説明

乾燥粉粒体の製造方法

【課題】簡易な構成で、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、効率よく粉粒体を乾燥することができる乾燥粉粒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】
樹脂材料からなる粉粒体が貯留される乾燥ホッパ3を備える乾燥装置1を用いて、粉粒体を乾燥させる乾燥粉粒体の製造方法において、乾燥ホッパ3からの粉粒体の排出を規制しながら、乾燥ホッパ3内の粉粒体を第1温度で乾燥させる低温乾燥工程と、乾燥ホッパ3から粉粒体を排出するときに、低温乾燥工程から切り替えられ、乾燥ホッパ3内の粉粒体を、第1温度よりも高い第2温度で乾燥させる高温乾燥工程とを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥粉粒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂ペレットなどの粉粒体を乾燥させるための乾燥装置として、粉粒体を熱風で加熱して乾燥する熱風乾燥機が知られている。
【0003】
このような熱風乾燥機では、粉粒体が乾燥機内でブロッキングする場合がある。そこで、ブロッキングを防止する方法が検討されている。
【0004】
例えば、ペレットが貯留されるホッパー内に、攪拌手段とエアーパージ装置とを設け、攪拌羽根によって、ホッパーの側壁に付着するペレットを攪拌するとともに、エアーパージ装置によって、ホッパーの下部に付着しようとするペレットを攪拌することにより、ホッパー内におけるペレットのブロッキングを防止できるホッパー装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−143263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1に記載のホッパー装置では、ホッパー内に攪拌手段やエアーパージ装置を設ける必要があり、ホッパーの構成が複雑化する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、効率よく粉粒体を乾燥することができる乾燥粉粒体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、樹脂材料からなる粉粒体が投入される投入口と、前記粉粒体が乾燥された粉粒体が排出される排出口とを有する乾燥ホッパを備える乾燥装置を用いて、前記粉粒体を乾燥させる乾燥粉粒体の製造方法であって、前記排出口を閉鎖して、前記乾燥ホッパからの前記粉粒体の排出を規制しながら、前記乾燥ホッパ内の前記粉粒体を第1温度で乾燥させる低温乾燥工程と、前記排出口を開放して前記乾燥ホッパから前記粉粒体を排出するときに、前記低温乾燥工程から切り替えられ、前記乾燥ホッパ内の前記粉粒体を、前記第1温度よりも高い第2温度で乾燥させる高温乾燥工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
このような方法によれば、低温乾燥工程において、乾燥ホッパからの粉粒体の排出を規制しながら、乾燥ホッパ内の粉粒体を低温で乾燥させる。
【0010】
これにより、粉粒体が乾燥ホッパから排出されず、粉粒体の流動が少ないときには、乾燥ホッパ内の粉粒体を低温で乾燥することができ、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制することができる。
【0011】
また、乾燥ホッパから粉粒体を排出するときには、高温乾燥工程に切り替えられ、乾燥ホッパ内の粉粒体を高温で乾燥させる。
【0012】
これにより、粉粒体が乾燥ホッパから排出され、粉粒体が流動されているときには、乾燥ホッパ内の粉粒体を高温で乾燥することができ、効率よく粉粒体を乾燥することができる。
【0013】
そのため、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、効率よく粉粒体を乾燥することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記低温乾燥工程と前記高温乾燥工程とを、交互に繰り返すことを特徴としている。
【0015】
このような方法によれば、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、乾燥された粉粒体を断続的に排出することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記乾燥装置は、前記乾燥装置から前記粉粒体が供給される被供給装置からの、前記粉粒体を要求する要求信号を受信可能であり、前記乾燥装置が前記要求信号を受信することによって、前記高温乾燥工程に切り替えられ、前記乾燥装置が前記要求信号を一定時間受信しないことによって、前記低温乾燥工程に切り替えられることを特徴としている。
【0017】
このような方法によれば、乾燥された粉粒体を、被供給装置へ供給しながら、粉粒体を乾燥することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、効率よく粉粒体を乾燥することができる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明によれば、乾燥ホッパ内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、乾燥された粉粒体を断続的に排出することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明によれば、乾燥された粉粒体を、被供給装置へ供給しながら、粉粒体を乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の乾燥粉粒体の製造方法に用いられる乾燥システムを示す概略構成図である。
【図2】粉粒体の乾燥処理を示すフロー図である。
【図3】低温乾燥処理を示すフロー図である。
【図4】高温乾燥処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の乾燥粉粒体の製造方法に用いられる乾燥装置を示す概略構成図である。
【0023】
乾燥装置1は、図1に示すように、樹脂材料(例えば、アクリル樹脂などの熱可塑性を有する樹脂材料)からなる粉粒体が貯留されているタンク(図示せず)から供給される粉粒体を乾燥して、乾燥粉粒体を製造し、得られた乾燥粉粒体を、成形機2(被供給装置の一例)へ供給する装置として構成されている。
【0024】
乾燥装置1は、乾燥ホッパ3と、タンク(図示せず)から乾燥ホッパ3へ粉粒体を気力輸送する気力輸送部4と、乾燥ホッパ3へ熱風を供給する熱風供給部5と、乾燥装置1の動作を制御する制御部6とを備えている。
【0025】
乾燥ホッパ3は、貯留槽11とスライドゲート12とを備えている。
【0026】
貯留槽11は、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、貯留槽11の上端部には、貯留槽11を上方から被覆する蓋が設けられており、蓋には、粉粒体が投入される投入口31が設けられている。また、貯留槽11の下端部には、貯留槽11から乾燥粉粒体を排出する排出口32が設けられている。また、排出口32には、スライドゲート12を介して排出管33が接続されている。
【0027】
スライドゲート12は、排出口32を開閉するように、貯留槽11の下端部に接続されている。スライドゲート12は、排出口32を開放する開位置と、排出口32を閉鎖する閉位置とにスライド可能に設けられている。
【0028】
気力輸送部4は、ローダホッパ13と、輸送ライン14と、吸引ライン15と、輸送ブロワ16とを備えている。
【0029】
ローダホッパ13は、乾燥ホッパ3よりも小型のホッパであり、略円筒形状の上側部分と、下方に向かって開口断面積が小さくなる略円錐形状の下側部分とが連続するように形成されている。また、ローダホッパ13は、下端部において、乾燥ホッパ3の投入口31に連通されるように、乾燥ホッパ3の蓋に接続されている。
【0030】
輸送ライン14は、タンク(図示せず)からローダホッパ13へ粉粒体を輸送する配管であり、その輸送方向上流側端部が、タンク(図示せず)に接続されており、その輸送方向下流側端部が、ローダホッパ13の側壁に接続されている。
【0031】
吸引ライン15は、ローダホッパ13から輸送ブロワ16へ排気する配管であり、その排気方向上流側端部が、ローダホッパ13の上壁に接続されており、その排気方向下流側端部が、輸送ブロワ16に接続されている。なお、吸引ライン15の排気方向上流側端部は、ローダホッパ13の上壁内側において、パンチングメタルプレート10などにより囲まれている。
【0032】
輸送ブロワ16は、輸送ライン14、ローダホッパ13および吸引ライン15内を吸引して、タンク(図示せず)から輸送ブロワ16へ向かう気流を発生させる。
【0033】
すると、輸送ブロワ16が発生させる気流によって、タンク(図示せず)内の粉粒体が、輸送ライン14を介してローダホッパ13へ輸送される。その後、輸送ブロワ16を停止させて、ローダホッパ13の下端部に設けられる排出弁(図示せず)を開放すれば、ローダホッパ13から乾燥ホッパ3へ粉粒体が排出される。
【0034】
なお、ローダホッパ13内には、パンチングメタルプレート10を通過して吸引ライン15へ吸引され、輸送ブロワ16へ向かう気流も発生しているが、ローダホッパ13へ輸送された粉粒体は、パンチングメタルプレート10によって、吸引ライン15に吸引されることが規制されている。
【0035】
熱風供給部5は、熱風供給ライン17と、乾燥ブロワ18と、吸気ライン19と、循環ライン20とを備えている。
【0036】
熱風供給ライン17は、乾燥ブロワ18からの気流を加熱して乾燥ホッパ3へ供給する配管であり、その供給方向上流側端部が、乾燥ブロワ18に接続されており、その供給方向下流側端部が、乾燥ブロワ18の側壁を貫通して乾燥ホッパ3内に配置されている。また、熱風供給ライン17の途中には、乾燥ホッパ3の外側において、乾燥ブロワ18からの気流を加熱するヒータ21が設けられている。また、熱風供給ライン17の供給方向下流側端部には、乾燥ホッパ3内に熱風を吹き込むノズル22が設けられている。
【0037】
乾燥ブロワ18は、吸気ライン19内を吸引しながら、熱風供給ライン17内へ送風して、吸気ライン19から乾燥ブロワ18を介して乾燥ホッパ3内へ向かう気流を発生させる。また、乾燥ブロワ18には、インバータ(図示せず)が内装されている。そして、乾燥ブロワ18は、CPU25(後述)からの信号に基づいてインバータ制御されることにより、その送風量を変動させることができる。
【0038】
吸気ライン19は、外気を乾燥ブロワ18に吸気させる配管であり、その吸気方向上流側端部が、大気開放されており、その供給方向下流側端部が、乾燥ブロワ18に接続されている。また、吸気ライン19の途中には、粉塵などを捕集するフィルタ23が設けられている。
【0039】
循環ライン20は、乾燥ホッパ3内の空気を吸気ライン19へ排気する配管であり、その排気方向上流側端部が、乾燥ホッパ3に接続され、その排気方向下流側端部が、切替弁24を介して、吸気ライン19の吸気方向上流側端部(詳しくは、フィルタ23よりも吸気方向上流側における、吸気ライン19の吸気方向上流側端部)に接続されている。なお、切替弁24は、吸気ライン19と循環ライン20との連通を遮断するとともに、吸気ライン19を大気開放させる大気開放側と、吸気ライン19を循環ライン20と連通させるとともに、吸気ライン19を大気閉鎖する循環側とに切り替えられる。
【0040】
そして、切替弁24を循環側に切り替えて乾燥ブロワ18を作動させると、乾燥ブロワ18により発生された気流は、まず、ヒータ21によって加熱された後、ノズル22から乾燥ホッパ3内へ吹き込まれる。次いで、乾燥ホッパ3内へ吹き込まれた熱風(加熱された気流)は、乾燥ホッパ3内の粉粒体を加熱して乾燥させた後、循環ライン20を介して吸気ライン19へ還流され、フィルタ23を通過して、再度、乾燥ブロワ18に吸引される。
【0041】
なお、適宜、切替弁24を大気開放側に切り替えることにより、吸気ライン19に外気を取り込むこともできる。
【0042】
制御部6は、受信装置26とCPU25とを備えている。
【0043】
受信装置26は、レベルセンサ44(後述)からの検知信号(後述)または非検知信号(後述)を、公知の無線または有線による通信方法により、受信可能に構成されている。
【0044】
CPU25は、スライドゲート12、輸送ブロワ16、乾燥ブロワ18および受信装置26に電気的に接続されている。CPU25は、レベルセンサ44(後述)からの検知信号(後述)または非検知信号(後述)を、受信装置26を介して受信し、それらの信号に基づいて、スライドゲート12および乾燥ブロワ18の動作を制御する。
【0045】
そして、乾燥装置1と成形機2とは、供給ライン41を介して接続されている。
【0046】
供給ライン41は、乾燥ホッパ3から成形機2へ乾燥粉粒体を供給する配管であり、その供給方向上流側端部が、乾燥ホッパ3の排出管33に接続されており、その供給方向下流側端部が、成形機2に接続されている。また、供給ライン41の途中には、成形機2の近傍において、レベル検知部42が設けられている。
【0047】
レベル検知部42は、成形機2に供給される途中の乾燥粉粒体が滞留される、滞留部43と、滞留部43内に滞留される乾燥粉粒体が一定のレベルにあるか否かを検知する、公知のレベルセンサ44とを備えている。
【0048】
レベルセンサ44は、一定時間毎に、CPU25へ、乾燥粉粒体の検知を示す検知信号、または、乾燥粉粒体の非検知を示す非検知信号(要求信号の一例)を送信する。
【0049】
図2は、粉粒体の乾燥処理を示すフロー図である。図3は、低温乾燥処理を示すフロー図である。図4は、高温乾燥処理を示すフロー図である。
【0050】
以下、図2〜図4を参照しながら、粉粒体の乾燥処理について説明する。
【0051】
本発明の乾燥粉粒体の製造方法の一実施形態では、乾燥ホッパ3に粉粒体が貯留された後、図2に示すように、乾燥を開始すると、まず、低温乾燥処理(S1)が実施される。なお、乾燥が開始されたときには、スライドゲート12は、閉位置に配置されており、乾燥ホッパ3からの粉粒体の排出が規制されている。
【0052】
低温乾燥処理(S1)では、図3に示すように、熱風供給部5から乾燥ホッパ3へ低温送風(S11)される。
【0053】
低温送風(S11)では、CPU25が乾燥ブロワ18の送風量を制御することにより、乾燥ホッパ3内の温度が、粉粒体の推奨予備乾燥温度(成形前の予備乾燥温度であって、粉粒体のメーカーが推奨する温度。)の上限値に対して、例えば、10〜20℃低い第1温度に調整される。具体的には、推奨予備乾燥温度が90℃である場合には、70〜80℃に調整される。
【0054】
なお、第1温度は、粉粒体のビカット軟化温度(JIS K 7206、B50法)に対して、例えば、30〜40℃低い温度に調整することもできる。
【0055】
そして、低温乾燥処理(S1)では、第1温度で、粉粒体のメーカーが推奨する乾燥時間より数時間(例えば、2〜3時間)長めの時間、低温送風(S11)し、粉粒体を乾燥させる(具体的には、このS11が、低温乾燥工程に相当する。)。
【0056】
次いで、粉粒体を、乾燥ホッパ3から成形機2へ供給する。なお、初めて乾燥ホッパ3から成形機2へ粉粒体を輸送するときには、レベル検知部42の滞留部43に粉粒体が存在しないため、レベルセンサ44は、CPS25へ非検知信号を送信する(S12:NO)。
【0057】
CPU25は、非検知信号を受信すると、スライドゲート12の動作を制御することにより、スライドゲート12を開位置へ移動させる。
【0058】
これにより、乾燥ホッパ3から成形機2への輸送が開始され(S13)、乾燥ホッパ3から供給ライン41を介して成形機2へ粉粒体が供給される。
【0059】
次いで、粉粒体が、成形機2内に充填されて、滞留部43においてレベルセンサ44に検知されるまで供給ライン41内に滞留されると、レベルセンサ44からCPU25へ、検知信号が送信され(S14:YES)、検知信号を受信したCPU25は、スライドゲート12の動作を制御して、スライドゲート12を閉位置へ移動させる。
【0060】
これにより、乾燥ホッパ3から成形機2への乾燥粉粒体の輸送が停止される(S15)。
【0061】
次いで、CPU25が、乾燥ブロワ18を、その送風量が増加するように制御することにより、低温乾燥処理(S1)から高温乾燥処理(S2)へ自動的に切り替えられる(S16)。
【0062】
つまり、スライドゲート12が開位置に配置され、乾燥ホッパ3から粉粒体が排出されるときに、低温乾燥処理(S1)から高温乾燥処理(S2)に切り替えられる。
【0063】
高温乾燥処理(S2)では、図4に示すように、熱風供給部5から乾燥ホッパ3へ高温送風(S21)される。
【0064】
高温送風(S21)では、乾燥ホッパ3内の温度は、粉粒体の推奨予備乾燥温度(成形前の予備乾燥温度であって、粉粒体のメーカーが推奨する温度。)の上限値に相当する第2温度に調整される。具体的には、推奨予備乾燥温度が90℃である場合には、85〜90℃に調整される。
【0065】
なお、高温乾燥処理(S2)における第2温度は、粉粒体のビカット軟化温度(JIS K 7206、B50法)に対して、例えば、10〜20℃低い温度に調整することもできる。
【0066】
これにより、高温乾燥処理(S2)では、第1温度よりも高い第2温度で粉粒体を乾燥させる(具体的には、S21〜S27が、高温乾燥工程に相当する。)。
【0067】
次いで、成形機2へ供給された粉粒体が溶融、成形されて消費されると、レベル検知部42の滞留部43に滞留されている粉粒体が減少し、粉粒体の上端部が、レベルセンサ44に検知されなくなる。
【0068】
すると、レベルセンサ44からCPU25へ非検知信号が送信され(S22:NO)、非検知信号を受信したCPU25は、スライドゲート12の動作を制御して、スライドゲート12を開位置へ移動させる。
【0069】
これにより、乾燥ホッパ3から成形機2への粉粒体の輸送が開始され(S23)、乾燥ホッパ3から供給ライン41を介して成形機2へ粉粒体が供給される。
【0070】
次いで、粉粒体が、滞留部43においてレベルセンサ44に検知されるまで、供給ライン41内に滞留されると、レベルセンサ44からCPU25へ、検知信号が送信され(S24:YES)、検知信号を受信したCPU25は、スライドゲート12の動作を制御して、スライドゲート12を閉位置へ移動させる。
【0071】
これにより、乾燥ホッパ3から成形機2への粉粒体の輸送が停止される(S25)。
【0072】
その後、再び、成形機2へ供給された粉粒体が消費されると、レベル検知部42の滞留部43に滞留されている粉粒体が減少すると、レベルセンサ44からの非検知信号に基づいて、乾燥ホッパ3から成形機2へ粉粒体が輸送される(S22〜S25)。
【0073】
一方、成形機2が一旦停止された場合など、成形機2へ供給された粉粒体が消費されない場合には、レベル検知部42の滞留部43に滞留されている粉粒体が減少しないため、粉粒体の上端部が、レベルセンサ44に検知され続ける。
【0074】
この場合には、レベルセンサ44からCPU25へ検知信号が送信される(S22:YES)。
【0075】
すると、検知信号を受信したCPU25において、非検知信号を受信するまで、時間が計測される(S26)。
【0076】
そして、非検知信号を受信しないまま、予め設定されている待時間が経過すると(S26:YES)、CPU25が、乾燥ブロワ18を、その送風量が低下するように制御することにより、高温乾燥処理(S2)から低温乾燥処理(S1)へ自動的に切り替えられる(S27)。
【0077】
これにより、図2に示すように、高温乾燥処理(S2)において、成形機2が一旦停止された場合など、成形機2へ供給された粉粒体が消費されない場合には、乾燥装置1は、再び、低温乾燥処理(S1)に切り替えられる。
【0078】
つまり、成形機2へ供給された粉粒体の消費に伴って、低温乾燥処理(S1)と高温乾燥処理(S2)とが交互に繰り返される。
【0079】
そして、このような乾燥処理は、必要な間、継続され(S3:YES)、その後、終了する(S3:NO)。
【0080】
このような方法によれば、図3および図4に示すように、低温乾燥工程において、乾燥ホッパ3からの粉粒体の排出を規制しながら、乾燥ホッパ3内の粉粒体を低温(第1温度)で乾燥させる。
【0081】
これにより、粉粒体が乾燥ホッパ3から排出されず、粉粒体の流動が少ないときには、乾燥ホッパ3内の粉粒体を低温(第1温度)で乾燥することができ、乾燥ホッパ3内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制することができる。
【0082】
また、乾燥ホッパ3から粉粒体を排出するときには、高温乾燥工程に切り替えられ(図3、S12〜S16)、乾燥ホッパ3内の粉粒体を高温で乾燥させる。
【0083】
これにより、粉粒体が乾燥ホッパ3から排出され、粉粒体が流動されているときには、乾燥ホッパ3内の粉粒体を高温(第2温度)で乾燥することができ、効率よく粉粒体を乾燥することができる。
【0084】
そのため、乾燥ホッパ3内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、効率よく粉粒体を乾燥することができる。
【0085】
また、このような方法によれば、図1に示すように、低温乾燥処理(S1)と高温乾燥処理(S2)とを、交互に繰り返すことができる。
【0086】
そのため、乾燥ホッパ3内において、粉粒体がブロッキングすることを抑制しながら、乾燥された粉粒体を断続的に排出することができる。
【0087】
また、このような方法によれば、図3に示すように、CPU25がレベルセンサ44からの非検知信号を受信(S12:NO)することによって、高温乾燥処理(S2)に切り替えられ(S16)、図4に示すように、CPU25が非検知信号を一定時間受信しない(S26:YES)ことによって、低温乾燥工程(S1)に切り替えられる。
【0088】
そのため、乾燥された粉粒体を、成形機2へ供給しながら、粉粒体を乾燥することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 乾燥装置
2 成形機
3 乾燥ホッパ
31 投入口
32 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料からなる粉粒体が投入される投入口と、前記粉粒体が乾燥された粉粒体が排出される排出口とを有する乾燥ホッパを備える乾燥装置を用いて、前記粉粒体を乾燥させる乾燥粉粒体の製造方法であって、
前記排出口を閉鎖して、前記乾燥ホッパからの前記粉粒体の排出を規制しながら、前記乾燥ホッパ内の前記粉粒体を第1温度で乾燥させる低温乾燥工程と、
前記排出口を開放して前記乾燥ホッパから前記粉粒体を排出するときに、前記低温乾燥工程から切り替えられ、前記乾燥ホッパ内の前記粉粒体を、前記第1温度よりも高い第2温度で乾燥させる高温乾燥工程と
を含むことを特徴とする、乾燥粉粒体の製造方法。
【請求項2】
前記低温乾燥工程と前記高温乾燥工程とを、交互に繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の乾燥粉粒体の製造方法。
【請求項3】
前記乾燥装置は、前記乾燥装置から前記粉粒体が供給される被供給装置からの、前記粉粒体を要求する要求信号を受信可能であり、
前記乾燥装置が前記要求信号を受信することによって、前記高温乾燥工程に切り替えられ、
前記乾燥装置が前記要求信号を一定時間受信しないことによって、前記低温乾燥工程に切り替えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の乾燥粉粒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131118(P2012−131118A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285204(P2010−285204)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】