき、生成物全体に基づくものである)
を含む。
【0081】
ここで、スキンケア活性成分の用語は、感覚及び/又は化粧の利点を皮膚に与える、あらゆる活性成分を意味するものと理解される。スキンケア活性成分は、好ましくは、以下の物質から選択される。
a) ワックス、例えば、カルナウバ、鯨、蜜蝋、ラノリン及び/又はそれらの誘導体その他、
b) 疎水性の植物抽出物、
c) 炭化水素、例えば、スクアレン及び/又はスクアラン、
d) 高級脂肪酸、好ましくは少なくとも12個の炭素原子を有するもの、例えばラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸及び/又はポリ不飽和脂肪酸その他、
e) 高級脂肪アルコール、好ましくは少なくとも12個の炭素原子を有するもの、例えば ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール及び/又は2-ヘキサデカノールその他、
f) エステル、好ましくは例えばセチルオクタノエート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルアジペート、ブチルステアレート、デシルオレエート、コレステロールイソステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、アルキルラクテート、アルキルシトレート及び/又はアルキルタルトレートその他、
g) 脂質、例えば、コレステロール、セラミド及び/又はスクロースエステルその他、
h) ビタミン、例えば、ビタミンA及びE、ビタミンCアルキルエステルなどのビタミンアルキルエステルその他、
i) 日焼け止め剤、
j) リン脂質、
k) αヒドロキシ酸誘導体、
l) 化粧使用のための殺菌剤、例えばサリチル酸及び/又はその他の合成品、若しくは、例えばニーム油及び/又はその他の天然品、のいずれか、
m) シリコーン、
n) 上記成分の任意の混合物。
【0082】
更なる、特にカチオン性乳化剤との本発明による組成物のための使用分野は、有利には水性の、繊維製品処理組成物、好ましくは繊維製品後処理組成物、例えば織編物軟化剤の香り付けである。しかし、繊維製品処理液の自体の香り付けも、本発明による香油濃縮物を利用して行い得る。乳化香油を液体洗浄剤中に乳化することもできる。最後に、香油濃縮物は、工業用及び化粧用生成物を香り付けする全ての、特にアルコール性製剤が使用できない場合の作業のために用い得る。
【0083】
従って、本発明は更に、本発明による組成物と繊維製品処理に適した物質を含んでなる繊維製品処理用生成物を提供する。
【0084】
本発明の好適な態様では、そのような生成物は、
a) 0.01〜50重量%の本発明による組成物と、
b) 0.1〜50重量%の繊維製品処理に適した物質、好ましくは洗浄用界面活性剤、有利には非イオン性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性及び/又は両性の洗浄用界面活性剤の群から選択されるものと、
c) 必要に応じて、好ましくは50重量%までの、1以上の洗浄用添加剤、有利にはビルダー、酵素、増白剤、汚れ除去剤、泡安定剤、帯電防止剤及び/又は分散剤から選択されるもの、
(ここで、重量%データは、それぞれの場合、全生成物に基づく)
を含んでなる。
【0085】
本発明による組成物は、問題なくスプレーすることもできる。有利なことに、これを固体、例えば粉末又は粒状の洗浄剤上にスプレーすることもできる。スプレーされた香油の液滴粒度は、元の香油の液滴粒度より約10倍小さいことが、ここでは特に有利である。そのため、上記組成物は、特に容易に固体洗浄剤によって吸収される。
【実施例】
【0086】
乳化香油の製造
【0087】
実施例1:
香油含有量64.4重量%のエマルジョン100gの製造
【0088】
ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol(登録商標):供給元:Hercules Aqualon)0.35gを、ビーカー1中で25℃の水35gに撹拌しながら溶解した。ビーカー2中で、Eumulgin(登録商標)B3(セチルステアリルアルコール+30EO;供給元:Cognis Deutschland GmbH)0.25gを、市販の香油64.4gに撹拌しながら添加し、大部分が透明な溶液が得られるまで約45℃に加熱した。ビーカー2中の混合物を30℃に放冷した後、この溶液を、Ultraturrax型(Janke und Kunkel)のラボ用均質化ロッドを用いて、20秒かけて水相(ビーカー1)へ添加した。次いで、最高速度30sで全混合物を均一化した(エマルジョンの平均液滴粒度d50は約2マイクロメーターである)。
【0089】
2つの成分である水と香油は、この実施例における香油濃縮物の99.4重量%を構成する。
【0090】
実施例2:
香油含有量50重量%のエマルジョン100gの製造
【0091】
ビーカー1中で、キサンタン2gを水49.65gに溶解し、一方、ビーカー2中で、Eumulgin(登録商標)B3(供給元:Cognis Deutschland GmbH)0.15gを45℃の香油50gに溶解した。30℃に冷却した後、ビーカー2の内容物を撹拌しながらビーカー1中へ入れた。次いで、Ultraturraxを用い、最高速度45sで均一化を行った。
【0092】
実施例3:
香油含有量50%のエマルジョン100gの製造
【0093】
ビーカー1中で、キサンタン0.2gを水49.65gに溶解し、ビーカー2中で、Eumulgin(登録商標)C4(ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド+4EO;供給元 Cognis Deutschland GmbH)0.15gを45℃の香油50gに溶解した。35℃に冷却後、ビーカー2の内容物を撹拌しながらビーカー1へ入れ、次いで、超音波(Bandelin製超音波ロッド、SH 225 G付きSonopuls型HD 2200)によって乳化した。レーザー回折(Malvern)を用いて測定したところ、エマルジョンの平均液滴粒度d50は600nmであった。
【0094】
2つの成分である水と香油は、実施例2及び3における香油濃縮物の99.65重量%を構成する。
【0095】
実施例4:
香油含有量50重量%のナノエマルジョン1000gの製造
【0096】
大きなビーカー1中に、水463gを最初に導入し、キサンタン1gをその中に溶解した。ビーカー2中で、香油500gを45℃に加熱した。Dehydol(登録商標)LS 2(C12〜C14-脂肪アルコール+2EO、Cognis)20gと16gのEumulgin(登録商標)B3を懸濁させ、溶解させた。ビーカー2の内容物をかき混ぜながらビーカー1の水中へ入れた後、Ultraturraxを用いて均一化した。30℃に冷却した後、この溶液は、高圧ホモジナイザー(Nivo/Soavi製の予備生産機)用の出発物質として機能し、700barの圧力、最高45℃(冷却により調整)で2回通過させた。第1パス、第2パス及び第3パスにおけるナノエマルジョン形態を、200nmを超える液滴画分を最小化するために用いた。レーザー回折(Malvern)を用いて測定したところ、エマルジョンの平均液滴粒度d50は110nmであった。最小液滴は50nm、最大液滴は200nmであった。エマルジョンの安定性は、様々な方法で試験した。一定の50℃で7日間にわたる貯蔵試験の後でさえ、ミクロエマルジョンは安定であった。25℃、遠心加速度36000gで3分間の遠心試験の後でさえ、ミクロエマルジョンは安定であった。
【0097】
2つの成分である水と香油は、この実施例における香油濃縮物の96.3重量%を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも30重量%の香油を含み、2つの成分である水と香油の含有量が、全濃縮物に基づき合計96重量%の値を超えることを特徴とする、水性エマルジョン状の香料又は香油濃縮物。
【請求項2】
2つの成分である水と香油の含有量が、全濃縮物に基づき合計97重量%、好ましくは98重量%、有利には99重量%、特に99.5重量%の値を超えることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エマルジョンの平均液滴粒度d50は、本質的に0.1μmより大きく、上限5μmを本質的に超えないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
エマルジョンの平均液滴粒度d50は、400nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、有利には少なくとも53重量%、特に少なくとも55重量%、特に有利には少なくとも60重量%の香油を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
90重量%以下の香油を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
60重量%未満、有利には50重量%未満、特に40重量%未満の水を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
全組成物に対して、少なくとも0.1重量%であって、4重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、有利には2.0重量%未満、非常に有利には1.5重量%未満、極めて有利には1.0重量%未満、特に0.7重量%未満の乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
乳化剤は、非イオン性、双性イオン性、両性、カチオン性及び/又はアニオン性乳化剤の群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
全組成物に基づき、少なくとも0.1重量%であって、4重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、有利には2.0重量%未満、非常に有利には1.5重量%未満、極めて有利には1.0重量%未満、特に0.7重量%未満の増粘剤を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
増粘剤は、以下の群:
a) 多糖類、特にキサンタンガム、グアー誘導体、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカント、タラガム、ジェラン、カラギーン、イナゴマメ(Johannisbrotkernmehl)、寒天、アルギネート、ペクチン及び/又はデキストラン、
b) 有機完全合成増粘剤、特にポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、疎水性アリル変性ポリエーテル、ポリウレタン、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、これらの塩及び/又は誘導体、
c) セルロース誘導体、特にヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、
d) 澱粉画分及び誘導体、特にアミロース、アミロペクチン及びデキストリン、
e) クレー、特にベントナイト、
から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
乳化剤の最小量は、いずれの場合にも全組成物に基づき、0.12重量%、有利には0.2重量%を下らないことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
増粘剤の最小量は、いずれの場合にも全組成物に基づき、0.12重量%、有利には0.2重量%を下らないことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の特徴を有する組成物の製造方法であって、以下の工程:
a) 第一容器中で混合物を撹拌しながら水へ増粘剤を添加する工程、
b) 第二容器中で撹拌しながら香油へ乳化剤を添加する工程、
c) 均質化設備を用いて、第一容器の混合物へ第二容器の内容物を添加する工程、
を含んでなる、方法。
【請求項15】
60℃以下の温度、有利には25〜55℃の温度範囲で、乳化剤の香油への添加を行うことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
香油/乳化剤の添加前に、第一容器の混合物を50℃以下、好ましくは40℃以下の温度、有利には20〜35℃の範囲の温度に加熱することを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれかに記載の特徴を有する組成物の製造方法であって、単一容器中で行い、まず水を導入し、次いで増粘剤及び乳化剤を、有利には同時に、撹拌しながら添加し、次いで均質化設備を用いて香油を添加することを特徴とする、方法。
【請求項18】
60℃以下、好ましくは50℃以下の温度で、有利には15〜30℃の範囲の温度で、増粘剤の添加を行い、70℃以下、好ましくは60℃以下の温度、有利には35〜55℃の範囲の温度に混合物を加熱する間もしくは加熱後に乳化剤の添加を行うこと、及び、香油を添加する前に、50℃以下、好ましくは40℃以下の温度、有利には20〜35℃の範囲の温度に混合物を冷却することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
不活性ガス、窒素及び/又は二酸化炭素の群から選択されるガスを添加しながら行う、請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれかに記載の香油濃縮物と固形物、好ましくは、洗浄剤に慣用され、有利には、特に微粉末状の、ゼオライト、ベントナイト、ケイ酸塩、リン酸塩、尿素及び/又はそれらの誘導体、硫酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸、酢酸塩及び/又はアニオン性界面活性剤の塩の群から選択される固形物、を含んでなる生成物。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれかに記載の香油濃縮物と親油性増粘剤、好ましくは脂肪アルコール、脂肪アルコールエトキシレート及び/又はそれらの誘導体、脂肪酸、脂肪酸アルカノールアミドエトキシレート、パラフィン及び/又はシリコーン油の群から選択される親油性増粘剤、を含んでなる生成物。
【請求項22】
いずれの場合にも全香油濃縮物に基づき、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で親油性増粘剤を含む、請求項21に記載の生成物。
【請求項23】
遅発香気作用を有することを特徴とする、請求項21又は22に記載の生成物。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれかに記載の香油濃縮物と、少なくとも1つの化粧用有効物質を含んでなる化粧用生成物。
【請求項25】
請求項1〜13のいずれかに記載の香油濃縮物と、繊維製品処理に適した少なくとも1つの物質を含んでなる繊維製品処理用生成物。
【請求項26】
親油性増粘剤、好ましくは、脂肪アルコール、脂肪アルコールエトキシレート及び/又はそれらの誘導体、脂肪酸、脂肪酸アルカノールアミドエトキシレート、パラフィン及び/又はシリコーン油の群から選択される親油性増粘剤を、乳化前又は乳化後に、有利には香油又は香油濃縮物に基づき0.05〜3重量%、特に0.1〜1重量%の量で、香油又は香油濃縮物へ添加することを特徴とする、請求項21〜25のいずれかに記載の生成物の製造方法。
【請求項27】
親油性増粘剤の添加後に、更なる均質化を施しながら乳化剤、好ましくは香油エマルジョンと親油性増粘剤からなる香油濃縮物に基づき0.1〜1重量部の乳化剤を添加することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
遅発香気作用を有する香油エマルジョンを製造するための、親油性増粘剤の使用。

【公表番号】特表2007−513222(P2007−513222A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540199(P2006−540199)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010977
【国際公開番号】WO2005/051339
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】