説明

乾燥装置

【課題】食品残渣、野菜屑などを高速で乾燥し粉砕する乾燥装置に関し、高速で能率よく乾燥が行え、設置スペースが少なくて済み、製造容易で製造コストが安く保守性にも優れた乾燥装置を提供することを課題とする。
【解決手段】被処理物5を蓄えるホッパー2と、ホッパーから取り込んだ被処理物を移送する送り装置4と、加熱器6により熱せられた空気から熱風を起してこれを搬送する送風機18と、送り装置により送られた被処理物を熱風内に混入する導入筒部10と、導入筒部と連通する上方の始端部から下方の終端部に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路13を形成し、混入された被処理物5を熱風とともに乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部12と、乾燥筒部の終端部に設けられ、この終端部から放出され乾燥された被処理物と水蒸気を含む空気とを分離させる粉粒分離機16と、を有する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品残渣、野菜屑などを高速で乾燥し粉砕する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の製造工程等で発生する食品残渣、野菜屑などのような水分を多量に含んでいる廃棄物を乾燥処理するための乾燥装置の開発が行なわれている。
【0003】
例えば特許文献1には、蚊取り線香のように渦状に曲げられた仕切り板によって渦状の気流通路が形成された気流乾燥装置が開示されている。この気流乾燥装置は図5に示すように、ヒータ62により加熱された空気流と共に定量供給機64から被処理物が供給され、この被処理物は、解砕機66により粉砕されて気流乾燥装置60の入口の外周部開口に吸引され、気流乾燥装置60の渦状の気流通路中で加熱乾燥されサイクロンセパレータ68により分離収集される。特許文献2にも旋回流式乾燥機が開示されている。
【0004】
また、特許文献3に記載されているように、被処理物を長い円筒状の容器本体内に投入して、この被処理物を容器本体内をモータで回転する軸なし螺旋翼によって移動させながら、螺旋翼の中心に設けた内側加熱手段と容器本体を外側から加熱する外側加熱手段によって被処理物を加熱乾燥させる乾燥装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3155527号公報
【特許文献2】特公平8−27132号公報
【特許文献3】特開2003−145088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載された乾燥装置は、仕切り板を渦巻き状に形成しその中心部に中央部排出口を形成する形状であるため構造が複雑となり、このため製造コストがかかり、また清掃や点検などの保守が困難であり、また被処理物は常に渦状の気流通路を通過することから、被処理物が外周付近に集まって均等に分散しにくく、このため乾燥効率が低下するといった問題がある。
【0007】
また、特許文献3に記載された乾燥装置は、容器本体内に投入された被処理物を少しずつ螺旋翼で容器本体の排出口側へ移動させながら徐々に乾燥させる構造になっているため、被処理物が容器本体内に留まっている時間が長く、被処理物を連続的に処理する能力を高めるためには、容器本体の全長を長くする必要があり広い処理スペースを要し、また装置の内部にロータが配置されている複雑な構造のため、製造コストが高くなるとともに、清掃や点検等の保守が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、高速で能率よく乾燥が行え、設置スペースが少なくて済むとともに、製造容易で製造コストが安く保守性にも優れた乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係る乾燥装置は、図1に示すように、投入された被処理物5を蓄えるホッパー2と、上記ホッパーから取り込んだ被処理物を移送する送り装置4と、加熱器6により熱せられた空気から熱風を起してこれを搬送する送風機18と、上記送り装置により送られた被処理物を上記熱風内に混入する導入筒部10と、上記導入筒部と連通する上方の始端部30から下方の終端部32に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路13を形成し、上記混入された被処理物5を上記熱風とともに上記乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部12と、上記乾燥筒部の終端部に設けられ、この終端部から放出され乾燥された被処理物と水蒸気を含む空気とを分離させる粉粒分離機16と、を有する構成である。
【0010】
本発明に係る乾燥装置は、投入された被処理物5を蓄えるホッパー2と、上記ホッパーの下部からホッパー外に延設して形成され、ホッパー内において筒状のケーシング20に設けた開口部から被処理物5をケーシング内に取り込み、このケーシング内に設けた搬送スクリュー22により上記被処理物を移送し、ケーシングの端部の吐出部24から被処理物を吐き出す送り装置4と、加熱器6により熱せられた空気から熱風を起してこれを搬送する送風機18と、上記熱風が送り込まれる筒部内に上記送り装置の吐出部が突入した状態で内挿され、上記熱風内に上記吐出される被処理物を混入する導入筒部10と、上記導入筒部と連通する上方の始端部30から下方の終端部32に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路13を形成し、上記混入された被処理物を上記熱風とともに上記乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部12と、上記乾燥筒部の終端部に設けられ、この終端部から放出され乾燥された被処理物と水蒸気を含む空気とを分離させる粉粒分離機16と、を有する構成である。
【0011】
本発明に係る乾燥装置は、上記導入筒部10に、上記送り装置の上記吐出部が配置される個所の筒内径を風上部分より小さくした加速筒部26を形成した構成である。
【0012】
本発明に係る乾燥装置は、上記加熱器6を上記乾燥筒部12の下部近傍に設置する一方、上記送風機18をこの乾燥筒部の上部近傍に設置し、上記加熱器6の燃焼室7から上方に向けて熱風を搬送する加熱筒部8を配置して、この加熱筒部の上端部と上記導入筒部との間に上記送風機18を介在させ、上記加熱筒部8からの熱風をこの導入筒部10に吹き出す構成である。
【0013】
本発明に係る乾燥装置は、上記乾燥筒部12及び上記加熱筒部8の周囲を囲むボックス34を設け、これら乾燥筒部及び加熱筒部を上記ボックス内に収納してこの加熱筒部8によりボックス34内を加熱し、上記乾燥筒部12内の乾燥路13の温度を高く維持させた構成である。
【0014】
本発明に係る乾燥装置は、上記乾燥筒部12の終端部32に、ここから上方の上記粉粒分離機16の上部の投入口35に向かう搬送筒部14を配置し、上記終端部とこの搬送筒部との間に搬送用の送風機28を介在させ、上記乾燥筒部を通過した被処理物を上記投入口まで搬送した構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る乾燥装置によれば、ホッパー、送り装置、送風機、被処理物を熱風内に混入する導入筒部、導入筒部と連通する上方の始端部から下方の終端部に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路を形成し、混入された被処理物を熱風とともに乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部、及び粉粒分離機を有する構成を採用したから、強い熱風とともに被処理物が搬送されるため高速での乾燥が行なえ、加えてこの乾燥装置は、直接加熱方式であるため高効率であり低ランニングコストが実現でき、また取扱いが容易であり連続運転による大量処理・連続排出により人件費の削減など低コスト化が実現でき、加えて乾燥筒部の乾燥路は筒体を螺旋状に形成した簡単な構造であるため製造が簡単で製造コストが大幅に削減でき、また乾燥路が螺旋円状であるため被処理物が堆積しにくいため保守性に優れ、さらに乾燥路の距離が確保され場所をとらないコンパクト設計が行なえ、併せて設備費が削減できるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る乾燥装置によれば、ホッパー、ケーシング内に設けた搬送スクリューにより被処理物を移送し吐出部から吐き出す送り装置、送風機、熱風が送り込まれる筒部内に送り装置の吐出部が突入した状態で内挿され、熱風内に吐出される被処理物を混入する導入筒部と、導入筒部と連通する上方の始端部から下方の終端部に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路を形成し、混入された被処理物を熱風とともに乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部、及び粉粒分離機を有する構成を採用したから、上記効果と同様に、高速での乾燥が行なえ、高効率であり低ランニングコストが実現でき、また取扱いが容易であり連続運転による大量処理・連続排出により人件費の削減など低コスト化が実現でき、加えて、導入筒部内に吐出された被処理物が、送風機から導入筒部に送られる熱風内に効果的に混入し搬送され、また被処理物が導入筒部内へ熱風の流れに対して自然な形態で取り込めることから、被処理物の筒内壁などへの付着が軽減され乾燥装置の維持管理が容易となり、また乾燥筒部は製造が簡単で製造コストが大幅に削減できるとともに、コンパクト設計が行なえて設備費が削減できるという効果がある。
【0017】
本発明に係る乾燥装置によれば、導入筒部に、送り装置の上記吐出部が配置される個所の筒内径を風上部分より小さくした加速筒部を形成した構成としたから、この加速筒部内を通過する熱風は加速されて強い風速となっているため、吐出部から吐き出された被処理物が比較的水分を多く含む場合であっても、熱風に余すところなく混入され良好に搬送されまた筒内への被処理物の付着も生じないという効果がある。
【0018】
本発明に係る乾燥装置によれば、加熱器の燃焼室から上方に向けて熱風を搬送する加熱筒部を配置して、この加熱筒部の上端部と上記導入筒部との間に送風機を介在させ、加熱筒部からの熱風をこの導入筒部に吹き出す構成としたから、熱風を勢いよく導入筒部及び乾燥筒部に吹き込むことができ、乾燥処理の能力が高められるという効果がある。
【0019】
本発明に係る乾燥装置によれば、乾燥筒部及び加熱筒部をボックス内に収納してこの加熱筒部によりボックス内を加熱し、乾燥筒部内の乾燥路の温度を高く維持させた構成としたから、迅速かつ効率的な乾燥が行なえるという効果がある。
【0020】
本発明に係る乾燥装置によれば、乾燥筒部の終端部に、ここから上方の粉粒分離機の上部の投入口に向かう搬送筒部を配置し、終端部とこの搬送筒部との間に搬送用の送風機を介在させ、乾燥筒部を通過した被処理物を投入口まで搬送した構成としたから、乾燥筒部内の熱風を吸引することで、この熱風の風速が高い状態に維持され、また粉粒分離機の設置位置を乾燥筒部と隣接させることができ、装置全体をコンパクトに収めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る乾燥装置の正面概略図(内部明示のためボックス及び囲い材の前面部を除外)である。
【図2】乾燥装置の左側面概略図(内部明示のためボックスの前面部を除外)である。
【図3】乾燥装置の平面概略図(内部明示のためボックスの上面部を除外)である。
【図4】乾燥装置の右側面概略図(内部明示のため囲い材を除外、また送風機などを除外)である。
【図5】従来例に係る気流乾燥装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る乾燥装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
上記乾燥装置1は図1,2等に示すように、乾燥させたい被処理物5を投入するホッパー2、送り装置としてのスクリューフィーダ4、加熱器6、燃焼室7、加熱筒部8、導入筒部10、被処理物5を乾燥する螺旋状の乾燥筒部12、搬送筒部14、及び粉粒分離機としてのサイクロン16,17等を有している。
また図3,4に示すように、上記加熱筒部8の上端部と導入筒部10との間には送風機18を介在させ、上記乾燥筒部12の終端部32と搬送筒部14との間には送風機28を介在させ、またサイクロン16,17間には送風機29を配置している。
【0023】
上記乾燥装置1は、高温になる上記送風機18,28,29の羽根部、乾燥路を構成する乾燥筒部12及びサイクロン16,17の各構成部品等は、長期の継続的使用に耐えられるように耐熱性、耐摩耗性に優れたステンレス材を使用している。
【0024】
上記スクリューフィーダ4は、ホッパー2の下部に配置され、断面円形の筒状のケーシング20の内部には、被処理物5を前に押し進める螺旋状の搬送スクリュー22を備えている。このスクリューフィーダ4は、ホッパー2の下部からホッパー2外に延設して形成され、ホッパー2内においてケーシング20の一部に設けた開口部から被処理物5をケーシング20内に取り込み、搬送スクリュー22により被処理物5を移送し、ケーシング20の端部の吐出部24から被処理物5を吐き出す。
【0025】
上記加熱器6としてここでは灯油バーナーを用い、この灯油バーナーを燃焼室7で燃焼させて室内の空気を加熱するようにしている。加熱器6として他に、ガスバーナー或いは電熱器等のヒーターを熱源とすることができる。燃焼室7は、周囲を金属板で覆った箱型の空間であり、この燃焼室7の上方は板状のカバー部材27で覆われており、高熱から乾燥筒部12を保護している。
【0026】
上記加熱筒部8は、その下端部が上記燃焼室7の上部と連結し、ここから上方の送風機18に向けて縦に配置されている。加熱筒部8の上端部は送風機18の吸込口と連結し、また送風機18の吹出口は導入筒部10と連結している。そして、燃焼室7内で高温となった空気は送風機18により加熱筒部8内に送られ、この加熱筒部8を経由して移送された熱風を、送風機18は導入筒部10に向けて高速で吹き出す。
この送風機18の吹出口からの吹き出しにより、乾燥筒部12内の乾燥路13には風速5m〜10m/秒程度の空気流が得られ、強い風圧で被処理物5を搬送する。
【0027】
上記導入筒部10は、送風機18の吹出口に横向きに連結され、筒の途中をU字状に屈曲して方向を反転させている。この導入筒部10は、断面円形であり風下側に形成された加速筒部26を除いて内径は一様である。
上記加速筒部26は、筒の一部の内径が縮小された形状であり、この加速筒部26の筒内を通過する熱風は、ここで加速され風圧及び風速が上昇する。またこの加速筒部26から先の部位は下方に屈曲形成され、乾燥筒部12の上部の始端部30の筒部に連結されている。
【0028】
スクリューフィーダ4は、搬送スクリュー22の回転軸23の一方の端部はホッパー2の外部に突出形成され、この回転軸23に設けたギアがチェーンを介して電動機により回転駆動される。また回転軸23の他方の端部は、導入筒部10の端部から筒外に突出して軸受けにより軸支されている。
このようにスクリューフィーダ4は、ホッパー2内の下部からこのホッパー2の壁面を貫通して延設され、さらに導入筒部10のU字状に屈曲した筒部を貫通し、この導入筒部10内にケーシング20の先端側の部位が吐出部24とともに突入し、導入筒部10の筒中心に沿う形態で内挿された形態である。
【0029】
そして、スクリューフィーダ4のケーシング20の先端の吐出部24は、導入筒部10に設けた加速筒部26の略中央位置の近傍に配置されている。これにより、加速筒部26内に吐出された被処理物5が、熱風の流れに対して自然な形態で導入することができ熱風内に効果的に混入し搬送される。
また、加速筒部26内を通過する熱風は加速されて強い風速となっているため、吐出部24から吐き出された被処理物5が比較的水分を多く含む場合であっても、熱風に余すところなく混入され良好に搬送され、また筒内への被処理物の付着も防止される。
【0030】
上記乾燥筒部12は、導入筒部10と連通する上方の始端部30から下方の終端部32に向け、この上下線方向の周囲を、筒体を斜め下方に向けて複数回ねじれ巻くようにして次第に降下するように配置されている。このため乾燥筒部12内には、螺旋状の乾燥路13が形成され、混入された被処理物5を熱風とともに乾燥路13の終端部32まで螺旋状に回りながら搬送する。
【0031】
上記乾燥筒部12は、ステンレス材からなる断面円形の筒であり、ここでの直径は120mmとしているが、他に100mm〜200mmとすることができ、また筒の厚みは1mm〜5mm(程度)である。この乾燥筒部12は、始端部30から終端部32まで螺旋状に4回回した形状に形成され、被処理物5を搬送する乾燥路13を形成する。螺旋状の外径は、1200mmとしている。乾燥筒部12の螺旋回数は、4回〜12回程度とすることができる。また乾燥筒部12は、外側の部位を支柱などの支持材15に固定されている。
【0032】
また、乾燥筒部12及び加熱筒部8の周囲の四方及び上部に、ステンレス板などの金属板で形成されたボックス34が配置されている。このボックス34の内側には、全ての面(前面、後面、左右壁面、上面)にわたって断熱材(図示せず)が敷設されている。そして、ボックス34内に燃焼室7、乾燥筒部12及び加熱筒部8を密閉された状態で収納し、燃焼室7及び加熱筒部8から発散される熱によりボックス34内を加熱してボックス34内の温度を高く維持させるようにしている。
これにより、乾燥筒部12内の乾燥路13の温度が高く維持されて迅速かつ効率的な乾燥が行なえ、また加熱器6の熱効率も良くなる。
また、上記燃焼室7の外部空間部と境をなす壁面には、外気を取り込む空気孔33が設けられおり、ここから取り込んだ空気を加熱器6で加熱して乾燥筒部12に搬送する。
【0033】
上記乾燥筒部12の終端部32には、送風機28の吸込口が連結され、またこの送風機28の吹出口には搬送筒部14の下端部が連結されている。この搬送筒部14は、送風機28から上方に向けて縦方向に配置され、その上端部の放出口19は横向きに形成され、サイクロン16の上方に設けられた投入口35に連結されている。
【0034】
また、サイクロン16の排出口38には、接続筒37の上端部が連結されこの接続筒37の下端部は送風機29の吸込口と連結されている。そして、この送風機29の吹出口には搬送筒部39の下端部が連結され、この搬送筒部39の上端部の放出口19はサイクロン17の投入口に連結されている。
このように、ここではサイクロン16,17を2台直列に用いて粉塵粒子の分離捕集を繰り返し行ない、分離の精度を高めている。
【0035】
上記サイクロン16,17は、含塵空気を円筒容器の接線方向に流入させて旋回運動を与え、遠心力を利用して粉塵粒子を分離捕集し、粉塵は遠心力で壁に打ち付けられさらに旋回流とともに下降し、一方水蒸気を含む空気はコニカル部36で反転旋回流となりサイクロン16,17の中心部を旋回上昇し排気管を通じて大気中に排気される。またサイクロン16,17は、構造が簡単であり可動部分を含まないため保守点検が容易である。
このようにサイクロン16,17は、乾燥筒部12の終端部32から放出され被処理物5を乾燥し粉砕した粉粒物と水分を含んだ空気(水蒸気)とを、強力な旋回気流で遠心分離し集塵する粉粒体分離機である。
【0036】
上記サイクロン16,17は、上記乾燥筒部12を囲むボックス34の外部に隣接して設けられる。ここではサイクロン16,17を2台用いているが、これは他に1台又は3台以上複数台用いることができる。サイクロン16,17の側部の周辺は、三方が板状の囲い材50で目隠しされている。
上記送風機18,28,29は、ここでは耐熱型のブロワー(電動モーターで駆動)を用いているが、他にシロッコファン等を用いることができる。
【0037】
次に、上記乾燥装置1の動作について説明する。
この乾燥装置1が起動されると、ホッパー2内の攪拌部材(図示せず)、スクリューフィーダ4の搬送スクリュー22が回転を開始するとともに、送風機18,28,29とサイクロン16,17が動作を開始する。次いで加熱器6が点火され、燃焼室7で加熱された高温の空気が、送風機18の吸引及び吹出し作用により、熱風となって加熱筒部8を通過し、導入筒部10及び乾燥筒部12に熱風を吹き出して高温、高速の空気流を発生させる。
【0038】
そして、ホッパー2に被処理物5を投入する。この被処理物5としては、おから、ビール粕、醤油粕、残飯などの食品残渣、動物性残渣、野菜屑、飲料食品残渣、魚、食品加工残渣などの有機物が有り、これらは乾燥、粉砕処理することで家畜の飼料などに再利用する。また被処理物5として、鶏糞、豚糞、牛糞等の畜産産業物、下水汚泥、食品工場汚泥、排水汚泥などの乾燥、粉砕も可能であり、これらは処理後は土壌改良の肥料などに再利用する。
【0039】
ホッパー2内に投入されたおから等の被処理物5は、攪拌部材によって攪拌されて塊が解され、滞りなく一定の速度でホッパー2の下部へ移動してスクリューフィーダ4のケーシング20の開口部から内部に落下する。
そして、被処理物5はスクリューフィーダ4により導入筒部10内に運ばれ、そして加速筒部26の位置でケーシング20の吐出部24から吐き出され、この加速筒部26内で熱風に混入され熱風とともに乾燥筒部12の始端部30に向けて搬送される。
【0040】
上記乾燥筒部12の始端部30に送り込まれた被処理物5は、送風機18から吹き出される高速高温の空気流による風圧により、螺旋状の乾燥路13を旋廻しつつこの乾燥路13を終端部32へ向けて高速で搬送される。そして、乾燥筒部12の中を被処理物5が浮遊することで粉砕及び水分との分離が行なわれ、高速で被処理物が搬送されかつ粉砕されることで水蒸気との分離が行なわれる。
【0041】
上記乾燥の過程において、高温に熱せられた被処理物5から発生する水蒸気が送風機18から乾燥路13内に吹き込まれた多量の空気の中に吸収され、これにより迅速かつ効率的に被処理物5の乾燥処理が行なわれる。
そして、被処理物5は乾燥筒部12内を浮遊し、かつ熱風と揉まれながら空気流とともに筒内を移動する間に水分を分離する。またこのとき、乾燥路13を通過する被乾燥物5は螺旋状に旋回しているため、遠心力の利用により重い物(水分など)は外側寄りにまた軽い物は内側寄りに分離される。このように、被処理物5は乾燥路13内を螺旋旋回を続けながら乾燥され、粉砕を繰り返して粉粒状となって乾燥筒部12の終端部32まで移送される。
【0042】
こうして、乾燥筒部12の終端部32に空気流と共に移送された粉粒状の被処理物5は、この終端部32から送風機28によって搬送筒部14内を上昇し、放出口19からサイクロン16に投入される。このサイクロン16内では、乾燥された被処理物5は多量の水蒸気を含む空気流と分離され、ほとんどの空気流は水蒸気とともに排気管から大気中に放出され、下方の排出口38からは乾燥され粉粒体状になった被処理物5が排出される。さらに送風機29によりこの排出された被処理物5を上昇させ、サイクロン17により再度粉粒状の被処理物5を水蒸気と分離する。
【0043】
この実施の形態では、被処理物5がホッパー2に投入されてから乾燥筒部12を通過し、サイクロン17の排出口38に排出されるまでは僅かに数秒を要する程度である。乾燥処理が完了した被処理物5は、サイクロン17の下方に配置された回収容器又は収納袋に回収される。
【0044】
したがって、この実施の形態に係る乾燥装置1によれば、直接加熱方式であるため高効率であり低ランニングコストが実現でき、また取扱いが容易であり連続運転による大量処理・連続排出により人件費の削減など低コスト化が実現でき、加えて乾燥筒部の乾燥路は筒体を螺旋状に形成した簡単な構造であるため製造が簡単で製造コストが大幅に削減でき、また乾燥路が螺旋円状であるため被処理物が堆積しにくいため保守性に優れ、さらに乾燥路の距離が確保され場所をとらないコンパクト設計が行なえ、併せて設備費が削減できる。また、乾燥筒部は強い熱風とともに被処理物5が搬送されるため高速での乾燥が行なえる。
【0045】
また、乾燥し最終処理された有機物は、家畜の餌などの飼料、土壌改良剤などの肥料として再利用でき、リサイクル需要に適応した環境保護に威力を発揮する。また、乾燥路の温度は通常100℃〜200℃前後でありまた乾燥時間が短いため、食品等の成分変性がない状態で乾燥粉砕が行なえる。このため例えば、とうもろこし等の家畜の餌を乾燥粉砕することで、カビなどが防止されて保存性がよくなり好適な飼料が得られる。
【0046】
また、被処理物5の投入部において導入筒部10を設け、被処理物5を筒内を通過する熱風内へ吐き出し混入させることで、乾燥筒部12へ搬送する経路を簡素にし無理のない自然な搬送ルートを形成したことにより、投入部の筒壁等への被処理物5の付着が軽減される。この乾燥装置は、被処理物5として比較的粘着性のある食品残渣、例えばおから等の乾燥に対しても有効であり良好な乾燥が行なえる。
【符号の説明】
【0047】
2 ホッパー
4 送り装置(スクリューフィーダ)
5 被処理物
6 加熱器
7 燃焼室
8 加熱筒部
10 導入筒部
12 乾燥筒部
13 乾燥路
14 搬送筒部
16 粉粒分離機(サイクロン)
18,28,29 送風機
20 ケーシング
22 搬送スクリュー
24 吐出部
26 加速筒部
30 始端部
32 終端部
34 ボックス
35 投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された被処理物を蓄えるホッパーと、
上記ホッパーから取り込んだ被処理物を移送する送り装置と、
加熱器により熱せられた空気から熱風を起してこれを搬送する送風機と、
上記送り装置により送られた被処理物を上記熱風内に混入する導入筒部と、
上記導入筒部と連通する上方の始端部から下方の終端部に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路を形成し、上記混入された被処理物を上記熱風とともに上記乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部と、
上記乾燥筒部の終端部に設けられ、この終端部から放出され乾燥された被処理物と水蒸気を含む空気とを分離させる粉粒分離機と、を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
投入された被処理物を蓄えるホッパーと、
上記ホッパーの下部からホッパー外に延設して形成され、ホッパー内において筒状のケーシングに設けた開口部から被処理物をケーシング内に取り込み、このケーシング内に設けた搬送スクリューにより上記被処理物を移送し、ケーシングの端部の吐出部から被処理物を吐き出す送り装置と、
加熱器により熱せられた空気から熱風を起してこれを搬送する送風機と、
上記熱風が送り込まれる筒部内に上記送り装置の吐出部が突入した状態で内挿され、上記熱風内に上記吐出される被処理物を混入する導入筒部と、
上記導入筒部と連通する上方の始端部から下方の終端部に向けて、筒体を複数回ねじれ巻くように配置して内部に螺旋状の乾燥路を形成し、上記混入された被処理物を上記熱風とともに上記乾燥路の始端部から終端部まで搬送する乾燥筒部と、
上記乾燥筒部の終端部に設けられ、この終端部から放出され乾燥された被処理物と水蒸気を含む空気とを分離させる粉粒分離機と、を有することを特徴とする乾燥装置。
【請求項3】
上記導入筒部に、上記送り装置の上記吐出部が配置される個所の筒内径を風上部分より小さくした加速筒部を形成したことを特徴とする請求項2記載の乾燥装置。
【請求項4】
上記加熱器を上記乾燥筒部の下部近傍に設置する一方、上記送風機をこの乾燥筒部の上部近傍に設置し、上記加熱器の燃焼室から上方に向けて熱風を搬送する加熱筒部を配置して、この加熱筒部の上端部と上記導入筒部との間に上記送風機を介在させ、上記加熱筒部からの熱風をこの導入筒部に吹き出すことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
上記乾燥筒部及び上記加熱筒部の周囲を囲むボックスを設け、これら乾燥筒部及び加熱筒部を上記ボックス内に収納してこの加熱筒部によりボックス内を加熱し、上記乾燥筒部内の乾燥路の温度を高く維持させたことを特徴とする請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
上記乾燥筒部の終端部に、ここから上方の上記粉粒分離機の上部の投入口に向かう搬送筒部を配置し、上記終端部とこの搬送筒部との間に搬送用の送風機を介在させ、上記乾燥筒部を通過した被処理物を上記投入口まで搬送したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−243032(P2010−243032A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91142(P2009−91142)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(593011450)株式会社コスモス.エンタープライズ (4)
【Fターム(参考)】