説明

乳清タンパク質ミセルの化粧品への使用

本発明は、タンパク質ミセル、例えば、乳清タンパク質ミセル、カゼインミセル、の局所適用に関する。本発明はさらに、a.乳清タンパク質ミセル又はその凝集体を生成するステップと、b.前記ミセル又はその凝集体を組成物中に組み入れるステップと、を含む方法によって得られる化粧品組成物に関する。本発明はまた、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体の、化粧料としての使用に関する。本発明はまた、タンパク質ミセル、特に乳清タンパク質ミセル又はその凝集体の、研磨媒体としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、特に化粧品組成物中への乳清タンパク質ミセル(whey protein micelle)の研磨剤としての使用、及び前記組成物の取得方法に関する。
【背景】
【0002】
研磨剤を含有する不均一な組成物、例えば、粒状のペースト、粒を含む液体は、ヘルスケア及び化粧品の分野で一般的に使用されている。
【0003】
特許出願の国際公開第03000215号パンフレットは、例えば、歯表面上に生成するタンパクフィルムを除去するために無機粉末を研磨剤として含有する歯磨き粉組成物を開示している。
【0004】
US6036966は、無機粉末、金属石鹸、又は有機粉末(微結晶セルロース等)から選択される、わずかに研磨性を有する粉状成分を含有する、皮膚のきめを整えるための局所用組成物を扱っている。
【0005】
粒状生成物及びその使用の分野では探究されていない領域がまだ多い。
【0006】
したがって、本発明の目的は、当業界で使用されている研磨媒体に代わるものを提供することである。
【発明の概要】
【0007】
それに応じて、この目的は、独立請求項の特徴によって実現される。従属請求項は、本発明の更なる中心的な考えを展開する。
【0008】
この目的を実現するために、一般に、タンパク質の使用、例えば乳清タンパク質ミセル又は乳清タンパク質ミセルを含有する凝集体の、研磨媒体としての使用が提案される。特に、本発明は、乳清タンパク質ミセルの局所的な使用に関する。
【0009】
本発明の別の態様では、乳清タンパク質ミセルを含む化粧品組成物が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様は、化粧品組成物の製造方法に関する。
【0011】
さらに別の態様は、そのような方法によって得られる製品に関する。
【0012】
以下、添付の図面に示すいくつかの好ましい実施形態を参照して本発明をさらに説明する。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明によれば、タンパク質、例えば、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体、を研磨媒体として使用することができる。
【0014】
本発明に関して使用することのできる乳清タンパク質ミセルを図7に表すが、乳清タンパク質は、タンパク質の親水性部分が凝集塊の外側の部分に配向され、タンパク質の疎水性部分がミセルの内側の「コア」に配向されるようにして並んでいる。このエネルギー的に好都合な配置によって、親水性環境においてこれらの構造体に良好な安定性が提供される。
【0015】
特定のミセル構造は、図、特に図3、9、10、及び13から知ることができるが、本発明で使用するミセルは、本質的に変性乳清タンパク質の球状凝集塊からなる。本発明のミセルは、特にその規則的な球状の形を特徴とする。
【0016】
乳清タンパク質ミセルは、まず未変性乳清タンパク質水溶液のpH及び/又はイオン強度を調整し、次いで前記溶液を熱に曝す方法によって生成することができる。こうした方法は、本明細書でさらにより詳細に記載する。
【0017】
そうして生成される乳清タンパク質ミセルは、二重の性質(親水性と疎水性)を有する。実際、変性乳清タンパク質の配置がミセル構造になると、疎水性の相、例えば脂肪液滴若しくは空気と、親水性の相との相互作用が可能になると思われる。したがって、乳清タンパク質ミセルは、完全な乳化特性及び起泡特性を有する。
【0018】
さらに、本発明で使用する乳清タンパク質ミセルは、生成されたミセルの80%より多くが1ミクロンより小さいサイズとなるような、非常にシャープなサイズ分布(図14を参照のこと)を有するようにして生成される。本発明で使用する乳清タンパク質ミセルは、サイズが100〜900nm、より好ましくは100〜770nm、最も好ましくは200〜400nmとなることが好ましい。
【0019】
ミセルの平均直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。そうするためには、液体ミセルサンプルを寒天ゲルチューブに封入する。固定は、2.5%のグルタルアルデヒドを0.1MのpH7.4カコジル酸緩衝液に溶かした溶液に浸漬し、同じ緩衝液中の2%の四酸化オスミウムで固定後洗浄することによって実現する(両方の溶液が0.04%のルテニウムレッドを含有する)。段階的な一連のエタノール(70、80、90、96、100%エタノール)で脱水した後、試料をSpurr樹脂に包埋する(Spurr/エタノール 1:1、2:1、100%)。樹脂を重合させた後(70℃、48時間)、Leica ultracut UCTウルトラミクロトームを用い、やや薄い及びごく薄い切片を切断する。次いで、ごく薄い切片を酢酸ウラニル及びクエン酸鉛水溶液で染色し、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)によって調べる。
【0020】
特定の理論に拘泥するものではないが、ミセル生成の際、ミセルは、ミセルの全体としての静電荷が、追加のどんなタンパク質分子も寄せつけないために、サイズがそれ以上成長できないような「最大の」サイズに到達すると考えられる。このために、シャープなサイズ分布が観察されると言える(図14を参照されたい)。
【0021】
本発明で使用する乳清タンパク質ミセルは、任意の市販の乳清タンパク分離物又は濃縮物、すなわち、当業界で既知の任意の乳清タンパク質調製方法によって得られる乳清タンパク質、それから調製される乳清タンパク質画分、又はβラクトグロブリン(BLG)、αラクトアルブミン、血清アルブミン等のタンパク質から製造することができる。特に、チーズ製造の副産物として得られる甘味乳清(sweet whey)、酸カゼイン製造の副産物として得られる酸味乳清(acid whey)、乳汁の精密濾過によって得られる未変性乳清、又はレンネットカゼイン製造の副産物として得られるレンネット乳清はすべて、乳清タンパク質源として使用することができる。乳清タンパク質は、単一供給源からのものであっても、任意の供給源の混合物からのものであってもよい。乳清タンパク質は、ミセル生成前にいかなる加水分解ステップも経ないことが好ましい。すなわち、乳清タンパク質は、ミセル化前にいかなる酵素的処理にもかけない。本発明によれば、ミセル生成法において、その加水分解物でなく乳清タンパク質を使用することが重要である。
【0022】
本発明で使用する乳清タンパク質ミセルの生成に使用する乳清分離物は、ウシ由来のものに限定されず、あらゆる哺乳類動物種からの乳清分離物(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラクダからのもの)がこれに含まれる。また、調製乳清は、ミネラル強化したもの、脱ミネラル化したもの、又はわずかにミネラル強化したものであってもよい。「わずかにミネラル強化した」とは、透析又はダイアフィルトレーションされ得る遊離ミネラルを除去した後の任意の調製乳清を意味するが、例えば乳清タンパク濃縮物又は分離物調製後の自然なミネラル強化によって、それに伴うミネラルを維持するものである。これらの「わずかにミネラル強化した」調製乳清では、特定のミネラル強化はなされていない。
【0023】
乳清タンパク質ミセルの製造では、乳清タンパク質は、水溶液中に、溶液の全重量の0.1〜12重量%、好ましくは0.1〜8重量%、より好ましくは0.2〜7重量%、さらにより好ましくは0.5〜6重量%、最も好ましくは1〜4重量%の量で存在し得る。
【0024】
ミセル化ステップの前に存在する調製乳清タンパク質の水溶液は、追加の化合物、例えば、各乳清製造過程の副産物、他のタンパク質、ガム、カラギーナン又は炭水化物、を含んでもよい。溶液は、他の食品成分、例えば、脂肪、炭水化物、植物抽出物、を含有してもよい。このような追加の化合物の量は一般に、溶液の全重量の50重量%を超えず、好ましくは20%を超えず、より好ましくは10重量%を超えない。
【0025】
乳清タンパク質、その画分及び/又は主要なタンパク質は、精製された形で使用してもよいし、又は同様に粗生成物の形で使用してもよい。乳清タンパク質ミセルを調製するための乳清タンパク質中の二価カチオン含有量は2.5%未満、好ましくは0.2%未満であり得る。乳清タンパク質は、完全に脱ミネラル化されていることが最も好ましい。
【0026】
pH値及びイオン強度は、乳清タンパク質ミセルの製造において重要な要素である。例えば、Ca、K、Na、Mg等の遊離のカチオンを事実上欠くか激減した、広範囲に透析されたサンプルでは、5.4より低いpHで10秒から2時間熱処理を行うと、カード(curd)が得られ、6.8を超えるpHでは可溶性の乳清タンパク質が生じる(図1を参照のこと)。したがって、このどちらかと言えば狭いpH領域においてのみ、直径が1μm未満の乳清タンパク質ミセルが得られる。このようなミセルは、全体として負の電荷を有することになる。等電pHより低いpH、すなわち3.5〜5.0、より好ましくは3.8〜4.5でも、同じミセル形態を対称的に得ることができ、正の電荷をもつミセルがもたらされる(図6を参照のこと)。
【0027】
したがって、正の電荷をもつミセルを得るには、乳清タンパク質のミセル化を、塩を含まない溶液中、タンパク質供給源のミネラル含有量に応じて、3.8〜4.5に調整されたpH値で行うことができる。
【0028】
或いは、粉末乳清タンパク質中の二価カチオン含有量が0.2%〜2.5%であるものでは、負の電荷をもつミセルを得るために、pHを6.3〜9.0の範囲に調整することができる。
【0029】
より詳細には、二価カチオン含有量が少ないもの(例えば最初の粉末乳清タンパク質の0.2%未満)では、負の電荷をもつミセルを得るために、pHを5.6〜6.4の範囲に、又は5.8〜6.0の範囲にまで調整する。pHは、乳清タンパク(濃縮物又は分離物)供給源のミネラル含有量に応じて、8.4まで上げることができる。特に、多量の遊離ミネラル存在下で負の電荷をもつミセルを得るには、pHは7.5〜8.4、好ましくは7.6〜8.0であり、それほど多くない量の遊離ミネラル存在下で負の電荷をもつミセルを得るには、pHは6.4〜7.4、好ましくは6.6〜7.2である。一般に、最初の粉末乳清タンパク質のカルシウム及び/又はマグネシウム含有量が多いほど、ミセル化pHは高くなる。
【0030】
乳清タンパク質ミセルの生成条件は、既知の脱ミネラル化技術(透析、限外濾過、逆浸透、イオン交換クロマトグラフィー・・・)のいずれかによって、タンパク質濃度が、甘味乳清、乳汁精密濾過透過液、又は酸味乳清のもの(タンパク質含有量0.9%)から、タンパク質含有量が30%の濃縮物のものまでの範囲に及ぶ任意の液体未変性乳清タンパク質供給源を脱ミネラル化することにより標準化することができる。透析は、水(蒸留水、脱イオン水、又は軟水)に対して行うことができるが、水では、乳清タンパク質に弱く結合したイオンの除去しか可能にならないので、4.0より低いpHの(有機又は無機の)酸に対して透析して、乳清タンパク質のイオン性組成物をより良好に制御することが通例である。そのようにすることによって、乳清タンパク質ミセル生成のpHは、pH7.0より低くなり、通常は5.8〜6.6となる。
【0031】
乳清タンパク質水溶液を加熱する前には、一般に、酸(例えば、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸)を加えてpHを調整する。ミネラル含有量が多いときは一般に、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム)の溶液を加えてpHを調整する。
【0032】
或いは、pH調整ステップが所望されないならば、pHを一定に保ちながら、調製乳清タンパク質のイオン強度を調節することが可能である。その場合、イオン強度は、有機又は無機のイオンによって、一定のpH値7でミセル化が可能になるようにして調整することができる。図4は、70〜80mMのアルギニンHClを加えてイオン強度を様々に変更する間、7.0という一定のpH値で生成するミセルを例示するものである。
【0033】
乳清タンパク質の熱処理の間のpH値の実質的な変化が回避されるように、乳清タンパク質の水溶液に緩衝液をさらに加えてもよい。原則として、緩衝液は、任意の緩衝液系、すなわち、例えば、酢酸及びその塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム)、リン酸及びその塩(例えば、NaHPO、NaHPO、KHPO、KHPO)、又はクエン酸及びその塩、から選択することができる。
【0034】
加熱前に水溶液のpH及び/又はイオン強度を調整すると、制御式の方法となり、サイズが100〜900nm、好ましくは100〜700nm、最も好ましくは200〜400nmであるミセルが得られる。本明細書に記載の方法を実施したとき、100〜700nmの寸法を有するミセルの分布が80%より高いことが好ましい(図14を参照のこと)。
【0035】
本発明によれば、均整のとれた形状のミセルを得るには、乳清タンパク質が、ミセル形成前にいかなる加水分解ステップも経ないこともまた重要である。
【0036】
pH及び/又はイオン強度を調整した後、出発乳清タンパク質水溶液を熱処理にかける。この点で、乳清タンパク質ミセルを得るには、約70℃〜95℃未満、好ましくは約82〜約89℃、より好ましくは約84〜約87℃の範囲、最も好ましくは約85℃の温度であることが重要である。工業的規模では、温度を好ましくは95℃未満、より好ましくは80℃〜90℃、最も好ましくは約85℃とすることが重要なこともわかっている。
【0037】
所望の温度に到達したならば、溶液を最低10秒間且つ最長2時間この温度に保つ。乳清タンパク質水溶液を所望の温度範囲に保つ時間は、12〜25分、より好ましくは12〜20分の範囲をとることが好ましく、又は約15分間であることが最も好ましい。
【0038】
熱処理は、電子レンジ又はマイクロ波による加熱が可能な任意の同様の機器でも実現することができ、1500Wの装置で沸点(高度833mで98℃)まで加熱される4重量%のタンパク質溶液では、時間/量の比は10秒/10mLである。保持管により延長可能なガラス管の周囲に8個以上のマグネトロンを付加することによって持続的なプロセスを用いて、温置時間を増やしてもよい。
【0039】
図2に示すように、濁度測定はミセル形成の指標である。500nmでの吸光度によって測定される濁度は、一般に1%のタンパク質溶液で少なくとも3吸光度単位であるが、ミセル化の収率が80%を上回るときは16吸光度単位に達する場合もある(図2を参照のこと)。
【0040】
物理化学的な見地からミセル形成の効果をさらに例示するために、Bipro(登録商標)の1重量%分散液を、MilliQ水中、pH6.0及び6.8、85℃で15分間加熱した。熱処理後に得られる凝集体の水力学的な直径を動的光散乱法によって測定した。凝集体の見かけ上の分子量は、いわゆるDebyeプロットを使用する静的光散乱法によって決定した。表面の疎水性は、システインを標準アミノ酸として使用するDTNB法によって、疎水性のANSプローブ及び利用可能な遊離チオール基を用いて探索した。最後に、凝集体の形態をネガティブ染色によってTEMで調査した。結果を表1に示す。
【0041】
表1から、pH6.0で生成した乳清タンパク質ミセルでは、タンパク質の特有のANS表面疎水性が、pH6.8である以外は同じ条件下で加熱した非ミセル化乳清タンパク質と比べて2分の1に低下したことが明白である。ミセルが生成したことは、非ミセル化タンパク質の0.64×10g/molと比べて、ミセル内で物質が非常に凝縮した状態(少量の水)であることを示す、27×10g/molという非常に高い分子量からもわかる。十分に興味深いことに、ミセルのζ電位は、非ミセル化タンパク質がミセルより塩基性のpHで生成していたとしても、非ミセル化タンパク質よりもマイナスである。これは、ミセルのより親水性の表面が溶媒に曝されるためである。最後に、ミセルのチオール反応性は、熱処理のpHが異なるので、非ミセル化タンパク質よりはるかに低いことを留意されたい。
【0042】
【表1】

【0043】
最初のタンパク質濃度がpH調整及び熱処理の前に増大すると、未変性乳清タンパク質のミセルへの転換収率は低下する。例えば、乳清タンパク分離物Prolacta 90(ロット673、Lactalis社)から出発したとき、乳清タンパク質ミセルの生成収率は、85%(4%のタンパク質から出発したとき)から50%(12%のタンパク質から出発したとき)に落ちる。乳清タンパク質ミセルの生成を最大(最初のタンパク質含有量の>85%)にするには、タンパク質濃度が12%未満、好ましくは4%未満である乳清タンパク質水溶液から出発する方がよい。目的の最終的な用途に応じて、タンパク質濃度を調整してから熱処理すると、最適な乳清タンパク質ミセル収率を管理することができる。
【0044】
所望の用途に応じて、濃縮前のミセルの収率は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%であり、残りの可溶性凝集体又は可溶性タンパク質含有量は、20%未満であることが好ましい。平均ミセルサイズは、0.200未満の多分散指数を特徴とする。乳清タンパク質ミセルは、pH4.5付近で凝集体を形成することができたが、しかし、4℃で少なくとも12時間経過後には、巨視的な相分離の徴候はないことが観察された。
【0045】
乳清タンパク質ミセルの純度は、生成後の残りの可溶性タンパク質量を測定することによって得られる。ミセルは、20℃、26900gで15分間の遠心分離によって除去する。上清を用いて、石英キュベット(光経路長1cm)中、280nmでタンパク質量を決定する。値は、熱処理前の最初の値の百分率として示される。
【0046】
ミセルの割合=(最初のタンパク質量−可溶性タンパク質量)/最初のタンパク質量
【0047】
本明細書に記載の方法を使用することによって、乳清タンパク質ミセルは、従来の方法とは異なり、生成の際、粒径の縮小をもたらすいかなる機械的ストレスも受けない。この方法では、剪断なしで、熱処理の際に乳清タンパク質の自発的なミセル化が誘発される。
【0048】
ミセルは、懸濁液又は分散液として得ることができ、100〜900nm、好ましくは100〜770nm、最も好ましくは200〜400nmのサイズを有するものであり得る。
【0049】
本明細書に記載の方法によって得られるミセルは、本発明の研磨媒体として使用可能な、非常に安定な不溶性の構造である。
【0050】
本発明において、前記ミセルは、そのまま使用してもよいし、或いはその研磨特性を保持したまま、濃縮、スプレー乾燥等のさらなる処理を経てもよい。
【0051】
実際には、熱処理後に得られるミセル分散液を、例えば、蒸発、遠心分離、沈降、精密濾過及び/又は限外濾過によってさらに濃縮することができる。
【0052】
乳清タンパク質ミセルを濃厚にしてその濃縮物を生成すると、タンパク質が強化された生成物を、以前には成し遂げられなかった濃度で得ることができるという利点がもたらされる。すなわち、ミセル懸濁液は、4%より高い、好ましくは10%より高い、より好ましくは20%より高いタンパク質含有量に濃縮することができる。
【0053】
蒸発は、温度が50℃〜85℃の真空中でミセル分散液をエバポレーターに送ることによって実施することができる。得られる生成物は一般に、図18に示すようにゲル又はクリームの態様を有する。このようなミセル生成物は、単独で研磨媒体若しくは化粧料として使用してもよいし、又は本発明の化粧品組成物中で使用してもよい。さらに、蒸発によって得られる乳清タンパク質ミセルの20%タンパク濃縮物では、乳酸を用いる酸性化により、のびのよいテクスチャーを付与することができる。
【0054】
遠心分離は、乳清タンパク質ミセル分散液をpH5未満、好ましくは4.5未満に酸性化した後、大きい加速度(2000gより大)又は小さい加速度(500g未満)で実施することができる。
【0055】
酸性化によって、乳清タンパク質ミセル分散液を自発的に沈降させてもよい。pHが4.5となり、沈降時間が12時間より長いことが好ましい。
【0056】
或いは、本発明で使用する乳清タンパク質ミセルの濃縮は、ミセル分散液の精密濾過によって実現することができる。この濃縮技術は、溶媒の除去によって乳清タンパク質ミセルを濃縮することができるだけでなく、非ミセル化タンパク質(例えば、未変性タンパク質、可溶性凝集体)を除去することもできる。したがって、最終的な生成物は、本質的にミセルのみからなる(透過型電子顕微鏡によって確認される。図9及び10を参照されたい)。この場合では、膜を通る透過液の最初の流速がその最初の値の20%に低下した後、達成可能な濃縮率が実現される。これによって、80%より高い濃度でミセルが得られる。
【0057】
乳清タンパク質ミセルの別の処理は、本明細書に記載の方法を使用して得られるミセル分散液で実施することができる。
【0058】
例えば、乳清タンパク質ミセルの機能性をモジュレートするために、乳清タンパク質ミセルを、乳化剤(例えば、リン脂質)又は他のコーティング剤、例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク加水分解物又はガム(例えば、アカシアガム)、でコーティングすることができる。タンパク質をコーティング剤として使用する場合、等電点が乳清タンパク質より有意に高いか低いいかなるタンパク質からも選択することができる。それらのタンパク質は、例えば、プロタミン、ラクトフェリン、及びいくつかのイネタンパク質である。タンパク加水分解物をコーティング剤として使用するとき、タンパク質(例えば、プロタミン、ラクトフェリン、イネタンパク質、カゼインタンパク質、乳清タンパク質、コムギタンパク質、ダイズタンパク質、又はこれらの混合物)の加水分解物であることが好ましい。コーティングは、硫酸化オレイン酸ブチル、モノ及びジグリセリンのジアセチル酒石酸エステル、モノグリセリンのクエン酸エステル、ステアロイルラクチラート、及びこれらの混合物、から選択される乳化剤であることが好ましい。図17は、硫酸化オレイン酸ブチルでのコーティングの模式的な表現である。さらに、本明細書でさらに記載する同時噴霧乾燥(co−spraydrying)でも、乳清タンパク質ミセルをコーティングすることができる。
【0059】
別の処理、例えば、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥、ローラー乾燥等)も、乳清タンパク質ミセルに施すことができる。すなわち、濃縮乳清タンパク質は、別の成分を加え、又は加えずに噴霧乾燥することができ、広範囲なプロセス、例えば、消耗品製造、化粧品用途、で使用される送達系(delivery system)又は構成単位(building block)として使用することができる。
【0060】
図8は、噴霧乾燥の間に起こるミセル凝集のために平均粒径サイズが1ミクロンより大きい、いかなる別の成分も加えずに噴霧乾燥して得られた粉末を示す。乳清タンパク質ミセル粉末の典型的な平均体積メジアン径(D43)は、45〜55ミクロン、好ましくは51ミクロンである。これら粉末の表面メジアン径(D32)は、3〜4ミクロンであることが好ましく、3.8ミクロンであることがより好ましい。
【0061】
噴霧乾燥後に得られる粉末の含水量は、好ましくは10%未満、より好ましくは4%未満である。
【0062】
そのような乳清タンパク質ミセル粉末は、少なくとも90%の乳清タンパク質を含み、その少なくとも80%がミセルの形態をとるので、「純粋」であるとみなす。
【0063】
さらに、「純粋な」乳清タンパク質ミセル粉末は、水、グリセロール、エタノール、油、有機溶媒等の溶媒に対して高い結合能を有する。この粉末の水に対する結合能は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも100%である。
【0064】
グリセロール、エタノールガムの溶媒では、結合能は少なくとも50%である。乳清タンパク質ミセル粉末のこの特性によって、ペプチド、植物抽出物、タンパク加水分解物、生理活性物質、ビタミン、ミネラル、医薬、化粧品成分等、及びこれらの混合物、からなる群より選択される別の活性薬剤と共にこれを噴霧又は充填することが可能になる。
【0065】
活性薬剤は、粉末中に0.1〜50%の量で含まれ得る。したがって、粉末は、これらの機能性成分の担体として働くことができる。
【0066】
噴霧乾燥前に乳清タンパク質ミセル又はその濃縮物に混合してもよい追加の成分は、可溶性又は非可溶性の塩、ペプチド、タンパク加水分解物、色素成分、脂肪、乳化剤、香気成分、植物抽出物、リガンド又は生理活性物質(ミネラル、ビタミン、薬物・・・)、乳、乳タンパク質、脱脂粉乳、カゼインミセル、カゼイン塩、植物性タンパク質、アミノ酸、ポリフェノール、及びこれらの任意の混合物を含む。得られる混成乳清タンパク質ミセル粉末は、乳清タンパク質ミセルと追加の成分とを1:1〜1:1000の重量比で含む。これによって、これらの追加の成分をさらに含む凝集塊が得られるので、本発明に従って、使用する追加の成分に応じて別の機能特性及び健康上の利益を示す研磨媒体として使用することができる。したがって、混成粉末は、例えば生理活性剤用の担体として働き得る。
【0067】
本発明によって得られる乳清タンパク質ミセル粉末は、中空の球だけでなく潰れた球から主に構成される内部構造を特徴とする(図19を参照されたい)。中空の球の構造は、噴霧乾燥中に、濃縮WPM液滴内に蒸気液滴が生成したということにより容易に説明できる。温度が100℃より高いために蒸気液滴がWPM液滴を出たので、中空の球が残った。「骨形」は、液滴からの水の蒸発と液滴内の外圧の組合せによるものである。
【0068】
丸い中空球の内部構造を、粒子をその直径付近で切断した後SEMによって調べた(図20、左)。粒子の壁の厚さは約5μmであり、非常に滑らかに見えたが、内側の構造は、外観がよりざらざらしていた。拡大率を上げると、このざらつきが実際は、融合して粉末粒子の内側マトリックスを形成している最初のWPMの存在によるものであったことが示された。興味深いことに、噴霧乾燥の間ミセルの球状の形は保たれ、そのうえ粒径分布は均質であった(図20、右)。
【0069】
すなわち、顕微鏡ベースでは、乳清タンパク質ミセル粉末は、無傷で個別化された乳清タンパク質ミセルを含んでいる中空又は潰れた球という独特な顆粒形態を特徴とする。
【0070】
乳清タンパク質ミセル粉末は、非常に高い流動性を特徴とし、これによって使用しやすく移しやすいという利点がもたらされる。これらの粉末の安息角は、好ましくは35°未満、より好ましくは30°未満である。このように安息角が小さいために、この粉末を、例えば化粧品用途で流動化剤(flowing agent)として使用することが可能になる。
【0071】
これらの粉末は、例えば、研磨媒体として、化粧料として、又は化粧品組成物の製造において、本発明に従って使用することもできる。
【0072】
粉末粒子、すなわち乳清タンパク質ミセルの凝集体のサイズ、及び乳清タンパク質ミセルそれ自体のサイズは、局所的な用途で使用するとき、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体がほとんど知覚されず、皮膚を刺激せずに研磨剤として働くという利点となる。
【0073】
その形態(例えば、濃縮物、懸濁液、乾燥粉末)にかかわらず、乳清タンパク質ミセルの重要な特徴は、乳清タンパク質の基礎的なミセル構造が保存されていることである。図15は、薄片にしておき、それによって個々の乳清タンパク質ミセルが観察可能になっている乳清タンパク質粉末粒子を示す。ミセル構造はさらに、溶媒中で容易に復元することができる。例えば、濃縮乳清タンパク質ミセルから得られた粉末は、室温又は50℃で容易に水に再分散できることがわかっている。乳清タンパク質ミセルのサイズ及び構造は、最初の濃縮物と比べて完全に保存される。例えば、図13では、濃縮乳清タンパク質をタンパク質濃度20%で噴霧乾燥したものが、50%のタンパク質濃度で、50℃で脱イオン水に再分散している。ミセルの構造は、TEMによって厳密に調べてあり、図10と比べることができる。同様の形のミセルが得られた。ミセルの直径は、動的光散乱法によって315nmであることがわかり、多分散指数は0.2であった。図16にも、凍結乾燥した乳清タンパク質ミセル粉末の分散液を示すが、ミセルは復元されている。
【0074】
噴霧乾燥又は凍結乾燥した粉末を復元した後、溶液中に乳清タンパク質ミセルと微量の凝集体画分トが観察されたことは、乳清タンパク質ミセルが噴霧乾燥、凍結乾燥等に関して物理的に安定であることを裏付ける。
【0075】
興味深いことに、濃縮物は、タンパク質含有量が10%に調整されたならば、図11に示すように、例えば0.15Mまでの塩化ナトリウム存在下において、85℃、pH7.0、15分間のその後の熱処理に持ちこたえることができる。比較の問題として、未変性乳清タンパク質分散液(Prolacta90、ロット500658、Lactalis)は、0.1Mの塩化ナトリウムの存在下、タンパク質濃度4%でゲルを形成する(図12を参照されたい)。
【0076】
ミセル構造の高い安定性は、濃縮ステップの間も保存される。そのために、ミセル構造によって与えられる研磨特性が、本発明の化粧品組成物の製造、貯蔵等の間損なわれないという利点が得られる。
【0077】
本発明によれば、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体は、研磨媒体として使用することができる。乳清タンパク質ミセルの凝集体は、噴霧乾燥又は凍結乾燥された粉末の形態をとることができる。この凝集体は、可溶性又は非可溶性の塩、色素成分、脂肪、乳化剤、香気成分、植物抽出物、リガンド又は生理活性物質(ミネラル、ビタミン、薬物・・・)、及びこれらの任意の混合物、からなる群より選択される追加の成分を含んでもよい。
【0078】
本発明によれば、乳清タンパク質ミセル又はその前記凝集体は、化粧料として、又は化粧品組成物の製造用に使用することができる。
【0079】
これらは、ペプチド、植物抽出物、タンパク加水分解物、生理活性物質、ビタミン、ミネラル、医薬、化粧品成分、及びこれらの混合物、からなる群より選択される別の活性薬剤と組み合わせることもできる。
【0080】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体は、組成物中に、少なくとも1%の量、好ましくは5%より多い量、より好ましくは10%より多い量、さらにより好ましくは20%より多い量、最も好ましくは最大50%の量で含まれることが好ましい。
【0081】
乳清タンパク質ミセルは、分散液、懸濁液、ゲル、クリーム又は粉末の形で存在し得る。前記分散液、懸濁液、ゲル、クリーム又は粉末中の乳清タンパク質濃度は、4%より高い、好ましくは10%より高いことが好ましい。
【0082】
本発明で使用する乳清タンパク質ミセルは、平均サイズが100〜900nm、好ましくは100〜770nm、より好ましくは200〜400nmであり得る。
【0083】
他方、本発明で使用する乳清タンパク質ミセルの凝集体は、平均サイズが1μmより大きいものであり得る。
【0084】
前記乳清タンパク質ミセル又はその凝集体は、シャンプー、シャワージェル等の製造で使用することができる。
【0085】
これらは、局所的な用途で使用することもできるが、その場合、乳清タンパク質ミセルは、分散液、懸濁液、クリーム、ゲル又は粉末の形態で存在する。
【0086】
前記乳清タンパク質ミセルは、局所的な用途の化粧品組成物に組み入れることができる。
【0087】
一実施形態において、本発明は、乳清タンパク質ミセルを皮膚に適用するステップを含む、皮膚粒子の研磨方法を提供する。乳清タンパク質ミセルは、分散液、懸濁液、クリーム、ゲル又は粉末の形態で存在してもよく、又は適用前に組成物中に組み入れてもよい。
【0088】
本発明の組成物は、少なくとも1%の量、好ましくは5%より多い量、より好ましくは10%より多い量、さらにより好ましくは20%より多い量、最も好ましくは最大50%の量のミセルを含み得る。
【0089】
組成物中の乳清タンパク質の濃度は、1%より高い、好ましくは10%より高い、より好ましくは20%より高い、最も好ましくは50%より高いことが好ましい。
【0090】
組成物は、溶液、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、スプレー等の形態をとり得る。
【0091】
一実施形態において、組成物は、シャンプー等のヘアケア製品である。組成物は、シャワージェル又はボディー及び/若しくはヘアシャンプーであってもよい。
【0092】
本発明はまた、
a.乳清タンパク質ミセル又はその凝集体を生成するステップと、
b.前記ミセル又はその凝集体を組成物に組み入れるステップと、
を含む、化粧品組成物の製造方法を提供する。
【0093】
本発明の方法によって得られる乳清タンパク質ミセル又はその凝集体及び組成物は、上述したようなものである。
【0094】
乳清タンパク質ミセルは研磨特性を有するので、本発明の皮膚粒子の研磨方法で使用することが可能である。これは、懸濁液、分散液、クリーム、ゲル又は粉末の形の乳清タンパク質ミセルを局所的に適用して実施することができ、乳清タンパク質ミセルは、単独で、又は別の活性物質と組み合わせて使用することができる。そのような活性物質は、ペプチド、植物抽出物、タンパク加水分解物、生理活性物質、ビタミン、ミネラル、医薬、化粧品成分等から選択される。さらに、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体は、適用前に組成物に組み入れてもよい。乳清タンパク質ミセルが組み入れられる組成物は、基本のクリーム組成物から、複雑なクレンジング溶液、石鹸、ゲル、フォーム、歯磨き粉、スプレー、シャンプー等に及ぶ。
【0095】
乳清タンパク質ミセルを化粧料として使用してもたらされる利点は、研磨性という性質が、例えば、死んだ皮膚細胞を除去するのに重要であるというだけでなく、ミセルの本来の性質により、ミセルが他の機能を発揮することが可能となることである。機械的な研磨挙動に加え、高度な負の電荷又は正の電荷をもつ乳清タンパク質ミセルは逆の電荷をもつ皮膚由来の不純物と静電複合体を形成して、特定の除去を促進することができる。同じようにして、ミセルの自然な疎水性は、皮膚に対して一切攻撃的にも刺激性にもならずに、皮膚から親油性の不純物を除去するのに役立つ。
【0096】
さらに、乳清タンパク質ミセルは、水性系中の脂肪及び/又は空気を長期間安定化することができるので、乳化剤、ホワイトニング(whitening)剤、脂肪代用品、ミセル状カゼイン代用品又は泡立て剤としての使用に十分に適することが示されている。気泡安定性を図5に示し、非ミセル化乳清タンパク質対本発明で使用する乳清タンパク質ミセルの使用を比較する。
【0097】
したがって、乳清タンパク質ミセルは乳化剤として使用することができるが、この材料は、味が目立たず、その使用によって不快な臭いが生じないので、十分にそれに適する。
【0098】
さらに、この乳清タンパク質ミセルはホワイトニング剤として役立つ状態にもあるので、1種の化合物でいくつかの課題を解決することができる。乳清は、大量に入手可能な材料であるので、これを使用すると、乳化剤、充填剤、ホワイトニング剤又は泡立て剤を必要とする製品のコストが削減される。
【0099】
また、乳化剤の役割を果たす乳清タンパク質ミセルは、例えば、乳濁液又はフォームの安定剤として有用であるだけでなく、油性の残留物を除去し、十分なクレンジング効果をもたらすのにも役立つと言える。さらに、乳清タンパク質ミセルは、他の活性成分、例えば、ラクトフェリン、保湿剤、エモリエント剤、鎮痛剤、収斂剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、薬物、抗生物質、物質、酸、バラ水、グリセリン、と組み合わせて使用することができる。乳清タンパク質ミセルは、シャンプー中で、洗浄剤、ホワイトニング剤として、さらには着色剤として使用することができる。また、シャワージェル中で使用することもできる。
【0100】
乳清タンパク質ミセルの適用例としては、例えば、スキンケア、口腔ケア(例えば、歯磨き粉、洗口液、歯茎洗浄剤)、ヘアケアが挙げられる。乳清タンパク質ミセル又はその濃縮物は、そのまま使用してもよいし、又は用途に応じて希釈してもよい。
【0101】
それに応じて、乳清タンパク質ミセルを上述のような方法に従って生成し、前記ミセルをさらに組成物中に組み入れる、化粧品組成物の製造方法も本発明によって提供される。
【0102】
乳清タンパク質ミセルが組み入れられる組成物は、基本のクリーム組成物から、複雑なクレンジング溶液、石鹸、ゲル、フォーム、歯磨き粉、スプレー、シャンプー等に及ぶ。こうした組成物は、さらなる活性成分、例えば、ラクトフェリン、保湿剤、エモリエント剤、沈痛剤、収斂剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、薬物、抗生物質、物質、酸、バラ蒸留水、グリセリン、スルホスクシナート、アルキルスルホン酸塩、ココベタイン、キサンタンガム、EDTA、ソルビン酸カリウム、ダイズ油、アーモンド油、プロピルトリモニウム、セテアレス20、セチルアルコール、精油、植物油、水添ヒマシ油、乳化剤、安定剤、パラベン−DU、着香料、ラウリルグルコシド、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ブチレングリコール、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸PEG−2、セテアリルアルコール、クレス12(cleth−12)、ステアリルアルコール、ミエチコン(mieticone)、アラントイン、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、グリチルレチン酸、メチルココイル酒石酸ナトリウム、BHT、塩化ナトリウム、イミダゾリジニル尿素、αイソメチルイオノン、ベンジルサリチル酸、ブチルフェニル、メチルプロピオナル、ヒドロキシイソヘキシル3−シクロヘキセンカルボキサルデヒド、サリチル酸、ポリエチレン、トリエタノールアミン、キサンタンガム、PEG−60水添ヒマシ油、ベンゾフェノン4、イミダゾリジニル尿素、デシルグルコシド、ジメチルMEA、コカミドプロピルベタイン、グリコール酸、PPG−2ヒドロキシエチルコカミド、グリセレス7、ジオレイン酸PEG−120メチルグルコース、ココイルサルコシン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソブチルパラベン、香料のメントール、シトロネロール、ゲラニオール、ヘキシルシンナマル、リモネンを含有してもよい。
【0103】
通常、組成物は、粉末中に乳清タンパク質ミセル又はその凝集体を少なくとも1%、5%、10%、20%、最高で50%の量で含むことになる。
【0104】
以下の実施例は本発明を説明するものである。但し、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0105】
本発明は、本発明のミセルの調製について詳細に説明する以下の実施例を参照することでさらに明確になる。本明細書で説明し、特許請求される発明は、本明細書に開示する詳細な実施形態によってその範囲を限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明のいくつかの態様の説明を目的としたものである。いかなる等価な実施形態も、本発明の範囲内にあるものとする。実際、本明細書に記載したものの他に、本発明の様々な変更形態が以上の説明から当業者に明白となろう。そのような変更形態も、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0106】
〔実施例1: βラクトグロブリンのミセル化〕
βラクトグロブリン(ロットJE002−8−922、13−12−2000)は、Davisco(米国アリゾナ州Le Sueur)から得た。限外濾過及びイオン交換クロマトグラフィーによって、タンパク質を甘味乳清から精製した。粉末の組成は、タンパク質89.7%、水分8.85%、灰分1.36%(Ca2+ 0.079%、Mg2+ 0.013%、K 0.097%、Na 0.576%、Cl 0.050%)である。使用した他の試薬はすべて、分析グレードのものであった(Merck、ドイツ国ダルムシュタット)。
【0107】
タンパク質溶液は、βラクトグロブリンをMilliQ(登録商標)水(Millipore)に溶媒和させ、20℃で2時間攪拌することによって、濃度0.2%で調製した。次いで、等分試料のpHを、HClを加えて5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0に調整した。溶液を20ml容ガラスバイアル(Agilent Technologies)に満たし、シリコン/PTFEシールを含むアルミニウムカプセルで密封した。溶液を85℃で15分間加熱した(この温度に達する時間は2.30〜3.00分)。熱処理後、試料を氷水中で20℃に冷却した。
【0108】
生成物の視覚的な側面(図1)から、ミセル化の至適pHが5.8であることが示唆される。
【0109】
〔実施例2: 乳清タンパク分離物のミセル化〕
乳清タンパク分離物(WPI)(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)は、Davisco(米国ミネソタ州Le Sueur)から得た。粉末の組成は、表1で報告する。
【0110】
粉末乳清タンパク質をMilliQ(登録商標)水(Millipore)に溶媒和させ、20℃で2時間攪拌することによって、タンパク質溶液をタンパク質3.4%で調製した。最初のpHは7.2であった。次いで、等分試料のpHを、0.1NのHClを加えて5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、及び6.6に調整した。
【0111】
溶液を20ml容ガラスバイアル(Agilent Technologies)に満たし、シリコン/PTFEシールを含むアルミニウムカプセルで密封した。溶液を85℃で15分間加熱した(この温度に達する時間は2.30〜2.50分)。熱処理後、試料を氷水中で20℃に冷却した。
【0112】
加熱した乳清タンパク質の濁度は、500nm及び25℃で測定しておき、試料を希釈して、0.1〜3Abs単位の範囲で測定できるようにした(Spectrophotometer Uvikon 810、Kontron Instrument)。値は、最初のタンパク質濃度3.4%について算出したものである。
【0113】
図2で例示するように、同じ試料について10分以内に500nmで測定した吸光度が安定すれば(最初の値の5%未満の変動)、ミセル化のpHに到達したとみなした。この生成物では、ミセル化至適pHは6.0〜6.2であった。熱処理前に調整したこのpHでは、安定な濁度は21であり、遠心分離後に280nmでの吸光度によって評価した残りの可溶性タンパク質は1.9%であった。pH6.0で最初のタンパク質の45%がミセルに変換されたと結論付けることができる。
【0114】
【表2】

【0115】
〔実施例3: ミセルの顕微鏡観察〕
ミセルの生成:
粉末乳清タンパク質(WPI90 バッチ989/2、Lactalis、フランス国Retier)をMilliQ(登録商標)水(Millipore)に溶媒和させ、20℃で2時間攪拌することによって、タンパク質溶液をタンパク質2%で調製した。次いで、等分試料のpHを、0.1N HCl又は0.1N NaOHを用いて調整した。
【0116】
溶液を20ml容ガラスバイアル(Agilent Technologies)に満たし、シリコン/PTFEシールを含むアルミニウムカプセルで密封した。溶液を85℃で15分間加熱した(この温度に達する時間は2.30〜2.50分)。熱処理後、試料を氷水中で20℃に冷却した。この生成物では、ミセル化の至適pHは7.4であった。
【0117】
顕微鏡観察:
液体ミセル試料を、寒天ゲルチューブに封入した。固定は、2.5%のグルタルアルデヒドを0.1MのpH7.4カコジル酸緩衝液に溶かした溶液に浸漬し、同じ緩衝液中の2%の四酸化オスミウムで固定後洗浄することによって実現した(両方の溶液が0.04%のルテニウムレッドを含有する)。段階的な一連のエタノール(70、80、90、96、100%エタノール)で脱水した後、試料をSpurr樹脂に包埋した(Spurr/エタノール 1:1、2:1、100%)。樹脂を重合させた後(70℃、48時間)、Leica ultracut UCTウルトラミクロトームを用い、やや薄い及びごく薄い切片を切断した。ごく薄い切片を、酢酸ウラニル及びクエン酸鉛水溶液で染色し、透過型電子顕微鏡(Philips CM12、80kV)で調べた。
【0118】
TEM顕微鏡像を図3に示す。得られたミセルは、直径200nmの球状の形を示している。
【0119】
粒径分布:
pH4.25(約+25mVのζ電位で正に帯電)及びpH6.0(約−30mVのζ電位で負に帯電)で、1重量%のβラクトグロブリン分散液を85℃で15分間熱処理して得たミセルについて、強度に基づくミセルのサイズ分布を測定した。ミセルのZ平均流体学的直径は、pH4.25で229.3mm、pH6.0で227.2mmであった。β−LG及び乳清タンパク質の凝集は、動的光散乱法を用いて追跡した。出力4.0mW、波長633nmで放射するレーザーを備え付けたNanosizer ZS装置(Malvern Instruments、英国)を使用した。この機器を、散乱角173°で検出を行う後方散乱の配置で使用した。これによって、混濁した試料で見られる散乱シグナルの多発がかなり減少する。試料を四角い石英セル(Hellma、経路長1cm)に入れた。光の経路長は、試料の濁度(漸減)に応じて、装置によって自動的に設定した。拡散強度の揺らぎから、自己相関関数を算出した。結果は図6に示す。平均的な粒子が、非常に狭い多分散指数(<0.200)を特徴とすることが示されている。
【0120】
〔実施例4: 一定pHでのβラクトグロブリンのミセル化〕
2%βラクトグロブリン水溶液を使用することを条件とし、実施例1に記載の方法を繰り返した。この溶液のpHは、アルギニンHCl溶液を加えた後7.0に調整して、5〜200mMの最終塩濃度及び1%の最終βラクトグロブリン濃度を実現しておいた。その後、熱処理(80℃、10分間、約2分間の加熱)を行ってミセルを生成した。
【0121】
結果は図4に示すが、約50〜70mMのイオン強度範囲でのみ、乳清タンパク質ミセルの存在を示すかなりの濁度が認められることが明白に示されている。
【0122】
〔実施例5: ホワイトニング剤の調製〕
未変性乳清タンパク質(WPI95 バッチ848、Lactalis、8重量%水溶液)を実施例2に従って処理した。得られる生成物の明度(L)を、2mmの測定用セルを備え付けたMacBeth CE−XTH D65 10°SCE装置を用いて、透過反射率方式で測定した。得られる明度はL=74.8であり、これは脂肪分無調整乳のL=74.5という値と同等とみなすことができた。
【0123】
〔実施例6: 水性フォームの調製〕
未変性βラクトグロブリン(Biopure、Davisco、ロットJE002−8−922、2重量%水溶液)を120mMのアルギニンHCl溶液と混合して、最終βラクトグロブリン濃度が1重量%、最終アルギニンHCl濃度が60mMになるようにした。次いで、1N HClを加えてpHを7.0に調整した。次いで、混合物を80℃で10分間熱処理して、最初のβラクトグロブリンの90%が、130nmのz平均直径を有するミセルに変換されるようにした。この場合では、ミセルの直径は、Nanosizer ZS装置(Malvern Instruments、英国)を用いて測定した。試料を石英キュベットに注ぎ、散乱光の変動を自動的に記録した。得られた自己相関関数を、キュムラント法を用いて適合させて、粒子の拡散係数が算出できるようにし、その後、ストークス・アインシュタインの法則を用いてz平均流体学的直径が算出できるようにした。この測定では、溶媒の屈折率は、1.33、ミセルの屈折率は1.45として計測された。次いで、標準化されたFoamscanm(商標)(ITConcept)装置を用いて、得られるβラクトグロブリンミセル分散液の50mLを、12〜16μmの気泡を生じるガラスフリットからの窒素注入によって泡立たせて、180cmの泡沫体積を生成する。次いで、泡沫の体積安定性を、画像解析を用いて26℃で経時的に追跡し、アルギニンHClを加えていないが同じ条件で処理したβラクトグロブリンで得られた、ミセルが生成しなかった泡沫の安定性と比較した。図5は、βラクトグロブリンミセルの存在によって、泡沫体積安定性が大いに改善されていることを示している。
【0124】
〔実施例7: 噴霧乾燥によって得た粉末乳清タンパク質ミセル〕
材料:
タンパク質含有量90%の乳清タンパク分離物(WPI、Prolacta90(登録商標)、Lactalis、フランス国Retiers)
食用ラクトース
マルトデキストリンDE39
脱イオン水
可食塩酸1M
【0125】
方法:
二層構造の100L槽を用いて、脱イオン水に、泡沫生成を回避するために穏やかに攪拌しながらタンパク質濃度10重量%でProlacta90(登録商標)粉末を50℃で分散させた。すなわち、89kgの脱イオン化水に11kgのProlacta90(登録商標)を分散させた。1時間分散させた後、HClを加えて、分散液のpHをミセル化pH(この場合では約6.3)に調整した。乳清タンパク質ミセルを生成するために、分散液の温度を85℃に上昇させ、15分間維持した。15分後、温度を50℃に下げ、10重量%の乳清タンパク質ミセル分散液を50kgの2バッチに分割した。最初の試験では、20kgのラクトースを50kgのミセル分散液に50℃で分散させ、30分間攪拌した。同様に、20kgのマルトデキストリンDE39を、残りの50kgの乳清タンパク質ミセル分散液に加えた。
【0126】
次いで、2つの混合物を、NIRO SD6.3N塔に入れて流速15L/hで噴霧乾燥した。空気投入温度は140℃、空気排出温度は80℃とした。得られた粉末の含水量は5%未満であった。
【0127】
ラクトース及びマルトデキストリン(DE39)存在下の水中での乳清タンパク質ミセルのサイズを、噴霧乾燥の前後に、動的光散乱法を用いて決定した。乳清タンパク質ミセルの粘性を弱くするために、噴霧乾燥前に分散液を希釈し、又は粉末を復元することによって、総タンパク質濃度を0.4重量%に設定した。Nanosizer ZS装置(Malvern Instruments)を使用し、ミセル直径を20回の測定から平均した。
【0128】
ラクトース及びマルトデキストリン(DE39)存在下の乳清タンパク質ミセルについて求められた粒径は、それぞれ310.4nm及び306.6nmであった。粉末を復元した後、それぞれの直径は、それぞれ265.3nm及び268.5であることがわかった。これらの測定では、乳清タンパク質ミセルが噴霧乾燥に関して物理的に安定であったことが確認される。この結果は、0.1重量%の乳清タンパク質ミセルの水中分散液を、1%のリンタングステン酸存在下、pH7でのネガティブ染色を使用するTEM顕微鏡観察によって確証が得られている。80kVで作動するPhilips CM12透過型電子顕微鏡を使用した。噴霧乾燥前、及び噴霧乾燥粉末の復元後の溶液中に、乳清タンパク質ミセルが観察された。形態及び構造のいかなる差異も検出することができなかった。
【0129】
〔実施例8: 蒸発による濃縮〕
Lactalisの乳清タンパク分離物Prolacta 90(ロット500648)を、タンパク質濃度4%で軟水中に15℃で復元して、最終バッチ規模を2500kgにしておいた。1M塩酸を加えて、最終pH値が5.90になるようにpHを調整した。乳清タンパク質分散液を、plate−plate APV−mix熱交換器を通して流速500l/hでポンピングした。60℃で予熱した後、85℃で15分間熱処理した。乳清タンパク質ミセルの生成は、動的光散乱法を用いた粒径の測定、さらには500nmでの濁度測定によって確認した。得られた4%の乳清タンパク質ミセル分散液は、粒子流体学的半径が250nm、多分散指数が0.13、濁度が80であることを特徴とするものであった。次いで、乳清タンパク質ミセル分散液を流速500l/hでScheffersエバポレーターに送った。エバポレーター中の温度及び真空度は、タンパク質濃度が20%である約500kgの濃縮乳清タンパク質ミセルが生成され、4℃に冷却されるように適合させた。
【0130】
〔実施例9: 精密濾過による濃縮〕
Lactalisの乳清タンパク分離物Prolacta 90(ロット500648)を、タンパク質濃度4%で軟水中に15℃で復元して、最終バッチ規模を2500kgにしておいた。1M塩酸を加えて、最終pH値が5.90になるようにpHを調整した。乳清タンパク質分散液を、plate−plate APV−mix熱交換器を通して流速500l/hでポンピングする。60℃で予熱した後、85℃で15分間熱処理した。乳清タンパク質ミセルの生成は、動的光散乱法を用いた粒径の測定、さらには500nmでの濁度測定によって確認した。得られた4%の乳清タンパク質ミセル分散液は、粒子の流体学的半径が260nm、多分散指数が0.07、濁度が80であることを特徴とするものであった。タンパク質のミセル形態もTEMによっても確認すると、平均直径が150〜200nmであるミセル構造がはっきりと目に見えた(図9)。乳清タンパク質ミセル分散液は、貯蔵用に4℃で冷却することができ、また、そのまま使用して、6.8mのCarbosep M14メンブレンを備えた濾過ユニットに流速180l/hで送ることもできた。この場合では、乳清タンパク質ミセルの濃縮は、透過液の流速が70l/hに到達するまで10〜70℃で実施した。この場合では、最終濃縮乳清タンパク質は、20%のタンパク質を含有していた。濃縮物中のミセルの構造をTEMによって確認すると、精密濾過前の4%の乳清タンパク質分散液と比べて、目に見える有意な変化は明らかに存在しなかった(図10)。
【0131】
〔実施例10: 少なくとも90%の乳清タンパク質を含む粉末乳清タンパク質ミセル〕
精密濾過によって得られたタンパク質20%の200kgの乳清タンパク質ミセル濃縮物(上記実施例を参照のこと)を、噴霧化ノズル(φ=0.5mm、噴霧角度=65°、圧力=40バール)を用いて、25kg/hの生成物流速でNiro SD6.3N塔に注入した。生成物の入口温度は150℃であり、出口温度は75℃であった。塔の気流は150m/hであった。粉末の含水量は4%未満であり、粉末は非常に高い流動性を特徴とするものであった。粉末の走査型電子顕微鏡観察では、見かけ上の直径が10〜100μmの範囲である非常に丸い粒子が示された(図8)。
【0132】
〔実施例11: 粉末混成乳清タンパク質ミセル〕
20kgの濃縮乳清タンパク質ミセルを、DE39のマルトデキストリン1.7kgと混合して、粉末中の最終乳清タンパク質ミセル対マルトデキストリン比が70/30になるようにした。この混合物を、噴霧化ノズル(φ=0.5mm、噴霧角度=65°、圧力=40バール)を用いて、25kg/hの生成物流速でNiro SD6.3N塔に注入した。生成物の入口温度は150℃であり、出口温度は75℃であった。塔中の気流は150m/hであった。粉末中の含水量は4%未満であり、粉末は、非常に高い流動性を特徴とするものであった。
【0133】
実施例10及び11の粉末は、水で復元したとき、本質的に、濃縮乳清タンパク質ミセルと同じ構造及び形態を有するミセルを含む。
【0134】
〔実施例12: 3.8%の乳清タンパク質ミセルを含む化粧品組成物の処方.角質除去(Exfoliating)シャワージェル〕
【0135】
【表3】

【0136】
方法:
20%濃縮WPM及びバラ蒸留水を40℃に温め、次いでグリセリン及びキサンタンガムを加えた。このブレンドを、アルキルスルホン酸塩、ココベタイン、スルホスクシナート、及びEDTAに加えた。すべての成分を攪拌して混合し、次いでソルビン酸カリウム及び着香料を加えた。
【0137】
〔実施例17: 11.8%の乳清タンパク質ミセルを含む化粧品組成物の処方.WPMピーリングローション〕
【0138】
【表4】

【0139】
方法:
20%濃縮WPMを70℃に温め、次いでグリセリンを加えた。融解させた(70℃)油相(アーモンド油、セチルアルコール、ステアリン酸、及びポリソルベート60)を加え、均質な分散液が得られるまで攪拌した。このブレンドを室温で冷却し、次いでパラベンDU及び着香料を加えた。
【0140】
〔実施例18: 14%の乳清タンパク質ミセルを含む化粧品組成物の処方.WPMピーリングローション〕
【0141】
【表5】

【0142】
方法:
20%濃縮WPMを70℃に温め、次いでグリセリン及びプロピルトリモニウムを加えた。融解させた(70℃)油相(ダイズ油、CreamMakerワックス、セテアレス20、ココベタイン、セチルアルコール)を加え、均質な分散液が得られるまで攪拌した。ブレンドを室温で冷却し、次いでパラベンDU及び着香料を加えた。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】βラクトグロブリンのミセル化に対するpH及び熱処理の効果を実証する実験の結果を示す図である。
【図2】500nmでの濁度測定を用いて市販の調製物(Bipro(登録商標)、バッチJE032−1−420)のミセル化pHを決定するための手段を示す図である。
【図3】pH7.4での乳清タンパク質ミセル(2重量%、WPI95、Lactalis)を示す透過型電子顕微鏡の顕微鏡像である。スケールバーは200nmである。
【図4】タンパク質ミセルの生成に対するイオン強度(アルギニンHCl)の影響を7.0という一定pHで評価する実験の結果を示す図である。
【図5】60mMのアルギニンHCl存在下、pH7.0で1重量%のβラクトグロブリンミセル(Davisco)によって安定化させた泡沫の体積安定性(FVS)を、非ミセル化βラクトグロブリンと対照して示す図である。
【図6】1重量%のβラクトグロブリン分散液をpH2〜8、85℃で15分間熱処理して得た乳清タンパク質の、強度による等価な流体学的直径を示す図である。乳清タンパク質ミセルは、pH4.25(約+25mVのζ電位で正に帯電)及びpH6.0(約−30mVのζ電位で負に帯電)で得た。ミセルのZ平均流体学的直径は、pH4.25で229.3nm、pH6.0で227.2nmであった。ネガティブ染色後にTEMによって得た、対応するミセル顕微鏡像を示す。スケールバーは1μmである。
【図7】乳清タンパク質ミセルの極めて模式的な構造を示す図である。
【図8】精密濾過後のタンパク質含有量20%の分散液を噴霧乾燥した後に得られた粉末乳清タンパク質ミセルのSEM(走査型電子顕微鏡法)顕微鏡像である。
【図9】タンパク質含有量4%で得られた乳清タンパク質ミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡像である。
【図10】精密濾過後にタンパク質含有量20%で得られた乳清タンパク質ミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡像である。
【図11】85℃で15分間の加熱後、NaCl存在下、pH7.0で精密濾過した後にタンパク質含有量10%で得られた乳清タンパク質ミセル分散液の熱安定性を示す図である。
【図12】85℃で15分間加熱した後、NaCl存在下、pH7.0にてタンパク質含有量4%で得られた乳清タンパク質分散液の熱安定性を示す図である。
【図13】50℃で脱イオン水に分散させた後の純粋な乳清タンパク質ミセル噴霧乾燥粉末をベースとした4%乳清タンパク質ミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡像である。
【図14】pH5.9で処理した4t%のProlacta 90乳清タンパク質分離物を使用する本発明の方法によって得られたミセルのサイズ分布を示す図である。
【図15】図8で示した噴霧乾燥粉末顆粒を切断した後の内部構造を示すSEM顕微鏡像である。
【図16】室温で脱イオン水に分散させた後の純粋な凍結乾燥乳清タンパク質ミセル粉末をベースとした4%乳清タンパク質ミセル分散液のネガティブ染色TEM顕微鏡像である。スケールバーは0.5マイクロメートルである。
【図17】pH3.0で混合比を増大させた後の、SBO(硫酸化オレイン酸ブチル)によるWPMコーティングの概略図である。灰色の円:正の表面電荷を帯びたWPM。黒色の頭+尾:SBOに由来する負の電荷をもつ頭部及び疎水性の尾部。
【図18】4%のNaClが加えられている、蒸発後に得られた20%の濃縮乳清タンパク質ミセルの写真である。
【図19】トルイジンブルー染色後の粉末乳清タンパク質ミセルのやや薄い切片の明視野光学顕微鏡の顕微鏡像である。スケールバーは50ミクロンである。
【図20】切断後の中空乳清タンパク質ミセル粉末粒子のSEM顕微鏡像である。左:内部構造。右:粉末粒子マトリックスを構成する乳清タンパク質ミセルの詳細。スケールバーはそれぞれ10ミクロン及び1ミクロンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質ミセル、特に乳清タンパク質ミセル又はその凝集体の、研磨媒体としての使用。
【請求項2】
凝集体が、可溶性又は非可溶性の塩、ペプチド、タンパク加水分解物、色素成分、脂肪、乳化剤、香気成分、植物抽出物、リガンド又は生理活性物質、例えば、ミネラル、ビタミン、薬物、乳、乳タンパク質、脱脂粉乳、ミセル状カゼイン、カゼイン塩、植物性タンパク質、アミノ酸、ポリフェノール、及びこれらの任意の混合物、からなる群より選択される追加の成分を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体の、化粧料としての使用。
【請求項4】
化粧品組成物を製造するための、乳清タンパク質ミセル又はその凝集体の使用。
【請求項5】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体が別の活性物質と組み合わせられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
活性物質が、ペプチド、植物抽出物、タンパク加水分解物、生理活性物質、ビタミン、ミネラル、医薬、化粧品成分、及びこれらの混合物、からなる群より選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体が、組成物中に、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは最大50%の量で含まれる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
乳清タンパク質ミセルが、分散液、懸濁液、ゲル、クリーム又は粉末の形で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
乳清タンパク質の濃度が4%より高い、好ましくは10%より高い、請求項5に記載の使用。
【請求項10】
乳清タンパク質ミセルが、100〜900nmの平均サイズを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
乳清タンパク質ミセルが、100〜770nm、好ましくは200〜400nmの平均サイズを有する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
乳清タンパク質ミセルの凝集体が、1μmより大きい平均サイズを有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
化粧品組成物がシャンプーである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
化粧品組成物がシャワージェルである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
タンパク質ミセル、例えば、乳清タンパク質ミセル又はカゼインミセル、の局所適用。
【請求項16】
乳清タンパク質ミセルが、分散液、懸濁液、クリーム、ゲル又は粉末の形態で存在する、請求項15に記載の局所適用。
【請求項17】
乳清タンパク質ミセルが組成物中に組み入れられる、請求項15又は16に記載の局所適用。
【請求項18】
乳清タンパク質ミセルを皮膚に適用するステップを含む、皮膚粒子の研磨方法。
【請求項19】
乳清タンパク質ミセルが、分散液、懸濁液、クリーム、ゲル又は粉末の形態で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
乳清タンパク質ミセルが適用前に組成物中に組み入れられる、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
タンパク質、例えば、乳清タンパク質ミセル又はカゼインタンパク質ミセル或いはその凝集体、を含む研磨媒体を含む化粧品組成物。
【請求項22】
乳清タンパク質ミセルが、組成物中に、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは最大50%の量で含まれる、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
乳清タンパク質ミセルが、100〜900nmの平均サイズを有する、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
乳清タンパク質ミセルの凝集体が、1μmより大きい平均サイズを有する、請求項21〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
乳清タンパク質の濃度が1%より高い、好ましくは10%より高い、より好ましくは20%より高い、最も好ましくは50%より高い、請求項21〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
溶液、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、スプレー、シャンプー等の形態の、請求項21〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
ボディーケア製品及び/又はヘアケア製品である、請求項21〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
シャンプーである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
シャワージェル製品である、請求項21〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
a.乳清タンパク質ミセル又はその凝集体を生成するステップと、
b.前記ミセル又はその凝集体を組成物中に組み入れるステップと
を含む、化粧品組成物の製造方法。
【請求項31】
乳清タンパク質ミセルが、100〜900nmの平均サイズを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
乳清タンパク質ミセルの凝集体が、1μmより大きい平均サイズを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
乳清タンパク質ミセルが、懸濁液、分散液、クリーム、ゲル又は乾燥粉末の形態で存在する、請求項30〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体が組み入れられる組成物が、溶液、ペースト、ゲル、クリーム、フォーム又はスプレーである、請求項30〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
乳清タンパク質ミセル又はその凝集体が組み入れられる組成物がシャンプーである、請求項30〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる化粧品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2009−531378(P2009−531378A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502064(P2009−502064)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052889
【国際公開番号】WO2007/110419
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】