説明

乾燥装置

【課題】本発明は、搬送距離を小さくでき、穏やかな移送が可能で、小さな動力で運転できると共に人件費を削減でき、積載物の分布の偏りや乾燥ムラが生じない乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の乾燥装置は、セイロ1を循環路で循環させる第1の循環装置と、生鮮素材をセイロ1に積載するとき及び/または乾燥後の生鮮素材を排出するときには循環路から所定のセイロを分岐して分岐路を移動させ、積載する場合には空のセイロに生鮮素材を積載し、排出する場合には乾燥後の生鮮素材を積載したセイロから該素材を排出し、排出及び積載する場合には乾燥後の生鮮素材を排出すると共に空のセイロに生鮮素材を積載して、これを循環路に戻すことができる第2の循環装置と、空気を循環させるファン18と、循環する空気を加熱する熱交換機17とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の生鮮素材を短時間に乾燥することができ、穏やかな移送が行え、小さな動力で自動運転することが可能で、乾燥ムラが生じない乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カタクチ鰯、マイワシ等の小魚、しらす、小海老等(以下、小魚類)を乾燥して、煮干(いりこ)やちりめん雑魚、干し海老等にするため、従来から水揚げしたばかりの小魚類を大気圧下で煮沸し、乾燥させて干物にすることが行われている。65℃を越える熱湯で煮沸すると殺菌され、その後の乾燥によって水分量が40%以下になると、細菌類が繁殖せず、腐敗しにくくなり、長期の保存が可能になるためである。なお、小魚類に限らず、鰹や鯖等は煮沸後に乾燥して鰹節、鯖節等にするし、蛸、海老等の魚介類のように煮沸後そのまま食用にする素材も目的は同様であり、以下、これらを生鮮素材、煮沸後の状態を素材という。
【0003】
このため、最近に至るまで人手によって運び、煮釜で煮沸し、天日に干すことが行われた。これらの作業の負担を減らすため、工程の一部を機械化した装置が提案された。例えば、煮立て装置として、熱湯の湯路を作り、その一端から材料となる小魚類を投入し、終端に至る間で茹で上げるものが提案されている(特許文献1参照)。また、無端スパイラルコンベアを用い、小魚等を無端周回搬送しつつ乾燥させる乾燥装置も提案された(特許文献2参照)。
【0004】
しかし、こうした装置は全工程の一部を機械化したものであり、漁業など自然を相手にしての自動乾燥装置は困難視されていた。そこで、本出願人は実用性ある自動乾燥装置を提供するために鋭意開発を重ね、全工程を自動化して、高効率でコンパクトな自動乾燥装置を提案した(特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
しかしながら、この自動化により次のような課題が生じた。すなわち、従来セイロは、2人の作業者で扱えることがサイズの標準であり、最大サイズでも縦1800mm、横900、高さ100であって、13Kgの生魚を積載するのが限界であった。この大きさを越えると、作業者2人では作業できなくなる。その最も大きな原因は排出時の反転作業である。
【0006】
このため、本出願人は排出時のセイロの反転工程をなくし、サイズを制限する必要のないセイロと自動乾燥装置を提案した(特願2005−199675)。これにより、煮沸や乾燥ための循環がセイロの姿勢を崩さずに行え、一例を挙げれば縦5000mm、横1700mm、高さ160mmのような大きなサイズにでき、1時間に3トンの生魚の処理が43枚という少数のセイロを循環するだけで処理することが可能になった。これは、従来のセイロを使った場合の60倍〜80倍の積載量であり、自動乾燥装置の構成も要を得て無駄がなく、運転が容易な自動化された装置を実現することが可能になった。
【0007】
【特許文献1】特開平2000−175816号公報
【特許文献2】特開平10−157820号公報
【特許文献3】特許第3621032号公報
【特許文献4】特開2004−361055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上説明したように、特許文献1の従来の煮立て装置は煮沸工程を機械化し、特許文献2の乾燥装置は乾燥工程を機械化したが、一部の工程の機械化にすぎず、実用化が難しいものであった。
【0009】
この点、本出願人が提案した特許文献3の自動乾燥装置は煮沸工程を除いてこれらを自動化し、特許文献4の自走乾燥装置によってすべての自動化(機械化だけではない)が可能になったが(ただし、一部の工程を自動化せずに残すことは自由である)、セイロを循環する牽引装置に大きな負荷がかかるものであった。
【0010】
これに対し、本出願人が最後に提案した自動乾燥装置はこれらをすべて解決することに成功し、実用性の面で従来技術と一線を画して大量の素材を自動的に処理することが可能になったが、次のような課題があった。
【0011】
すなわち、大量の生鮮素材の乾燥処理が行え、乾燥ムラがなく素材を傷めずに乾燥できること、また、人手を要さずに、しかも小さな動力で自動運転できること、さらに、素材の搬送距離が小さく乾燥時間が短いこと、そして穏やかな移送で、方向転換、スピード変化などで起こる故障や積載物の分布の偏りが生じないということである。
【0012】
また、漁業等は自然を相手にするために、漁獲量等は日時によって変動がある。1回操業しただけで全セイロが魚で満杯になることもあれば、複数回操業しても一部のセイロしか埋まらない場合もある。一般的に、漁を行う操業は1回1時間〜2時間程度、一日5回前後行われる。このため、3回目の操業が終わった時点で操業開始から5時間〜7時間経過してしまうことになる。このため最初の操業で得られた魚を保管しておくと鮮度が低下し始める。水揚げ量は3回の操業で全セイロがほぼ埋まるような場合も多いが、これに満たない場合もかなり多い。とくに大量の素材を処理できる場合にこの傾向が強くなる。そこで、水揚げ量が少ない場合、従来は一部のセイロしか魚を積載していなくても3回目の水揚げ後には乾燥処理を行っていた。この場合、全セイロに生魚を載せた場合と比べ、一回の乾燥処理のランニングコストが割高になる。しかし、生魚を載せたまま全セイロが埋まるまでそのまま待機させて置くのは、もっと魚の鮮度を損ね、加工後の品質を損ねる可能性がある。
【0013】
この対策として、別に設けられた冷蔵施設で鮮度を落さないように冷蔵することも考えられるが、新規のランニングコストが発生する上に、乾燥後の加工品が持つべき風味等を損ねてしまう。生魚の鮮度を保ちながら、製造コストとランニングコストを低廉なものにすることができる保存装置、保存方法の開発が望まれる。
【0014】
そこで本発明は、穏やかな移送が可能で、乾燥時間が短く、小さな動力で自動運転でき、乾燥ムラが生じない乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような従来の問題点を解決するため本発明の乾燥装置は、セイロを循環路で循環させる第1の循環装置と、生鮮素材をセイロに積載するとき及び/または乾燥後の生鮮素材を排出するときには循環路から所定のセイロを分岐して分岐路を移動させ、積載する場合には空のセイロに生鮮素材を積載し、排出する場合には乾燥後の生鮮素材を積載したセイロから該素材を排出し、排出及び積載する場合には乾燥後の生鮮素材を排出すると共に空のセイロに生鮮素材を積載して、これを循環路に戻すことができる第2の循環装置と、循環路が配置された室内の空気を循環させるファンと、循環する空気を加熱して生鮮素材を乾燥させることができる熱交換機とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
また、本発明の乾燥装置によれば、大きなセイロに大量の生鮮素材を積むことができ、穏やかな移送が可能で、搬送距離が小さく乾燥時間を短くすることができる。小さな動力で自動運転でき、乾燥ムラが生じず、良好な品質になる。
【0017】
本発明を実施するための第1の形態は、セイロを循環路で循環させる第1の循環装置と、生鮮素材をセイロに積載するとき及び/または乾燥後の生鮮素材を排出するときには循環路から所定のセイロを分岐して分岐路を移動させ、積載する場合には空のセイロに生鮮素材を積載し、排出する場合には乾燥後の生鮮素材を積載したセイロから該素材を排出し、排出及び積載する場合には乾燥後の生鮮素材を排出すると共に空のセイロに生鮮素材を積載して、これを循環路に戻すことができる第2の循環装置と、循環路が配置された室内の空気を循環させるファンと、循環する空気を加熱して生鮮素材を乾燥させることができる熱交換機とを備えたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、大きなセイロに大量の生鮮素材を積むことができ、穏やかな移送が可能で、搬送距離が小さく乾燥時間を短くすることができる。小さな動力で自動運転でき、乾燥ムラが生じず、良好な品質になる。
【0018】
本発明を実施するための第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、循環路及び分岐路が、上昇路と下降路、水平方向の移送路によって構成されていることを特徴とする乾燥装置である。この構成により、セイロの姿勢を保って最短距離で循環させることができ、単純な径路で循環させるから大きなセイロを使って循環させることができる。
【0019】
本発明を実施するための第3の形態は、第1または第2の形態に従属する形態であって、循環路及び分岐路には、移動する複数のセイロの間に少なくとも1個の空きスペースが設けられ、第1及び第2の循環装置が、空きスペースに移送する隣のセイロを移動させ、該セイロの移動で新しく形成された空きスペースに更にその隣のセイロを移動させて、さらにこれを繰返すことで空きスペースを順に移動させ、循環路及び分岐路のセイロを移送することを特徴とする乾燥装置である。この構成により、空きスペースと隣のセイロとの距離だけ1ピッチずつ移動させることができ、移動に大きな牽引力若しくは押圧力が不要となり、大きなセイロでも容易に移送、制御することができ、大きなセイロにより一回の乾燥処理で大量の生鮮素材を乾燥できる乾燥装置の自動化が可能になる。
【0020】
本発明を実施するための第4の形態は、第1〜第3のいずれかの形態に従属する形態であって、分岐路には、生鮮素材を積載する載置位置及び/または乾燥した生鮮素材の排出を行う排出位置が設けられたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、分岐路で積載及び/または排出を行い、循環路では循環運動を行うことができる。
【0021】
本発明を実施するための第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態に従属する形態であって、分岐路には生鮮素材を積載した後の生鮮素材を煮沸する煮釜が設けられたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、煮沸まで含めて自動化が可能になる。
【0022】
本発明を実施するための第6の形態は、第5の形態に従属する形態であって、分岐路には洗浄槽が設けられ、セイロに生鮮素材を積載した後に洗浄槽で洗浄してから煮釜に移送することを特徴とする乾燥装置である。この構成により、洗浄槽での洗浄まで含めて自動化が可能になる。
【0023】
本発明を実施するための第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態に従属する形態であって、室内の温度に基づき、設定された運転条件に従って熱交換機を制御する熱交換機制御部を備えたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、各生鮮素材の乾燥のために最適な運転条件で熱交換機を制御することができる。
【0024】
本発明を実施するための第8の形態は、第2の形態に従属する形態であって、分岐路が、循環路の下降路から第1の移送路によって分岐して、生鮮素材を載置位置で積載後、所定の位置で第1の昇降路によって降下し、洗浄槽内で洗浄を行い、一旦上昇してから第2の移送路で隣接位置に移動し、ここから第2の昇降路によって煮釜内に降下して煮沸し、煮沸後上昇して第3の移送路によって循環路の下降路に戻る構成を備えたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、洗浄槽での洗浄と、煮釜での煮沸をセイロの姿勢を保って最短距離で循環させることができる。
【0025】
本発明を実施するための第9の形態は、第4の形態に従属する形態であって、分岐路の排出位置には、乾燥した生鮮素材の排出を行うときセイロを傾斜させて排出する排出装置が設けられたことを特徴とする乾燥装置である。この構成により、排出装置を制御して容易且つ安価に排出できる。
【実施例1】
【0026】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1の乾燥装置について図面に基づいて説明する。実施例1の乾燥装置は保存機能を備えた保存機能付乾燥装置である。図1は本発明の実施例1におけるのセイロの斜視図、図2は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の全体構成図、図3は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の全体を示す斜視図、図4(a)〜(d)は積み降ろし時のセイロの運動の説明図、図5(a)〜(d)は乾燥時のセイロの運動の説明図、図6は本発明の実施例1における昇降装置でセイロを支持した状態の斜視図、図7(a)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の第2の昇降装置の斜視図、図7(b)は(a)の第2の昇降装置の昇降動作の説明図である。
【0027】
また、図8(a)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の排出装置の斜視図、図8(b)は(a)の排出装置の排出動作の説明図、図9は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の第2の昇降装置がセイロを才知した状態の一部破砕断面図である。また、図10(a)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の保冷装置の断面図、図10(b)は(a)の保存機能付乾燥装置の保冷装置の上面図、図11(a)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の空気循環路の説明図、図11(b)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の冷却系の説明図、図12(a)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の押込装置の斜視図、図12(b)は(a)の押込装置の押圧片の説明図、図12(c)は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の引出装置の説明図、図13は本発明の実施例1における機能ブロック図、図14は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の動作のフローチャートである。
【0028】
まず、本発明の実施例1の乾燥装置である保存機能付乾燥装置とで利用するセイロについて、図面に基づいて説明する。図1、図8において、1は小魚類等に代表される生魚などの生鮮素材を載せこれに加熱空気を送って乾燥させるセイロ、2は通気性が良好で生鮮素材を落下することなく載せることができるメッシュ、3は標準サイズのセイロより格段に大きく一度に大量の生鮮素材を載置できるセイロ1の枠体である。4は枠体3の側面に回転自在に取り付けられ、セイロ1を後述のガイド部材21(図6参照)や溝状レール47(図7,図8,図9参照)上を走行させるための走行用ローラ、5は走行用ローラ4を軸支するローラ支持体である。ローラ支持体5と走行用ローラ4は枠体3の両側面に設けられたキャスターとして枠体3を支えて走行する。
【0029】
続いて、図2、図3に基づいて実施例1の乾燥装置である保存機能付乾燥装置と保冷装置について説明する。まず、保存機能付乾燥装置の説明をする。11はセイロ1を循環させ、加熱空気を送ったときには乾燥させ、保冷装置50(図3参照)によって冷却された空気(冷気)を循環して生鮮素材を保存する保存機能付乾燥装置本体であり、11aは循環運動するセイロ1を収容する密閉空間を区画する仕切り壁(図3参照)である。図2に示す12aはコ字状の案内レール33(図12参照)内を走行しセイロ1に引掛け片を係止して牽引する引出装置であり、12bは引出装置12aと共通の走行機構を有し押圧片でセイロ1を押してスライドさせる押込装置である。なお、図3においては全体構成を分かり易くするために上から視たときの一部の構成が省略されている。この引出装置12aと押込装置12bは、乾燥時と冷気保存時のセイロ循環路と、積載及び/または排出を行うための分岐路(これらについては後述する)とにおいて、水平方向への移動が必要な経路(本発明の水平方向の移送路)に設けられる。なお、引出装置12aと押込装置12bはこの構成だけに限られない。シリンダやコンベアベルトを利用することもできる。
【0030】
さらに図2、図3の説明を続ける。13はセイロ循環路を収容する保存機能付乾燥装置本体11の「乾燥/冷却エリア」(以下、「循環エリア」という)でセイロ1を上昇、下降させる昇降装置(本発明の上昇路、下降路に相当)であり、14は分岐路において「積込/排出/洗浄エリア」(以下、「準備エリア」という)、「煮沸エリア」の各エリアに設けられた第2の昇降装置(本発明の昇降路に相当)である。セイロ循環路が上昇路と下降路、さらに水平方向の移送路のみで構成され、分岐路は昇降路と移送路とで構成される。このように全体の動きが上下方向の動きと水平方向の動きだけで構成されているため、循環中セイロ1は水平の姿勢を保って移送される。この昇降装置13、第2の昇降装置14の詳細に関しては後述する。15は「準備エリア」に設けられ積み込んだ生魚などの生鮮素材を洗う洗浄槽、16は「煮沸エリア」に設けられ洗った後の生鮮素材を65℃〜100℃で煮沸する煮釜である。
【0031】
次に、17は吸引した高温の空気を加熱するための熱交換機である。熱交換機17は図示しないボイラから高温水蒸気が送られて、熱交換することにより大気圧下で空気を60℃付近から100℃近くのいずれかの温度で加熱する。なお、17aは加熱量が足らないとき補助的に利用する多数のノズルを備えた熱風噴射部であり、熱風を噴射して加熱する。18は熱交換機17で加熱された空気あるいは冷気を「乾燥/冷却エリア」内で密閉することによって形成された空気循環路(仕切り壁11a内と周囲のダクトなどから構成される実施例1における室内)を循環させると共に、一部開放して新鮮な空気を吸引しまたは排気時に排気を行うファンである。
【0032】
次に、19はセイロ1に載せた乾燥後の素材を排出させるための排出装置である。排出装置19は図2に示す排出位置Mに移送されてきたセイロ1を傾斜させ、図9(a)(b)に示すようにメッシュ2上の素材を滑り落して排出し、排出後は載置位置Aに移動するために元の水平な姿勢に戻すものである。
【0033】
さらに図2において、20は排出位置Mで乾燥した素材を排出して空になり積載位置Aに戻ってきたセイロ1に新たな生鮮素材を載せるための積降用コンベア、20aはこの生鮮素材を入れたホッパである。積降用コンベア20は、A位置のメッシュ2の上面に沿って左右に移動可能で、左方のホッパ20aの下方位置で周回動作させながら生鮮素材を積んで、前進し、待機しているセイロ1の後端部に来ると、積降用コンベア20を駆動し、積み込まれた生鮮素材を落下させながら後退し、この生鮮素材をメッシュ2上に均等に載せる。1つのセイロ1に対する積み込み作業を終了すると、ホッパ20a下方まで移動し、次の作業まで待機する。生鮮素材を載せたセイロ1と載せていないセイロ1は、個体識別し(例えば、バーコードや識別する形状を光学的に読取り、あるいはタグで電磁的に読取り)、後述する記憶部のデータ記憶部72dにそれぞれ記憶しておくのがよい。
【0034】
さて、以上説明した「循環エリア」のセイロ1の昇降装置13について図6に基づいて詳細に説明する。図6において、21はセイロ1を載せて昇降させ、引出装置12aと押込装置12bによって所定の平面で水平方向に移動させるときはレールの機能を担う昇降装置13のガイド部材である。このガイド部材21は断面略L字状で、両側からセイロ1を抱え、両側のレールの部分に走行用ローラ4を載せた状態でセイロ1を一段ずつ上昇または降下させる。なお、「乾燥/冷却エリア」に設けられた昇降装置13は、枠体3の高さ相当のピッチで小刻みに上昇、降下する。なお、レール部分の端縁には脱輪防止のための突条(折り曲げ部)が設けられ、ガイド部材21は溝状になっている。
【0035】
次に図6において、22はセイロ1を昇降させるために回転する昇降用のスプロケットである。23は2個のスプロケット22と噛み合って張設され2個のスプロケット22の間で周回する一対のチェーン、24は一対のスプロケット22を所定間隔で設けた回転軸である。上下に設けられた一対の回転軸24のうち、できれば上側の回転軸24を高トルクの駆動モータMで一定角度、例えば1回転させる。
【0036】
この駆動モータMの回転によって、2本のチェーン23が2対のスプロケット22の周囲を所定幅(1ピッチ)分だけ周回し、チェーン23間に梯子状に複数段設置されたガイド部材21をこの幅分(1ピッチ)だけ上昇または下降させる。この動作を繰返すことにより、ガイド部材21に載置されたセイロ1を所定幅ずつ順次上昇または下降させることができる。なお、回転を停止したときの不回転の確実性を期すためブレーキを設けるのがよい。また、ガイド部材21はレールの部分がチェーン23の外周面に直交、場合によっては傾斜して突出し、L字の残りの部分がチェーン23の外周面に取り付けられる。
【0037】
この昇降装置13は、ガイド部材21を相対向して突出しセイロ1を両側から抱えるように一対を単位として設けられる。実施例1では回転軸24はチェーン駆動されるが、ギア駆動、ベルト駆動したり、2つの駆動モータMを同期して駆動したりするなどして、両側のガイド部材21が平行状態を保って上昇または下降するようにする。なお、1つの駆動モータMで駆動する場合に、2本の回転軸24を互いに逆方向に回転させるため一方の伝達機構には反転機構Rを設けている。
【0038】
昇降装置13が所定の高さに上下してきたとき、隣の昇降装置13若しくは第2の昇降装置14の同一高さに空きスペースがあるときは、セイロ1の走行用ローラ4は2本のガイド部材21のレール上を走行し、ガイド部材21間若しくはガイド部材と溝状レール47の間を渡って隣接する空きスペースに移動する。このとき走行用ローラ4は脱輪しないように、ガイド部材21のレール部分の溝に沿って案内される。
【0039】
次に、図7(a)(b)に基づいて、生魚などの生鮮素材を煮沸前に洗う場合、また、生鮮素材を煮釜で煮沸する場合、のそれぞれの場合にセイロ1を昇降させる第2の昇降装置について説明する。この第2の昇降装置は、洗浄時には、図2のA位置で生鮮素材を載置され、B位置にまで降下して洗浄槽15で洗浄し、再度上昇してC位置で停止動作を行って待機し、煮沸時には、D位置で生鮮素材を受け取り、煮釜16のあるE位置にまで降下して煮沸し、再度上昇してF位置で停止動作を行って待機する。
【0040】
図7(a)(b),図8において、41はセイロ1を載置すると共に上下する昇降枠、42はこの昇降枠41を所望の上下位置で停止して保持できるチェーン、42aは昇降枠41とチェーン42を繋ぐための保持金具である。また、43はチェーン42を周回させる4個のスプロケット、43aはスプロケットを2個取り付けた回転軸、44はスプロケット43を回転させて2本のチェーン42を周回させる高トルクの駆動モータである。
【0041】
45は昇降枠41の上昇降下の案内を行う摺動コロ(図8参照)、46はこの摺動コロ45を介して昇降枠41を上下に案内する中空の角柱ガイドである。摺動コロ45は安定のために角柱ガイド46を挟んで対向する両側面にそれぞれ同数、実施例1では4個ずつ設けられている。また、チェーン42は角柱ガイド46の内部を挿通され、角柱ガイド46の周囲をスライドする昇降枠41の上下2箇所の保持金具42aにそれぞれ取り付けられる。47は昇降枠41に設けられセイロ1を載せて昇降できる溝状レールである。
【0042】
セイロ1を載置した状態で2本のチェーン42を周回して降下させ、図7(b)に示すように洗浄槽15あるいは煮釜16の中へ下ろし、洗浄水で生鮮素材を洗うか、大気圧下65℃〜100℃の熱湯に漬けて煮沸する。その処理後に、2本のチェーン42を周回してセイロ1を洗浄水あるいは熱湯から引き上げ、それぞれC位置、F位置にまで上昇させ、C、F両位置の傍に設けられた押込装置12bによって隣のエリア(D位置、G位置)にスライドさせる。
【0043】
続いて、図9(a)(b)に基づいて、排出装置19について説明する。排出装置19の構成は第2の昇降装置14と一部を除いて共通の構成を有しているので、同一構成については同一符号を付与している。すなわち、41は昇降枠、42はチェーン、42aは保持金具、43はワイヤ42を巻き取ったり緩めたりするスプロケット、43aは回転軸、44は駆動モータ、45は摺動コロ、46は角柱ガイド、47は溝状レールである。
【0044】
しかし、排出装置19は第2の昇降装置14と異なって、昇降枠41がセイロ1を固定的に指示するのではなく、回動可能に軸支している。このため、駆動モータ44を駆動してチェーン42を周回して昇降枠41を上昇させると、セイロ1の重心に作用するモーメントでセイロ1を支持する角度が変わり、図9(b)に示すように傾斜する。
【0045】
図9(a)において、41aは昇降枠41に設けられた軸支部48(後述する)周りに回転可能な支承体、41bは支承体41aに隣接して設けられセイロ1の排出側の端部の高さを一定に保ち支承体41aと共にセイロ1の下面を支える第2の支承体である。また、47aはセイロ1を傾斜させたときセイロ1が昇降枠41から落下しないように溝状レール47の端部に設けられたストッパである。48は支承体41aを回転可能に軸支する軸支部である。なお、ストッパ47aだけで第2の支承体41bを設けなくても動作することは可能であるが、安定のため第2の支承体41bを設けるのがよい。また、軸支部48にラチェット機構部を設け、セイロ1を傾斜させたとき間欠的に傾斜度を増し、所定角度になったとき一時的に昇降枠41の傾斜角度を固定可能にするのもよい。
【0046】
実施例1の排出装置19は、図9(b)のように昇降枠41を上昇させると、セイロ1セイロ1が傾き、これによってセイロ1に積載された素材がずり落ちて落下し、回収容器に排出される。その後、昇降枠41を下降させると支承体41aと第2の支承体41bが同一高さになりセイロ1を水平にすることができる。
【0047】
続いて、実施例1の横方向へのスライド機構となる引出装置12aと押込装置12bについて図12(a)(b)(c)に基づいて説明する。まず、両者の共通な構成のみからなる押込装置12bの説明を行う。図12(a)(b)において、31は押込装置12bの本体である。32は本体31の両側面に設けられたローラ、33はローラ32を案内する案内レールである。そして、34はローラ32を回転させて本体31を前後進させるためのチェーン、35はチェーン34と噛み合って各ローラ32を駆動するためのスプロケット、36は本体31の両側面の各ローラ32を同期させて駆動するための高トルクの駆動モータである。
【0048】
図12(b)に示す37は、セイロ1と押込装置12bの走行路が段違いに配置されている場合に、セイロ1を押圧するための押圧片である。セイロ1と押込装置12bの走行路が同一平面にある(走行路がずれて配置されていない)場合は、押圧片37が設けられていなくとも当接するだけでセイロ1をスライドさせることができる。
【0049】
図12(c)の引出装置12aは、案内レール33内を走行してセイロ1を牽引する。38はセイロ1に軸支され、セイロ1を牽引するときにセイロ1に引掛けるかセイロ1を把持する引掛け片であり、38aは引掛け片38を突出させるべく付勢するバネである。通常の状態では引掛け片38はバネ38aの作用で突出しているが、牽引時に引出装置12aを枠体3上で走行させたときは、押圧片37を一時的に押し込み(回転させ)、その後枠体3の内側に至るとバネ38aの作用で引掛け片38を突出することでセイロ1を引掛または把持することが可能になる。
【0050】
続いて、セイロ1の循環運動についてその詳細を説明する。セイロ1の運動は、図2、図4、図5に示すように、(I)生鮮素材積み降ろし時の運動、(II)乾燥時の循環運動、の2種類の循環運動から構成される。この(I)生鮮素材積み降ろし時の運動が本発明におけるセイロの分岐路の運動であり、(II)乾燥時の循環運動が本発明におけるセイロの循環路の運動である。この分岐路は素材の積み降ろし時に循環路から分岐される第2の循環路である。
【0051】
(I)、(II)の運動を行うため、実施例1の(I)の運動を行う循環装置(本発明の第1の循環装置)、(II)の運動を行う循環装置(本発明の第2の循環装置)には、図4、図5に示すように、処理に従って(1)「準備エリア」、(2)「煮沸エリア」の2エリア、乾燥時の(3)「循環エリア」、の3つのエリアが設けられている。なお、このセイロ1の移動の基本的メカニズムは、隣り合うセイロ1の中に1個、場合によっては数個分の空きスペースを形成し、このスペースを埋めるべく、隣接する位置のセイロ1を循環方向に順次移動させて行うものである。実質はセイロ1を循環させるものであるが、見掛け上は空いたスペースが順次後方に循環される。
【0052】
前記した(1)(2)(3)の各エリアについて説明する。図2において、(1)「準備エリア」のM位置は生魚などの生鮮素材の積み降ろしを行う排出位置であり、同じエリアの載置位置Aを経由してここにセイロ1が到達すると、排出装置19でセイロ1を傾斜させることによって乾燥後の素材を排出し、空になったセイロ1を載置位置Aに移動し、セイロ1上に積降用コンベアから生の生鮮素材を積み込む。
【0053】
Bは生鮮素材を洗浄する洗浄槽15の位置である。Aの直下に設けられる。AからBへの降下は(1)「準備エリア」の第2の昇降装置14によって行われる。C位置は、生鮮素材の洗浄が済んだ後にBからそのまま上昇された位置で、隣のボイルエリアに移動させるための待機位置であり、A−B間の中段に設けられる。次に、D位置はC位置から送られたセイロ1が(2)「煮沸エリア」で受け渡されるための位置である。セイロ1が受け渡されると、D位置を起点に下降されて煮釜16内のE位置に降下し、ここで煮沸される。煮沸された後の生鮮素材はD位置より上のF位置まで上昇させられ、「循環エリア」の中でFに隣接して形成されたG位置が空きスペースになったら押し込まれる。
【0054】
次に、(3)「循環エリア」でのセイロ1の動きは、上昇と下降する2台の昇降装置13と、上下端で2台の昇降装置13間の受け渡しを行う引出装置12aと押込装置12bとによって行われる。G位置の下のH位置は下降する昇降装置13のG位置から直下の最下端に設けられる。H位置に達するとセイロ1は隣接する上昇側の昇降装置13の最下端のI位置へスライドさせられる。このI位置に到達したセイロ1は、この昇降装置13を上昇させられ、最上端のJ位置に移送される。J位置からセイロ1は下降側の昇降装置13の最上端のK位置にスライドさせられ、K位置からこの昇降装置13を降下してG位置の1段上のL位置に至る。L位置に至ったとき、(3)「循環エリア」内の循環が1サイクル終わったことになり、乾燥修了まで繰り返し循環が行われる。
【0055】
そこで、以上説明したセイロ1の運動を概念図で説明する。図4は(I)の生鮮素材積み降ろし時の運動の様子を概念的に示す。なお、図4においては、説明を簡略にするため排出位置Mを図示していない。A位置のセイロ番号「No1」から順にセイロ番号「No13」までが1ステップずつ循環する。図4(a)は、L位置に存在するセイロ「No1」をA位置に移動するとき、予め「煮沸エリア」のF位置の「No3」を既に空きスペースにしてあったG位置に押し込み、「準備エリア」のC位置で待機していた「No2」をD位置に順に移動させた状態である。
【0056】
次いで、図4(b)のように、「No1」のセイロ1をB位置の洗浄槽に降下させて洗浄し、D位置の「No2」をE位置の煮釜に降下させて煮沸する。併せて図5(a)(b)(c)と同様に「循環エリア」のL位置の空きスペースに「No13」を移動し、順次空きスペースを後退させてG位置に移動させる。なお、この循環動作は図4(d)の動作に至るまでのどこで行ってもよい。その後、図4(c)のように、「No1」のセイロ1を待機位置であるC位置に上昇し、「No2」を同様に待機位置であるF位置に上昇させる。この状態で、図4(d)に示すように、「No13」のセイロ1を引出装置12aによって「準備エリア」のA位置にスライドさせ、C位置の「No1」は「煮沸エリア」のD位置に、F位置の「No2」は「循環エリア」のG位置に移動させる。これは図4(a)が1ステップ移動した状態を示す。従って、このプロセスを繰返すことにより、M位置で素材を排出したセイロ1にA位置で生鮮素材を載置し、「循環エリア」に戻すことが可能になる。「No1」から「No13」のすべてのセイロ1に生鮮素材を積載して「循環エリア」に戻したとき、次の(II)の乾燥時の循環運動を行うことになる。
【0057】
続いて、(II)の乾燥時の循環運動の様子を図5(a)〜(d)に基づいて説明する。図5においても排出位置Mを図示していない。図5(a)のように「No12」のセイロ1はC位置に上昇させ、「No13」はF位置に上昇させて待機させた状態にある。(II)の循環運動時には、この状態で「No11」をL位置にある空きスペースに降下させると、図5(b)に示すように元の位置が空きスペースとなる。そこで「No10」のセイロ1をこの位置に降下させると、空きスペースが更に1段上昇(後退)する。この空きスペースの後退を「循環エリア」で一周繰返すことによって、図5(c)のように空きスペースがG位置に帰ってくる。これによって「No1」から「No11」のセイロ1が一巡する1サイクルの運動が終わったことになり、次のサイクルの運動を繰返すことになる。この一巡がセイロ1の循環路となる。
【0058】
なお、乾燥した素材を排出する分岐路の動作を行うときには、循環中のセイロ1に対して、図5(c)の状態から図5(d)のように、A位置の「No12」のセイロ1をC位置に移動させ、また同様に、D位置の「No13」をF位置に移動し、L位置の「No1」のセイロ1をM位置(図示しない)にスライドさせ、M位置から排出させる。この後、順に「No2」・・・「No11」をM位置に移動させ、M位置で排出した後のセイロ1をA位置、C位置、更にF位置に移動し、最終的にG位置に戻すことで乾燥した素材を排出する。この構成によって、セイロ1の循環路から排出及び/または載置を行う分岐路が形成される。
【0059】
さて、本発明の実施例1の乾燥装置は保存機能付乾燥装置であり、その特徴は、乾燥処理を自動的に行えると同時に、同一の装置を使って、生鮮素材の鮮度を保ち、長時間腐敗しないように保存できる保冷装置を備えたことにある。すなわち、水揚げ量が少ない時など、すべてのセイロ1を生鮮素材で満杯にすることができない場合に、次の操業で新たな生鮮素材が水揚げされるまで、生鮮素材を載せて冷気を循環しながら鮮度を保つものである。
【0060】
そこで、この実施例1の保冷装置と、その冷気を循環する空気循環路について図2、図3、図10(a)(b)、図11(a)(b)に基づいて説明する。図10(a)は図10(b)のZ−Z断面である。この空気循環路は乾燥処理のための加熱空気の空気循環路と共通である。先ず、保冷装置の構造について説明する。図2、図3、図10(a)(b)、図11(a)(b)において、50は海水や湖水、その他恒温の低熱源の水を供給して複数の細いパイプの一端からオーバーフローさせ、空気と熱伝導及び/または気化熱を奪うことにより熱交換させて生魚などの生鮮素材を冷却して少なくとも1日〜2日間保存できる保冷装置である。
【0061】
この保冷装置50は図10(a)(b)に示すように次のような構成からなる。51は低熱源の水(本発明の液体)を供給してオーバーフローさせるステンレス,銅等の高熱伝導性パイプ、52は供給された水を一旦収容しパイプ51を林立させて空気と熱交換させることができる樹脂製のタンクである。タンク52はパイプ51を立設した本体容器部分と、これから垂直に立ち上がった屈曲部分(本発明のヘッド部)とから構成され、本体容器部分は各パイプ51と連通しそのオーバーフローする側と反対側を固定する。53はタンク52に連通して設けられたパイプ51の開放端側を固定するプレートであり、プレート53に開けられた多数の開口はパイプ51が接続され、各パイプ51はタンク52内に連通される。プレート53の上面が水がオーバーフローする面になる。
【0062】
次に、図10(a)(b)において、54はタンク52へ送水する送水パイプ、55はオーバーフローした水を回収する樋部、56は清水を汲み上げるポンプである。保冷装置の代表的な大きさの一例を挙げれば、パイプ51の直径が16φ、タンク52の全体高さ2300mm、全体奥行き2000mm、パイプを配置した箇所の横幅500mm、高さ1500mm、その奥行き2000mmであり、2500本以上の多数のパイプ51が林立して空気と熱交換することができる。
【0063】
このとき、タンク52はプレート53の上面より高いヘッド部(上部を大気に開放)を有しており、タンク53の水面とプレート53の上面との差が図10(b)に示すようにΔH(上例の場合780mm〜800mm)となるようにレベル制御される。ポンプ56によって海水若しくは湖水等の水を汲み上げ、タンク52内のΔHを維持するように水面のレベル制御を行えば、パイプ51内の流れはヘッド差によって形成され、多数のパイプ51から水がオーバーフローする。このような多数の細いパイプ51は、本来大きな流体抵抗をもつはずであるが、ヘッド差によるサイホン作用を利用するので、強制流動させるための動力が不要となり、低コストで済む。パイプ51を介しての内部を流動する水への伝熱と、オーバーフローした水が気化熱を奪うこと、の2つの冷却作用で空気を冷却し、冷気を形成する。従って、強力なポンプ56を設ける必要も、流体抵抗の高い多数のパイプ51に水を流す必要もない。このように海水、湖水、その他恒温の低熱源の水と、そのヘッド差を利用するため、パイプ51の直径はさらに小さくすることも可能で、パイプ数をさらに増加させることできる。プレート53の上面でオーバーフローした水は樋部55で回収され、海や湖、その他恒温の低熱源に戻される。
【0064】
続いて、空気循環路について説明する。乾燥時の空気循環路と、冷気を循環させる循環路の2つの場合がある。図3、図11(a)に示すように、保存機能付乾燥装置11は、仕切り壁11aによって、セイロ1を収容した空間と、周囲の空気を循環させるダクト、の2つの空間に区画される。図3、図11(a)において、60は仕切り壁11aの周囲を取り巻いて空気を循環させるためのファン18が設けられたダクトである。
【0065】
ダクト60は2台のファン18の各吐出口にそれぞれ接続され、保冷装置50がそれぞれ設けられる。ここを通過した空気は熱交換機17を通ってセイロ1を通過し、再びファン18に吸引される。そして、61は新規の空気を吸い込むときの自動空気取り入れ口、62は風量調節するための自動ダンパ、62aは循環する空気を一部排出することができる自動排出ダンパである。
【0066】
保存機能付乾燥装置11は、生鮮素材の乾燥時には、煮釜16から煮沸後のセイロ1を取り込んで、セイロ1は図3、図5(a)〜(c)のように循環運動させ、空気は図11(a)の空気循環路を循環させる。この間、保冷装置50の運転は停止し、熱交換機17の運転を行う。ファン18によって自動空気取り入れ口61から吸引された空気は、ダクト60を通って熱交換機17で熱交換され、この熱でセイロ1上の生鮮素材を加熱して乾燥させる。この高湿度の高温の空気はファン18によって吸引され、凝縮器(図示しない)で水分を除去され、再び熱交換機17で熱を授受してセイロ1上の生鮮素材を加熱させる。なお、自動排出ダンパ62aから空気を排出した場合は、自動空気取り入れ口61を開いて、新たな空気を補充する。加熱量が足らないときは、熱風噴射部17aを使って加熱してもよい。
【0067】
これに対して、生鮮素材の冷気保存時には、図3、図11(a)の空気循環路で冷気を循環させる。この場合、保冷装置50を運転し、熱交換機17の運転を停止する。ファン18によって吸引された空気は、ダクト60を通って保冷装置50で冷却され、冷気でセイロ1上の生鮮素材を冷やす。保冷装置50は、季節で変動はあるが、外気が常温(20℃程度)のとき5℃〜9℃程度の海水や湖水、河川水、地下水等をオーバーフローすることで、生鮮素材を5℃から11℃前後、概ね6℃〜10℃程度に冷やすことができる。生鮮素材の鮮度をおとして腐敗を進行させる一般細菌は、25℃以上の中温域で活動が活発になるから、5℃から11℃前後の低温域では急速に腐敗は進まない。また、オーバーフローによって飽和水蒸気が密閉空間を循環されているので、生ものの表面を通して乾燥が進み、表面の細胞組織が破壊されるようなこともない。この温度と湿度環境を保って通風を続けることにより、1日〜2日は十分に鮮度の低下を遅らせることができる。
【0068】
このように実施例1の保冷装置を備えた乾燥装置は、空気循環路の室内を乾燥室として使用するときには熱交換機17を運転すると共に保冷装置50を停止し、保冷室として使用するときには保冷装置50を運転すると共に熱交換機を停止するから、共通の室内を使って乾燥と冷気保存が行える。
【0069】
次に、本発明の実施例1の乾燥装置である保存機能付乾燥装置と低温保持装置を制御する制御装置について説明する。図13は本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置と低温保持装置の制御ブロック図である。図13において、71は制御部であり、ハードウェア的にはCPUであって、後述する記憶部72から各種制御プログラムやデータを読み込み、ソフトウェア的に保存機能付乾燥装置と低温保持装置の各種制御機能を実現する機能実現手段である。
【0070】
71aは引出装置12a,押込装置12bを制御してセイロ1を移送し、昇降装置13,第2の昇降装置14を制御してセイロ1を上昇、下降させる移送制御部である。また、71bは循環する空気を制御する空気制御部、71cは煮釜16の温度制御を行う煮釜温度制御部である。そして、71dは乾燥後に素材を排出するため排出装置19を動作させる排出制御部、71eは乾燥後の素材の排出が終了した後に、積降用コンベア20を駆動して新たな生魚を積み込む積込制御部である。
【0071】
さて、71fは保冷装置50を制御して熱交換する水を低温度に保つ冷気制御部である。冷気制御部71fはレベルセンサ57が検出したヘッド差を基にポンプ56を制御して所定のヘッド差を維持するようにレベル制御する。冷気制御部71fは、温度センサ77が検出した空気の温度が生鮮素材の保存に適さなくなった場合や、保存期間が例えば2日を越えたような場合に、保冷装置50による保存を止めて乾燥処理を行った方がよい旨の警報(図示しない)を行う。警報は表示装置に表示を行うのでも、ランプやスピーカで警報光、警報音を出力するのでもよい。
【0072】
次に、72は制御部71を構成するCPUに読み込む制御プログラムやデータを格納した記憶部である。この記憶部72には次の各記憶部が設けられる。72aは引出装置12a,押込装置12b、昇降装置13、第2の昇降装置14を動作させるため各駆動モータを駆動し停止する移送制御プログラム記憶部である。また、72bは熱交換機17で空気を加熱し、凝縮機で湿度を制御し、ファン18の回転数で送風量を制御する空気制御プログラム記憶部、72cは煮釜16の熱湯の温度を制御する煮釜制御プログラム記憶部、72dは乾燥時間や循環回数等の運転条件やヘッド差の閾値、あるいは保冷装置50によって冷気保存を実行する条件等のデータを格納したデータ記憶部である。
【0073】
さらに、72eは保存機能付乾燥装置の制御状態を示すフラグを格納したフラグ記憶部である。以下の(表1)は循環運動の種別(プロセス)、制御状態とフラグの関係を示すものである。例えば、素材載置フラグは生鮮素材をセイロ1に載せたときにONとなり、排出後や積載物がない状態の場合にOFFとなる。また、洗浄フラグは洗浄を行う必要がある場合にONとされ、洗浄後あるいは積載物なしの場合にOFFになり、ボイルフラグは未煮沸の場合にONとされ、煮沸後あるいは積載物なしの場合にOFFとなる。
【0074】
【表1】

【0075】
また、生魚などの生鮮素材を低温度の環境で保存するために保冷装置50を運転するときは、入力部(図示しない)からの設定で保存フラグをONにする。熱交換機17を運転する乾燥時には保存フラグをOFFにする。これらのフラグは制御部71が保存機能付乾燥装置の動作ごとにその状態を自動的に認識しまたは設定によりフラグ記憶部52eに格納し、制御時にこのフラグが参照され、このフラグに従って制御時の制御状態が判断され、保存機能付乾燥装置は自動的に制御される。
【0076】
乾燥を行うための空気の温度、湿度、風量は、生魚などの生鮮素材に適した値が素材単ごとに記憶部72内のデータ記憶部72dに格納されており、入力装置から素材を選択して運転開始のスイッチを押せばこの条件のデータを取り込み、自動的に運転が行われる。なお、素材ごとに適した乾燥時間または循環回数は予め実験等で確認されてデータ記憶部72dに格納されている。
【0077】
さらに制御装置の説明を続ける。73はセイロ1を移送するための空きスペースの存在またはセイロ1の存在を検出するためのスペース検出センサである。スペース検出センサ73は、例えば発光素子と受光素子とかの組み合わせでよく、通過するセイロ1によって遮られたときにはセイロ1が存在すると判定し、遮られるものが無いとき空きスペースと判断する。このスペース検出センサ73はすべてのスペースに配置するのがよいが、少なくとも図2、図4、図5に示すA〜Mの各位置には設けるのが好適である。
【0078】
もしスペース検出センサ73がセイロ1の不存在を検知した場合には、移送制御部71aは隣のセイロ1の移送を許可する。また、セイロ1が循環路または分岐路の所定の位置、例えばAの位置に存在する場合には、排出や積み込みなどの予定されている所定の処理を行う。
【0079】
移送制御部71aは、空きスペースである旨が検出されると、引出装置12a,押込装置12bの駆動モータ36を回転させ、引掛け片38や押圧片37でセイロ1を移送する。これにより、検出された空きスペースは隣のセイロ1によって充足され、空きスペースは隣に移動する。その後も同様に、次の位置が空きスペースであることが検出されると、昇降装置13、第2の昇降装置14を制御してセイロ1をそれぞれ上昇、下降させ、空きスペースが順次後退していく。
【0080】
さらに、図13の説明を続けると、74は循環する空気を加熱する熱交換機制御部、75はファン18の回転数などを制御し空気の風量御を調整する送風制御部、76は煮沸後保存機能付乾燥装置本体11内の湿度が上がるため凝縮器を制御する湿度制御部である。また、77は保存機能付乾燥装置本体11内部の空気の温度を検出する温度センサ、78は保存機能付乾燥装置本体11内の空気の湿度を検出する湿度センサである。
【0081】
これにより、保存機能付乾燥装置11の運転が開始されると、温度センサ77、湿度センサ78が保存機能付乾燥装置本体11内部の空気の温度と湿度を検出し、最適な運転条件のデータを記憶部72から読み出す。この運転条件に従って空気を加熱または冷却し、ファン18の回転数を制御して循環する空気を調整する。
【0082】
さらに、79は煮釜温度制御部71cによって煮釜16の水温を制御する加熱部、80は煮釜16の水温をフィードバックするための煮釜温度センサである。そして、71は保存機能付乾燥装置の運転が所定のシーケンスで行われるため、各動作、例えば煮沸時間をカウントしたり、「循環エリア」内を循環した回数をカウントしたりするカウント部である。
【0083】
そこで、図14のフローチャートに基づいて実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の運転時と、生鮮素材乾燥時処理方法について説明する。運転開始のスイッチを押すと(step1)、制御部71はフラグ記憶部72e内に保存フラグが設定されているかその設定の有無を確認し、これにより洗浄や煮沸、乾燥を行うか否かの準備の要否を判断する(step2)。保存フラグの設定がOFFであれば別途入力がない限り洗浄フラグ、ボイルフラグをONに設定し、保存フラグの設定がONであれば、洗浄フラグ、ボイルフラグをOFFにする。
【0084】
step2で保存フラグがOFFで乾燥処理を行うために準備が必要な場合は、その準備として、制御部71が運転条件を読み出し、煮釜温度制御部71cが煮釜16の水を加熱し、煮沸可能温度にまで上昇させる。同時に、空気制御部71bも熱交換機17の温度を上昇させる。
【0085】
step2において準備が行われた場合、続いて素材載置フラグをチェックすることで、冷気保存中の生鮮素材の有無をチェックする(step3)。素材載置フラグがOFFであれば冷気保存中の生鮮素材がないことを意味するから、積込制御部71eが積降用コンベア20を駆動し、Aの位置に移送されているセイロ1に生魚などの生鮮素材を積み込む(step4)。
【0086】
step3において、冷気保存中の生鮮素材がある場合はAの位置に移送されているセイロ1が生鮮素材を積載済みのセイロ1か否かを判断する(step5)。積載済みのセイロ1でない場合は生鮮素材をセイロ1に積み込む(step4)。
【0087】
step4で生鮮素材を積み込んだ後、また、step5で積載済みのセイロ1であった場合は、すべてのセイロ1の積み込みが終了したか否かを判定する(step6)。すべての積み込みが終了していない場合は、step3に戻って積み込みが完了するまで繰返す。積み込みの終了の判定は自動判定によって行われるが、手入力によって行われてもよい。少なくともセイロ1のどれかに生鮮素材を載置すると、フラグ記憶部72e内の素材載置フラグがONに変更される。この素材載置フラグは、素材が排出されたときにOFFにされる。
【0088】
step6で、セイロ1の積み込みが終了した場合、洗浄フラグで洗浄の要否に従って洗浄フラグがONであれば第2の昇降装置14を動作させてセイロ1を降下し、洗浄槽15に浸漬して洗浄し(step7)、OFFであれば浸漬せずに通過させる。また、ボイルフラグで煮沸の要否に従って、これがONであれば第2の昇降装置14により煮釜16で煮沸する(step8)。OFFの場合浸漬せずに通過させる。
【0089】
その後、再び保存フラグを参照することでセイロ1に積載した生鮮素材に対する冷気保存の要否が判断される(step9)。保存フラグがOFFに設定されている場合は、移送制御部71aによって「循環エリア」内の循環を開始し、熱交換機17による加熱が行われ、生鮮素材の乾燥が開始される(step10)。循環は、スペース検出センサ73が空きスペースである旨を検出したら、移送制御部71aは隣のセイロ1をこのスペースに押し込み、この位置にセイロ1が送られると、移送制御部71aは同じ動作を繰返すことで行われる。
【0090】
乾燥を続け、素材ごとに設定されている乾燥時間Thあるいは循環回数Nhを越えたら、タイムアップしたと判断し(step11)、これを越えていない場合はstep10に戻って繰返す。step11でタイムアップした場合、制御部71はカウント部61がこの旨を移送制御部71a、排出制御部71d、空気制御部71bに通知し、排出装置19を駆動して排出し(step12)、終了する。
【0091】
step9において、保存フラグがONに設定されており、セイロ1に積載した生鮮素材に対する冷気保存が必要と判断される場合には、生鮮素材の冷気保存を行う(step13)。冷気制御部71fが海水や湖水等をポンプ56で保冷装置50に流し、冷気を循環しながら保存する。ただ、生鮮素材には保存可能な保存期限が存在するから、保存期限が切れたか否かを判断し(step14)、期限が切れていない場合はstep13に戻って冷気保存を継続する。step14において、期限切れの場合は警報(ランプや音など)を行って終了する。
【0092】
このように実施例1の乾燥装置の保存機能付乾燥装置によれば、小魚類等に代表される生鮮素材の乾燥処理の自動化が行え、乾燥加工品の生産がきわめて容易に行える。従来のセイロは、縦(走行方向)630mm、横630mm、高さ45mmといった大きさのものが標準であり、現在最大とされているセイロでも縦1800mm、横900、高さ100にすぎないが、実施例1によれば、従来考えられたことのないサイズ、例えば縦4800mm〜5000mm、横1700mm〜2000mm、高さ120mm〜160mmが可能になる。これを従来の標準サイズのものと比較すると、積載面積で約21倍〜24倍、積載容積で60倍〜80倍の生鮮素材を積むことができる。そして、セイロ1の大きさに関しては、装置の設置場所さえあればその限界はない。しかも、実施例1では、このようなサイズのセイロから乾燥加工品を排出するために、昇降機構を利用した排出装置を設けたので、容易且つ安価に自動排出することができる。
【0093】
また、大量搬送のため概ね従来の1/40〜1/60程度の移送速度でゆっくりと乾燥することができ、高速移動に伴う問題点、例えば急速な方向転換、傾斜、スピード変化などで起こる故障や積載物の分布の偏り等を防止できる。ゆっくりと乾燥するので乾燥時間も短く、乾燥ムラを生じない。
【0094】
従来のようにセイロのサイズが小さい場合はどうしても多人数の作業者の関与が必要で、単位量である1トンの生魚等をセイロに載置してから乾燥処理修了まで最低でも5人の人手を要し、人が変わるたびにセイロ上で魚等が転がされ偏りを生じ、これによって魚等が傷み、乾燥状態もばらついて乾燥品の品質を低下させるという問題があった。しかし、実施例1の保存機能付乾燥装置とこれに採用した巨大なセイロはゆっくりと自動運転され、生鮮素材の全搬送距離からみると従来の1/50程度の搬送距離で済み、従来のセイロでは考えられない穏やかな移送が可能になり、ゆっくりと生鮮素材を傷めずに、小さな動力で運転できる。しかも人件費は1/5以上に削減できることになる。
【0095】
さらに、本発明の実施例1の乾燥装置は保冷装置を搭載しているため、乾燥処理を行う同一の空気循環路で、季節的に変動はあるが常温下5℃〜9℃程度の海水や湖水、河川水、地下水等をオーバーフローすると、生魚などの生鮮素材を5℃から11℃前後、概ね6℃〜10℃程度に冷やすことができ、乾燥処理のほかに鮮度を落さず生鮮素材を保存することができる。飽和水蒸気を分圧として含む空気が常時循環されているので、生鮮素材の表面が乾燥し細胞組織が破壊されるようなこともなく、1日〜2日なら十分に保存することができる。海水や湖水、その他恒温の低熱源の水を使ってサイホン作用で流すので、製造コストとランニングコストが安価な保冷装置を提供することが可能になる。
【0096】
また、実施例1の乾燥装置によれば、生鮮素材がすべてのセイロに満載できないような場合に、従来のように無理にこれを乾燥する必要はなく、満杯になった時点に乾燥すればよいから、乾燥処理のためのコストが大幅に節減できる。そして、従来の乾燥装置の方式で乾燥すると乾燥時の湿度で生鮮素材の含水率が高くなり、乾燥に要する時間が長くなるが、実施例1においては保冷装置で冷やしてから乾燥するため乾燥開始時の初期的な含水率が低く、従来よりも2時間程度短い時間で乾燥を修了させることができる。乾燥時間が短いことにより、保冷装置で保存したことが乾燥処理後の製品品質を逆に高品質に仕上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、一度に大量の生鮮素材を載置して乾燥させることができる乾燥装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施例1におけるセイロの斜視図
【図2】本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の全体構成図
【図3】本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の全体を示す斜視図
【図4】(a)〜(d)積み降ろし時のセイロの運動の説明図
【図5】(a)〜(d)乾燥時のセイロの運動の説明図
【図6】本発明の実施例1における昇降装置でセイロを支持した状態の斜視図
【図7】(a)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の第2の昇降装置の斜視図、(b)(a)の第2の昇降装置の昇降動作の説明図
【図8】(a)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の排出装置の斜視図、(b)(a)の排出装置の排出動作の説明図
【図9】本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の第2の昇降装置がセイロを才知した状態の一部破砕断面図
【図10】(a)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の保冷装置の断面図、(b)(a)の保存機能付乾燥装置の保冷装置の上面図
【図11】(a)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の空気循環路の説明図、(b)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の冷却系の説明図
【図12】(a)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の押込装置の斜視図、(b)(a)の押込装置の押圧片の説明図、(c)本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の引出装置の説明図
【図13】本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置と低温保持装置の制御ブロック図
【図14】本発明の実施例1における乾燥装置である保存機能付乾燥装置の動作のフローチャート
【符号の説明】
【0099】
1 セイロ
2 メッシュ
3 枠体
4 走行用ローラ
5 ローラ支持体
11 保存機能付乾燥装置本体
12a 引出装置
12b 押込装置
13 昇降装置
14 第2の昇降装置
15 洗浄槽
16 煮釜
17 熱交換機
17a 熱風噴射部
18 ファン
19 排出装置
20 積降用コンベア
20a ホッパ
21 ガイド部材
22 スプロケット
23 チェーン
24 回転軸
31 ガイド装置本体
32 ローラ
33 案内レール
34 チェーン
35 スプロケット
36 駆動モータ
37 押圧片
38 引掛け片
38a バネ
41 昇降枠
41a 支承体
41b 第2の支承体
42 チェーン
42a 保持金具
43 スプロケット
43a 回転軸
44 駆動モータ
45 摺動コロ
46 角柱ガイド
47 溝状レール
47a ストッパ
48 軸支部
50 保冷装置
51 パイプ
52 タンク
53 プレート
54 送水パイプ
55 樋部
56 ポンプ
60 ダクト
61 自動空気取り入れ口
62 自動ダンパ
62a 自動排出ダンパ
71 制御部
71a 移送制御部
71b 空気制御部
71c 煮釜温度制御部
71d 排出制御部
71e 積込制御部
71f 冷気制御部
72 記憶部
72a 移送制御プログラム記憶部
72b 空気制御プログラム記憶部
72c 煮釜制御プログラム記憶部
72d データ記憶部
72e フラグ記憶部
73 スペース検出センサ
74 熱交換機制御部
75 送風制御部
76 湿度制御部
77 温度センサ
78 湿度センサ
79 加熱部
80 煮釜温度センサ
81 カウント部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セイロを循環路で循環させる第1の循環装置と、生鮮素材を前記セイロに積載するとき及び/または乾燥後の生鮮素材を排出するときには前記循環路から所定のセイロを分岐して分岐路を移動させ、積載する場合には空のセイロに前記生鮮素材を積載し、排出する場合には乾燥後の生鮮素材を積載したセイロから該素材を排出し、排出及び積載する場合には乾燥後の生鮮素材を排出すると共に空のセイロに生鮮素材を積載して、これを前記循環路に戻すことができる第2の循環装置と、前記循環路が配置された室内の空気を循環させるファンと、循環する空気を加熱して生鮮素材を乾燥させることができる熱交換機とを備えたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記循環路及び前記分岐路が、上昇路と下降路、水平方向の移送路によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載された乾燥装置。
【請求項3】
前記循環路及び前記分岐路には、移動する複数のセイロの間に少なくとも1個の空きスペースが設けられ、前記第1及び第2の循環装置が、前記空きスペースに移送する隣のセイロを移動させ、該セイロの移動で新しく形成された空きスペースに更にその隣のセイロを移動させて、さらにこれを繰返すことで空きスペースを順に移動させ、前記循環路及び前記分岐路のセイロを移送することを特徴とする請求項1または2記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記分岐路には、前記生鮮素材を積載する載置位置及び/または乾燥した生鮮素材の排出を行う排出位置が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された乾燥装置。
【請求項5】
前記分岐路には前記生鮮素材を積載した後の生鮮素材を煮沸する煮釜が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された乾燥装置。
【請求項6】
前記分岐路には洗浄槽が設けられ、前記セイロに生鮮素材を積載した後に前記洗浄槽で洗浄してから前記煮釜に移送することを特徴とする請求項5記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記室内の温度に基づき、設定された運転条件に従って前記熱交換機を制御する熱交換機制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された乾燥装置。
【請求項8】
前記分岐路が、前記循環路の下降路から第1の移送路によって分岐して、生鮮素材を載置位置で積載後、所定の位置で第1の昇降路によって降下し、洗浄槽内で洗浄を行い、一旦上昇してから第2の移送路で隣接位置に移動し、ここから第2の昇降路によって煮釜内に降下して煮沸し、煮沸後上昇して第3の移送路によって前記循環路の下降路に戻る構成を備えたことを特徴とする請求項2記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記分岐路の前記排出位置には、乾燥した生鮮素材の排出を行うとき前記セイロを傾斜させて排出する排出装置が設けられたことを特徴とする請求項4記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−8605(P2008−8605A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40537(P2007−40537)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【分割の表示】特願2006−176160(P2006−176160)の分割
【原出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【特許番号】特許第3940761号(P3940761)
【特許公報発行日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(593190054)有限会社丸忠設備工業 (5)
【Fターム(参考)】