乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法、及び、洗浄物、再生装置の製造方法、再生装置
【課題】洗浄媒体の飛翔方向と姿勢を制御して運動速度と清浄度とを高めることにより洗浄品質と洗浄効率とを向上させると共に、幅の小さな溝が形成された複雑な形状の部品でも傷付けたり洗浄残しを発生したりすることなく洗浄可能な乾式洗浄装置を実現する。
【解決手段】本発明の乾式洗浄装置1は、可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽2と、飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体8を高速気流により洗浄対象物9に衝突させて洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段4と、洗浄対象物に衝突した洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去して洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段5と、洗浄槽に収容した洗浄媒体を洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段3とを備えた構成であり、さらに、洗浄媒体加速手段4からの高速気流により搬送された洗浄媒体8を整流し、洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段6を備えた構成とした。
【解決手段】本発明の乾式洗浄装置1は、可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽2と、飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体8を高速気流により洗浄対象物9に衝突させて洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段4と、洗浄対象物に衝突した洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去して洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段5と、洗浄槽に収容した洗浄媒体を洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段3とを備えた構成であり、さらに、洗浄媒体加速手段4からの高速気流により搬送された洗浄媒体8を整流し、洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段6を備えた構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられるトナーが付着した比較的複雑な形状の部品等の各種洗浄対象物に付着した塵埃や粉体を、水や溶剤を使わずに固体洗浄媒体を用いて除去する乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法に関し、特に、被洗浄体を連続投入して処理して作業性の向上を図ることができる乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法に関するものである。また、本発明の乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法は、塵埃の付着した電子基板等の乾式洗浄や、粉体プロセス装置等の洗浄にも利用することができる。そして本発明は、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いて洗浄した洗浄物、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いた再生装置の製造方法、その製造方法を用いて復元された再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカでは、資源循環型社会実現のため、使用済みの製品ないしユニットをユーザから回収後に分解、清掃、再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている。これらの製品ないしユニットに使用されている部品を再利用するためには、それらユニットや部品に付着している微粒子粉体であるトナーを除去し清浄化する工程が必要であり、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
【0003】
この部品やユニットに付着したトナー等の汚れを除去するために水や溶剤を使用した湿式の洗浄方法の場合、トナー等を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理のエネルギー消費や環境負荷が大きく高コストである点が問題となっている。
また、エアブローによる乾式洗浄方法の場合、付着力の強いトナーに対しては洗浄能力が十分ではなく、人手によるウェス拭きなどの後工程が必要なため、清浄化は製品リユース・リサイクルにおけるボトルネック工程の1つとなっている。さらに、ドライアイスを使ったブラスト洗浄では、ドライアイスを大量に消費するためランニングコストが高く環境負荷も大きいという問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するため、特許文献1や特許文献2に開示された乾式洗浄装置は、帯電性の洗浄対象物を弾性変形可能な接触部材とともに回転円筒内で撹拌しながら除電して洗浄対象物に付着している塵埃の付着力を弱めて除去するようにしている。
また、特許文献3に開示されているように、スチールやアルミ、ステンレスの小球又は線材を細かく切断した小片を被処理物に対して噴射して洗浄対象物から付着物を分離したり、特許文献4に開示されているように、粒状固体を高速空気流に混入させて樹脂製容器の表面に衝突させて樹脂製容器の汚れを除去するようなショットブラスト法も使用されている。
【0005】
さらに、特許文献5に開示された乾式洗浄方法は、微粒子を吸着する粒子状洗浄媒体を被洗浄容器内に導入し、洗浄ノズルを被洗浄容器の開口部に差し込み、洗浄容器内に高速空気流を吹き込み洗浄ノズルから排気して洗浄容器内で洗浄媒体を吹き上げ、吹き上げた粒子状洗浄媒体で洗浄容器内面に付着している微粒子を除去し、洗浄ノズルの先端部のメッシュに洗浄媒体を衝突させて、洗浄媒体に吸着している微粒子を分離させて濾過することにより洗浄媒体を再生し、再生した洗浄媒体を空気流で再び吹き上げて繰り返し洗浄するようにしている。
また、特許文献6には、特許文献5に開示されている装置に加えて、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行う構成も提案されている。
また、特許文献5〜11には、洗浄対象物に傷を付けにくくする、あるいは洗浄対象物の洗浄による変形を防ぐために柔軟な洗浄媒体を使用するブラスト洗浄方法も提案されている。
さらに、特許文献12には、洗浄効率を向上させるために薄片状の洗浄媒体を使用する洗浄方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3288462号公報
【特許文献2】特許第4014132号公報
【特許文献3】特開2005−193958号公報
【特許文献4】特許2889547号公報
【特許文献5】特許3468995号公報
【特許文献6】特開2005−329292号公報
【特許文献7】特開2004−106100号公報
【特許文献8】特開昭60−188123号公報
【特許文献9】特開平04−059087号公報
【特許文献10】実用新案登録第2515833号公報
【特許文献11】特開平07−088446号公報
【特許文献12】特開2007−29945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1や特許文献2に開示された乾式洗浄装置は、撹拌による接触部材と洗浄対象物の接触力は十分とはいえず、付着力の強い塵埃の除去は困難であるという問題がある。
特許文献3に開示された乾式洗浄装置においては、洗浄品質を高めるには洗浄媒体の清浄度を高める必要があるが、旋回気流による遠心分離作用(サイクロン方式)では、分離性能が不十分であった。また、洗浄品質をより高めるにはトナーを吸着した洗浄媒体を何度も入れ替える必要があり、洗浄効率が悪く大量の洗浄媒体が必要であるという問題があった。
【0008】
特許文献4や特許文献5に開示された乾式洗浄装置は、洗浄媒体として金属の小球や線材を細かく切断した小片又は粒状固体を用いているため、洗浄対象物の汚れを除去するだけでなく、洗浄対象物の表面を削り取って梨地状に荒らしてしまい、洗浄による対象物への傷が許されない場合には適用できなかった。
【0009】
特許文献6に開示された乾式洗浄装置は、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行っており、容器内の洗浄のような小規模の容積に対しては有効な手段であるが、洗浄媒体の飛翔のエネルギーが分散されるため、洗浄対象物を投入し移動させるような容積の大きな洗浄槽内においては、洗浄媒体が飛翔せず滞留してしまうよどみが発生して洗浄媒体の飛翔と再生が行われにくくなり洗浄能力が低下する可能性がある。
特許文献7〜11に開示された乾式洗浄装置は、洗浄に必要な時間が長く、また、付着力が強い付着粒子に対しては十分な洗浄ができないという問題があった。
【0010】
特許文献12に開示された乾式洗浄装置は、洗浄工程において洗浄媒体を開放空間へ飛翔させるため、図8に示すように、洗浄媒体は気流に乗って広がりながら飛翔することになり、洗浄媒体加速手段のノズルの中心位置から離れた洗浄媒体は減速し、結果的に洗浄に寄与する速度に達した洗浄媒体の量を減少させ洗浄効率を低下させるという問題があった。
また、図9(a)〜(c)に示すように、洗浄工程において洗浄媒体はエッジが衝突することによりエッジ部分に衝突エネルギーが集中するため優れた洗浄能力を発揮するのに対し、図10(a)〜(c)に示すように、エッジ以外の面での衝突では衝突エネルギーが分散するため洗浄能力が低下してしまう現象があり、特許文献12に示された方法では洗浄媒体が飛翔し衝突する向きは一定とはならず、付着力が強い汚れの洗浄対象に対しては洗浄時間と除去能力が不十分な場合があった。
さらに図11に示すように、幅の小さな溝がある洗浄対象物を洗浄する場合、洗浄媒体の進入角度が制限されるため、衝突する向きが一定ではない洗浄媒体では溝内に進入できず、洗浄時間と除去能力が不十分な場合があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乾式洗浄媒体の飛翔方向と姿勢を制御することによって運動速度と清浄度とを高めることにより、洗浄品質と洗浄効率とを向上させるとともに、幅の小さな溝が形成された複雑な形状の部品であっても傷付けたり洗浄残しを発生したりすることなく乾式洗浄可能な洗浄媒体を用いた乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法を提供することを目的とするものである。そして本発明は、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いて洗浄した洗浄物、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いた再生装置の製造方法、その製造方法を用いて復元された再生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽と、前記洗浄槽内で飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体を高速気流により洗浄対象物に衝突させて該洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段と、前記洗浄対象物に衝突した前記可撓性洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去し前記可撓性洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段と、前記洗浄槽に収容した前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段と、を備えた乾式洗浄装置であって、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を整流し、前記洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の手段は、第1の手段に記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体加速手段の高速気流は、前記洗浄媒体整流手段を通過した後、前記洗浄対象物に衝突させることを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段に記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の手段は、第1〜第3の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第1〜第4の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った前記可撓性洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の手段は、第1〜第5の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の手段は、乾式洗浄方法であって、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体整流手段に沿って前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、乾式洗浄方法であって、第7の手段に記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体姿勢制御手段により前記洗浄媒体整流手段に沿う間に、前記可撓性洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする。
【0017】
本発明の第10の手段は、洗浄物であり、第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことを特徴とする。
また、本発明の第11の手段は、再生装置の製造方法であり、使用済みで回収して分解した装置の部品を第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することを特徴をする。
さらに本発明の第12の手段は、再生装置であり、第11の手段に記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段の乾式洗浄装置では、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された可撓性洗浄媒体を整流し、洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えることにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が外乱気流により弱められることがなく、また噴出範囲を限定させるため大量の洗浄媒体を集中的に洗浄対象物まで運搬することができる。これにより洗浄効率が増大し、結果的に洗浄工程における環境負荷を小さくできる。
【0019】
第2の手段の乾式洗浄装置では、第1の手段の構成に加え、洗浄媒体加速手段の高速気流を、洗浄媒体整流手段を通過した後に、洗浄対象物に衝突させることにより、ほぼ全ての洗浄媒体が洗浄媒体整流手段の壁面近くの限定された範囲に集中するため、非常に高い洗浄品質が得られる。また、洗浄媒体整流手段によって単一の洗浄媒体加速手段では洗浄媒体を衝突させることが難しい角度へ飛翔させることができるため、複雑な形状の洗浄対象物でも洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
さらに第3の手段の乾式洗浄装置では、第1または第2の手段の構成に加え、洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことにより、洗浄範囲を増大させることができ、洗浄対象物の様々な箇所を大量の洗浄媒体を集中させて運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
【0020】
第4の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第3の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が拡散することを防いで、洗浄媒体が洗浄媒体整流手段から外へ抜け出すことを防ぎ、大量の洗浄媒体を逃がすことなく洗浄対象物まで運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
また、第5の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第4の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することにより、洗浄媒体整流手段の壁面と洗浄媒体の間に空間を形成して壁面と洗浄媒体との接触抵抗を低減させることができるとともに、溝内を気流が流れることにより洗浄媒体を効率よく運搬して大量の洗浄媒体を運搬することができる。また、複数の溝により気流の整流効果が加わり、乱流が発生しにくくなり気流の力が減衰しにくく効率的に洗浄媒体を運搬して飛翔させることができる。さらに、溝により壁面と洗浄媒体の接触面積が小さくなり、壁面に洗浄媒体が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体を運搬して飛翔させることができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
【0021】
第6の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第5の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段に前記洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことにより、洗浄媒体が洗浄媒体整流手段に静電吸着することを防ぎ、壁面に洗浄媒体が貼りつき難くなり、大量の洗浄媒体を逃がすことなく洗浄対象物まで運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
また、第7の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第6の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段に洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことにより、洗浄媒体における洗浄能力が最も高いエッジ部分を確実に洗浄対象物へ衝突させることができ、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体のエッジを溝に向けて揃えることができるため溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
【0022】
第8の手段の乾式洗浄方法では、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された洗浄媒体を洗浄媒体整流手段により整流した後、洗浄媒体整流手段に沿って洗浄対象物へ衝突させて、洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が外乱気流により弱められることがなく、また噴出範囲を限定させるため大量の洗浄媒体を集中的に洗浄対象物まで運搬することができる。これにより洗浄効率が増大し、結果的に洗浄工程における環境負荷を小さくできる。
【0023】
第9の手段の乾式洗浄方法では、第7の手段の乾式洗浄装置を用い、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された洗浄媒体を洗浄媒体整流手段により整流した後、洗浄媒体姿勢制御手段により洗浄媒体整流手段に沿う間に、洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、洗浄対象物へ衝突させて、洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することにより、洗浄媒体における洗浄能力が最も高いエッジ部分を確実に洗浄対象物へ衝突でき、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体のエッジを溝に向けて揃えることができるため溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
【0024】
第10の手段の洗浄物は、第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことにより、該洗浄物は確実に洗浄され、安定して再利用することができる。
また、本発明の第11の手段の再生装置の製造方法では、使用済みで回収して分解した装置の部品を第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することにより、安定して再生装置を復元することができる。
そして第12の手段の再生装置は、第11の手段に記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことにより、安定して再使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の構成、動作および作用効果を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図であり、(a)は乾式洗浄装置の斜視図、(b)は側断面図である。
この乾式洗浄装置1は、洗浄対象物9に付着したトナー等の各種粉塵を高速気流により流動する洗浄媒体8により除去するものであり、洗浄槽2と循環手段3と洗浄媒体加速手段4と洗浄媒体再生手段5と洗浄媒体整流手段6及び集塵装置(集塵機)7を有する。
この乾式洗浄装置1に使用する洗浄媒体8は、金属やセラミクス、合成樹脂、スポンジ、布等の粒状、棒状、筒状、繊維状又は薄片状の固体から形成され、洗浄対象物9の形状や材質などの特性や洗浄対象物9に付着している塵埃の粒径や付着強度に応じて選択すれば良い。薄片状の洗浄媒体8としては面積が1mm2〜1000mm2で厚さが1μm〜500μm程度の物を使用すれば良い。例えば電子写真方式の画像形成装置に使用する平均粒径5μm〜10μmのトナー粉体が付着した合成樹脂や金属製の構成部品からトナー粉体を除去するには樹脂フィルム片や布片、紙片、金属薄片等の薄片状の洗浄媒体8を使用することが望ましい。
【0026】
この洗浄媒体8として薄片状の洗浄媒体を使用した場合に、図9に示すように洗浄媒体の端部から洗浄対象物に衝突した場合には、接触力が洗浄媒体のエッジに集中するため、質量が小さいにもかかわらず粉塵の除去に必要な力が得られる。また、洗浄対象物に対する接触力が大きくなると撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル加工用の研磨材等とは異なり、必要以上の力を洗浄対象物に加えることがなく、洗浄対象物を傷つけないですむ。さらに、薄片状の洗浄媒体が洗浄対象物に衝突したときに撓んで空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となり、跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は滑り接触して一度の衝突で洗浄対象物の広い面積に接触しながら移動し、この接触による掻き取り作用や摺擦作用により洗浄対象物に付着したトナー粒子等の粉塵に対して接触面に平行な力を作用させ、小さい力で粉塵を洗浄対象物から分離して洗浄効率を高めることができる。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の第1の実施例について説明する。
【0028】
[装置構成]
[洗浄槽]
図1(a),(b)において、洗浄槽2は、側面から見て筒形状の中空体で形成され、側面等に洗浄対象物9を投入する洗浄対象物投入口を有し、洗浄対象物投入口に開閉自在な蓋が設けられている。洗浄槽2の円周方向の内壁面の一部には開口が形成され、開口部に洗浄媒体再生手段5と洗浄媒体加速手段4と循環手段3とが設けられている。なお、洗浄槽2が図1(a),(b)に示すような理想的な円筒形の場合には、円周方向の内壁面で循環経路を形成しており、洗浄媒体加速手段4から洗浄媒体再生手段5への戻り気流が循環手段の役割も担うため循環手段を別途用意しなくとも良い。また、洗浄槽2の形状は、洗浄槽外への漏れを考えると筒形状のような密閉型が好ましいが、洗浄対象物9のサイズが圧倒的に大きく、洗浄対象物9の洗浄面が限られた範囲にあり、洗浄対象物9を利用して密閉できる場合には、半筒形状のような開放型でも良い。
【0029】
[循環手段]
循環手段3は、洗浄媒体8を洗浄媒体加速手段4へ搬送するためのエアブローノズルを有し、コンプレッサーややブロワー、圧力タンク等の圧縮空気源(図示せず)から供給される圧縮空気により洗浄媒体加速手段4へ向かって噴出させる。
【0030】
[洗浄媒体加速手段]
洗浄媒体加速手段4は、加速ノズルを有し、コンプレッサーやブロワー、圧力タンク等の圧縮空気源(図示せず)から供給される圧縮空気を加速ノズルから洗浄対象物9へ向かって噴出させて洗浄媒体8を洗浄対象物9に衝突させる。
【0031】
[洗浄媒体再生手段]
洗浄媒体再生手段5は、図1(a),(b)及び図2(a),(b)に示すように、洗浄槽2の円周方向の内壁面の一部に配置された分離部材とフードで閉空間を形成し、形成した閉空間がホース等の吸引管52により負圧発生源を有する集塵装置(集塵機)7に接続され、フードの内部を負圧にする。分離部材は気体や粉体を通過させるが洗浄媒体8が通り抜けられない小孔やスリットを多数有し、例えば金網、プラスチック網、メッシュ、パンチメタル板、スリット板等の多孔性部材51で形成され、洗浄対象物9から分離された粉塵と、洗浄対象物9に衝突し磨耗や欠けが生じた洗浄媒体8や長期使用により弾力性が劣化した洗浄媒体8を排出する。
【0032】
[洗浄媒体整流手段]
洗浄媒体整流手段6は、図1(a),(b)に示すように、洗浄媒体加速手段4によって加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9に到達する経路上に洗浄槽2を介して設置され、加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9の範囲外へ飛ばないように、洗浄媒体8の流れ方向を揃えるよう制御している。ただし洗浄媒体加速手段4と洗浄媒体整流手段6の間には、循環手段3より搬送されてきた洗浄媒体8が進入するのを阻害しない程度に隙間を設けている。この洗浄媒体整流手段6は、洗浄媒体加速手段4から洗浄対象物9までの経路を覆っているため、循環手段3や洗浄媒体再生手段5による外乱気流に阻害されない。また、洗浄対象物9を保持するワークホルダ等を用いる場合は、ワークホルダ等に洗浄媒体整流手段6を設置しても良い。なお、洗浄媒体整流手段6による洗浄媒体8の整流とは、洗浄媒体8の流れ方向を揃えることを意味している。
【0033】
洗浄媒体整流手段6の構成としては、例えば図3に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面を流れ方向に沿った凹形状の湾曲面に形成しても良い。このように形成することにより洗浄媒体加速手段4からの高速気流が拡散することを防いで、洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6から外へ抜け出すことを防ぎ、大量の洗浄媒体8を効率よく運搬して洗浄効率を高めることができる。
【0034】
また、図4に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面を流れ方向に沿った複数の角状又は曲面で形成した溝を設けても良い。この溝の幅は洗浄媒体8の面サイズより小さくして、洗浄媒体8が溝内に落ち込まないようにしておく。このように溝を設けることにより、洗浄媒体整流手段6の壁面と洗浄媒体8の間に空間を形成して壁面と洗浄媒体8との接触抵抗を低減させることができるとともに、溝内を気流が流れることにより洗浄媒体8を効率よく運搬して大量の洗浄媒体8を運搬することができる。また、複数の溝により気流の整流効果が加わり、乱流が発生しにくくなり気流の力が減衰しにくく効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。さらに、この溝により壁面と洗浄媒体8の接触面積が小さくなり、壁面に洗浄媒体8が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。この溝の高さは気流が通過できれば良く、例えば0.1mmから1mm程度にすると、容易に加工することができる。
【0035】
また、図5に示すように、洗浄媒体整流手段6に除電手段61を設けてもよい。除電手段61は、洗浄媒体8に帯電した電荷を取り除くためのものであり、放電針62によるコロナ放電を利用したイオナイザや、洗浄媒体整流手段6の壁面に除電ブラシを形成し自己放電や接地漏洩を利用する。このようにして洗浄媒体8を除電することにより、洗浄媒体整流手段6の壁面へ洗浄媒体8が静電吸着することを防ぎ、壁面に洗浄媒体8が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。
【0036】
[装置動作]
次に上記の乾式洗浄装置による乾式洗浄動作を説明する。
(1).図1において、洗浄槽2に薄片状の洗浄媒体8を投入した状態で、ワーク保持手段に保持された洗浄対象物9を洗浄槽2の洗浄対象物投入口から投入して初期位置に位置決めし、洗浄対象物投入口を洗浄対象物投入蓋で閉じて洗浄槽2を密閉する。
(2).循環手段3を作動すると、初期状態で洗浄槽2に散らばっていた洗浄媒体8は、循環経路である洗浄槽壁面に沿って洗浄媒体加速手段4へ運ばれる。
(3).洗浄媒体加速手段4に圧縮空気を供給すると、洗浄媒体8は洗浄対象物方向へ加速されて高速で洗浄対象物9へ飛翔する。
(4).洗浄媒体8の飛翔時に加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9の範囲外へ飛ばないように、洗浄媒体整流手段6によって洗浄媒体8の流れ方向が制御され、大量の洗浄媒体8が洗浄対象物9に衝突する。
(5) 洗浄媒体8が洗浄対象物9に高速で接触または衝突することにより、洗浄対象物9に付着している付着物は叩き落とされる。叩き落とされた粉塵と洗浄媒体8は、洗浄媒体加速手段4、循環手段3と洗浄媒体再生手段5から発生する戻り気流により再び洗浄槽壁面へ運ばれた後、洗浄媒体再生手段5へ運ばれる。
(6) 洗浄媒体再生手段5を通る粉塵と、粉塵等の付着物が付着した洗浄媒体8は、集塵装置(集塵機)7へ向かう気流の流れに乗って洗浄媒体再生手段5の多孔性部材51に吸い寄せられる(図2)。ここで粉塵は多孔性部材51を通過し洗浄槽2より排出され、また洗浄媒体8に付着している付着物もここで洗浄媒体8から分離されて洗浄槽2より排出される。
(7) 洗浄媒体再生手段5を通過した洗浄媒体8は、循環手段3により再び洗浄媒体加速手段4まで運ばれる。
【0037】
上記の(1)〜(7)の動作の繰り返しにより、洗浄媒体8を洗浄槽内で循環させながら洗浄対象物9から付着物を効果的に除去することができる。また、この構成によれば、比較的付着力が強く、エアブローのみでは除去しにくい粉塵であっても、高速で飛翔する洗浄媒体8が接触・衝突することによって洗浄対象物9から分離することができる。特に、薄片状の洗浄媒体8を用いた場合、より高い洗浄品質と洗浄効率が得られ、洗浄対象物9を傷つけることもないという優れた効果を発揮する。さらに、洗浄媒体8に付着している粉塵は洗浄媒体再生手段5で効果的に除去され、洗浄媒体8の清浄度が常に保たれるため、洗浄媒体8に付着している粉塵が洗浄対象物9に再付着することがなく、高い洗浄品質が得られる。
また、図示しないワーク保持手段に複数の移動軸を備えた姿勢移動機能を持たせることにより、洗浄対象物9の姿勢を変えながら上記の(1)〜(7)の動作を繰り返し行うことで、洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
【実施例2】
【0038】
次に本発明の第2の実施例について説明する。
【0039】
[洗浄媒体加速手段]
本発明の第2の実施例では、洗浄媒体8を必ず洗浄媒体整流手段6を介して洗浄対象物9へ衝突させるようにするため、図6に示すように、洗浄媒体加速手段4の圧縮空気を加速ノズルから洗浄媒体整流手段6に沿わせて噴出させる。
【0040】
[洗浄媒体整流手段]
洗浄媒体整流手段6は、洗浄媒体加速手段4によって加速された全ての洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6の壁面に衝突した後、洗浄媒体8を減速させずに洗浄対象物9へ衝突させるよう誘導している。この構成の場合、ほぼ全ての洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6の壁面近くの限定された範囲に集中するため、洗浄対象物9の洗浄面もこの範囲に限定されるが、非常に高い洗浄品質が得られる。
そのため図6に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面の向きを変更できる幾つかの移動軸を備えた可動手段10を有すると良い。このようにすることで洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
また、洗浄媒体整流手段6によって単一の洗浄媒体加速手段4では洗浄媒体8を衝突させることが難しい角度へも飛翔させることができるため、複雑な形状の洗浄対象物9でも洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
なお、その他の装置構成と動作は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0041】
次に本発明の第3の実施例について説明する。
【0042】
[洗浄媒体整流手段]
本発明の第3の実施例では、洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6を通過する際、洗浄媒体8の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を有する構成とした。一例としては、図1または図6に示す構成の乾式洗浄装置1において、図7(a),(b)に示すように、洗浄媒体姿勢制御手段11は、洗浄媒体整流手段6の壁面近くに設置させたワイヤ状やテーパ状(楔形状)の障害物からなり、このワイヤ状やテーパ状(楔形状)の洗浄媒体整流手段6により、平面で飛翔してきた洗浄媒体8に強制的に回転運動を与え姿勢を変更させるものである。
これにより洗浄媒体8の洗浄対象物9に衝突する姿勢が、洗浄媒体8の平面でなく、エッジで衝突できるようになる。そのため、全ての洗浄媒体8の衝突エネルギーをエッジに集中させることができ、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物9に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体8のエッジを溝に向けて揃えることができるため、溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
なお、その他の装置構成と動作は実施例1または実施例2と同様である。
【実施例4】
【0043】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器では、使用済みの製品ないしユニット(プロセスカートリッジ、現像ユニット、クリーニングユニット、その他の各種ユニット等)をユーザから回収後に分解、清掃、再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするが、これらの製品ないしユニットに使用されている部品を再利用するためには、それらユニットや部品に付着している微粒子粉体(トナー、紙粉、塵、埃等)を除去し清浄化する工程が必要である。
【0044】
そこで本発明は、上記のユニットや部品等の洗浄物に付着している微粒子粉体(トナー、紙粉、塵、埃等)を除去し清浄化するために、実施例1〜3に示した乾式洗浄装置1を用いた洗浄方法により洗浄する。これにより、上記のユニットや部品等の洗浄物は確実に洗浄され、安定して再利用することができる。
【0045】
また、本発明の再生装置の製造方法では、使用済みで回収して分解した装置(分解した製品ないしユニット)の部品を、実施例1〜3に示した乾式洗浄装置1を用いた洗浄方法により洗浄し、洗浄した部品を再度組み立てて装置を復元することにより、安定した再生装置(製品ないしユニット)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図であり、(a)は乾式洗浄装置の斜視図、(b)は側断面図である。
【図2】図1の乾式洗浄装置の洗浄媒体再生手段の構成説明図であり、(a)は洗浄媒体再生手段の斜視図、(b)は要部断面図である。
【図3】洗浄媒体整流手段の構成例を示す図である。
【図4】洗浄媒体整流手段の別の構成例を示す図である。
【図5】洗浄媒体整流手段に設けられる除電手段の例を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図である。
【図7】洗浄媒体姿勢制御手段の例を示す図である。
【図8】従来の乾式洗浄装置による洗浄方法の一例を示す図である。
【図9】従来の乾式洗浄装置による洗浄工程の説明図であり、正常に洗浄が行われているときの様子を示す図である。
【図10】従来の乾式洗浄装置による洗浄工程の説明図であり、洗浄不良が生じたときの様子を示す図である。
【図11】幅の小さな溝がある洗浄対象物を洗浄する場合の問題点の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1:乾式洗浄装置
2:洗浄槽
3:循環手段
4:洗浄媒体加速手段
5:洗浄媒体再生手段
6:洗浄媒体整流手段
7:集塵装置(集塵機)
8:洗浄媒体
9:洗浄対象物
10:可動手段
11:洗浄媒体姿勢制御手段
51:多孔性部材
52:吸引管
61:除電手段
62:放電針
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられるトナーが付着した比較的複雑な形状の部品等の各種洗浄対象物に付着した塵埃や粉体を、水や溶剤を使わずに固体洗浄媒体を用いて除去する乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法に関し、特に、被洗浄体を連続投入して処理して作業性の向上を図ることができる乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法に関するものである。また、本発明の乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法は、塵埃の付着した電子基板等の乾式洗浄や、粉体プロセス装置等の洗浄にも利用することができる。そして本発明は、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いて洗浄した洗浄物、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いた再生装置の製造方法、その製造方法を用いて復元された再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカでは、資源循環型社会実現のため、使用済みの製品ないしユニットをユーザから回収後に分解、清掃、再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている。これらの製品ないしユニットに使用されている部品を再利用するためには、それらユニットや部品に付着している微粒子粉体であるトナーを除去し清浄化する工程が必要であり、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
【0003】
この部品やユニットに付着したトナー等の汚れを除去するために水や溶剤を使用した湿式の洗浄方法の場合、トナー等を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理のエネルギー消費や環境負荷が大きく高コストである点が問題となっている。
また、エアブローによる乾式洗浄方法の場合、付着力の強いトナーに対しては洗浄能力が十分ではなく、人手によるウェス拭きなどの後工程が必要なため、清浄化は製品リユース・リサイクルにおけるボトルネック工程の1つとなっている。さらに、ドライアイスを使ったブラスト洗浄では、ドライアイスを大量に消費するためランニングコストが高く環境負荷も大きいという問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するため、特許文献1や特許文献2に開示された乾式洗浄装置は、帯電性の洗浄対象物を弾性変形可能な接触部材とともに回転円筒内で撹拌しながら除電して洗浄対象物に付着している塵埃の付着力を弱めて除去するようにしている。
また、特許文献3に開示されているように、スチールやアルミ、ステンレスの小球又は線材を細かく切断した小片を被処理物に対して噴射して洗浄対象物から付着物を分離したり、特許文献4に開示されているように、粒状固体を高速空気流に混入させて樹脂製容器の表面に衝突させて樹脂製容器の汚れを除去するようなショットブラスト法も使用されている。
【0005】
さらに、特許文献5に開示された乾式洗浄方法は、微粒子を吸着する粒子状洗浄媒体を被洗浄容器内に導入し、洗浄ノズルを被洗浄容器の開口部に差し込み、洗浄容器内に高速空気流を吹き込み洗浄ノズルから排気して洗浄容器内で洗浄媒体を吹き上げ、吹き上げた粒子状洗浄媒体で洗浄容器内面に付着している微粒子を除去し、洗浄ノズルの先端部のメッシュに洗浄媒体を衝突させて、洗浄媒体に吸着している微粒子を分離させて濾過することにより洗浄媒体を再生し、再生した洗浄媒体を空気流で再び吹き上げて繰り返し洗浄するようにしている。
また、特許文献6には、特許文献5に開示されている装置に加えて、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行う構成も提案されている。
また、特許文献5〜11には、洗浄対象物に傷を付けにくくする、あるいは洗浄対象物の洗浄による変形を防ぐために柔軟な洗浄媒体を使用するブラスト洗浄方法も提案されている。
さらに、特許文献12には、洗浄効率を向上させるために薄片状の洗浄媒体を使用する洗浄方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3288462号公報
【特許文献2】特許第4014132号公報
【特許文献3】特開2005−193958号公報
【特許文献4】特許2889547号公報
【特許文献5】特許3468995号公報
【特許文献6】特開2005−329292号公報
【特許文献7】特開2004−106100号公報
【特許文献8】特開昭60−188123号公報
【特許文献9】特開平04−059087号公報
【特許文献10】実用新案登録第2515833号公報
【特許文献11】特開平07−088446号公報
【特許文献12】特開2007−29945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1や特許文献2に開示された乾式洗浄装置は、撹拌による接触部材と洗浄対象物の接触力は十分とはいえず、付着力の強い塵埃の除去は困難であるという問題がある。
特許文献3に開示された乾式洗浄装置においては、洗浄品質を高めるには洗浄媒体の清浄度を高める必要があるが、旋回気流による遠心分離作用(サイクロン方式)では、分離性能が不十分であった。また、洗浄品質をより高めるにはトナーを吸着した洗浄媒体を何度も入れ替える必要があり、洗浄効率が悪く大量の洗浄媒体が必要であるという問題があった。
【0008】
特許文献4や特許文献5に開示された乾式洗浄装置は、洗浄媒体として金属の小球や線材を細かく切断した小片又は粒状固体を用いているため、洗浄対象物の汚れを除去するだけでなく、洗浄対象物の表面を削り取って梨地状に荒らしてしまい、洗浄による対象物への傷が許されない場合には適用できなかった。
【0009】
特許文献6に開示された乾式洗浄装置は、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行っており、容器内の洗浄のような小規模の容積に対しては有効な手段であるが、洗浄媒体の飛翔のエネルギーが分散されるため、洗浄対象物を投入し移動させるような容積の大きな洗浄槽内においては、洗浄媒体が飛翔せず滞留してしまうよどみが発生して洗浄媒体の飛翔と再生が行われにくくなり洗浄能力が低下する可能性がある。
特許文献7〜11に開示された乾式洗浄装置は、洗浄に必要な時間が長く、また、付着力が強い付着粒子に対しては十分な洗浄ができないという問題があった。
【0010】
特許文献12に開示された乾式洗浄装置は、洗浄工程において洗浄媒体を開放空間へ飛翔させるため、図8に示すように、洗浄媒体は気流に乗って広がりながら飛翔することになり、洗浄媒体加速手段のノズルの中心位置から離れた洗浄媒体は減速し、結果的に洗浄に寄与する速度に達した洗浄媒体の量を減少させ洗浄効率を低下させるという問題があった。
また、図9(a)〜(c)に示すように、洗浄工程において洗浄媒体はエッジが衝突することによりエッジ部分に衝突エネルギーが集中するため優れた洗浄能力を発揮するのに対し、図10(a)〜(c)に示すように、エッジ以外の面での衝突では衝突エネルギーが分散するため洗浄能力が低下してしまう現象があり、特許文献12に示された方法では洗浄媒体が飛翔し衝突する向きは一定とはならず、付着力が強い汚れの洗浄対象に対しては洗浄時間と除去能力が不十分な場合があった。
さらに図11に示すように、幅の小さな溝がある洗浄対象物を洗浄する場合、洗浄媒体の進入角度が制限されるため、衝突する向きが一定ではない洗浄媒体では溝内に進入できず、洗浄時間と除去能力が不十分な場合があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乾式洗浄媒体の飛翔方向と姿勢を制御することによって運動速度と清浄度とを高めることにより、洗浄品質と洗浄効率とを向上させるとともに、幅の小さな溝が形成された複雑な形状の部品であっても傷付けたり洗浄残しを発生したりすることなく乾式洗浄可能な洗浄媒体を用いた乾式洗浄装置及び乾式洗浄方法を提供することを目的とするものである。そして本発明は、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いて洗浄した洗浄物、上記の乾式洗浄装置または乾式洗浄方法を用いた再生装置の製造方法、その製造方法を用いて復元された再生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽と、前記洗浄槽内で飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体を高速気流により洗浄対象物に衝突させて該洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段と、前記洗浄対象物に衝突した前記可撓性洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去し前記可撓性洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段と、前記洗浄槽に収容した前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段と、を備えた乾式洗浄装置であって、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を整流し、前記洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の手段は、第1の手段に記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体加速手段の高速気流は、前記洗浄媒体整流手段を通過した後、前記洗浄対象物に衝突させることを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段に記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の手段は、第1〜第3の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第1〜第4の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った前記可撓性洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の手段は、第1〜第5の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の手段は、乾式洗浄方法であって、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体整流手段に沿って前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする。
また、本発明の第9の手段は、乾式洗浄方法であって、第7の手段に記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体姿勢制御手段により前記洗浄媒体整流手段に沿う間に、前記可撓性洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする。
【0017】
本発明の第10の手段は、洗浄物であり、第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことを特徴とする。
また、本発明の第11の手段は、再生装置の製造方法であり、使用済みで回収して分解した装置の部品を第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することを特徴をする。
さらに本発明の第12の手段は、再生装置であり、第11の手段に記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段の乾式洗浄装置では、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された可撓性洗浄媒体を整流し、洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えることにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が外乱気流により弱められることがなく、また噴出範囲を限定させるため大量の洗浄媒体を集中的に洗浄対象物まで運搬することができる。これにより洗浄効率が増大し、結果的に洗浄工程における環境負荷を小さくできる。
【0019】
第2の手段の乾式洗浄装置では、第1の手段の構成に加え、洗浄媒体加速手段の高速気流を、洗浄媒体整流手段を通過した後に、洗浄対象物に衝突させることにより、ほぼ全ての洗浄媒体が洗浄媒体整流手段の壁面近くの限定された範囲に集中するため、非常に高い洗浄品質が得られる。また、洗浄媒体整流手段によって単一の洗浄媒体加速手段では洗浄媒体を衝突させることが難しい角度へ飛翔させることができるため、複雑な形状の洗浄対象物でも洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
さらに第3の手段の乾式洗浄装置では、第1または第2の手段の構成に加え、洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことにより、洗浄範囲を増大させることができ、洗浄対象物の様々な箇所を大量の洗浄媒体を集中させて運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
【0020】
第4の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第3の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が拡散することを防いで、洗浄媒体が洗浄媒体整流手段から外へ抜け出すことを防ぎ、大量の洗浄媒体を逃がすことなく洗浄対象物まで運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
また、第5の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第4の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することにより、洗浄媒体整流手段の壁面と洗浄媒体の間に空間を形成して壁面と洗浄媒体との接触抵抗を低減させることができるとともに、溝内を気流が流れることにより洗浄媒体を効率よく運搬して大量の洗浄媒体を運搬することができる。また、複数の溝により気流の整流効果が加わり、乱流が発生しにくくなり気流の力が減衰しにくく効率的に洗浄媒体を運搬して飛翔させることができる。さらに、溝により壁面と洗浄媒体の接触面積が小さくなり、壁面に洗浄媒体が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体を運搬して飛翔させることができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
【0021】
第6の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第5の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段に前記洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことにより、洗浄媒体が洗浄媒体整流手段に静電吸着することを防ぎ、壁面に洗浄媒体が貼りつき難くなり、大量の洗浄媒体を逃がすことなく洗浄対象物まで運搬することができ、第1、第2の手段の効果を増大することができる。
また、第7の手段の乾式洗浄装置では、第1〜第6の手段のいずれか一つの構成に加え、洗浄媒体整流手段に洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことにより、洗浄媒体における洗浄能力が最も高いエッジ部分を確実に洗浄対象物へ衝突させることができ、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体のエッジを溝に向けて揃えることができるため溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
【0022】
第8の手段の乾式洗浄方法では、第1〜第6の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された洗浄媒体を洗浄媒体整流手段により整流した後、洗浄媒体整流手段に沿って洗浄対象物へ衝突させて、洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することにより、洗浄媒体加速手段からの高速気流が外乱気流により弱められることがなく、また噴出範囲を限定させるため大量の洗浄媒体を集中的に洗浄対象物まで運搬することができる。これにより洗浄効率が増大し、結果的に洗浄工程における環境負荷を小さくできる。
【0023】
第9の手段の乾式洗浄方法では、第7の手段の乾式洗浄装置を用い、洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された洗浄媒体を洗浄媒体整流手段により整流した後、洗浄媒体姿勢制御手段により洗浄媒体整流手段に沿う間に、洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、洗浄対象物へ衝突させて、洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することにより、洗浄媒体における洗浄能力が最も高いエッジ部分を確実に洗浄対象物へ衝突でき、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体のエッジを溝に向けて揃えることができるため溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
【0024】
第10の手段の洗浄物は、第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことにより、該洗浄物は確実に洗浄され、安定して再利用することができる。
また、本発明の第11の手段の再生装置の製造方法では、使用済みで回収して分解した装置の部品を第1〜第7の手段のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは第8または第9の手段に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することにより、安定して再生装置を復元することができる。
そして第12の手段の再生装置は、第11の手段に記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことにより、安定して再使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の構成、動作および作用効果を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図であり、(a)は乾式洗浄装置の斜視図、(b)は側断面図である。
この乾式洗浄装置1は、洗浄対象物9に付着したトナー等の各種粉塵を高速気流により流動する洗浄媒体8により除去するものであり、洗浄槽2と循環手段3と洗浄媒体加速手段4と洗浄媒体再生手段5と洗浄媒体整流手段6及び集塵装置(集塵機)7を有する。
この乾式洗浄装置1に使用する洗浄媒体8は、金属やセラミクス、合成樹脂、スポンジ、布等の粒状、棒状、筒状、繊維状又は薄片状の固体から形成され、洗浄対象物9の形状や材質などの特性や洗浄対象物9に付着している塵埃の粒径や付着強度に応じて選択すれば良い。薄片状の洗浄媒体8としては面積が1mm2〜1000mm2で厚さが1μm〜500μm程度の物を使用すれば良い。例えば電子写真方式の画像形成装置に使用する平均粒径5μm〜10μmのトナー粉体が付着した合成樹脂や金属製の構成部品からトナー粉体を除去するには樹脂フィルム片や布片、紙片、金属薄片等の薄片状の洗浄媒体8を使用することが望ましい。
【0026】
この洗浄媒体8として薄片状の洗浄媒体を使用した場合に、図9に示すように洗浄媒体の端部から洗浄対象物に衝突した場合には、接触力が洗浄媒体のエッジに集中するため、質量が小さいにもかかわらず粉塵の除去に必要な力が得られる。また、洗浄対象物に対する接触力が大きくなると撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル加工用の研磨材等とは異なり、必要以上の力を洗浄対象物に加えることがなく、洗浄対象物を傷つけないですむ。さらに、薄片状の洗浄媒体が洗浄対象物に衝突したときに撓んで空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となり、跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は滑り接触して一度の衝突で洗浄対象物の広い面積に接触しながら移動し、この接触による掻き取り作用や摺擦作用により洗浄対象物に付着したトナー粒子等の粉塵に対して接触面に平行な力を作用させ、小さい力で粉塵を洗浄対象物から分離して洗浄効率を高めることができる。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の第1の実施例について説明する。
【0028】
[装置構成]
[洗浄槽]
図1(a),(b)において、洗浄槽2は、側面から見て筒形状の中空体で形成され、側面等に洗浄対象物9を投入する洗浄対象物投入口を有し、洗浄対象物投入口に開閉自在な蓋が設けられている。洗浄槽2の円周方向の内壁面の一部には開口が形成され、開口部に洗浄媒体再生手段5と洗浄媒体加速手段4と循環手段3とが設けられている。なお、洗浄槽2が図1(a),(b)に示すような理想的な円筒形の場合には、円周方向の内壁面で循環経路を形成しており、洗浄媒体加速手段4から洗浄媒体再生手段5への戻り気流が循環手段の役割も担うため循環手段を別途用意しなくとも良い。また、洗浄槽2の形状は、洗浄槽外への漏れを考えると筒形状のような密閉型が好ましいが、洗浄対象物9のサイズが圧倒的に大きく、洗浄対象物9の洗浄面が限られた範囲にあり、洗浄対象物9を利用して密閉できる場合には、半筒形状のような開放型でも良い。
【0029】
[循環手段]
循環手段3は、洗浄媒体8を洗浄媒体加速手段4へ搬送するためのエアブローノズルを有し、コンプレッサーややブロワー、圧力タンク等の圧縮空気源(図示せず)から供給される圧縮空気により洗浄媒体加速手段4へ向かって噴出させる。
【0030】
[洗浄媒体加速手段]
洗浄媒体加速手段4は、加速ノズルを有し、コンプレッサーやブロワー、圧力タンク等の圧縮空気源(図示せず)から供給される圧縮空気を加速ノズルから洗浄対象物9へ向かって噴出させて洗浄媒体8を洗浄対象物9に衝突させる。
【0031】
[洗浄媒体再生手段]
洗浄媒体再生手段5は、図1(a),(b)及び図2(a),(b)に示すように、洗浄槽2の円周方向の内壁面の一部に配置された分離部材とフードで閉空間を形成し、形成した閉空間がホース等の吸引管52により負圧発生源を有する集塵装置(集塵機)7に接続され、フードの内部を負圧にする。分離部材は気体や粉体を通過させるが洗浄媒体8が通り抜けられない小孔やスリットを多数有し、例えば金網、プラスチック網、メッシュ、パンチメタル板、スリット板等の多孔性部材51で形成され、洗浄対象物9から分離された粉塵と、洗浄対象物9に衝突し磨耗や欠けが生じた洗浄媒体8や長期使用により弾力性が劣化した洗浄媒体8を排出する。
【0032】
[洗浄媒体整流手段]
洗浄媒体整流手段6は、図1(a),(b)に示すように、洗浄媒体加速手段4によって加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9に到達する経路上に洗浄槽2を介して設置され、加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9の範囲外へ飛ばないように、洗浄媒体8の流れ方向を揃えるよう制御している。ただし洗浄媒体加速手段4と洗浄媒体整流手段6の間には、循環手段3より搬送されてきた洗浄媒体8が進入するのを阻害しない程度に隙間を設けている。この洗浄媒体整流手段6は、洗浄媒体加速手段4から洗浄対象物9までの経路を覆っているため、循環手段3や洗浄媒体再生手段5による外乱気流に阻害されない。また、洗浄対象物9を保持するワークホルダ等を用いる場合は、ワークホルダ等に洗浄媒体整流手段6を設置しても良い。なお、洗浄媒体整流手段6による洗浄媒体8の整流とは、洗浄媒体8の流れ方向を揃えることを意味している。
【0033】
洗浄媒体整流手段6の構成としては、例えば図3に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面を流れ方向に沿った凹形状の湾曲面に形成しても良い。このように形成することにより洗浄媒体加速手段4からの高速気流が拡散することを防いで、洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6から外へ抜け出すことを防ぎ、大量の洗浄媒体8を効率よく運搬して洗浄効率を高めることができる。
【0034】
また、図4に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面を流れ方向に沿った複数の角状又は曲面で形成した溝を設けても良い。この溝の幅は洗浄媒体8の面サイズより小さくして、洗浄媒体8が溝内に落ち込まないようにしておく。このように溝を設けることにより、洗浄媒体整流手段6の壁面と洗浄媒体8の間に空間を形成して壁面と洗浄媒体8との接触抵抗を低減させることができるとともに、溝内を気流が流れることにより洗浄媒体8を効率よく運搬して大量の洗浄媒体8を運搬することができる。また、複数の溝により気流の整流効果が加わり、乱流が発生しにくくなり気流の力が減衰しにくく効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。さらに、この溝により壁面と洗浄媒体8の接触面積が小さくなり、壁面に洗浄媒体8が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。この溝の高さは気流が通過できれば良く、例えば0.1mmから1mm程度にすると、容易に加工することができる。
【0035】
また、図5に示すように、洗浄媒体整流手段6に除電手段61を設けてもよい。除電手段61は、洗浄媒体8に帯電した電荷を取り除くためのものであり、放電針62によるコロナ放電を利用したイオナイザや、洗浄媒体整流手段6の壁面に除電ブラシを形成し自己放電や接地漏洩を利用する。このようにして洗浄媒体8を除電することにより、洗浄媒体整流手段6の壁面へ洗浄媒体8が静電吸着することを防ぎ、壁面に洗浄媒体8が貼りつき難くなり、効率的に洗浄媒体8を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。
【0036】
[装置動作]
次に上記の乾式洗浄装置による乾式洗浄動作を説明する。
(1).図1において、洗浄槽2に薄片状の洗浄媒体8を投入した状態で、ワーク保持手段に保持された洗浄対象物9を洗浄槽2の洗浄対象物投入口から投入して初期位置に位置決めし、洗浄対象物投入口を洗浄対象物投入蓋で閉じて洗浄槽2を密閉する。
(2).循環手段3を作動すると、初期状態で洗浄槽2に散らばっていた洗浄媒体8は、循環経路である洗浄槽壁面に沿って洗浄媒体加速手段4へ運ばれる。
(3).洗浄媒体加速手段4に圧縮空気を供給すると、洗浄媒体8は洗浄対象物方向へ加速されて高速で洗浄対象物9へ飛翔する。
(4).洗浄媒体8の飛翔時に加速された洗浄媒体8が洗浄対象物9の範囲外へ飛ばないように、洗浄媒体整流手段6によって洗浄媒体8の流れ方向が制御され、大量の洗浄媒体8が洗浄対象物9に衝突する。
(5) 洗浄媒体8が洗浄対象物9に高速で接触または衝突することにより、洗浄対象物9に付着している付着物は叩き落とされる。叩き落とされた粉塵と洗浄媒体8は、洗浄媒体加速手段4、循環手段3と洗浄媒体再生手段5から発生する戻り気流により再び洗浄槽壁面へ運ばれた後、洗浄媒体再生手段5へ運ばれる。
(6) 洗浄媒体再生手段5を通る粉塵と、粉塵等の付着物が付着した洗浄媒体8は、集塵装置(集塵機)7へ向かう気流の流れに乗って洗浄媒体再生手段5の多孔性部材51に吸い寄せられる(図2)。ここで粉塵は多孔性部材51を通過し洗浄槽2より排出され、また洗浄媒体8に付着している付着物もここで洗浄媒体8から分離されて洗浄槽2より排出される。
(7) 洗浄媒体再生手段5を通過した洗浄媒体8は、循環手段3により再び洗浄媒体加速手段4まで運ばれる。
【0037】
上記の(1)〜(7)の動作の繰り返しにより、洗浄媒体8を洗浄槽内で循環させながら洗浄対象物9から付着物を効果的に除去することができる。また、この構成によれば、比較的付着力が強く、エアブローのみでは除去しにくい粉塵であっても、高速で飛翔する洗浄媒体8が接触・衝突することによって洗浄対象物9から分離することができる。特に、薄片状の洗浄媒体8を用いた場合、より高い洗浄品質と洗浄効率が得られ、洗浄対象物9を傷つけることもないという優れた効果を発揮する。さらに、洗浄媒体8に付着している粉塵は洗浄媒体再生手段5で効果的に除去され、洗浄媒体8の清浄度が常に保たれるため、洗浄媒体8に付着している粉塵が洗浄対象物9に再付着することがなく、高い洗浄品質が得られる。
また、図示しないワーク保持手段に複数の移動軸を備えた姿勢移動機能を持たせることにより、洗浄対象物9の姿勢を変えながら上記の(1)〜(7)の動作を繰り返し行うことで、洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
【実施例2】
【0038】
次に本発明の第2の実施例について説明する。
【0039】
[洗浄媒体加速手段]
本発明の第2の実施例では、洗浄媒体8を必ず洗浄媒体整流手段6を介して洗浄対象物9へ衝突させるようにするため、図6に示すように、洗浄媒体加速手段4の圧縮空気を加速ノズルから洗浄媒体整流手段6に沿わせて噴出させる。
【0040】
[洗浄媒体整流手段]
洗浄媒体整流手段6は、洗浄媒体加速手段4によって加速された全ての洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6の壁面に衝突した後、洗浄媒体8を減速させずに洗浄対象物9へ衝突させるよう誘導している。この構成の場合、ほぼ全ての洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6の壁面近くの限定された範囲に集中するため、洗浄対象物9の洗浄面もこの範囲に限定されるが、非常に高い洗浄品質が得られる。
そのため図6に示すように、洗浄媒体整流手段6の壁面の向きを変更できる幾つかの移動軸を備えた可動手段10を有すると良い。このようにすることで洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
また、洗浄媒体整流手段6によって単一の洗浄媒体加速手段4では洗浄媒体8を衝突させることが難しい角度へも飛翔させることができるため、複雑な形状の洗浄対象物9でも洗浄ムラをなくし高い洗浄品質が得られる。
なお、その他の装置構成と動作は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0041】
次に本発明の第3の実施例について説明する。
【0042】
[洗浄媒体整流手段]
本発明の第3の実施例では、洗浄媒体8が洗浄媒体整流手段6を通過する際、洗浄媒体8の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を有する構成とした。一例としては、図1または図6に示す構成の乾式洗浄装置1において、図7(a),(b)に示すように、洗浄媒体姿勢制御手段11は、洗浄媒体整流手段6の壁面近くに設置させたワイヤ状やテーパ状(楔形状)の障害物からなり、このワイヤ状やテーパ状(楔形状)の洗浄媒体整流手段6により、平面で飛翔してきた洗浄媒体8に強制的に回転運動を与え姿勢を変更させるものである。
これにより洗浄媒体8の洗浄対象物9に衝突する姿勢が、洗浄媒体8の平面でなく、エッジで衝突できるようになる。そのため、全ての洗浄媒体8の衝突エネルギーをエッジに集中させることができ、除去能力を向上させ高い洗浄品質が得られる。また、洗浄対象物9に存在する洗浄媒体サイズ以下の小さな溝であっても、洗浄媒体8のエッジを溝に向けて揃えることができるため、溝への侵入が容易になり、溝に付着した付着物を除去することができる。
なお、その他の装置構成と動作は実施例1または実施例2と同様である。
【実施例4】
【0043】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器では、使用済みの製品ないしユニット(プロセスカートリッジ、現像ユニット、クリーニングユニット、その他の各種ユニット等)をユーザから回収後に分解、清掃、再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするが、これらの製品ないしユニットに使用されている部品を再利用するためには、それらユニットや部品に付着している微粒子粉体(トナー、紙粉、塵、埃等)を除去し清浄化する工程が必要である。
【0044】
そこで本発明は、上記のユニットや部品等の洗浄物に付着している微粒子粉体(トナー、紙粉、塵、埃等)を除去し清浄化するために、実施例1〜3に示した乾式洗浄装置1を用いた洗浄方法により洗浄する。これにより、上記のユニットや部品等の洗浄物は確実に洗浄され、安定して再利用することができる。
【0045】
また、本発明の再生装置の製造方法では、使用済みで回収して分解した装置(分解した製品ないしユニット)の部品を、実施例1〜3に示した乾式洗浄装置1を用いた洗浄方法により洗浄し、洗浄した部品を再度組み立てて装置を復元することにより、安定した再生装置(製品ないしユニット)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図であり、(a)は乾式洗浄装置の斜視図、(b)は側断面図である。
【図2】図1の乾式洗浄装置の洗浄媒体再生手段の構成説明図であり、(a)は洗浄媒体再生手段の斜視図、(b)は要部断面図である。
【図3】洗浄媒体整流手段の構成例を示す図である。
【図4】洗浄媒体整流手段の別の構成例を示す図である。
【図5】洗浄媒体整流手段に設けられる除電手段の例を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す乾式洗浄装置の機構構成図である。
【図7】洗浄媒体姿勢制御手段の例を示す図である。
【図8】従来の乾式洗浄装置による洗浄方法の一例を示す図である。
【図9】従来の乾式洗浄装置による洗浄工程の説明図であり、正常に洗浄が行われているときの様子を示す図である。
【図10】従来の乾式洗浄装置による洗浄工程の説明図であり、洗浄不良が生じたときの様子を示す図である。
【図11】幅の小さな溝がある洗浄対象物を洗浄する場合の問題点の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1:乾式洗浄装置
2:洗浄槽
3:循環手段
4:洗浄媒体加速手段
5:洗浄媒体再生手段
6:洗浄媒体整流手段
7:集塵装置(集塵機)
8:洗浄媒体
9:洗浄対象物
10:可動手段
11:洗浄媒体姿勢制御手段
51:多孔性部材
52:吸引管
61:除電手段
62:放電針
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽と、
前記洗浄槽内で飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体を高速気流により洗浄対象物に衝突させて該洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段と、
前記洗浄対象物に衝突した前記可撓性洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去し前記可撓性洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段と、
前記洗浄槽に収容した前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段と、
を備えた乾式洗浄装置であって、
前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を整流し、前記洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体加速手段の高速気流は、前記洗浄媒体整流手段を通過した後、前記洗浄対象物に衝突させることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った前記可撓性洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体整流手段に沿って前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする乾式洗浄方法。
【請求項9】
請求項7に記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体姿勢制御手段により前記洗浄媒体整流手段に沿う間に、前記可撓性洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする乾式洗浄方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは請求項8または9に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことを特徴とする洗浄物。
【請求項11】
使用済みで回収して分解した装置の部品を請求項1〜7のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは請求項8または9に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することを特徴をする再生装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことを特徴とする再生装置。
【請求項1】
可撓性洗浄媒体を収容した洗浄槽と、
前記洗浄槽内で飛翔した薄片状の可撓性洗浄媒体を高速気流により洗浄対象物に衝突させて該洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去する洗浄媒体加速手段と、
前記洗浄対象物に衝突した前記可撓性洗浄媒体に付着した付着物を吸引して除去し前記可撓性洗浄媒体を再生する洗浄媒体再生手段と、
前記洗浄槽に収容した前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体加速手段まで搬送させる循環手段と、
を備えた乾式洗浄装置であって、
前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を整流し、前記洗浄媒体加速手段以外からの外乱を防ぐ洗浄媒体整流手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体加速手段の高速気流は、前記洗浄媒体整流手段を通過した後、前記洗浄対象物に衝突させることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段を所定の範囲で可動させる可動手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った凹型状の湾曲面を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段は高速気流の流れ方向に沿った前記可撓性洗浄媒体サイズ以下の凹凸形状を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体を除電する除電手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置において、
前記洗浄媒体整流手段に前記可撓性洗浄媒体の姿勢を補正する洗浄媒体姿勢制御手段を備えたことを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体整流手段に沿って前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする乾式洗浄方法。
【請求項9】
請求項7に記載の乾式洗浄装置を用い、前記洗浄媒体加速手段からの高速気流により搬送された前記可撓性洗浄媒体を前記洗浄媒体整流手段により整流した後、前記洗浄媒体姿勢制御手段により前記洗浄媒体整流手段に沿う間に、前記可撓性洗浄媒体の姿勢方向を揃えた後、前記洗浄対象物へ衝突させて、前記洗浄対象物に付着した塵や粉体の付着物を除去することを特徴とする乾式洗浄方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは請求項8または9に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄したことを特徴とする洗浄物。
【請求項11】
使用済みで回収して分解した装置の部品を請求項1〜7のいずれか一つに記載の乾式洗浄装置あるいは請求項8または9に記載の乾式洗浄方法を用いて洗浄し、洗浄した部品を再度組立てて装置を復元することを特徴をする再生装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の再生装置の製造方法を用いて復元されたことを特徴とする再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−22995(P2010−22995A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190509(P2008−190509)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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